平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(高橋但馬君) 私は、請願陳情受理番号第83号2019年10月からの消費税10%中止を求める請願の1件について、総務委員会で不採択との委員長報告に反対の立場から討論をいたします。
理由の1点目は、消費税の導入経緯、目的の形骸化です。
そもそも消費税導入の目的は、今後の高齢化社会を見据えた社会保障の安定財源の確保でありました。ただし、数回にわたる税率のアップもあったわけですが、その都度、国民的な理解を得るために歳出の徹底した見直しの必要性も言われ、財政の健全化ということも目的の一つに入ってきているところであります。しかし、残念ながら、現状を見れば、財政健全化は完全に先送りされておりますし、国会における身を切る改革も棚上げになっております。
加えて、消費税が導入されてちょうど30年たちます。今、消費税の税収は約17.6兆円と聞いておりますが、一方、ここ30年間で法人税と所得税が減税されております。法人税と所得税の減税額が30年間で約15兆円と聞いておりますので、本来の消費税の目的ではない、ある意味、他税の穴埋めに使われている可能性もあるという声も出ており、この点に関し国民的な理解が得られていないということは、度重なる世論調査で明らかになっているのではないかと考えております。
2点目は、消費税のデメリットの一つである逆進性への対応です。
消費税は、全世代で負担を広く薄く分かち合う税ですが、所得の少ない家計ほど収入に占める税の負担割合が高くなります。税率が高くなることによって、この逆進性が強まることは明らかであり、実効性の高い逆進性対策が求められています。
しかし、平成28年度税制改正で導入されることとなった軽減税率は、高額の物品やサービスが受けられる高所得者ほど減税額が大きくなり、格差是正効果は薄く、複数税率の導入は、かえって混乱を来すのではないかと考えられます。
3点目は、時期についてです。
政府は、2度税率改定を引き延ばしてきたわけでありますが、経済への影響と国民生活への影響を慎重に見定めた中で、2度延長してきたということでありますし、その中には税率を5%から8%に上げたときの数十カ月にわたる国の経済の低迷が大きな背景としてあったことだろうと考えております。
今、残念ながら景気は完全に後退局面に入っており、個人消費も伸びておらず、実質賃金も、さまざまな統計不正の問題などもあり、本当に伸びているかどうかは疑わしいという状況です。
かつ、岩手県は被災県であります。アベノミクスの恩恵というものも実質、肌感覚で得られていないという状況であります。今税率を上げることは、5%から8%の税率改定のときと同じ轍を踏む可能性が非常に強いのではないかと考えます。
来年の東京オリンピックまでは、一定程度のいろいろな経済を動かす好影響もあると思いますが、東京オリンピック終了後の経済の落ち込みが非常に憂慮される事態にあります。岩手県においては、復興需要の減少と相まって、他県に比べて大きな影響を受けるのではないかと強く危惧しております。
よって、委員会における不採択に反対するとともに、本会議において採択に御同意いただくことをお願いし、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 次に、千田美津子さん。
〔1番千田美津子君登壇〕

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