平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇39番(小野寺好君) 公明党小野寺好です。
東日本大震災津波の発生から間もなく8年が経過しようとしていますが、失われたとうとい命や以前の平穏な生活は戻らず、被災された皆様は、依然として御苦労をされております。空前絶後の大震災で亡くなられました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
最初に、防災、減災、国土強靱化計画、県計画について伺います。
自然の猛威は毎年甚大な被害をもたらしており、防災、減災対策が最優先、最大の政治課題になってしまいましたことから、国は、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に7兆円を充てて取り組むとしています。
本県においても、平成25年の強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法に基づく岩手県国土強靱化地域計画が平成28年に策定されましたが、翌年6月に改定され、年間2、000億円余の予算措置がなされました。
県計画の基本目標は、いかなる大規模自然災害が発生しようとも人命の保護が最大限図られる、県民の財産、公共施設の被害の最小化を図るという目標となっていますが、広大な県土を考えると、インフラ強靱化に毎年2、000億円投入して道路、港湾、河川に充てられたとしても、この先数十年もかかるのではないかと思われます。その間にまた大規模災害が発生した場合、これまでのような体育館等における避難所生活、長期化するプレハブ仮設住宅での生活を同じように強いることになるのではないかと思われます。
そこで提案ですが、例えば、県競馬組合に貸し付けたように、県の財政調整基金に330億円あった場合、1、000万円を限度に、10年据え置き無利子貸し付けの住宅再建支援特別会計のようなものをつくれば、今回の大震災の場合、3、300世帯の方が救われることになります。長期間プレハブ仮設住宅で生活を送るより、初めから個人の恒久住宅を措置したほうが余程合理的であります。
東日本大震災津波から8年、平成28年台風第10号から2年半、改めて伺いますが、被災者の皆さんの現実の居住環境はいかがか、応急仮設住宅ではなく、初めから被災者の恒久住宅確保に取り組むことが適切な場合もあると考えますが、改善策について知事のお考えを伺います。
また、県内市町村における防災拠点の整備、ハザードマップやタイムラインを利用した避難訓練、防災教育、国土強靱化地域計画策定等について、どのように把握しているかあわせて伺います。
次に、長寿社会と雇用について伺います。
平均寿命は常に全国平均から離れております。3大死因と言われるがん、心疾患、脳血管疾患についても、全国と比較すると同様に差があります。
厚生労働省の平成29年簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.26歳であり、男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳以上まで生きる人生100年時代になっています。
なお、この調査結果によりますと、本県男性の平均寿命は79.86歳、ワースト3位、女性86.44歳、ワースト6位で、全国との差が開いております。健康寿命についても、本県では同様の傾向にあります。
そこで、まず、平均寿命と健康寿命について伺います。本県の平均寿命と健康寿命が全国平均よりも短いことの原因と対策についてはいかがお考えでしょうか。健康寿命の後、多くは要介護認定を受けるのでありますが、本県の要介護認定者数及び認定率についても、この10年程度を全国平均と比較した場合どのような数値になっているか、状況分析と今後の対策を伺います。
リタイアした比較的元気な方が、仕事以外のどのようなことに生きがいを感じて日常を送るかについては、極めて個人的なことで難しいのですが、行政としてどのようなことを提供できるとお考えか伺います。昔の中国のちょっと失礼な言葉に、小人閑居して不善を為すなどとありますが、個人の人格陶冶、社会貢献を考えている皆さんにアドバイスをいただければと思います。
次に、雇用対策について伺います。
人生100年時代を充実させるためには、意欲のある高齢者が現役として働き続けることのできる場の提供が必要となります。働くことのできる人全ての就労促進を図るため、既に平成24年に改正された高年齢者等の雇用の安定等に関する法律で、民間企業では、65歳まで働くことを希望する社員の雇用を確保しなければならないと義務づけられました。
このようなこともあり、平成29年の60歳以上の就業者数は1、328万人になっており、シニア世代が重要な戦力となりましたが、本県における65歳未満の就業状況はいかがでしょうか。65歳以上でも、身体能力及び知的能力はかなり高くなっていると言われていることから、さらに、政府では、人手不足時代ということもあって、やがては70歳までの雇用延長を考えているようであります。高齢者の働く意欲向上を促す賃金制度や能力評価制度をつくる企業に対しては整備費補助、高齢者を初めて採用した企業に対する助成制度の拡充、中途採用拡大に対しては労働移動支援助成金の増額等が検討されております。
65歳以上の方々の就業状況について把握しておりましたらお示しいただき、今後どのように変化していくと予測しているか伺います。
一方、国家公務員の定年は、経済財政運営と改革の基本方針2018において、今後3年ごとに1歳ずつ延長して65歳まで段階的に引き上げることとし、給与については7割程度にとどめることにしたいと考えていると聞いておりましたが、どうやら今国会においては、その改正が見送られるようであります。
地方公務員についてもこれに準じることから、県職員でも65歳まで働くことを希望する職員が多いのではないかと思いますが、県の現状はいかがか、また、今後の方向性についてのお考えはいかがでしょうか。これまでの60歳定年前の退職勧奨制度のあり方や県出資法人等への再就職等、現状についてもお示しいただければと思います。
教育委員会、医療局、県警察本部を含め県職員の現状、あわせて職員等の退職管理に関する条例の運用状況はどうなっているか伺います。
次に、オストメイトサポートについて伺います。
オストメイトについては、社会一般に知られていそうで、しかし、なかなか知られていなくて、関係者は苦慮していると聞きます。がんや事故などにより消化管や尿管が損なわれたため、腹部に排せつのための開口部を造設した方のことで、外見上は障がい者であることがわかりません。国内で25万人以上いると言われていますが、実数は不明とされています。
障がいのある人もない人もともに生きていく共生社会を目指しているわけですから、思いがけない病気や不慮の事故に遭いながらも懸命に生きる姿は、社会全体でサポートしていくべきであり、その第一歩として、皆が正しく理解、認識する必要があります。
特に、福祉担当公務員や危機管理担当者には必須と思われますし、一般向けの講習会、セミナーの開催も、毎年継続していかなければなりませんが、誰が主催するかが問題であり、県としてどのように対応していくべきとお考えか伺います。
なお、東日本大震災津波のとき、オストメイトが理解されていないため難儀したと聞きますが、避難所トイレにおけるオストメイト対応やストーマ装具についてはいかがであったか、もし不十分であったとすれば、改善されているかどうか伺います。
身体障がい者の車椅子マークとは別にオストメイトマークもあり、オストメイト対応トイレなどに表示されています。しかし、オストメイト専用トイレの普及はなかなか進んでいないと聞きますが、現状はいかがでしょうか。
さきに述べたように、オストメイトの方は、外見上、障がい者であることの見分けがつかない内部障がい者です。そのため、障がい者用トイレから出てきた際に、外で順番待ちしていた身体障がい者の方から、健常者と見られて強く注意されることもあるようです。こうしたことから、特に社会教育施設や公共施設等には、障がい者用トイレとは別のオストメイト専用トイレを設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
最近は、低廉な簡易型オストメイト専用トイレも開発されていると聞きますので、学校トイレが災害時には避難所にもなることから、洋式化などの改修の際、オストメイト専用トイレも考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、住宅政策について伺います。
海溝型地震だけではなく、発見されていない多数の活断層で、日本列島ではいつ、どこで巨大地震が起きても不思議ではないと言われるようになりましたが、我が家は大丈夫と根拠のない自信を持っている方が多いと思います。まして、高齢になって、今さら耐震改修にお金をかけたくないという本音も聞こえます。
県の耐震改修促進計画において、民間住宅の耐震化はいかがか伺います。
地震とともに恐れるのが大規模延焼火災でありますが、個別の耐火構造の普及や密集市街地の改善等、住宅政策の中での対策はどのように図られているか伺います。
次に、住宅確保要配慮者の住宅確保でありますが、高齢単身世帯の急増、ひとり親世帯、低所得者世帯、外国人学生、研修生等の住宅確保状況を伺います。法的には住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律があり、賃貸人が住宅確保要配慮者への入居を拒まない賃貸住宅として県に登録すると、国から耐震改修やバリアフリー工事の改修費補助、家賃低廉化、家賃債務保証への補助を受けることができるとされていますが、本県の現状を伺います。
次に、東日本大震災津波からの復興政策としての住宅対策についてでありますが、自宅を自力再建する場合の被災者生活再建支援法による加算支援金の申請状況はいかがでしょうか。区画整理等土地の供給をまだ終えていない場合、あとどれだけかかるのでしょうか。
現在のプレハブ仮設住宅等の入居者は、発災から8年経過しようとしている今も2、827人であると発表されていますが、応急仮設住宅での生活はいつまで続く見通しでしょうか。
県の災害公営住宅5、854戸は間もなく建設が完了するようですが、時間の経過で空き住戸問題が浮かび上がり、誰のせいとも言い難い悩ましい状況にあります。県営住宅の整備計画とともに、災害公営住宅の今後の運営について伺います。
なお、サービスつき高齢者向け住宅の人気が上昇していると聞きますが、本県におけるサービスつき高齢者向け住宅登録については、どのような状況にあるか伺います。
また、全国的な高齢者対策として公営、民営を問わず、大規模集合住宅には医療、福祉相談拠点を形成してほしいとの願いが寄せられていますが、本県の現状と展望はいかがでしょうか。
次に、保育について伺います。
かつて、我が家に新たな仲間が誕生しそうだと聞いたその当時、交付された母子健康手帳の裏面に印刷された児童憲章を読んで驚きました。児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境のなかで育てられる。から始まり、一つ、すべての児童は、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。以下12番まで児童の保護をうたっております。
私は、所得が定かでないまま結婚したので子育てに不安を感じていましたが、社会で子育てを応援してくれるという、日本は何てすばらしい国なのだろうと感動したことを覚えています。この児童憲章はわずか12カ条ですが、全ての児童の幸福を図るため昭和26年に制定された権利宣言であります。
さて、この母子健康手帳ですが、予防接種ワクチンの種類や接種した日付なども記録されていて、子育てには貴重なものです。最近はこれを電子化したり、お薬手帳と一元管理するとか、時代に即した有効活用が図られていると聞きますが、従来からの紙の母子健康手帳と電子母子健康手帳の関係、県内の母子健康手帳利用状況を伺います。
〔副議長退席、議長着席〕
仕事と子育てを両立する上で、保育事業は大変大きな役割を果たしておりますが、保育所入所待機児童は全国的に問題になっており、平成29年10月時点で全国に5万5、000人余りいる待機児童を、政府は平成30年度から3年で解消する計画でいます。
本県においても、調査時期にもよりますが、待機児童は700人ほどいます。加えて、ことし10月からは幼児教育、保育の無償化が始まることから、女性の社会進出が加速するとの観測もあり、受け入れ態勢を万全にする必要がありますが、新たに保育認定を受けるのではないかという子供の想定数の把握についてはいかがでしょうか。
保育所の施設数、定員でありますが、本県の認可保育所は、公立、私立合わせて計319カ所、2万4、978人、認可外保育施設は97カ所、2、265人の定員となっていますが、これは適切な施設数であるかどうか、地域偏在はないか伺います。
なお、保育中の痛ましい事故報道もありますが、保育の質、安全の確保の上で、認可外保育施設はどのような状況にあるか伺います。
今問題の企業主導型保育事業ですが、従業員の福利厚生や企業の地域貢献という観点から企業主導型保育事業が始まりましたが、2年半経過してみて、企業の状況変化や地域の幼児数減少等で定員割れ、さらには施設の閉鎖を余儀なくされている場合もありますが、支援要請や存廃相談、今後の開設予定等、本県の状況はいかがでしょうか。
次に、保育士確保ですが、無償化に伴い、従来にも増して潜在保育士の掘り起こし、保育士資格取得支援事業の強化を図る必要があると思われますが、いかがでしょうか。
なお、新年度県予算に保育士加配への人件費補助を予定していますが、どの程度の効果を見込んでいるのか伺います。
政府は、月額約3、000円、1%程度の処遇改善を4月から約束していますが、本県保育士の処遇は、他県との比較、類似職種との関係ではいかがか伺います。
また、深刻な保育士不足対策として子育て支援員制度がありますが、本県の養成実態、就業形態、人数、報酬等はどのようになっているか伺います。
次に、児童虐待といじめ対策について伺います。
少なくなる一方の子供たちですが、現状は、児童虐待、いじめ、自傷行為等々残念な状況にあります。平成30年に虐待の疑いがあるとして警察が児童相談所に通告した子供は、前年比22.4%増の8万104人で、過去最高を更新したと報じられています。本県は611人で、悲惨な死亡事案も発生しております。
このようなことから、政府では昨年12月18日に、児童虐待防止対策体制総合強化プランを関係府省庁連絡会議で決定し、この4月の新年度から4カ年で専門職員をふやし、児童相談所の体制や専門性を強化し、児童を守ることとしています。
政府や地方自治体の取り組みは評価しますが、しかしながら、基本は家庭です。さきに紹介した児童憲章の第2条に、すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。とされています。愛情に満ちた児童憲章全12カ条を、できることなら全国の家庭で毎朝食事の前にでも声を出して拝読してはどうかと思うほどであります。家庭で児童憲章の精神の具現化が無理なら、学校に頼るしかありません。
さらに、行政による児童相談所等における保護は、最後のとりでではないでしょうか。いずれ、児童虐待防止対策は最重要課題であり、政府の強化プランは待ったなしの最終案ですが、これによって、本県においては具体的な措置がどのように展開されるか伺います。
動物としての人は、教育によって人格を備えた人間になると聞きます。岩手の初等教育で生命尊厳を徹底することを願い、また、できると確信し提案いたしますが、小学校の段階で、なぜ命を大事にするのか、個性の違う互いの人格をなぜ尊重するのか、家族や友達とは何か、生きるとはどういうことか等々、当たり前のことを具体的事例を通して考え、理解する時間を何度も何度も繰り返して設けてはいかがでしょうか。人は教育によって人間になります。全国に先駆けて、人間性に満ちた岩手の教育がなされることを期待いたします。
国が破れるとすれば、外からの力によるものではなく内部からの崩壊ではないかと思われます。現状のような我が国の家庭崩壊の蔓延、子供、学校、そして社会のパワハラやあおり運転、群集心理等で安易になされる破壊活動等に大きな危険を感じます。
子供同士、生徒と教師間のいじめ事案も深刻さが解消されていません。いじめ防止対策推進法が平成25年に施行されましたが、平成29年度の生命等への被害や不登校を招いた重大事態は全国で474件で、本県でも真剣な対応が求められています。
いじめ防止対策の当面の具体策をお聞きいたしますが、根本的には、10歳前後に繰り返し生命尊厳の人間教育を行うことに尽きると思いますが、いかがでしょうか。
次に、教員の資質向上について伺います。
一関市萩荘に100メートルを超える直線廊下で有名な達古袋小学校がありました。現在は地域のコミュニティー施設として活用されており、訪問したことがあります。かつての職員室のような部屋で当時の教材を拝見し、農村地帯でも高度な教育がなされていたのだと知りました。通信手段、紙や印刷事情が全く異なる時代に、食料や物が豊かでなくても、教育の力で人間を育て、社会を築き上げていくのだという当時の皆さんの気概を感じました。恐らく全国各地で同様の教育がなされていたと思われます。
世の中で一番大事なのは教育です。学ぶことに喜び、誇りがあるかどうか。学校が人格を尊重し合う学びの場と言えるか。一部の心ない人にかき乱されていないか。最大の教育環境である教師は大丈夫でしょうか。以下、お尋ねいたします。
最初に、教員の懲戒処分について伺います。
県教育委員会から学校職員に係る懲戒処分について、たびたび報告があります。多くは道路交通法違反によるものですが、ほかに、体罰、わいせつ、児童生徒への不適切対応も見受けられます。
難関である採用試験を突破し、誰もが崇高な使命感で初任地に赴いて教員生活をスタートしたことと思いますが、初心を忘れないためにはどうしたらいいか、懲戒処分を受けた事例からお聞かせいただければと思います。
来年度こそは不祥事の発生がないことを期待しますが、方策はいかがでしょうか。懲戒処分を受けた後、教職に復帰するに当たり、どのような努力が払われるのか伺います。
あわせてお尋ねいたしますが、教員は、社会常識に欠ける面があるのではないかということで、かつては鉄道会社やスーパーなどで研修したこともありますが、現在はどうでしょうか。教える技術、知識よりも、教科を通して人間性を豊かにしていくのが教育と思われますが、教師の皆さん、県教育委員会の皆さんの目指すべき教育の目的は何でしょうか、改めて伺います。
生徒といえども、この情報社会ですから、大人のまねをして挑発をする子もいるようです。そこで、弁護士による支援ですが、陰湿ないじめ問題、不登校、モンスターペアレンツ等と、信頼関係の構築が困難な事案において、教育の世界ではなく法律の世界ではこのような結論になるというアドバイスも必要になるのではないかと思われます。スクールロイヤーについてはどうお考えか伺います。
教員になるには、校種、職種に応じた免許状が必要になるようですが、少子化で学校、学級数が減少し、少ない教員で全ての教科を担当するには、免許外授業など無理が生じると思われますが、平等な教育を行うために義務教育諸学校、県立学校ではどのように工夫しているか伺います。
最後に、防犯対策について伺います。
災害、事故、犯罪のない平穏な日々であることが県民の願いでありますが、交番も襲撃されるほど、平凡であることが難しい昨今です。県民の意識調査においても治安対策が強く望まれていますが、2、000人程度の県警察職員で全県の防犯を担うことは不可能であり、自治会活動、地域防犯活動に頼らざるを得ないと思います。
他県においては、スクールガードをしていて交通事故の犠牲者になった例もありますが、自治会と県警察はどのように連携して防犯に結びつけているか、交通指導や防犯ボランティア研修、連携はいかがでしょうか伺います。
いわゆるあおり運転が問題になっています。私も目撃したことがありますが、当事者も周囲の車も数十キロメートルのスピードで走行しているため、誰もとめることも何もできないという難しさがあります。走る凶器に対する警察の対応、善良な被害者や目撃したドライバーへのアドバイスを伺います。
全国的な労働力不足から、技能実習生の枠を超えた外国人労働者の受け入れが拡大します。建設業、農業、介護等で活躍すると思われますが、言葉の壁を心配します。労働者以外にも、観光や学者、研究者として来県している外国人が身近にふえてきました。こうした外国人自身との生活習慣の違い、理解できない言葉が原因でトラブルが起こるのではないかと危惧しますが、今後の県警察における課題と対策はいかがでしょうか。また、外国人による犯罪対策、未然防止はいかがでしょうか。
英語以外にも多数の言語がありますが、最近のスマートフォンやタブレットの活用はいかがでしょうか。
釜石市でラグビーワールドカップが開催されます。テロ集団が県内に入ることも想定されますが、移動、宿泊における主催者のすきを見せない運営とともに、万全の警備体制を期待し、最後に県警察の警備方針を伺います。
以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災者の恒久的な住宅確保についてでありますが、県では、応急仮設住宅の居住環境の改善のため、断熱材を増加するなどの寒冷地対策や、玄関スロープ等の設置による要配慮者対策などを行ってきましたが、プレハブ等の仮住まいでありますことから、できるだけ早く恒久的な住まいへの移行を進める必要がございます。
一方で、避難所における生活を一日も早く解消することが何よりも重要でありますが、住宅設備のための用地確保などには期間を要することから、恒久的な住まいへの移行までの一時的な住まいとして応急仮設住宅を活用することはやむを得ないものと考えております。
被災者の住宅再建への支援については、被災者生活再建支援制度による支援金の支給や災害援護資金貸付制度による貸し付けなどが行われています。また、東日本大震災津波では、市町村との共同による最大100万円の補助を行っていますほか、震災後の大雨や台風災害では、被災者生活再建支援制度の対象とならない半壊世帯等に対する補助など、県や市町村独自の補助による住宅再建支援が行われているところであります。
被災者の生活再建を進める上で住まいの再建が最も重要であり、県としては、今後も被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行い、できるだけ早く被災者の方が望む住宅の確保が図られるよう努めてまいります。
次に、民間住宅の耐震化についてでありますが、地震による建築物の倒壊等の被害から県民の生命及び財産を保護するため、民間住宅の耐震化は、県としても継続して取り組むべき重要課題であると認識しております。
県では、阪神・淡路大震災を契機に制定された建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、平成28年4月に策定した第2期岩手県耐震改修促進計画において、民間住宅の耐震化率を2013年度の73%から2020年度には85%とすることを目標とし、市町村、建築関係団体と連携しながら、耐震診断及び耐震改修に係る費用への助成、耐震診断士等の人材育成、各種広報媒体によるPRなどに取り組み、耐震化の促進を図っているところであります。
また、防火対策についてでありますが、新潟県糸魚川市での大規模火災等を踏まえ、密集市街地等において、延焼防止性能の高い建築物への建てかえ等を促進することを目的として、建築基準法が昨年6月に改正されたところであります。県では、この改正建築基準法の内容であります建蔽率規制が緩和されることや、防火設計の自由度が拡大されることについて、市町村や建築関係団体を通じて周知を図ってまいります。
また、これまで、市街地の状況に応じて屋根や外壁に延焼防止のための材料を使用しなければならない区域、いわゆる屋根不燃区域の指定を進めてきましたが、今後も適切に指定を行っていくことにより、大規模延焼火災の防止に取り組んでまいります。
次に、児童虐待対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、児童虐待対策は、子供の命と安全を守るための最重要課題の一つであり、児童相談所の相談機能と対応の充実、市町村、警察など関係機関と連携した取り組みが重要であります。
昨年12月に国が示した児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいては、児童相談所や市町村の体制強化及び専門性強化を計画的に進めるため、児童相談所の児童福祉司の増員や子ども家庭総合支援拠点の全市町村設置等に係る2022年度までの目標値が掲げられたところであります。
県では、増加する児童虐待相談対応件数に対応するため、児童福祉司等専門職員の増員による児童相談所の体制強化に取り組んできたところでありますが、プランを踏まえ、今後も児童福祉司等を担える専門職員の計画的な確保に努め、児童相談所の体制強化を図るとともに、昨年度から義務化された児童福祉司任用後研修の継続実施などにより、児童虐待対応力の充実強化に努めてまいります。
また、地域における見守り体制の充実のためには市町村の役割が重要となりますことから、市町村子ども家庭総合支援拠点の設置について助言を行いますほか、研修を通じて市町村職員の対応力の向上を図るなど、引き続き市町村の取り組みを支援してまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) 東日本大震災津波からの住まいの再建についてでありますが、住宅を再建する際などに支給される被災者生活再建支援法による加算支援金の申請件数は、本年1月末現在で1万4、194件であり、支給見込み件数の8割を超える状況にあります。
今後の申請の見通しにつきましては、土地区画整理事業による宅地の引き渡しが2020年度の後半に完了する予定の地区もあることから、加算支援金の申請が2021年度となるケースも想定されます。
また、2020年度には災害公営住宅も全て完成する予定であり、ほとんどの世帯が2020年度までに恒久的住宅に移行できると見込んでおりますが、県といたしましても、できるだけ早期の移行が図られるよう、引き続き市町村と連携して支援してまいります。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 防災拠点の整備など県内市町村の状況についてでありますが、まず、防災拠点の整備につきましては、災害時における情報の収集、伝達や応急救護等を迅速かつ効果的に実施するため、主に市町村庁舎、支所等庁舎、消防本部、消防署、警察署、県立病院など225カ所が市町村の地域防災計画において指定されているところです。
また、ハザードマップやタイムラインを利用した避難訓練の状況については、今年度、20市町村がハザードマップを利用して訓練を実施したほか、訓練以外では、ハザードマップを利用して自主防災組織の研修や出前講座等が行われています。また、タイムラインを利用した避難訓練は3市町村で実施され、訓練以外では、タイムラインを利用した災害対策本部の運営訓練や水門の操作訓練等が行われています。
防災教育については、学校等における防災教育を推進するため、小中学校の教員を対象に防災教育教材の活用についての研修会を開催しているほか、いわての復興教育スクールに指定した26校においては、防災マップの作成や避難場所の確認などに取り組んでいます。また、地域の要望に応じて地域防災サポーターを派遣し、自主防災組織の設立や活動の活性化に向けた研修や訓練を実施しております。
国土強靭化地域計画につきましては、市町村の策定を促進するため、県計画を策定以降、国と連携し、全市町村を対象とした説明会や圏域ごとの意見交換会、出前講座などを実施してきた結果、昨年9月に二戸市におきまして計画が策定されたほか、滝沢市において、現在、策定に向けた取り組みが進められているところです。
次に、県職員の退職後の働き方についてでありますが、県では、65歳までの雇用について、雇用と年金を接続する観点から、定年退職となる職員のうち再任用を希望する職員については、原則、全員を再任用することとしており、65歳まで任期の更新を可能としています。平成30年度の状況は、教育委員会や医療局等の他の任命権者を合わせ284人を新たに再任用するとともに、444人の任期を更新し、合計728人を任用しているところです。
地方公務員の定年の引き上げについては、昨年2月の国における公務員の定年の引き上げに関する論点整理において、各地方公共団体の実情も踏まえつつ、国家公務員との均衡等を勘案し、今後、検討する必要があるとされており、今後、国の動向等を注視しながら適切に対応していく考えです。
退職勧奨については、年齢等により一律には行っておらず、職員の個々の状況を踏まえ、人事管理上必要と認められる者を対象に個別に勧奨を行っています。
また、職員等の退職管理に関する条例の運用状況につきましては、営利企業等に再就職した元職員による現職の職員に対する職務に関する働きかけなどを禁止しているほか、総括課長級以上の管理監督の地位にあった職員が再就職した場合には、再就職先の名称や地位等を届け出ることとしています。
具体的には、平成29年8月から平成30年7月までに届け出のあった者は70人であり、このうち、県出資等法人へは15人が再就職をしています。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、平均寿命と健康寿命についてでありますが、本県の平均寿命が全国より短いのは、3大死因であるがん、心疾患、脳卒中による年齢調整死亡率が全国よりも高いことが主な原因であると考えています。
中でも、がんや心疾患に比べて死亡率が低いものの、後遺症が残り医療や介護が必要となる割合が高い脳卒中が65歳未満の若い年代から既に全国より高い状況にあることが健康寿命に大きく影響しているものと分析しています。
このため、県では、健康寿命の延伸に向け、がん、心疾患、脳卒中を含めた生活習慣病の発症を防ぐため、食生活や運動、禁煙などの生活習慣の改善に取り組むとともに、早期発見、重症化予防のため、がん検診や特定健診の受診率の向上、特定保健指導実施率の向上を推進するなど、健康対策に総合的に取り組んでいるところであります。また、本年度から、働き盛り世代を対象とした生活活動量の増加や食生活の改善を促す取り組みや、企業等が行う健康経営の取り組みの支援などにも取り組んでいるところであり、平成31年度においては、さらに健康経営事業所認定制度により企業等の取り組み支援を強化するなど、引き続き岩手県脳卒中予防県民会議の構成機関とも連携を図りながら、健康寿命の延伸に向けて県民一体となって取り組んでいきます。
次に、要介護認定者の状況についてでありますが、平成29年度末現在、本県の要介護認定者数は7万6、294人、認定率は19.1%、全国ではそれぞれ628万2、408人、18.0%であり、10年前と比較すると、認定者数は本県で約1万9、000人、全国で約190万4、000人の増加、認定率は本県で3.0ポイント、全国で2.1ポイントの上昇となっています。
本県の要介護認定率は全国と比較してやや高くなっていますが、これは、本県の高齢化が先行しており、要介護リスクが高まる75歳以上の後期高齢者の比率が高いことが主な原因と考えられるところであり、県としては、先ほど申し上げた取り組みや、自立支援型地域ケア会議の普及による効果的な介護予防の推進など、健康寿命延伸の取り組みを進めてまいります。
次に、高齢者の生きがいづくりについてでありますが、県では、岩手県長寿社会健康と福祉のまつり等のスポーツ、文化イベントの開催や老人クラブ活動、地域づくり活動への助成などにより高齢者の生きがいづくりを支援するとともに、岩手県高齢者社会貢献活動サポートセンターを設置し、高齢者の社会貢献活動を促進しているところであります。
また、地域包括ケアの取り組みを進める上で、元気な高齢者が御近所の支え合いや介護予防の取り組みなどに担い手として参画し、支える側に立って活躍していただくことも期待しております。
次に、オストメイトへの理解についてでありますが、県では、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例に基づき、さまざまな障がいについての県民の理解を図るため、リーフレットの作成、配布やラジオ、新聞広告等を実施してきたほか、各地域において民生委員や事業所等に対し研修を行うなど、普及啓発に努めているところであります。
オストメイトについては、議員御指摘のとおり社会的な理解が進んでいない状況にあることから、県では、今年度初めて、県及び市町村の職員を対象とした研修会に日本オストミー協会から講師を招き、その障がい特性や必要な合理的配慮についての理解促進を図ったところであります。
県としては、今後、県民に配布するリーフレットにオストメイトについて掲載するほか、一般県民に対するわかりやすい普及啓発の方策について、障がい当事者団体や市町村と意見交換を行いながら、オストメイトを含む障がいへの理解が深まるよう取り組みを進めてまいります。
次に、オストメイトトイレについてでありますが、東日本大震災津波の際には、避難所にオストメイト対応トイレやストーマ装具がなく生活に支障を来した方がおり、日本オストミー協会等から支援をいただき、避難所にストーマ装具が配備されたと承知しています。
県では、平成25年度に作成した市町村避難所運営マニュアル作成モデルに要配慮者への支援としてストーマ用装具等の日常生活用具が必要である旨記載し、市町村に対して備蓄を働きかけてきましたが、ストーマ装具の備蓄は2市での実施にとどまっているところであります。このため、引き続き市町村に対し必要な準備を働きかけるとともに、有事の際には、災害時協定に基づき、障がい者のニーズに沿った用具が届くよう支援を行っていきます。
オストメイトトイレの普及については、県のひとにやさしいまちづくり条例において、不特定かつ多数の方が利用する施設に設置するよう配慮すべき設備の一つとして定め、整備の促進を図っており、県のユニバーサルデザイン電子マップに登録している1、483施設のうち278施設で設置されていますが、専用トイレについては把握できておりません。
なお、専用トイレについては、国土交通省でバリアフリー化の取り組みとして多機能トイレの機能分散を推進していることを踏まえ、セミナー等を通じて、設置の拡大や多機能トイレの適切な使用について普及を図ってまいります。
次に、母子健康手帳についてでありますが、母子健康手帳は、母子保健法に基づく全国共通の様式で、妊娠中の経過や乳幼児健康診査、予防接種の記録などが記載されるものでありますが、各自治体では必要に応じて独自の内容を追加することができ、その充実を図っています。
本県では、国の様式に加え、岩手県周産期医療情報ネットワーク“いーはとーぶ”や母親の心の健康、災害時の備えなどの情報を盛り込んだ岩手型母子健康手帳を平成22年度から作成し、県内全市町村で活用されているところであります。
電子母子健康手帳は、従来の母子健康手帳の情報を電子化し、データを一元的に記録、管理することができるスマートフォン向けのアプリケーションであり、母子健康手帳を補足する形で子育て支援や予防接種などに関する情報配信なども可能となっており、県内では一関市で導入し、岩手型母子健康手帳と併用していると聞いております。
次に、新たな保育認定についてでありますが、全ての子供が無償化となる3歳児以上については、国の推計による未就園児の割合から求めた本県の未就園児数は1、150人程度と想定されますが、無償化により利用希望が増加した場合であっても、現在の幼稚園や保育所などの定員の状況から、おおむね受け入れが可能であると考えています。
また、ゼロ歳から2歳の低年齢児については、無償化の対象が住民税非課税世帯に限られることや、全国と比べて未就園児の割合が低いことからその影響は少ないと考えていますが、保育ニーズは年々増加しており、現時点でも待機児童のほとんどを占めていることから、特に低年齢児への対応が必要であると考えています。
次に、保育所の偏在についてでありますが、県では、年々高まる保育ニーズに対応するため施設整備を進めてきたところであり、子ども・子育て支援事業支援計画における平成30年4月1日時点の利用定員の達成率は97.7%となり、県全体としてはおおむね計画どおりに確保されていますが、ニーズに応じた利用定員を確保できず、待機児童が発生している市町村もあるところであります。
また、認可外保育施設については、所管する県や市町村が原則として年に1回以上立入調査を実施しており、平成29年度に県が立入調査を行った30施設のうち、23施設に対して、安全確保や非常災害に対する措置、職員の健康管理など74件の口頭指導等を行ったところであります。
県では、引き続き、施設の適正な運営や安全性が確保されるよう、立入調査の機会等を通じて法令基準の遵守等について認可外保育施設を指導してまいります。
次に、企業主導型保育事業についてでありますが、県内で平成30年4月1日時点で企業主導型保育事業を実施している施設は8カ所であり、その利用児童数は、平成31年2月20日現在で110人、定員充足率は81.5%となっており、県では、現在のところ支援要請や事業廃止などの相談は受けておりません。
なお、今年度の途中で開設した施設があるほか、施設の設置、運営に係る助成の審査を行っている児童育成協会に対して、現在、県内から十数カ所の申請があると伺っており、今後さらなる増加が見込まれております。
県では、原則として年1回以上立入調査を行い、その調査等を通じて適正な施設運営や安全性の確保の状況などを確認し、法令基準の遵守等について指導していきます。
次に、保育士確保についてでありますが、県ではこれまで、保育士・保育所支援センターによるマッチング支援により保育士確保に取り組んでいますが、来年度は、再就職した保育士を招いた相談会、通称保育士カフェの開催数をふやし、潜在保育士の掘り起こしを強化するほか、当初予算案に約200人分の保育士資格取得の補助経費を盛り込むなど、保育士確保の取り組みを推進することとしています。
また、当初予算案に計上した保育士確保・保育所等受入促進モデル事業は、年度途中の保育ニーズに対応するため、あらかじめ年度当初から保育士を採用し、加配する保育所等に対して人件費の一部を補助する事業であり、全県で24人の保育士を採用し、低年齢児150人程度の受け入れ増を見込んでいます。
保育士の処遇については、国の賃金構造基本統計調査によると、本県の保育士の給与月額等は、平成27年は平均年齢40.5歳で19万6、500円でありましたが、平成29年には平均年齢40.1歳で22万4、600円となり、この2年間で約3万円の増額、47都道府県中、34番目から16番目の水準に向上しており、本県の幼稚園教諭と比較しても保育士の処遇改善が認められます。
本県の子育て支援員の養成については、市町村において地域のニーズに応じた研修が実施され、今年度は、11市町村で延べ300人程度が受講しています。研修の修了者は、地域型保育事業への従事を初め、放課後児童クラブの補助員やファミリー・サポート・センター事業の提供会員など、活躍の場が多岐にわたることから、県では修了者の就業実態等は把握しておりませんが、人材不足等の対応として支援員の活用は有効な取り組みであることから、引き続き市町村と一体となって保育人材の確保に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 高齢者の雇用についてでありますが、総務省の平成29年就業構造基本調査によりますと、本県の60歳から64歳までの就業している方は6万6、200人で、平成24年の前回調査と比べ3、000人減少していますが、有業率は71%と、前回調査より8.5ポイント上昇しております。同じく65歳以上で就業している方は、平成29年調査では10万3、500人で、平成24年調査に比べ2万6、000人増加し、有業率は25.9%と、前回調査より4.6ポイント上昇しております。
今後の変化につきましては、高齢者の就業意欲の上昇や国の継続雇用年齢の引き上げの検討が進んでいる一方、AI、IoT、ロボティクスなど第4次産業革命技術の利活用等による省人化、省力化の動向などの変動要因がふくそうしており、予測は困難でありますが、引き続き生産年齢人口が大きく減少することが見込まれる本県において一定の就業者数を確保するためには、働く意欲のある高齢者が持てる能力を十分に発揮することができる環境づくりが必要でありまして、個人の希望と実情に応じた多様な就業機会の提供や職場環境の整備を進めてまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、住宅確保要配慮者の住宅確保についてでありますが、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律が一部改正され、高齢者、障がい者等、住宅確保要配慮者の円滑な入居を図るための住宅登録制度が平成29年10月から導入されており、本県での登録状況は、本年1月末現在で2戸となっているところです。
県では、県、市町村、関係団体で設立した岩手県居住支援協議会を通じて当該制度の周知を図っていくほか、住宅確保要配慮者に対しては、公的賃貸住宅としての県営住宅の優先入居に引き続き取り組んでいくとともに、民間住宅への円滑入居に向けた相談窓口での対応や契約手続の立ち会いなど個別入居支援に取り組んでまいります。
次に、災害公営住宅の運営についてでありますが、県営住宅の建てかえや改善については、従来、岩手県公営住宅等長寿命化計画に基づき計画的に進めてきておりますが、東日本大震災津波の発災以降は、災害公営住宅の建設を最優先として取り組んできたところです。
災害公営住宅については、市町村が実施した被災者に対する意向調査等をもとに、県と市町村が必要な整備戸数を分担して進めてきましたが、被災者の意向の変化等により空き住戸が発生しているところでございます。
災害公営住宅の空き住戸については、一部市町村では一般募集を開始していると承知しておりますが、県営災害公営住宅については、被災者の方々を広域的に受け入れるという役割のもと、現在も定期的に追加募集を実施しているところでありまして、今後は、被災者の応急仮設住宅からの退去状況を踏まえながら、一般募集の対応についても検討してまいります。
次に、高齢者の住宅対策についてでありますが、サービスつき高齢者向け賃貸住宅は、事業者が入居者の安否確認と生活相談のサービスを提供することを要件として、県などの自治体が登録した住宅であり、本県での1月末現在の登録戸数は1、996戸となっております。
また、集合住宅における高齢者の相談については、民間住宅では、サービスつき高齢者向け住宅に介護施設や医療施設を併設して対応している事例がございますほか、盛岡市及び紫波町の一部公営住宅においては、生活相談や緊急時の対応等を行うライフサポートアドバイザーを配置した事例もあります。
県としては、高齢者の住宅対策として、引き続き、サービスつき高齢者向け住宅制度について、市町村や医療福祉関係機関と連携し、事業者や利用者に対して周知を図ってまいりますほか、住宅のバリアフリー化や居住環境向上のための費用補助及び公営住宅のバリアフリー改善事業を進めながら、高齢者の居住の安定の確保に努めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) まず、いじめ対策と生命尊厳の教育についてでありますが、いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれがある行為でありますので、初期段階のいじめから積極的に対応し、事案の重篤化を未然に防ぐとともに、児童生徒の発達段階に応じながら、豊かな心を育んでいくことが重要であると認識しております。
このような認識のもとに、管理職や一般教員それぞれを対象とした研修を充実させ、いじめの未然防止や早期発見、重篤化させないための教職員の対応能力の向上等にも取り組んできております。
また、小学校低学年段階から、道徳教育を中心として、命ある全てのものをかけがえのないものとして尊重し大切にすることの学習を積み重ねるとともに、教育活動全体を通じて、多様な体験活動なども行いながら、豊かな人間性と社会性を育む教育に体系的に取り組んできております。
県教育委員会におきましては、現在、自他の命や人権の尊重をテーマとした発達段階に応じた3種類の新たな啓発用ポスターを作成し、県内全ての学校の全教室に掲示することとしておりますが、このような啓発にも取り組みながら、児童生徒が自他の命を大切にすることや他者の人権を尊重する態度の育成などに取り組んでまいります。
次に、教員の懲戒処分についてでありますが、多くの教職員が、教育に対する情熱や強い使命感を持って子供たちの教育に当たっている中で、その一部に、教育公務員としての本分を忘れ、法令遵守意識を著しく欠く行動や自己本位の判断による軽率な行動などから懲戒処分等に至る事案が、相対的には減少傾向にありますが、いまだ発生しており、重く受けとめております。
県教育委員会では、勤続年数等を基準として実施する初任者研修や、基本研修などの悉皆研修において、服務規律の講座を設けてその徹底に努めるとともに、所属内研修や所属長と職員との定期的な面談の実施など、各学校における粘り強いコンプライアンスの取り組みを徹底することにより、教育公務員としての自覚の向上に取り組んでおり、また、体罰等の不祥事を起こした教職員に対しては、厳正な懲戒処分等を行うとともに、再発防止に向けた事後研修などを実施しております。
あわせて、不祥事事案の発生の都度、全ての教職員に対し、注意喚起の徹底を図っているところでありますが、不祥事事案の発生防止に当たっては、不断の取り組みが必要と考えておりますので、今後なお一層、県民の皆様からの教育に対する期待に応えるため、新たな取り組みなども検討しながら、不祥事の根絶に向けて力を入れて取り組んでまいります。
次に、懲戒処分後の復帰についてでありますが、県教育委員会では、懲戒処分を受けた職員に対し、平成28年度に処分の量定に応じた3カ月から1年間の事後研修を導入しており、教員と所属長との定期面談等を通じ、非違行為についての一層の反省や再発防止意識の確認を促すとともに、教育公務員としての倫理観の向上と法令遵守意識の向上に努めさせております。
また、教員には、児童生徒の健全な成長に大きな役割を担う観点から、幅広い社会性が求められており、現在は、中堅教諭等を対象とした研修において、受講者全員を対象とした社会福祉、環境保護などの社会貢献に関する体験活動を取り入れるなど、教員一人一人に、社会活動に視野を広げてもらう研修にも取り組んでおります。
本県の学校教育においては、岩手の子供たちに知、徳、体を総合的に兼ね備えた能力を育むことを目指しておりますので、この実現に向け、一人一人の教員に、教科指導等の研さんに加え、幅広い教養や社会性などを身につけてもらうように、教職員研修の充実等を図りながら、一層の資質向上に努めてまいります。
次に、スクールロイヤーについてでありますが、文部科学省では、教育課題の複雑化、多様化等に対応し、法律の専門家である弁護士が、学校において法的側面からの予防教育や個別事案の法的相談を行う等の相談体制の整備に向けて、本年度から、いじめ防止等対策のためのスクールロイヤー活用に関する調査研究を行っております。
本県においても、いじめ等の事案への迅速かつ適切な対応や教職員の負担軽減などの観点から、学校をサポートする体制の一層の充実が必要であると認識しておりますので、今後、文部科学省における調査研究事業の結果や他の自治体における取り組み事例なども参考にしながら、法律的な対応を含めたサポート体制の強化を検討してまいります。
次に、免許外授業についてでありますが、小規模校が多い本県におきましては、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律並びに公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律に基づく教員定数の関係から、一部の学校、教科については、教科免許の保有教員の配置が困難なことにより、教員の適性や校務分掌等を勘案しながら、教育職員免許法に基づく手続を経て、当該教科の免許状を有していない教員に当該教科を担当させている事例がございます。
しかしながら、質の高い授業の提供や教員の負担軽減という観点などから、免許外授業の縮小を図っていく必要がありますので、本年度の教員採用試験から、免許保有教員の充実に向けて、複数教科の免許保有者に対する加点措置を新たに講じたほか、本務教員の他校への兼務や非常勤講師の配置を行うとともに、高校での遠隔授業の実用化に向けた調査研究などに取り組んでいるところであります。
いずれ、免許外授業は例外的な運用でありますので、県内大学との連携により、複数教科の免許状を有する教員の養成とその確保に努めるとともに、兼務発令等の適切な活用を図りながら、全ての学校における子供たちの学びの保障に努力してまいります。
〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) まず、自治会と警察の連携についてでありますが、警察では、自治会主催の各種会合に警察官を派遣し、犯罪被害に対する注意喚起を行っているほか、鍵かけの合同点検を実施するなど、自治会の地域活動と連携して、県民の防犯意識を高めるための取り組みを行っております。
次に、ボランティアの皆様に対する研修や連携についてでありますが、学校や教育委員会が子供の登下校を見守るために組織しているスクールガードを初めとするボランティアの方々に対しましては、研修会や合同での活動を通じて、不審者情報を提供したり、受傷事故防止についてのアドバイスを行ったりしております。
今後とも、地域のボランティアの皆様と連携した取り組みを一層強化し、安全で安心なまちづくりを推進してまいります。
次に、いわゆるあおり運転に対する警察の対応についてでありますが、車間距離保持義務違反等の交通指導取り締まりを強化するとともに、あおり運転が関係する交通事故等を認知した場合には、あらゆる法令を駆使して厳正な捜査を徹底しております。
また、あおり運転をさせない、あるいはその被害に遭わないために、更新時講習や広報啓発キャンペーン等のあらゆる機会において、あおり運転の危険性等について、運転者教育を徹底しております。
次に、被害ドライバーへのアドバイスについてでありますが、まず、身を守ることが第一でありますので、決して相手の挑発に乗らず、道を譲ってやり過ごす。それでも執拗にあおり行為をされた場合には、最寄りの警察署や交番、コンビニエンスストア、高速道路であればサービスエリアなどの安全な場所に待避し、ドアをロックして110番通報するようお願いしております。
また、目撃したドライバーの方々には、ためらわずに110番通報していただきたいと思います。
今後とも、あおり運転に対しましては厳正に対処するとともに、安全教育を徹底してまいります。
次に、外国人に関する課題と対策についてでありますが、今後、さらに外国人労働者等が増加することに伴い、警察においても外国人に対する地理教示や遺失物の取り扱い、あるいは外国人がかかわるトラブルや事件、事故への対応が増加することが予想され、警察官の適切な対応が課題になると考えております。
そこで、岩手県国際交流員を講師として招き、英会話教養を全警察署において実施しているほか、専門学校に語学研修を委託しております。
次に、外国人による事件、事故の未然防止対策についてでありますが、不法滞在、不法就労、組織的な窃盗事件等が発生しており、関連する情報の収集や分析により犯罪の未然防止に努めております。
さらに、生活習慣等の違いにより、外国人がトラブル等に巻き込まれることのないよう、技能実習生受け入れ企業等を訪問し、防犯指導や交通安全指導などを行っております。
次に、多言語翻訳機能の活用についてでありますが、ラグビーワールドカップ2019開催に備えて、平成31年度の当初予算案に瞬間音声翻訳機の整備を盛り込んでおります。
次に、ラグビーワールドカップ2019の警備方針についてでありますが、多くの観客が安全に楽しく観戦していただけるよう、一つは、テロ等違法行為の未然防止、二つは、選手、大会関係者、観客等の安全確保と雑踏事故防止、三つは、安全かつ円滑な交通の確保に取り組んでまいりたいと考えており、今後とも、関係機関と連携して、警備対策に万全を期してまいります。
〇39番(小野寺好君) ちょっと2点確認させていただきたいと思います。
国土強靱化の関係で、国は、ふんだんに予算もつけますよといったことで、県としても早々と取り組んできたわけですが、県内では二戸市できちんと国土強靱化地域計画を策定したと。あと、さっきの答弁では、滝沢市が今計画策定に着手しているということなのですが、これは県の計画が完璧だから私たちは関係ないよということでこういった状況になっているのでしょうか、それとも忙しいとか怠慢とか、そういったことなのでしょうか。ちょっとこの辺、確認しておきたいと思います。
あと、オストメイトの関係で、オストメイト専用トイレについては、数はわからないといったさっきの御答弁でしたけれども、これは、余り意識していなかったから数がわからないのか、それとも、今後とも多機能トイレで対応していくから、別段、余り積極的にかかわらないという意向なのでしょうか。その辺、確認させていただきたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、1点目の市町村におけます国土強靱化地域計画の策定の状況でございますけれども、今の市町村の状況といたしましては、これは岩手県内だけでなく全国的にもそうなのでございますが、まさに計画策定はこれから本格化するという状況でございますので、引き続き、県の計画策定や取り組みの実績を生かしまして、国とも十分に連携の上、市町村における計画策定が進むよう、県としても積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) オストメイトトイレについてでありますけれども、オストメイト対応トイレについて、先ほど278施設で設置されているというお答えを申し上げました。専用トイレについて把握はできていないわけですけれども、例えば、ふれあいランド岩手等には、その専用トイレがございます。小野寺議員から、社会教育施設や公共施設には、障がい者用トイレとは別の専用トイレを設置すべきという御提言がございましたので、設置の拡大あるいは専用トイレについての普及啓発に今後努めていきたいと思っております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成31年度岩手県一般会計予算から日程第115 議案第114号一般国道342号白崖地区道路改良(第1工区)工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木順一君) この際、日程第2、議案第1号から日程第115、議案第114号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ