平成31年2月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(佐藤ケイ子君) 改革岩手の佐藤ケイ子でございます。
質問に先立ち、昨晩の北海道の地震により被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
さて、このたび、先輩、同僚議員の御配慮のもと、5回目の一般質問の機会をいただき、感謝申し上げます。今任期最後の登壇になると思いますので、前向きな答弁をお願い申し上げます。
それでは、通告に従い、順次質問いたします。
最初に、北上川バレープロジェクトについて伺います。
新年度は、新いわて県民計画のスタートダッシュの年として予算が示され、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトの取り組みが始まろうとしています。その中の北上川バレープロジェクトでは、IT産業や学術機関との連携など北上川流域の強みを生かし、産業振興、生活環境の充実を図り、新技術を開く人材の確保、育成を行うということです。
そこで、3点について伺います。
1点目は、新工場誘致についてです。
約10年前、東芝は岩手に新工場建設を示したものの、リーマンショックもあり、着工が延期された経過があります。その後、岩手県と北上市が共同で誘致活動を継続した結果として新工場建設が決定されました。達増知事の効果的な働きかけもあったと伺っており、知事の手腕に敬意を表します。
そしてこのことは海外への技術と資本の流出を食いとめたことであり、国内産業界にとって大きく評価されているとともに、今後の本県の発展が期待されます。
東芝の新工場建設決定には岩手新時代へのヒントが含まれていると思われますが、新工場誘致に当たって、知事はどのような思いを込め、どのような点をアピールして誘致活動を行ってきたのかお伺いいたします。また、今後の課題があるとすれば、それも含めてお伺いいたします。
2点目は、プロジェクトを具体化するための諸課題についてです。
現在、奥州市江刺、金ケ崎町、北上市においては半導体産業や自動車関連産業が活況を呈しており、東芝メモリ1棟につき1兆円の設備投資と1、000人の雇用、関連産業を含めるとその倍の雇用、市況次第では2棟目、3棟目の計画も示されております。金ケ崎町ではトヨタ自動車東日本やデンソー岩手が、奥州市江刺では東京エレクトロン、さらに県内サプライヤーの増産と雇用増が見込まれています。
そこで、工業団地用地、住宅施策、人材確保策の一体的な取り組みについてお伺いいたします。
現在、県南地域の工業団地はほぼ完売状態と聞いていますが、東芝メモリの主力工場がある三重県四日市市と同様の企業集積を進めるにしても、工業団地がなければ企業誘致活動は展開できません。また、立地が決まってから造成するとなると、農地転用などの手続に時間を要し、タイムリーに対応できない状況となります。
12月定例会の郷右近浩議員の質問に対し、市町による整備計画の立案から連携を密にしたいと答弁しておりますが、県が先行し主導的に進める必要があるのではないでしょうか。今後の工業団地の整備をどのように図ろうとしているのかお伺いいたします。
次に、住宅施策についてです。
雇用拡大に伴い、北上市や金ケ崎町を初めとするエリアでは住宅需要が逼迫しており、北上市では、この3月には既存の空きアパートはなくなるのではないかと言われております。また、数年後には結婚や家族の転入により戸建ての需要が伸びると見込まれています。
住宅確保の課題は、一自治体だけではなくエリア全体での対応が必要であり、宅地整備も農地転用の手続がネックとなってきます。
都市圏と比較して岩手で働くことは、通勤時間が短く余暇も活用できるところにメリットがあるはずです。工場に余り遠くないエリアで居住できるよう、住宅施策と産業施策を一体的にスピード感を持って検討するべきと思いますが、どのように対応していくのかお伺いいたします。
次に、人材育成についてです。
今後、ICTやIoTの技術開発と市場拡大により、ICT人材の不足や争奪戦が激化すると報道されています。
県では、平成21年度から、いわてデジタルエンジニア育成センター─DEセンターを開設し、三次元設計開発人材の育成等を支援しており、高校生の資格取得講座や企業の技術指導など多様な企業支援により、県内企業の競争力強化に貢献しているところであります。
一方で、事業受託者である北上オフィスプラザは厳しい財政状況と聞いていますが、人材育成におけるDEセンターの役割はますます高まっていると思います。今後、安定運営を続けるために、県ではどのように考えているのかお伺いいたします。
また、北上コンピュータ・アカデミーは、平成3年4月に開設、平成23年に独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止により、北上市に無償譲渡され、国、県、北上市、会員企業77社の支援により職業訓練法人北上情報処理学園が運営しています。毎年、県と北上市が連携して国に要望活動を行い、機器更新、リース料など予算措置されていますが、見通しが不透明で不安な運営を強いられております。
北上コンピュータ・アカデミーの定員は100名で、入学生は地元が30%、70%は県内外から広く集まっています。県内就職率は約80%と高く、地域の情報化と経済発展に寄与しています。今後、県内のIT産業集積を果たすためにも、県立、公立の施設へ位置づけるなど、県による関与と運営支援が必要ではないでしょうか。所見をお伺いいたします。
2項目めは、海外戦略について3点伺います。
達増知事は、外務省出身という経験を生かし、さまざまな海外戦略を展開し、県産品の販路拡大や国際定期便就航の実績を上げています。
私は11月に県議会台湾友好議員連盟の研修で台北市、台中市を訪問いたしました。8月から花巻-台湾定期便が就航となり、御尽力をいただいた旅行社のほか、立法院、台湾日本関係協会、台中市政府に感謝を伝え、今後の協力をお願いすることが目的でした。特に立法院院長からは直接お礼を伝えられ、大変恐縮したところです。そして、達増知事や担当部局による熱心な交渉があったということを現地に行って初めて知ることになりました。
1月末からは花巻-上海定期便が就航し、交流人口の拡大や観光客の増加が期待されています。海外との交流拡大は知事のトップセールスによってさまざまな成果を上げてきたと評価するものですが、これまでの取り組みの成果と今後の展開について、知事の御所見をお伺いいたします。
2点目は、国際定期便のインバウンド誘客に向けた取り組みについて伺います。
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、平成29年の本県への外国人延べ宿泊者数は18万7、930人、前年比42.3%増で大幅な伸びを示しています。本県への国別では、台湾が59%で圧倒的に多く、次に中国11%、香港、韓国となっております。
平成30年夏から台湾便が就航、ことし1月からは上海便が就航し、ますます多くの外国人客の来県が期待されています。新年度予算でもさまざまな事業経費が盛り込まれているようですが、台湾、上海からのインバウンド誘客に向けて、どのような取り組みを考えているのかお示し願います。
3点目は、釜石港の利便性向上と利用促進についてです。
2017年岩手県貿易等実態調査速報値が新聞報道されました。この調査によると、平成29年の輸出額は約1、688億円で、前年比74.2%増と2008年以降最高だったということです。輸出の大きなウエートを占める機械、電子、鉄鋼等については、多くが大手企業の県内拠点によるもので、需要が旺盛だったことが要因ということです。
また、2018年の釜石港のコンテナ取扱量は、過去最多の7、608TEUと2017年実績の約2倍となり、ガントリークレーンの導入や東北横断自動車道釜石秋田線などの道路整備の効果ということです。
〔議長退席、副議長着席〕
さらなる釜石港の利用拡大に向け、内陸の工業製品や地場産品の輸出拡大が重要と考えますが、釜石港の利便性向上や利用促進にどのように取り組むのかお伺いいたします。
3項目めは、子育て支援について伺います。
まず、放課後児童クラブについてです。
国は、女性の就業率上昇により、さらなる共働き家庭の増加を見込み、小1の壁を打破するとともに、待機児童を解消するため放課後児童クラブの整備が不可欠だとして、2018年の123万人を2023年度末までに30万人の受け皿を追加すると示しています。
本県の状況は、32市町村、385支援単位、1万4、554人の入所、待機児童は12人、未設置校区70学校区となっているようですが、今後の質と量の拡大に向け3点伺います。
まず、放課後児童クラブの待機児童について。12月定例会の柳村一議員の質問に、平成30年5月1日現在で4市町村、12人と答弁していますが、そもそも小学校区にクラブのない地域、高学年の入所を自粛させているクラブ、市町村によっては全児童対策事業や放課後子ども教室などを受け皿として、待機児童のカウントをしないところもあるのではないでしょうか。
待機児童の把握は正確なのか、潜在的待機児童がいると考えて整備を促進するべきではないかと思います。整備計画はどのようになっているのかお伺いいたします。
次に、障がい児の状況について伺います。障がいのある児童も放課後児童クラブを利用しており、障がいの有無にかかわらず、ともに学び、ともに育つインクルージョンの考え方が必要です。しかし、ただでさえ職員の確保が難しい状況の中で、専門職員の不足、狭い部屋など、障がい傾向がある子供がともに過ごすための配慮が不足しています。
障がい児に対する職員加配や経費補助については、基準により予算措置されているものの、補助基準額179万円では十分とは言えない状況と聞いています。また、障がい程度が曖昧な児童にどう対応するべきかが最も複雑な配慮を要し、学校からの情報不足の課題も現場支援員から言われています。
障がいのある児童も障がいのない児童もともに育ち、放課後児童クラブを利用する機会が確保されるよう、環境の整備を進め、支える手だてを講じるべきではないでしょうか。所見をお伺いいたします。
次に、放課後児童支援員の配置基準緩和についてです。放課後児童クラブの職員配置基準や資格に関する従うべき基準が参酌基準となり、自治体の裁量にゆだねられる見込みです。この緩和される基準は、支援員を支援の単位ごとに2人以上配置する、支援員は保育士や教員免許などを持つ人で16科目、計24時間の専門研修を受講した人を認定するという二つが参酌基準となり、実質的な基準切り下げとなってきます。
支援員が無資格でもいいのか、密室化で起きた問題事案への対応はどうするのか、急用や病気のときはどうするのか、職員一人一人の負担もふえて、結果的に職員不足にならないかなど、さまざまな問題が懸念されています。
北海道では、各市町村に対して通知し、法改正により条例の見直しを検討する場合は、子供の安全面に配慮し、質の確保や安全性の確保を講じることと明記しています。本県でも、市町村に対して指導するべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、児童虐待防止について伺います。
連日、児童虐待の事件が報道され、心痛む日々です。昨年3月に東京都目黒区で起きた女児虐待死事件を受け、児童虐待防止対策体制総合強化プラン─新プランが決定されました。
児童相談所の児童福祉司、児童心理司、保健師は、2017年度の4、690人から2022年度には7、620人と2、930人程度の増員目標を掲げ、体制を強化するということです。特に児童福祉司については、1人当たりの業務量が虐待以外の事案も含めて40ケースないし50ケース相当となるよう、児童相談所の管轄区域の人口を見直すとしています。
また、児童福祉司のうち、他の児童福祉司の指導、教育を行うスーパーバイザーも増員することと、新たに里親への支援を専門とする者や市町村支援を専門とする者を配置するとしています。
大幅な増員が必要な区域で、短期間で有資格者を大量採用できるのか、また、保護者の暴言や暴力によるストレスで別部署へ異動した例もある中で、経験者確保は大変心配なところです。
本県は既に基準を上回る人員配置がされていますが、新年度はさらに福祉総合相談センターへの児童福祉司3人、児童心理司2人増員、児童相談課を二つの課に分割することと、一関児童相談所の児童福祉司を2人増員すると公表されました。この対応については評価しますが、虐待相談対応件数が増加しており、虐待以外の業務に十分手が回らなくなっているとの指摘もあります。広い県土に3カ所体制という状況で十分な体制なのか伺います。
4項目めは、障がい者支援について伺います。
障がい者の中でも、行動障がいなどの特性により歯科受診のトラブルが発生する方々がいます。その方々が歯科治療を受けるには全身麻酔が必要なこともあり、岩手医科大学附属病院歯科医療センターでの治療に限られていると聞いています。しかしながら、予約がなかなかとれないこと、通院には複数の付き添いも必要なこと、遠方からは時間がかかること、落ちついて診療する環境づくりが難しいなど、障がい者本人と保護者には過重な負担となっています。
こうした現状を改善するため、障がい者の歯科診療実態調査を実施し、現状把握と課題を明らかにする必要があると考えます。障がい者プランでは、地域における障がい者等に対する歯科治療を進めていくために、普及啓発に取り組むこととなっていますが、診療を受けられる仕組みについて、相談窓口の設置や周知の方法はどのようになっているのか伺います。
また、居住地域に近い県南、県北、沿岸の県立病院や中核病院でも診療が可能になるよう整備が必要です。障がい者が安心して歯科診療を受けられる環境を整えていただきたいのですが、所見をお伺いいたします。
5項目めは、雇用労働環境について2点伺います。
まず、働き方改革の取り組みについて伺います。
1月15日の地元新聞に、働き方改革本県途上というタイトルの記事が掲載されました。東北6県経営者協会合同雇用動向調査が1月に公表され、働き方改革に取り組んでいるとした県内企業の割合は60.7%と、東北平均を下回り5位にとどまったということです。
ことし4月からは、働き方改革関連法が施行されることになり、時間外労働の上限規制、年5日間の年次有給休暇の取得義務化、勤務間インターバル制度の努力義務化などが始まりますが、中小企業は施行時期が違うことや、建設、運転、医師など除外職種もあります。また、高度プロフェッショナル制度などは誰のための改革なのか、労働者にとっては疑問を抱くことも含まれています。
本県は全国に比べ長時間労働、低賃金だということですが、労働環境を底上げしなければ若者の定着は期待できません。
知事はイクボス知事同盟にも参加されていると伺っていますが、経営者団体への働きかけを初め、県としてどのように取り組むのか、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、女性活躍の状況についてです。
女性の積極的な採用や昇進を企業に促す女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が2016年施行されたものの、取り組みを進めている企業は半分程度にとどまることが民間の調査でわかったということです。妊娠、出産、育児と仕事の両立が難しく、働き続けることが困難だったり、男女の意識差はまだまだなのが現実です。国が旗振りをして、女性活躍とか、産め、働けと言うものの、保育、介護の環境が不十分なままでの長時間労働など、悲鳴も聞こえています。
平成27年国勢調査における管理的職業従事者に占める女性の割合では、全国平均16.4%で、本県は15.8%と平均より低くなっています。本県では、いわて女性活躍推進員を平成30年5月から配置し、企業、団体を訪問。いわて女性活躍企業等認定制度やイクボスの趣旨、働き方改革、子育て支援に関する制度を説明しており、平成29年度の認定企業は9件だったものが、平成31年1月末では68件と大きな成果を上げているとお聞きしました。
しかし、推進員は1人体制で訪問活動を行っているため、認定企業は県央地区が主であり、また、県営建設工事の入札参加資格においてメリットを受ける建設関係企業の認定が多いとのことです。
そこで、さらなる県内全域の各分野の企業に対して、推進員による普及展開をどう考えているのかお示しください。
6項目めは、県及び市町村職員の労働環境について伺います。
震災からの復興に取り組む本県において、全国からの応援職員の力は本当にありがたく、三陸復興フォーラムの発表を聞くと、県内各地の観光地なども積極的に回り、県民より岩手を知っているのではないかと思うほどでした。むしろ県民のほうが沿岸を訪れていないという発言に、私たちはもっと意識しなければならないと思わされました。
そこで、震災復興応援職員の今後について伺います。ハードの復興事業が終了していく時期であるとともに、平成30年度は全国で災害が多く、全国からの応援職員は期待できないのではないかと心配になります。ハード面の整備が進んだ後も、三陸活性化のための新たなソフト事業、地域づくり、心のケア、大幅にふえた施設の活用、維持補修など、さまざまな課題があると思いますが、今後の復興事業にかかわる沿岸市町村の職員の体制はどうなるのかお伺いいたします。
また、地方自治体には臨時、非常勤職員が多く、県職員では約6人に1人の割合と昨年の一般質問で答弁されましたが、市町村職員はもっと多い状況ではないかと思います。市町村職員の状況はどうなっているのか、市と町村、広域振興局圏域などを比較した傾向はどうなっているのかお伺いいたします。
次に、県職員の状況について伺います。
8月1日現在の欠員は70人で、特別募集などして欠員解消に努めたものの、年度途中の退職、他県応援職員の引き揚げなどで、11月1日現在の欠員数は83人と増加したということでした。また、採用予定数は震災前を上回る規模で採用を進めていくということでしたが、欠員解消は相当厳しいのではないでしょうか。
来年度も震災復興はもとより、さまざまな行政課題に的確に対応する組織体制や人員配置を進める必要があると考えますが、欠員解消に向けどう取り組むのか、御所見を伺います。
また、児童虐待相談などの分野で人員不足が指摘されており、来年度の組織体制の検討に当たって、児童相談所、農業改良普及センターなどの体制充実はどのような検討がなされたのかお伺いします。
次に、長時間労働是正策について伺います。
昨年7月成立の働き方改革関連法において、民間事業者を対象に、本年4月から罰則つきの超過勤務の上限規制が設定されることとなりました。地方公務員も超過勤務時間の上限規制を設けるよう総務省で指導しており、県は本年4月施行の職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例の改正案を提案し、上限規制時間は、人事委員会規則で定めることとされています。
超過勤務上限規定を設定するのは当然として、人員の適正配置や客観的な勤務時間把握などの対策がなければ、隠れ超過勤務も懸念されるところです。実効力ある対策をどうするのかお伺いいたします。
次に、会計年度任用職員制度への対応についてです。
2020年4月から臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保を趣旨とした会計年度任用職員の制度について、今定例会で条例案が提案されています。県の条例や規則は、県内市町村に大きく影響を与えるものです。この条例案では、給与等は人事委員会が定める基準により任命権者が定めることとなりますが、基本姿勢として、臨時、非常勤職員の処遇改善につながる賃金決定となるか。休暇制度など諸制度も常勤職員との均衡を踏まえた制度となるでしょうか。また、2020年度からの円滑な移行に向けて、新制度の周知に一定の期間が必要と考えますが、県の所見をお伺いいたします。
あわせて、臨時、非常勤職員の処遇改善の一方で、財源課題を理由とした常勤職員の抑制などは回避すべきであり、法改正の趣旨を踏まえ、非正規労働者の増加を抑制する観点からも慎重な検討をするべきです。また、国に対して財源保障を求めていくべきですが、どのように対応するのかお伺いいたします。
最後に、民俗芸能の保存、継承について伺います。
盛岡市の永井大念仏剣舞と北上市、奥州市の鬼剣舞連合保存会が加盟する全国民俗芸能「風流」保存・振興連合会は、ユネスコ無形文化遺産を目指して活動するという報道がありました。地域の誇りでもある民俗芸能が、世界遺産としてさらなる発展をしてもらいたいとエールを送りたいものです。
県内各地には民俗芸能が数多く継承され、国指定9件、県指定38件、その他多数の各市町村指定があります。また、指定されていない民俗芸能も数え切れないほど残されており、岩手は民俗芸能の宝庫と言われています。希望郷いわて国体では、さんさ踊り、鬼剣舞、虎舞など大群舞が披露され、大きな感動をいただきました。
民俗芸能は、地域の心のよりどころ、誇りともなっており、継承のための活動は、世代を超えたきずなを深め、コミュニティーづくりなど多面的な効果を地域にもたらしています。しかし、指導者の高齢化と少子化などの存続問題も、県内共通の課題として長年言われているとおりです。
今回、北上市民俗芸能連合会が市内63団体を対象に調査したところ、悩みの一番は後継者不足77%、次は指導者の高齢化、用具の老朽化、資金不足などが浮き彫りになりました。この傾向は北上市だけではなく、各地共通の悩みであり、具体的な対策は手つかずのままではないかと思います。
民俗芸能の保存、継承は、第1はその団体の意思、第2は市町村の力の入れ方に尽きると思いますが、県の役割は市町村の取り組みを誘導することだと考えます。公演の機会拡大、記録保存の支援、用具の更新補助、民間文化財団の支援メニューの紹介など、さまざまな取り組みがあると思いますが、民俗芸能の保存、継承にどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
以上、登壇しての質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐藤ケイ子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、東芝メモリの新工場誘致についてでありますが、この誘致が実現した要因は、一つには、県として半導体産業の現状や将来展望、半導体業界における東芝の優位性、特に半導体メモリ事業の将来性を理解し、ぶれることなく折衝に当たってきたこと、二つ目は、本県のものづくりに適した人材とすぐれた立地環境を強く訴え、これが東芝側に理解されたこと、三つ目は、10年の長きにわたり、県の担当者や北上市も含めたチーム岩手として、東芝との緊密な関係を維持しながら粘り強く働きかけてきたこと、これらが相まって、世界の半導体メモリ開発をリードする東芝の最先端工場の誘致に結実したものと受けとめております。
新工場が円滑に稼働するためには、インフラの整備に加えて、人材の安定的な確保が重要であると認識しているところであります。人材の確保については、東芝メモリのみならず、地域産業全体の課題として捉えており、地元自治体や関係団体等と一体となって、必要な人材が確保されるよう支援してまいります。
次に、トップセールスの成果と今後の展開についてでありますが、農林水産物や県産品の販路拡大、海外からの誘客拡大に当たって、トップセールスは、岩手が誇る自然や歴史文化、特色ある伝統工芸品、安全・安心で高品質な食などを直接的に売り込むとともに、現地の生きた情報を得る貴重な機会であると認識しているところであります。
特に、中国や台湾など東アジア地域においては、重点的にトップセールスを行ってきており、その結果、平成30年の外国人宿泊者数が過去最高となる見込みであること、中国との経済、文化交流の推進による地方政府、経済界との協力関係の強化、いわて花巻空港における台北、上海との国際定期便の就航など、着実に成果に結びつけてきたところであります。
ことしは、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019など、世界に岩手を売り込む絶好の機会と捉え、引き続き積極的にトップセールスを展開してまいります。
また、重点市場であります雲南省や台湾、香港に加え、上海についても、部局横断型の庁内ワーキンググループを設置し、海外市場への展開や外国人誘客拡大に向けた取り組みを、戦略的、総合的に推進し、相乗効果が発揮されるよう取り組んでまいります。
次に、働き方改革の取り組みについてでありますが、長時間労働などを是正する働き方改革は、全ての働く方々が、健康で生き生きと働くことができる魅力ある労働環境の整備につながる取り組みであることが重要と認識しております。
このため、県では、経済団体や労働団体等を構成員とするいわてで働こう推進協議会を核として全県的ないわて働き方改革推進運動を展開し、専門家による個別企業への指導支援や働き方改革のモデル事例の創出、すぐれた企業の取り組みを表彰し広く紹介するいわて働き方改革アワードなどに取り組んでいるところであり、今年度からは、企業が働き方の改善計画を策定し、その計画に基づいた取り組みを推進するために必要な研修の実施等に要する経費に対する補助制度を設けるとともに、いわて働き方改革推進運動参加企業に対して、設備の改善等に必要な資金を融資する商工観光振興資金における保証料率を引き下げるなど、県内企業における働き方改革を促進しているところであります。
さらに、企業局と東北電力株式会社が連携して取り組んでいるいわて復興パワーにおきまして、ことし1月からいわて働き方改革推進運動参加企業を電気料金の割引対象に追加しておりまして、こうした新たなインセンティブによって改革に取り組む企業の支援を強化してまいります。
また、県では、岩手労働局と連携し、働き方改革に向けた取り組みの推進について経済団体等へ要請活動を行うとともに、今年度から岩手労働局が設置している岩手県働き方改革推進支援センターとも連携し、企業経営者等の働き方改革に向けた意識の醸成や具体的な相談対応等も行っているところであります。
こうした取り組みとともに、全国の知事有志で結成された日本創生のための将来世代応援知事同盟、いわゆるイクボス知事同盟にも岩手県知事として参画し、率先してイクボス宣言を行い、県内企業等にイクボスをふやし、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等の働き方改革の推進に向けた全県的な機運の醸成に努めているところであります。
今後におきましても、岩手県民がよりよい労働環境のもとで生き生きと働くことができ、ひいては若者の定着にもつながるよう、各種支援施策の強化、拡充を図りながら働き方改革の取り組みを促進してまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、県南地区の工業団地についてでありますが、自動車、半導体関連産業を初めとする企業の旺盛な投資動向は当面続くものと見込まれ、大規模立地に対応する用地の必要性が高まっていることから、新たな工業団地の整備についても計画的に進める必要があると認識しているところであります。
県南地域におきましては複数の市町が工業団地の整備を検討しておりますが、工業団地を含む立地基盤につきましては市町村が整備することを基本としており、県は、用地選定や整備手法など、市町村による整備計画の立案段階から必要な助言を行うなど、緊密に連携し、対応しているところであります。
また、市町村に対する財政的支援として、昨年度、自治振興基金による貸し付けが可能となるよう制度を整備したほか、土地利用規制等への対応についても関係部署と連携して取り組んでいるところでありまして、今後におきましても、企業ニーズを的確に捉えながら、必要な工場用地が創出されるよう取り組んでまいります。
次に、住宅施策についてでありますが、北上市及び花巻市とその周辺では、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の拡大等に伴い貸し家の需要が急速に高まり、既存の貸し家のあきが減少している一方で、民間による新規着工が大幅に増加している状況にございます。この地域では、産業の集積に伴いまして魅力ある職場が数多く創出されてきており、そこで働く人材を将来にわたって確保していくためには、住宅の確保が重要と認識しております。その中で、民間投資も含めた住宅の建設は、市町村のまちづくりと一体的に促進していくことが必要であります。
このため、県といたしましては、個々の自治体のまちづくりを基本に据えつつ、市町村域を越えた広域の視点を持ちながら取り組むこととしておりまして、今後必要となる住宅や交通インフラ等の最適なあり方等について、関係自治体に働きかけて協議を開始したところでございます。
次に、いわてデジタルエンジニア育成センターについてでありますが、県では、自動車などものづくり産業の競争力強化とともに、付加価値の高いものづくりを促進するため設計開発力の強化が重要と考え、平成21年度から北上市と連携の上、いわゆるDEセンターを開設し、三次元設計開発人材の育成に取り組んできたところであります。また、平成23年度からは企業支援も加え、二つの柱のもと、これまで県内ものづくり企業の高度化などに取り組んできたところであります。
三次元設計開発技術は、設計業務の効率化にとどまらず、受注の拡大や生産プロセスの効率化にもつながる技術でありまして、ものづくり産業の振興を図る上でますます重要になると認識しております。また、三次元設計開発技術は、AIやロボットなどの第4次産業革命技術の導入を進めていく基盤でありますことから、その支援を行うDEセンターの機能を強化していく必要があると認識しております。
このため、DEセンターの安定的な運営を図ることが重要であり、市町村、関係機関などと連携し、今後の長期的な運営のあり方を検討してまいりますとともに、高度な企業ニーズに対応する技術支援につきましては、DEセンターの支援機能の充実や企業負担のあり方などを検討し、自主性を高めることで安定運営につなげていきたいと考えております。
次に、北上コンピュータ・アカデミーについてでありますが、北上コンピュータ・アカデミーは、開校以来、県内に多くのIT人材を輩出し、地域の情報化と経済発展に寄与しておりまして、財源が適切に確保され、継続して運営されることが重要と認識しております。
そのため、県では、これまでも北上市と連携し、国への要望活動を行い、その結果、国の職業能力開発校設備整備費等補助金によりましてコンピューターリース料についての財政措置が継続されてきたところであり、また、県におきましても、離職者を対象とした職業訓練におきまして、情報処理に係る国家資格の取得を目指す2年間の訓練コースを委託するなどによりまして入校者の確保にも寄与しているところであります。
御提案のうち、北上コンピュータ・アカデミーを県立の施設として位置づけることにつきましては、県は、平成9年4月に産業技術短期大学校に高度職業訓練専門課程である情報技術科を設置し、県における情報系技術者の育成は当該専門課程で行うこととしておりまして、現在の県における職業訓練の体系もそのように構成されておりますことから、北上コンピュータ・アカデミーを県立施設として位置づけることは現状では難しいと考えております。
県としては、引き続き北上市と連携し、国に対して、コンピューターリース料の全額負担による財政措置の継続について強く働きかけてまいります。
次に、国際定期便のインバウンド誘客に向けた取り組みについてでありますが、これまで台湾においては、現地旅行博への出展や旅行会社への営業、メディアや旅行会社などの担当者の本県への招請、SNSを活用した情報発信及び航空会社などとタイアップした一般消費者向けセミナーなどのプロモーションを行ってきたところであります。また、上海におきましては、大連経済事務所と連携して、現地旅行会社への営業のほか、日本政府観光局主催の商談会への東北各県との連携による参加、メディアや旅行会社の担当者の本県への招請などを行ってきたところであります。このような取り組みによりまして、平成30年1月から11月までの台湾及び中国からの本県への宿泊客数は約15万4、000人泊、前年同期と比べまして29.4%の増で、過去最高となっているところであります。
国際定期便就航は、特に個人旅行客をふやすチャンスでもありますことから、既に個人旅行客向けプロモーションを中心とする台湾ではこれまでの取り組みを継続していくとともに、上海におきましては、これまでの団体旅行客向けの取り組みに加えまして、現地のメディアや航空会社と連携した広告など、一般消費者向けのPRを強化することとしております。
さらに、周遊のための二次交通の充実や観光施設等の多言語化など、県内の受け入れ環境の一層の充実に努め、台湾、上海からの個人旅行者をターゲットとした誘客の拡大に取り組んでまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 釜石港の利便性向上と利用促進についてでありますが、釜石港では、京浜港を経由する国際フィーダーコンテナ航路が平成23年7月と平成28年12月に開設されたほか、積みかえなしに直接海外とつながる外貿定期コンテナ航路が平成29年11月に開設されています。また、平成29年9月にガントリークレーンの供用を開始したほか、夜間のコンテナ荷役のための照明設備の設置や冷凍冷蔵コンテナ用電源設備の増設を進め、さらなる利便性の向上に取り組んでいるところです。
3月9日には東北横断自動車道釜石秋田線が全線開通するなど、内陸から釜石港へのアクセス性がさらに向上し、輸送コストの低減などによる県外港湾利用からの転換が期待できるものと考えています。
県では、先月31日に東京都内で開催したいわてポートフォーラムにおいて知事によるトップセールスを行ったほか、関係部局が連携して、県内外の荷主企業や物流事業者に対する釜石港の利用拡大や新規航路開設に向けた働きかけを行っているところです。
今後も、釜石市や地元港湾関係者と連携しながら、釜石港のメリットをPRすることにより一層の利用拡大に向けて取り組んでまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、放課後児童クラブの待機児童についてでありますが、厚生労働省の調査では、待機児童を、放課後児童クラブの対象児童で利用申し込みをしたが、何らかの理由で利用できなかった児童としており、その定義に基づき市町村から報告がなされています。この調査による本県での待機児童数は、平成30年5月1日現在で4市町村12人となっています。
一方、放課後児童クラブが設置されていない小学校区では、他の小学校区にあるクラブの利用が可能な場合もありますが、近くに施設がないことで、利用申し込みもなされず、待機児童には計上されない児童もいると認識しています。
放課後児童クラブの施設整備については、このような潜在的ニーズも含め、地域の実情を踏まえて市町村が主体となって整備を進めており、平成30年度は、5市町11カ所の整備により210人分の定員増加が見込まれ、平成31年度は、5市町15カ所の整備により226人分の定員増加が計画されています。
県では、今後も、全ての小学校区で放課後児童クラブの利用を希望する児童が施設を利用できるよう、受け皿となる放課後児童クラブの施設整備を支援してまいります。
次に、放課後児童クラブにおける障がい児の受け入れについてでありますが、国の定める放課後児童クラブ運営指針においては、障がいのある子供も放課後児童クラブを利用する機会が確保されるための適切な配慮及び環境整備を行い、可能な限り受け入れに努めることとされており、県内においては、放課後児童クラブ385カ所のうち156カ所、41%のクラブで受け入れが行われています。
放課後児童クラブにおける障がい児の受け入れを推進するため、受け入れに必要となる職員を配置する経費に対して財政支援を行っており、さらに、昨年度からは、3人以上の障がい児の受け入れを行う場合に必要となる職員を複数配置する経費に対する補助も加え、平成30年度において県内131カ所の施設に対して支援を行っています。
今後も、障がい児の受け入れ環境を整えるため、職員に対する研修により資質の向上に努めるとともに、国に対し、職員の処遇改善に必要な交付基準額の引き上げを継続して要望し、必要な職員の確保等について支援してまいります。
次に、放課後児童支援員の配置基準についてでありますが、県としては、児童の安全を確保するためには基本的に複数の支援員を配置して運営する必要があると考えていますが、登録児童が少ない小規模な放課後児童クラブや利用児童が少ない時間帯などは必ずしも複数の支援員を配置しなくても対応可能なケースもあることから、事業の実施主体である市町村が基準を定め、それぞれの地域の実情や利用ニーズを踏まえ、適切に対応していくべきであると考えています。
議員から御紹介のありました北海道の通知については、放課後児童クラブのサービス提供に当たって、質や安全性の確保を図るよう市町村に配慮を促したものであり、本県と同様の考え方に基づくものと承知しています。
今後、放課後児童クラブに従事する者及びその員数に係る従うべき基準を参酌すべき基準とする法改正の動向に留意し、市町村における条例見直しの状況も把握しながら、サービスの質や安全性が確保されるよう、本県でも必要な対応を検討してまいります。
次に、児童虐待防止についてでありますが、平成28年度からの児童相談所強化プランによる児童福祉司の配置基準の引き上げに対応し、県ではこれまで、児童相談所に虐待対応チームを設置し、児童福祉司等専門職員を順次増員してきたところであり、来年度は、福祉総合相談センター及び一関児童相談所の児童福祉司等専門職員を増員するほか、現在、27人体制の福祉総合相談センター児童女性部児童相談課を2課に分割し、組織体制の強化を図ることとしています。
児童福祉司や児童心理司などの専門職員が相談対応スキルを獲得し、児童虐待対応の専門性を確保するためには、長期的に相当な期間をかけて組織的に教育訓練を行うことが必要不可欠であり、また、専門的な児童相談対応を行うためには、このような訓練を受けた一定規模の職員数が必要であることから、まずは、現状の3児童相談所体制で、専門職員を育成しながら、警察や市町村要保護児童対策地域協議会等関係機関との一層の連携による地域の見守り体制の充実を図り、児童虐待の早期発見や早期対応などの取り組みを推進していきます。
次に、障がい者の歯科診療についてでありますが、平成27年に県で実施した障がい児・者の歯科診療に関する状況調査によれば、各圏域に障がい者の歯科治療に対応する病院が配置されていますが、患者の多くが岩手医科大学などの県央部の医療機関に集中している現状にあり、同大学と地域の歯科医療機関との役割分担と連携体制の整備を進め、適切な歯科治療が受けられるよう周知を図る必要があると認識しています。
このため、県では、保健所等で相談に対応しているほか、歯科医師会でも障がい者からの診療の相談を受け、医療機関の紹介等に取り組んでいるところであります。また、障がい者歯科に関する普及啓発のためのパンフレットを作成し、障がい者関連事業所等に配布したところであり、今後、さらなる普及啓発のあり方について関係機関と検討してまいります。
障がい者歯科医療の確保には専門的な医療人材の育成が重要であることから、県では、軽度から中程度の障がい児・者の治療やスクリーニング方法に関する研修を実施し、地域で歯科治療を行う医療従事者の育成を図っているところであり、今後も、関係機関と連携しながら、障がいの程度に応じて適切な歯科治療を受けることができる体制の整備を進めていきます。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) 女性活躍の状況についてでありますが、昨年5月に配置したいわて女性活躍推進員は、民間においてワーク・ライフ・バランスを推進した経験を生かし、1月末までに県内の企業等約260社を訪問し、企業経営者の方々に各種推進制度の活用を直接働きかけてきたところです。その結果、いわて女性活躍企業等認定制度の認定企業数が68社となり、女性が少なかった職務への女性の配置や女性管理職の増員が図られるなど、県内企業における女性活躍の取り組みは着実に推進してきていると認識しております。
推進員の訪問は、これまで一般事業主行動計画を策定している企業の多い県央地域が中心となっておりましたが、今後、広域振興局の就業支援や子育て支援の担当職員と連携を強化し、認定企業数が比較的少ない県南、沿岸地域を重点に各分野の企業に対する働きかけを行うなど、女性が活躍しやすい環境づくりを支援してまいります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、震災応援職員の確保についてでありますが、来年度の応援職員の必要数については、現時点において450名程度と見込んでいるところでございます。全国的に災害の発生が続いている状況ではございますが、これまでと同様、全国の自治体の人事担当者等を対象とした県内沿岸被災地の視察の実施や、被災3県合同によります各都道府県、市長会、町村会等を直接訪問しての要請活動を通じまして引き続き理解を求めていきたいと考えております。また、県内の内陸市町村に対しましても、引き続き継続的な人的支援について協力を依頼するなど、来年度も必要な応援職員が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
また、国の復興・創生期間後におきましても、被災者の見守りや心のケア、コミュニティーの形成等について、一定期間対応が必要な事業も想定される中で、被災市町村による住民サービスが安定的、持続的に提供されることが重要であるところでございますので、市町村と情報共有をしながらしっかりと対応してまいりたいと考えております。
次に、市町村における臨時、非常勤職員の状況についてでございますが、直近の平成28年の総務省調査におきましては、臨時、非常勤職員の対象を、任用期間が6カ月以上、かつ勤務時間が週19時間25分以上の職員としておりまして、この調査結果によりますと、県内市町村全体では職員の30.6%が臨時、非常勤職員となっております。市と町村を比較いたしますと、市が28%、町村が38.2%となっておりまして、市よりも町村のほうが10.2ポイント高くなっているところでございます。また、広域振興圏別では、県央が27%、県南が31.2%、沿岸が30.2%、県北が37.4%となっているところでございます。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、欠員解消に向けた取り組みについてでありますが、来年度の欠員数については、現在、他の都道府県等からの応援職員の応諾状況や任期付職員の採用意向などを確認しているところであり、具体的な数字をお示しできる段階にはございませんが、現時点における今年度当初の欠員数に比較しまして一定程度の減少を見込んでいるところです。
欠員解消に向けては、これまでも、特別募集を含む新規職員採用数の大幅な拡大、任期付職員や再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れ、任期付職員経験者の任期の定めのない職員への採用などに取り組んできたところです。
今後もこうした取り組みを継続するとともに、事業の効率化や重点化などにも十分配意しながら、引き続き欠員解消に向けて努めてまいります。
組織体制の充実についてでありますが、児童相談所については、改正児童福祉法により児童福祉司の配置基準が人口5万人に1人から4万人に1人に引き上げられたことなどから、児童福祉司を5人、児童心理司を2人増員するなど、相談体制の強化を図ることとしたところです。
また、農業経営体の大規模化やスマート農業などの技術革新等に的確に対応するため、本庁に総括課長級職員を配置して県の施策と農業改良普及事業のより一体的な推進を図るとともに、あわせて農業改良普及センターの内部体制を見直すこととしたところであり、引き続き、さまざまな行政課題に的確に対応できる組織、人員体制を整備してまいります。
次に、長時間労働是正策についてでありますが、これまでも、超過勤務の縮減に向けて、事前命令と事後確認の徹底や定時退庁日の設定、事務分担の見直し、業務支援の活用等により取り組んできたほか、今年度からは、所属長が職員の事情を適切に把握するためのワーク・ライフ・バランスシートの全庁展開や、部局ごとに管理課長等を働き方改革推進員に指名し、働き方改革の取り組みを全庁で集中的に実施する強化月間を設定するなど、取り組みの強化を図ったところです。また、震災復興を初めとしたさまざまな行政課題に対応するためのマンパワーの確保にも取り組んでまいりました。さらに、来年度から、国の例に準じて超過勤務命令の上限を設定するための改正条例案を今議会に提案しているほか、職員の勤務時間を管理職員が客観的に把握するため、勤務時間管理システムに出退勤時間を記録する機能を追加するなど、新たな取り組みを行うこととしており、今後においても引き続き超過勤務の縮減に向け取り組んでまいります。
次に、会計年度任用職員制度への対応についてでありますが、会計年度任用職員については、期末手当の支給が可能となるなど一定の処遇の確保が図られるほか、給与や休暇制度は類似の職務に従事する常勤の職員との均衡等を踏まえて整備することとされており、今後、適正な勤務条件となるよう検討を進めていきます。
また、新制度への移行に一定の期間が必要であること等を考慮し、今議会に条例案を提案しているところであり、今後、職員の募集や任用手続が円滑に進むよう、制度の内容等について庁内や関係機関に適切に周知してまいります。
常勤職員との関係については、県では、これまでも公務の運営は任期の定めのない常勤職員が中心となって行うことを原則としており、新制度導入後もこの原則を前提とし、今後の行政需要等を把握しながら、会計年度任用職員を含む職員の適正な配置に向け、検討を進めてまいります。
また、国の財源措置については、国会審議の中で、政府から地方財政措置についてしっかりと検討していくと答弁されているほか、昨年7月に開催された全国知事会議において、国に対する提言の中に新たに会計年度任用職員制度の導入に係る地方財政措置について盛り込まれたところであり、今後とも、必要な財源措置が図られるよう国に対応を求めていきます。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 民俗芸能の保存、継承についてでありますが、県内の民俗芸能は、各地域にとって歴史的な貴重な財産であるとともに、地域コミュニティーの維持や交流人口の拡大などにも重要な役割を担っていると認識しており、各地域の民俗芸能の保存、継承を目的とした市町村の取り組みや民俗芸能団体の活動の活性化に向けた取り組みに対し、各種の支援を展開してきているところでございます。
主な支援の状況でございますが、まず、県内各地の民俗芸能団体の発表機会の提供とともに、後継者育成や確保等につながるよう、毎年、岩手県民俗芸能フェスティバルを県民会館で開催しておりまして、関係団体などからは、今後も継続するよう強く望まれているところでございます。
また、民俗芸能の継承や情報発信などに有効な記録映像の制作などや、活動に不可欠な用具更新などについて、国、文化振興基金及び民間団体などの資金を活用した助成導入による支援を展開しているところでございます。
今後におきましても、引き続き、市町村や民俗芸能団体の保存、継承に向けた取り組みをさまざまな形で支援していくこととしておりまして、新年度の市町村連絡会議等を通じ、改めて課題等の把握に努め、役割分担を図りながら、民俗芸能を次世代へしっかりと受け継ぐ取り組みを推進していく考えであります。
〇7番(佐藤ケイ子君) 再質問ですけれども、再質問の項目は二つお伺いしたいと思っております。知事のトップセールスの関係と、それから、児童虐待の関係をお聞きしたいと思っております。
その前に、先ほど海外戦略の中で、私があえて釜石港と触れた、その意味ですが、そんたくしていただきたいのですけれども、釜石港につながるための北上南部工業団地、金ケ崎工業団地からのアクセスに配慮していただきたいという思いがあって質問したということでございます。
それから、知事のトップセールスの中で海外への売り込みの関係を取り上げましたけれども、この東芝メモリの新工場誘致に向けても大きな貢献をなされたということでありますが、これについては、企業誘致について守秘義務があるということで、余り議事録に載るようなことは言わないようにということで、ちょっと曖昧なことになってしまったのですけれども、でも、こちら側ではそうかもしれないですが、北上市幹部は、挨拶の中で知事の貢献をかなり言っておりまして、私は、それも言いたかったのですけれども、言えない事情がございました。
それから、これまでの知事のトップセールスの手応えをどうお感じになっているかということをお聞きするのですけれども、その前に、私の政策懇談会といって、いつも議会前に地域の方々と協議をするのですが、その際に参加者からこのような発言がございました。知事は現在3期目ですが、実際は震災復興中心の8年間だったのではないか。これからが本領を発揮する時期ではないか。そこで、知事に対して立候補を促すような発言を私にしろということでありました。でも、1年生議員の私がこういうことを言うべきではない、しかるべき方々と協議して、しかるべき時期に、しかるべきところで発表なさるものだろうと思っておりまして、そのコメントはお聞きいたしません。
ただ、私なりに評価しておりますのは、先ほどのトップセールスのこともそうなのですけれども、震災からの復興に、被災者支援のために国の制度をたくさん変えていったこととか、復興支援道路を確実に進めたことで物流の流れが大きく変わってくるということ、銀河のしずく、金色の風というブランド米の開発で農業者に希望を与えたこと、財政の健全化に向けて、大変厳しい財政状況でありますけれども、実質公債費比率18%というところを、改善に向かう見通しをつけたということなど、そして、花巻空港の活用がどんどん進んできたというようなことが、私が思っていることであります。そのほかにもたくさんあると思います。希望郷いわて国体もありますし、釜石鵜住居復興スタジアムのこと、療育センターのこととか、たくさんあると思います。
そんな中で、新たな計画の中で引き続き先頭に立って岩手を国内外に売り込んでいただきたいと思っております。今まで知事のトップセールスで手応えがあったことをどのように感じておられるか、それをまず1点伺います。
それから、児童虐待についてですけれども、児童相談所の体制については、先ほどの答弁でお聞かせいただきました。それで、一緒に取り組んでいかなければならないのは、児童相談所と警察、それから市町村なわけですけれども、市町村の体制についてお聞きしたいと思っております。
市町村には、子ども家庭総合支援拠点、それから、要保護児童対策地域協議会の整備、調整機関の調整担当者を全市町村に置くということになってくるのですけれども、今、盛岡市では子ども未来ステーションが設置されておりますが、ほかのところではないという状況、それから、要保護児童対策地域協議会に、2018年2月実績で調整担当者を配置できている市町村は全国で988市町村と6割になっていないということなのです。岩手県もそのとおりであります。
今後、これらの支援の拠点、それから調整担当者をどう設置していくのか、専門人材の確保、育成の課題はどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。
もう一つは、緊急を要する対応についてです。
先ほどは新たなプランにどう対応するかということをお聞きしたのですけれども、今、今の問題です。2月8日に政府が関係閣僚会議を開いて、児童相談所が把握している虐待が疑われている全てのケースについて、1カ月以内に緊急の安全確認を行うこととされたわけですけれども、現在の体制で1カ月という期間で、物理的に緊急確認、安全確認が大丈夫なのか、どういう体制になっているのか。一時保護所退所後のフォローはどうなっているのか、対応をお伺いしたいと思っております。
〇知事(達増拓也君) トップセールスの手応えについてということでありますが、国内外におきまして、各分野のキーパーソンなど、さまざまな方々に岩手の多彩な魅力や県の取り組みについて理解や評価をいただいてきたところでありまして、一定の手応えを感じてきたところであります。
具体的には、これまでの取り組みによりまして、北上川流域地域における自動車や半導体産業を中心とした産業集積の進展、中国を初めとする成長するアジア市場における本県の伝統工芸品の認知度向上、また、いわて花巻空港における台北、上海国際定期便の就航など、着実に成果を上げて、新しいいわて県民計画につながる土台を築いたものと考えております。
岩手に対しましては、海外から熱い視線が注がれておりまして、引き続き、いわて県民計画最終案の基本目標に掲げます、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての実現に向けて、みずから先頭に立って積極的なトップセールスの展開によって岩手を売り込んでいきたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、児童虐待に係る市町村の体制についてでありますが、市町村が設置する在宅支援を中心とした相談対応を行う子ども家庭総合支援拠点については、今年度、盛岡市が県内で初めて設置したところであり、今後、二つの市において設置予定と伺っています。
また、市町村要保護児童対策地域協議会については、協議会の調整機関に、社会福祉士などの児童福祉司たる資格を有する者またはこれに準ずる者として、保健師や保育士、教員免許保有者などの専門職の配置が義務づけられておりまして、現在、県内の市町村には59名の有資格者が調整担当者として配置されているところです。
支援拠点の支援職員や協議会の調整担当者は、緊急対応を要するか否かの判断を行う必要がありますが、短期間の人事異動により担当者のノウハウの積み上げが難しいことなどが指摘されておりまして、専門職の確保及びその育成と専門性の向上が課題であると考えております。
県としては、引き続き、市町村職員研修などを通じて担当職員の資質向上を図るとともに、市町村に対し、人材育成を含めた体制強化を働きかけるなど、市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、緊急安全確認についてでありますけれども、千葉県野田市の事案を受け、今月8日に開催された児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において決定された緊急総合対策の更なる徹底・強化についてに基づきまして、児童相談所において、在宅で指導している全てのケースについて3月8日までに緊急に安全確認を行うよう、2月14日付で国から指示があったところであります。
県内の対象児童、在宅で指導している全てのケースは378人となっておりまして、児童虐待通告対応などの通常業務に加え、非常勤職員も含めて全児童相談所職員を挙げて、現在、緊急安全確認を行っていますが、今般の緊急安全確認は、子供の命を守るために必要な確認を行うものであることから、期限を守るために形式的に行うのではなく、子供の安全確認を最優先に、一つ一つ丁寧に行っていきたいと思っております。
それから、本県において一時保護を解除して家庭復帰した後のフォローについてでありますけれども、これは、児童福祉司が家庭訪問等により保護者への指導を行うほか、市町村の要保護児童対策地域協議会と協力して、地域の関係機関が連携、役割分担をしながら、見守り活動などの支援を行っています。
今後とも、家庭復帰後に虐待が再発するなどのリスクが高まった場合には、関係機関と連携の上、速やかに安全確認を行い、ちゅうちょすることなく、再度一時保護を行うなど、児童の命を最優先にした対応を行ってまいります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時47分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時13分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木茂光君。
〔23番佐々木茂光君登壇〕(拍手)

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