平成30年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 8 号)
平成30年3月14日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
農林水産部長 紺 野 由 夫
理事 鈴 木 浩 之
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 隆 浩
農政担当技監兼
県産米戦略室長 小 岩 一 幸
林務担当技監 阿 部 義 樹
水産担当技監
兼水産振興課
総括課長 伊 藤 克 宏
漁港担当技監 志 田   悟
競馬改革推進室長 佐 藤   学
理事心得 及 川   忠
参事兼団体指導課
総括課長 及 川 健 一
参事兼流通課
総括課長兼
県産米販売推進監 伊 藤   仁
農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也
農林水産企画室
管理課長 小 島   純
指導検査課長 関 口   等
農業振興課
総括課長 中 南   博
担い手対策課長 中 村 英 明
農業普及技術課
総括課長 菊 池 政 洋
農村計画課
総括課長 多 田   繁
企画調査課長 村 瀬 勝 洋
農村建設課
総括課長 千 葉   匡
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 菊 池 徹 哉
水田農業課長 松 岡 憲 史
畜産課総括課長 藤 代 克 彦
振興・衛生課長 菊 池 伸 也
林業振興課
総括課長 大 畑 光 宏
森林整備課
総括課長 佐々木 誠 一
整備課長 佐 藤 昭 仁
森林保全課
総括課長 漆 原 隆 一
漁業調整課長 中 井 一 広
漁港漁村課
総括課長 阿 部 幸 樹
漁港課長 佐々木   剛
競馬改革推進監 菊 池 信 幸
競馬改革推進室
特命参事 滝 山 秀 樹
県産米戦略監 小 原   繁

財政課総括課長 小 原   勝
〇高橋元委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号から議案第31号まで、議案第35号から議案第38号まで、議案第40号、議案第41号、議案第49号、議案第51号から議案第53号まで、議案第55号及び議案第56号の以上36件を一括議題といたします。
本日の農林水産部の審査につきましては、3月5日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
また、本日は、農林水産部関係について、延べ25人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査を終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇紺野農林水産部長 それでは、農林水産部関係の平成30年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
予算関係議案の説明に入ります前に、平成30年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的考え方について御説明申し上げます。
まず、本県農林水産業を取り巻く状況でありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興は、これまでの取り組みにより、漁船や養殖施設、漁港施設等の整備は着実に進展し、おおむね完了したものの、本県の主力魚種であるサケなどの水揚げ量は、震災前を下回るなどいまだ途上にあるほか、放射性物質の影響を受けた原木シイタケ等の産地再生や消費者の信頼回復、販路の回復、拡大を進めていく必要があります。
また、本県農林水産業は、担い手の減少や高齢化など、さまざまな課題を抱えております。
このような状況を踏まえ、平成30年度は、なりわいの再生に向け、第3期復興実施計画に基づく取り組みを着実に進めるとともに、いわて県民計画第3期アクションプランに基づき、本県農林水産業が、地域経済を支える基幹産業として持続的に発展できるよう、将来を見据えた取り組みを幅広く展開し、地域の特色を生かした収益性の高い農林水産業の実現に向けて、力強く取り組んでまいります。
まず、東日本大震災津波からの復興については、海岸保全施設等の復旧、整備を進めるとともに、復興の先を見据え、地域漁業を担う経営体の育成や水産物の販路の拡大と高付加価値化に取り組むほか、サケの漁獲量の回復に向けて、海水温の変動に強い種苗の開発など、持続的な資源の造成に取り組んでまいります。さらに、放射性物質影響対策として、原木シイタケの出荷制限解除に向けた検査やほだ場の環境整備を進めるとともに、県産農林水産物の安全・安心と魅力の発信に取り組んでまいります。
次に、復興に向けた取り組みと軌を一にした農林水産業の振興を図るため、農業については、高い所得を確保するリーディング経営体を育成するとともに、農地中間管理事業や圃場整備事業の活用による農地集積などを進めてまいります。また、生産性、市場性の高い農業の実現に向け、水田等での高収益野菜の作付拡大による新たな産地形成や高度なGAPの導入を支援するほか、引き続き、金色の風や銀河のしずくを核とした県産米のブランドイメージの定着と販路の拡大を進めるとともに、ICT等の先端技術を活用したスマート農業の推進や、醸造用ブドウの生産に適している本県の優位性を生かして、いわてワインヒルズプロジェクトを展開してまいります。
畜産については、競争力の強化と収益性の向上を図るため、家畜飼養管理施設等の整備を進めるとともに、ゲノム解析技術の導入による優良な肉用牛の生産拡大に取り組みます。
林業については、森林資源の持続的な利用を進めるため、伐採から再造林へとつなげていく一貫作業を支援するほか、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の関連施設における県産材の利用を契機とした需要の拡大に取り組んでまいります。
水産業については、将来の漁業の中核となる担い手を育成する(仮称)いわて水産アカデミーの開講に向けて準備を進めてまいります。
さらに、食を起点とした地域経済の活性化を図るため、6次産業化による県産農林水産物の高付加価値化や輸出に対応した生産、流通体制の構築などに取り組んでまいります。
それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
まず、議案第1号平成30年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の655億4、390万5、000円のうち、県土整備部所管分を除く653億9、385万9、000円、9ページに参りまして、11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費の180億815万円及び12款公債費1項公債費のうち2、425万2、000円を合わせまして、総額834億2、626万1、000円となります。これを前年度当初予算907億9、094万1、000円と比較しますと73億6、468万円、率にして8.1%の減となります。
予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業を中心に簡潔に説明申し上げます。
それでは、恐れ入りますが、予算に関する説明書の150ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄上から二つ目の幸せ創る女性農林漁業者育成事業費は、女性農林漁業者が活躍しやすい環境づくりやネットワークづくりなどの取り組みを推進しようとするものであります。説明欄中ほど九つ目のいわての食財ゲートウェイ構築展開事業費は、首都圏の飲食店を対象とした商談会の開催や、中京圏における食材等のプロモーション活動などに取り組むとともに、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会等に向けて、県産食材のPRを実施しようとするものであります。説明欄下から四つ目、雲南省農林業研究連携調査事業費は、中国雲南省との農林業分野の連携を進めるため、研究者間の交流や薬用植物等の調査研究を実施しようとするものであります。151ページの2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対して利子補給等を行うものであります。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営等に要する経費のほか、説明欄一番下、いわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者に対して、就農前の研修や就農直後の経営安定を支援する資金を交付しようとするものであります。152ページをお開き願います。4目農業振興費でありますが、説明欄上から七つ目のいわて農林水産物海外プロモーション強化事業費は、県産農林水産物の海外におけるプロモーション活動や、国際定期便誘致と連携したPRなどの取り組みを推進しようとするものであり、その下の農業経営基盤強化促進対策事業費は、農地の集積と集約化を加速化するための協力金を交付しようとするものであります。続きまして、その下、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において、集落協定に基づき継続して農業生産活動を行う農業者等に対し、交付金を交付しようとするものであり、153ページ、説明欄三つ目、環境と共生する産地づくり確立事業費は、化学合成農薬、化学肥料を低減した栽培技術や、高度なGAPの導入を支援しようとするものであります。説明欄中ほど五つ目のいわてスマート農業推進事業費は、若者や女性にも魅力的で収益性の高い農業経営を実現するため、ICT等を活用したスマート農業の取り組みを推進しようとするものであり、説明欄下から三つ目の日本一の美味しいお米の国づくり推進事業費は、全国トップクラスの品質とおいしさを誇る県オリジナル水稲品種金色の風と銀河のしずくのブランドイメージの定着と販路の拡大に取り組もうとするものであります。5目農作物対策費でありますが、説明欄二つ目の鳥獣被害防止総合対策事業費は、鹿など野生動物の侵入防止柵の設置等を支援するとともに、被害防止活動を担う人材の育成、確保に取り組もうとするものであり、説明欄一番下の強い農業づくり交付金は、収益力強化に向けた農業機械や生産資材の導入、集出荷施設の整備を支援しようとするものであります。6目畑作振興費でありますが、154ページをお開き願います。説明欄三つ目のいわてワインヒルズ推進事業費は、醸造用ブドウの生産振興を進め、地域が一体となった特色ある高品質なワインを生み出す取り組みを推進しようとするものであり、その下、いわて型野菜トップモデル産地創造事業費は、本県のトップモデルとなる新たな野菜産地を創造するため、水田等において高収益な野菜の作付を拡大する取り組みを支援しようとするものであります。7目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者等に対する農薬の適正使用の指導等に要する経費であります。155ページ、8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費であり、10目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。156ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営に要する経費であります。
次に、158ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費など管理運営等に要する経費であります。2目畜産振興費ですが、159ページに参りまして、下から四つ目の畜産GAP普及推進事業費は、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会への食材提供や、輸出の拡大に向け、畜産事業者が行うJGAPの取得に向けた取り組みを支援しようとするものであり、その下のいわて牛産地育成革新技術導入事業費は、ゲノム解析の導入による肉用牛の新たな能力評価方法の開発に取り組もうとするものであります。説明欄一番下、食肉処理施設整備事業費は、県内における豚食肉処理の能力向上とHACCPへの対応による輸出の拡大を図るため、豚食肉処理施設の整備を支援しようとするものであります。3目草地対策費は、生産性の高い畜産経営体の育成と畜産の安定的な発展を図るため、畜産農家等の生産基盤の整備を支援しようとするものであります。160ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費でありますが、説明欄二つ目、牛海綿状脳症防疫対策事業費は、48カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費であり、その下、家畜伝染病予防費は、家畜伝染病予防法に基づき、各種疾病の検査を行おうとするものであります。161ページ、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費であります。
次に、162ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費のうち当部関係の主なものでありますが、説明欄上から五つ目の経営体育成基盤整備事業費は、水田の大区画化や排水改良など生産基盤の整備と農地中間管理権の設定等による担い手への農地集積を一体的に推進し、地域の中心となる経営体の育成を図ろうとするものであり、説明欄下から三つ目の資源向上支払事業費は、水路等の長寿命化や農村環境保全活動など、地域資源の質的向上を図る共同活動等を支援しようとするものであります。163ページ、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するため、防災ダムや老朽化した水利施設の更新等に要する経費のほか、説明欄中ほど六つ目の農用地災害復旧関連区画整理事業費は、東日本大震災津波により被災した農地と隣接する農地の一体的な圃場整備により、生産性、収益性の高い農業の実現を図ろうとするものであります。164ページをお開き願います。4目農地調整費は、農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進するため、同機構と地域の農業者組織との連携強化など、業務の推進等に要する経費であります。
次に、166ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や全国植樹祭の開催準備に要する経費、県有林事業特別会計への繰出金等であります。167ページ、2目林業振興指導費ですが、説明欄中ほどのいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源とし、針葉樹と広葉樹の混交林化を進めるとともに、地域力を生かした森林整備の活動等を支援しようとするものであり、説明欄下から五つ目の特用林産施設等体制整備事業費補助は、価格が高騰しているシイタケ原木等の生産資材の導入や簡易ハウスの整備を支援しようとするものであります。説明欄一番下、いわての次世代林業・木材産業育成対策事業費は、森林、林業に関する知識や技術を習得できるいわて林業アカデミーを運営するとともに、県産材の新たな需要を創出するため、木質化の実証や木材製品の高品質化、販路開拓の取り組みを支援しようとするものであります。168ページをお開き願います。説明欄下から二つ目の東京2020オリンピック・パラリンピック県産材利用促進事業費は、選手村施設における県産材利用を通じ、質の高い県産材をPRしようとするものであります。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害の拡大防止等に要する経費であり、4目造林費は、再造林や広葉樹林の若返りを図る更新伐などの森林整備を促進する経費等であります。169ページ、5目林道費は、林道整備事業中期実施計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費であります。170ページをお開き願います。6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るための治山や地すべり防止、保安林の管理や整備などに要する経費であります。171ページ、7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。
次に、173ページをごらん願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費であります。174ページをお開き願います。2目水産業振興費ですが、説明欄中ほどのさけ、ます増殖費は、サケ資源の早期回復に向け、稚魚の生産、放流等の取り組みを支援するとともに、高温水でも回帰するサケの種苗生産技術の開発など、回帰率向上と、サクラマスの効率的な資源造成に向けた調査、研究等を実施しようとするものであり、四つ下の栽培漁業推進事業費は、漁協等が行うアワビ種苗放流の取り組みを支援するほか、新たな栽培魚種の生産技術の開発を実施しようとするものであります。説明欄下から五つ目の水産物産地強化促進事業費は、水産物の高度な衛生品質管理体制の構築や、本県独自の高付加価値化の取り組みを支援するほか、通電加熱等の加工技術の開発、普及を図ろうとするものであり、二つ下のいわての水産業次世代人材確保育成事業費は、新たな漁業就業者を確保するため、生産技術や経営手法を習得できる養成機関(仮称)いわて水産アカデミーの設置に向けた準備を行おうとするものであります。3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金の利子補給等に要する経費であり、175ページ、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であります。176ページをお開き願います。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や老朽化した漁業取締船岩鷲の代船建造に係る設計に要する経費であり、7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究に要する経費であります。177ページ、8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要する経費であります。178ページをお開き願います。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費であり、10目漁港漁場整備費ですが、説明欄上から四つ目の海岸高潮対策事業費は、新たに防潮堤が必要となる区間について、防潮堤等の整備を進めようとするものであります。179ページ、説明欄上から三つ目の漁港施設機能強化事業費は、漁港機能の向上を図る防波堤、岸壁等の整備などに要する経費であります。
次に、大きく飛びまして、232ページをお開き願います。11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費から234ページの6目漁港災害復旧費にかけましては、東日本大震災津波や平成28年台風第10号などにより被災した農林水産業施設の復旧に要する経費等であります。
少し飛びまして、239ページをごらん願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち、当部関係は2、425万2、000円であり、これは、国の就農支援資金に係る償還元金であります。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
恐縮でありますが、議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、8公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページの29漁港災害復旧事業までの22件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が9件、平成30年度から翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものが12件で、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
23ページをお開き願います。議案第3号平成30年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ37億3、254万5、000円としようとするものであります。
24ページをお開き願います。歳入の主なものでありますが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金で、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
25ページ、歳出の主なものでありますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
26ページをお開き願います。議案第4号平成30年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ10億9、947万9、000円としようとするものであります。
27ページ、歳入の主なものでありますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
28ページをお開き願います。歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、29ページ、議案第5号平成30年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億6、906万5、000円としようとするものであります。
30ページをお開き願います。歳入の主なものでありますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
31ページ、歳出、1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
恐れ入ります、71ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか10事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、77ページをごらん願います。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、78ページをお開き願います。議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか7事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を、受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、予算関係の条例について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その2により御説明申し上げます。議案その2の86ページをお開き願います。議案第40号獣医師修学資金貸付条例の一部を改正する条例でありますが、これは、獣医師確保対策を強化していくため、私立の大学に在学する獣医学生への一般修学資金の貸付額の限度額を引き上げるなど、所要の改正をしようとするものであります。
次に、218ページをお開き願います。議案第49号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例でありますが、これは、漁港施設等に係る電柱類などの占用料の額を減額しようとするものであります。
以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋元委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 早速質問に入ります。お米についてでありますが、米という字を分析すれば八十八たびの手がかかると。大変みんなの手をかけてでき上がる米でありますが、平成29年産米の食味ランキングの評価について、1点に絞ってお伺いいたします。
平成30年産から米政策が大きく変わる中、そして、他の産地から続々と新しい品種が出てくる、まさに米の戦国時代と言っていいこの時期に、岩手県では、銀河のしずく、金色の風の二つの品種を相次いでデビューさせたところであります。2年連続して新しい品種をデビューさせている産地はほかにはなく、岩手県だけであると聞いているところであります。
また、銀河のしずく、金色の風は、おいしく、消費者から高い評価をいただいていると聞いており、岩手県民として心より誇りに思っているところであります。
こうした高い評価をいただけるのは、まず、新しい品種をつくるため努力をしてきた研究者がいるからであると思っております。銀河のしずくや金色の風を世に出すため、それぞれ2、000を超える候補の中から、10年に満たない期間で有望な品種を選び出し、全国トップクラスのおいしい品種をつくってくれたわけであります。平成29年産の食味ランキングについて話題となっておりますが、研究者は、日本一のおいしい米に思いをはせ、銀河のしずく、金色の風をつくってくれた。それを受け、生産者は、さらに強い使命感のもと米づくりに努力をしてきたところであります。
そこで、食味ランキングについては本会議等で話題となったところでありますけれども、これまで、おいしいお米づくりに一生懸命取り組んできた生産者は、今回の結果にどのような反応をされているのか、まずお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 今回の食味ランキングの公表を受け、県では直ちに、農業研究センターなどに対し要因分析を指示するとともに、今回の評価に対する生産者の受けとめ方などを把握するため、3月7日に、生産者、関係者など約50名を集め、良質、良食味米生産に向けた会議を開催したところであります。
その中では、これまでの特Aの連続評価は、我々生産者にとって励みとなっていたところであり、驚いたという声があったほか、まずは平成29年産の栽培管理について検証し、平成30年産のおいしいお米づくりに向け一生懸命栽培に取り組む、そして、その結果、特A評価となればなおよいといった前向きな声が多くあったところでございます。
〇伊藤勢至委員 いろいろな研究者が集って県の指導を得ながら研究を進めていく、相当地道な研究の積み重ねの成果であると思います。今、47都道府県まさに戦国時代でありますから、他県は相当な人数を投入して、あるいは民間に委託して、あるいは民間と一緒になって研究を進めていると聞いておりますが、岩手県は本当に少数精鋭主義でありますね。農業研究センターの研究員5名が開発を担当、技能員2名が圃場管理を担当、期限付臨時職員10名が圃場管理や調査補助を担当、それから、生物工学研究センター4名が開発を担当、21名の体制。これは本当に手づくりの、メード・イン・岩手の研究、取り組み、真摯な姿であると思っております。
したがいまして、まずは、この方々に、よく頑張りましたねと。この方々はリベンジに燃えていると思いますから、そういう心に水をかけてはいけない。まずそこから始まるものだと私は思っております。
そこで、重ねて伺いますが、県は、平成29年産米の品質をどう評価しているのか、また、販売状況はどうなっているかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 全国農業協同組合連合会岩手県本部が行いました食味計を用いたひとめぼれの測定結果は、抽出サンプルの値ではございますが、過去5年間で最も高い食味値となっているところでございます。
また、米のヒット甲子園2017において、全国の195銘柄中、上位9銘柄に金色の風と銀河のしずくがともに選出されるなど、全国的に高い評価をいただいております。
なお、全農岩手県本部によりますと、平成29年産米は、県外の米卸売業者からの評価は非常に高く、取引も順調に進んでおり、今回の食味ランキングの結果による影響はないと聞いておるところでございます。
〇伊藤勢至委員 今回、全国のトップブランドでありました魚沼産コシヒカリが特A評価からA評価となったことにも驚いておりますけれども、金色の風、銀河のしずく、ひとめぼれについても、これまでの答弁から、平成29年産米は、消費者あるいは実需者-弁当、おにぎりの業界-の評価が高く、分析機器による食味値も悪くないという状況で、ランキングの評価が下がった要因は、気象条件は確かに悪かったようでありますが、果たしてこれ以外にないのか。そもそも、食味ランキングとは一体どういうものなのか、ここで改めてお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 食味ランキングを実施しております日本穀物検定協会は、今回の評価の理由について明らかにしておりません。
食味ランキングは、昭和46年から、良質米づくりの推進とお米の消費拡大に役立てるため実施しているものであり、協会職員20名が、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準とし、対象産地の米を食味試験による比較で評価しており、食味計などの機器分析は行っていないと聞いております。
なお、食味ランキングの対象となるサンプルにつきましては、代表的産地で生産され、かつ、品種の特徴が明確なものを選定するとされていることから、各品種の代表的な産地から複数のサンプルを収集し、食味計により分析をするとともに、関係機関、団体で食味官能試験を実施した上で選定しております。
〇伊藤勢至委員 そうすると、この検査員といいますか、人間の口、味、それで検査をしていると。日本酒でいいますと鑑評会みたいな感じでやられているという理解でいいのでしょうか。
そうすると、魚沼産コシヒカリは、たしか23年連続特A評価をとってきたわけですが、その検査員も23年同じ人ということはあり得ない。20年ぐらいすればかわっていく。そうすると、その人の主観によるものが加味されないとも限らないわけですね。これはいたし方のないことです。でも、そういうものを超えた中で、さらなる挑戦をしていかなければならないのだと思います。
いずれ、機械などによる客観的な分析によるものでなくて、人が舌で感じる、べろメーターという言葉もあるようですが、べろで感じる評価であり、やはり主観的な評価と感じるのですが、今回のランキングの評価をどのように捉え、次なる生産に向けどのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 今回の食味ランキングは、評価の一つと認識しておりますが、何よりも大切なのは、今後とも、生産者とともに、おいしい米づくりに汗を流すことだと考えております。
このため、まず、金色の風、銀河のしずくにつきましては、県及び地域に設置しております栽培研究会の活動を強化し、また、ひとめぼれなどにつきましては、県の栽培管理指導方針に基づき、各JAが行う食味向上の取り組みを支援することとしております。
また、新たにリモートセンシング技術の活用などによる品質管理体制の構築や、高精度食味分析器を活用したたんぱく質含有率の分析、そして、それらを栽培管理へフィードバックするなど、生産者とともに高品質、良食味米の安定生産に努めてまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 ぜひそうあってほしいと思います。ベースは、まず、少数精鋭の研究者がリベンジをする、ようし、もう一回やってやるぞ、そういう気持ちを起こすこと。そして、生産者がせっかくつくってくれたいいものを、さらに、前回以上にまた頑張るぞという気持ちを起こすこと。そういうことをリードしていくのが、県の農林水産部の役目だと思うのですね。
一口に農業といいましても、米穀、園芸、野菜、果物、花卉、畜産、さらには林業、水産まであるのですから、こういうときに親分が、ちょっとしたことでじたばたしていますと軍隊がじたばたしますので、親分は泰然自若、前を向いて自信ある顔をさらに強めてリーダーシップを発揮していくべきだと思います。
大事な、やりがいもある部署なわけですから、紺野部長のやる気を答弁にあらわしていただきたいと思います。
〇紺野農林水産部長 今回の評価については、御承知のとおりの結果となったところであります。一方、先ほど申し上げたとおり、米のヒット甲子園2017では、全国の名立たる195銘柄中、ベストナインに金色の風、銀河のしずくともに選出されたところであります。また、最近では、第2回おにぎり食味会というものがございます。この中で銀河のしずくが2年連続で上位のベスト3銘柄に入賞したといったところ、また、その他の品種についても、事前契約がさらに進んでいるといったことなど、私は、数多くの最大級の評価をいただいているものと認識しております。
また、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターなどからも高い評価をいただいておりまして、売れ行きも好調ということであります。
お米に対する評価につきましては数多くあるところでありますが、今回のランキングについては、評価の一つとして客観的に捉えまして、これからの米づくりの参考にしていけばいいのではないか、そういうレベルのものだと私は考えております。
さらに言わせていただければ、この評価を絶対視、神聖視、神格視して、我々が一喜一憂して右往左往することは、丹精込めて命がけで米づくりに取り組んでいる生産者に対して、大変失礼なことではないかと思っております。
生産者の方々からは、私に対して直接、部長、岩手の米の実力はこんなものじゃない。我々の取り組みを見ているだろうという力強い言葉が寄せられております。この生産者の皆さんの気概と技術力をもってすれば、全国トップクラスの品質と食味の維持、そして、さらなるレベルアップは確実だと私は確信しております。
県といたしましては、平成30年産米以降についても、生産者の米づくりにかける熱い思いに応えまして、本県産米をしっかりとPRし、消費者や実需者の評価が一層高まるよう、私が先頭になって全力挙げて取り組んでまいります。
〇関根敏伸委員 関連。今の伊藤勢至委員と執行部のやりとりに感激いたしまして、関連して質問させていただきたいと思います。
今般の一般質問を初め、総括質疑、常任委員会等でも、今回のこの特A評価を逃したことに対しては、いろいろな質疑があったと聞いております。私も、率直に残念であったなという気はあるわけでありますけれども、今さまざまな取り組み、あるいは要因分析等が行われているという答えを聞きまして、安心しているところであります。
特Aを目指すことはまさに大切だろうと思うわけでありますが、やはり食味ランキングに依存した、特Aのみにこだわったお米の生産販売戦略は、ここで立ちどまって、しっかりと考えていく必要もあるのではないかという気もしております。
県は、今まで3年間、いわての美味しいお米生産・販売戦略の中で、特A評価の獲得と維持ということを掲げておりました。また、新年度から始まる3カ年にも特A評価ということを掲げてこの戦略を進めるわけでありますから、これは切って離すことはできないと思うわけであります。ただ、何度も申し上げるとおり、また、部長も評価の一つと答えているとおり、やはり、これに過度にこだわって、唯一無二の評価と絶対視しては、私は逆に危うい販売戦略、生産戦略になるのではないかと思っております。
伊藤勢至委員の話の中では他県の取り組みもあるようであります。他県では、やはり特A評価獲得プロジェクトとか、特A評価に向けたモデル圃場とかを整備して、特A評価にこだわった生産販売を行っているようでありますが、こういったことを行ってもなお、特A評価はとれないという現状もあるようであります。まさに特A評価が、さまざまな客観的な数値による絶対値ではない以上、しようがないものではないかと思っております。
そんな中で、何度も答弁の中でもあるとおり、県が地道な品質管理とか品質維持に努めているのだという取り組みとか、あるいは、やはり卸売業者、小売業者、実需者、消費者から高い評価を得ているのだと。特A評価以外のさまざまな部分での評価があるのだと。こういったさまざまなものを複合的に発信しながら、県の生産、販売戦略といったものにしっかりと取り組む、取り組み直していく姿勢も、もう一度立ちどまって進めていくべきではないかと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。
〇小原県産米戦略監 平成30年度からの3年を期限とします新たなオリジナル品種ブランド化戦略を立ち上げております。この中では、マスメディア等を活用したプロモーションや大消費地でのトップセールス、何よりも、卓越した栽培技術を持つ生産者による消費者へのPRといったようなことが、県産米に対する消費者や実需者の評価を一層高め、結果、高価格での取引を実現するなど、米生産者の所得向上に結びつくものと考えております。そういった活動を強化するという内容で、ここ3年間を取り組んでまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 ぜひ、そうしていただきたいと思っております。
また、お米は金色の風と銀河のしずくだけではないわけでありまして、まさに業務用米が足りないというお話もあります。新しい戦略の中には、業務用米の食味のいい多収米の新品種導入なども掲げられているようでありますから、トータル的に米の生産、販売戦略をしっかりと進めていただきたいと考えます。
あわせて、先ほど実需者、消費者からの評価も非常に高いというお話もありました。私もそのようなことは伺っておりますけれども、先般、私がちょっとかかわったものの中で、数値的なものを踏まえてお話をさせていただきたいと思います。
まず一つは、3月2日から3日間、イオンの店舗で毎年行われているようでありますが、埼玉県のイオンモール与野店で、東北全体の農産物を応援するフェアがありました。その中には、岩手県だけではなく東北の農産品がたくさん販売されたと聞いておりますが、私が聞いた情報によりますと、その中では岩手県が断トツの売り上げを誇ったと。結果、600万円を超える売り上げがあり、イオンモール与野店における単県での農産品の売り上げでは過去最高だったという情報を得ております。
あともう一つ、これも私が個人的にかかわって、昨年11月20日から12月20日までの1カ月間、東京都の丸の内のレストランで岩手フェアを開催していただきました。この際には、流通課にも多大な御配慮をいただき、生産者を紹介いただいたり、アテンドしていただいたりして実現にこぎ着けたフェアでありますけれども、久慈市の短角牛でありますとか、花巻市の白金豚、沿岸のアワビ、ホタテ、タラ、江刺のリンゴ、私の地元の北上市からも二子里芋を使っていただいて、1カ月、コース料理でフェアを行ったわけであります。
そのときの売り上げ額が先ほど入ってまいりまして、過去六つの県でそれぞれのフェアを行ったわけでありますけれども、大体1日の売り上げが20万円台から30万円台といったところが平均値だったようであります。昨年、鳥取県では1日当たり50万円の売り上げを獲得したということでありますが、岩手フェアでは54万5、000円の売り上げを獲得して、これも過去一番であったと聞いております。
そういった意味では、まさに首都圏の消費者自体が、岩手の農産品全般をしっかりと評価している。この自信をしっかりと県だけではなくて、生産者と、まさに研究者も含めたトータル的なものでもっともっとPRをしていただきながら、これからの米の生産、販売戦略に臨んでいただきたいと思うわけであります。
改めて、生産、販売戦略の推進会議の会長でもあります紺野部長の所感をお聞かせいただいて、関連がちょっと長くなりましたが、終わらせていただきたいと思います。
〇紺野農林水産部長 岩手の農林水産物は、米に限らず、非常に高い評価をいただいております。私どもとしては、その高い評価を維持、さらに向上させるために、いろいろな戦略または予算も投じながら取り組みを強化してまいりたいと考えております。
しかしながら、一番大事なのは足で、起動力を生かしてPRして歩くというのが、米屋さんを回って、私が一番感じた印象であります。これからも、やはり予算、人を投じるのは当然でありますが、農林水産部長みずから、私みずから足を運んで、岩手の農林水産物の安全・安心、高品質、良食味だということをPRして、汗をかいてPRに努めて、生産者の皆さんの所得向上に努めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 私からは、予算に関する説明書の152ページ、農業振興費、そして、153ページの農作物対策費に関係した分で質問させていただきます。中身は、一つは鳥獣被害の状況、あるいは鹿対策、そしてジビエの利用ということであります。
最初に、鳥獣被害の状況についてでありますが、平成29年度、まだ3月途中でありますけれども、わかる分で、過去3年間の鳥獣被害の状況はどうなっているでしょうか。被害額、そして、被害の多い市町村は、例えば上位5番目まで言うとどんな状況になっているでしょうか。
〇中村担い手対策課長 まず、過去3年間の被害額についてでございますが、野生鳥獣による農作物被害額は平成25年度以降減少傾向にあり、平成26年度は約4億6、400万円、平成27年度は約4億200万円、平成28年度は約3億9、800万円となっております。
次に、被害の多い主な市町村と金額についてでありますが、農作物被害が最も多かったのは遠野市で約9、600万円、次いで花巻市の約9、000万円、釜石市の約3、700万円、盛岡市と一関市の約2、000万円となっております。
〇千葉伝委員 減少傾向にあるということはいいことでありますし、そういった対策等も含めてやった結果ということも言えるとは思います。しかしながら、それぞれ先ほど多い市町村ということで、遠野市では9、600万円と1億円近い被害等があるということであります。
そういう中にあって、農林水産部として、捕獲あるいは駆除の状況はどうなっているでしょうか。この分については、先般、環境生活部にもお聞きし、1万900頭余りと聞いておりますが、農林水産部はどうなっているのでしょうか。
〇中村担い手対策課長 鹿被害対策の内容とその成果についてでありますが、農林水産部では、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して、市町村や猟友会などで構成する地域協議会が、農作物への被害防止のために行う有害捕獲に対して定額補助を実施しています。
また、環境生活部では、環境省の指定管理鳥獣捕獲等事業を活用して、県猟友会に対して捕獲を委託しており、捕獲実績に応じて委託料を支払っていると聞いております。
平成29年度の捕獲見込み頭数につきましては、地域協議会が4月から10月までに行う有害捕獲が約5、200頭となっておりまして、これに県が県猟友会に委託して11月から2月まで行う指定管理鳥獣捕獲等事業と狩猟者が11月から3月まで行う狩猟を合わせると、合計で、年間目標の1万頭以上を捕獲する見込みとなっています。
〇千葉伝委員 トータルとすれば、環境生活部が6、000頭余り、農林水産部は約5、200頭ということで、合わせて1万頭ちょっとということになるわけですね。それでは、実際に1頭当たりの駆除費というか、捕獲した場合の対価は、環境生活部は1頭当たり1万6、200円と聞いていますが、農林水産部はどうなっているのでしょうか。
〇中村担い手対策課長 農林水産部で活用しております鳥獣被害防止総合対策交付金の捕獲単価につきましては、捕獲に係る経費の2分の1相当を補助することとしておりまして、1頭当たり8、000円を上限と設定したと聞いております。
一方、環境省の指定管理鳥獣捕獲等事業では、捕獲に係る経費相当額を委託することとしておりまして、1頭当たり1万6、200円に設定したと聞いております。
このため県では、鹿の捕獲促進に向けまして、鳥獣被害防止総合対策交付金の単価も指定管理鳥獣捕獲等事業と同等となるように国に対して要望したところであり、今後も引き続き、国に要望していきたいと考えております。
〇千葉伝委員 わかったのですが、環境生活部のほうは1万6、200円、農林水産部のほうは8、000円ということで倍の差があるわけですね。そうすると、捕獲あるいは駆除した人からすれば、これは環境生活部の事業に入れたほうがいいと考えられると思うのですが、そういったあたり、国のほうに平準化を図るということは言っているのでしょうけれども、ちょっとここの分は問題があるかと思います。私はそう思っておりますし、平準化に向けての対応をこれから考えるということであります。
次は鹿の対策ということで、被害の状況を聞きました。鹿対策ということで、被害の状況を聞きました。農林水産省では、平成29年度までに、鹿を駆除、捕獲した分を有効利用というか、ジビエとして食用に利用するという考えのもと、利用量を倍増させる目標を掲げて、捕獲から処理、加工までの衛生管理など、すぐれたモデル地区を全国12カ所程度整備する方針と聞いております。本県でも、予算特別委員会の環境生活部審査で取り上げた馬を含め、これまで県議会で取り上げてきた経緯があるわけですが、農林水産部ではこれまでどのように対応してきたのか伺います。
〇中村担い手対策課長 農林水産部の対応についてでありますが、農林水産部ではこれまで、鹿被害が多い13市町村を3回から5回訪問しまして、国の事業内容や出荷制限の一部解除に向けた県の支援内容などを説明し、事業の掘り起こしに努めてまいりました。しかし、市町村からは、過去にジビエに取り組んだが、赤字が続き、経営を中止した事例があるなど収益性に不安があること、鹿の解体に伴い、さまざまな残渣が発生する処理施設の設置に対する住民の理解を得ることが難しいことや、震災からの復興事業が最優先であり、ジビエ利用の検討まで至らないこと、そして、事業を行う方から具体的な計画が示されていないことなど、厳しい意見が出されたところでございます。
〇千葉伝委員 この事業を取り入れるか入れないかという根本の部分は、実際に県内の各市町村でこれをやれるかやれないか、こういうことで、3回から5回出かけたということでした。環境生活部サイドからすれば、放射性物質による出荷制限がまだ解除されていないことが大きな課題であると聞いたところであります。それは重々私も承知しておりますけれども、全国のかなりの県あるいは市町村でやっているところがある。なかなかペイしていないということも聞いておりますけれども、このジビエの利用拡大は、野生鳥獣による農作物の被害を減らすという観点のもとでやられている話ですし、駆除あるいは捕獲したものを有効に利用しようという考えのもとで事業を農林水産部が仕込んでいる、こういうことで聞いております。
岩手県では、いろいろな問題があるので手を挙げるところまではいっていないということですが、先ほど全国で12カ所程度と言ったのですけれども、今もしわかれば、今度のモデル事業を全国のどこでやることになっているかお知らせください。
〇中村担い手対策課長 先般国が公表した資料によりますと、全国で17地区が選定されておりまして、その内訳は、北海道が一つ、甲信地方が一つ、北陸地方が一つ、関西地方が七つ、中国、四国地方が三つ、九州地方が四つとなっておりまして、関西以南が多く選定されておりまして、東北と関東からは選定されていない状況にあります。
〇千葉伝委員 ジビエの利用ということで東北では手を挙げるところはないわけですけれども、いずれにしても、岩手県に約4万頭いるという鹿の対策として、環境生活部では、この4万頭を将来、5カ年計画で半減、約2万頭にするということで進めている。そうすると、5年間毎年1万頭ずつ捕獲、駆除していかなければ半減しないということになるわけであります。したがって、毎年今後5年は1万頭という鹿が捕獲あるいは駆除されるということになるわけで、私からすれば、その肉を-出荷制限の解除がまず前提なので、解除後において、岩手県、市町村なりが、事業の仕組み、やり方、そして有効に活用するための食肉利用という部分について考えてしかるべきと思うところであります。それには今の課題を解決しなければならないことが前提でありますが。
ところで部長、鹿肉をお食べになったことはございますでしょうか。これからのジビエ利用という部分について、部長の考えを最後にお聞きしたいと思います。
〇紺野農林水産部長 最近は食べていないのですが、私、山間地帯の生まれなものですから、熊肉、鹿肉、ヤマドリ、キジ、ウサギ、変わったところではタヌキまで食べたことがありますけれども、非常に野趣あふれる味だったということで、ジビエ利用に関してはいろいろなそういった利用もできるのではないかと思いますが、なかなかハードルも高いということで、それを一つ一つクリアしながら、市町村、また事業者の皆さんの理解を深めながらということになろうかと思っております。いずれ、ジビエ利用は必要なことだと認識しております。
〇千葉伝委員 同じことを環境生活部長にお聞きしました。ニホンジカを食べたことはないけれども、エゾシカを賞味し、コクのある味だったということで、今後、鹿肉の利用については、環境生活部で衛生面も含めた安全対策をしっかりと進め、解除後にこの事業をやることについて考えたいという話と一緒に、農林水産部と連携していかなければ一方的な話になると。こういうことになると思いますので、ぜひそういう場面においては、指導も含めて一緒に頑張っていただければと思います。これは要望です。
〇飯澤匡委員 大きく2点についてお伺いします。
先ほど部長から、2020年東京オリンピック、パラリンピックに対応したいわて牛、肉の売り込み対策について、畜産GAP普及推進事業費の御紹介がありました。やはりこの機を逃さないように、生産者と一体となった取り組みが必要と考えております。
それで、この事業費の内容について御紹介をいただきながら、生産者と支援組織-県、市町村、JAが一体となり、目標に向けてしっかりといわて牛としての名声をかち得るための努力をすべきだと考えておりますが、県では現時点でどのような宣伝構想をしているかお知らせ願います。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 いわて牛につきましては、現在、県、市町村、それからJA等で構成いたしますいわて牛普及推進協議会を主体にしまして、県内外の流通関係者への売り込みを行っておるところでございます。また、本年2月には、オリンピックへの県産食材提供を推進するための、県、関係団体をメンバーといたします東京オリ・パラ県産農林水産物等利活用促進連絡会議を設置したところでございます。
昨年12月には、IOC調整委員会のジョン・コーツ委員長を筆頭といたします各国のオリンピック関係者が参加いたしました公式夕食会におきましてもいわて牛を初めとする県産食材を提供いたしまして、高い評価をいただいたところでございます。また、私ども、今後選定されるであろうサプライヤー候補企業とも、今現在、連携を密にしているところでございます。
今後におきましても、東京2020オリンピック、パラリンピックは県産食材を世界にPRする絶好の機会であると捉えておりますので、関係機関、団体としっかり連携いたしまして、さまざまな機会におきまして、いわて牛を初めとする県産農林水産物を積極的に売り込んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 非常に積極的な取り組み姿勢と拝聴しました。
和牛の肥育期間は生後30カ月であることから、2018年1月生まれが対象牛となる。これが2018年9月から12月に市場に出荷されることになります。質問の2番目ですが、県内2市場に出荷される一定の対象牛に対して、県が助成して生産者、繁殖農家への意欲喚起を促すという考えについて、こういう考え方は生産者のほうで大いに期待したいというような声が聞こえているわけですが、その具体策についてはどのようにお考えでしょうか。
〇藤代畜産課総括課長 東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会でいわて牛をアピールしていくためには、まず、大会の食材調達基準であるJGAP認証の取得等が必要となりますので、畜産分野での認証取得等の取り組みを推進するため、平成30年度の当初予算案に畜産GAP普及推進事業を盛り込んだところでございます。
この事業では、生産者へのGAP制度の周知とともに、家畜保健衛生所等の職員をGAP指導者として養成するほか、認証取得等を希望する生産者へのコンサルタント派遣を行っていくこととしております。
こうした取り組みを通じ畜産分野でのJGAP等の普及拡大を図りまして、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会でのいわて牛の提供やアピールにつなげていきたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 今のはGAP制度をクリアするための一つの施策としてやっているわけですが、もう少し生産者に生産、また育成の意欲喚起を促すカンフル剤みたいなものをぜひ検討していただきたいと思います。
二つ目の質問ですが、田んぼダムの活用策について提案させていただきたいと思います。新潟県、また宮城県などで、一級河川の改修には一定程度お金と時間がかかることから、暫定措置として田んぼダムを推進して浸水被害を低減する、そのような研究がされて、実際に新潟県見附市ではこのような事業を展開しております。それに着目して宮城県古川農業試験場が研究対象として取り上げていると。
この田んぼダムについては、遠隔給排水栓が開発され、農家の負担なしに洪水調節が可能となる。要は、岩手県は、土地改良事業の採択の部分が東北6県の中ではまだ低いということを逆手にとって、このような治水対策も含めた生産環境を整えるということは、非常に私は生産者の意識改革にも合った一石二鳥だと思うわけですが、その点についてどのような所感をお持ちなのか、考え方を示していただきたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 田んぼダムの活用策についてでありますが、いわゆる田んぼダムは、水田の排水口に止水板等を設置いたしまして、大雨などの際に、水田の排水を抑制することにより、ダム同様に雨水を一時的にためる取り組みでございます。この取り組みによりまして、水路の急激な水位上昇が抑えられ、水路下流域の農地等への浸水被害を軽減させる効果があると伺っております。
一方、田んぼダムの効果を発揮させるためには、止水板設置に加えまして、畦畔の補強などをまとまった地域で行う必要があることから、設置や維持管理に要する費用負担を含め、地域全体の合意形成が不可欠であると考えております。
このため、県といたしましては、田んぼダムの取り組みが拡大している新潟県などの情報収集を進めるとともに、農業用水を維持管理する農家や土地改良区などの意見も聞きながら、本県での活用の可能性を検討してまいります。
〇飯澤匡委員 私の地元などでも、洪水対策、特に、最近ちょっと雨が降っただけでも大変な状況になるところ、これから土地改良事業を入れようとしているところでも、対策が必要な箇所が複数あります。先ほど課長がおっしゃったように合意形成というのは非常に大事なことで、それだけ地域の営農者の合意と前向きな気持ちがないとできない部分でありますから、ハードルはそんなに低いものではないと私も思っておりますが、ぜひともいろいろな選択肢を挙げていただいて、地元の地域の社会貢献にも資するという農家の気持ちにもつながるのではないかと思っています。
課長は当東磐井地域の事情もよく御存じで、一関市藤沢町黄海の辻山地区など、非常にいつも浸水するところがあるというのはわかっていると思いますので、ぜひこれからそういうことも検討していただいて、いろいろな情報を提供しながら、同じ土地改良事業をするのであれば、付加価値のついたものというのも一つの大きな有力な選択肢だと思いますので、その方向性について部長に聞いて終わります。
〇紺野農林水産部長 委員からは大変貴重な御提言をいただいたと認識しております。
やはり農業、農村の有する多面的な機能の一つであります治水対策-洪水防止機能という面も非常に地域にとっては重要な事業の効果の一つだと思っております。
田んぼダムにつきましては、今後、圃場整備をする上で、こういった機能もあるということで私どもも導入できるかどうかも含めて研究しまして、岩手県で有効であれば、何とか事業メニューに入れていただけるように国に提言し、そういった活動をしていただけるような非常に有効な取り組みではないかと感じた次第でありますので、いずれ検討、研究を進めさせていただきたいと思っております。
〇軽石義則委員 私は、畜産振興費関連で2点お聞きしたいと思います。
まず1点目は、岩手の馬事文化は、これまでも歴史があるわけでありますし、いろいろな形で取り組みもされてきておりますけれども、過去5年、馬産振興は年間90万円という予算でやられております。現在、農用馬の飼養頭数、戸数についてどのように現状把握をしているのか、加えて、現状、課題も多くあると思いますが、どのようにその課題を把握されているのかお聞きいたします。
〇菊池振興・衛生課長 県馬事振興会の調査によりますと、県内の馬の飼養状況は、最新で平成27年の値となりますが、飼養戸数が317戸、頭数が1、522頭となっております。その内訳でございますが、その中でも農用馬につきましては57戸、124頭となっており、戸数、頭数ともに減少傾向となっております。
農用馬の減少につきましては、生産者の高齢化等によるものでありますが、チャグチャグ馬コや南部流鏑馬など、県内各地に伝わる多様な馬事文化を継承していくためには、農用馬の生産頭数を維持していくことが重要と考えております。
〇軽石義則委員 農用馬、今は農業に馬をというのは少なくなってくるのは当然だと思うのですけれども、毎年の生産数というのはわかるのでしょうか。
〇菊池振興・衛生課長 生産数につきましてはどんどん減っている状況でございますが、年間約30頭となっております。
〇軽石義則委員 イベントに活用する馬のほうが多くなっているということですし、イベントのみならず、今はホースセラピーを初めいろいろな形で馬の役割が新たに出てきておりますし、林業にかかわれば馬搬というのもこれから必要になってくるのではないかと思いますけれども、今のままの取り組みであると、飼養戸数も飼養頭数もふやしていきたいと言いながらも、ふえるような政策にはなっていないと思うのですが、どうでしょうか。
〇菊池振興・衛生課長 減少傾向にあります農用馬の生産を維持していくためには、後継者や指導者の育成、繁殖管理などの生産性の向上に向けた取り組みが課題と考えております。このため、県といたしましては、県馬事振興会と連携しながら、飼養管理技術の講習会の開催や獣医師による繁殖指導、優良馬の保留対策などに取り組んできたところでございます。
今後におきましても、こうした取り組みをさらに充実させながら、関係機関と一体となって、農用馬の担い手育成あるいは生産拡大に努めてまいります。
〇軽石義則委員 岩手県としてやっていることはわかりますけれども、他の都道府県と比較した場合、岩手の馬資源確保の取り組みというのはどのレベルにあるのでしょうか。
〇菊池振興・衛生課長 本県の農用馬につきましては、全国3位の飼養頭数でございます。県の事業とあわせて、地方競馬全国協会あるいは日本馬事協会の事業を使いながら、繁殖、優良馬の保留や技術者の養成といった部分にも対応しておりますので、引き続きこのような事業を活用しながら進めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 馬資源を拡大するには、やはり活用方法というもの、馬そのものの役割をふやしていくことが大事だと思っておりますけれども、その中で、今回、馬事文化プロモーション推進事業というのがありますが、この内容についてお示し願いたいと思います。
〇菊池競馬改革推進監 馬事文化プロモーション推進事業についてでございますが、馬の飼養頭数が減少傾向にある中、イベント開催などに必要な馬資源を確保し、効果的に活用するための仕組みを構築するとともに、本県に伝わる馬事文化の魅力を活用し、地域の活性化を図るため、本年度から実施しているところでございます。
この事業では、新たにコーディネーターを設置いたしまして、チャグチャグ馬コ同好会など、馬に関係する団体や市町村が参加する馬事文化地域連携連絡協議会を設立するなど、馬事関係者間のネットワークを構築しますとともに、シンポジウムの開催や馬事イベントの実施、それから専用ホームページでの情報発信等を行ったところでございます。
また、台湾や香港で開催された観光プロモーションにおきましても、本県馬事文化の魅力を広くPRしたところでございます。
〇軽石義則委員 岩手の馬事文化を海外も含めて広げるというのはいいと思うのですが、馬産のほうに年間90万円の予算で、広げるほうに年間1、000万円を超える予算となると、逆のような気がするのですが、どうでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 馬事文化プロモーション推進事業につきましては、東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業という東北観光復興対策交付金の国庫事業でやっておりまして、東北地方の震災からの風評被害を払拭して、落ち込んだ観光客、外国人旅行者を回復させるなど、インバウンドを呼び込むための取り組みを中心として実施しているものでございます。
〇軽石義則委員 馬事文化を広げるための事業というのはよく理解していますけれども、馬事文化を広げるには馬資源がなければ当然できないと思っておりますし、そういう意味で、馬資源をどう拡大するかというところにさらに……。担い手というところも大事で、先ほど支援しているというお話でしたけれども、担い手をふやすにはやはり馬の役割の拡大というのが大きくなると思うのです。
馬事文化地域連携連絡協議会を設置してやっているようですが、この中にはいろいろな団体が入っておりますし、乗馬やホースセラピーなどいろいろな団体の声もお聞きしていると思うのですが、協議会の中で出されている要望、意見等があればお示し願いたいと思います。
〇菊池競馬改革推進監 協議会でございますけれども、昨年11月と12月に開催いたしまして、馬のイベント等を実施している市町村や馬事関係の団体に入っていただいて意見交換等をしております。課題といたしまして、馬事関係者間における馬資源等の情報共有が県内でまだ密には行われていないとか、イベント開催等に必要な馬資源の確保をどうするか、馬飼養者の後継者不足への対応をどうするか、県内の馬事文化の効果的な情報発信などがこれから取り組んでいくべき課題ということで挙げられております。
〇軽石義則委員 現場からそういう生の声をいただいているわけですので、それにどう対応していくかというのが馬資源の確保にも直結すると思いますし、当然、馬事の拡大や理解促進にも結びついていくと思います。取り組みをやろうとしているのに、これからますます馬が減少していくと、チャグチャグ馬コの馬は他県の馬しかいないという状況になってくることも想定されるわけです。であるとすれば、さらに担い手もしっかりできるような産業というか仕事としてつくっていくのが大事だと思うのですが、その点はどのように考えているのでしょうか。
〇藤代畜産課総括課長 先ほど農用馬の飼養頭数、戸数について答弁をさせていただいたところですが、馬全体から見ると、乗用馬、それ以外の馬については横ばい傾向。その中で農用馬については減少傾向ということで、この要因としますと、高齢化もあるのですが、農用馬の需要が食用、あるいはばんえい競馬であり、一定程度馬の需要が限られ、経済的になかなか所得につながらないということで減少となっているところです。このため、馬事文化を観光分野と連携して、そこからお金が回ってくるような仕組みをつくることができ、改めて馬の需要、あるいは飼養のところで農家の経営につながってくるのではないかということで、そういったつながりをつける仕組みをつくっていくように馬事文化プロモーション推進事業が動いています。すぐにという形にはならないかもしれませんが、そういった新たな馬を使う需要、そこからお金が回る仕組みをつくって馬産振興につなげていきたいと考えているものでございます。
〇軽石義則委員 ぜひそういう流れをつくっていただきたいと思います。優良農用馬という言葉を入れた予算のつくりになっていて、どうしても農用馬にこだわっているのではないかと見えるわけです。今のお話のように農用馬以外の馬飼養もしているということであれば、さらにそのことを理解していただくように広げていくのも大事ではないかと思いますし、それにプラスして、担い手への支援を拡大するようにつなげていくことが大事だと思うのですが、改めて部長、どうでしょうか。
〇紺野農林水産部長 本県の馬事文化を伝えていく、また、その文化を維持、継承するために必要な馬を育成していくのはやはり重要なことと認識しております。
今回、この馬事文化プロモーション推進事業につきましては、馬事文化地域連携連絡協議会をつくりまして、いろいろなイベントなどで、馬を必要とするのだということを広くアピール、連絡、情報共有しております。一定程度そういうイベントなどで活用すれば利用料が入るということも考慮し、単に農用馬だけではなく、ある意味イベント馬といいますか、そういった活用もしっかりしていくということも視野に入れて、今後も議論、連絡共有、情報共有を行い、何とか馬の資源の継承につなげていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひそういう活用方法をさらに拡大していくことも議論していただきたいと思います。
私もいろいろな方からお声を聞いているのですが、やっぱり岩手は、南部駒、非常に長い歴史、御陵牧場もあったという歴史もあって、岩手県警に騎馬隊があってもいいのではないかという声や、盛岡駅から盛岡城址公園まで馬車で観光してはどうかという声もあります。いろいろなところに成功例があると思いますし、当然失敗例もあると思いますけれども、失敗例を勉強すればさらに成功に結びつくと思いますので、そういうところも含めて今後もしっかり考えていただくようにお願いして、2点目に入ります。
南部かしわは、岩手県がブランド化をするために開発、供給しており、日本でもかなりいいものであると言われているのですが、なかなか流通、生産が回っていないのではないかと言われております。先ほどのお米の議論ではないのですけれども、せっかく県にいいものがあるのに、なかなか世に出回っていかないというのは、やっぱり何か課題があるのではないかと思っております。この間の議員連盟でも西和賀町の南部かしわが出て、非常にいいものになってきているなと。部長が力を入れてやりますと言ったのがこういうところに出てきているのだなとは思うのですけれども、現状と課題をお伺いいたします。
〇菊池振興・衛生課長 南部かしわにつきましては、うまみの強い鶏肉をつくるため、県在来種であります岩手地鶏を用いて開発した肉用鶏で、平成29年度の生産羽数につきましては約3、000羽と、5年前の約5、000羽に比べて6割程度となっております。
南部かしわの生産羽数が減少した要因につきましては、安定した販路の確保が困難であったことや、これまで食鳥処理できる羽数が限られていたことなどと考えております。
〇軽石義則委員 課題はしっかりと把握しているわけですので、その課題をどう解決していくかがこれから大事だと思います。それがこのいわてにしわが南部かしわプロジェクト株式会社になってきているのではないかと思いますが、そういう意味で、やろうとするところ、県内に限らず、やっぱり流通ですから県外にも興味を持っている方々もいますけれども、そういう連携を今までどのようにとってきたのでしょうか。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 南部かしわにつきましては、今年度の春に、関係機関、生産者団体、市町村を集めていろいろ対策について意見交換をしたところでございます。また、今年度、県内、県外の飲食店のシェフ、それから卸売事業者などを対象とし、首都圏や盛岡で商談会を開催しまして、南部かしわの生産者にも参加していただきました。その中で、南部かしわを試食してPRする機会、またはマッチングの機会を提供したところでございます。
商談会に参加しましたレストランのシェフからは、餌の改良やさらなる品質向上に向けた課題を幾つか、ある意味で期待を込めて指摘されたところでございますけれども、生産者からも非常に勉強になったという話も聞きましたし、幾つか飲食店との新たな取引も生まれたところでございます。
今後とも、このような形で売り先とのマッチングの機会を設けまして、いろいろ情報交換をしながら、販路の拡大、それから品質向上に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 努力されていることは十分理解しました。さらに仕事として成り立つようになれば生産者もふえてくると思いますし、生産者がふえてくれば羽数もふえて流通にも大きくプラスになっていくという流れをつくっていくには、やっぱり皆さんのお力がないとできないことも多くあると思います。そういう意味で、先頭に立ってPRしている部長、そこの決意を聞いて終わります。
〇紺野農林水産部長 南部かしわについては、本県で開発した品種でございます。非常に味もいいということで、また、生産者の意欲も高まって、よりよいものにどんどん品質アップしているという状況になっております。そういった流れを、さらに消費者、実需者からも求められるものにしていくように、我々も全力で対応してまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 まず先に、親元就農支援についてお尋ねいたします。
農業、農家に限らず、商工業でもどこでも、どの分野でも同じでしょうけれども、後継者がいるということでの経営体のモチベーション、あるいはまた、活気にあふれた経営の結果、成功されている事例かつ、農家の方々を見ても、私の身の回りには大変多いです。後継者がいて、親元就農をして、そして農業形態をふやしながら、複合経営といいますか、農業系統の多様化を何事例か持っているメガ農家がおられます。1カ所、2カ所ではございません。
親元就農に対する支援というと、商業は、工業はという話にもなるかもしれませんが、日本の農業、岩手の農業というのは、耕作放棄された農地も含めれば、親元就農をしっかり支援しなければならないくらいのところまで高齢化が進んでおります。そういうことをせざるを得ない今の農業の実態を思って親元就農の大事さということを思っているのですが、親元就農の重要性と現状認識についてまずお尋ねします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 親元就農者は、地域農業をこれまで維持してきました親の経営を継承する大事な担い手でありまして、将来、地域を支え、産地のリーダーとなる経営体として極めて重要な存在であると認識しております。
県が毎年実施しております新規就農者実態調査によりますと、平成24年度から平成28年度までの5カ年で新規就農者は平均224人となっておりますが、そのうち親元就農の人数は、学校を卒業してすぐ農業を継ぐ-新規学卒者と、一旦他産業について自宅の農業を継ぐ-Uターン者と合わせて105名、47%、約半分となっております。その内訳を見ますと、約10年前の平成14年度から平成18年度の5カ年平均では、新規学卒者が3割、Uターン者が7割だったものが、直近5カ年では、新規学卒者が減りまして、Uターン者のほうが約9割と高まっている状況にございます。
〇柳村岩見委員 統計のとり方はいろいろありますので、例えば、農業短期大学を卒業して農業を継ぐというのはまた別扱いの統計になると思います。盛岡農業高校や他の農業高校を卒業してすぐ就農する場合は新規の親元就農に入るとか、あるいは、岩手県に2校ぐらいあると思いますが、特別研修生などはもともと親元就農になっているとか、分析がいろいろあります。それから新規就農者には、東京から来られる方もおり、感動も美談もございます。反面、非常に残念なケース、結果というものもございます。
さながら親元就農に対する支援が求められると思いますが、今の制度では、前の質疑で、農業高校などを卒業してすぐ就農する場合、農業経営体の系統が変わらないと支援策がないと。国がないから、岩手県もない、こういうことです。そこから乗り越えて、そんなに大きな金額ではないと思うのです。いわて地域農業マスタープラン実践支援事業の2億4、000万円、この程度で恐らく足りると思うのです。そんなにたくさんあるものでもない。ただ、一件一件きちんとそういうことについて確立をしていくことが大事だと思います。
それからもう一つ、支援策が必要だというのは、卒業してすぐ親元に帰り、就農いたしますが、将来の夢は、おやじは畜産、私は酪農だと。あるいはまた、私は花をやりたいと思っても、すぐやれるものではない。だから、親元就農のときに、新しい系統になりましたかといったら、なっていないのです。親の手伝いをするぐらいが精いっぱい。しかし、イメージの中に、あるいは希望として、そういうやりたい系統があって、勉強を始める。花なら花で土づくりを3年、5年かけてやっていくとか、勉強したり研究したり、そうしていく。夢を持ちながら就農しているわけです。しかし、親と違う系統にまだ入っていない場合は、支援制度がないのです。それではちょっと支援策としては弱過ぎる。いわて地域農業マスタープラン実践支援事業の予算ぐらい予算化する、そういう支援策の考えはございませんか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 親元就農者への支援についてでありますけれども、まず、親元就農する方に対しての主な支援策といたしましては、農業大学校での自営就農するための実践教育に加えまして、国の農業次世代人材投資資金、これには二つ種類がございます。一つが準備型と申しまして、先進経営体での技術習得研修。それから、同じく親元就農であっても、経営開始した際の経営安定を支援する形の経営開始型でございます。経営開始型を親元就農で受ける場合には、先ほど委員おっしゃったように、新しい部門を起こす、あるいは親の経営を大きくする。あるいは、親は農産物をつくるだけだったけれども、自分はそれを加工して販売するとか、そういった部分に新たに取り組むことによって新規参入者と同様の支援が受けられることとなっております。こういった支援を受けた新規参入者は本県にも数多くいらっしゃいまして、農業次世代人材投資資金を活用した親元就農者がこれまで250名ほどおります。そのうち、規模拡大をした人が152名、それから新たな部門に取り組んだ人が99名となっており、親の経営を発展させるということでのこういった支援策の活用がされているところでございます。
〇柳村岩見委員 細かく言えばそういうこともあると思いますが、結局、親元就農する前に、ふだん余るくらいのトラクターは必要ないわけです。しかし、親元就農したら、ぽかんと田んぼのあぜ道で指をくわえて見ているわけではない。やって失敗したりして、そして上手になっていく。だから、トラクターがもう1台なければならないということなどについて、やっぱり丁寧な、きめの細かい助太刀をお願いしたい、このように思います。
それから、次に、もう一つ農業関係で心配しているのは、農業改良普及センターについてですけれども、農業普及員の研修制度についてお尋ねします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業普及員の研修制度についてでありますが、県では、農業普及員育成基本指針に基づきまして、普及員の発展段階別の集合研修や先輩普及員等によりますOJT研修などを通じまして、普及指導に必要な知識、技術の習得を図っているところでございます。
一方で、農業の競争力を一層強化していくためには、規模拡大や多角化に加えまして、スマート農業、さらにはGAPの普及拡大などへの対応が必要と考えております。
このため、国が主催する研修会に農業普及員を計画的に派遣し、高度な経営分析や診断手法、6次産業化への支援手法やスマート農業の活用方法などの習得に取り組んでいるところでございます。また、GAPにつきましても、農業普及員を対象としたGAP指導者養成講座を県独自に開催するなど、普及員の指導力向上に努めているところでございます。
〇柳村岩見委員 私の実感としても、小さいときに普及員の指導のもとにシイタケをやりました、失敗しました。借金をつくりました。イチゴをやりました、失敗しました。加工トマトをやりました、失敗しました。そのような事例を多く聞いて、その後、普及員あるいはまた農協の営農指導員のレベルがどんどん落ちていきましたけれども、農家の方々と接する指導、普及活動は、かなり真剣勝負だと思います。
そのときに、それぞれの-全てはできませんでしょうが-研修の姿、あるいは、岩手がこれから農業県として発展していくという腹構えを持てば、半月で申しわけないけれどもオランダに行って研修してこいと。もちろん農林水産部の中に、県庁に入られてから行ったかその前に行ったか知りませんが、行ってきましたという方もおります。恐らく、そういう研修あるいは先進地の事例に触れたことがその人の顔にあらわれ、態度にあらわれ、指導においてそこから発するものがあり、農家とのコミュニケーションがとれる。こういうことが、よりよいものを目指していく上において大変大事だと思うのです。外国の研修、ありますか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業普及員の海外研修についてでありますけれども、グローバル化を見据え、国際的な視野を持って農業者の指導に当たることは重要なことだと考えております。国の研修事業に海外研修のメニューは現在ございませんが、岩手県の人事課主催の希望郷いわて政策研究派遣研修などを通じまして、農業先進国の農業事情を研究するようなメニューがございますので、農業普及員にそれへの参画を促していきたいと思っております。
〇高橋元委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時55分 休 憩
午後1時3分再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ20人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇千葉進委員 それでは、簡潔にという形でやらせていただきます。
私からは2点。1点目は山菜についてですが、この間、3月11日、東日本大震災津波から7年たったということですけれども、私が住んでいる県南では、やはり放射能に汚染されたということがあって、いろいろな食材、食べ物がだめにされている。その最たるものがシイタケと思うわけですけれども、これから春の山菜のシーズンになっていくわけですが、皆さん山菜は大丈夫だろうと思います。タケノコから始まって、タラノメ、シドケ、ゼンマイ、ワラビなどですが、県南のほうではいまだにそれらが食べられない状況になっているわけですので、これについて、県では出荷制限の解除に向けてどう取り組んでいらっしゃるのか、まずお伺いさせていただきます。
〇田村勝則副委員長 千葉進委員に申し上げます。ただいまの質疑は、第2部の関係での質疑が適当と思われますので、第2部においてお願いします。
〇千葉進委員 済みませんでした。
2点目ということで、じゃ、馬事文化についてお伺いします。
先ほど軽石委員からも話がありました中で、馬事文化プロモーション推進事業がありまして、この間、2月には遠野市でいわて馬事文化シンポジウムもあったやに聞いております。私は行きたかったのですが行けなかったのですけれども、これについて、具体的には軽石委員への回答がありましたので、私からは、馬事文化地域連携連絡協議会について、まず、どういう組織なのかお伺いしたいと思います。
〇菊池競馬改革推進監 馬事文化プロモーション推進事業の中の馬事文化地域連携連絡協議会についてでございますが、設立の目的といたしましては、県内の馬資源及び馬事文化に係る情報を馬事関係者間で共有しまして、広域的な連携、調整により、馬事イベントの円滑かつ効果的な実施に資するとともに、各地域の馬事イベントへの誘客促進に資することを目的として設立いたしております。
〇千葉進委員 それは、どういう形の団体等が幾つ、また市町村は入っているのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 チャグチャグ馬コや南部流鏑馬など、馬関係のイベントが開催されている市町村や、チャグチャグ馬コ同好会や乗馬クラブなど馬を飼養している団体を中心に、協議会設立に関しまして説明とか案内を行い、連絡協議会を昨年11月と12月に開催しております。11月の協議会は市町村を対象としておりますし、12月は馬事関係団体を対象にして協議会を開催しております。
〇千葉進委員 それはわかるのですが、馬がいない地域もありまして、私の地元は千厩ですけれども、馬の産地と言われていた部分があって、馬事資料館というものが千厩の町の中にあります。あまりいろいろなものはそろっていないので、これからその馬事資料館を、もうちょっといろいろな、馬具等も含めて馬にかかわる文化をみんなに見せていこうというような形で、新たに何かできないか模索している部分があったりするのですが、馬事文化という名前がある以上、地域によって馬にかかわる何かをしようとしているところはこことは関係できるものなのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 今年度からの事業でして、協議会の設立に当たりましては、まずは取り組みの第1段階といたしまして、繰り返しになりますけれども、馬関係のイベントが行われている市町村とか、馬を飼養している団体を中心に事業の説明や案内を行いまして、協議会に参加いただいているところでございます。
今後、より多くの市町村や馬事関係者の参加をいただきまして、ネットワークを広げていきたいと考えているところでございます。
〇千葉進委員 特に馬事文化のことにかかわっては、先ほどの回答の中ではインバウンド中心のところもありました。観光という目玉があるのだったら、私どもでも、観光という形のもので、お祭りのときとか何らかの形のときには馬を-借りざるを得ないわけですが-借りながら、馬にかかわるようなものをやって人を集めよう、あるいは馬の模型をつくって展示しようとか、馬具にかかわるものも、ショーケース等ももらう約束を取りつけてあるので、それに入れて飾ろうとかという形でやっている部分があったりするのです。それをやるにしても、自分の地域だけの話で、他地域がどういうことをやっているのかわからない、交流できるものはないかという話等も出ております。
そういう面で、確認ですが、ともにその連絡協議会等とかと連絡をとりながらやっていけるものなのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 今後もネットワークにたくさん加わっていただいて充実を図っていきたいと思っておりますので、先ほど申しました飼養している団体とか、そういう市町村だけでなく、資料館とか馬関係の施設につきましても多く参加いただきたいと、今後、そういうところには御説明、御案内をさせていただきたいと思っております。
〇千葉進委員 じゃ、最後になりますけれども、ぜひそういう面で、その馬事文化プロモーションで何らかの形で支援などもいただくようなものができて、この協議会とかかわらせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 ぜひ、千厩の馬事資料館を初めとする馬事関係施設とか、それから、施設のある一関市とかにも参加していただければと思っておりますので、そちらについては、協議会の御説明と御案内をさせていただきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 大きく2点質問させていただきます。
まず最初に、米戦略についてでありますけれども、先ほど伊藤勢至委員ないしは関根委員から質問がありましたが、その中で若干感じたことを最初に述べたいと思います。
金色の風、銀河のしずくは特A評価をとれなかったわけでありますけれども、私は、一生産者として非常に残念に思ったところであります。なお、北上地区そのものは、金色の風も銀河のしずくも作付をしていない、できないといいますか、そういう地帯なわけでありまして、そういう意味合いでは、この二つの米が他の県産米、私のところはどんぴしゃりをつくっているわけでありますけれども、どんぴしゃりの評価を高めてもらえるのだ、県産米の評価を高めてもらえるのだと思って、今回の米戦略がとられてきたのだと思っております。そういう意味合いでは、生産者として非常に残念だなと感じる一人であります。
先ほど評価が高いと言われましたけれども、食味計では従前どおり高かったですよという話なわけですが、食味計というのは、ただ単なる数値をあらわしただけでありますので、私は、逆に言いますと、20名の人たちの食感が、食べて評価が低かったところに問題があるのだと思っているんですよ。
前にも食味値が高い米を食べたことがあるのですけれども、決してそれがおいしいとは私自身思わなかったわけでありまして、その評価だけではやっぱり難しいのだと。やっぱり人が食べておいしくなければ評価は高くないのだ、このように私は思うわけであります。そういう意味から、これから対策を練っていく必要があるのではないかと思っています。
平成29年産の米が高い評価をとれなかったが、評価が高くて引き合いが強いですよというのは、そういうところからの引き合いが強いだけでありまして、評価が高いから引き合いが強いのだとだけ考えるのは、私はおかしいのではないかと。卸屋さんは今何をやっているかというと、ことしの米をいち早く確保しようということで動いておりますし、もう一つは、来年からでもいいから、大型農家に直接入って、ことしはいいけれども、来年の米からでもいいから譲ってほしい、こういう話まで来ているわけであります。私は、そういうことを考えてこれから対応していく必要があるのではないかと思います。
米そのものの不足というのは、端境期が非常に厳しいのではないかと言われていまして、卸屋さんは、もう外食産業に対しては外国産米を混入し始めているのではないか-とは言っていませんけれども、そのくらいに考えなければいけない。本当に端境期は不足するのではないかと。今からそのことを考えなければいけないというお話もしているわけでありますので、そういうことを含めて、私は、もう一度これからの米戦略について考えていく必要があるのだと思いますけれども、部長、私の話に所感がありましたら、どうぞお願いします。
〇紺野農林水産部長 ただいまは委員から所感をいただいたわけですが、私といたしましては、不足しているから評価が高いということではないと思っております。いろいろな評価があって、その中で、やっぱり食味も相変わらずいいぞという評価も一方であるということでありますので、岩手県産米の実力は評価に値するものだと思います。
ただ、今後の米不足も懸念される中で、どう売っていくかということが私どもに課せられた課題ではないかと思っておりますので、その点も含めて、平成30年産米については、今回の評価も含めて、もう一度原点に返って、生産者とともに米づくりに邁進していきたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 いや、頑張っていただいておりますので、私はそれ以上は言いませんけれども、いずれにしろ、魚沼産コシヒカリを上回る米ですよねということで開発してきたわけでありますので、そのためには、魚沼産コシヒカリと同程度のA評価しか行かなかったというのは、やっぱり評価としてはもう一回考え直さなければいけないし、もう一つは、特に金色の風のほうは、水かげんが非常に難しい米ですよねというお話もあります。そういう意味合いで、消費者にどういう点でアピールしながら売っていくか、買っていただくかということを考えていくことが必要なのだろうと思います。
米そのものも、昔からでありますけれども、やっぱり堆肥をいっぱい投入したところはおいしい米だよねと農家の皆さんが言っているわけでありますから、そういうことも十分考えて対応していただければと思うところであります。
次に、主食用米と加工用米の米戦略ですけれども、作付推進となっていますが、加工用米は価格的に不利なのではないかと私は思うわけですが、どうでしょうか。
〇小原県産米戦略監 昨年12月に公表しました新たないわての美味しいお米生産・販売戦略ビジョンにおきましては、米産地としての地位を確立するための生産戦略の柱の一つとして、新たに、主食用米のシェア確保に向けた取り組みの推進を位置づけたところであり、主食用米のシェア確保に向けまして、実需者との結びつき状況等を踏まえて、既存品種の作付を維持するとともに、金色の風、銀河のしずくの作付を推進することとしております。
また、御質問のありました加工用米につきましては、全国的に需要が拡大しており、県産米についても、大手酒造メーカーなどからの引き合いが強く、取引が拡大しているところでございます。
平成29年産主食用米は、価格が上昇しており、水田活用の直接支払交付金を加えても、なお加工用米と主食用米との価格差が生じていることから、今後につきましては、主食用米の需給バランスや実需者の要望などを踏まえまして、関係団体と連携しながら、作付について検討していくこととしております。
〇高橋孝眞委員 加工用米については、産地交付金をプラスすることによって主食用米と価格的に同じレベルになりますよと、これはよくわかるわけです。ただ、この産地交付金は、次に質問するのですけれども、重点品目として野菜団地をつくろうとしているわけですよ。その野菜団地に対してもっともっとお金を投入するといいますか交付金を手厚くすることによって、私は野菜の産地の拡大ができると思うのです。
そういう意味合いでは、産地交付金はそういう使い方をするべきであって、加工用米として使うのは、私はおかしいのではないかと思うんですよ。そういう意味合いでは、加工用米の価格のほうが不利なので、主食用米に全面的に振りかえていって、次に質問しようとしている野菜の産地化にもっと重点的に取り組むべきだと私は思うのですけれども、その点はどうなのでしょうか。
〇松岡水田農業課長 加工用米に対する交付金ですけれども、大くくりでは水田活用の直接支払交付金というものがありまして、加工用米に対しては、国が2万円という単価を決めて交付しております。国が単価を定めるもののほかに、地域や県で使途を決めることができるものが産地交付金でございますけれども、その産地交付金の中から、加工用米の品質を高めるとか作付けの団地化を進めるということで上乗せをしている地域農業再生協議会も県内にございます。
地域農業再生協議会で、今、来年度以降の産地交付金を検討している段階でございますけれども、その中におきまして、園芸に向けていく産地交付金も当然設定しますし、加工用米に対する産地交付金の使い方につきましても、地域農業再生協議会において検討していただいていると考えております。
〇高橋孝眞委員 そういう意味合いでは、片方では野菜団地をつくろうとしているわけでありますから、地域農業再生協議会で十分考慮できる内容ですよと、このことはそのとおりですから、そっちのことを含めながら考えていく必要がある。そして、そういう誘導の仕方をしていかなければいけないのではないか。その意味でも、加工用米をもっともっと減らして主食用に向けていくべきだと思うのであります。
それはそれで考えていただくことにしまして、外食なり中食での業務用米の取り組みについては、新戦略はどのように考えておられますか。
〇小原県産米戦略監 県は、農業団体と一体となりまして、これまで業務用米につきましては、直播栽培の導入等による生産コストの低減に加えまして、実需者との結びつきの強化など、安定的な販売先の確保に取り組んでまいりました。
その結果、先般公開されました国のデータによりますと、平成28年7月から平成29年6月までの県産米の業務用向けの販売割合が52%ということで、これは全国9番目の実績となっております。
今後におきましても、実需者ニーズに対応しました品種配置や生産コスト低減技術の導入に加え、良食味で多収の品種開発など、実需者などの要望を踏まえた安定的な取引の拡大に向けて、関係団体等との連携をより一層強化しながら取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇高橋孝眞委員 業務用米の需要のほうが今は大きいわけでありますので、業務用米として高温に強くて多収である、そういう品種改良といいますか、もう品種を育成していくといいますか市場投入していく段階ではないかと思うわけでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
〇小原県産米戦略監 県では、拡大する業務仕向けに対応した良食味で多収な品種の開発を進めており、平成30年度は、有望と考えられます3系統につきまして、県内4カ所で現地試験を行うこととしております。
また、これら3系統につきましては、平成28年度から、富山県と福井県に依頼しまして高温登熟耐性検定を実施しているところでございます。
今後においても、生産者、実需者の要望に応えられる水稲品種の開発に積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
〇高橋孝眞委員 いずれ取り組んでいるということでありますので、ぜひ、最終的にはどの程度の収量を目指していくのかとか、そういうことをきっちりと整理をしながら、私は農家がもうかる仕組みの品種改良でなければだめだと思いますので、その点を含めて考えていただければと思います。
では、次に移りまして、いわて型野菜トップモデル産地創造事業の施設、野菜団地整備についてでありますけれども、園芸品目としてどういう品目を現在考えているのか、何を生産しようとしているのかということと、具体的には2018年から2020年の3カ年間ですけれども、施設をつくるということになりますと時間もかかってまいりますが、現状で何件を3年間で目標としながら考えているか、それから、要望は現時点でどの程度あるのかについて示していただきたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわて型野菜トップモデル産地創造事業の施設野菜団地整備、いわゆるハウス団地の整備についての御質問でございます。
品目についてでございますが、この事業では、3ヘクタール規模の施設野菜団地の整備により野菜販売額1億円産地を目指すこととしており、このため、収益性の高いトマトやイチゴなどの果菜類を想定しているところでございます。
また、要望件数についてでございますが、今後4月以降に具体的な要望調査を実施することとしているところですが、現時点においても、県南から県北に至る複数の地域から問い合わせが来ているところでございます。
さらに、産地としての規模についてでありますが、この事業は3年間の継続事業としております。先ほども申し上げましたとおり、トマトなどの3ヘクタール規模の施設野菜団地を1年に1カ所、3年間で3カ所程度整備する予定としているところでございます。
〇高橋孝眞委員 岩手県でこういう園芸ハウスでの施設園芸というのはそんなに多いわけではないと思っております。トマトの栽培も考えているようですけれども、トマトそのものは、全国的にはもうある程度過剰感が出てきているのではないかと私は思っているわけでありまして、それがだめだとかいいとかという意味合いでは全然ないのですけれども、適期といいますか、収穫時期をずらすとか、それらを含めた中身を十分考えていく必要があるだろうと思います。
それから、イチゴの栽培も考えているということでありますけれども、夏イチゴ、冬イチゴを考えますと非常に難しいものでありまして、夏の四季成りを考えるのか、冬の一季成りを考えるかから始まると思うのですが、それもこれから十分考えていけばいいと思うわけです。
ただ、施設園芸の環境整備をやるということですけれども、環境整備をやるということは、岩手県としてはそう簡単な話ではないのではないかと。多分場所にもよるのだろうと思いますけれども、夏場は開放しなければいけない。いや冷房はするのだというのであればまた別ですけれども、開放するとすれば、ある程度開放してもいいような仕組み、それから、CO2を使いますよといっても、開放してCO2を使ったってそう意味があるわけではないので、そういうことを含めて、私は指導体制を十分とって対応しなければ、約1億円もお金をかけて施設整備をして、最終的にはもうからなかったということになれば大変なわけであります。ぜひ、その体制を県として十分とってやっていただければと思います。
もう一つは、先ほど生産者の関係がありましたけれども、この事業の明細を若干もらいましたが、生産者、実需者、市町村等で構成される協議会が事業主体ということになっているのですが、この事業主体がこの施設を持つということになるのでしょうか、それとも法人化して持つということになるのでしょうか。その辺はどうなのでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 今、事業主体の御質問だったと思いますけれども、このいわて型野菜トップモデル産地創造事業は、2分の1の国庫補助事業に県と市町村が8分の1ずつ支援することで、最終的には4分の3の補助ということになるのですが、国の事業要件の中では、生産者、売り先である実需者、それから市町村等で構成される協議会が事業実施主体になるとなっております。よって、売り先もほぼ確保した上でこの事業に取り組んでいただいて、生産したものを年決めして契約率5割以上で実需に供給していくことになります。
ただ、実際には、自治体でハウスを管理して、そこで生産する主体は生産者となると考えております。
〇高橋孝眞委員 生産者でやることについては、そのとおりいいのですけれども、最終的には、1億円かけますと4分の3で補助金を7、500万円もらうわけでありますが、税法上の関係を見ますと、法人でなければ圧縮損経理はできないわけですね。そういう意味合いで、きっちりとした法人にこの事業をやらせる、集落営農組織だったら集落営農組織を法人化した上で事業をやらせる、そういう仕組みに持っていかないと、最終的に税務処理とかいろいろな面で困ってくると思いますので、注意して対応するといいますか、その辺を考えて指導していく必要があると思います。さっきも言いましたけれども、指導体制を十分とって成功するようにやっていただければと思います。
そう思いますが、部長、どうでしょうか。
〇紺野農林水産部長 この事業を推進していく中ではいろいろな課題があると思っております。先ほども委員から、税法上の課題もあるよという貴重な御意見もございました。そういったところも十分参考にさせていただきながら、本県の園芸が推進するように頑張って対応していきたいと思います。
〇阿部盛重委員 私からも、日本一の美味しいお米の国づくり推進事業費についてお伺いいたします。
伊藤委員、関根委員、高橋孝真委員からもお話がありましたけれども、ブランドの金色の風、銀河のしずくが特A評価からA評価になった要因分析をされて改善に向かっていくということですので、よろしくお願いいたします。
先ほど伊藤委員からも、これから競争激化が見込まれる中で、厳しい制約の中で生まれてきたものですから、高付加価値がついてブランドになるということですが、消費拡大も順調であるとの答弁でございました。もちろん部長を初め幹部の皆様方は、毎日金色の風、銀河のしずくのどちらかを食べられているかとは思いますが、若い奥様とか経験の豊富な奥様からお聞きしますと、おいしいのはわかるのですが、なかなか毎回毎回購入は厳しい、主食までは行かないという生の声もございます。
答弁では、生産者から消費者へどんどん広げていくということですが、その点、具体的にはどのような形で進まれていくものかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 今般、金色の風、銀河のしずくの早期ブランド化に向け、関係機関や有識者等による検証を踏まえて、平成30年度からの3年間を期間とする新たないわてオリジナル品種ブランド化戦略を策定したところでございます。
今後は、この新戦略に基づきまして、金色の風につきましては、全国に誇る最高級米として、おいしい御飯にこだわる人から愛され続けるお米を目指して、百貨店や米穀専門店、高級飲食店などを、また、銀河のしずくは、岩手の顔として、県内外から広く愛されるお米を目指し、米穀専門店のほか、生協あるいは量販店などを主な取引先として、販路の開拓に取り組むこととしております。
さらに、PRといたしましては、大手家電メーカーなどとの連携、あるいは東京2020オリンピック、パラリンピックなどスポーツイベントを通じたPRなど、関係機関、団体が一体となって、オリジナル品種のブランドの確立に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 先ほどそのお答えもお聞きしたのですけれども、直接、岩手県民といいますか近隣の方々、生産者から見れば隣近所ということになりますが、そういう方に対してのアピールはどのような形になっていきますでしょうか。
〇小原県産米戦略監 金色の風、銀河のしずくの県民へのPRあるいは買っていただく工夫という御質問かと思います。
昨年の実績を申し上げますと、金色の風につきましては、生産量約500トンのうち、県内の流通が半分以上の300トン程度となってございます。これは、県民が率先して新たな品種を愛していただけるということで、販売の仕向け先等についても工夫をさせていただいております。
また、銀河のしずくにつきましては、金色の風に比べますとややお手頃というところもございます。そして、県内の流通量も非常に多くなっておりますので、今後におきましても、CMとかイベントとかといった機会を捉えまして、この二つのオリジナル品種を県民の方々に愛していただきまして、県民米として育てていきたいと考えてございます。
〇阿部盛重委員 約300トンの県内の流通ということですが、基本的にはいろいろなお店等、業務的なところがメーンかと思うのですが、なかなか一消費者まで届いていないのが実情かと思っております。ですから、お値段的なものは、もちろんブランド品ですからわかるのですが、もうちょっと小分けにしたり、それから、年何回か例えば特別な価格で提供されていくとか、そういう工夫、改善は今後あり得るものでしょうか。
〇小原県産米戦略監 アピールに関するイベント等は、団体と調整しながら開催したいと思います。また、価格につきましては、これは販売、小売等の御事情もあろうかと思いますので、それにつきましては、また、関係団体と相談をしながらということになろうかと思います。
〇阿部盛重委員 要するに特A評価からA評価になった状況で、岩手県民の皆さんが、これではいけない、我々が食べてもっともっと盛り上げていこうというものも必要になってくるかと思うのです。そういった場合に、やはり御家庭を持っている奥様方は、どうしても一番は値段に行きますので、そこをある程度考慮する必要性もあるかということでございます。これは、ぜひひとつ工夫をお願いできればと思います。
それから、平成30年産の作付面積もふえるのですけれども、品種が変わることによりまして、長年続けてきた栽培知識、経験が、という生産者の不安もあるかと思うのですが、生産者の不安払拭はどのように対応されていくのかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 まず、平成30年産の作付計画ですけれども、金色の風が約220ヘクタール、銀河のしずくが約1、360ヘクタールとなっておりまして、平成29年産から大幅に拡大する見込みでございます。
このため、県及び地域に設置しております栽培研究会の活動を強化するとともに、新たにリモートセンシング技術の活用などによる品質管理体制の構築や、高精度食味分析器を活用したたんぱく質含有率などの分析、そして、栽培管理へのフィードバックなど、高品質、良食味米の安定生産に取り組んでまいります。
〇阿部盛重委員 いずれ、新しく生産される方々は、いろいろな角度から研究、開発をなさっていると思うのですけれども、やっぱり不安がないということはあり得ないと思いますので、適時の指導をよろしくお願いいたします。
次に移ります。農作業事故防止についてですが、1日平均1人死亡する業種は農業以外にはないと言われております。今月から春の農作業安全運動が始まりますけれども、全国では2016年の死亡事故が312件、本県は9件で、前年比2件ふえている状況です。高齢農家の犠牲者が多く、トラクターなど農業機械の事故が7割を占めているという状況ですが、平成30年度の本県の指導内容はどのようになっておりますでしょうか。
〇松岡水田農業課長 県では、県警や農業関係団体などと構成します岩手県農作業安全対策協議会を中心に、農作業安全運動を展開しておりまして、平成30年は、地域や家庭での高齢者等への事故防止の声かけを初め、農業機械の始業前点検やシートベルトの着用など安全確認の励行のほか、労災保険への加入促進を重点事項とし、ラジオ広報などによる呼びかけを行いまして、安全意識の醸成を図ることとしております。
これから農作業が本格化いたしますが、4月15日から6月15日の2カ月間を春の農作業安全月間として設定し、引き続き市町村、関係機関、団体と一体となって農作業事故の防止に取り組んでまいります。
〇阿部盛重委員 いずれ、事故は気の緩みが一番大きいかと思いますので、今のような御指導を含めて、気を緩めないような対応もお願いできればと思います。
それから、全国で農作業安全アドバイザーという資格もありますけれども、県では、農作業安全の指導者養成にどう取り組むのかお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 県では、農作業安全の指導者の養成を目的といたしまして、農作業事故の発生要因や事故防止のポイントなどを内容とします農作業安全講習会を開催しているところでございます。
この講習会は、市町村や農協、農業改良普及センターなどで新たに農作業安全担当となった職員などを対象にしておりまして、県内各地から毎年20名程度が参加している状況でございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。ぜひよろしくお願いいたします。
最後に部長にお伺いいたします。
米の生産調整が2018年から廃止されまして、生産現場では、大量生産でコスト削減を目指す農家と現状維持を続ける農家の二極化が始まると思われます。米増産で価格が崩れまして、零細農家は対応が難しくなり、耕作放棄地が広がる可能性もあるかと思われますが、県としてどのように分析されて、どのような対応をされていくのか、所見をお伺いいたして、終わります。
〇紺野農林水産部長 耕作放棄地への対応についてでありますが、県ではこれまで、耕作放棄地の発生防止に向けましては、中山間地域等直接支払制度を活用した農業生産活動への支援等を行うとともに、再生利用に向け、国の交付金を活用した刈り払い作業や土壌改良、農地中間管理事業による担い手への農地集積を進めてきたところであります。
こうした中、平成30年度から米政策が大きく見直されますことから、引き続き農家所得を確保するためには、主食用米と転作作物の最適な組み合わせによりまして、体質の強い水田農業を確立することが重要であると考えております。
このため、関係機関、団体、県で構成いたします岩手県農業再生協議会におきまして、今後5年間の水田農業の推進方針を策定いたしまして、これを受けて、市町村や農協等で構成する地域農業再生協議会が、それぞれの地域の条件に適合した推進方針を策定するとともに、県農業再生協議会が示した生産目安をもとに具体的な生産計画を策定しているところであります。
今後は、この生産計画に基づきまして、消費者、実需者に支持されるブランド米、業務用米など、需要に応じた米生産を進めますとともに、水田活用の直接支払交付金を活用した飼料用米や大豆等への転換、いわて型野菜トップモデル産地創造事業、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業などを活用した野菜、花卉等の高収益作物の生産拡大を促進していくこととしているところであります。
こうした取り組みを関係機関、団体が一体となって推進いたしまして、農業者の所得向上に取り組んでいきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 まず、リンゴについて聞きたいと思います。何点か要旨を出していますけれども、総合的に聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
初めに、実は県産リンゴの将来戦略ということを事前にお聞きしたのでありますが、岩手県果樹農業振興計画における2025年度目標、リンゴの販売金額の目標値はありませんが、栽培面積、品種構成の目標については伺いました。栽培面積は、2025年度は2、400ヘクタール、現在2、540ヘクタールですから140ヘクタールの減少と。しかし、生産量については、2025年度は5万トン、現在が4万6、500トンですから、3、500トンの増加という目標を立てておられます。
実は、私が不思議に思ったのが、なぜ販売金額についての目標等は設定していないのかということであります。さらに、リンゴについてはないということですけれども、ほかの品目についてはあるのかないのか、それについてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 販売金額の目標というお話でございますけれども、市場の相場にかなり左右されるのが農林水産物でございまして、牛肉、それから野菜などにつきましても、必ずしも金額というところは目標として立てているものではございません。
〇福井せいじ委員 このほかに生産における課題とか販売促進の取り組み状況もお聞きしたいと思うのですけれども、まず一つ、価格というのは、私は非常に大事な要素ではないかと思うのであります。生産農家が食べていくには、やはり価格が大きな課題になっていくと思うのですね。幾ら量が売れても、ある程度の金額がなければ生活できない。これは貨幣経済ですから、やはりそういったものが中心になると思います。
市場の動向によって大きく左右されると言いますけれども、では、販売戦略において、高級品を目指していくのか普及品を目指していくのか、量をたくさん売ればいいのか質がいいものを売ればいいのかは、それによってやっぱり分かれていくのではないかと思うのでありますけれども、そういった面ではどういう考えをお持ちなのでしょうか。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 高級品か日用品かというお話でございますけれども、やはり消費者ニーズに合わせて、できるだけ有利な価格で販売できるものということで考えております。
特に、リンゴに関して言えば、やはり消費者に求められるリンゴにどんどん改植していくということで、その結果、例えば、紅いわてですとか冬恋というのは栽培がふえておりまして、このあたりは、ジョナゴールドとか、ほかのリンゴに比べまして非常にいい価格で取引されておりますし、販売数量も上がっているところでございます。
〇福井せいじ委員 そうすると、消費者ニーズに合わせて育成していく、戦略を立てていくでよろしいのでしょうか。例えば米あるいは園芸、畜産というさまざまな品目があると思うのですけれども、特に、果樹については、私は時間がかかると思うのですね。ことし、例えば高いリンゴが売れた。じゃ、来年高いリンゴを売ろうといっても、すぐには、時間がかかるわけですね。例えば木を植えて、木が成熟して大人になって初めて実が出てくる。これは何年かかるのですか。そうすると、市場ニーズに合わせて生産構成を変えていくという、そんなフレキシブルな戦略は立てられるのでしょうか。そこは疑問に思うのですけれども、いかがでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 果樹経営の場合、新しい苗を植えて改植をして、その後に収穫になるまで5年ぐらいかかります。その収穫までの未収益期間を支援する国の補助事業とか改植を支援する事業もございまして、これらを使いながら、また、できるだけ早く実をつけるために、2年ものの大苗を植えて早目に実をならせるといった新技術もございます。そういったものも使いながら、収益性、生産性を上げる取り組みをしているところでございます。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 時間については簡単に、1年で展開できるというものではございませんけれども、例えば冬恋でいいますと、平成25年度に県内の販売額が3、600万円、これが平成29年度には1億円、出荷量も、2.6倍までふえております。これは、量がふえることによって、これまでは県内だけでおさまっていたものが、仙台、東京で取引されて、東京では専門店で1個2、500円ぐらいで取引されるまでのものになっております。
高いものが非常に、逆に言うと高いものが売れるというのが今の状況でございまして、これがまさにブランドだと思っております。こういったものを推進していくことによって、これが生産者に還元されていくのかなと考えております。
〇福井せいじ委員 何か戦略の筋書きができているような気がするのですけれどもね。私は、そういった意味で、資料をいただいて、例えば、県民のリンゴの消費量を見ますと、実は総務省の家計調査で平成26年から平成28年の平均購入金額が、盛岡市が全国1位で1万999円、2位が長野市1万505円、3位が福島市、そして4位が青森市なのですね。購入数量では青森市が1位です。そういった中で盛岡市が3位。
この前、課長とも、これってどういう傾向なのですかねということをお話ししますと、盛岡市では、比較的贈答品が売れているということをお話ししていました。私は、まさに先ほどの両課長の回答とあわせると、戦略は描けるのではないかと思っていました。
確かに、リンゴというのは全販売金額におけるシェアでは10%を切っていますけれども、私は、岩手県の農産品の一つのブランドとして、これはエースになり得る商品ではないかと思っています。一昨年ですか、私はあるイベントで岩手の農産品を売りに行ったとき、リンゴを売りました。あっという間に売り切れるのですね。リンゴは評判がよくて。
そして、長野県から岩手県に転勤してきたある人から言われたのは、これまではずっとお歳暮で長野のリンゴを送っていたけれども、岩手のリンゴを食べてびっくりした。非常においしくて、実は、食べてからは、岩手のリンゴをお歳暮に贈っているということで、プレミアムアップルの産地としては、岩手は非常にすばらしい産地になり得るのではないかと。
ここに私は戦略の一つの道筋があるような気がするのですけれども、部長、こういった戦略を立てて、リンゴの栽培、そしてまた、栽培家の育成に取り組んでいってはいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇紺野農林水産部長 そのとおりでございまして、ただ、先ほど来のお話ですと、販売額幾らというものはなかなか立てづらいということではありますけれども、我々としても、岩手のリンゴについては、高級志向というイメージができ上がっていますので、やはりそこを中心として今後販売を展開するのが、農家の所得に一番つながるのではないかと思っております。
そういった意味で、県内、また県外の需要拡大も図っていくということで、私の取り組みでありますけれども、昨年、岩手アップル2Weeks2017を、県内消費を高めるには、こういうものを企画したらいいのではないかということで投げかけて、我が部の職員がああいった取り組みをした。また、台湾、タイにおきましても、ある農協と一緒になって、他県よりもはるかにすぐれた我が県のリンゴを、リンゴの消費が高まっている東南アジア市場でも何とか高く買ってもらうということで、いろいろなところにセールスをかけたところであります。
先ほど他県のリンゴのお話が出ましたけれども、タイ、台湾でも見たのでありますが、はっきり申し上げて、我が県のリンゴのほうがはるかに品質のすぐれたものを出しているということでありますので、私は自信を持って帰ってきたわけです。
今後も、そういったことで、品質のいい、高いものを、国内はもとより、国外にもどんどん輸出していきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 ぜひそういった、価格だけにこだわらない戦略の立て方というのはあると思います。どういった形で育成していくかという戦略も立てていっていただきたいと私は思っております。
そこで、生産農家について一つだけお聞きしたいのですけれども、農家の方々に聞きますと、やはり後継者が非常に問題だと言っております。さらに、せっかく育てた自分の圃場を、先ほど言ったように時間をかけて育ててきたという中で、やはり後継者がいないのは非常に寂しいことだとおっしゃっていました。
そこで、御提案ですけれども、新規就農の親元就農の場合の補助金というのはあるのですが、これを、定年後にもう一度帰農する場合、例えば自分の実家に帰ってもう一度リンゴ栽培をしよう、これは就農ではなくて帰農ですけれども、こういった帰農の助成制度もつくってもいいのではないか。
例えば、定年から年金をもらうまでの間とか、あるいは事業が円滑に推進できるようになるまでの間、ある程度、帰農した後の助成金をつくっても、私は、これまた人手不足対策というか後継者の確保対策になるのではないかと思うのですけれども、こういった制度についてはいかがなものでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 定年帰農者に対する支援制度についてでありますけれども、現在、旧青年就農給付金は、年齢制限がありまして、一定の年齢以上は交付対象にならないとなっています。それは、すなわち資金力に乏しい若い人たちの経営を安定させるということで、直接的にそういった交付金の支援はありませんけれども、例えば、地元に帰ってきて新しく果樹をやりたいとか何かをやりたいといったことに対しましては、基本、定年帰農者も対象とした就農相談は行っております。その上で、技術がまだ足りないということで習いたいといった場合については、農業大学校で、年齢に関係なく、初めての人たちを対象とした講座を設けております。
さらに、必要な機械などにつきましても、一定の条件を備えれば県単事業などの対象になっておりますので、どんどんそういったやる気のある方々に、農村に帰ってきていただきたいと思っております。
〇福井せいじ委員 そうすると、そういった支援する制度があるということでしょうか。帰農者に対するある程度の期間の助成とか支援制度があるということでよろしいのでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 直接的な交付金という形は、年齢制限がございますので限られるのですけれども、それ以外の技術支援であるとか、それから、園地の紹介といったものについては、新規就農の相談あるいはその後の研修の中で行っております。
〇福井せいじ委員 わかりました。そういう方は、定年になってしまって収入が絶たれると。また、年金までの間のつなぎ就農というか、つなぎ帰農というか、そういった制度が欲しいということもお話しなさっていましたので、そういう意味では、どんどん就農者を受け入れるような制度づくりにも取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
〇菅野ひろのり委員 私からは、まず、いわて型野菜トップモデル産地創造事業について伺います。
この中身は二つありまして、まず、環境制御装置を用いた事業について伺いたいのですが、県内4カ所にモデル拠点として整備する方針ということでございますが、岩手の施設野菜産地をどのように形成していこうと考えているのか、本県の施設野菜産地としての展望、ビジョンをお伺いしたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 岩手の野菜産地の展望についてでございますけれども、県では、これまで、各地域の気象や立地条件を生かしながら園芸産地の形成を図ってきたところでございます。近年は、高齢化の進行などに伴いまして生産者が減少してきており、産地を維持、発展させていくためには、生産性の向上や規模拡大、加えて意欲ある担い手の確保、育成が重要であると考えているところでございます。
このため、今般、水田等への高収益野菜の作付拡大により、野菜販売額1億円産地の形成を目指すいわて型野菜トップモデル産地創造事業を平成30年度当初予算案に盛り込んだところでございます。
この事業は、中山間地域を含む全県での活用が可能でございまして、加工、業務用野菜の生産に必要な高性能機械の導入やパイプハウスの団地的整備に加えて、ICTの活用により単収を飛躍的に向上させる環境制御装置の導入などを支援することとしております。
この中で、次世代型施設園芸モデル拠点整備については、圃場が小さく、農地集積が進みにくい中山間地域においても短期間で効率的な産地づくりが可能となることから、地域の声もお聞きしながら、この環境制御装置の積極的な導入を進めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 今回のこの事業は、30アール当たりの要件とパイプハウスの耐用年数10年の要件がついています。きのうも課長とお話しさせていただいた中で、販売額1億円の産地をつくるのだと。その産地をどのように考えていますかというようなお話をさせていただきました。1経営体で販売額1億円の農家でもこれは産地と言えるのか。また、複数の農家が集まることで産地ではないのかというような議論だったわけですが、この中で、1経営体でも販売額1億円であればそれは産地という認識をいただいたわけであります。
今回、この事業で大事なのは、まずは4地区で中核経営体、先進的な農家をつくると。そして肝心なのは、この後、その地域の農家がどれだけ具体的にその施設園芸を始めることができるのか。本県は畑作の中で4割ちょっとが施設園芸ということですけれども、非常にそれが重要だと思います。特に中山間地域は、規模が小さく30アールの要件を満たさない農地がたくさんあると思うのですが、改めて、中山間地域に絞って、その産地形成をどのように行っていく考えなのか伺いたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 本県の中山間地域は、多様な気象条件や変化に富んだ地形を生かして、地域の核となる担い手を中心として、小規模、兼業農家など多くの農家が生産活動に携わっている現状にございます。また、多様な農家が参画した農業生産活動などを通じて、地域で農業者の所得向上を実現していくことが重要であると考えております。このため、この事業では、野菜の生産部会を含む生産者、また、実需者等で構成する協議会が主体となって、野菜産地販売額一億円計画を策定して、地域全体として産地づくりに取り組むこととしております。
また、事業に取り組む経営体に対して、県、市町村、JA、全国農業協同組合連合会岩手県本部で構成する集中支援チームが、生産対策として、需要に応じた品質選定や大規模栽培に応じた効率的な作業体系の導入を支援するとともに、経営対策も、大規模栽培に適した労務管理能力の向上や資金繰り計画の作成を支援することとしております。こうした取り組みを通じて、中山間地域における野菜産地づくりを強力に進めていきたいと考えているところです。
〇菅野ひろのり委員 まさに、先ほど菊池総括課長がおっしゃったように、生産部会単位で、地域全体が盛り上がるような仕組みづくりをしていかなければいけないと思っています。
今回、国の助成事業の中で、30アールの要件、そしてハウスの耐用年数の要件を変えるのはなかなか難しいと思うのですが、現実的にこれでは裾野が広がっていかない。まずは予算を集中的に投資して大きいところをつくるのだという使い方のみになってしまい、本当に産地が広がっていくのかというと、これはなかなか難しいと思います。これは要望になってしまいますけれども、ぜひその視点を持っていただいて、広がりをつくっていただきたいと思います。
あと、先ほど答弁の中で、産地の立地条件を生かして重点的にというようなお話がございました。総括質疑の中で、高橋孝眞委員が、戦略的に重点的に産地を形成していったほうがいいのではないかと。私も同じ考えを持っています。お伺いさせていただいたところ、平成22年から平成24年に純情野菜10万トン・300億円プランというのを過去につくって、県主導で一生懸命やったと。ただ、これは農家の自主性を阻害したというのか、合わなかったところがあって達成できなかったというようなことをおっしゃっておりました。
ここで改めて伺いたいのですが、産地を重点的に、例えば江刺だったらトマト、花巻だったらタマネギ、ジャガイモであるとか、そういうふうにすることによって、ちょっと突拍子もない話になってしまうかもしれないですが、例えばカルビーやイオンなど、野菜を必ず必要とする企業体を誘致するため、一つの農家だけがジャガイモをつくるだけではなく、その地域の周辺の農家も幅広くつくっていくことが私はできるのではないかと思っていますし、県もそういう大きな枠で旗振りをしていただきたいという願望を持っています。
そこで伺いたいのですが、戦略的に県全体を見通しながら野菜をどういうふうにつくっていく必要があると考えているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 岩手県における野菜の生産振興をどう進めていくのか、特に地域ごとにモデル的な取り組みを強く進めていくべきではないかという御質問だったと思います。
岩手県では、現在、野菜生産部会が主体となって取り組む野菜産地拡大実践プランにおいて、自分たちの課題は何なのか、自分たちの部会は今後どういう方向に進むために何が必要なのかということを議論していただきながら、その課題解決に向けた取り組みをそれぞれの部会で設定していただくということを進めております。これに対しては、現地の農業改良普及センターや広域振興局、農林振興センターも部会と一緒になって課題解決に向けた取り組みを支援しているところでございます。
そういう地域の現場の生産部会がみずから考えることが非常に大事だということで、これまで、そういった方向性を大事にして、地域ごとの課題をどう解決していくかを県全体の野菜成長ビジョンという形でまとめて方向性を示し、県として支援してきているところでございます。
今後は、いわて型野菜トップモデル産地創造事業等を使いまして、特に、ハウス団地の整備、環境制御装置の使用により、地域での加工、業務用野菜の収量を飛躍的に向上させる取り組みについて、モデルとなる取り組みを応援してまいりたい。そのモデルを核に、そこから周りに野菜産地を広げていくことを進めていきたいと考えております。
あわせて、次期総合計画に向けて、野菜の生産振興方針の見直しの時期にも来ておりますので、そういったことに取り組みながら、本県野菜のさらなる生産振興に努めてまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 今、野菜産地拡大実践プラン等を生産部会等も自主的というか計画を立てながらやっているわけですけれども、それを見ても、例えばJA江刺は生産者数の増加目標を立てていますが、目標74名に対して実績69名で、達成できなかった。中身を見ますと、JAいわて平泉もそうですし、JA新いわてもそうですし、ほとんどバツみたいな実績が多いのです。それは生産収量だったり新規就農者だったり、要は、生産部会単位での目標がクリアできなくなっている事象が非常に多くなっている。その中で、県に今、果たしていただくべき役割として、そういった大枠の中での産地形成をどうしていくのかという旗振りが求められているのではないかと思っていますので、ぜひそれを強く要望したいと思います。
あわせて、GAPの取り組みについて伺いたいと思うのですが、今、県もGAPの取り組みを非常に進めていますし、全国的にも進められています。そのGAPの取得について、教えていただいた件数は今10件ということですが、この中身が全て個人の経営であって、生産部会等の産地単位でのGAP取得が進んでいないのではないかという現状が見られるのですが、どのようにGAP拡大の取り組みを進めていくお考えなのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 GAPを県内に広く普及させていくためには、JAの生産部会など、団体での取り組み推進が重要であると考えております。現在、米や野菜など複数のJA生産部会がGAP取得の意向を示しておりますが、団体でGAPに取り組むためには、全ての構成員がGAPについて十分理解する必要があることから、個人での取り組みに比べ、時間を要すると考えております。
このため、県では、比較的容易に取り組める岩手県版GAPを優先して進め、JAグループと連携しまして、研修会の開催やGAP実践に向けた部会リーダー養成を行うなど、団体でのGAP取得が円滑に進むよう、きめ細かな指導を行っていくこととしております。
〇菅野ひろのり委員 このGAPについてですけれども、県版GAPは費用がかからないんですよね。もともと年間40万円から80万円ぐらいかかると。そして、GAP自体が付加価値ではなく基本的な生産工程管理なのだという意識の中で、農家がこれを取得する意味は何だというのがやっぱりまだまだ伝わっていかないのかなと。さらに、無料である県版GAPが広がっていかないというのは、コストではないところに課題意識があるのだろうと思っています-付加価値とか体制ですね。この県版GAPがどうしたら広まっていくか、もう一度お考えをお願いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 GAPを進めていく上で一番の課題は、やはりGAPの理念、農業生産を見詰め直し、改善することによって経営自体がよくなるということを理解していただくことが何よりも重要と思っております。現在、GAPを構成するいろいろな要素がかなり複雑に見える部分もありますので、そういった部分をかみ砕いて、わかりやすく理解していただくことで、GAPに取り組むと確かに農業経営がよくなるということが直感、実感できる形になっていけば、より多くの方々に岩手県版GAPを含めてGAPの取得に取り組んでいただけるのかなと思いますので、そういったことを進めていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 ぜひその取り組みを強化して、私の地元でも、取得したいのだと。ただ、まとまらずに広がらないと。そして、2020年の東京オリンピックが契機になるということは、その前の年までには確実に取得しておかなければいけないというのがあります。ことしが勝負ではないかと思っていますので、取り組みをお願いしたいと思います。
あわせて、これは畜産課になりますでしょうか、畜産GAPについて。先ほどのGAPの取得、先日の議員会館で開催された畜産議員クラブのときも豚肉を御提供いただきましたが、岩手畜産流通センターの処理施設建設も今ありますし、JGAPの取得、本県は四つ、これは全て畜産GAPということでございます。それは一つ、経営体が法人であったり処理施設が対応しているところがあったりということが功を奏しているのだろうと思いますが、畜産GAPにおける今後の取り組み、そして畜産GAPが本県畜産業の付加価値向上にどのようにつながっていくのか、その点を伺いたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 畜産GAPについては、食品安全、家畜衛生等の点検項目を定め、実施、記録、点検、評価することにより経営改善を図る取り組みであり、これにより畜産物の安全や品質等が確保され、消費者からの信頼が高まっていくものと考えているところでございます。
このため、県では、JGAP認証取得等の取り組みを推進するため、生産者へのGAP制度の周知とともに、家畜保健衛生所等の職員をGAP指導者として養成するほか、認証取得等を希望する生産者へのコンサルタント派遣を進めることとしております。
現在、委員御指摘のとおり、岩手畜産流通センターのほうでHACCPに対応した最新の処理施設の整備が行われております。こうした動きと呼応しまして、農場段階、生産段階においてもGAP取得の取り組みを進めるといったことで県産畜産物のさらなる評価向上につながっていくのではと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 畜産は本県にとって非常に重要なもので、農業生産の約6割を占めるということなので、引き続きお願いしたいと思います。
次に移りますが、酪農について伺います。
県の酪農・肉用牛近代化計画、これは生産目標を平成25年度約22万トンだったのを微減と。維持するような目標ということでございます。本県の実情は、戸数では全国2位ですけれども、1戸当たりの飼養頭数は全国36位ということで、中小規模の農家が支えている。また、9割が飼養頭数50頭以下ということなので、そういった農家が本当に支えているのだなと思っています。
その中で、今回、いわて乳用牛生産基盤強化対策事業費が計上されています。これは生産技術の普及拡大についての研究費用のようなもので、直接的な増頭対策支援ではないと思います。そして、さまざまな事業、畜産関係、乳用牛関係はマスタープランしかないのではないかと思っていますが、増頭対策がその中、不足していると思いますけれども、生産基盤体制をどのように整えていくのか伺いたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 県内の乳牛の飼養頭数ですけれども、最新が平成29年2月現在ですが、4万2、500頭という状況になっております。この数字は5年前に比べて3、000頭ほど減少しておりまして、この減少要因につきましては、高齢化等により飼養、経営を中止する方がいらっしゃってということもありますが、近年、肉用子牛の価格が堅調に推移しておりますので、乳牛に黒毛和種を交配する割合がふえてきていることにも起因するものと考えているところでございます。
乳牛の増頭に向けましては、これまで国庫事業による牛の導入といったことも行ってきているところでございますけれども、さらに、減少しています乳牛をふやしていくため、後継牛確保が大事ですので、平成30年度の新規事業として、性判別精液等を活用した効率的な乳牛の後継牛確保のモデル実証を進めていくこととしているものでございます。
このモデル実証では、酪農経営にとって必須となる雌子牛の生産効率が従来の人工授精による方法に比べ約2倍になると想定している方法でございまして、これまで以上に効率的かつ確実に乳牛の後継牛の確保が可能になるものと考えているものでございます。
県といたしましては、このような取り組みとともに、規模拡大を志向する生産者の牛舎等の整備、畜産クラスター事業など-それ以外の県単事業などもありますが、こういった事業を活用しながら酪農の生産基盤の強化を進めていきたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 技術的にもともと15%ぐらいでしたか、性判別できるのは。それが3割ぐらいになるということでした。(「もうちょっと上です」と呼ぶ者あり)もうちょっと上ということですか。
この技術はぜひ普及拡大していただきたいのですが、続いて、生産乳量をどうやって維持していくのかという中で、県の酪農・肉用牛近代化計画の中では、メガファームを育成していこうと。本県の実情でいうと、恐らく飼養頭数が100頭規模を超える経営体は10%あるかどうかという状況だと思います。メガファームの課題というのは、1経営体の費用負担が非常に高いこと、また、粗飼料、牧草が多く必要なことです。和牛よりも10倍ぐらい粗飼料、牧草を必要としますし、また、農地の保全やふん尿の処理、こんな課題がたくさんありますし、地域を見たら、農村社会、地域コミュニティーの弱体化があるのではないかと考えています。
日本農業新聞では、国連は、2019年から2028年を家族農業の10年と決め、農業の大規模化など構造改革を加速化する日本だが、こうした世界の潮流を受けとめ、家族農業の重要性を改めて農業政策に位置づけるべきだと指摘しています。
そこで伺いますが、本県の大規模化農業の成果をどのように評価し、県として、規模拡大における課題をどのように認識しているのか伺いたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 本県の酪農経営の実態でございますが、委員御指摘のとおり、そのほとんどが家族経営を中心に酪農が行われているという実態にあります。そうした中で、県内において、1年間の生産乳量が1、000トン以上のメガファームと呼ばれる大規模な経営体が出てきております。この1、000トンという数字ですが、これは生乳の販売額で見ますと1億円を超えるような経営体になるのですけれども、こういった経営体が県内には今14ございまして、ふえてきている状況でございます。
このメガファームにつきましては、酪農家の戸数が減少する中にあって、県の生乳生産量の維持に寄与しているものと考えておりますし、また、飼料の収穫、供給を行うコントラクターやTMRセンターなどとも連携した酪農経営の新たなビジネスモデルとして、地域の雇用の場の創出にも寄与しているのではないかと考えているところでございます。
一方で、メガファームにつきましては、先ほど申し上げましたとおり経営規模が非常に大きいものでございますので、一旦経営不振となった場合には、地域経済への影響といったことも懸念しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 メガファームは岩手県としても重要な経営の手法の一つであるとは思っていますが、地域や経営体における負担が非常に強いもので、リスクもあるものだと思っています。ここを県が、例えば畜産クラスター事業で投資するから、あと、経営はお願いねというだけでは、今はもう産地を守れなくなってきているのではないかと思っています。
では、どうするのかという中で、一つは、やっぱりその地域の特徴に合わせた農業、特に県北などはいろいろな工夫をされています。資料をいただいた中では、放牧酪農の取り組みは、一戸町、軽米町、九戸村、岩手町、田野畑村、岩泉町。代表的な牧場であるなかほら牧場のようにその土地の特性を生かした農業をしているところもありますから、大規模一辺倒ではなく、そういった特色のある農業を大事にしていただきながら酪農を進めていただきたいと思います。
最後に、酪農における新規就農者の確保について伺いたいと思いますが、これは初期投資が非常に高いと。新規就農の場合、畑作は500万円以下が6割から7割に対して、酪農は3、000万円から5、000万円が60%から70%ということで、非常に高いと思っています。
先ほど親元就農の話もありましたが、今後、後継者育成支援をどのように考えているのか、その対策と人材確保について伺いたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 本県の酪農を今後においても持続的に発展させていきたいと考えているところでございますが、このためには、酪農経営に意欲を持って取り組む新規就農者の確保、育成とともに、乳牛や施設、機械といった初期投資を抑えまして、新規就農しやすい環境を整えていくことが重要と考えております。
新規就農者の確保に向けましては、就農相談の開催のほか、大学生を対象とした酪農の生産農場での研修といったこと、さらに、飼養管理技術を習得するため、酪農ヘルパー利用組合での雇用支援といったことを行っております。また、県内には、経営中止により活用されていない酪農牛舎や機械があるほか、後継者がいないため、経営中止等を検討している生産者もいらっしゃいます。このような情報を収集いたしまして、就農希望者とマッチングするといった取り組みも行っているところでございます。
こうした取り組みによりまして、県内では、経営中止を検討していた生産者の経営を継承して就農するといった事例も出てきておりますので、引き続き、酪農の新規就農者が増加していくよう取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇城内よしひこ委員 私からは、野生動物による農業被害についてお伺いしたいと思います。
午前中も千葉伝委員から質疑がありましたけれども、鹿、イノシシ、猿、熊等の被害の状況と、平成30年度どのような取り組みをされるかについてお伺いしたいと思います。
〇中村担い手対策課長 野生動物による被害の状況についてでありますが、野生鳥獣による農作物被害は平成25年度以降減少傾向にあり、平成28年度は約3億9、800万円となっています。その内訳は、ニホンジカによる被害額が約2億2、000万円と全体の過半を占め、ツキノワグマが約3、500万円、イノシシが約600万円、猿が約70万円などとなっています。
次に、鳥獣被害防止対策についてでありますが、県では、これまで、市町村や猟友会などで構成する地域協議会が行う有害捕獲や、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の普及に加え、里山周辺の除間伐や雑草の刈り払いなど、野生鳥獣を人里に寄せつけない対策に取り組んできたところです。
平成30年度におきましても、こうした取り組みを継続するとともに、新たに猟友会と地域住民が一体となって被害防止活動に取り組むモデル地区を県内3カ所に設置することとしており、市町村や関係機関と連携しながら鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 午前中来話しているとおり、農業後継者が県内には少なくなって、里山の環境が守られなくなってきて、その結果、環境が余りにもよくなり過ぎて鳥獣が大発生していると私は思っています。今、モデルケースの話をされましたけれども、高齢の方々だけで里山を守っていくというのは非常に困難であります。電気牧柵等で守るという話もありますけれども、それとてなかなかうまくいっていない状況が私は見受けられると思っています。
なお、野生動物も実は拡散し出していまして、北のほうに行っています。猿も、南のほうから来ているのかもしれませんが、宮古地区にも来ています。宮古地区は、田んぼもなかなか難しい。果樹も、頑張っている人もいますけれども、なかなか難しい。一生懸命つくって育てたおいしいお米を鹿が食っていく、鹿を肥育しているのではないかという話もあるぐらい。牧野もありますが、牧野にもたくさん牧草をまく。そうすると、柵を越えて鹿がおいしそうに食っている。そういう状況が今あるわけであります。絶対にこれは農業被害以上の被害があると私は思っています。その辺の声なき声もちゃんと聞き取って、有害鳥獣をしっかりとした適正数にするべきではないかと思います。
環境生活部でも取り上げて話をさせてもらっていますけれども、やはり保護と駆除という表裏一体ではありますけれども、既にもうハンドルは切られなければならない時期に来ていると思っています。確かに鹿については1万頭ずつ駆除していると言っていますけれども、でも、これが拡散して倍倍にふえていくということは決してよくない環境にあると思っていますから、その辺の対策をどのようにとっていくか、部局横断的な連携も含めてお伺いしたいと思います。
〇中村担い手対策課長 有害捕獲につきましては、午前中お話ししたとおり、環境生活部の個体数の管理とともに、我々農林水産部における農作物の有害捕獲と連携してやることが重要と考えておりまして、平成30年度におきましても、この二つの対策が連携できるように、それぞれの捕獲数、時期の見直し等も含めて今、検討しておりますので、何とか二つの対策をうまく連携させて強化していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私も議席をいただいてからこの話をずっとしてきています。鹿も4万頭いるという話でありますし、熊も、鹿を食べて冬も丸々と肥えて越冬して、本来であればふえる時期ではないシーズンに多頭で子供を産んでいるという環境があると猟友会の方々が話しています。肉を食うと、熊も油の色がちょっと違ってくるのだそうです。そういうことを話していますので、ぜひしっかりと対応していただきたい。
今後、心配されるのは、イノシシがふえていることと、イノシシが北上していること。そして、猿です。猿はたちが余りよくなくて、人の家まで入ってくるということもありますので、ぜひその辺は、農業被害という分野にとどまらず、しっかり環境生活部と連携をとりながら、ふえないような方策をとってほしいと思います。
次に移ります。
鳥インフルエンザの対策であります。今シーズンは岩手県では鳥インフルエンザが発生しなかった。まずはよかったと思っています。ただ、この鳥インフルエンザ対策というのは、岩手県の主要産業であります農畜産物の中での鳥の部分に大きな影響を与える問題だと思っていますが、その辺の対策の状況、平成30年度どういうふうに取り組んでいくかお伺いしたいと思います。
〇菊池振興・衛生課長 高病原性鳥インフルエンザにつきましては、伝染力の強さや高い死亡率から、一たび蔓延いたしますと養鶏産業に及ぼす影響が極めて大きいことから、水際での侵入防止の徹底と初動防疫体制の充実が重要と考えております。
このため、これまで、鶏を100羽以上飼養する養鶏場-県内に517ございます-に対しまして、県内の三つの家畜保健衛生所の獣医師が立ち入りしまして、野鳥等の侵入防止の徹底等を指導するとともに、防疫対策を強化していくため、消石灰の配付を1月から行っております。また、初動防疫体制を充実していくため、発生を想定いたしました実動訓練や鳥インフルエンザ発生県の担当者を招いての防疫対策研修会などを行ってきたところでございます。
3月は、渡り鳥が北に帰る時期でございます。まだまだ予断を許さない状況にあることから、引き続き、養鶏業者と連携しながら、野鳥等の侵入防止や消毒などの防疫対策の徹底に取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 ぜひお願いしたいところであります。
そこで、問題提起になると思いますけれども、100羽以下-愛鳥というのでしょうか-飼っている方々に保健所に来ていただいて指導するという勉強の機会がありますが、最近、お便りを出しても来なかったり、行ってもそんなにたくさん人が来ていない。そういう緊張感、危機感がもしかしたら薄れているのではないかと思うのですが、そういった現状というのは捉えていらっしゃるでしょうか。
〇菊池振興・衛生課長 100羽未満の、いわゆる愛玩系といいますか、鳥を飼養している方々につきましては、これまでも、市町村の広報あるいはラジオ、県政番組等を使って、餌づけといった部分についての注意喚起や各種啓蒙活動を行ってきております。
決して意識が弱くならないような形で、引き続き強力に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 飼っている方々はそんなに気にしないで飼っているようでありますけれども、しっかりとその辺を捉えて、自己責任でという範疇ではなく、その責任がみんなで負う責任なのだという意識に持っていけるような形に啓蒙活動をしていただきたいと思います。
次に移ります。
獣医師の状況であります。畜産県岩手を支える大きな役割を果たしてもらっていると思いますが、獣医師の現状はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇菊池振興・衛生課長 県職員獣医師の数でございますが、ことし2月1日現在で122名でございます。このうち農林水産部は73名、欠員が3名となっております。獣医師の不足につきましては、全国的に小動物診療の希望が多く、公務員獣医師を目指す学生が少ないことなどがその主な要因と考えております。
このため、県職員獣医師の確保に向けて、修学資金の貸し付けや獣医系大学の訪問による就業促進に加え、インターンシップの受け入れ、免許所有者の方々の随時募集、初任給の引き上げなど、このような取り組みを行っております。
〇城内よしひこ委員 ちなみに、新年度の採用予定状況はどのようになっていますでしょうか。
〇小島農林水産企画室管理課長 獣医師の採用予定でございますけれども、現時点で、農林水産部におきましては新採用職員4名、任期付職員2名、合わせて6名の採用を見込んでおります。
〇城内よしひこ委員 岩手県はお医者さんが足りないというのがまさに定番になっていますけれども、私は、畜産県岩手とすれば、動物を診るお医者さんもしっかり確保して連携を図っていかないといけない。ましてやいろいろな病気が蔓延している。それを水際で防ぐ、そういったことを連携していく。
広い県土でこれだけの人数で足りるのかなとも思っていますし、公務員獣医師も含めて、民間の獣医の方々の労働環境は決して楽ではないという話も聞いています。ぜひそういうことも含めて、しっかりと岩手県の畜産業を支える環境整備を整えてほしいと思いますが、最後に部長からお伺いして終わりたいと思います。
〇紺野農林水産部長 農業産出額の過半を畜産業が占める本県にとりまして、獣医師は、家畜防疫員として家畜伝染病への対応等に重要な役割を担っておりますほか、畜産物の品質向上、安全性確保等、畜産振興においても大きな役割を担っております。獣医師の安定的な確保は必要不可欠であると考えております。
今後におきましても、総務部と連携しながら、獣医師確保の取り組みを進めてまいります。
〇川村伸浩委員 いわて型野菜トップモデル産地創造事業についてお伺いいたします。
これにつきましては、高橋孝眞委員、それから菅野ひろのり委員からも質問がございましたが、私からは、土地利用型野菜経営展開拠点整備の関係についてお伺いしたいと思います。
私も12月定例会の一般質問で、いわゆる土地利用型の野菜産地をつくって、そして転作の部分でもきっちりと収益が上がる作目なり産地をつくっていくべきだというお話をさせていただきましたが、まさに新規事業で今年度から取り組まれるということでございます。
先ほど答弁の中にもあったわけですが、改めて、まず、どういったイメージをすればいいのか。野菜の産地づくりに対してどういった規模の経営体を育てていくのか。あるいは、総体的に経営体数を県内でどのくらいつくっていくのか。そして、機械を利用したかなり大規模な野菜産地となるわけでありますけれども、その品目はどういったものを想定しているのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわて型野菜トップモデル産地創造事業の土地利用型野菜についての御質問でございますけれども、この土地利用型野菜部門では、機械化体系の確立した加工、業務用のタマネギやキャベツなどの品目を想定しておりまして、販売額1億円の産地形成に向けて、1から複数の経営体で40ヘクタール程度の作付を行うこととしております。こういった取り組みを、集落営農法人などを対象に、1年で2産地、3年間で計6産地の育成を目指しているところでございます。
〇川村伸浩委員 かなりの面積、そして販売額1億円という本当に大きな産地を目標とされているようでありますけれども、先ほどの質問にもありましたが、今、この事業に向けて準備をされている経営体があるのかないのか。それから、やはり大きな産地をつくっていくには、産地もそうですしJAもそうですし、いろいろな協力があって初めてできるものだと思っております。そういった経営体を、6産地と言いますが、どうやってその産地をふやしていくのかということについてお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 現在、この土地利用型の取り組みに対して応募はまだ正式にはとっておりません。4月に入ってから具体的な要望調査をしようと考えておりますが、県南、県央を中心に、2から3の取り組み主体から問い合わせが来ているところでございます。
本事業では、販売額1億円産地の核となるモデル的な農業法人や大規模経営体を育成することとしておりまして、県、市町村、JA、全国農業協同組合連合会岩手県本部等で構成する集中支援チームがモデル経営体の取り組み内容を周辺の生産者に普及させるなど、モデルに続く経営体を育成して野菜産地を力強く拡大していくことを考えているところでございます。
また、ソフト面でのサポートということもあわせて御質問にあったかと思うのですけれども、集中支援チームが、生産対策として、需要に応じた品種選定-土地利用型の野菜に取り組む場合の品種の選定や、これまでに取り組んだことのない大規模な栽培に応じた効率的な作業体系の導入を支援する、また、経営対策として、大規模栽培に対応した労務管理能力の向上や資金繰り計画の作成を支援するなど、きめ細やかなソフト面の支援をしてまいりたいと考えております。
〇川村伸浩委員 やっぱり新たなことを始めるにはかなりサポートが必要だろうと思いまして、集中支援チームががっちりとスクラムを組んでやっていくということであります。当然失敗は許されないわけでありますが、やっぱり県南なり県央の水田地帯で、小麦、大豆ではない作目を導入して産地をつくっていくということがこれからの水田なり土地利用型の中では非常に重要になってくると思います。私も大いに期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
次に、いわてワインヒルズ推進事業についてお伺いいたします。
昨年6月、部長なり課長の方々は行かれたかどうかわからないのですが、花巻市の大迫町で日本ワインフェスティバル花巻大迫がありました。全国から30のワイナリーが来まして114アイテムのいわゆる日本ワインを提供したということで、実は、大迫町というのは5、000人ぐらいの人口ですけれども、そこに2日間で3、700人来たということで、地元の人たちのほうがびっくりしていたということでありました。そのくらい、今、日本ワインに対する注目なり、あるいは人気がかなり上がってきているのはこういったイベントを通しても感じるところであります。
昨年からいわてワインヒルズ推進事業に取り組まれてきて、ワイン用ブドウの生産、あるいは、これから新たにワイナリーを経営していこう、ワインをつくっていこうという方々にとって非常に希望が持てる事業だと思っておりますが、まず、平成29年度、まだ終わっていないわけでありますけれども、その成果がどうだったかお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわてワインヒルズ推進事業の平成29年度の取り組み実績と成果についてでございますけれども、昨年6月に、ワイナリーと自治体、研究機関、流通関係者などで構成するいわてワインヒルズ推進協議会を設立したところであり、この協議会を中心に、ワイナリー開設に必要なノウハウ等の習得のためのいわてワイン生産アカデミーを開講いたしました。加えて、醸造用ブドウ品種の栽培、醸造適性試験やいわてワインを楽しむ夕べの開催による県内消費者等へのPRなどに取り組んできたところでございます。
こうした取り組みを通じて、年度内にアカデミー修了生2名が県内に新たにワイナリーを開設する予定となっております。さらに、先ほど申し上げた、2月5日に盛岡市内のホテルで開催いたしましたいわてワインを楽しむ夕べには約250名の方々の参加をいただき、県内消費者への県産ワインの一層のPRが図られるなど、一定の成果を上げたものと認識しているところでございます。
〇川村伸浩委員 非常に着実に実績が出ているのかなと。特に、アカデミーの修了生が2名、ワイナリーを新たに始めたいというお話があったということで、大変いいことだと思っております。
平成30年度も、新たにアカデミーをやりながら新規にまた受講生を募集しながらやっていくのだろうと思っておりますが、新年度のこの事業をどう展開していくのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 平成30年度の取り組みについてでございますが、平成30年度は、特色ある醸造用ブドウ品種の栽培、醸造適性試験の継続実施に加えまして、いわてワイン生産アカデミーの修了生に対するフォローアップや、ラグビーワールドカップ2019等、各種の関連イベント、大会を契機とした県内外へのPRなどに取り組むこととしております。
また、こうした取り組みに加えまして、本年10月30日から適用される新たなワインの表示ルール等を踏まえた情報発信などにも注力しながら県産ワインの振興に努めてまいる所存でございます。
〇川村伸浩委員 了解しました。
昨年受講した方へのフォローアップも行うということでありまして、それから県内外へのPR、それから表示ルール、いわゆるGIということになりますか、そういったことにも取り組んでいくということでございます。
ことし、2名の方が新たにワイナリーを始めたいということでありますけれども、やっぱりワイナリーを経営していく上での経営ノウハウといいますか、単にワインをつくるだけではなく、経営面という部分も非常に大切になってくるだろうと思いますし、それから、ワイナリー自体を建築といいますか建設といいますか-ちょっと規模がわかりませんが、そういった部分についてのサポートをどうやっていくのか、その辺についてお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 ワイナリー開業への支援についてでございますけれども、ワイナリーの開業に向けては、醸造用ブドウの栽培やワインの醸造技術を含む広範囲にわたるノウハウの習得が重要と考えております。このため、事業では、ワイナリーを開業しようとする方を対象としたいわてワイン生産アカデミーを開催して、醸造用ブドウの栽培技術や病害虫の防除方法、ワインの醸造技術や関連法制度に加えて、農地や資金の確保など、必要な知識を学べる場を提供してきたところでございます。
今後は、アカデミーの修了生等に対する栽培技術や醸造技術のフォローアップを行うとともに、国や市町村などの事業を活用し、ワイナリーの整備についても支援してまいりたいと考えてございます。
〇川村伸浩委員 本当にやる気のある方々に大いにフォローアップをしていただいて、一人でも多くのそういった方に応えていただきたいと思います。
最後になりますが、ワインをつくるほうだけではなく、今話が出てこなかったのですが、ワイン用ブドウの栽培面積をふやしていかないと、出口だけ頑張っても入り口が大切だと思いますが、その辺をどういうふうに今後進めていくのかお伺いして終わりたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 醸造用ブドウの生産振興にどのように取り組んでいくのかという御質問だったと思います。
本県の平成26年の醸造用ブドウの生産量は約318トン、平成17年に比べて約178トン、127%の増となっておりますが、まだまだ今後、醸造用ブドウの生産拡大は必要と考えております。そのために、国の補助事業あるいは県の単独事業などもあわせながら、醸造する、栽培に取り組む担い手の確保などもあわせてさまざまな支援を進めてまいりたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 質疑の途中でありますが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時14分再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、農林水産部関係につきまして延べ13人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、TPP11と日欧EPAの影響試算についてお聞きいたします。
TPP11については今月8日に調印式が行われたと。国会にも国民にも全く知らせずにやったということで、私は、これは極めて重大だと思いますが、国の試算では、TPP11の影響試算は約900億円から1、500億円とされています。牛肉、豚肉、乳製品で輸入量はどう試算されたかわかりますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 TPP11の影響試算についてでありますが、国が公表しました資料によりますと、2016年度におけるTPP11参加国からの輸入量は、牛肉が約32万トン、豚肉が約29万トン、牛乳、乳製品は生乳換算で約277万トンとなっております。
〇斉藤信委員 生乳が277万トン輸入されると大変ですね。私は、今言われたぐらいのものが輸入されて、なぜ国内の生産量は維持されるのか、農家の所得は維持されるのか、食料自給率は維持されるのか。それはどうなっていますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 生産量や農家所得についてでありますが、国からは、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策など国内対策により、生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるとの説明しか受けていないところでございます。
〇斉藤信委員 乳製品がわかりやすいので、私は乳製品について聞きますけれども、277万トン入ってきたら、こんなに余ったら、これは国内の生産量は縮小でしょう。北海道の加工乳が全部本州に回ってしまうと大変な下落ですよ。生乳換算で277万トンも入って、それで何で生産量が維持されるのですか。277万トンも入ったら、酪農はもう崩壊の危機になるのではないですか。岩手の実態から考えてみてください。
〇照井農林水産企画室企画課長 乳製品、特にチーズについて見ますと、本県で生産される生乳の約7割が飲用向けでありまして、チーズ向けの割合は0.3%でありますが、仮に協定が発効され安価なチーズの輸入が増加した場合には、国産チーズの価格の低下あるいは加工原料乳が飲用向けに回ることによりまして、生乳の価格低下などにつながることが懸念されているところでございます。
〇斉藤信委員 県内の7割が飲用だ、だから影響はそれほどないということではないですね。北海道の牛乳はかなりが加工品向けなんですよ。加工品向けはあふれてしまう。それが国内に流通したら大変な暴落ですよ。実は、TPP11で1キログラム当たり8円下がるとなっているんですよ。しかし、1キログラム当たりの価格が下がるというのは関税で下がる。277万トンふえたら暴落ですよ。それでやっていける酪農家はどれほどいますか。岩手の酪農家は持ちこたえると思いますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 輸入量の生乳換算277万トンといいますのは、2016年度における参加国の輸入量としてあらわしておりまして、国におきましては、価格が低下することによりまして、輸入量がどれだけふえるかということまでの試算は示していないところでございます。
〇斉藤信委員 私は輸入量を聞いたんですよ。輸入量が277万トンふえるという話ではなかったのですか。答弁が違っていたのですか。
〇照井農林水産企画室企画課長 2016年度におけますTPP11参加国からの現在の輸入量が、生乳換算で277万トンということでございます。
〇斉藤信委員 だったら、私の質問にあなたは答えなかったということですよ。私は、TPP11で幾ら輸入されるのかと聞いたんですよ。輸入がふえるのかと。生産額が減ると試算されているのだから、生産額が減る根拠は何なのですか。
〇照井農林水産企画室企画課長 生産額が減る根拠についてでございますが、国の説明によりますと、価格が低下することによって生産額は減少するものの、国内対策によりまして、生産量は維持されるということの説明を受けているのみとなっております。
〇斉藤信委員 さっきのあなたの答弁は、牛肉32万トン、豚肉29万トン、乳製品277万トンというのは、ふえる輸入量ではないのね。今の輸入量なのね。じゃ、私の質問に全然別な答えをしたということじゃないですか。だめですよ、そんなのは。わかりますか、輸入量がどのぐらいふえて、生産額が減るか。こんな時間のもったいないことしないでくださいよ。
〇照井農林水産企画室企画課長 TPP11等が発効された場合に輸入量がどれだけふえるかという点については、国から説明を受けておりませんので、詳細について説明することは困難な状況となっております。
〇斉藤信委員 輸入量がわからなくて生産額だけ減るんですよ。そんなばかな話はないんですよ、この試算はね。
それで、いずれ、前のTPPの合意と今回の枠は変わっていませんから、国内で北海道の加工乳が生乳換算で50万トンあふれてしまう、これが大手乳業メーカーの試算ですよ。私は、これがかなり正確なことだと思いますよ。だから、50万トン余るというのが正確な話なんですよ。50万トン余ったって大変ですよ。これが国内に流通したら暴落ですよ。
もう一つ、日欧EPAでは、製品の量で2万トンから3万1、000トンにふえるんですね。生乳換算で何万トンふえますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 国からの具体的な説明は受けていないところでございます。
〇斉藤信委員 そういうこともわからないで県が試算したことに、私は驚きを感じますよ。全然根拠がない。こんなのは計算すればわかるんですよ。製品で2万トンから3万1、000トン、これは生乳換算で40万トンです。だから、TPPで50万トン、日欧EPAで40万トンが生乳換算でふえる。90万トンですよ。どうしてこれで国内の生産量が維持されるのか、所得が維持されるのか。されるわけないじゃないですか。
だから、河北新報の社説がこう書いたのです。これは1月19日付の社説ですよ。これほどまでに現実味を欠いた試算では、農林漁業者らが抱える不安は解消されるどころか、むしろ深まるばかりだ。そう言わざるを得ない。何の根拠もない。
今、裁量労働制のデータが改ざんされた、森友学園のデータも改ざんされた、ねつ造もされた。これは同じ手法なんですよ。いわばTPP11、日欧EPAをごり押しするために都合のいいデータをつくっただけなのだ。何の根拠もない。あなた方も根拠がわからないでしょう。
こんなでたらめで、これは大体95%近く農林水産物の関税が撤廃されるんですよ。これでどうして食料自給率38%の日本の農業が守られるのかと。
部長にお聞きしましょう。こんなでたらめな試算を許していいのか。私は、本当にこんなものを許したら、どんな農業政策を使っても対応できないと思いますよ。いかがですか。
〇紺野農林水産部長 冷静になってお話をいただきたいと思います。(「冷静ってね、それぐらいはわかるだろう」と呼ぶ者あり)黙って聞いてください。(「黙ってということはないじゃないか」「発言の途中でしょう、発言の」と呼ぶ者あり)
〇高橋元委員長 部長、続けてください。
〇紺野農林水産部長(続) 失礼いたしました。
県ではこれまで、国に対して、十分な情報提供を行っていただきたいということ、また、国民的な議論を尽くしてくださいますよう繰り返し繰り返し要望してきたところであります。
そしてまた、国からは、そういった中で、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるとの説明しか受けていないところであります。
そしてまた、その試算につきましても、本県のみならず、他県、北海道においても、同じような試算の仕方で、限られた情報の中で試算してきたところであります。
私どもといたしましても、そうした中で、それに頼るしかないわけでありまして、それに基づいて試算したところであります。
〇斉藤信委員 私は、そういうことを聞いたのではないんですよ。いいですか、でたらめな試算で岩手の農業が守れるのかと聞いたんですよ。あなた方も全然確信がない。ただ国の手法で試算しただけだと。
もちろん責任はあなたにあるなんて言いませんよ。いいですか、国の試算で、こんなでたらめで、全面的に農林水産業を開放して、生産量も維持できる、所得も維持できる、農業も守りますなんていう、こんなごまかしが通用したら岩手の農業は守れないでしょうと私は聞いたのですよ。この肝心なところを聞いてください。肝心なところ。
〇紺野農林水産部長 そういったことから、私どもとしては、TPP、EPAに限らず、体質を強化して、そして岩手県の農業を守っていこうということで、今回の補正予算もお認めいただいたわけでありますし、また、平成30年度当初予算案にもいろいろ盛り込んで対策を講じようとしているところであります。
また、本県への影響額が全くないとは知事も私も言っておりません。実際の本県への影響額がより大きくなることが考えられるということで、どのぐらいの影響額かはわかりませんけれども、少なからず影響は出てくるものということでお答えしているところであります。
〇斉藤信委員 少なからず程度ではないということを私は指摘しておきたいと思う。これは本当にとんでもないことですよ。
当初、TPPが出されたときの影響額は4兆円でした。それは余りにも大きいというので修正して3兆円でした。その次が1、200億円なんですよ。大体、影響額をこんなに恣意的に動かして、いわばTPP11をやっても日欧EPAをやっても、中身は示さずに影響ありませんと言う、こういう安倍政権のやり方は、今の森友問題でも裁量労働制の問題でも同じなのではないかと。私は、そういう点で危機感を持ってやっていただきたい。
確かに補正予算が出されました。国の補正予算は3、170億円、県もそれに基づいて行われましたけれども、これはどうですか。実際に生産量を維持できる、所得を維持できるようなものですか。
〇照井農林水産企画室企画課長 本年2月に成立しました国の平成29年度農林水産関係補正予算では、TPP等の関連政策大綱に基づく政策として3、170億円が計上されたところでございます。
特に、畜産につきましては、畜産クラスター計画に位置づけられました地域の中心経営体に対し、畜舎の整備あるいは省力化機械の導入等を支援し、飼養規模の拡大や飼養管理の改善等、生産コストの低減、販売額の増加、所得の向上を図る対策となっているところでございます。
〇斉藤信委員 私は、これはTPP11がなくても、日欧EPAがなくても、当然やられるべき今までの政策の延長線上だと思いますが、いかがですか。簡単に答えて。
〇照井農林水産企画室企画課長 県におきましては、2月補正予算あるいは平成30年度当初予算案において、約108億円の予算を計上したところでありまして、こうした予算を活用しながら、本県農林水産業の競争力強化対策を打っていきたいと考えているところです。
〇斉藤信委員 今、農林水産業予算が2兆3、000億円なんですね。軍事費の5兆1、191億円と比べたら半分以下ですよ。私は、本当にこれは、農林水産業予算を倍ぐらいにふやすというのならまだわかるけれども、この程度の補正予算で全面自由化に対応する、生産量を維持するなんていうのは、全く根拠がないということを指摘しておきたいと思います。
次に、本県農業の実態と課題についてお聞きしますが、米の直接支払交付金が来年度から廃止されます。私は、農家の所得が大幅に減少するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。あわせて、米生産農家の赤字はどのぐらいふえるか示してください。
〇松岡水田農業課長 平成28年度の本県への米の直接支払交付金の交付額は30億2、000万円で、交付件数は3万1、904件となっております。
経営規模別では、水稲作付20ヘクタールの経営体では約150万円、100ヘクタールの経営体では約750万円が交付されていたところでありまして、交付金の廃止は、大規模な経営体ほど影響が大きいと考えております。
それから、米の直接支払交付金が廃止された場合の試算についてですけれども、平成29年産米の相対取引価格は、主力品種のひとめぼれで60キログラム当たり1万5、122円となっております。米の直接支払交付金を加えた10アール当たりの収入は13万507円と見込まれます。
一方、全国の平均的な規模の全算入生産費では、10アール当たり12万9、585円となっております。
これらをもとに収入から生産費を差し引きますと、10アール当たり922円となり、米の直接支払交付金を除きますとマイナス6、578円となります。
〇斉藤信委員 結局、今、米価が米不足で幾らか取り戻しつつある。それでも、今答えたように6、578円の赤字になる。赤字は拡大すると。これは、ますます農業がやっていけなくなると思いますよ。
私が昨年10月の決算特別委員会で聞いたときには、2ヘクタール以下の農家は全体で86%を占めるのだけれども、これは赤字ですと。この生産費と比べても、これは全部赤字ですよ。今回の米価が若干戻してもね。これは本当に大変な米つぶし、農業つぶしではないのかと。
そういう中で、農業就業者、耕地面積、耕作放棄地の現状はどうなっているか、この間の推移を示してください。
〇中南農業振興課総括課長 農林業センサスによりますと、平成27年の農業就業人口は7万357人で、平成22年からの5年間で1万9、636人減少しております。
耕作放棄地は1万7、428ヘクタールで、5年間で3、495ヘクタール増加しております。
また、国の作物統計調査によりますと、平成28年の耕地面積は15万800ヘクタールとなっており、平成23年からの5年間で1、900ヘクタール減少している状況でございます。
〇斉藤信委員 岩手の農業の現状も、農業就業人口が減少して、耕作放棄地がこの5年間で3、495ヘクタール増加していると。これは農業の荒廃ですね。そういう点で一番肝心なのは、米を含めて、生産費を償う価格保障、所得補償なんですよ。これなしにはどんな手だてをとっても、私は本当の農業の再生にはならないと思います。
そこで、今取り組まれている集落営農についてお聞きしますけれども、この集落営農の取り組み、その法人化の状況はどうなっていますか。
〇中村担い手対策課長 これまで県では、法人化を目指す組織に対して、税務等の経営ノウハウ習得のための講座や高収益作物導入等を含めた経営計画の作成を支援してきております。
こうした取り組みによりまして法人化した組織は、平成23年から平成30年1月末までに57組織から189組織へと3倍以上になるなど、着実に法人化が進んでおります。
〇斉藤信委員 集落営農の実態を私も農家に聞きました。法人化を目指す人たちは、いわば圃場整備と一体で、法人化をすればほとんど農家の負担がなくなるというので進められています。しかし、一方で、法人化をして一部の担い手に生産を集中すると、その他の農家はほとんど農業に関係なくなってくると。年配の担い手が亡くなったら、その法人はもう見通しがなくなってしまうというような危機感を持っていますよ。それで、家族農業を基本にして集落営農を維持しているところが多数ではないのかと。
国連の家族農業の10年が2019年から2028年にまた展開されます。世界の8割の生産量を占めているのは家族農業なんですね。私は、この家族農業を守って、そして集落営農を支えていくというパターンが一番現実的だと思うけれども、いかがですか。
〇中南農業振興課総括課長 家族農業についてでございますけれども、国連で小規模家族農業が果たしている役割の重要性を広く世界に周知するために提唱した国際家族農業年がございましたが、この小規模家族農業といった小規模の方々の取り組みといったものも、農業生産や農村の多面的機能の維持などに大きく貢献しているものと認識しております。
このため県では、小規模農家、それから兼業農家も参画した地域特産物の産地化ですとか、地域の特色ある農畜産物の加工、直売などによる6次産業化、また、地域資源を活用した都市住民との交流などの取り組みを支援しております。
今後におきましても、こういった小規模兼業農家も参画した、集落でまとまってという取り組みは非常に有効だと思いますが、そういう方々が一緒になった農業生産活動を通じて、豊かさを実感できる農業、農村の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 これで最後にします。部長、冷静に答えてください。
私は今回、TPP11、そして日欧EPAの問題を取り上げました。国の試算を取り上げた。これには本当に全く根拠がなく、輸入量はふえるけれども、関税は撤廃するけれども、生産量は維持して、所得も維持されるなんていう、誰が考えても、これは手品以上の魔術ですよ。私は、本当にこれはデータの改ざんで、試算に値しない。それも全くの秘密交渉で進められて、国会でもほとんど議論されていない。これからいよいよ法案として審議されると思いますけれどもね。
やっぱり食料供給基地岩手を標榜していますから、この具体的な影響をいろいろな形で研究して、そして、岩手と日本の農業を壊滅に導くこういう全面自由化、関税撤廃の道を阻止すべきだと私は思うけれども、最後に部長の見解を聞いて、終わります。
〇紺野農林水産部長 何回も繰り返しになりますけれども、これまで、どの道県よりも数多く国に対して要望してきたのは我が県であります。その上で、今後も十分な情報提供を行っていただきたいということ、また、国民的議論を尽くすよう繰り返し要望していきたいと思います。
今後、協定の発効には国会承認手続を経る必要があるということでありますので、私どもとすれば、国策でやられようとしているわけですから、国会を中心に、議論をさらに深めていただきたいということを期待いたします。
〇千田美津子委員 私は、鳥獣被害対策と、今お話のあった家族農業の10年の二つを通告しておりましたが、鳥獣被害対策を若干質問して終わりにします。
先ほど鳥獣被害の実態と対応策について御答弁がありました。それで、この平成25年度以降、本当に被害額が減少しておったわけですけれども、平成28年度になってニホンジカ、ツキノワグマ、そしてイノシシの被害がふえておりますが、これについてはどのように分析をされているかということ。
それから、2点目は、全国で鳥獣被害が非常に多くなっているということで、その事業に対して会計検査院がいろいろ指摘をしております。これは全国的な傾向なのですけれども、侵入防止柵の設置後、鳥獣被害の状況を圃場ごとに把握していないとか、さまざま指摘があって、70億円以上の事業について不適という意見が出されておりますが、当県ではそのような現状はないのかどうか、この二つについてお聞きいたします。
〇中村担い手対策課長 まず、平成28年度のツキノワグマとニホンジカ、イノシシの被害額が減少していなかったことの理由についてですが、ツキノワグマにつきましては、平成28年度が、餌となるブナの実などが大凶作のため農地への出没がふえたことなどが原因と考えられます。また、ニホンジカやイノシシにつきましては、生息地が移動しているため、電気柵などの対策を行っていない地域で新たな被害が発生したためと考えております。
これらに対応するため、県では、新たな被害が発生した市町村における鳥獣被害対策実施隊による有害鳥獣捕獲や見回りの強化、電気柵の設置などの取り組みの強化を進めているところでございます。
次に、会計検査院の指摘への対応についてでありますが、県ではこれまで、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用しまして、侵入防止柵を20市町村で647キロメートル設置しております。
平成28年度の会計実地検査におきましては、この事業で導入した侵入防止柵の管理の不備等を指摘された県があることを受けまして、今般、農林水産省から本県に対しても、侵入防止柵の適切な設置と管理について指導を行うよう通知があったところでございます。
県ではこれまでも、研修会や市町村が毎年春に行っております侵入防止柵の点検を通じて、適切な設置と管理を指導してきたところであり、適切に管理されていると認識しております。今後も引き続き、こうした指導を徹底し、侵入防止柵の効果がより一層高まるよう取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 岩手県では、会計検査院が指摘するような状況はないということでお話を伺いました。いずれ、せっかくの農作物が鳥獣によって大きな被害を受けるということは、やっぱり大変なことですので、ぜひ、環境生活部と連携して十分な対応をしていただきたいと思っております。
もう一つ、会計検査院の指摘の中で、こういうことがあるのだなということがありましたので。例えば、宅地と農地の間にすき間があるとか、イノシシにより破壊されたまま放置されているとか、あと、川沿いに柵を設置していない、タケノコが柵を持ち上げているとかいろいろなことが指摘されています。それらについても、岩手県では十二分に指導をされているということで理解してよろしいでしょうか。
〇中村担い手対策課長 現地におきましては、市町村や農業改良普及センターの職員等も一緒になって巡回しながら、例えば、草が伸びて電気柵にかかって漏電しているような部分については、速やかに直すような指導もしながら、効果的に寄せつけないような取り組みを進めております。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、まず、岩手型の農業経営体についてちょっとお伺いしたいと思います。
やはり農業の推進の何をやるにしても、まず土地対策が私は非常に大事だと思っておりまして、農地の扱いは特に大変難しいと思っております。それで、担い手や認定農業者が必要とする規模の農地が集まらない、集まりにくいという声も現場を歩くとよく聞くのですけれども、この農地中間管理機構が目指す担い手への農地の集積、集約化の現状と課題を県はどのように認識されているのか、まずお伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 農地中間管理事業の現状と課題についてでありますが、本事業が開始された平成26年度から平成28年度までの3年間の実績は、農地中間管理機構の転貸面積が1万497ヘクタールで全国2位、新規集積面積が4、886ヘクタールと全国1位となっております。
事業の主たる対象が平場から中山間地域などの条件不利地域に移行してきていることから、条件不利地における受け手となる担い手を確保することや、借り手希望面積に対応した新たな農地の出し手を確保することが課題として挙げられます。
〇臼澤勉委員 その課題に対する対策をどのように考えているかお伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 農地の出し手の確保につきましては、地域農業マスタープランの見直しを進める中で、将来の農地利用のあり方をしっかり話し合っていただくとともに、市町村農業委員会の農地利用最適化推進委員による出し手の掘り起こし活動を強化していくこととしております。
また、農地の受け手の育成におきましては、県では、経営規模の拡大や多角化を目指す農業者を対象に、岩手大学等と連携して、いわてアグリフロンティアスクールを開設し、経営ノウハウの習得や企業家マインドの醸成を図るとともに、経営アドバイザーなどと連携し、法人化を初め、経営管理能力の向上支援を行っております。
〇臼澤勉委員 県では、今、リーディング経営体の育成を目指しながらいろいろと対策を講じられているということですが、米とか園芸別で、どの程度の農地が必要と想定されているのかお伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 リーディング経営体の育成に必要な農地の規模についてでありますが、本県では、リーディング経営体が目標とすべき営農類型を策定しており、水稲主体の経営では、水稲25ヘクタール、小麦10ヘクタールの合計35ヘクタール、水稲と園芸の複合経営では、水稲26ヘクタール、リンドウ2ヘクタールの合計28ヘクタール、また、野菜専作の経営では、ハウストマト1.2ヘクタールと試算しております。
〇臼澤勉委員 土地のみならず、例えば設備投資とかいろいろと必要になってくると思いますし、そういった初期投資への支援も私は大事になってくると思います。いろいろとスマート農業の議論もありますけれども、ああいう衛星を使った管理農業システムで採算をとるには、ある人に言わせると200町歩ぐらい必要になるというような話も聞いておりますので、ぜひ、そこら辺の土地の確保対策といいますか集積に、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
中山間地域においての条件不利地の農地を借り受ける担い手がいないとの声もあるのですけれども、県はどのように対応していこうとお考えなのかお伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 中山間地域等における対応についてでありますが、中山間地域においては、平地と比較して条件不利地が多いことから、担い手が借り受けしやすくなるよう、区画拡大や排水対策など簡易な条件整備を行うとともに、農地中間管理機構の農地コーディネーター等と連携して、地域の担い手の状況に合わせて農地集積を進めてきました。
今後は、こうした取り組みに加え、農業委員会の農地利用最適化推進委員等による出し手の掘り起こしや担い手の意向把握等の情報収集活動をきめ細やかに行い、この情報を関係機関、団体が共有化し、一体となって担い手への農地集積に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 私は、高収益モデルの経営体をつくっていくといったときには、やはり今、現実として消費圏と直結した自社販売といった取り組みが大前提になっているかと理解しております。農協とか系統出荷で手数料が24%も取られているという構図の中では、やはりそういった消費圏に自社販売というか直結するような販路開拓、流通の確保といった部分が本当に重要になってくると思っておりますが、県は、そういった流通販路開拓支援策にどのように取り組んでいくお考えかお伺いいたします。
〇伊藤参事兼流通課総括課長 県ではこれまで、多様な販路の確保、開拓に向けまして、消費地の確保、販路に意欲的な農業経営体である生産者を対象にいたしまして、商談会や産地見学会などを行ってきたところでございます。
また、平成28年度からは、県産農林水産物を積極的に使用する県外飲食店を「黄金の國、いわて。」応援の店として登録を開始いたしまして、現在では、首都圏を中心に179店舗まで拡大しております。
今年度は、民間流通事業者と連携いたしまして、これらの飲食店への効率的な流通の仕組みづくりにも取り組んでいるところでございます。
〇臼澤勉委員 経営体にとって収入の確保が継続されることが大前提でございまして、水稲であろうが、野菜であろうが、やっぱりそれぞれの経営主体が得意とする分野で収入を確保させていくことが、まず基本の「き」だと思っております。県はどういう施策を展開するお考えかお伺いいたします。
〇中南農業振興課総括課長 県ではこれまで、地域農業の核となる担い手の育成に加えて、生産基盤の強化などに取り組んできまして、その結果、平成27年の農林業センサスでは、販売額3、000万円以上の経営体が827と、10年前に比べて47経営体増加している状況でございます。
委員御指摘のとおり、それぞれの経営に応じてさらに所得を伸ばしていく取り組みが必要でございまして、今後の所得確保に向けましては、金色の風、銀河のしずく、あるいは冬恋といった県オリジナル農産物のブランド確立に加えて、需要の拡大が見込まれる加工、業務用野菜あるいは肉用牛の生産体制の強化などが必要となってくると考えております。
このため、平成30年度当初予算案に新たに水田等において高収益な野菜の作付を拡大する、先ほど来紹介しておりますが、いわて型野菜トップモデル産地創造事業ですとか、ゲノム解析により産肉能力の高い牛を早期に選抜する、いわて牛産地育成革新技術導入事業などの園芸、畜産振興の強化策を盛り込んでいるところでございます。
さらに、今度の4月1日でございますが、農業団体と連携して新たに農業経営相談センターを開設し、経営の規模拡大あるいは法人化に向けて、きめ細やかな支援を行うこととしております。この支援については、いわゆる経営面のことだけではないといいますか、例えば、今後こういう機械施設整備をする必要があるとすれば、活用できる事業はこういうものがあるのではないかという提案などもしていきたいと思っておりまして、こうしたハード、ソフト両面の取り組みによって、担い手の収入確保に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 これまで私が質問してきましたけれども、やはり農地を開放してきた政策を、逆に今、農地中間管理機構に集約させて、そして、例えば飛び地なども解消しながら基盤づくり、まずここをしっかり行った上で、認定農業者とか法人に貸し出しながら、収入を補填あるいは保障するような、収入見込みも保障するような政策をとりながら、私は海外にも進出するしっかりとした経営体を育成していく取り組みを、ぜひ関係団体とも一緒になってやっていっていただきたいと思います。
次に、雲南省農林業研究連携調査についてお伺いいたします。
来年度新規事業で予定されておりますけれども、どのような体制で、そして、事業スキームはどんな感じで取り組んでいくのか、この狙いは何なのかお伺いいたします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 雲南省農林業研究連携調査についてでありますけれども、これは、雲南省と岩手県の交流が平成25年度の友好交流協力協定の締結をきっかけとして始まりまして、内容といたしましては、経済分野を柱に、農林業分野においても幅広く交流が進められているものでございます。
農業分野につきましては、平成27年度から両省県で相互に農業シンポジウムを開催しまして、連携可能な技術シーズの調査を実施したところであり、薬用作物でありますサンシチニンジンやリンドウの根を乾燥させましたリュウタンについて、本県への導入可能性を検討しているところであります。
また、平成28年から林業分野における交流を開始し、アミガサタケの栽培技術の本県への導入可能性について検討を始めているところでございます。
今後も、農業研究センター及び林業技術センターと雲南省研究機関との研究者の交流、連携をさらに充実させるとともに、農業シンポジウム等を通じたシーズ調査を行っていくこととしております。
〇臼澤勉委員 私は、一般質問あるいは総括質疑でも、農業の果たすべき役割として、健康産業、機能性食品の質問もしてきております。ぜひ、この雲南省との取り組みを期待するものでございます。
それで、農林水産部として、この機能性表示の支援あるいは食品の臨床試験支援について、今、全国の自治体でさまざまな取り組みが行われておりますが、県として調査、研究をこれからも進めていくべきと思いますが、御所見をお伺いして、終わります。
〇照井農林水産企画室企画課長 食品の機能性表示の支援や食品の臨床試験支援についてでありますが、本県では、いわて農林水産物機能性活用研究会におきまして、機能性表示に向けた取り組みの支援を行っているところでありますが、委員から紹介がありましたとおり、例えば北海道では、機能性表示に関する独自の認定制度の創設や食品の効能に関する臨床試験の取り組みのほか、香川県、宮崎県などでは、機能性表示食品の開発支援など、他の自治体におきましても取り組みが行われていると認識しているところでございます。
機能性表示食品制度につきましては、食品に健康の維持、増進に役立つ機能性成分が含まれることを消費者にアピールできる制度であり、県内で生産される農林水産物の需要の拡大や付加価値の向上を図る上で、有効な手段になり得るものと考えております。
一方で、機能性を表示するための国への届け出に当たり、機能性を証明するための科学的根拠の収集が困難なこと、あるいは機能性に関する成分の含有量が、気象等の影響を受けるため厳格な管理が困難であることなどの課題もありますことから、先ほど申し上げた他道県の取り組み事例なども参考にしながら、機能性の取り組みに関する調査研究を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇千葉進委員 先ほどはちょっと失礼しましたけれども、最初に、まず、若者担い手育成ということでお伺いしたいと思います。
いわて林業アカデミー1期生が、一応課程が終わったような形になるかと思いますが、これまでの経過やその成果、特に修了生の進路等も含めて、そして、どのようなことをやってきて、課題は何だったのかということをお知らせください。
〇佐々木森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの今年度の研修実施状況と研修生の進路についてでありますが、アカデミーでは、座学による講義や現場での実習のほか、林業事業体でのインターンシップを通じて実際の作業に対する理解を深めるとともに、林業に従事する上で必要な資格の取得など、現場での活躍を目指し取り組んできたところであります。
また、他校との交流については、農業大学校、産業技術短期大学校の学生との交流を通じて、他産業への従事を目指す同世代の若者との理解を深めたほか、岩手大学農学部で林学を専攻している学生や留学生との意見交換により、ドイツの先進的な林業の現状など、森林、林業の奥深さを学ぶことができたものと考えております。
このように幅広い知識と実践的な技術をしっかりと身につけ、林業に就業することに対する自覚と自信が育まれ、15名全員が、県内の森林組合や林業事業体へ就職が内定したところであります。
〇千葉進委員 わかりました。15名全員が県内と、成果が出たということだったのだろうと思いますが、ただ、逆に課題として、こういうことが問題となっていた、来年はこういう部分をきちんと直しながら生かしていきたいという部分がもしおありでしたら、お願いします。
〇佐々木森林整備課総括課長 今年度の課題でありますが、研修は順調にいきまして、生徒からも大分満足というか、いい授業を受けたという評価をいただいております。ただ、一部に、やはり座学よりも実技のほうをもうちょっとやりたかったというような要望がありましたので、その辺は、来年度に向けてカリキュラムの見直しなどの対応をする予定にしております。
〇千葉進委員 それで、その15名の人たちは、農業高校のみならず普通科の高校卒業の方もあったかと思うのですが、ことし4月からの入学生は何名になるのか、そしてまた、普通科の高校卒業の者もいるとか、そういった部分をお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 来年度の研修生についてでありますが、平成29年9月に新卒高校生を対象とした推薦選考、それから、11月と平成30年1月に一般選考を行っております。意欲を持った出願者を最大限に受け入れるために、定員15名のところ、合格者18名として、現在手続を進めているところであります。
合格者の内訳としましては、新卒高校生が8名ということで、そのうち3名が農業高校の卒業生となっております。
〇千葉進委員 わかりました。この1年間の成果が大分出たのだろうと思いますし、県内就職という形のようですので、また新たな研修生に対して期待するわけです。
それと同じように、今度は、担い手育成ということで水産のほうでもアカデミーをつくられる予定で予算を組んでいるようなのですが、いつ開講し、そして、どのぐらいの人数を対象とし、今、座学よりも実践というか実技を希望する者があったということでしたけれども、1年間のトータル的な部分の流れを教えてください。
〇中井漁業調整課長 水産についての御説明をさせていただきます。
県では、新規漁業就業希望者に広く漁業の基礎知識などを体系的に習得してもらうため、(仮称)いわて水産アカデミーを設置することとしまして、2019年4月の開講に向けて準備を進めていくこととしております。
人員に関しましては10名で、研修期間は1年間としております。
この(仮称)いわて水産アカデミーでは、漁業の知識や技術を学ぶ集合研修と、現場で漁業指導者から学ぶ実践研修を計画しているところでございます。まず、4月の1カ月間は、漁業の知識や技術を学ぶ集合研修を大船渡市の北里大学三陸臨海教育研究センター及び釜石市の県水産技術センターで行いまして、5月以降は、実践研修を各研修生が希望する漁業の指導者の居住する市町村で行うとともに、2カ月に1度程度、発展的な知識、技術を学ぶ集合研修を行うこととしております。
〇千葉進委員 最初の1カ月が全体でということと、あとは、それぞれが自分の希望するところ-希望するところと認識していいのかどうか、まず一つあるのですけれども、そこで実技的なことをやると。その際に、それを受け入れてくれる側をこの1年間で探してみるということなのでしょうか。
〇中井漁業調整課長 各研修生につきましては、それぞれ取り組みたい漁業があると思いますので、それを研修の中でまずは知ってもらい、その中から希望する漁業についていただくような形で進めたいと考えております。
そのために、例えば定置漁業ですとか養殖業、あとは漁船漁業などについての受け入れ先を今年度リストアップして、準備をしておきたいと考えております。
〇千葉進委員 その際に、その研修生への金銭的な部分あるいはそれを受け入れる側への支援といいますか、そういう金銭的な部分はどうなるのでしょうか。
〇中井漁業調整課長 研修生への支援につきましては、漁業就業前の若者に対し資金を交付する国の制度を活用いたしまして、1人当たり年額150万円を上限として給付することを考えております。
また、受け入れる漁業者に対してですけれども、(仮称)いわて水産アカデミーの運営に関しましては、来年度、県、市町村、漁業関係団体とで運営協議会を立ち上げて、進め方をそこで協議していくこととしておりますけれども、その中で、講師謝金として受け入れ側にもお礼を出せる形で進めていきたいと検討しているところでございます。
〇千葉進委員 大体わかりましたが、もう一つ確認したいのは、釜石市に岩手大学釜石キャンパスがあるわけですけれども、今のお話だと、越喜来にある北里大学を使うという中で、岩手大学釜石キャンパスとのやりとりとか、先ほど、いわて林業アカデミーの場合は、農業大学校とか産業技術短期大学校、あるいは岩手大学農学部との交流があったということでしたけれども、4月に全体で講義を受けた後、それぞれが散らばったとして、時々集まったりするような形の中で、ほかとの交流、特に岩手大学釜石キャンパスとの交流等は考えているのですか。
〇中井漁業調整課長 岩手大学釜石キャンパスとの交流についてでございますが、県では、現在、岩手大学の水産システム学コースの講師として職員を派遣するとともに、県水産技術センターと岩手大学三陸水産研究センターでは、サケ資源の保全、また、クロマグロの漁獲抑制に関する研究などの共同研究を実施しまして、交流を図っているところでございます。
また、今後の交流につきましては、岩手大学に(仮称)いわて水産アカデミーの講師等を依頼しますほか、アカデミーの研修生と大学の学生及び教員との情報交換などを実施いたしまして、岩手大学との交流を深めてまいります。
〇千葉進委員 わかりました。ぜひ、1年間という期限がある中で大変だろうとは思いますけれども、学校、特に高校には足を運んでいただいて、いろいろ説明をしていただく中で、若者の担い手育成という観点でお願いしたいと。特に、今、水産高校が宮古市にしかなくて、高田高校と久慈東高校にそういう系統があるにしても、海に関する部分の担い手育成ということでも、林業と同じようにぜひお願いしたいと思います。
そしてもう一つ、先ほどに戻るのですけれども、単純に言えば、これから春になって山菜がとれるシーズンという状況の中でお伺いしたいということなわけです。これまでの山菜に対する出荷制限の解除要請とかといった国への要請はどのようにやってこられたのか、まず伺います。
〇大畑林業振興課総括課長 山菜類につきましては、県内で現在5品目が国から出荷制限指示、それから、4品目につきましては県が出荷自粛要請をしております。
出荷制限指示等の対象となっております山菜類につきましては、県において、平成25年度から放射性物質濃度の経年変化の調査を行っております。安定して基準値を下回ったことが確認された品目につきましては、解除に向けて国と協議を進めてきたところでございます。
これまでに、出荷制限指示については、一関市の野生セリ、陸前高田市の一部地域のタケノコの2品目、それから県の出荷自粛要請につきましては、奥州市の野生フキ、花巻市の野生コゴミの2品目がそれぞれ解除されているところでございます。
今後につきましても、経年変化をきちんと調査いたしまして、基準値を下回ったことが確認された品目につきましては、国と協議を行って早期の解除を目指してまいります。
〇千葉進委員 わかりましたというか、今までやってこられたのはそういうことだろうと思うのですが、前半で言ってしまったのですが、県南ではとにかく、山菜-今出されたセリ以外の部分、タケノコやタラノメ、ワラビ、ゼンマイ、そういった類いのものを道の駅等で並べたくても、なかなかそれができない。
調査するものはどういう形で調査されているのかお伺いしたいわけですけれども、県での調査、あるいは、それを扱っている例えば道の駅とかまちの駅等の店での調査の仕方はちょっと違う部分があるのかもしれませんので、どういう形で解除に向けて調査をされているのか教えてください。
〇大畑林業振興課総括課長 出荷制限指示等がなされております品目につきましては、先ほど答弁申し上げましたが、県で平成25年度から放射性物質濃度の経年変化の調査を行っております。1品目当たり大体5サンプル程度を制限がかかっている市町村の地域から抽出いたしまして調査をしております。
また、出荷制限指示がなされている市町村で採取される山菜は当然産直等で販売できない形になっておりますけれども、それ以外の制限がかかっていない山菜類を市町村等の産直で販売する場合には、きちんと放射性物質濃度を測定した上で販売するように、安全性を確認した上で販売するようにという要請をしております。
万が一産直等で販売する際に基準値を超える山菜類が確認された場合におきましては、改めて採取された場所から県のほうで採取いたしまして、精密検査ということで再度調査を行います。県の調査の結果によって、基準値である1キログラム当たり100ベクレルを超えるか超えないかというところで、出荷自粛要請であるとか、大丈夫ですよというところの判断をしております。
〇千葉進委員 終わりにしますけれども、これを聞いてもわからないと思いますが、いつまでかかるのですかね。実際、生産農家というよりも、あるものをとってくる形で産直に置きたいと言っている人たちがたくさんいるわけですけれども、補償というものはないでしょうし、そういった部分で、いつまでかかるか答えられないにしても、頑張っていただきたいということで、何らかの御返答をお願いします。
〇大畑林業振興課総括課長 山菜につきましては、産直施設等で販売される地域の特産品の一つと認識しております。出荷制限等、可能な限り早期に解除できるように引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
いつ解除できるかというお話でございますけれども、全体的に申せば放射性物質濃度は低減傾向にございます。ただ一方で、採取場所によって濃度にばらつきがあるという現実もございます。したがいまして、国に解除要請する際の、安定して低水準にあるというところまではまだ言いがたいという状況にあると思っております。
いずれ、安定して低くなっている品目については、例えば検査件数をふやして検査し、全体的な傾向を把握した上で、出荷制限解除に向けた詳細検査の準備を進めるとか、そういった取り組みを進めまして、早期に解除できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 いよいよ国の森林バンクパッケージの政策が始まります。税の根拠をもっての事業展開ではありますけれども、来年から事業そのものが始まるということでございます。新しい森林環境税が国民から徴収されるのは2024年としても、2019年から事業は展開する。この裏のからくりはおわかりのとおりですけれども、来年から岩手県にも市町村にも交付金が来ます。もう来年と。どうしますか。お願いしてきた歴史はありますけれども、来年ですよ。
市町村によっては、この手の事業について、はっきり言って、やったことがないという市町村もあると思うのです、そういう技術を持った職員のこともありますので。その指導も入ってしまいます。岩手県にも交付金が来ますから、それは事業化していかなければいけません。両方ダブルに来ますが、急いでやらなければならないと思うのですが、どういう決意でおられますか。
〇佐々木森林整備課総括課長 森林管理システムへの対応でありますが、現在、国で検討を進めている新たな森林管理システムについて、県では、本年2月に市町村等説明会を開催し、制度の概要等について情報提供を行っております。また、3月上旬には、やはり市町村等を対象とした会議の中で、今般、国会で審議されることになっております森林経営管理法案に盛り込まれた市町村の役割や業務内容について改めて情報提供を行ってきたところであります。
市町村は、これまでも、森林法に基づき、市町村森林整備計画の樹立や伐採届出制度の運用など、民有林の適切な管理のための事務を実施してきております。新たな森林管理システムに対応するため、林業技術者を配置するなど、市町村の実行体制を強化する必要があると考えております。
このことから、県では、国の法案審議の動向を注視しながら、引き続き市町村に対して必要な情報提供をしていくとともに、新たな森林管理システムが円滑に運用できるよう、市町村の御意見を伺いながら支援策を検討してまいりたいと思います。
〇柳村岩見委員 国であれ県であれ市町村であれ、事業展開はそもそも税金によって行われておりますけれども、目的を持った税によって行われる事業は、国民にわかるように、ほかの税によって行われる場合よりは目に見えるように展開されることが重要でありますし、スタート時点からそういうことがわかるように、後からでいい、てんまつでいいということではない性質のものだと思います。よって、そこに厳しさがまた生じますけれども、どうか頑張って御対応をお願いしたいと思います。この事業展開では、失敗をしたくないといいますか、何とかいい経過をたどってほしいと願いますので、そのようにお願いしたいと思います。
もう一つ、これと関係しますけれども、県では、いわての森林づくり県民税をいただいております。その税によって事業展開をしております。今まで、間伐というのをずっとやってまいりました。間伐の定義を考えてみたのですけれども、木を太らせる、あるいは森に光を入れる、混交林を目指すということだと思うのですが、隣の木が太い、でも間伐なのかと。今は、主伐-業界では皆伐とも言うようですけれども-の時期なのであって、間伐どころではないというのが大体の受けとめ方なのですけれども、ずっといわての森林づくり県民税で間伐をやってまいりましたね。幾らか残されたところがあると、それをやりたいのだといういわての森林づくり県民税事業評価委員会の話にもなっているし、かつて私、いわゆる枝切り、枝打ち、つる切りをやって木をもっと立派にしたらどうですかという話をしましたが、この辺と、新しい事業が入る、今まで県民税でやっていたこととの関連性、整理、整合はどういうふうにお考えですか。
〇大畑林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税につきましては、平成28年度から第3期ということで取り組みを始めております。その際、委員御指摘のとおり、これから1万ヘクタール整備が必要だということで、第3期をスタートしておりますが平成18年度の制度創設以来、平成28年度までに約1万5、000ヘクタールの施工地を確保して森林整備を進めてきたところでございます。
今度、森林環境税が創設されるということで、県民税のあり方をどうするかという部分でありますけれども、今後、森林環境税の使途等をきちんと精査しまして、本県の県民税との関係をきちんと整理をする。また、県民税は、第3期までやってきましたので、その取り組みの成果や課題を整理した上で、県民の皆様を初め県議会の御意見なども頂戴しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 最初の間伐の時代から主伐の時代に入っていくと思います。山は、実際に入ってみたらわかりますけれども、路網を整備してもらっても、10年たったら道が見えません。もう一回整備して入る。だから、間伐に入りました。ちょっといつ来るかわかりませんけれども、今度はちゃんと太いものを切りに来ます。また整備しなければならないのですよ。松であれ柳であれ、太くなります。重機が入って、なぎ倒して歩く。なぎ倒せない、山、路網に重機が進めないという生え方をします。入るとき入らなければ、もうしばらく来ないよという世界です。間伐に来ました。今度は造林もありませんし、みんな切らなければ造林に適しませんなんて言っていられませんから、これは政策というか事業展開が変わるのだと思いますので、お願いをしておきます。
答弁でいわて森林づくり県民税と新しい森林環境譲与税-仮称ですけれども、その関係もお話しされましたが、いわゆる借金ではあるかもしれませんが、来年から交付がある。取られるのは2024年だと。でも、始まるのじゃないのと。人によって行ったり来たりの受けとめ方が生ずるわけです。だから、早目に県民税のてんまつをまとめ、今後どうするのかという話をしてやりませんと、全ての人がぐじゃぐじゃになるとは言いませんが、ぐじゃぐじゃになる人がいる。そんなにゆっくりした話じゃありませんよ、頑張っててんまつをまとめ、整理をして整合性をつけなければいけませんよということを申し上げたいのですが、いかがですか。
〇大畑林業振興課総括課長 現在、国におきましては、森林環境税の使途等を含めた運用に関するガイドラインの作成を進めておりまして、4月にもその内容が県、市町村に示される見込みとなっております。県といたしましては、そのガイドラインが示され次第、森林環境税の使途等を整理した上で見直しを進めていきたいと考えておりますけれども、県民税のあり方、見直し時期をどうするかということも含めて検討していきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 2点についてお伺いします。
私も森林環境税に関係してお伺いしますが、まず1点目は、今、新たな森林管理システムをつくることを前提として、森林管理の責務を明確化するということが求められるわけです。かつて森林交付税を森林整備のために地方から随分要求をしていた時代があって、ようやくここにたどり着いたかなというような思いを私はしているわけですが、先ほど、市町村の役割については御答弁がありましたので、それは了とします。
私が問題としたいのは、人材です。人材の確保。いわて林業アカデミーの話も先ほど出ました。さらに業務量が増大することが予想されますので、森林組合等に人材を、これからもっとつくっていかなければならない。それは、森林面積を有する岩手県としては、地場産業をつくるという意味でも極めて有効なことだと思います。
質問は、まず、人材確保についてどうするのか。
あわせて、いわて林業アカデミーを今やっていて、成果は出ていますが、もっと発展させて……。私、一昨年、佐々木努委員と京都府の林業大学校を視察してまいりました。京都府知事の肝いりで、大学校をつくるということで進めた大学校であります。岩手県もかつて検討されたようですけれども、アカデミーをもう一段階レベルアップさせた大学校という構想も必要ではないかと思われるのですが、その点についても示していただきたいと思います。
〇佐々木森林整備課総括課長 森林組合等の人材確保対策についてでありますが、国が創設を目指している森林環境税により市町村が主体となった森林整備が進められることから、森林組合等においても市町村から委託を受ける業務量の大幅な増加が見込まれております。現場で働く林業従事者の確保が大きな課題となってくると認識しております。
このことから、県では、林業労働対策基金と連携し、新規就業者の養成研修などを実施しているほか、先ほどお話ししましたように、今年度から、林業の現場で即戦力となる人材の確保、育成を目的に、いわて林業アカデミーを開講したところであります。
さらに、林業関係団体と連携し、社会保険や退職金共済への加入、適切な能力評価と能力に応じた昇進、昇給などを行う制度の導入など、就業者が安心して働くことができる就労条件の改善を進めているところであります。この就労条件の改善が事業体のほうにどんどん入ってくる環境をつくるのがすごく大事だと思っております。引き続きこれらの対策を進めて、森林組合等の人材確保を支援していきたいと考えております。
次に、林業大学校の必要性についてでありますが、いわて林業アカデミーは、本県の木材需要が増大していることを背景に、現場で活躍できる林業技術者の確保、養成の必要性が高まっていることから、実習、インターンシップに重点を置く研修型で開講したものであります。このため、アカデミーのカリキュラムは、林業に関する基本的な知識と技術を主体とし、就業先の現場でスキルアップを図るという考え方から、研修期間1年ということで行っております。
一方、林業の基本的な知識と技術に加え、森林経営や木材流通など、森林、林業、木材産業を総合的に学び、森林経営の専門家を養成する必要性についても認識しておりますが、まずは、特に不足している現場の林業技術者の確保、養成を最優先に行いたいと考えております。
それから、アカデミーのあり方についてでありますが、今後、有識者で構成しておりますいわて林業アカデミー運営協議会や研修修了者等から意見を伺いながら、他県の先行事例も参考にしながら研究してまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 この森林環境税が導入されることによって、ただいま答弁にありましたような就業環境は、これからずっと先、しばらく固定されていくということになると、腰を入れて人材育成しなければならないと思うし、また、今はアウトフィールドで仕事をしたいという若い人が結構ふえていますから、そこのニーズをしっかりつかんで、当面はアカデミーということになるのでしょうけれども大学校を持って、さっきお話にあった流通であるとか、それからもっとさらに上のレベルを考えていかなければならないので、その点をぜひ視野に入れてやっていただきたいと思います。
それから、大きな質問の2点目ですが、漆産業の発展、振興について、まとめてお聞きします。
やはり生産体制拡大、この基盤整備は必須だと思われますので、この点をどういうふうに考えてやるか。
2点目は、今、一関市大東町で始まっておりますが、破砕装置を使って、これまで10年木からの採取であったものを5、6年木で樹液を抽出するやり方、これは非常に有望なやり方だと思うわけですが、漆だけでは採算が合わないと。クロモジやほかの林産物を使って、やはりしっかりとした安定した経営にしていかなければならない。そのためには販路もしっかり確保しなければならないと思いますが、その点についてどのようなお考えなのか、販路拡大策についてお示し願いたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 まず、生産基盤の整備でございます。
生産基盤の整備という観点でいきますと苗木の確保が重要となりますけれども、漆の苗木につきましては、浄安森林組合でことしの春から生産を開始することになっておりまして、2019年秋には供給が可能になるのではないかと思っております。また、一関市大東地区で破砕装置を使った漆生産に取り組む民間企業におきましても、わずかとは聞いておりますけれども漆苗木の生産に取り組んでいるところでございます。こちらのほうは平成30年秋には植林できる状況になりそうだと聞いております。そうした形で、苗木生産は、少しずつではありますけれども供給体制が整いつつあると思っております。
また、生産基盤という意味で、漆林をきちんと管理していくことも必要と思っておりますけれども、一関市大東地区の漆林の管理につきましては、県南広域振興局におきまして、平成30年度から漆資源量の調査や漆林の生育状況の調査実施を計画しております。そうしたところを踏まえて、今後必要な漆林の整備といいますか、どういった手入れが必要なのかというところを地域の方々とも意見交換しながら、きちんと生産基盤の整備については進めていきたいと考えております。
それから、2点目で、破砕装置の二次展開といいますか、販路拡大というところでございます。
一関市大東地区で漆生産に取り組む民間企業は、漆生産のほかに、委員からクロモジという御紹介がございましたけれども、そういった地域資源をうまく活用して6次産業化までつなげて、地域の活性化に持っていこうという構想は持っております。ただ、民間企業といたしますと、まずは中心となる漆生産を何とか軌道に乗せたいということで、そちらを優先して今取り組みを進めていると聞いております。
県といたしましては、そういった民間企業の意向もちろんでありますけれども、地域の皆様方がどういう意向を持って、あるいはどういう構想を持って取り組むのかというところをきちっと把握いたしまして、漆以外の品目につきましても事業化が図られるように、県南広域振興局や一関市とも連携して、必要な支援、対策をしてまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 中山間地域にとって、また、高齢化の進む中で、非常に有望な地場産業になるというふうに私も期待しております。
今は漆に着目して民間企業が動いているわけですが、クロモジについては、消臭剤として非常に有望だと。例えば老人福祉施設や病院、そういうところへの消臭剤として、単に女性の香水とかではなく、そういうものに使えるというような、非常にマーケットとして有望だという話も聞きました。森林の効用について、私は、今回の森林環境税並びに漆という観点から、岩手県にとっては非常にチャンスだと思っていますので、ぜひとも商工労働観光部とも連携して、地場産業を育成するという観点からも、当該部のさらなる関心と御支援をよろしくお願いしたいと思います。
〇工藤大輔委員 それでは初めに、ウニ、アワビの生産についてお伺いします。
震災前と比較しても、いまだ生産量が回復していない状況であります。種苗センターが津波の被害を受け、放流できなかった時期があったことが大きい要因かとも思いますが、現在、回復していない要因をどのように分析しているのか。
特に平成29年度は、前年度と比べても大きく落ち込んだ年だと見ています。その理由は何なのか、どのように分析しているのかお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 ウニ、アワビの生産量が回復していない要因についてでありますが、まず、ウニにつきましては、震災後に、天然での資源発生が多く、資源量は回復傾向にありますけれども、餌となる海藻の生育が悪いものですから、ウニの実入りが少なかったことに加えまして、平成29年度は、盛漁期の7月、8月に天候不順により出漁日数が少なくなったことが要因と考えております。
アワビにつきましては、震災により漁場に生息していた稚貝が流失したことに加えまして、種苗生産施設の被災で種苗放流を休止したことにより、資源の加入がなかったこと。それから、ウニと同じですが、餌についても生育が悪いものですから、それに伴ってアワビの成長もおくれている、そういう要因がございます。平成29年度において漁獲量が落ち込んだことも同様の要因と考えております。
〇工藤大輔委員 そうなると、やはり生育環境の整備をしなければいけないと思います。これまでもウニ、アワビの生産を行うための藻場造成に資する増殖場の整備なども進められてきましたが、その実績、そして今後の方向性、どの程度これから進んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 御質問のありました増殖場の整備についてでありますが、県では、高品質なウニ、アワビの資源増大を図るため、これまで、海中に石材、コンクリートブロックを投入するなど、東日本大震災津波前までに130地区で藻場造成に資する増殖場の整備を実施しております。
東日本大震災津波以降は、漁協が行うウニ、アワビの種苗放流の実施状況などを踏まえ、種市など28地区において、国の補助事業を活用しまして増殖場の機能回復や新設整備を実施してきております。
今後とも、増殖場の機能回復を実施するとともに、漁協のニーズを踏まえつつ、必要に応じまして藻場造成に資する増殖場の新設整備を行うことにより、ウニ、アワビの資源量の回復、増大を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 震災直後から数年間は、非常にワカメ、昆布が繁茂していた時期が続いていました。ただ、この1年を見ればかなり少ないということで、成長もそうですけれども、品質においてもウニの色が悪かったり実入りが悪かったり、また、アワビにしても、やせたアワビということで業者からはじかれる傾向があります。ですので、そういった意味でこれは進めなければならないのですけれども、藻場造成の事業も最初数年間は成果が出るのですが、5年なのか6年なのか、一定の年数を過ぎるとなかなか生えにくくなってくるのが現状ではないかと思います。これに対してどのような対応をとっていこうとしているのかお伺いします。
〇阿部漁港漁村課総括課長 ただいま委員がおっしゃいましたとおり、最初のころは非常に繁茂するのですが、年数が経過するに従って、だんだんとワカメ、昆布がなかなか繁茂しづらい状況になってまいります。
国にもかなり要望を出していたのですけれども、例えば、1回沈設したブロック、なかなかそこにワカメ、昆布がつきづらくなったと。それを一旦引き揚げて、表面を削ってもう一度投入すると、実は繁茂しやすくなります。国でもこういった事業を補助事業として認めるようになってまいりましたので、今後、地元の要望等を踏まえ、必要に応じましてそういった事業を行ってまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 そういった環境整備を続けていただきながら、必ず数年に一遍のような形で磯焼けのような現象が起こっている。そうなるということは、その対策、あるいは藻場造成をもっとやっていかなければならない。そういった事業をふやしていくべきだと思いますので、漁協、地域の漁業者等の声を聞いて適切に進めていただきたいと思います。
もう一点、ナマコの生産拡大についてですが、現在、県北の種苗センターでナマコの栽培ができるかどうか試験研究を進めていただいて、いい成果も出てきていると思います。特にアワビなどで見れば、乾鮑にした場合、世界的に、景気が低迷すれば乾鮑としての市場ニーズが落ちる時期が来るのですが、そういった際にアワビにかわって干しナマコを食する傾向が中国、香港には多いということで、恐らくこれからさらに市場性の高い分野として成長できると思います。やはりこれを沿岸ではウニ、アワビに次ぐ第3の品目として、大きく生産拡大をしていきながら所得の向上等に結びつけるべきだと思いますが、これからのナマコの分野の生産拡大をどのように進めるのかお伺いします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 ナマコの生産拡大についてでありますが、ナマコは、まず種苗生産しなければなりません。ナマコの種苗生産につきましては、震災で被災しました一般社団法人岩手県栽培漁業協会種市事業所を平成25年3月に復旧し、平成26年度から本格的にナマコの種苗生産を再開したところでありまして、平成29年度は、前年度を上回る44万個の種苗を生産し、漁協が放流を行ったところでございます。岩手県漁業協同組合連合会の共販実績によりますと、平成29年度の漁獲量は49.8トン、漁獲金額は8、636万円で、それぞれ前年の約2倍、震災前の約6倍と好調に推移しているところでございます。
このため、漁協におきましては、ナマコ種苗の需要が増加傾向にありますので、今後は、ナマコ種苗の増産を図り、資源の増大に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 今後、例えばどの程度にふやしていくのか目標等はないのですか。そういった計画がなされているのかどうかお伺いします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まずは種苗生産の数量をもう少しふやしていかないと、なかなか増産にも結びつかないと思っておりました。例えばウニ、アワビですと数百万個の種苗生産をしているところもありますけれども、まだまだ40万個ということなので、今後、まずは大量種苗生産の技術をもう少しレベルアップしまして、種苗の放流をより多くしながらナマコの増産をしていきたいと考えておりますので、現在のところ、どこまでというような目標は持っておりません。
〇工藤大輔委員 研究をさらに深めていただいて、早期の大量生産ができるような方向に結びつくことを望んでいきたいと思います。
次に、秋サケの不漁対策についてお伺いします。
新年度の予算の中でも高温耐性を持つ種苗づくりに取り組もうとしておりますが、これまでも強い稚魚づくりに向けた研究等も進めている中で、その研究の成果をどのように評価しているのか。
また、より大きい稚魚にしてから放流したほうが生き延びる可能性が高くなると思いますが、そういった分野についてどのように取り組んできているのかお伺いします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ種苗の生産につきまして、まずは強い稚魚づくりの試験研究でございますが、水産技術センターにおきまして、これまで、飼育密度あるいは異なる餌料の給餌による健苗性の試験研究等を行っております。この研究で得られた知見は、ふ化場に技術指導して、健苗をつくる体制に持っていくようにしておるところでございます。
また、今後は、飼育中の水量を変えた場合のサケ稚魚の遊泳力の差を調査するとともに、高水温でも回帰する種苗生産技術の開発を行いまして、強い種苗をつくるよう一層進めていくこととしております。
次に、より大きい種苗の放流が有効ではないのかということでございますが、現在、一般社団法人さけ・ます増殖協会が、国の事業を活用しまして、異なるサイズでの稚魚放流試験を行っているところであります。これらの試験結果を今後踏まえながら、どのような放流サイズが本県に適しているのかを検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 新聞報道で見たもので、北海道でも、稚魚を大型化して生き延びやすくする方針ということで取り組みを進めるようであります。効果があるのかなというふうにも思うのですが、その方針で進めていただければと思います。
また、放流に当たっては、やはり適期があると。高温耐性ということも大事ですけれども、今、生産している稚魚の放流の適期、5度から13度程度の海水温を優先したほうが回帰率が高いという調査結果もあると思いますし、また、これまで水産技術センターで調査した結果、稚魚放流年の5月の親潮の出現率の割合が高い年に多く回帰する傾向にあるというようなこともあるようであります。このタイミングをしっかりはかった中で、実際、各沿岸で放流できないものかどうか。今の放流の時期も含めて、どのような対応をこれからしていこうとするのかお伺いします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 確かに、サケの回帰率を向上させるためには、強い種苗-我々健苗と申していますが-とあわせて、適期に放流することが重要となっております。委員おっしゃいました水温5度から13度、大体このあたりが放流の適期となっておりますので、水産技術センターでは海況等の調査の中で、海水温等の調査をこれまでしてきております。そして、その適期になったときには、回報を出しまして、放流時期ですよということをふ化場あるいは漁協等にお知らせして、それをもってふ化場等が放流する。そういうような指導等もしておりますので、今後も引き続き海況等を見ながら、適期をしっかりとふ化場等に教えていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 放流される5月の海況、これまでも適期ということで放流してきているものの回帰率が戻らないのが現状で、恐らくサケの分野についてわからないことが多過ぎるということがその要因となっている。長く研究していても調査をしていても原因がわからないというのは何なのかなと不思議に思うところもあります。
稚魚のことも言いましたが、さまざま自然の環境の変化に対応できるということからすれば、より自然に近い遡上をして適応力のある稚魚に、原点に帰ったほうがいいのではないかと言う研究者もいるわけでありますが、そのような形で一度原点に帰るような調査というものはできないものか、そういった稚魚をつくれないものか、最後にお伺いして質問を終えたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 原点に帰るということで、要するに河川で自然繁殖させてはいかがかということと理解しておりますけれども、サケの自然繁殖につきましては、生物の遺伝的多様性を確保する観点からは有効と考えてはおります。しかし、自然繁殖は、人工繁殖に比べまして受精率やふ化後の生残率が著しく劣ることから、親魚が十分に確保できていない現在の状況におきましては、限られた親魚から効率的に種苗生産するためには、現在の人工繁殖を継続し、種卵の確保に取り組んでいくことがサケの資源回復に効果的ではないかと考えております。
〇伊藤勢至委員 関連。サケが出ましたので、関連して1点、手短にお伺いしたいと思います。
いろいろな海洋研究が進んできておりまして、近大マグロ、近畿大学がマグロの研究をして成果を上げているのは既に皆さん御案内のとおりでありますが、その前に、岡山理科大学で、白い粉、つまり海水を粉にまとめて、淡水に溶かして海洋生物を養殖するやり方、これはもう確立されています。さらには、九州大学では、ウナギの繁殖場はどこなのかをいろいろ調査して、南シナ海の1点を特定した、こういうことであります。
そういう中で、実は、1カ月前にはなりませんけれども、テレビで、多分三重県だったと思うのですが、サケの養殖に成功したという放送がありました。ちょうどそのとき酒を飲んでいまして余り記憶に残らないでしまったのですが、ただ、養殖に成功したということだけはすごく残りました。その企業は余り大きい企業ではないようですが、その社長は全国展開も視野に入れているという話をしておりました。
サケ1本当たりの魚価が相当高いということ。タラとかイワシがとれたといっても業界の魚価では全然勝負にならないわけなので、参考までにぜひそういうところも調査をしてみたらいかがかと思うのですが、そのことについては御存じでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの養殖についてですが、三重県で養殖をしていたというのは承知しておりませんでしたけれども、サケ、マス類の養殖につきましては、例えば海上での養殖ですと宮城県の銀ザケがございます。それから、富山県でマス類の養殖を陸上でやっていたのではないか。サクラマスかニジマスかは定かではございませんが、そういう養殖をやられているということです。
近年、サケ、マス類の養殖をしようとする考えを持っている方々がふえてきていることは聞いておりますので、まずは他県等を調査しながら、どのような形で養殖をして、どうやれば収益が上がるのか、そういうところも調査が必要と考えております。
〇伊藤勢至委員 先ほど、工藤大輔委員から原点に帰るというお話がありました。私も全くそのとおりだと思っております。
岩手県のサケの神様と言われました飯岡さんがこの前、岩手日報のサケの乱の連載の最後に載っていました。あの方が岩手県のサケの神様だと知らないものですから、1期目か2期目のとき大変無礼な質問をしたようで、私を折伏に来たのでしょうかね。そういうことも知らないでおりましたけれども、いずれ大自然の中で営みを続けたほうがいいということを神様とも知らずに話しました。そうしたら、その人は、定年退職された後、ペルーかどこかにサケの養殖指導に行かれたようで、読売新聞か朝日新聞に、サケの養殖というのは自然に帰るべきだというのをちゃんと書いているのです。その記事を、残念ながら東日本大震災津波で私の事務所は床上70センチメートル浸水してどこかにやってしまいましたが、大自然に帰る、賛成です。
実は、隣の秋田県、歌にも歌われています、秋田名物八森ハタハタ男鹿で男鹿ブリコと。これが全くとれなくなった時期がありました、十数年前でしょうか。秋田県では、ブリコを4年間禁漁にしたのです。そうしたら、4年後に解禁をして、今、ばんばん戻ってきている。つまりは、一旦自然の営みに戻したということが成功しているのだと思います。
ブリコとサケを比べるなという理論もあるかもしれませんが、ずっと人工の手を加えてやってきたどこかに大自然の営みでないものが加わって人間の予知できないものに変化してきたのであるとすれば、やはりこれは原点に戻るべきではないかと思っています。
サケの乱の中にも書いてありましたが、東京大学の国際沿岸海洋研究センターが大槌町にありますけれども、そこで大槌湾内のサケを取り上げて、印といいますかピックか何かをつけて放流したところ、そのまま大槌川に上がったのは2割しかいない。あとはみんな湾を出て、自分の母なる川を探して三陸沿岸を行ったり来たりしているというように書いていました。卵からふ化して4カ月ぐらい母なる水に接して7センチメートルぐらいに成長して放流されるわけですが、そのたった4カ月の間に嗅いだ川の水のにおいをわかっているのですね。それを探して歩くのですね。だから、そういう部分が原点にあるのだと思います。
したがいまして、遠回りになろうとも、やはり大自然に一度戻るという観点もお持ちにならなければいけないのではないかと思うところでありますが、何かお考えがあったら伺って終わります。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケを自然の川で産卵させて稚魚にして放流するということですけれども、先ほども申しましたが、確かに遺伝的な部分を考えますと、自然の川でサケを産卵させて戻ってこさせる、これの有効性は私もあるのではないかと考えております。ただ、現状、なかなか種卵確保まで非常に困難な状況になっているところで、天然の自然の産卵は、受精率、それから生残率が10%から30%ぐらいと言われていました。人工繁殖でやりますと80%、90%ぐらいまでいきます。やはりある程度の放流数を確保するためには、現在は、生残率の高い人工繁殖をしていくことがサケの資源を回復するための効果的なやり方ではないかと思っていましたので、自然繁殖については、サケが今後、私は帰ってくると期待しておりますので、そういうときになりましたら自然繁殖についても考えるべきなのかなとは思っております。
〇阿部盛重委員 私のほうからは、先ほど千葉進委員、飯澤委員からもお話がありましたけれども、いわて林業アカデミーの件で、1期生が15人卒業されて就職先も決まっているということで、1年間の成果として次の2期目に対しましては実技をふやしていくと。そして、2期生が今18名という状況で、いい形になっておりますが、これからの課題としては、2期生に関しましてはいかに教育レベルをアップさせていくかというのと、それから1期生に関しましては、就職先が決定しておるわけですから、年齢的に上の方もいらっしゃいますけれども、基本的には新卒者であろうと思っておりますので、いろいろな実技が現場でしっかりと生かされるかというのと、いろいろと心の問題も出てくるのかなと思っておりますので、その点、受け入れ先との連携に関しましてはどのような形になっているかお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 ことし15名、あした修了式ということで全員無事に卒業していくわけですけれども、就職先のほうとも今後も密に連絡をとりながら、あるいは定期的に同窓会みたいな形をとって、皆さんがどういう感じで、職場の中でどんな考えを持って取り組んでいるのか、その辺などの情報をいただきながらサポートしていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 その中に、計画に入っているかどうか、2期生の方々も入れるべきかなというように思っておりますので、ひとつよろしくお考えのほどお願いいたします。
次に移ります。
東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会で多くの人の目に触れる選手村ビレッジプラザに本県の高品質な木材使用が決定されました。この機会に国内外への発信の強化と木材の売り上げにつなげる、そして、大会終了後に各自治体の公共施設などへレガシーとして活用していくということですが、これはどのような方向性、計画になっているかお聞きします。
〇大畑林業振興課総括課長 まず、県産材の需要拡大につなげる取り組みでございますけれども、選手村施設の整備において県産材が利用される実績を県のホームページ等によりまして県内外に紹介していくこと、それから、木材を利用する大手ゼネコンあるいは建築ビルダーといったところに選手村施設整備に提供した県産材のサンプル品を提供しながら売り込み活動を実施いたしまして、高品質な県産材を広く発信し、需要拡大につなげていきたいと考えております。
それから、大会終了後の県産材の利活用、後利用でございますけれども、現段階で、どういうふうに利活用を進めていくかについては決定しておりません。例えば、想定される方法としては、テーブルやベンチ等に加工いたしまして、公共施設、スポーツ施設等に配置する、あるいは、今後整備が計画されている木造公共施設の部材として活用する、あるいは、選手村に建築された施設をそのまま再現するというような方法が考えられるところでございますけれども、今後返却されます県産材の形状あるいは強度-使われることによって強度が下がる可能性もございますので、そういった強度なども踏まえながら、大会のレガシーとして有効に活用できるよう、あるいは県産材の需要拡大にもつながるように利用方法を検討していきたいと思っております。県産材が返却されるのが2020年となっておりますので、それまでには利用方法を決定していきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 木材のアピールのいい機会になるかなと。大手からもそのあたりはしっかりと対応できているのかというお話もありましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それから、一般質問でも伺っておりますが、県産アカマツは、本県でCLT(直交集成材)の最終的な実証試験が進められておりますけれども、御存じのとおり、土の中でも腐りにくいとか盆栽に利用されるとかいろいろと用途はあるのですが、建築資材として利用拡大が期待できるということで、今後どのように利用拡大につなげていくのかお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 県産アカマツの利用拡大ということでございます。
一つは、林業技術センターで県産アカマツCLTの開発に取り組んでおります。平成26年度から実証試験に取り組んでおりますけれども、これまでに、CLT製造に関するJAS基準のうち、接着性能への適合、それから、強度性能のうち、林業技術センターで試験が実施可能な剪断性能などへの適合を確認しております。まず、建築基準法に対応したCLT製造技術の開発に取り組んでいる状況でございます。平成30年度でございますけれども、CLTの製造コストの検証をやっていくということ、それから、まだ強度性能が確認できていない-林業技術センターではできない部分がございますので-部分につきましては、県内には県産アカマツCLTの製造に興味を示す企業もございますので、そういった方の御意向を確認しながら、その実施について検討し、実用化に向けた取り組みを推進していくことにしております。
それから、県産アカマツは県の木でもございますので、これまで、その普及に向けて、関係団体と連携しながら、やわらかな木目、あるいは光沢を放つ色艶が売りでございますので、そういったアカマツの特徴をPRすること、それから、県産アカマツを利用して建築された住宅の見学会などにも地域それぞれで取り組んできたところでございます。
今年度でありますけれども、県産アカマツの需要の掘り起こしのため、職員が県内外の企業を訪問して調査したところ、アカマツは文化財や寺社仏閣の修復用資材として非常に需要があるとお伺いしたところでございます。このため、今後、文化財の修復を請け負う企業を訪問いたしまして、県産アカマツのいい特徴を積極的にPRする、売り込み活動を行うことで県産アカマツの需要拡大につなげていきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 アカマツが大きく注目を浴びてくるということだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
最後になるのですが、漁業の担い手ということで(仮称)いわて水産アカデミーの件ですが、研修先や高校などへの周知徹底を図るというお話がありましたけれども、これはいつから開始されるのでしょうか。
〇中井漁業調整課長 高校生等への周知でございますけれども、年度が明けまして、平成30年4月から水産高校のみならず内陸の高校に向けましてもこういった取り組みを進めて周知を図っていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 水産関係の高校に関しましては、高校生は十分にここを見定めて入学されたと思うのですが、普通高校、実業高校に関しましては、かなり漁業に関しての知識のある方が説明していかないとなかなか心が動かないと思うのですが、そのあたりの対応はどういう方が行かれるのでしょうか。
〇中井漁業調整課長 やはり漁業に就業していただくためには、漁業の魅力をわかってもらわないといけないと考えております。今後、県のほうで漁業の魅力について少し整理いたしまして、わかりやすい形で高校生にわかるようなものを準備いたしまして臨んでいきたいと考えております。
〇高橋元委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後5時17分 休 憩
午後5時42分再開
〇田村勝則副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇岩崎友一委員 私は大きく2点通告をしておりましたけれども、1点だけにします。サケの関係で質問します。
1点目は、不漁対策にかかわるのですが、まず、平成29年度、そろそろ速報値といいますか漁獲高が確定するかと思うのですが、漁獲高と漁獲金額についてお示しいただければと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 本年度のサケの漁獲状況ですが、漁獲量は7、289トンで、前年対比83.3%、震災前対比27.3%でございます。それから、漁獲金額につきましては64億円で、前年対比103%、震災前対比72.4%でございます。
〇岩崎友一委員 やはり去年よりも漁獲重量は減っているということで、不漁対策は、先ほど工藤大輔委員、伊藤委員からもありましたけれども、まず1点確認したいのは、先ほど議論のありました種苗生産方法の改良の関係であります。今、水産技術センターで研究を行っているということでしたが、このスケジュールというか、稚魚として放流できる時期はいつを目指して今研究を進めているのかというあたりはどうなのでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産技術センターにおきましては、以前から種苗の改良等については調査研究しているところですが、平成26年度に釜石市唐丹町に大規模実証実験場をつくりまして、そこである程度、種苗の数を多くして放流しているところです。
ここを中心としまして、先ほど申し上げました稚魚の密度を変えたような形で放流する、あるいは餌についてもかえながら、それを放流して、どのくらい帰ってくるかという試験研究をしております。
大規模にやりましたのが平成26年度からで、サケは4年ぐらい後に帰りますので、一番最初に帰ってくるのは、今年度、3年魚で帰ってきたものはあるかと思うのですが、本格的には来年、再来年になるかと思います。
これらの試験等を積み重ねながら、さらに健康な種苗をつくっていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 既に放流をしているということで、ことしの秋、来年あたりが4年魚、5年魚あたりということかと思います。もし進んでいないのであればと、やはり懸念があって、実は震災後に県の目指している4億尾を放流したのは平成26年度だけだったんですね。そうすると、ことしが4年魚が帰ってくる年、来年が5年魚で、もしこの4億1、000尾を放流しても回帰率が低かった場合に、これは大変だということで、ちょっとその研究を急いでほしいと思ったのですが、既にやっているということで、ぜひ回帰率の向上というか研究のいい成果が出ればと思います。
それと、先ほどの工藤大輔委員の質疑にあった不漁の関係の原因と対策以外に、ほかにも不漁の原因はあるのかどうかお尋ねしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 不漁の要因でございますが、大きく分けて3点考えております。まず1点は、ふ化場の被災により稚魚の放流数が少なかったことから、回帰主群の4年魚、5年魚の漁獲量が減少したこと。それから、放流後に稚魚が北上する時期に三陸沿岸の表面水温が高目に推移していることに加えまして、春先から初夏にかけて水温が短期間で急激に上昇する傾向がありますので、この時期に稚魚が十分に成長できなかったのではないか。最後に3点目ですが、全国的に漁獲量の減少が見られておりますので、三陸沿岸だけではなくて、広く北洋海域でも稚魚が減少した可能性があるのではないかと考えております。
〇岩崎友一委員 恐らく大きな話になっていけば、県だけの対策では足りなくて、全国的な、北海道も不漁という話でありますから、やはり水産庁にもしっかりと調査していただきたいと思うのですが、国の今の調査はどのような状況なのでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、国の調査状況ですが、サケ資源の回復を図るために、回帰率向上に向けた放流手法の開発等を実施しております。そのほか、北洋海域のベーリング海でサケの資源状態や資源変動に与える環境要因の調査を実施しているところでございます。
〇岩崎友一委員 今の国で調査をしている部分に関して、どの辺まで調査が進められているというか、原因の特定まで至っているというか、その進捗状況はどんな感じなのでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 国の調査につきましては、やっぱり私が先ほど申しましたとおり、強い健康な種苗を放してくださいとか、あるいは適期に放すべきですとかということで、ガイドラインが今年度国から示されているのですけれども、考え方としては、我々が考えているものと同じということで、これについては、国もこれまで調整してきた中で得た知見ではないかと思っております。
〇岩崎友一委員 先ほど伊藤委員からもありましたけれども、やはり岩手日報のサケの乱の連載を読みまして、私もいろいろ考えさせられた部分もありましたが、先ほど来の答弁の中でもう既に今後の県の進め方をお聞きしましたので、ぜひ、本当にことしの秋に、今研究している部分の成果が出ることを期待したいと思います。
次に、漁協の経営の関係からお尋ねしたいのですが、はっきり言えば、今の漁協の経営は、サケがとれれば黒字、とれなければ赤字という漁協が多いかと思うのです。サケにより多く戻ってきてほしいという期待はしながらも、経営ですから、期待だけではなくて、危機管理といいますか、サケが不漁であってもしっかりと黒字を出せる体制の構築が必要であるかと思いますけれども、県の見解についてお伺いしたいと思います。
〇及川参事兼団体指導課総括課長 漁協の経営安定化に向けた見解でございますけれども、県内各漁協は、震災後に東日本大震災復興再生計画を策定しまして、経営再建に向けた努力や取り組みを進めてきたところでございます。平成27年度まではこの計画が順調に進捗してまいりまして、若干上回るところもあったのですけれども、平成28年度から、秋サケの不漁などがありまして、計画を下回る漁協がふえてきております。多くの漁協では、自営定置事業の収益が全体の50%程度を占めておりますので、経営への影響が懸念されているところでございます。
なお、今年度につきましては、サケが単価高となったことと、それから、ブリ、マイワシ等の水揚げ増加がありましたので、2月末時点での県全体の水揚げ金額は過去5カ年の平均を上回っているということで、決算への影響は、今年度については限定的とは捉えておりますけれども、今後も楽観視できない状況でございます。漁協の経営安定化を図るという観点からは、事業の効率化、経費節減、それらとあわせまして、さらなる収益の向上を図るための方策を検討する必要があると認識しております。
〇岩崎友一委員 震災後、自営の養殖が、私も忘れてしまったのですけれども、大槌町でもこれからやるという話もあったのですが、やはり安定化が物すごく大事で、今、課長からさまざまな方策がありましたが、何か具体的にこういったものを考えているというものはあるのでしょうか。
〇及川参事兼団体指導課総括課長 経営改善に向けた取り組みと申しますのは、各漁協によって抱える課題がいろいろでございまして、一様にこういったことをということではございませんが、今、委員からも御紹介がございましたように、大槌町ではワカメの自営養殖を手がけているということで、こちらは、たしか平成28年度やっとといいますか黒字になったと聞いております。
そのほかにも、先ほど申し上げました事業の効率化、例えば定置網とか番屋を集約化する、施設を集約化するといった方向で経費を見直すということもあるでしょうし、逆にプラスのほうでは、販路の開拓と申しますか、アンテナショップに出したり、道の駅と協調したりといった取り組みをしているところもあります。そういったところも今後の選択肢の一つと考えております。
〇岩崎友一委員 これは質問を出していなかったのでちょっとわからないかもしれませんけれども、傾向でもわかればお示しいただきたいのですが、震災後にそういった取り組みを各漁協でしてきて、それぞれの漁協の秋サケの定置事業の依存度は、上がっている、下がっている、どんな感じになっているのでしょうか。
〇及川参事兼団体指導課総括課長 申しわけございません。個々の漁協の状況を詳しくは私も承知しておりませんが、先ほど申し上げましたように、漁協全体のサケに対する依存度は、全体でおおむね5割と承知しております。
〇岩崎友一委員 わかりました。ぜひ、今までのサケ依存型経営からの脱却といいますか、その辺をしっかりやっていかなければならないと思います。県でも、各漁協でやっているいい取り組みの横展開だったり、漁業関係団体としっかり連携しながら-県では、前から漁協を核とすることをうたっているわけであります。物すごく大事ですから、やはり大槌町漁協が11億円の借金を抱えて1回倒産したということもありまして、私も、物すごく危機感を持って経営を見ています。ですから、これまで以上に、県としても、どこまでやれる、やれないがあるかもしれませんが、しっかりと連携のもと、ぜひ進めていただきたいと思います。
水産振興議員連盟の締めに副会長の小野委員から、定置の閑散期である春先にサクラマスをとの話もありましたが、あらゆる方策があると思いますので、そういった取り組みも進めながら、漁協経営の安定化に向けて県としても御努力いただきたいということを要望して、質問を終わります。
〇城内よしひこ委員 まずもって、平成28年台風第10号で被害に遭ったふ化場の復旧、大変ありがとうございます。
東日本大震災津波からの復旧状況について質問したいと思います。
1点目でありますけれども、重茂地区が大変甚大な被害を受けました。そこで、東日本大震災津波からの復旧ということで、まさに旗印であります重茂の音部の掘り込み漁港がなかなかそのままの状態でいるように感じてならないのですけれども、進捗状況等についてお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 重茂地区の音部漁港の進捗状況についてでございます。
事業着手後、共有地などの用地買収を進めてまいりました。取得がほぼ完了いたしましたことから、平成28年3月より導流堤、それから、物揚げ場に着工いたしまして、これまでに鋼矢板の打設107メートル、土砂掘削6、500立米等の工事を実施してきております。
〇城内よしひこ委員 やはりそういう形で見える化というのは、地域の方にとっては活力、原動力になっていきますので、ぜひ、おくれを取り返すべく-多分おくれていないということではないと思いますが-頑張っていただきたいと思います。
あわせて、完成の時期はいつごろになるのかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 委員お話しのとおり、確かに若干おくれぎみでございます。しかしながら、現在、現地でも一生懸命取り組んでおりまして、何とか復興計画期間の間には完成したいと。具体的には、2022年度の事業完了を目指して一生懸命取り組んでまいることにしておりますので、ひとつ-済みません、2020年度までの完成を目指して取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 よもや2022年という言葉は使わないでほしいと思います。それはきちんと期待しています。
漁港については、今の漁民の方々、漁具を使う方々にとっては大変有効な仕組みだと思っています。そこで、漁港の活用についてお伺いしたいと思います。
一般質問等でも質問させていただいた経緯があるのですが、国が策定した新たな漁港漁場整備長期計画には漁港ストックの最大限の活用とあるが、内容はどのようなものか、県でどのような取り組みをしているのかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 漁港の活用についてでありますが、国の長期計画におきまして、漁港ストックの最大限の活用とは、漁船の安全係留とか水産物の効率的な陸揚げ等の漁港本来の機能としての利用のほか、漁港内の泊地など静穏水域を増養殖の場として利用すること、それから、漁港施設用地への水産物直販所の設置といった漁港施設を多機能的に活用するものでございます。
県といたしましては、国の長期計画の考え方を踏まえつつ、漁港内の静穏水域でアワビ、ウニ増殖場の整備を行うこととしておりまして、平成30年度は、重茂漁港におきまして、防波堤背後の静穏水域を活用した増殖場の整備に取り組む予定としております。
〇城内よしひこ委員 わかりました。規模はどれぐらいを想定しておるのか、わかる範囲でお願いしたいと思いますが、あわせて、過日、久慈港の湾口防波堤を視察させていただく機会がありました。久慈の湾口防波堤内は、外洋に比べて静穏域が大変保たれていると。ただ、あそこには漁業権がなかったのかな、そういったこともあって、こういった静穏域を利活用することが、今後の県の水産業にも寄与するのではないかと感じましたし、同日、一緒に視察させていただいた議員の方々からもそういう話が出たのですが、そういった今後の県としての課題、計画はお持ちかどうかお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇阿部漁港漁村課総括課長 来年度整備を行う予定の重茂漁港の漁場の面積ですけれども、詳細な資料を持ち合わせておりませんが、おおむね数ヘクタール規模と考えております。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 港湾等の活用、静穏域の活用ということでございますが、まず、久慈港につきましては、湾口防波堤の中でも定置網もございますし、あるいはアワビ、ウニ等の漁業権もございます。
ただ、湾口防波堤がかなり進捗していきまして、中が非常に静穏になってきましたので、久慈地区は余り養殖をやられていないのですが、養殖のできる可能性があります。来年度、漁業権の養殖の切りかえでございますが、久慈漁協では湾口防波堤の中で養殖もやっていきたいという意向を聞いております。
今後は、釜石港等でもまた湾口防波堤の中の静穏域がの活用が出てくると思いますので、そういう静穏域を使った漁業は、今後とも要望が出てくるのではないかと思いますし、要望に対しては、できるだけ実現していきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 岩手には四つの重要港湾がありますし、いろいろな形で県土整備部が所管する部分と皆さんが所管する部分とあると思っています。縦横無尽にという言い方は変ですけれども、連携をし合いながら、先ほど来の漁協の経営体質の強化にもつながってくると私は思っていますので、その辺の検討も重ねていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 私も水産の人間ですので、海を有効に活用していくことは、当然念頭に持っております。湾口防波堤の中の海域は広い海域でございますので、これをしっかりと活用していくことは、これまでも必要なのではないかと思っておりましたので、関係部局と進捗状況等を確認しながら、そして、漁協等の意向も聞きながら進めてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 私も、三陸の主要魚種の大不漁に対する原因と対策についてお聞きしたい。
サケは震災前と比べて水揚げ量が27%、サンマも27%、スルメイカは19%と。私は、この大不漁は災害並みの被害というか影響を与えているのではないかと思いますが、それぞれの大不漁の原因究明、科学的調査の状況、内容と課題について示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、サンマ、スルメイカの不漁の原因究明の内容と科学的調査についてでございますが、まず、サケにつきましては、ふ化場での飼育環境や放流後の沿岸における生育環境が不漁に与える影響を調査するために、ふ化場におきましては飼育密度などの調査、それから、沿岸におきましては稚魚の分布調査によりまして、生残率の把握に努めているところでございます。
また、新たな課題として、先ほども申しましたが、北洋海域等で減少している要因も考えられるのではないかと思っていましたので、これについては、国に調査の拡大を要望しているところです。
それから、サンマ及びスルメイカについてですが、この両魚種は広域で回遊する魚種でございますので、国が中心となりまして、資源管理の動向把握や不漁原因の究明に取り組んでおるところでございます。
県としましては、岩手県沖合の漁海況の調査とか、あるいは漁獲物の測定などによりまして、国の取り組みに協力しているところでございますので、引き続きこのような協力をしていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 ここの議論でもたびたび紹介された岩手日報のサケの乱の連載は、私は、かなり力の入った連載ではないかと思います。多岐の課題も提起されているので、この連載に対する県の認識をお聞きしたいのですけれども、一つは、4億匹のふ化放流の規模が妥当なのかという議論がされております。記事の中では、県水産技術センターが試算し各ふ化場に示した最適飼育種苗数は、県内合計3億4、793万匹と報道されていますが、これは事実なのか。この放流数4億匹を維持する問題をどう受けとめているのか。
もう一つ、海産親魚の問題ですね。これは今、4分の1を占めるんですね。先ほど伊藤勢至委員が大槌湾での動向の調査を紹介しました。私も大変興味深く見たのですけれども、80匹前後を放流して14年から調査していると。一直線で川に遡上するのが20%、半数以上がすぐに湾外へ移動しているというんですね。半数が湾外に移動していると。そうすると母川ではなかったということになりますね。
私は、この問題も含めて海産親魚の問題はなかなか複雑な課題を抱えているのではないかと思うのですけれども、その点についてどういう受けとめでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず初めに、4億尾の放流の妥当性ということでございますが、古い話をちょっとさせていただきますと、サケの増殖を開始したときに、県として3万トン計画というものをつくりました。それは昭和の時代でございます。それをふやすためには、当時の回帰率から逆算しますと4億尾の放流が必要だということで、そのために、国の補助事業等を使いましてふ化場を整備して、それが今のふ化場になっております。
被災で大分放流数は減りましたけれども、現段階の20のふ化場での放流尾数は4億200万尾でございまして、これは過密に飼って4億200万尾ということではございません。適正に飼った中でも4億200万尾を放せるということになっています。震災後4億尾を放したのはまだ1年しかございませんので、まずは4億尾を放して、資源の回復を調査したいと思っております。
水産技術センターが出しました最適の3億4、793万尾ですか、実はこれは条件がございまして、ふ化場の利用を1回だけにした場合はこのぐらいですよということになるのです。ただ、9月、10月に採卵したものは、もう2月ぐらいには放流できる、1月、2月ぐらいには放流できるものがございます。そうしますと、そこのあいた池をもう一度、1月ぐらいに採卵したものが使えるということで、一般的には、水温が高いところは特に成長が早いものですから、回転をして種苗生産をすることになります。この岩手日報の記事の3億4、793万尾は、1回転だけを条件として試算した数量でございますので、実際は2回転すれば4億尾は生産できるということになります。
それから、海産親魚の使用についてですけれども、実は海産親魚は、平成5年前後に川で採卵し稚魚にして放流したものと、海産親魚で稚魚にして放流したものと、これがどのぐらいの割合で帰ってくるかという調査をしております。その調査結果は、ほぼ同等、厳密に言いますと、海産親魚のほうが実は高いデータが出ておりますので、海産親魚を使ってその川で放したサケでも、その川に戻ってくるというデータがございます。
〇斉藤信委員 それと、来年度に向けて、高水温に強い北上川のサケの稚魚の放流ということがありました。この具体的な中身を教えてほしいのだけれども、実は7万トンを達成するときに北海道の早期群を導入したんですね。一時期は大変大きな効果を上げたのですけれども、その後、これをやめましたね。これは本当に遺伝子その他のいろいろな問題があったと思うのです。ただ、北上川となりますと、私は、あそこは本格的な放流もしていないから、それなりの強い稚魚が残っているのではないかと思うのだけれども、どうなのですか。遺伝子も含めたそういう問題はクリアできるのか、どういう中身でこれをやろうとしているのか示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 北上川水系のサケの利用ということでございますが、まずもって、北上川のサケは、盛岡市の中津川に9月ごろに上ってきます。河口は石巻市ですので、8月ぐらいには上っているのではないかと思いますので、温かい海水のときでも上がってくるということに着目しまして、高水温に強いサケの稚魚を何とかつくれないかということで、来年度に新しい予算として計上したところでございます。
何点かございますが、一つは、その北上川のサケに高温耐性を有する遺伝子があるだろうと。そうしますと、沿岸に上がってきたサケも同じ遺伝子を持っているものがあるのではないかと。済みません、細かい話になっていますけれども、そういうものが特定できれば、沿岸のサケについても、高温耐性を持っているような遺伝子を持つサケを使って種苗をつくっていくことなどを来年度から検討していきたいと思っています。当然、遺伝的な耐用性についても配慮していかなければならないと思いますので、そこは重々考慮しながら試験研究を進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 秋サケ、そしてサンマ、スルメイカの資源の確保と資源の管理の課題について、今後どう取り組まれるのか示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 この資源の課題に対する対応でございますが、まず、サケの資源につきましては、減少要因は先ほど来言っているとおりでございますし、これの対策としましては、引き続き計画している4億尾水準の放流を確保していくとともに、高水温の新たな種苗生産技術等の開発、あるいは北洋海域での減少要因を把握するため、調査の拡充を国に要望しているところでございます。
それから、サンマ及びスルメイカの資源管理についてですが、これは、他国の漁獲が資源に影響を与えるとの懸念もあるところでございますが、県としましては、引き続き国の資源調査に協力しまして、資源状況の把握に努めてまいりますし、県や漁業関係団体で構成する資源管理協議会というものがございます。この協議会の中で、資源管理の徹底を指導していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、ワカメ、昆布、カキ、ホタテ、ウニですけれども、ワカメは、震災前と比べるとその生産量が71%、昆布は52%、ホタテは41%、カキは56%と、これまた、岩手が一番強い分野でまだまだ生産量が回復し切れていない。この原因と対策について示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 減少の要因でございますが、まず、ワカメ等の養殖種目につきましては、震災後の養殖業者の減少等に伴いまして、養殖施設数が減少したことと考えております。
それから、ウニにつきましては、餌となる海藻の生育が悪くて、ウニの身入りが少なかったことなどが挙げられます。
対策についてですけれども、養殖生産量の回復に向けましては、意欲ある漁業者の生産規模拡大や漁協自営養殖の推進、省力化機器の導入等に取り組んでまいりますし、ウニにつきましては、餌料が多い漁場への移植放流や積極的な漁獲を推進しまして、このような取り組みをもって養殖生産の拡大やウニの資源回復に努めてまいります。
〇斉藤信委員 次に、水産加工業の現状と課題、緊急対策についてお聞きいたします。
不漁が続けば廃業の危機ということで、これは3月9日付の河北新報ですけれども、2月19日に大船渡市の魚市場や水産加工団体、小売団体の幹部が緊急招集されて、谷合正明農林水産副大臣に直訴したと。この内容を把握されているか。
私は冒頭述べたように、これだけの大不漁、まさに復興途上で第二の災害と言うべき本当に深刻な状況になっているのではないかと思いますが、原材料価格高騰の実態、水産加工業者に対する影響をどう把握されているか、売上高はどうなっているか示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、先に新聞報道についてですが、私も新聞を見せていただいて、情報としては把握しておりました。
そこで、大不漁と原材料価格高騰の実態についてですが、まず、県内産地魚市場における主要魚種の単価は、平成29年の実績ですが、秋サケが1キログラム当たり933円と震災前の2.6倍、サンマが1キログラム位当たり244円と震災前の3.6倍、スルメイカが1キログラム当たり519円と震災前の2.9倍となっております。
県の調査によりますと、平成29年8月現在において、震災で被災した水産加工業者の72%が、主な課題として原材料価格の高騰や調達困難を挙げており、これら主要魚種を加工原料とする水産加工業者は、地元魚市場以外からの原材料確保を余儀なくされているところでございます。
また、水産加工業の生産量と売上高でございますが、国の調査によりますと、平成27年の実績しかまだデータが出ておりませんけれども、生産量が9万9、000トンと震災前の83%、生産額が726億円と震災前の101%となっております。
〇斉藤信委員 平成27年の実績だったので、その後、大不漁に陥っているので、これはちょっと大変なのですけれども、水産庁が11月から1月末までに行った緊急調査だと、売り上げが8割以上回復した業者は岩手県で43%、業者数はちょっと少ないのですが、でも、8割以上回復したのは43%です。だから、57%は8割以下ということになっていると思います。
それで、本当に原材料を確保するための具体的な支援策、そして、これは県も言っているのですけれども、魚種転換に対する技術的支援と具体的な補助、さらには、もう丸7年を経過して、これまでのいろいろな支援策が切れているんですね。固定資産税の減免も5年です。二重ローンも大体5年を過ぎると、順調なところは返してくれと。それで、海で溺れて岸に着こうと思って、岸に着かないうちに今までの支援策が切れてしまう。これは水産加工業者の率直な訴えですよ。
私は、そういう形で、総合的な災害に匹敵するような緊急対策が必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、原材料確保の対策でございますが、県では、水揚げ状況などの情報提供や、サケ、サンマ、スルメイカ以外の原材料に転換を検討する事業者への助言、あるいは地元に水揚げされる魚種を対象に新商品を開発する場合の国の補助制度の活用などを支援しておりますし、加えて、市町村や漁協等の魚市場関係者と連携しまして、漁獲が好調なサバ、イワシの巻き網漁船を地元魚市場に誘致することなどで、代替原料の安定的な確保を図っているところでございます。
それから、魚種転換した状況等でございますけれども、例えば、マダラにつきましては、宮古市が全国で一番の水揚げだというようなことを言っておりまして、地域を挙げてブランド化を図っている状況でございます。その一環として開発しました新商品が、今年度県が主催します復興シーフードショーIWATEで最高賞を受賞されたということで、地域の魚種を活用していくことも非常に重要なことではないかと考えております。こういうところを推進しつつ、あるいは、技術的なものであれば、専門知識を有するアドバイザーの派遣ですとか、漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理地域づくりなどを進めまして、加工業者の支援をしてまいりたいと思っております。
それから、緊急的な措置が必要ではないか、補助等も切れてきているというようなことでございますが、水産庁の補助事業で水産加工業等販路回復取組支援事業というものがございます。この事業は、新たな魚種等を使って商品をつくる場合、機器が必要であれば、それに対しての補助もございますし、それから、販売する場合のソフト的な経費に対しても補助が出ます。この補助は今後、平成30年度以降も続いてまいりますので、本県の加工業者も-昨年度13者だったと思いますが-活用するなど、原料転換等に向けて有効な事業がございますので、この事業をフルに活用しながら進めていきたいと思っておりました。
〇斉藤信委員 これで最後ですけれども、水産加工業者は、まさに復興の途上で大不漁に直面して、本当に今、もう存亡の危機という状況だと思うので、よく実態を把握して、必要な対策を講じていただきたい。
小型漁船漁業の実態とサケ資源の公平配分を求める裁判の見通しを聞いて、終わります。
〇中井漁業調整課長 まず、小型漁船漁業の実態についてでございますけれども、小型漁船漁業者数は、漁業センサスによりますと、無動力船及び20トン未満の動力船の経営体で、震災前の平成20年の2、519経営体に対し、平成25年は2、125経営体、平成20年対比で84%となっているところでございます。
また、小型漁船漁業者の経営状況につきましては、本県単独の統計データはございませんけれども、国によります本県を含めました被災地域の漁船漁業経営体の経営状況調査では、震災前の平成22年の漁業所得水準を100とした場合、平成27年は84と公表されているところでございます。
また、サケの裁判の関係でございますが、昨年12月に第10回目の口頭弁論がございまして、それをもって結審となっております。それを受けまして、今月23日が判決日となっているところでございます。
〇小西和子委員 それでは、簡潔にお尋ねいたします。いわての森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
昨年度のいわて環境の森整備事業は、実績が目標の半数ほどと大幅に下回りました。つまり復興工事や一昨年の台風第10号災害の復旧作業に伴う伐採作業員の不足が要因であったと捉えております。事業実施主体側の人員の確保が困難であったことが要因でありましたけれども、今年度の実績見込みと次年度の目標をお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 まず、今年度の実績でございますけれども、昨年度実績を100ヘクタールほど上回る870ヘクタールの施工地を確保できる見通しとなっております。
それから、来年度につきましては、1、500ヘクタールを目標に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 施工地確保のための今年度の取り組み、地域説明会とか森林組合等への働きかけというのは以前にもお聞きしておりましたけれども、その取り組みと次年度の取り組みの重点をお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 施工地確保に向けた取り組みでございますけれども、今、委員から御紹介があったもの以外ということでありますと、面積の大きな施工地の確保、それから、地域間での労務調整、新たな事業体の掘り起こしに取り組んだところでございます。
平成30年度におきましては、今年度の取り組みで比較的効果のございました面積の大きな施工地の確保、新たな事業体の掘り起こしといったところに重点的に取り組む、それから、森林所有者向けの広報にも積極的に取り組みまして、目標とする施工地面積を確保していきたいと考えております。
〇小西和子委員 この事業は創設されてから丸12年経過いたしました。12年ですので、事業を行いやすい施工地というところは、もうほとんど整備されているわけですね。ですから、これから施工地を確保というのは簡単なことではないと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
では、次年度の認知度を上げるための取り組みをお伺いいたしますが、テレビを見ていたら、いきなりいわての森林づくり県民税のコマーシャルがばっと出たので、私もびっくりして、おお、効果的だなと思いましたし、それからいわての森林づくり県民税のPR案内板の整備とかということで、取り組みが非常に強化されていることがわかるのですけれども、次年度の認知度を上げるための取り組みをお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 認知度向上に向けまして、今年度、いわての森林の感謝祭での広報、今御紹介がございましたテレビCM、それから新聞広告による広報を実施しましたほか、若年層向けの新たな取り組みということで、インターネットの動画検索サイトでの広告配信を実施したところでございます。
こうした取り組みと並行して、昨年12月から本年1月末にかけましてインターネットを利用したアンケート調査を行ったところでございますけれども、その結果、いわての森林づくり県民税の認知度は約55%となりまして、昨年度より17ポイント向上したところでございます。
平成30年度におきましては、こうした一定の効果があった取り組みを継続してやっていきたいと考えておりますし、新たな広報ツールの活用も検討しながら、認知度向上につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 認知度はずっと4割とかで低迷していまして、目標が7割なのですけれども、なかなか進まないなと思っていましたが、すごく数値が上がったことについては、大変敬意を表したいと思います。インターネット等を通じてさらに高まることを期待しております。
先ほどから国の森林環境税とのかかわりが質疑されているわけですけれども、次に、いわての森林づくり県民税事業においても労務確保が難しい状況の中、国の森林環境税による森林整備事業が行われた場合、林業事業体のさらなる人員確保はもちろんのこと、主体となる市町村の体制整備が必要と考えます。つまり、市町村には余り専門家が多くはいらっしゃらないと聞いております。その対策についてお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 林業事業体の労働確保対策と市町村の体制整備についてでありますが、国が創設を目指しております森林環境税により、市町村が行う間伐等の業務が大幅に増加するものと考えており、現場で働く林業従事者の確保はもちろんのこと、市町村の実行体制の確保が大きな課題と考えております。
このことから、県では、まず、林業従事者を確保するため、岩手県林業労働対策基金と連携し、新規就業者の養成研修などを実施してきたほか、今年度からは、林業の現場で即戦力となる人材を育成するために、いわて林業アカデミーを開講したところであります。
また、市町村に対しましては、市町村等説明会の開催などにより、新たな制度の概要や市町村の役割、業務内容等について情報提供を行ってまいりました。
県では、引き続き、林業従事者等の確保、育成の対策を講じていくほか、国の関連法案審議の動向を注視し、市町村の事務事業が円滑に実施されるよう、事業量や事業規模を踏まえた市町村への支援対策を検討してまいります。
〇小西和子委員 大変なことだと思います。先ほど見直しを行いますというお話もありましたけれども、いわての森林づくり県民税事業というのは、事業評価委員会では、担当の方がすごく熱心だというのは前々からお聞きしておりました。たしかこれと同じような事業は37府県で行われておりまして、そして、他県からも、これほどきちんとやっているところは岩手県しかないと評価されていると聞いております。国の森林環境税との兼ね合いもあろうかとは思いますけれども、さらによりよい事業とするようにお願い申し上げます。
次に、防潮林の再生についてですけれども、防潮林の再生の現状と今後の見通し、各地で行われている植樹についてお伺いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 防潮林の再生の取り組みについてでありますが、再生を計画している防潮林18地区、約44ヘクタールのうち、2018年2月末までに14地区、約38ヘクタールに着手し、このうち8地区、約9ヘクタールが完成したところであります。
未着手の4地区については、他所管防潮堤工事等の調整に時間を要しておりますが、2020年度までに全ての地区で植栽が完成できるよう取り組んでまいります。
また、これまで完成した8地区の防潮林のうち、地域住民等が参加する植樹祭を高田松原など6地区で開催し、約990名の方々に参加いただいており、今後とも、植樹祭の開催を通じ、防潮林の役割や重要性など理解の醸成に努めてまいります。
〇小西和子委員 この植樹にかかわりましては、全国からの支援もたくさん寄せられているとお聞きしております。野田村前浜地区の植樹の際の関係者の方の言葉ですけれども、防潮林は生活に欠かせず、住宅地に来るやませを防いでくれると。苗木が成長すれば景色もよくなるだろうと期待を込めているというような報道がありましたけれども、本当にこれは希望であると私は思います。年々成長するわけですのでね。
それで、白砂青松の美しい風景は、先人が長い年月、心血を注いで育成したものと私は捉えております。それを取り戻すためにも、今後も取り組みの強化をお願いして、終わります。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、まず治山対策についてお伺いします。
全国知事会でも、あらゆる災害に負けない千年国家を創り上げるという岩手宣言が採択されましたが、私も県土整備委員会の県外視察で、九州に調査に行った際に、やはり山が崩れて大変な被害が出ていたというようなところから、まず、農林水産部として、治山対策事業の実施状況と新年度どう取り組んでいこうとしているのかお伺いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 治山対策の実施状況と新年度の計画についてでありますが、平成29年度の治山対策は、豪雨等で荒廃した渓流への治山ダムの設置、地下水等を原因とする崩壊地の地すべり防止対策、東日本大震災津波で被災した防潮林の再生など、39地区で実施しております。
平成30年度は、これまで実施してきた治山対策に加え、新たに渓流沿いの危険木の除去、流木の捕捉を目的とした治山ダムの設置など、流木対策も実施することとしており、45地区で治山対策を実施する計画としております。
〇臼澤勉委員 この治山対策事業の整備効果をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 整備の効果についてでありますが、山地に起因する災害から県民の生命や財産、学校、病院、道路、鉄道などの公共施設、農業用施設などを守るとともに、水源の涵養、土砂の流出や崩壊の防止、生活環境の保全など、森林の公益的機能の増進が図られることから、治山対策を進め、山地災害防止機能の確保、強化に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 私は、地方自治の県の仕事の一丁目一番地というか大事なことは、まず、水を治める治水対策、それから山を治める治山対策、この二つの大きな軸があるかと思っております。ぜひ、農林水産部としても、国土強靱化の取り組みをしっかりと進めていっていただきたいと思います。
次に、松くい虫、ナラ枯れ対策をお伺いします。
これまでの取り組みを県としてどのように評価されているのか、まずお伺いします。
〇佐藤整備課長 松くい虫、ナラ枯れ対策のこれまでの取り組みの評価でございますが、松くい虫につきましては、昭和54年に一関市で初めて被害が確認されましたが、被害木の徹底駆除や伐採施業指針の徹底により、現在でも内陸部は盛岡市、沿岸部では大船渡市が被害地域の北限となっており、多くのアカマツ資源を有する県北・沿岸地域への被害の北上阻止に効果を上げてきたものと考えております。
また、ナラ枯れについては、平成22年に奥州市で初めて被害が確認されましたが、県では、被害が判別しやすい9月をナラ枯れの被害調査強化月間と定め、ヘリコプターによる空中探査や地上調査を実施し被害の早期発見に努めるとともに、新たに被害が発生した市町で重点的に被害木の駆除を行っているところであり、沿岸南部や県南県境地域から県内陸部への被害拡大抑止に効果を上げてきたものと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、地元盛岡周辺も含め県内を歩いて、あるいは、この前も大船渡市の碁石海岸レストハウスの小川社長ともお話ししたりして、非常に松くい被害というのもなかなか抜本的なというか……。先ほどの県の評価ではこれまでの取り組みをある程度評価していましたが、私は、目指すべき姿というか、長い歴史があるのですけれども、恐らく、一関市で発生した、そこから抑え切れないでどんどん広がってきているのが実態であって、これを全体解決するゴールのイメージから、核心的な原因、問題、なぜここまで広がっているのかといったところを県としてどのように認識しているのかと。そして、それを科学的、論理的にどう対策したら被害が抑えられるかといったところをどう考えているのかということで、新年度以降、拡大抑制に向けて重点的、効果的にどう取り組んでいこうとしているのかぜひお伺いしたいと思います。
〇佐藤整備課長 委員御指摘のとおり抜本的な対策は非常に難しいところでございますが、今後の取り組みについてでございますけれども、平成29年度に一戸町で新たに単発的な被害が確認されるなど、被害の北上が懸念されることから、被害先端地域における監視体制の強化と駆除の徹底を図るとともに、被害の蔓延地域においては、毛越寺など重要な松林の保全を図りながら、それ以外の松林については、積極的に利用を進め、松以外の樹種に転換を図るなどの対策に取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県北地域には本当に松が多うございますので、やはり科学的にというか抜本的な対策を……。多分いろいろ研究されて取り組まれているというのは聞いておりますし、注射を打たれているのもよく見ておりますけれども、ぜひこれ以上の拡大を阻止するよう強力にお願いしたいと思います。
最後に、原発事故に伴う原木シイタケの振興策についてお伺いします。
森林王国でございますので、新規参入に対しても、あるいは規模拡大に向けても、原木価格の高騰、かかり増し経費への対応が課題になっております。新年度、県としてどう取り組むお考えかお伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 新年度におきましては、引き続き、国庫補助事業を活用し、人工ほだ場の整備、あるいは簡易ハウスの設置、原木等の生産資材の導入を支援するとともに、新規参入者が所属する生産組合等に対しましては、市町村と連携しながら種菌購入に対する支援を行っていく予定としております。
また、新たに、各地域の中核となる生産者の皆様に参画をいただき、産地再生を図るための検討会を設置したいと考えております。この検討会におきまして、行政と生産者が一体となって対応策を検討することにより、新規参入者の確保、育成、意欲ある生産者の規模拡大といったところに取り組んでいきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 本当に産地再生、地元の生産者の方々と膝を交えて、大畑総括課長もみずから現場を回られているのもよく承知しております。引き続き、膝を交え、何ができるか、今どういったところで生産者が困っているかといったところを聞き取って取り組んでいただきたい。
昨年、融資制度、上限額の見直しを含めた無利子の原木しいたけ経営緊急支援資金貸付金の制度改正を行っていただきましたことにまずもって感謝申し上げますが、融資実績と今後の見通しはどのようになっているのか。そして、今後、生産者が資金繰りに困ることのないよう対応をお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いして終わります。
〇大畑林業振興課総括課長 この貸付金につきましては、平成24年度に創設しております。平成24年度と平成25年度の実績は、出荷制限による逸失利益や風評被害による生産物価格の下落に対応するため、年間約1億9、000万円の融資実績となっております。しかし、平成26年度以降につきましては、生産物価格の回復等により融資実績は減少しておりまして、近年は、主に原木購入価格のかかり増し経費に対応した融資を実施しておりまして、平成29年度の融資実績は約1、300万円となっております。
今後の見込みでございますけれども、引き続き原木購入価格のかかり増しに対応した融資が中心になると考えておりますけれども、風評被害による生産物価格の下落など突発的な事態の発生も考えられますので、そういったものに対応できるよう、平成30年度当初予算案におきましては1億8、000万円余を計上させていただいたところでございます。今後とも、生産者の資金繰りをしっかりと支援してまいりたいと考えております。
〇田村勝則副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇田村勝則副委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
農林水産部の皆さんは御苦労さまでございました。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時50分 散 会

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