平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇5番(菅野ひろのり君) 改革岩手の菅野ひろのりです。
登壇の機会を与えていただいたことに感謝申し上げ、早速ですが、質問に入らせていただきます。
まず初めに、農業振興について伺います。
スマート農業についてです。
平成25年に農林水産省は、超省力、高品質生産を実現する新たな農業─スマート農業を実現するため、ロボット技術利用で先行する企業やIT企業等の協力のもと、スマート農業の実現に向けた研究会を立ち上げました。本県議会の県政調査会の中でも、農林水産省大臣官房政策課技術政策室の山田室長からGPS自動走行システム等の導入による超省力、大規模生産を実現する取り組み等を御講演いただきました。こうした取り組みは、農地集積されている、例えば奥州市の胆沢平野のような平たんな圃場では有効的な手段です。一方で、岩手の農業生産の一番の課題は、冬期間の農業収益が減少すること、条件不利地である中山間地域にて農業生産をどのように行っていくかであると考えます。
そうした中、平成30年度の当初予算案に米の生産調整廃止を見据えた野菜の産地づくり支援のため、5億2、900万円の予算を計上していただきました。まず、知事、農林水産部長を初め、関係当局の皆様には感謝を申し上げます。
野菜の産地づくり支援では、圃場が小さく農地集積がしづらい中山間地域に適した野菜産地づくりを最先端技術の導入でより効果的に行うことが可能になります。例えばトマト生産では、光合成を最大化するための環境制御装置の導入が挙げられます。温度、湿度、二酸化炭素などの環境を制御することでトマトの生育に最適な環境を人工的につくり上げ、安定生産かつ単収の向上につなげるのです。少し先の未来には、太陽光や人工光を利用する植物工場も想像してしまいそうです。一方で、環境制御の導入に係る経費の試算では30アール当たりで約2、400万円の多額の設備投資が必要であり、その費用対効果が明確ではなく、また、費用負担が懸念されることから、魅力を感じながらも導入に踏み切れない生産者、団体もおります。
新たな取り組みですから、単に設備投資の助成にとどまらず、産地構想から生産、ブランド形成、販売までを一体的に行う必要があると考えています。例えば、特定地域における高収益施設園芸生産団地を計画的に整備。有機栽培や糖度が極めて高いフルーツのようなトマトづくり。健康志向が高い顧客を抱える食材宅配ネットスーパーOisixのようなオリジナル販路の活用や開拓。西和賀町ユキノチカラプロジェクトのようなストーリー性のあるブランド形成もすばらしい有効な取り組みと考えられます。
そこで伺いますが、平成30年度の農業振興に係る予算編成では、米政策の見直しを見据えた野菜の産地づくり支援が柱の一つとなっています。今後どのように本県の野菜産地づくりを進めるのか、特に、平地と比べて農地の区画が小さく、人口減少や担い手の高齢化により労働力不足が進む中山間地域において、農家所得の確保対策として有効な野菜の生産振興にどのように取り組んでいくのか知事にお伺いします。
次に、スマート農業の普及についてです。
岩手県は、ICTを活用して農作業の省力化や効率化を図るため、産学官によるいわてスマート農業推進研究会を立ち上げました。農家の高齢化や担い手不足などの課題を踏まえた取り組みであり、最新技術の情報交換や技術の導入支援を通じて、魅力ある農業の実現を目指すものとしています。ほかにも、いわてスマート農業祭では66の企業や大学の出展、約2万人の来場者があり、平成30年度には、さらにグレードアップしたスマート農業祭NEOを8月に開催予定としています。全国に先駆け率先して行っている華々しい事業、取り組みは、これからの岩手の農業に希望の光を差すものであり、今後の取り組みにも大きな期待が寄せられるところです。
一方で、本県の地理的条件や気象条件等、農家の経営規模や実態に即した実用的なスマート農業を示していかなければ、絵に描いた餅になりかねません。農業者の希望は農業で生活できる所得を確保できることであり、その地で暮らしていけることだと思います。
そこで伺いますが、中小規模農家が活用可能なスマート農業とは具体的に何を示し、岩手の農業の未来像をどのように描いているのか伺います。
次に、本定例会でも多くの質問がありました水産業の振興について、重複いたしますが、簡潔に伺います。
平成29年は、本県の主要魚種であるサケやサンマ、スルメイカ等の不漁により、県内市場への総水揚げ量は約8万7、000トンで、震災前と比べ49%、水揚げ金額は約211億円で90%、養殖業については、震災後の施設復旧は完了したものの、ワカメは1万6、000トンで71%、ホタテガイは1、900トンで42%にとどまっている状況です。水産資源や養殖生産量の減少は、沿岸漁業者の経営へ影響を及ぼすことが懸念されています。
そこで伺いますが、漁業生産量の回復に向けて、県ではどのように対応していくのか伺います。
また、平成28年度水産白書によると、魚の消費量は減少を続け、平成27年度には、ピークと比較し14キログラム少ない25.8キログラムとなりました。これは昭和30年代後半とほぼ同じ水準だそうですが、一方で、消費動向調査では魚介類の摂取量をふやしたいとの回答が肉類を大きく上回り、消費意識が低下したわけではありません。魚に多く含まれるDHA、EPAといった成分の健康効果への評価の高まり、青森県小川原湖産ヤマトシジミなどの地理的表示保護制度を活用したブランド力向上、東京オリンピックを契機とした、カキを提供するオイスターバーなど水産物専門の飲食店のニーズに合わせた商品開発などの動き、本県ならではの水産物の消費提案やメディア等を通じたPRを積極的に行うことにより、県産水産物の価値向上とブランド化を図り、漁業者の所得向上につなげていくべきだと思います。県産水産物のさらなるブランド化に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、AIとドローンの活用について伺います。
政府は、平成30年度予算案の概算要求で、人工知能、いわゆるAI関連予算として約1、000億円を確保しようとしています。また、自動走行車や高性能ロボットに組み合わせ、社会の変革を図るSociety5.0を提唱しています。Society5.0で実現する社会は、IoTで全ての人と物がつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、さまざまな課題や困難を克服するとされています。
具体的には、AIは、無人トラクターやAI家電、また、介護や医療では、遠隔診療や介護ロボットなど、超スマート社会の新たな時代を感じさせるものに活用され、自治体や議会では、Wi-Fiの整備からタブレット導入など、さまざまなデジタル化が加速するものと考えられます。今後のAIを活用した行政支援のあり方を模索し始める必要があると考えますが、新たな行政公共サービスにおけるAIの活用をどのように捉えているのか知事にお伺いいたします。
また、ドローンの活用では、京都府を初め複数の自治体で、ドローン関連の民間会社と災害時における無人飛行機の運用に関する協定を締結しています。大規模地震等の災害の発生に備え、災害時における被災地の状況確認や被災者の捜索を行うことが考えられ、被災県である本県にも必要であると考えています。具体的活用には、新技術でありますから、庁内にも正しい知識と技術を要したドローン運用のキーマンをつくるべきと考えます。本県における災害時のドローン活用をどのように計画し、また、人員配置や育成をどう考えているのか伺います。
次に、ダブルケアについて伺います。
平成28年4月に、内閣府男女共同参画局による育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書が示されました。育児と介護を同時に担う人数は約25万人、ダブルケアを行う者の平均年齢は男女とも40歳前後で、全体の約8割を占めるとされています。本県では、国の雇用動向調査をもとに、介護、看護を理由とする離職者数が年間約1、000人になると推計され、育児と介護の両立について問題を抱えている方々がいるだろうとしていますが、一方で奥州市では、平成29年9月末現在、要支援及び要介護の認定を受けた方で18歳以下の方が同居している世帯は749世帯としており、全てがダブルケアの世帯とは言い切れませんが、さらに多くの方々がいると思います。
育児においては待機児童、介護においては入所待ちの課題もあり、当事者が優先的に入所できる環境づくりも必要ではないでしょうか。例えば、特別養護老人ホームの入所基準にダブルケアの視点を加味する。市町村の管轄ではありますが、保育所の入所基準にも同様のことが言えると思います。ダブルケアについて、まずは地域においてそのような状況に悩んでいる家庭に気づいてあげて、必要な支援につなげていくことが重要であると思います。
そこで、地域で支え合う活動の取り組みについてですが、高齢化が一層進む中、こうした課題を抱える住民を地域で見守り、支え合う活動がさらに充実していくことが必要です。県としての取り組みについて伺います。
同時に介護サービスを充実させていくことが必要と考えますが、今後どのように取り組まれていくのか、また、ダブルケアを抱えた方が優先的にサービスを利用できるよう、特別養護老人ホームへの入所決定に当たって、審査の項目に加えることについても伺います。
次に、再生可能エネルギーである水素エネルギーの普及について伺います。
県では、低炭素社会の構築を目指し、岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、再生可能エネルギーの導入を促進していると承知しています。再生可能エネルギーは、太陽光、風力、地熱などの資源を有効に活用し、エネルギーをつくるものです。本県の場合、そのポテンシャルは全国的にも優位にありますが、系統制約等の課題があると聞いており、新たなエネルギーの活用を検討する必要があると考えています。
国では、平成29年12月に、世界に先駆けた水素社会の実現に向け、水素基本戦略を策定し、水素エネルギーの導入促進を図っています。御承知のとおり、水素は再生可能エネルギーから製造可能なエネルギーであり、使用しても二酸化炭素を排出せず、地球温暖化対策にも資することから、本県においても水素エネルギーを推進していくべきと考えます。県では再生可能エネルギー導入促進に取り組んでいると承知していますが、この次世代エネルギーとして期待される水素エネルギーについてどのように考え、普及していこうとしているのか知事の考えを伺います。
次に、太陽光発電パネルの廃棄への対応策について伺います。
平成29年9月、総務省は、太陽光発電パネルが災害を受け損壊した際の調査結果を公表しています。感電などの危険性の認識状況、地域住民などへの周知の状況、損壊パネル発生時の感電などの防止措置の状況について調査した結果、地震や豪雨災害で施設損壊、損壊パネルの発生が確認された熊本など4道県の六つの市町村のいずれにおいてもその危険性が十分に地域住民に認識されず、地域住民に対する周知や損壊現場における感電などの防止措置が迅速に講じられていない状況が見られたとしています。
また、損壊パネルは、災害廃棄物または産業廃棄物として処理され、感電の危険性や有害物質の流出の危険性などが指摘されています。大規模な自然災害により被災している本県でも他人ごととは言えず、また、20年から30年の寿命と言われる太陽光発電パネルの廃棄量は、本県では現在、年間15トン程度の排出量とされていますが、2040年ごろには年間1万2、000トンになると見込まれています。
そこで、自然災害からの教訓と、大量廃棄時代を控えた太陽光発電パネルの廃棄における対応策を伺います。
次に、高齢運転者等の安全で運転しやすい環境づくりについて伺います。
御承知のとおり、近年、高齢運転者による交通死亡事故等の発生が相次いでいます。本県では、認知機能の状況を確認する認知機能検査を初め、運転免許自主返納支援、公共交通機関利用時の優遇措置の導入、ホームページの活用、各種交通安全講習、運転適性相談等のあらゆる機会を利用し、自主返納制度の周知を行っています。一方で、本県の場合、中山間地域が多く、そこで暮らす方々は高齢かつ独居の方も多く、現実的には自身での運転が必要であり、危険だからといって高齢運転者から免許を自主返納させることが最良の手段とも言えないのではと思います。また、全国的なニュースで高齢運転者の事故が取り上げられる機会が増加したことで高齢運転者イコール危険と捉えがちですが、年代別で見ますと、事故の発生件数、割合は若年層の方も多い状況です。
そう考えますと、認知機能が低下する高齢運転者の方であっても、運転しやすい環境整備をすることがどの世代にとっても安全な交通環境と言えるのではないでしょうか。例えば、表示板の設置箇所の見直し、見やすい白線の車道外側線の整備、自主的な取り組み例ではありますが、バックと前進のミッション入れ間違いによる事故を防ぐ車どめブロックの設置徹底等が挙げられます。免許を返納させるだけではなく、高齢運転者を含め、安全に運転しやすい環境づくりを今後どのようにしていくのか伺います。
次に、地域公共交通網形成と広域振興局の役割について伺います。
本県の地域公共交通の現状は、自家用自動車の普及等に伴って公共交通利用者が減少し、本県の路線バス利用者は、平成18年に約2、445万人だったのに対し、平成28年には約1、643万人と、67.2%に減少しました。人口減少に伴う利用者数の減少や運転士不足により地域交通を取り巻く環境は厳しさを増す一方で、学生、生徒や高齢者、障がい者等の交通手段の確保、また、高齢運転者の免許返納が増加している状況から、今後、地域公共交通の役割は一層増大していくと考えられています。
地元の高齢者の方からは、バス停まで遠くて、行くのも大変だ。江刺から水沢の病院まで行くのも1日がかりだ、どうすんべ、そういった声があります。自宅からバス停までは1キロメートル以上の距離、そこからさらに約15キロメートル、自家用車であれば目的地まで30分、奥州市内においてもこのような状況と、移動手段への不安の声が聞こえるのです。
公共交通ネットワークについて、県と市町村は、幹線路線と地域内公共交通にそれぞれ分担しながら維持、確保に取り組んでいますが、県土の広大な本県では、広域的な幹線道路と市町村が中心となる地域内公共交通の連結が重要になり、また、公的補助を可能な限り減少させるため、適正規模の交通手段により、公共交通ネットワークを形成する必要があります。そのためには、地域の実態を把握している広域振興局が中心となって、市町村と密な連携をとりながら持続可能な地域公共交通ネットワークを形成する必要があると考えますが、広域振興局の位置づけと役割を伺います。
次に、公立高校のトイレ洋式化について伺います。
昨年の12月定例会において、学校におけるトイレ洋式化等の環境整備の促進を求める意見書が可決され、その内容は、さらなる財政措置を求めるものでした。御承知のとおり、学校のトイレの多くは和式が多い上に老朽化が進んでいて、全国の学校におけるトイレの洋式化率については、都道府県立高等学校では35.8%、本県の県立高等学校は34.3%にとどまっている状況です。学校は避難所としての機能も有するため、内閣府がまとめた避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインには、洋式化や多目的トイレの設置などにより多様な方々の利用に配慮することや節水型トイレとすべきことなどが盛り込まれています。また、2020年に訪日外国人旅行者を4、000万人にふやす目標達成に向けた環境整備の一つに公衆トイレの洋式化も挙げられ、多くの公共施設で洋式化の流れが加速することが考えられます。また、本県の場合は、ILC誘致を見据え、外国人生徒の増加によるトイレの国際化も考えなければなりません。
一方では財源の問題があり、校舎の耐震化やエアコンの整備のめどがついた後にトイレ環境の改善へ移行した自治体や、水をまいてこすればよい和式は掃除がしやすく、あえて残す学校もあると言われています。本県の学校との話し合いはどのようになっているのでしょうか。県教育委員会の認識と本県の整備方針、目標設定はどのようになっているか伺います。
最後に、小中学校におけるプログラミング教育の早期取り組みについて伺います。
2020年度から、文部科学省は小学校におけるコンピューターのプログラミング教育を必修化する方針です。これは、生産年齢人口が減少する中で、AIを活用する新たな時代にふさわしい教育の充実が求められていることを背景に必修化するものであり、また、IT人材の不足に対応したものです。経済産業省が発表した調査によると、2020年に37万人、2030年には79万人のIT人材が不足すると予測され、プログラミング教育のあり方やIT人材の育成が必要と考えます。
この教育の課題としては、新たな授業時間の確保、指導人材の確保と養成、指導方法、教育教材の開発、普及などが挙げられていますが、私は、人格形成や基礎教育をしっかり行うべき小学校での教育課程にプログラミング教育を必修化させることに違和感を持っています。一方で、就業環境が限られ、第1次産業が主要産業である本県にとっては、第1次産業と働く場所を選ばないITの連携や両立によって仕事の選択肢が広がり、所得確保につながるのではと、未来への期待を抱いています。
徳島県は、本県と同様、過疎化が進む県の一つだと言われています。IT産業を中心とした新興企業の進出が相次ぎ、地方からでも遠隔で仕事ができるサテライトオフィスを開設したことで県外からの移住が増加し、地方とIT産業の連携がうまくいっている例でもあります。また、アイフォンのメーカーであるアップル主催の世界開発者会議の世界的イベントでは、ひな祭りに飾るひな壇を正しく配置するゲームを作成した82歳日本人女性が世界中から注目を浴びました。シニア世代のスマホ操作に配慮した若者に勝てるゲームを開発しようと、アプリ開発から5カ月で完成させたそうです。また、趣旨もすばらしいのです。もう少しでひな祭りですが、五人ばやしがどの順序で並んでいるか、皆さんおわかりになりますでしょうか。日本の古くから伝わる文化をテーマにすることで、シニア世代が楽しむことができ、若い人とのコミュニケーションにもつながれば、そんな思いが込められたアプリだそうです。世代を超えたプログラミングへの大きな可能性と期待です。
幼少時から本県の雄大な自然や文化に触れ、豊かな人材に育ち、一方で、最先端の技術を習得する、岩手から世界を動かすクリエイターを輩出することを想像すると、この地で暮らせる新たな提案だと考えています。
そこで、小中学校におけるプログラミング教育の早期取り組みについて、必要性をどのように考え、本県の教育に取り入れていく考えか伺います。
以上をもちまして一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、中山間地域における野菜の生産振興についてでありますが、本県の中山間地域は、多様な気象条件や変化に富んだ地形を活用し、地域の核となる担い手を中心として、小規模、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わっている現状にあり、多様な農家が参画した農業生産活動等を通じて、農業者の所得向上と活力ある農業、農村を実現していくことが重要であります。
今般、水田等への高収益野菜の作付拡大により、野菜販売額1億円産地の形成を目指すいわて型野菜トップモデル産地創造事業を当初予算案に盛り込んだところであります。この事業は、中山間地域を含む全県での活用が可能であり、農業法人や集落営農組織等を対象として、タマネギやキャベツなど、加工、業務用野菜の生産に必要な高性能機械の導入やパイプハウスの団地的整備に加え、ICTの活用により、単収を飛躍的に向上させる環境制御装置の導入などを支援するものであります。
また、事業に取り組む経営体に対して、県、市町村、農業団体等で構成する集中支援チームが一体となって栽培、経営管理をきめ細かく指導することとしておりまして、こうしたハード、ソフト両面の積極的な取り組みにより、中山間地域における野菜産地づくりを着実に進めてまいります。
次に、AIの活用についてでありますが、AIを初めIoTなど先進的なICTの利活用は、産業振興や行政の効率化などに大きく資するものであり、また、人口減少社会における労働力不足を補う上でも、極めて重要なものと認識しております。県では、これまでも、ICTを活用した医療情報連携や、GIS情報やロボット等を活用した農業分野での生産性の向上などの取り組みを進めているところです。
県といたしましては、医療、介護、健康、教育、農林水産業など、各政策分野におけるさまざまな地域課題の解決に向けて、本県の地域特性を踏まえながら、AIやIoT等の利活用を一層推進していく考えであります。このため、次期総合計画の策定と歩調を合わせながら、AIやIoT等の利活用に関する計画の策定を進めるとともに、より長期的な視点で、本県の科学技術や産業の振興へのAIやIoT等の活用に向け、部局横断の体制を立ち上げて検討に着手しているところであります。
次に、水素エネルギーの普及についてでありますが、水素は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して製造可能であり、地球温暖化対策の点からも、今後の可能性が大いに期待されるエネルギー源と認識しております。
国では水素基本戦略を策定し、2050年を視野に、水素社会実現に向けた方向性を示し、燃料電池自動車や水素ステーションの利用、実証事業、大学等における研究開発などを加速化させることとしています。
県でも、これまで、いわて温暖化防止フェアやセミナー等を通じて水素エネルギーに対する理解促進に取り組むとともに、本年度は、有識者の御意見をいただきながら、本県における水素利活用に向けた可能性調査を行っているところであります。その結果、本県におきましては、豊富な再生可能エネルギーを活用した水素製造の高いポテンシャルと、災害時のライフラインの確保や冬期の熱需要への対応など、本県の地域特性を生かした多様なエネルギー源の一つとしての水素利活用の可能性が明らかになってきたところであります。このほか、水素の利活用を進めることは、科学技術やものづくり産業の振興につながると期待されます。
今後、各種施策を戦略的に展開するため、平成30年度においては、本県における水素利活用の基本的方向性を示す構想を策定することとしています。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、スマート農業の普及についてでありますが、スマート農業は、規模拡大や労力軽減、生産性の飛躍的向上などが実現できる技術であり、大規模農家から小規模農家まで、幅広い農業者の収益向上や省力化が期待されるものであります。
中山間地の小区画な農地でも活用可能なスマート農業技術といたしましては、農薬散布用ドローンや水田畦畔の草刈りロボット、熟練農業者の栽培技術を学習できるシステム等がありますが、急速に高性能化が進む機械や設備は多機能かつ高額となっていることから、中小規模農家が技術導入するに当たっては、個々の農業経営に適合したものとなるよう十分に検討する必要があります。このため、県では、平成29年8月にいわてスマート農業推進研究会を設立するとともに、いわてスマート農業祭での最新かつ多様な技術の展示や地域で開催される研修会などを通じて、スマート農業に対する理解醸成を図ってきたところであります。
今後は、このような取り組みをさらに進め、スマート農業の早期の普及を図るとともに、農業者、農機具メーカー、研究機関などの連携による本県に適した技術開発など、新時代の魅力ある岩手県農業の実現に向けた取り組みを強力に推進してまいります。
次に、漁業生産量の回復に向けた対応についてでありますが、本県の漁業、養殖業については、漁船や養殖施設などの復旧は完了したところでありますが、震災による種苗放流数の減少や養殖施設数の減少、近年の漁海況等の影響により、漁業生産量は震災前と比較して約5割にとどまっているところであります。県では、漁獲量の回復に向け、サケについては、計画的な種卵確保や健康な種苗の育成、適期放流など、サンマやスルメイカなどについては、漁海況情報等の迅速な提供や資源管理の推進などに引き続き取り組んでまいります。
また、養殖生産量の回復に向けては、意欲ある漁業者の生産規模拡大や漁協の自営養殖の推進、収益性の高い漁業者をモデルとした生産方法の普及指導、省力化機器の導入などに引き続き取り組むとともに、新たに、生産者と加工、小売業者等との協働による水産物の販売拡大などに向け、両者のマッチングを支援してまいります。
次に、県産水産物のブランド化についてでありますが、県では、これまで、安全・安心で高品質な水産物の魅力をPRするため、飲食店等でのフェア開催、シェフ等を対象とした商談会や産地見学会を実施してきたところであります。その結果、陸前高田市のエゾイシカゲガイ、野田村の荒海ホタテなど、地域の気候や風土等に育まれた個性豊かな水産物が飲食店のシェフ等から評価され、生産者と飲食店等との取引が拡大するなど、水産物に対する流通関係者の高い評価が着実に定着してきております。
今後は、水産物の評価、知名度をこれまで以上に高めるため、県産食材を積極的に使用する首都圏の飲食店等との関係をより一層緊密にしながら、さらなる販路の開拓、拡大に取り組んでまいります。
また、三陸を舞台とした広域的、総合的な防災復興行事やラグビーワールドカップ2019等に向けて特産品の開発を進めるなど、県産水産物の魅力を国内外に向けて積極的に発信し、ブランド化を力強く推進してまいります。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) 災害時のドローンの活用についてでありますが、ドローンは、災害現場の状況確認や迅速な人命救助、捜索活動などへの活用が期待されており、一昨年の台風第10号災害では、国が被災地の調査に使用しております。こうしたことから、県では、昨年12月、損害保険会社と防災力向上に関する協定を締結したところであり、同社は、高機能ドローン11機とパイロット5名のチームを設け、平成28年熊本地震における安否不明者の捜索や、平成29年九州北部豪雨における被害調査を行うなどの実績を有しています。今後、本県において災害が発生した際には、被災地の情報収集に大きな力を発揮していただけるものと期待しています。
ドローンの技術開発による飛行性能の向上は目覚ましく、さまざまな分野で活用が進んでいることから、県といたしましても、ドローンの技術開発の状況や全国の活用事例を注視するとともに、昨年9月に、消防庁事業により県消防学校に配備されたドローン4機を使った県総合防災室職員や市町村の消防団員の操縦技術等の習得、総合防災訓練におけるドローンの活用などを進めていきたいと考えております。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、地域で支え合う活動の取り組みについてでありますが、本県においても、育児と介護を同時に担ういわゆるダブルケアを行い、育児と介護の両立について課題を抱えている方が相当数いると見込まれることから、こうした複合的な課題に対する支援をさらに充実させていくことが必要であると認識しています。
県では、ダブルケアなど複合的な課題を抱えた方が、身近な地域で相談から支援までのワンストップサービスを受けられる地域トータルケアシステムの構築に向け、福祉課題への支援内容や方法を調整し、適切な福祉サービスに結びつける地域福祉活動コーディネーターの育成等、市町村における地域福祉の推進を支援しているところであります。来年度、第3期岩手県地域福祉支援計画を策定することとしていますが、地域に暮らす人たちがともに支え合う地域共生社会の実現に向けて、県民や市町村、関係機関等から意見を伺いながら、家族の介護など、複合的な課題を抱えた方々へのさらなる支援のあり方を検討してまいります。
次に、介護サービスの充実についてですが、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備については、市町村の介護保険事業計画に基づき行われており、県では、この整備に対し、補助金の交付などを通じて、介護サービスが着実に提供されるよう支援しています。
また、特別養護老人ホームへの入所決定については、岩手県社会福祉協議会高齢者福祉協議会において入所に関する指針を策定し、より必要性の高い方が優先的に入所できるよう配慮しているところであり、現行の指針においても、対象者の要介護度に加えて、介護者の就労や子供の養育、複数介護の状況等の特殊要因を十分踏まえて、入所の必要性や緊急度を判定することとなっています。
県では、当該指針の適切な運用を図ることが重要と考えており、例えば、介護サービスの利用希望があった場合には、利用者本人の状況のみならず、ダブルケアなど世帯全体の課題を十分に把握し、介護や保育、障がい、生活支援等の適切なサービスにつなげていくよう、関係機関と連携しながら、市町村や介護サービス事業者に周知徹底を図っていきます。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 太陽光発電パネルの廃棄への対応策についてでありますが、自然災害を原因といたしました太陽光発電パネルの損壊による感電事故などにつきましては、他県における事故事例などを参考に、県では、事故防止のためのリーフレットを作成し、産業廃棄物の排出事業者や処理業者等に対する研修会において、注意を喚起する等の対応をしているところであります。
また、県内で廃棄される太陽光発電パネルにつきましては、現在の廃棄量はまだ少なく、不適正処理の事例は確認されておりませんが、議員御指摘のとおり、2040年ごろにはその廃棄量が急激に増加するものと見込まれ、今後、国全体で適正処理されるシステムの構築が必要と考えているところであります。
現在、国におきましては、廃棄される太陽光発電パネルのリサイクルシステムの構築や、固定価格買取制度の中で、発電事業者による撤去及び処分費用を積み立てる仕組みなどにつきまして検討していると聞いているところであります。
県といたしましては、国の動きを注視しつつ、感電による事故防止の取り組みを進めるとともに、廃棄される太陽光発電パネルのリサイクルなどが確実に行われるよう、必要に応じて国に対して要望などもしてまいりたいと考えているところでございます。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 地域公共交通網形成と広域振興局の役割についてでありますが、従来から、広域振興局では、市町村が設置する地域公共交通会議の委員として、コミュニティーバスの運行などの検討に参画しているほか、バス路線の確保につきまして検討する生活交通対策協議会の地方分科会を運営しているところでございます。
また、県では、昨年7月に立ち上げた検討会議の取りまとめを踏まえまして、来年度は、持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を目指しまして、国の法律に基づく地域公共交通網形成計画を策定していくこととしておりますが、そのために、法定の協議会として、国や市町村、公共交通事業者等を構成員とする地域公共交通活性化協議会を4月に立ち上げることとしております。そして、この協議会におきましては、広域振興圏ごとに地域別部会を設けることとしておりますが、その運営は、地域の実態を把握している広域振興局が中心的役割を担うことを予定しているところでございます。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 県立高校のトイレの洋式化についてでありますが、洋式化については、児童生徒の生活様式の変化への対応や、避難所としても活用される学校施設の多様な利用者への配慮に加え、議員御指摘のような国際化への対応が、近い将来、確実に見込まれる現状において、今後、優先的に改善を進めるべき課題であると認識いたしております。
現在、県立学校のトイレの整備については、県教育委員会において、原則として過半数を様式とすると定め、改築や大規模改修等に合わせて順次整備を進めているところであり、具体的な整備に当たっては学校と検討を重ねながら、より望ましい環境となるよう調整を図っているところであります。
現在、校舎の耐震改築の早期完了が喫緊の課題となっており、あわせて老朽化への対応などを計画的に進めていく必要がありますので、これらと合わせた整備を進めるほか、効率的な整備を図る観点から、個々の学校の現状を的確に把握しつつ、優先度を見きわめながら一層の整備に努めてまいります。
次に、プログラミング教育についてでありますが、学習指導要領の改訂により、小学校に新たに導入されるプログラミング教育は、中学校における同教育との接続に考慮しつつ、プログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能の習得に偏重することなく、主に論理的思考力を育むことを目的として、算数や理科等の教科における学習上の必要性や学習内容と関連づけながら、計画的かつ無理なく確実に実施されるものであることに留意することとされております。
児童生徒が小学校段階からのプログラミング体験によって論理的な考え方を身につけたり、問題解決に必要な手順の存在に気づいたりする学習の導入は新たな教育でもあり、実績を積み重ねていく必要がありますが、これからのIT技術の急速な進展等により、大きく変容するこれからの社会を生きる子供たちにとって、有効な学習であると考えております。
現在、新学習指導要領への移行に向けて、教員を対象としたプログラミング研修会の実施や、研究協力校による実践研究に取り組んでおりますが、今後におきましては、研究成果の普及啓発を図りながら、岩手の子供たちが、興味、関心を持ってプログラミングの体験的な学習に取り組んでいけるように努めてまいります。
〔警察本部長友井昌宏君登壇〕
〇警察本部長(友井昌宏君) 高齢運転者等の安全で運転しやすい環境づくりについてでありますが、高齢運転者にとっても、安全で運転しやすい環境づくりは、悲惨な交通事故から県民を守るために重要であり、ハードとソフトの両面からの対策が必要と考えております。
県警察におきましては、ハード面について、視認性を高めるための信号灯器のLED化、道路標識の大型化、道路標示の高輝度化─よく輝くという意味であります─などのほか、ゆとりを持った安全でスムーズな走行の実現のため、カーナビ等を介して、渋滞情報等をドライバーに提供するシステムの整備を推進しております。
今後も、地域住民の意見、要望を踏まえつつ、道路管理者等と緊密に連携を図りながら、効果的でわかりやすい交通安全施設の整備に努めてまいります。
また、ソフト面については、免許更新時等の運転適性相談における助言指導や自動車教習所の無償開放の際の実技指導、交通安全教室における自動ブレーキ等を搭載した安全運転サポート車の紹介など、高齢者を含めて、全ての運転者にとって安全で運転しやすい環境づくりを引き続き推進してまいります。
〇議長(佐々木順一君) 次に、小野寺好君。
〔39番小野寺好君登壇〕(拍手)

前へ 次へ