平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(小野寺好君) 公明党小野寺好です。
東日本大震災の発生から間もなく7年が経過しようとしていますが、失われたとうとい命や以前の平穏な生活は戻らず、被災された皆様は依然として御苦労をされております。亡くなられました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に、そして、一昨年の台風第10号で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
最初に、東日本大震災被災者の方々の住宅問題について伺います。
本県の復興計画は8年間で、平成30年度はその最終年となることから、相当の覚悟で臨む必要があります。特に、生活の拠点として住居は最も重要でありますので、今回は応急仮設住宅と災害公営住宅に関して伺います。
プレハブ応急仮設住宅は、あいていた公有地、借り上げ民有地、さらには公立学校のグラウンドにとりあえず緊急的に設置され、最大で1万3、184戸に3万1、728人が身を寄せました。ことし1月末のデータでは、応急仮設住宅は2、910戸、5、955人となっております。およそ6年の間に約2万5、700人が応急仮設住宅から移っていきましたが、約2割の方が今も生活していることになります。住んでいる立場からすると、空き住戸がふえたからと、集約化のため簡単に部屋を移ることができるものではありません。他方、民有地所有者の立場では、年月の経過で事情が変化し、自分で土地を利用したいとの自己都合や、学校のグラウンドを長期利用不能による不都合から、明け渡しを求める立場も理解できます。
発災から間もなく8年目に入ろうとしていますが、プレハブ応急仮設住宅に住んでいる皆さんの思いと今後の予定、応急仮設住宅のある土地、学校や民有地の現在の事情はどのように変化しているか伺います。
災害公営住宅の家賃に関して伺います。
自宅を再建したくても、希望する地域に土地が見つからないとか、建設資金のめどが立たなくなったなどの理由で、所得超過とわかっていても、自宅再建がかなわず災害公営住宅に暮らす方もいると思われます。多少の割り増し家賃は覚悟していたが、余りの高額に驚いたという声が昨年秋ごろから聞こえるようになりました。高過ぎるからと退去、あるいは世帯を分離して生活せざるを得ないなどの嘆きの声でした。このため、県は、1月末に所得超過世帯に対する減額措置を発表し、被災者の方への配慮を示しましたが、皆が納得したというわけでもないようです。
今回の減額措置はどのようなもので、何をもって公平、平等と言えるのか伺います。
また、災害公営住宅に入居できたが、毎月の家賃支払いに苦慮している所得の世帯もあると思います。かつて、質素な自宅や低廉な家賃で大震災前は何でもなかった住居費が、今では重くのしかかっているという家庭にはどのような対策が講じられているか伺います。
次に、防災、減災対策について伺います。
最初に、河川の洪水対策に関してですが、津波よりも高い頻度で発生しているのが洪水被害です。昨年の九州北部豪雨、本県では一昨年の岩泉町、宮古市、久慈市ほかを襲った平成28年台風第10号洪水等では、氾濫した中小河川には水位計が設置されていない河川もあったとされています。従来の水位計は1台1、000万円もかかり、都道府県管理の中小河川は全国で約2万河川ですから、多過ぎて予算的には設置できていないのはやむを得なかったと言わざるを得ないと言われています。しかし、最近は、機能を限定し、超音波などを使って計測する簡易型水位計が開発されたとかで、1台30万円から100万円で済むという報道もありました。今月1日に成立した2兆7、000億円の国の平成29年度補正予算では防災、減災対策として1兆2、000億円余が計上され、緊急を要する中小河川の水位計設置や河道掘削が推進されますが、本県にも特段の配慮があると聞いております。今回どのような対策が予定されているのでしょうか。
行政機関に改めて望むことは、避難に関しては、その土地に適した内容であるかどうかの再考と、河川沿いの低地や急傾斜地への住宅建築については、指導を徹底していただくことであります。近年、集中的な短時間降雨の発生回数、発生箇所が格段に多くなっていることから、国土交通省東北地方整備局では、昨年12月20日に北上川水系河川整備計画について、必要に応じ見直しを行うと発表し、注意を促しています。
現在、四十四田ダムでは堆砂率が95%に達しており、ダムの貯水能力を回復させるためのしゅんせつについて私も議会質問で指摘したことがあります。四十四田ダムを管理している国土交通省は、しゅんせつではなく、少し上流に堆砂対策施設を計画しているらしいという答弁を聞いて終わりましたが、その後の状況について伺います。
資料によりますと、短時間集中豪雨となった場合、四十四田ダムの流入量と放流量が同じになり、これによって、盛岡駅周辺や材木町、大沢川原、菜園は大変なことになります。さらに雫石川上流でも豪雨が発生した場合、盛岡駅付近で北上川と合流するため、北上川が増水することもあり得ます。県都盛岡の中心部で洪水など考えたくありませんが、ハード面、ソフト面でどのような対策を講じようとしているか伺います。
7年前の東日本大震災は、これまで警戒していた宮城県沖巨大地震とは別物であったとの研究者の発表がなされております。さらに、今後、北海道東部沖でマグニチュード9規模の超巨大地震が30年以内に7%から40%の確率で発生するかもしれないとの報道も1カ月前にありました。東日本大震災の後、巨大地震はもうしばらくはないということにはならず、地震、津波に対する防災方針を確認したいと思います。
先月23日、群馬県草津白根山で突然噴火が起こり、痛ましいことに犠牲者も出ました。心からお悔やみ申し上げます。
本県では、20年前になりますが、平成10年9月3日、岩手山南西方の深さ9.6キロメートルを震源とするマグニチュード6.2、最大震度6弱の岩手県内陸北部地震が発生しました。また、10年前の平成20年6月14日には、県南の栗駒山付近でマグニチュード7.2、最大震度6強の平成20年岩手・宮城内陸地震が発生しました。統計上、巨大地震から5年程度で火山活動が顕著になるとの報告もあり、今後、岩手県、宮城県以外にも十和田火山なども心配されています。本県の火山災害に対する行政等による監視体制、避難対策、予想される被害、個々の住民の備えについてもお伺いいたします。
次に、医療、保健の諸課題について伺います。
人生100年時代という言葉が飛び交うようになりましたが、住民基本台帳に基づき、厚生労働省が昨年9月15日に発表した我が国の100歳以上人口は6万7、824人で、さらに今年度中に100歳になる人は3万2、097人となっています。夢のように思われていた100歳までの人生は珍しいものではなくなりました。しかしながら、本県の平均寿命はそれほどでもなく、平成27年の岩手県男性の平均寿命は79.86歳で全国第45位、女性の平均寿命は86.44歳で第42位と、最下位の青森県よりは少しいいだけです。
問題は健康寿命で、本県の平均は男性70.68歳、女性74.46歳となっています。要介護になる疾患の最大の原因は脳卒中であると言われており、健康寿命には脳卒中対策が重要でありますが、国が力を入れているがん対策に比較すると大きくおくれています。この脳卒中は、本人はもちろん、その家族や周囲にも大きな負担をかけますので、何としても避けたい疾患であります。知事はさきの演述で、岩手県脳卒中予防県民会議を中心に、県民一体となって健康寿命の延伸に向けた取り組みを進めますと意欲を表明していますが、認識の度合いと、どこまで力を入れるのか伺います。
岩手県予防医学協会の循環器科部長が昨年8月に、地元紙の日報論壇に岩手県は脳卒中での死亡率が全国でワーストワンとの一文を寄稿したことがあります。この中で、本県では心房細動が原因の不整脈による脳梗塞がふえているとも紹介されています。他県に比して本県での脳卒中発症は多く、また、死亡率も格段に高いと言われておりますが、本県特有の原因とその対策はいかがでしょうか。脳卒中に関する知識の啓発と予防策の普及が肝要と思われますので、ぜひ力を入れてほしいところです。
このようなことから、脳卒中対策基本法なるものがあれば、義務教育時の予防教育、医療ネットワーク、地域医療体制の充実などが期待できると言われていますが、いまだ法律は成立していません。県としては最大限の可能な対応をしていると思いますが、全国レベルとの比較では厳しいものがあるようであり、本県の取り組みをお示しいただきたいと思います。
脳卒中こそ救急医療の最たる対象でありますが、県高度救急救命センターの矢巾移転に伴い、人口密集地盛岡での県立中央病院が果たす役割が高まると見込まれています。受け入れる県立中央病院の救急医療体制の充実をどのように考えているか伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
血管の中にできた血栓─血の塊を溶かす画期的な方法が10年くらい前から使われるようになったと聞きますが、一刻でも早く搬送されなければなりません。救急車の場合、救急通報から病院への収容までの所要時間は、消防庁が発表した平成28年の本県の平均時間は43.5分と、全国平均より4分ほど多くかかっています。救急病院から離れた地域に住む皆さんは大変不利な立場にありましたが、天気がよければドクターヘリは威力を発揮いたします。これによってどれだけ変化したか運航実績を伺います。また、中央病院を初めとした県立病院へのドクターヘリ、ヘリポート整備計画はいかがでしょうか。
脳卒中に関連した事故について伺います。
全国的に、人手不足からでしょうか、長時間重労働が問題になっています。バス、タクシー、トラック等業務用車両の運転手が運転中に脳疾患あるいは心疾患で重大事故を起こす例が全国でふえているようです。よそごとのように思われますが、本県の最近5年程度の状況はいかがでしょうか。脳や心臓が直接の原因となる重大事故が発生していなくても、県内ではバス事故が多発していることから、特に対策を講じていることがあればお伺いいたします。
次に、国民健康保険の運用について伺います。
国の財政支援のもとに都道府県が責任主体となって国保財政を運営していくという国保制度改革がこの4月から開始となります。医療機関がたくさんあって交通の便がよい地域の住民と、医療機関が余り多くなく通院手段にも恵まれていない住民の1人当たりの医療費は格段の差があり、平等な国保税負担はかなり困難をきわめることになります。本県では、市町村ごとの標準保険料率の提示、国保事業費納付金決定にどのような配慮がなされているか伺います。また、低所得者対策はどのようになるのか伺います。
県が運営主体になるに当たって算定された1人当たりの国保税額は増減しても、増額となる市町村には6年間は激変緩和措置が講じられるようですが、年収が高い場合の年間支払い限度額は4万円上がり、後期高齢者医療制度への負担もふえ、窮屈になります。保険料負担に関する当面の影響と将来展望を伺います。
次に、岩手の上水道事業について伺います。
この冬は、全国的に豪雪による被害と、例年にない強い寒気の影響で水道管の中の水が凍結し、水道水が出なくなったという被害が全国各地で発生しました。毎日利用している水道のありがたさを改めて実感している皆さんも多くいると思います。
水道水を供給しているのは、一般的には、公営企業法等により市町村とか一部事務組合、広域連合等、行政の責任において運営され、水質、水量、価格とも安心できる社会インフラとなっています。県の水道ビジョンは、県内を三つの広域水道圏に分け、水需給のバランスを調整し、普及率向上を図っております。しかしながら、近年の人口減少により、新たな事業拡張が困難になっているだけではなく、水道事業施設の更新や今後のメンテナンスも財政難、人材不足で心配されています。こうしたことから、鉄道や空港施設の民営化に倣い、水道事業も民営化してはどうかと言われるようになっていますので、この際、本県の水道事業の現状と展望についてお伺いいたします。
まず、普及率ですが、広大な面積に上水道の本管を布設することは、人口密度の高い首都圏と比べ大変な困難が伴います。それでも、平成27年度末の本県の水道普及率は県都盛岡で98.2%、県全体では93.7%と公表されており、先人の苦労が感じられますが、今後の普及率はいかがでしょうか。
次に、水道料金ですが、自治体ごとの水道料金の格差は全国的には最大で10倍、本県の最近の資料では、一関市の藤沢が一番安いとされる宮古市の3.12倍となっています。それぞれの水道事業のこれまでの経緯によるためとはいえ、不公平感があり、自治体では他会計からの支援策は講じられていないのでしょうか。
また、供給開始から期間が経過すると、施設の長期使用で利用料金は下がるのか、逆にメンテナンスで負担がふえるのか見通しを伺います。
次に、設備の安全性ですが、かつて鉛管あるいは石綿セメント管の有害性が指摘されましたが、現在はダクタイル鋳鉄管などに全て交換されたのでしょうか。法定耐用年数を超過している割合はいかがでしょうか。
耐震化の必要性が言われていますが、震度6程度の地震に耐えられる水道管の割合は平成28年度末の全国平均は38.7%となっており、財政難や技術者不足でなかなか進まないようであります。県内ではどのような状況になっているか、進んでいるところ、なかなか進まないところの問題点を伺います。
最後に、事業運営ですが、業務の一部を民間委託している例がありますが、宮城県では、水道事業の設備の運営や維持管理の運営権を20年契約で譲渡する計画であると言われています。国も民営化に前向きであり、水道事業の運営権を民間に設定した場合、国の旧資金運用部資金等の繰り上げ償還に係る補償金を免除するなど、インセンティブを用意しています。岩手県と宮城県では仕組みが違いますが、水道事業の民営化に関してはいかがお考えでしょうかお伺いいたします。
次に、所有者不明土地について伺います。
土地所有者の同意が得られず、区画整理や市街地再開発、道路拡張等公共事業に支障を来すとか、放置され朽ち果てた空き家が地域住民の居住環境を悪化させている問題、さらには、東日本大震災後に緊急性を帯びた行政課題として、所有者不明土地問題が急に浮上してきました。被災した土地には住宅を建てることを諦め、多少不便な地域や利用されていない高台等を住宅用に造成しようとしたところ、正確な土地所有権者がわからない、名前はわかっていても、どこにいるのか所在が不明となっていて当該土地に手をかけることができないという現象が多数見られました。
所有者不明土地は、地方自治体だけの問題ではなく、大きな国政課題として今国会に対策の法案を提出すると聞いております。全国の平成28年度地籍調査の結果から、登記簿上の所有者の所在が不明な土地は410万ヘクタール、国土の20.1%、経済的損失は年間1、800億円との推計が公表されております。東日本大震災復興事業で、本県の防潮堤建設や高台移転のための用地買収ではどのような問題点にどう対応したか伺います。
また、市町村の固定資産税は貴重な財源ですが、所有者不明による近年の徴収不能の傾向と、これに対する対策はいかがでしょうか。
土地の利活用が損なわれることによる国内経済の損失は今後2040年までで6兆円と推計され、国として相続登記を義務化するなどの対策を検討することになったようであります。現在、所有者不明土地に知事が利用権を設定するとか土地収用手続を簡素にするとか、所有者探索の合理化などの法案が国土交通省で検討されています。国民の土地所有制度は国の根幹をなすものとして重要案件でありますが、このような取り組みについての知事の所見はいかがでしょうか。
次に、学校教育について伺います。
私の近所にある盛岡市立上田中学校は、最近の1学年の児童数は60人を超えたり超えなかったりしながら何とか2クラスを維持しています。玉山とか隣の雫石町は半分が複式学級で、その他多くの町村では小中学校の存続に苦慮している現状にあります。児童生徒はいろいろな性格の友達によって育まれるわけですが、教師も少ない小規模校の場合、どのような影響を受けて育つことになるのでしょうか。小規模校に対し、市町村教育委員会はどのような対策を講じているのでしょうか。県教育委員会の支援はいかがでしょうか。
生徒が長じて高校に進学しても少子化の影響はさらに強くなっていきますが、学校統合や遠隔授業の生徒への影響はいかがでしょうか。現実味があるかどうか、市町村立高校として残したいという考えもありますが、いかがでしょうか。
県立高校では、難関大学突破を目指す高校生を支援するため、受験指導にすぐれた講師を招聘したり、県立高校の教師をノウハウ取得のため大手予備校に派遣したり、異なる高校の生徒を集めて指導していますが、これまでの結果の検証はいかがでしょうか。
戦前は国のために働く人間を育て、戦後は国の経済成長に役立つ人間をつくることを目標にした感がありました。本来、教育の目的は、人格の完成を目指し、社会人としての資質を備えようとするものであり、いわば子供の存在、子供の幸福それ自体が目的であります。役に立ちそうな生徒には、難関大学に学び、岩手のために医師や弁護士等の専門家になってもらおうというのはいかがなものでしょうか、教育長の所見を伺います。
先ごろ高校の学習指導要領の改訂案が公表され、4年後から順次実施されるとのことであります。複雑化する社会の中で生徒が生きる力を身につけるためと言われていますが、的を射た中身かどうかまだ断定できませんが、これに沿って準備することになると思います。
まず、教えられる側ですが、主権者教育、全ての教科を主体的、対話的に学ぶアクティブラーニングの導入、近現代史を中心に学習する歴史総合の新設など、これまでの理解し記憶する学習から大きく転換したものになります。後の大学入試のため、大手学習塾の中には既に先取りした取り組みをしているところもあるとの報道もありますが、県内の動向はいかがでしょうか。3年後には、記述式問題や英語での民間試験の活用が導入される大学入学共通テストが開始されますが、高校生の負担感はいかがでしょうか。
次に、教える側ですが、教員の働き方改革が言われている中、これまでの教員免許あるいは専門教科以外にも広い分野で深い内容に習熟する必要があり、資質向上のため時間的にも経済的にも負担が大きくなると思われますが、県教育委員会は支援についてはいかがお考えでしょうか。
最後に、犯罪被害者支援の現状と課題について伺います。
刑法犯の年間認知件数、犯人検挙率、交通事故件数等、事件、事故の関係者以外は何気なく聞き流しているデータですが、当事者には当該1件が深刻な重大事であります。これまで、法律は被疑者、被告人の人権を重視してきましたが、近年はそれと同時に、日常生活を一変させられた被害者の保護、支援も重要であることが認識されてきています。
私が相談を受けた具体的事例ですが、ある日突然、何のかかわりもない人から刃物で切りつけられ、日常生活ができないほど重傷で、就業は不能。自分でけがしたとか病気になった場合と違い、健康保険証の使い方が面倒らしい。加害者からは治療費が取れない。人を雇って事業をしていたが、傷を受けた体で段取りをできない。従業員には賃金を支払わなければならない。自分の家庭の生活費にも窮するようになった。近所からは、恨みを買うようなそれなりのことをしでかしていたのだろうとうわさされ外出できなくなったなど、精神的、肉体的痛みと経済的な困窮に追い込まれてしまいました。しかし、犯人はそのような賠償する資金力を持ち合わせていないし、相手は警察に連れていかれて、会って請求することもできません。議員としての私の立場からは、犯罪被害者支援制度があるので、警察に相談してみたらいいと紹介するのみでした。
昭和49年の三菱重工ビル爆破事件、昭和55年の新宿西口バス放火事件後、国から給付金が支給される仕組みになったと聞きますが、本県での運用実績はいかがでしょうか。
改めて伺いますが、犯罪被害者支援制度はどのような内容で、相談窓口、支援を決める機関はどこであるのか、支援を要する犯罪被害はどのような態様で年間どれだけ発生しているか。担当警察職員はどのくらいいるのでしょうか。
よく耳にしますが、相手は誰でもよかったと吐き捨てるように言う通り魔的な犯人、車を運転すべきではない人が起こした重大な交通事故、逆恨み、逆上したことによる短絡的な殺傷事件、計画的なテロ事件等々、不意に襲いかかる犯罪から身を守ることができないのが現実です。本県の被害者支援の課題と、警察はどのように取り組むのか伺います。
以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、地震、津波に対する防災方針についてでありますが、本県は、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、復興基本計画の復興に向けたグランドデザインの中で、海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最小化するという減災の考え方によって地域の安全の確保を図ることを津波対策の基本に据えました。
具体的には、東日本大震災津波並びに過去最大クラスの海溝型地震と内陸直下型地震に対応できる体制整備を目指して県地域防災計画地震・津波災害対策編の大幅な見直しを行い、防潮堤や全国初となる水門、陸閘の自動閉鎖システムの整備、広域防災拠点の設置や地方自治体間の広域連携による受援、応援体制の構築、津波被害からの教訓の伝承や防災文化の醸成、防災教育の推進など、総合的に取り組んできたところであります。
今後におきましても、人命が奪われるような津波災害は今回で終わりにするとの決意のもと、災害を風化させず、国や市町村、関係機関と連携して災害対応能力を向上させるなど、災害に負けない岩手を目指してまいりたいと考えます。
次に、脳卒中発症の本県特有の原因と対策についてでありますが、本県の脳卒中の年齢調整死亡率は、平成22年には男女とも全国ワースト1位となったところであり、平成27年には男性が全国ワースト3位に改善したものの、女性は依然としてワースト1位であり、脳卒中対策は本県にとって重要な健康課題となっています。
本県は、脳卒中の原因である高血圧に関連する塩分摂取量が多く、また、脳卒中死亡率が65歳未満の若い年代から既に全国よりも高い状況にあり、昨年度、実施した県民生活習慣実態調査においても、歩行数や肥満、野菜摂取量などの関連する要因が前回調査より悪化しているところであります。
県では、食生活の改善指導、禁煙教育など、脳卒中予防に関する取り組みを継続して進めてきたところでありますが、平成26年7月に、脳卒中死亡率全国ワーストワンからの脱却をスローガンとして岩手県脳卒中予防県民会議を設立し、県民大会を開催するとともに、毎月28日を減塩・適塩の日として定め、オール岩手で活動を展開してきたところであります。平成30年度におきましては、これまでの取り組みに加え、働き盛り世代を対象とした生活活動量の増加や食生活の改善を促す健康増進の取り組みを新たに当初予算案に盛り込んだところであり、企業等が行う健康経営の取り組みを支援することなどにより、岩手県脳卒中予防県民会議の構成機関とも連携を図りながら、健康寿命の延伸に向けて県民一体となって取り組んでまいります。
次に、所有者不明土地の活用法案についてでありますが、岩手県におきましても、東日本大震災津波からの復旧、復興事業において、所有者不明や相続未処理などで用地取得に時間がかかる土地が全体の約4割と見込まれたことは、迅速な復興を妨げるボトルネックの一つでありました。そのため、私は、非常時においては、個人の権利、一日も早く人間らしい生活を取り戻したいという被災者の思い、復興に必要な公共の利益とのバランスを考えれば、平時の制度から一歩踏み込んだ特例として検討することができるのではないかと考え、県として特例制度の創設を国に要望したところであり、土地収用手続を迅速化する改正復興特区法の制定につながったところであります。
さらに、平成27年度政府予算提言、要望から、将来の大規模災害に備える仕組みを構築するために、復興に要する土地等の私有財産制度のあり方などについて幅広い議論、検討を進めるよう提案してまいりました。
そうした中、今般、国において、所有者不明土地が公共事業の円滑な実施への大きな支障となっていることなどを背景に、その円滑な利用及び適切な管理の仕組みや、所有者の探索を合理化する仕組みなどを盛り込んだ法案を、今国会に提出する予定と聞いております。
当該法案は、平常時において、公共的、公益的な事業を進めるために有益なものと考えておりまして、今後の国会での議論等を注視してまいりたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) 応急仮設住宅の状況についてでありますが、市町村が行った調査によりますと、平成29年12月末時点で、いわゆるプレハブ応急仮設住宅にお住まいの方々の住宅再建の意向は、9割以上が災害公営住宅への入居または自力再建となっています。
沿岸部の災害公営住宅は、平成29年度末で93.6%、30年度末で99.9%が完成する見込みであり、また、復興まちづくり事業に係る面整備事業についても、平成30年度末で96.1%の宅地が供給される見込みとなっており、そうした恒久的住宅が確保され次第、応急仮設住宅から移っていただく予定となっています。
応急仮設住宅が建設されている土地については、市町村において、地権者の意向を踏まえて、応急仮設住宅の供与期間延長に伴う借地契約の延長手続を進めるとともに、入居者に丁寧に説明しながら集約化や解体を計画しており、その退去後、市町村からの依頼を受けて、県において速やかに解体手続を行っています。
学校グラウンドに建設された応急仮設住宅については、これまでに17団地が解体され、現在、学校敷地内にあるのは12団地となっていますが、いずれも、来年度末までには撤去する予定で準備を進めております。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、災害公営住宅の家賃についてでありますが、今回、県において新たに講じることとした減免措置は、継続して相当の収入がある世帯に対して、入居後3年を経過した後に適用される家賃について、上限を設けて超過分を減免するものです。この家賃は、住宅ごとの建設費をもとに算定されますが、復興事業の集中による建設費の上昇などにより一部の団地では高額となることから、初期に建設された団地の低額な家賃を上限として減免することにより、入居者間の公平性を確保しようとするものです。
また、所得が少ない世帯向けの対策としては、国の特別家賃低減事業と県独自の減免制度を比較して、より低廉な家賃を選択できる運用としており、国による減免は、入居後5年を経過した後は縮小していく制度となっておりますが、県の制度を利用していただくことにより、被災者の負担はふえないものと考えております。
次に、河川の洪水対策についてでありますが、国の平成29年度一般会計補正予算に係る県内河川の治水対策としては、まず、従来型の水位計を葛根田川及び久慈川に新設するほか、現在、国で開発中の設置コストやランニングコストが安価である危機管理型水位計を小本川や安家川など約300カ所に設置し、監視体制の強化を図っていくこととしております。
また、岩崎川や木賊川など七つの河川において、再度の浸水被害防止のため、河道拡幅、護岸整備、遊水地の整備などの事業の進捗を図ることとしております。
次に、四十四田ダムについてでありますが、ダムへの堆砂は、平成28年度末時点で、あらかじめ設計に見込んでいる堆砂量に対しまして約95%となっておりますが、国からは、必要な洪水調節容量は確保されており、洪水調節機能に大きな支障を来す状況ではないと聞いているところです。
また、堆砂への対策につきましては、国が平成21年2月に、四十四田ダム貯水池堆砂対策検討委員会からの提言を受け、しゅんせつによらずに環境に配慮した方法として、ダムサイトの上流部に流入土砂の捕捉施設を築造し、平成28年度に供用を開始したと承知しております。
今後は、捕捉した土砂を定期的に掘削し、貯水池への土砂の流入を抑制していく計画と聞いております。
次に、盛岡市中心部の洪水対策についてでありますが、国において昨年12月に公表した資料ですが、これは、カスリン台風並みの雨量がより短時間に集中して降った場合を仮定して、その影響について検証をしたものであり、盛岡駅周辺では約1、500戸が冠水するという想定になっています。
四十四田ダムや御所ダム、北上川の河道の整備等により、盛岡市中心部においては、近年大きな洪水災害は発生していないところでございますが、国では、今回の検証結果を踏まえまして、施設の能力を超える洪水は発生するという考え方に立ち、水防災意識社会の再構築が必要と提言しております。
県におきましても、県管理河川において、簗川ダムや木賊川の遊水地の整備などにより、流域の治水安全度の向上を図るとともに、水位周知河川の指定の拡大やホットラインの運用などの対策にも取り組みまして、国や市町などとも連携を図りながら、ハード、ソフトを組み合わせた総合的な治水対策を推進してまいります。
次に、震災復興事業での用地取得の問題点等についてでありますが、復旧、復興事業において、所有者不明や相続未処理などの取得に時間と労力を有する土地が多数存在していたことが大きな課題となりました。このため、国に対し、用地取得事務に係る人的支援を要望いたしますとともに、事業用地の円滑な取得を図るための特別措置の創設を提案し、土地収用手続を迅速化する改正復興特区法の制定につながったところです。これを受けまして、所有者不明土地への対応につきましては、事業認定手続の短縮などの土地収用法の特例の活用や、岩手弁護士会等の協力を得ながら、財産管理人の制度を柔軟に活用するなどによりまして、事業用地の早期の取得に努めてまいりました。
なお、平成29年9月現在での県事業における用地取得率は、権利者ベースで9割強となってございます。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) 火山災害に対する監視体制、避難対策についてでありますが、本県の活火山は、八幡平、岩手山、秋田駒ヶ岳、栗駒山であり、仙台管区気象台は、中長期的な噴火の可能性を評価し、八幡平を除く岩手山、秋田駒ヶ岳、栗駒山を常時観測しています。県におきましても、気象台から噴火警報が発表された場合に迅速に対応するため、24時間危機管理警戒体制をとっているところです。
また、県及び関係市町村は、火山ごとに火山防災協議会を設置し、岩手山については避難計画を、栗駒山についてはハザードマップを作成しており、既に避難計画を作成した秋田駒ヶ岳を含め、警戒避難体制の整備に取り組んでいます。
本県の活火山の活動状況は、現在、ほぼ落ちついた状態で推移していますが、県といたしましては、国に対し、引き続き、観測、調査体制の充実強化を図るよう働きかけるとともに、各火山防災協議会や岩手県の火山活動に関する検討会などを活用し、火山防災に取り組んでまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、脳卒中予防の普及啓発についてでありますが、脳卒中対策は本県にとって重要な健康課題であり、成人期からの予防の普及に加えて、幼少期からの予防教育も重要であると認識しています。
脳卒中予防の普及啓発については、社会全体として県民が主体的に行う健康づくりを総合的に支援する環境の整備が重要であることから、平成26年7月から岩手県脳卒中予防県民会議を設立し、岩手県脳卒中予防県民大会の開催や、会員による自主的な活動を進めてきたところであります。
県では、地域で減塩を進める減塩リーダー養成講習会の開催や、脳卒中予防のための望ましい食事を学習する減塩・野菜たっぷりヘルシーメニュー推進事業、毎月28日のいわて減塩・適塩の日に合わせた普及啓発キャンペーンなどに取り組んでいます。
また、保育所、幼稚園、学校等とも連携しながら、脳卒中予防寸劇コンテストへの幼稚園児の参加、減塩をテーマとした小中学校への出前講座の実施、脳卒中啓発DVDの高校等への配布など、幼少期からの脳卒中の予防教育に取り組んでおり、今後もこうした取り組みをさらに進め、幅広い年代への脳卒中予防の普及啓発に取り組んでまいります。
次に、ドクターヘリについてでありますが、広大な県土を有し、救急医療機関への搬送に長時間を要する地域を多く抱える本県においては、ドクターヘリの導入により、搬送時間の短縮による救命率の向上等、救急医療体制の高度化を推進してきました。特に、救急医療機関から離れている地域が多い県北・沿岸地域への出動件数は、平成24年度の導入当初は年間100件程度でありましたが、平成28年度には185件と増加し、県全体の出動件数の4割以上を占めているほか、平成28年度における県北・沿岸地域の人口1万人当たりの年間出動件数も6.0件と、県平均の3.3件を大きく上回っており、県北・沿岸地域の救急搬送に大きな役割を果たしているものと認識しています。
また、県立病院のヘリポートは、県立中央病院は平成30年度末の完成に向けて整備を進めており、県立胆沢病院は来月整備が完了し、4月以降の運用開始を予定しています。これにより、災害拠点病院である九つの県立病院全てにおいて、敷地内または隣接地にヘリポートが確保される見込みであります。
次に、国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定についてでありますが、これらについては、国が示したガイドラインに基づき、市町村ごとに年齢構成の差を調整した医療費水準や所得水準などを反映させて算定したところであります。新たな算定方法の導入により、保険税の負担が上昇する市町村に対しては激変緩和措置を講じることとしたところであり、新制度の初年度となる平成30年度においては、制度施行当初に市町村の保険税が急激に増加することがないよう、最大限配慮する必要があることから、国の特例調整交付金等を活用して、平成28年度の保険税と同程度の水準となるよう、激変緩和措置を講じることとしたところであります。
保険税に係る低所得者対策については、現在、所得に応じて負担を軽減する保険税軽減制度があり、この制度は平成30年度以降も引き続き実施されることとなっております。
次に、保険料負担に関する当面の影響と将来展望についてでありますが、保険税については、急激に増加することがないよう、2023年度までの6年間、激変緩和措置を講じることとしたところであります。
激変緩和措置の実施期間については、県と市町村との協議により延長することが可能でありますことから、2024年度以降の実施については、3年ごとの国民健康保険運営方針の見直しの中で検討することとしております。
保険料負担の将来展望については、医療の高度化や高齢化の進展等による保険給付費の増加に伴い、今後も保険料負担の増加が見込まれることから、県としては、国の財政責任のもと、将来にわたる持続可能な制度の確立に向けて、国庫負担率の引き上げなどさまざまな財政支援の方策を講じ、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう国に要望してきたところであり、引き続き国に働きかけてまいります。
〔医療局長大槻英毅君登壇〕
〇医療局長(大槻英毅君) 県立中央病院における救急医療体制についてでございますが、中央病院は、救急告示病院として、盛岡保健医療圏における二次救急医療の受け入れを24時間体制で対応しており、脳疾患及び心疾患については、専門の医師により、24時間体制で診療する体制をとっているところです。
中央病院におきましては、救急車搬送患者の増加に伴い、現在の救急室が手狭になってきていることから、経過観察のための救急病床を10床程度ふやす等の改修工事の設計費を平成30年度当初予算案に計上いたしました。
医療局といたしましては、今後におきましても、盛岡保健医療圏の他の二次輪番病院や医師会等と連携して、地域の救急医療ニーズに適切に対応していくこととしております。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、水道の普及率についてでありますが、平成28年度の速報値で本県の水道普及率は94.0%であり、平成27年度から0.3ポイントの増となっております。水道の拡張計画をしている地域もありますことから、今後も微増していくものと考えております。
なお、盛岡市につきましては、平成28年度98.2%で、平成27年度と同数となっており、今後、普及率は横ばいで推移するものと考えております。
次に、水道料金についてでありますが、過去5年間の県内の水道料金はほぼ横ばいで推移しておりますが、中長期的には、人口減少による料金収入の減や施設の老朽化による更新等により、水道事業の経営環境は厳しさを増すものと認識しており、料金への影響も考えられるところであります。このため、一般会計から水道事業会計への繰り出しにより、水道料金の安定化を図っている市町村もあるところであります。
また、自然条件等により、建設改良費が割高のため資本費が高額となり、高水準の料金設定をせざるを得ない市町村におきましては、料金格差の縮小に資するため、資本費の一部について繰り出しを行う場合、地方交付税の財政措置が行われているところであります。
次に、設備の安全性についてでありますが、石綿セメント管の使用割合につきましては、県内の上水道管路の総延長1万1、752キロメートルのうち、平成28年度末で46キロメートル、0.4%となっておりまして、5年前と比べまして25.8%の減となっております。
鉛管につきましては、上水道管路には使用されておりませんが、宅地に引き込む給水管に使用している場合がありまして、平成28年度末で127キロメートルが残存し、5年前と比較いたしますと9.9%の減となっております。
県といたしましては、今後も解消に向けて、事業者に対し助言をしてまいります。
なお、水道管による健康被害の報告については、これまで承知していないところであります。
また、県内の法定耐用年数を超過した管路の割合につきましては、平成27年度末で、全国の13.6%に比べ、5.2ポイント低い8.4%となっております。
水道基幹管路の耐震適合率につきましては、平成28年度末で、全国の38.7%に比べ、10.7ポイント高い49.4
%となっており、平成30年度当初予算案におきまして水道施設耐震化等推進事業費補助金を盛り込み、引き続き施設の更新や耐震化を進めるとともに、全国と比較いたしまして、耐震化がおくれております配水池等の整備も図ってまいりたいと考えております。
次に、水道事業の民営化についてでありますが、国におきましては、民間企業のノウハウの活用を図ることは水道事業の基盤強化に有効な方策と考えており、水道施設の所有権を水道事業者が所有したまま、運営権を民間企業に設定できる水道法改正の動きがあると聞いております。
県といたしましては、国や宮城県などの動向も注視しながら、安全で安定的な水の供給が図られるよう、水道事業者の求めに応じ、情報提供や必要な支援を行ってまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 市町村の固定資産税の徴収不能についてでありますが、所有者不明土地に係る固定資産税の状況を正確に把握するためには、各市町村において相当の時間と労力を要しますため、県では把握していないところでございますが、平成28年度に県内11市町で実施された地籍調査によりますと、所有者不明土地の割合は、調査筆数の15.9%となっております。
なお、国におきましては、政府一体となって総合的な対策を推進するため、総務大臣や法務大臣などを構成員とする関係閣僚会議が先月設置されまして、登記制度や土地所有権のあり方や土地所有者情報を円滑に把握する仕組みなどについて検討を行いまして、今国会に法案を提出することを目指すことが確認されたことから、こうした国の動向を注視してまいりたいと考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 小中学校の小規模校についてでありますが、小規模校は、少人数の指導により児童生徒一人一人に応じた指導が行いやすいことや、地域との関係が密接であることから、地域人材を活用した教育活動が行いやすいなどのメリットがある一方で、集団による社会的訓練が不足気味になるといったデメリットなどが指摘されております。
多くの市町村におきましては、児童生徒数の減少に伴い、小規模校のメリットを認めつつも、子供たちにとってより充実した教育環境を実現する等の観点から、学校統合や小中一貫教育などの取り組みが進められてきております。
県教育委員会におきましては、学校統合に当たっては、加配教員の配置による統合に向けた体制整備への支援や、当面、現在の小規模校を存置する場合にあっては、児童一人一人に寄り添った指導の充実を図るために、非常勤講師の配置による教科指導の単式化への支援を行うとともに、研修会の実施や指導事例集の作成、配布などを通じて小規模、複式指導の充実に努めてきておりますが、今後におきましても、このような支援に取り組み、小規模校の教育環境の充実に努めてまいります。
次に、少子化による高校教育への影響についてでありますが、県教育委員会におきましては、多くの県立高校で入学生徒数の減少が見込まれる中で、新たな県立高等学校再編計画における平成28年度からの5年間の前期計画では、学級減を中心としつつ、学習活動や部活動の活性化の観点から、近接する地域での高校の設置の実情や、公共交通機関の状況などを勘案した学校統合の方向性等を示したところであります。
また、再編計画では、地域における学びの機会を保障する観点から、特例校としての位置づけなど、小規模高校の存続の考えも示したところでありますが、これらの高校においては、学習面で科目選択の幅が狭くなる等の制約がございますので、教育の質の維持向上を図る有効な方策の一つとして、昨年度から遠隔授業の実証研究に取り組んできております。
この研究を通じて、その効果や課題が明らかになってきておりますので、今後におきましては、課題の解消に努めながら、実用化に向けた取り組みを深めていくことといたしております。
全国的に少子化が進む中で、他県においては、地域の高校の存続を図る観点から、県立高校の市町村への移管を行った事例もありますが、移管に当たっては、教育の目指す方向性や教員体制の確保など、幅広い観点からの多面的かつ十分な検討が必要と存じますので、仮に市町村からの具体的な要望や相談があった場合におきましては、当該市町村と密接に連携しながら検討していきたいと考えております。
次に、大学進学についてでありますが、進学指導に当たっては、生徒個々の希望の実現とあわせ、本県の産業や社会生活などを担う人材を大学への進学の実現などを通じて育成するため、いわて進学支援ネットワーク事業において、学校独自の課題に応じた学校ごとの対策講座の開設や、高校合同での外部講師を招聘した講座の実施などに取り組んできております。
講座に参加した生徒からは、他校生徒との切磋琢磨により学習意欲が一層増したというような肯定的な感想が多くあり、また、参観した教員からも、指導力の向上にとってもよい機会となっていると好意的に受けとめられており、本県高校生の進路実現に大きな役割を果たしてきていると認識いたしております。
いずれ、大学進学は、大学入学を目指す高校生にとって人生の大きな転機でありますので、議員御指摘のお考えも踏まえさせていただくとともに、生徒自身の自己実現や本県の未来を切り開いていく人材の育成を目指し、事業内容の必要な見直しも行いながら、高校教育の充実に取り組んでまいります。
次に、大学入試改革等についてでありますが、今般の学習指導要領の改訂は、将来の予測が難しいこれからの社会にあって、子供たちが未来社会を切り開くための資質、能力を一層育成するために、大学入学者選抜改革等との一体的改革の中で実施するものとされております。
大手学習塾等におきましては大学入学共通テストの導入に向けた対策に取り組み始めているということなども聞いておりますので、新規事業として新年度予算案に計上させていただいております大学入学者選抜改革対策事業費の実施におきましては、外部講師としての活用なども行っていく考えであります。
また、今般の大学入試改革は平成2年以来の大きなものであり、生徒、教師にとっても負担感があることは否めませんが、さまざまな変化や見直しに適切に対応していくことが本県の高校教育に強く求められていると存じますので、新制度の周知や授業改善の取り組みによって生徒の不安感や負担感の軽減を図りながら、本県高校生の進路実現に向けて鋭意取り組んでまいります。
次に、教員への支援についてでありますが、学習指導要領の改訂による教科、科目の見直しに伴って、教員には、これからの社会を生きていく子供たちに学力等の生きる力を一層育む観点から、新科目への対応を初め、指導方法の改善等が求められることとなります。
県教育委員会におきましては、これまでも、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に取り組んできたところでありますが、新学習指導要領の実施に向け、来年度から全教員を対象として改訂のポイントに重点を置いた教科ごとの講習会を実施するなど、学校や教員の支援に丁寧に取り組んでいくことといたしております。
また、教員がさまざまな変化や要請への対応に限られた時間の中で一層力を発揮してもらうようにするため、学校における働き方改革を推進する必要がございますので、教員の負担軽減に向けた総合的な取り組みも重点的に推進することといたしております。
県教育委員会におきましては、このような取り組みを着実に実施することなどにより、教員が学習指導や生徒指導などに重点的かつ効果的に取り組んでもらえる環境の充実に向け、学校関係者と連携しながら取り組んでまいります。
〔警察本部長友井昌宏君登壇〕
〇警察本部長(友井昌宏君) 初めに、業務用車両の脳疾患等による重大事故についてでありますが、県内におけるバス、タクシー、トラックの事業用車両の運転手が運転中に脳疾患等を発症したことによる交通事故の発生状況につきましては、平成25年から昨年までの過去5年間の発生はありません。
事業用車両の事故防止対策につきましては、平成29年度岩手県交通安全実施計画におきまして、脳疾患や心疾患の早期発見に寄与する検査の普及、適正な労働時間の管理や健康管理の促進などについて定め、国等の関係機関及び各事業者団体と連携を図りながら交通事故防止活動を推進しているところであります。
県警察といたしましては、岩手県トラック協会と合同での交通安全点検パトロールにおける運行開始前の体調チェックの励行などの安全指導、免許取得時及び更新時における質問票の提出に基づく一定の病気等の把握、ラジオや道路情報板を活用した体調不良時の運転の差し控え等の注意喚起などを実施しております。
今後も、関係機関、団体と連携しながら、事業用車両の交通事故防止に努めてまいります。
次に、犯罪被害者支援の現状と課題についてでありますが、犯罪被害者等給付金の運用実績につきましては、本県ではこれまで計140件の裁定が行われ、約3
億3、000万円の給付を行っております。
次に、犯罪被害者支援制度の内容につきましては、病院での診察、診断書料等を公費で負担する制度や、被害者のニーズ等に応じ、被害者支援要員を指定し、事情聴取や病院受診への付き添い等の支援を実施しております。
相談窓口としては、警察本部県民課に被害者支援室を設置しているほか、各警察署においても対応しており、また、事件、事故を認知した場合は、管轄警察署において支援の態勢を構築し、署長指揮のもと、本部被害者支援室と連携しながら具体的な支援に当たっております。
支援を行う犯罪被害の態様につきましては、殺人、性犯罪等の身体に危害を加える犯罪や交通死亡事故等の重大な交通事故を支援対象としており、過去3年間は200件前後で推移しております。
被害者支援を担当する職員につきましては、警察本部に被害者支援室長以下5名の専門職員及び各部に計8名の兼務職員を配置しておりますほか、県下17警察署等に計419名の支援要員を指定しております。
本県の被害者支援の課題と警察の取り組みにつきましては、被害者等が置かれている厳しい現状について社会の一層の理解が必要であるほか、経済的困窮や精神的、身体的被害の回復等、警察のみでは十分に対応できないような事例も見られます。こうしたことから、社会全体で被害者を支え、被害者も加害者も出さないまちづくりを実現するため、各種広報活動や被害者遺族による講演等の啓発活動を推進するとともに、被害者のニーズに応じたきめ細やかな支援を実施するため、いわて被害者支援センター等の関係機関、団体との連携を一層密にしまして、被害に遭われた方々が一日も早く日常を取り戻すことができるよう、引き続き被害者支援に取り組んでまいります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時10分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時34分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。臼澤勉君。
〔2番臼澤勉君登壇〕(拍手)

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