平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
県民の切実な要求実現の立場から、達増知事に質問いたします。
第1に、県政の最大の課題である東日本大震災津波からの復興の課題であります。
大震災津波から3月11日で丸7年を迎えます。1月末現在、全壊、大規模半壊等で自宅をなくし、被災者生活再建支援金の対象となる2万3、645世帯のうち、住宅の建設購入、自宅の補修、賃貸住宅入居など住宅を確保した世帯は1万3、093世帯、56.6%、災害公営住宅に4、468世帯が入居していますので、合計1万7、561世帯、74.2%が住宅を確保したことになります。
しかし、丸7年を迎えようしている中で、4分の1の世帯がいまだに住宅を確保できない事態は深刻であります。不自由な生活で被災者の命と健康が脅かされています。昨年1年間の仮設住宅での孤独死は5人、累計では43人、災害公営住宅での孤独死は6人、累計では16人となっています。震災関連の自殺は48人に及んでいます。
こうした中で、被災者の医療費、介護保険利用料等免除の措置を来年度も12月まで継続することは、被災者にとって命と健康を守る文字どおりの命綱となっています。
仮設住宅に取り残されている高齢者、災害公営住宅で孤立する高齢者等の見守りとコミュニティー確立の支援、子供の心のケア、被災者の心のケアの取り組みはこれまで以上に強化すべきと考えますが、来年度は具体的にどう取り組まれるでしょうか。
特に切実な問題は、仮設住宅住まいの被災者であります。1月末現在、応急仮設住宅には2、910戸、5、955人、みなし仮設住宅には745戸、1、803人、合わせて3、655戸、7、758人が狭く不自由な生活を強いられています。仮設住宅暮らしの被災者はピーク時の18%です。ことしの3月以降、全ての市町村で、特別の理由がなければ応急仮設住宅等からの退去が迫られます。文字どおり、被災者一人一人に寄り添って、安心して生活できる住宅の確保への支援と対応が求められています。
12月末段階の調査では、仮設住宅入居世帯3、505世帯のうち、特定延長対象世帯は1、679世帯、対象外は1、615世帯となっています。それぞれの住宅確保の意向状況をどう把握されているでしょうか。
災害公営住宅入居者は、今、家賃の引き上げに直面しています。国の家賃の特別低減措置が6年目から10年目まで縮小し、通常の家賃に値上げされます。政令月収8万円以下の国の特別家賃低減事業の対象は、災害公営住宅入居者の77.3%に及んでいます。
県は、国の低減措置とほぼ同様の恒久的な減免制度への移行、申請を呼びかけていますが、県、市町村の減免制度への移行、申請の状況はどうなっているでしょうか。
特に切実なのは、収入超過者の家賃引き上げの問題であります。収入超過者といっても、給与所得控除や扶養控除などを行った後の月収が15万8、000円を超える世帯であります。県は、被災3県では先駆けて収入超過者の家賃軽減対策を示しました。その内容は、県営の災害公営住宅で近傍同種家賃が一番低い、3DKで7万7、400円を上限とするものであります。一歩前進と評価しますが、それでも2倍近い値上げとなる世帯も出ます。現在の家賃が収入基準に基づくものですから、そのまま10年間は現状のままで維持することもできたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
以下の質問は質問席から一問一答で行いますので、よろしくお願いいたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復興の課題である高齢者の見守り、コミュニティーの確立及び心のケアの強化についてでありますが、被災地においては、まちの再生が本格化するとともに恒久的住宅への移転が進むなど環境が大きく変化しており、時間の経過に従って被災者の抱える問題も複雑化、多様化してきています。
県では、関係機関と連携し、高齢の被災者等が孤立することのないよう、生活支援相談員による見守り相談や、災害公営住宅等におけるコミュニティー形成の支援を行うとともに、こころのケアセンターやこどもケアセンターによる専門的な相談支援を行うなど、被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援に努めてまいりました。
これまでの大規模災害の例からも、被災者が安心して暮らすことができるようにするためには、中長期的な見守り体制の充実や、地域への支援体制の確立が必要と認識しております。
〔議長退席、副議長着席〕
平成30年度におきましては、地域づくりワークショップの開催など、地域での支え合い活動の推進に向けた取り組みを行うとともに、災害公営住宅がある地域の住民も広く対象とした居場所づくりによる新たな福祉コミュニティー形成支援を行います。
また、こころのケアセンター等の専門スタッフの確保やスキルアップ等により支援の質を高めて、被災者の心のケアの充実に取り組むなど、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援に努めてまいります。
次に、応急仮設住宅等入居者の住宅確保に係る意向についてでありますが、昨年12月末で、特定延長の対象となった世帯のうち、今後完成する災害公営住宅に移る方が33%、土地区画整理事業や防災集団移転促進事業により造成される宅地で自主再建する方が55%、それ以外の自主再建の方が12%となっています。
また、特定延長の対象外となった世帯では、災害公営住宅に移る方が24%、自主再建する方が40%、民間賃貸住宅などで再建する方が31%となっています。
次に、災害公営住宅の家賃免除についてでありますが、県営住宅については、所得が少ない方が、国の特別家賃低減事業と県が独自に有する減免制度を比較して、より低廉な家賃を選択できる制度になっており、本年1月末時点では、98世帯の方に県の減免制度を利用いただいています。今後、国の制度による減免が縮小していくのに伴い、県の制度を利用する方がふえていくものと考えております。ほとんどの市町村は、県と同様の減免制度を適用すると聞いており、既に減免手続が開始されたところもあると承知しています。
また、継続して相当の収入がある世帯は、入居後3年が経過すると、当該住宅の建設費をもとに算定される家賃が適用されますが、この家賃は、復興事業の集中による建設費の上昇などにより一部の団地では高額となることから、入居者間の公平性を確保するために、家賃の上限を設けて超過分を減免することとしております。
今回上限に設定する家賃は、沿岸部の民間賃貸住宅家賃の相場と同程度と報告を受けており、一般の公営住宅の入居者や、民間賃貸住宅に入居された被災者との公平性の観点からも、今回の低減措置は適切なものと考えております。
〇38番(斉藤信君) 取り残された応急仮設住宅団地での被災者の見守りは、自治会が崩壊して、本当に今まで以上に深刻な事態です。ここへの見守り支援というのは、今まで以上に強化すべきではないか。
もう一つは、災害公営住宅では新たな孤立化、孤独化が進んでいます。災害公営住宅で孤独死がふえているのです。災害公営住宅に入ると、生活支援相談員の訪問も月1回か2回程度で、私は十分でないと思うけれども、そういう点で生活支援相談員は今年度も150人程度でした。1年雇用で、先の見通しが立たないと。この制度が10年間あるのなら、あと2年、3年はやっていただくという形で必要な体制を確保すべきだと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 具体的な制度の状況については担当部長から答弁をさせたいと思いますけれども、応急仮設住宅団地に残っている方々が、長い期間、応急仮設住宅団地生活が続くということで、より厳しい状況に置かれており、見守りの必要性が増しているということについては、そのとおりと考えますし、また、災害公営住宅、恒久住宅に移ったということではあっても、それで全てオーケーというわけではなく、やはり環境の変化、新しいコミュニティー形成といった課題を抱えていることに対しては、見守りということが必要であると考えます。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 生活支援相談員の関係でありますが、平成29年12月31日現在で159名の配置となっておりますけれども、平成30年度当初予算は186人分ということで、議員御指摘のとおり、資格等の関係あるいは雇用形態の関係で、なかなか雇用が難しいという現状はもちろんありますけれども、そこを柔軟に市町村あるいは市町村社会福祉協議会とも連携して、しっかり配置できるように努めてまいります。
それと、災害公営住宅に移った方々のコミュニティー形成ということで、これまで以上に災害公営住宅への見守りといいますか、相談活動を強化し、さらには地域住民の方の支え合いのところでコミュニティー形成支援ということに努めていきたいと考えているところでございます。
〇38番(斉藤信君) 次に、仮設店舗で再建した商業者の本設移行の状況と今後の支援策について質問いたします。
仮設店舗で再建した商業者は合計で725店舗でした。昨年12月末段階で本設移行できたのは277店舗となっています。残された仮設店舗の本設移行や無償譲渡等の意向をどう把握されているでしょうか。
国は、仮設店舗の撤去費用等に対する助成の期限を2018年度末としています。被災市町村では仮設店舗の退去期限を7月とか9月としています。本設移行の前に退去させられたら、再建どころではない状況です。中小企業基盤整備機構の仮設店舗の撤去費用の助成期限を、せめて復興期間の2020年度末まで延長するよう強く求めるべきと思いますが、どう取り組んでいるでしょうか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、仮設店舗で再建した商業者の本設移行等への意向についてですが、市町村を通じ、商業者を初めとする被災事業者の状況を把握してきた結果、平成29年12月末現在では、仮設施設に入居している商業者は344者となっております。
本設移行等について、昨年8月に県が行った被災事業所復興状況調査におきましては、仮設店舗等事業者で本設再開を予定しているのは63.4%となっております。また、仮設施設での営業を希望している事業者も約10%となっておりまして、大船渡市や陸前高田市では仮設施設の無償譲渡の取り組みを進めているところであります。
次に、仮設店舗の撤去費用の助成期限についてでありますが、中小企業基盤整備機構が整備しました仮設施設の撤去費用等の助成につきましては、本県等が要望を行った結果、平成26年度に創設され、その後、助成期間の延長についても要望を行ってまいりました。平成28年2月には、当面、平成30年度末までの延長となったものであります。
土地区画整理事業の進捗状況等により、本設移行が平成31年4月以降となる地域が見込まれていることもありまして、助成期間のさらなる延長等については、これまでも国に対して要望してきたところでありますが、引き続き強く要望してまいります。
〇38番(斉藤信君) ピーク時は715店舗でした。現在、344店舗で、本設に移行したのが277店舗と。例えば陸前高田市の場合は、現在、129店舗ありますけれども、本設移行はたった14店舗です。釜石市は106店舗のうち61店舗、大槌町は47店舗のうち22店舗しか本設移行していない。こういう方々が入居期限を切られたら、本設移行どころじゃないんですよ。陸前高田市は4割以上、大槌町も4割以上の事業者が津波で既に廃業になっているんですよ。今頑張っている業者を守らなかったら、地域の再生、経済の再生、商店街の再生にならない。
中小企業庁が、最初は当面と言っていた。当面だから、これは延長は可能なのだと私は思うのです。先日、小池書記局長が岩手の被災地に入りまして、知事とも意見交換をいたしました。その際、中小企業庁に問い合わせていただきました。こういう回答でした。中小機構の助成制度の期限は、中小機構の現中期目標期間の最終である平成30年度末となっているところ、平成31年度からの次期中期目標の策定とあわせ、本助成事業の実施についても検討することとしていると。検討すると言っているんですよ。しかし、いつまでも検討されたら困るのです。もう入居期限が決められて、退去している業者も生まれている。今月中にでも、この方向性、延長の方向をしっかりと中小企業庁に示していただくように、強力な働きかけ、取り組みが必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 私どもとしても同様の認識でございまして、たびあるごとに国への要望等は行っているところでございます。
ちなみに、中小企業基盤整備機構の当面と言っているお話につきましては、議員がお話しされたとおりの、おおむねそのような内容になっておりますが、次期5年計画という、5年ごとの区切りの中ではちゃんと対応してもらえるものと私どもは信じております。
〇38番(斉藤信君) 既に退去時期が迫られている問題ですので、本当に精力的に県として対応していただきたい。いいことは早くなのです。国はそういうところが鈍感ですから、本当に強力な取り組みをお願いしたい。
次に、区画整理事業における土地の利用計画、空き地対策について質問いたします。
かさ上げ等で整備された土地の利用計画、住宅再建の見通しをどう把握されているでしょうか。
大槌町では空き地バンクの取り組みを進めています。陸前高田市もマッチングの取り組みを進めようとしています。
県として、区画整理事業の空き地対策にどう取り組もうとしているのか。また、これだけの空き地が出る問題点をどう認識しているのか。大震災の復興事業として、このような従来の土地区画整理事業でよかったのか、改善点はないのか。私は、検討、見直しが求められていると思いますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(中野穣治君) 区画整理事業における土地利用の見通しと空き地対策についてでありますが、まず、事業を実施しております市町村が公表した土地利用意向調査の結果によりますと、地区ごとにばらつきはございますものの、利用予定ありの割合は約4割から約8割ということになっております。
県としては、大槌町の空き地バンク制度など、市町村の先進的な取り組み事例について、担当者会議などを通じて情報共有を図ることや、被災者住宅再建支援事業と生活再建住宅支援事業の実施期間を延長し、住宅再建を支援することなどの取り組みによりまして、引き続き土地利用の推進を図ってまいります。
なお、事業の完成までに時間を要する中、地権者の意向が変化したことも土地利用が進まない要因の一つと考えられますけれども、市町村におきましては、起工承諾による着工など震災特例を活用した事業期間短縮にも取り組んできたものと承知しておりまして、県におきましても、将来の大規模災害等に備え、土地等の私有財産制限のあり方などについて、幅広い議論、検討を進めるよう国にも提案しているところでございます。
〇38番(斉藤信君) 利用予定が4割から8割と。4割というのは大変ですね、6割はないということだから。これは、陸前高田市の高田地区、今泉地区が大体4割から5割近くが予定がないと。この利用予定というのは、イコール住宅再建じゃないのですよ。利用予定の中で住宅再建は、またこの半分程度なのです。だから、これは本当に大変な事態だと私は思いますので、せっかく区画整理で整備されたこうした土地の活用に、大槌町や陸前高田市などは必死になって今取り組んでいますけれども、県も一緒なって、本当にこれはまちづくりの中心ですから、取り組んでいただきたい。これは指摘だけにとどめておきます。
次に、沿岸被災地の基幹産業である漁業、水産業の復興の取り組みについて質問します。
本県の主力魚種であるサケ、サンマ、スルメイカは震災前の3割前後と大不漁となり、ワカメ、昆布、ホタテ、カキ等も震災前と比べて生産量は4割から7割程度となっています。
漁業、水産加工業への影響をどう把握されているでしょうか。復興途上での二重災害と言うべき状況ですが、県の具体的な対策を示してください。
漁業就業者が震災前と比べて36.7%減少している中、漁業の担い手育成は極めて重要な課題であります。この間の漁業担い手育成の実績と(仮称)いわて水産アカデミーを含め、今後の対策を示してください。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、主力魚種の不漁の影響と対策についてでありますが、平成29年度の魚市場の水揚げ量及び主要な養殖種目の生産量は震災前に比べ減少、金額は単価高により約9割となっており、収入減少分は漁獲共済などの制度で補填しているところであります。また、これらの主要魚種を加工原料とする水産加工業者も地元魚市場以外からの原料調達を余儀なくされております。
県では、漁獲量の回復に向け、サケについては、計画的な種卵確保や健康な種苗の育成、適期放流など、サンマやスルメイカ等については、漁海況情報等の迅速な提供や資源管理の推進などに引き続き取り組んでまいります。
養殖生産量の回復については、意欲ある漁業者の生産規模拡大や漁協の自営養殖の推進、収益性の高い漁業者をモデルとした生産方法の普及指導、省力化機器の導入などに引き続き取り組むとともに、新たに生産者と加工、小売業者等との協働による水産物の販売拡大などに向け、両者のマッチングを支援してまいります。
水産加工業の回復については、原料魚種の転換についての事業者への助言、国の補助制度の活用などを支援しているほか、漁獲が好調なサバ、イワシのまき網漁船を地元魚市場に誘致し、加工原料の安定的な確保に努めてまいります。
次に、漁業の担い手育成についてでありますが、県では、漁業担い手の確保、育成の取り組みを進めるために策定した岩手県漁業担い手育成ビジョンに基づき、漁業経営力向上研修や漁業担い手対策の推進母体となる市町村就業者育成協議会の設立、新規漁業就業者への現場での実務研修などを実施してきたところであります。
こうした取り組みによりまして、中核的漁業経営体数は、平成28年度の目標数390経営体に対し419経営体、新規漁業就業者数は、目標数50人に対し57人となっており、また、漁家子弟以外の新規漁業就業者の参入割合は、震災前の約3割から5割と増加してきております。
今後は、これまでの担い手対策に加えまして、漁業就業希望者に対し、漁業の基礎知識や技術を初めICT等の先端技術を駆使した高度な経営手法の習得を支援し、将来の本県漁業を牽引していく人材を養成する機関として、2019年4月の開講に向け、(仮称)いわて水産アカデミーを設置することとしております。
県では、市町村、漁業関係団体と連携して、このアカデミーを核とした取り組みを積極的に進め、漁業担い手育成ビジョンの実現に向け、本県漁業の担い手確保、育成対策を推進してまいります。
〇38番(斉藤信君) 漁業、水産加工業は沿岸被災地の基幹産業で、地域経済の再生もここにかかっていますので、ぜひ、全力を挙げて取り組んでいただきたい。
第2の大きな課題として、子供の医療費助成の小学校までの現物給付化の見通しについて知事に質問します。
医療費助成の拡充を求める昨年9月県議会定例会の請願採択を受けて、知事は、市町村と協議、調整を進めるとしてきましたが、市町村の意向調査結果はどうなったでしょうか。できるだけ早く小学校卒業までの現物給付化の方針を示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 昨年9月に市町村に対して現物給付の拡大についての意向を確認した際には、新たな減額調整措置が発生することや医療給付費の増加が懸念されることなどから、慎重な意見が多く見られたところでありますが、さきの9月定例会において、現物給付を小学校卒業まで拡大することを求める請願が採択されたことを踏まえ、本年1月、市町村ごとの国庫負担金の減額調整額を示した上で、現物給付の拡大についての意向を改めて市町村に確認しましたところ、その結果、現物給付の拡大の方向性については賛成の意向を示す市町村が多数を占めました。
一方では、市町村の財政負担が増加することに対する不安や、県に財政支援を求める意見などもあったところであります。
〇38番(斉藤信君) 二つ目の質問に答えなかったのだけどね。
問題は、県議会が請願採択をして、知事が市町村と協議、調整すると。圧倒的多数の市町村が現物給付でいいよと、こうなっているのですよ。だったら、来年度からでも実施の方針を示して取り組むべきではないですか。
今、子供の医療費助成はどうなっているかといいますと、一関市、北上市、花巻市が一気に高校まで拡充すると。県都の盛岡市も来年度から中学校まで拡充すると。市町村がこんなに頑張っているときに、私は、県のイニシアチブとしてはやはり現物給付を拡充すると、この点で県が責任、役割を果たすべきだと思いますよ。いかがですか。
〇知事(達増拓也君) さまざまな課題について意見がありましたことから、今後、市町村と県との間で協議の場を設置いたしまして、必要な調整を行い、来年度には具体的な方向性を示したいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 来年度、できるだけ早く、やはりいいことは早くなのです。そして、圧倒的多数が現物給付化賛成となっているのですからね。
それで、財政負担がふえるというのも正確じゃないのです。来年度から就学前のペナルティーはなくなって、3、200万円減額するのです。新たなペナルティーは2、000万円なのです。これは、ほとんどの市町村で新たな負担なしにできるのですよ。こういうことを丁寧に説明して、ぜひ、来年度早く実施の方向を示して─お母さん方は就学前の子供は現物給付でいいけど、小学校に入ったら、今度は償還払いで手続が大変だと、お金を心配しながらぎりぎりまで子供を病院に行かせないということもありますので、ぜひ、この点はしっかりと対応していただきたい。
第3の課題として、子供の貧困問題について質問いたします。
来年度予算に初めて岩手県子どもの生活実態調査の実施と、子ども食堂など子どもの居場所ネットワーク形成支援事業に3、960万円が予算化されました。遅きに失した感がありますが、子供の実態調査については全国に先行事例があり、これまで以上に充実した調査、他県と比較できる調査を行うべきと考えますが、実態調査の内容と手法について示してください。
子ども食堂などの取り組みが県内でも広がっています。状況をどう把握されているでしょうか。子ども食堂など、子供の居場所づくりとネットワーク形成を含めた県の具体的な支援策を示していただきたい。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 子どもの生活実態調査の内容と手法についてでありますけれども、調査項目が三つございまして、一つ目の調査項目は、小学5年生、中学2年生とその保護者全てを対象に、世帯の就業、収入の状況や生活状況等を把握するための調査を行います。二つ目の調査は、生活保護世帯や就学援助制度利用世帯等の保護者を対象に、困窮世帯の生活実態や公的支援の利用意向等を把握するための調査を行います。三つ目として、小学1年生から中学3年生までの全世帯を対象に、子育て世帯の支援ニーズを明らかにして個別支援につなげるための調査、この3種類の幅広く詳細な調査を学校を通じて実施する方向としておりまして、先行して実施している都道府県の調査もベンチマークしながら、具体の調査内容について今調整しているところでございます。
子ども食堂の状況と支援施策についてでありますけれども、子ども食堂は1月末現在、13市町の19カ所において、NPO法人や社会福祉協議会等が運営主体となって開設しているものと承知しておりまして、昨年、子ども食堂等を実施している団体等と意見交換を行った際に、実施団体同士のネットワーク化が必要との意見をいただいたところであります。
県では、来年度、子ども食堂や学習支援などの子供の支援を官民一体となって進めるため、子供の支援に取り組む団体のネットワーク化を支援し、その活動を推進するための経費を当初予算案に盛り込んだところであります。
〇38番(斉藤信君) ぜひ実のある実態調査をやっていただきたい。子ども食堂というのは子供の居場所づくりなのですね。盛岡市内に今7カ所設置されて、私もその内容を聞いてまいりましたけれども、子供が子供を呼んでくると。子供の数と同じぐらい大人がボランティアで参加をすると。本当に新しい居場所、まちづくりの一環といいますか、地域づくりとしても進んでいると思っております。必要な課題は、調査しなくてもわかる課題もありますから、そういう課題については、一つ一つスピード感を持ってやっていただきたい。
特に今回は、私は子供の貧困打開の緊急問題として、就学援助制度、この問題について取り上げたいと思います。
これは、子供たちの教育の保障にとって極めて重要な役割を果たしております。県内市町村の就学援助の受給割合は、従来の制度では北上市の6.03%から久慈市の25.41%と4.2倍の格差があります。被災児童生徒就学援助を含めると、北上市の6.11%から大槌町の59.35%と9.71倍の開きがあります。
この格差の要因は何でしょうか。本来就学援助が必要な子供が受けられていないということではないでしょうか。
就学援助については申請主義となっていることから、就学援助制度の趣旨と申請の仕方を徹底することが必要です。また、準要保護児童については、市町村によって基準に違いがあります。子供の貧困打開と教育の保障の立場で、できるだけ必要な児童が受けられるように県が役割を発揮すべきと考えますが、どう取り組んでいく方針でしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 就学援助制度の対象児童生徒の割合についてでありますが、要保護世帯への就学援助は国が定めている制度でございますので、対象世帯や費目、支給額に違いはありませんが、いわゆる三位一体改革により税財源が移譲され、市町村単独事業となった準要保護世帯への就学援助につきましては、それぞれの地域の実情を踏まえた制度運用が行われており、具体的には、一定の所得基準のほか、個別世帯の実情等を勘案した認定が行われるなど、それぞれの市町村において工夫を凝らした対応が行われております。
市町村別の対象児童生徒数の割合につきましては、東日本大震災津波後に設けられた被災児童生徒就学援助制度の対象となる児童生徒が多い沿岸部において高い傾向にある一方で、これを除く違いにつきましては、真に支援を必要としている世帯の状況が、都市部や農村部などの生活地の違い、世帯を取り巻く状況の違いなど多種多様であり、各市町村が、こうした実情を踏まえて対象とする世帯を定めていることも一因であると認識いたしております。
また、県の役割についてでございますけれども、就学援助制度は、議員御指摘のとおり、対象世帯からの申請によることが基本となっておりますが、本制度が経済的な事情を抱えた子供の学ぶ機会を保障する重要な役割を担っておりますので、市町村が真に支援が必要な世帯を的確に見きわめ、これらの方々に寄り添った丁寧な対応を行うことが求められていると認識いたしております。
県は、広域的な自治体として、各市町村の考えを尊重しつつ、的確な対象世帯の把握に向けた学校、福祉部門との連携を図るための調整や、各市町村における制度周知の工夫、対象世帯の把握の工夫などの状況について、全市町村に情報提供することなどにより、支援を行っていくことが求められていると考えております。
県教育委員会におきましては、定期的な通知や市町村教育長会議の場等を通じて、一層の学校、福祉部門との連携や、周知、把握の工夫などについて要請しているところでありまして、このような取り組みにより、援助費目の見直しや新入学児童生徒学用品費の入学前支給などの取り組みが進んできております。
今後とも、市町村における適切な運用が図られるよう努めてまいります。
〇38番(斉藤信君) 私は質問で、被災児童生徒就学援助を除いても4.2倍の格差がある、被災児童生徒就学援助を含めれば9.71倍の開きだと。市町村民所得を調べましたけれども、市町村にこんな差はありませんよ。問題は、就学援助が受けられるはずの人が受けられていないと、ここに私は格差の実態が示されているのではないか、そのことを指摘したのですよ。
それで、沖縄県では子供の実態調査をやって、就学援助を困窮世帯で50%しか申請していなかった。こういうことで就学援助制度の周知徹底を行いました。制度を知らなかったという方が沖縄県の場合20%いた。沖縄県では、テレビコマーシャル放送、親しみやすいポスター、リーフレットの配布、学校での書類配布だけでなく、生活の中で就学援助制度に触れる機会を増やす画期的、迅速的な対応を行った。
この就学援助制度というものは、本当に貧困の子供を含めて、子供たちの教育を保障する憲法、教育基本法に基づいた制度ですよ。これが本当に実行されることが必要なのではないか。岩手県としても、沖縄県の経験にも学びながら、正確な就学援助制度の周知、活用を徹底する必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇教育長(高橋嘉行君) 就学援助制度の周知についてでございます。
各市町村における制度周知等の取り組みにつきましては、市町村広報による周知や学校における書類配布を基本としつつ、これらの取り組みのみによっては把握し切れない対象世帯の的確な把握に向けて、学校や福祉部門と連携した取り組みも行われております。
県教育委員会におきましても、学校が子供の貧困対策のプラットホームとしての役割を担っていることを踏まえ、学校と関係機関をつなぐスクールソーシャルワーカーの体制の充実にも努めながら、市町村教育委員会と連携して、就学援助制度の対象となる世帯の把握や制度の周知に取り組んできております。
教育機会の保障の観点等から、就学援助制度が適切に運用されることは極めて重要でございますので、今後とも、制度周知の徹底や対象世帯の的確な把握が行われるように、市町村教育委員会とともに取り組んでまいります。
〇38番(斉藤信君) 政府の子供の貧困対策に関する大綱についてでは、学校をプラットホームとした総合的な子供の貧困対策の展開が提起されています。県教育委員会と学校では、具体的にどう位置づけ取り組まれているでしょうか。
高校における中退や不登校対策を強化することも、新たなワーキングプア、貧困をつくらないという点で今まで以上に取り組みが必要です。現状と対策について示してください。
〇教育長(高橋嘉行君) 本県におきましては、国の大綱を踏まえ、いわての子どもの貧困対策推進計画におきまして、学校を子供の貧困対策のプラットホームと位置づけ、市町村等との情報共有に努めながら、学校を窓口とした福祉関連機関等との連携や学校における学力保障、学習環境や相談体制の整備などに取り組んでおります。
具体的には、子供たち一人一人に寄り添った学校教育の推進に加え、生活困窮世帯の子供を早期の段階で生活支援や福祉制度につなぐため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用した教育相談体制の充実を図るとともに、学校と福祉関係機関等と連携しながら、個別の事案に応じた支援等を行っているところであります。
あわせて、放課後子ども教室や放課後児童クラブによる学習支援の充実などにも取り組んできておりますが、今後におきましては、関係機関と連携し、教職員を対象とした子供の貧困に関する研修の強化などにも取り組みながら、その充実に努めてまいります。
〇38番(斉藤信君) 子供の貧困対策で、私は、高校における中退、不登校対策も指摘をしました。新たなこういう貧困を絶対つくってはならない。
今、学校に求められているのは、子供たちの悩みや苦しみに心を寄せて、子供たちを包摂する、ケアする学校づくりです。子供たちをケアする。
それで、私は被災地の取り組みというものは、ある意味そういう先進的な取り組みをしているのだと思うのですね。だから、被災地におけるさまざまな教育実践を、今後の貧困対策にも生かしていただきたい。被災地は、ある意味、課題への対策の先進地なのです。この取り組みを被災地だけの活動にしないで、今後の貧困対策に生かしていくように、ここは強く求めていきたいと思います。
それで、知事に質問しますけれども、子供の貧困対策は、子供にとっても、県政にとっても緊急の最重要課題の一つです。幸福をキーワードとする新しい県の総合計画に位置づけるとともに、部局横断の取り組みが求められています。推進体制の強化が必要です。
知事を本部長とする、例えば、子供貧困打開推進本部を設置するとともに、推進する独自の部署、課を設置し、県民運動としても取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 県では、いわての子どもの貧困対策推進計画に基づいて、保健福祉部門はもとより、教育部門や労働部門など庁内各部局が連携して取り組んできたところであり、今年度は、庁内関係部局で構成する子どもの貧困対策連絡調整会議を設置して、部局横断的に取り組みを進めているところであります。
また、次期総合計画については、現在、幸福に関する12の領域をもとに、県民目線に立ち、人に着目して、家族、子育てを初めとする8プラス1の政策分野を設定する方向で、県総合計画審議会で議論いただいているところであります。
現在、子供の貧困対策については子ども子育て支援課が担当しておりますが、御提言のありました庁内の推進体制や組織、また県民運動的な取り組みに関しましては、来年度、実施を予定している子どもの生活実態調査も参考にしながら検討してまいりたいと思います。
〇38番(斉藤信君) この子どもの貧困実態調査と並行して体制をつくらないと、この調査も生きないのですね。沖縄県は、本部をつくって、そして調査をして、そして一つ一つスピード感を持って、目標を持って取り組んでいるので、ぜひ必要なものは直ちに、知事が一番強調して幸福というのだったら、私は、子供の貧困問題というのはまさに最優先、緊急の課題だと思いますので、知事のイニシアチブをぜひともこの分野でも発揮していただきたい。
次に、県立病院の医師、看護師確保の課題について質問します。
県立病院の医師確保は、医療局の経営計画に対してどうなっているでしょうか。奨学生の医師はどう配置されているでしょうか。医師確保が進まないように見受けられますが、その要因は何でしょうか。今後の対策を含めて示してください。
県立高田病院が3月1日開院します。被災した県立病院の再建整備が実現したことは、被災地、被災者にとって最も重要なセーフティネットであります。
先日、新しい県立高田病院を訪問してきました。今後やめられる医師もあるとのことですが、医師確保の見通しはどうなっているでしょうか。新病院の機能、役割はどのように改善、強化されるのでしょうか。
〇医療局長(大槻英毅君) まず、県立病院の経営計画に対する医師確保の状況についてでございますが、県立病院等の経営計画では、5カ年で109名の増員を計画したところでございますが、平成30年1月時点では当初の現員数から3名減という状況で、大変厳しい状況となっております。
次に、奨学金養成医師の県立病院への配置状況についてでありますが、平成29年度は25名、平成30年度については、現在配置調整中ではございますが、7名が加わり、計32名が県立の基幹病院等に配置される見込みでございます。
医師確保が進まない要因については、これまで医学部卒業生の都市部や大規模病院志向によりまして初期研修医の採用が計画を下回ったこと、また、大学院等で専門医資格取得を目指す医師の増加によりまして、後期研修医の採用が計画を下回ったことなどによることが原因と考えております。
今後、関係大学に医師の派遣を要請していくことに加えまして、来年度から始まる新専門医制度に対応して、県立病院に勤務しながら専門医資格を取得可能なプログラムを策定したところでございますので、これを初期研修医の段階から十分に周知し、専門医資格取得を目的とした退職が生じないよう、重点的に取り組んでまいります。
3月1日に開院する県立高田病院の医師確保の見通しについてでございますが、現在7名の医師が常勤医として勤務しているところでございますが、任期付職員、いわゆるシニアドクターとして勤務いただいている医師を含めて3名の医師が、家庭の事情等により県外に帰られる予定となっております。その後任につきましては、県立病院間の異動により2名確保することとしており、もう1名については、県外の医師から内諾をいただいているところでございます。
また、県立高田病院の機能、役割についてでございますが、高田病院が立地する地域は、高齢化率が高く、高齢者を中心とした地域医療を提供する必要があることから、地域のプライマリーケアを担い、かつ、入院機能を有する病院として整備したところでございます。
今後、陸前高田市が高田病院の隣接地に保健福祉総合センターの整備を予定していることもございまして、医療と福祉、介護とのより一層の連携強化が図られていくよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 次に、看護師の確保状況とあってはならない9日夜勤の状況、年次有給休暇の取得状況、ことしの看護師の募集と合格者の状況を示してください。
9日夜勤はあってはならないものであります。しかし、増加し続けている要因は何でしょうか。いつまでに、どう解決する方針でしょうか。
〇医療局長(大槻英毅君) 看護職員の夜勤回数及び年次有給休暇の取得状況についてでございますが、夜勤回数が月8回を超えた職員は、平成29年度12月までの実績で12病院、延べ784人となっており、平成28年度の同じ時期と比較して延べ187人増加しているところでございます。
また、平成29年の年次有給休暇の平均取得日数は8.2日となっておりまして、平成28年に比べまして0.3日増加しているところでございます。
平成30年度採用に係る看護職員の採用試験の状況につきましては、平成29年7月の通常募集において124名が合格し、同年11月の特別募集において7名が合格しており、平成29年度の退職予定者をほぼ確保したところでございます。
次に、看護職員1人当たりの夜勤回数については、育児休業取得職員の増減などのほか、新規の採用職員の配置などによって影響を受けるものでございますが、新規採用職員が夜勤に従事するまでの期間を含む第1・四半期におきましては、例年1人当たりの夜勤回数が増加する傾向にございます。
看護職員の体制の整備につきましては、これまでも育休者等を正規職員によって補充してきたところでございますが、近年は、受験者の確保が難しい局面が続いていることも原因になっております。
このことから、応募者の確保に向けまして大学や養成校との連携を強化してきたところでございますが、本年度は、新たに県内の大学と連携して、学生の父母を対象としたセミナー、それから、県立病院を見学するバスツアーも開催するなど、さまざまな取り組みを進めておりまして、何とか少しずつでも改善してまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 看護師の9日夜勤が改善されるどころか、毎年どんどんふえている。私は、ここに危機感を持ってやらなければだめだと思いますよ。県立病院の基本方針は、職員に優しくとなっているでしょう。ところが、年休もとれない、夜勤はふえる。
少し看護師の声を紹介したいと思いますけれども、年末年始も休みなく働いて、代休なし。どうにかしてほしい。定時で仕事を終えて、子供と一緒に御飯を食べたり、お風呂に入ったりしたいと日々思います。いつも寝顔を見るだけ。ことしも年休を30日以上使わずに年を越してしまいました。本当にブラック企業と言われても仕方がない事態ですよ。
私は、9日夜勤というのはあってはならないものですから、これをなくす具体的な対策を持ってぜひやって欲しいし、やっぱりお母さん方、子育て中の方々もいますよ。子供の都合でとりたい年休もとれないと。とれなければ、20日の有給休暇は40日まで延長できるのですよ。それなのに平均して8日、とれない人は5日、3日ですよ。
最後にもう一回、ここの改善、本気にどうやって打開しようとしているかお聞きしたい。
〇医療局長(大槻英毅君) 現在、年齢構成上のバランスが、若い職員がふえてまいりまして、ちょうど働き盛りの主任看護師以下の部分が非常に手薄な状況になっているという現状はございます。そういった現状の中で、それらの方々に、特に新採用が入ったばかりの第1・四半期には、無理を強いている部分が当然あると私も認識しております。
抜本的な改革という話になりますと、やはり人数をふやすしかないとは思っておりますけれども、今の募集の状況ではなかなかそれも進まないということもございまして、一つは、夜勤専従の看護師を増員すること。それからあとは、病院の病棟によっても、救急病院だと四六時中忙しいのですが、深夜勤がかなり楽になる病院もございますので、そういったところで、職員からの提案があれば、勤務のシフトの見直しということもあわせて考えてまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 大幅増員以外に打開の道はないと思いますね。
そして、先ほど来年度の合格者が131人、前年の退職者は148人ですから、ほぼと言ったって、退職者の数も補充できない実態ですよ。
今は、本当に選ばれる県立病院にならなくてはならない。派遣会社や紹介会社に何百万円もお金をかけて看護師を確保しているのが、今の全国の状況です。そこにきちんと対応できるようにしていただきたい。
次に、高過ぎる国民健康保険税と国保の広域化について質問いたします。
来年度から、国民健康保険制度は、県が財政の責任を持ち、各市町村の納付金と標準保険料を示すことになります。
国民健康保険制度の最大の問題は、低所得者が多く、国保税が高過ぎて払えず、滞納世帯が県内平均で10%を超えていることです。滝沢市は20%、一関市は18%を超えています。
最大の要因は、国庫負担が減らされてきたことであります。国保の広域化は、国保のこうした構造的な問題を解決するものとなっていません。そればかりか、一般会計からの繰り入れなど高過ぎる国保税を引き上げない市町村独自の取り組みに背を向け、医療費も医療資源も大きく違いがあるものの、将来的には統一保険料を目指し、さらなる国保税の引き上げとならざるを得ないものとなっていることであります。
岩手県の最終の標準保険料率の算定では、激変緩和措置を講じて2016年度の保険料を下回るものとしたことは一部評価します。しかし、一般会計からの繰り入れがなければ、陸前高田市や宮古市など16市町村が国保税の引き上げとなることは問題です。
これまでどおり、国保税を引き上げないために一般会計からの繰り入れを行うことは当然と考えますが、いかがですか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 一般会計からの繰り入れについてでありますが、国民健康保険財政の健全な確保という観点から、法定外一般会計繰り入れについては、その計画的な解消をお願いしているところでありますが、国保制度改革が施行される平成30年度のあり方については、改革施行前後における被保険者の負担に十分に配慮した対応が必要であると考えています。
〇38番(斉藤信君) 国保の現状は、私が言ったように、今の国保税でさえ滝沢市は20%が滞納ですよ。一関市は18%、盛岡市は16.7%ですよ。これだけ滞納する制度というのは、私は機能していないと思いますよ。5世帯に1世帯が滞納するような、こういう国保制度で、国保税引き下げのために一般会計から繰り入れたら、そういう方向はなくすのだというのは、とんでもない話じゃないですか。
国保財政以上に、国保加入者の命と生活を守ることを優先すべきじゃないですか。もう一度聞きます。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 一般会計からの法定外繰り入れについては、市町村の判断により行うことができるものでありますけれども、法定外繰り入れについては、特に赤字補填分については、計画的な解消に努める必要があると考えています。
議員御指摘のとおり、国費が引き下げられていること、あるいは国保の構造的な問題、これらについては、もちろん国にも要望しながら、その解消に努めていきたいと考えておりますが、一般会計からの法定外繰り入れの赤字補填については、今申し上げたような考え方でございます。
〇38番(斉藤信君) その考え方だったら県民は苦しみますよ。5世帯に1世帯が滞納するような制度は機能していないのですよ。だから、市町村は、16市町村も一般会計からの繰り入れをして値上げを抑えているのですよ。
また、一般会計から繰り入れしなかったら、いいですか、今度の国保広域化で16市町村が値上げになるんですよ。そのリアルなところを見て、県民の命と暮らしを守る、このことが私は必要だと思います。
そこで、もう一つ問題を指摘します。滞納者に対して資格証、短期被保険者証を発行すると。これは、いわゆるペナルティーなんですね。しかし、盛岡市は基本的に発行しておりません。
他の市町村でも正規の保険証の取り上げは中止すべきではないか。とりわけ、2月1日現在、短期被保険者証の未交付が1、092世帯、1、367人は、事実上の保険証の取り上げであります。こうしたことは権利の問題として中止すべきだと思いますが、いかがですか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 国保税の滞納者への資格証明書等の交付についてでありますが、短期被保険者証の未交付については、納付相談に来ないことなどを理由に、窓口におけるとめ置きを放置することなく、電話連絡や家庭訪問等による接触を試み、できるだけ速やかに手元に届けるなど、未交付の解消について市町村に要請しているところであります。
〇38番(斉藤信君) 保険証の取り上げは、本当に命を奪うような悪政ですから、こういうものは厳しく指導してください。
滞納者に対する給与の差し押さえは、2016年度が2、783件、13億2、216万円余となっています。全国的にも最悪の差し押さえです。これは、差し押さえ率が滞納者に対して13.1%です。全国的には、滞納を市民生活のSOSとして捉え、生活再建につながる条例を制定して取り組んでいる滋賀県野洲市のような自治体もあります。
国保税を払えない滞納者に懲罰のような差し押さえを行うことは、憲法第13条の幸福追求権、第25条の生存権の精神にも反するものではないかと思いますが、いかがですか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 国保税滞納者に対する滞納処分についてでありますが、滞納処分は、税負担に関する公平性等を確保するため、担税能力がありながら納付していただけない方に対して、市町村において、十分な調査を行った上で実施されているものと認識しています。
県としては、保険税を納付できない方は、失業であったり疾病などに起因する経済的理由による場合などさまざまなケースがありますことから、分割納付や徴収猶予等にきめ細かく対応するよう市町村に助言しておりまして、それぞれの方々の事情に応じてきめ細かな指導をするよう要請しているところでございます。
〇38番(斉藤信君) 国保税の滞納者は、基本的には高過ぎて払えない方々です。それに対して、13.1%も資産を差し押さえるというのは、国保の広域化の成果主義なのです。この差し押さえ件数は全国トップレベルですよ。
私は、国保の広域化と言うのだったら、国保加入者が助かる、高過ぎる国保税が幾らでも是正になる、人権を脅かすような保険証の取り上げはやらないと、こういう改革こそ今求められているということを指摘して、次の問題に入ります。
次に、社会減ゼロを目指す課題の一つである高校、大学における県内就職率を抜本的に引き上げる問題について質問します。
高校、大学の県内就職率引き上げの目標と、今年度卒業生の県内の就職内定率はどうなっているでしょうか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、県内就職率の目標について、現行のいわて県民計画第3期アクションプランにおいては、高卒者の県内就職率の目標値は、平成27年度65.0%から平成30年度66.5%に、また、岩手医科大学を除く県内4大学、県立大学の2短期大学及び一関工業高等専門学校で構成する県内学卒者の県内就職率の目標値は、平成27年度47%から平成30年度53%に、それぞれ段階的に引き上げる目標となっております。
次に、今年度卒業生の県内就職内定率については、岩手労働局の発表によりますと、昨年12月末日現在において、新規高等学校卒業予定者は64.4%、新規大学卒業予定者は43.9%となっております。
〇38番(斉藤信君) 昨年12月末現在、就職内定率は向上しているのですよ。しかし、残念ながら、県内就職率は前年から比べて後退すると。これは極めてゆゆしき事態だと私は思います。なぜ下がっているのか。県教育委員会と各高校では具体的にどう取り組んでいるのか。
平舘高校は就職希望者が全員、県内、管内に就職内定しています。聞きますと、八幡平市の市長が熱心に管内就職に取り組んでいる。高校の先生も熱心に管内就職の取り組みを行っている。管内の企業も地元の高校に大変期待し、インターンシップや企業説明会など熱心に取り組んでいるということでありました。
私は、学校、行政、企業が一体となってこうした成果が上がったのだと思いますけれども、こうした取り組みを全ての高校で行うべきではないか。各学校で県内就職率を5%、10%引き上げる目標を持って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) ここ数年、高校卒業予定者の県内就職率は上昇してまいりましたけれども、本年3月卒業予定者の昨年12月現在の状況については、議員御案内のとおりでございます。
高校卒業者の県内定着を推進するために、県立高校におきましては、インターンシップの充実や企業見学会などの実施に加え、地元自治体や企業との連携のもとに、社会人へのインタビューや出前授業、地域が直面する課題解決のための学習などを行い、生徒や保護者がそれぞれの地域や地元企業に対する関心や理解を高めながら、生徒の就職支援を進めてきております。
昨年同期に比して低下している理由につきましては、首都圏等県外企業からの求人が一層高くなってきている中で、生徒や保護者が、あらかじめ示された労働条件などを比較考量し、県外企業への就職を希望している実態もあると聞いておりますけれども、一方では、生徒や保護者、教員の県内企業等に対する理解がまだ足りない部分もあるのではないかと考えております。
就職未内定者もおりまして、本年度の最終的な状況は流動的な面はございますが、いずれ、社会減に歯どめをかけることは県政の重要課題でありますので、県教育委員会といたしましても、学校における適切な進路指導などを行うなど、関係機関と十分に連携しながら高校生の県内就職の促進に努めていきたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 私も盛岡工業高校に行って校長先生からお聞きしました。大企業を含めて1、700件の求人が来ているということでした。だから、今、大変な売り手市場なのです。そういう中で、県内企業に人材を確保するというのは、特別の努力をしなかったら成功しません。そういう点で、率直に言って、高校の現場は危機意識がない。目的意識性が弱いと思います。だから、私が言ったように、5%、10%引き上げるということは、そういう中では難しいことじゃないですよ。どうやって地元企業の魅力を知らせるのか。これは、小学校、中学校からやっていただきたい。そういう形で後退するなんてことは、これは行政の取り組みの失敗と言ってもいいのですよ。どうやって向上させるかという執念を持った取り組みをぜひしていただきたい。
県内の大学は、COCプラスで大学生の県内就職率を55%に引き上げる目標を掲げています。先日、岩手大学の学長と懇談してきました。学生が中心となった県内企業との大交流会など新たな取り組みがなされていますが、実績はまだ出ていません。行政、とりわけ県との連携が弱いと感じてきました。県内大学と県との連携を強化すべきと考えますが、どのように取り組まれているでしょうか。
〇政策地域部長(藤田康幸君) 県内大学との連携の強化についてでありますが、人口の社会減対策の観点からも新規学卒者の県内就職率を向上させることは重要と考えており、岩手大学を中心とした文部科学省の補助事業、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業─COCプラスに、県立大学等の高等教育機関や市町村、経済産業団体とともに事業協働機関として県も参画いたしまして、産学行政一体となった地方創生の取り組みを推進しているところでございます。
具体的には、大学と企業との共同研究成果をもとにした新規雇用の創出や、起業を志向する学生を対象とした起業マインドを醸成する実務教育の実施、あるいはインターンシップや企業見学会など、学生が地元企業の魅力を知る機会の提供などの取り組みを展開しているところでございます。
また、平成30年度当初予算案におきましては、産学官連携による水産業等の高度化や、高度専門人材の育成を図るために、岩手大学が実施する釜石キャンパスの整備を支援することとしております。
さらに、地域の中核的産業の振興や、専門人材育成などを行うすぐれた取り組みを支援するために、国の平成30年度予算案に100億円計上された地方大学・地域産業創生事業を活用いたしまして、岩手大学や県立大学等と連携していきたいと考えております。
県としては、引き続き、県内大学等との連携を図りながら、ふるさと振興を強力に推進してまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 知事にお聞きしますけれども、長野県では高等教育の振興計画を策定しています。岩手県としても高等教育の振興を新しい県の総合計画に位置づけて、独自の振興計画を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。
実は今、文部科学省は国立大一法人複数大学経営といって、各県に1大学なくてもいいと。本当に岩手大学がなくなるかもしれない。そして、毎年1%ずつ交付金が減らされる、こういう状況です。やはり地元に必要な、岩手大学だけではなくて、そういう高等教育機関をどう育て、どう守り、どう活用するか、私はそのことが必要だと思いますが、その点について知事に質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 高等教育機関において、地域社会に貢献する意欲のある人材の育成や、地域に根差した特色ある教育と研究が推進されて、地域の産業、文化等の振興につなげていくことは重要であります。現行のいわて県民計画では、高等教育の連携促進と機能の充実を政策推進の基本方向として位置づけております。
大学の運営は、基本的には大学の自律的な判断により行われるものと考えておりますが、高等教育機関において、本県の教育等を支える人材の育成が安定的に行われることは重要な課題でありますし、県といたしましては、本県における教員需要の見通し等について、県内の大学等の連携機関であるいわて高等教育コンソーシアムなどを通じて情報提供等を行い、連携を深めていきたいと考えております。
また、県では、岩手大学や県立大学などの高等教育機関や市町村、経済産業団体と連携しながらふるさと振興の取り組みを推進しておりまして、次期総合計画においても、引き続き、高等教育機関との連携による地域課題の解決に向けた取り組み等を長期ビジョンの中に位置づけ、アクションプランに具体的な取り組みを盛り込む方向で検討してまいりたいと思います。
〇38番(斉藤信君) ぜひ、そういう方向で取り組んでいただきたい。
次に、憲法第9条と自衛隊の問題について質問します。
安倍首相が憲法第9条に自衛隊を明記する憲法の改憲に執念を燃やしています。憲法を擁護すべき内閣の立場を投げ捨てるものではないでしょうか。憲法第9条に明記される自衛隊は、災害のときに出動する自衛隊ではありません。安保法制─戦争法の強行採決によって、米軍とともに海外で戦争できる、集団的自衛権を行使できる自衛隊であります。結局は、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めないとした9条2項を空文化するものではないでしょうか。国民が求めてもいない、海外で戦争できる国を目指す憲法第9条の改憲は許されないと考えますが、知事の認識をお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 日本国憲法第9条は、さきの大戦とそこに至る日本のあり方について、深い反省のもと、過ちは繰り返さないという国民的な決意として定められたものであり、その趣旨は、国際連合憲章の理念にも合致するものと考えます。
このような過去の反省と、国連憲章もうたう平和の誓いを、国民的に共有することなく、9条を変更するということは憲法の改悪であり、そのような考え方や感じ方を多くの国民は有していると考えます。
〇38番(斉藤信君) 一昨年11月、陸上自衛隊第9師団岩手駐屯地の自衛隊員も南スーダンに派兵されました。南スーダンの状況は、自衛隊の日報にも示されたように、文字どおり自衛隊の宿営地を挟んだ銃撃戦が展開されている戦場そのものでありました。
安倍政権は昨年3月に撤退を決め、自衛隊員は無事帰ってきたようですが、その後、自殺した自衛隊員も出ました。県はどのように把握しているでしょうか。自衛隊の毎年の自殺件数も示してください。
〇総務部長(佐藤博君) 南スーダンのPKO活動に平成28年11月から派遣されていた陸上自衛隊第9師団等による第11次隊は、昨年5月に任務を終え、全員無事帰国したと聞いております。その後、自殺した隊員数については公表されておらず、県としても把握していない状況でございます。
自衛官の毎年の自殺者については、平成29年6月に国会に提出されました質問主意書及び政府答弁書によりますと、平成26年度は66名、平成27年度は65名、平成28年度は57名とのことであります。
〇38番(斉藤信君) 岩手駐屯地所属の自衛隊員が、帰ってから1カ月で自殺したと。本当に深刻ですよ。そして、今、答弁があったように、年間57名から66名自殺する職場というのはどういう職場なのでしょうね。だから、私は、自衛隊の実態というのはここに示されているのだと思いますよ。そういう自衛隊に対して、進路指導は慎重にやるべきだと私は思いますよ。これは質問です。
もう一つ、政府は、今度はジブチに海賊対処を名目に、岩手駐屯地の自衛隊を含めて第9師団を派兵する予定です。どのように把握されているでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 自衛隊を就職先として考える生徒や保護者も一定数おられるということでございますけれども、自衛隊のさまざまな活動につきまして、適切に情報を提供しながら判断していただけるように努めていきたいと思っております。
〇総務部長(佐藤博君) 自衛隊も、本県におきまして、高等学校からの求めに応じまして、進路指導の一環として、警察あるいは消防等他の公務員と合同あるいは単独で説明会を行っていると伺っております。
自衛隊の公表資料によりますと、ソマリア沖アデン湾における海賊対処を目的として、ジブチ共和国に派遣している派遣海賊対処行動支援隊の要員交代のため、陸上自衛隊第9師団を中心とする第9次隊が昨年12月11日から3回に分けて出国したと承知しておりますが、岩手駐屯地からの派遣の詳細については把握しておりません。
〇38番(斉藤信君) 岩手駐屯地からも派兵されるということははっきりされているのです。海外派兵の実績をつくると。海賊対処件数はゼロですよ。こういう実績づくりのための取り組みというのは大問題だと私は指摘をしておきます。
最後でありますけれども、警察の諸問題について、公安委員会委員長と県警察本部長に質問します。
3月11日で東日本大震災津波から丸7年を迎えます。いまだに行方不明者が1、122名に及んでいます。遺族の方々は一日も早い遺体の発見を求めています。3月11日には大規模な遺体捜索の取り組みがなされる計画と思いますが、海中ドローンなどの活用を含め、海中での捜索を行うよう求めるものでありますが、どういう計画となっているでしょうか。また、来年度からは月命日の捜索ではなく、各警察署ごとの捜索となるとのことですが、具体的な取り組みを示してください。
〇警察本部長(友井昌宏君) 来たる3月11日には、沿岸署のほか本部と内陸署から総勢約210人を動員しまして、海上保安部など関係機関と連携して海岸線等の捜索のほか、陸前高田市内の古川沼とその周辺区域における機動隊等を動員しての捜索、宮古湾内の捜索等、陸上、海上両面の計12カ所において実施する計画であります。
このうち、古川沼におきましては、機動隊で所有している、いわゆる水中ドローンと同様の性能を有する水中探索機を活用した捜索を予定しております。
来年度からの取り組みについてでありますが、東日本大震災津波による行方不明者の捜索活動につきましては、今後も、御家族の御要望、復興工事の進捗等を踏まえ、随時、沿岸署単位の捜索活動を実施していく方針です。
捜索の方法として、これまでは本部主導で、沿岸署ごとの月命日捜索と、3月、9月の節目に本部員等を動員した集中捜索を実施してきましたが、4月以降は、地域の実情を最もよく知る警察署長の判断で実施する随時捜索に移行するものです。
具体的には、高田松原津波復興祈念公園等の大規模工事の進捗に応じた捜索や、台風や大雨等の直後に海岸に打ち上げられた漂着物を捜索することなどが考えられますので、月命日であるか否かにかかわらず、こういった現場の状況に機動的に対応して、随時、捜索を実施してまいります。
県警察といたしましては、これからも行方不明者御家族の心情に寄り添いつつ、それぞれの地域の実情を勘案しながら、行方不明者御本人、所持品を発見するためのより実効性のある随時捜索という形で捜索を継続してまいります。
〇38番(斉藤信君) 先日ですか、広田湾で被災者の人骨が発見されました。やはり海底に流されたのではないかというのが遺族の思いであります。水中ドローンの活用など、また、さまざまな団体とも協力しながら、こういう遺族の願いに応えた捜索を引き続き強めていただきたい。
次に、昨年2月10日に県警察本部の警察官が行方不明となり、13日に盛岡市内の北上川で遺体となって発見されました。頭部に陥没があったのではないかと思われますが、捜査されたのでしょうか。死因は何だったのでしょうか。
公安委員会は警察を管理する機関ですが、この事件について報告があったのでしょうか。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 公安委員会への報告についてでありますが、警察職員が盛岡市内の北上川において遺体で発見されたことにつきましては、昨年2月と9月の県議会定例会開催状況にあわせて、斉藤議員からの御質問と、これに対する答弁の内容について報告を受けております。
〇警察本部長(友井昌宏君) 捜査についてでありますが、昨年2月、盛岡市内の北上川で遺体が発見され、身元確認の結果、当該遺体が警察職員のものであったという事実はございました。
頭部に陥没があり、捜査したのかということでございますが、足取り捜査や死亡の原因等、所要の捜査を遂げた結果、事件性や自殺をうかがわせるものはありませんでした。
次に、死因についてでありますが、検視や司法解剖などを実施しまして、所要の捜査を遂げて死因は特定しておりますが、死因を含めて捜査の詳細につきましては、本人のプライバシーや、遺族や死者の尊厳に関する内容でありますので、答弁を差し控えさせていただきます。
〇38番(斉藤信君) 公安委員長、私が2月、9月議会で取り上げた報告を受けたということでは足らないと思いますよ。警察官が不審死しているんですよ。私は、だから取り上げているんですよ。
今の答弁の中で、事件性や自殺をうかがわせるようなものはなかったと。だったら何なのですか。私は、よく聞きましたけれども、全く自殺の関連はなかったと。恐らく、最後まで一緒につき合っていた人もいるはずですよ、警察官で。頭部に陥没という話も私は聞いていますが、自殺でなかったら、これは何なのですか。そして、この職員の課は、簗川大橋から2年連続で飛び降り自殺しているところでしょう。この背景に何があるかということを公安委員会もきちんと調べなきゃだめですよ。報告を受けるだけでは、警察を管理することにならないのじゃないですか。簗川大橋から同じ課の警察官が2人も連続して飛び降り自殺したということに、公安委員として本当に疑問を感じませんでしたか。そのことも含めてお聞きしたい。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 公安委員会は、県警察を管理し、法律の規定に基づいて、その権限に則された事務を司ることとされております。
公安委員会が行う管理は、個々の事務執行を含まず、大綱方針を定めて、これによる事前事後の監督を行うものと承知しておりまして、この考え方に基づき適切に対応しております。
〇38番(斉藤信君) それでは、岩手医科大学の元教授の覚醒剤疑惑事件と刑事部長の岩手医科大学への天下り、再就職の問題について、改めてお聞きします。
この覚醒剤疑惑事件については捜査されたのでしょうか。覚醒剤事件は初動が大事だと思います。週刊誌に証言した女性の捜査は行ったのでしょうか。この元教授は、その年度の3月末に理由も示さずに退官されました。退官せざるを得なかったのではないでしょうか。疑惑を抱えた岩手医科大学に、当時の捜査の責任者である刑事部長が病院長顧問として再就職されました。これは世間的には癒着と言われるものではないでしょうか。公安委員長は、この再就職は県民の理解が得られるとお考えでしょうか。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 警察本部幹部の職員の再就職についてでございますけれども、公安委員会といたしましては、退職者の再就職について、民間企業等がどのような人材を必要とし、どのような採用を行うかについては、あくまで当該企業等の独自の判断によるところであり、再就職は、雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知しております。
〇警察本部長(友井昌宏君) 御指摘の覚醒剤疑惑や女性に対する捜査についてでありますが、個別の事件を捜査しているか、していないか、あるいはその捜査状況につきましては、一般論として、捜査の相手側にいわば手のうちをさらし、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがあるものでありますので、答弁を差し控えさせていただきます。
また、元教授の退官につきましては、部外機関の雇用関係に関することであり、お答えする立場にはございませんので、同じく答弁を差し控えさせていただきます。
〇38番(斉藤信君) 公安委員長、私は、一般的な再就職、天下りについて聞いているのじゃないんですよ。覚醒剤事件が週刊誌に報道されて、相手方の女性が証言したんですよ、その教授から覚醒剤を自分は打たれたと。その大学に捜査の責任者が再就職する。これが異常ではないか、こういうのを癒着と言うのではないかと私は言っているんですよ。だから、県民に理解されないのではないかと聞いているんですよ。一般的な再就職の善悪を聞いているんじゃないのです。社会に大きな問題を提起した、そこのことだけ答えてください。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 本件につきましては、県警察から報告を受けておりまして、癒着はないものと認識しております。
〇38番(斉藤信君) 全く説得力も根拠もない、公安委員会の責任を放棄するものだと指摘して、終わります。(拍手)
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時16分 休憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
43  番 伊 藤 勢 至 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時38分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(五日市王君) 日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
〔25番木村幸弘君登壇〕(拍手)

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