平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(佐々木努君) いわて県民クラブの佐々木努です。会派を代表して質問いたします。
初めに、我々いわて県民クラブについてお話をさせていただきます。
いわて県民クラブは、政党に属さない県民党的な会派として平成25年9月に発足しました。発足当時は10名の議員がおりましたが、改選後に6名となり、その後、昨年の渡辺幸貫議員の辞職によって、現在は、飯澤匡議員、工藤勝博議員、ハクセル美穂子議員、千葉絢子議員、私の5名となっております。少人数ではありますが、県政、国政問わず、是々非々の立場で行動するという発足当時の理念を変わらず持ち続け、常に向上心を持って積極的に活動を行っています。特に少子化対策、ILCの誘致、教育振興、商工業、農林業の振興には会派を挙げて取り組んでおり、これまで国や県に対してさまざまな提言を行ってまいりました。今後も、県民の皆さんが住んでよかったと思える岩手の実現に向けて活動を続けてまいります。
さて、東日本大震災津波の発災から間もなく丸7年を迎えます。改めて、今もなお深い悲しみを背負いながら被災地で不自由な生活を送られている方々に心からお見舞いを申し上げます。また、沿岸被災地で復旧、復興に取り組んでおられる全ての方々に心から感謝と御礼を申し上げます。
かつて多くの人々の命を奪い、沿岸地域の町並みと、そこに住む人々の生活を大きく変えた未曽有の東日本大震災津波発災から7年、被災地は着実に復旧、復興の歩みを進めています。
災害公営住宅の建設も最終段階を迎え、被災し家を失った多くの方々が応急仮設住宅から居を移し、少しずつ落ちついた生活を取り戻してはいますが、災害公営住宅での孤独死の発生や、心のケアのニーズの高まりなどソフト面での支援が大きな課題となっており、インフラ整備やなりわいの再生とあわせ、今後も官民一体となって取り組んでいかなければなりません。
そのような中、県は第3期復興実施計画終了後に新たな復興計画を策定せず、復興を次期総合計画の中に位置づけるということですが、それによって復興が停滞してしまうようなことがあってはなりません。間もなく震災から8年目を迎える被災地に対し、これまで以上にきめ細かな支援が必要な状況において、知事はどのような思いを持って復興に取り組まれるのか伺います。
次に、少子化対策について伺います。
出生数の減少がとまりません。県が先ごろ公表した平成29年人口動態統計の年間推計によれば、出生数は前年から180人下回る8、161人で、ピークであった昭和24年の4万9、727人に比べて実に4万1、566人の減少となっています。
この少子化は地域社会を大きく変化させています。少子化によって県内各地で学校の統廃合が続き、地域は活力を失い、有効求人倍率の高どまりが示すとおり、多くの産業で人手不足は深刻化しています。このように、少子化はこれまで築き上げてきた人間社会のさまざまなシステムを崩壊させるだけでなく、地域そのものを滅ぼす危険性を持っており、県を挙げて少子化対策に取り組んでいかなければなりません。
知事は、このように少子化が進む危機的状況の岩手において、平成30年度、少子化対策にどう取り組んでいかれるのか伺います。
本日は、岩手にとって最も重要なこの二つの課題に絞って質問をさせていただきます。
壇上での質問は以上で、以下の質問は質問席で行います。
〔15番佐々木努君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復興についてでありますが、これまで、東日本大震災津波からの復興に向けた基本方針にも掲げたとおり、一人一人の幸福追求権を保障すること、犠牲者のふるさとへの思いを継承することを原則とし、いのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造に向けて、県政史上かつてない規模の事業に取り組んでまいりました。
平成30年度も、引き続き、第3期復興実施計画に基づきながら、三陸のよりよい復興の実現につながる三陸復興・創造を推進してまいります。
次期総合計画におきましても、この一人一人の幸福追求権の保障、犠牲者のふるさとへの思いの継承という原則を引き継ぎながら、復興の取り組みを明確に定めて、切れ目のない復興の取り組みを進め、必要な取り組みについては最後まで実施してまいります。
次に、少子化対策についてでありますが、県では、人口減少に歯どめをかけることを目的に策定した岩手県ふるさと振興総合戦略におきまして、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指す施策として、就労、出会い、結婚、妊娠・出産まるごと支援プロジェクトと子育て支援プロジェクトを掲げております。
これらのプロジェクトのもとで、現在、女性の仕事と生活の両立やワーク・ライフ・バランスの実現につながるいわて働き方改革アワードの実施など、いわて働き方改革推進運動の展開、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポの運営、いわて子育てにやさしい企業等認証、保育施設の整備や、また、放課後児童クラブの拡充などに取り組んでいるところであります。
こうした取り組みに加えまして、平成30年度においては産科診療所の開設費等補助を拡充しましたほか、新たに新生児のヘリコプター搬送体制の整備、保育士修学資金貸付金における沿岸希望枠の創設などを当初予算案に盛り込んだところでありまして、これらの施策の着実な実施によって、結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない支援を強化してまいります。
〇15番(佐々木努君) 御答弁ありがとうございました。
震災復興についての知事の思いはよくわかりました。ただ、おととしあたりから、震災復興完遂年という言葉が出てきてから、何となく復興に対する県の思いというものが薄れてきているのではないかと思っていまして、今回、三陸防災復興博(仮称)というのが来年度行われるということで、知事のほうからも、知事演述の中でそういう話も出たわけでありまして、復興がまだ道半ばの状況にあって、なぜ、来年、この三陸防災復興博(仮称)を開催しなければならないのか、その意義を知事にお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今、御質問の中で復興完遂年という言葉を言われたかと思いますけれども、県のほうで申し上げていましたのは、本格復興期間の3年間、1年目を本格復興推進年、2年目を本格復興邁進年、そして本格復興期間の最終年に当たる年度を本格復興完遂年と申し上げていたところでございます。
そして、2019年、来年の総合的な防災復興行事を、今準備しているところでありまして、それに関する御質問でありましたが、まず、この2019年という年は、三陸鉄道の一貫経営、陸前高田市に設けます震災津波伝承施設(仮称)の開館、そしてラグビーワールドカップ2019の開催という、岩手、三陸が国内外から大きな注目を集めるチャンスの年であります。
この機会に総合的な防災復興行事を広域的に実施することによりまして、復興に力強く取り組んでいるこの地域の姿を発信し、いわゆる風化を防ぐ、それとともに国内外からの復興への支援に対する感謝を示し、また、被災県として東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、日本国内や世界の防災力向上にも貢献していきたいと考えております。
復興需要の減少に伴う影響も懸念される中、市町村を初めとする関係団体と連携しながら、この総合的な防災復興行事に取り組むことによって、三陸の地域資源の魅力を伝え、またその価値を高め、交流人口の拡大や地域経済の活性化も図り、新たな三陸の創造につなげ、復興を力強く推進していくことに資するものと考えております。
〇15番(佐々木努君) おっしゃることは私もよく理解するわけでありますけれども、なぜこの時期かということなのです。ラグビーワールドカップ2019で釜石も大変でしょうし、それぞれ被災市町村はまだまだ大変な状況で復興に取り組んでいる中で、本当に市町村の理解が得られて三陸防災復興博(仮称)が行われようとしているのかというのが私は疑問で、いろいろな方から、本当のところはどうなのだという話も聞くと、他県の職員の方に手伝ってもらっている中で、本当に開催していいのだろうかとか、開催できるのだろうかという心配の声も聞こえてくるわけなのです。ですから、本当に意思疎通が図られて三陸防災復興博(仮称)が行われようとしているのかどうかということが私は非常に疑問で、このような質問をしているわけであります。
参考までにお聞きするのですけれども、現在の三陸防災復興博(仮称)の準備状況、どのような催しがどのような形で行われるのか、あるいはそれが市町村にいつごろ示されるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 昨年11月に三陸防災復興博(仮称)準備委員会というものを設立いたしまして、基本構想を決定したところであります。現在、これに基づく具体的な企画内容を盛り込んだ基本計画の策定に向けた作業を進めておりまして、その一環として、準備委員会の構成員等の御意見も伺っている中、その構成員である沿岸市町村ともやりとりしているところであります。沿岸市町村に対しては、企画の検討状況について早目に情報提供しますとともに丁寧に御意見を伺っておりまして、これらの意見を踏まえて年度内に基本計画を策定することとしております。
震災直後から最近に至るまで、沿岸市町村のほうから私がよく聞きますのは、やはり震災を風化させたくない、復興への関心も風化させたくない。そして全国から、あるいは海外から現地に来てほしいと。そのための企画ということについては、広く各市町村から御理解いただいていると受けとめております。
〇15番(佐々木努君) こういう質問をすると、私は反対しているのではないかと思われるかもしれませんけれども、決してそういうことではなくて、ちょっと時期が早いのではないかと。例えば今、さっきも申し上げましたが、全国から応援職員に来てもらっている。ことしは129人ですか、来年度はたしか99人ぐらい必要だと言われていますし、その次の年度はやはり同じぐらい人が来ていただかないとだめな状況なのではないかと思う中で、そういう博覧会のようなものを果たして準備できるのか、やっていいものか。
他県のことを言うのはあれなのですが、例えば宮城県とか福島県も同じ被災地ですが、とても博覧会のようなものをやるような状況でもありませんし、阪神・淡路大震災から20年たちましたけれども、兵庫県でもそういう博覧会のようなものはやっていないし、他県は他県だと言われればそうですけれども、私は、もう少し被災地が落ちついてから、せめて応急仮設住宅等から全ての方が災害公営住宅に居を移してから考えてもいいのではないかと思うわけです。急ぐことはないと思うのですが、知事、いかがですか。やはり来年必ずやるというお気持ちですか。
〇知事(達増拓也君) 総合的な防災復興行事の内容となるであろう、例えば三陸鉄道の北リアス線、南リアス線が運行再開したときの記念イベントは、発災の3年後という、まだ復興は緒についたばかりの時期に行われたものでありますけれども、そういったことを既にやっておりますし、また、復興セミナーのような、関係者が集まり、全国からも来ていただいて、震災の教訓を伝承し、また、復興の現状を見ていく、そういうことは県、市町村が連携しながら今までもやってきているものであります。
また、復興シーフードショーIWATEのように、復興の中で、今、どういう新しい物産が生産されているか、加工食品が生産されているかということを岩手において発信する、あるいは東京やあちこちに出て発信するというようなことは、それぞれの産業分野や地域に関して、これはやらなければならないことということで、県も市町村も連携してやっているところであります。
それでも全国的に風化は進んでいるのではないか、関心が低くなっているのではないか、ボランティアの数が少なくなっているのではないかという中、改めて関心を高め、そして、今からでも支援をしたいという人たちの思いを形にしていくために、今までやってきたようなことを合わせることで、さらに相乗効果を発揮しながら行事を行うということについては、決して早過ぎるということはないのかと思っております。
〇15番(佐々木努君) これまでいろいろなこと、いろいろな行事をやってきたということは私もよく承知していますし、それを、これからこつこつ少しずつやっていけばいいんじゃないですかね。一回にやろうとしないで、例えば来年はラグビーワールドカップ2019、その次はここでこういうイベントをしよう、その次の年はこうやろうと、そうやって風化を防いでいくという方法だって私はあると思うのです。ここに総力をつぎ込む必要があるのかとすごく疑問に思うわけです。
いずれ、準備委員会ももう立ち上がって、来年の開催に向けて進むのだと思いますが、きょうはテレビ放映もされていますから、応急仮設住宅等でこのやりとりを聞いている被災者の方々もいらっしゃると思います。その方々に対して、もう一度、知事のほうから、こういう行事をこのためにやりますということを説明していただけないですか。
〇知事(達増拓也君) 2019年、来年に予定しております総合的な防災復興行事は、いまだ応急仮設住宅等での生活を余儀なくされている皆さんに対して、全国的な、さらに海外からの関心を高め、そして支援を今からでも形にしていくということを、特にそのために行うものとして、関係市町村また岩手県内の各団体、そうしたところから御支持をいただき、また、復興庁を初めとする国の機関からも支持をいただいて準備委員会が立ち上がったところでありますので、ぜひこの機会に、それぞれの一人一人が直面している復興を力強く進め、生活の再建、なりわいの再生、学びを必要としている人たちの学びの伸展、そうしたことを進めていただきたいと思います。
〇15番(佐々木努君) わかりました。わかりましたが、逆に、できる限り被災地の負担にならないような形でこれから準備を進めていってほしいと思います。
次に、被災地のインフラ整備等々については、先ほども冒頭に申し上げましたが、かなりのスピードで進んでいると思いますが、一方で、ソフト面、心のケアというものがこれから大事になってくると思っています。
それで、私が心配しているのは被災地の子供たちの心のケアでありまして、いただいた資料では、平成23年から被災地の子供たちの心のケアが始まっていて、平成23年度は287件の受診件数でありましたけれども、平成28年度は6、379件、ここまで受診数が伸びていて、今年度は12月末で既に5、824件です。昨年度を超えるような受診件数になっています。これは、本当にきちんと手を打たないと、子供たちの将来、未来にも影響してくることでありまして、しっかりとこの対応をしていただきたいと思うのですが、県として、平成30年度、今後どのような体制でこの支援をしていくのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 被災者の心のケア、県の体制ということでの御質問ですが、県では、まず、市町村や社会福祉協議会などの関係機関と連携しまして、生活支援相談員による見守り活動、そして保健師等が応急仮設住宅、災害公営住宅を巡回して行う健康相談や保健指導を実施しております。また、これらとも連携したこころのケアセンターによる専門的な相談支援とこどもケアセンターによる診療など、心のケア対策を実施しております。
そういう中で、こころのケアセンターにおける相談支援件数の高どまりや、受診件数の増加というのは、議員御指摘のとおりでございまして、復興の進捗に対応した心のケア対策は中長期的な取り組みが必要と認識しております。
県といたしましては、見守り活動等と連携した相談、診療体制を引き続き堅持しながら、被災者の状況に応じた心に寄り添った支援を継続し、平成30年度におきましては、専門家と関係者による協議の場の設置や地域づくりワークショップの開催等によりまして、中長期的な見守り等支援体制の充実を図り、心の健康に関する地域住民の意識啓発にも力を入れ早期の支援に結びつけ、こころのケアセンター等の専門スタッフの確保、そしてスキルアップ等によって支援の質も高め、被災者の心の復興に取り組んでまいります。
〇15番(佐々木努君) 支援の質を高めるという話でしたけれども、今、一番足りないのがスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーです。教育委員会にも頑張っていただいていますけれども、今、人材がかなり不足しているということですが、現場のほうから、本当に足りない、何とかしてくれという話があるわけです。そこのところの具体的な数字が、今、知事の口からは出てきませんでしたけれども、足りないということが事実なので、これは年度途中でも構いませんし、その次の年のことも含めて、人員増をどうしていくかということもぜひ検討していただきたい。子供の未来は本当に大事ですから、そういうことを心にとめて、ぜひ、この支援の充実を図っていただきたいと思います。
次に、少子化対策についてお伺いしていきたいと思いますが、通告していた質問、少子化の要因については、ちょっと時間が足りなそうなので、省かせていただきたいと思います。
知事から、先ほど、平成30年度の取り組みについてはお伺いをいたしましたが、私は、相加的といいますか、抜本的に少子化に歯どめをかけるような施策には残念ながらなっていないのではないかと感じました。
それで、知事に根本的なことをお伺いしたいと思うのですけれども、先日、私は友人と人口減少問題についていろいろ議論したのですけれども、私がi-サポの例を出して、何としても岩手県は子供の数をふやしていかなきゃならないねという話をしたら、その友人は、それは無理だと。どこも子供がふえているところなんかないと。今、この世の中で出生数が向上するなんてことは絶対あり得ないから、何をやったって無駄なんだと言われたわけで、私も反論しましたけれども、現実に岩手県でもこの10年間で減る一方で、2、000人以上も子供の数が減っているわけです。ですから、彼の言うことはもしかしたら本当なのじゃないかとたまに思ったりするわけで、知事はどう思いますか。これから、今のこのような社会において、子供をふやすことは可能だと思いますか。
〇知事(達増拓也君) 我々が直面している問題は、少子化という中で、そもそも結婚を希望しているけれども結婚をしないでいる、また、妊娠、出産、子育てを希望しているけれども、それができないでいる、そうした方々の直面している課題を、それぞれそれに対応する施策を展開することによって直面している課題を取り除くことで、結果として少子化に歯どめをかけていくということが求められていると思います。
御友人の方の話は今初めて聞いた話で、その全体をきちっと聞き取れたか、ちょっと心配なところもございますけれども、“いきいき岩手”結婚支援センター─i-サポによって全てが解決しないということであれば、それはそのとおりでありまして、例えば県のほうでも平成30年度当初予算案で、予算規模最大の事業は、市町村がやっている地域子ども・子育て支援事業に対して約14億6、800万円、i-サポを含むいわての子どもスマイル推進事業費のほうは約4、300万円の事業なのですけれども……(佐々木努議員「知事、可能か、そうじゃないかだけで結構です」と呼ぶ)ということで、可能かどうかは、それは県民一人一人が決めるといいますか、それら直面している課題を、その人たち、そして公の力もかりながら解決していったときに、さあ、子供を産み育てていくかというのは、その人たちの決断であると思います。
〇15番(佐々木努君) 知事から、可能か、可能じゃないか、知事はどう思っていらっしゃるのですかということを聞きたかったのですけれども、可能ということでよろしいわけですね。岩手でも子供をふやしていくことは可能だと。これからいろいろな施策を講じて、県民の理解を得られれば可能だということでよろしいわけですね。
〇知事(達増拓也君) さまざまな統計が、子供を出産できる世代の女性の人口が岩手のみならず日本全体として減ってきているので、女性1人当たりの出産数が多くなったとしても、子供の数全体は減り続けるということをデータは示しています。
ただ、私としては、そのデータと格闘するのではなくて、今を生きている岩手県民が直面している課題を解決するというところに県は力を注ぐべきであって、その結果、どのような結果になるかということは、それは今を生きる人たち、私たちも含めた県民みんなで決めていくということだと思います。
〇15番(佐々木努君) 私は、この少子化対策をもっと頑張ろう、子供を減らさないように岩手は頑張ろうという意思表示を知事にしていただきたいのですよ。今みたいに、これこれこういう施策を講じて、最終的にそれが人口が維持できる、子供の数が維持できるということじゃなく、ここの目標に向かってみんなで頑張ろうという意思表示をしない限り、私は、県民がみんなで力を合わせて子供をふやそうなんていう意識は醸成されないと思うのですね。それが、私も6年半、ここで仕事をさせていただいていますけれども、県にはそこが非常に足りないところかなと思うわけで、いわて県民計画第3期アクションプランにも、この自然増、子供の数をどうするかということが全く触れられていませんでしたし、ふるさと振興総合戦略の指標、合計特殊出生率の目標数値が1.45でしたか、これは現状維持です。現状維持というのは、知事が先ほどおっしゃられたように、マイナス目標ということになるわけなのです。ですから、本当に県が子供をふやして将来的に岩手を維持していこうという思いというのが、その計画にも伝わらないし、知事の口からもそういう言葉が出てこないし、県のさまざまな施策からも感じられないと、私はそれが非常に不満だし残念なわけであります。
人口減少・子育て支援対策調査特別委員会というのが議会にありまして、私が委員長を務めさせていただいているのですが、先日、鳥取県に行ってきました。鳥取県もやはり人口減少が非常に問題になっていますし、少子高齢化も進んでいる。そういう中で、何としても子供の数をふやしたいということで、鳥取県を子育て王国にするのだという旗を掲げて、知事が先頭に立ってさまざまな子育て支援に取り組んでいるわけです。その結果、合計特殊出生率も我が県よりもかなり高いし、出生数もふえているのです。そういう取り組みを県全体でやっているところもあるわけです。ですから、県のトップ、これは知事だけでなく市町村長もそうだと思うのですけれども、そういう方々がみんなで力を合わせて子供をふやしていかないと、もう県が、町が成り立たないねという思いを持って取り組んでいかない限り、私は、何ぼこれをやりました、あれをやりましたと言ったって、結局、子供の増加にはつながっていかないと思います。
ちょっと時間がもう大分なくなってきたので先に進みたいと思いますけれども、この子育て支援でとても大事だと言われているのが、経済的負担をどう取り除いてあげるのかということで、全国各地で子供の医療費助成が進んでいるわけでありまして、岩手におきましても、小学校の入院まで医療費助成をしていただいているわけですけれども、子育て中の多くのお父さん、お母さん方から、医療費というのは結構家計に与える影響というのが大きくて、中学校卒業まで何とか医療費助成をしてもらえないかという請願も出されていて、我々いわて県民クラブとしても、県に対してここ数年、中学校まで拡大してほしいと要望してまいりました。なかなか県からはいい答弁がもらえないわけだったのですが、知事、改めて、これは県としても中学校卒業まで医療費助成を拡充する、これに取り組んでみませんか、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 御指摘のとおり、昨年9月議会で、1、国の制度として、中学卒業まで医療費窓口負担無料制度を創設するよう国へ意見書を上げてください。2、来年度から、小学校卒業まで外来診療を含め、子供の医療費助成について、現物給付方式として実現してくださいという請願が採択されたことは重く受けとめております。
子供の医療費助成につきましては、県としては、平成27年8月から、助成対象を小学校卒業の入院まで拡大するとともに、平成28年8月から、未就学児と妊産婦を対象とした現物給付を実施したところであります。総合的な子育て支援について、子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、これまで、県からも、政府に対し、全国一律の制度を創設するよう要望してきたところでございます。
県の助成対象を中学校卒業まで拡充する場合には、年間約4億8、000万円の財源を確保する必要があるわけでありまして、今後、国の動向を注視しながら、県の医療、福祉政策全体の中で総合的に検討する必要があると考えております。
〇15番(佐々木努君) 結局、国が動かなければ、県はやる気がないよということになりますか。知事、医療費助成は大事だという認識はありますよね。ですから、小学校の入院まで県が行っていると思いますけれども、私は、国は国、県は県でまた別個に考えるべきじゃないかなと思うのです。
群馬県は、中学校卒業まで医療費助成を行っていますし、鳥取県は、一部負担はありますけれども、高校卒業まで医療費助成を拡充しているわけです。そういう中にあって、これは国のせいにしないで、県で何とか財源を見つけて、医療費助成をぜひやるから、みんな安心して子育てしてくださいということを県民に訴えるべきじゃないかなと思うのですが、やる気があるのかないのか、そのことも含めてもう一度、知事、答弁をお願いできませんか。
〇知事(達増拓也君) 現在、岩手県内では、28の市町村が中学生あるいは高校生までを医療費助成の対象にしており、盛岡市を加えますと29、四つの市以外は既に岩手県内において子供の医療費助成が実現されているところでありますので、そうした市の状況も見ながら、まだ決めかねている、あるいはやらないでいる市にとっても資するよう、県としては国に対する要望をしているところでありまして、そのような国、県、市の役割分担の中、岩手においては、県は全国最多、群を抜いて多い県立病院の経営というほかの県がやっていないようなところに力を入れ、また、今回も子供関係の医療、ドクターヘリでの赤ちゃんの搬送に予算を措置するといったところに力を入れる中で、これはまさに市町村、県、国それぞれの力を発揮しながら、子供たちを、日本の中でそして地方の中で健全に育てていくということが求められていると考えます。
〇15番(佐々木努君) わかりました。お話はわかりましたけれども、私はやっぱり県が指導的にそういう仕組みをつくり上げていく、あるいは市町村を巻き込んで、県統一でそういう制度をつくっていくということが非常に大事だなと思いますので、これはまた次回も取り上げさせていただきたいと思います。
それから、これももう知事に何度も要望、提案をしているわけですけれども、少子化対策県民税、子育て支援税と言ってもいいかもしれませんけれども、今、県も非常に財政が厳しい状況で、子育て支援にかける予算がなかなかつくれないという状況で、私はやっぱり今一番岩手にとって大事な少子化対策、これを進める上で、子育て支援のための財源を県みずから国の交付税に頼らないで創出し、そして少子化対策にその予算をつぎ込むという取り組みがこれから必要になってくるのではないかなと思います。それで、いわての森林づくり県民税と同じような目的税である少子化対策県民税を県でもぜひやってみませんかということを提案してきました。これについても、もう何度も提案していますけれども、答弁は同じです。今回ももしかしたら同じかもしれませんが、改めて、知事に、そういうことに岩手が全国で初めて取り組むおつもりはないか、お伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) 全ての県民一人一人に同じ額の税金をいただくいわゆる人頭税というのは、税の中でも一番、所得の低い方、生活に困っている方の負担が大きい税でありますが、ただ、森林関係の税としては、森林が出す酸素、いい空気、CO2削減という効果は、お金持ちもそうでない人も一律に受ける、まさに受益と負担が等しくなるということで御理解をいただいたものなのだと認識しております。その中で、子ども、子育て支援少子化対策は、今、県の一般財源に加え、地方消費税率の引き上げに伴う増収分の一部、そして、国の地域少子化対策重点推進交付金などを活用して財源にしているところでありまして、なかなか県民全ての方から税を新たにいただくということは難しいのではないかと思っております。
〇15番(佐々木努君) 森林も公益性が非常にあると思いますけれども、私は子供たちの公益性のほうが、もっと森林よりも価値があるものだと思うのですが、違いますか。これから岩手を背負っていく大事な子供たちに、森林と同じようにお金をかけるということが私は当たり前じゃないかと思うわけでありますし、森林税が理解されるなら、私はこの少子化対策県民税のほうがよほど県民の方から理解されると思います。ですから、そういうことをしなくても、県に予算がある、余裕があるというのであれば私はこれ以上何も言いませんけれども、ただ、そういうものもしっかりと県民から負担していただいて、こういうものに使っています、そして、その結果が少子化の解消につながりますというところに持っていく、それが本当の意味で、県全体で少子化対策に取り組むということなのではないかなと私は思っているわけで、このような提案をずっとさせていただいております。知事には関心が余りないようなので、もうこれ以上はやめますけれども、いずれ、私はそういう議論もできればやってほしいなと思っています。
それから、次に参ります。この少子化対策は、やはり行政が何かをやれば子供がふえるということではなくて、民間の企業の方々、事業者の方々にも協力をしていただかないとなかなか前に進まない、出生数がふえないのだと思います。それは知事も御理解をされていると思うわけでありますけれども、なかなかそれが進みません。
国では、平成15年に次世代育成支援対策推進法を制定しまして、101人以上の企業に対して一般事業主行動計画、つまり、企業における子育て支援計画の策定を義務づけていますけれども、これはもう101人以上の企業に義務づけられているだけであって、100人以下の企業は努力義務なのです。ほとんど─ほとんどと言ったらあれですけれども、この100人以下の企業では、この計画を策定していないというのが実態です。
岩手県には事業所が5万9、307もあるそうでありますけれども、この中で101人以上の企業は464社。ここでは法にのっとってもちろん策定をしていますが、それ以外の企業はほとんど策定をされていないというのが実態です。これでは、民間企業における子育て支援というのは、私はいつまでたっても進まないのではないかと思うわけであります。
そういう中で、どうやったら民間企業による子育て支援が進むのかということ、いろいろ私も調べたのですが、一番実効性があるのが富山県の取り組みではないかと。
富山県は、次世代法による101人以上の策定義務を、県みずから条例を策定して、51人以上にも策定してくださいという条例をつくったわけです。それでもまだ足りないということで、去年の4月からは、31人以上の企業にもさらにこの条例を拡大して、一般事業主行動計画策定を義務づけたわけです。これはなかなか富山県も大変だったと思います。民間企業のそういう理解を得るのは本当に大変だったと思いますが、富山県はそれをやったという、本当にすばらしい手本になる取り組みだと私は思います。この計画を立てれば、計画どおりに子育て支援を企業が進めなくてはならない、そういうことで、そこに働くお父さん、お母さん方、子育て中のお父さん、お母さん方は、そういうセーフティネットの中で子育てをし、そして仕事もできると。それが最終的には子供をもう一人つくってみようかなとか、もう2人産めるねということにつながっていくのだと思います。富山県も我が県よりは合計特殊出生率も高いですし、そういう意味では、そういう効果が出ているという先進的な事例もあるわけです。
私は、子育てにやさしい企業等認証制度、県は優遇制度も拡大してこれに取り組むという話はしていますけれども、これは平成19年に子育てにやさしい企業等認証制度が始まりましたけれども、10年たった今、まだ62社なのです。全くと言っていいほど進んでいない、広がっていない。こういう状況では、幾ら県が医療費助成をしようとしたって、何かこういう取り組みをどんどん進めるから頑張って子育てしてくださいという話をしても、民間企業の状況がこれでは子育て支援なんか全然進まない。人口減少に歯どめをかけるなんていうことは絶対に無理なわけです。ですから、ぜひ知事、いい先例があるわけですから、県でもそういうものに取り組んで、しっかりと民間企業とタッグを組んで子育て支援、少子化対策に取り組むべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 議員御指摘の次世代育成支援対策推進法においては、労働者の数が100人を超える企業は一般事業主行動計画を定め、厚生労働大臣にその旨を届けなければならない。そして、労働者の数が100人以下の一般事業主については、これについても一般事業主行動計画を策定し、そして厚生労働大臣にその旨を届けるよう努めなければならないと規定されております。これは努めなければならないという努力を規定しているわけではありますけれども、これは100人以下の一般事業主の皆さんに対しても重い条文だと思います。そういうこともありまして、県では、従業員100人以下の企業に対しても、最大30万円まで助成金を交付できるようにして優遇措置を拡大しているところでありまして、結果、岩手においては、雇用労働者301人以上の企業110社と、また、300人から101人の企業349社、100%、一般事業主行動計画が策定され、100人以下の企業についても、319の企業が一般事業主行動計画を策定して届けていると。これをさらにふやしていくよう、県としても努めてまいりたいと思います。
〇15番(佐々木努君) 非常に残念な答弁でした。もう時間がないのでこれ以上はやめますけれども、いずれ、知事の本気度が私は今の答弁でよくわかりました。
最後になります。間もなく─間もなくといいますか、新年度から次期総合計画の策定が進められるわけでありますけれども、どんなに立派な総合計画をつくろうとしても、子供の数がどんどん減っていって岩手の人口が減れば、これはただ絵に描いた餅になってしまうと思うのです。
さっきも申し上げましたが、この10年でも2、000人以上の子供の数が、出生数が減っているわけです。もしこのままのペースでいくと、10年後はまた2、000人減って、年間6、000人しか子供が産まれないという状況になります。そうなれば、もう岩手の発展というのは本当に私は望めなくなると思います。
そこで、これは提案でもありますし知事への要望です。他県のようにもっとこの岩手は子育てしやすいところだと、少子化対策に力を入れる県だということを、まず県民にしっかりと知事が先頭に立って訴えることができるように、この10年間、集中して子育て日本一の県というものを総合計画に掲げてこれからも取り組んでいくべきではないかと思いますが、知事の御所見を伺って終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 常時雇用労働者100人以下の企業の一般事業主行動計画策定届け出の数319というのは、青森県よりも宮城県よりも、秋田県よりも山形県よりも多いのですけれども、ただ、それは、まだ緒についたばかりということで、これからもっとふやしていかなければならないと思っております。
次期総合計画における少子化対策に関しては、総合計画審議会が平成24年度から平成25年度にかけ人口部会、豊かさ部会を設置し、そして平成26年に今後の岩手県政策に関する提言を出していて、その中で、日本一子育てしやすい地域をつくるという提言が出されています。次期総合計画策定に当たっても、その提言を踏まえて、その方向性を生かしていくような形で検討されると期待しますし、また、県としても、そういう方向で議論に参加していきたいと思います。
〇15番(佐々木努君) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(五日市王君) 次に、工藤大輔君。
〔47番工藤大輔君登壇〕(拍手)

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