平成29年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
議案第1号、第16号から第19号、指定管理者の指定に関する第23号から第51号、第57号について、議案に対する質疑を行います。
議案第1号は、2017年度岩手県一般会計補正予算(第4号)であります。
被災地福祉灯油等特別助成事業費補助5、350万円余が計上されました。7年連続の助成事業となったことを評価したいと思います。被災自治体に限定されていることは残念でありますが、昨年度は、被災自治体以外でも北上市など5市町が被災者への福祉灯油を実施しました。今年度は被災者への福祉灯油を実施するところはあるでしょうか。低所得者への福祉灯油は葛巻町、九戸村で実施されましたが、今年度の実施見通しはどうでしょうか。
議案第16号から第19号は、変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。
議案第16号は、大船渡港野々田地区海岸防潮堤ほか工事の変更請負契約であります。当初契約金額11億9、448万円に対して、今回5回目の変更で29億3、189万円余に、17億円余の増額で、2.45倍となります。
議案第17号は、大船渡港山口地区海岸防潮堤工事の変更請負契約であります。当初契約金額10億6、488万円から、今回6回目の変更で19億2、496万円余に、8億6、008万円増の1.81倍となります。
議案第18号は、大船渡港野々田地区海岸防潮堤工事の変更請負契約であります。当初契約金額6億264万円に対し、今回4回目の変更で13億7、751万円余に、7億7、487万円余の増額で2.29倍となります。
議案第19号は、気仙川筋砂盛地区水門災害復旧工事の変更請負契約であります。当初契約金額60億1、335万円が、今回6回目の変更で147億3、463万円余に、87億2、128万円余の増額で2.45倍となります。
これらの4件は、特に変更後の契約金額が当初契約金額と比べて2倍前後となる異常なものであります。こういう変更契約では、当初の入札の意味が全くなくなるのではないでしょうか。当初の設計と設計金額の妥当性が問われるのではないでしょうか。それぞれにどういう特別の事情があったのか。詳細設計や詳細な地質調査はなぜできなかったのか。今でも詳細設計は行われていないのか。今後もこのような異常な変更契約は繰り返されるのか示していただきたい。
議案第23号から第51号は、指定管理者の指定に関する議案であります。全体的な問題について質問します。
議案第24号のいわてリハビリテーションセンターの指定管理者を指定することを除いて、指定管理者の正規職員数は、今年度実績76人に対し、有期採用の非正規職員数は172人、69.3%となっています。雇用対策を推進するべき県自身が、指定管理によって不安定雇用をふやすという結果となっているのではないでしょうか。
今回は指定管理の期間を多くが3年から5年に延長していますが、正規職員数、非正規職員数の計画、率はどうなるでしょうか。正規職員、非正規職員の月収、年収はどうなるでしょうか。改善はあるのでしょうか。適正な賃金の確保を目指す県が締結する契約に関する条例の精神、立場に逆行しているのではないでしょうか。指定管理者の制度とあり方を全面的に見直すべきと考えますがどうでしょうか。
議案第53号は、2017年度岩手県一般会計補正予算(第5号)であります。
人事委員会勧告に基づいて県職員の給与を0.14%、512円、期末手当、勤勉手当を0.05カ月、2万7、000円増額しようとするものであります。給与の引き上げに賛成するものであります。
県職員の給与は、平成12年度から連続して引き下げられました。また、退職金も大幅な引き下げとなっています。今回の給与改定では、ピーク時と比べてどういう状況となるでしょうか。また、国は、今回の給与改定とセットで退職金の引き下げを実施しようとしています。実質賃下げとなります。県は退職金についてどう対応しようとしているのか示していただきたい。
以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 被災地福祉灯油についてでありますが、今年度は、11月時点で助成対象の沿岸12市町村全てにおいて実施予定と聞いています。
また、内陸部の4市町が、単独事業として、東日本大震災津波の被災者を対象に、灯油購入費の助成を実施予定あるいは実施に向けて検討中であります。
低所得世帯に対する福祉灯油事業については、昨年と同じく2町村が、低所得世帯全般を対象として、灯油購入費の助成などを実施予定と聞いているところでございます。
〇県土整備部長(中野穣治君) 変更請負契約の締結についてでありますが、まず、それぞれの工事につきまして、主な増額の要因についてお答えいたします。
議案第16号の大船渡港野々田地区海岸防潮堤ほか工事につきましては、詳細設計及び地質調査の結果により、基礎ぐいの長さや打設工法の変更をしたものでございます。
議案第17号の大船渡港山口地区海岸防潮堤工事につきましては、詳細設計に伴う基礎ぐいの変更及び用地交渉等の地元調整の進展を踏まえ、施工可能となった区間の防潮堤等を追加したものでございます。
議案第18号の大船渡港野々田地区海岸防潮堤工事につきましては、地質調査の結果による基礎ぐいの太さや打設工法の変更のほか、支障となる基礎ぐいの撤去を追加したものでございます。
議案第19号の気仙川筋砂盛地区水門災害復旧工事につきましては、詳細設計に伴い、水門本体の形状や重量の増大のほか、地質調査の結果により、基礎ぐいの長さや打設工法を変更したものでございます。
これら四つのいずれの工事につきましても、標準断面図等による発注方式により契約したものでございます。この発注方式の採用は、できるだけ早期の工事の着手を目的としたものでございまして、詳細設計や地質調査を行う期間と並行して工事の積算や発注手続を進めることで、通常の発注方式に比べまして、WTO案件の場合で1年程度工事の着手を早めることができるというものでございます。
一方で、標準断面図等による発注方式につきましては、詳細設計に伴う工事費の変動については設計変更にて対応するという条件を明示した上で、詳細設計を行う前の図面と数量で発注するため、詳細設計に伴う断面や構造の変更、あるいは当初想定できなかった地質条件等に対応するための工法の変更等により、やむを得ず工事費が増額となる場合が多くなるものであります。
今回提出させていただいた案件の変更内容につきましては、全て当初想定し得なかったものであり、必要な内容を精査して提案しておりますので、何とぞ御理解いただきますようよろしくお願いします。
また、現在多くの海岸保全施設等の復旧工事が進行中でございます。現場の地質条件等を反映した工法や構造の検討を行っている案件については、内容を十分精査した上で、順次、対象となる工事を議会に提案させていただきたいと考えております。
〇総務部長(佐藤博君) まず、指定管理者の職員数についてでございますが、今回提案の29施設の指定管理者予定者から提出のあった平成30年度の職員配置計画によりますと、職員数の合計は440名、うち正規職員251名、率にしますと57%、有期採用職員189名、43%となっております。
これから、いわてリハビリテーションセンターの指定管理者を除きますと、職員数の合計は250名、うち正規職員83名、33.2%、有期採用職員167名、66.8%となっております。
具体的には、今年度の実績と比較しますと、いわてリハビリテーションセンターを除いた全体では、正規職員が76名から83名に7名の増加、一方、有期採用職員は5名の減となっておりまして、有期採用職員から5名が正規職員化されるなど、8施設で9名の正規職員の増が図られたところでございます。
このように、今回の指定管理者の指定に当たりましては、一定の改善が見られたところでございます。
また、今回の指定管理の期間を3年から5年にすることによって、指定管理者における人材の確保や経営の安定化の観点からも、正規職員の増につながったものと推測しているところでございます。
次に、正規職員と有期採用職員の賃金水準についてでございますが、雇用条件等により、月収、年収の統一的な把握は困難でございますので、1時間当たりの単価で示しますと、29施設のうち、市町村が指定管理者である施設を除く23施設について、平成28年度の実績ベースで1時間当たりの賃金単価を算出したものでございますが、正規職員は1、704円、有期採用職員は999円とほぼ1、000円の水準でございます。
これから、いわてリハビリテーションセンターを除きまして同様に算出しますと、正規職員は1、595円、有期採用職員は949円となっております。
参考といたしまして、本年10月1日に引き上げられました最低賃金は738円となっておりますので、いわてリハビリテーションセンターを含みますと261円、いわてリハビリテーションセンター除きますと211円最低賃金を上回っているところでございます。
それから、指定管理者制度の運用に当たりましては、適正な雇用、労働条件を確保するため、県が締結する契約に関する条例に基づく支払い状況等の確認のほか、各所管部局におきまして、事業完了の業務報告の際に、労働条件のチェックシート等を活用した確認を行っているところでございます。
今後も、指定管理者制度の運用に当たっては、適正な雇用、労働条件の確保が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、今回の給与改定後の状況についてでありますが、40歳の主査クラスの職員を例に、今回の給与改定後の給与額と平成11年度の給与改定前の給与額を試算して比較しますと、年収額については約86万円、退職手当については約447万円の減となっております。
次に、退職手当の引き下げについてでありますが、現在、国家公務員の退職手当の支給率の引き下げを内容とする法律案が国会において審議されているところでございます。
県といたしましては、国の制度改正の内容のほか、他県の動向等も踏まえながら、今後、対応を検討してまいります。
〇38番(斉藤信君) それでは、指定管理者制度について、これは私、知事にお聞きしたいと思います。
今答弁があったように、ことしは非正規職員の割合が69.3%、新しい指定管理者制度で確かに3年から5年に延長されるのだけれども、そうなっても66.8%。2.5%改善したと言えばしたかもしれない。まあ、これは微調整のようなものですよ。
それで、岩手県が実施すべき事業で、働く人の3分の2が非正規職員、不安定雇用と。岩手県の締結する契約に関する条例は、適正な賃金確保ということを目標にしているのですね。私は、県がこの条例を制定した精神にも反するものではないのかと。指定管理について私は個々に検討する必要があると思うけれども、きょうは全体的なことで、やっぱり働く人の3分の2が非正規職員、不安定雇用ということを容認することは、安定した雇用を進める県としてはいかがなものかと。この基本的なことを知事にお聞きしたい。
あと、契約案件で当初契約金額の2倍を超える異常な変更請負契約について指摘いたしました。議案第16号と第18号は、実は大船渡港野々田地区海岸防潮堤、同じ区間の分割発注ですよ。議案第16号の工事を契約した1年後に議案第18号の工事が契約されているんですね。それで、同じ区間で1年後に契約しても、今になって同じように当初契約金額の2倍になるような変更契約が出てくると。私は、これは当初設計の精度が本当にずさんではないのかと思いますよ。
それと、気仙川筋砂盛地区水門災害復旧工事ですけれども、第1回変更契約から第6回変更契約まで、毎回詳細設計、詳細地質調査をやっているんですよ。変更契約をやるたびに詳細設計をやって、どんどん契約金額が上がると。60億円が147億円ですよ。これだったら当初の入札が全く意味がなくなる。そのことを私は指摘したわけですね。何で6回も詳細設計とか詳細地質調査を繰り返さなくてはならないような工事になったのかと。
そして、改めてお聞きしますけれども、今までは非常事態ということもあったでしょう。しかし、今はかなり落ちついていますから、やっぱりきちんとした詳細設計をして、こういう異常な変更契約が行われないようにすべきだと私は思うけれども、そこの県の対応も改めてお聞きしたい。
〇知事(達増拓也君) 指定管理者に対しましては、労働法令の遵守や適正な雇用、労働条件が確保されるよう指導を行ってきたところであり、県が締結する契約に関する条例におきましても、賃金及び社会保険に関する法令遵守が位置づけられているところでありまして、その条例の趣旨も踏まえて、所管部局において、事業完了後の事業報告や実地調査等を行って、その状況についても適宜確認を行っているところであります。
職員の配置については、それぞれの機能、性質、設置目的に応じて、運営に必要な職員数を確保し、正規職員の占める割合は、指定管理の受託内容、業務の形態によってそれぞれ割合が異なるものと認識しておりますけれども、今後におきましても、適正な雇用、労働条件が確保されるように引き続き指導するとともに、さらなる施設の利用促進と行政サービスの向上が図られるように指定管理者制度の適切な運用に取り組んでまいります。
〇県土整備部長(中野穣治君) 当初設計の精度がずさんだったのではないかということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、詳細設計を行う前の段階で、当初の積算の開始時点で得られる最善の情報の中で最も合理的な設計により発注しております。
それから、変更契約の回数という話もございました。工事につきましては、準備が整ったものから段階的に地質調査、詳細設計を行って全体の調査をした上で設計をしてというのが本来の順序ですが、できるだけ早く着手できるところはしていくということで進めておりますので、変更契約の回数も多くなりますし、内容も、それぞれ当初想定していなかったものが出てきた場合にその都度対応していくということになっております。
いずれにしても、海岸保全施設については、これまで経験したことがないような膨大な規模の工事管理や技術判断に対応して、最大限合理的な復旧工事、復興工事の遂行に取り組んでいるところでございます。そういった意味で、今後も、変更しなければいけない内容についてはしっかりと精査した上で、その都度しっかりと議会には御説明させていただきたいと考えております。何とぞ御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
〇議長(佐々木順一君) これをもって質疑を終結いたします。
次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第59号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第11回県議会定例会 平成29年12月6日)
総務委員会
1 議案第1号
第1条第1項
第1条第2項第1表中
 歳入 各款
 歳出 第1款
第2款
第9款
2 議案第3号
3 議案第4号
4 議案第7号
5 議案第21号
6 議案第52号
7 議案第53号
第1条第1項
第1条第2項第1表中
 歳入 各款
 歳出 第1款
第2款第1項
   第2項
   第3項
   第4項
   第5項
   第6項
   第7項
   第9項
   第10項
第3款第5項
第9款
8 議案第55号
9 議案第56号
10 議案第57号
11 議案第59号
環境福祉委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第3款
第3条第3表中
 追加中 10
2 議案第24号
3 議案第53号
第1条第2項第1表中
 歳出 第3款第1項
   第2項
   第3項
   第4項
第4款
4 議案第58号
商工文教委員会
1 議案第1号
第3条第3表中
 追加中 1~9、11、12、25~28
2 議案第5号
3 議案第22号
4 議案第23号
5 議案第25号
6 議案第26号
7 議案第36号
8 議案第39号
9 議案第42号
10 議案第43号
11 議案第44号
12 議案第45号
13 議案第46号
14 議案第47号
15 議案第48号
16 議案第49号
17 議案第50号
18 議案第51号
19 議案第53号
第1条第2項第1表中
 歳出 第2款第8項
第5款
第7款
第10款
農林水産委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第6款
第11款第3項
第3条第3表中
 追加中 13~20
2 議案第8号
3 議案第27号
4 議案第28号
5 議案第29号
6 議案第30号
7 議案第31号
8 議案第32号
9 議案第33号
10 議案第34号
11 議案第35号
12 議案第53号
第1条第2項第1表中
 歳出 第6款
第11款第3項
13 議案第54号
県土整備委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第8款
第11款第5項
第2条
第3条第3表中
 追加中 21~24
2 議案第2号
3 議案第6号
4 議案第9号
5 議案第10号
6 議案第11号
7 議案第12号
8 議案第13号
9 議案第14号
10 議案第15号
11 議案第16号
12 議案第17号
13 議案第18号
14 議案第19号
15 議案第20号
16 議案第37号
17 議案第38号
18 議案第40号
19 議案第41号
20 議案第53号
第1条第2項第1表中
 歳出 第8款
第11款第5項
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時27分 散 会

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