平成29年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
最初に、東日本大震災津波からの復興の課題について質問いたします。
東日本大震災津波から間もなく6年9カ月、被災者にとっては7度目の冬を迎えていますが、いまだに応急仮設住宅等での生活を余儀なくされている被災者は8、724人となっています。被災者の生活悪化とストレスは災害公営住宅へ移っても大きなリスクを抱えており、被災者の生活と住宅再建は引き続き大きな課題になっています。
県が行った住宅再建意向調査では2、539世帯が自立再建を希望しています。しかし、震災前と比べて坪単価は11万4、000円と24%も上昇しており、30坪で340万円も増加し、自立再建を諦める被災者も生まれています。被災者生活再建支援金500万円への引き上げが必要となっておりますが、国の動向はどうなっているのでしょうか。
被災者生活再建支援金の申請期間は平成30年4月10日まで、被災者住宅再建支援事業は平成30年度までとなっております。宅地供給の面整備は社会資本復旧・復興ロードマップでは平成32年度までとなっており、申請期間の延長が必要であります。公益財団法人都道府県会館と協議中となっていますが、どうなっているでしょうか。また、災害援護資金の制度の周知や活用も大事ですが、あわせてその活用状況についての実績も示してください。
災害公営住宅の家賃に不安の声が広がっており、減免対策にも積極的に取り組むべきであります。山田町の災害公営住宅に住む75歳になる被災者からは、年金が月4万円で家賃は6、100円、もう義援金は底をつき、これ以上引き上がったら暮らしていけないという訴えもありました。国の東日本大震災特別家賃低減事業の対象はどうなっているのか。6年目から段階的に家賃が引き上がり、11年目からは従来の家賃となります。入居者の多くが高齢者であり、わずかな年金での生活を余儀なくされています。引き続きの減免が必要と考えますが、県、市町村の対応を示してください。
次に、災害公営住宅における収入超過者への対応であります。
東日本大震災津波では特例で入居できましたが、4年目からは収入超過者として家賃の引き上げがあります。共働きの30代の被災者からは、13万円の家賃となり、民間アパートもなく行き場がない、こういう訴えがありました。国土交通省では、今のところ制度を見直す予定はないとしております。働き盛りの世代は復興の担い手であります。高い家賃となった場合、被災地にとどまらなかったら、復興に逆行であります。必要な軽減措置をとり、継続して入居したほうが被災者や県、市町村にとっても合理的ではないでしょうか。収入超過者の実態と県としての対応策を示してください。
次に、災害公営住宅入居者の生活実態についてであります。
岩手大学教育学部社会学研究室等が行った大槌町災害復興公営住宅入居者調査では、57.1%が生活が厳しい、精神面では、変わらない、厳しいを合わせて56.9%となっております。入居者は、生活困窮、精神的困窮、関係的孤立という三つのリスクを抱えております。多重リスクは50.4%、三重リスクは27%にもなっており、これは応急仮設住宅を上回るものであります。県は、災害公営住宅入居者の生活実態をどう把握し、何を強化すべきと考えているのでしょうか伺います。
この調査に参加した岩手大学の麦倉教授は、災害公営住宅に入居したらこれで復興は終わりではなく、見守りや社会参加の創出など多様な支援が必要だと訴えています。集会所をつくっても活用されず、また、生活支援相談員は配置計画の85.5%となっていますが、これはなぜでしょうか。生活支援相談員は1年雇用となっており、待遇の改善も必要と考えますが、人材確保にどう取り組まれているのでしょうか。
次に、子供の貧困対策について質問いたします。
県南の小学校の校長先生から、毎日朝食を食べる児童は8割、親のダブルワークで子供の食生活が粗食だと訴えられました。貧困問題というのは子供の成長、発達に大きな影響をもたらし、子供の人生だけではなく、社会全体に損失をもたらすものであります。県は、昨年3月、いわて子どもの貧困対策推進計画を策定し取り組まれておりますが、何よりも大切なことは、深刻な子供の置かれている実態をつかみ、これを打開する具体的な目標と計画を持って取り組むことであります。
沖縄県では、児童、保護者の生活実態を徹底して調査して貧困率を明らかにし、そして2030年までに貧困率を10%まで減らす目標を掲げ、官民挙げた県民運動に取り組まれております。沖縄県での取り組みに学び、岩手においても子供の生活実態、課題を浮き彫りにする実態調査とすべきでありますが、どう検討されているのでしょうか、知事の答弁を求めます。
次に、ひとり親家庭への支援策であります。
県内のひとり親家庭の63.3%が月収15万円未満、就労率が90.5%になっており、働いても経済的に苦しくなっている現実があります。盛岡市のひとり親家庭実態調査でも就労率は91.6%であり、夜間労働が57.6%、早朝勤務は27.9%、土日労働については76.8%になっています。この調査から見えてきたことは、土日勤務が8割となっており、子供の3人に1人が放課後ひとりで暮らしています。子供の居場所のあり方、さらには子供と一緒にいられるような就労支援が必要ということではないかと考えますが、盛岡市が実施した調査結果をどう受けとめているのでしょうか。そして、調査で浮かび上がった問題に対する県の対応についても伺います。
次に、就学援助制度は、就学に困窮する児童生徒に対して学用品費や給食費等を支給する制度であります。県内市町村では受給率が6.11%から59.35%、被災自治体を除いても6.11%から15.2%と2倍以上の開きがあります。こんなに格差があることは、本来、受給できる子供が受けられていないのではないか。就学援助の対象となる児童数及び実際に受給している実態を県としても把握すべきでありますが、いかがでしょうか。
新入学児童生徒学用品費の支給は、その多くが7月ごろとなっています。生活困窮者が立てかえをしなくても済むように入学前に支給すべきでありますが、市町村の動向を県はどう把握されているでしょうか。
私は、この間、子ども食堂に取り組む一関市と盛岡市の二つの団体と懇談、調査をいたしました。子ども食堂は、子供を支援する居場所として、食育や社会生活を向上させる。悩みを語り、情報を共有し、課題解決に取り組める。そして、学生から高齢者まで参加することで、エンパワーメントにつながると子ども食堂の成果と効果を学ぶことができました。インクルいわてでは、全員参加型とひとり親を支援する包括支援に取り組んでいることにも大変感心いたしました。子ども食堂が果たしている役割を県はどう考えているのでしょうか。
全中学校区での取り組みを目指す兵庫県明石市、100カ所以上を目指す滋賀県など、各地の取り組みが広がっています。岩手県内での取り組みの実態はどうなっているのか。そして、県内に広げていくためには立ち上がりの支援とネットワークが必要ですが、県の支援策について伺います。
次に、児童虐待について質問いたします。
2016年度の県内児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は942件、過去最高となり、ことしもこれを上回る件数となっています。相談対応する県内三つの児童相談所では、相談の増加に追いつかない職員体制になっています。児童虐待防止アクションプランでは、児童相談所の相談機能と対応の充実を図るとしておりますが、児童虐待相談対応件数が増加している実態に対応する増員計画がありません。5年間で2.5倍にもなっており、児童福祉司の増員に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
児童養護施設の子供たちの中には、進学したくても学費や生活費の工面が難しく進学を断念する、あるいは退学する子供もいると聞きました。一関藤の園では、地元出身者から寄附を託され、進学支援寄附金の給付が始まりました。子供たちはみずから進んで要保護児童になったのではありません。進学して頑張りたいという子供たちの夢をかなえてあげるべきだと思います。高校卒業後の進路状況など、県内の現状はどうなっているのでしょうか。施設退所後のアフターケアも必要です。県としての必要性、また、県の支援策はどうなっているでしょうか。
次に、子供の医療費助成の現物給付の拡大について質問いたします。
県議会9月定例会では、岩手県の医療費助成制度について更なる拡充を求める請願が全会一致で採択されました。県では小学校6年生まで現物支給を拡大した場合のペナルティーは2、000万円となりますが、来年度から未就学児を対象とした現物給付にかかわるペナルティーがなくなり、およそ3、200万円と見込まれております。したがって、新たな負担なしに小学校6年生まで現物給付ができることになります。子供の医療費無料化を求める岩手の会が県に要請したときに参加した若いお母さんから、子供が3人いて、みんな風邪を引くと病院に行く順番を選んでしまう。あるいは償還払いのために、共働きで、市役所に何度も足を運ぶのは大変だと訴えられました。現物給付で医療費がふえるという指摘もありますが、しかし、これは一時的であり、通院しやすくなったと捉えるべきであります。安心して病院にかかれれば重症化することはなく、医療費の削減につながるのではないでしょうか。子供が病気になっても財布の心配をしないで通院できる、これこそ政治が取り組むべき課題ではないでしょうか。知事はこれまで、市町村とも協議をすると議会で答弁してきましたけれども、その後の対応はどうなっているのか伺います。
次に、教育の諸問題について質問いたします。
子どもの貧困対策推進計画の中では、学校はプラットフォームと位置づけられております。貧困は発見しづらいと言われていますけれども、子供たち一人一人に向き合い、複眼的な目で接することが大事であります。学校現場ではどのように取り組まれているのでしょうか。
スクールソーシャルワーカーは、この4月から文部科学省の省令で児童の福祉に関して支援する学校職員として位置づけられました。不登校、行動上の問題、児童虐待、発達障がいなど、子供たちにとっては家庭環境、保護者の存在は大きく、学校のみで解決することはできないと思います。学校現場等からも強い要望もあり、文部科学省も全中学校区に配置する方針がやっと示されました。しかし、週2回、あるいは非常勤職員など、これではなかなか人材を確保することができません。全中学校区配置に向けた人材確保対策はどう検討されているのでしょうか。
また、一気に配置することは困難な課題であります。要保護、準要保護率が高い地域に優先配置を行うとともに、教員以外の専門職などの配置や、一関市が市独自に配置している家庭相談員制度のようなきめ細かな対応を行う必要があると考えますが、県の対応と取り組みについて伺います。
2020年度実施の小学校新学習指導要領により英語教育が始まり、プログラミング教育も必須化となりました。英語教育については、ベネッセの調査では自信がないと回答した先生は76%に上っており、また、日本学術会議では、コミュニケーション重視の英語教育に疑問を投げかけております。先行実施している学校では、英語好きと英語嫌いの二極化が起こっております。県教育委員会は、こうした具体的な懸念、不安をどう受けとめて対応されるのでしょうか。教員の研修と職員の増員など具体的な対応を行うべきと考えますが、どう検討されているでしょうか。
こうした中で、35人学級の拡充というのは待ったなしの課題であります。岩手県では小学校5年生、6年生が未実施となっており、直ちに取り組むべき課題ではないかと考えますが、この間の成果を含めて答弁を求めます。
次に、農業振興策について質問いたします。
生産調整と米の直接支払交付金の廃止は、生産者団体と生産者に不安を広げています。県南の486ヘクタールを経営する農業生産法人では、売り上げが2億4、000万円、補助金は2億4、000万円、それでも純利益はわずか101万円、直接支払交付金1、900万円の廃止で次年度のやりくりに頭を抱えていると訴えられました。
〔副議長退席、議長着席〕
米価が下がり、補助金が下がれば一気に赤字になってしまう状況になっています。大規模農家や農業生産法人こそ影響が大きいのではないでしょうか。県は、こうした実態についてどう把握されているでしょうか。
飼料用米の作付拡大で主食用米が不足し米卸に応えられない現状にあり、今後、輸入米や古米とのブレンド米が市場に出て、米価が下落することが懸念されております。価格競争が一層激化する中で、国は情報提供だけで、あくまでも生産調整の全国組織に参加しない方針を堅持していますが、これで本当に需給調整機能は発揮されるのでしょうか。
2019年度からは収入保険制度が新たに導入され、これは、基準収入以下となったときに補填するもので、市場価格が下がれば補填後の収入も下がり続けるものであります。再生産を補償するなど、農家のセーフティネットになり得るものでしょうか。
一方では農業共済制度が任意加入となります。無保険者が生まれる心配はないのでしょうか、県の見解を伺います。基準収入1、000万円の農家が収入保険に加入した場合の保険料はどうなるかについても示してください。
日欧EPAの大枠合意による国内農林水産物への影響分析について、農林水産省は先月2日、公表いたしました。しかし、その中身は、当面の影響は見込みがたいが長期的には影響の懸念という表現ばかりで、具体的な数字もない、影響試算と言えるものではありません。具体的な影響試算を国にしっかりと求めるべきでありますが、いかがでしょうか。
日欧EPAはTPP以上に秘密交渉となり、農産物では82%の品目で関税を撤廃し、チーズなどはTPPを上回るものであります。EUは、日欧EPAが発効すれば輸出額が24%拡大し、特にチーズや肉類などの農産加工品は1兆3、000億円にふえる、大勝利だと宣伝しています。今、我が国の食料自給率は38%ですけれども、これこそ国難であります。自給率引き下げにつながる日欧EPAはまだ大枠合意であり、反対を国に求めていくべきでありますが、知事の見解を伺います。
次に、介護保険制度について質問いたします。
介護保険制度は、この間、要支援1、2の訪問介護、通所介護などのサービスから外され、地域支援事業に移行し、要介護1、2の人も特別養護老人ホームの入所制限が行われました。経済財政諮問会議では、さらに要介護1、2の在宅サービスを外す検討がされています。もしこれが実施されれば、岩手県内では要介護認定者の61.7%、4万8、042人が保険給付を受けられないことになります。介護保険料を払って必要なサービスが受けられない、こういう国家的詐欺とも言われる制度改悪の中止を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
掃除や調理を行う生活援助が必要以上に利用されていることを問題にし、厚生労働省は、利用回数を介護度1で月26回など、基準回数を超える人を抑制する方針を検討しております。生活援助は、高齢者の変化を見つけ、医療、福祉などにつなぐ大きな役割を果たすものであります。回数制限は介護の重度化を招き、認知症の早期発見にも逆行するものと考えますが、県は、多数回数利用者の現状をどう把握されているでしょうか。
介護報酬マイナス改定によって介護事業所の経営は大変厳しい環境にあります。全国の特別養護老人ホームの経営は、3割が赤字となっていると報道されていますけれども、県内の実態はどうなっているのか、あわせて、介護事業所の廃止、休止の状況についても伺います。
4月現在の県内の特別養護老人ホームの待機者は985人となっていますが、今年度末の整備見込みは459人にしかなっていません。入所要件が要介護3以上となっても、なぜ待機者が減少しないのでしょうか。
施設整備計画は、待機者を解消する計画にもなっていません。一関市では、建設用地を準備しても、手を上げる事業所がない現状にあります。来年から始まる介護施設整備第7期計画は待機者をなくす計画とすべきでありますが、県の対応について示してください。
次に、国民健康保険の広域化について質問いたします。
岩手県の国保加入者の33.5%が年収100万円以下であり、課税所得に対する負担率は16.54%にもなっております。平成28年度の滞納世帯は10.94%、2万617世帯にもなっており、これは明らかに支払い能力を超えています。
今回、安定的な財政運営ができる規模が必要との目的から、都道府県単位で運営が行われ、県は先月、平成30年度の納付金、標準保険料率を示しました。被災地に配慮して、値上げとなる5市町村については、激変緩和で対応するなど負担増を回避する対応となったことは評価したいと思います。しかし、これで国保の構造的な問題が解決したというものではないと考えますが、いかがでしょうか。
もう一つの問題は、高過ぎて払えない加入者に対して、保険証を取り上げ、預金や財産を差し押さえるペナルティーが行われているということであります。資格証明書の発行については159件、短期保険証は5、531件、財産の差し押さえは2、783件にもなっており、これは全国トップクラスであります。保険証がないために、ぐあいが悪くても治療が受けられずに命まで落とす、こういうケースも出ております。
盛岡市では、原則、資格証明書、短期保険証を発行しておりません。財政運営は今後県となります。保険証は原則発行して、財産の差し押さえをやめること。法定外繰り入れなど行い値上げを回避するよう助言をすることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、新笹ノ田トンネルの早期建設について質問をいたします。
県は、6月にILC整備における大船渡港活用を考慮して、公募を一時中断という決断を行いました。しかし、港湾は確保するけれども、そこからの道路整備は検討もされないというのは問題ではないでしょうか。
県はこれまで、運搬するルート上に道路幅員、トンネルの高さ、橋梁の重量制限など支障がある場合は、必要な整備を検討していくと議会でも答弁をしてきました。7月には有識者会議から、大型輸送に対して輸送経路ネットワーク確保を提起されており、必要な整備を検討する時期ではないでしょうか。
さらに、陸前高田市の復興祈念公園との関係でも、全国に東日本大震災津波の経験や教訓、防災などについてのアピールをすることが大事になっています。
ILCや復興祈念公園との関係でも、交流人口をふやし、被災地の地域振興の力にしていくという点からも、国道343号の位置づけをもっと高めて取り組むべきであります。県独自でも調査費を計上して促進すべきと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、憲法と北朝鮮問題について質問いたします。
さきの総選挙で自由民主党は、憲法第9条第1項、第2項は残しつつ自衛隊を明文で書き込む憲法改定を公約に掲げました。安倍総理大臣は、ただ存在する自衛隊を書くだけで、何も変わらないと繰り返し述べています。
しかし、法律の世界では、後からつくった法律は前の法律に優先する、これが一般原則であります。仮に第9条第2項が残されたとしても、後からつくった条項で自衛隊というものが明記されれば、第9条第2項の空文化に道を開くことになります。そうなれば武力行使を目的にした海外派兵や集団的自衛権の全面的な発動が可能となり、海外での武力行使が無制限になってしまいます。
私は、こうした改悪には断固反対すべきではないかと考えますけれども、知事の見解を伺います。
北朝鮮により繰り返される核実験と弾道ミサイルの発射は、重大な脅威であるとともに、国連安保理決議などに違反する暴挙であります。国際社会が今、一致結束をして経済制裁と一体に対話による平和的解決に取り組むことが唯一の方策であります。
しかし、政府は、対話のための対話は意味がないと繰り返し、全ての選択肢はテーブルの上にあるという米国の立場を支持すると繰り返しています。この間、ジェイアラートの発動、アメリカからの大量の武器輸入、秋田県への迎撃ミサイルまで配備する計画もあり、一層の緊張を拡大しているのではないでしょうか。
双方の意思に反して偶発的な衝突が発生する危険が高まっていると内外の専門家が指摘しております。米朝が直接対話できるよう、先制攻撃は認めないという立場で日本が積極的な役割を果たすよう政府に求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
来月1月から3月にかけて、陸上自衛隊東北方面隊と米軍との日米共同訓練が行われます。この間、米軍機などが重大な事故を繰り返しており、今回の共同訓練には、構造的な欠陥があるオスプレイが参加すると言われております。この間、2006年から2011年の過去5年間で事故が58件、4人が犠牲になっております。この1年でも、沖縄県での事故に続き、奄美、大分など民間空港での緊急着陸が起きております。県民からはドクターヘリとの衝突が心配だとする懸念も出ております。
オスプレイの飛行と、そして日米共同訓練の中止を国に強く求めていくべきでありますが、知事の見解をお伺いし、私の質問を終わります。
答弁によっては再質問します。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、子供の貧困の実態調査についてでありますが、県では、いわての子どもの貧困対策推進計画に基づき、保健福祉部門はもとより、各部局が連携して取り組みを進めてきたところでありますが、子供の貧困対策を効果的に推進するためには、子供のいる家庭の実態を把握することも必要でありますことから、貧困の状況にある子供や家庭の支援ニーズなどを調査項目とする子供の生活実態調査の実施について、現在、庁内各関係部局で構成する子どもの貧困対策連絡調整会議等において検討を進めているところであります。
次に、子供医療費助成の現物給付の拡大についてでありますが、平成28年8月から実施した未就学児及び妊産婦を対象とした現物給付については、県と市町村とで協議を重ね、その合意のもとに進めたところであり、県としても、関係機関との調整、医療機関との事務負担を軽減するシステム開発、医療機関に対する説明会の開催などの支援を行ってまいりました。
医療費助成の現物給付の対象を小学校卒業まで拡大した場合は、市町村国保に対する国庫負担金の減額措置が発生することとなります。
本年9月に市町村の意向を確認した際には、国保の財政が厳しい状況の中では困難である、現物給付の実施以降、医療給付費が増加している状況であり、現時点では拡大する予定はないなど、現物給付の拡大に慎重な意見が多数であったことから、市町村の意向を十分に踏まえて検討する必要がありますが、さきの9月定例会におきまして、現物給付を小学校卒業まで拡大することを求める請願が採択されたところであり、その趣旨も踏まえて、市町村と調整していきたいと考えております。
次に、日EU・EPA、TPP11の影響についてでありますが、県ではこれまで、国に対し、県単独のほか、全国知事会、北海道東北地方知事会と連携して日EU・EPAやTPP11による農林水産業への影響を十分に分析し、丁寧な説明を行うよう要望してきたところであり、引き続き、生産額への影響など、詳細な分析を行うよう求めてまいります。
また、日EU・EPAやTPP11は、本県の基幹産業である農林水産業を初め、県民生活や経済活動の幅広い分野に影響を及ぼすことが懸念されるため、県ではこれまで、国に対し、十分な情報提供を行い、国民的議論を尽くすよう要望してきたところであります。
今後、国内的には、国会の場を初めとして議論を行う余地があると思われますことから、詳細な影響分析や具体的な対策などが明らかにされ、十分な国民的議論に付されるよう、引き続き国に求めてまいります。
次に、憲法問題についてでありますが、憲法第9条については、国際連合憲章の理念でもある平和主義を規定した極めて重要な条文であり、今後とも、日本国憲法の原則として維持されなければならないと考えております。
また、憲法の改正については、国民の広範な支持の上に行うべきものと考えます。
自衛隊の憲法への明記については、学説や国会においてさまざまな議論があると承知しており、広く国民的な議論を経て結論を導いていくべきものと考えますが、海外派兵や集団的自衛権の行使を無制限に可能とするような憲法改正は好ましくなく、国民も求めていないものと考えます。
次に、北朝鮮問題についてでありますが、北朝鮮の一連のミサイル発射や核実験は、国連安保理決議に違反し、断じて容認することはできません。
拉致問題の解決を含む朝鮮半島における平和の実現は、日本を初めとする周辺国はもちろん、国際社会が共通して求めるものであり、国際的な北朝鮮問題解決のための努力の中で、日本政府が名誉ある地位を占めることを望みます。
次に、日米共同訓練についてでありますが、本年4月、防衛省から、今年度第4四半期に陸上自衛隊東北方面隊と米海兵隊との共同訓練が行われる予定であることが発表されて以来、県では、防衛省東北防衛局に対し、機会を捉えて、日米共同訓練の計画概要を早急に明らかにするよう求めておりますが、これまでのところ、具体の日時、訓練場所、訓練規模等詳細は決まっておらず、決まり次第、関係自治体等に伝えるとの回答であり、情報収集に努めているところであります。
また、県としては、岩手山演習場における日米共同訓練の実施により、県民の生命、健康、財産等に影響を及ぼすことがあってはならないものと考えており、特にオスプレイの飛行が伴う訓練については、県民の不安を払拭することが必要と考えております。
オスプレイの安全性等については、これまでも十分な説明を行い、不安を払拭するよう、県から国に対し機会あるごとに申し入れを行っており、引き続き、オスプレイの安全性についての県民に対する十分な説明と飛行ルートなど具体的な飛行内容の明示について要請を行っていきたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) まず、住宅再建への支援についてでありますが、県ではこれまで、国に対し、繰り返し被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところでありますが、国は慎重な姿勢を示していることから、市町村と共同で被災者住宅再建支援事業等を実施し、住宅再建を支援しているところです。
県としては、住宅建設に係る工事単価の上昇に対応し、被災者生活再建支援金を増額するべきと考えており、引き続き国に対して強く要望してまいります。
次に、同支援金の申請期間についてでありますが、現行の平成30年4月10日までとなっている申請期間の再延長については、本支援金の事務を行っている公益財団法人都道府県会館と協議中であり、延長決定となるよう鋭意協議を進めているところです。
また、災害援護資金の本県の市町村における貸付実績は、本年10月末までで1、082件、27億7、600万円余となっております。
次に、災害公営住宅入居者の生活実態についてでありますが、災害公営住宅では、65歳以上の高齢者を含む世帯の割合が約6割と高く、多くの入居者が、健康や家計の不安、周囲からの孤立など、さまざまな課題や、そうした課題から来るストレスを抱えているものと承知しております。
こうしたことから、社会福祉協議会の生活支援相談員や市町村の支援員等が戸別に訪問し、見守りや相談支援などを行っているほか、県こころのケアセンターにおいても、専門スタッフによる相談支援を行っています。
また、地域で暮らす方々が、お互いに支え合う仕組みづくりが重要であると考えており、今年度から新たに、市町村と団体等を調整するコーディネーターを配置し、市町村におけるコミュニティー形成活動の支援を強化しているところです。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、低所得者に対する家賃の減免についてでありますが、災害公営住宅に適用される国の東日本大震災特別家賃低減事業は、入居者の世帯についてさまざまな控除を行った後の収入が月8万円未満の場合に、家賃を減免する制度です。10月末時点で、県内の災害公営住宅に入居している4、418世帯のうち3、447世帯がその対象となっております。
次に、県及び市町村の対応についてでありますが、県では、この国の家賃低減制度とほぼ同様の家賃減免を、期限を設けずに受けることができる独自の制度を有しておりますことから、県の制度を利用していただくことにより、実質的な入居者の負担増にはつながらないと考えております。
この減免制度の適用に当たりましては、入居されている方にみずから申し出ていただく必要があることから、この8月に、県営住宅にお住まいの対象の方には文書でお知らせをしたところであり、来年度以降も、対象の方が手続を失念しないように、定期的に案内を行ってまいります。
また、沿岸の市町村でも、おおむね県と同様の減免制度を有していると聞いております。県の取り組みについて情報を提供するとともに、引き続き市町村の取り組みを促してまいります。
次に、収入超過者への対応についてでありますが、本年11月に実施した調査では、さまざまな控除を行った後の世帯収入が月15万8、000円を超える方など、基準を超える収入がある世帯は303世帯であり、入居世帯総数に占める割合は約6.9%となっております。
沿岸部においては、住宅の建設コストが急激に上昇していたことから、入居から4年目以降に収入超過者に適用される家賃に建設時期によって開きが生じる見込みであり、県において、入居者間の公平性が確保されるよう対応を検討しております。
また、沿岸部では、災害公営住宅にかわる民間賃貸住宅が不足しているという特殊事情もあり、市町村による人口流出対策や復興の担い手確保を目的とした独自の補助制度なども考えられることから、具体の対応につきましては、各市町村と連携をとりながら検討を進めてまいります。
次に、新笹ノ田トンネルについてでありますが、国道343号は、気仙地区と内陸部を結び、沿岸地域の早期復興を支援するとともに、安全・安心な暮らしを支え、観光などの振興にも資する路線であることから、県では、復興支援道路に位置づけ、渋民工区等において整備を進めているところです。
また、議員御指摘のとおり、ILCを推進する上でも、重要な位置づけを持つ路線と認識しております。
笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することにつきましては、安定的な事業予算の確保が課題になるとともに、事業効果や投資の効率性を確認することが必要であり、ILCの実現に向けた進展もにらみながら、所要の検討を行っていく必要があると考えております。
この検討を具体的に進めていくためには、ILCに関連する主要キャンパスや施設の立地場所や規模、これらの施設へのアクセスルートなど、検討に当たっての前提条件が一定程度具体化されることが必要であると考えております。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、生活支援相談員の人材確保についてでありますが、県では、県社会福祉協議会が配置する生活支援相談員と市町村が配置する支援員が連携し、被災者の見守りや相談支援、災害公営住宅の集会所等における交流会の開催など、地域と被災者の実情に応じた見守り体制が確保されるよう、市町村に対し要請してきています。
近年、有効求人倍率の上昇などにより、生活支援相談員の人材確保が困難な状況となっており、県としても、資格要件を緩和し、本人の適性等に基づく柔軟な採用を行うよう指導してきました。また、市町村社会福祉協議会においては、給与の引き上げなど待遇改善を図っている例もあると聞いております。
今後においても、生活支援相談員が継続して活動に取り組めるよう、県社会福祉協議会と協働し、研修会や情報交換会等を開催するとともに、中長期にわたる安定した財源の確保について、引き続き国に要望してまいります。
次に、盛岡市が実施した調査の受けとめについてでありますが、盛岡市が平成28年度に母子世帯を対象に行ったひとり親家庭実態調査結果を見ると、議員御指摘のとおり、小学生の3人に1人が放課後ひとりで過ごしており、また、土日勤務をしている母親が8割近くいるなど、ひとり親家庭の親が子供と過ごす時間が制約されている状況にあることから、子供の居場所のあり方について、さらに検討を深める必要があるとされているところです。
この調査結果は、いわての子どもの貧困対策推進計画に示す、ひとり親家庭や生活困窮世帯等の子供の居場所づくりに関する支援などの方向性と合致したものとなっていると認識しており、計画の推進に当たっては、庁内関係部局で構成する子どもの貧困対策連絡調整会議において協議するなど、各部局が連携して取り組んでいきます。
次に、子ども食堂についてでありますが、子ども食堂は、子供たちに温かな食事の提供を行うとともに、大人や年代の異なる子供たちとの交流の場ともなるなど、子供たちが地域とのつながりを得られる居場所の一つと認識しています。
県内では、9月末現在、9市町14カ所において、NPO法人や社会福祉協議会等が子ども食堂を開設していると聞いており、県ではこれまで、国庫補助事業の導入や子供の未来応援基金の活用について、市町村や民間団体に周知を図ってきたほか、いわての子どもの貧困対策出前講座を県内各地で実施し、地域における取り組みの拡大を支援しているところであります。
こうした取り組みに加え、本年8月には、子ども食堂や学習支援などの子供の支援に取り組む団体等と課題や支援ニーズ等に関する意見交換を行ったところであり、今後、子供の支援に取り組む団体のネットワーク化に取り組んでいくこととしています。
次に、児童福祉司の増員についてでありますが、県では、増加する児童虐待に対応するため児童福祉司を順次増員してきており、平成29年度は、福祉総合相談センターの定数を2名増員し、3児童相談所で32名の体制としたところであります。
平成28年改正児童福祉法により、本県では、平成31年度以降、34人以上の児童福祉司の配置が必要となることから、今後も、児童福祉司を担える専門職員の計画的な確保に努め、必要な体制整備を図っていきます。
次に、児童養護施設退所後のアフターケアについてでありますが、児童養護施設を本年3月に退所した児童の高等学校卒業後の進路については、卒業者数23名のうち、短大等進学者が4名、就職者が14名、その他が5名となっています。
また、施設退所後の支援については、新生活に必要な家賃や生活費、資格取得に要する費用に対して貸し付けを行い、一定期間就労を継続した場合に、その返還を免除しているほか、就労支援や生活支援等を行う自立援助ホームへの入居等により、支援が必要な子供へのケアを行っています。
次に、介護保険の改正についてでありますが、国において、現在、平成30年度の介護保険制度改正に向け、地域包括ケアシステムの推進と介護保険制度の持続可能性の確保の2点をより深化、推進していく観点から、具体的な見直しの議論を進めていると承知しています。
県としては、介護を要する高齢者が、必要なサービスを必要なときに利用できることが重要であると認識しており、これまでも、国に対して、制度運用上の課題等を十分把握した上で必要な見直しを行うよう要望してきたところであり、今後も、国における議論の動向を注視しつつ、必要な働きかけを行っていきます。
次に、訪問介護の生活援助サービスの多数回利用についてですが、ホームヘルパーが掃除、洗濯などの支援を行う生活援助サービスは、一定の間隔をあけてサービスを提供すれば、1日に複数回分の介護報酬を算定できるため、過剰なサービス提供につながりやすいと指摘されており、国の社会保障審議会介護給付費分科会において、見直しが検討されているところです。
検討の過程で、一定の回数を上回るケアプランとする場合には、市町村に当該プランを届け出る案が示されたと聞いておりますが、この場合であっても、市町村が必要と認めれば多数回利用は可能と認識しています。
本県の状況を見ると、平成28年9月の1人当たりの利用回数は平均10.4回と全国平均の9.2回と同程度となっていますが、市町村等保険者からは、回数の多い方の特徴として、独居や高齢者のみの世帯、認知症等の特殊事情を抱えている場合も多く、多数回利用が必ずしも不適切なわけではないと伺っています。
今後、検討中の見直し案が正式に決定となった場合は、利用者のさまざまな状況を十分に勘案し、引き続き必要な方に必要なサービスが提供されるよう、市町村の適切な制度運用を支援してまいります。
次に、県内事業者の経営状況についてでありますが、平成27年に全国老人福祉施設協会が行った調査によると、介護報酬改定前後の平成27年3月と4月の比較で、特別養護老人ホーム1施設当たり月額約54万円の減収となっており、また、県と特別養護老人ホームの事業者団体との意見交換においても、事業者団体からは、運営規模にかかわらず、一様に厳しいとの声を聞いているところであります。
また、県内における平成28年度の廃止、休止事業所は139カ所であり、そのうち経営法人主体の変更など事務手続的な廃止を除く実質的な廃止、休止事業所は112カ所となっています。
次に、特別養護老人ホームの入所待機者の解消についてですが、特別養護老人ホームの整備等については、市町村の介護保険事業計画に基づき行われているところであり、現在、各市町村において平成30年度から始まる第7期計画の策定作業を進めています。
入所待機者の解消に向けて、市町村では、高齢者人口の動向や社会資源等地域の実情を勘案しながら、特別養護老人ホームのほか、介護老人保健施設や認知症高齢者グループホームの整備、さらには在宅介護サービスの充実などを検討していると伺っており、県としては、今後、市町村が計画に基づいて行う各種介護サービス基盤の整備が着実に進むよう支援していきます。
次に、国民健康保険制度の構造的な問題についてでありますが、現在、市町村国保においては、被保険者の所得水準が低く、所得に占める保険税負担割合が高い、財政基盤が脆弱な小規模保険者が多いことなどの構造的な問題を抱えています。国保制度改革においては、毎年、約3、400億円の財政措置の拡充により財政基盤を強化した上で、都道府県が財政運営の責任主体となり、国保運営の中心的な役割を担うことにより保険税負担の伸びの抑制が可能となるとともに、財政運営上のリスクが都道府県全体で分散されるなど、財政運営の安定化が図られるものと考えています。
一方で、今後も医療費の増嵩が見込まれることから、県としては、国の財政責任のもとで、将来にわたる持続可能な制度の確立に向けてさらなる財政措置が必要と考えており、国庫負担率の引き上げなど、さまざまな財政支援の方策を講じ、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう国に要望してきたところであり、引き続き国に対して働きかけてまいります。
次に、国保税滞納者への対応等についてでありますが、国民健康保険は、加入者が納める国民健康保険税と国からの交付金等を財源としていることから、制度運営の安定化のため、確実な収納が必要であると考えています。資格証明書や短期被保険者証は、国保税滞納者の納付相談の機会を確保するために交付しているものであり、また、財産の差し押さえなどの滞納処分は、税負担に関する公平性等を確保するため、担税能力がありながら納付していただけない方に対して、十分な調査を行った上で実施しているものと認識しています。
県としては、国保税の支払いが困難な被保険者に対しては、きめ細やかな相談に応じて、分割納付や減免等を適切に行うよう、市町村に対して会議等を通じて要請しています。
また、国保税引き下げのための一般会計からの法定外繰り入れについては、市町村の判断により行うことができるものと考えますが、保険税を引き下げるために一般財源を投入することについては、健全な国保財政を確保するという観点から慎重に判断される必要があると考えています。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、米の直接支払交付金の廃止の影響についてでありますが、平成28年度の本県への米の直接支払交付金の交付額は30億2、000万円で、交付件数は3万1、904件となっております。経営規模別では、水稲作付20ヘクタールの経営体では約150万円、100ヘクタールの経営体では約750万円が交付されていたところでありまして、交付金の廃止は大規模な経営体ほど影響が大きいものと考えております。
県では、これまで国に対し、交付金の廃止後においても水田農業の担い手の経営安定に向けた支援を充実するよう強く要望してきたところであり、引き続き必要な対応を求めてまいります。
次に、需給調整機能についてでありますが、報道によりますと、年内にJA全中(全国農業協同組合中央会)が中心となった全国組織が設立され、米の需給について情報共有を図るとされておりますが、その構成や具体的な活動内容は現時点で不明であります。
一方で、東京都及び大阪府を除く45道府県全てでこれまでの生産数量目標にかわる生産目安を設定するとしており、全国で需要に応じた米生産を行う体制づくりが進められているところであります。
県では、国全体で米の需給の安定が図られることが重要と考えており、これまで国に対して実効性のある推進体制を確立するよう要望してきたところであり、引き続き必要な対応を国に求めてまいります。
次に、収入保険制度についてでありますが、収入保険制度は、自然災害に加え、価格低下等、農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償の対象とし、農業収入全体を見て総合的に対応できる制度であり、収入の著しい変動が経営に及ぼす影響を緩和するための保険制度として、農業経営の安定に資するものと認識しております。収入保険制度の実施主体である農業共済組合では、無保険者が発生しないよう、申し込みが始まる平成30年10月に向け、関係機関と連携して、相談窓口の設置、地域別説明会の開催、全農家への加入意向調査などに取り組んでいるところであります。
県としましては、今後も、農業共済組合などと連携して、国等から示される情報をきめ細かに提供しながら制度の周知と加入促進を進め、農業者が相談窓口等を活用して適切なセーフティネットを選択できるよう支援するとともに、制度がさらに万全なものとなるよう、引き続き国に要望してまいります。
また、農家が支払う保険料について、国が示した試算におきましては、基準収入を1、000万円、補償限度、支払い率ともに9割とした場合、農業者が負担する額は、保険料が7万2、000円、積立金が22万5、000円の計29万7、000円とされているところであります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 就学援助制度についてでありますが、準要保護世帯への就学援助については、いわゆる三位一体改革により、国庫補助事業から地方への税源移譲と地方交付税措置に移行し、以降は市町村単独事業としてそれぞれの実情を踏まえた運用が行われており、認定に当たっても、一定の所得基準のほか、個別世帯の実情等も勘案するなど、各市町村において工夫を凝らした対応が図られてきております。
就学援助制度は、経済的な事情を抱えた子供の学ぶ機会を保障する重要な役割を担っており、地域の実情に応じ、真に支援が必要な世帯を適切に見きわめながら、これらの方々に寄り添った対応が必要であると認識いたしております。このようなことを踏まえますと、県が一律の基準により支援を誘導することは困難であると考えておりますが、市町村に対しては、真に支援が必要な世帯の的確な把握に向け、引き続き制度の周知方法の工夫や、学校、福祉部門との十分な連携を図っていくよう助言してまいります。
次に、新入学児童生徒学用品費についてでありますが、新入学児童生徒学用品費の入学年度開始前の支給については、昨年度から八幡平市を初め4市村において実施されているほか、複数の市町村において本年度からの実施を決定し、必要な取り組みが進められております。これらの市町村のほかにも、必要な予算を確保するため補正予算の編成等の取り組みが行われている市町村も多いと承知しており、今後においても、各市町村の考え方を尊重しつつ、各市町村における制度運用の状況等について情報提供を行うなど、適切な運用に向けた支援に努めてまいります。
次に、貧困問題に関する学校の取り組みについてでありますが、本県のそれぞれの学校においては、児童生徒の学力保障や健全育成を図るため、学校生活全般において児童生徒の様子を注意深く観察し、子供からのサインのいち早い察知に努めており、貧困問題を初め、いじめやネグレクト等の兆候があった場合にあっては、組織的な教員間での情報共有や対応に加え、スクールソーシャルワーカー等との協力のもとに、市町村福祉関係部局等とも連携し、その課題解決に取り組んできております。
今後におきましても、貧困問題等への適切な対応を図るため、関係部局や市町村教委等との連携を一層強め、子供たち一人一人に寄り添った教育の充実に努めてまいります。
次に、スクールソーシャルワーカーの人材確保についてでありますが、スクールソーシャルワーカーは、本県の子どもの貧困対策推進計画において、生活困窮世帯の子供を生活支援や福祉制度につなぐ役割を担っており、学校の不適応対策においても、学校と関係機関をつなぎ、改善を図るなどの極めて重要な役割を果たしております。
スクールソーシャルワーカーの人材確保については、これまで県社会福祉士会等との連携により取り組んでまいりましたが、本年度は、新たに社会福祉士の養成課程を有する岩手県立大学に協力を要請させていただいたところであります。
国の調査研究協力者会議において、最終的には全ての中学校区等に常勤のスクールソーシャルワーカーを配置することが望ましい旨の報告がなされたことは承知いたしておりますが、協力を得られる有資格者が極めて限られている本県の現状に鑑みますと、スクールソーシャルワーカーの早期の増員は厳しい状況にございます。このような状況にはありますが、児童生徒に対するきめ細かな支援を行うことは重要ですので、今後の国の動向等をも注視しつつ、市町村福祉担当部局との連携の強化などにも取り組みながら、学校における教育相談体制の充実に取り組んでまいります。
次に、小学校における英語教育についてでありますが、小学校においては、現在、外国語活動の中で、外国人指導助手やICT機材等をも活用しながら英語に親しむ素地を養う学習を行ってきておりますが、外国語活動に携わることが少なかった教員の中には、その指導についての懸念や不安を持つ教員も少なからずいると承知いたしております。
本県の教員が自信を持って英語の指導に当たることができるようにするため、平成27年度からの4年計画で小学校教員を対象に英語の指導力向上研修を実施しており、外国語教育の中核教員を1校当たり2名となる約660名の育成を進めるとともに、文部科学省が作成した新教材を用いた校内研修に県内全ての小学校で取り組んでいるところであります。
また、職員の増員についてでありますが、文部科学省においては、平成30年度予算の概算要求において、英語の教科化等による小学校教員の負担軽減や教科化に伴う授業準備の充実を図るため、小学校専科指導に必要な教員の充実として全国で2、200人の増員を求めております。
本県におきましては、これまでも国に対して小学校専科加配を申請し、一定数の加配が措置されておりますが、これに加えて、小学校英語の教科化に対応するための加配についてもその実現を要望しているところであり、学校や市町村の意見等を丁寧に聞き取りながら適切な配置に努め、研修の充実とあわせて、小学校における英語教育の円滑な導入に努めてまいります。
次に、35人学級についてでありますが、少人数学級につきましては、先ほど千葉進議員の御質問にお答えいたしましたとおり、総体的には集団のまとまりの構築や学力の定着、不登校、いじめ問題への対応などに効果が高いと評価いたしておりますが、さらなる導入を図るためには乗り越えるべきさまざまな課題もありますので、関係機関等との協議も重ねながら、多面的かつ具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。
〇13番(高田一郎君) それでは、再質問させていただきます。
まず、東日本大震災津波の関係で幾つか質問いたします。
被災者生活再建支援金というのは、先ほど、延長できるように公益財団法人都道府県会館と協議をしているという話であります。これはそのとおりだと思いますけれども、ただ、これは随分時間がかかっていますよね。県議会9月定例会でも同様の質問をしましたけれども、まだ協議中という状況です。なぜこう時間がかかっているのかというのが一つです。
それから、被災者住宅再建支援事業費補助金、県と市町村で取り組んでいる事業ですけれども、これは、市町村の意向も聞いて対応していきたいというこの間の答弁でありました。しかし、市町村の意向というのは、もうはっきりしているのではないかと思うのです。私は、この間、陸前高田市長や釜石市長とお会いしました。この事業の延長を求める要望もいただきました。面整備も平成32年までかかるというのがはっきりしているわけでありますから、やはり県は延長して応援するというメッセージが被災者に必要なのだという話をされました。私は、県が率先して延長して、自立再建を希望する最後の一人まで支援するというメッセージを被災者に届ける必要があるのではないかと思うのですけれども、この点についてもお伺いしたいと思います。
災害援護資金の活用状況についても答弁をいただきました。これは、住宅が全壊した被災者に対して無利子で350万円を融資できる大変有利な制度だと思います。生活再建、住宅再建をする上でも非常に有利な資金だと思うのですけれども、これについても申請期限が平成30年3月31日までとなっております。この延長も当然求めていくべきだと思いますし、同時に、6年間据え置きということで、これから返済が進んでいくのではないかと思います。今の被災地の状況からいって、なかなか返済が困難な被災者も出てくるのではないかと思うのですが、これへの対応などについても伺いたいと思います。
災害公営住宅については県土整備部長から答弁をいただきました。家賃の減免については市町村とこれから協議をしていくという答弁で、これは前向きの答弁と理解していいのかどうかなのですが、やはり私が思うのは、入居から4年で収入超過者がいるということは、もうその時点で被災者としての扱いでなくなってしまうということなのです。そういう対応だと私は思うのです。この前も議論があったように、収入超過者となって退去の義務が発生しても、行く民間アパートもない。そして建築費が高騰して非常に高い家賃になって、同じ自治体にある災害公営住宅でも家賃が不平等になってしまう、そういう不公平も存在しております。だから、壇上でも申し上げたとおり、軽減して入居してもらったほうが私は非常に合理的だと思います。そういう考えに基づいて対応していくべきだと思うのですが、県としてどういう内容で市町村と協議、検討していくのか。
あわせて、被災自治体では福島県相馬市に独自の減免制度があると伺いました。これは、そうすれば条例によって減免ができるということでこの問題は理解していいのかということもお聞きしたいと思います。
それから、今後の被災者支援についてお聞きしたいと思います。
私は、先月、盛岡市内にあるいわて内陸被災者支援センターを調査して、そこにいる方々と懇談をしてきました。年間1、000件を超える相談対応に取り組み、全国各地に避難している方々にも直接、職員の皆さんがお邪魔して悩みを聞いて生活設計の支援をしている、こういう取り組みをしていることに大変感心いたしました。これは全国でも岩手だけだと聞いて、これは岩手モデルだということで、各地から視察が来るということをお聞きいたしました。先月、災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会という住民団体の皆さんとの交流会があったのですが、この岩手モデルはすばらしいという話を受けまして、私は、こういう被災者支援のあり方について、中長期的に被災者の皆さんを支える支援というものが必要だと思います。
兵庫県では、被災してから20年間を超える期間、こういう被災者に対する支援を行ってきました。これから総合計画をつくるわけでありますけれども、やはり次期総合計画にもこういう被災者の皆さんを中長期的に支援するセンターというものをしっかり位置づけて被災者の皆さんを支援していくべきだと思うのですけれども、この点についてもお伺いしたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) 被災者生活再建支援金の延長についてでありますけれども、これは、被害の状況に応じて支給される基礎支援金と住宅の再建状況に応じて支給される加算支援金両方についての延長について協議しているところでありますが、特に基礎支援金については、発災後相当期間を経過してもまだ支給が終わっていない理由について詳細な説明を求められているところであります。県では、それぞれの市町村の状況に応じて、例えば、発災当時、住民票を移さずに居住していて被災し、その後に転出した方もおられるということで、被害が広範囲かつ甚大な中で、その方々全てについてフォローしていくのに時間を要していることなどについて説明しておるところであり、この説明に対しては一定の理解をいただいているところと承知しております。
それから、県と市町村が共同で行っております被災者住宅再建支援事業費補助金でありますが、これは、被災沿岸市町村のみならず内陸の市町村についても現在、制度を有しておるところでございまして、議員から御案内のありましたとおり、沿岸市町村からは、まだ面的整備が終わっていない状況にある中での延長を求める声があるのは我々も受けとめております。一方で、内陸の市町村はそういった事情にないということから、そういった内陸の施設も含めた市町村の意向を現在伺っているところであります。
それから、災害援護資金の申請期間につきましては、関係法令による特例措置により平成30年3月31日までとされておりますが、県では、被災地における面整備の進捗状況等を踏まえ、本年6月、政府予算提言・要望において、国に対して特例措置の延長について要望を行っております。また、実際の借りた方々の返済に当たりましては、それぞれの状況に応じた対応がなされるものと考えております。
それから、今後の中長期的な支援体制のあり方についてでありますが、御紹介のありましたいわて内陸避難者支援センターについては、沿岸市町村からの依頼を受けまして、県外及び内陸に避難している被災者に対して戸別訪問などによって住まいの意向把握を行うとともに、それにあわせて生活面を含めた相談支援を行ってきているところでございます。
被災者の方々が恒久的な住宅に移られた後においても、お互いに支え合いながら安心して心豊かに暮らせる生活環境が確保されることが大事であると考えております。一方で、既存のコミュニティー支援の制度や福祉施策等もございますので、恒久住宅移行後の中長期的な支援体制のあり方については、市町村や関係団体等のお考えも伺いながら検討してまいります。
〇県土整備部長(中野穣治君) 災害公営住宅の収入超過者に対する家賃の問題でございます。
こちらにつきましては、先ほど答弁で申し上げましたとおり、県としては、県営のアパートにつきましても、建設の時期によって、初期に建設されたものについては高騰前の建設コストに応じた家賃になりますので、そこが一つの基準になって、後期に建設されたものについては、制度にのっとりますと収入超過者に適用する家賃が高い家賃になりますので、まずはそこの不公平感をなくすという方向で今、具体的な検討を進めております。
各市町村との協議のあり方については、各市町村において、家賃の問題に加えて、恐らくそれぞれ人口流出対策や復興の担い手の確保、いろいろな課題を抱えていると考えております。家賃の問題に限らず、そういったものについては恐らく幅広く検討されると考えられますので、その面での各市町村の対応のあり方も含めて市町村の運営する災害公営住宅の家賃については考えていくことになると思いますが、県としての考え方をまず市町村に理解していただいた上で、具体的にそれぞれどういう対応をするかを考えていくことになると思います。
先ほど相馬市のお話がありましたが、相馬市につきましては、市独自の判断で、条例によって収入超過者について家賃の減免を継続するという判断をされていると伺っております。
それから、退去の話も先ほどありました。収入超過者に対して、入居後5年を経過した時点で退去の義務が生じるという制度にはなっておりますが、災害公営住宅につきましてはこういう運用をしない。退去を求めることはしない、県はそういう運用を決めております。これについても市町村に対して県の考え方を伝えてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇13番(高田一郎君) 災害公営住宅については了解しました。人口流出などが大きな話題になっておりますので、家賃を軽減して入居してもらったほうが非常に合理的だと思いますので、被災者の立場に立ってしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、被災者の支援のあり方については、地域総合計画にもしっかり位置づけて、中長期的な立場で支援をしていただきたいと思います。
子供の貧困問題について知事にお聞きしたいと思います。
県としても子供の置かれている生活状況も含めて実態調査をして対応していきたいということでありますので、それはそれとして了としたいと私は思います。ただ、その実態調査の中身です。沖縄県では、小学校、中学校、高校の生徒、保護者に記述式のアンケート調査を行って生活実態や要望、課題をしっかりとつかんで、そして市町村にも協力をしてもらって県独自の貧困率を出したのです。これが29.9%という数字です。ですから、私は、実態調査をすることも大事ですが、子供が置かれている深刻な実態をより正確につかむ、こういう努力が必要だと思うのですけれども、その点についてどういう実態調査にするのか、そこが一番大事ではないかと思うのですけれども、その点について知事の考えをお伺いしたいと思います。
それから、子ども食堂の問題ですけれども、一関市でも盛岡市でも取り組んでいる方々にお聞きしましたけれども、これは非常に大きな役割を持っていると思います。やはり立ち上がりの支援とネットワークが大事だと私も思うのですけれども、内閣府の子供の未来応援基金というものが財政支援策でありますが、実態は、要望が多くてなかなかそれに応えられない状況にあるのではないかと思います。これについて、足りないのであれば県の支援も具体的にしていくべきだと考えますけれども、これらについてもお伺いしたいと思います。
さらに、児童養護施設の問題についても一言お伺いしたいと思います。
今、県でも、社会的養護が必要な子供たちについて、里親制度と児童養護施設、グループホームと大体3分の1ずつを目指してきたのです。県の計画もそうでした。里親支援専門相談員も配置して必要な支援も行ってきたけれども、現場の声を聞きますと、里親制度というのは、望ましいけれどもなかなか進まないという訴えもありました。
ところが、厚生労働省がことしに入って、就学前の施設入所を原則禁止して、7年以内に里親委託率を75%にするということを目指す新しい社会的養育ビジョンというものをつくってしまったんですね。これは決定してしまったということで、現場では、これまでの検証もしないまま、現場の声も聞かないまま、こういうことをしていいのか、行き場のない子供たちが生まれてしまうのではないかという懸念や不安の声が出ています。
県内でも、児童養護施設を改築しよう、整備しようという動きがありますけれども、こういった計画にも大きな影響が出てくるのではないかと思いますが、この点についての県としての見解を伺いたいと思います。
それから、これも知事にお伺いしたいと思います。
子供の医療費の現物給付の拡大については、9月定例会での請願を踏まえて市町村と協議していきたいという答弁でありました。9月定例会の答弁と変わらないわけですけれども、私がちょっと紹介したいのは、市町村も、現物給付を拡大した場合に医療費がふえるという懸念もありますが、実は、群馬県で中学校3年生まで医療費の現物給付を拡大して、その検証を行ったんですよ。
その検証結果は、一つは、ぜんそくや皮膚炎などの慢性疾患治療の児童受診件数が、制度拡大後20%前後ふえたと。つまり重症化を抑制していると。二つ目は、虫歯処置の完全な児童も増加して、全国平均を上回る成果を上げていると。三つ目は、コンビニ受診がふえるのではないかという心配もあったけれども、その逆で、時間外受診件数が減少しているという検証結果を県当局が県議会で答弁しているのです。保護者の皆さんにもアンケートをしてみたら、多くの保護者が適正受診に心がけていることがわかったと。父母の皆さんからも歓迎されているという結果が出ております。
こういった先行自治体の状況も踏まえて、市町村としっかり協議していただきたい。知事がしっかりイニシアチブをとって対応していただきたいと思いますけれども、突然ですが、群馬県の検証結果の状況なども踏まえて、知事としてのコメントがあれば答弁いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、子供の貧困に関する子供の生活実態調査については、その調査結果を施策につなげていかなければならないと考えておりまして、市町村や民間団体と連携しながら、今その内容を検討しているわけであります。その結果に基づいて、県全体でやっていかなければならないことを見定めたり、また、調査結果によっては、市町村において直ちに対応すべき実態などがわかった場合には、直ちに市町村において対応が行われるような部分も含めた調査をしなければならないと考えております。
そして、子供医療費助成の現物給付の拡大については、9月定例会における請願の採択というのは、9月以前とは状況が違うと考えておりまして、また、この請願の採択に当たっては、議員から今紹介がありました群馬県の例など、現物給付の拡大によるメリットも踏まえて請願の採択がなされたと理解しますので、その趣旨を踏まえて、9月以前とはまた違った形で市町村と調整していきたいと考えております。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、子ども食堂についての御質問でありますけれども、NPO法人であったり社会福祉協議会が運営している子ども食堂に対する財政的支援として、子供の未来応援基金という基金からの支援がございます。
先ほど本県の子ども食堂は14カ所と申し上げましたが、基金を活用しているのは2団体ということで、民間企業等からの寄附による基金でありまして、全国を対象としたものでありますので、全ての子ども食堂への支援はなかなか難しいわけであります。
県としては、子供の貧困対策の出前講座を行って、その立ち上げの支援等も行っておりますが、議員から御指摘のあったとおり、ネットワーク化というところが非常に重要ですので、現在、NPO法人インクルいわてを中心にネットワーク化の検討を行っているのですけれども、今後、子供の支援に取り組む団体のネットワーク化を県としてもしっかり支援して、子ども食堂の来年度以降の支援につなげていきたいと考えているところでございます。
あと、子供の貧困対策に関連して、新しい社会的養育ビジョンの御質問がございました。
今、県の岩手県家庭的養護推進計画において、児童養護施設への措置児童数であるとか里親委託児童数等の構成割合の目標を定めているのですけれども、それを見直すようにという内容の方針が出ているところであります。しかし、県内の児童養護施設あるいは団体から、里親委託を進めるビジョンの方向性は理解できるが、数値目標等についてビジョンどおり進めるのはなかなか難しいのではないかという意見が大勢を占めているところであります。
児童養護施設の整備計画あるいはアクションプランへも影響が大きいところでありますので、関係団体からの意見も踏まえながら、来年度、県計画の見直しを行いますが、今後、国の見直しの要領等も提示される見込みでありますので、その動向を注視しながら対応していきたいと考えております。
〇13番(高田一郎君) 最後にいたしますけれども、全体として了解いたしましたが、子供の貧困対策については、繰り返すのですが、やっぱり子供の置かれている実態を正確につかむことが一番大事な課題だと思います。
沖縄県では、独自に29.9%という貧困率を出して、これは大変だということで、2030年までには10%に減らすと。そのためのあらゆる施策を行って、知事が本部長になって県民挙げて取り組むと。しっかりした体制もつくって、そして、専門家の皆さんにも参加してもらって取り組みを検証してもらうという、実態調査もしっかりやる、それにふさわしい対策もとる、検証もするという対応をしているんですね。やっぱり沖縄の子供の貧困解決なくして沖縄の未来はないのだという高い決意で取り組んでおります。
ぜひ岩手も、岩手の子供たちの貧困対策なくして岩手の未来はないのだという立場で、知事を先頭に頑張っていただきたいと思います。
その点について、何かコメントがあればお伺いしたいと思います。
それと、子供の医療費の無料化問題では、群馬県のこともよく参考にしながら対応していきたいと思いますので、ぜひ、来年から実現できるように、知事を含めて市町村とよく協議して、実現に向けて取り組んでいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 少子化がなくても、子供というのは子宝というぐらいで大変貴重な存在なのですが、まして少子化の中で、子供というのは一人一人が大変貴重な存在で、また、せっかく岩手に生まれ、あるいは岩手で子供時代を過ごしている子供たち一人一人が幸福になってほしいと強く思います。
子供たちにさまざまな社会経済のしわ寄せが及んでいるような社会経済というのは、全体としてよくないわけでありまして、子供たち一人一人を守って、そして、すくすくと育っていく環境を整備するという形で、岩手県全体が、大人たちも誇りを持って暮らし、そして働いていけるような岩手県にしなければと思います。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成29年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第60 議案第59号市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例まで
〇議長(佐々木順一君) この際、日程第2、議案第1号から日程第60、議案第59号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ