平成29年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(名須川晋君) 改革岩手の名須川晋でございます。
通告に従いまして順次質問を進めてまいります。ぜひとも積極的な御答弁を期待しております。
産業政策について。まず、人口減少社会における県の対応について伺います。
人口減少が著しい社会情勢において、まちづくり、産業、住環境等、あらゆる面での影響を推しはかり、これらに対して事前にどう備えていくのか、今、私たちの危機対応能力が問われております。
9月6日、東芝メモリ株式会社が北上市に新工場を建設すると発表し、10年来の念願であった朗報が本県に届きました。建設開始は来年で、1、000人規模の新たな雇用創出が期待され、2020年ごろに稼働開始予定とのことで、東日本大震災津波からのさらなる復興につながると大いに期待するものであります。
一方で、最新の有効求人倍率は北上で1.78倍、花巻1.90倍、水沢1.56倍と雇用側にとって既に大変厳しい中、特に中小零細企業は、人材確保の点でさらに深刻な状況に陥ることが予測できます。
また、最近、みずほフィナンシャルグループが、今後10年で臨時職員を含めた従業員約7.9万人のうち約1.9万人を削減、8年間で約100店舗を減らすと発表いたしました。折からのマイナス金利の影響やフィンテックと呼ばれるICTを駆使した金融サービスの充実により、従来のビジネスモデルが成り立たなくなってきていることが挙げられます。この潮流は、地方銀行にも大きく影響を及ぼすことでしょう。こうした状況を鑑みると、岩手県としても、将来を見据えた社会、産業構造の転換を一層促していく必要があるのではないでしょうか。
AI、人工知能がプロ棋士に勝利する時代が既に到来し、早晩、コンピューターの能力が人類を超越する、いわゆるシンギュラリティーがやって来ると予測されております。
人工知能やロボットの登場で、将来、消える職業、なくなる仕事が予測されておりますが、本当に人間しかできない仕事、AIや機械でできる仕事を選別していく必要があるのではないでしょうか。一般事務職員もそのカテゴリーに位置し、無論、県行政も例外ではありません。そう遠くない将来、自動運転が普及し、シェアリングカー時代が到来し、ドローンによって宅配便は各家に配達される時代がやってくる、これは、もはや未来の夢物語ではないのであります。
県は、人口減少時代のこうした将来予測に対して、どう取り組んでいくのか。次期総合計画の策定に向けては、能動的な社会構造、産業構造の転換を促す思想を込めていくべきではないかと考えますが、知事の御所見を伺います。
事業承継について。岩手県事業承継ネットワークの実績について伺います。
絶メシリストというホームページを御存じでしょうか。絶やすな!絶品高崎グルメをサブタイトルに、これまで市内の個人経営の飲食店23カ所を紹介している、群馬県高崎市が開設する愛情こもった実に秀逸なサイトであります。
いつ行っても、何を食べてもおいしい、何となくほっこりする温かみのある地元の名店。昭和の郷愁も感じられ、若い人にとっては逆に非日常的な新鮮な感覚。この先もずっとこの味を味わいたいのに、高齢の店主1人で切り盛りしている、後継者もどうやらいそうにない、閉店の危機。
恐らく、どなたの頭の中にもそうした絶メシリストの1カ所や2カ所は思い浮かぶことでしょう。そして、ある日突然閉店のお知らせを見つけ、愕然とする。そんな経験は誰もがお持ちのはずです。このままでは、町なかを見渡せばチェーン店だらけで実に味気ない、全国各地特色のないまちになってしまうことでしょう。
絶メシリストでは、このような悲しい未来を回避するため、後継者求む!というページも作成し、後継者や働き手、何とインターンまでをも募集し、SNSや口コミで拡散させるというアイデア。効果がいかほどかまでは把握しておりませんが、こうした耳目を集める積極姿勢は大いに評価されるべきと考えます。
国に目を向けますと、平成30年度税制改正で、人手不足の中での雇用要件の見直し、生前贈与の促進といった事業承継税制の拡充が大きな検討項目となっております。
さて、事業承継は、本県では岩手県事業承継ネットワークを中核に、各団体、地域で取り組まれておりますが、事業承継の取り組みを本格的に始めた平成27年度から今日までのマッチング数と成功事例が、どの程度あるかお知らせください。
また、主に家族経営や従業員が少ない零細企業では、後継者がいない場合、自分の体が続かなくなったら廃業するという選択肢が現実的でありましょう。しかし、絶メシリスト開設趣旨のように、地域の財産として後世にすぐれた味や秀でたわざを継承させたい、継承すべきだという方向に、地域及び経営者側の考え方を変える必要があるのではないでしょうか。
こうした意識改革を通じて、若者の起業ニーズを掘り起こし、お互いのマッチングを図りながら、事業承継のチャンスを提供するための施策が必要と考えますが、県の取り組みについて伺います。
リノベーションまちづくりについて2点伺います。
10月6日から8日まで3日間にわたり開催されたリノベーションスクール@花巻には、クロージングアクトの公開プレゼンテーションのみの出席でございましたが、熱気がすごく、とても有用であったと思います。
県内外から集った24人の参加者が、3チームに分かれて、それぞれ空き地や空き家物件をリノベーションして活用する構想を、3日間ほぼ缶詰になって練り上げた秀逸なアイデアは、それぞれが実現に向けて歩み出そうとしております。来年もスクール開催を計画しているとのことでありますから、まちにリノベーション物件が点在していけば、閑古鳥が鳴く商店街に人の回遊が生まれることも期待できそうです。
このような動きは、いわて県民計画に掲げる地域経営を推進する上で必要な取り組みであると考えますが、知事の御見解を伺います。
リノベーションまちづくりの主体は、地域の民間の有為な人材によって取り組まれるべきものですが、おのおのの自治体が後押しをし、その体温を上げる公民連携も必要であります。リノベーションスクールに先立って開催された北九州家守舎代表取締役の嶋田洋平氏を講師とした事前講演会には、市内外からおよそ100名の参加があり、まちを活性化させたい、何かおもしろいことを仕掛けたいという潜在的な渇望があることを認識してまいりました。
このような動きを県内各地に波及させるため、県の施策はどうなっているか、公民連携の状況を含め伺います。
所有者不明土地、空き地、空き家対策について伺います。
一般財団法人国土計画協会により民間有識者で組織する所有者不明土地問題研究会は、このたび所有者不明土地の面積の将来推計と経済的損失を算出いたしました。平成28年度地籍調査に基づけば、全国で所有者の所在が不明な土地は20.1%、面積に換算すれば九州の土地面積に匹敵するとのことであります。驚くべきことに、2040年には720万ヘクタール、その面積は北海道の大きさまで拡大、その損失額は約6兆円に上るとの推計を算出、大きな警鐘を鳴らしております。
東日本大震災津波からの復興をおくらせた原因の一つでもある所有者不明土地は、県内でどの程度存在しているのか、まずはお知らせください。
この研究会では、所有者不明土地を増加させない施策の一つとして、空き地、空き家、遊休農地、放置森林の利活用を挙げており、県内自治体においても空き家バンク開設の取り組みが進められておりますが、設置状況について、その実績も含め伺います。
県内の空き家バンク施策は、もっぱら移住定住支援の一環として、主に県外のIターン、Uターン希望者に空き家を紹介するところに重きを置いている感がありますが、そこに住まう住民にも恩恵が感じられるよう、まちづくりの一環として、狭隘道路も含めた周辺の土地利用とあわせて有効活用を図る空き地解消対策も必要であります。
先進的事例として、宅地建物取引業者や建築士会、司法書士、行政書士、土地家屋調査士、金融機関等で構成する山形県鶴岡市のつるおかランド・バンクが挙げられますが、県内でこのような機能を有した組織はまだありません。
例えば不動産に関して、隣の土地は借金をしてでも買えという教訓めいた表現があります。特に住宅が隣接した都市部において、敷地が広くなることで、日当たりがよくなり、家庭菜園もできるようになる。将来的に2世帯住宅の建設も視野に入れられるといった、かつてウサギ小屋とも称された日本の住環境の向上が、このような状況であるからこそ可能になるということも言えます。
県は、新年度から空き家バンクを一層進化させたランドバンク機能の創設を促す取り組みを進めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
〔議長退席、副議長着席〕
また、そもそも空き家や空き地が発生しないよう、所有者が生存しているうちに、あるいは適切な判断力があるうちに生前信託契約を結び、第三者が管理する、ここには空き家バンク、ランドバンク要素も含まれればベストでありますが、こうした予防的スキームの導入が必要ではないでしょうか。その一手法である信託制度の普及、啓発を進めていくべきと考えますが、その取り組みについて伺います。
自動車産業について、初めに、電気自動車化の影響について伺います。
世界的な電気自動車化、いわゆるEVシフトが加速しそうであります。今から100年以上も前に誕生した電気自動車は、数度のブームを経て、いよいよ定着するのか。EVが果たして本当に環境に優しいのかは議論の余地があるところではありますが、このパラダイムシフトは、カリフォルニア州や中国で来年からEV製造が強化され、イギリスやフランスで2040年以降ガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する方針によって、どうやら本流になりそうな雲行きであります。
掃除機で有名な家電メーカーのダイソンや家電量販店のヤマダ電機が参入を表明するなど、参入障壁は内燃機関よりも格段に低く、プレーヤーもふえ、部品点数は約4割減少すると見込まれます。
県としては、この状況に相当な危機感を持って臨むべきであると考えますが、今後、本県中核産業に成長した自動車産業に与える影響をどう分析しておられますでしょうか。
自動車産業の育成についてであります。
EVのみならず、燃料電池自動車及びハイブリッド車とも、電池はもとより、モーター、半導体、構造材料を初め、より性能の高い部品や素材の供給が求められ、こうした流れに迅速に対応した支援が必要であります。
関連企業の育成、集積や専門的な技術者の育成確保策を含め、自動車産業振興の今後の取り組み方針について、どのようにお考えかお示しください。
岩手県自動車関連産業振興アクションプランについて伺います。
本県の自動車産業は、岩手県自動車関連産業振興アクションプランによって進捗が図られ、この3月に改訂され、さらに2年延長いたしております。その中に記載されている次世代モビリティーという一語に集約されているのかもしれませんが、EV、自動運転やカーシェアリング、ライドシェア、IoT、充電ステーションの拡充等、自動車を取り巻く現在必須のキーワードが全く盛り込まれていないことに、若干の違和感を覚えるところもございます。
EV化の潮流に日本の自動車メーカーも大きな危機感を抱いているものと思われますが、県内取引企業の部品供給量は、まだまだ少ない状況とはいえ、それぞれがキャッチアップに努めており、この変革をチャンスと捉えて対応を進める必要があり、1年後に控える次期アクションプランにどのように反映されるものとお考えでしょうか。
そもそも、これから到来するモビリティー革命と次期総合計画とも整合を図っていくべきではないか、御見解を伺います。
(仮称)ものづくりイノベーションセンターについて伺います。
地方独立行政法人岩手県工業技術センターでは、ものづくり成長分野への技術支援体制の強化を目的に、地方創生拠点整備交付金を活用し、事業費12億4、000万円余をもって(仮称)ものづくりイノベーションセンターの整備を進めており、来年4月に開設予定とのことであります。
地方独立行政法人岩手県工業技術センターが盛岡市北飯岡に移転した平成6年以来の大型プロジェクトであり、開放型研究施設として、県内企業の一層の利活用を期待するものであります。
この新研究棟の開設により、新たにどのような技術支援を行うことが可能になるのでしょうか。期待される効果、具体的な運営方法とあわせてお示しください。
林業政策について4点伺います。
初めに、木材利用促進条例の制定についてであります。
森林は、木材の供給のみならず、県土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など公益的機能を有しております。このような機能を持続的に維持していく一方、本県の森林資源は本格的な利用期を迎えており、森林資源の循環利用を一層推進していく上でも、木材を積極的に利用していくことが重要であります。
お隣の秋田県では、木材の利用促進による県内の林業及び木材産業の振興を図り、県の経済活性化に寄与していくことを目的に、昨年、秋田県木材利用促進条例を制定するなど、全国的に木材利用促進条例を制定する動きがあると聞いております。
また、先般、当議会に対し、県内の森林、林業関係団体で構成する岩手県森林・林業会議から、本県における木材利用促進条例の制定について要望があったところであり、当議会としても、執行部と連携しながら検討を進めていく必要がありますが、本県においても、県民や事業者に対し一層の木材利用を促し、県産材の利用促進が図られるよう条例制定を検討すべき時期にあると考えております。
そこで、全国における木材利用促進条例の制定状況と条例制定に向けた現在の県の考え方について伺います。
再造林強化対策についてであります。
新国立競技場での木材利用や中高層建築物への利用が期待できるCLTの登場、木質バイオマスのエネルギー利用の拡大、本県では、いわて林業アカデミーが開校し、担い手確保の育成対策が進むなど、林業、木材分野において、少しずつではありますが明るい兆しが見られます。
一方で、戦後造成された人工林の本格的利用期を迎えておりますが、適切な森林整備の遅滞や伐採跡地の再造林が進まない状況が懸念されております。
こうした中、本年6月、県内の林業8団体によって岩手県森林再生機構が設立されたところであり、業界や県の協力により基金を造成し、再造林の促進を図っていくこととしております。
県では、平成18年度にいわての森林づくり県民税を創設し、いわて環境の森整備事業や県民参加の森林づくり事業などにより森林環境の保全に取り組んでおります。森林、林業団体からは、この県民税を伐採跡地の再造林に取り組む森林再生機構の支援にも活用されたい旨の要望が届いております。
そこで、県民税の一定程度をこの再造林の支援に活用しても、この税の理念に沿うものと思われますが、いかがでしょうか。
また、国では、このたびの税制改正において、間伐による森林整備の推進と、それを担う人材の育成を目的とした(仮称)森林環境税の創設を検討しており、報道によれば、1人当たり1、000円程度、総額約600億円の税収が見込まれるとのことです。
この新たな国税が創設された場合の県民税のあり方について、どう考えるのか伺います。
全国植樹祭の招致についてであります。
本州一の森林資源を有する本県では、この貴重な森林資源を循環利用しながら将来の世代に引き継ぎ、豊かな森林環境を守っていくことが非常に重要であり、そのためには、県民全てが森林づくりや緑化意識を高めることが必要と考えます。
全国植樹祭は本県で昭和49年に開催されておりますが、以降43年間開かれておりません。2巡目を招致した自治体は既に21に上り、来年以降は福島県、愛知県、島根県と向こう3年間は決定しているようであります。
森林県である本県の森林を守り育てる機運をさらに高めるため、二巡目開催の招致活動を行う時期に達したと考えますが、その取り組みについて伺います。
スポーツ振興については4点伺います。
最初に、愛顔つなぐえひめ国体・愛顔つなぐえひめ大会をどう総括するか伺います。
9月30日から10月10日まで開催された第72回国民体育大会えひめ国体で本県は、天皇杯14位、皇后杯12位と昨年の岩手国体のレガシーを継承し、すばらしい成績をおさめることができたものと思います。
第17回全国障害者スポーツ大会えひめ大会も含め、この結果をどう考察し、今後にどう生かしていくのか、まず伺います。
東京2020オリンピック・パラリンピックへの取り組みについてであります。
希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を機としたここ数年の本県の競技力の向上は顕著であり、維持、向上に努めながら東京オリンピックに臨んでいくものと考えますが、その取り組み内容をお示しください。
また、平成29年度いわて障がい者スポーツ強化指定選手として、陸上競技や水泳競技選手等13名を指定し、選手とその介助者に対して遠征に要する経費を助成することとしております。
スポーツ行政の一元化はこれまでたびたび議会で指摘してきた課題でありましたが、所管の移行によって可能となった成果であり、大変評価すべきことと考えます。金銭的負担の軽減のほか、コーチング技術の向上、練習環境や補装具の充実等、障がい者スポーツの課題を解消する取り組みは、本県も、遅まきながらではありますが、やっとスタート台に立ったと言えます。
今後、どう全国レベルの選手を育成し、先進地との格差を埋め、パラリンピックにも出場可能な選手を育成していくか、道筋をお知らせください。
超人スポーツの推進についてであります。
この夏、岩手発・超人スポーツプロジェクト2017が開かれました。超人スポーツとは、県の説明を引用すれば、最新の研究分野である人間拡張工学に基づきスポーツとテクノロジーを融合した、年齢や身体能力、障がいの有無等に関わらず誰もが楽しむことができる可能性を秘めた人機一体の新しいスポーツとのことで、当日は、超人リングベル、オルフェズシンクロジャンプ、ロックハンドバトル2という3種類の新競技が誕生したとの報告であります。
超人スポーツ、耳なれぬ単語でありますが、上半身に透明の球体を、足にばねを装着し、ぴょんぴょん跳びはねながら相手とぶつかり合い、外に押し出すバブルジャンパーと名づけられた競技がテレビで何度か取り上げられたことがあり、私も興味深く拝見しておりました。
希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成果をレガシーとして継承するため、この超人スポーツに着目した観点はユニークであり、また、文化スポーツ部としての特色があらわれた行政の広がりを期待させます。
そこで伺いますが、今後、この超人スポーツを県はどのように展開していくおつもりでしょうか。大言壮語の感はありますが、将来的にオリンピック・パラリンピックの中間に位置するスーパーヒューマンピック的な国際大会が誕生することも夢想しつつ、また、超人スポーツ産業の創出といった期待も寄せながら応援していきたいものと思いますが、いかがでしょうか。
スポーツ健康科学センター機能の整備拡充について伺います。
盛岡市が進める新野球場への併設について、担当部署も文化スポーツ部へ移ったことから、前回2月の一般質問と同じ内容で改めて伺います。
本年2月、スポーツ・教育振興調査特別委員会の調査で、横浜市スポーツ医科学センターを訪れる機会を得ました。クリニックを併設したスポーツ診療、体力測定、各種スポーツ教室、トレーニングルームや25メートルプールを活用した運動療法等、岩手県の3倍近くの人口を有する政令指定都市とはいえ、市レベルでこうした先進施策を進められていることに深く感心してまいりました。
なお、この施設は、日産スタジアム内に設置されていることを申し添えさせていただきます。
盛岡市が同じく2月に発表した盛岡南公園野球場(仮称)整備基本構想において、市と県が共同整備する施設のモデルケースとして計画しております。とするならば、私は、2023年度の供用開始が見込まれるこの新野球場内に、スポーツ健康科学センターの機能を併設あるいは近接して整備することができれば、室内練習場の活用と球場の通年利用も果たされ、施設の効率的な運用が図られるものと考えます。
また、隣接するいわぎんスタジアムとのかかわりも期待できるものであり、基本計画の策定における議論の中で、併設も視野に検討を進めるべきではないかと考えます。本県の現状もそうでありますが、全国的にもスポーツ施設に併設されている事例はあり、改めて単体で整備するより費用も少なく、県が新野球場の建設費を負担する理由の大きな支えともなり得るのではないでしょうか。
希望郷いわて国体・希望郷いわて大会のレガシーとして、早期の設置を果たすべく、新野球場内にスポーツ健康科学センターの機能を併設あるいは近接して整備することを提案いたしますが、いかがでしょうか。
道の駅の整備について質問いたします。
道の駅は、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供や地域の振興に寄与することを目的に設置されておりますが、道の駅の整備はどのような過程を経て行われるのか、まず伺います。
主要地方道盛岡和賀線は延長約48キロメートルに及びますが、産直施設は点在しているものの、休憩施設や道路情報発信機能施設はありません。花巻市では、このたび、花巻市(仮称)西南道の駅基本構想を策定し、今年度は基本設計、来年度は実施設計及び用地買収、2カ年工事を行い、平成32年度の開設を見込んでおります。
人口減少や地域の商業施設が撤退し日用品の入手も困難になっていく中、新たな地域拠点としての設置が望まれております。道路管理者である岩手県には、休憩施設や道路情報発信機能施設の整備が求められており、ここは、ぜひとも県と市が歩みを一にし事業を進めていただきたいと考えますが、県のお考えをお知らせください。
最後に、妊産婦に対する支援について伺います。
地域社会とのかかわりが時代とともに変化し、核家族化が進む現状で、子育ての方法がわからない、子供を育てる自信がないといった不安を抱える妊産婦は多く、地域に根差した助産師による産前産後ケアの必要性が指摘されております。
花巻市では、まんまるママいわてという任意民間組織により、昨年10月、県内初の産前産後ケアハウスまんまるぽっとが開設され、各種助成金や市の委託事業によって、デイサービスや相談事業等、助産師が産前産後のお母さんをサポートする体制が整えられております。
そこで伺いますが、県は、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援、ワンストップ拠点である子育て世代包括支援センターの取り組みをどう進めているでしょうか。また、あわせて県内各地におけるケア施設の開設に向けた取り組みについても伺います。
以上で登壇しての質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、人口減少社会における県の対応についてでありますが、次期総合計画の策定に当たっては、本県を取り巻く社会経済環境の変化や、さまざまな分野における技術革新など長期的な時代の潮流を踏まえ、今後10年の本県のあるべき姿や取り組みの方向性などを展望していくこととしています。
こうした中、第4次産業革命の波と言われているIoT、ビッグデータ、AI、ロボット、シェアリングエコノミー等のイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、人口減少や産業振興などにおけるさまざまな課題の解決につなげていくことが可能になると考えております。
こうしたことから、本県の地域経済を牽引する自動車や半導体関連産業、地域の特性と資源を十分に活用した農林水産業や食産業、観光産業、さらには医療関連産業など幅広い分野でIoTやAI等も活用していくことが重要と考えております。
このような認識のもと、次期総合計画の策定に当たっては、これまでの取り組みや国の動向等を踏まえつつ、今後10年間を展望した岩手の強みと弱み、リスクとチャンスを分析した上で、県民や市町村、産業界等の御意見も幅広く伺いながら総合計画審議会において議論を進め、今後の取り組みの方向性を検討してまいります。
次に、花巻でのリノベーションスクールの取り組みについてですが、リノベーションスクールは、地域住民や民間の有志、行政職員等のさまざまな立場の方々が一堂に会し、遊休不動産を活用する事業プランを練り上げ、実際に事業化してまちの再生につなげる取り組みであると伺っております。
この10月に花巻市で開催されたスクールでは、市内の空きビルや空き地を題材に、地域の特性を生かした再生のあり方が議論され、具体的な活用方法が提案されたと聞いておりますが、その成果が、マルカンデパート食堂の再開に続くリノベーションまちづくりの実例につながっていくものと期待しております。
このような取り組みは、いわて県民計画の推進に不可欠な県民、企業、NPO、市町村など地域社会を構成する多様な主体が連携し、総力を結集していく地域経営の考え方に合致するものであり、さまざまな地域課題に対応する際に極めて有効なアプローチとして、県内に広く普及させていきたいと考えております。
次に、岩手発・超人スポーツの推進についてでありますが、超人スポーツは、最新の研究分野である人間拡張工学に基づき、人間の能力をテクノロジーを用いて拡張し競技することで、年齢や身体能力、障がいの有無等にかかわらず誰もが楽しむことができる可能性を持つ新しいスポーツであります。
県では、昨年度から岩手発・超人スポーツを推進しているところであり、岩手の地から誰もが生き生きとスポーツに取り組む地域社会のモデルを新しい文化として提示するとともに、テクノロジーや文化の振興、福祉の向上などに地方から貢献することを目指しております。
昨年度は、岩手の若者が考案した4競技全てが超人スポーツ協会から超人スポーツに認定され、その中からロックハンドバトルが、昨年11月に同協会が国の採択プロジェクトとして開催した第1回超人スポーツゲームズに採用されるなど、岩手県の取り組みが国内外で広く紹介されました。
また、岩手発の新しい競技を考案するワークショップは、多様な関心やバッググラウンドを持った人々が、スポーツを切り口に、力を合わせて新しいものをつくり上げるプロセスを通じて豊かな創造性が引き出され、創造人材の育成に効果があったと受けとめております。
2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けて、超人スポーツ協会では、本年度においても、国のスポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト・新たなスポーツの開発に採択され、引き続き、オリンピックとパラリンピックの垣根を取り払う新しいスポーツの展開を図っており、県としても、超人スポーツ協会と連携し、また、将来に向けた事業化も見据えつつ、岩手発の超人スポーツの取り組みをさらに推進してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、岩手県事業承継ネットワークについてでありますが、県ではこれまで、盛岡商工会議所に平成27年7月に開設した岩手県事業引継ぎ支援センターを初め、市町村や商工指導団体と連携して事業承継に関する取り組みを進めてきたところでございます。
さらに、今年度からは、国の委託事業を活用し、事業承継ネットワーク構築事業に取り組んでおります。このネットワークには、県内の金融機関や税理士会、弁護士会等も参加し、経営者の取り組み方針の検討や事業承継診断などの支援を行っておるところでございまして、これまで診断は700者以上の中小企業に対して実施してきているところでございます。こうした取り組みによりまして、経営者の意識啓発を図るとともに、具体的な案件については、センターが専門的な相談対応や譲り受け側とのマッチング等を行うこととしております。
センターの開設から本年10月までの相談件数は190件、具体的なマッチングに取り組んだ企業数は延べ33件、これらにより事業承継が成就した件数は、平成27年度には1件、平成28年度には2件、今年度2件の計5件となっているところでございます。
次に、地域や経営者の意識改革等についてでありますが、近年は、従業員も含めた第三者への承継の割合がふえるなど、事業承継に関する情勢も変わってきているところであります。そうしたことから、近い将来の廃業を考えている経営者等に対し、診断やセミナーを通じ、さまざまな事業承継の選択肢を示すなどして事業承継に対する意識を高めてもらうとともに、事業承継に関する補助制度や税制などの周知にも努めているところでございます。
また、地元の状況に詳しい市町村や商工指導団体には、若者による新規創業など具体的事案への対応も行っていただいているところでありまして、県関係機関との連携を強化することで、事業承継のマッチングが一層促進されるものと考えているところでございます。
中小企業は、地域住民に対する商品、サービスの提供主体として、また、雇用の受け皿、地域経済の牽引役として重要な存在であります。今後も事業承継ネットワーク事業等を活用しながら、市町村等と連携して取り組みを進めてまいります。
次に、電気自動車化の影響についてでありますが、近年、温室効果ガス削減に向けて一部の国や地域で規制の強化が進んでおりまして、国内外の自動車メーカーはEVを中心とする環境対応車の開発に大きくシフトしてきております。
本県自動車関連産業の現状から見ますと、県内地場企業が得意としておりますボディ系内外装やハーネス等の分野において、今後、EV等の普及に伴う一層の高付加価値化等が見込まれているところでございます。
また、プリウス等のハイブリッド車用に開発され、普及してきた各種モーター類等を電子コントロールするPCU-パワーコントロールユニットと申しますが-などの電動化技術はその重要性がますます高まり、今後もさらなる技術開発が見込まれるところでございまして、県内においては、誘致企業と地場企業の協働により現地生産に向けた動きが活発化してきていることなどから、EV等の普及は、本県自動車関連産業に持続的な成長をもたらす発展可能性を有しているものと捉えております。
次に、自動車産業の育成についてでありますが、今般、電子部品の世界トップメーカーのグループ会社であるデンソー岩手は大型投資を行い、EV等の頭脳をつかさどるPCUの基幹部品であるパワーカードや、車の自動運転技術にもつながる安全性、信頼性を支える各種センサー等半導体デバイスの生産を新たに開始することとしております。同社は、これにより、半導体のウエハーから電子デバイスまでの一貫生産体制を本県に確立することで、エレクトロニクス製品のグローバル生産拠点化を目指しておりまして、今後さらなる成長が期待されるところでございます。
今般の事業拡大により既に多くの地場企業が同社と取引を開始し、また、多くの技術者や技能者等の雇用が出てきているところでもございます。この動きは、本県がこれまで進めてきた高度ものづくり人材の育成と基盤技術の高度化に向けた地場企業支援が実を結んできているものと認識しているところでございます。
今後においても、EV等次世代自動車の生産にとどまらず、ILCも見据えて、産学官一体となった高度技術者の育成や地場企業のさらなる技術力、生産力の向上を支援してまいります。
次に、次期岩手県自動車関連産業振興アクションプランについてでありますが、これまで御答弁申し上げましたとおり、EV等の次世代モビリティー社会の到来は、本県関連産業にはさらなる成長の機会になるものと考えているところでございます。
アクションプランの見直しについては、これまでの成果や今後の見通しも踏まえ、議員御指摘の視点も加えて、県内自動車関連産業の持続的成長に資する計画となるよう検討を進めてまいります。
次に、(仮称)ものづくりイノベーションセンターについてでありますが、この施設は、企業のものづくり成長分野への進出に向けた技術支援高度化を目的に整備を進めているものであります。電子機器の性能を評価する大型電波暗室と、三次元デジタル設計等の機能を備えた次世代ものづくりラボを併設するものであります。
電波暗室の活用によりまして、国際規格に対応した電子機器の性能評価が県内で迅速に、安価に可能となるとともに、次世代ものづくりラボの活用により、設計から試作、評価まで製品開発に向けたトータルな支援が可能となるものであります。今回の整備につきましては、県内のものづくり企業の多くから高い期待が寄せられているところでございます。
これらの技術支援により、これまで以上に付加価値の高い製品開発、そして海外展開を含めた販路拡大など、県内企業の国際競争力の強化につながることが期待できるものと捉えております。
こうした効果発現のために、常駐する専門スタッフによる工程改善などの新製品開発等に向けた支援などにより、イノベーションの創出による県内ものづくり産業の持続的な成長を促進してまいります。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、リノベーションまちづくりの促進についてでありますが、リノベーションまちづくりにおいては、土地所有者や民間事業者、行政の連携が鍵となると考えており、県では、リノベーションスクールを簡略化したリノベーションスタディーを、昨年度の盛岡市に引き続き本年度は二戸市と滝沢市で実施したところであり、県内各地での取り組みを促しているところです。
このほか、民間主導のまちづくりにおいても県みずからアドバイザーとして積極的に参画しており、紫波町日詰商店街や釜石市釜石大観音仲見世では、空き店舗の活用といった具体的な成果に結びついているところです。
今後も、いわて県民計画に掲げる地域経営の考え方に基づき、県民、企業、NPO、市町村などと連携し、引き続きリノベーションまちづくりの推進に取り組んでまいります。
次に、所有者不明土地の状況についてでありますが、県内全体を把握した統計データはございませんが、県内11市町で実施された地籍調査の平成28年度分を集計いたしますと、所有者不明土地は調査筆数の15.9%となっております。
次に、空き家バンクの開設状況と実績についてでありますが、空き家バンクを開設しているのは、県内33市町村のうち20市町村であり、平成29年7月時点の登録物件数の合計は293件となっております。また、これまで空き家バンクを活用した成約の実績は20市町村の合計で266件となっております。
県においては、空き家の所有者が気軽に相談できるよう民間の専門家による相談窓口を設置しますとともに、岩手県空家等対策連絡協議会などを活用して空き家バンク制度の周知を図ることにより空き家バンクの活性化を支援し、地域に眠っている空き家の流通を推進してまいります。
次に、ランド・バンク機能の創設についてでありますが、空き地の活用に関しても、さまざまな関係者が連携して取り組むことが重要と考えており、本県では、平成28年度に岩手県空家等対策連絡会議を立ち上げて、宅地建物取引業者、建築士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士などの団体との協力体制を構築しているところです。
議員御案内のつるおかランド・バンクは、狭隘道路の多い密集市街地において、空き家、狭小な宅地、狭隘な道路の解消を同時に行うものであり、土地の価値を高めることができる有効な取り組みと考えております。
ランド・バンク機能の創設に関しましては、まずは宅地建物取引業者等へのヒアリングにより県内におけるニーズの把握に努めるとともに、専門家の皆様も参画しております岩手県空家等対策連絡会議の場を活用して、この取り組みに関する情報共有、また機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
次に、信託制度の普及啓発についてでありますが、空き家は高齢者が所有されているケースも多いことから、資産管理や相続対策が柔軟に行える信託制度により有効活用が進むことが期待できると考えております。
県では、これまで、民間団体が開催する資産管理や相続対策に関するセミナーに職員を派遣して、信託制度に関する情報提供を行ってきたところであり、今後も機会を捉えて周知に努めてまいります。
また、信託制度等に詳しい司法書士等の団体が設置している相談窓口を市町村の担当者に周知し、空き家等の所有者に紹介いただくことにより、制度の活用を促してまいります。
次に、道の駅の整備についてでありますが、道の駅は、24時間利用可能な駐車場、トイレなどの休憩施設、情報提供施設のほか地域振興施設を備え、地域の情報発信や交流の場として活用されております。最近では、地域の創意工夫により道の駅を地方創生の拠点とする取り組みも見られるところです。
道の駅の整備までの流れですが、まず、設置者である市町村等において、地域の課題の解決や地域活性化の視点から、整備の必要性、設置場所や提供するサービスについての検討を行い、あわせて、道路管理者が、交通状況等を考慮し、休憩施設等の必要性や整備手法を判断した上で、設置者とともに設置施設を計画し、調整を図りながら事業を進めていくことになります。
次に、花巻市で検討を進めております(仮称)西南道の駅についてでありますが、設置を予定している主要地方道盛岡和賀線は国道4号を補完する物流路線であり、大型車の長距離利用が多いにもかかわらず、道の駅等の休憩施設がないことから、県道路管理者としても、その必要性を認識しているところです。
このため、県は、当該道の駅の整備に係る基本構想や基本計画の策定を目的とし、昨年9月に設立されました整備検討委員会に参画いたしまして、花巻市とともに、施設の規模や配置等について検討を行っているところです。
今後とも、引き続き、当該地域にふさわしい休憩施設や情報提供施設のあり方を検討し、事業の実現に向けて市と一体となって取り組んでまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、木材利用促進条例についてでありますが、木材利用の促進を目的とした条例を制定した都道府県はこれまで9県となっております。条例制定から一定期間が経過した他県におきましては、条例制定により県産材利用の機運が高まり、その結果、外材から県産材への転換や公共事業等での県産材利用が進み、県産材の利用割合が向上するなど、一定の効果があらわれていると伺っております。
本県における条例制定につきましては、今後、他県における条例制定の背景や目的、条例制定によって生じた効果などを調査し、県議会と連携を図りながら研究を進めてまいりたいと考えております。
次に、再造林強化対策についてでありますが、いわての森林づくり県民税は、公益上重要で管理が行き届かない森林を対象として、針葉樹と広葉樹の入りまじった水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導するという、森林環境保全のための間伐などに限って実施しているところであります。このため、再造林の支援策は制度活用対象とはなっておりませんが、次の世代に良好な森林環境を引き継ぐため、この県民税の使途やあり方につきましては、今後、外部有識者等で構成する事業評価委員会、県民の皆様や県議会の御意見などを参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
次に、県民税のあり方についてでありますが、森林環境税につきましては、総務省が設置した有識者による検討会の報告書において、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるべきとの考えが示されております。また、県民税の趣旨を尊重し、森林環境税との関係の整理が円滑に進むよう、必要な対応に努めるべきとの考えが示されたところであり、現在、この報告書をもとに詳細な検討が進められているところであります。
県民税は、公益上重要な森林を対象として行う森林整備や、NPO団体等が実施する森林環境教育等のソフト事業に充当しているところでありますが、県民税のあり方につきましては、森林環境税の内容や導入時期等の詳細が明らかとなった段階におきまして、具体に検討してまいります。
次に、全国植樹祭の招致についてでありますが、全国植樹祭は、豊かな森林環境を次の世代に引き継ぐための県民理解の醸成や林業の持続的かつ健全な発展を図るとともに、東日本大震災津波から復興した姿を発信できる機会となるものと考えております。
一方、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、全国から大勢のお客様をお迎えする国民的な行事であり、これまでの開催県からは、開催規模や経費などの十分な検討や県民の機運を高めることが必要と伺っております。
このため、県では、これまでの事例を調査するとともに、主催者である公益社団法人国土緑化推進機構の意向や、県民の皆様からの御意見を伺いながら検討してまいります。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) まず、えひめ国体、えひめ大会の総括についてでありますが、先般終了した愛顔(えがお)つなぐえひめ国体・えひめ大会では本県選手団のすばらしい活躍があり、2巡目以降の他県開催国体の中では最高位となる天皇杯14位の成績をおさめ、障がい者大会においても、昨年のいわて大会、平成27年の和歌山大会に次ぐ33個のメダルを獲得するなど、いわて国体、いわて大会を通じて得られたレガシーが確実に継承されているものと実感しております。
今後においては、岩手県体育協会や岩手県障がい者スポーツ協会、各競技団体等との連携を一層深めながら、中長期的な視点に立った選手育成や指導者の養成、スポーツ医・科学サポートの充実等に取り組むとともに、現在、策定に向け作業を進めております岩手県スポーツ推進計画(仮称)において、関係団体や県民の皆様から広く御意見をいただきながら、本県の競技力の向上に向けた取り組みの方向性について検討してまいります。
次に、東京2020オリンピック、パラリンピックへの取り組みについてでありますが、県では、オリンピック日本代表を目指す候補選手や中央競技団体が指定する強化選手などに対し、大会参加費等への支援を行っております。また、スーパーキッズ事業や各競技団体の選手育成に向けた取り組みにより、ワールドカップなどの国際大会で中学生や高校生を初め若い選手が目覚ましい活躍を見せております。
パラリンピック等を見据えた競技力の向上に向けては、今年度から強化選手を指定し、選手とその介助者に対し遠征等に要する経費を支援するとともに、選手、介助者及び指導者を対象として、専門的な知識の習得や体力測定、トレーニング等の実技を行う研修会を実施しているところであります。
今後においてもこれらの支援を継続してまいりますが、特に日本代表選手として活躍するためには、さまざまな国際大会や海外遠征を通じたレベルの高い経験が必要であることから、2年後の東京2020オリンピック、パラリンピック、その後の国際大会を見据えた支援のあり方についても研究してまいります。
次に、スポーツ健康科学センター機能の整備拡充についてですが、県では、県営野球場が築47年を経過し、全体的に老朽化が進んでおり、また、盛岡市においても盛岡南公園への新野球場整備の構想があることから、市と共同で高規格な新野球場を整備することについて検討をしております。
盛岡市では、新野球場の整備に係る財政負担の軽減に向け、現在、PFIなど民間活力を生かした整備手法の導入に関する民間活力導入可能性調査を実施しております。この調査では、県と共同整備する場合におけるふさわしい整備手法等の整理もあわせて行われていることから、県もこの調査に参画しているところであります。
県としては、この結果を踏まえ、新野球場の共同整備の方向性について判断していくこととしておりますが、スポーツ健康科学センターのあり方につきましては、外部有識者や競技団体等から御意見もいただきながら、県営スポーツ施設の総合的なあり方の方向性を定めていく中で、議員の御意見も参考にさせていただきながら研究してまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 妊産婦に対する支援についてでありますが、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供し、妊産婦等を支えていく子育て世代包括支援センターは県内では遠野市など6市町が設置しています。また、産前産後ケアは、議員御紹介のとおり、花巻市が今年度から民間団体に委託してデイサービス型の産前産後ケアを開始したほか、遠野市や山田町では、助産師等が家庭訪問を行うアウトリーチ型の産前産後ケアを実施するなど、市町村の取り組みが徐々に進んできていると認識しています。
県ではこれまで、母子保健に従事する市町村保健師等を対象とした母子保健指導者研修会や母子保健担当者会議などを開催し、妊産婦の支援を担う人材の資質向上に努めるとともに、県内外の先行事例の紹介、国庫補助事業の活用に関する助言などを行い、子育て世代包括支援センターの設置や産前産後ケアの実施に向けて支援してきました。
この結果、来年度は、複数の市町村が当該センターの設置や産前産後ケアに新たに取り組む予定と伺っているところであり、地域の潜在助産師の掘り起こしを行い、市町村の産前産後ケアを担うための人材確保を図るなど、取り組みの一層の拡大に向けて引き続き市町村を支援していきます。
〇18番(名須川晋君) 御答弁ありがとうございました。数点質問をさせていただきます。
まず、空き家バンクについてでございますけれども、その前に空き地ですね、所有者不明土地、11市町ではありますが15.1%ということで、もう既にそれぐらいあるのかということで大変びっくりするわけでございまして、やはり、これは何とかしなければいけない課題だと思っております。
その辺でもうちょっと具体的に、県としても所有者不明土地が発生しないようにということで予防的スキームの質問はさせていただきましたけれども、そのほかにも何か所有者不明土地が発生しないような取り組みというものはないものかどうか。
それと、空き家バンクについてでございますが、国土交通省のアンケート調査結果によれば、現在、県内では13市町が開設していないということでございまして、これは、どういう理由があるのか。空き家等対策計画が未整備であるがゆえにないのか、あるいは空き家バンク的な別の機能があって、それで補っているのか。
この調査結果を見ますと、奥州市が266件のうち131件とほぼ半数を占めておりまして、次に花巻市が39件、そして遠野市が31件ということで、この3市で75%の実績になっているということで、非常に大きな偏りがあるわけでございます。これを県内各地でやるとすれば、もっとIターン、Uターン者もこちらに引き寄せて、先ほど知事は、東京には年間11万人流入しているということでございますが、岩手県にも来てくださる方が、この空き家バンクを各自治体で開設することで、ふえていくきっかけの一つにもなるのではないかと考えられますが、その辺でどういう分析をされておりますでしょうか。その点についてお知らせください。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、地籍調査につきましては、当農林水産部が所管でございますので、所在者不明土地の対応について答弁させていただきます。
所在者不明土地につきましては、平成29年6月に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針2017におきまして、登記制度や土地所有者のあり方等の中長期的課題については、関連する審議会等において速やかに検討に着手すること、また、法定相続情報証明制度の利用範囲を拡大するとともに、所有者情報の収集、整備、利活用を推進するための制度、体制の両面から、さらなる取り組みを進めるとされているところでございます。
現在、議員から御紹介のありました所有者不明土地問題研究会のほか、国土審議会等におきまして、今後必要となる施策に関する検討が鋭意進められているところでございまして、県といたしましては、こうした国の動向を注視して対応を進めてまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、13の市町で空き家バンクが開設されていないことの理由といいますか背景ということでございますが、まず、空き家バンクの開設につきましては、それぞれの市町村において、各地域の抱える課題の解決に当たって、空き家バンクを設置することの有効性、それから、空き家バンクを運営するには、それなりの労力、コストがかかりますので、こういったもの等を考えた中で、それぞれの市町村において最終的に判断されるものと考えております。
現在開設されていない市町村の中には、まさに沿岸の復興まちづくりの最中の市町村もございます。そういった事情もあるのであろうと想像しますが、いずれにしましても、今、それぞれの地域の課題を踏まえて、空き家バンクの開設を検討している市町村もあると聞いております。
空き家バンクについては、現在、まさに復旧に向けての過渡期であるとも考えておりますので、引き続き、県としては、こういった空き家バンクの活用につきまして、岩手県の空き家等対策連絡会議等も活用しながら、市町村への啓発に努めてまいりたいと思っております。
それから、こういった空き家バンクの代替機能のようなものということでございますが、まず考えられるのが、民間の不動産事業者による遊休不動産等の民間ベースでの流通がまずあり得ると思います。
空き家バンク等の役割分担につきましては、特に民間ベースの取引の実態については、なかなか数字で押さえているものはないのですけれども、今ほど議員御指摘のとおり、空き家バンクを開設されている市町村においても、盛岡市については、成約件数がまだ1件しかないということ、それに対して、花巻市、奥州市等ではかなりの成約件数があることからも、やはり民間ベースでの取引がある程度機能しているところについては、空き家バンクではない、空き家バンクを活用しなくても、そういった流通もあると考えております。
そういった民間ベースの機能等も踏まえながら、空き家バンクについては、そういったものが機能しないところで、しっかりと行政が主体となって準備していくことが大事だろうと考えてございます。
〇18番(名須川晋君) 言いかえれば、まだ伸び代があると考えますと、ぜひともこの空き家バンク的な機能をまだ13市町が整えていないということでございますので、その整備に向けては、県も支援や情報提供をしていただいて、促していただくようにお願いいたします。
それと、事業承継ネットワークが、平成27年度に開設されて、相談件数が190件あったと。具体的なマッチングに取り組んだものが33件と。平成27年度の実績が1件、平成28年度が2件、今年度が2件ということで、これまで3カ年弱で5件ということでございました。これが多いのか少ないのかちょっとわかりませんけれども、やはりこの190件という相談件数からいっても、まだまだふやしていく余地があるのではないかと思われます。
率直に言って、どういう課題があって成約に至らないのか、その辺の分析があればお知らせいただきたいと思います。あと、この成約された事例での規模は、企業あるいは個人の商店ぐらいの大きさなのか、その辺までお知らせいただければと思います。
続けて、産前産後ケアということで、先ほど地域の潜在助産師の掘り起こしを行っているということで、きのう工藤勝子議員の質問の中でも御答弁があったようでございますが、具体的な数値について、あるいは県内に偏在している掘り起こせないような地域もあるのかどうか、その辺について詳しくお知らせください。
それと、まんまるママいわてでございますけれども、昨年10月に立ち上がった組織でございますが、実は、東日本大震災津波をきっかけに立ち上がった組織でございます。私もNPOとのつながりで、この佐藤代表は助産師なのですけれども、東日本大震災津波時に、私がバンの運転手になり、おむつや女性が必要な用品等々を釜石病院に持っていったことがございました。
その後、東日本大震災津波数週間後ぐらいで、花巻市石鳥谷町にある健考館という保養施設に、被災した妊産婦とお子さんを受け入れる活動にも若干携わりましたけれども、避難所にいる小さいお子さんとお母さんですから、内陸に来て、そこで静養するのは、大変心が落ちついて、穏やかになったのではないかと思っております。そこを利用した6番目の利用者が、今、主要スタッフとして活躍しているということでございますが、そもそもこの機能や施設が必要であるから私がやるという強い使命感と熱意、あるいは、ある程度起業マインドを持った助産師がいてこの事業が成り立ったかと思われます。
そうしますと、これは政策地域部のほう、NPO、ボランティア団体とか協働社会にかかわってきて、話はそれて大きくなってしまうので、その辺は取り上げませんけれども、どうやれば行政主導ではなくて民間として立ち上がるのかという意識づけやらノウハウやら、そこを動かすことが大事ではないのかと。行政がやってくれれば、それは早いのですけれども、そこを動かして、その道筋を示す、そういう施策も必要ではないかと思われますが、いかがでございましょうか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、事業承継の状況につきましてですが、議員御指摘のとおり、ここ何年かの事業承継の取り組みの結果、あのような件数になっていることは、裏を返しますと、御案内かもしれませんが、この承継の手続は非常に時間のかかるものと言われております。といいますのも、経営状態、赤字か黒字かを初めとしまして、そういった経営実態をよくよく双方が理解し合って、それで承継する可能性があるのか、そして、どういう方法がいいのかを検討していかなければならないというものもありますし、相談自体も、明確に今承継したいという形で相談する場合は極めてレアケースでして、どうしようかというところから入ってくる場合も多うございます。そういったことで、いわゆる成約に至るまでは相当時間がかかる。これは全国的にもそうでございまして、数%台と、本県の実績のほうがやや高いぐらいの成約割合と伺っております。
また、どのような規模の成約になるかといいますと、これは企業情報でございまして、つまびらかに御説明できないところでございますが、夏前ぐらいに新聞報道で御紹介があったと思いますが、盛岡市内の精肉店の例などは好例だと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 地域の潜在助産師の掘り起こしを助産師協会等と協力しながら、地域で支える周産期保健医療支援事業をやっておるのですけれども、本年11月末現在でリストアップしている助産師の数は34名ということでございまして、そうした協力助産師に、議員から御指摘のありました市町村の産前産後ケアセンターでの協力をお願いするとか、そうした取り組みをしながら、地域で支えていこうということであります。
御紹介いただいた花巻市のまんまるママいわての取り組みは、非常に身近な地域で母子への心身のケアが受けられますし、育児サポートなどにより安心して子育てができる施設でありますので、そうした取り組みが県内各地で進むように市町村を支援してまいりたいと考えておりますが、開設助産師の取り組みを花巻市が支援してこうした取り組みをしているということでもあります。
起業家マインドという御紹介もありましたので、県としては、先日開催した母子保健セミナーでも、遠野市の取り組みもそうですが、全国的にすぐれた取り組み、例えば、福島県郡山市では、市内の助産院等に委託しながら、空きベッドを利用したショートステイという産前産後ケアをしたりしております。そうした優良事例も紹介しながら、産前産後ケアの事業の取り組みというところを、ぜひ市町村を支援しながら行っていきたいと考えているところでございます。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時10分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
42  番 田 村   誠 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時28分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(五日市王君) 日程第1、一般質問を継続いたします。神崎浩之君。
〔20番神崎浩之君登壇〕(拍手)

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