平成29年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇35番(中平均君) 創成いわての中平均です。
12月議会において一般質問に登壇の機会をいただきました同僚議員各位に感謝を申し上げます。
質問に入らせていただきますが、知事初め執行部においては率直な答弁をお願いいたします。
今、日本を取り巻く環境は、急激な少子高齢化の進行とグローバル化の進展、AI等に代表される技術革新により、今までとは全く違う予測困難な時代を迎えており、岩手県においては、その荒波をより大きく受けることが想定されます。
しかし、過去の時々においても、例えば現在の車社会の到来やインターネットの普及による情報化社会を完全に予測し得たことはなく、その時々の課題を克服するため、多くの先人たちの奮闘の上に今の岩手があるものと思います。現在直面する課題を解決に導き、そして次の世代に引き継いでいく、未来への責任ある行動が求められています。
以上の観点に立ち、通告に沿って順次質問いたします。
最初に、地方創生の実現に向けた取り組みについて伺います。
9月議会の決算審議を踏まえ、現在、平成30年度予算の編成に向けて鋭意作業中であると認識しています。東日本大震災津波からの復旧、復興事業の進捗によって予算規模の縮小が想定されますが、県政のさまざまな課題に対応するため、一定程度の予算総額をもって編成されるものと考えます。そうした方針の中で重点的に取り組もうとしている政策をお伺いいたします。
次に、人口減対策についてでありますが、取り組み状況について伺います。
平成29年の社会減は岩手県全体で4、543人、沿岸部においては2、034人となりました。その中で、沿岸12市町村から県内内陸部への転出は2、981人となります。そして、平成28年の合計特殊出生率は1.45となっています。
県においては、平成27年に作成した岩手県ふるさと振興総合戦略に基づき、岩手への新たな人の流れを生み出すための取り組みを行っていると認識しています。目標値として、平成32年に社会減ゼロ、出生率は平成31年に1.45以上としていますが、今回の数字についてどのように認識しているのかお伺いいたします。また、人口減対策の計画を確実に実現できると考えているのかもあわせてお伺いいたします。
国の予算、政策の積極的な活用についてお伺いいたします。
市町村においても社会減対策を進めている中、全国全ての自治体が社会減ゼロになるという計画ではありますが、実際には計画達成ができる自治体とできない自治体に分かれてくるのだろうと想定されます。岩手県において、県の計画を実現させることはもとより、各市町村の計画も達成できるよう相互に協力していくことが必要です。内陸部の人口がふえ、沿岸部は減少し続ければ、トータルとして岩手県の社会減ゼロが達成したとしても、県内格差が進むことになります。
国の予算、政策も十分とは言えない状況にありますが、従前と比較すれば、地方や少子高齢化に対応したものがふえてきている現状にあり、中には現場、現地の実態にそぐわないと思えるものもありますが、岩手県は、国への政策提言のみならず、国の予算、政策の積極的な活用も必要と考えますが、いかがでしょうか。
これからの岩手のあり方についてお伺いいたします。
日本における少子高齢化の進行とは別に、世界を見渡せば人口爆発の状態にあるのは周知の事実であります。
日本国内の観点からの東京を初めとした都市部への人口集中を改善していくとともに、国際的には日本の優位性を生かした海外市場への展開や、労働力確保に取り組んでいかなければならない時代へとなってきていると感じますが、国際的な視点と国内的な視点において、岩手をどのようにかじをとっていくかがより問われる時代であり、知事の考えをお伺いいたします。
次に、各種団体への支援について伺います。
岩手県には地域団体やNPOを初めとするさまざまな団体が存在し、地域の資源を生かし魅力を高める取り組みを、単体で、あるいは自治体などと協働して行っています。こうした団体の活動は、行政の支援や、財団、企業等の助成制度を活用することによって事業規模等の広がりが進み、結果として、地域づくりや地域の活力、魅力の維持、拡大につながっていることから、こうした団体が支援や助成制度を必要としたときの相談窓口の充実は重要な課題であります。
自治体に相談すると、対応できる予算がないといったところで終わってしまうケースも多く見受けられますが、行政の支援は無理でも、民間の資金が使える場合も多くあることから、アドバイスなど手助けできる場所が必要であります。
NPO団体については、盛岡市のアイーナにあるNPO活動交流センターがその役割を担っているところですが、このほか、地域の資源を生かし、地域の魅力を高める取り組み、活動を進めている団体などの相談に対して県はどのように対応しているのでしょうか。また、適切なアドバイスなど手助けをワンストップで対応できる窓口が必要と考えますが、今後の対応方針とあわせて伺います。
次に、知事の掲げるソフトパワー戦略についてですが、代表とも言えるいわてマンガ大賞はことしで7回目が開催されました。回を重ねるごとに応募作品のレベルも上がり、商業誌と遜色ないところにあると伺いました。ではありますが、その事業効果をどう捉えているのかお伺いいたします。
その上で、せっかくやるのであれば、もう少し積極的な活用ができるのではないかと思うのです。コンテストで終わりではなく、県のホームページ等各種媒体に活用することもできると考えますし、県の周知したい政策をわかりやすくするため等に活用する方法もあります。次年度の開催に向けた考え方を伺います。
次に、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興について伺います。
最初に、学校での復興教育について伺います。
東日本大震災津波以降、岩手県ではいわての復興教育が推進されています。大震災から6年が経過し、ことしの小学校入学児童は発災時ゼロ歳児だったわけですが、今後、震災津波の記憶がない、そして直接体験がない子供たちが入学してくることを考えたときに、自助、共助の力を身につけさせるために、学校における復興教育がこれまで以上に重要となり、特に家庭や地域との連携強化が必要であると考えます。
県では、復興教育のさらなる推進のため、今年度から地域連携指定校として久慈地区、宮古地区が指定されています。久慈地区においては、先月29日に合同防災セミナーが開催されたところでありますが、モデル地区の成果を他地域に波及させていく必要があると考えます。来年度以降の取り組みはどうなるのかお伺いいたします。
地区防災計画制度についてお伺いいたします。
内閣府においては、大規模災害における地域コミュニティーの共助による防災活動を推進するため、地区防災計画制度が平成26年4月1日に施行され、県内においては大槌町内など4地区で策定されています。
さきに述べた学校における地域連携教育とも連動させながら計画を策定し、避難訓練等の各種の取り組みを進めていくことが必要ではないかと考えますが、県の考えをお伺いいたします。
防災意識の高揚に向けた取り組みについてですが、大震災、災害の教訓を風化させないために、防災意識の高揚に地道に取り組んでいかなければならないと考えますが、県の総合的な考え、今後の取り組み方針についてお伺いいたします。
災害復旧事業の弾力的運用についてお伺いいたします。
公共土木施設の災害復旧事業は、周知のとおり、被災後、原則として2カ月以内に災害査定、3年以内に事業完了というスケジュールであり、大震災の復旧、復興事業も佳境にあることから、昨年の台風第10号災害の復旧事業については非常に厳しい工程になっているところであります。
そこで、事業期間を1年延長するといった制度の弾力的運用を国に求めるとともに、現場の実態を踏まえた根本的な制度改正を政策提言していくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
県北・沿岸振興について伺います。
創成いわて会派において取りまとめました平成30年度岩手県予算提言・要望書を、本日、知事に提出したところであります。要望書にも記載しているとおり、平成18年度から県政の重要課題、県北・沿岸振興について、引き続き予算確保、人材投入を行い、企業誘致、既存企業の後押しなどをしていかなければならないと考えますが、県北・沿岸振興本部長である副知事の決意をお伺いいたします。
地元資源を活用した観光振興について伺います。
三陸縦貫道、いわゆる復興道路の完成が平成32年度、JRからの移管部分の全区間開通による三陸鉄道の一貫経営方針、来年度の宮古-室蘭航路の開設と、順次、復旧、復興事業が進捗し、それに伴う経済活動が生まれてくる中において、各種事業効果を生かした交流人口の拡大を図る必要があります。
県北地域で言えば、青森県県南の八戸市との緊密な連携のもと、多くの分野において早期に結果が出せる交流に取り組んでいく必要があります。みちのく潮風トレイルやジオパークなどの地域資源を生かし、通過型から滞在型にシフトしていくために、積極的な対外アピール、環境整備といった施策が必要と考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
既存企業の後押しについてお伺いいたします。
地域の経済や魅力を構成している個人事業、小規模事業の経営者の高齢化が進んでおり、事業の継続をどうするかが問題となっています。実際、2016年に廃業した経営者の年齢は60歳代以上が80%を超えており、高齢化が進んでいます。経済産業省の中小企業庁も危機感を持っているのが、中小企業白書、小規模企業白書でも読み取れます。事業承継の問題については早期に対策が必要であり、人口減少問題とあわせて後継者対策を行うことが必要であると考えます。
事業承継に係る税制優遇の拡充も、来年の税制改正で見込まれていると先日報道にもあったところです。
そういった状況において、岩手県では事業引継ぎ支援センターやよろず支援拠点も内陸であり、事業承継ネットワーク構築事業も盛岡商工会議所が受託しており、県北・沿岸部としては非常に心もとない現況にありますが、県として、事業承継につながる後継者対策をどう考えているのかお伺いいたします。
農林水産業の振興について。
地理的表示保護制度についてお伺いいたします。
農林水産省では、地域の伝統的な生産方法や気候、風土、土壌などの生産地の特性が品質などの特性に結びついている産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護するため地理的表示保護制度をつくりました。岩手県では前沢牛が本年3月3日、野田村荒海ホタテが11月10日に登録となり、現在、江刺りんごが登録前の公表を行っている段階です。
この制度を通じて、国では地域ブランドの競争力向上、それに伴う生産者の増加を図るとともに不正表示の取り締まりは国が行うことになります。
県では、この制度をどのように捉えているのでしょうか。多くの認証制度がある中で、活用していくものと考えているのかをお伺いいたします。
地域の農林水産物の売り込みについてお伺いいたします。
岩手県においては、各種の卸小売業や飲食業などとの企業間取引による販売先の確保が重要であると考え、専門家や関係機関によるセミナーや個人指導の実施、県外の大手量販店と連携した岩手フェアの開催など、商品づくりから販売促進まで一貫した事業者支援と、商談会の出展経費の助成やスキルアップのサポートに取り組んでおり、例として、平成23年度から開催しているいわて食の商談会では、昨年度までの6年間で成約実績が10億円を超えるなど、成果を上げていると伺っています。
一方で、この後に質問します水産業の現状にも関連しますが、従来の主力魚種の生産量の低迷に対応していくためにも、小ロットで自家消費や地域内流通が主体となっている生産物については、地域に密着した、よりきめ細やかなマッチングの支援を行うことにより、販路を拡大することができる余地があるのではと考えますが、県の方針をお伺いいたします。
また、海外販売への支援についてでありますが、上海の高島屋の担当者と意見交換した際、中国への輸出はパッケージ表示等規制が厳しいが、一度経験することによってノウハウが蓄積されることが事業者にとって重要と伺いました。こういった観点に立った海外販売への支援も必要と考えますが、あわせてお伺いいたします。
水産業の振興についてお伺いいたします。
漁獲量の減少等についてでありますが、今年度は、昨年に引き続きサンマやスルメイカの不漁が続いており、漁船漁業者の経営も非常に厳しい状況になっています。さらには、水産加工業者は、価格の高騰から原料が確保できずに、廃業や稼働を縮小せざるを得ない状況にあります。
本県の主要な水揚げ魚種であるサンマやスルメイカの水揚げの状況と、これらの魚種の漁獲が減少している理由、今後の見通しについて伺います。
次に、サケ漁業の振興についてでありますが、本県漁業の中核となるサケについては、これまで先人の努力により昭和58年には3万トンを超え、平成8年には7万トンを超える漁獲を記録し、本県漁業の中核をなしてきました。今後とも種苗を放流し、持続して資源を造成していくことが、本県漁業の根幹を維持することにつながっていくと考えます。
県北地域では、震災後、平成28年台風第10号の後に稚魚の放流が計画を下回る状況になりましたが、ふ化場の努力により、河川に回帰する親魚も少ないながらも確保できており、下安家漁協のふ化場では、今期は海産親魚を使用しなくても計画量の採卵ができていると聞いています。また、県北地域のサケ漁獲量も十分ではないものの、一定量の水揚げがあるところです。
先日の新聞の特集で、現在の稚魚のふ化放流のあり方について検証を促すような記述がありましたが、産業としてサケを増殖し、漁業生産を上げ、漁業者の所得を上げていくためには、これからも健康な稚魚を生産し、仮に海の条件が変化しても対応できる種苗を放流していくことが最も重要なことと考えます。
県においては、今後、しっかりとふ化場を指導し、基本に基づいた放流事業を官民一体で推進していくことが求められています。
そこで、現在のサケの漁獲が不振であることの原因をどのように考えているのか、また、現在、県下のふ化場の種卵の確保の状況と、今後の対応をどのように考えているのかお伺いいたします。あわせて、昨年の台風第10号によって被災したふ化場の復旧についてもお伺いします。
昨年の台風第10号の被害にも見られるとおり、近年多発する異常気象による海面での高波の発生により、定置網や養殖施設の破損等、甚大な被害を受ける回数が増大しています。漁具や施設の被災は、直接漁業生産の減少に直結し、漁業経営の悪化につながるものであることから、その復旧に要する費用については事前に手当てしておくことが極めて重要になってきています。特に、漁協経営の基本である定置網については、近年の異常気象に対応するため、漁業共済制度への加入により事前に準備しておくことが大事であると考えますが、加入状況は決して高くない現状にあります。
共済制度への加入は、掛金が高額であるとの理由から加入者が少ないとも聞いていますが、頻発する災害に備えるためには、これらの制度を活用することが不可欠であり、県としてはどのように対応していく方針なのかを伺うとともに、近年の異常気象を踏まえ、漁業を守っていくために、共済制度の改革について国に提案していくべきではないかと考えますが、県の考えをお伺いいたします。
観光振興についてお伺いいたします。
民泊の活用についてでありますが、国内観光客、海外観光客の県内誘致を考える際に宿泊場所の確保が大きな問題となってきます。平成28年度の岩手県の旅館、ホテルの客室稼働率は、旅館38.1%、ビジネスホテル71.4%、シティーホテル67.2%となっており、まだまだ誘客できる要素があると言えます。一方、沿岸部においては、旅行商品を組む際の宿泊場所の確保がネックとなっている実態も旅行会社等から聞いているところです。
民泊新法が成立し、関係法施行を来年6月に控えた民泊サービス制度について、既存の事業者とすみ分け、地域ごとの宿泊場所の数等を考慮に入れ活用を図ることによって、観光客の入り込み数をふやしていく取り組みが必要と考えます。
空き家等を活用する、今問題になっている民泊と、現在県が注力しているグリーンツーリズムや体験学習を目的としたいわゆる農家民泊とは別個に考えていくべきものであります。今般の民泊新法に対する対応も小さくない課題と考えますが、観光振興の観点から、県としての民泊の活用の考え方について伺います。
リピーター確保の取り組みについてお伺いいたします。
岩手県を訪れた観光客が岩手ファンになり、再度来訪してもらえるようにしていくことが重要になってきます。イベントや宿泊補助等の施策は、岩手を知ってもらう、岩手に来てもらう大きなきっかけであり、重要なことではありますが、一過性のものになりやすいのも事実であります。継続的な取り組みの中からリピーターをふやしていくことが必要と考えます。
先日、長崎県五島列島の小値賀島を県北・沿岸復興議員連盟で視察してきました。佐世保港から船で1時間半の人口約2、500人の小さな島。夜7時には商店は全て閉店してしまい、医師体制は2名で、緊急時にはドクターヘリで30分を要するということでありました。しかし、それでも観光客は来ています。移住者もふえてきていると。やはりやればできるということを示唆しています。視察の中で、ストーリーをどのようにつくっていくかが大きな焦点と改めて感じたところです。
県として、リピーターをふやすための方策をどのように考えているか、具体的な取り組み状況をあわせてお伺いいたします。
続きまして、就業支援の取り組みについてお伺いいたします。
高校卒業後3年以内の離職率の推移はおおむね41%から42%台で横ばいの状況が続いており、短期間かつ情報量も少ない状況で就職先を決めなければならない高校生については、教員も多忙であることから、教員以外の専門的な者が相談、助言、情報提供などを手厚く行い、就職のミスマッチを減らしていくことも重要と考えます。
広域振興局では、雇用対策・労働室と連携し就業支援員の配置を行っていますが、配置状況は全県で39人、公立高校は64校、県立特別支援学校は11校となっています。高校生個々人の特性と職種のミスマッチを減らすための方策がより重要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、地域医療の確保についてお伺いいたします。
医師確保の見通しについてでありますが、地域の医療体制は厳しい現実にあります。産婦人科、小児科を含めあらゆる診療科の体制が整っているのは盛岡医療圏のみという現実の中において、達増知事からは、平成40年度ごろには本県の公的病院の必要医師数を満たし、そして多くの県民の皆様に必要な医療が得られる、地域医療体制が確保できるかということは、決して非現実的なものでなく、10年というスパンで手の届くところにあるので、いかに早くもってくるかということで頑張りたいと、過去の私の質問に答弁をいただいております。
そこでお伺いいたしますが、現在もその認識でよろしいのでしょうか。一日でも早く安心な地域医療体制を到来させるため、現在の状況も踏まえた考えを知事にお伺いいたします。
奨学金による医師養成の取り組み状況についても伺います。
現在の奨学金養成医師の配置対象者数は、平成28年度には31人、平成29年度には59人となり、今後の見込みでいくと、平成40年度ごろには公的病院の必要医師数に達する予定になります。これは順調に行けばということであり、昨年のように奨学金を一括返済し、義務履行を行わないということも考えられます。もちろん、養成医師個人の考えということもあり、一概に悪いと決めつけることはできませんが、岩手県の苦しい財政状況の中から地域医療を守り構築していくために奨学金を捻出し、大きな期待を私たちは持っているわけです。
こういった観点から、義務履行を確実にお願いできるよう選考段階からの学生へのアプローチが必要不可欠と考えますが、今年度の義務履行の状況も含めてお伺いいたします。
三陸防災復興博(仮称)についてお伺いいたします。
先月10日に準備委員会設立総会と第1回総会が開催されました。私も出席したところであります。まだ準備委員会ということで、開催が2019年6月から9月までの60日間程度、正式名称も今年度内に決定するとのことです。
そこで名称についてですが、現在の仮称がひとり歩きし、東日本大震災津波から完全に復旧、復興したイメージがついてしまうと大変なのではないかと危惧しています。予算も人手も足りない中で頑張っている県庁を初めとする多くの皆さんがいます。他県からも応援職員を派遣してもらっている実態もあります。このような状況の中で、岩手はもう大丈夫そうだとなってしまうことが一番大変なことだと感じます。何より、今なお応急仮設住宅等にいる皆さんが取り残された感覚を持ってしまわないかとも感じています。
県では既に復興完遂年のフレーズで県議会内外において多くの議論を巻き起こしたところでもあります。正式名称を決定する際には、以上の点を留意する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
東日本大震災津波の事前、事後の検証等を踏まえた三陸防災復興博(仮称)の開催についてお伺いいたしますが、準備委員会において工藤大輔議員から発言があった、東日本大震災津波発災以前に岩手県の行ってきた施策に対する検証を踏まえての復旧、復興を見てもらおうという意見、岩崎議員からの、復興はオール岩手で進めてきたのだから、今回の実行委員会には沿岸の市町村長、県議会議員のみが入っており、復旧、復興と同じく岩手県全体で行っていく体制がよいのではないかという意見がありました。私も同感であり、あと一点としては、資料に記載されている基本計画等は今後コンペによって企画提案を受け、詰めていくということで伺ってはいますが、現在の基本構想には余りにも見慣れた文言が並んでおり、より精査していく必要があると考えます。
このような意見を踏まえた上で準備を進めていくことが必要だと思いますが、開催に向けた知事の考えをお伺いいたします。
広域ネットワークの整備についてでありますが、広大な県土を持つ岩手県において道路網の整備は大きな課題であります。県においても順次道路改良を進めてきており、久慈と盛岡をつなぐ国道281号についても、私が車の免許を取得した平成元年においては3時間を超える時間を要したと記憶していますが、現在は2時間程度に短縮されています。そして、先月19日には案内トンネルが開通し、早速、久慈-盛岡間を走るJRバスはトンネル開通のため2分短縮の表記に変更されています。下川井工区も来年度からは本格工事に入ると伺っており、着実に整備が進んでいることに感謝を申し上げます。
そこで、国道281号で残る大きな隘路は平庭高原と葛巻町内となりますが、今後の整備方針についてお伺いいたします。
道路の安全対策についてお伺いいたします。
先般、奥州市内における崩落事故がありました。県内には対策が必要な箇所はどのぐらいあるのでしょうか。また、今後、のり面崩落のみではなく、道路の維持管理全般において、道路利用者の安全・安心な通行の確保に向けどう対応していくのか、あわせてお伺いいたします。
以上で一般質問を終わります。答弁を受けての再質問をする場合もございますので、御了承願います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、平成30年度予算編成方針等についてでありますが、社会保障関係経費の増や県債の償還が依然として高い水準で推移するなど、本県の財政運営は、今後も厳しい状況が続くものと見込まれます。
こうした情勢の中、平成30年度においても、東日本大震災津波からの復旧、復興に全力で取り組むとともに、財源が限られる中、全ての事務事業を精査し、いわて県民計画の総仕上げを図りつつ、次期総合計画の策定を見据えた施策についても留意しながら、予算編成をする考えであります。
具体的には、第3期復興実施計画に基づく復興の推進を最優先としながら、いわて県民計画第3期アクションプランに基づく取り組みの中でも、特に、仕事の創出、移住・定住の促進、出産や子育て支援など、ふるさと振興を展開する取り組み、文化・スポーツ振興や国際戦略の加速、若者・女性の活躍の推進、ILCを初めとした科学技術の振興などを重点的に進めてまいります。
また、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した産業振興や、新たな交通ネットワークの展開などを生かした広域観光を通じた交流人口の拡大など、地域の振興を図る取り組みについても進めていきたいと考えております。
次に、取り組み状況についてでありますが、総合戦略の柱の一つである岩手で働くの施策推進目標、社会減ゼロについては、平成28年の実績は3、708人と3年ぶりに縮小に転じたものの、参考値ではありますが、平成29年の実績は4、543人と再び拡大に転じています。
また、岩手で育てるの施策推進目標、出生率の向上については、平成28年の実績は1.45と前年から0.04ポイント減少しています。
一方、重要業績評価指標KPIの達成状況については、実績が未確定である指標などを除いた158指標のうち、おおむね達成以上の指標の割合は全体の84.8%、134指標となっています。
このように、計画期間の中間年を迎える中、KPIの達成状況はおおむね順調であるものの、社会減ゼロや出生率の向上には直ちにつながっていない状況を踏まえ、ふるさとを消滅させないという決意のもと、目標の達成に向けて、より効果的な取り組みを強力に推進していかなければならないと考えています。
また、平成29年は、宮城県では社会増から社会減に転じ、福島県では社会減が2倍近く拡大しているほか、全国的には、東京圏への転入超過数が依然として11万人超となっており、国による東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策が不可欠でありますことから、国に対し、地方重視の経済財政政策を実施するよう、全国知事会等とも連携しながら強く訴えてまいります。
次に、人口減少対策への国の予算等の活用についてでありますが、岩手県ふるさと振興総合戦略の推進に当たっては、地方にとって必要な財源として、一般財源総額の確保はもとより、地方創生推進交付金などの国庫補助金も安定的に確保されることが不可欠であります。
特に、地方創生推進交付金は、県や市町村にとって貴重な財源でありますことから、十分な額を確保するとともに、個々の地域が抱える課題に対応できる真に使い勝手のよい制度となるよう、全国知事会等とも連携しながら提言を行ってまいりました。
こうした提言を踏まえて、国の平成29年度予算においては、地方財政計画において、まち・ひと・しごと創生事業費が1兆円確保されるとともに、地方創生推進交付金が前年度と同額確保され、運用の弾力化も図られたところであり、県では、計14件、12億600万円余を活用することとしています。
引き続き、国に対して、県、市町村が安定的に事業を実施できる財源の確保等を求めるとともに、総合戦略に掲げる施策の展開に当たっては、沿岸部を含む市町村とも連携を図りながら、国の交付金等を最大限活用して、ふるさと振興を強力に推進してまいります。
次に、今後の対応方針についてでありますが、グローバル化が進展する中、成長が見込まれる海外市場に向けて、岩手が持つさまざまな魅力を岩手ブランドとして発信し海外展開を進めていくことは、人口減少に立ち向かい、本県の産業振興を図っていく上で重要であります。
このため、本県の商品やサービスの付加価値を高めながら、外貨や人の流入を促進するため、重点市場等を明確にした上で、県産品の販路拡大や外国人観光客の誘客拡大に取り組んでいるところです。
また、海外展開を継続的、安定的に進めていくためには、経済分野のみならず、人的交流や文化交流など、多面的、互恵的な交流を促進することが重要であり、その担い手となる岩手と世界をつなぐ多様なグローバル人材を育成しながら、海外との交流の基盤となる多文化共生社会の実現にも取り組んでいるところであります。
これらは、岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げる岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱にも資するものであり、岩手への新たな人の流れなどを生み出すため、引き続き、ふるさと振興も強力に推進してまいります。
次に、いわてマンガ大賞についてでありますが、いわてマンガ大賞は、いわてマンガプロジェクトの一環として、岩手の漫画文化の振興と漫画を活用した本県の魅力発信を目的として実施しており、7回目となる本年度は、岩手県を題材にしたオリジナル作品の一般部門のほか、新たに岩手の未来をイメージさせる自由な発想のSF4コマ部門を設け、プロ、アマを問わず広く募集しました。
応募総数は256作品と昨年度を大きく上回り、作品についても、審査員から、回を重ねるごとに質が向上しており、出版社主催の漫画コンテストに劣らないできばえであったとの評価を受けました。
また、一般部門の大賞と優秀賞を受賞した作品については、コミックいわてWebを通じ国内外の方々に向け広く発信しておりますが、ウエブへのアクセス数は、今年度10月末現在で約8万8、000件と昨年度を上回るペースで増加しておりますが、作品で描かれているのは岩手の自然、生活、歴史、伝承、文化などでありまして、岩手の漫画文化の振興とともに本県の魅力発信に大きく貢献しています。
これらの取り組みは、平成24年に法政大学イノベーティブ・ポリシー賞を受賞したほか、さまざまな機関や団体から先進的な事例として取り上げられるなど、全国的に高い評価をいただいています。
また、受賞された方は、被災した龍泉洞の再開を応援するため作成した小冊子への受賞作品の提供や、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の応援ブックへの執筆のほか、いわてマンガ大賞作品募集等のポスター、チラシのイラスト、訪日外国人向けの岩手県観光PR漫画、農業関係団体のマスコットキャラクターデザイン等の制作など、多方面で活躍されています。
今後とも、県において、受賞者やその作品に関する情報共有を進め、受賞者に、わかりやすい施策紹介や県民への広報などに幅広くかかわっていただくよう取り組んでいきたいと思います。
次に、医師確保の見通しについてでありますが、県では、平成20年度から岩手医科大学と一体となって、地域枠を創設するなど医学部定員の拡大に取り組み、これにあわせて、三つの医師養成奨学金制度の貸付枠を現行の最大55名まで拡充して、医師の養成を進めています。
これまでに441名に奨学金を貸し付け、現時点で初期臨床研修医81名を含む158名の医師を養成したところであり、こうした養成医師の配置調整を進めながら、平成40年ごろをめどとして、県全体の公的医療機関の必要医師数である298名を上回る医師の確保を目指しています。
今般、岩手医科大学医学部の定員増が平成31年度まで延長されて、15名の地域枠が継続することとなったことを受けて、今後10年以内に養成される医師数の増加が図られることとなりましたので、当初の見通しより幾分早く必要医師数を満たすことができるのではないかと考えております。
今後とも、奨学金制度の充実に努めながら、養成医師の適切な配置により、医師の偏在の解消を図っていく考えであります。
次に、三陸防災復興博(仮称)の名称についてでありますが、三陸防災復興博(仮称)は、2019年に予定されている三陸鉄道の一貫経営や震災津波伝承施設(仮称)の開館、ラグビーワールドカップ2019の開催など、三陸地域が国内外から大きな注目を集める好機を捉えて、東日本大震災津波への支援に対する感謝の気持ちや復興の歩みを進める地域の姿を伝え、震災の風化を防ぐとともに、多様な交流の拡大を図り、新しい三陸地域の創造につなげる契機とすることを目的に実施するものであります。
名称や実施内容については、沿岸市町村との意見交換や準備委員会の設立総会においても、いまだ復旧、復興の途上にあり、応急仮設住宅に暮らす被災者もいる中での開催であることから、名称等の決定に当たっては、十分に留意してほしい旨の御意見をいただいております。
今後、三陸地域の復興の取り組みや多様な魅力を国内外に発信するとともに、沿岸地域の住民の方々にも共感していただけるような名称等とするよう、沿岸市町村等の御意見も十分踏まえながら検討を進めてまいります。
次に、さまざまな意見を踏まえた三陸防災復興博(仮称)の開催についてでありますが、三陸防災復興博(仮称)は、東日本大震災津波への支援に対する感謝の気持ちや復興の歩みを進める地域の姿を伝えることも目的としており、その一環として、東日本大震災津波の発生前後の災害対策やその教訓、今日の復興の姿を発信するための企画も検討することとしています。
また、去る11月10日に設立した準備委員会は、内陸地域との連携の観点から、市長会及び町村会の会長等にも参画いただいていますが、東日本大震災津波からの復興の大きな原動力となっている、さまざまなつながりの力を最大限生かし、県、市町村、関係団体が一丸となって開催準備を進めていくため、来年3月に実行委員会に改組する際には、オール岩手での取り組みにつながるような体制を検討してまいります。
今後とも、準備委員会の構成員を初め、関係団体の御意見も十分踏まえながら、企画内容等の検討を進めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 県北・沿岸圏域における産業振興の取り組みについてでありますが、県北・沿岸振興につきましては、県政の重要課題と位置づけ、これまでも県北・沿岸振興本部を中心に取り組んでまいったところでございますが、人口減少や高齢化が県平均を上回るスピードで進展しておりますことから、若者の地元定着や女性の活躍の場の確保につながる産業振興を、さらに積極的に進める必要があると考えております。
具体的には、県北圏域の企業誘致等を推進するため、今年度創設しました新たな補助制度や企業立地補助制度の要件緩和措置の効果的な活用や、農業への新規参入を促進するための地域特性を生かした収益性の高い品目の導入やスマート農業など新技術の導入、ブロイラー産業を初めとする地域の特徴的な産業振興に取り組みますほか、宮古-室蘭間フェリーの就航や三陸鉄道の一貫経営の開始などを好機と捉え、国内観光客やインバウンド観光が盛んな北海道からの外国人観光客の周遊などの新たな観光需要の創出や、橋野鉄鉱山や御所野遺跡など地域の特徴的な観光資源を生かした取り組みの強化、さらに、県北地域と県際を越えた広域連携が進んでおります八戸市を中心とする青森県三八地域との広域観光の推進に取り組んでまいります。
平成30年度の予算編成作業におきましては、全庁的な取り組みを強化するため、各部局に対し、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した産業振興や広域観光を通じた交流人口の拡大など、地域振興の取り組みを推進するよう指示しているところであり、今後も、本庁と現場の広域振興局が一体となり、市町村や地域の企業、団体とともに、県政の重要な課題でございます県北・沿岸振興に総力を挙げて取り組んでまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 各種団体への支援についてでありますが、県では、県民やNPO、企業、行政など、多様な主体の交流と連携による活動の促進を図るための拠点として、アイーナに県民活動交流センターを設置いたしまして、さまざまな分野の活動の支援をワンストップで実施しているところでございます。
具体的には、NPO・ボランティア活動、男女共同参画活動、青少年活動、高齢者活動、子育て支援、国際交流活動、環境保全活動についての情報の収集や提供、相談対応などの支援を行っておりまして、その一環として民間団体の助成制度などの情報提供や活用に関する相談を行っております。
また、総合的な支援を実施するため、県民活動交流センターを構成する各施設のセンター長と県の担当部局担当者によりまして毎月開催している運営会議において、各施設の活動状況等の情報共有と連携を図りながら、このセンターの機能、サービスの改善を図っているところでございます。
加えまして、県としては、地域づくり団体等に対しては、セミナーの開催等による先進事例の紹介や各種情報の提供を行うとともに、地域づくりやコミュニティー対策に関する助成制度等の情報を発信しながら各種団体からの相談に対応しているところでありまして、今後とも、さまざまな分野の情報等を有する県民活動交流センターの機能を発揮しながら、各種団体の支援を行ってまいりたいと考えております。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) まず、地区防災計画制度についてでありますが、地区防災計画は、市町村内の一定の地区内の居住者等が協働して地区の防災活動の計画を定めるものであり、この計画に沿って実践的な訓練等を実施することにより、自助、共助の意識が高まり、災害による被害の軽減につながる効果があるものと考えます。
この地区防災計画においては、住民、企業、学校、病院、社会福祉法人等の災害時の役割を定めておく必要がありますが、特に学校は、児童生徒が平日の日中の大半の時間を過ごす場所であるとともに、災害発生時には、避難場所、避難所になる施設であることから、実効ある地域の防災体制を確立するためには、地域と学校との連携方策をあらかじめ定め、これを学校における防災教育に反映させ、学校も含めた地域ぐるみの防災訓練を行っていくことが重要であります。
県では、地区防災計画を策定する際に中心的な役割を担うことが期待される自主防災組織の活動状況について、現在、調査を行っているところであり、この調査結果を市町村と共有しながら、地域の防災力向上に向けた市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、防災意識の高揚に向けた取り組みについてでありますが、地震、津波や風水害などが発生した際、住民が迅速、的確な避難を行うためには、日ごろの備えが基本であり、災害に強い地域社会の構築には、住民の防災意識の高揚が重要であると考えております。
このため県では、県政広報誌のいわてグラフや県政テレビ番組などを活用した防災知識の普及啓発、防災セミナーや岩手県地域防災サポーターによるワークショップの開催、小中学校における防災教育への取り組みなどとともに、地域の中核となって防災活動を担う人材を育てるため、自主防災組織リーダー研修会の開催や岩手大学と連携した防災リーダー育成講座を実施しているところでございます。
また、毎年、地域持ち回りで市町村や防災関係機関等とともに総合防災訓練を実施しており、本年8月の訓練では、昨年の台風第10号災害の教訓を踏まえ、台風の接近による洪水災害を想定した広域避難や避難所の開設、運営などの住民参加型の訓練を行ったところでございます。
今後におきましても、昨年度末に公開したいわて震災津波アーカイブ~希望~の利活用も図りながら、防災意識の高揚に向けたさまざまな取り組みを進め、東日本大震災津波を初めとした自然災害の教訓の風化を防ぎ、地域防災力の強化を図ってまいります。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、災害復旧事業の弾力的運用についてでありますが、災害復旧事業は、災害からの速やかな復旧を図るため、発災年を含む3カ年度内に完了できるように国から財政措置がされるものであります。
一方で、昨年の台風第10号災害については、被害が広域かつ甚大でありますことから、事業期間の弾力的運用等について国と協議を行い、国からは、自治体の事業執行体制や現場状況の変化等を踏まえ、災害復旧事業が期間内に完了しない場合でも、繰越制度等もあることから柔軟に対応していただけると伺っております。
また、制度改正につきましては、昨年度には、大規模災害発生時の査定事務の簡素化について、今年度は、市町村の災害復旧業務のアウトソーシングに係る費用の財政措置について、国に提言を行ってきたところであります。近年、全国的に甚大な被害が頻発している状況もありますことから、地方の実情を踏まえた災害復旧制度のあり方などについて、他県とも情報共有を図りながら、今後とも継続して研究してまいります。
次に、国道281号についてでありますが、国道281号は、久慈-盛岡間の交流連携や県北地域の振興に欠くことのできない重要な路線であり、現在、復興財源を活用して3地区で改築事業を進めております。うち久慈市案内地区は、先月19日に開通したところであります。
また、昨年の台風第10号においては14日間の通行どめとなり、救援活動や地域の日常生活にも支障を来したことから、改築区間以外についても、のり面などの防災対策や局部的な改良整備に取り組み、路線全体として災害時でも機能する信頼性の高い道路の確保に努めてまいります。
なお、平庭高原や葛巻町内のトンネル化やバイパスなどの大規模事業につきましては、今後の交通量の推移や公共事業予算の動向なども見きわめながら、整備のあり方を総合的に判断してまいります。
次に、道路の交通安全対策についてでありますが、平成19年度に実施した道路のり面等の防災点検を踏まえ、県管理道路については2、296カ所を対象に監視を行うとともに、順次、必要な対策工事を実施しております。
特に、緊急輸送道路等において、被災による影響が大きいと想定される165カ所については、対策工事を平成30年度までに実施するほか、前回点検から10年が経過したことなどを踏まえ、現在、県管理道路全線にわたり監視対象の見直しを行っているところです。
また、道路利用者の安全・安心な通行の確保に向けては、道路防災対策の推進に加え、橋梁やトンネルなどの老朽化にも対応していく必要があり、定期的な点検とそれを踏まえた各施設の長寿命化計画を策定し、計画的かつ効率的な維持管理に努めてまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、潮風トレイル、ジオパークなど地元資源を活用した観光振興についてでありますが、県北・沿岸地域には、多彩ですぐれた観光資源が数多くあり、それらを組み合わせた周遊滞在型観光の展開が重要であると認識しているところであります。
このため県では、みちのく潮風トレイルの遊歩道整備などハード面の受け入れ環境の整備に加え、三陸DMOセンターと連携しながら、地元の観光人材の育成や観光コンテンツの開発支援などを進めるとともに、広域周遊バスツアーの運行支援、国内外へのさまざまなツールによる重層的な情報発信などに取り組んでいるところであります。
今後におきましては、三陸沿岸道路の整備や宮古-室蘭間フェリー航路など、新たな交通ネットワークを生かし、北海道への県北・沿岸地域の観光プロモーションを初め、周遊滞在型観光の推進に向けた八戸地域と連携した観光PR、ジオパークにおける市町村との連携による多言語観光案内表示の整備など、対外的な売り込みと受け入れ環境整備の推進に、引き続きしっかりと取り組んでいく考えであります。
次に、既存企業の後押しについてでありますが、事業承継の取り組みは、経営者の高齢化が進む中で、県北・沿岸圏域においても重要な課題であると認識しております。
事業承継につきましては、各商工指導団体が中心となり、地元の市町村と連携しながら経営指導の一環として取り組まれてきておりまして、さらに、平成27年度からは、全県を対象とする岩手県事業引継ぎ支援センターを設置し、幅広く相談やマッチング等に対応してきております。
そして、今年度からは、税理士会や弁護士会を初め、県北・沿岸圏域を含む県内全域の商工指導団体や金融機関等の参加を得て、事業承継ネットワーク構築事業に取り組んでいるところでございます。
また、後継者に関しましては、従来の取り組みに加え、今年度からは、沿岸部の若手経営者や後継者等を対象としたさんりく未来創造塾を展開し、経営者としての資質を引き出す取り組みや事業構想策定などのプログラムを実施しているところでございます。
地域経済を担う中小企業の振興につきましては、まずもって、地元の市町村や商工指導団体が中心となって取り組んでいるところでございまして、県においては、これら取り組みを支援する各種施策を展開しながら、県北・沿岸圏域における中小企業振興について、引き続きしっかり取り組んでまいります。
次に、民泊の活用についてでありますが、観光振興を図る上では、これまでの農林漁家体験のように、旅館、ホテルでの宿泊にはない体験交流型観光のニーズの掘り起こしや、宿泊施設が少ないために通過型観光地となっている地域での滞在型観光の促進など新たな観光需要を喚起し、地域経済の活性化につなげていくことが肝要と認識しております。
これを実践していくためには、市町村DMOのような観光地域づくり推進組織の活動が重要でありますことから、県では、三陸DMOセンター等と連携し、各市町村における組織化の動きを促進するとともに、地域の特色を生かした多彩なコンテンツや売れる商品づくりを支援しているところでございます。
今後におきましても、農林漁家体験などと地域ならではの魅力を組み込んだ旅行商品づくりを支援し、市町村や関係機関と一体となって売り込んでいく考えであります。
次に、リピーターの確保についてでありますが、リピーターをふやすためには、国内外からの観光客が訪れるたびに新たな発見や体験ができる多彩な旅行商品の売り込みと、いわゆるおもてなしサービスを初めとする受け入れ環境の充実が重要であると認識しております。
このため、地元市町村や関係団体と連携し、二つの国立公園や二つの世界遺産、歴史文化、食、祭りなどさまざまな魅力を組み合わせた旅行プランを構築し、国内外に発信するとともに、国内外の旅行業者への旅行商品化と販売の働きかけなどによる取り組みを進めてきたところでございます。
また、受け入れ環境につきましては、宿泊・観光施設の設備改良などのハード面の支援、内陸と沿岸を結ぶバスツアーの運行や、おもてなしの向上のための人材育成などのソフト面の支援に取り組んできたところでございます。
今後においても、地元市町村や関係団体と連携し、一層のプロモーションの強化と受け入れ環境の充実に努めていく考えでございます。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、地理的表示保護制度についてでありますが、本制度への登録は、知的財産として名称が保護され、模倣品が排除できるだけでなく、これまで産地が育ててきた特産品が地域ブランド産品として差別化が図られますことから、国内外へ大きくアピールする機会になるものと期待しております。既に登録された産品においては、取引先の増加や取引価格の上昇、担い手の増加などの効果があったと伺っております。
このため、県におきましては、地理的表示保護制度の説明会や相談会等を開催するとともに、申請手続を進めるための専門アドバイザーを紹介することなどにより、引き続き地理的表示保護制度への登録拡大を積極的に支援してまいります。
次に、地域の農林水産物の販路拡大についてでありますが、県ではこれまで、安全・安心で高品質な農林水産物の魅力をPRするため、飲食店でのフェアやシェフ等を対象とした商談会、産地見学会を実施し、販路の開拓に取り組んできたところであります。
近年、洋野町の三陸あわびたけや陸前高田市のエゾイシカゲガイなど、出荷量は少ないものの、地域の気候や風土等に育まれた個性豊かな農林水産物は飲食店のシェフ等の実需者から評価され、ニーズが高まってきております。
今後におきましても、市町村等と連携しながら、特色ある農林水産物を積極的に掘り起こすとともに、生産者と実需者とのマッチングの機会を創出することにより、農林水産物のさらなる販路拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、海外販売への支援についてでありますが、農林水産物の輸出に当たっては、輸出手続が煩雑なことや海外での販路開拓が難しいことから、輸出に当たってのさまざまなノウハウを習得し、取引先との緊密な関係を構築することが必要であります。
これまで、日本貿易振興機構が主催する輸出手続の研修会や、海外の流通関係者を招聘した産地見学会により新たな商談が成立し、輸出につながった事例が数多く生まれております。
今後、引き続き、輸出手続とノウハウの研修会の開催や、海外の流通関係者とのマッチング機会をふやすなど、輸出に意欲的に取り組もうとする生産者や事業者の海外への販路拡大を積極的に支援してまいります。
次に、漁獲量の減少等についてでありますが、サンマの漁獲状況は、11月30日(後刻「20日」と訂正)現在、漁獲量1万1、368トンで、東日本大震災津波前同期比27%、前年同期比53%、また、漁獲金額は31億円で、震災前同期比93%、前年同期比79%となっております。
スルメイカの漁獲状況は、11月20日現在、漁獲量2、808トンで、震災前同期比21%、前年同期比75%、また、漁獲金額は15億円で、震災前同期比62%、前年同期比78%となっております。
漁獲量の減少要因としては、国の研究機関によりますと、サンマについては、資源量が減少しているとともに、漁期当初、ロシア海域に漁場が形成されたため、漁場から遠い本県への水揚げがおくれたこと、また、スルメイカにつきましては、主な産卵場であります東シナ海の水温がスルメイカの生育に適さず、資源が減少していることが挙げられます。
また、今後の見通しにつきましては、サンマは漁獲量が少ない状況で、スルメイカは漁獲量が少なかった前年並みで推移する見込みであります。
次に、サケ漁業の振興についてでありますが、11月30日までのサケの沿岸河川の漁獲量は4、708トンで、震災前同期に比べ29%となっております。漁獲不振の原因は、回帰主群となる4年魚、5年魚が、震災後のふ化場復旧途上にあり、稚魚放流数が少なかったことに加え、放流後の海水温が急激に上昇し、稚魚の生残率が低下したことなどが考えられます。
沿岸河川の11月30日現在のサケ種卵の採卵数は、蓄養中の親魚分を合わせて2億2、700万粒で計画の85%となっており、各ふ化場では遡上する親魚を最大限利用するとともに、定置網で漁獲されたサケを親魚として活用し、種卵の確保に努めているところであります。今後とも、こうした取り組みを徹底し、計画している4億尾の稚魚放流を目指してまいります。
平成28年台風第10号により被災した野田村の下安家ふ化場など3施設につきましては、今年度、復旧整備を行っており、このうち下安家ふ化場は平成29年9月から稚魚生産を開始しております。また、岩泉町の小本ふ化場及び宮古市の松山ふ化場は、稚魚育成までを近隣ふ化場で行い、平成30年2月の施設完成後に稚魚を収容し、生産を開始する見込みであり、種苗生産への影響は生じないものと見込んでおります。
次に、共済制度についてでありますが、定置漁業に係る共済制度は、漁獲金額が不漁等で減少した損失を補償する漁獲共済や、災害等による施設の損害を補償する漁業施設共済などであり、漁獲共済の加入率は91%と高いものの、漁業施設共済の加入率は30%と低くなっております。
漁業施設共済の加入率が低い主な要因は、掛金負担が大きいことによるものであります。このため、国は、平成29年4月に定置漁業者の負担を軽減する制度改正を行い、加入区内の全ての定置網が共済に加入することにより、掛金が最大37%割り引きされる新制度を設けたところであります。
なお、現在、制度を運用しております全国漁業共済組合連合会におきまして、さらなる制度改正のあり方を協議していると伺っております。
県としましては、この新制度を有効に活用していくことが重要と考えておりまして、引き続き、関係漁業団体と連携しながら、新制度の周知や漁業者への意識啓発を行い、共済への加入を積極的に推進してまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 奨学金による医師養成の取り組みについてでありますが、県では、良医を育て、質の高い地域医療の確保に寄与することを理念として、奨学金による医師の養成に取り組んできたところであります。このため、医学奨学生の選考に当たっては、その保護者も交えながら、医師を志す熱意とともに、本県の地域医療に貢献する意思の有無などを十分に確認し、慎重に決定してきています。
また、奨学金の貸し付け決定後においては、奨学生に対して、将来の円滑な義務履行に向けた意識の共有を図ることなどを目的とした地域医療セミナー等を開催し、地域医療への意識を高める取り組みを実施するとともに、医師となった後は、養成医師の育成支援を行う医師支援調整監などが初期臨床研修の段階から県内外の養成医師と面談を重ね、円滑な義務履行に向けた助言を行ってきました。
こうした取り組みにより、今年度は25名の養成医師を公的病院に配置したところであり、引き続き、専門医資格の取得などの養成医師のキャリア形成にも配慮しながら、着実な義務履行につながる取り組みを行ってまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 学校での復興教育についてでありますが、教育委員会においては、東日本大震災津波の教訓等を踏まえ、郷土を愛し、その復興、発展を支える人材の育成を図るために、全ての公立学校でいわての復興教育に取り組んでいるところでありますが、地域連携型指定校につきましては、異なる校種や地元団体等との連携強化を図り、発達段階に応じた系統的な防災教育を推進し、地域の防災文化の醸成を図ることを目的として、本年度新たに久慈、宮古地域の2地区を指定し、取り組んでいるものであります。
モデル地区においては、久慈地区では、議員御案内の、高校生が隣接する中学校で防災に関する出前授業を行ったり、宮古地区では、実習船りあす丸を活用した非常時炊き出し訓練に小中学生や地元自治体の皆様が参加するなど、地域防災の担い手としての意識、自助、共助の意識の高揚や実践的態度の向上に努めております。
県教育委員会におきましては、指定校を初めとした学校のさまざまな実践の成果を、研修会の開催やホームページへの掲載等を通じて、その周知に努めているところでありまして、本年度の地域連携型指定校を含めた成果につきましても、さまざまな機会を捉えて、その普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
次に、就業支援の取り組みについてでありますが、若者が早期に離職する理由はさまざまな事情があると考えておりますが、社会人としての基礎を築く時期である高校卒業後間もない時期の離職については、本人のその後の人生設計と社会的にも大きな影響を与えることとなりますので、学校教育の中で健全な勤労観や職業観を育み、また、将来の自己実現に資する総合的な力を育んでいくことが大事であり、このような観点からキャリア教育を進めているところであります。
県教育委員会におきましては、現在、関係部局等と連携して、就業支援員を活用することなどを通じて生徒の就職や職場定着の支援を行うとともに、各学校におけるインターンシップの充実や高校1年生段階での企業見学の実施など、生徒が地元企業を十分に理解する機会の充実などに努めているところです。
このような取り組みは産業界や関係機関との連携が不可欠であり、また、若者の県内定着や離職率の低減は、ふるさと振興を推進していく中で極めて重要でありますので、今後におきましても、関係団体や産業界の皆様との意見交換を進め、課題を共有し、小中学校を含めた学校教育におけるキャリア教育を一層充実させてまいります。
〇35番(中平均君) それでは、何点か質問させていただきます。
再質問として、先に知事に、知事の先ほどの政策実現等の評価の中でKPI84.8%と、おおむね順調に進んでいるということでございました。ただ、しかし、実態の数字としてはなかなか反映されてきていないという現実もあります。そういった中において、これは、どうなのでしょう、いつも議会の場で議論になりますけれども、求めている数値が最初から低いから実積率が上がってきているものなのか、それとも、実際頑張って84.8%とそこまで行った数字なんだけれども、社会情勢等が変化して、実績としてはなかなか上がってきていないものなのか。これは、そういった意味での検証が必要なのではないかと思っております。その点をお伺いします。
今、御答弁の中でそういうものもあるので、来年度施策に向けて等々、より効果的な取り組みを行っていきたいというお話もございました。これは、ぜひ次の予算議会のときに具体的にお示しいただければと思います。他県の交流人口が多い地域の取り組みであったりとか移住人口が多い─今、いろいろと報道されたり、言われている各都道府県での取り組みとか、この間ちらっと見たところでは、新潟県等では母子家庭の移住促進に向けた取り組みとかも進めているとあります。この場で具体的にどういう効果的な取り組みを考えているのですかと聞くわけではありませんので、そういった他県の事例等も踏まえながら、ぜひ、次の議会で、来年度の予算を組んでこういう施策をやっていくという中において、これを取り組んでいくことによってKPIも上がっていくし、実態としての数字も上がっていくのだという方針を示していただければと思いますので、この点をお伺いいたします。
政策地域部長に各種団体の支援についての答弁をいただきました。そのとおりであるのは私も重々承知しております。例えば各地域においての町内会単位でとか、NPO法人の資格を取っていない任意の団体であるとか、もしくは先日の議会でも言ったさんさ踊りという地域の伝統芸能とか、そういったところにおいて、何かやるというときにどうしてもお金が必要で、行政なりに頼みに行くと、今だと予算がないという話になってしまう。そういった中において、今、確かに、急にはできないけれども、こういう趣旨であれば、例えば伝統文化とかであれば、県はないけれども、国の文部科学省の文化庁の事業を使えるのではないかとか、行政の枠を超えて、また、民間の資金等のこともいろいろなアドバイスができるようにしていかなければ─正直やれるところは自分で全部やるんです、相談に行かなくても。では、そうでないところをどうしたらいいかという話を、知事も、広域振興局単位などのいろいろな座談会に行っていろいろなお話を聞いている中で、そのときの回答に、今、県には当該制度がないのでという回答が見受けられます。県としての回答はそうかもしれないけれども、こういうやり方があるんだよとか、申請書はこういうふうに書いたほうがいいんじゃないかとか、そういった取り組みを進めていくべきではないかと思いますので、もう一度、その辺を含めての答弁をお願いしたいと思います。
総務部長に地区防災計画について御答弁いただいて、先ほど、教育長からも、学校と組んでやっていくことで地域の防災力が上がっていくということでございました。内閣府の方と話をすると、小学校の学区単位でのこういう計画を組んでいきたいということでしたので、これから、被災を経験した県として、そういうところをもっと交えていきながら踏み込んでやっていく中で、今の国の予算には地区防災計画に関してはなかなか使える予算というものも正直ないのかと思っていますけれども、それこそ小学校、特に地域が一体となっていろいろやっていく。そういう中で予算要望等もしていく。要は、岩手県からこういうふうにやっていって発信していくことができるのではないかと考えますが、そういう考え方がないかお伺いします。
農林水産部長に地理的表示保護制度の活用について伺います。海外においても農林水産省は商標登録を行っていて、韓国、台湾、マレーシア、カンボジア、EU等10カ国になっています。
県の海外戦略でも、台湾とかは当然重点でもありますし、そういったところにおいてもっと進めていくべきではないかと。何より、現在、全国で48品目しかまだ登録になっていないんです。そういったところを踏まえながらこれから進めていって、知事が、さまざまな場所に、トップセールスで海外に行ったときでも、訴える力がよりアップしていくのではないかと思いますけれども、この活用等、そういった考え方について農林水産部長にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地方創生については、まち、ひと、しごと創生法に基づいて、まず国が人口ビジョンと総合戦略を策定、国のビジョンと総合戦略に基づいて全ての都道府県が─東京都もだったかどうか、厳密にはちょっと記憶に頼ってしゃべっておりますけれども、全ての都道府県がそれぞれのビジョンと総合戦略を策定し、そして、さらに都道府県のビジョン、総合戦略をベースに市町村のビジョン、総合戦略を策定、また、その際には国によるコンサルタント等を活用することへの補助事業も活用しながら、市町村においては策定するということが行われ、岩手県においてもおおむねそのようなやり方で計画を立てて実行に移しているわけであります。
KPIの達成状況はおおむね順調であるけれども、社会減ゼロや出生率の向上といったところは、そういうところにつながっていないという悩みは、岩手はもちろんでありますけれども、全国の地方共通の悩みではないかと思っております。やはり東京圏への転入超過数が依然として11万人超となっているというのは非常にゆゆしきことでありまして、国のビジョンでは、それを5年でゼロにするというビジョン、総合戦略でありましたので、それに呼応するように、それを踏まえて、あるいはそれと並行して日本全国の地方自治体がビジョン、総合戦略をつくっていて、岩手もそうなわけであります。したがって、東京圏への転入超過数を、国のビジョン、総合戦略どおりゼロにしていくような抜本的な対策をやはり国においてもやってもらわなければならないと思っております。
他方、地方は地方でやはりやらなければならないことがありますので、中間年を踏まえた岩手の現状については、県としても、全市町村とこの現状をしっかり情報共有して、分析して、そして岩手において、残り2年間にできること、また、やらなければならないことは何かというのを明らかにしながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇政策地域部長(藤田康幸君) まず、KPIと総合戦略に掲げる目標との関連についてでございますけれども、総合戦略は、岩手で働くということで社会減ゼロを掲げておりました。また、岩手で育てるということで出生率の向上といったことで掲げております。それらを達成していくために百数十の指標で構成しているといった形でございますけれども、これは、各KPIを構成する取り組みと、例えば社会減ゼロとの因果関係といいますか、相関関係をより深く要因分析していく必要があるのだろうと考えております。
そういった認識のもとで、例えば県内から一度東京とかに出られた方々、岩手県出身の方とか、岩手にゆかりのある方々や、あるいは一度県外に出られたけれども、また戻られた方とか、そういった方を幅広く対象としてアンケート調査を実施いたしまして、要因分析というものをより深掘りして、今後の対策につなげていきたいと考えております。
それから、各種団体への支援についてでございますけれども、先ほどお答えした県民活動交流センターにおきましては、民間団体の助成制度につきましても情報提供ですとか相談といったことも行っておりますが、その中で地域づくり、例えば伝統文化の承継に必要な助成制度とか、そういったことについて紹介も行っております。ただ、実際に、そういった情報が各団体に対してしっかり届くということが大事なのかと思っておりますので、アイーナにある県民活動交流センターのほかに全県的に、いわゆる中間支援団体と言われているNPO法人ですとか、あるいは市が設置しているNPO支援センターがございまして、そことの連携強化といったことが必要になってくるのかと考えておりまして、そういった問題意識のもとで改善を図ってまいりたいと考えております。
〇総務部長(佐藤博君) 学校と組んで地域住民による避難誘導であるとか初期消火、救護等の自主的な防災活動は極めて重要な役割を果たすと考えております。
現在、自主防災組織の活動状況等について調査を行っておりますが、その際には市町村にも意見を伺うこととしております。その調査に当たりましては、岩手県自主防災組織活性化検討会議というものを設置しておりまして、そこには大学の教授等の有識者の方々に加えまして、自主防災組織、市町村の防災担当の職員も入っていただいております。こういったところで地区防災計画のあり方等についてもしっかり議論していただきながら、今後、議員から御指摘がありました、学校単位で踏み込んだ取り組みがどういったものができるのかどうか、そういったものも含めて検討、議論をしていただくことで対応してまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず初めに、先ほど漁獲量の減少等についてのお尋ねに対しまして、サンマの漁獲状況は11月30日現在とお答えしたところでありますが、正しくは11月20日現在でありましたので、おわびして訂正を申し上げます。
地理的表示保護制度の海外での活用についてでございますけれども、地理的表示保護制度に登録された産品につきましては、輸出先国におきましても日本の特産品であることが明示されまして差別化が図られますことから、ブランド力の向上が期待できると考えております。
これまで、長野県の市田柿のように登録を機会に輸出が本格化したという事例もございまして、輸出の拡大につながる可能性があるものと考えているところであります。
このため、本県産農林水産物が注目され、輸出が増加しておりますアジア地域におきまして、知事等のトップセールスの際にも地理的表示を活用させていただきながら、積極的に売り込んでまいりたいと考えております。
〇35番(中平均君) KPI等の関係については、どの指標をもって、どれが行ったからということでもないのも承知はしますけれども、片方の数値がよくて、でも達成してないとなると、見ているほうがやはり違和感を覚えるわけです。こういうところはある程度わかりやすくということも大切なことでございますので、その点は今後も表示等を考えていただきたい。
先ほど私も言いましたけれども、これからのより効果的な取り組みというものはどういうものがあるか。今でも十分考えていただいていると思いますが、ぜひこれを出していっていただきたいものですし、私自身もより知恵を絞っていい提言ができるようにこれからも努力してまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いを申し上げて、質問を終わります。
〇議長(佐々木順一君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時33分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
42  番 田 村   誠 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時53分再開
〇議長(佐々木順一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。名須川晋君。
〔18番名須川晋君登壇〕(拍手)

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