平成29年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(神崎浩之君) 自由民主クラブの神崎浩之です。
一般質問の登壇の機会をいただき、先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、直面している県政課題、そして県南の課題について、七つの項目についてただしてまいります。知事を初め県当局の前向きな答弁を御期待申し上げます。
まず初めに、ILC建設実現における知事の対応について。
北上山地が建設候補地とされる国際リニアコライダーについて、先ごろカナダで開かれたICFA─国際将来加速器委員会において当初の計画が見直され、全長が約30キロメートルから20キロメートルに変更する計画が了承されました。これまでは約8、300億円とも見込まれる大きな建設コストが課題でしたが、計画変更により最大で4割削減される見通しであり、誘致実現に向け大きく前進したと認識しております。これまで、最終的には日本政府の判断となるということから、県議会や市町村議会、岩手県国際リニアコライダー推進協議会を初めとする各種団体、市町村など行政機関が中央に出向き、北上山地への建設実現に向けた積極的な意思をお伝えしているところであります。
私も、文部科学大臣や審議官に要望するため文部科学省に出向き、また、担当大臣以外でも、国会議員等が来県、一関に来られる際には、必ずパネル等によりILCについて説明し、要望をしております。
国会議員超党派のリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟会長の河村建夫衆議院議員にも、また、昨年は10月に、当時の文部科学大臣であった松野博一衆議院議員にも一関において要望しております。安倍晋三内閣総理大臣に対しても、一関において、立ち話程度ではなく、じっくりと直接、一関市長と説明、お願いしているところであります。しかしながら、中央からは、岩手県知事からは直接要望されていないというお話をされるわけであります。
知事は、多くの県民の願いであるこのILC建設実現に対し、どれほどの思いを持っていらっしゃるのでしょうか。また、あとは日本政府の判断とされておりますが、それに対してどのように対応され、今後どのように積極的にアプローチしていくおつもりなのかお伺いいたします。
次に二つ目、幸福度の活用と次期総合計画の策定について。
岩手県は、次期総合計画の期間である次の10年を見据え、県民の幸福を的確に把握するための方法を研究するため、平成28年4月に岩手の幸福に関する指標研究会を設置し、専門的観点から調査、研究を行い、この9月に研究会の最終報告が取りまとめられました。
そもそも、知事は、御自身のマニフェストにおいて、幸福度を行政評価の指標に取り入れると宣言したころから、この幸福の概念を施策の展開に活用するという研究がスタートしたと認識しております。
そこで、幸福の指標の作成状況についてお伺いいたします。また、幸福の指標については、次期総合計画において活用するとのことでしたが、その活用方法についてあわせてお伺いいたします。
次に、次期総合計画の策定について。
県では、県民一人一人を初めとした多様な主体が、岩手の未来のあるべき姿に向かって、今後10年間に何をすべきかを考えるとともに、みんなで力を結集し、行動していくための目指す将来像や取り組みの方向性を明らかにするとして、現在のいわて県民計画の後継となる次期総合計画の策定に着手することとしております。
岩手には震災復興、人口減少対策、所得向上など多くの課題があるわけでありますが、私は、今後10年の計画策定に当たっては、個々の施策への対応だけではなく、岩手のこれから10年の夢を知事が大きく県民に示すべきであると考えます。知事御自身が、これからの岩手にどういう夢を持っておられるのか、率直にお伺いいたします。あわせて、次期総合計画の方向性、構成についてお伺いいたします。
次に三つ目の質問、ダブルケアの現状認識と対応についてお伺いいたします。
これは、最後に質問する介護職員不足の話だけにとどまる質問ではありません。家族の中で、子供、親、おじ、おば、配偶者、自分などの複数のケアを同時にする必要がある場合がふえております。昨年の内閣府の調査では、育児と介護を同時に行っているダブルケア─育児と介護の同時進行─の人たちが25万3、000人いるとの推計を出しております。しかし、これは氷山の一角であり、そのケアも多様化、複雑化しており、その介護の深刻さは、到底、当事者やその家族だけで解決できることではありません。精神的にしんどい、体力的にしんどい、自分の親や子供の世話を十分にできない、兄弟や親戚間での認識のずれに悩み、経済的負担が増す等々、まさに複合的であります。たとえダブルケアの状況になっても、人としての尊厳が守られ、日々の暮らしが安穏に続けられるようにしなければなりません。しかし、ダブルケアラーの6割は、実はダブルケアという言葉を知らないという衝撃的な新事実もあります。
そこで知事にお伺いいたします。知事のダブルケアに対する認識はどうか、また、それへの対応についてお示し願います。
4つ目の質問、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号災害への対応について、県南地方の課題を含めお聞きいたします。
東京電力原子力発電所事故に伴う放射線影響対策等に要する費用に係る損害賠償請求についてお伺いいたします。
東日本大震災津波発災から6年以上経過した現在においても、県や市町村においては、放射線影響調査や風評被害対策にかかる経費の支出が続いており、これらは今後とも相当期間続くものと思われます。放射線影響対策にかかった費用については当然に賠償されるべきものでありますが、現実には思うように東京電力から賠償されていないというのが実態であります。東京電力は、政府指示等によらず岩手県の判断で実施した放射線影響対策業務に要した費用については必要性、合理性がないものと判断し、支払いに応じないことから、県では、平成28年3月に原子力損害賠償紛争解決センター─ADRセンターに和解仲介の申し立てを行っておりましたが、去る10月20日、ADRセンターから和解案が提示され、今議会に関係議案が提出されております。
そこで伺います。平成23年度から平成28年度分までの東京電力への請求額と賠償額の状況及び今回の和解案の内容についてお知らせ願います。また、市町村等の分については、県よりもさらに東京電力からの支払いが滞っているとお聞きいたします。その状況と課題についてあわせてお伺いいたします。
次に、生活環境分野における除染への対応についてお伺いいたします。
放射性物質に汚染された道路側溝の土砂については、平成26年12月定例会において、国に対し、早期に処理基準を示すよう要望していくとの答弁をいただいておりますが、現在の状況と今後の見通しについてお伺いいたします。また、汚染土砂の処理に関する市町村への財政支援の状況についてもあわせてお伺いいたします。
次に、岩泉町の復興の課題と支援について。
昨年8月30日の台風第10号の豪雨により岩泉町全体が壊滅的な被害を受け、21名ものとうとい命が奪われるなど、これまで経験したことのない未曽有の大災害となりました。
〔副議長退席、議長着席〕
県では、発災直後に現地災害対策本部を設置し、部長級職員を現地に駐在させるとともに、本庁及び岩泉町に台風災害復旧復興推進室を設置し、現地と緊密に連携しながら復旧、復興に努めました。道路、河川、橋梁などのインフラ復旧、そして住宅再建と、町民、職員、関係者団体、応援職員等が一丸となって全力で取り組まれたと認識しております。
また、岩泉町の復旧工事の中島地区における河川改修に当たって、県当局は、地域住民の声をよく聞き、国と粘り強く協議を重ね、国の災害査定を受けた輪中堤の位置を、住民の要望から計画を変更し、対応したと聞いております。まさに被災地と一体となった取り組みであると私は高く評価しております。
私はたびたび岩泉町を訪れておりますが、大きな復興工事が進む一方で、小さな生活上の課題はなかなか解決しないなと実感しております。例えば個人で設置した水道や生活橋、道路、簡易水道や井戸も被災しました。それから、共聴施設の鉄塔が倒れ、今なおテレビが映らない。テレビ視聴について、被害の状況と復旧状況はいかがか、また、今後、県としてどのように支援していくのかお伺いいたします。
また、これも大きな課題とお聞きしてまいりましたが、東日本大震災復旧復興支援策との違いについて。
同じように被害を受けたのに、東日本大震災津波では認められたが、台風第10号被害では認められていない支援策があると、町では、町民への説明、対応に苦慮しています。それらの内容と対応についてお伺いいたします。
また、岩泉町及び沿岸被災地にとって、平成28年台風第10号被害は東日本大震災津波に重ねての災害であることから、県は、こうした地域の実情を国へ伝え、事業期間の延長や財源の確保を強く求めていく必要があると考えますが、国への要望状況とその成果についてお伺いいたします。
次に、情報技術を生かした産業振興について。
経済産業省では、被災地である東北地域の経済に対する支援策として、地元企業の課題解決のためのロボット導入促進、IoT活用、産学官連携による競争力強化を挙げており、ローカルロボティクスの推進から地域ロボット推進、地域ロボット事業者育成を支援しております。
私は、地域の製造業者がロボット導入や自動化を図ることにより地域課題が解決し、地域産業競争力や生産性の向上となり、また、地域にロボット導入が促進されることによるロボット事業者の育成が期待できると考えます。
本県においても、奥州市の及源鋳造株式会社が、経済産業省が実施しているロボット導入実証事業を活用し、南部鉄器急須のホーロー工程へのロボット導入により、労働生産性をロボット導入前の2.6倍に高めるなど、新たな動きが出ております。
そこで伺います。IoTやロボット技術を活用した岩手の産業振興の取り組みと今後の方向性についてお示し願います。
次に、IoT等の先端技術や最新ロボット技術は、農業や医療、介護分野等における利活用などさまざまな異業種と連携した取り組みを進めることにより、新製品、新サービスの開発等幅広い視点での産業振興施策が期待できます。
本県では、かねてから自動車関連産業や医療機器関連産業、航空機産業を中心に取り組んできておりますが、特にも高齢化の進展などにより今後も成長が見込まれる医療機器関連産業においては取引拡大の取り組みが進められており、こうした動きは県内ものづくり産業の裾野を拡大し、新産業の創出にもつながるものと認識しております。
そこでお伺いいたしますが、医療機器関連産業の振興策の現状と今後の方向性についてお示し願います。
以降の質問については、降壇し、質問席で行います。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 神崎浩之議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、ILC建設実現に向けての対応についてでありますが、ILCは素粒子物理学の世界最先端研究施設であり、世界中から研究者が集い、21世紀の科学と技術を大きく前進させる国際プロジェクトであり、世界的にも安定した地質的条件を有する本県の北上山地にILCをつくることは、岩手の使命と言うべきものと考えております。
本県にとって、ILCの実現は、加速器関連産業の集積を図り、外国人研究者等と地域で共生していくことにより、新産業の創出やグローバル人材の育成、多文化共生社会の実現など、世界に開かれた地方創生のモデルを岩手において示すことになるものであり、県民にとっても、科学技術や海外への関心、多様性の認識の醸成とともに、郷土への誇りもさらに高まるものと考えます。
このような認識のもと、本県としても、東北ILC準備室など関係機関との連携を深め、政府の判断を後押しするため、研究施設や海外の研究者等の受け入れ環境づくりの準備を加速させてきたところであります。また、東日本大震災津波の発災直後から、復興構想会議等あらゆる機会を通じてILCの必要性を訴え、これまでも、政府予算要望などの場でILCの早期実現について要望を行ってまいりました。
ILC実現の正念場を迎えておりますことから、本県としてもILC受け入れに万全を期す覚悟であり、これまで以上に県や東北の関係機関、関係団体等が一層綿密に協議、調整し、東北の準備状況や経済波及効果等も示しながら、積極的に要望を行ってまいります。
次に、幸福に関する指標の活用についてでありますが、幸福に関する指標の次期総合計画への導入を検討するため、専門的な知見を有する有識者からなる岩手の幸福に関する指標研究会を設置して、本年9月に最終報告書の提出がありました。
報告書では、県民意識調査で得られた主観的幸福感を中心に、幸福に関連する領域を、仕事や健康、子育てや教育など12領域に整理して、領域ごとの実感や客観的指標からなる指標体系を幸福に関する指標としてまとめていただきました。
幸福に関する指標の次期総合計画での活用については、研究会の報告書を十分参考にしつつ、総合計画審議会の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。
次に、岩手の今後10年の夢について、知事自身の夢ということでありますが、岩手が、岩手らしさを失うことなく、岩手らしくあることが私の夢であります。そして、次期総合計画の策定は、県民みんなで岩手らしさを確かめ合い、ともに守り発展させていく議論ができるよい機会であると考えておりまして、私も県民の皆さんと一緒に議論しながら計画づくりを進めていきたいと思います。
次に、ダブルケアに対する認識と対応についてでありますが、国の平成27年雇用動向調査によりますと、県内の介護、看護を理由とする離職者の数が年間約1、000人になると推計され、本県においても、育児期にある者が親の介護も同時に担ういわゆるダブルケアを行い、育児と介護の両立について問題を抱えている方が相当数いると見込まれますことから、育児、介護支援をさらに充実させていくことが必要であると認識しております。
県においては、必要な保育定員を確保するため、保育所等の整備充実に取り組んでいるほか、要介護高齢者の増加に対応した介護サービス提供体制の整備を進めるなど育児、介護サービスの量的拡充を図り、育児や介護を担う方の負担軽減に向けた取り組みを進めてまいりました。また、企業に対しても、いわて働き方改革推進運動などの取り組みを通じて、育児・介護休業など、労働者の仕事と家庭の両立支援制度の普及、定着を図ってきています。
現在、国においては、地域に暮らす人たちがともに支え合う地域共生社会の実現を目指し、家族の介護など複合的な課題に対応する包括的支援体制の構築を進めており、県としても、市町村や関係団体と連携し、さまざまな問題を抱えた県民の相談にワンストップで対応できる相談体制の構築や、医療、保健、福祉、保育のトータルケアサービスを提供できる施設の充実など、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現に引き続き取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 次期総合計画の方向性等についてでありますが、次期総合計画におきましては、県政の最重要課題である復興の取り組みを明確に位置づけるとともに、幸福をキーワードに、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどにも着目しながら、今後10年間に、県民みんなが力を結集し行動していくための目指す将来像を描いていきたいと考えております。
計画の構成につきましては、県民みんなで目指す将来像と、その実現に向けて取り組む政策の基本方向を明らかにする長期ビジョンと、その具体的な推進方策を明らかにするアクションプランからなる構成としております。
去る11月8日には総合計画審議会に諮問いたしまして、本格的な議論を始めたところでございますけれども、計画の策定に当たっては、今後10年の岩手や、幸福をテーマに、各種アンケートやさまざまな意見交換の場を設定しまして、情報媒体を通じた発信も積極的に行い、幅広く県民の皆さんなどから御意見を伺いながら進めていきたいと考えております。
次に、平成28年台風第10号被災者の生活上の課題への対応についてでありますが、岩泉町内の生活橋190カ所のうち73カ所が被災しまして、うち51カ所について町が昨年度中に応急復旧を行っているところでございます。今後、本復旧に向けて、町では必要な経費の最大9割を補助する意向でありまして、河川改修にあわせて本復旧が進められるものと伺っております。
飲料水個人施設につきましては、町単独の補助事業への問い合わせが36件ございまして、うち13件について申請がなされ、そのうち9件が復旧済みと伺っております。
テレビ共聴施設につきましては、現在、31世帯が地上波を視聴できない状態となっておりますけれども、町では、現在、国庫補助を活用して本復旧を行っておりまして、今年度中に完了する予定と伺っております。
個人の資産に当たる生活橋や飲料水個人施設の復旧に対しまして、県による独自の支援は困難でございますけれども、生活橋につきましては、町が開設した支援募金についての企業、団体への橋渡しなど、できる限りの支援を継続してまいりたいと考えております。
次に、東日本大震災復旧復興支援策との違いと対応についてでございますが、東日本大震災津波への対応では、弾力的で自由度の高い総合的な支援制度である復興交付金や震災復興特別交付税の創設、あるいは被災事業者の事業再開を支援するグループ補助金の適用などがなされたところでございますけれども、平成28年台風第10号災害では、これらは認められなかったところでございます。
そのため、県では、自由度の高い総合的な支援制度といたしまして、特定被災地域復興支援緊急交付金を独自に創設いたしまして、平成28年度に、被災市町に対し、総額約8億3、000万円を予算措置したところでございます。また、被災事業者等への支援制度として、地域なりわい再生緊急対策交付金も独自に創設いたしまして、平成28年度に、被災市町に対し、総額約10億9、000万円を予算措置したところでございます。
次に国への要望状況と成果についてでございますが、平成28年台風第10号災害につきましては、東日本大震災津波の場合と同様の財政スキームは設定されていないものの、国の財政措置等は欠かせないと認識しておりまして、国に対しまして、地域の実情を伝えながら、必要な要望を行ってきたところでございます。
この結果、サケ・マスふ化場等の災害復旧事業における国庫補助率のかさ上げや、小規模事業者持続化補助金の新たな支援枠の創設、あるいは光ファイバーやテレビ共聴施設等の復旧に対する補助制度の適用などが認められたところでございます。
また、公共土木施設の災害復旧事業の期間の延長につきましては、繰越制度もあることから、被災地の状況を踏まえ柔軟に対応できると伺っております。
平成28年台風第10号災害は、東日本大震災津波に重ねての災害でもあることから、被災した市町とも連携を図りながら、引き続き、被災地域の実情を国に伝えるとともに、必要な財政措置等について強く求めてまいりたいと考えております。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) 東京電力に対する損害賠償請求の現状と課題についてでありますが、平成23年度から平成28年度までの損害に係る県の損害請求額は118億9、000万円余、賠償額は110億3、000万円余であり、賠償率は92.7%となっております。
東京電力が賠償に応じない費用のうち、平成25年度及び平成26年度分の損害については、平成28年2月定例会において議決をいただき、原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介の申し立てを行っており、本年10月20日、同センターから和解案が提示されたところでございます。
和解案においては、放射線量の測定や道路側溝土砂の処理に関する費用などが和解の対象と認められた一方、東京電力への損害賠償請求に係る費用や県産品の風評対策事業などは和解の対象外とされ、和解額として5、000万円余の支払いを東京電力に対して求めるものとなっており、今議会に関連議案を提案しているところです。
また、市町村、一部事務組合及び広域連合、計50団体の総額については、賠償請求額は21億9、000万円余、賠償額は7億4、000万円余であり、賠償率は34.0%と、県と比べて低い状況となっているところであり、その要因としては、市町村等では、県と比較して請求額に占める職員人件費の割合が高く、中でも勤務時間内の人件費は損害として認められがたいことなどが挙げられるところでございます。
県としては、今後も、市町村等の賠償請求の取り組みを支援するとともに、東京電力に対し、十分な賠償を速やかに行うよう引き続き強く求めてまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 生活環境分野における除染への対応についてでありますが、除去土壌の国の処理基準につきましてはいまだ示されておらず、今年度の政府予算要望においても要望を続けているところであります。
国では、除去土壌の処分に関する検討チームを設置し、本年9月に第1回会合が開催され、基準策定に向けた取り組みを始めたところであります。今後は、安全性を確認する実証試験を実施した上で検討を進めることとされておりますことから、その検討状況を注視してまいります。
また、汚染土砂の処理に対する市町村への財政支援につきましては、県では、一関市、奥州市、平泉町の県南3市町が行う側溝の汚染土砂等に係る一時保管場所の整備に要する経費に対し、平成25年度から県単独で補助を実施しているところであります。これまで奥州市2カ所、一関市15カ所の保管場所に対し補助を行っているところであります。
側溝の汚染土砂につきましては、空間線量率が問題のないレベルに低減しているところではありますが、県といたしましては、除去土壌の処理基準の早期提示を国に対し引き続き求めていくとともに、一時保管場所の整備についても支援していきたいと考えております。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、IoTやロボット技術を活用した産業振興の取り組み状況と今後の方向性についてでありますが、人口減少社会が進行する中にあって、ものづくり産業分野において、IoTやロボット技術は、生産性向上や省人化を図る上で重要な技術となっており、これらの活用が、今後ますます進展するものと認識しております。
県においては、これら最新技術の導入に積極的に取り組んでいくよう、ものづくり分野での活用事例を広く紹介しているほか、産学官連携により設置したいわてロボット技術研究会を中心に、特にIoTをベースとしたロボット分野においては、最新技術の普及、共有、そして、県内企業と共同で工場の生産ラインを監視するシステムの開発などにも取り組んでいるところでございます。
また、国の事業を活用し、ものづくりの生産現場へのさまざまなロボットシステムの企画、設計ができる民間事業者の育成にも取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、このような取り組みをより強化しながら、ものづくり企業の生産性向上などにつながるIoTやロボット技術の活用を一層推進するとともに、これらの技術を他の産業にも展開し、地域産業全体の振興につなげていく考えであります。
次に、医療機器関連産業の振興策の現状と今後の方向性についてでありますが、医療機器関連産業については、製品への高い信頼性や高品質、厳格な生産管理体制などが求められ、容易には参入しがたい分野ではあるものの、景気の動向に左右されにくく、長寿命化の進展などにより今後も成長が見込まれる分野であると認識しております。
県においては、県内企業が試作した医療機器等の販路開拓のための展示会出展支援やコーディネーターによる首都圏等の大手メーカーと県内企業とのマッチング等を進めているほか、身近なところでは、医療局や岩手県臨床工学技士会と連携し、医工連携ニーズマッチング会を実施するなどしており、現場ニーズに応じた新製品開発に取り組む姿勢を示す県内企業も出てきているところであります。
今後におきましても、医療局等と連携を図りながら、医療現場とものづくり企業をつなげ、新たな製品開発を支援する取り組みなどを進めながら、本県の医療機器関連産業の成長を支援してまいります。
〇20番(神崎浩之君) それでは、ILC建設実現に向ける知事の対応についてお伺いいたしますが、文部科学省ILC議員連盟の要望活動を見せていただいております。知事は、きのうの答弁でも、国に対し積極的に働きかけていく、それから、正念場だと言われておりました。
知事は、県の政府要望では文部科学省に行っているようでありますが、ILCに特化しての要望活動はなさっていないということのようであります。それから、民間団体の県ILC推進協議会、東北ILC推進協議会では、国会議員のILC議員連盟会長に何度も要望に行っているようでありますが、知事は行っていないようであります。
そうした中で、新聞報道で、大船渡市では市民の意識啓発や受け入れ住宅、観光面、それから、港の整備計画も進める上で、ILC推進室を設置したという記事が載っておりました。これらの取り組みについて、知事の所見についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) これらの所見というのは、最後の大船渡市の例についてということであるのであれば、既に奥州市、一関市は、ILC関係で、地元においてさまざまILCについて組織して、また住民の皆さんとともに理解を深め、そして、その情報共有していくということをやっていらっしゃるわけですけれども、そういう地元における理解を深め、また、それを共有していくということを市町村単位でやっていただけるのは、非常にいいことだと思っております。
〇20番(神崎浩之君) 岩手県議会ILC議員連盟も、宮城県議会ILC議員連盟も、実は、本日定例会終了後、岩手県の議員連盟、宮城県議員連盟一緒に、一体的になって要望活動をしていこうという、まさにそういう流れになっているようであります。
そこで、民間や県議会の動きを見て、必死さを感じて、今、ILCは政府の判断という時期にあります。知事も議員連盟会長や自民党幹事長にお願いに行くということはないでしょうか。恐らく達増知事が自民党幹事長や総裁にお願いに行けば、実現するのではないかと私は思っております。
実は、来週火曜日、自由民主クラブの議員が文部科学省の文部科学大臣にILCのお願いに行く予定であります。これらについて、知事も、熱意を判断していただきながら決断していただきたいと思いますが、これらのことについて所感をお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) 基本的には、岩手県としての動き、これは知事の動きも含めてですけれども、よくよく関係の研究者の皆さん、また、経済界、それから東北としての動きと連携しながらやっていかなければならないと思っております。
1週間ほど前、公明党岩手県本部の政経懇話会─ちょっと正式名称は不正確かもしれませんが、山口代表、井上幹事長がいらっしゃる前で、私から来賓挨拶でILCの実現について話をさせていただきましたし、懇談会に先立つ時間、公明党岩手県本部の計らいによりまして、井上幹事長に、地元市町村、それから、谷村岩手県商工会議所連合会会長を含む団体の代表、そして私が、地元関係の状況説明や、また要望する機会をつくっていただいて、その中で奥州市長から、代表してILCについての要望を言っていただく機会を盛岡市内でつくっていただくなどしましたので、自民党岩手県連において、そういう機会をつくっていただければ、助かるなと思います。
〇20番(神崎浩之君) 公明党まで行ったということでありまして、もう一歩、自民党まで一緒に行きたいなと思っております。山下特任教授も講演で、地元は待ちの姿勢でなく、みずからとりに行くやる気と挑戦が重要だというお話もされておりました。
次に、幸福度の関係であります。
幸福は、個人の主観的なものであったり、必ずしも物質的豊かさではない。そういうことを指標であらわすことは、研究会の皆様、また、資料集め等担当職員もさぞ大変御苦労、それから至難のわざだったと思われます。
それで、せっかく研究会で出されたこの研究成果について、私は、総合計画だけではもったいないと思っております。総合計画だけだと、計画をつくって、そこで終わってしまうのではないか。せっかく知事、それから関係の皆様が、幸福の指標というものをつくりました。そこで、総合計画以外の分野において、この幸福の指標をどう使っていくのかについてお伺いしたいと思います。
私は、県職員や県施策全体に、例えば教育とか福祉は当然幸福という観点もありますが、道路でも農業でもスポーツでも窓口業務でも、幸福を意識した仕事をやってほしいと思うわけでありますが、総合計画以外にこの幸福の観点の活用について知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手の幸福に関する指標研究会の最終報告書には、この幸福に関して、自分でいろいろ考えたり、また、ほかの人と一緒に幸福について考えたりするためのワークショップのやり方の紹介でありますとか、あと、1人でもできる幸福についてのチェックシート、自分の幸福感を自分で確認できるチェックシートなども掲載されていて、私もやってみましたが、これは非常におもしろいものです。これは、全ての県民の皆さんがやれるようになっていますので、ぜひ個人的、あるいは職場とか地域とか、集団で御活用いただければと思います。
〇20番(神崎浩之君) 次に、ダブルケアについてであります。
まず、これは保健福祉部長にお伺いしますけれども、ダブルケアに対する対応策として、私は、保育園、老人ホーム、障がい者施設の入所基準にダブルケアの加点があってもいいのではないかと考えます。優先入所であったり、保育、それからデイサービスの送迎時間をそろえる、保育とデイサービスを同じ施設にする、そういう対応策、それから、先ほどありましたけれども、やはり子育てと介護のワンストップサービス、それから、子育てのママ友の間では介護の話はできないという話なんだそうですよ。そういうことなので、多様な当事者会が必要ではないかと。ダブルケア支援ネットワーク等、そういう対応が早急に必要ではないかと思いますが、部長にお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) ダブルケアの関係で、地域包括支援センターは、ワンストップで、さまざまな相談者であったり世帯が抱える複合的な課題を十分に把握して、それを適切なそれぞれのサービスにつないでいくということで、介護をしている方の負担の軽減を図っていくことが重要でありますし、あと、今、議員から御紹介のありました、例えば障がい者と高齢者の施設での同時利用といいますか、そういったこと、あるいは、例えば介護を行っている方が、ケアプランとかをつくっていただくと思うのですけれども、その中で、例えば保育所の利用等にあわせた介護のサービスを利用できるかどうかといったような、まさに介護、育児あるいは障がいの場合もあると思いますが、そうしたさまざまな需要に応じた制度の活用を十分検討していきたいと考えているところでございます。
〇20番(神崎浩之君) 知事にお伺いしますが、育児と介護の重複可能性というのは、晩婚化、晩産化、高齢化の同時進行という背景があります。30代のお母さん等がダブルケアになっていると。それから、団塊の世代、60歳前後であれば、介護、孫支援、そして仕事というトリプルケア的なこともあります。これは、兄弟数が減少して、頼れる家族、近所がいないという背景もあります。ダブルケアのコストは8万1、000円というような数字も出てあります。
そこで、ダブルケアというのは、実は東アジア共通の社会的リスクになるのではないかと言われておりますので、私が先ほど提案した内容について、岩手県としても先んじて取り組んでいただきたいと思うのですが、知事の所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 介護と子育て支援と同じ場所でできるような施設というのは、県内にも各市町村の努力と工夫でできてきているところでありますので、そういう動きをしっかり応援していきたいと思いますし、一方でまた、介護、子育てについて地域で社会的に支えていこうという動きも、それぞれ一生懸命努力と工夫が重ねられているところであります。それらが相まって、さらに企業の働き方改革的な、イクボスという言葉がありますけれども、このイクボスの定義として、それを進めているNPO、また、イクボス知事同盟でも、子育てだけではなくて、介護も含んでいるし、およそ家族関係のケアを共通して指す言葉として使いましょうという合意のもとに使っているところもあり、そういった経済、産業の側からのアプローチも含めて、いわゆるダブルケアの負担に苦しむ人がないようにしていきたいと思います。
〇20番(神崎浩之君) 家族が少なくなって、頼れる家族がいないということで悲鳴を上げている若いお母さんたちがいるということで、対応を急いでいただきたいと思います。
次に、道路、側溝の土砂については、県南地域は、いまだに対応に非常に苦しんでいるところであります。側溝が埋まったままで、雨が降れば道路に水があふれるということなので、一日も早くこの基準と対応について、一緒になって国に対して要望していきたいと思っております。
それから、岩泉町の生活上の課題についてでありますけれども、うちがあって、その前に自分たちで渡した橋、道路が被災されたということで、非常に大変な思いをしております。それから、水道というか飲み水についても、地形的に上水道が整備できているわけではありませんので、それが大分やられたということで不便を来している。
それから、テレビ視聴ですけれども、やっぱりテレビが映らない、BS対応というのもありますが、テレビが映らないということは、非常に不自由な思いをされているのだということで、町が単独で補助しているということがありますけれども、これは、後々町財政にボディブローのように来るのではないかと心配しております。
これらのことについてきめ細かい対応をとっていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 先ほど担当部長から答弁があったと思いますけれども、かつて経験しなかったようなことに、この地域の暮らしの現場、仕事の現場が直面しているということで、基本的には、政府による処理の要綱の決定、そして、それに対する支援を引き続き求めていきたいわけでありますけれども、県としても、やれることをしっかりやっていきたいと思います。
〇20番(神崎浩之君) よろしくお願いしたいなと。
それからもう一つ、岩泉町への支援についてですが、東日本大震災津波からの復興について、単なる復旧ではなくて、このチャンスに前よりもいい町をつくっていこうという動きがありました。
そこで、復興祈念公園もできました、それから、三陸沿岸道路もできる。陸前高田市では、アバッセ高田へ行ってまいりましたけれども、やはりすばらしいエリアが、ショッピングセンターから、図書館から、それから、子供たちの公園から、復興後のすばらしい新たなまちができたという感じも持っております。
一方、岩泉町は、川沿いの被害であります。そこで、同じように岩泉町の道路、川の単なる復旧ではなくて、ピンチをチャンスにして、岩泉町がこの災害を乗り越えることによって光り輝く何か、目玉というかそういうものを支援してあげたいという気持ちがあります。
龍泉洞もあります、それから楽天球場、牛乳、少しずつ再開しておりますけれども、そういうことで、目先の復旧も大切ですが、何か光り輝くような支援を知事も考えてみていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 国連の防災の世界会議で示されたビルドバックベターという考え方、よりよい復興というのは、岩泉町のケースにも当てはまると思います。
私も、発災当初から東日本大震災津波からの復興にならって、将来のビジョンというものもやはりつくっていかなければならないと思っておりましたけれども、岩泉町においては、まず、災害復旧事業の物すごい数に対応するだけでも大変という状態が続いていたので、なかなか、例えば復興、あのとき国が復興構想会議をつくったり、県の復興委員会が何年も先のことまでビジョンを描いたというようなことは、なかなかすぐにはできないような感じではあるのですけれども、ただ、ようやく岩泉町においても、将来のビジョンをみんなで考え、決めていくようなこともできそうだという感触も漏れ伝わっているところでありますし、県としても、そういう方向性があるからこそ、政策地域部のもとに、この対策室をつくって支援しているわけであります。
岩泉町の地域で商業、工業、商店街とか、さまざまな加工販売とか、そういったところで活躍している若い皆さんは、それなりに岩泉の未来の姿を発信してきているということも感じておりますので、そういった岩泉町の皆さんの思いが将来ビジョンになっていくように、県でも支援していきたいと思います。
〇20番(神崎浩之君) ぜひ、単なる復旧ではなくて、一緒になって岩泉町の将来に向けて支援をしてまいりたいと思っております。
それでは、六つ目の質問に移ります。農業振興について、特に、ことしデビューいたしました金色の風の米についてお伺いいたします。
県産米戦略、いわてオリジナル品種のブランド化戦略についてお伺いいたします。
全国の米産地から、食味レベルの高い新品種が登場し、産地間競争が激化する中、いわてオリジナル品種銀河のしずくは、品質、食味ともに全国トップクラスの評価を獲得し、順調なスタートを切ったところであります。さらに、ことし、本県のフラッグシップ米として金色の風がデビューしたところでありますが、このオリジナル品種にかかわった方々に、心から敬意を表するところであります。
新しい岩手の顔となった金色の風と銀河のしずくについて、ブランド化戦略の手応えと今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) オリジナル品種のブランド化戦略についてでありますが、全国の米産地から食味レベルの高い新品種が続々とデビューする中、銀河のしずく、金色の風のブランドを確立するためには、全国の消費者や実需者の認知度を高め、信頼をかち取ることが何よりも重要と考えております。
このため、いわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、米穀専門店を訪問してのPRや県内外でのテレビCMなど、効果的なプロモーションを展開してきたところであります。
その結果、お米に対する深い見識を持つ五ツ星お米マイスターなどから高い評価を得るとともに、先月実施されました米のヒット甲子園2017におきまして、全国195銘柄の中から最終審査の9銘柄に、金色の風、銀河のしずくがともに選出されるなど、全国的に高い評価をいただいております。
現在、次期いわてオリジナル品種ブランド化戦略を策定中でございまして、今後も、この戦略に基づき、関係機関、団体が一丸となって、オリジナル品種のブランドの確立に全力を挙げて取り組んでまいります。
〇20番(神崎浩之君) 知事も、この両方の米については、コマーシャル等も含めて力強く進めて、さぞ思いもあると思います。先日、テレビを見ておりましたら、宮城県で、だて正夢という米を今度つくったということでありまして、私も早速宮城県の新聞を見たところでありますが、宮城県だて正夢2キロ1、360円、仙台三越でということで、本格販売は来年からということで、プレデビューということで200トン売り出すということでありました。
宮城県はササニシキどころでありましたし、それから、古川農業試験場で開発したもちもち感、これぞ天下をとる旨さということで売り出しております。
昨年は青森県から青天の霹靂が出まして、ことしは金色の風というところで宮城県がだて正夢を出してきました。これらについて知事は認識されているのかということと、これに負けない岩手の銀河のしずく、金色の風についての自信をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 日経トレンディの米のヒット甲子園は、毎年、日本で一番おいしいお米を選ぼうと各県から選んでやっているのが、ことしの分が発表になっているんですけれども、全国およそ200品種のお米を、まずその200自体、専門家が選ぶのだそうですが、その200の中から9品種が最終ノミネートに選ばれて、そこに金色の風も銀河のしずくも入っていたということで、まずは金も銀も岩手からトップ集団に入っているかなと。複数のお米品種が9品目の最終ノミネートに入っているというのは岩手県だけでありますので、まず、それなりの成果があらわれているのかと感じております。
〇20番(神崎浩之君) 次に、これらの生産実績についてお伺いいたします。
県では、全国の消費者や実需者から長く愛され続けるお米の産地を目指すとして、生産、販売戦略を展開しておりますが、金色の風と銀河のしずくに係る平成29年度の作付面積及び生産量について、計画に比べてどうだったのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 生産実績についてでありますが、全農県本部によりますと、金色の風については、作付面積100ヘクタール、目標生産量500トンのところ、11月末時点で、作付面積は約110ヘクタール、集荷量は約500トン、また、銀河のしずくは、作付面積1、000ヘクタール、目標生産量5、000トンのところ、11月末時点で、作付面積は約815ヘクタール、集荷量は約4、000トンと聞いているところであります。
〇20番(神崎浩之君) 次に、生産者の反応についてお伺いいたします。
全国に誇る最高級プレミアム米である金色の風は、他の品種に比べて稲が倒れやすい、天候の変化を見ながら小まめに手をかける必要があり、作付場所や作付農家によって単収にばらつきがあったと聞いております。生産者の反応はどうだったのでしょうか。また、従来の米を生産している他の生産者からの来年の作付要望の状況についてもお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 生産者の反応等についてでありますが、生産者からは、8月の低温や日照不足の中、栽培に苦労したが、消費者の評価も高く、全国に誇れる米ができ、満足しているなどの声を伺っております。
一方、品質と食味は確保できましたが、生産者によって単収に差が見られる、土壌改良材などのコスト増に加え栽培管理に労力を要するなど、生産面での課題についての声も伺っております。
このため、年内に栽培研究会を開催いたしまして、安定生産に向けた施肥管理など栽培マニュアルの見直しを図るとともに、低コスト生産に向けたモデル圃場の設置について検討するなど、課題解決に向けた活動を強化してまいります。
また、現在、平成30年度の作付農家を取りまとめているところでありますが、新規作付希望や、今年度取り組んだ生産者からの規模拡大の要望が多く出されている状況でございます。
〇20番(神崎浩之君) もともと収量が少ないとは言われておりましたけれども、天候のせいか、さらにとれなかったと。それを上回る価格で取引できればということなんですけれども、いずれ、今お話のとおりでありました。
そこで、来年度、手を挙げる生産者がいるのかというような心配もあるわけなんですけれども、来年は、これだけ評判がいいということで、県も力を入れて栽培したいと思っていると思いますけれども、来年の作付面積についてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 金色の風の来年度以降の作付計画についてでございますが、金色の風は引き続き県南地区の栽培適地において作付することとし、生産を担うJA等からの要望や、流通を担う米卸等の意見も踏まえ、作付面積を拡大する方向で検討を進めております。
県産米のフラッグシップとして、高価格での取引を維持しながら計画的に作付面積を拡大するためには、全国最高水準の品質と食味を確保し続けることが重要でございます。このため、今後におきましても、作付農家や栽培圃場の選定基準の厳守や、栽培研究会の活動などを通じた栽培マニュアルの徹底、食味計を活用した品質管理の徹底などに取り組んでまいります。
〇20番(神崎浩之君) 次に、販売戦略でありますが、金色の風はふわりとした食感と豊かな甘みという特徴でありますが、おいしい米をおいしい御飯として食べてもらうことが重要でありまして、実は炊き方にも一工夫が必要であると聞いております。水が多いとやわらか過ぎるということを聞いております。
そこで、先ほどの宮城県のだて正夢ですけれども、県のホームページの中に、だて正夢は水加減が大事ですよということで、水の量を炊飯器のメモリから1ミリから2ミリ減らすのがポイントと、この炊き方まで指導しているということであります。
ひとめぼれと同じ水の量だとやわらか過ぎるということで、生産者が、おいしく炊いてもらいたい、おいしいものを食べていただきたいということを言ってらっしゃいましたけれども、この辺についての本県の工夫についてはどうだったのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 金色の風につきましては、ふわりとした食感と豊かな甘みを兼ね備えた、お米本来のおいしさを極限まで追求した最高級の品種であり、その特徴を消費者に御理解いただくことが重要と考えております。このため、市場デビューにあわせて、おいしさの理由等を紹介したパンフレットの作成、配布、また、五ツ星お米マイスターや大手家電メーカーと連携したPRなど、効果的なプロモーションを展開してきたところでございます。
こうしたこととあわせて、私どもは水加減についてはちょっと紹介が手薄だったという反省も踏まえて、今後、そういった面につきましてもしっかりと対応を進めて、おいしい米をさらにおいしく炊いていただくような努力を進めてまいりたいと思います。
〇20番(神崎浩之君) よろしくお願いいたします。米は好みもあるわけでありますけれども、いずれ、生産者の方が、おいしく炊いてほしいということをおっしゃっておりました。
次に、昨年も取り上げましたGAPについてであります。農業生産工程管理の取り組みについてでありますが、農産物の調達基準の一つでありますGAPは、審査機関によって、今、幾つかの種類に分かれてきております。それぞれの特徴及び県内における認証取得の状況についてお伺いいたします。
あわせて、昨年は、東京オリンピックではGAPでないと認められないのではないかということでありましたが、このままでは岩手のおいしい食材が多く使ってもらえないということを思っておりますが、今、その辺の対応についてはどうなっているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、農業生産工程管理─GAPの種類についてでありますが、GAPは、みずからの農業生産活動を正確に実施、記録、点検及び評価することによりまして経営改善を図る取り組みでありまして、求められる取り組み内容と認証のレベルに応じて、輸出にも対応したグローバルGAPやアジアGAP、国内流通を前提としたJGAPなどがあります。これらの認証GAPは取り組み内容が高度で、かつ認証費用が40万円から80万円程度と高額であることなどから、県内の認証農場数は合わせて5農場となっております。
また、本県には国のガイドラインに完全に準拠した比較的取り組みやすい岩手県版GAPがありますことから、この推進を優先し、GAPの全県的な普及、定着を図っておるところでございます。本年9月には、農業者の費用負担なしに取り組み状況の確認を行う運用を開始いたしまして、都道府県版GAPとしては全国第1号となる登録を行ったところであります。
次に、東京2020オリンピック、パラリンピックへの対応についてでありますが、東京オリンピック、パラリンピックの農産物調達基準は、グローバルGAPやアジアGAP等の認証のほか、国のガイドラインに準拠したGAPで、都道府県等の第三者による確認を受けているものとされております。
このため、県では、本年6月、生産者や関係団体が一丸となってGAPの取り組みを推進するいわての農業オリンピアン・パラリンピアン応援宣言を行いまして、機運醸成を図ってきたところであります。また、農業普及員をGAP指導者として養成するとともに、農業者を対象とした研修会等を開催し、GAPへの理解と実践の促進を図ってきたところです。
このような取り組みに呼応いたしまして、生産者のGAP認証取得に向けた意欲も急速に高まりを見せておりまして、例えば、JAいわて平泉「金色の風」栽培研究会におきましては、大会への米の供給を視野に、より高度なアジアGAPの取得を目指しているというすばらしい取り組みを行っております。
こうした積極的な動きをモデルといたしまして、県産農産物の供給に向けた取り組みを、関係機関、団体と連携しながら確実に実施してまいりたいと考えております。
〇20番(神崎浩之君) オリンピックについても、国の基準を得た岩手県版GAPで対応可能だということで安心しております。いずれ、県内の生産者の方が岩手県版GAPを取れるように啓発していただきたいと思っております。
最後の医療、福祉、介護についての質問であります。
介護職員不足への対応について。
介護職員については、介護保険制度創設時の約55万人から平成27年度には約183万人と、15年間で3.3倍に増加しており、国では、2020年初頭までに約25万人の介護人材を確保するとしております。
しかしながら、本県を初め全国的に介護職員不足は深刻の度を深めており、具体的かつ効果的な対策が急務となっております。
そのため、具体的対応策として、介護報酬改定による処遇改善、再就職準備金や修学資金の拡充のほか、介護ロボットの活用促進を挙げられております。また、我が国全体の人口減少社会に対応するため、担い手を生み出す観点から、現実的対応として外国人介護人材の活用も必要と考えます。
そこでお伺いいたしますが、介護職員不足対応策としての外国人介護従事者の活用の状況と課題及び今後の見通しについてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 外国人介護従事者につきましては、平成20年以降、経済連携協定に基づき、インドネシア等一部の国から特例的に介護福祉士候補者を受け入れてきたところでありますが、これに加えて、本年、介護福祉士資格を取得した外国人留学生への在留資格の付与や、技能実習制度への介護職種の追加等の制度改正が行われたところであります。
県内における就業状況等についての詳細は把握しておりませんが、今回の制度改正等に関心を示している県内事業者もありますことから、今後、これらの制度を活用して受け入れを希望する施設も出てくるものと予想されます。
受け入れに当たっての課題といたしましては、介護が対人支援サービスであることを踏まえ、まずは、介護の質の確保とともに利用者の不安を招かないことが重要であると考えております。また、国の外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会では、介護は外国人が担う単純な仕事といった介護職のイメージ低下を招かないようにすること、日本人と同様に適切な処遇を確保することにより、これまで取り組まれてきた介護職員の処遇や労働環境改善の努力が損なわれないようにすることなどへの対応が求められていることから、これらの視点を踏まえた運用が必要と考えております。
〇20番(神崎浩之君) 次に、経済連携協定─EPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れについては、労働力不足への対応ではなく、2国間の経済活動の連携強化ということでありますが、本県における受け入れの現状と課題についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 経済連携協定─EPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れの現状と課題についてでありますが、県内では、平成22年度以降、四つの介護施設において、介護福祉士の資格の取得に必要な知識及び技術の習得等を目的とした外国人介護福祉士候補者を受け入れています。外国人介護福祉士候補者の受け入れ人数は延べ9名で、うち1名が平成28年度の国家試験で介護福祉士に合格したところであります。
受け入れの課題としては、外国人介護福祉士候補者に指導する受け入れ施設の職員の負担が大きいことや、候補者の介護福祉士資格取得に向けた意欲の維持が難しいことなどがあると聞いております。
〇20番(神崎浩之君) 県内からも1名、介護福祉士に合格したという実績があるようであります。
次に、技能実習制度が始まりますが、開発途上国等の外国人を日本で一定期間受け入れ、実際の仕事の現場を通じて技能を移転する技能実習制度について、本県における受け入れの現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 本年11月に技能実習制度に介護職種が追加されましたが、実習生は、入国後、日本語と介護技術に関して原則2カ月間の講習を受ける必要があり、介護の現場での受け入れは早くても来年以降になるため、現在、この制度を活用して本県の介護施設で就業している方はおりません。
なお、県内でも関心を示している事業者があり、受け入れ主体となる監理団体の設立や入国後に必要となる講習の実施、実習先の確保等に関する相談が関係機関に寄せられていると聞いております。来年1月には、実習先での指導者となる技能実習指導員の養成講習が、公益社団法人日本介護福祉士会の主催により県内でも開催されます。今後、受け入れ体制整備の進捗に伴い、本県の介護施設においても外国人が技能実習を受けるようになってくるものと考えております。
〇20番(神崎浩之君) 次に、介護ロボットの活用について。
利用者の生活の質の維持、向上及び介護者の負担軽減を図る観点から活用を促進していくべきと考えます。現在の本県の介護ロボットの活用、普及状況についてお伺いいたします。
また、昨年12月、社会保障審議会介護保険部会において取りまとめられました介護保険制度の見直しに関する意見では、介護ロボットやICT化に関する実証事業の成果を十分に踏まえ、ロボット、ICTセンサーを活用している事業者に対する介護報酬や人員、設備基準の見直しを来年4月の介護報酬改定の際に検討するとなっております。今後の見通しについてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 介護施設等における高齢者の移動支援や認知症高齢者の見守り等のために利用される介護ロボットでありますが、県内では、国の平成27年度補正予算により措置されました介護従事者の負担軽減に資する介護ロボット導入促進事業を活用して、92の事業所において導入されましたほか、独自に導入を図っている事業所もあると認識しています。
また、現在、議員から御紹介いただきましたとおり、国において介護ロボットやICTの活用促進に向けて、介護報酬等の見直しの検討が進められているところであり、今後、一層普及していくものと考えられます。
県といたしましては、本年11月に介護事業所の経営者や幹部職員等を対象に、介護ロボットやICTの活用をテーマとしたセミナーを開催し、導入を働きかけましたほか、現在策定作業を進めております第7期介護保険事業支援計画に介護ロボットやICTの活用促進を位置づけ、施策の展開を図っていく方向で検討を進めているところであります。今後も引き続き介護事業所における介護ロボット等の活用を促進してまいります。
〇20番(神崎浩之君) この1カ月、きょうの新聞、ここ数日の新聞報道でも、やはり介護職員不足に対する外国人の方の支援活用について出ております。
一方、現場のほうからは、やはり情報が少ない、どう対応すればいいのかわからないということが言われて、なかなか二の足を踏んでいるところがあります。
私は、県の役割として、単なる情報提供ではなくて、実際に即した具体的な情報提供、活用、他県での利用状況等も含めたきめ細かい指導をしていかないと、介護人材不足でありながら、こういう制度がありながら、なかなか活用に結びつかないということがあるので、その辺の県の役割についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 県といたしましては、県内事業者の動きを注視しながら、関係団体等と情報交換を行っております。
例えば、外国人実習生の方が沿岸被災地の施設で技能実習する場合等については、住宅確保であったり、赴任に関する経費等への支援は県の現在行っている事業でございますので、そうした支援も考えられますが、議員のほうからも今お話がありましたとおり、実際に介護現場で実習していくに当たっては、事業者の意見といったものをしっかり把握して、県として事業団体と連携して取り組むことが重要であると思いますので、技能実習生を受け入れる事業者などから状況を伺って、県として可能な支援があれば考えていきたいと思っております。
〇20番(神崎浩之君) きょうの新聞でも、北上市において、人手不足対策から、さまざまな奨学金制度等を含めて外国人の方にも対象を広げるというような取り組みが紹介されておりました。こういうことになっていくのだと思いますので、県も、実際体験をしながら、現場を見ながら、情報提供、支援に努めていただきたいと思います。
今、人づくり革命の中で、保育士は月給で3、000円上げ、介護は平均8万円上げというようなものが出されておりまして、これもさらに人手不足の解消に少しは活用されていってほしいと思うわけであります。
最後の質問ですけれども、今まで外国人労働者、介護ロボットという話をしておりましたけれども、実は福祉は人と人との対人援助サービスということで、常日ごろから自立支援ということを言われております。介護ロボットを普及しながらも、介護ロボットでは対応できない福祉に対する対応についてお伺いして終わりますけれども、特に障がい者の方々は、日々、生活の困難さを感じながら生活しております。自立支援、その中には外出支援という大きなテーマがあります。しかし、視覚障がい者の自立支援において、ことし二つの件でこれが脅かされている状況にあります。
一つは、視覚障がい者の外出に大きな支援となっている同行援護サービスでありますが、県内市町村で均一に整備されていないという状況、その担い手であるガイドヘルパーの資格制度が厳しくなりまして、来年から不足するのではないかということで、視覚障がい者の自立支援が非常に脅かされているようなことがあります。
あとは、今、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に係る訴訟、いわゆるあはき法訴訟というものが日本全国で視覚障がい者の幸福を脅かしているのであります。最初の知事への質問も幸福の観点をということでお話をしておりますけれども、障がい者の幸福追求権に対して、この訴訟では、逆に専門学校が自分たちの幸福の追求権を振りかざしてきて、障がい者の幸福を脅かしているという状況があります。
これらのことについて、外国人労働者も大切です。介護ロボットも大切でありますが、人への支援ということで、基本的な障がい者への支援について、課題、これらの対応について、この訴訟の所感についてお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、同行援護の課題とその対応についてでありますけれども、障害者総合支援法に基づく同行援護サービスについて、本年4月以降の本県における1カ月当たりのサービス利用者は90人前後でありまして、関係団体からは、地域によってはガイドヘルパーが不足しているとの指摘を受けています。また、ガイドヘルパーの資格要件につきましては、指定基準等の改正に伴う経過措置が平成30年3月で終了となりますことから、来年度以降のサービス提供に支障が出るおそれについて指摘を受けております。
県としては、県内の指定事業所に対し、引き続き従業者の資格要件を満たすための研修を受けるよう注意喚起を行いますとともに、今年度、市町村において障がい福祉サービス等の見込み量を定める障がい福祉計画を策定することとなっていますことから、市町村に対しては、同行援護の適正な見込み量を設定するとともに、見込み量に応じた必要なサービス提供基盤の整備に努めるよう指導、助言を行っているところであります。同行援護サービスについて、ニーズに対応したサービスの提供ができるよう、ガイドヘルパーの確保であるとか市町村の事業所の調整などを助言してまいりたいと思います。
次に、マッサージ業における無資格者によるあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に係る訴訟の関係でございますが、マッサージなどの医業類似行為につきましては、免許を有する施術者以外が業としてはならないとされておりますけれども、近年、無資格者等が行うリラクゼーション等を標榜する業者が増加する中で、こうした類似の施術行為と区別する定義が法律上明確となっていないため、全国的に対応に苦慮している事例がふえている状況となっております。
県ではこれまで、立入検査の実施ですとか、開設届証明書を施術所内へ掲示するよう指導するなどの対応を講じてきたところであります。また、無資格者の具体的な情報が寄せられた場合は、任意の聞き取りを行うなど事案により個別に対応しておりますが、健康被害など影響が多岐にわたることも想定されますことから、関係機関とも連携を図りながら、今後も適切に対応してまいりたいと考えております。
〇20番(神崎浩之君) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時56分 散 会

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