平成29年12月定例会 第11回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子です。
本定例会におきまして一般質問の機会をいただきました。会派の皆さんに感謝を申し上げ、順次質問してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
6月の定例会におきましても登壇いたしておりますので、質問が一部重複することもあると思いますが、明快な御答弁を心からお願いいたします。
初めに、衆議院議員選挙の結果を踏まえた知事の所感についてお伺いいたします。
突然の解散や野党再編が話題となる中で、10月10日、衆議院議員選挙が公示され、同月22日に投開票が行われました。
今回の選挙は、一票の格差是正に伴い、岩手県の選挙区は4から3に再編されました。特に2区は9市10町四つの村と、本州一広い選挙区となり、地方の声がさらに届きにくい状況と思われます。地方にこそ、人口減少や産業振興、医師不足など課題が山積している現状にありながら、地方の議員が少なくなっていくことは問題であり、現行の制度の見直しや法規の改正も考えるべきと思っております。
そこで、知事にお伺いいたします。知事は、一票の格差について、元国会議員の経験からどのような所感を持っているのでしょうか。また、選挙結果は自民党、公明党で過半数を獲得したわけですが、知事は、こうした結果をどのように捉え、現政権に対してどのように対応していくお考えなのかお聞かせください。
第4次安倍内閣がスタートいたしました。自主財源が乏しい本県にとっては、国からの地方交付税など財源確保を要望していくわけですが、特にも東日本第震災津波からの完遂に向けて、また、平成28年台風第10号被害からの復旧や国際リニアコライダー─ILCの誘致決定など、知事は、残されている任期の中で、県民のために政府に対してどのような行動を起こしていこうと考えているのかお伺いいたします。
次に、次期総合計画の策定についてお伺いいたします。
知事も、県議会議員も、平成32年度までの国の復興・創生期間が終了しない1年前に改選期を迎えます。復興の完遂を目指し、さらに新たな次期総合計画にも知事の強い思いが計画されると思っております。このことからも、私は、知事のコメントから、次期知事選挙においても4期目の県政を担う決意を感じておりますが、いかがでしょうか。
次期総合計画においては、復興後の岩手の姿を想像しながら、特にも新しいまちづくりが完成する三陸を含めたビジョンがとても重要と思われますが、知事としては、重点的に何を提案したいと考えているのかお伺いいたします。
知事が就任演述において岩手の四つの危機を挙げられました。人口減少、所得、雇用、医師不足は今日も変わらぬ重要課題でありますが、県民に広く夢と希望を見出すことができる総合計画を願うわけであります。策定される次の総合計画の公表されるスケジュールや今後の一連の流れについてお伺いいたします。
この後の質問は質問席からといたしますので、よろしくお願いいたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、選挙結果に対する所感と現政権への対応についてでありますが、選挙における一票の格差については、全国を一つの選挙区にしない限り、必ず格差は生じるものと認識しておりますが、一方で、都道府県を単位とした地域の一体性や地勢、交通、その他の自然的、社会的条件にも配慮して選挙制度や区割りを定めていくべきものと考えております。
〔議長退席、副議長着席〕
去る10月22日に投票が行われた衆議院議員選挙については、与野党を問わず虚を突かれた形での選挙となり、それが選挙結果にもあらわれたものと考えますが、主権者にとって選挙における投票が主権の行使の大きな機会であるとの認識のもと、そもそも、あの時点で選挙が必要だったのか、何を議論し、何を決定することを求められていたのか、多くの国民に理解されないまま行われた選挙であったと受けとめております。
知事と政権との関係については、日本国憲法や地方自治法を初めとする法令に基づき、また、国と地方自治体とは対等であるとの原則を踏まえ、国の政府と地方の政府の協力のもと、それぞれの政策課題が解決するよう努めていくべきものと考えます。
次に、県民のための行動についてでありますが、平成30年度は、岩手県東日本大震災津波復興計画といわて県民計画の最終年度に当たりますことから、計画の総仕上げを視野に、第3期復興実施計画に基づく復興の着実な推進や、台風第10号災害からの復旧、復興、第3期アクションプランに掲げた地域の資源を活用した安定的で持続的な産業振興、地域の個性や特色を生かした地域振興に引き続き取り組んでまいります。
また、本県の人口減少に歯どめをかけ、岩手への新しい人の流れを生み出すため、あらゆる施策を総動員してふるさと振興に強力に取り組んでいくとともに、国において復興に必要な予算を確実に措置し、地方重視の経済財政政策、医師の偏在問題の解消、東京一極集中の是正などに向けた抜本的な対策を講じるよう、全国知事会等とも連携しながら、国に対し強く訴えてまいります。
さらに、ILCについても、政府の日本誘致決断を促すため、引き続き、超党派で構成される国会議員連盟や東北ILC推進協議会など関係団体と密接に連携しながら、経済波及効果や東北の準備状況などを示しつつ、国に対し積極的に働きかけてまいります。
次に、次期総合計画の重点についてでありますが、東日本大震災津波からの復興に向けた原則の一つである一人一人の幸福追求権の保障の考え方を踏まえて、県政全般について、幸福をキーワードに、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどにも着目しながら、岩手の将来像を描いていきたいと考えております。
また、県政の最重要課題である東日本大震災津波からの復興を明確に位置づけ、市町村や国と一体となった切れ目のない取り組みを進めるとともに、復興の先を見据えた地域振興にも取り組みながら、長期的な視点に立って、三陸地域の未来のあるべき姿を実現してまいります。
具体的な内容については総合計画審議会等において議論が始まったところでありますが、例えば、復興道路等の整備や宮古-室蘭間の定期フェリー航路開設などの交通ネットワークの向上を産業振興や交流人口の拡大等に生かし、さらに、ILCの実現や海洋エネルギー研究拠点の構築などの長期的な取り組みとあわせ新しい三陸地域を創造し、県全体の発展につなげていきたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 次期総合計画のスケジュール等についてでありますが、計画の策定につきまして、先月8日に総合計画審議会に諮問いたしまして、新たに設置した四つの部会を中心に、各政策分野の目指すべき方向性等について集中的な審議を始めたところであります。
また、計画の策定に当たりましては、今後10年の岩手や幸福をテーマとしたアンケートや、懇談会、ワークショップ等を実施することによりまして、幅広く県民の皆さんなどから御意見を伺うこととしております。いただいた御意見につきましては審議会での議論に反映させまして、来年6月には審議会から中間答申を受けることとしており、これを踏まえて県として計画の素案を公表した上で、パブリックコメントや県内各地での説明会などを実施する予定でおります。
そして、これらを取りまとめまして9月には計画の案を策定いたしまして、これをたたき台として審議会で御議論いただき、11月ごろには審議会から最終答申を受ける予定でおります。
県といたしましては、これを踏まえて計画の最終案を取りまとめまして、平成31年の2月議会に提案することとしております。
〇44番(工藤勝子君) 御答弁ありがとうございました。結局、知事からは自民党、公明党の政権に対する期待を聞くことはできませんでした。けれども、今回の選挙において希望の党が結成されたときは、知事は期待感を示しておりました。実際は、希望の党は政権をとらなかったわけでありまして、結局は自民党、公明党の政権になっているわけですので、知事は何を期待するのかということを私は聞きたいのです。私は、自民党が全面的にいいとは思っていません。確かに悪いこともあります。変えなければならないことも確かにあります。けれども、やはり現在は与党でありますので、知事としては、岩手のためにどんなことを期待しているのかをもう少しお聞かせください。
〇知事(達増拓也君) 先ほど述べましたように、国において復興に必要な予算を確実に措置し、地方重視の経済財政政策、医師の偏在問題の解消、東京一極集中の是正などに向けた抜本的な対策を講じること、また、ILCについての政府の日本誘致決断などを期待しているところであります。
〇44番(工藤勝子君) ですから、そういうことが岩手県政にとって非常に重要なわけであります。知事の任期ももう2年を切っているわけですけれども、今任期中にどのような行動を起こして県民のために働こうとしているのかということを私は聞きたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) 知事と政権との関係については、日本国憲法や地方自治法を初めとする法令に基づき、また、国と地方自治体とは対等であるという原則を踏まえて、国の政府と地方の政府の協力のもと、それぞれの政策課題が解決するよう努めていくべきものと考えます。
〇44番(工藤勝子君) 御答弁ありがとうございます。私の思ったような答弁を引き出すことがなかなかできないわけでありますけれども、知事は県民党として行動していると思っております。けれども、ツイッター等を見れば、余りそうでもないような気がしているわけであります。そういう中において、私は、知事に自民党に来てくださいとか言っていませんので、ぜひ、県民党としての動き方をしてほしいということを願っているわけであります。この件についてお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 御期待に添えるよう頑張っていきたいと思います。
〇44番(工藤勝子君) どうぞよろしくお願いしたいと思います。私は、知事に頑張っていただきたいと思っています。知事にそぐわない政党かもしれませんけれども、私は、県民のために働く、動く、行動する、こういうことが知事にとって非常に大事になってくるのではないかと考えているところでありますので、ぜひよろしくお願いいたします。
一票の格差についてもお聞きしたいと思っております。違憲状態であるということが司法から述べられております。その結果、小選挙区が、岩手を含めまして青森、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で6減となったわけであります。
私はやはり小選挙区の見直しをやるべきではないかと。またもとの中選挙区に戻してもいいのではないかという考えもあるわけですが、知事としてはどう考えるかということをもう一度お聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 知事といたしましては、法律に従い、また、県の選挙管理委員会が適正な選挙を行うことができるよう予算面等をしっかり支えていくというところでありますけれども、今後、選挙制度や区割りを議論していくという中においては、日本国憲法のもとで、一票の格差ということに加えて、都道府県を単位とした地域の一体性や地勢、交通、その他の自然的、社会的条件にも配慮して定めていくべきものと考えます。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ、これはやはり国民が一体となって考えるべきではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、東日本大震災津波からの復興についてお伺いいたします。
東日本大震災津波の発生から6年9カ月を迎えます。この間、県としての努力はもちろんのこと、復興庁の復興財源の確保を初め、全国の自治体、民間団体、ボランティアなどから多大なる御支援や御協力によって、全体的な復興の道筋が見えてきたのではないかと思っています。
11月7日に公表になりました社会資本の復旧・復興ロードマップによりますと、復興事業の進捗状況は着工箇所数で96%となり、完成箇所数も67%となっております。その中で、海岸保全施設、復興まちづくり、復興道路の完成度が、さまざまな要件からおくれている状況となっていると思っております。
9月定例会や12月定例会においても、施工条件の設計見直し変更によって当初の工事費より大幅に増額になっているものもありますが、平成30年度までの県の復興実施計画期間中の完成見通しについて具体的にお伺いいたします。
〇復興局長(佐々木信君) 復興事業の進捗についてでありますが、県では、県民生活に身近な社会資本の主要8分野について社会資本の復旧・復興ロードマップとして取りまとめており、本年9月末時点では、防災集団移転促進事業を行う7市町村のうち大船渡市など3市村が、また、災害公営住宅事業を行う17市町村のうち陸前高田市など8市町村が事業完了するなど、775カ所のうち3分の2を超える521カ所が完成したところです。
さらに、本年度中に、国直轄事業を除く港湾と漁港及び医療の3分野について、全ての事業箇所が完成する見込みであり、県の第3期復興実施計画の最終年度である平成30年度末では689カ所、約90%が完成する見通しとなっています。
県といたしましては、一日も早い復旧、復興に向けて、当初の見込みと異なる事態が確認された場合には速やかに対応するとともに、地元に丁寧に説明して理解を得ながら、早期の工事完成に向けて取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) 最終年度に入ってきているわけでありますが、今後の工事完成に向けて、今、課題となっているのは何なのかお聞きしたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) それぞれの事業分野あるいは事業箇所によって課題はさまざまありますけれども、やはり地形の問題ですとか地権者の問題等で、当初想定していたスケジュールどおり進まない箇所があるのも事実です。そうした箇所については、半年に1度の社会資本の復旧・復興ロードマップの見直しの際に詳細に検討した上で、その情報を地元の皆様に御説明した上で御理解をいただき、早期完成に努めているところであります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ、早期完成に向けてそれぞれ御努力をしていただきたいと思っております。
ことしも早々と寒い冬がやってまいりました。夏の暑さ、また冬の寒さにも耐えながら7度目の冬を迎えている中で、いまだに応急仮設住宅に入居されている世帯は3、688世帯、入居者は7、569人となっています。そのうち65歳以上の高齢者世帯は1、488世帯、また、単身が575世帯となっています。
復興事業が着々と進捗する中にあっても、恒久住宅への住まいの確保はいまだ復興道半ばであると思います。被災者一人一人にとっても、復興の実感は、まさに安全で安心して暮らせる住宅の確保からと思いますが、今の住宅確保の状況をどのように捉えているのでしょうか。また、復興期間中に全ての人たちが恒久住宅で暮らすことができるのかについても、あわせてお伺いいたします。
〇復興局長(佐々木信君) 被災者の住宅確保についてでありますが、本年10月末現在で被災者生活再建支援金の基礎支援金の支給を受けた2万3、140世帯のうち、住宅を再建した際に支給される加算支援金を1万2、774世帯が受給しているほか、災害公営住宅が4、930戸完成していることから、あわせて1万7、704世帯、全体の約77%の再建が完了、または着手したと試算しております。
今後、災害公営住宅は平成31年度までに、面整備時期は平成32年度までに全て完成する見通しであり、それらが完成し恒久住宅が確保され次第、応急仮設住宅等から移っていただくことになります。
一方で、本年9月末時点で応急仮設住宅等にお住まいの4、272世帯のうち、住宅再建の意向が未定または未把握の世帯が180世帯、約4%おられます。
県では、応急仮設住宅等にお住いの方が一日も早く恒久住宅に移行できるよう、沿岸4地区の被災者相談支援センター及びいわて内陸避難者支援センターにおいて相談支援を行っているところであり、引き続き市町村と連携しながら、被災者お一人お一人に寄り添った支援をしてまいります。
〇44番(工藤勝子君) 国の復興・創生期間中の平成32年度までに全ての方々が恒久住宅で暮らせるようになることを私は願っているわけであります。でも、その期間にも、もしかすると恒久住宅に移れないまま応急仮設住宅に残っている人たちもいるのではないかと私は危惧しているところであります。そうならないように願っているわけですけれども、例えばそこまでに全ての方が恒久住宅に移られて、そして全ての応急仮設住宅が撤去される見通しとなっているのかについて、あわせてお伺いいたします。
〇復興局長(佐々木信君) 先ほど答弁申し上げましたとおり、災害公営住宅は平成31年度までに完成し、面整備事業は平成32年度までに完成する見通しであります。そういたしますと、面整備事業につきましては、面の整備が終わった後、それぞれの被災者の方々が御自宅を再建していただくということになりますので、必ずしも平成32年度中に全ての住宅が完成するということは確定的には申し上げられませんけれども、いずれ、面整備事業が完成いたしますと、あとはそれぞれの被災者の状況に応じて住宅の再建に取り組んでいただくわけでありますので、県といたしましては、そういったそれぞれの取り組みに対して市町村と連携しながら支援してまいります。
〇44番(工藤勝子君) あいている災害公営住宅もありますので、本当はそちらのほうに移っていただきたいと私は思っているわけですけれども、なかなかはそうはいかなくて、10月末時点における災害公営住宅の空き室戸数は全体で431戸、うち退去戸数も236戸となっておりますが、今後の入居の見通しについてお伺いいたします。
〇県土整備部長(中野穣治君) 災害公営住宅の入居の見通しについてでありますが、10月末時点で供用が開始されている災害公営住宅4、930戸に対して、空き室は、これまで退去された236戸を含め431戸であり、入居率は91.2%となっております。
こうした空き室が生じている要因は、災害公営住宅に入居を希望したものの持ち家再建を検討されている方や、また、入居することにより新たに家賃負担が発生することに不安を感じていらっしゃる方などが考えられるところです。
今後の見通しについてですが、昨年末に実施した応急仮設住宅等にお住いの方に対する意向調査に基づきまして、沿岸市町村において、応急仮設住宅の集約や特定延長制度への移行に伴う入居期限の設定が行われているところです。そういったことから、今後、災害公営住宅への入居が順次進んでいくものと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 今現在、災害公営住宅に入居されている人たちのうち、65歳以上は1、488世帯あるわけです。高齢化に伴い、今後、多分空き室が出てくるのではないかと思っておりますけれども、今後の入居対策に関して、あいたところをどのように活用していこうと考えているのか。例えば、今回の震災に遭わない人でも、そこの地域に住んでいる人であれば、あいた部屋に入居できるようになるのか。でも、入居の要件には、所得の制限がありますので、災害公営住宅になかなか入れないということもあると思いますけれども、県はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
〇県土整備部長(中野穣治君) 災害公営住宅の空き室の利用ということについてでありますが、災害公営住宅の制度としては、発災後3年を経過して空き室がある場合には、一般の公営住宅として被災者以外の方も入居できるという制度になっております。ただ、今現在の沿岸部の現状を考えますと、応急仮設住宅等にお住いの被災者が多数残っているという現状ですので、災害公営住宅の空き室について、直ちに一般の公営住宅として活用できる状況にはないと考えております。
いずれにしても、沿岸の市町村とも情報交換、意見交換をしながら、今後検討してまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 災害公営住宅は、一般の公営住宅に入居できない高額の収入がある方であっても、特例によって入居できることとなっております。しかし、これらの方々は、入居後3年が経過すると、家賃が段階的に高くなっていく仕組みになっているとお聞きしております。家賃が上がっていくことに対して不安を持っている災害公営住宅の入居者に対して、何らかの支援とか相談窓口が検討されているのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(中野穣治君) 災害公営住宅の家賃についてでありますが、公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することを目的としたものでありまして、基準を超える収入がある方が3年以上入居されている場合には、建設コストをもとに算出される家賃を徴収する旨、公営住宅法に規定されております。
災害公営住宅につきましても収入超過者に対しては同様のルールが適用されますが、沿岸部におきましては、建設コストが急激に上昇していたということあることから、建設時期によって、収入超過者に適用される家賃に開きが生じる見込みもあります。県においては、こうした入居者間の公平性が確保されるように対応を検討しております。
また、沿岸部では、災害公営住宅にかわる民間賃貸住宅が不足しているという特殊事情もあります。また、市町村による人口流出対策等を目的とした独自の補助制度なども考えられるところであることから、具体の対応につきましては、沿岸の各市町村と連携をとりながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 法律により、平成30年4月10日までの申請期間となっている被災者生活再建支援金の加算支援金及び平成30年度末までの事業実施期間となっている県事業の被災者住宅再建支援事業費補助金については、その後に住宅を再建された世帯に対しても、引き続き、補助金が活用できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。平成30年度の4月で申請を締め切ってしまうものなのかについて、お伺いいたします。
〇復興局長(佐々木信君) 被災者住宅再建支援制度についてでありますが、被災者生活再建支援金の加算支援金の申請期間は、住宅再建の前提となるまちづくりの進捗状況等を踏まえ、被災世帯の世帯主が期間内に申請することができないやむを得ない事情があると認められる場合には、国の通知に基づき、1年を超えない範囲で繰り返し再延長できるとされています。
現行の平成30年4月10日までとなっている申請期間の再延長については、本支援金の事務を行っている公益財団法人都道府県会館と協議中であり、延長決定となるよう、鋭意、協議を進めているところです。
また、県と市町村が共同で行っている被災者住宅再建支援事業費補助金の平成31年度以降の事業の実施についても、まちづくりの進捗状況等を踏まえ、市町村の意向も伺いながら、被災者の方々が安心して自立再建することができるよう、検討を進めてまいります。
〇44番(工藤勝子君) 検討を進めるということでありますので、ぜひ検討を重ねられて、どうしてもまちづくりの進捗がおくれている地域において、住宅を再建したい人たちには、きちんと加算支援金が支給できるように御努力をお願い申し上げます。
次に、防災についてお伺いいたします。
近年、甚大な被害をもたらした岩手・宮城内陸地震や東日本大震災津波、さらには昨年の台風第10号による集中豪雨による被害など、災害に見舞われることが全国的にも多く感じられます。地球規模での温暖化による異常気象が原因とも言われております。天災は忘れたころにやってくるという言葉がありますが、今日では、忘れないうちにやってくると思っている人も多いのではないでしょうか。
三陸沿岸の市町村においては、東日本大震災津波によって多くのとうとい命や貴重な財産を失ってしまったことから、ハード事業によって高い防潮堤がつくられ、水門の整備、そして住宅は高台への移転、まちのかさ上げ等、二度と命を落とすことのないための対策が進んでおります。津波によって家が流され、安全な場所を求め内陸に住宅を再建し、離れ離れになっていた家族がようやく新築した家に住み始めたとき、昨年の台風第10号で河川が氾濫したことによって、二度も災害に見舞われた家族がありました。
このように、想定できないことが起きている現実から、治水、土砂災害等と、住民や自主防災組織の取り組みについてお伺いいたします。
災害発生時はできるだけ被害が最小限にとどめるよう、対策がとられてきていると思います。砂防堰堤の建設や河川改修など、限られた予算の中で住宅密集地など、危険の高いところから優先的に対策が進められていると思いますが、県の管理する河川改修事業はどのくらいの進捗状況と認識されているのかお伺いいたします。あわせて、現状の課題についてもお伺いいたします。
〇県土整備部長(中野穣治君) 治水対策についてでありますが、平成28年度末の県管理河川における整備率は48.8%であり、今後も、必要性、緊急性を踏まえながら、河道拡幅や築堤等の河川改修を着実に進めていく必要があると認識しております。
昨年の台風第10号により甚大な被害を受けた小本川や小烏瀬川等の7河川においては、改良復旧事業を導入して重点的に河川改修を進めてまいります。
また、近年、豪雨災害が激甚化、頻発化していることを踏まえ、施設の能力を超える洪水は発生するという認識に立って、ハード、ソフトを総動員した取り組みが必要であると考えております。
ソフト対策としては、本年2月に、岩手県防災会議が取りまとめた新たな風水害に対応した対策に基づきまして、水位周知河川等の指定の拡大、ホットラインの運用、タイムラインの推進等を行ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) 昨年の台風第10号によって、岩泉町を初めといたしまして大災害となりました。1年以上が経過し、河川改修事業も始まってきているわけでありますが、今回の災害の検証と課題についてどのような検討をされているのか。岩泉の地形等の問題もあるとは思いますけれども、大雨が集中的に一気に降ったためということではなくて、抜本的に減災するための対策は、今後どのように検討されているのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(中野穣治君) 河川改修の考え方ということでありますが、今回、昨年の台風第10号の特徴としては激甚的な災害だったわけでありますが、一つは、流木の被害が非常に多かったということがあると思っています。先ほど答弁申し上げましたとおり、大きな被害があった小本川や小烏瀬川等については改良復旧ということで、流下能力を高める抜本的な改修を進めてまいります。
あわせて、流木の被害が大きかったということを踏まえて、各種対策をやっていかなければいけないと考えております。一つは、流下能力を高めるという意味もありますが、発生源である立ち木等の伐採を計画的に進めていくということ。それから、流木等を捕捉する対策として、土砂や流木の捕捉効果の高い透過型の砂防堰堤を、計画的に設置してまいりたいと思っています。
それから河川においては、小本川では、上流部の河道ダムに余裕がある場所を利用して、流木を実際に捕捉するような施設を計画しているところです。こういったものを組み合わせて、豪雨災害時の流木被害の軽減にも努めてまいりたいと考えてございます。
〇44番(工藤勝子君) 一番ひどかったのは、やはり河川のそばにある流木の被害だったのではないかと思っておりますので、今後は河川のそばの流木の対策をしっかりとってほしいと願っております。
土砂災害の危険性のある箇所数と住宅に被害が生ずるおそれがあると考えられる箇所数は、県内にどのくらいあるのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(中野穣治君) 土砂災害対策についてでありますが、県内には、土石流等が発生するおそれのある土砂災害危険箇所が1万4、348カ所あり、このうち、土砂災害防止法に基づく基礎調査により、住宅に被害が生ずるおそれがあることが明らかになった土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンは8、093カ所あります。
県では、土砂災害危険箇所の全箇所の基礎調査を平成31年度までに完了し、公表することを目標としておりますが、昨年の台風第10号の被害の影響もありますことから、これまで以上にスピードアップを図る必要があると考えております。
また、基礎調査の結果につきましては、市町村において、地域防災計画の避難計画やハザードマップ等に確実に反映されるように、一層の連携を図ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) 大変多くの箇所で災害が発生するおそれがあるということがわかったわけであります。財源の問題もあるでしょうけれども、ぜひ、しっかりと対策をとられて、こういう災害に遭わない対策をよろしくお願いしたいと、心から願っております。
ソフト対策と言われる面では、各市町村につくられている自主防災組織の機能や、市町村が実施する防災訓練や避難訓練の参加者の状況を県はどのように捉えているのでしょうか。
また、東日本大震災津波発災後、住民における防災意識は高まっているのでしょうか。自主防災組織の全国比較の状況も踏まえて、現状認識について御所見をお伺いいたします。
〇総務部長(佐藤博君) 住民や自主防災組織の取り組み状況についてでありますが、まず、住民参加による防災訓練等については、昨年度は、台風第10号災害の影響で中止した3市町村を除く30市町村で、約4万2、000人が参加して実施されているところです。訓練の参加者数を見ますと横ばい傾向にあること、また、参加者の固定化などの課題も取り上げられているところです。
こうした点を踏まえ、市町村によっては、新たな訓練項目を取り入れたり、毎年度訓練の地域を変えながら実施するなど、参加者をふやすための工夫をしているところでありまして、県からもこのような取り組み事例を市町村に紹介するなどして、訓練充実に向けた支援を行っております。
また、住民の防災意識については、県民意識調査の結果を見ますと、ふだんから災害に備え準備をしていると回答した方の割合は、平成22年の31.2%から、東日本大震災津波発災以降、平成24年には56.4%に上昇したものの、その後は40%前後で推移していることから、市町村や防災関係機関等と連携しながら、防災意識の高揚に向けた取り組みを検討、実施する必要があると捉えております。
次に、県内の自主防災組織の状況を見ますと、その組織率は平成28年4月現在で84.6%と、これは全国平均の81.7%を上回っているものの、市町村別に見ますと、県北・沿岸地域の7市町村が50%未満となっているなど、地域によってばらつきがあります。
自主防災組織によっては、活動が低調な場合があるといった課題があると捉えております。このため、県といたしましては、これまで実施してきました地域防災サポーターの派遣や自主防災組織リーダー研修会の開催などの取り組みに加えまして、現在、県内全ての自主防災組織を対象に実態調査を実施しております。それらの調査結果を踏まえまして、市町村や自主防災組織、有識者等と協議を進め、自主防災組織の組織化、それから活性化に取り組んでいくこととしております。
〇44番(工藤勝子君) 非常に大事なことではないかと思っています。特に地域においては、高齢化によって自分がどこに避難したらいいかわからないという世帯もいっぱいあり、動けない世帯も現状としてあるわけであります。
昨年の台風第10号の際は、遠野市では、一時避難所に指定されているコミュニティーセンターや地区センターなどが河川より低い場所にあったのですが、県と市町村で、新たな一時避難所の見直し等の検討は行われていらっしゃるのでしょうか。
〇総務部長(佐藤博君) 地域で地域内の人々を守ることや、二重、三重の防災、減災対策ということは、常に備えとしてつくっておかなければならないと考えております。そういった意味で、今、議員から御指摘のあった避難場所につきましても、市町村とよく相談をしまして、そして、地域で地域内の人を守るという体制をしっかり構築していくように、県としても市町村を支援してまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 市町村によって、防災意識の弱いところ、しっかり訓練をしているところと、地域性があるのだろう思っています。でも、県のほうから、ぜひ市町村にしっかりと働きかけて、そして今のような現状を踏まえながら検討していただきたいと、そのように思っております。
次に、6月定例会でも議論を交わしました県立高等学校再編計画についてお伺いいたします。
6月定例会におきましても、時間をかけて一般質問を行いました。知事、教育長におかれましては、丁寧に、また、真剣に御答弁をいただきましたが、結果として、私が期待している答弁を引き出すことができませんでした。私の力不足とも思っております。それでもやはり私は地元の選挙区を代表してこの場に立っているわけであります。ですから、県政課題はもちろんのこと、地元自治体や市民団体等が抱えるさまざまな重要課題についても取り組みながら、何度でも発言や提案をさせていただきますので、御理解をお願いしたいと思っております。
岩手県教育委員会が策定した新たな県立高等学校再編計画では、私の地元である遠野地区の遠野高校及び遠野緑峰高校が平成32年度の統合対象校とされております。
今回、遠野市の高校再編を考える市民会議では、この両校の存続を求める署名活動を行い、1万304件の署名が集まりました。県内外の団体、企業からも応援署名が集まり、佐々木順一議長に提出し、教育長にも報告が行われました。また、あわせて、遠野市長、遠野市議会議長からも要望書が提出されました。
市民会議の皆さんが遠野市と一体となって署名を集めたり、ここまで頑張って行動を起こしているのは、遠野緑峰高等学校の長い歴史の中で、農業振興を図るため、市民の手によって、市民の財によって創設した熱い思いが引き継がれているからだと思っております。お金を出せない人は、あの当時、米1升を出して、そして、どうしても遠野の農業振興を図るのだという、遠野の市民の熱い思いがあって小さいところからスタートした学校でもあります。
署名の1万304件は、市民会議による2校の存続を求める熱い思いと汗の結晶であります。署名の重みをどのように受けとめているのか、教育長にお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 遠野市の皆様の今般の一連の署名活動や要望活動につきましては、高校再編に対する多くの遠野市民の皆様の意見を集約し、その思いを具体的な行動として、県議会と教育委員会に対し、直接お伝えいただいたものと受けとめております。
御案内のとおり、新たな再編計画の策定に当たりましては、一昨年12月の素案の公表後、統合予定校のある地元自治体を中心とした皆様からの強い要望等を踏まえ、地方創生に向けたそれぞれの地域の取り組みの推移や、平成30年度までの入学者の状況等の検証を行い、統合時期等の検討を行うこととしたところであります。
この見直しに対しては、遠野市を初め、他の地元自治体の皆様からも好意的な一定の評価を得た経緯もありますし、昨年度、本年度と、計画に沿った学級減や学科改編の措置を講じてきておりますので、まずは前期計画の着実な推進を基本としつつ、来年度入試の状況を見きわめながら、また、今般の要望等を含め丁寧に検討し、その方向性を定めていきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 遠野市では、限られた予算の中から、生徒に対する通学費の2分の1を補助するということをこの12月定例会に諮り、承認される見通しとなっております。遠くから入学する生徒の家庭の負担を軽減し、1人でも多くの生徒が入学することに努力しているところでもあります。生徒の通学費に対する補助に関する支援についての御所見を伺いたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 遠野市における通学費の補助については、地元高校への生徒確保やJR釜石線の利用促進など、地域振興の一環として、遠野市の主体的な判断のもとに新たに取り組むことを検討されているとお聞きしておりますが、同様の取り組みは、西和賀町など県内他の自治体でも先行事例があります。
県といたしましては、高校教育を受ける機会を確保する観点から、県立高校を統合する際に、公共交通機関による統合先の高校への通学費用が大幅に増加する場合や公共交通機関による通学が困難になる場合には、他の地域との公平性なども考慮した上で、通学支援策を実施する方向で検討することといたしております。
いずれにいたしましても、それぞれの地域との連携は極めて重要でありますので、今後におきましても、市町村等との丁寧な情報共有にも努めながら、それぞれの地域と連携しつつ、本県高校教育の充実に努めてまいります。
〇44番(工藤勝子君) 私は教育長の思いもよくわかりますし、教育の質を高めていくということも十分わかります。確かに将来的には生徒数が年々減少していくわけです。今のゼロ歳児から既にどのくらいの子供たちが高校に入学していくかということも、現実としてわかっています。結局、分母がだんだん少なくなってくるわけです。ですから、地方において高校を存続していくということは、今後、岩手県としてかなり厳しいことになってくるのではないかと思っております。やはり通学に当たって、市が補助金を出したり、県としても再編してしまうわけですから、例えばそれぞれの市町村が行っていることに対しての支援をしていくと。県としても、さらにその中の2分の1を支援するとかという取り組みだって私は必要ではないかと思うのですけれども、教育長はどう考えますでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) ただいまの議員からの御提案や、そういう要請があるということも我々は頭に入れております。ただ、一方で、今回、高校再編計画を策定するに当たりまして、既に生徒に対して補助を行っているという実情もあります。そういう中で、本来、県の役割、市町村の役割を考えたときに、県立高校のあり方を検討するという場合に、それとの関連性において支援策を検討してしかるべきではないかということで、先ほどそのような御答弁をさせていただいています。
いずれ、今後とも、地域と十分な連携のもとに高校教育を進めていきたいと思っております。
〇44番(工藤勝子君) 県内に設置されている実業高校の生徒は、地域産業の担い手として、また、即戦力として育っているわけであります。地域を活性化する役割とともに、将来にわたって地域を守る、すばらしい人材であります。遠野のために働くという子供たちがいっぱいいるわけであります。それは、私たち地域にとってはすばらしい宝であります。人の宝であります。この宝を私たちがいかに育て、守っていくかという、重要な役割を私たちが担っているのだろうと思っております。だから、地元の自治体においても、また、それぞれ団体組織、企業においても、必死になっているわけであります。ただいま教育長は、検討したいという話をされました。私は、いつまでもこのまま再編しないでいくということは無理ということもわかっておりますけれども、もう少し存続をこのまま見守るという形ができないのかということを伺っているわけであります。そして、こういう取り組み、例えば通学費2分の1を補助することによって、釜石のほうから入学する子供がふえるという状況が今見えてきているわけです。だから、市の努力、市民会議の努力、そういうものも酌んでいただいて、私は遠野だけというのは非常に心苦しいのでありますけれども、でも、こういう動きをしている市に設置されている高校でありますので、その思いを酌んで、まず2年でも3年でも入学の推移を見守り、40人学級、20人以上確保するということになった場合は、それをもう少し検討してもいいのではないかと私は思っているわけです。一気に切るのではなくて、それを県教育委員会でもう少し検討して、そして、早々と結果を出さないで、遠野の動きや入学する子供たちを集めるという思いを酌んでいただいて、ぜひ教育長にもう一度検討しながら─6月定例会は、私の力不足、言葉不足で、結果としていい答弁を引き出せなかったのですけれども、ぜひ何とか、もうちょっと先送りを検討してほしいということを願っているわけでありますので、ぜひもう一度御所見をお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 遠野緑峰高校と遠野高校の統合につきましては、遠野市内の近接したところに学校がある。ただ、一方で、両方の学校ともに定員割れを起こしているという状況の中で、子供たちにとって望ましい学校のあり方、これは教科開設ももちろんありますし、それから部活動等を含めまして、そういう中で生き生きと子供たちが学校で学ぶ環境ということを、検討会議それから地域の皆様との意見交換等を踏まえつつ、今回の再編案を提示させていただいたと。そして公表した素案についても、一方的に統合を決定するということではなくて、地方創生に向けていろいろ努力をするということで、その方向性を見させていただくと。具体的には、社会増等の動向も見るということ等を含めまして見直した結果、それについて好意的なお話をいただいたわけであります。そして、その時期が、平成30年度までの入学者を見きわめるということになっておりますので、そのプロセス等も踏まえますと、現在は、まずそれを見きわめることが重要だというように考えて先ほどのような答弁をさせていただきました。
〇44番(工藤勝子君) やはりこれは遠野だけの問題ではなくて、県北・沿岸も含めた過疎地域における高校にとって、本当に大事な問題になってくると。先日、議会のロビーで山本賢一軽米町長にお会いいたしました。私たちが市民会議の話をしたときに、しっかり頼むねという話がありました。うちのほうでもそういうことになっているという話もありました。ですから、全国一律ではない、岩手ならではの全国のモデルとなる過疎地における学級定員と教員配置に係る新たな基準決定に向けて、将来を見据えた検討会議を県教育委員会の中にまず立ち上げてほしいということを私は要望したいと思っております。
確かに、少人数学級では、国からの地方交付税の関係もありますので厳しい部分があると思います。でも、岩手県が、次を担う、岩手をつくる子供たちに投資していくという意味を考えたならば、10億円、20億円という予算は、私は問題ではなく、岩手に定着する子供たちをつくっていくものだと思います。遠野緑峰高校の子供たちの人数が少ないから生き生きしていないというわけではないです。頑張っているのです。全国のプロジェクト大会でも最優秀賞をとるなど、頑張っている姿があるわけです。そして、将来、遠野を担う人になると言っている子供たちがいる中で、難しいとは言わないで、ぜひ検討会議を立ち上げてみることについて、教育長から御答弁いただけませんでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 本県では、高校標準法に基づき、1学級の生徒数を40人として教員配置を行っているところでありますけれども、少人数学級のあり方につきましては、高校再編計画の基本的方向を定める際に設置した県立高等学校教育の在り方検討委員会での議論をいただき検討した経緯があります。仮に高校標準法の基準を下回る学級定員を県独自で設定いたしますと、算定される教員定数に影響が及び、地方財政措置が減額となる懸念があり、生徒の多様な進路選択を図るための習熟度別クラスの編制や進路希望別コース編成等に対応することが困難になるおそれがありますので、学級定員については、現行の40人を維持する判断をいたしたところであります。しかしながら、一方では、学校に期待される役割が増大してきている中にあって、生徒等へのきめ細かな対応とあわせ、本県のそれぞれの地域や日本の未来を担う人材を本県の学校教育でしっかりと育成していくことが極めて大事であると考えておりますので、今後、議員の御提言も含め、改めて検討しつつ、引き続き国に対し、教員定数の抜本的な改善や加配定数の充実等を強く要望していきたいと考えております。
それから、先ほど議員から、教育に対する熱いエールを送っていただきました。大変ありがとうございました。
〇44番(工藤勝子君) 全国にそういう過疎地域がいっぱいあるわけです。高校も設置されている。ぜひこの岩手から、そういう過疎地域の高校のモデルをつくっていただきたいと、私はそのように思っておりますので、ぜひ教育長におかれましては、その検討をしっかりしていただければと、心から願っておりますのでよろしくお願いいたします。
次に、人口減少対策と子育て支援についてお伺いいたします。
今日、県においても、各市町村自治体においても、人口減少問題は喫緊の課題の一つと思っております。知事も岩手の危機の一つに挙げております。地域振興や産業振興を初め、福祉、教育、各分野において活躍する人材が減少していくことは、社会全体の大きなマイナス要素であり、また、不安要素になっていると大変危惧しております。本県では、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポがスタートし、一定の成果も出てきていると思っておりますし、その中で一人でも多くの子供たちが誕生し、母子ともに健やかに成長していくことが今求められております。
しかし、県内においては、33市町村のうち産科施設があるのは11市町しかなく、それも盛岡市に集中しており、産婦人科医の不足によって地域の産科医療機関が減少し、集約化され、周産期医療を取り巻く環境は厳しくなっているのが現状ではないでしょうか。
女性は出産によって命を落とすこともあります。出産は命をかけて次の命を誕生させるのです。その中で、長距離をかけて定期健診に通い、そして出産時にも長距離をかけて病院に向かわなければならず、大変な思いは女性にしかわからないことであります。結婚されて1人目の子供の出産で大変な思いをし、2人目、3人目をちゅうちょしてしまうお母さんも多く、そのことが出生率が伸びない原因の一つになっていると私は考えます。
遠野市助産院ねっと・ゆりかごが10周年を迎えました。安産の里づくりを目標に、経済産業省の事業によってICTを活用し、県内の産婦人科医の協力のもとネットで結び、健診を近場で受けられるシステムが構築され、その成果により多くの子供が誕生しました。
また、遠野市では、妊婦の緊急搬送に対応するため、平成22年度には県の防災ヘリコプターとの連携による搬送訓練を実施したほか、救急隊員を対象とした新生児蘇生法講習会の開催により、病院に到着する前に出産してしまう緊急事態に対しても対応できる体制を整えています。
実は、現実として自家用車で出産した事例がありました。旦那さんと2人でしたけれども、遠野の救急に電話いたしまして、救急隊が駆けつけ、結局、今は母子ともに健康で退院して過ごしているところであります。こういう事態が発生しているわけでもあります。
今の周産期医療の現状をどのように認識されているのか。少しでも課題解決できる対策をどのように考えているのか、あわせてお伺いしたいと思います。まず、知事に答弁を求めます。
〇知事(達増拓也君) ふるさと振興総合戦略の基本目標の一つである社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指す上で、周産期医療の確保は重要な課題であります。
県ではこれまで、周産期医療情報ネットワークいーはとーぶによる医療機関が妊婦健診情報等をオンラインで共有する取り組みや、周産期母子医療センターを中心とした遠隔診断支援の取り組みにより、妊婦が身近な地域で健診を受け、周産期母子医療センター等で安全に分娩を行うことができる医療連携体制を構築し、妊産婦の分娩施設へのアクセスの負担軽減を図ってまいりました。また、総合周産期母子医療センターに救急搬送コーディネーターを配置して、緊急時における搬送、連携体制を確保するなど、分娩リスクに応じた適切な医療の提供に努めてきたところであります。
県といたしましては、今後ともこれらの取り組みを継続するとともに、今年度は、産科医療施設の開設、維持等への支援や、産科等を専攻した奨学金養成医師の地域周産期母子医療センター等への配置に関する特例的な取り扱いについて検討を進めるなど、産科医師のさらなる確保に努めるほか、潜在助産師等の掘り起こしや市町村における産後ケア事業の導入等、地域で妊産婦を支える体制づくりを推進し、県内どの地域においても安心して妊娠、出産ができる体制を整備してまいります。
〇44番(工藤勝子君) 知事からは大変すばらしい御答弁をいただきました。しかし、現実はなかなかそうはいかず、結局は産科医師が不足している現状があるわけであります。情報では、今年度も産科医師がやめるというようなお話も県立病院から聞いております。そういう中において医師確保は非常に重要であります。
知事は、医師確保に対してどのように対応していくのか。ただ、医師確保をするといっても、そこに何かがなければ医師が来ないわけでありますし、育ってもいないわけであります。いろいろな奨学金制度によって医師は育っていると思っていますけれども、小児科医とか産婦人科医はなかなか育っていないと私は思っております。そこにもう少し新たな対策をとっていく必要があると私は思っているわけです。そういうお考えはないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 医師確保対策の一環として、岩手医科大学医学部の定数を拡大するとともに奨学金体制を充実させ、奨学金養成医師に岩手に残ってもらうということを10年かけてやってきて、ようやく各県立病院等に配置が進み始めたところでありますけれども、その中で、先ほど申し上げましたように、特に産科を専攻する奨学金養成医師に対しては、やはり特例的な取り扱いについて検討していくべきと考えております。
岩手医科大学の産科と県との連携も強くなってきているところでありますので、少ない医療資源の中で、県内どの地域においても安心して妊娠、出産できる体制を整備していくということは、さらに力を入れて進めていきたいと思います。
〇44番(工藤勝子君) ぜひよろしくお願いしたいと思っております。特にも、少ない産婦人科、小児科の医師に関しては、県としてもある程度何かしらの支援をする。例えば奨学金をもう少し上げてやるとか、そうやって育てていかないと、今後育っていかないのではないかと私は危惧しているところでありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
今、全国的に産前産後ケアセンターが設置されております。県は、出産する女性を地域全体で支えるためのケアセンターを設置すべきと私は考えておりますが、知事に、設置に当たっての考え方と今後の県としての支援方針をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県内市町村では、花巻市が今年度からデイサービス型の産前産後ケアを開始したところであり、また、遠野市や山田町では、保健師や助産師が家庭を訪問して保健指導や授乳指導などを行うアウトリーチ型の産前産後ケアを実施するなど、市町村の取り組みが徐々に進んできております。
県ではこれまで、母子保健に従事する市町村保健師、助産師等を対象とした研修会や各種会議を通じて、妊産婦の支援を担う人材の資質向上に努めるとともに産前産後ケアの実施を働きかけてきたところであり、今年度は、こうした取り組みに加えて地域の潜在助産師の掘り起こしを行って、市町村の産前産後ケアを担うための人材確保を図るなど、市町村の取り組みを支援しています。
産前産後ケアについては、妊産婦が移動の負担が少ない身近な地域できめ細やかなケアが受けられることが効果的であることから、県内各地の医療機関や助産所などの地域資源を活用した取り組みや隣接市町村との広域的な連携を提案するなど、市町村における産前産後ケアセンターの設置が促進されるよう、引き続き支援してまいります。
〇44番(工藤勝子君) 遠野市のねっと・ゆりかごの開設10周年の記念式典フォーラムで、山梨県の健康科学大学産前産後ケアセンター所長の取り組みのお話を聞く機会がありました。助産師を中心として、専門スタッフによって産後における不安解消や安らぎ、癒やし、休養を基本として、宿泊も含めた24時間相談に応じることができる取り組みが行われているとお聞きいたしました。県の保健福祉部の担当課長の方々も一緒にお話を聞いております。人口がふえないと悩んでいる前に、産前産後におけるケアセンターを、県としても大きなものを1カ所ぐらいは設置すべきではないでしょうか。人口をふやしていくためには、私は、千の手が必要ではないかと思っています。結局、いろいろなところから対策をとっていかないと、保健福祉部だけでは人口をふやしていくということには限りがあると思っています。ですから、いろいろな角度から各部局が積極的な取り組みを行うべき、横断的な取り組みをすべきと思っておりますが、この点について保健福祉部長はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 先ほど、遠野市助産院ねっと・ゆりかごの10周年記念式典フォーラムのお話を御紹介いただきました。山梨県で全県を対象とした宿泊型の産前産後ケアに取り組んでいるわけであります。
本県のさまざまな利用ニーズであったり、助産師等専門人材の確保などの課題もありますので、市町村の意向や他県の取り組みも参考にしながら検討していく必要があると考えていますけれども、議員から御紹介していただきましたとおり、産前産後ケア等については、移動の負担が少ない身近な地域できめ細やかなケアが受けられるということが重要であります。したがって、まさに今、市町村でさまざまな取り組みを行っておりますので、県として、その市町村の産前産後ケアを担うための人材確保を図るなどして、市町村の取り組みを支援しているところですけれども、あわせて、県の助産師会とも連携しながら、まさに官民一体となって、全県の協力助産師をリストアップして、そういう方々に、県内各地にある医療機関であったり助産所などでお手伝いをしていただくといった地域資源を活用した取り組みであるとか、あるいは産前産後ケアセンターの数を先ほど御紹介いただきましたけれども、市町村によっては医療機関がないところもありますので、そうしたところは広域的な連携が隣接市町村と行えるように、引き続き支援をしていきたいと考えているところであります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひよろしくお願いしたいと思っております。やはり人口減少対策は喫緊の課題でありますし、ぜひ、部局横断でこの件をしっかりとやっていただきたいと、私はそのように思っております。
県内においては看護師も不足しておりますが、助産師はもっと不足していると思っております。助産師を目指す学生に奨学金の上乗せ等の支援を拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県ではこれまで、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づいて、修学資金の貸し付けによる助産師を含む看護職員の養成などの施策を総合的に進めてまいりましたが、資格を有しているものの助産業務に携わっていない助産師もおられることから、地域や施設によっては助産師の確保が困難なケースがあるものと認識しております。
不足する産科医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応するため、助産師外来などの取り組みの重要性が増してきており、今後さらに助産師確保の必要性が高まるものと考えておりまして、県では、引き続き潜在助産師の復職の支援や人材育成研修などに取り組みますほか、新たに助産師を目指す学生の支援の充実に向けて、看護職員修学資金の利用を希望する学生が優先的に貸与を受けられる仕組みを検討しておりまして、今後も助産師の確保、定着を図ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、野生動物被害に対する今後の対策についてお伺いします。
県内における山間地、中山間地における耕作放棄地が拡大し、山林と農地の区別がつかなくなったことにより、熊や鹿、イノシシ、ハクビシン等による人的被害や農作物被害が深刻になっております。この件につきましては10月の決算特別委員会においても質問いたしましたが、再度お願いいたします。
農作物の被害については鹿によるものが多いと思っております。平成27年の環境省の公表によりますと、岩手県には平成24年度末時点で約4万頭が生息していると推定され、平成28年度には県内21市町村で被害が発生しております。
国では、平成35年度までに鹿の生息数を半減させることを目標としており、県も国に準じて、この目標を達成するため、年間1万頭以上の捕獲を目標としていますが、捕獲目標は何を根拠としているのでしょうか。年間1万頭以上の捕獲を継続するためには、現実には、ハンターの高齢化もあり、厳しい状況が続くと思われます。
鹿の捕獲目標の設定根拠とその見直し、そして今後の対策についてもお考えをお伺いいたします。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 鹿の捕獲対策についてでありますが、鹿の捕獲目標につきましては、環境省が公表しております個体数の推定結果やこれまでの知見によりまして鹿の繁殖率が25%前後とされましたことから、本県の推定個体数の約4万頭の25%以上である1万頭以上としたところであります。
また、目標数の見直しにつきましては、近年の捕獲状況や環境保健研究センターの知見等も参考にして、必要に応じて対応してまいります。
今後におきましても、引き続き、広く県民を対象とした狩猟の担い手研修会や技術向上のための研修会を県内各地で開催するとともに、狩猟免許試験の予備講習会を開催するなど、猟友会などとも連携しながら狩猟者の確保と育成に取り組んでまいります。
なお、これらの取り組みもありまして、鹿による農業被害額は、平成25年度の約2億9、000万円から平成28年度には約2億2、000万円と減少傾向となっております。また、狩猟免許所持者数は、平成24年度の2、498人から平成28年度は2、995人に増加するとともに、新規狩猟免許取得者における40歳未満の割合もふえてきておりまして、40%を超える状況となっておるところでございます。
〇44番(工藤勝子君) 今、部長がおっしゃいましたように、確かに農業被害は減少しております。平成27年度の農業被害額は2億1、700万円、林業被害額は87万円です。今、植林する人がないのです。なぜしないかというと、結局、苗木を植えて、成長しないうちに鹿に全部食べられてしまうからです。薬を塗ってもなかなか効果がないようであります。被害額が減っている原因を、私はどう捉えているかというと、遠野などでは電気牧柵を集落で山際に張るようになったのです。これが非常に効果があって、熊もひっかかったりしますけれども、鹿が入ってこないように、農林水産部のいろいろな対策事業を使って、集落で事業を始めているから減ってきているわけです。何もしなかったらとんでもないです。そういう状況にあるわけでありまして、2万頭を残すということ自体が、私は大変問題だと思っております。
東京電力福島第一原子力発電所事故によりまして鹿肉の放射性物質が基準値を超過し、国からの出荷制限の指示が出ているという課題もありますが、今、捕獲した鹿の処理に苦慮している状況であります。
このような中、農林水産省は、ジビエ利用拡大推進体制を整備するとともに、厚生労働省や環境省等の関係省庁との連携の強化を図っています。
また、ジビエ利用により意欲的に取り組む地域からの相談や要望に応じるため、民間等のノウハウを活用し、官民連携した支援体制を構築して、ジビエ利用のモデルとなる地区の整備を推進することとしております。
実は、先ほども申し上げましたが、県立遠野緑峰高等学校の生徒が、遠野市の課題となっている鹿を資源としての活用を目標とし、神の命を資源と支援に変えて~ニホンジカと共に生きる遠野を目指して~と題して、鹿の角や革の加工について研究を行い、東北プロジェクト発表では優秀賞にも輝いています。このような取り組みをジビエ利用にも活用すべきではないでしょうか。県としてもできるところから始める、それが今であります。今がそのときであり、ジビエ利用のための処理加工施設を設置すべきと考えます。
県北地域まで鹿の生息が確認され、ふえ続ける現状の中で、ジビエ利用拡大に取り組めるような環境を整備すべきと考えますが、このような国の動きを県はどのように受けとめ、将来に向けて、どのように関係部局が連携しながら処理加工施設整備を進めようとしているのか、御所見をお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) ジビエの利用拡大についてでありますが、県では、捕獲した鹿肉の活用につきましては、野生鳥獣による被害防止対策のほか地域資源の活用にもつながるものと考えております。
国におきましては、捕獲した鳥獣の出口対策として、鹿肉などをジビエに活用する取り組みを推進しており、市町村や捕獲従事者、処理加工業者、流通業者等で構成する組織による食肉処理施設の整備や商品開発等を支援することとしております。
こうした国の動きを受けまして、県ではこれまで、鹿被害が多い市町村を繰り返し訪問して、国の支援策や県の取り組みを紹介しながら事業の掘り起こしに努めておりますが、市町村からは、ジビエの収益性が低いこと、処理施設の設置に対する住民の理解が必要なことや、東日本大震災津波からの復興事業が最優先であることなどの意見が出されているところであります。
今後とも、市町村等に対し、食肉処理施設の整備支援策や、鹿肉の安定供給、品質管理方法等について十分説明するなど事業の掘り起こしに努め、対応の意向が示された場合には、食品衛生法に基づく衛生管理などについて、環境生活部とも連携して対応してまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) どうぞよろしくお願いします。食材として使うということにも、まだかなり無理があるのかと思っているところでもあります。でも、県北のほうにいる鹿に対しては、多分、放射性物質のセシウムは出てこないのではないかと思っているところでもあります。今後、市町村に設置することになるわけでありますので、確かにいろいろな対応があるのではないかと思っているところでもありますけれども、そこを県が説得するということが非常に大事であって、それを猟友会も求めていると思っているところであります。
この間、決算特別委員会でそういう要望は受けていないと環境生活部長から答弁がありましたけれども、その要望は、多分、農林水産部長に行ったかもしれません。猟友会としては、加工までは行かなくても、何とか処理施設だけはつくってほしいと願っているわけでありますので、もう一度その所感を聞きたいと思います。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 鹿肉の処理施設につきましては、設置場所が市町村ということもありまして、市町村の意向を確認するとともに、この事業の実施主体が市町村、また、関係者によるコンソーシアムということでありまして、その皆様の意向がしっかりと一つにならなければなかなか進まないと思っておりますので、県としてもそういった意向の確認に努めていきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 年々ふえ続ける鹿でありますので、しっかりと対策をとって、だだ焼いたりしているだけではなくて、活用方法も一緒になって考えてほしいと願っております。
最後に、新たな圃場整備事業制度についてお伺いします。
県は、農地中間管理事業を活用して、担い手への農地の利用集積を進めております。圃場条件のよい平場地域では農地の利用集積が一定程度進んできていると思いますが、中山間地域等では、圃場整備のおくれなどにより農地の集積が進まず、高齢化が進展する中においては耕作放棄地となることも懸念されております。
今、国においては、担い手への農地の集積、集約化を加速するため、農地中間管理機構が借り入れている農地について、農業者の申請や同意、費用負担によらず基盤整備を行うことができる新たな圃場整備事業制度が創設されることになりました。
この事業は、土地改良法の改正による農地中間管理機構を軸とした新たな事業体系であり、基盤整備が十分に行われていない地域について、農地集積を進めるために有効な事業と思われますが、県ではどのように取り組んでいくお考えなのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 新たな圃場整備事業制度についてでありますが、今般、土地改良法が改正されまして、農地中間管理機構が借り入れた農地について、農業者の費用負担等を求めずに都道府県が基盤整備を実施できる制度が創設されることとなりまして、国の平成30年度予算概算要求に盛り込まれているところであります。
本事業は、担い手が経営をしやすくなるように、一定規模以上の面的まとまりがある農地を対象といたしまして、機構の借入期間が長期にわたり確保されることが必要となるほか、現在、農地の集約化要件などについて、国で詳細な検討が進められているところであります。
県といたしましては、農地の集積、集約化を推進していくためには、農地中間管理機構と基盤整備が連携した取り組みが必要であると考えておりまして、今後、制度の詳細が明らかになる中で、地域の実情に応じた本事業の活用について検討してまいります。
〇44番(工藤勝子君) それでは、事業完了後、5年以内に収益性が20%以上向上するという要件があるわけでありますが、県としては、こういう担い手が受けた農地に対してどのような指導をしていこうと考えているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 圃場整備事業におきましては、水田の区画整理や排水改良などを行うことから、農家の経営規模の拡大、労働時間の短縮等による生産費の削減のほか、収益性の高い畑作物の生産が可能となります。
こうしたことによりまして新たな圃場整備事業の要件を達成することは可能と考えておりまして、将来の営農計画の策定や、その実現に向けた支援をしっかりと行ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) 以上をもちまして一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(五日市王君) 以上をもって工藤勝子さんの一般質問を終わります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時16分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
42  番 田 村   誠 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時38分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(五日市王君) 日程第1、一般質問を継続いたします。
〔31番高橋元君登壇〕(拍手)

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