平成29年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇26番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
通告に従い、順次質問を行います。
初めに、安倍政権の政策と県政について伺います。
昨年7月の参議院議員通常選挙の結果、憲法改正を主張する会派の構成が衆議院、参議院それぞれの3分の2を超えたことから、憲法改正の機運が高まっています。安倍晋三首相は、この5月の憲法記念日に、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと言明して期限を区切り、この秋の臨時国会に自民党案を提出する考えを示していました。
一方、多くの世論調査で憲法改正を求める意見は減少傾向にあり、安倍政権での憲法改正については否定的なものが多数となっています。憲法改正が国民的要求となっている状況とは到底言えません。
言うまでもなく憲法制定権力は国民にあり、憲法改正の発議が立法府の特別多数に委ねられているのは憲法改正手続の一部にすぎません。このことは、最終的な憲法改正の是非が、国民投票の結果によって決することからも明らかです。
憲法の本質が国家権力の恣意的運用を排するための権力制限規範であることを踏まえれば、最も厳格な憲法尊重擁護義務を課されている内閣総理大臣が、みずから憲法改正案の審議や発議を推進することは到底許されません。
憲法審議会の審査においては、自立的な立場から、憲法に密接に関連する基本法制について、広範かつ総合的な調査を行うべきであります。
よって、政府に対し、憲法問題については国民的議論の動向を見据えた慎重な審査を行うことを強く求めるべきであると考えますが、知事の御所見を伺います。
多くの市民と社民党を初めとする立憲野党が反対する中、憲法違反の戦争法─平和安全保障法制が強行可決されてから2年がたちました。戦争法は2016年3月29日に施行されましたが、国民のさらなる理解が得られるよう丁寧な説明に努めるとの約束は、今なお果たされていません。
安倍政権は、戦争法に基づく実績づくりに余念がありません。昨年11月、戦闘が激化しPKO5原則が満たされていない中、南スーダンPKO部隊に対し、駆けつけ警護や宿営地共同警護の任務を付与しました。また、日米ACSA協定を成立させ、朝鮮半島の危機を煽り、国民に情報を公表しないまま、戦争法に基づく新任務の活動を開始し米軍との一体化を進めています。4月からは、弾道ミサイルの警戒に当たる米軍イージス艦への洋上給油を行い、5月には海上自衛隊の護衛艦いずもが、太平洋側で米軍給油艦の防護を行いました。
安倍首相は、アメリカの戦争に巻き込まれる可能性は絶対にあり得ませんと断言していたにもかかわらず、みずから巻き込まれに行こうとしているかのように、武力行使の新3要件の拡大解釈を始めました。
小野寺防衛相は8月、日本上空を通過しグアム沖に向かう北朝鮮の弾道ミサイルに関し、集団的自衛権を行使できる存立危機事態に認定し、自衛隊のイージス艦が迎撃することは法的に可能だとの認識を示しました。アメリカ側の抑止力、打撃力が欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとは言えないと言いますが、この理屈では、世界中のどこでも、アメリカがいさかいを起こせば、日本が集団的自衛権を行使することが可能になり、アメリカの戦争につき合うことになってしまいます。
また、安倍政権になって、防衛予算は5年連続で増加し、過去最高を更新しています。社会保障費の自然増の抑制を進め、国民に負担増と給付カットのつけ回しを進める一方、2018年度概算要求では、尖閣諸島などの離島防衛を名目にした高速滑空弾や長射程の対艦誘導弾など、敵基地攻撃能力に転用できるものも含め、過去最高の5兆2、551億円に上っています。その上、さらに陸上配備型迎撃ミサイルシステムイージス・アショアの導入を図ろうとしています。
安倍首相は、特定秘密保護法、集団的自衛権容認の閣議決定、戦争法に続き、ことし6月には、参議院での採決を抜きに一億総監視社会につながる共謀罪を強行成立させ、戦争する国づくりを進めています。
そして、憲法9条に集団的自衛権を行使する自衛隊を書き込み、憲法の恒久平和主義を根底から覆そうとし、明文改憲による戦争する国づくりの総仕上げをなし遂げようとしています。
強引でおごった安倍政治の暴走、モリカケ疑惑に見られる政治の私物化に対し、国民の不信感や怒りは増大し続けています。
そうした中、安倍政権は、憲法に基づく野党の臨時国会召集要求を無視し、疑惑を隠し、説明責任から逃れるため、政権の延命をもくろみ、自己都合解散の暴挙に出てしまいました。国民無視の安倍政権に対し強く抗議すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
次に、東日本大震災津波と2016年の台風第10号災害からの復旧、復興について伺います。
多くの命を奪い、ふるさとが失われた東日本大震災津波から6年半が経過しました。一部では生活の再建に向けた環境が整いつつありますが、今なお応急仮設住宅等に9、640人が入居しております。県職員を初め、関係の方々は身を粉にして復興に奮闘しておりますが、マンパワーの不足、財源問題など今も多くの課題を抱えています。中でも、マンパワーなくして復興は進みません。
本年4月1日時点の県職員の欠員数は123人です。特別募集とともに、任期付職員の採用及び他県応援職員の確保に努めた結果、8月1日現在での欠員数は102人となりました。しかし、震災前の欠員規模50人から60人までの回復には至らず、依然として厳しい状況にあります。
県では、今年度は第3期復興実施計画の初年度であり、震災復興の先を見据えた地域振興とともに、2016年の台風第10号災害に係る復旧業務がピークとなるほか、国体成功を契機としたレガシー継承のための文化スポーツ振興の施策を推進するとしています。しかし、これらの業務遂行に係る人員体制が追いつかず、大規模欠員が解消されなければ、職員の過重労働が恒常化するとともに、職員のモチベーションが大きく低下します。
そこで知事に伺いますが、今後の災害発生を想定しつつ、業務を円滑に遂行できる人員体制の確保を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。あわせて、喫緊の課題である欠員の解消に向けて、どのような道筋で取り組んでいくのか伺います。
また、県行政の専門性確保の観点から、獣医師を初め専門職員の処遇改善を含む具体的な確保方策に関し、具体的な対応を求める声が高まっていますが、今後の取り組みについて伺います。
毎年のように大きな災害に見舞われています。地震や自然災害の発生時は、停電になったり、携帯電話やインターネットなども災害が大きければ大きいほど、通話規制や回線がつながりにくくなったりするなど、正確な災害情報を得ることが難しくなります。そういった場合でも、回線が1カ所に集まるおそれのないFM放送波を利用した防災ラジオで情報発信することで、迅速に情報を伝えられます。
県内の災害時の情報発信についての現状と今後の取り組みについて伺います。
2016年の台風第10号に伴う豪雨等による災害発生を踏まえ、厚生労働省から、非常災害時の入所者避難の具体的な計画策定や定期的な避難訓練を実施するなど、災害対策及び入所者安全確保等について注意喚起する通知が発出されました。
これを受けて、県ではどのような対策を講じたのか伺います。あわせて、県社会福祉協議会による相互支援協定についても伺います。
災害公営住宅への入居や高台移転が進み、住居地が山手側に移動していることから、被災地域の交通手段として、災害公営住宅や新たな高台団地などを経由する新たな公共交通路線の実現に向けた予算措置を講ずるとともに、早急に路線の確保、運行を実施することが求められていますが、県は、これまでどのように取り組んできたのか、今後どのような対策を講じようと考えているのか、御所見を伺います。
次に、豊かな教育の実現について伺います。
県内の中学校教諭が2012年に脳疾患で死亡し、2016年11月に、民間の労働災害に当たる公務災害に認定されました。教諭は英語担当で、学級担任を持ち、研究主任を任されていました。部活動の顧問も務め、休日も指導に当たっていました。不登校生徒の対応や海外派遣引率などの通常以外の業務も重なり、亡くなる前6カ月間の超過勤務が過労死ラインの月平均80時間を超えていました。高血圧を患い治療の必要がありましたが、病気休暇取得者らが出たため、人員不足で通院できませんでした。タイムレコーダーなど出退勤時刻を明確に示す資料がなかったため、同僚らへの聞き取りを実施し、証言を積み重ね、時間外労働時間に見込みを示して認められました。
中学校教諭の公務災害認定の報道後、県教育委員会は、4月27日、教職員の勤務負担軽減等の取組についての通知を出し、各市町村教育委員会に4点の取り組みの徹底と一層の推進を要請しました。1、教職員の勤務時間の適正な把握、2、長時間労働による健康障害の防止の取り組み、3、個々の職員の業務状況や健康状況を適切に把握、4、教職員の勤務負担の軽減と適切な健康管理です。
給特法─時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに教職調整額を支給する法律のもとでの勤務が、勤務時間管理の意識を希薄化させ、長時間労働を常態化させ、自発的な勤務の名のもとに無定量な超過勤務実態を拡大させてきました。その結果、精神疾患に悩む教職員が増加しています。
また、過労死等の防止のための対策に対する大綱では、過労死等が多く発生している職種の一つとして教職員が挙げられており、その過労死防止対策のおくれが指摘されています。
8月29日に中央教育審議会、学校における働き方改革特別部会は、学校における働き方改革に係る緊急提言を行いました。教職員の長時間勤務の看過できない実態の改善に向けて、今できることは直ちに行うという認識を持って、教育に携わる全ての関係者が共有するとともに、必ず解決するという強い意識を持って、それぞれの立場から取り組みを実行し、教職員がその効果を確実に実感できるようにするための緊急提言をまとめたと記しています。
その中に、1、教育委員会は自己申告方式ではなく、ICTやタイムカードなど勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムが直ちに構築されるよう努めること。2、長期休暇期間においては一定期間の学校閉庁日の設定を行うこと。3、教育委員会は早急に時間外勤務の削減に向けた業務改善方針・計画を策定することとありますが、現状と今後の取り組みについて伺います。
教職員の多忙化問題の対策は今始まったことではありません。岩手県では、2005年12月に県立学校教員の多忙化問題検討委員会の提言、2007年3月に小中学校教員の多忙化問題に関する検討委員会の提言がまとめられ、これらを踏まえて、2009年3月には、教職員の負担軽減に向けての提言が行われています。この提言の検証が行われたのでしょうか。行われていないのであれば、ぜひ検証を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〔副議長退席、議長着席〕
人事委員会委員長に伺います。昨年の職員の給与等に関する報告及び勧告についての長時間勤務の解消の中で、教育職員の総勤務時間数が多い状況にあることから、業務改善や勤務時間の管理の徹底、長時間勤務の改善策の検討など、実効性のある取り組みを進める必要があると言及されておりますが、今年度の状況をどのように把握され、教育職員の多忙化の解消についてどのように対応していくのか、基本的な考えを伺います。
次に、子供の貧困対策について伺います。
厚生労働省国民生活基礎調査によると、2015年時点の子供の貧困率は、前回2012年調査の16.3%に対して13.9%と改善しました。しかし、OECD諸国の平均を上回り、約280万人に上る子供たちが貧困状態にあります。
また、就学援助を受ける児童生徒数も2011年の15.96%をピークに減る傾向ながら、直近では15.62%と高どまりの状態です。今後、2014年に施行された子どもの貧困対策の推進に関する法律とそれに続く国の大綱に基づく政策の実が問われることになります。もとより、子供の貧困は経済面に限らず多面的に捉えていく必要がありますが、貧困の連鎖をどう断ち切るかが大きな課題です。
県では、貧困対策推進計画に基づいて、今年度は、ひとり親家庭の支援者養成セミナーの開催や、生活困窮世帯等の子供の学習支援の充実など取り組みの拡充を図ったとのことですが、現状と今後の取り組みの拡大について伺います。この取り組みが貧困の連鎖を断ち切ることにどうつながっているのかもあわせて伺います。
これまでも岩手県の子供の貧困の実態調査を行うべきとただしてきました。都道府県レベルでは、昨年度まで11都道府県で子供の貧困に関する実態調査を行っております。今年度新たに設置した庁内関係部局の連絡調整会議の中で、調査項目や調査方法等についての検討を行っていきたいとのことでした。
また、昨年度は盛岡市が、今年度は新たに五つの市町で調査が予定されていることから、調査結果を参考にし、当該市町と連携を図りながら県が取り組むべき施策を検討するとのことでしたが、盛岡市の調査結果をどのように捉えたのか、あわせて施策検討の進捗状況を伺います。
新聞やテレビでは、毎日のように児童虐待の事件が報じられています。岩手県の昨年度の児童虐待対応件数は1、477件で、身体的虐待26.3%、性的虐待1.8%、ネグレクト20.5%、心理的虐待51.4%です。
改正児童福祉法においては、児童相談所の体制強化に向けて、2019年度までに段階的に児童福祉司を増員することとされたことから、県では、2017年度は福祉総合相談センターの定数を2人増員することとしたほか、今後、児童福祉司を担える専門職員を計画的に採用し、必要な体制整備に努めていきますとのことでした。
また、児童福祉司やスーパーバイザーを対象とした専門研修が新たに義務化されましたが、現状と今後の取り組みについて伺います。
次に、男女が互いに尊重し合い、共に参画する社会について伺います。
昨年10月26日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は144カ国中111位で、前年から10位後退しました。安倍政権の最重要課題の一つ、女性が輝く社会のかけ声とは裏腹に、一向に改善されない男女の格差が明らかになりました。
人口の半分を占める女性の活躍は不可欠な要素であり、早急に取り組んでいくべき問題にもかかわらず、G7ではもちろん最下位、有力新興国とされるBRICsのブラジル、ロシア、インド、中国よりも下位になっています。
本県において、県民意識調査で男女の地位の平等感について、約7割弱が社会全体として男性が優遇されていると回答しています。
三重県男女共同参画審議会では、施策の実施状況について評価を行うとともに知事への提言を行っています。岩手県では、男女共同参画の実施状況の評価を次年度にどのように生かしているのでしょうか。取り組みを啓発から実現に移行すべき時期と考えますが、いかがでしょうか。
知事は、職員団体との意見交換の場において、長時間労働の是正に関して、超過勤務の解消は解決すべき課題であり、残業が当たり前であってはならない。職員の健康保持が大事であり、ワーク・ライフ・バランスを重視する必要がある。職員の幸福保障が重要であり、ひいては県民の幸福保障につながる。各部課長が責任を持って取り組むよう求めている。実態を伴うよう対応したいと述べられておりますが、男女共同参画の視点からも、県職員が男女を問わず育児休業、介護休暇等を取得しやすい環境づくりを知事のリーダーシップにより推進していく必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。
また、国の防災基本計画の内容は男女共同参画の視点を取り入れた記述になっていることから、意思決定の場に必ず女性が参画すべきであり、県や市町村の地域防災計画にも女性の意思が反映されるようにすべきと考えます。
市町村防災会議における女性委員数は、2017年4月1日現在1、104人中84人で、その割合は7.6%です。女性委員数ゼロの市町村が6あります。
いわて男女共同参画プランでは、新たに東日本大震災津波からの復興と防災における男女共同参画の推進の項目を追加し、2020年度までに、女性委員が参画する市町村防災会議の割合を100%にすることを主要な指標として位置づけ、会議等において女性委員の登用について働きかけを行っているとのことですが、市町村の現状についての見解と今後の取り組みについて伺います。
最後に、公共交通政策について伺います。
2013年に制定された交通政策基本法を受け、翌年には地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通網形成計画の策定が求められています。現在、全国の各自治体では、地域公共交通会議が開催され、まちづくりとともに適切な交通モードを導入することにより、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築が議論されています。
ことし4月には、国土交通省が、この5年で3割増加した地域間幹線系統の国庫補助削減に向けた見直しを公表しました。岩手県内では、東日本大震災津波での津波被害による町並みの変化や応急仮設住宅への路線バス経路変更など、この間、震災復興の観点から国庫補助の被災地特例等を最大限適用し、地域の足を維持してきました。近年は、運転手不足も深刻化しており、少子高齢化による人口減少とともに、昨年より被災地特例地域の縮小などの補助の見直しが行われています。
岩手県では、利用者減少による収支の悪化、厳しさを増す事業環境などによる公共交通の持続性への懸念が生じています。
地域公共交通の持続可能なネットワーク構築を後押しするため、岩手県地域公共交通活性化検討会議をことし7月に立ち上げ、来年3月を目安に、県が中心となり対応の方向を示していくことになっています。
会議では、本県における地域公共交通の課題について、1、負のスパイラル、2、非効率路線の拡大、3、高齢者や交通空白地への対応、4、被災地特例の終了、5、地域内の公共交通再編の課題が挙げられています。
本県の地域公共交通を取り巻く課題への対応の視点についてお示し願います。また、公共交通は各自治体での完結ではなく、複数の市町村をまたぐ基幹路線もあることから、広域行政圏で協議の上、県が市町村に再編の方向性を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
政府は、昨年7月、内閣府官房IT総合戦略室長のもとに、シェアリングエコノミー検討会議を設置し、11月に中間報告をまとめました。そして、規制改革推進会議も、需給の構造変化を踏まえた移動・輸送サービス活性化のための環境整備についてをテーマに、一般のドライバーが料金を取って自家用車で利用客を送迎する、いわゆるライドシェアの導入に向けた議論を進めています。
ライドシェアは、道路運送法で禁止されてきた白タクを合法化するものであり、1、二種免許や運行管理も不要とされ、利用者の安全・安心が脅かされること。2、地域公共交通を弱体化し、既存のタクシー事業を崩壊させること。3、公共交通ではないことから、需給状況によっては運賃が変動すること。4、24時間稼働の保証がないこと。夜間は特に女性、高齢者は利用しづらくなること。5、事業主体は一切運送に関する責任は持たず、当事者間での完結となることなど多くの問題点があります。
また、ライドシェアはウーバーなどの配車アプリサービスを利用しますが、事故の補償、暴力や暴行事件、運送対価のトラブルなど、運転手と利用者間の問題があります。多くの問題点を有するライドシェアが無秩序に容認されれば、経済合理性に過度に重きを置いた経営などにより、利用者の安全が担保されない事態が常態化するおそれは否めません。
また、ウーバーは、欧米や中国などを中心に急拡大していますが、サンフランシスコでは、地域最大のタクシー会社イエローキャブが倒産に追い込まれています。ライドシェアが日本全国に普及すれば、タクシーの産業基盤が奪われるにとどまらず、路線バスや鉄道を含めた地域公共交通の存立を脅かすこととなっていくのは明白です。
タクシーは、介護や通院、買い物などの足など、地域生活には欠かせないドア・ツー・ドアの公共交通機関であり、市民等にとって安全・安心で快適、便利な交通機関として日常生活や地域の経済活動を支える役割を担っており、高齢社会が進む中、タクシーへの期待も高まっております。世界一のサービスと安全・安心を標榜する日本のタクシーの現状を見れば、ライドシェアを導入するのではなく、国際的に良質で安全なタクシーをこれからも守っていくことが重要と考えますが、知事の御所見を伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、憲法問題についてでありますが、衆議院、参議院両院における憲法審査会の審査においては、その設立の趣旨に沿い、会派間の合意に基づいて自律的に行われるべきものであり、内閣による干渉は好ましいものではないと考えます。内閣においては、憲法尊重擁護義務のもと、日本国憲法に従って行政権の行使を行うべきであります。また、議員御指摘のとおり、憲法問題については国民的議論の動向を尊重することが重要であり、民意に即した議論が求められると考えます。
次に、今回の衆議院の解散についてでありますが、各種マスコミの調査によりますと、今回の解散に対し多くの国民が反対しており、国民が納得する中での解散とは言えないものと思われ、また、国家戦略特区など、ことしの通常国会で問題になった事項について丁寧な説明を求める国民が多いと思われます。解散の是非自体が議論の対象になっていると見受けられますが、衆議院の解散というものは、日本国憲法の趣旨にのっとりながら、国民の多数が納得する形で行われるべきであると考えます。
次に、人員体制の確保についてでありますが、さまざまな行政需要や新しい行政ニーズに対応していくためにはマンパワーの確保が必要であり、あわせて、施策の優先度を見きわめ、重要な課題に財源や人的資源を配分し、効果的、効率的に取り組み、成果を上げていく視点も必要であると考えております。
これまで、震災復興や台風災害、ふるさと振興などの県政課題に対応するため、新規採用職員を大幅にふやしてきたほか、任期付職員や再任用職員の採用、全国の都道府県等からの応援職員の受け入れ、任期付職員経験者の任期の定めのない職員への採用など、多様な方策により人材の確保に取り組んできたことから、知事部局においては、東日本大震災津波発災以前の体制から400人程度の増員が図られたところであります。
また、将来の大規模災害に備えては、地方自治体間が連携した水平補完による災害対応支援活動の制度的枠組みの創設が重要であり、国に対しても、機会を捉え、必要な職員を確保する仕組みの構築等について要望しているところであります。
今後とも、こうした人材確保の取り組みを推進し、今後の災害への対応を含め、新たな県政課題に柔軟かつ適切に対応できる体制を構築してまいります。
次に、育児休業等を取得しやすい環境づくりについてでありますが、県では、県民がみずからの希望に応じて、仕事と生活の調和を大切にしながら充実した生活を送ることができるよう、県内の企業や団体の参画を得て働き方改革の取り組みを進めているところであり、庁内においても、職員のワーク・ライフ・バランスを重視した働き方改革を推進していくことが重要であります。このため、これまで、次世代育成支援及び女性活躍推進のための特定事業主行動計画に基づき、男女を問わず、子供の出生予定がある職員に対する休暇取得や勤務時間等の希望を踏まえた支援など、子育てしやすい職場環境づくりに取り組んできたところであります。
平成29年度においては、職員の子育てと仕事の両立支援に係る管理職員の役割をまとめたパンフレットを各所属長に対して配付し、育児休業や介護休暇などを取得しやすい職場環境の整備や男性職員の育児休業等の取得促進に努めるよう働きかけていますほか、各所属で策定する業務方針に新たに仕事と生活の両立のための具体的な方策を記載することとし、所属の実情に応じた働き方の見直しに取り組んでいるところであります。
今後におきましても、引き続き超過勤務の縮減や育児休業、介護休暇などを取得しやすい環境づくりに努め、職員の健康保持や仕事と生活の両立に向けた働き方改革に取り組んでまいります。
次に、公共交通機関としてのタクシーの重要性についてでありますが、タクシーは、多様な移動ニーズにきめ細かく対応することができる、県民生活にとって必要な交通機関であり、関係法令による適切な運用を通じて、利用者に安全・安心で利便性の高い輸送サービスを提供しているものと認識しております。一方、いわゆるライドシェアについては、道路運送法に基づく許可を受けずに有償で旅客を運送する違法行為でありますことから、国内での導入例もないと承知しています。
県内の公共交通ネットワークの再編を進めるに当たっては、市町村の地域公共交通会議などにおいて、デマンド型乗り合いタクシーの導入などによる地域の実情に応じた交通ネットワークの再編が図られるよう、県としても必要な支援をしてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) まず、欠員の解消に向けては、これまでも、新規職員採用数の大幅な拡大、任期付職員や再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れ、任期付職員経験者の任期の定めのない職員への採用を図ってきたところです。平成29年度においては、これらの取り組みに加え職員の特別募集を実施したほか、県内外の大学やこれらの父母会の会合に出向いて県職員の業務内容や採用試験等に関する説明を行うなど、採用試験受験者の確保強化にも努めているところでございます。このほかにも、県外の大学等に進学している学生やU・Iターンを希望する一般求職者へダイレクトメールを送付するなど、新たな情報発信にも努めているところです。このような取り組みを行いながら、今年度は特別募集により新たに32人の職員を採用し、昨年度の最大欠員数158人に対して、本年8月1日現在では102人と欠員数が減っているところであります。
今後も、震災復興に加え、新たな政策課題などの行政需要に対応していくため、人材確保に向けた取り組みを継続するとともに、事業の効率化や重点化などにも十分配意しながら、引き続き欠員解消に向けて努めてまいりたいと考えています。
次に、獣医師などの専門職員の確保についてでありますが、獣医師などの専門職員は、それぞれ専門的な資格を必要とする行政分野において欠かせない人材であり、その確保は重要な課題であると認識しているところです。このことから、例えば獣医師の確保に向けては、初任給や手当の引き上げなど処遇面の改善のほか、獣医学部の学生に対する修学資金の貸し付けやインターンシップの受け入れによる獣医師の業務のPR、獣医師免許を有する者を対象とした通年での随時募集による受験機会の拡充などの取り組みも実施してきているところです。
今後におきましても、所管部局と連携しながら、専門職職員の確保のための取り組みに努めてまいります。
次に、災害時の情報発信についてでありますが、県内市町村では、防災行政無線、緊急速報メール、ホームページや消防団等による巡回広報など、さまざまな手段により住民に対し避難勧告等の情報を伝達しているところです。このうちFM放送波を利用した防災ラジオを導入しているのは県内で7市町村となっており、防災ラジオは、緊急時に自動起動で電源が入り災害情報が確実に伝わることから、住民に情報伝達できる有効な手段の一つであると考えております。
県としては、住民等が避難勧告等の情報を確実に受け取ることができるよう、情報伝達手段の多重化、多様化を図ることが必要と認識しており、引き続き機会を捉えて市町村への助言等を行うとともに、被害の状況や県、市町村の対応状況等については、ホームページやツイッター等により情報発信をしてまいります。
次に、市町村防災会議への女性委員の参画についてでありますが、市町村における地域防災力の向上を図るためには、女性を初め、地域における多様な視点を取り入れていくことが重要であると考えております。しかし、市町村防災会議への女性委員の登用の状況を見ると、本年4月1日現在、前年同期比で7人増加したものの、27市町村84人にとどまっています。
県といたしましては、市町村がさまざまな被災者に配慮した防災対策を進めるためにも、男女共同参画など多様な視点を取り入れた防災体制を確立していくことが必要であると考えており、さまざまな機会を活用し、女性委員の登用状況を周知しながら、特に女性委員が一人もいない6町村には女性委員の登用について強く働きかけてまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、障がい者施設の災害対策についてでありますが、県では、厚生労働省の通知を受けて、障がい者支援施設等に対し、昨年9月以降、2度にわたって非常災害対策計画の策定や定期的な避難訓練の実施について自己点検を行うよう要請するとともに、広域振興局等による施設への実地指導の際に取り組み状況をチェックするなど、随時指導、助言を行っています。
また、相互支援協定については、岩手県社会福祉協議会の障がい者福祉協議会において本年6月に検討委員会が設置され、事業者が相互に円滑な支援を行うための協定書案を年度内に作成し、来年度には施設間協定の締結を促していく予定と聞いています。
県としては、引き続き県社会福祉協議会とも連携しながら、非常災害対策計画の策定や改善状況、相互支援協定の締結状況や課題等を把握した上で必要な指導、助言を行うなど、施設の災害対策が実効性のあるものとなるよう支援してまいりたいと考えています。
次に、貧困対策推進計画に基づく取り組みについてでありますが、県の計画に定める主な指標の平成28年度の実績は、スクールソーシャルワーカーの配置人数など、平成31年度目標値を達成しているものが5指標ある一方、生活保護世帯の子供の大学等進学率など、計画策定時に基準とした平成26年度実績を下回っているものが3指標となっています。
今後の取り組みの拡大については、今年度新たに設置した庁内関係部局の室課で構成する子どもの貧困対策連絡調整会議において、来年度以降に取り組むべき施策の方向について議論を進めているところであります。
貧困対策推進計画の推進に当たっては、その重点施策である教育の支援、生活の支援、保護者への就労の支援、経済的支援、被災児童等への支援を総合的に進めることが重要と考えており、世帯の収入状況にかかわらず教育を受ける機会が保障されるとともに、毎日の生活においても、経済面のみならず心身ともに安心して送ることができる環境を整えることにより、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることのない社会の実現を目指してまいります。
次に、子供の貧困に関する実態調査についてでありますが、盛岡市が平成28年度に母子世帯を対象に行ったひとり親世帯の子どもの生活実態に関する調査結果を見ると、小学生の3人に1人が放課後ひとりで過ごしており、また、土日勤務をしている母親が8割近くいるなど、ひとり親家庭の親が子供と過ごす時間が制約されている状況にあることから、子供の居場所のあり方についてさらに検討を深める必要があるとされているところであります。この調査結果は、いわての子どもの貧困対策推進計画に示すひとり親家庭や生活困窮世帯等の子供の居場所づくりに関する支援の方向と合致したものとなっていると認識しています。
今後、必要とされる施策については、現在、盛岡市と情報交換を行っているところであり、今年度、調査を実施する予定の市町の調査結果や子どもの貧困対策連絡調整会議での議論をもとに、今後、重点的に取り組む施策についてさらに検討を進めてまいります。
次に、児童相談所の体制強化についてでありますが、県では、増加する児童虐待相談に対応するため、今年度、児童福祉司を2名増員し32名体制としたところであり、加えて、平成28年改正児童福祉法において、児童福祉司やスーパーバイザーを対象とした専門研修が新たに義務化されたことから、児童福祉司任用前講習会及び児童福祉司スーパーバイザー研修を実施しています。今後においても全児童福祉司を対象とした児童福祉司任用後研修を実施することとしており、これらの研修を通じて児童福祉司の資質向上に努めていきます。
今後におきましても、社会福祉職を採用するなど計画的な職員の確保に努め、児童相談所の体制強化を図るほか、研修等によりさらなる相談体制の充実に努めてまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 被災地域の交通手段の確保についてでありますが、被災市町村では、応急仮設住宅と市町村内の病院や仮設商店街、公共施設等を結ぶコミュニティーバスなどについて、国から経費全額に対する補助を受けながら運行しているところでございます。この事業は、当初、平成27年度までとされておりましたけれども、復興の途上でもありまして、引き続き財政措置が必要であったことから、県といたしましては国に対し事業の延長を要請した結果、平成32年度まで延長されたところでございます。また、県におきましては、デマンドバスの実証試験運行や公共交通計画の策定などを支援するため、被災地域も含む市町村に対し補助しているところでございます。
県といたしましては、被災市町村のまちづくりが変化していく中、応急仮設住宅の経由に加え、新たな生活拠点を結ぶ路線も補助対象とするなど、国に対して制度拡充を求めておりまして、引き続き、復興まちづくりの進展に応じ、適切な交通体系が構築されるよう必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
次に、地域公共交通の課題についてでありますが、本県の路線バスを初めとする地域公共交通につきましては、利用者の減少が続きまして、これによる路線の収支悪化がサービス水準の低下をもたらし、さらなる利用者の減少を招くといった負のスパイラルが進行しているほか、非効率な路線の拡大も深刻化するなど、厳しさが増しているところでございます。また、市町村内の公共交通においても、高齢化や交通空白地の拡大などを背景に、従来の路線バスだけでは対応できないといった課題も顕在化してきておりまして、地域公共交通の持続性に大きな懸念が生じているところでございます。
このため、県におきましては、持続可能な地域公共交通の構築に向けて、本年7月に国や市町村、交通事業者、学識経験者等による会議を設置いたしまして検討を始めたところでございます。検討会議では、広域的な幹線路線とそれに連なる市町村内の公共交通網を一体的に捉えまして、効率的で利便性の高い持続可能な交通ネットワークに再編することが重要との基本認識に立ち、対応の視点として、全県的な交通結節点の設定、適切な交通手段の組み合わせなどによる交通体系の効率化、地域公共交通の運営を担う体制や支援制度の整備などを挙げながら検討を進めているところでございます。
次に、広域行政圏の取り組みに対する方向性についてでありますが、ライフスタイルの多様化等によりまして住民生活が広域化しており、市町村においても、広域的な視点と連携により、適切な公共交通ネットワークを構築していくことが求められております。
本年7月に設置した検討会議におきましては、広域都市圏を単位とした公共交通ネットワークの再編の方向性を盛り込んだ地域公共交通網形成計画を、県が策定した先進事例も参考にしながら議論を重ねているところでございます。広域自治体である県がこうした計画を示しながら広域的な交通ネットワークの再編を進めることは、市町村による広域連携の取り組みを促す羅針盤になると考えておりまして、市町村間の調整等に関し必要な役割を果たしていくためにも、引き続き検討会議で議論を重ねてまいりたいと考えております。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 男女共同参画の実施状況の評価についてでありますが、県では、男女共同参画推進条例に基づき審議会を設け、いわて男女共同参画プランの施策の実施状況について報告し、毎年度御審議いただいているところであります。昨年度の審議会では、中小企業や防災などの地域活動において、女性の活躍をなお一層推進する必要があるなどの御意見をいただいているところであります。このような意見を受けて、今年度はいわて女性の活躍促進連携会議において防災や農山漁村などの五つの部会を設置したほか、本県企業の大部分を占める中小企業での女性活躍の具体的取り組みを促進するため、いわて女性活躍企業認定制度をこの10月からスタートさせたところでございます。
今後におきましても、経営者や男性社員を重点に具体的な実践を促すための意識改革をさらに進めるとともに、働き方改革や子育て支援などの取り組みとも連携しながら、全ての人にとって働きやすく暮らしやすい社会となるよう、取り組みをさらに進めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 教職員の長時間勤務の改善に向けた取り組みについてでありますが、学校への期待の高まりや教育課題の多様化等に伴い、教員に求められる役割が質、量ともに拡大し、教職員の負担が増大しているところであり、健康確保策の推進等も含めた勤務負担軽減策を総合的に講じていくことが喫緊の課題であると認識いたしております。
県教育委員会におきましては、これまでも、少人数学級の推進や事務的事業の見直し、部活動休養日の確実な設定、履行などに取り組んできたほか、平成27年1月に設置した勤務負担軽減に向けた関係団体との協議の場における検討を経て、さまざまな勤務負担軽減策を実施し、教育環境の改善に努めてきたところでございます。
議員御案内の緊急提言は、全国的に教職員の長時間勤務の看過できない実態の改善に向け、今できることは直ちに行うべきとの考えのもとに、学校、県教育委員会、市町村教育委員会、国のそれぞれが実行すべき具体的な取り組みを内容としてまとめられたものでありますが、その一部については来年度予算の概算要求にも反映されているところでございます。
県教育委員会といたしましても、この趣旨や提言の内容をしっかりと受けとめ、市町村教育委員会を初めとした関係機関等とも連携しながら、教職員の適正な勤務時間の把握など、勤務環境の改善に向けた一層の取り組みを検討してまいります。
次に、教職員の負担軽減に向けた提言の検証についてでありますが、県教育委員会におきましては、これまで、平成21年のワーキンググループからの提言を踏まえ、研究指定の重点化や精選、学校の裁量拡大の促進、学校徴収金に対応するための非常勤職員の配置、会議、調査の厳選などに継続的に取り組んできたところであり、教職員の負担軽減に向け一定の成果を上げてきたものと認識いたしております。
勤務負担軽減に向けた関係団体との協議の場においては、この提言項目に係る取り組み状況についても改めて検証しながら、労働安全衛生体制の確立や時間外勤務の把握、部活動指導業務の見直し等の項目について順次検討し、勤務負担軽減に向けた取り組みを進めてきております。
県教育委員会といたしましては、なお取り組むべき課題が多くあることから、今般の中央教育審議会からの緊急提言についても真摯に受けとめながら、一層の勤務負担軽減に向け、新たな取り組みを含めた総合的な負担軽減策の検討を進め、教育の質の向上や教職員の勤務環境の改善に市町村教育委員会、学校との連携のもとに力を入れて取り組んでまいります。
〔人事委員会委員長熊谷隆司君登壇〕
〇人事委員会委員長(熊谷隆司君) 教育職員の多忙化の解消についてでありますが、平成29年度の教育職員の時間外勤務につきましては、第71回国民体育大会の開催等に伴い例年よりも時間数が増加した平成28年度と比べ、現時点では減少しているものと把握しております。しかしながら、本委員会としても、教育現場を取り巻く環境の複雑化、多様化により教育職員の負担が増大していることから、教育職員が健康で意欲を持って勤務できる環境の整備を進めていく必要があると考えておりまして、そのためには、長時間勤務の解消が喫緊の課題であると認識しております。
こうしたことから、昨年の職員の給与等に関する報告及び勧告において、教育職員の長時間勤務の解消に向けた実効性のある取り組みの必要性について言及いたしました。また、本年8月には、人事委員全員が学校現場に赴き、部活動指導や課外個別指導などによる時間外勤務の実情につきまして、直接、教育職員から聞き取りを行うとともに、意見交換を行ったところであります。
本委員会におきましては、労働基準監督機関として、教育現場の長時間勤務の実態把握に引き続き努めるとともに、職員の給与等に関する報告及び勧告や任命権者との意見交換などを通じ、教育職員の勤務負担軽減に向けた取り組みの実施について教育委員会に対して促してまいります。
〇26番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
それでは、大きく2点再質問をさせていただきます。
1点目は、長時間労働の削減についてですけれども、先ほど壇上で申し上げました、亡くなった教諭が特別な働きをしていたわけではなく、みんなが、ほとんどの教職員が同じように過重労働であります。例としては、小学校、中学校の超過勤務の状況、盛岡市ですけれども、1カ月で100時間以上─超過勤務の分ですよ、100時間以上が68人、小学校4人、中学校64人、80時間以上が94人、小学校20人、中学校74人と、これは昨年のデータでございますが、前年度を上回っております。
そして、以前にもお話をしましたけれども、昨年度の教職員の現職死亡は、県立学校が6人、小中学校が13人、計19人です。病気による休職者は86人、うち55人、64%が精神疾患によります。これは長時間労働から来ております。こういうような実態にあります。
これは岩手県だけの問題なのかとお思いでしょうけれども、これは全国の問題でありまして、ここに週刊東洋経済という冊子があります。この冊子に、学校が壊れる。学校は完全なブラック職場だということで40ページにもわたって特集を組んでおります。
教職員の長時間労働は社会問題なはずなのですが、多くの県民の皆さんは、そういうことはまだわかっていらっしゃらないのではないかと思いまして、やっぱり一般市民の方々にも啓発をしていくべきだと考えます。まず、それが1点です。
それから、先ほど壇上で申し上げました給特法がつくられたのは1971年ですけれども、当時は月平均の超過勤務が約8時間です。今はその10倍にも上っております。ですから、そのくらいの超過勤務であれば、人をふやさなければならないわけですが、岩手県の定数を見ました。公立小中学校で岩手県は100%配置されていない。99.3%で、徳島県と並んでワーストということが調査から見えてきました。やっぱり100%にしていただきたいと思います。恐らく加配がありますよと言うかもしれませんが、100%配置をしてからの加配だと考えます。これはどう考えてもおかしいので、早急に改善をしていただきたい。
教職員が足りないということで、中学校では、ある程度大きな規模の学校でも無免許、免許がないのに別な教科を教えなければならないという実態が起きております。ある学校に訪問したときに、私は体育の教師なんですけれども、昨年、理科を持たせられたんです。理科ですから予備実験があります。器具の準備があります。後片づけもあります。そういうことで、御自分の体育の教材研究を全くできなかったと訴えられました。これはおかしい話です。やはり免許を持っている教員に生徒たちも教えてもらいたいわけです。そういうふうに教職員の数をきちんとそろえるべきだと思っております。
いじめとか支援を要する生徒たちのことをきのう千葉絢子議員がおっしゃいましたけれども、いじめ問題とか支援を要する子供たち、そういうことにしっかりと向き合って、時間をかけて解決していきたい、それは、教職についている者であれば誰もが願っていることであります。
ところが、それを最優先するだけの時間がなかなか見つからないということで、本当に悔しい思いをしていると思います。私も教職にあったときには、我が子にしてほしくないことは、よその子供にもやらないということで、まずそうやって頑張ってまいりました。亡くなってしまいましたけれども、母には、学校の子供を見るくらい我が子もきちんと見なさいと叱られて、そうやって勤務したものでございます。そういうことで、教職員がどんな状況にあるのかということを理解していただきたいと思います。
教職員の忙しさにさらに拍車をかけているものに、全国学力調査とか県学力調査、あとは市町村でも行っている学力調査があります。その時間だけではなくて、過去問題の練習をしたり、そして、終われば終わったで、今度、その対策を練ったり、もう年がら年中そのことだけに追われているという本末転倒なことが起こっております。
ただ、先日、県教育委員会では、そういうことがあってはならぬという通知を出してくださいました。本当にそうだと思います。教育の目標は、人格の完成と平和で民主的な国家、社会の形成者の育成であります。そのためには、子供一人一人に豊かな学びが保障されるべきでありまして、先ほど申し上げましたように、主要科目での免許外教員の問題とか、市町村教育委員会の教育予算の削減など教育環境が厳しい状況にあります。文部科学省、県教育委員会が果たすべき役割は、テスト、テスト、つまり学力調査、全国学力調査や県学力調査のテスト対策に注力するのではなく、教育の機会均等を保障し、全ての子供たちが安心して学ぶことができる教育条件を整備することと考えます。
先ほど教育長からうれしい御答弁がございました。来年度予算に、一部ではあるけれどもその対策のものを盛り込みましたと言いましたが─手を振らないで、それをちょっとだけ教えていただきたいことと、あと、最後に申し上げたいことは、国連子どもの権利委員会から日本政府への勧告の一文ですけれども、競争的な学校教育が、就学年齢層の子供のいじめ、精神障がい、不登校、中途退学及び自殺を助長している可能性があることを懸念するとあります。ですから、そのことについての御答弁もいただきたい。手を振らないで、ちょっとだけヒントになることも言っていただければいいと思います。
それから、先ほど私は、子供の貧困につきまして、ひとり親家庭の支援者養成セミナーの開催や生活困窮世帯等の子供の学習支援の充実など取り組みの拡充を図ったとのことですが、現状と今後の取り組みの拡大について伺いますと質問いたしまして、この取り組みが貧困の連鎖を断ち切ることにどうつながるのかもあわせて伺いますと質問したつもりなんですが、その御答弁が果たしてあったのかどうか。
そこで私は、前からお話をしています高校入試の直前になって、貧困家庭の子供さんを集めての学習支援が行われているわけですけれども、そうじゃなく、やはり幼児期からの支援がすごく重要だと常々ただしてきました。
子供が問題にぶつかったときに粘り強くトライする力、頑張ればきっと報われるという自信、わからなかったことがわかったときの喜び、このような力は、就学前、幼児期の家庭教育から育まれると言われております。特に乳幼児期の貧困が、子供に最も長期的な悪影響を与えることもわかっております。
乳幼児のいる低所得世帯への支援については、県でも関係部局が取り組んでおりますけれども、その現状と今後の取り組みについて伺います。この乳幼児のいる低所得世帯への支援を続ける、そして、切れ目のない支援をすることこそが、貧困の連鎖を断ち切ることにつながると私は考えております。
御答弁をお願いして、終わります。
〇教育長(高橋嘉行君) まず最初に、先ほど不適切な身ぶりをいたしました。おわび申し上げたいと思います。
それで、先ほど予算の関係の御質問がございました。私が先ほどの答弁で申し上げましたのは、この超過勤務、それから教職員の負担軽減の問題は喫緊の課題だということで、今回の中央教育審議会の緊急提言において、県教育委員会、それから市町村教育委員会、それから国がやるべきことを提言された。そういう中で、国においては、今回、教職員定数の拡充等にかかわる予算を概算要求の中に盛り込んだというようなことをお話ししたつもりでございました。
それで、県教育委員会といたしまして、国にお願いすべきはしっかりお願いしていきますし、それから、県教育委員会、市町村教育委員会がやるべきこと、現在、総体的なその体系というものをしっかりと整備した上で、関係者の合意形成のもとにこれは確実に進めていくということで、そういうことを大きな課題認識として持っているということをあわせて申し上げさせていただいたところでございます。
いずれ、議員からもお話がございましたけれども、学校教育は、これは教員をして推進されているということでございまして、その役割は子供たちの人格形成にあると。これは教育基本法、それから学校教育法に共通した理念でございまして、そのためには、教員がしっかりと教育に向き合えるような環境をつくっていくことが極めて大事で、それがあってこそだと思いますので、そういう考えのもとで、勤務負担軽減の解消に向けてできる限りの努力をしていきたいと考えております。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) ひとり親家庭支援者等養成セミナーについては、母子・父子自立支援員や市町村等の相談関係職員のより一層の資質向上を図ることを目的とするもので、県内4カ所での研修会の実施をすべく、現在事務を進めております。
もう一つの生活困窮者世帯等の子供の学習支援については、今まで盛岡広域振興局管内で実施してきましたが、今年度について、県南広域振興局管内の3町において実施すべく、現在事務を進めているところでありまして、そうした教育の支援などを総合的に進めることが、貧困の連鎖を食いとめることにつながるものと考えております。
また、議員から御提言のありました幼児教育の充実等についてですけれども、県の計画の中でも、教育の支援について幼児教育の充実等について規定しておりまして、まさに教職員の資質であったり専門性の向上などをしっかり行って、地域や家庭等との連携を図りながら、幼児教育の充実に取り組んでいくということを行いながら、教育の支援を総合的に行うことで、学習環境の整備に努めてまいりたいと考えているところであります。
〇26番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。教育長にお伺いいたします。
先ほど99.3%でワーストですよという話をしました。ぜひ、そのところは改善をするということ。
それから、先ほど一般市民の方に、教職員の長時間労働について啓発をしていくということもお約束していただいたと思います。
それで、タイムレコーダーのことですけれども、そのことは個々には考えていないのでしょうか。もう導入すると決めた学校もあるのですけれども、まさにやれることは直ちに行うという中央教育審議会からの通知がありますので、そこのところの御答弁をお聞きして、終わりたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 各学校ごとの基礎定数と加配定数で教員定数は決まっておりますけれども、基礎定数をベースに体制を確保していくのは極めて大事だと思います。その辺の実情をしっかり見ながら、そしてまた、教職員の人材確保にも努めて、しっかりした体制を構築していくように努めていきたいと考えております。
それから、タイムレコーダーでございますけれども、これは、勤務時間の把握としては一つの有効なツールだと思っております。ただ、一方で、タイムレコーダーで全て把握できるということではなくて、やはりそれはそれ以外の、学校外の勤務もございますので、それをどのように把握していくかということも含めて、関係者の合意をしっかりとった上でその方向を目指すことが必要かと思っていました。それらも含めてしっかりと検討していきたいと思っております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 認定第1号平成28年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第53 議案第40号岩手県立久慈高等学校校舎改築ほか(建設)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木順一君) この際、日程第2、認定第1号から日程第53、議案第40号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ