平成29年9月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(阿部盛重君) 改革岩手の阿部盛重でございます。
今回、一般質問の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
平成23年3月11日の東日本大震災津波の発災から6年6カ月が経過し、また、平成28年8月30日に本県に上陸した台風第10号の災害から1年が経過しました。改めて犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族や被災された方々に謹んで哀悼の意を表します。
また、いまだ9、640人の方々が応急仮設住宅などでの生活を余儀なくされており、不自由な生活を送られている方々を初め被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
さらに、県の職員の皆様には、震災から復旧、復興を優先課題とし、県内外から多くの御支援をいただきながら、県民、県、市町村が一体となって被災者の復旧、復興に当たられたことに敬意を表します。
それでは、順に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、地方創生についてお伺いいたします。
政府は、人口減少の本格化を前に、地方自治体に人口ビジョンをつくらせ、人口減少の流れを押しとどめるための総合戦略を策定し、実践することを求めています。地方自治体が策定する総合戦略は、東京への人口集中を緩和し、現在、年間10万人に達する東京圏への転入超過をゼロにすることを達成するために必要な政策集との位置づけになっています。
人口の地域間移動は、都市の経済的活力や魅力の差異により生じる結果で、人は、経済成長があり、富がより多く生まれる地域に流れるのが自然でもあります。また、インフラやICT─情報通信技術などの社会基盤の整備と発展は、条件が不利とされてきた地方をも持続的な暮らしの場へと変える可能性を秘めています。
平成27年、全国の自治体が国の地方創生戦略に基づき地方版総合戦略を策定し、あわせて達成すべき目標として人口ビジョンも策定されました。本県においても岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つを柱に、岩手への新しい人の流れを生み出すための取り組みを進めております。人を地方に呼び込み、長期にわたり定着させるには、相応の仕事がなければなりません。仕事の減少が人口の流出を後押ししてきたという側面もあると思います。若い世代が持続的な暮らしを営むためには、一定の収入が期待できる仕事が必要であるという当たり前のことは軽視できません。東京に人口が集まる一つの理由は、働く場がたくさんあることです。日本には約162万の企業がありますが、そのうち17%が東京に集中し、これは2番目の大阪7.5%と比べ2倍以上の数です。神奈川、埼玉、千葉を加えた東京圏で見ると30%を超え、売上高トップ100社のうち71社、上場企業の約50%が東京に本社を置いている現状です。
国では、人口減少に歯どめをかけ、2060年に1億人程度を確保するとの考えのもとに、長期ビジョンを掲げ、地方からの若年人口の流出と東京圏への一極集中の是正を図るとともに、結婚、子育ての実施を推進する5年間の総合戦略も決定しました。
長期ビジョンでは、若年層の出産の希望が実現すれば合計特殊出生率が1.8程度の水準まで向上するとの見通しを立て、2030年に1.8、2040年には2.07まで回復するとの道筋を描いてはいます。
また、本社機能の一部移転などによる企業の地方拠点強化の件数を2020年までの5年間で7、500件までふやし、地方での若者の雇用を2020年までの5年間の累計で30万人生み出すとしています。それを支援する地方創生推進交付金を1、000億円計上し、税制改正を行い、本社機能を移転した企業への減税措置である地方拠点強化税制も講じています。
また、第30次の地方制度調査会では、地方中核都市になりますが、隣接の小規模な市町村も含め拠点都市としての役割を期待し、中心市と近隣自治体との間で都市機能の集約とネットワークを期待し、連携協定を結ぶよう求めてもいます。
さらに、国では最近、20万人以上の拠点都市と周辺市町村が協力して地域活性化などに取り組む圏域を連携中核都市圏と呼び、財政支援を行うよう決めてもいます。
こうした国の動きは、地方経済を振興し、若者を中心とした地方の人が地元で職を得、豊かに暮らせるように、そして、人口減少対策にもつなげようとするものと捉えております。
そこで、本県のあるべき姿をどのようにお考えか、地方創生の実現に向けた決意を知事にお伺いいたします。
次に、空き家の利活用についてお伺いいたします。
少子高齢化によって、日本の人口は2050年には1億人を切って9、708万人となり、後期高齢者の人口割合は約24.6%になると予想されています。子供が少なくなり高齢者が増加して人口が減少すると、住宅需要は減少し、その結果、使用されない住宅、すなわち空き家が増加することになります。人口推計から推測される日本社会は、2050年には人口の半分以下の者が御老人と子供を養っていく社会でもあります。
また、地方税法第349条の3の2第1項によれば、固定資産税の課税標準は、住宅用地については3分の1で、面積が200平方メートル以下の住宅用地については6分の1となる旨の減税措置がとられています。したがって、空き家が撤去されると減税措置の適用がなくなり、所有者は空き家を撤去することなく放置することになります。
空き家となった建物などの活用策の中心となるのは空き家バンクで、地方自治体が空き家情報を収集し、宅建業者などの協力を得て空き家の売却などを支援するものですが、空き家バンクの登録数が少ないことから、物件収集手段の充実や受け入れ体制の整備などが急務であります。
盛岡市では、空き家バンクが平成24年12月1日より、社会実験として松園ニュータウンをモデル地区に実施され、平成27年度からは、行政区域内の市街化区域に範囲が拡大されましたが、平成28年9月現在、盛岡市内の登録数は5件であり、これまでの累計は9件であります。
県は、行政と民間が連携して取り組む県空き家等対策連絡会議を平成28年8月29日に立ち上げ、空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年に全面施行されたのを踏まえ、問題ある特定空き家対策だけでなく、公民連携による空き家利活用など課題解決に取り組むとされています。
県内の空き家総数は平成25年の統計で7万6、300戸、空き家率は13.8%、そのうち賃貸住宅の空き家等、今すぐ使える空き家が3万5、300戸、現在利用されていないその他空き家が4万1、000戸あります。
空き家などに対する施策は、地域住民と最も密接な関係を有する市町村が中心となって行うものですが、建築に関する専門知識などを有する職員がいない市町村もあります。
また、空き家の相続紛争、改修費用不足など、さまざまな空き家の原因があるため、利用価値がある空き家などの売買についての宅建協会などによる相談では足りず、利用価値がない空き家についても、建築士、弁護士、税理士などとの連携も必要になってきております。
群馬県は、一般社団法人移住・住みかえ支援機構と共同で群馬県空き家活用・住みかえ支援事業を実施したり、千葉県流山市では、住み替え支援制度を利用し、住み替え支援組織を結成し、全ての各種相談を1カ所で行うようにして、不安や負担が軽減されるようにしています。
そこで、県では市町村への技術的な助言や市町村相互間、各業界との連携を含め、どのような空き家の利活用施策をお考えか、知事にお伺いいたします。
次に、木造建築の可能性を広げる新木質材料として注目度が高まるクロス・ラミネーテッド・ティンバー─CLTの普及推進についてお伺いいたします。
既にこのCLTを用いた中大規模の建築物が次々と建築されており、日本でも本格的な実用化に向けた法整備などが急ピッチで進んでいます。
〔議長退席、副議長着席〕
CLTとは、御存じのように、人工乾燥したひき板、ラミナを線維方向が直交するように積層接着した大型面材で、3層、5層、7層、それ以上と層を厚くすることで、用途や要求強度に応じた材料を製造できる、まさに木の魂とも言える建築材料で、ひき板を直交積層することで、反る、割れるといった木材の欠点を解消する特徴を持ち、均質な強度の製品を生産でき、節などが多い比較的低質な木材を利用できるといった特徴も備え、厚みや幅があるため、断熱性、遮熱性、耐火性なども期待できると言われています。
国では、平成28年4月に建築基準法に対応したCLTの告示を施行し、一般的な設計方法で建築できるようになりました。森林資源は、植林と伐採、利活用というサイクルを計画的に回していくことで、持続的な資源供給が可能になります。
森林資源の活用先として期待されているのが、御存じのように建築分野であります。ここに来て、戸建て住宅だけでなく、中大規模の建築物を木造化しようという機運も高まってきていて、鉄やコンクリートから木へという流れがあり、新たな木質材料として注目度を高めているのがCLTで、ヨーロッパなどでは、既に中大規模の建築物が次々と建築されています。
CLTは、基本的にJAS認定工場で製造されたJAS製品である必要があり、平成29年3月末時点でCLTのJAS認定工場は全国で8社9工場で、本県でもCLTの製造に向けて準備を進めている企業があると聞いておりますが、2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックでは、大会関係施設における構造や内装、外構などで積極的に木材を利用していくことが検討されており、日本の木造技術を世界に発信する上でも絶好の機会と捉えています。
また、地域経済に貢献する林業の活性化にも力を注いでいる本県においても、多くの木材を有効利用できるCLTを県内で製造することで、県内の木材資源を有効活用できると考えます。
さらに、再生可能な天然資源である木材を有効に活用するため、ユニット化などの新たな製造技術による効率化などを図りながら、CLTの利点を広げ、木質化によって、他の材料では実現できないデザインや意匠性、インテリア空間なども実現できることから、森林資源が豊かな本県でもCLT建築の普及が進むと思われます。
そこで、県では今後、CLTの普及にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、木材の活用に当たっては、パルプを製造する製紙会社とも関係し、おが粉は家畜の敷き料として利用されるため、家畜事業者などとも関係し、バイオマス利用に取り組めばさらに関係先が広がります。
県では、今後、木材資源を生かすためにどういった取り組みが有効と考え、関係者とどのように連携していくのかお伺いいたします。
さらに、東京オリンピック・パラリンピックでの岩手県産材の利活用をどのような戦略でアピールされていくのか、知事にお伺いいたします。
次に、災害対策、減災対応についてお伺いいたします。
日本の国土は、さまざまな自然的条件から、台風、土砂災害、地震、津波、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土と言われております。近年は、異常気象により大雨洪水被害が多く発生しております。急峻な地形のため、河川は急勾配で、大雨時は急激に河川流量が増し、洪水災害や河川氾濫による被害を受けやすい、そして、もろい地質の山が多いため、土石流や地すべり、崖崩れなどの土砂災害が発生しやすい条件下にあります。
日本は、四つのプレートが日本列島または列島付近でぶつかり合っており、そこにひずみができ、亀裂が入ることで地震が発生し、プレートそのものがはね上がったことが、東日本大震災の大津波の原因になったと言われます。
毎年、岩手県総合防災訓練が開催され、自助、共助、公助の災害対応の総合力の強化も図られていますが、自治体職員だけでは地域の安全確保はできなく、地域の住民、研究者、さらには企業、技術集団とも協力し、連携のきずなを深め、地域の安全を守ることで、総合的な地域防災力の向上が図られると思います。
地震が起きても倒壊しにくい建物を建築する、地盤構造調査を実施し軟弱な場所は補強するとか、建設許可を出す場合は適切な助言を行うとか、ライフライン、上下水道も耐震性のものにかえる、また、学校などは、避難場所として機能するように、体育館に冷暖房機能を設置したり、自炊できるように食料や飲料水を貯蔵できる機能を付加させるとか、道の駅には自家発電や防災用の備蓄倉庫を設置するとか、長期的視点で災害に強いまちづくり、災害が起きても危機管理ができる緊急危機対策を行っておけば、災害時はあわてることもないわけです。
そこで、これまでの度重なる災害を踏まえ、減災に対する知事の御所見をお伺いいたします。
大規模災害になると、電話はもちろん全域が停電になり、非常用電源のないところはテレビ、IT機器は使えない状況になります。このような場合、県では被害情報の収集などに支障を来すことになることから、停電時発揮されるアナログ的手法も訓練しておくべきと考えますが、県のお考えをお聞きいたします。
また、防災担当者は、他の一般職員と同様に2年から3年で人事異動があります。せっかく地震災害、火山災害、風水害など、直面した実務的な防災対策を行ったにもかかわらず、数年で異動すれば、そのノウハウ、経験が生かされなくなります。本県ではどのような人材育成システムになっているのかお伺いたします。
大規模災害が発生した場合、どの地域でも国内最大の組織力とマンパワーを持つ自衛隊の支援なくしては対応が不可能と言われており、日ごろからの連携が最も大事と言われています。
そこで、本県は自衛隊との密接な関係をどのように築き、今後さらに生かしていくのか、そして、各自治体、関係機関との連携をどのように構築していくのかお伺いいたします。
医薬品、医療材料及び要配慮者に配慮した特別用途食品などの確保を含め、県内で広域にわたって物資支援できる物流拠点を平常時から整備しておく必要性があると思われます。そのためには、どこの地域で災害が発生しても対応できるように、備蓄を含め膨大な量の物資を集積できる物流拠点数カ所を設定し、広域に効率よく支援物資を配送できるシステム構築が必要と思います。
確かに、県では平成26年度に県北上地区合同庁舎、平成27年度に二戸市分庁舎、平成28年度には県消防学校に備蓄物資を配備されましたが、広大な本県では不足していると思います。
今後の広域防災拠点の整備方針はどのようになっているのかお伺いいたします。
また、広範囲にわたる避難所に対する医療救護について、人員の派遣の調整、医療機関への支援など、避難所における保健医療の確保が図られなければなりませんが、大規模災害のときは、交通、通信などが断絶した状況も考えられます。その場合の医療救護体制と各関係機関との連携体制の構築はどのように確立されているのかお伺いいたします。
そして、他県からの応援職員は、総務省スキームで全国知事会、全国市長会などを通じ派遣される場合と、協定、提携、姉妹都市に基づく派遣などさまざまなスキームがありますが、派遣職員の受け入れと市町村ニーズとの調整が難しいと思います。
スムーズに応援職員を受け入れるには、受け入れ計画や受け皿を整備しておくことが重要と思われますが、県ではどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
県政調査会でもお話がありましたが、平成16年新潟県中越地震において、中山間地域の集落が孤立したため、ヘリが救援物資を運搬し、避難場所まで住民を搬送するといった事態が起きました。また、電話などが不通となったため孤立した地域との連絡がとれなくなり、報道でも大きく取り上げられましたが、道路上のSOS絵文字が唯一の情報伝達でもありました。同じことが昨年の台風第10号の被害の際、岩泉町でも起きました。
道路の決壊で通行できなくなった場合に備え、食料を備蓄する、避難場所を設置する、集落ごとに自家発電装置や無線装置を整備するなどの防災対策が必要と思いますが、県ではどのような施策を行っているのかお伺いいたします。
次に、ソフトパワー戦略についてお伺いいたします。
本年7月に影裏で芥川賞を岩手県関係者として初めて受賞した盛岡市在住の沼田真佑さん、とてもすばらしいことと思います。同じ岩手、盛岡市に住む私としても誇りに思います。東日本大震災津波を題材として、本県に異動した30代の男性会社員と同僚の男性との交友を中心に描き、5月に文藝春秋主催の第122回文学界新人賞を受賞、7月の選考会で第157回芥川賞に選ばれました。
知事も、震災復興を踏まえた小説が芥川賞に輝いたという意味でも大きい意義がある。先人たちの活躍をベースにしながら、自分なりの文学の道を追求してもらいたいと所感を述べられております。
近年、地方ゆかりの受賞者が多いことに対し、芥川賞の選考委員の高樹のぶ子氏は、方言の意味が、以前はコンプレックス、マイナーだったけれども、今は新しい言語というか若い人たちが自由に使える言語としての魅力が生まれてきている。若者のセンシティブな語感を伸ばせる言語をつくり出すというところで地方に可能性があると思っているとコメントを寄せられております。
また、最近では、本県の明治から平成までの文学史をまとめられた書籍なども刊行されており、明治の文人に始まり、高橋克彦氏らけいがいに触れる作家まで時代を追って網羅され、瀬戸内寂聴、井上ひさし、色川武大など、岩手を愛した大家の筆跡もたぐり、日本の文学の光陰を照らし出しています。
また、県は、第70回岩手芸術祭も開催し、文芸部門では、小説、短歌など9種目で作品を募集しておりました。
そこで、まず、岩手芸術祭文芸部門の成果と課題、今後の取り組みについてお伺いいたします。
1970年代、日本社会が物の豊かさから心の豊かさへと転換を始めたころ、地方の時代、文化の時代の到来を唱え、地域の風土や歴史に根差す伝統文化を初め、文化芸術は重要な要素として位置づけられるようになりました。
また、国は平成13年に文化芸術振興基本法を制定して、国民それぞれが文化芸術に身近に接し、文化芸術を尊重し、大切にしていく社会を実現することとし、平成27年5月に閣議決定された基本方針でも、文化芸術資源で未来をつくり、文化芸術立国の姿を創出していくための国家戦略となることを目指すとされました。
本県は、平成20年3月に岩手文化芸術振興基本条例が制定され、同年12月の文化芸術振興に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向などを定めるため、岩手県文化芸術振興指針を新たに策定されました。そして、平成27年3月の指針の改定に当たり、豊かさを感じ伝える國いわての実現を目指していますが、さらに一歩進め、地元有名作家はもちろん、芥川賞、直木賞作家の方々を招き、次代の文化芸術作家の発掘のため、担い手育成計画を提示すべきと強く思います。
限界集落では、どんなに無理をして、どんなにお金を注ぎ込んでも、経済的に以前のような活気を取り戻すことは厳しいと思います。でも、祭りや収穫祭や運動会など、いろいろな文化的な仕掛けをして、若者にそのときだけでも来ていただくようにすれば、地域の文化的な活動が徐々に再現できるようになってきますし、この場で小説を書きたいという人も出てくると思います。地域の文化の役割をきちんと位置づけ、地域にしかつくれない文化的なコンテンツを取り戻させることが大切です。
そこで知事にお伺いいたします。文化芸術資源を生かした地域振興を図るため、どのような文化政策を推進するお考えなのか、また、多くの作家を輩出してきた文化的な宝庫である本県において、文学に着目した文化芸術を振興し、文化芸術創造県、文化芸術創造都市というものをつくり出していくことが必要と思いますが、それぞれに御所見をお伺いいたします。
本県の文化芸術や魅力を世界に示し、文化芸術を通じて世界に貢献する観点から、あすを担う小・中・高校生への文学にかかわる教育や文芸活動への支援について、どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、文学振興には県立図書館や学校図書館の役割が重要ですが、郷土作家や地方出版の作品の収集、作家の紹介など、図書館における文学振興の取り組みの現状と課題、今後の取り組みについてお伺いいたします。
各地には、郷土の文学作品や作家、その背景などの資料を収集研究をするとともに、展示紹介や教育普及を行うことにより地域への関心を高め、内外からの集客にもつながる拠点として多様な文学館があり、多彩な地方出版も行われていますが、文学館の意義、県と地方出版との連携についての御認識をお伺いいたします。
最後に、岩手医科大学に期待する役割についてお伺いいたします。
県では、岩手医科大学附属病院移転に対し、既に支出済みの約13億円と合わせ約66億円の財政支援を行う方針を明らかにし、一部を9月補正予算案に計上したところであります。
新たな病院に対しては県民の期待も大きいところでありますが、今回、支援を行うに当たり、地域医療への貢献という観点から、岩手医科大学がどのような役割を担うことを期待しているのかお伺いいたします。
以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 阿部盛重議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、本県のあるべき姿と地方創生の実現に向けた決意についてでありますが、岩手県人口ビジョンにおいては、岩手県ふるさと振興総合戦略の三つの柱に基づく取り組みを県民総参加で進めることにより、出生率の向上と社会減ゼロを実現し、2040年に100万人程度の人口を確保することを展望しています。この時期には、人口構造の偏りが改善に向かい、さらに2060年ごろには、あらゆる世代の人口が安定し始める状態に向かうものと見込んでいるところであります。
このようなふるさと振興の先にある2040年の本県の姿として、子供からお年寄りまで、あらゆる世代が生き生きと暮らしている岩手、県外とつながり、新しい発想にあふれている岩手、若い世代を初めとする多くの人々が集い、イノベーションが創出され、活力ある地域社会が形成されている岩手を目指しており、これに向けて全力で取り組んでまいります。
県としては、ふるさとを消滅させないとの決意のもと、人口減少を引き起こすさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、人口減少に歯どめをかけ、岩手への新しい人の流れを生み出すために、あらゆる施策を総動員して、ふるさと振興に強力に取り組んでまいります。
また、全国的な状況として、東京圏への転入超過数が依然として11万人超となっていますことから、県の取り組みに加えて、国による東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策が不可欠と考えておりまして、国に対し、地方重視の経済財政政策を実施するよう、全国知事会等とも連携しながら、強く訴えてまいります。
次に、空き家の利活用についてでありますが、平成27年5月に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法において、市町村が空き家対策計画の策定や空き家対策を行い、都道府県は、市町村に対する技術的助言や相互間の連絡調整等、必要な援助を行うこととされております。県では、平成28年度に、市町村や不動産業界等の関係団体で構成する岩手県空家等対策連絡会議を立ち上げました。
また、平成27年度から、補助金に頼らないなど持続可能な空き家活用に携わる人材の育成に取り組んでおり、盛岡市紺屋町の番屋を活用した寄席の開催など、各地区でリノベーションまちづくりや公民連携のまちづくりを目指した自主的な取り組みが始まっています。
一方、市町村からは、空き家バンクへの登録がふえない、空き家の活用に係る法律相談等への対応が難しいといった課題があると聞いておりますことから、県において、民間の専門家による相談体制を構築するなど、今後とも、市町村と連携して、地域に眠っている空き家の流通に取り組んでまいります。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピックでの県産材の利活用についてでありますが、本県は、本州一の森林面積を背景に、全国トップクラスの木材、製材品の供給能力を有する森林、林業県であり、また、東日本大震災津波の被災県としても、復興五輪をうたう東京2020オリンピック・パラリンピックにおいて県産材が利活用されることは、大変意義あることと認識しております。
このため県では、中心的な施設となる新国立競技場の建設に県産材が活用されるよう、受注業者等に対して、関係団体と連携して要請活動を行ってまいりました。また、この9月には、県として、選手村施設の建設用木材の提供者に応募したところでありますが、今般、本県の木材が採用される見込みとなっており、正式な決定が発表された後、県内関係団体と一丸となって良質な県産材を供給してまいります。
こうした東京2020オリンピック・パラリンピックでの県産材の利活用を通じて、本県林業が震災から力強く復興した姿や高品質な木材、製材品を国内外に積極的に発信し、県産材のさらなる需要拡大につなげてまいります。
次に、減災に対する考えについてでありますが、本県は、東日本大震災津波を経験し、復興基本計画の復興に向けたグランドデザインの中で、海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最小化するという減災の考え方によって地域の安全の確保を図ることを津波対策の基本に据えております。また、昨年の台風第10号災害後におきましても、必要な水位周知河川や土砂災害警戒区域の指定を行い、河道掘削や立ち木の伐採、砂防堰堤の整備などを進めるとともに、洪水減災対策協議会の設置、風水害対策支援チームの立ち上げ、要配慮者利用施設に係る避難計画の作成支援などに取り組んでいます。
今後におきましても、地域における災害リスクを把握して、被災を通して得られた教訓を広く共有し、減災の取り組みを進めてまいります。
次に、本県の文化政策についてでありますが、本県には、世界遺産である平泉の文化遺産、ユネスコ無形文化遺産である早池峰神楽、石川啄木や宮沢賢治に代表される文学、自然や風土との触れ合いから生まれ、受け継がれてきた民俗芸能など、多様で豊かな文化芸術が息づいています。
このような文化芸術を生かしながら、祭り、民俗芸能などを核とした地域コミュニティーの活性化や、岩手が誇る世界遺産や文学に魅力を感じ、関心を寄せる方々の誘客など観光振興に取り組むことで新たな需要や人の流れを創出し、地域振興につなげ、文化芸術の価値を認識し、これを育み、新たに創造し、次世代に継承していくことにより、一人一人が豊かな文化芸術とともに生きる地域社会をつくり上げていきたいと考えます。
そのような中で、本年7月に沼田真佑さんが芥川賞を受賞したことは岩手の文学にとって画期的なことであり、これまで5人の作家が直木賞を受賞したこととあわせ、改めて岩手が多くのすぐれた作家を輩出してきたことを気づかせてくれたと思います。特に昨年度は、全国高等学校文芸コンクールで最優秀賞を受賞するなど才能豊かな若い人材が全国を舞台に活躍しており、県は、岩手県芸術選奨を通じて、すぐれた創作活動をたたえ水準向上を図るとともに、岩手芸術祭を通じて広く県民に文学の発表の機会を提供するなど、文学の振興に取り組んでおります。また、県内においては、文士劇や短歌甲子園、サトウハチロー記念「おかあさんの詩」全国コンクールなど、各地域における活動も年々活発化しておりまして、県としてもこうした流れをさらに盛り上げてまいりたいと考えます。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、CLTの普及に向けた取り組みについてでありますが、CLTの普及は、本県の主要樹種である杉、アカマツ、カラマツなどの新たな需要を生み出す可能性が大きく、本県の林業振興に弾みがつくものと認識しております。このため、県では、平成26年度に一般社団法人日本CLT協会に加入し、CLTの強度、性能や施工事例などの情報収集に努めてきたほか、林業技術センターでは、県産アカマツを用いたCLT製造技術の研究開発を進めており、今年度は、県産アカマツCLTの実用化に向けた具体的な実証試験を行っているところであります。
今後とも、新たな県産材需要の創出に向けて県産アカマツCLTの早期実用化を目指すとともに、建築士、工務店等を対象としたCLT建築物の設計、工法等に関する研修会を開催するなど、県内の公共施設や民間施設におきましてもCLTが積極的に活用されるよう取り組んでまいります。
次に、木材資源活用のための関係者との連携についてでありますが、本県の木材資源の有効活用には、製材品から合板、製紙用チップ、木質バイオマス燃料などに余すことなく利用するカスケード利用を促進していくことが重要と認識しており、高品質な製材品用木材から木質バイオマス発電用の低質材まで、関係者と連携し、木材の安定供給に取り組んできたところであります。
また、将来の住宅着工戸数減少の予測も踏まえ、住宅以外の建築物への木材利用を促進する研修会の開催や、県内製材業者と県外大手メーカーが連携した新たな木材製品の開発支援など、新たな木材需要の創出に向けて、建築士などの林業分野以外の方々との連携も図ってきたところであります。
さらに、国では木質資源の新たな活用方法としてセルロースナノファイバーなどの研究開発が進められているところであり、県といたしましては、こうした新たな動きも捉えながら、分野を限定せず、幅広い分野の方々と連携が図られるよう取り組んでまいります。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) まず、災害による停電時の被害情報の収集についてでありますが、県及び全ての市町村においては停電時に備え非常用電源を配備しているほか、国、県、市町村及び防災関係機関は通信衛星を使ったネットワークを構築しており、停電時においても情報を相互に伝達する体制を整えているところでございます。また、県では、停電時を想定し、電話や口頭により得た情報をカードに手書きし、情報共有し対策につなげる図上訓練を行うとともに、衛星携帯電話による県、市町村間の情報伝達訓練を定期的に実施しているところでございます。
今後におきましても、市町村や関係機関と連携し、停電時を含むさまざまな事態を想定した訓練を実施することにより災害対応力の強化に努めてまいります。
次に、防災担当者の人材育成についてでありますが、県では、災害発生時や災害のおそれがある場合の対応が迅速、的確に行われるよう、年度当初に本庁及び広域振興局の防災担当職員に対し、災害情報システムの操作研修や実災害を想定した図上訓練などを実施しているほか、災害対応の中核となる総合防災室の職員については、国が主催する専門研修などに参加させ、防災関係の業務遂行能力の向上を図っているところです。また、市町村職員の災害対応力の向上を図るため、岩手県風水害対策支援チームと連携し、市町村を巡回して気象情報の見方や河川、土砂災害のメカニズム、災害対応に係る研修や訓練を実施しているところです。こうした研修や訓練を積み重ね、県及び市町村職員に防災業務経験者をふやし、いざというときの備えとして防災体制の強化につなげていきたいと考えています。
次に、自衛隊等との連携についてでありますが、東日本大震災津波、そして昨年の台風第10号災害や本年5月の釜石市の林野火災など、これまで大規模な災害が発生した際には、自衛隊には、県や被災市町村、警察、消防との調整のもと、その総力を挙げて被災者の救助や生活支援、行方不明者の捜索、救援物資の輸送、大規模空中消火などに取り組んでいただいてきたところです。
こうした災害時に円滑な派遣活動が実施されるには、平常時からの自衛隊との連携体制の確立が重要であり、自衛隊OBである防災危機管理監を通じた情報交換、県総合防災訓練や国民保護共同訓練を通した連携活動の強化、陸上自衛隊東北方面総監部や岩手駐屯地との意見交換などを行っております。
今後におきましても、さまざまな機会を捉え、自衛隊、さらには市町村及び関係機関とのより一層の関係強化に努めてまいります。
次に、広域防災拠点の整備方針についてでありますが、平成26年3月に策定した岩手県広域防災拠点配置計画において、自衛隊や消防機関等のベースキャンプ、ヘリポート、物資の搬入や荷さばきなどができる既存施設を中心に、県内全域で発生する大規模災害に対応する人、物、情報に関する機能を有する拠点を県央の盛岡、花巻エリアに広域支援拠点として、また、二戸、葛巻、遠野、北上の四つのエリアに被災地に近い場所で支援を行う前進基地となる後方支援拠点を配置したところです。
また、避難生活に最低限必要となる物資については、平成30年度までの5カ年で各エリアに整備することとし、避難所のニーズに対応した物資を迅速に提供できるよう取り組んでいるところであり、昨年8月の台風第10号災害の際には、水、食料などの備蓄物資を二戸及び北上エリアの後方支援拠点から岩泉町に届けたところです。
今後は、備蓄期限が到来した物資の更新にあわせ、市町村における備蓄の状況や被災時のニーズ等を踏まえた備蓄物資の種類や数量を検討するなど、広域防災拠点の機能が十分発揮できるように取り組んでまいります。
次に、応援職員の受け入れについてでありますが、平成26年4月に岩手県災害時受援応援計画を策定したところであり、この受援計画では、応援職員、義援物資、防災ボランティア及び海外からの支援の受け入れについて定めるとともに、応援の申し出を受ける窓口の明確化、応援を必要とする業務等の整理など、受け入れ態勢を整備したところです。
大規模災害発生時においては、災害対策本部支援室を立ち上げ、総務部、政策地域部等の職員による受援班が市町村ニーズを把握しつつ応援職員の受け入れ調整などを行うこととしており、今後においても、図上訓練などを通じて円滑な運用に努めてまいります。
次に、孤立する可能性が高い地域における防災対策についてでありますが、県が平成20年の岩手宮城内陸地震を踏まえて行った調査では、孤立化するおそれがある地域が27市町村で331カ所確認されたことから、孤立化想定地域においては、市町村が主体となり、多様な通信手段の確保、避難先の確保、救出方法の確認、備蓄の奨励及び自主防災組織の育成強化を行うことについて県地域防災計画に盛り込んだところです。
県では、総合防災訓練において、ヘリコプターやバスなどを活用した孤立地域からの救助、救出訓練を行っているところであり、昨年の台風第10号災害では、関係機関と連携して岩泉町、久慈市における孤立地域からの大規模な移送を実施し、住民の安全の確保を図ったところでございます。
今後におきましても、孤立化が想定される地域における防災対策について市町村に働きかけるとともに、迅速な救助活動が行えるよう訓練等に取り組んでまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、避難所における医療救護体制についてでありますが、県では、岩手医科大学附属病院や県立の基幹病院等、県内11の医療機関を災害拠点病院として指定しており、これらの拠点病院が災害時において傷病者の受け入れや広域搬送、急性期における避難所へのDMAT─災害派遣支援チームの派遣などの機能を担っています。東日本大震災津波以降、これらの災害拠点病院等にDMAT専用車両及び衛星携帯電話を整備したほか、ヘリポートの整備による搬送体制を強化するなど、交通、通信の断絶時における医療救護体制の確保に努めています。
また、平成25年度には、二次保健医療圏に災害医療コーディネーターを設置して被災地における中長期の医療救護班の派遣調整を行う体制を構築しているほか、災害時には、県内の保健、医療、福祉関係機関で構成するいわて災害医療支援ネットワーク会議を設置し、関係機関が連携しながらオール岩手で被災地を支援する体制を構築しているところであります。
次に、岩手医科大学が担う役割についてでありますが、岩手医科大学は本県唯一の医療系総合大学であり、これまで、高度専門医療の提供に加え、地域における医療機能を人材面において厚く支援し、本県の病院ネットワークの中核として、地域医療において重要な役割を担ってきたところであります。
県では、高度救命救急医療を初めとする高度専門医療のさらなる強化、充実や、災害時の医療提供体制の構築などを通じ、本県における効率的で質の高い医療提供体制の実現を図るため、岩手医科大学附属病院の移転に対して支援を行うこととし、所要の経費を補正予算案に盛り込んだところです。
また、引き続き、県民のニーズに応じた医療の提供が可能となるよう、高度専門医療の強化に加え、医師の養成、派遣など地域医療への貢献が期待されるところであり、今回、財政支援を行うに当たって、県と岩手医科大学とが緊密な連携、協力のもとで地域医療の確保に取り組むため、両者の間で包括的な協定を締結したいと考えております。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) まず、岩手芸術祭文芸部門の成果等についてですが、岩手芸術祭は、芸術文化の創造と発展に寄与するとともに、豊かな県民性の高揚に資することを目的に昭和22年から開催しており、ことしで70回の節目を迎えます。
かつて岩手芸術祭で優秀賞を受賞された方がその後も執筆活動を続け小説が出版されるなど、作家へのステップアップの機会となっており、また、文芸部門への応募作品数は約500点に上るなど、広く県民の文化活動の発表の場として定着しております。
一方、作品の応募者の約8割は60歳以上であり、比較的若い年齢層からの応募が少ない状況にあります。本年7月、沼田さんが県内在住者として初めて芥川賞を受賞したことにより、若い方々の小説を初め文芸への関心が高まることが期待されることから、この機会を捉え、岩手芸術祭の趣旨と役割を広く県民に周知し、さまざまな世代からさらに多くの作品が寄せられるよう取り組んでまいります。
次に、文学館の意義等についてでありますが、本県には、石川啄木記念館や宮沢賢治記念館などのいわゆる文学館が数多くあり、郷土が誇る作家の文芸作品や資料を収集し展示することにより、これらについて広く紹介し理解を深めるとともに、地域における文学活動の拠点、また、地域の枠を超えた交流人口の拡大につながる観光の拠点としての機能を担っており、文学の振興と地域の活性化に大きな役割を果たしていると認識しております。
また、県においては、文芸作品集の発刊経費などに助成するほか、岩手県芸術選奨による文学作品の表彰などを通じ作家へのステップアップを支援しており、地方出版においては、地方における文学の貴重な発表の場を提供しております。このように、県と地方出版は、人材の育成や文学作品の発表の場の提供など、それぞれの役割をしっかりと担いながら、車の両輪として本県の文学の振興に取り組み、寄与しているものと認識しております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 文学にかかわる教育等の取り組みについてでありますが、本県には、石川啄木や宮沢賢治を初めすぐれた文化人や文人を輩出してきたという歴史や風土があり、学校教育においてそうした先人の偉業や文学などに触れていくことは、議員御提言の観点に加え、岩手の子供たちの人格形成や地域に対する愛着心などを育む観点などからも非常に大切なことであると認識いたしております。
県教育委員会におきましては、これまで、学校教育における文学や文芸活動に対し、中学校総合文化祭、高等学校総合文化祭の開催支援や文学者等の招聘によるセミナーの開催支援などを行ってきており、また、県内の小中学校においては、教科活動や総合的な学習の時間に地域の先人教育を位置づけ、その作品や生い立ちなどを学んでいる事例、高校においては、文芸部活動において、小説や随筆、韻文等の執筆、作成に継続的に取り組み、全国高等学校文芸コンクールにおいて上位入選の常連校となっている複数の学校などもあります。
本県の学校教育においては、さまざまな教育活動を通じながら、岩手の子供たちに幅広い物の見方や考え方を涵養することとあわせ、思考力、判断力、表現力等をしっかりと身につけてもらうことが重要と考えておりますので、本県のソフトパワーである文化芸術の力なども十分に活用しながら、本県の地域や世界に貢献していく人材の育成に努めてまいります。
図書館における文学振興の取り組み等についてでございます。
文学振興には、生涯を通じ文学に親しむための適切な環境づくりが重要であり、図書館はその大きな役割を担っております。郷土作家の文学作品に触れる機会を提供するため、県立図書館では、宮沢賢治などの郷土が生んだ代表的な文学者の著書や地方出版作品などの関係資料の収集に努めるとともに企画展やシンポジウムを開催してきており、また、学校図書館においては、地域の先人やゆかりの人物を知る学習活動に生かせるよう、郷土作家の著書の配置等に努めてきております。
県内の子供たちの読書状況の課題について申し上げますと、中学、高校と学年が上がるにつれ読書活動が低下する傾向にありますので、県教育委員会におきましては、ブックリストいわての中高生のためのおすすめ図書100選、小学生のための図書100選に郷土作家の作品も位置づけて、県内全ての児童生徒に配布するなど、文学に親しむ環境づくりに努めてきております。
今後におきましても、市町村立図書館等との連携のもとに、配架する図書の充実とあわせ、多様な企画展等の開催を進め、県内各地で文学に親しむことのすばらしさを感じてもらえるような機会の提供に取り組んでまいります。
〇7番(阿部盛重君) 御答弁ありがとうございました。
CLT関連について2点、再質問させていただきます。
1点目ですが、CLTの普及推進には中大規模木造の設計に取り組む建築士の育成が重要で、既に林野庁では中高層建築物担い手育成指導事業を実施し、中大規模木造を先導する設計者を地域ごとに育成する取り組みも進められ、各県に2人ほど、全国で100人ほどの地域リーダーを育成予定とされていますが、県独自のものも含め、本県での取り組み状況についてお伺いいたします。
2点目ですが、県ではCLTの活用に積極的に取り組んでいくとの答弁でありましたが、岡山県や高知県などのCLT先進県では、行政のみならず、大学などの研究機関や建設関連等の民間事業者も巻き込んだ県単位での地域協議会を組織して、CLTの普及啓発活動にとどまることなく、設計、施工に携わる技術者の養成等にも取り組んでいるようであります。国内においてCLTを活用した建築物はヨーロッパのように次々と建設されているわけではありませんが、積極的に取り組んでいくという考えを持っているのであれば、岡山県や高知県のような先進県の取り組みを取り入れていくことも必要と考えます。東北における地域単位での協議会は、被災3県のうち宮城県は平成28年2月に設立されましたが、本県は設立されていません。今後の本県の対応はどのようにお考えなのかお伺いして終わりにいたします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、地域リーダーの育成についてでございますが、中高層建築物担い手育成指導事業による地域リーダーの育成につきましては、平成26年度及び平成27年度に一般社団法人木を活かす建築推進協議会が林野庁の補助を受けて実施したものでございます。本県では、建築士1名が平成27年度にこの研修を受講し、現在、地域リーダー名簿に登録されているところでございます。
県の取り組みといたしましては、建築士等を対象に、CLT建築物の設計などを初め、中高層建築物の木造化や内装木質化に必要な新技術の習得を目的といたしました研修会を開催しているところでございます。引き続き、こうした研修会の開催や林野庁等が実施する事業も活用しながら、木造中高層建築物を設計できる建築士等の育成に取り組んでまいります。
次に、CLTに係る地域協議会の設立についてでありますが、県におきましては、CLTの普及に取り組んでいるものの、県内の状況は、CLT製造や利活用がいまだ本格化していない状況にございます。このため、県内でのCLTの活用促進はもとより、官民が一体となって取り組む機運の醸成が必要と考えております。
今後、森林・林業関係団体等の意向やCLTの製造に関心を示す県内事業体などの動向なども踏まえまして検討してまいります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時32分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時59分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
〔26番小西和子君登壇〕(拍手)

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