平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
請願陳情受理番号47号、48号は総務委員会で不採択となりました。私は、この請願に賛成の立場から、日本共産党を代表して総務委員長報告への反対討論を行います。
請願陳情受理番号47号、48号は、組織的犯罪処罰改正法、いわゆる共謀罪法の強行採決に抗議し、廃止を求める請願であります。
共謀罪法の最大の問題は、何を考え、何を合意したかが処罰の対象となる心の中、内心を処罰するということであります。それは、具体的な行為があって初めて処罰するという刑法の大原則を根本から覆すものであります。思想や内心の自由を絶対に犯してはならないと定めている憲法第19条に反する違憲立法にほかなりません。
政府は、共謀罪法をごり押しするために、国民を欺くうそを幾つも重ねてきました。
一つはテロ対策といううそであります。政府は国際組織犯罪防止条約の批准のためと言ってきましたけれども、この条約はマフィアなど経済犯罪に対応するためのものであり、テロ対策の条約ではありません。そのことは、この条約を締結するための国連の立法ガイドを作成したニコス・パッサス教授が、条約の目的はテロ対策ではないと断言していることからも明らかであります。大体、日本政府自身が、条約の起草過程で、テロリズムは本条約の対象にすべきではないと主張しておりました。
いま一つは、一般人は対象とならないといううそであります。参議院の段階で、政府は、環境保護団体や人権団体を隠れみのとした場合には処罰されることがあり得ると言い出しました。さらに、組織的犯罪集団の構成員でない周辺者が処罰されることがあり得るとも言い出しました。しかし、隠れみのかどうか、そして周辺者かどうかを判断するのは警察、捜査機関であります。広く一般市民を日常的に監視することになることが明らかになりました。
国会質疑の中で、政府は、岐阜県大垣警察署による市民監視事件、いわゆる風力発電所の建設に反対する市民運動を監視し、その情報を中部電力に流していた事件について、謝罪も反省もなく、適正な職務だったと開き直っております。こうした違法な市民監視を既に行っている警察、捜査機関に、共謀罪法は日常的な市民監視にお墨つきを与えかねないものであります。
5月18日、国連人権理事会が任命した特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏から、共謀罪法案がプライバシー権や表現の自由への過度の制限になると強く懸念する書簡が安倍総理に届けられました。ところが、日本政府は、ケナタッチ氏から寄せられた質問に一切答えないまま、強く抗議をするという問答無用の態度をとりました。本当に異常なことであります。
共謀罪法案の審議をめぐって、かつての治安維持法の再来になるとの危惧が寄せられました。そして、それは決して杞憂ではありません。金田法務大臣は、治安維持法について、適法に制定され、適法に執行されたと言い放ちました。それならば、治安維持法による弾圧や拷問で犠牲になった多くの人々─作家の小林多喜二の虐殺も、哲学者の三木清氏の獄死も適法だったと言えるのでしょうか。こうした安倍政権による現代版治安維持法と言うべき共謀罪法による日常的な市民監視にお墨つきを与えるわけにはいきません。
審議をすればするほど共謀罪の問題点と矛盾が明らかとなり、森友学園あるいは加計学園疑惑で追い詰められた安倍自公政権が、中間報告という異常な禁じ手を使って共謀罪法の強行採決を行いました。これは、国民の怒りの広がりの中で追い詰められた結果としての暴挙でありました。
共謀罪法は、思想、良心の自由を保障した憲法第19条に反する深刻な違憲立法であります。数の暴力で強行されたからといって、そのままにしておくことはできません。違憲の共謀罪法は廃止すべきものであります。
日本弁護士連合会は、6月15日、共謀罪法は、我が国の刑事法の体系や基本原則を根本的に変更するという重大な内容であるとして、共謀罪法の廃止に向けた取り組みを行うと会長声明を発表いたしました。学者や専門家など各界からも廃止を目指す声が広がっております。
そして、7月2日投票となった東京都議会議員選挙では、安倍政権の暴走政治、共謀罪法の強行や国政の私物化でもある森友学園疑惑、そして、加計学園疑惑隠しに厳しい審判が下されました。自民党が過去最低の23議席と歴史的大敗を喫しました。この都民の声、国民の声にしっかりと耳をかすべきであります。
共謀罪法の強行採決に抗議をし、廃止を目指す請願は、安倍暴走政治に対する県民の意思を示すものであります。そして、この請願に反対することは、都議会議員選挙で下された審判、安倍暴走政治に手をかすものと言わなければなりません。
請願の採択に県議会議員の皆さんの良識ある判断と賛成の御同意を得られますよう訴え、私の討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 次に、軽石義則君。
〔19番軽石義則君登壇〕

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