平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。議案に対する質疑を行います。
議案第13号は、県営両石アパートを設置しようとする県営住宅等条例の一部を改正する条例案であります。
一つ、これまで整備された県営の災害公営住宅の状況、入居率、1戸当たりの工事費はどうなっているでしょうか。
二つ、また、災害公営住宅自治会の組織状況はどうなっているでしょうか。
三つ、高齢者世帯、ひとり暮らし世帯の入居世帯数と比率、見守りの対象となっている高齢者、訪問、見守りの状況、実績はどうなっているでしょうか。これまでに、災害公営住宅と応急仮設住宅での孤独死の状況はどうなっているでしょうか。
四つ、災害公営住宅には、コミュニティー確立と防災のために広目の集会室と、支援員のための事務室が整備されていますが、具体的にどう活用されているでしょうか。活用するための施策はどうなっているでしょうか。
議案第27号から議案第34号は、大槌町内における災害公営住宅を買い取るための財産の取得に関し議決を求めるものであります。
三枚堂地区、町方地区の8地区において、木造戸建て、長屋の災害公営住宅を整備するものであります。
一つ、公募、選定の事業者による財産取得のメリットは何でしょうか。1戸当たりの取得予定価格はどうなっているでしょうか。
二つ、大和ハウス工業と日本住宅株式会社が各4地区で公募による選定事業者となっていますが、選定された主な理由は何でしょうか。
三つ、ことし5月に報告された岩手大学教育学部社会学研究室等の大槌町災害公営住宅入居者調査によると、災害公営住宅の生活課題として、団地でのつながりの希薄さが第1位で19%、騒音が第2位で16.3%となっていました。特に長屋型の住宅では、騒音と答えたのが26.4%にもなっています。押入れが真ん中にあるとか、間取りに問題があるのではないかとの声も聞かれますが、こうした実態や問題について把握しているでしょうか。今回取得する予定の災害公営住宅については、必要な対策が講じられるのでしょうか。
議案第19号は、主要地方道重茂半島線堀内・津軽石地区道路改良工事の変更請負契約に関し議決を求めるものであります。
一つ、変更の具体的内容はどうなっているでしょうか。
二つ、4億2、213万円余の工事費の増額となっていますが、工期は、ことし7月20日から9月15日までの57日の延長となっています。これで大丈夫なのでしょうか。既に増額を見込んだ工事となっていたのではないでしょうか。
三つ、この工事全体の完了の見通しはどうなっているでしょうか。
議案第21号は、一般県道大ケ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第1工区)工事の請負契約議案であります。
一つ、徳田橋の具体的な工事に着手することになると思いますが、今回の工事の内容と総事業費、これまでの進捗状況はどうなっているでしょうか。
二つ、徳田橋工事の今後の工事と完成の見通しはどうなっているでしょうか。
以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、県の災害公営住宅の整備状況等についてでありますが、5月末時点の整備状況は、県が内陸に建設を予定しております災害公営住宅252戸を含む建設予定戸数2、983戸に対しまして、工事完成が2、217戸、74.3%、工事中が198戸、6.6%となっております。
入居率についてですが、県の管理戸数1、351戸に対しまして、入居戸数が1、201戸で、入居率は88.9%、空き住戸が150戸、11.1%となっておりますが、一度入居されて既に退去された住戸が40戸あります。
また、1戸当たりの建設費ですが、現在までの平均で約2、197万円となっております。
次に、災害公営住宅の買い取りに係る財産取得について、まず、公募、選定による財産取得のメリット等についてでありますが、応募要件を緩やかにし、戸建て住宅等における民間事業者のノウハウや自由な提案を生かすことができる方式であること、また、事業者選定に係る諸手続や受発注者双方の工事管理等を効率化することにより、完成までの期間を短縮することができるというメリットがあると考えています。
また、1戸当たりの取得価格については、これは応募提案書に記載のある金額でございますけれども、戸建ての3DKタイプで約2、000万円となっております。
次に、事業者選定の理由についてでありますが、買い取り事業に係る事業者の選定は、提案価格のほかに、工程計画や住戸の配置計画及び将来の維持管理のしやすさ等の評価を加えた総合評価によって選定することにしております。
今回の選定事業者からは、事業全体の工期の短さとその実効の確実性、住環境へ配慮した配置計画、省エネルギーやメンテナンス容易性に配慮した外壁、県産材利用や行事参加等の地域貢献等に関するすぐれた提案があり、これらの事項を評価して事業者を選定しているところです。
次に、災害公営住宅における騒音対策についてでありますが、県は、これまで、長屋建てタイプの住宅については管理はしておりませんので、直接住民の方からの声ということでは伺っておりませんが、議員御指摘の岩手大学等が実施した調査については承知しております。
今回の買い取り事業で選定された事業者については、騒音について、住戸間の壁の遮音性を高めた仕様であったり、住戸間の壁の部分に収納等を配置して、隣戸への騒音に配慮したプラン等の提案をしておりまして、今回取得する住宅については、遮音性について配慮されたものになると考えております。
次に、主要地方道重茂半島線堀内・津軽石地区道路改良工事の変更請負契約についてでありますけれども、まず変更の具体的内容については、一つ目が、新たに用地取得ができた範囲を今回の工事に追加すること、二つ目が、隣接工事との調整により橋台工1基について減工とすること、それから地盤改良工の範囲を増とすることでございます。
工期内に完了できるのかということにつきましては、残っている工事は、機械施工等による盛土が主体でございまして、一般の交通の影響を受けない比較的施工条件のよい状態での現場の施工になりますので、工期内に完成できるものと考えております。
また、今回の変更内容は、全て、当初契約後に明らかになった事柄に対応するものとなっております。
今回の主な変更内容であります地盤対策工の追加につきましては、工事を進めていく中で、土壌条件を確認しながら実施しておりますけれども、2割以上の増額となるということについては、ことしの3月に判明しております。この中で、工期の延伸を最小限にする、復興事業として予定どおり完成する、現場の作業を中断させないということを考えた中で、変更内容に係る工事の一部については先行して実施させていただいているという状況でございます。
それから、堀内・津軽石地区道路改良工事の全体の完了の見通しについてでございますけれども、隣接する工事についても、全て契約済みまたは現在発注手続中でございまして、平成30年度の完成に向けて予定どおり進捗しているところです。
次に、一般県道大ケ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第1工区)工事の請負契約についてでありますけれども、これは、徳田橋のかけかえに伴う最初の工事となります。基礎工及び橋脚工の2基の工事を行うものでございます。
徳田橋の全体事業費は約65億円を見込んでおります。平成23年度に事業着手し、これまで測量、設計、用地補償等を進めてきておりまして、平成28年度末における事業進捗は、事業費で14億円、約21%となっております。
来年度以降、順次、残りの5基の下部工の工事を進め、平成31年度から上部工の製作に着手する予定としておりまして、完成の目標につきましては平成30年代前半の供用を目指しており、これから鋭意工事を進めてまいりたいと思っております。
〇復興局長(佐々木信君) まず、災害公営住宅の自治会の組織状況についてでありますが、平成29年5月末現在で入居済みの県内の災害公営住宅団地131カ所のうち、27カ所で新たに自治会を組織し、73カ所では既存の地域自治会に入る形で、合わせて100カ所、76%の団地で自治会が組織されています。残りの31カ所についても、自治会の設立に向けた準備が行われていると聞いております。
次に、高齢者世帯、ひとり暮らし世帯の見守り及び孤独死の状況についてでありますが、平成29年5月末現在で、災害公営住宅に入居している4、022世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯は2、409世帯、59.9%であり、そのうち、高齢者のひとり暮らし世帯は1、165世帯で、全体の29.0%となっています。
こうした高齢者世帯に対しては、県の補助により、社会福祉協議会で設置している生活支援相談員が災害公営住宅等を戸別に訪問し、見守りや相談支援などを行っているところです。
平成29年4月の生活支援相談員の活動実績によれば、災害公営住宅においては2、096世帯を対象としており、個々の世帯の状況に応じた訪問活動が行われております。
また、これまでに、災害公営住宅と応急仮設住宅において、ひとり暮らしで亡くなられた後に発見された方は、平成29年5月末現在、災害公営住宅で13名、応急仮設住宅で41名となっています。
次に、災害公営住宅の集会室と支援員のための事務室の活用についてでありますが、集会室の利用状況については、団地により異なるものの、自治会が組織されている団地では住民が主体となりお茶会などが開催されているほか、自治会が組織されていない団地においても、社会福祉協議会や民間団体等がイベントを開催するなど、住民同士の交流を図る場として活用されていると聞いております。
県としては、県が整備している災害公営住宅の集会所について活用が図られるよう、入居者の要望を踏まえながら、机や座布団等の備品を整備するなどにより、利用しやすい集会室の整備に努めているところです。
また、入居者の支援に携わる方が、そこで活動できるような事務スペース等も設置しております。
現時点で支援員の配置はなされておりませんが、県では、市町村に対し、地域で必要とされる見守り等の支援体制が総合的に確保されるよう、機会を捉えて、被災者支援総合交付金の活用を含め要請してきたところであり、今後も、引き続き、市町村に活用を呼びかけてまいります。
〇37番(斉藤信君) 災害公営住宅の問題ですけれども、釜石市両石地区の今回のアパートも集会所が整備されるんですね。今までの災害公営住宅には、復興局長が答弁したように、集会所と支援員の事務室が整備されているのです。これは、阪神・淡路大震災の教訓で、コミュニティーの確立のために、今までの災害公営住宅よりも広い、充実したものが整備されている。残念ながら、そこに支援員が1人も配置されていないと。実際に集会所というのは、週に1回活用されればいいほうというのが実態です。全体とすればもっと少ないですよ。
応急仮設住宅で、集会所、談話室が本当に被災者のコミュニティーの核になったという、また、支援員がそこで大変さまざまな役割を果たすスキルを高めたという経験を、災害公営住宅でも生かす必要があるのではないか。
大槌町の災害公営住宅での調査は、入居者全体を対象にした調査なんですよ、回収率はいろいろありますけれども。びっくりしたのは、騒音の問題が長屋建ての住宅では26%にも達しているという、本当にこれは設計上の問題ではないかと思うぐらいの結果でした。だから、そういうことがないようにきちんと対応してほしいし、もっと切実だったのは、団地内でのつながりの希薄さというのが第1位なんですね。
被災者というのは、家を流されて避難所に避難したと。そこで数カ月生活して、その後応急仮設住宅、そして応急仮設住宅から今度は災害公営住宅と、2度、3度と築いたコミュニティーが崩壊して、また新しいコミュニティーづくりをしているんですね。そしてもう一方で、高齢化していると、高齢者がいる世帯が6割です。ひとり暮らしの高齢者が3割です。そして今の答弁にもあったように、災害公営住宅で既に13人が孤独死していると。こういうことから言ったら、集会所の活用、支援員の配置というのにもっと真剣に取り組むべきではないのかと、なぜこれが進まないのか、その課題、対応について改めてお聞きをします。
あと、騒音対策は具体的にどういう対策がとられているのか、改めてまたお聞きして質問を終わります。
〇復興局長(佐々木信君) 災害公営住宅の集会所への支援員の配置についてでありますけれども、支援員につきましては市町村が設置しているものでありまして、県では、その市町村のそれぞれの団地の状況を踏まえながら、適切な対応をとるよう要請しているところであります。
また、災害公営住宅等のコミュニティー支援のために昨年度から災害公営住宅コミュニティ形成支援事業を実施しているところでありますし、今年度は、新たに被災地コミュニティ支援コーディネート事業ということで、先駆的な、モデル的な取り組みに対し支援し、その横展開を図るなどの取り組みを進めているところであります。
〇県土整備部長(中野穣治君) 災害公営住宅の遮音性についてでございますけれども、まず、一般的に、建築基準法に必要な遮音性能が定められておりまして、これについては当然守るという構造でつくられます。今回買い取り型で提案していただいたものについて、もう少し具体的に申し上げますと、壁の材質の中にロックウール吸音材というものを入れたり、少し空洞のあるような角スタンド材というものを埋め込んだり、あるいは吸音材を挟む強化石膏ボードを使用することによって、建築基準法で定められている基準にプラスアルファで、さらに遮音性の高い外壁を提案しているものがあります。
それから、住戸配置のプランの中で、倉庫等収納のスペースを壁の間に挟むことで、より住戸間の遮音性が高まるような構造も提案してきているものもございます。こういったものは基本的に事業者からの提案を尊重しながら、しっかりと災害公営住宅の遮音性についても確保してまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) これをもって質疑を終結いたします。
次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第36号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第9回県議会定例会 平成29年7月4日)
総務委員会
1 議案第2号
2 議案第4号
3 議案第5号
4 議案第6号
5 議案第7号
6 議案第8号
7 議案第9号
8 議案第10号
9 議案第16号
10 議案第26号
11 議案第36号
環境福祉委員会
1 議案第3号
2 議案第12号
3 議案第17号
商工文教委員会
1 議案第11号
別表第5の改正関係
2 議案第15号
3 議案第35号
農林水産委員会
1 議案第1号
2 議案第18号
3 議案第25号
県土整備委員会
1 議案第11号
他の委員会の付託分以外
2 議案第13号
3 議案第14号
4 議案第19号
5 議案第20号
6 議案第21号
7 議案第22号
8 議案第23号
9 議案第24号
10 議案第27号
11 議案第28号
12 議案第29号
13 議案第30号
14 議案第31号
15 議案第32号
16 議案第33号
17 議案第34号
散 会
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時42分 散 会

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