平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇14番(吉田敬子君) 無所属の吉田敬子です。
このたびの一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問をいたします。
まず、切れ目のない妊娠、出産、育児への支援について伺います。
近年、核家族化や地域のつながりの希薄化等により、地域において妊産婦やその家族を支える力が弱くなっており、妊娠、出産や子育てに関する妊産婦等の負担や不安がふえていると考えられます。このため、地域レベルでの妊娠、出産を経て、子育て期に至るまでの切れ目のない支援の強化を図っていくことは重要であり、これまでも取り上げています。
県では、平成23年2月に、岩手県周産期医療体制整備計画を策定。医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の確保を図り、周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶの整備、運用を進め、周産期医療体制の充実に努めてきました。
一方で、高齢出産や低出生体重児の割合の増加に伴い、ハイリスク妊娠、出産に対する医療や、高度な新生児医療の需要が一層高まる中、その後も、産婦人科、小児科医の不足や地域偏在の状況は改善されておらず、現在の県内の分娩可能施設は、33市町村中、11市町に32施設のみ、そのうちの10施設は盛岡市にあり、分娩取り扱い病院及び診療所数は減少を続け、周産期医療機関の地域偏在が進んでいるのが現状です。まずは、周産期医療に携わる小児科、産婦人科医の絶対数をふやすことが必要です。
県では、3種類のいわて医学生奨学金事業により医師確保に取り組んでいますが、他県では、小児科や産婦人科などを希望する者に対しては優遇措置をとるなどして、さらに踏み込んだ取り組みをしている例もあります。本県でも、小児科、産婦人科医の確保に向け、さらに踏み込んだ取り組みが必要と考えます。
また、小児科、産科医は特に女性医師がふえている現状を踏まえ、院内保育所の設置や産休、育休の取得を推進し、女性医師を確保する対策も必要です。
本県は、全診療科において医師不足の状況ですが、少子化、また人口減対策の観点からも、母子保健、周産期医療の医師確保を最優先に取り組むという判断も必要ではないかと考えますが、周産期医療の確保に向け、県はどのような方針で医師を確保していくのか伺います。
次に、助産師の確保についてです。
青森県などでは、助産師出向システムを導入していますが、本県の例えば県立病院では、採用予定数に対する応募者が少ないなど、退職者数相当分を含む必要数を確保できていない状況と聞いております。県内の助産師の確保について、今後どのように進めていく考えか伺います。
また、医師不足、分娩施設の減少への対応として、助産師が対応する助産師外来や院内助産の体制整備の取り組みや、助産師のスキルアップのためのアドバンス助産師育成への支援を拡充すべきと考えますが、県の考えをあわせて伺います。
次に、総合周産期母子医療センターについてです。
矢巾町への岩手医科大学移転に伴い、総合周産期母子医療センターも矢巾町への移転となります。県では、母体胎児集中治療管理室─MFICUや、新生児特定集中治療室─NICUに必要な機器の整備に要する経費に対する補助をしていますが、技術進歩とともに、医療機器も年々新しい機器が出ていると医師が話されておりました。
矢巾町への移転を機に、人材確保の取り組みとして院内保育所の整備も必要になってくると思いますが、県の周産期医療の中枢を担う総合周産期母子医療センターについて、NICU病床を含め、必要な人材確保と機器整備についてどのように取り組むのか伺います。
次に、周産期に係る医療圏の設定と広域連携の充実についてです。
現在、県内四つの周産期医療圏を設定していますが、平成27年は、各圏域内で分娩しているのは78.3%、ほか圏域から13.7%、県外から8.1%。各圏域での分娩の状況は、平均16.6%が県外から、久慈・二戸圏域は県外からが25.6%と高く、また、県立磐井病院は40.8%が、県立二戸病院は30.9%が県外者の分娩です。久慈圏域では約2割が青森県で分娩していますが、県外からの流入や里帰り出産の割合も約3割となっています。
妊産婦へのアクセス支援を行っている市町村は12市町村で、分娩取り扱い医療機関のない県内22市町村中、13市町村においては独自の支援がないのが現状です。久慈市と二戸市では距離が遠く、同じ医療圏と考えるのは困難という現場の医師の声もあります。
妊産婦の分娩施設へのアクセスをどう改善するのか、また、医療圏の考え方、青森県や宮城県等隣接県との連携など、広域周産期医療体制についての県の方針について伺います。
次に、災害時の周産期医療体制についてです。
東日本大震災津波においては、情報伝達網の遮断や小児、周産期医療に精通した医療従事者の不足などから、新生児や妊産婦の搬送体制について事前の準備が不十分でした。また、地域における周産期医療にかかわる情報が、周産期に携わる医療関係者間のみでしか共有されず、災害医療体制下で有効に活用されませんでした。
一方、昨年発生した熊本地震では、総合周産期母子医療センターのある熊本市民病院が被災し、全ての新生児と妊産婦を転院搬送しなくてはいけなくなりましたが、平時から近隣県との情報交換が活発であったこと、新生児等の広域搬送の際の医療従事者同士の連携が図られていたこと、ヘリコプターを用いた新生児搬送の訓練を行っていたことなどにより、スムーズに患者搬送等を行うことができ、非常に有効であったとのことです。
県では、東日本大震災津波の教訓や他県の事例を踏まえ、災害時の周産期医療体制の確保に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、NICU退院以降の医療的ケア児に対する支援についてです。
重症の新生児や先天性の病気を持った子供たちが多く救命されるようになり、NICUに長期入院する児が増加傾向にあります。NICUを退院する前に、在宅医療や医療的ケア、生活支援の知識や技術習得を支援することなどにより、児とその家族が安全で安心して在宅療養ができるよう必要な援助を行いたいが、総合周産期母子医療センターは他県も含め遠方からの患者も多く、宿泊が伴わない場合が多いため、ゆっくりそのケアができていないと担当医等から聞いております。
また、療育センターへの小児の入院や通院する児童が増加傾向にあります。地域における医療的ケア児の支援体制の整備について、平成28年6月施行の児童福祉法の一部改正により新たに規定されましたが、そもそも県内に医療的ケアを必要としている児童がどの程度存在するのか把握されていません。症状が軽い児童の場合、あと少しの支援があれば普通の学校へ通える子も存在します。
県立療育センターが矢巾町へ移転することを機に、NICU退院以降のコーディネートや連携体制をどのように整備していくのか伺います。
次に、医療計画の策定についてです。
厚生労働省の周産期医療体制のあり方に関する検討会は、昨年、周産期医療体制整備計画と医療計画を一本化することを了承しました。2018年度からの第7次医療計画に反映されます。県は、平成29年度内に新たな医療計画を策定しますが、周産期医療部分についてどのように考えているのか伺います。
次に、産前産後ケアについてです。
県では、妊娠・出産包括支援事業に取り組み、県内の子育て世代包括支援センターの設置は、これまでの遠野市、盛岡市に続き、今年度から花巻市、一関市、釜石市、山田町が設置、また、センター未設置ではありますが、同様の取り組みを始めた矢巾町を含め7市町に広がり、一定の成果があったと評価します。また、花巻市では、今年度から独自の取り組みを開始しました。これらは、主に母子保健に係る市町村事業ですが、病院等へのアクセス格差の大きい岩手県においては、各地域での産前・産後サポート事業や宿泊型やデイサービス型などの産後ケア事業にまで踏み込むことが重要であるとこれまでも訴えておりますが、県としてどう捉えているか伺います。
次に、不妊治療の理解促進についてです。
県の実施する特定不妊治療への助成は、平成20年度には235人でしたが、平成27年度には467人と約2倍に増加。盛岡市が実施する助成も含めると、平成27年度は660人、1、052件に助成しています。
男性不妊治療に対する助成も平成27年度に開始しましたが、盛岡市分を含め、平成27年度は9件、平成28年度は11件となっています。盛岡市以外の32市町村でも、北上市以外全ての市町村で独自助成をしており、需要の高さが伺えます。
このような状況の中、所得制限で助成を受けられない方々も含め、治療が長期にわたると高額になり、治療費を捻出するために働き続けたいと思っても、不妊治療はあらかじめ日程を調整して休みをとることは難しく、仕事と治療の両立が困難で、離職する人も少なくありません。
県が働き方改革を進める中で、そのような現状をぜひ積極的に企業等にも働きかけ、理解促進を図っていく必要があると思いますが、県の考えを伺います。
次に、県内高校におけるライフプランニング支援についてです。
女性の活躍がうたわれる昨今、女性が望むキャリアを積める環境等が整備されることは重要ですが、一方で、昔とライフスタイルが大きく変化したことでふえた女性特有の病気なども不妊の原因になるとも言われています。ライフプランニング支援は、早期に実施されることが望まれます。
文部科学省作成の高校生用の健康教育啓発教材が平成27年度に改訂され、ライフプランを考えること、妊娠には適齢期があることや不妊に悩む男女がいること等が明記されたことは大変有効と考えます。
また、ことし3月改正版には、2013年の若者の意識に関する調査から、男女とも年齢が高くなるほど妊娠する確率が下がることなどについて、よく知らない、または知らない人は15歳から19歳では44%と、妊娠と年齢の関係について、よく知らない人が多いことがわかります。これからの世代に、妊娠適齢期や不妊等について正しい情報を伝えていくことが必要です。
現在、県立高校で取り組んでいる産婦人科医や助産師等によるライフプランニング支援について、全校実施を目指していただきたいと考えますが、所見を伺います。
次に、県民の健康づくりについて伺います。
少子高齢社会の中、人口減対策はもちろんですが、一人一人が生涯を通じて心身ともに健康で介護の要らない自立した生活を送れることが重要です。
厚生労働省は6月14日、平成27年都道府県別年齢調整死亡率の概況を公表しました。岩手県の男性は全国ワースト3位、女性はワースト6位。脳卒中死亡率は、男性はワースト3位、女性はワースト1位となっています。要介護、要支援認定者数は、平成24年3月末で6万6、554人と、平成12年4月末と比較して2倍近くになっています。
県では、食生活改善、健康運動、禁煙を3本柱に取り組んでいますが、私は、特に若いうちからの健康運動にさらに踏み込んで取り組むべきと考えます。歩くことは身体活動の中でも日常的に測定評価できる身体活動量の客観的な指標であり、脳卒中や肥満等生活習慣病を予防し、社会生活機能を維持、増進する上で歩行数の増加が有効です。しかし、県の日常生活における1日平均歩数は全国に比べ低い状況が続いています。
県の働き盛り世代の運動習慣が特に低い状況の中、盛岡広域振興局は、今年度、新規で、働き盛り世代の健康づくり支援として、元気もりおか健康づくりサポート事業を実施します。大変よい取り組みと期待しています。
埼玉県は、歩数に応じてポイントを得て賞品の抽選に参加できる、埼玉県コバトン健康マイレージを今年度開始。東松山市での実証事業では、半年にわたり毎日1万歩を歩いた人の医療費が同性、同年齢の人に比べて、1人当たり年約2万4、000円も少なかったとの分析結果が出ました。岩手県の1人当たりの医療費は、平成17年度が26万2、000円だったものが、平成26年度は31万7、000円と年々増加しています。
ほかにもウォーキング立県を掲げる鳥取県など、先進県を例に、医療費の抑制も視野に、岩手県も健康運動にもっと踏み込んだ健康づくりへ取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
次に、女性特有のがんについてです。
生涯のうち、男性の2人に1人、女性の3人に1人が、がんになる可能性があると言われています。がんは、私たちにとって身近な病気です。がんにならないための食生活や運動習慣改善など、予防医学の観点がまずは大事ですが、早期発見と早期治療のための定期的ながん検診の受診も重要になります。
〔副議長退席、議長着席〕
女性特有のがんについては、県では、がん検診受診率50%を目指しておりますが、現状は、乳がん29.7%、子宮頸がん29.5%と3割に満たない状況です。また、15歳から39歳のがんでは、女性の乳がんと子宮がんが約4割も占めており、若い世代への啓発も工夫が必要と考えます。県では、受診率を上げる取り組みをどのように強化していくのか伺います。
また、高濃度乳房については、マンモグラフィーと併用して超音波検査を行うことが有効ともされますが、まずは高濃度乳房だとがんが写りづらいことを女性が知る必要がありますが、県はどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
次に、教育施策と人材育成、定着支援について伺います。
いわてで働こう推進協議会は、県内の大学生や高校生などを対象に若年者雇用動向調査を行い、6月にその結果を公表しました。それによりますと、県内学生のうち、県出身者の約7割が岩手県で働きたいと思っています。一方で、岩手県内に本社を置く企業を1社も知らない者の割合は37.3%と高く、認知度が低い状況です。
先日、文部科学省よりスーパーグローバルハイスクールの指定を受けた盛岡一高の授業を見学しました。盛岡市が地方創生をテーマとした実践的なプログラムを提供することで、若者の人材育成や地元定着、愛郷心を醸成するだけでなく、高校生のアイデアを子育て支援や産業政策にも反映させようという試みでした。
結婚、子育て支援や働き方改革、食と農の連携など8テーマに分かれ、県内の外部講師の方々がその企業について話すだけでなく、地域課題として取り上げることで、高校生の興味、関心がさらに深まっているようにも感じました。
この日の最後の振り返りでは、女子生徒からは、岩手にはすてきな会社がたくさんあるということを初めて知った。就職間近ではなく、小・中・高の段階でもっと知る機会があればよいと思うとの感想がありました。
これまで、県では、小・中・高の各段階に応じたキャリア教育の推進に取り組んでおりますが、高校卒業後に、進学、就職で岩手を離れる可能性も高く、特に普通高校においてこのような県内の企業を知ってもらう取り組みを行うことで、人材育成と定着につなげてもらいたいと思いますが、所見を伺います。
次に、英語教育についてです。
文部科学省は4月、全国の公立中学、高校の生徒の英語力を調べた平成28年度英語教育実施状況調査の結果を公表しました。本県の高校3年生のうち、英検準2級程度以上の生徒は34.6%で、全国平均より1.8ポイント低く、中学3年生のうち、英検3級程度以上の生徒は31.7%で、同4.4ポイント低いことがわかりました。
また、英検準1級かそれに相当する資格を持つ本県の高校教員は51.7%で、同10.5ポイント低く、中学校教員は15.6%で、同16.4ポイントも低く、全国最低となりました。また、2020年度から大学入試センター試験が廃止され、英語については、英検やTOEICなどの民間試験を導入するとされています。
県は、中学、高校の英語教育について、今後どのように取り組むのか伺います。
次に、農林業の振興について伺います。まず、米政策についてです。
来年度以降、国は、都道府県別の米の生産数量目標の配分の廃止などの米政策を見直します。県農業再生協議会は、先日、今後5カ年の水田農業の推進方針を公表し、主食用米は地域条件に適した品種の作付により、品質、食味の向上を進め、認定農業者や集落営農組織の経営改善や、こうした担い手への農地集積を促すとしました。今後も米の売り込み先を確保するなど、農業者の自主的な努力がさらに必要になりますが、国全体の主食用米の需要が毎年8万トンも減少している中、今後は、米に限らない効果的な水田活用など、農業経営の多角化が必要と考えますが、県はどのように取り組むのか伺います。
次に、林業のまず再造林について伺います。
近年は、大地震や想定を超える豪雨など、自然災害が頻繁に発生しており、森林が持つ地球温暖化防止、水資源の涵養、山地被害防止等の公益的機能について将来にわたって維持、増進を図るためには、造林、間伐を初め、適切な森林の整備と、その維持管理に必要な林道整備などの基盤整備が極めて重要となっています。
岩手県森林資源循環利用推進ビジョンでは、再造林について、平成29年度目標は970ヘクタールで、10年後には、その約1.5倍の1、600ヘクタールが必要とされています。また、県の直近3カ年の平均再造林率は、目標に対して32%と低い状況です。現在、県内の林業、木材産業団体で岩手県森林再生機構を立ち上げ、森林再生基金による再造林の促進に向けて取り組んでいますが、県として再造林をどう推進するのか伺います。
また、国が森林環境税の導入を検討しているとも聞いていますが、まずは再造林に対するいわての森林づくり県民税等の活用を図るべきと考えますが、所見を伺います。
次に、林内路網の整備についてです。
林内路網は、造林、保育、素材生産等の施業を効率的に行うための施設で、林業の最も重要な生産基盤です。路網は、林道、林業専用道、作業道から構成され、それぞれの役割や利用形態等に応じて適切に組み合わせた路網を、現地の条件に合わせて整備していくことが重要とされています。特に、高性能林業機械の活用等によって林業の生産性を向上させていくためには、その作業現場に適合する高性能林業機械や作業システムを考えて路網整備していくことが重要であり、人工林の場合、架線系作業システムについては、トラックの走行が可能な林道等を1ヘクタール当たり25メートルから40メートル、また、車両系作業システムについては、高性能林業機械の歩行が可能な作業道を含めて、全体で1ヘクタール当たり75メートル以上の路網密度の整備が望ましいとされています。しかし、岩手県の平成26年現在の林内道路密度は1ヘクタール当たり16.6メートルであり、高性能林業機械等に対応した路網整備が必要と考えますが、どのような取り組みをしていくのか伺います。
次に、国際戦略と観光振興について伺います。
現在、インバウンドの8割はFIT─個人旅行者です。そのFIT層では、何に魅力を感じ、どのように旅先を決めているのか旅のストーリーが大事だと言われますが、そのニーズをしっかり把握する必要があります。
私は、ポイントとして二つあると考えています。
一つは、広報の仕方。その土地の歴史や文化に浸ること、体験することで、観光客が旅の主人公になれるストーリーの存在を、日本語でなく、英語を中心とする多言語で発信し、VR等のソーシャルメディアを最大限有効活用すること。先日、岩手山に登る風景をドローン撮影した映像を見ましたが、その場に自分がいるようでとてもすばらしかったです。
また、2015年の観光庁訪日外国人消費動向調査によると、パンフレットなど無料紙媒体を利用した旅行者は15%弱に対し、インターネットでの情報収集が約8割で、主にスマホを利用しています。
もう一つのポイントは、ターゲット戦略です。例えば、フランス人でも、リゾートが好きな人がいればお遍路を歩く人もいます。中国人が全員買い物をしているわけでもなく、日本の歴史や文化を楽しんでいる人もいます。国や地域で分類するのではなく、その人たちのモチベーションを深く理解したターゲット戦略をすべきです。
飛騨高山は、最初から日本人客を想定せず、外国人をターゲットとした戦略を徹底し、今では12カ国語対応をしており、インバウンドが注目される前から長い時間をかけて環境整備を行った結果が今にあるそうです。
例えば、今年度から新規で馬事文化プロモーション推進事業が取り組まれ、また、みちのく潮風トレイルの整備も進んでいますが、私は、この馬やトレイルを活用した観光には、岩手だからこそが満載されていると思っています。また、先日、初めて東山和紙の紙すき体験をしましたが、大人でも手軽に十分楽しめる体験型観光の一つだと感じました。
外国人をターゲットにした岩手県の観光振興の目玉を決め、やり切る度胸と勇気、さらには観光商品を多言語で提供する地道な努力が必要になります。
県は、平成29年3月に策定したいわて国際戦略ビジョンの基本戦略の一つに、外国人観光客の誘客拡大を掲げていますが、FIT層のニーズをどのように把握し、取り組みを進めるのか伺います。
次に、県職員の人材育成についてです。
いわて国際戦略ビジョンを遂行するには、県庁内にも、外国語能力だけでなく、異文化経営感覚を持ち、多様性に富んだチームを管理できる能力やコミュニケーションスキルを兼ね備えた人材が必要だと考えます。
岩手県職員採用1種試験の特別募集で求める人材の説明文の中に、NPO、ボランティア活動や地域活動などの社会貢献活動、青年海外協力隊などの国際貢献活動と、ことし3月から青年海外協力隊という文言も初めて入りました。今後、国際経験のある人材の採用や海外派遣等を積極的に行うべきですが、県の考えを伺います。
最後に、スポーツを通じた地域振興について伺います。
2011年に、花巻市のはなまきスポーツコンベンションビューロー、ことし3月には、盛岡広域8市町の盛岡広域スポーツコミッション、北上市のスポーツリンク北上が設立され、スポーツによる交流人口の拡大、地域スポーツの振興など、スポーツを通じた地域振興が進んでいます。
盛岡市では、県と共同で整備することを検討している盛岡南公園の新野球場について、今年度PPP、PFI手法の導入などを検討する民間活力導入可能性調査を実施していると聞いています。
新野球場は、盛岡広域8市町が取り組むスポーツツーリズムの拠点としても期待されていますが、その整備手法の検討について県はどのようにかかわっているのか、また、現在における具体的な進捗状況と今後の方向性を伺います。
以上で一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、医師不足に対応した地域における周産期医療の確保についてでありますが、県内の医療機関に勤務する女性医師の割合は、近年、産婦人科や小児科などで増加しており、医師としてのキャリア形成の大事な時期に出産、育児が重なるなど、仕事と家庭の両立の支援が必要と考えています。
このため、県では、夜勤時のベビーシッターの紹介や育児休業後の復職研修などを実施しているほか、県立病院におきましても、育児短時間勤務制度を拡充し、さらには院内24時間保育及び病後児保育を導入するなど、女性医師が働きながら育児しやすい環境整備に取り組んでいます。
また、周産期医療に携わる産婦人科や小児科などの地域に必要な医師を確保するため、即戦力医師の招聘や三つの奨学金制度による医師の養成に重点的に取り組んでいるところであります。
こうした取り組みにより、育児短時間勤務を適用した通称ママドクター制度に応募した1名を含む産婦人科及び小児科の招聘医師4名を、今年度から県立病院の正規医師として採用しましたほか、奨学金養成医師についても、これまでに5名の医師が産婦人科または小児科を専攻し、将来の配置に備えて、現在、大学院等で専門研修を行っています。
県としては、引き続き医師の確保、定着に取り組むとともに、関係機関と連携し、養成医師の計画的な配置調整を進めながら、産婦人科医、小児科医の不足解消につなげ、妊娠から出産、子育てに至るまでの切れ目のない医療提供体制の確保を図っていく考えであります。
次に、分娩施設へのアクセスの改善等についてでありますが、県では、市町村が妊産婦に対して通院費等を助成するアクセス支援の実施状況について、さまざまな場を通じて情報提供しながら、その取り組みが促進されるよう働きかけを行っています。
平成27年度から平成28年度において、新たに7市町村が事業を開始しましたことから、現在、県内12の市町村で事業が実施され、近年、その取り組みが進んでいます。
また、周産期医療情報ネットワークいーはとーぶによる医療機関が妊婦健診情報等をオンラインで共有する取り組みや、周産期母子医療センターを中心とした遠隔診断支援の取り組みにより、妊婦が身近な地域で健診を受け、周産期母子医療センター等で安全に分娩を行うことができる医療連携体制を構築し、妊産婦の分娩施設へのアクセスの負担軽減とリスクに応じた適切な医療の提供に努めています。
周産期医療圏につきましては、平成20年度に患者搬送や受療動向を踏まえ、産科医、小児科医などを構成員とする岩手県周産期医療協議会での検討を経て、県内四つの周産期医療圏を設定したところであり、また、昨年度、県が実施した周産期医療実態調査の結果では、議員御指摘のとおり、県境地域においては、近隣県との間で妊婦の移動が多くなっている状況にあります。
県としては、今後、実態調査の結果等について近隣県と情報共有しながら連携を進めていきますとともに、今年度、新たな医療計画を策定する中で、岩手県周産期医療協議会等の関係者の意見をいただきながら、地域において質の高い、安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療体制のあり方について検討してまいります。
次に、災害時の周産期医療体制についてでありますが、災害時において、特に医療のサポートが必要となる妊産婦や新生児等への支援体制の充実は、重要な課題であると認識しております。
国では、東日本大震災津波や熊本地震における経験を踏まえて、昨年度から、災害医療コーディネーターと連携して小児、周産期医療に関する調整役を担う災害時小児周産期リエゾンを養成する研修を実施しており、本県でも総合周産期母子医療センターの医師を派遣したところであります。
県では、災害時において周産期医療関係者と災害医療関係者の連携による効果的な支援体制を確保するため、今年度策定する次期医療計画に災害時小児周産期リエゾンの設置について盛り込んで、災害時における周産期医療体制の充実を図ってまいります。
次に、外国人観光客の誘客拡大についてでありますが、いわて国際戦略ビジョンにおいては、外国人観光客の個人旅行化を見据え、個人客向けの受け入れ環境の整備の推進や各市場のニーズに対応したプロモーションの展開、ICTを活用した情報発信の強化も盛り込んでいるところです。
これまでも、外国人観光客の実態調査やアンケート調査、現地コーディネーターからの情報、ブロガー等の招聘などから、個人旅行者のニーズを把握、分析してきたところであります。
これらに基づいて、無料公衆無線LAN整備などの受け入れ環境の充実を図るとともに、世界遺産や馬事文化などの歴史文化、国立公園やみちのく潮風トレイルなどの自然、伝統工芸や食文化など、本県の多彩な魅力を現地メディアやICTも活用し、現地の方々に直接アピールするプロモーションなども展開してきております。
今後におきましても、ラグビーワールドカップ2019釜石開催などの誘客の好機を見据えて、受け入れ環境の充実や東北各県とも連携した広域観光プロモーションの強化などにより、一層の誘客拡大に取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、助産師の確保についてでありますが、県では、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、修学資金の貸し付けによる看護職員の養成などの施策を総合的に進めてきたことにより、県全体では平成26年時点の需要予測を満たす数の助産師が確保されている一方で、事情により助産業務に携わっていない助産師が一定数存在するなど、助産師の確保が困難な地域や施設があると認識しています。
また、助産師外来や院内助産の取り組みは、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応する上で有効であると考えていますが、県内の助産師外来施設数は増加している一方、相当数の助産師の配置が必要となる院内助産施設は横ばいで推移しているところであります。
このため、県としては、今年度から新たに実施する地域で支える周産期保健医療支援事業の中で、潜在助産師の掘り起こしや人材育成研修を行うことにより、地域で安心して妊娠、出産ができる環境の整備に努めてまいります。
なお、アドバンス助産師については、平成27年度から日本助産評価機構が認証制度を開始したものであり、助産師の能力の向上に寄与しているものと考えていますが、現在、機構では、今年度の認証申請の受け付けを休止し、見直しを行っていることから、県としては、引き続きこの制度の動向を注視しているところであります。
次に、総合周産期母子医療センターについてでありますが、県では、総合周産期母子医療センターである岩手医科大学附属病院に対して、毎年度、国庫補助を活用して、同センターの運営費や必要な医療機器の整備費に対する補助を行っているところであります。
岩手医科大学附属病院では、矢巾町への移転に際し、総合周産期母子医療センターや高度救命救急センター等をベースとして、小児、周産期、救急部門の機能を強化することとしており、県としても、地域医療再生基金等を活用し、体制整備への支援を行うこととしているところです。
また、同病院では、国の助成制度を活用して、敷地内に保育所を整備する計画と聞いています
総合周産期母子医療センターは、県内の周産期医療体制の中核施設であり、県全体のハイリスクな妊娠、分娩や高度な新生児医療に適切に対応できるよう、県としても体制の整備に努めてまいります。
次に、NICU退院以後の医療的ケア児に対する支援についてでありますが、現在、矢巾町に整備している療育センターにおいては、NICUから退院した小児等を受け入れる後方病床としての役割や、在宅の重症児の重篤化等に対応する機能を担う病床10床を新たに整備することとしています。
この病床は、医療的ケア児がNICU退院後、在宅等に移行するまでのケアを担うことから、在宅での療養介護に関する相談や在宅医療、在宅看護の支援調整など、家族の心のケアも含めて支援する相談支援員等を増員する計画としており、こうした体制整備を通じて、NICUや関係機関との密接な連携体制を構築していきます。
次に、医療計画の策定についてでありますが、周産期医療体制は、救急医療や災害医療、医療人材の確保等、県全体の医療体制と連動しながら整備を進める必要があることから、今回、周産期医療体制整備計画と医療計画を一本化する国の方針が示されたものであり、本県においても、この方針に沿って次期医療計画の策定を進めているところであります。
現在、策定を進めている医療計画においては、先ほど知事が答弁申し上げた災害時における周産期医療の確保や広域連携のほか、精神疾患を合併する妊産婦への対応などについて新たに盛り込むとともに、昨年度実施した周産期医療実態調査の結果等を踏まえ、岩手県周産期医療協議会等において関係者の御意見をいただきながら、地域において質の高い、安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療のあり方について検討してまいります。
次に、産前産後ケアについてでありますが、議員御指摘のとおり、県内では現在、盛岡市など6市町が子育て世代包括支援センターを設置し、妊娠、出産、育児に関する相談支援や関係機関との連絡調整、支援プランの策定などを行っています。
また、産前産後サポート事業については、今年度、新たに3市町が取り組み、現在5市町が実施しているほか、産後ケア事業については、今年度新たに2市町が取り組み、現在3市町が実施するなど、妊産婦に対する支援体制の整備が徐々に進んでいるところであります。
これらの取り組みは、妊産婦の心身の安定や児童虐待防止などにつながることから、県では、母子保健に従事する市町村保健師等を対象とした研修会や各種会議を通じて、県内外の先行事例の紹介を行うなど、子育て世代包括支援センターの設置とあわせて実施を働きかけてきたところであり、引き続き、市町村に対して、情報提供を行うなど取り組みが拡大されるよう支援してまいります。
次に、不妊治療の理解促進についてでありますが、特定不妊治療については、長期的な受診が必要な方もおり、仕事と治療の両立に関する社会的理解や、早期に治療を開始することが有効であることなどを普及啓発することが必要であると認識しています。
このため、県においては、岩手医科大学に不妊専門相談センターを委託設置し、不妊相談等を実施しているほか、同センターによる市民公開講座の開催や県政番組などの広報媒体の活用により、特定不妊治療費助成制度の周知や不妊の原因、治療方法などに関する正しい知識の普及啓発を行っているところであります。
今年度は、新たに商工労働部門と連携し、いわて働き方改革推進運動において、すぐれた取り組みを行う企業等を表彰するいわて働き方改革アワードの取り組み項目の一つに、従業員が望む妊娠・出産を実現するための不妊治療を含む休暇制度の規定の有無を盛り込むなど、企業等に対する不妊治療の理解促進に努めています。
次に、健康運動による健康づくりについてでありますが、県では、第2次健康いわて21プランに基づき、身体活動・運動分野では、ウオーキングイベントの共催や市町村が行う運動教室等において運動指導を担う人材の育成等に取り組んでいるほか、市町村においては、ウオーキングコースの整備やマップの作成、それらを活用した運動教室の開催など、日常生活における歩行数の増加や運動習慣の定着、住民が運動しやすいまちづくり、環境整備を進めてきたところであります。
今年度は新たに、議員から御紹介のあったとおり、盛岡広域振興局において、事業所の健康づくりの取り組みを支援する事業を始めたところであり、現在行っている健康いわて21プランの中間評価・見直しの中で、関係機関、団体の意見も伺いながら、このような取り組みの普及など、身体活動・運動分野における今後の取り組みの方向性等を検討してまいります。
次に、女性特有のがんについてでありますが、がん検診の受診率動向を図るため、がん検診受診率向上プロジェクト協定締結企業と連携した受診勧奨リーフレットの作成、配布や、市町村、医療保険者等関係者全体による課題検討会を開催し、受診環境の整備、向上に取り組んできたところであります。
今年度、新たに、がん検診受診率向上の連携協定に民間企業が参画しやすい公募方式に変更し、協定締結企業数の増加を図るとともに、6月に盛岡市内において民間企業と協働で普及啓発イベントを開催したところであり、今後、さらにこうした協働の取り組みをふやしていきます。
また、岩手県生活習慣病検診等管理指導協議会の各がん部会において、市町村が実施するがん検診の各指標の分析、評価を行い、受診率が低い市町村に対しては、改善に向けた個別の指導、助言を実施し、受診率向上の取り組みを強化していきます。
乳がん検診については、受診者が高濃度乳房について正しく理解できる仕組みが必要とされており、厚生労働省のがん検診のあり方に関する検討会では、受診者に通知すべき標準的な内容等を検討しているところであり、県としては、国の検討結果を踏まえて適切に対応していきます。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、米政策についてでありますが、米政策が見直される平成30年産以降、主食用米と転作作物の最適な組み合わせにより、体質の強い水田農業を確立することが重要と考えております。
このため、先般、関係機関、団体や県で構成する岩手県農業再生協議会において、流通業者や担い手農家などからの意見も踏まえ、今後5カ年の水田農業の推進方策を作成し、より一層の水田の有効活用を図ることとしたところであります。
県内では、これまで、集落営農組織における大豆などの作付拡大や、トマト、ピーマンのハウス団地整備、加工、業務用タマネギの作付拡大など、水田の有効活用の取り組みが既に行われておりますが、今後、推進方針に基づき、こうした動きを加速化させ農業者の所得向上に取り組んでまいります。
次に、再造林についてでありますが、再造林を推進するためには、森林所有者の負担軽減を図る必要があることから、県では、これまで、森林整備事業の要件を緩和し、低密度植栽やコンテナ苗木を補助対象としてきたほか、伐採から再造林までの作業を連続して行う一貫作業システムを普及するなど、再造林コストの低減に取り組んできたところであります。
また、県が設立を支援してきた林業、木材産業関係団体を構成員とする岩手県森林再生機構が本年6月に設立され、平成30年度から再造林経費の助成を行うこととしており、本県の再造林が一層促進されるものと考えております。
県といたしましても、採種園の整備や民間の苗木生産施設の整備支援により、必要な苗木を確保し、関係団体と一体となって着実に再造林を推進してまいります。
次に、いわての森林づくり県民税の活用についてでありますが、いわての森林づくり県民税では、公益上重要で管理が行き届かない森林を対象として、針葉樹と広葉樹の入りまじった、水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導するという森林環境保全のための間伐などに限って実施しております。
このため、再造林は事業対象となっていないところでありますが、この県民税の使途やあり方については、今後、外部有識者等で構成する事業評価委員会、県民の皆様や県議会の御意見などを参考にしながら検討してまいります。
次に、林内路網の整備についてでありますが、林内路網は、森林整備や木材生産を効率的に行う高性能林業機械の普及に伴い、重要な生産基盤として一層の整備が求められております。
このため、県では、第3期林道整備事業中期実施計画を定め、林内路網の基幹となる林道について、市町村が定めた路網整備等推進区域や森林整備等を計画的に実施する森林経営計画の認定を受けた森林を重点的に整備することとしたところであります。こうした箇所を中心に路網密度を高め、高性能林業機械にも対応した林道等の路網整備を計画的に進めているところであります。
しかしながら、事業の推進には事業費の確保が課題となっておりまして、今後におきましても、国に対し、路網整備がおくれている本県の実情を強く訴えながら、予算の確保に努め、林業にとって必要不可欠な生産基盤である路網の整備を着実に進めてまいります。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) 県職員の人材育成についてでありますが、本県においては、ラグビーワールドカップ2019釜石開催、ILCの誘致、平泉と橋野鉄鉱山の二つの世界遺産や豊富な岩手ブランドの海外発信、さらには、多文化共生の推進などに向けて、国際経験を有する職員の確保、育成は重要であると認識しています。
国際経験のある人材の採用については、平成15年度以降、県職員採用1種試験の一般行政職において、民間企業経験者等向けの採用区分を設定しており、これまでに青年海外協力隊や海外業務の経験者などを採用してきたところです。
海外派遣については、職員が自主的に企画し、先進事例の実地調査等を行う政策研究派遣研修制度において、平成22年度の創設以降、これまでに5人の職員を海外へ派遣しているところであり、日米官民のパートナーシップであるトモダチ・イニシアチブが実施するトモダチ・リーダーシッププログラムへの職員の参加も行っています。
また、一般財団法人自治体国際化協会に平成19年度以降、これまでに4人の職員を派遣しているところであり、パリ、シンガポール、ニューヨークなど、海外事務所の勤務経験を通じて国際感覚を有する職員の育成を図っております。
今後におきましても、所管部局と連携しながら、国際経験を有する職員の確保や育成に取り組んでまいります。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) スポーツを通じた地域振興についてでありますが、県では、県営野球場が築47年を経過し、全体的に老朽化が進んでおり、また、盛岡市においても、盛岡南公園への新野球場整備の構想があることから、市と共同で高規格な新野球場を整備することについて検討しております。
盛岡市では、新野球場の整備に係る財政負担の軽減に向け、現在、PFIなど民間活力を生かした整備手法の導入に関する民間活力導入可能性調査を実施しております。
この調査では、県と共同整備する場合における、ふさわしい整備手法等の整理もあわせて行われることから、県もこの調査に参加しているところであります。
調査は、年内を目途に取りまとめられる予定であり、県としましては、この結果を踏まえ、新野球場の共同整備の方向性について判断することとしております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) ライフプランニング支援についてでありますが、本県の高校生が、これからの社会の形成者として、主体的に就職、結婚、出産などの人生設計を立て、自分の進むべき道を選択し決定していくことは極めて重要であり、その中で、妊娠や出産に関する正しい知識の理解を深めるライフプランニングの役割は、一層高まってきていると認識いたしております。
県教育委員会におきましては、これまで、全ての県立学校に対し外部講師等による講演会の開催や副教材の活用等を促し、妊娠、出産、育児に関する教育の推進にも取り組んできております。
具体例を申し上げますと、昨年度においては約8割の県立高校で、議員御提言の産婦人科医や助産師等の医療専門家による健康教育に関する講演会等を実施しており、受講した生徒からは、学んだ知識を生かして未来につなげていきたいなどの好意的な感想が多く寄せられておりますので、今後におきましても、県医師会等関係機関の御協力もいただきながら、生徒たちのライフプランニングに対する関心や理解を一層高めてまいります。
次に、学校での人材育成と県内定着についてでありますが、本県の普通高校を含む全ての学校において、総合的な学習の時間等を活用して、地元自治体や企業等からの御協力もいただきながら、企業経営者の皆様から出前授業をしていただいたり、地域が直面する課題の解決を提案していく学習、インターンシップなど、地域特性や生徒たちの意向などを踏まえたさまざまな取り組みを進めてきております。
こうした取り組みは、高校生がみずからの地域の未来を考えるとともに、地域を支え、活躍している企業等に対する関心を深め、職業観や勤労観など、みずからの生き方、あり方を主体的に考える貴重な機会となっており、岩手の子供たちの将来的な県内定着に向け、今後なお一層力を入れていくことが必要であると認識いたしております。
県教育委員会といたしましては、いわてで働こう推進協議会の一員として、主体性を持って、また、地域ものづくりネットワークなどの関係機関や、県内企業など産業界の皆様との連携を一層深めながら、人材育成、高校生などの県内定着の促進に向け取り組んでまいります。
次に、英語教育についてでありますが、議員御案内の文部科学省の調査では、英語力の向上に資するとされているさまざまな調査項目があり、このうちで教員、生徒の資格取得等の状況については厳しい結果が出ておりますが、一方、生徒の英語習得の目標を示したCAN-DOリストの設定状況や、授業の半分以上を英語で進めている教員の割合などは、全国平均を上回っている結果が出ております。
本県英語教員の資格取得については、平成27年度から導入した教員採用試験における資格取得者への加点措置等により、その取得率は年々上昇してきており、また、本年度からは、新たに、教員の外部検定試験の受検費用への支援を行うこととしたところであります。
生徒の英語力の向上のためには、英語担当教員一人一人の力量の向上と生徒の意欲の向上が極めて重要でありますので、教員研修体系の充実に加え、指導主事等による学校訪問指導などを通して、本県の英語教育の充実に一層取り組んでまいります。
〇14番(吉田敬子君) まず、知事にお伺いしたいのですが、先ほど周産期に係る医療圏の設定の部分で、周産期医療情報ネットワークいーはとーぶなどがあり、アクセス支援もやっている市町村もあるので、今のところ、これで何とかなっているのではないかというような答弁に聞こえてしまったのですけれども、改めて、知事は、現在の状況で危機感を余り感じていないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
いーはとーぶは33市町村中、今現在で、私の確認が正しければ、西和賀町は、まだ、いーはとーぶに入っていないと思うのですけれども、これは今後進めていっていただきたいと思いますが、ただ、実際には、13市町においては独自の支援がない現状です。
あと、先ほど保健福祉部長から、産前産後ケアについて、今年度、新たに、産前産後サポート事業や産後ケアの事業というのが各市町村で増加しているということで、大変うれしいことではあるのですけれども、そのふえている市町村が、独自の、医療機関のない市町村でやっているものだったりするものか、その辺はきちんと整理できているのか、改めてお伺いしたいと思います。
山梨県では、昨年、都道府県で初めて、県と全部の27市町村で、一つの県としての産前産後ケアセンターをつくって1年ちょっとたつのですけれども、岩手県としても、状況が違うのでこれをつくってほしいということでもなく、これまでの委員会等でも取り上げさせていただいたのですが、分娩施設のない市町村があるところで、例えばこういったことをやりたいけれども、なかなかできないという市町村に対しては、県も一緒にやるというやり方というのは、この山梨県の例が参考になるのではないかと思っています。
山梨県の事例では、利用者の中で、1人目を出産する30代が一番多いのですけれども、山梨県の結果として、1人目の負担軽減の経験が2人目、3人目につながるのではないかということで、なぜ産前産後に力を入れているかということがわかってくると思います。これについて、改めて御所見を伺いたいと思います。
もう一つは、女性特有のがんについてでありますけれども、先ほどは、保健福祉部長からは、リーフレットを配布されていたりとか、協働で普及啓発事業に取り組む企業をふやしていると伺いました。ピンクリボン運動もされていて、確かにピンクリボンという言葉はほとんどの方が知っていると思いますけれども、一方で、それが本当に、乳がん検診の受診につながっているかというと、先ほどの数を申し上げたとおり、全くつながっていません。私は、リーフレットを配布するだけでは全然受診率は上がらないと思いますし、企業と提携しているところをいただいたのですけれども、例えば保険会社の関係だとかそういったところが多いので、本当に一般の企業の皆さんに、いかに周知するかも大事だと思っています。
岩手ビックブルズは、大会があるときに各試合の会場で、乳がんの検診をそこで半額で受けられるような取り組みもしているので、例えば岩手ビックブルズと一緒にやったりとか、ピンクリボン運動の、せめて月間のときでも、そういったことを県としてやらないと、私は受診率というのは上がらないのだと思います。
先日、小林麻央さんという有名人の方も亡くなられて、そのときには皆さん、ああ、乳がん検診を受けようだとか、それに対する関心というのは高まると思うのですけれども、それが実際に自分になかなか通じないというのは課題としてあると思うので、私はただリーフレットを配布するだけでは受診率の向上につながらないと思いますので、ぜひこの件についてもうちょっと積極的にやっていただきたいと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 分娩施設へのアクセス改善と情報通信技術を活用した検診の進展ということをセットでやっているわけでありますけれども、情報通信技術を使った検診というのは、毎月の検診を、離れた病院に行かなくてもいいということで利便性を高めることでもあり、アクセスを補う以上の効果があるわけですので、これはこれで広げていきたいわけでありますけれども、一方で、やはり必要なときにはきちっと病院に行くことができるという、このアクセスの確保についても、しっかり市町村の取り組みを支援していきたいと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 産後ケア事業に、今年度、新たに花巻市と山田町の2市町が取り組むこととしておりますけれども、花巻市では、助産所への委託によりまして、デイサービス型で母体のケアだったり、授乳、沐浴等の育児指導を行うということでございます。
山田町につきましては、アウトリーチ型による妊婦、新生児に対する保健指導、授乳指導を行うということでございます。
議員御紹介のとおり、山梨県では、県と市町村が共同で産前産後ケアセンターを設置しておりますけれども、妊産婦にとっては、それぞれの地域でケアが受けられることが効果的と考えておりまして、広大な県土を有する本県において、同様の施設を設置した場合に効果的な事業が実施できるか、県内市町村の意向や他県の取り組みも参考にしながら検討していく必要があると考えています。
それから、がんの受診率を高めるため、ピンクリボンの運動が大分広まっております。本日、盛岡市でピンクリボンのテニスの大会が開催されております。一方で、議員から御指摘がありましたとおり、企業への受診の勧奨、これも大変重要な課題となっておりますし、小林麻央さんのお話がありましたとおり、若い世代の啓発も必要だと考えています。
県では、今、がんプロジェクト協定を締結している企業であったり、全国健康保険協会などを通じて、がん検診の受診を勧奨するという取り組みをしていますし、もう一つ、若い世代ということで、県内の小学校6年生全員に対してがん教育リーフレットを配布して、児童の保護者に対してもがんの予防啓発を行っています。中学校や高等学校でのがん教育に関する出前講座の実施だったり、講演会の開催等にも取り組みながら、がん検診の受診率の向上に努めていきたいと考えています。
〇議長(田村誠君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成29年度岩手県一般会計補正予算(第1号)から日程第37 議案第36号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) この際、日程第2、議案第1号から日程第37、議案第36号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ