平成29年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 8 号)
平成29年3月15日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
農林水産部長 紺 野 由 夫
理事 鈴 木 浩 之
副部長兼
農林水産企画室長 上 田 幹 也
農政担当技監兼
県産米戦略室長 小 岩 一 幸
林務担当技監 阿 部 義 樹
水産担当技監
兼水産振興課
総括課長 五日市 周 三
競馬改革推進室長 佐 藤   学
理事心得 高 橋 宏 弥
参事 黒 田 敏 彦
参事兼団体指導課総括課長 及 川 健 一
農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光
農林水産企画室
管理課長 小 島   純
指導検査課長 菊 池 信 幸
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 伊 藤   仁
農業振興課
総括課長 中 南   博
担い手対策課長 菊 池 政 洋
農業普及技術課
総括課長 高 橋 昭 子
農村計画課
総括課長 多 田   繁
企画調査課長 鷲 野 健 二
農村建設課
総括課長 千 葉   匡
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 高 橋 昭 雄
水田農業課長 松 岡 憲 史
畜産課総括課長 藤 代 克 彦
振興・衛生課長 菊 池 伸 也
林業振興課
総括課長 佐々木   隆
森林整備課
総括課長 佐々木 誠 一
整備課長 及 川 竜 一
森林保全課
総括課長 漆 原 隆 一
漁業調整課長 赤 平 英 之
漁港漁村課
総括課長 志 田   悟
漁港課長 阿 部 幸 樹
競馬改革推進監 佐々木 真 一
競馬改革推進室
特命参事 滝 山 秀 樹
県産米戦略監 星 野 圭 樹

財政課総括課長 小 原   勝
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
木村幸弘委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
この際、昨日、柳村岩見委員から議事進行があったことについて、昨日、世話人会を開催し、協議した結果について御報告いたします。
昨日の当委員会における斉藤信委員の関連質疑において、議事進行に御協力願いたい旨、2回要請を行ったことにつきましては、いわゆる当該委員であること及び関連質疑は短時間かつ簡潔に行うことを基本としていることを踏まえ、当職から議事進行について御協力を願ったものであります。
このことに関し、柳村岩見委員から、関連質疑のあり方について世話人会において整理をするよう議事進行があったことについては、議会運営委員会において決定している予算特別委員会審査方法の中で、部局別審査については、いわゆる当該委員の発言も認めることとするが、その発言は、できるだけ簡潔に行うこと、また、質疑のあり方等については、他の委員と重複した内容の質疑は極力行わないこととし、どうしても必要な場合は、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすることについて、改めて世話人会で確認したものであります。
なお、関連質疑についての回数等の制限は設けられていないところでありますが、これまでも短時間かつ簡潔に行うことについて、各委員に御協力をいただいてきたところであります。
このことを踏まえて、世話人会におきましては、今後の審査においても、先ほど説明いたしました議会運営委員会で決定した審査方法について、改めて各委員に徹底していただくこととして意見が一致したところでありますので、委員各位に御了承願うとともに、円滑な議事の進行により一層の御協力をお願いいたします。
これより議事に入ります。
議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第27号から議案第30号まで及び議案第32号の以上25件を一括議題といたします。
本日は、農林水産部関係について延べ25人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月6日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇紺野農林水産部長 農林水産部関係の平成29年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
予算関係議案の説明に入ります前に、平成29年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
まず、本県農林水産業を取り巻く状況でありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興は、これまでの取り組みにより、漁船や養殖施設、漁港施設等の整備はおおむね完了したものの、本県の主力魚種であるサケやサンマなどの水揚げ量は震災前を下回り、また、防潮堤や台風第10号により東日本大震災津波と二重で被害を受けたサケ・マスふ化場等は、いまだ復旧途上にあるほか、放射性物質の影響を受けた原木シイタケ等の産地再生や消費者の信頼回復、販路の回復、拡大を進めていく必要があります。
また、本県農林水産業は、担い手の減少や高齢化など、さまざまな課題を抱えております。
このような状況を踏まえ、平成29年度は、なりわいの再生に向け、新たに策定される第3期復興実施計画に基づく取り組みを着実に進めるとともに、いわて県民計画アクションプランに基づき、本県農林水産業が、地域経済を支える基幹産業として持続的に発展できるよう取り組んでまいります。
東日本大震災津波からの復興については、海岸保全施設等の復旧、整備を進めるとともに、地域漁業を担う経営体の育成や水産物の販路の拡大、高付加価値化、さらに、放射性物質影響対策として、原木シイタケの出荷制限解除に向けた検査やほだ場の環境整備を進めるとともに、県産農林水産物の安全・安心と魅力の発信に取り組んでまいります。
また、台風第10号災害については、農林漁業者の早期経営再建を支援するため、農地や林道等の復旧、整備を進めるとともに、サケ・マスふ化場は、現状復旧にとどまらず、施設の機能強化を図り、ことし秋からの稚魚生産の再開に向けて取り組んでまいります。
次に、復興に向けた取り組みと軌を一にした農林水産業の振興を図るため、農業については、高い所得を確保するリーディング経営体を育成するとともに、農地中間管理事業や圃場整備事業の活用による農地集積などを進めてまいります。また、生産性、市場性の高い農業の実現に向け、金色の風や銀河のしずくの徹底した品質管理や良食味米の生産体制を強化し、これら新品種を核とした県産米のブランド化を図るとともに、新たにICT等の先端技術を活用したスマート農業の推進や醸造用ブドウの生産に適している本県の優位性を生かし、中山間地域や県北・沿岸地域を中心に、いわてワインヒルズプロジェクトを展開いたします。
畜産では、ことし9月に宮城県で開催される第11回全国和牛能力共進会での総合優勝を目指し、生産者等と一丸となって取り組むとともに、優良な肉用牛の生産拡大を進めます。
林業については、来月開講するいわて林業アカデミーにおいて、質の高い研修内容を提供し、将来の林業経営の中核となる人材を養成するとともに、森林が有する多面的機能を発揮させる再造林や間伐等の森林整備を支援いたします。
水産業については、漁業者の収益向上と生産コストの低減を図るため、水産共同利用施設等の整備を支援いたします。
さらに、6次産業化による県産農林水産物の高付加価値化と販路の拡大や、新たに農林水産物の輸出先として有望市場と見込んでおりますタイなどでのプロモーション活動を展開するとともに、活力ある農山漁村の創造に向け、引き続き、いわて農業農村活性化推進ビジョンに基づき、集落等が行う活性化の取り組みを支援してまいります。
それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
まず、議案第1号平成29年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の681億5、266万4、000円のうち、県土整備部所管分を除く679億9、226万4、000円、9ページの11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費の227億7、442万5、000円及び12款公債費1項公債費のうち2、425万2、000円を合わせまして、総額907億9、094万1、000円となります。これを前年度当初予算1、101億4、383万6、000円と比較いたしますと、193億5、289万5、000円、率にして17.6%の減となります。
予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げます。
予算に関する説明書の150ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄上から六つ目のいわて農林水産物消費者理解増進対策事業費は、県産農林水産物の安全・安心を消費者へ情報発信するとともに、市町村や生産者団体が行う販売促進イベントなどのPR活動を支援しようとするものであります。説明欄中ほど八つ目の食の魅力発信インバウンド促進事業費は、岩手の食材や郷土料理の魅力を海外に発信するとともに、食の匠による郷土料理体験など、外国人向けの受け入れ環境を整備しようとするものであり、その下のいわての食材ゲートウェイ構築展開事業費は、首都圏の飲食店等との関係を強化し、食材供給の新たな仕組みづくりに取り組み、多様な販路を構築しようとするものであります。151ページの2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農業協同組合などの融資機関に対して利子補給等を行うものであります。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営等に要する経費のほか、説明欄六つ目のいわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者に対して、就農前の研修や就農直後の経営を支援する就農資金を交付しようとするものであります。152ページをお開き願います。4目農業振興費ですが、説明欄上から七つ目のいわて農林水産物海外プロモーション強化事業費は、ベトナム、タイなど東南アジアへのプロモーション活動等の取り組みを強化しようとするものであり、その下の農業経営基盤強化促進対策事業費は、農地中間管理機構を活用した場合の農地の出し手に対する協力金等を交付しようとするものであります。続きまして、その下、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において、集落協定に基づき継続して農業生産活動を行う農業者等に対し、交付金を交付しようとするものであり、その下の被災地域農業復興総合支援事業費は、東日本大震災津波で被災した市町村が行う被災農業者への貸与等を目的とした農業用施設、機械の整備を支援しようとするものであります。153ページ、説明欄一つ目のいわて地域農業マスタープラン実践支援事業費は、中心経営体の規模拡大や6次産業化等による経営発展に必要な機械、施設等の整備を支援しようとするものであり、説明欄中ほど八つ目のいわてスマート農業推進事業費は、若者や女性にも魅力的で収益性の高い農業経営を実現するため、ICT等を活用したスマート農業の取り組みを推進しようとするものであります。説明欄下から二つ目の日本一の美味しいお米の国づくり推進事業費は、全国トップクラスの品質とおいしさを誇る県オリジナル水稲新品種金色の風と銀河のしずくのブランド化と、県産米の消費拡大に取り組もうとするものであります。5目農作物対策費ですが、説明欄二つ目の鳥獣被害防止総合対策事業費は、鹿などの侵入防止柵の設置等を支援するとともに、被害防止活動を担う人材の育成、確保に取り組もうとするものであり、説明欄四つ目、水田農業構造改革対策費の内書き、岩手の水田農業確立推進事業費補助は、平成30年産以降の米政策の見直しに対応するため、産地が主体となって、需要に応じた生産を推進する取り組みを支援しようとするものであります。説明欄一番下の強い農業づくり交付金は、農産物の高付加価値化や低コスト化等による産地競争力の強化を図るため、共同利用施設等の整備を支援しようとするものであります。6目畑作振興費ですが、154ページをお開き願います。説明欄四つ目の未来を担う園芸産地一番星育成事業費は、労働環境や出荷方法の改善、生産性の向上など園芸生産に係るイノベーションの取り組みを支援しようとするものであり、二つ下のいわてワインヒルズ推進事業費は、醸造用ブドウの生産振興を進め、地域が一体となった魅力あふれる高品質なワインを生み出す取り組みを推進しようとするものであります。7目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者等に対する農薬の適正使用の指導等に要する経費であります。155ページ、8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費であり、10目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。156ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営に要する経費であります。
次に、158ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費など管理運営等に要する経費であります。2目畜産振興費ですが、159ページに参りまして、下から四つ目の和牛オリンピック総合優勝チャレンジ事業費は、第11回全国和牛能力共進会に向け、出品候補牛の育成強化等を支援しようとするものであり、その下のいわてのいいべご生産強化事業費は、優良県有種雄牛産子の保留や導入のほか、受精卵移植技術を活用した和牛子牛生産を支援しようとするものであります。次の獣医師確保対策事業費は、獣医学生等に対する修学資金の貸付額の拡大など、県内への就業対策を強化しようとするものであり、一番下、食肉処理施設整備事業費補助は、県内における豚食肉処理の能力向上とHACCP対応による輸出の拡大を図るため、食肉処理施設の整備を支援しようとするものであります。3目草地対策費は、生産性の高い畜産経営体の育成と畜産の安定的な発展を図るため、畜産農家等の生産基盤の整備を支援しようとするものであります。160ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費は、48カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費のほか、家畜伝染病予防費が主なものであり、161ページ、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費であります。
次に、162ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費のうち農林水産部関係の主なものですが、説明欄上から五つ目の経営体育成基盤整備事業費は、水田の大区画化や排水改良など生産基盤の整備と担い手への農地集積を一体的に推進し、地域の中心となる経営体の育成を図ろうとするものであり、説明欄下から五つ目の活力ある中山間地域基盤整備事業費補助は、中山間地域における高収益作物の導入や農作業の効率化に向けた簡易な基盤整備を支援しようとするものであります。二つ下の資源向上支払事業費は、水路等の長寿命化や農村環境保全活動など、地域資源の質的向上を図る共同活動等を支援しようとするものであります。163ページ、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の更新等に要する経費のほか、説明欄下から二つ目の農用地災害復旧関連区画整理事業費は、東日本大震災津波により被災した農地と隣接する農地の一体的な圃場整備により、生産性、収益性の高い農業の実現を図ろうとするものであります。164ページをお開き願います。4目農地調整費は、農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進するため、同機構と地域の農業者組織との連携強化など、業務推進等に要する経費であります。
次に、166ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等であります。167ページ、2目林業振興指導費ですが、説明欄中ほどのいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源とし、針葉樹と広葉樹の混交林化を進めるとともに、地域の森林環境保全活動等を支援しようとするものであり、説明欄下から六つ目の特用林産施設等体制整備事業費補助は、価格が高騰しているシイタケ原木等の生産資材の導入や簡易ハウスの整備を支援しようとするものであります。168ページをお開き願います。説明欄一つ目のいわての次世代林業・木材産業育成対策事業費は、森林、林業に関する知識、技術を習得するいわて林業アカデミーを開講等しようとするものであり、本アカデミー研修生に対しては、説明欄四つ目の緑の青年就業準備給付金を交付しようとするものであります。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大防止等に要する経費であり、4目造林費は、再造林や広葉樹林の若返りを図る更新伐などの森林整備を促進する経費等であります。169ページ、5目林道費は、民有林林道網整備計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費であります。170ページをお開き願います。6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るための治山や地すべり防止、保安林の管理や整備などに要する経費であり、台風第10号等による被害箇所の復旧整備を実施いたします。171ページ、7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。
次に、173ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費であります。174ページをお開き願います。2目水産業振興費ですが、説明欄上から六つ目の地域再生営漁計画推進事業費は、担い手の確保、育成や漁場の有効利用、生産物の付加価値向上の取り組みなど、県内24の漁業協同組合が策定した地域再生営漁計画の確実な実行を支援しようとするものであり、説明欄中ほどのさけ、ます増殖費は、サケ資源の早期回復に向け、稚魚の生産、放流等の取り組みを支援するとともに、サケの回帰率向上とサクラマスの効率的な資源造成に向けた調査、研究等を実施しようとするものであります。四つ下の栽培漁業推進事業費は、漁協等が行うアワビ種苗放流の取り組みを支援しようとするものであり、説明欄下から四つ目の水産物産地強化促進事業費は、水産物の高度な衛生品質管理体制の構築や、生産者と加工、流通業者等との生販連携による新たな商品開発、販路開拓等の取り組みを促進しようとするものであります。3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金等の利子補給等に要する経費であり、175ページ、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であります。176ページをお開き願います。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費であり、7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究に要する経費であります。177ページ、8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要する経費であります。178ページをお開き願います。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費や第68回全国漁港漁場大会の開催に係る経費であります。10目漁港漁場整備費は、説明欄上から四つ目の海岸高潮対策事業費は、新たに防潮堤が必要となる区間について、防潮堤等の整備を進めようとするものであります。説明欄下から三つ目の漁業集落防災機能強化事業費補助は、集落内の地盤かさ上げや、集落道、避難路等の生活基盤整備などを行う市町村への補助であり、その下の漁港施設機能強化事業費は、漁港機能の向上を図る防波堤、岸壁等の整備などに要する経費であります。
次に、大きく飛びまして、231ページをお開き願います。11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費から233ページの6目漁港災害復旧費にかけましては、東日本大震災津波や台風第10号などにより被災した農林水産業施設の復旧に要する経費等であります。
次に、少し飛びまして、239ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち、当部関係は2、425万2、000円であり、これは、国の就農支援資金に係る償還元金であります。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その1にお戻りいただき、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、11公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページの30漁港災害復旧事業までの20件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が9件、平成29年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが10件で、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
22ページをお開き願います。議案第3号平成29年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ35億6、687万8、000円としようとするものであります。
23ページ、歳入の主なものですが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金で、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
24ページをお開き願います。歳出の主なものですが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
25ページに参りまして、議案第4号平成29年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ10億7、078万4、000円としようとするものであります。
26ページをお開き願います。歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
27ページ、歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、28ページをお開き願います。議案第5号平成29年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億5、267万2、000円としようとするものであります。
29ページ、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
30ページをお開き願います。歳出、1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
65ページをお開き願います。議案第15号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか10事業の、農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、71ページをお開き願います。議案第16号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町に負担させようとするものであります。
次に、72ページをお開き願いまして、議案第17号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか4事業の、水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、予算関係の条例について御説明申し上げます。
議案その2により御説明いたします。18ページをお開き願います。議案第28号森林整備地域活動支援交付金基金条例の一部を改正する条例でありますが、これは、国の当該交付金実施要領の改正により、現行の有効期限を廃止しようとするものであります。
次に、少し飛んで、40ページをお開き願います。議案第32号獣医師修学資金貸付条例の一部を改正する条例でありますが、これは、獣医師確保対策を強化していくため、一般修学資金の貸付金額を増額するなど、所要の改正をしようとするものであります。
以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 きょうはかなりの数の質問者がいるということでありますので、委員会運営に協力して、米、畜産であったり海外輸出額の目標設定であったり、いろいろなことを聞きたいんですけれども、1点だけに絞って質問させていただきたいと思います。
その1点ですけれども、きょうここに出席しておられる執行部の方々が、ちょうどそろっていることもあって、岩手県競馬事業についてお伺いしたいと思います。
これまで岩手県競馬事業については、平成18年11月に策定されました岩手県競馬組合改革計画にのっとり運営を続けてこられ、存廃の判断を迫られた平成19年度から平成28年度まで黒字、また、ことしも黒字見込みであることから、10年連続黒字の見込みとなっているという認識をしております。
ただ、その運営ですけれども、当時は本当に常にコスト削減と向かい合いながら、競馬組合議会の前に議案説明会である議員懇談会等を開催する、また、さらには、関係者や構成団体の会議である管理者、副管理者会議、そして運営協議会、また4者会議等を開催して、常に経営状況のチェックを進めながら、赤字イコール廃止というルールの中、経営を続けてこられた結果、この10年間連続黒字を達成したというのは、敬意を表するものであります。
ただ、その中で、私自身ちょっと整理がつかない部分ですけれども、一部事務組合である競馬組合の経営に対して、県の職員の方が長を務めて、会議を行っていくというものが多々あると見受けられますし、その中には、もちろん馬主会であり、調騎会、そして厩務員会等があり、岩手県農林水産部長が会長を務める運営協議会、そして、競馬改革推進室長が長を務める幹事会、さらに4者会議等の位置づけ等がありますけれども、ここの部分の関係性というか役割というか、それはどのような形になっているのかお伺いさせていただきたいと思います。
〇佐々木競馬改革推進監 今、御質問がございました運営協議会につきまして、設置の経緯等について、私から御説明させていただきたいと思います。
運営協議会につきましては、平成18年に新しい岩手県競馬組合改革計画を策定した際、競馬組合、構成団体、そして競馬関係者が、競馬事業存続のための協議、調整を行う場として設置されたものとなります。
要綱に定めます運営協議会の所掌事項につきましては、競馬組合の経営状況及び経営改革、改善の検討、そして、収支状況の検証及び収支均衡を図るための調整、いわゆるコスト調整、この2項目であります。
近年、コスト調整は行われておりませんが、公開の場におきまして、組合の収支状況を明らかにし、関係者が事業運営に関し議論することは、経営の透明性の確保、県民、市民や議会に対する説明責任の観点からも重要な役割を果たしているものと認識しております。
そして、委員から御質問ありました他の組織との関係ということでございますけれども、例えば、4者会議につきましては、岩手県馬主会、岩手県調騎会、岩手県厩務員会、そして岩手県競馬組合が構成メンバーとなっております。先ほど説明申し上げました運営協議会につきましては、構成団体がメンバーに入るということで、役割に相違があると認識しております。
〇郷右近浩委員 平成19年4月の設置の際にそのような役割であったことは私自身認識しておりますし、また、コスト削減等についても、平成19年から4年間については、本当に常にコスト削減と向き合いながら運営をやっていかなければいけないという中で、この組織がやってきた役割の大きさについても、私自身評価をしているところであります。
ただ、最近、私自身どうも理解ができないというかちょっと歯がゆく思っているところが、例えば岩手県競馬組合という一部事務組合があって、そこが主体的に運営している中で、そのもとに設置した組織に、県の職員の方が長になって、そこで大体物を決めてしまうと。
これは最終決定したわけではないと認識しておりますけれども、しかしながら、マスコミ等の報道で、運営協議会で決定したことが、ほとんどそれがもう決定事項だというような形で流れてしまったときに、競馬組合として、どのような運営方針で、どういうふうに頑張っていこうといったことがなかなかできなくなるのではないか。むしろ、もう少し競馬組合自体が、自分たちで物事を考えて、自分たちで前へ進めるような環境をつくるべき時期に来ているのではないかと私自身は思うところでございます。
そうした意味において、本当にこれまで必要な安全弁としてつくられてきたこうした会議等についてですが、例えば、運営協議会は、各年度5回開催というのを大体一つの目途として進めてきたところを5回という縛りではなくて、必要な都度というような形にできないのか、また、さらには、私は、運営協議会や4者会議は、ほとんどメンバーが変わらないことから、そうしたものを整理していくような体制、そして、競馬組合自体がきちんと物事を考えて、構成団体の県と市が、いろいろな形で助力ができるように進めていくべきと考えるものであります。
このような屋上屋を重ねている今のような組織体系であったり、この先、岩手県競馬事業をどのようにしていくかということについて、部長の御所見をいただきたいと思います。
〇紺野農林水産部長 県の農林水産部長が運営協議会の会長を務めさせていただいておりますが、これは、県が分賦割合の最も高い構成団体としての責務から、そうなっているということであります。
この協議会のあり方ですが、現時点では発売成績は好調でありますが、いつ、いかなるときに、その好調な状況が不調に転ずる可能性も一方でございます。
そういったことから、コスト調整とともに、組合の経営状況ですとか経営改革、改善の検討もあわせ行っている協議会でありますので、やはりその存在意義はあろうかと思っております。
ただ、一方、今御指摘があったように、いろいろな組織といいますか話し合う場があって、屋上屋を重ねているのではないかということも、確かに構成員の中からお話もございます。私の立場ですぐにそれをどうするかというのは言える話ではございません。やはり構成団体、また、いろいろな団体のお話を伺いながら検討していくべき課題だとは思っております。
ただ、例えば年間5回ほど今開催しているのですが、全てやるかと言えば、必ずしも諮らなくていいような内容のものも中にはございます。そうしたことも含めまして、構成する団体に今後のあり方を諮りながら、検討してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 この岩手県競馬事業は、県と盛岡市と奥州市からの融資で続けさせていただいていることから、透明性であったり、さらには、ガバナンスであったりということをきちんとやっていかなければいけないと思っております。
ただ、やはりはたから見ると、県主導の運営協議会で話が決まっていくため主導的な部分がどうしても見受けられると。これは全ての面ではないにしても、今後とも透明性の確保、さらには競馬事業を前に進めるといった両方の観点をあわせて考えていただければと思います。
〇工藤勝子委員 岩手の米づくりにおける基本方針についてお伺いいたします。
まず最初に、特Aとなる銀河のしずく、さらには金色の風が出ました。私は、県農業研究センター、県生物工学研究センターの研究員の努力のたまものだと思っておりまして、改めて、長年の研究成果に対しまして敬意を表したいと思っております。
平成30年度から新たな農政の大転換と言われる減反政策、生産調整が廃止されて、全国的に水田のフル活用が始まることを受けまして、私のところもそうですけれども、中山間地域、それから条件不利地域の農家の人たちから米価の下落、それから、私たちは米づくりをもうやめなければいけないのかなという心配の声が聞こえてきているところであります。
そういう中において、新しい品種ができましたし、そして、県南、県中部のひとめぼれも特Aということであって、一躍、岩手県が米産地になるのではないかと大きな期待を持っているところであります。
そういう中において、食用米の需給バランスをとりながら米栽培を進めようとする基本方針が打ち出されておりますが、これを示していく計画等について、まずお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 水田を有効に活用し農業者の所得を確保していくためには、稲作と転作を両輪で進めていくことが重要と考えております。
このため、現在、県の農業再生協議会におきまして、主食用米や転作作物の推進の考え方や担い手育成と農地集積の進め方等につきまして、流通業者や担い手農家などからきめ細かに意見を伺っているところでございまして、5月をめどに、こうした意見も取り入れながら、今後5カ年の水田農業の推進方針として取りまとめることとしているところでございます。
〇工藤勝子委員 そういう中において、生産数量の目的にかわる数値として生産目安という言葉が出てまいりました。独自に設定する方針ということでありますが、この設定に対して、今、県としてどの程度進んでいるのかわかりませんけれども、どうしようとしているのかお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 生産目安につきましては、県農業再生協議会で、国が公表する米の作柄や全国的な需給動向を踏まえまして、県産主食用米の需要量を算定することとしております。
その上で、市町村別の生産量の目安につきましては、今後、主食用米の作付実績や地域協議会などの意見も踏まえまして、その算定方法を検討してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 そういう条件不利地域で米をつくっている人たちに対しましても、今後とも希望の持てるような話し合いになっていくんだろうと思っていますけれども、私たちの地域でも、頑張って米をつくっている若者もおりますので、ぜひ、この人たちが米づくりの未来に希望を持てるような方針を示してほしいと思っております。
また、全国のブランド米141銘柄のうち、今回特Aを取ったのが44銘柄ということであります。特にも、関西や南のほうでつくるお米も結構特Aという評価をいただいたところもあって、非常に驚きまして、どこでもこういう高級米にターゲットを絞って、一生懸命研究開発をしているのだなということがわかってきました。
そういう中において、本県では一般家庭向けは銀河のしずくという位置づけ、金色の風は首都圏で最高級米を志向する人たちをターゲットにするというようなことも伺っております。
今までひとめぼれ、あきたこまち、いわてっこなどをつくってきた人たちも、その高級米に引っ張られて価格が高くなっていけばいいと思っているんですが、あわせて、ブランド米と一緒に県産米の販売戦略に今後どのように力を入れていくかも非常に大事になってくると思っております。
外食、中食等の業務用米が不足している、需給のバランスが非常に崩れているという米卸問屋の話もございますが、県産米を今後PRする販売戦略についてお伺いいたします。
〇星野県産米戦略監 全国の米産地から確かに食味レベルの高いお米がどんどんデビューしておりまして、その中で米卸売業者とか小売店、消費者の認知度を高めて、高い評価をかち取り、県オリジナル品種のブランド化を図ることが重要と考えております。
県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づきまして、県産米の魅力や特徴を強力にアピールするとともに、関係団体等と連携しながら販路の開拓等に取り組んでまいりました。
今後におきましては、こうした取り組みに加えまして、関係団体等と連携しながら、話題性に富んだプロモーションなど国内外での販売促進活動を広く展開しまして、新品種を核とした県産米の評価、知名度の向上、さらには販売力の強化を図ってまいります。
〇工藤勝子委員 よろしくお願いしたいと思っております。
そういう中において、複数年契約を岩手県でも進めているようでありまして、本県は62%で、滋賀県と同じでありまして、宮城県が56%ですが、東北のほうが多いと思っていますけれども、こういう複数年契約することによってのメリットも非常にあるだろうなと。価格が下落したときは、契約ですので高く売れる。ただ、価格が高くなったときは、ある程度のデメリットもあるかと思っていますけれども、そういうことを県としてはどう捉えているのかお伺いいたします。
〇星野県産米戦略監 確かに、複数年契約は数年先まで取引先とか取引数量が決まる契約でございますので、生産者にとっては安心して生産できるということがございます。さらに、販売価格も大体決めれば、収入の変動が少ないということがございますので、相場に左右されず経営の安定化が図られると考えております。
一方、デメリットもございまして、契約した数量をもし出せなかった場合は、契約数量を何とか集めて納める必要があることと、あと、相場が高騰した場合にも、契約している金額があれば、安い金額で販売しなければいけないことになります。
いずれにしても、今後、平成30年に新たな米政策が始まりますと、こういった複数年契約とか売り先がはっきりした取り組みが必要だと思いますので、強力に進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 部長にお聞きしますが、米も含めてですけれども、岩手県で200人を超える新規就農者が就農していらっしゃるということで、非常に農業に対する期待度もあるのではないかと思っておりまして、食料生産に青年の人たちが自信と誇りを持って、新たな目標や夢を持っていかないと、やはりこれからの農業はやっていられないのではないかという思いがします。
そういう意味で、県としては、やはりそういう青年とか活躍している女性の方々に、意欲的に農業に取り組んでほしいというようなメッセージを送ることも大事ではないかと思っておりまして、岩手県の農業グランドデザインをどう示そうとしているのか、所見を伺いたいと思います。
〇紺野農林水産部長 本県の農業につきましては、冒頭でもお話しさせていただきましたように、地域経済を支える基幹産業の一つだということで、やはり持続的な発展を図っていくことが必要ですし、また、本県の食料供給基地としての役割もしっかり果たしていくことが重要だと考えております。
また、中山間地域など条件不利地が多い本県の特性にも十分配慮して、小規模農家、兼業農家も参画した産地づくりを進めることが重要だと認識してございます。
県におきましては、いわて県民計画の第3期アクションプランに基づきまして、農地集積による生産の効率化、大規模園芸団地、集落営農による園芸作物の産地化等の取り組みを進めているところでございます。
今後におきましても、こうした取り組みを通じまして、若い農業者が意欲と展望を持てる農業の実現に取り組んでいく所存でございますし、また、来年度予算案に盛り込ませていただきましたスマート農業、こうしたICT等を活用した農業も、やはり一方で展開していかなければいけないと考えております。
また、こういったものにつきましては、若者も非常に関心があり、また、農業に魅力を感じる新たな分野でもございますので、こういったところにも力を尽くしながら、若い農業者に岩手の農業の魅力を発信して、就農を図っていただきたい、また、経営を担っていただきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 遠野にもホップの栽培をしようとする人たちが県外から入ってきております。米づくりの青年、畜産、園芸作物、さまざまな現場で頑張っている人たちとの意見交換を部長にはぜひやってほしい、そして元気を与えてほしいと思っております。知事にかわって現場をぜひ歩いてほしい、現場の声を聞いてほしいという私の思いがありますが、後からまた所感を聞きたいと思います。
次に、農業改良普及員についてお伺いしたいと思っております。
私が初当選し県議会で最初に質問したときにもお話をさせていただきました。県の一般職員の削減とあわせて、多分東日本大震災津波前までは農業改良普及員として技術を持った人たちも削減してきたと思っておりました。しかし、今、農業を取り巻く環境が非常に大きく変わろうとして、激変しようとしている中であります。
そういう中において普及体制の充実は、岩手の農業や地域農業を活性化する、そして導いてくれるものだと思っております。それは、農業改良普及員の人たちは、いろいろな作物の技術もさることながら、人を育てる仕事をしている、私はそのように思って高く評価しております。ですから、これから、やはり地域を引っ張っていくリーダーの育成とか女性の活躍、そして、人材の育成、法人化、今度はグローバルGAPの認証ということも出てまいりましたし、新たな保険制度も始まろうとしています。これは共済かもしれませんけれども。
そういうもろもろ変化する中で、ぜひ農業改良普及員を減らすのではなくて、逆に1人でも2人でもふやして、岩手の農業を活性化していくことに対する考え方をお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県では今、農業普及員を地域の特性に応じまして、9センター、そして4サブセンターに205名を配置しております。県全体の職員数が制約される中にあっても、必要な農業普及員の確保に最大限努めてきたところでございます。
今後におきましても、農業を取り巻くいろいろな課題がございます。農業普及員も、技術レベルに応じた専門研修を受けたり、現場活動を通じた研さんを積んだり、農業者との信頼関係を構築するコミュニケーション能力、地域の合意形成を誘導できるコーディネート力、専門的な技術力など、農業普及員に求められる資質の向上は非常に大きいものと感じております。
今後におきましても、市町村と農業協同組合等との連携を強化しながら、205名という人数ではございますけれども、きめ細かな普及活動に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
先ほどお話ししましたグローバルGAPですけれども、こういうGAPの指導員は県内にどのくらいいらっしゃるのかと思ってお聞きしましたら、農業普及員、それからJAの指導者、農業公社等を含めて53名の方々がいらっしゃるとお聞きいたしました。そういう中において、県内においては国際的グローバルGAPを取っているのが1農場、日本版を取っているのが2農場、それから、岩手県内のGAPもあるし、エコファーマーとしての認定農業者もあるということであります。
そういう中において、県立農業大学校でこういうグローバルGAPの認定に向けた取り組みをどうされているのかということをお聞きしたいと思っております。
ちなみに、青森県の五所川原農業高校では、米とリンゴでこのグローバルGAPを取得しているという例もあります。ですから、県内にも農業高校もあるわけですが、農業大学校も含めた農業高校に対する、岩手県GAPでもいいですし、とにかくそういうものをきちんと認証していくことに対する県としての支援体制はどうなっているのかお聞きいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 まず、県立農業大学校におけるグローバルGAPの認証に向けた県としての支援でございますけれども、GAPは、食品の安全や品質の向上等を図る管理手法であります。輸出拡大やインバウンドの増加を見据えますと、国際水準であるグローバルGAPやJGAPのような認証取得を進めていく必要があります。
こうした中、農業大学校には将来の地域の担い手として期待される学生がおります。GAPの取り組みを学び、実践していくことは、今後のGAPの普及拡大につながるものと考えております。
このため、平成29年度からは、農業大学校の講師をJGAP指導員として育成するとともに、GAPに関するカリキュラムを導入することとしております。また、農業大学校の附属農場でのGAP認証取得に向けてコンサルタントを派遣するなど、必要な生産工程管理の体制整備を進めていきたいと思っております。
一方、県立農業高校の認証に向けての考え方でございますけれども、高校生にとりましても、食品の安全や品質の向上等を図る管理手法は有効なものと考えております。このため、GAPの取り組みへの関心を高めるための情報提供をまず高校生に行って、農業高校から要請がある場合にはJGAP指導員を派遣するなど、認証取得に向け支援していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 国際グローバルGAPを取得するには、北上のある農場の方からは、かなり多額のお金をかけて環境整備して、やっと取得したという話も聞いております。そういう部分において、ある程度環境整備なりいろいろなことが求められてくると思っていますので、支援をしていただき、少なくとも県立農業大学校では取得するように、ぜひ御指導をお願い申し上げたいと思っております。
今後の海外戦略、オリンピック、パラリンピックでの食材の提供という部分もありますので、非常に大事な認証になってくると思っておりますので、ぜひ県も力を入れて、このぐらいの指導者がいるわけですから、それぞれ徹底して指導すればまだまだ取れる人たちがいるのではないかと思っているところでありますので、よろしくお願いいたします。
最後に、部長は、農業大学校の生徒たちとの交流もあると思いますけれども、来年度に向けて、地域を回って現場の人たちの声を聞いてほしいと私は願っておりますが、所感を聞いて終わります。
〇紺野農林水産部長 私も、第1次産業を所管している部でございますので、現場を何よりも重視していく必要があると考えております。
今年度は春、秋と現場回りを予定しておったんですが、春先いろいろな問題もございまして、全てキャンセルした経緯もございます。秋は秋で台風災害があって、なかなか現場を訪れる機会に恵まれなかったということで、来年度はそういうことがないことを祈りながら、ぜひとも現場を回って、農業者の皆さんと意見交換を密にして、今後、私どもはどういった農政を展開していけばいいのか、そういったヒントもいただきながら進めてまいりたいと思っております。いずれ来年度は十分現地を回っていきたいと思っております。
〇佐々木努委員 2点お伺いいたします。
最初に、今、県南地域で家畜保冷保管施設の建設が進められておりますけれども、稼動までのスケジュール、そして受け入れ体制についてあわせてお伺いいたします。
〇藤代畜産課総括課長 県南保冷保管施設についてでございますけれども、建物工事については終了しておりまして、工事の最後となる取りつけ道路の舗装を行いまして、3月末には施設は全て完了する見込みになってございます。
また、施設の利用につきましては、工事完了後に速やかに機械設備等の取り扱いの訓練を行いまして、4月中旬前には運搬業者からの死亡牛の搬入を開始いたします。また、4月中旬ぐらいから農家からの搬入を受け入れまして、施設自体は4月中旬以降に本格稼動という予定で進んでいるところでございます。
また、施設の受け入れ体制でございますけれども、施設管理について、管理運営主体であります県南へい獣処理協議会で2名の従事者を雇用いたしまして、交代で死亡牛の受け付け等を行うこととしてございます。
また、死亡牛の受け入れについてでございますけれども、午前9時から午後4時までで、4月から10月までは休みなしで受け入れを行うこと。なお、11月から3月までは気温も低くなり死亡牛の腐敗が進みにくいので、毎週日曜日と年末年始を休ませていただく形で施設を稼動させる予定になってございます。
また、利用料金でございますが、県南へい獣処理協議会において県北地域の同様の施設の料金を参考に設定されているものでございますけれども、牛の月齢に応じて価格が決められておりまして、12カ月齢未満で1頭当たり1、500円、12カ月齢以上で2、000円とされているところでございます。
〇佐々木努委員 通告していませんが、受け入れ見込み、去年の実績でも構わないので、どの程度想定されているかというのはありますか。
〇藤代畜産課総括課長 平成27年度の死亡牛の実績は、県南13市町で発生しているのが1、600頭ほどとなっております。また、本年の状況を見ましても2月末現在で約1、500頭弱というように同様の動きになってございますので、1、600頭ぐらいではないかと考えてございます。
〇佐々木努委員 そのぐらいの頭数がそこに搬入されるということですから、私もそうですけれども、地域の方々は環境面、衛生面を非常に心配されておりますが、環境、衛生対策はどのように行っていかれるのかお伺いいたします。
〇藤代畜産課総括課長 環境保全対策といたしましては、まず臭気対策の関係でございますが、死亡牛の搬入、搬出は、運搬トラックを施設の密閉した荷さばき室に入れた上で行うこととしております。また、施設内には光触媒脱臭装置-これはオゾン脱臭装置より非常ににおいを取るのが強いと言われているものですけれども-を設置しまして、においが外部に拡散しないように防止するような形の措置を講じることとしてございます。
また、死亡牛の保管ですけれども、鉄箱に入れまして冷蔵で保管するということで、また、施設内が死亡牛から出ます血液や体液に汚染されないような措置を講じておりますし、また、施設や鉄箱等の洗浄により発生する汚水は、貯留槽に貯留して定期的にくみ取りまして専門業者が適切に処理するということで、汚水は一切外には放流しないような形の措置を講じているところでございます。
〇佐々木努委員 いずれ環境、衛生面には万全を期していただきたいということと、地元の畜産農家以外の方々でも、どういう施設ができたのか、どういうふうに管理されるのか気にされていますので、ぜひ利用者だけではなく、地域の方々に対して施設見学も行っていただければと思いますが、これは要望です。
それから、この施設ができて、それで終わりではないと私は思っていて、そこで一時的に保管するけれども、最終的には、今、群馬県の化製場に運んでいるということで、これが本来のあり方なのかと非常に疑問に思っています。東北油化があのようなことになってしまって、県としても今の時点で最善の策ということでお考えになっていると思いますけれども、私は、最終的にはレンダリング施設-化製場の必要性が高まってくるのではないか。畜産県の岩手ですから、そういう方向に持っていくべきではないかと思っております。
そういう意味で、今回の一連の東北油化の関係でこのような施設がつくられることになったわけでありますが、その中の議論でも構いませんけれども、将来的にレンダリング施設の必要性について、地元の市町村あるいは生産者団体の方々と県がどういう議論をされているのか。されていないのかも含めてその辺の現在の状況を教えていただきたいと思います。
〇藤代畜産課総括課長 死亡牛につきましては産業廃棄物でございます。廃棄物処理法では排出者が責任を持って処理するとされているもので、排出者である生産者や生産者団体みずからが対応を検討していくことが重要と考えているところですけれども、県といたしましては、畜産振興上の観点から、こういった処理が適切に行われることも大事だと考えまして、農業団体と一緒に検討を行っているところです。全農岩手県本部と県とで死亡牛の処理に関する検討チームを設置したところでありますけれども、この検討会につきましては、昨年9月に設置いたしまして、これまで7回ほど開催しております。
その中で、死亡牛の処理につきましては、埋却、焼却、あとは化製処理といった処理方法がありますので、どういった処理ができるのか、死亡牛の処理のあり方等について現在、検討している状況でございます。
〇佐々木努委員 きょうは時間がありませんので、また次の機会に議論したいと思います。先ほど産業廃棄物だとお話しされましたのでこれは環境生活部に言えばいい話かもしれませんけれども、県として畜産物以外の産業廃棄物の処理施設は持っているわけでありまして-委託していると言ったほうがいいんでしょうか-、この畜産廃棄物、農業から出る廃棄物においても、県はある一定の責任を持って、どう処理していけばいいのかしっかり考えていく必要があるのではないかと思います。死亡牛だけがどうのこうのということではなく、畜産から出るさまざまな廃棄物について、県内でどう処理するか、畜産振興のためにどう処理していくかということを全県レベルで考える時期に来ているのではないかと思っているので、ぜひ農林水産部も環境生活部とそのような議論を進めてほしいと思います。
部長、何か所見があればお伺いいたします。
〇紺野農林水産部長 死亡牛の処理につきましては、畜産振興上も非常に重要な部分だと認識してございます。ただ、死亡牛の処理につきましてはいろいろな処理形態もありますし、また、費用等もそれなりに要するということも検討の中で明らかになってございます。その中でどのような対応ができるのか、そういったことも今現在、検討を進めておりますので、それを見据えながら今後の対応等も検討してまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 私も簡単に終わらせます。
まず、県北の農業振興についてですが、県北も大変広いので、主に私が住んでおります二戸地域振興センター関係のエリアを中心にお聞きします。
これまで、米づくりから野菜づくり、それから畜産、果樹、さまざまな分野でたくさんの国営、また県営の事業がございました。何十年にもわたって農家の方も御苦労されてきました。そういう中で、これまでのいろいろな分野の振興方策による経営の成果、そして現状はどのような成果を上げているのかを分析されているかということです。
そしてまた、そういう中から課題も把握されてきていると思いますが、この点について初めにお伺いしたいと思います。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 これまでの二戸地域を中心といたしました主な振興方策と現状の成果、課題等についてでありますけれども、県北地域は、夏季冷涼な気候や標高差などの特性を有してございます。私どもは、このような立地条件を有効に活用した産地づくりを支援してまいったところでありますけれども、この結果、これまで、レタス、キュウリ、トマトなどの野菜産地に加えまして、桜桃の夏恋、リンゴの冬恋など、高品質で特色ある果樹産地が形成されてきておりますし、また、酪農や中小家畜を中心といたしました大規模な畜産経営も営まれるようになってきております。
今後ともこれらの産地の維持発展を図っていく必要がありますけれども、これを進めるためには規模拡大をさらに進めなければいけませんし、特に園芸品目におきましては、生産性の向上と一層の省力化が必要であると考えております。
〇工藤誠委員 私もそういう農業振興にかかわった仕事もしていましたので、ここ20年ぐらいの中で農業もすごく変わってきたなという感じもしています。
今、若干今後の方向性もお話をいただきましたけれども、人口減少が続いていきます。それから農業就業者も減ってきています。また高齢者もふえています。そういう現状も当然つかんでいると思われますけれども、しかし、私たちの地域に戻れば、まちの基幹産業は何ですかと聞かれれば、やはり農業だと答えるわけです。農業はどうしても切り離せないものです。ですから、今後も持続的に農業を発展させていくことが絶対必要なことだと思っています。
そのための今後の方向性、また、どういう事業がソフト、ハードにとって必要なのかという御認識はどう持っているかお聞きしたいと思います。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 今後の方向性についてのお尋ねでありますけれども、具体的に申し上げますと、県ではこれまで、担い手の規模拡大に必要な機械の導入、トマトやリンゴの選果施設、鶏舎、豚舎などの整備を支援してまいりましたし、これに加えまして、畑地かんがい施設や暗渠排水施設などの基盤整備、さらには畑地かんがい施設の活用によりますレタスなどの生育促進や品質向上、さらには特産果樹のブランド化などに取り組んできておりまして、こういった取り組みにつきましては今後とも強力に進めなければいけないと考えております。
今後とも、市町村や関係団体と連携いたしまして、地域が主体となった規模拡大や生産性向上に必要な事業導入を積極的に支援することなどを通じまして県北の農業振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 ぜひ農家の方々、それから行政の方々としっかりと連携を組んで進めていただきたいと思います。
そこで、先ほども申し上げましたが、就農人口も減ってくる、高齢化も進んでくる中で、新規就農者の確保が課題になってくると思います。県は県でいろいろな事業を組まれて新規就農者の確保に努めております。それはそれでよろしいんですが、私の住んでいる一戸町と九戸村は新規就農者の研修施設を持っております。九戸村はナインズファーム、一戸町は一戸夢ファームということで新規就農者を受け入れているわけですけれども、一戸町の実績では、平成25年度から6人、実際に研修に入っておりますし、平成29年度は2人の方が決まっているということでした。主に園芸作物を中心に2年間研修してひとり立ちしていくことになるわけですけれども、そういう県内の新規就農者の研修施設の現状、また、その研修施設が順調に運営されているのか、そのあたりのことをお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県内におきまして市町村が所有している研修施設は、委員御指摘のとおり、一戸町の株式会社一戸夢ファームと九戸村の株式会社ナインズファームの二つでございます。ほかの市町村で、直接、研修施設を所有して行っているところはございません。
県では、市町村が所有している研修施設に対しましては、農業普及員が定期的に巡回いたしまして栽培管理技術等の指導を行っておりますし、冬期間、座学研修の講師を務めて対応しているところでございます。
県でもいろいろな新規就農対策をやっておりますけれども、市町村が独自でこういう研修施設を持って、それを活用して確保、育成を行っていくことも非常に重要だと思っておりますので、できるだけそういうところの研修生の確保、指導体制の充実について支援していきたいと考えております。
〇工藤誠委員 ぜひ県もいろいろな面で御支援をお願いしたいと思います。
2年間の研修が終わってひとり立ちするわけですけれども、なかなかやはり2年間の研修だけでは厳しいと思います。その後の経営支援をいろいろな面でサポートしていく必要があると思っています。そういう面で、例えば機械を購入するための支援事業であるとか、また、いろいろな農業知識の啓発活動であるとか、それこそ先ほどお話があった農業普及員の方のサポート、そういうことを積極的に県にも進めていただきたいと思います。そういう支援体制をどうとるかについてお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県が平成27年度に青年就農給付金受給者を対象に行いました経営状況調査におきましては、経営開始5年後に計画に掲げる目標販売額を達成した方の割合は4割にとどまっていると把握しております。
こうしたことから、まず、研修を修了して新たに自営就農する方には、個々の経営を取り巻く規模等、状況に応じまして、経営を開始するために必要な農業基盤の整備につきまして、国庫事業、県事業、そして農業公社の事業等ございますので、その活用を支援してまいりたいと思いますし、個々の状況に応じた適切な就農計画の作成をきめ細かに支援していきたいと思います。
もう既に就農されていらっしゃる方につきましては、その就農計画が着実に達成できますよう、生産技術の習得、経営力向上につきましては、今年度から農業大学校でレベルに応じた経営力講座を設けているところでございまして、このような講座を活用するなど、早期に安定した経営ができるようフォローしていきたいと考えております。
〇工藤誠委員 ぜひお願いしたいと思います。県北は地形的に、また気候的に、それから中山間地域が多い中でも一生懸命農業に取り組んでいきたいという思いがありますので、それを行政がバックアップしていくのは当然のことだと思います。ぜひお願いしたいと思います。
通告しておりました3番目については、時間の関係でこれを割愛させていただきます。
4番目に移ります。
農業農村整備事業の推進についてでございます。
これは私も再三一般質問でも取り上げてまいりましたけれども、現在の農業農村整備事業の実施地区の進捗状況、それと新規採択の要望の状況についてお伺いいたします。
〇千葉農村建設課総括課長 現在の実施事業の進捗状況についてでありますが、農業農村整備事業の主要な事業でございます経営体育成基盤整備事業の進捗状況は、平成28年度実施地区のうち完了地区を除く継続33地区におきまして、平成28年度末時点の事業費ベースで48%となっております。
〇鷲野企画調査課長 新規事業の要望箇所の状況でございますが、向こう5カ年の事業実施要望を市町村が取りまとめた農業農村整備事業管理計画によりますと、経営体育成基盤整備事業の平成29年度から平成33年度までの採択要望は88地区、年平均で18地区程度となっており、平成28年度までの5カ年の新規採択22地区、年平均で4地区を大きく上回るなど、地域の実施要望量は多くなっております。
〇工藤誠委員 こちらの資料で見ますと、農林水産部の予算もどんどん減ってきています。多分復興の関係があるのだろうと思います。ただ、先ほど申し上げたような新規就農者なり農業を持続的に発展させていくためには、やはり基盤整備が必要だと私は思っています。
そこで、最近の農業農村整備事業の予算の動向、推移、また、どういう課題を持っているかについてお伺いしたいと思います。
〇鷲野企画調査課長 予算確保の推移と課題についてでありますが、国の農業農村整備関係予算につきましては、平成22年度に大幅減となって以降、近年、回復傾向にあり、経済対策等による平成28年度第2次補正予算と平成29年度概算決定とを合わせると5、772億円となり、国は平成21年度当初予算と同額を確保したとしております。
一方、県の農業農村整備関係予算につきましては、県の予算編成方針により措置してきたところでありますが、平成29年度当初予算額の通常分につきましては105億円を計上したところであります。また、国の平成28年度第2次補正予算により84億円の配分を受けたところでありまして、平成29年度の実質的な事業執行額は、対前年比134%の189億円と見込まれるところであります。
本県におきましては、圃場整備を中心に地域からの基盤整備の要望が増加している中、全国的な整備ニーズの高まり等により、近年、国の予算配分額が県の予算額を下回っている状況でございますので、国庫補助事業に係る国費の確保が課題であると考えております。
〇工藤誠委員 国費の確保に頑張っていただくということでありますが、いずれ、議案第15号にも書いてあるように、各実施地区の予算計上が出てきているわけです。やはり地域とすれば、一日も早く、また1年でも早く事業を進めてほしいというのはどこの地区でも同じだと思いますが、先ほど33地区継続とありましたけれども、実施地区における予算計上の配分の考え方についてお伺いしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 事業の実施箇所における予算配分の考え方についてでありますが、農業農村整備事業で予算規模の大きい圃場整備事業では、採択からおおむね2年間は、工事着手に向け、測量設計及び換地原案作成等に必要な予算を配分しております。また、事業完了を予定している地区におきましては完了に必要な予算を配分することとし、これら以外の、採択から数年経過した工事実施地区におきましては、面工事の進捗状況などを総合的に勘案の上、予算を配分しているところでございます。
〇工藤誠委員 採択地区の実施地区の状況に応じてやっているということでありますけれども、平成28年度の状況を見ますと、ある地区では当初の配分が9、000万円だったと。それに対して、国の補正予算がついたら5億5、000万円の追加配分が来たということで、一気に6億4、000万円の事業費になったということで、とてもその年では消化できないわけでありますので、それは当然繰り越しであります。補正予算がつくことはありがたいお話でありますが、結果として事業完了年度がおくれていっているのではないかと実際現場では言っているわけです。6年間の事業完成予定の期間のものが、事前にお話を伺ったところ、実際は約12年かかるということで、2倍の年数になっている。地域でハード事業をやる場合は、地域の皆さんで話し合いをします。どういうビジョンを描くか、それに3年か4年かかります。それから調査事業に入ります。そして、それから工事が始まって、5年か6年で終わるだろう、10年か十二、三年で終わるだろうと思っているのが、倍の工事期間がかかって、私の同級生も50歳でそれにかかわりましたけれども、全部の事業が終わるには65歳過ぎるのではないか、そういう実態があるんです。
ですから、先ほどの国費の要望ではないんですけれども、もう少ししっかりと予算の確保と事業地区における予算配分を考えて頑張っていただかなければならないのではないかと私は思います。そして、集落営農をきちっとやって法人化をして、そして農地集積を進めていく、そういう方針をしっかりと固めていかなければならないと思いますので、今後の基盤となる農業農村整備事業の進め方の基本的な考え方をしっかりと示してください。
〇多田農村計画課総括課長 事業推進の基本的な考え方についてでありますが、農業農村整備事業の完了地区におきましては、生産コストの低減や高収益作物の積極的な導入、畑作物の生産拡大などの農業競争力の強化はもとより、後継者の育成や若い農業者の定住促進にも効果を発揮するなど、その成果が着実にあらわれております。
このため、事業の実施に当たりましては、担い手の確保、育成や農地の集積とあわせ、水田の大区画化や汎用化、排水対策など、地域の立地特性やニーズを踏まえた生産基盤の整備を進め、高収益作物の導入や6次産業化等による農家の所得向上や雇用の創出など、農業の競争力強化と地域の活性化につながる取り組みを進めていく必要があると考えております。
県といたしましては、農業農村整備事業は国費の確保が非常に重要でありますことから、地域からの整備要望を踏まえ、引き続き、生産性の向上や収益性の高い農業の実現に向け、平地地域での圃場の大区画化や中山間地域でのきめ細かな基盤整備が計画的に進められるよう、必要な予算の十分な確保について国に強く働きかけてまいります。
〇工藤誠委員 最後になりますけれども、本当にしっかりお願いします。先ほども言ったように、完了年度が2倍かかる。そうすると、次の新規の採択を待っている地区もあるわけです。高齢化が進んでもう待てないです。実際、皆さんは現場の声も聞いていると思いますけれども、本当に進めるのであればしっかりとそこを進めていただいて、農業県岩手、林業県岩手、畜産県岩手、水産県岩手をしっかり確立していっていただきたいと思います。
部長、最後にそのあたりの所見をお聞きしたいと思います。
〇紺野農林水産部長 農業農村整備事業の予算確保については一時低迷した時期もございますけれども、県費につきましては、来年度予算も十分確保に努めたところであります。
それとともに、これまで国費の十分な配分がなされなかったことが非常に整備をおくらせている要因でもございましたので、予算確保に努めるため、例えば平成28年度は、4月12日を皮切りに一、二カ月ごとに、ほぼ毎月のように国に要望に上がったところです。そういったことを継続してやることによって国費も岩手県に重点的に配分いただくように努めてきたところでありまして、多分来年度におきましては十分な予算の配分をしていただけるのではないかというふうな感触をつかんでおります。
そうしたことから、今後も、やはり国費についてはお願いするしかありませんので、私が先頭に立って国に対して要望に参りたいと考えております。
〇軽石義則委員 6次産業化について質問させていただきます。
1次産業の振興においては、やはり生産者の安定した収入、さらに生産物の付加価値を高めていくことがそれにつながってくると思います。そのことによって、担い手が確保できたり地域を活性化させていったり、加えて人口減少対策にもつながっていくのではないかということで、6次産業化は非常に大事な取り組みだと私も思っております。県にもいわて6次産業化支援センターがありますけれども、この取り組み状況についてお示し願いたいと思います。
〇伊藤流通課総括課長 いわて6次産業化支援センターの取り組み状況でございます。
このセンターは、県と県中小企業団体中央会が共同設置して開設しているものでして、6次産業化に取り組む生産者の計画づくりや、生産者と加工業者とが連携した商品づくりなどを支援しているところです。
今年度におきましては、エゴマや昆布など地域の特産品を生かした加工品づくり、それから地元の野菜や果物を使ったスイーツの開発など、さまざまな支援を行ってきたところです。
〇軽石義則委員 岩手には、素材、食材として非常にいいものが多くある、そういう評価をいただきながら、なぜか知名度が上がらなかったり、そこに生産性が見出されていなかったりしているところがありますけれども、それらについての課題としてはどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。
〇伊藤流通課総括課長 県内の農林水産物を実需者に紹介いたしますと、非常に評判は高いです。ただ、やはり物量の問題があったり、認知度不足という部分でまだまだ知名度が上がっていないという課題があると思っております。
〇軽石義則委員 そういう意味では、しっかりとそれらの価値を高めていく取り組みという上では、まさにこの6次産業化支援センターの役割は重要なものだと思います。これまで取り組みをしてきた中で、具体的な成果として捉えているところ、事例などあれば示していただきたいと思いますし、また、いいことだけを捉えるのではなく、失敗した例もしっかりと検証して次の取り組みに生かしていくことも大事だと思っておりますけれども、それらをどのように把握されているでしょうか。
〇伊藤流通課総括課長 県だけではなく市町村も含めて一緒に支援した例でございますけれども、例えば西和賀町の西わらびを使ったわらび餅や大野ミルクのヨーグルトの生産、岩泉のホウズキのドリンク、そういった部分の開発を支援してきたところです。こういったものはかなり売り上げも好調でして、成功事例と言っていいのかと思います。
反面、6次産業化の計画をつくったものの、なかなか計画どおり進まない。その理由といたしましては、人的な問題や設備の問題、資金的な問題もありますが、そういったさまざまな課題がネックになっていると思っております。
〇軽石義則委員 そういうネックになっている部分にしっかりと対応して、対策をとっていくことによってさらに県内で6次産業化が広がっていくのではないかと思っています。そういう意味で、県、市町村の支援もあるのかもしれませんけれども、私が知っている範囲でいえば、雫石町では、休耕田を有志の皆さんが活用して、酒米を田植えから稲刈りまでいろいろな皆さんに参加していただいて実施して、それからお酒をつくって全国に展開しているという事業を展開している仲間もいるわけです。
そういうところを見ますと、スタートは、自分たちが生まれたまちをこのまま衰退させてはいけない、できることはないかというところから発想して、環境保全の面もありますし、地域で働き続けられるものにしていきたいという強い思いがあってやられていると思うんですが、そういうところをしっかりまたさらに支えていくこと、そして、それをいろいろな好事例として県内に広めていくことも大事だと思いますけれども、そのことについてはどのように把握されているでしょうか。
〇伊藤流通課総括課長 委員御指摘のように、まさに地域の農林水産物をしっかり生かしていくことは、生産者の収入の向上だけではなく、地域自体が盛り上がる活性化の一つの方策だと思っております。
私どもとしては、そういった部分、例えば6次産業化に取り組む事業者が集まる交流会やレストランとのマッチング、商談会も含めて、しっかりとPRして、また支援してまいりたいと思っております。
〇軽石義則委員 岩手県にはいいものがあるとしっかり認識されておりますけれども、いいものをつくるために岩手県自体もこれまでもかなり研究開発、努力をしてきております。
12月定例会の一般質問で、岩手県が開発した南部かしわ、これをまさにどこに出してもいいという思いでつくってきたということは平成18年3月に県が発行しておりますいわての農業・農村30年の歩みの中にもしっかり明記されておりまして、昭和60年に開発し、平成15年には、天然記念物の地鶏と合わせて岩手独自の地鶏として、今後の普及に大いに期待しているという文章もありますが、それでは、なぜ南部かしわが今まだ全県的に、また全国的にも知名度が上がっていないのかについては、どのように把握されていますか。
〇伊藤流通課総括課長 南部かしわにつきましては、極めて品質的には好評ですけれども、やはり若干価格が高い、それから物量が少ないという部分ではなかなか流通に乗りにくいという課題があると思っております。
私どもとすれば、来年度の新規事業に掲げているものですが、そういった岩手が誇れるような農林水産物を、量が少なくてもしっかり岩手のオリジナリティーを発揮できるようなものをピックアップいたしまして、改めて首都圏のレストラン等にしっかり紹介する事業を展開してまいりますので、よろしくお願いいたします。
〇軽石義則委員 これまでもしっかり取り組んできていると思います。価格がいいということは、生産者の収入安定化にしっかりつなげられるということだと思いますけれども、そういうところがどうも連結していないのではないかと思います。今後の取り組みについて今お話ありましたけれども、支援のあり方も含めて、さらに市町村、そして民間団体、業界、また、県庁内においては関係各部局、後継者の育成についてもきのうの教育委員会の審査でも議論されておりますけれども、そういうところとの連携などもしっかりしていかなければならないと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
〇伊藤流通課総括課長 まさに委員おっしゃるとおりでございまして、6次産業化に向けましては、今年度、地域ぐるみの6次産業化というのをテーマに掲げておりまして、先ほど申しましたが、エゴマや昆布などは、まさに地域の特産品をどうやってブランドとして乗せていくかという部分で、市町村、それから関係団体、広域振興局と一緒にプロジェクトを組んで展開しておりますので、そういったところの取り組みをどんどん広げてまいりたいと思っております。
〇軽石義則委員 ぜひしっかりと、生産者の皆さんがさらに事業意欲が高まって拡大していくことにつながるように結びつけていただきたいと思いますし、せっかくいいものを持っていても、いいものが十分に情報発信されなければ伝わらないことも現実ですので、そのことも加えてやっていただきたいと思います。
部長には12月定例会で今後しっかりやると答弁していただいた経過もございます。南部かしわはちゃんこでは日本一になったようですけれども、部長がかなり応援していると聞いておりますし、他にももっといいものがいっぱいあると思いますが、部長の決意を聞いて終わりたいと思います。
〇紺野農林水産部長 本県には、地域で本当に特色のある、高品質でいいものがたくさんあります。こうしたものが埋もれている、また、ちょっと伸び悩んでいるところもございますので、まずは私みずからが消費拡大して力を尽くしていきたいと思いますし、また行政としても、やはりそういった埋もれているもの、いいものを伸ばすような施策をどんどん展開してまいりたいと考えております。そういう姿勢、方針のもとで今後も取り組んでいきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 端的にお伺いします。
ニホンジカの被害状況についてお伺いしたいと思います。
県内に被害が拡散していますが、現状と課題についてお伺いします。
〇菊池担い手対策課長 ニホンジカの農作物被害の現状でありますが、平成27年度は被害面積が649ヘクタールで、前年度と比べまして158ヘクタール減少しております。また、被害額は2億2、000万円で、これも前年度と比べ6、700万円減少しているところでございます。
しかしながら、一方、ニホンジカによる被害報告があった市町村数は26市町村で、平成22年度の12市町村と比べますと約2倍となっており、沿岸部でも被害が認められるなど、被害地域が拡大していることが課題となっております。
そういったことで、県では、被害地域の拡大を防止するため、猟銃、箱わなによる有害鳥獣捕獲を強化するとともに、地域ぐるみでの対策を進めるため、鳥獣被害対策研修会などの開催を行っているところでございます。
また、近年は、本県で開発しました積雪に強い恒久電気柵-取り外しが必要ない電気柵の普及に取り組んでいるところです。さらに、市町村で有害鳥獣の緊急捕獲などを担う鳥獣被害対策実施隊の設置を全市町村に働きかけておりまして、来年度中には全市町村で実施隊が設置される見込みであり、こうしたことにより、ニホンジカの被害防止に市町村と一緒になって取り組んでいきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 自然保護課で、県内には多分4万頭ぐらい鹿がいるだろうということで、年間1万頭ずつ駆除するという話にはなっていますが、もうちょっと頑張っていただいて、1万5、000頭とか2万頭-2万頭はちょっと無理だろうと思いますが-、猟友会の数も若干ふえているようですので、被害面積、額もさることながら各市町村でふえていく傾向がありますので、ぜひそれは食いとめてほしいところであります。
次に、台風第10号の被害についてでありますが、台風第10号で沿岸部は大分被害を受けました。復旧の見通しと課題、被害の状況についてお伺いしたいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 台風第10号による宮古地域の農地、農業施設の被害の状況についてでございますけれども、宮古市、岩泉町、山田町、田野畑村の4市町村で被害が発生しておりまして、農地は564カ所、その被害面積は261ヘクタール、被害額は34億3、400万円です。また、水路や道路などの農業施設の被害箇所は399カ所、被害額は20億2、100万円です。農地、農業施設合わせて被害箇所963カ所、被害額は54億5、500万円となっております。
その復旧の見通しと課題についてですが、台風第10号により被災しました宮古地域の農地261ヘクタールのうち、国庫補助事業や市町村事業等による復旧対象面積は196ヘクタールを見込んでおり、そのうち3月10日時点で2ヘクタールが復旧しております。残りの194ヘクタールにつきましては、順次、工事や発注を進めておりますけれども、今回の災害では河川に隣接した農地の被災が多く、現在、策定が進められている河川改修計画と調整を図りながら復旧箇所を確定していく必要があると考えているところであります。
〇城内よしひこ委員 ということは、今年の作付が難しいということですね。農家の皆さんはなるべく切れ目なく営農したいという話をしていますが、最終的に、災害復旧ですから3年という話はされますけれども、3年も待つような感じになるんでしょうか。
〇千葉農村建設課総括課長 先ほど申し上げましたとおり、河川改修計画がありまして、堤防が農地に入ってくるという構想も今、考えられているようであります。その河川改修計画が順次明らかになっていくと思いますので、その計画の内容に沿って、農地の復旧をできる限り早急に進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 宮古地域の農家も高齢化が進んでいまして、この際農業をやめるかなという話をする人もぼちぼち出てきています。そういうことのないように、早目早目に対応してほしいと思いますし、今回、部長にも大分東京に通ってもらって、予算も獲得してもらったという経緯があります。ぜひスピード感を持って復旧していただきたいと思いますが、準備の整ったところから工事着工できる、そして早く復旧できる、そういう手順というのはないものか、再度確認したいと思います。
〇千葉農村建設課総括課長 今回の台風災害では、もう既に査定も実施設計も終わっております。今、市町村が順次発注しているところでございます。
当初は3月中に発注が終了すると思っておりましたけれども、若干4月に入る箇所もあります。そういった発注を進めておりますし、また、発注の方法や施工管理については県の技術職員も現地に入って支援しておりますので、そういった取り組みを強化しながら復旧を進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 各市町村でも、特にも沿岸部は技術系の職員が少なくて大変でありますので、ぜひ市町村に寄り添った形で頑張っていただければと思います。
最後に元気になるような話を部長に聞いて終わりたいんですけれども、どうですか。
〇紺野農林水産部長 非常に難しい御質問でありますが、いずれ生産者が早期に営農再開できるように我々としても力を尽くしてまいりたいと思います。これは農業農村整備部門だけではなく、農業普及部門など関係する職員全てが被災地に寄り添って、早急に営農再開を目指していきたいと思います。
また、予算の面では、なかなか県費では十分対応できない部分もありますので、先ほど申し上げたとおり、必要な部分については国に何回も足を運んで必要な予算を獲得してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩
午後1時2分再 開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、延べ19人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇千葉絢子委員 それでは、私は、銀河のしずくの作付についてと販路についての2点をお伺いしたいと思います。
まず、来年度、県では1、000ヘクタール、そして収量5、000トンの目標を掲げていますけれども、現在どの程度達成に迫っているのかからお聞きしたいと思います。
〇星野県産米戦略監 来年度の作付面積につきましては、栽培適地内の4農協に作付面積の配分を終了しております。
現在、それぞれの農協で作付農家を確定する作業を進めておりまして、今月中にはほぼ達成できるものと見込んでおります。
〇千葉絢子委員 去年11月あたりからいろいろと作付などに関しての資料を頂戴しておりました。作付や出荷についていろいろ条件があるようなんですけれども、なぜ、そのような条件とか3年の縛りというものを設けているのか、そのあたりの考え方をお聞かせください。
〇星野県産米戦略監 県では、新品種が全国トップクラスの評価をかち取りまして、早期にブランドを確立したいということで、平成27年度から平成29年度までの3年間を取り組み期間とした、いわてオリジナル品種ブランド化戦略を作成しております。
この戦略の中では、銀河のしずくの特徴を最大限に発揮することが大事ですので、特A評価のおいしいお米を届け続けられるように、場所、人、栽培方法を厳守することと、あと、食味計を活用しまして品質を確保することを戦略として掲げております。
具体的な栽培方法とか出荷基準につきましては、平成27年度に銀河のしずくのモデル圃場を担当した農家の皆さんなどで栽培研究会を設置しておりまして、その研究会で他産地のブランド米での取り組みを研究しながら検討を重ねまして、みずからの取り組みとして決定したものでございます。
〇千葉絢子委員 一等米以外の銀河のしずくの買い取り価格については、あきたこまちと同額というような方針が示されているようです。そうなると、これまでどおり、ひとめぼれをおとなしくつくっていたいなという声もあるようなんです。
それから、平成30年、31年の割り当て面積、予定価格も、いつごろ出るのかというところも農家の心配の種になっているようです。
地域農業再生協議会の資料を見せていただきましたが、国の策定中のビジョンではなく、平成30年以降の全体像を早く示してほしいという声も出ているようですけれども、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
〇松岡水田農業課長 平成30年産以降の米の作付につきましては、ことし5月までに岩手県農業再生協議会におきまして、水田での推進方針を策定いたしまして、その後、各地域におきましては、ことし8月をめどに水田農業推進方針を策定していただくという流れで進めているところでございます。
〇星野県産米戦略監 銀河のしずくの一等米以外はあきたこまち並みというお話でございますが、やはり米卸業者とか小売店とか消費者の皆様から信頼をかち取ることが大事だという考えのもと、品質目標を達成した米だけを出荷すると決めておりましたので、全農岩手県本部では、品質を満たさない米は、その買い取り価格を県中部の代表品種でありますあきたこまちと同じに設定したと伺っております。
銀河のしずくの早期ブランド化に向けて取り組みたいという方につきましては、各地域に栽培研究会がありまして、いろいろ研修会などを開催しておりますので、そちらに参加していただいて、高品質、良食味生産に向けた技術を習得できるような仕組みをつくっております。
あと平成30年以降の銀河のしずくの割り当てにつきましては、平成29年産は、昨年11月に種子の配分量を決定しましたが、平成30年、31年産につきましては、農協からも、できるだけ早く配分量を決定してほしいという声もございますので、意見交換を行いながら、できる限り早い時期に配分して、農家の方に安心していただけるようにしたいと考えております。
あと、銀河のしずくの買い取り価格につきましては、こちらは全農岩手県本部で決定するものでありまして、例年、概算金が決定される9月ごろになると思っております。
〇千葉絢子委員 では、次の質問に行きたいと思います。
生産販売実証を行う法人については、いつ、どのような方法で平成29年産のものを選んだのか、同じく、平成28年産のものに関してもです。また、なぜ岩手県農業法人協会の会員であることを条件にしたのか、また、岩手県農業法人協会の入会の条件、さらに、平成30年度も公募する方針かというところもお聞かせいただきたいと思います。
〇星野県産米戦略監 法人による生産販売実証ですけれども、独自の販売ルートを通じた顧客へのアプローチ、どのようにお客さんを開拓しているかといったようなさまざまな取り組みの成果を、各地域に設置する栽培研究会の皆様と共有することで実施しているものです。
平成29年産の取り組みは、最初に、県内の稲作を主体とした法人の方々に、こういう実証をやりますという趣旨を説明しておりまして、2月に応募を受け付けました。決定方法は、各農協に作付面積を配分する際にプレゼンテーションという形で審査しましたが、それと同じように、審査会を設置しまして選考しております。
この生産販売実証の成果を、栽培方法を守ったり価格を維持することに役立てるということで、岩手県農業法人協会の設置の目的に、岩手県農業の振興と発展に寄与することがありましたことから岩手県農業法人協会の加入を対象としたということであります。
あと、岩手県農業法人協会に加入できる条件ですが、規約がありまして、その目的に賛同する法人であれば加入できることとなっています。
平成30年産以降につきましては、ブランド化戦略が平成29年度までですので、平成29年度中に30年産についてもこのような実証に取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 この3年はJAに全量出荷、JAが全量買い取りますという保証つきの条件なわけですね。しかし、今までのところで予定が立っている平成32年以降になって、万が一、JAが全量買い取るシステムではなくなって、農家がそれぞれ自由にやっていいですよということになった場合、3年の間に現在契約を抱えている売り先を失ってしまって、自由化された後に売り先が確保できなくなってしまうのではないかと農家が不安に思っているという声を聞きます。この不安について県はどのようにお考えでしょうか。
〇星野県産米戦略監 平成30年以降の米政策からお話ししますと、生産者とか出荷団体が、消費者の需要に応じて生産が行えるようにという取り組みが始まることになっております。
今お話がありましたように、生産者みずからが販売先を開拓して安定的な取引が行われていることは、米政策に対応した取り組みとして高く評価されるものだと考えますので、そのような生産者が銀河のしずくを作付するかしないかお迷いになっているということであれば、作付農家候補としてJAでその農家の方を選定したという仕組みになってございますので、十分に話し合っていただきまして、どちらを選択するかを慎重に検討していくことが必要ではないかと思っています。
〇千葉絢子委員 実際、来年度の作付に関しては、うちのほうでは複数年契約を抱えているからできませんということで、ほかのところにお願いしますというようなエリアも出てきていると伺っていますので、迷っているのであればつくらなくてもいいんだよというようなスタンスは、私は、どうなのかなと思ってしまうのですが。
〇星野県産米戦略監 ちょっと説明が不足しておりました。
いずれ、今契約があって安定的に出荷ができるということであれば、これからの米政策では、安定した需要を確保していかなければいけない状況の中で、もう既に確保してあるというメリットがありますので、このメリットを生かすのが有効ではないかと思います。
一方、農協とすれば、やっぱりそういう取り組みをしている方を見込んでブランド米の取り組みをしてほしいと頼まれると思いますので、そこは農協と慎重に相談されるほうがいいと思っています。
〇千葉絢子委員 そうした場合、県の目標は本当に達成されるのかというところがちょっと心配なところではあるのですけれども、これは後段にまた聞きたいと思います。
次に、飯米の数量についてお伺いしたいと思います。
飯米の数量について、基準が当初、作付者1人掛ける30キログラムというように設定されておりましたが、そういった条件から、2月上旬に同居の家族分掛ける60キログラムに変更になっています。しかも同居の家族に限っているということですが、その数え方もちょっと曖昧ではないかというところが疑問に思うところです。
さらに、同居の有無などについて、本当に管理し切れるのでしょうか。
〇星野県産米戦略監 銀河のしずくの自家消費分の考え方ですけれども、これにつきましては、銀河のしずくを作付する農家で構成する県の銀河のしずく栽培研究会の役員会でいろいろ検討しまして、今お話にありましたように、平成28年産米は、作付農家1戸当たり30キログラムと、あとは1俵に満たないこととし、平成29年産米は、自家消費をしっかりとりたいという話もありましたので、作付農家の家族1人当たり60キログラムを上限にということで取り組んでおります。
その数量の把握につきましては、作付農家をJAで選定することになりますので、JAでしっかり確認していただくということで考えております。
〇千葉絢子委員 何となく江戸時代の年貢制度みたいなものをほうふつとさせるような気がするのですね。そこまで厳密にやるべきものなのかというところが、一つ私は疑問に思うところであります。
お米をつくっている方の幸せは、自分の親戚だったり子供だったりに食べてもらうとかといったところの喜びもあると思いますので、それが、買って食べなければいけない、子供たちに買って送らなければいけないというような状況が、果たして農家の今までの慣習になじむものかどうか、やはり、そこは農家の方々にも配慮して、いろいろと御意見を聞いた上で決めていただきたいと思っています。
それで、全国にはブランド米と言われるものが100以上ありまして、その中でも特Aのランクを取得しているお米も50近くあります。その中で、銀河のしずくよりも知名度が現在高いと思われる強力なブランド米とどのように差別化をしていくのか、そこの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
〇星野県産米戦略監 銀河のしずくを首都圏で扱っていただいている米穀専門店の方からのお話ですと、やっぱり外観がいいと。光る感じがありますし、食味、後味、全てにおいてバランスがいいと評価していただいています。食味なり食感の評価ですが、やはり最近の新品種とは一線を画しているといった評価もいただいております。あとは、米のヒット甲子園2016で大賞米をいただいたとか、参考品種ではありますけれども、2年連続特Aを取得したとかということがあります。
品質、食味ともに高い評価をいただいたという状況にありまして、今後は、マスメディアを活用しまして話題性に富んだプロモーションを積極的に展開していきたいことと、また、大消費地へのトップセールスといったことで、魅力、特徴の浸透を強力に図り関係機関、各団体、ブランド化実践本部が一丸となってブランドの確立に取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 ただ、お米屋さんで実際にお米を買う消費者が、県内の消費者も含めて一体どれぐらいいらっしゃるのか、そして、トップセールスでの販売というのも、やはり数量としては限られたものになるのではないかと。販売戦略と言われるものも、多分それはほかの生産地でもやっていることで、岩手の銀河のしずくをどのように消費者に対して、国内も含めて、地元にもPRしていくのかというところを、もう少し戦略的に考えなければいけないのではないかと思っております。
最後にお尋ねします。これは通告していなかったんですけれども、私は、夕べからけさにかけて、去年8月に流通課でまとめた農林水産物マーケティングデータブック2016というものを見ました。これは100ページ以上にわたる大スペクタクルなものなのですけれども、これによりますと、平成26年産の県内の民間流通米は21万トンありました。このうち75.5%に当たる15万5、000トン余りはひとめぼれです。
これをベースに考えると、生産調整の見直し後も大幅な生産増にはならないということを前提にすると、平成32年の銀河のしずくの生産目標5万トンは、ひとめぼれの栽培適地で栽培するものですから、ひとめぼれの分量を減らして達成していくことになるんですよね。
その場合、業務用米とのバランスをどうしようと考えているんでしょうか。また、本当にJAで5万トンという量を全量買い取りできるんでしょうか。万が一ですけれども、在庫を抱えて余ってしまったら値崩れする心配はないのかなと。
私は、その3年縛りの後に農家が直面するであろう流通の自由化もあり得るんではないかと考えると、農業の素人ですので、そのあたりがすごく心配になってくるんですね。よくわからないので、ここをちょっと教えていただきたいと思います。
〇星野県産米戦略監 銀河のしずくの作付拡大につきましては、県中央部を中心としまして、あきたこまちなりひとめぼれの栽培地を対象に広げていくことになります。
それで、業務用米の需要もございますので、その際に、もう行き先が決まっている分については、そのままやっていただくと考えております。業務用米としない部分について切りかえていくということで考えています。
あと、平成30年度以降の作付ですが、実際に今5万トンということで考えておりますが、ブランド化戦略は平成29年度までですので、今年度に平成30年以降のブランド化戦略を策定することとしております。今いろいろな産地から新しい品種が出てきていまして、市場もなかなか動きが見通せないところはありますが、平成30年度以降のブランド米戦略をつくるに当たって、適正な数量はどのくらいかといったことも踏まえて検討していきたいと思っています。
〇千葉絢子委員 そうすると行き先が決まっているものについて、先ほどほかの委員の方の質問の中には、62%が複数年契約と言っていました。すると、残り約40%の部分で銀河のしずくに対応していくことになるんですか。
〇星野県産米戦略監 62%というのは、事前予約という仕組みがありまして、昨年12月現在で国が発表したのは、岩手県の米は15万トンぐらい集まり、そのうち事前契約は9万トンぐらいあり、その事前契約の中で複数年契約をやっているのが6万トンぐらいあるということなので、15万トン分のうち6万トンとあるいう計算になります。
ちょっとお待ちください。
失礼しました。平成28年産米の12月現在で集荷数量が県は13万5、000-済みません、ちょっと保留させてもらっていいですか。数字を確認してから答弁させていただきます。
〇高橋孝眞副委員長 後ほど答弁してください。
〇千葉絢子委員 私が仮に新規就農するとして、米をつくりたい。そうなったときに、県のブランド米の戦略ってどうなっているのかな、販売の見込みってどうなっているのかな、それって素朴な疑問なわけですよ。それで、もし自分がやっていけると思ったら、後継者でも新規就農者でもふえていくと思うんですね。だとすると、やはり県の一貫した米政策というのは、誰もが求めているビジョンなんだろうと思うんです。
本当にその量が売れるのか。ブランド化戦略は平成29年までですけれども、生産の目標は平成32年までお示しいただいていますね。それを本当に達成していくためにどういった手法をとったらいいのか。それって、多分私が話を聞いてわからないということは、新しく農業を始める方も、全くその知識ゼロの状態だと、同じことではないかと思うんです。
やはり農家の皆さんが同じ方向を向いて一丸となってやっていけるためには、繰り返しになりますけれども、一貫した米政策が欲しいというのは、地域農業再生協議会でも指摘されていることなんですね。県としては、こういった声に真摯に応えていただきたいと思うんです。戦略ももちろん必要ですけれども、着実な栽培計画とか、それを実行していくための共同目標づくりというようなところに力を入れていただきたいと思っております。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいま千葉絢子委員からお話がありました件についてでありますけれども、私どもも、現在は平成29年度までのブランド化戦略に基づきまして、特にも銀河のしずく、そして金色の風のブランド化を鋭意進めておりますが、当然平成30年産以降の戦略もこれからつくろうとしております。そこに書き込むことになりますけれども、当然売り先があって、販売できることになりますので、現状では5万トンという数字にしておるのですが、来年度も取り組みを進めながら、どの程度の作付に落ちつかせるのかということも一緒に考えていこうと思っています。
さらに、先ほどの平成30年産以降の米政策の見直しに絡みまして、ことしの5月を目途におおむね5年間の水田農業のあり方を決めることにしております。これにつきましては、現在も行っておりますけれども、広く産地とか生産者の御意見を今伺っておりまして、そういう方々の意見も反映する形で方針をつくりますし、当然ですが、米のブランド化戦略につきましても、そういう方々の意見を反映する形で取り組んでまいりたいと思っております。
いずれ、私どもは、これまで米の産地であると自負しながら行ってきたのですが、私自身は、今年度からですけれども、米売りに参加してみますと、実際に首都圏のほうでいろいろ御意見を伺いますと、決して著名な米産地という認識は余りないなという印象を受けております。
今回、せっかくこのようなブランド化できるようなオリジナル品種を二つ持ちましたので、これを核にして県産米全体の底上げを図るような戦略をつくってまいりたいですし、細かい部分につきましては、委員から御指摘いただいたようなことも踏まえまして、これから生産者の方の意見も聞きながらつくり上げていきたいと思います。皆さんの意見を聞いてつくり上げるわけですから、皆さんにも協力していただいてブランド化に取り組んでいきたいと考えておりまして、今後そのような作業に入っていきたいと思っております。
いずれ、繰り返しになるのですが、皆さんが共通目標を持って取り組めるような戦略にしてまいりたいと考えております。
〇星野県産米戦略監 先ほどは失礼いたしました。
複数年契約の数字でございますけれども、これは国が公表したもので、平成28年12月末現在で、岩手県の集荷数量は13万5、700トンということで、このうちの事前契約、これは、収穫前までに事前に予約する仕組みですが、これが9万1、100トンです。このうち複数年契約、通常は3年ぐらいと聞いてございますが、それが8万4、700トンということで、集荷数量に占める複数年契約の比率が62%となっております。
〇佐々木朋和委員 私からは、農林水産物の放射線影響対策について伺いたいと思います。
東日本大震災津波から6年たちまして、現在、出荷制限となっているものは限定的になってきたと認識しておりまして、主に山野のもの、川魚、山菜、野生キノコ、原木シイタケ、鹿などになっていると思うんですけれども、簡単でいいですので、まず、出荷制限となっているもの、また、解除の見込み、風評被害対策について伺いたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 県産農林水産物の出荷制限の状況と風評被害対策についてですが、県ではこれまで、県産農林水産物の出荷制限等の解除に向けて取り組んできたところでありまして、現在、出荷制限等の対象は、山菜類、野生キノコ類、原木シイタケなどとなっております。
川魚につきましては、出荷制限の対象は1品目となっておりますほか、原木シイタケにつきましても、生産再開を希望する生産者約300人に対しまして、既に171人が制限を解除されている状況です。
今後におきましても、原木シイタケを初め、出荷制限解除に向けて、国と協議を進めながら、生産者の生産の早期再開に向けて引き続き支援してまいりたいと考えております。
また、風評被害対策につきましてでありますが、県ではこれまで、県外の有名料理人等を招いた産地見学会でありますとか、首都圏におきまして、鉄道広告あるいは生活情報誌等を活用した情報発信、また、県産農林水産物のフェア等の開催に取り組んできたところでございます。
今後とも、安全・安心で高品質な農林水産物が岩手県には多数ありますので、その魅力の発信、あるいは震災により失われた販路回復、拡大に向けて取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 だんだん限定的になってきていることは認識しているところでありますけれども、総務部審査で、全体的なところで県の放射線対策の課題を聞いたときに、やっぱり山のものについての出荷制限解除というものが出てこなかったのが私はショックでありまして、やはり、これはぜひとも進めていただきたいと思っているところでございます。
新年度は、農林水産部におかれましても食の魅力発信インバウンド促進事業費ということで、郷土料理体験等の受け入れ環境整備の事業が新たに始まります。そういった中で、国も、農家、漁家での観光の拠点づくりということもうたっておりまして、山菜、野生キノコ、またジビエ料理などは、こういったものとは切り離せないわけであります。
今までも国に対して出荷制限解除の要件の緩和を言ってきていただいたと思うのですが、私は、東日本大震災津波から6年経過し、あとは、第3期復興実施計画になるわけですから、ここを何としてもめどをつけていただきたいと思うところでありますが、この点についての国との交渉はどうなっているのでしょうか。
〇中村農林水産企画室企画課長 野生キノコや山菜、それから野生鳥獣等につきましては、放射性物質の低減のための管理が、野生ということもありましてなかなか難しいものでございます。
一方で、放射性物質濃度が安定して、ある程度低水準になっていることが確認できたもの、例えば一関の野生セリなどもありますけれども、一部の山菜類等につきましても出荷制限等解除になっておりますので、今後も、濃度の低下が確認できた品目については、解除に向けて国と協議を進めて、何とか安全性をPRしながら進めてまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 もう少し突っ込んで聞いても大丈夫ですか。答えられる範囲で結構ですけれども、環境生活部の審査で、城内委員から野生鹿について、屠畜場での管理がしっかりしていれば出荷制限の部分解除という話もございました。
そういった理論からすれば、山菜についても、県南地域を含めて、道の駅、産直などではしっかりした検査体制は整っているわけですね。野生のものであると言うんですけれども、そこの出口部分でしっかりとストップできるのであれば、私は、それについては交渉の余地もあるのではないかと思うわけでありますが、この点については国に言っていただいたりしたことがあったのかお伺いしたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 野生キノコあるいは山菜は、とってくる場所なり育っている環境等も異なるわけでございます。委員から御指摘がありましたとおり、出口の部分でしっかりということでありますので、そういうことも含めて国には要望してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 もう一つ突っ込ませていただきたいと思うんですけれども、出荷制限と言いますが、出荷というのは外に売っていくということだと思うんですけれども、来年度から始まる郷土料理体験等の受け入れ環境について、例えば、そういった観光拠点もしくは体験施設の中で、みずからとってきて、それを検査して出すといったことは出荷に当たるんでしょうか。これについてはどのように認識しておりますでしょうか。
〇中村農林水産企画室企画課長 出荷制限のかかったものをみずからとってきて第三者に提供するということは、国では認めておりません。。
〇佐々木朋和委員 了解いたしました。
これから、今、地方創生という中で、県内のいろいろなところでジビエ料理でありますとか山菜を使ったまちおこし、また、食育などいろいろな動きが出てきていると思います。そういった中で、やはり安全で、皆さんが安心して使えるように、私は、こういった地域の動きも国に伝えながら、しっかりと交渉して、何とか一日も早く出荷制限解除になるように、今までの検査も続けていただきたいのですけれども、やはり要件について国と交渉していっていただきたいと思っているところでございます。よろしくお願いしたいと思います。
次に、放射性廃棄物について伺いたいと思います。
総務部審査でお伺いしたときにも、農林系副産物の処理については、なかなかめどが立っていないということでございました。この中にあって、発災当初より農家の皆さんには、一時仮置き場については3年間をめどということでやってきたわけでありますが、この6年たっている状況を、何の説明もなしにこのまま行ってもいいのかという思いもございます。
そういった中では、めどが立っていないのであれば、長期化対策、農家の負担軽減について、より一層施策を進めるべきと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 農林業系副産物の処理につきましては、県が策定したガイドラインに基づきまして、市町村が、住民の合意のもと焼却処理をすることを基本としているところですが、現時点で、委員御指摘のとおり、処理は完了しておらず、保管が継続している状況にあります。
このため、県といたしましても、農林業系副産物の一時保管に要する経費につきましては、東京電力に損害賠償請求をしているところであり、また、賠償がなされるまでの間の負担軽減策として、保管施設等の維持管理あるいは原木ほだ木等の移動、被覆等に要する経費に対しまして補助を行っているところでございます。
今後におきましても、焼却処理が終わるまでの間、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 最後にしたいと思います。めどが立っていないと総務部の審査では答弁していただいたんですけれども、ただ、一つ一つ見れば、牧草については今混焼が進んでおりまして、2018年度までに完了の予定だということもありますし、落葉層についても、今、一時保管の埋設でありますとか、あとは、一関市では、ほだ木のチップ化に向けて焼かない方法での処理も検討を進めているところであります。
そういった意味で、個別的に見れば、めどとまで行かなくても進んでいるわけであります。そういったことも含めながら、県民の皆さんに示していっていただきたいと。一言でめどが立っていないではなくて、そういったところで、個別の工程も示しながら進んでいっていただきたいと思っているところであります。
また、稲わらについては、本当にめどが立っていないわけであります。そういった中にあっては、稲わらを農家から切り離していくといいますか、農家の負担を軽減し、めどを立たせるというところもこの第3期復興実施計画内で進めていくことを、ぜひとも心に置いて進めていただきたいことをお願いして、終わりたいと思います。
〇神崎浩之委員 強い農業づくり交付金とカントリーエレベーターについて聞いてまいります。
私は、この質問に際して、ここにありますこのパンフレットを見て質問するわけですけれども、非常にいいパンフレットだと同僚議員や関係者からも言われておりました。
後ろのほうにライスインクというマークがついているんですね。私も全然わからなくて、この米のマークでライスインク使用ということがついてあるんですが、まず、これについて、どういうものなのかと、あとは、県の農政関係では、このライスインクをどう使おうとしているのかお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 ライスインクにつきましては、少しお時間をいただきたいと思います。
〇神崎浩之委員 通告しなくてもわかるかと思ったのですけれども、ちょっと調べましたら、普通は大豆インクを使うということで、大豆インクは、太平洋を渡るため輸送費がかかるので、CO2の削減にも日本の米ぬかを使うこととか、そんなことぐらいはわかるのですが、もし県の農政でこの普及について取り組んでいるのかどうか、わかれば、後から教えていただきたいと思います。
それでは、強い農業づくり交付金でありますけれども、補助金は、ハードのほうから今ソフトのほうに対象が限定している中で、行政では珍しいのですが、ハード整備にある程度大きな金額をこの強い農業づくり交付金と産地パワーアップ事業で手当てしていただいていることは、非常に心強い限りであります。
そこで、強い農業づくり交付金にはさまざまなメニューがありますけれども、事業内容と、今までの成果、それから、平成29年度の取り組み内容についてお伺いしたいと思います。
あわせて、産地パワーアップ事業でありますけれども、事業の内容と今までの成果と、平成29年度の取り組み内容について、同じような事業なので、あとはどう使い分けていくのかということも含めてお聞きしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 まず、強い農業づくり交付金についてでございますが、この交付金は、農畜産物の安定供給等に向け、生産から流通までの強い農業づくりに必要な共同利用施設の整備等を支援する事業でございます。
県では、平成17年度から当交付金による支援に取り組んでおりまして、直近の5カ年を見ますと、5市4町で、レタスの栽培ハウスですとか穀類の乾燥調製施設、家畜飼養管理施設、ヨーグルト等製造施設など13施設の整備に活用されております。こうした整備により、米の品質向上や乳用牛、ブロイラーの飼養頭羽数の増加などが図られてきている、そういう成果が出てきているところでございます。
続いて、平成29年度の強い農業づくりの取り組み内容でございますが、平成29年度につきましては、県南地域におきまして、農産物の高付加価値化等に向けた県南地域の共同利用施設整備につきまして、事業実施主体に対し、事業計画作成への助言等を行いながら、事業採択に向けた支援を実施していく考えでございます。
あわせまして、産地パワーアップ事業でございますが、こちらの事業は、高収益な作物、栽培体系への転換を目的に、施設整備のほか、強い農業づくり交付金では対象とならない農業機械、生産資材の導入なども支援対象とする事業でございまして、平成27年度と平成28年度の国の補正予算で措置されております。本県には22億9、600万円余が配分されております。
この事業を活用しまして、平成28年度までにトマト、ピーマンのハウス団地の整備、キャベツの全自動収穫機の導入、それから花卉の大規模な高規格ハウス、集出荷施設、それから、水稲の穀類乾燥調製貯蔵施設等の整備を進めておりまして、こうした施設の整備と有効活用を図って産地の競争力強化につなげてまいりたいと思っています。
引き続きまして、平成29年度も、県央のリンゴの予冷施設整備ですとかブドウの雨よけ資材の導入、それから、県南地域のピーマンの選果機、パイプハウス資材の導入について支援を行うこととしております。
この二つの事業につきましては、本県におきましてはどちらもハード整備事業ですが、産地パワーアップ事業につきましては、特に園芸品目を重点的に支援を行うこととしておりまして、強い農業づくり交付金は、どちらかというとそれ以外のもので事業費の大きな共同利用施設という形で、重点的に支援する対象を分けてこれらの活用を図っているところでございます。
〇神崎浩之委員 国の補正予算で22億円配分されたり、来年度も10億円ついております。ハード整備に結構な金額でこれを活用していけているということで、大変うれしく思っております。
次に、穀物乾燥調製貯蔵施設、いわゆるカントリーエレベーターでありますけれども、生産面や販売面でさまざまなメリットがあると思いますが、この施設整備の意義についてお伺いしたいと思います。
〇松岡水田農業課長 カントリーエレベーターを利用する生産者にとりましては、乾燥調製や出荷作業の省力化、それから、施設費等のコスト低減の効果があると考えております。
また、出荷、販売の面では、もみの状態で長期貯蔵ができますので、安定した品質での長期計画出荷が可能となりますほか、出荷する米の品質を均質にできるというような効果がございますので、米の主産地にとりましては、カントリーエレベーターの整備は大きな意義があるものと考えております。
〇神崎浩之委員 県内に現在29のカントリーエレベーターがあるようでありますけれども、最近の整備状況はどうなっているのかお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 強い農業づくり交付金を活用いたしまして、平成28年に花巻市の石鳥谷西部カントリーエレベーターが稼働開始しております。また、現在、北上市の中央カントリーエレベーターが建設されております。それから、産地パワーアップ事業を活用いたしまして、一関市の夏川カントリーエレベーターが、来年度中の完成を目指して建設に向けた準備を進めているところでございます。
〇神崎浩之委員 この資料を見ますと、昭和44年に整備された施設もあるということであります。年数がたっているものもありますけれども、老朽化への対応とか、それから、高い建物でありますから耐震とかについてはどうなっているのか、対策等も含めてお伺いします。
〇松岡水田農業課長 東日本大震災津波で損傷を受けました18の施設につきましては、東日本大震災農業生産対策交付金を活用いたしまして修繕の支援を行いまして、現在、支障なく稼働しているところでございます。
また、県内には、委員からお話のありましたとおり、昭和40年代に整備された施設もありまして、既に耐用年数を過ぎた施設も五つほどあります。
今後、こうした老朽化により再編整備の希望がある地域につきましては、新しい施設への建てかえということで、事業採択に向けた計画作成等の支援を行っていきたいと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 1カ所につき10億円ぐらいの施設整備費がかかったりします。利用者の動向ですけれども、こういう高額な施設を整備して、いっぱい利用していただければ非常によいと思うのですが、利用者の利用状況がどうなっているかがもしわかればお聞きしたいのです。例えば、数年やっていて、利用者数がふえているのか、利用実績の数量もふえているのかどうか。これは、離農する方もいますから一概に数で何人から何人、何トンから何トンというわけにはいかないと思うんですけれども、利用者数というか、離農やいろいろなことを差し引いて、利用意向については、実績のあるところについてはふえているのかどうか、傾向をお伺いしたいと思います。
それから、新しく夏川、花泉でもやりますけれども、これについても、この活用というか利用についてはどういう感触があるのか、お聞きしたいと思います。
〇松岡水田農業課長 利用状況ですけれども、利用者数ということでは把握しておりませんが、利用量の面でいきますと、平成25年度の利用率が78.4%、平成27年度における利用率が83.8%ということで、若干ですけれどもふえていると。どちらかというと、主食用米だけではなくて飼料用米も受け入れることで、利用率の確保を図っている施設が多い状況です。
それから、夏川カントリーエレベーターにつきましては、夏川の営農組合がございます。そこが中心になって、今後利用するということで考えているようですが、今までの古いライスセンターを新しいカントリーエレベーターへ集約するということで、集出荷の高度化を図っていく計画と聞いております。
〇高橋孝眞副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 先ほどのライスインクにつきましてですが、このパンフレットに使用しております。米ぬかが余っている状況もありまして、この資源の有効活用ができないかということで、印刷会社でこのような取り組みを始めております。これは、まさに米のパンフレットということもありまして、このようなインクを使わせてもらって印刷をしております。
そのような状況でございますが、どの程度使われているかとか、詳しいことにつきましては、まだ把握しかねておる状況でございます。
〇神崎浩之委員 ありがとうございました。すばらしいパンフレットだと周りの方が言っておりますし、それから、このライスインクというものが、私も初めて見たので、こういうところにも気を配っているのだなと改めて思ったところでございます。
最後にですけれども、今後のこのカントリーエレベーターの施設整備についてお伺いするわけですが、日本全体で米の消費が減っているということがあります。一方、岩手県のブランド米である金色の風であったり銀河のしずくというのは、このカントリーエレベーターには行かない部類だと思っておりますけれども、そういう中で、今後の整備をどうしていくおつもりなのかお聞きしたいと思います。
あと、同僚議員からも聞いたのですが、インバウンドの方がカントリーエレベーターを視察していく、視察コースになっているという話もちょっと聞きました。花巻温泉に泊まって、このカントリーエレベーターを視察して、上から田園風景を眺めるような視察場所にもなっているということも聞いたわけです。
それはそれで置いておいて、JAの役員の方からも、集約されると遠くなると言うんですね。そういうこともあったり、あと、利用時期が限られているので、稲刈りは早く終わるのだけれども、待っている時間が相当かかるということもあるのですが、集約という話もありましたが、今後のカントリーエレベーターの整備方針についてお伺いして、終わります。
〇松岡水田農業課長 カントリーエレベーターは、県内の北上川流域を中心とする米の主産地にはおおむね整備されてきているところですけれども、処理できる量は、県内の米の収穫量のおよそ4分の1という状況です。
今後、貯蔵機能のないライスセンターを利用している地域などにおきまして、新たにカントリーエレベーターを設置したいという要望がある場合には、国庫補助事業の採択に向けた計画作成等の支援を通じて、施設整備の支援を進めてまいりたいと考えているところです。
〇阿部盛重委員 私からは、農作業安全対策についてお伺いいたします。
農林水産省は、2015年の農作業による死亡事故は全国で338件、そのうち80歳以上の割合が47%と発表されております。本県でも10年間で130人、年平均12.8人、65歳以上が4分の3を占め、命が失われるということでございますが、その要因をどう捉えておりますでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 農作業の死亡事故の要因についてでありますが、今、委員からお話がありましたとおり、高齢者の割合が高い、それから、乗用トラクターの転倒、転落事故が多いという傾向が見られておりまして、この要因としましては、やはり農業従事者の高齢化、それから傾斜のある農地、狭い農道など移動や農作業に注意が必要な農業現場におきまして、安全フレームが装着されていないトラクターが使用されていることが考えられます。
〇阿部盛重委員 農林水産省が3月から5月を重点期間として春の農作業安全確認運動を実施しておりますけれども、本県はどのようなかかわり合いで取り組みされていくものでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 国におきましては、3月1日から5月31日までが春の農作業安全確認運動ということで、秋にも9月1日から10月31日ということで秋の農作業安全確認運動を実施しております。
国におきましては、農作業安全ステッカーや農作業事故防止マニュアルの作成、配布等による啓発活動に取り組んでおるところです。
本県におきましても、国と連動いたしまして、農作業安全対策を推進するため、この運動に参加登録するとともに、県内の市町村にも参加を呼びかけているところです。
〇阿部盛重委員 答弁にもありましたけれども、基本的にはトラクターの事故が約6割を占めているということで、転倒、転落事故が多い状況ですが、ただ、いずれにしても、事故が起きれば営農継続にも大きな影響を与えてしまうということで、技術面も含めて安全指導がどのようになっているか、お知らせいただければと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 本県における農作業安全指導対策についてでありますが、県では、県警や農業団体などで構成する岩手県農作業安全対策協議会を中心に、地域や家庭での高齢者等への事故防止の声かけ、それから、トラクターへの安全フレームの装着、農業機械の始業前点検、シートベルトの着用などにつきまして、農作業安全講習会やラジオ広報などにより呼びかけを行いまして、安全意識の醸成を図っているところです。
これから農作業が本格化するということで、ことしも4月15日から6月15日までの2カ月間を春の農作業安全月間と定めまして、市町村や関係機関、団体と一体となって、引き続き農作業事故の防止に取り組んでまいります。
〇阿部盛重委員 事故のないことを願っております。
次に、いわてスマート農業推進事業についてお伺いいたします。
本県の農業課題は、基幹的農業従事者の減少と高齢化が挙げられます。就農者の減少に伴う耕作放棄地の増加も挙げられているということでございます。そのために、農作物の栽培条件の最適化や農家の技術ノウハウをデータ化、そして可視化、生産性向上、付加価値の向上に期待されるICTの活用推進が挙げられております。県の予算が975万円ほどついておりますけれども、事業内容が大きく3項目に分かれているようでございます。その予算化の比重はどこに一番置いているのかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 いわてスマート農業の事業を進めるに当たって、大きく三つの事業内容を定めております。一つは、スマート農業推進のための研究会を立ち上げて、ICTを活用した農業技術の普及拡大に努めようというものであります。8月には、いわてICT農業祭を開催いたしまして、生産者、企業、産学官が一緒になって、これを県内に広くPRしようとするものであります。
次に、農業研究センター及び農業改良普及センターによる実証研修が二つ目の取り組みですが、これは、農業研究センターでは、まだ技術シーズの蓄積が不十分でございますので、これを民間企業との共同研究を行って蓄積するとともに、農業改良普及センターにおきましては、クラウドシステムを活用して、国際的な取引とか、東京オリンピック・パラリンピックにGAPの導入を進めるという目的がありますので、これを進めるに当たって活用していこうというものです。
三つ目が、農業者に対する具体的な実用化技術の導入支援と情報発信ですが、これは、普及活動の中で、タブレットを活用した普及活動等を行って、農業経営の改善とか高度な栽培管理を支援しようというものです。
予算はトータルで975万4、000円ですが、主に農業者に対する実用化技術の導入支援の部分ですとか、農業改良普及センターや農業研究センターによる実用研修の実施のところが、金額的にはかかるものでございますが、ボリューム的には推進研究会の部分にきちっと取り組んでいこうと考えているところです。
〇阿部盛重委員 1点確認ですが、いわてICT農業祭に関しましては、農業系の学生やこれから農業を営もうとしている方々も含まれると思うんですが、そのあたりの告知はどのような形でなさるのか確認いたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 スマート農業推進協議会は、広い会場でもって農業機械を展示しながら、そして例えばドローンなどを実際に操作しながら農業者の方々にこういう技術があるということを広く知らしめようとしているものです。それに当たりましては、SNS等を使いました情報発信をするとか、企業にも参加していただいておりますので、あらゆる企業を中心とした、ネットワークでもって企業に発信していただいて皆さんに注目していただいてたくさん来ていただく、そういうICT農業祭にしたいと考えておるところです。
〇阿部盛重委員 既に発情発見システムの導入やGPS車両、ナビゲーションシステムの導入、それから施設栽培における統合環境制御及び植物工場における環境制御などを導入されている他県もあるようですが、視察及び研究などをされていると思います。今後、いろいろと課題等も含まれてくると思うんですけれども、そのあたりの分析とそれに対する生かし方というのはどのようにお考えかお聞きします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 畜産経営の方が導入しております発情や分娩監視システムは畜産経営者の中では広く技術的には周知されておりますし、補助事業等もありますので、それを活用して導入できると思っております。
養液管理システムですけれども、例えば、今、企業が持っている技術は、20アール、30アール規模のハウスを持っている方には1年で導入コストを解消できるものが多いですけれども、岩手県の野菜農家の規模に照らし合わせてみますと、そこまでの規模を有していないがために、いかに規模拡大を進めながら効率的な機械を入れていくのかということをきちっと選択できるように農家の方に情報発信することも大事です。
例えば10アールの農家であっても、技術の一部をうまく岩手県の立地条件に合わせて入れることによって、中山間地域であっても、ICT、スマート農業の技術を使ってより効率的な農業経営ができる可能性もありますので、そのために、生産者、企業、大学、行政が一体となった研究会の中でいろいろと情報共有しながら、岩手県の農家に最も適したICT技術の活用を進めていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 これから多くの農業者がICTシステムを導入されてくると思いますが、データが流出するおそれもあると聞きます。ICTに関する知的財産の保護について、県としてどのように捉えているかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 例えば先進県であります佐賀県では、農業改良普及員がタブレット端末等を持って普及活動に行ったとき、今、委員の御指摘のとおり、知的財産権をどういうふうに維持しているかということは導入に当たっての重要な課題だと聞いております。そういうものも含めまして、今後、研究会の中でも情報を集めて、岩手県として決してそういうことが起こらないように、権利が放出されることがないように取り組んでいきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
いずれICTにより、若年層の担い手確保、もうかる農業や熟練農家の高い生産技術の引き継ぎ及び消費者ニーズに適時的確に対応できるということで、本県でもAI(人工知能)からGPS車両、ナビゲーションの導入もふえてくると思いますので、その関係団体との連携をされ、岩手の農業発展に尽力をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇柳村一委員 私からは、新規事業二つについてお伺いします。
まず、岩手ワインヒルズ推進事業についてお伺いしますが、事業内容については先ほど部長の説明がありましたので、その中の四つの事業内容について個別にお伺いしたいと思います。
まず、岩手ワインヒルズ推進協議会(仮称)の設立とありましたけれども、その中で、三つの地域別に地域ヒルズをつくってその中で話し合いを行うようですが、その三つの地域別の課題はどのようなものがあると捉えていらっしゃるでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 今のところ、新規事業ですので想定ですけれども、早池峰ヒルズとリアスヒルズと県北のコアニティー-ヤマブドウ-ヒルズという形で考えておりますが、早池峰ヒルズには大きな技術を持ちます大規模なワイナリーがありますし、県北のワインヒルズになりますと、ヤマブドウなどの特色ある原料を使っているという特色があります。それから、リアスヒルズというのは、沿岸の地域で遠野、釜石などを含めたところですが、こちらはまだ始まったばかりのところが多いということですので、それぞれに特色もありますし課題もありますので、それぞれに応じた課題解決支援を進めてまいるという考えです。
〇柳村一委員 平成30年10月30日以降に出荷されるものに対して、原材料が国産だと日本ワインと表示することができるようになるらしいですが、現在、県内のワイナリーの地元の原料の使用割合について捉えていらっしゃるのかお伺いします。
〇高橋農産園芸課総括課長 こちらで捉えておりますのは、加工専用品種ということで平成25年度に約760トン(後刻「230トン」と訂正)ですし、県内のワイン製成数量は、同じ平成25年度には702キロリットルとなっております。一部のワイナリーでは他県からということも聞いてございますが、詳しい比率まではこちらで把握しかねております。
〇柳村一委員 私は、この日本ワインを名乗れることを目標にこの事業を始めたのか思ったんですが、そうではないということですね。では、この事業を立ち上げる背景は何だったのかお伺いしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 この事業につきましては、本県は、寒暖の差が大きく、北上高地に南向きの緩斜面がありまして、そこが石灰質の土壌ということで、醸造用ブドウの栽培に適した環境、地質を持っているということがありますし、近年の気候変動によりまして、ワイン用のブドウの産地も北上してきていますので、非常に注目を集めてきております。
そしてまた、地元産のいろいろなブドウを使いました本県産のワインの評価が非常に高まってきているという状況がありまして、このような動きを捉えまして、こうした立地特性等を生かし、本県ならではの原料であるヤマブドウも含めて高品質な醸造用ブドウの生産拡大、それから醸造技術のさらなる向上などを図りまして、ワインを核として地域の活性化を進めたいという考えで予算に盛り込ませていただいているものでございます。
〇柳村一委員 個別の事業内容の中でワイン生産アカデミーの開講という部分がありましたけれども、これは新規参入の支援という部分ですが、ワインの製造許可の申請については、大体6キロリットルの果実酒をつくらなければいけないということで、750ミリリットル瓶に換算すると約8、000本つくらなければいけないということらしいんです。新規事業者に8、000本というと結構ハードルが高いと思いますがどのような考えなのか。
あと、製造申請許可については特区もあり得るということで、特区の活用方法も考えているのか、お伺いします。
〇高橋農産園芸課総括課長 今、委員から御指摘がありましたとおり、ただいま新規にワイナリーに参入したいという方の動きが県内に出てきておりますが、今の基準をクリアするには、製造してそれを販売しなければいけないということで、かなり高いハードルであると考えております。したがって、このアカデミーにおきましては、まず生産についての基礎、基本的な技術やワインの関連法制度、資金などについて開業する方々にこの講座で勉強していただくことにしています。一方では今お話ありました特区という考えもありますので、花巻市などでは取り組まれておりますが、年間6キロリットルの基準がこの特区においては引き下げられるということもありますので、このような取り組みとも連動しながら、新規ワイン生産希望者への事業に向けた支援を進めてまいりたいと考えてございます。
〇柳村一委員 先ほど佐々木朋和委員からあったんですけれども、風評被害の関係ですが、県産ワインの風評被害等々、何かわかるところがありましたらお伺いします。
〇高橋農産園芸課総括課長 もちろん検査については鋭意進めておりますし、放射性物質は検出されておりません。むしろ県産ワインは、先ほど話しましたような品質のよさから国内外の著名なコンクールでも賞をいただくような状況になってきておりまして、非常にワインの産地として、今、注目が高まってきております。風評被害については、ないと考えております。
〇柳村一委員 それはよかったです。
この事業を進める上で、やっぱり日本ワインと名乗るべきだと思うんです。平成25年度の古い資料ですけれども、日本でワインに占める国産ワインが30%。その中で国産ワインに占める国産原料の割合は4分の1、24%ぐらいしかないので、岩手としてこの事業を始めるに当たっては、やっぱり県産の材料で日本ワインということがまた一つの売りになってくると思うので、そこら辺をしっかりと施策に掲げてやっていただきたいのが一つです。
あともう一つ、この事業を進めることによって新規などが出てくると、既存のワイナリーと原材料のブドウの取り合いになる可能性も出てくると思いますので、生産調整とかをしっかりしながら、既存のワイナリーももっと元気になる、さらには新規参入も入るというような施策の展開の仕方をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 今、委員からお話ありましたとおり、日本ワインと表示ができるようになるのは、むしろ県産の原料を使っていることをPRするいい機会でもあると思います。ただ、ワイナリーがふえてくると原料が不足するということですので、醸造用ブドウの生産拡大にも力を入れまして、県産の原料を使ったワインの振興を図ってまいりたいと考えております。
それから、既存のワイナリーと新しいワイナリーはそれぞれの役割があると思いますので、既存ワイナリーの大手の周りには特色ある小規模なワイナリーもあるということを目指しておりますので、それぞれが使う原料のすみ分けとか、どういうものが適しているかというのもよくその中で話し合いながら、両方にとってうまくいくように、ぜひ検討を進めながら詰めていきたいと考えております。
〇柳村一委員 ワインというかブドウの部分では長野県が断トツみたいですけれども、長野県も手綱を緩めず、信州ワインバレー構想みたいなものでどんどん頑張っているようなので、岩手県の場合はワインヒルズで長野県よりネーミングは上ですので、長野県に追いつけ追い越せという形で進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に移ります。
馬事文化プロモーション推進事業についてお伺いします。
こちらは部長の説明がなかったので、事業内容をお願いします。
〇佐々木競馬改革推進監 馬事文化プロモーション推進事業についてでありますが、これは、本県の馬事文化を観光資源として旅行者の誘客を図るため、馬事関係者の広域連携体制を構築するとともに、国内外に情報発信し、旅行者の受け入れ環境を整備しようとするものであります。
具体的には、馬事関係者間のネットワークを構築いたしまして、新たに設置するコーディネーターによる馬資源の利用調整などに取り組むとともに、台湾や香港で開催される観光プロモーションへの参加などを通じ、本県の馬事文化の魅力を国内外に広くPRしていこうとするものであります。
こうした取り組みによりまして、馬資源を活用したイベントなどの円滑な開催、運営が可能となるとともに、本県の馬事文化の評価が高まり、旅行者の増加につながるなど、観光振興を初め、地域の活性化に大きく貢献していくことを期待しているところでございます。
〇柳村一委員 観光資源として馬事文化を考えるということでしたけれども、観光資源としての馬事文化というのは、県内のどのようなものが観光資源になるとお考えでしょうか。
〇佐々木競馬改革推進監 本県は古くからの馬産地でありまして、例えばチャグチャグ馬コや南部流鏑馬など、馬にまつわる催事や南部曲り家に代表される生活文化など、各地に多様な馬事文化が培われてきたと認識しております。こういったものをぜひ地域資源として活用していきたいと考えているところでございます。
〇柳村一委員 競馬も日本で3番目に西洋式で開催されているということで、岩手県は本当に馬に親しんでいる県だと思うんですけれども、その中で、特に馬事文化に関しては農耕馬の文化のほうを観光にしたいと思っていらっしゃるのではないかと思いますが、現在、農耕馬を飼育されている戸数と、県内で農耕馬が何頭ぐらいいるかおわかりでしょうか。
〇藤代畜産課総括課長 県内の農耕馬の飼養戸数、頭数ですけれども、平成27年で農用馬については57戸、頭数では124頭飼われているものでございます。
ちなみに、それ以外の乗用馬あるいはポニーも含めますと317戸で1、500頭ほど飼われている状況でございます。
〇柳村一委員 やっぱり馬事文化をプロモーションして観光資源にするということであれば農耕馬等々をふやしていかなければいけないと思いますし、それを活用する、例えば青森の寒立馬みたいな形で自然にいるというのがそれだけでも観光になると思うんですけれども、戸数、頭数について、今後ふやしていくとか維持する目標みたいなものは県ではあるのでしょうか。
〇藤代畜産課総括課長 戸数、頭数の将来的な目標ですけれども、残念ながら農用馬については、本県ではどちらかというと子馬をとって販売するといった形態が主になってきていますので、ここの部分について、これからの頭数の伸びは難しいということで、現在の頭数、戸数の維持というところで考えているところでございます。
〇柳村一委員 新規事業でありまして、これからどんどんやっていく上で、資源となる馬が不足するのでは事業自体が成り立っていかないと思いますし、各地にある馬関係の伝統の行事等もこの先、廃れていくのではないかと思いますので、補助するという意味もありますけれども、そういう部分で廃れないような形で馬事文化を継承して、さらにはそれを活性化するために観光につなげていく考え方がいいような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
〇佐藤競馬改革推進室長 今、委員御指摘のとおり、馬事文化を継承しつつ、それをまた地域の活性化の資源としても生かさせていただくという方向性でこの事業も組んでおります。事業の骨の一つに、馬事関係者のこういった行事等にかかわっていらっしゃる方々等々のネットワークをつくりたいということがございまして、この事業で取り組みますこういった馬事関係者のネットワークを通じまして、実際の馬資源にかかわる状況等についても馬事文化の継承に向けて取り組んでまいりたい。状況についてもよく確認して生かしてまいりたいと考えております。
〇高橋農産園芸課総括課長 先ほどのワインヒルズ事業についての答弁の中で、本県の醸造用仕向けのブドウの量ですが、約760トンとお話ししましたが、平成25年産、とれたうち、醸造仕向けの量は約230トンとなってございます。訂正させていただきます。
〇斉藤信委員 最初に、東日本大震災津波からの被災農地とその復旧状況、作付状況、そして復旧となっていない農地のその理由について示していただきたい。
〇千葉農村建設課総括課長 東日本大震災津波の被害農地の復旧状況でございますけれども、復旧対象農地面積653ヘクタールのうち、ことし4月末までに511ヘクタールの復旧に向け、現在、取り組んでいるところです。
残りの142ヘクタールにつきましては、まちづくり計画等との調整が必要なところがありまして、ここの部分については、現在、調整を図って、最終的な復旧面積の確定に向け取り組んでいるところでございます。この最終的な復旧面積を確定し、平成31年春の営農再開を目指すこととしております。
〇高橋農業普及技術課総括課長 平成29年4月までに511ヘクタールの復旧を見込んでいるところでございましたが、復旧した面積482ヘクタールに対しまして作付面積-これは10月の調査でございますが-452ヘクタールでございまして、復旧面積の94%が作付されております。
〇斉藤信委員 142ヘクタールがまだ復旧になっていないと。丸6年たって、市、町と土地利用計画及び農家との調整が必要だと。これは二、三年ならともかく、町の都市計画はもう決まっています。だから私は、具体的理由を聞いたんだけれども、どうなんですか、かなり煮詰まっているけれども公表できないのか、本当に煮詰まっていないのか。少なくとも都市計画との関係はないと思いますよ。いかがですか。
〇千葉農村建設課総括課長 土地区画整理事業などの復興関連事業計画区域内に散在している農地の土地利用の最終的な調整を今、行っているところでして、農家の最終的な意向が確認できない部分もありますし、また、部分的に農地を集約しようという構想を持っているところもありますので、そういったところで調整がおくれているところがあります。
また、例えば防災集団移転促進事業の残土置き場となっている部分もあります。そういったところは撤去されるまで復旧工事に着手できない部分もあります。
〇斉藤信委員 次に、台風第10号関係の復旧状況をお聞きしたいけれども、農業の被害額は142億5、029万円ということでした。先ほども質問があったのでダブらない程度にお聞きしますが、農地の復旧状況、とりわけ岩泉町の被害農地と災害査定と復旧状況、さらには春の作付の見通しを改めてお聞きします。
〇千葉農村建設課総括課長 岩泉町の台風第10号で被災した農地171ヘクタールのうち約99ヘクタールは国の補助事業で復旧する予定です。現在、発注等を進めておりまして、災害査定につきましては、岩泉町で99カ所査定申請をしておりまして、99カ所全箇所が査定決定をいただいております。その金額については、箇所数で99カ所、12億4、642万7、000円になっております。
〇斉藤信委員 査定は終わっているということでよろしいんですね。そして、順次、発注していると。それで、ことしの作付見込みというのは大方どうなんですか。
〇千葉農村建設課総括課長 現在、工事を発注しているところでございますが、岩泉町の被災した農地の復旧に当たりましては、河川改修計画との調整を要するものが多くありまして、その作付時期については、今後、農家あるいは関係機関などと協議の上、決定していきたいと考えているところです。
〇斉藤信委員 私は、あした、河川改修について聞くんだけれども、大体、小本川、安比川の河川改修計画は示されて、拡幅区間を含めて、住民説明もされているんです。だから、私は河川改修計画でいえばもう十分調整できると思っているんですが、99ヘクタールは復旧予定で、今、順次、発注していると。この分だけでもわからないんですか。
あと、171ヘクタールが被災して99ヘクタールが復旧ということですが、この72ヘクタール分というのは、それこそ今言った河川改修との調整部分なのか、その他どういう要因なのか、ここも示してください。
〇千葉農村建設課総括課長 河川改修計画によって農地に堤防が入ってくるという構想ですけれども、その堤防の位置がどこになるかまだ現地で確定されていませんので、その線引きをきちっとやらなければならないと思っております。
それから、72ヘクタールについては、市町村事業や県の小規模農地等災害復旧事業を活用して、順次、復旧を進めているところです。
〇斉藤信委員 次に、米政策の見直し、生産調整廃止への対応についてお聞きしますが、国の米政策見直しの中身と狙いについて示していただきたい。
〇松岡水田農業課長 国の米政策の見直しの内容ですけれども、平成33年産から、これまで国から行政を通じて配分しておりました生産数量目標を廃止するということ、もう一つが、米の生産数量目標に従って生産した農業者に対して交付しておりました米の直接支払交付金を廃止する、この2点です。
その狙いにつきまして、国は、生産者や集荷業者、団体が、需要に応じてどのような米を幾ら生産、販売するかなどをみずから決められるようにすることで経営の自由度の拡大を目指すとしているところです。
〇斉藤信委員 結局、主食である米の安定的生産、供給の責任を国は放棄した、こういうことになると思うんです。
今、半減した7、500円の措置ですけれども、これが平成30年産から廃止されますが、例えば今年度7、500円というのは、どのぐらい岩手県の農家に出される額ですか。
〇松岡水田農業課長 この交付金は国から直接農業者の方々に交付されるもので県を経由いたしませんので、詳しい額はわかっておりません。国が公表しておりますのは、平成27年度におきましておよそ30億8、000万円の交付金が交付されたとしているところです。
〇斉藤信委員 県内の農家に約30億8、000万円交付されたということですね。だから、生産調整は廃止するはこうした補助金は廃止するは、まさに悪政中の悪政だと私は思うけれども、いや応なく岩手県は、県農業再生協議会を開催してこの対応を今、協議していますが、中間報告も読ませていただきましたが、この農業再生協議会の中間報告の中身を示していただきたい。
〇松岡水田農業課長 県農業再生協議会におきまして検討している中身ですけれども、米政策の見直しに的確に対応する仕組みということで検討を進めているところでありまして、転作を含めた水田農業の推進方針を作成するということ、それから、毎年度、県農業再生協議会が算定します市町村別の生産量の目安をもとに、市町村や農協等で構成する地域協議会が具体的生産計画を作成し、それに沿った作付を進めることにしております。
〇斉藤信委員 短い答弁だけれども、言葉足らずで中身がないんです。どういう計画を今、検討しているか、これがないとだめじゃないですか。
あと、もう一つ、農林水産省の資料を見ると水稲の作付状況の推移とあるんですが、平成20年は、全国で水稲作付面積は164万ヘクタール、そのうち主食用米が160万ヘクタールで、このときは飼料用米は1.2万ヘクタールでした。平成28年産で見ますと、水稲面積161万ヘクタール、ほとんど変わりません。主食用米が138万ヘクタール、加工用米が5.1ヘクタール、そして飼料用米が13.9万ヘクタールとなっているんです。これを岩手県になぞらえればどうなりますか。岩手県の水稲作付面積はどう推移しましたか。
〇松岡水田農業課長 平成28年度における水田の活用状況でございますけれども、主食用米が4万7、100ヘクタール、加工用米が1、339ヘクタール、飼料用米が4、702ヘクタール、WCS(稲発酵粗飼料)用稲が1、608ヘクタール、備蓄米が1、704ヘクタールとなっております。
〇斉藤信委員 私は推移を聞いたんだけれども、平成20年は、わかりませんか。
〇松岡水田農業課長 手元に平成25年のものからありますけれども、平成25年で主食用米が5万3、100ヘクタール、これが平成28年に4万7、100ヘクタールに減っている。それから加工用米は平成25年が663ヘクタール、これが平成28年には1、339ヘクタール。それから飼料用米が、平成25年は1、651ヘクタール、これが平成28年には4、702ヘクタールなどとなっているところです。
〇斉藤信委員 全国的にも、恐らく岩手県も水稲作付面積の全体は変わらないんです。主食用米が減って、その分、飼料用米、加工用米がふえているということで、大豆、麦も、全国を見ると10年前と比べてほとんど変わっていません。
だから、私は、水田の多面的活用は、今度、県農業再生協議会で具体化する大事な中身だと思うけれども、飼料用米だけは特別の手だてをとられましたから、急速に広がりました。ほかの転作が進まない要因は何なのか、このことを示さないと私は具体的計画は出ないと思うけれども、いかがですか。
〇松岡水田農業課長 水田の多面的活用ですが、これまで、水田を有効に活用していくということで主食用米と転作作物を組み合わせた取り組みを推進してきたところです。米政策の見直し後におきましても、米の需要に応じた生産は大事なことですし、飼料用米や大豆、野菜の転換を進めていくということで、特に国の助成制度を活用いたしまして、飼料用米の団地化や大豆の転換拡大に対する追加の助成、野菜、花卉などの高収益作物の生産拡大に対する助成などに取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 もう一つ説得力がないけれども、県農業再生協議会の資料を見ると、全体とすればそういう自主的な作付目標の提起は必要だと。しかし、今、県内の米生産量が幾らで系統の分が幾らで系統外が幾らなのか。系統外の人たちがこれに参加するということでないと、私は全体としてこの調整はうまくいかないのではないかと思いますが、いかがですか。
〇松岡水田農業課長 大ざっぱな話で恐縮ですけれども、県内の米の生産量のうち、およそ半分ほどが全農を中心とした系統出荷になっています。それから、4分の1ほどが検査を通らずに、恐らく自家飯米などになっているものがあろうかと思います。残りの4分の1ほどが、検査を受けて系統を通らずに販売されているものと考えています。
現在、農業者の方や集荷業者の方々、系統外も含めまして平成30年産以降の水田農業の推進方針の作成に当たりましてさまざまな意見を聞いているところでありまして、そこでは系統外の方々にも御協力をいただきながら、その御意見を踏まえて方針をつくっていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 国の悪政の後始末をしなければならないというところがあるので大変だと思うけれども、私は、そういうふうに減反政策が廃止され、今までの補助金もなくなるという中で、水田の多面的利用のためには何が必要なのか、具体的に国に要求していくようにしないとだめだと思うんです、押しつけだけされて。
今、自力で販売している人たち、7、500円もらわないでも販売している人たちがいるわけだから、私は、そういう人たちについても、やっぱりインセンティブがないと一緒にやろうというふうにならないと思うんです。
そういうことも含めて、国の米政策の欠陥を補う積極的な対応、提言が必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇松岡水田農業課長 米政策に係るさまざまな制度がこれから出てくると思います。今後の動向なども見定めながら対応を検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 では、小岩農政担当技監に聞きましょう。
県農業再生協議会は今、中間取りまとめの段階だけれども、私はやっぱりこれを本当に成功させる上で何が必要なのか、また国の責任をどう求めていくのか、これが必要だと思います。もうちょっと立ち入って気のきいた答弁をしてください。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 平成30年産からの米政策の見直しに係る県としての対応ですが、ただいまいろいろ御説明したとおり、現在、県農業再生協議会が地域の農業再生協議会などと協議を重ねておりまして、混乱することなくこれに対応しなければいけないということで進めております。
一方、現にかなり多くの都道府県は、これまでの国の政策にのっとりましてきっちり計画に沿った生産を進めておるのですが、ごく一部におきましては若干まだ過剰作付の都道府県があります。これに関しましては、私どもは、これまでも国に対していろいろお話ししておりますけれども、やはり全国の都道府県が同じようなベクトルで進まなければ需給バランスはとれないということなので、その部分については国が責任を持ってきちんと対応してほしいということで常々申し上げておりますし、つい先日も国のキャラバンがありましたが、そこでも申しております。その上で、我々といたしまして、やはり水田を有効に活用した農業振興を図っていかなければいけないということで、米はもちろんですけれども、例えば水田を有効に活用できる高収益の野菜生産についても実際そちらのほうが収入も見込めるということもだんだんわかってきておりますので、いろいろな条件はあるのですが、そういうことをトータルで水田を使う形の農業を考えていかなければいけないということで、これについて、先ほど来申しておりますとおり、水田活用の推進方針に盛り込もうとしているところであります。
また米に戻るのですが、これにつきましては、県内を見ましても、系統の生産者だけではなく系統外の生産者も一緒に取り組まなければいけないということになっておりますし、我々もそうだと思っておりますので、今、いろいろ話し合いをする中にはそのような方々にも入っていただいておりまして、いろいろな御意見を伺っております。その意見を吸い上げる形で方針をつくり上げるわけですから、そのような系統外の方々にも御協力していただくということで現在考えております。いずれ、基本的には、1円でも多く農業者の所得が上がるようなことを常に考えていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますけれども、朝日新聞でもこの米政策というのは歴史的転換だと。日本の農業政策、歴史的転換の時期です。私は、それに対して受け身でなく、国にも物を言うような対策をぜひ考えていただきたい。
最後は、今、国会に提案されている農業競争力強化プログラム8本の悪法について、県の受けとめをお聞きしたい。
主要農作物種子法案は、都道府県の品種開発、普及を廃止しようとして、それを企業に売り渡すものです。収入保険は、青色申告の農業者に限定して、農産物価格が下落すれば補償基準は下がる。アメリカの収入保険とも違ったものです。そして畜産経営安定法、これは生乳の安定供給を脅かす。
TPPは通らなかったけれども、TPP体制下の日本農業の本当に根本的転換を目指す代物ではないかと思いますが、これは部長にまとめて聞きましょうか。どういうふうに受けとめ、県はどう対応しようとしているかお聞きしたい。
〇紺野農林水産部長 いろいろと農業をめぐる劇的な動きが出ておりますが、まだ詳細な中身が示されないものが実に多いということでありまして、私どもは、今、その分析に努めております。そうした中で、本当に本県農業にメリットがあるのかないのか等を見きわめて、デメリットがあるのであれば、当然ながらそれを国に対して改善を要望していく、また、何らかの手だてを要望していくということで、今後、具体的に動いていきたいと思ってございます。
〇千田美津子委員 私は、一つは、米の消費拡大に向けた取り組みについてお聞きします。
この間、県産米の活用推進の取り組みがどの程度行われてきたのか。特にも学校給食や県立病院、民間病院、ホテル、旅館、レストランあるいは保育園などへの活用推進が必要だと思いますが、現状はどのようになっているかお聞きします。
〇伊藤流通課総括課長 県産米の活用状況でございますが、県が平成26年度に行った調査結果でございます。重量ベースで、学校においては99.9%、県立病院、公立病院においてはそれぞれ100%、保育所においては92.5%、社会福祉施設においては82%となっております。
〇千田美津子委員 今、割合についてお答えいただいたわけですが、この間、消費拡大にどう取り組んできたかが私は一つ大事な課題だと思いますので、その点が一つ。
それから、直接的な担当は教育委員会になるのかもしれませんが、学校給食での米飯給食が現在、週何回やられているのか、その状況についてお聞きします。
〇星野県産米戦略監 県産米の消費拡大についてですけれども、日本一の美味しいお米の国づくり推進事業でいろいろ取り組んでまいりました。特に私どもでは県産米を使った商品やメニュー開発を目的として取り組む飲食事業者の方々に支援を行ってございますし、あと、御飯食のよさをPRするということで、地方を対象としたシンポジウムを開催したり、あと、小学校5年生約1万1、000人に副教材を配布して御飯のよさをPRした。さらにテレビを活用しまして、平成27年度には2カ月、平成28年度には1カ月間、岩手の米に関連したミニ番組を放送したりしております。
〇伊藤流通課総括課長 学校給食の米飯の回数でございます。
県教育委員会が平成27年度に行った調査でございます。本県の米飯給食の実施回数は、全国平均の週3.4回を大きく上回る週3.8回となっております。
〇千田美津子委員 今、週3.8回ということで、これはさまざま努力されているということのあらわれだと思いますが、例えば県内において消費拡大を図るという点では、やっぱり学校給食の平均が週3.8回であればそれを4日にするとか、そういう積極的な取り組みが私は必要ではないかと。
この間、米の消費量が大分減っているんです。その理由を調べると、パンやパスタなど食べ物が非常に豊富になって、昔は米をたくさん食べていたのが少なくなったというのが一つありますし、二つ目には、御飯を炊くのに時間がかかる。今、朝食をつくるのに時間は10分程度という方が非常に多いという統計になっています。前だと30分以上かけている家庭が非常に多かったんですが、今は10分程度という家庭が多くなって、そういった点では御飯を炊くのが電気釜をやっていればいいんですけれども、しかし、副食等をつくるのにも時間をかけたくないというのが一つはある。
それから三つ目には、太りやすいというイメージづけが非常になされているということです。ただ、カロリーベースで見ますと、パンは100グラム当たり264キロカロリーですけれども米は168キロカロリーで、パンの4割少ないカロリーになっています。それから脂質も米は0.3グラムですがパンは4.48グラム、あるいは塩分もパンはありますが米はゼロということで、そういった意味からも、私は、週5日間を米にとは言いませんけれども、ぜひもうちょっと延ばして週4日にするとか、それぐらいは取り組んでもいいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
〇伊藤流通課総括課長 米飯給食の推進につきましては、給食の献立を立てるのが、例えば学校単位であれば学校で、給食センターであれば給食センターで運営協議会のようなものをやっております。やはりその地域での意思形成が非常に重要と思っております。このため、私どもでは、年何度か学校の栄養教諭等を対象といたしました研修会に赴きまして、米飯給食を中心とする地産地消の普及啓発を行っておりますし、市町村の教育委員会等とも連携いたしまして、県内では地産地消の先進的な取り組みをやっている地域もございますので、そういった取り組みを紹介しながら県産米の利用拡大に努めてまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 ぜひそういう研修会でのPRも含めて、さらに前に進めるように取り組みをお願いしたいと思います。
それでは、二つ目、青年就農給付金事業の実績と見通しについてお聞きいたします。
この間、受給者については平成24年度が171人、平成25年度が264人、平成26年度が338人、平成27年度が364人ということで年々ふえてきているということでありますけれども、平成28年度の実績と今後の見通しについてお聞きします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 平成28年度の受給者は、前年度よりも18名多い382名となっております。その給付額は約5億1、700万円です。また、平成29年度は、要望調査をしたところ、継続して受給する方が343名、平成29年度から新たに受給を始めたいという方が100名で、今年度より61名多い443名となる見込みであり、約6億200万円を当初予算に計上しているところでございます。
〇千田美津子委員 新年度ふえているということで、これは非常にPRも含めて取り組んでおられる成果だと思います。
ただ、一部ですが、制度の縛りがあって、親元就農の場合は5年以内に経営移譲するなどの課題もあってちゅうちょされている実態があります。この点についてどう捉えているか。
それから、もう一つですが、私は、これらの要件緩和がやはり必要ではないかと。本当に就農したい、農業をやりたいという方々に給付できるような取り組みが必要ではないかと思うんですが、その点についてお聞きします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 親元就農における制度的な課題ですけれども、委員御指摘のとおり、親元就農の場合は、就農してから5年以内に親の経営を継承すること、さらに、新規作目等を導入するなど新規参入者と同等の経営リスクを伴う就農計画であることを市町村長に認定される、この二つがあって初めて認められるものになっております。したがいまして、親がまだ経営者として十分活躍できるにもかかわらず、子供にその経営を移譲しなければならないこと、それから、経営資産が大きい畜産や果樹などの経営継承の場合は新規作目の導入などの取り組みは困難であることなどが課題であって、給付金を活用できなかった事例があると聞いております。
親元就農における要件の緩和ですけれども、親元で農業を目指す、親の背中を見て農業を志す、まさしく地域の将来のリーダーとなる大切な担い手だと考えております。このため、これまで国に対して、給付金の受給を希望している農家の後継者も事業の対象となるよう、まず、継承までの期間5年間を10年に拡大してほしいということと、それから、新たな作目の導入ではなく規模拡大をするだけでも十分なリスクを伴うと思われるので、それを認めてほしいということなどの要件緩和について要望してきておりまして、今後とも、引き続き国に要望していきたいと思います。あわせて、就農者のニーズに即した給付ができるよう、予算の確保についても要望していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 既に要望しているということで、他県でも同じ条件だと思うんです。ですから、こういう実態を示しながら、引き続き、必要な制度ですので、ぜひ拡大に向けて取り組みをお願いしたいと思います。
それでは、3点目に移ります。
多面的機能支払交付金についてでございます。
この支払いは、農地維持支払い、それから共同活動の資源向上支払い、そして三つ目が長寿命化の資源向上支払いの三つになっておりますが、平成28年度は、当初、国が約束した予算がなかなかつかないということで、農家が非常に困ったという状況があったと思いますが、この実績についてどうなったかお聞きしますし、また、新年度予算を見ますと平成28年度より減額されているように見えますが、新年度の事業の見通しと今後の対応策についてお聞きします。
〇千葉農村建設課総括課長 まず、多面的機能支払交付金の平成28年度の実績についてでありますが、農地維持支払いの交付実績は、33市町村1、038活動組織、交付面積約7万4、000ヘクタール、交付金額21億円余りであり、これは要望に対して全額の配分になっております。
次に、資源向上支払いのうち、共同活動の交付実績についてでございますが、27市町村806活動組織、交付面積約6万5、000ヘクタール、交付金額11億2、000万円余りであり、これも要望に対して全額の配分となっております。
資源向上支払いのうち施設の長寿命化の交付実績でございますけれども、25市町村743活動組織、交付面積約5万7、000ヘクタール、交付金額19億4、000万円余りであり、これは要望に対して84%の配分となっております。
次に、平成29年度の見通しですけれども、県では、平成29年度の取り組みにつきまして、農地維持支払いで約3、000ヘクタール増となる交付面積約7万7、000ヘクタールを見込むなど、多面的機能支払交付金全体の交付金額は、平成28年度の交付総額に比べて2億円余りの増となる53億7、000万円余を予算案に盛り込んだところであります。
一方、国の平成29年度の概算決定では平成28年度と同額となっておりまして、国からの交付金額の不足が懸念されているところでございますので、国に対し必要な交付金を満額交付するよう、今後も強く要望していくこととしております。
〇千田美津子委員 最後に御答弁があった長寿命化の部分が非常に心配されるわけです。これについてはぜひお願いしたいと思いますし、あと、ちょっと耳に入ってきたのは、県によって実はアンバランスがあると。滋賀県などでは比較的多く認められているということも聞いているんですが、そういうことはあるのでしょうか。何かの差があるのかどうか、その点、もしわかればお聞きします。
〇千葉農村建設課総括課長 それぞれの県によって取り組み面積などは違うと思いますけれども、例えば何か一つのところに重点的に配分されるといったことは伺っておりません。
〇千田美津子委員 最後の質問ですけれども、農地中間管理事業による機構集積協力金交付事業についてお聞きします。
これは、農地中間管理事業において交付される三つの協力金、つまり地域集積協力金、経営転換協力金、耕作者集積協力金がありますけれども、今年度の実績と今後の見通しについてお聞きします。
〇菊池担い手対策課長 機構集積協力金の今年度の実績と今後の見通しについてでありますけれども、今年度、市町村から要望のありました3種類の協力金のうち、地域集積協力金は約3億8、600万円、経営転換協力金が約3億7、900万円、耕作者集積協力金が約3、300万円と、合計で約7億9、800万円、市町村の要望額どおり交付したところでございます。
今後の見通しについては、平成29年度予算は、国からの協力金の県への配分が、平成28年度から担い手への新規集積面積-新しく集積面積に応じて配分されることになっておりますことから、今後も新規集積面積を確保する取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 新年度からの変更があるわけですけれども、これは制度的に、圃場整備をしていないと現実的に活用が難しいという話を聞いておりますが、その点はどうなのか。
それから、機構集積協力金については、貸し手と借り手の契約は10年契約を求められているようでありますけれども、これは、担い手の皆さんから非常に使いづらい、とても10年も契約できないというのがあって、むしろ若い人たちは農業委員会で小作契約をしたほうがいいという現状もあるわけですが、その実態等についてお聞きします。
〇菊池担い手対策課長 新規集積面積の考え方ですけれども、圃場整備を行った農地につきましては国では新規集積と認めるとしておりますので、こういった制度に乗せていきたいと考えております。
一方で、圃場整備が行われていない地域につきましても、離農などといった形で次の担い手に進めたい方の情報を漏れないように担い手の方々につなぎながら新規集積に結びつけていきたいと考えております。
先ほど農業委員会との小作契約の話だったんですけれども、農地中間管理事業は、担い手の経営を安定させることを目的として契約期間を10年と置いておりますけれども、実際、担い手の方からは、契約期間が長いといった声などが上がっていることも確認しております。このため、本県の農地中間管理機構では、担い手の要望に応じて、10年未満の契約も行えるようにしております。また、農業委員会を通じた従来の契約方法も引き続き利用できるようになっておりますので、担い手や地権者などの事情に応じまして、有利な制度を選択できるように市町村と連携して進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 最後にしますけれども、先ほどの担い手への新規集積という部分では、離農等の情報も必要ということですが、いずれ圃場整備しなくても集積すればいいということと伺いましたが、その点を伺います。
それから、今でも10年未満を認めるということで、私が聞いた話とはちょっと違ったので、多分そういう理解がない部分が非常にあるので、それらの方へ市町村と連携して周知を徹底してもらうことが非常に大事だと思いますので、その点もう一度伺います。
〇菊池担い手対策課長 新規集積の考え方についてでありますけれども、圃場整備が行われていない地域にあっても、農業をやめられる、あるいは経営を縮小される方から拡大する方へ受け渡した場合については新規集積となります。また、先ほど、10年未満の契約も行っているという情報について、確かに国のパンフレットなどでは10年間と書かれておりましたので、岩手県の農業公社では、そうでないやり方もあるということを丁寧にこれから市町村を通じて説明していきたいと思います。
〇高橋孝眞副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時10分 休 憩
午後3時27分再 開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇臼澤勉委員 私からも端的に何点かお伺いしたいと思います。
平成29年度予算につきましては、私は、まさに今後の農業の大転換期を迎える重要な年になろうと思ってございます。そういった中で、やはり、まず人材の育成であり、土地の有効活用、集積をどう図って効率化を図るかといったところをポイントにお伺いしたいと思います。
まず初めに、農業経営者の育成目標についてお伺いいたします。
平成27年現在で1戸当たりの経営耕地面積が平均で2.7ヘクタール、この10年間で約1.4倍に拡大したと伺っております。また、販売額が3、000万円以上の経営体数が827と、この10年間で47経営体ふえたと伺ってございますが、この販売額3、000万円以上、また所得1、000万円以上のいわゆるリーディング経営体の現状、それから、平成30年度までに940経営体にする目標の達成見通しについて、御所見をお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 リーディング経営体の現状と平成30年度までの達成見通しについてでありますが、県では、第3期アクションプランにおきまして、リーディング経営体を平成27年度から平成30年度までに60経営体育成し、940経営体とする目標を定めております。
このため、各市町村の農業再生委員会を中心に、リーディング経営体育成候補者の選定を進め、選定された候補者に対し、農業改良普及センターによる重点指導を初め、いわてリーディング経営体育成支援事業による候補者への直接的な機械施設の整備や農地中間管理事業による効率的な農地の集積、集約化を行っているところでありまして、こうした取り組みにより、リーディング経営体育成の目標を達成していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 この経営体940を目標にということですけれども、これは米、園芸、畜産という岩手の農業の3本柱がございますが、大まかにどういう構成割合というかシェアを目指しているのか、現在あるいは今後の見通しを含めてお伺いしたいと思います。
〇菊池担い手対策課長 今900ぐらいありますリーディング経営体の具体的な内訳は確認できないのですけれども、県が把握していますリーディング経営体育成候補者の内訳を見ますと、現在、候補者が五十数名いらっしゃいますが、そのうちの20名程度が畜産、それから十二、三名が稲作、残りが園芸あるいは複合経営となっております。
〇臼澤勉委員 先ほど来、米価の下落とか今後の生産調整を見据えた米政策についてもいろいろ議論がありました。いずれにしましても、米を取り巻く環境も非常に厳しい中で、今後そういった園芸と一緒に複合的な経営も求められていくかと思いますので、そこら辺は、今後、県の政策としてどう誘導していくのか、じっくり見守っていくというか注視していきたいと思います。
農地中間管理事業について、先ほど千田委員からもありましたけれども、私からも、この事業につきまして、現状の認識と課題をどう捉えているのか、そして、具体的にどのようにして地域農業の担い手の方にそういう集約化を図っていくお考えなのか、まずお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 農地中間管理事業の現状認識と課題、そして解決への具体策についてでありますが、この事業によります平成28年度の貸付実績は、3月3日現在で3、165ヘクタールで、目標の88%となっております。
国からの機構集積協力金の減額などにより新規の出し手が減ったことや、中山間地域などの条件不利地において、受け手となる担い手の確保が難しいことなどが課題として挙げられております。
今後、機構集積協力金の十分な確保とあわせ、中山間地域など条件不利地における簡易な圃場整備や農地中間管理機構の農地コーディネーターと市町村農業委員会の農地利用最適化推進委員が一体となった農地のマッチング活動などによりまして、より一層担い手への農地集積を図ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 一昨日、県の農政審議会が開催されて、そこの中でも、この農地集積に対する議論などもいろいろと意見が寄せられたとお伺いしていますし、以前、担い手の方々との意見交換の中でも、要は、必要とする農地がなかなか集約化、集まってこないと、私の地元の畜産農家の方の御意見もございました。
そういった中で、今後、生産性を上げて効率化を図っていこうといったときに、やはり土地利用の政策は大きなポイントになろうかと思います。今回、農林水産省の奥原事務次官が就任して、まさに本気で、今、国を挙げて構造改革を含めてやろうとしております。
そういった中で、ちょっとお伺いしますが、先ほどのリーディング経営体は、どの程度の経営規模になればそういった土地が必要になるのか、お伺いしたいのと、集積の実現可能性に向けてどういう課題があるのか、もし課題があるのであれば、この解消に向けて、県は今後どう取り組もうとしているのかお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 リーディング経営体となる経営規模と集積に向けた課題と解決策についてでありますが、水稲を例に挙げますと、本県では水稲を中心とする経営の場合、リーディング経営体が目標とすべき営農類型は、水稲で25ヘクタール、小麦10ヘクタール、合わせて35ヘクタールと試算しております。
こうした大規模な農地集積に対応するため、農地中間管理機構では、本年1月に担い手組織などとの連携協定を締結したところであり、今後、この協定に基づき、担い手の方々の意向把握をきめ細かに行い、市町村農業委員会と一丸となった農地集積を進めることとしております。
県では、こうした取り組みを積極的に支援して、リーディング経営体への農地集積を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 25ヘクタールということで、本当に大規模な面積が必要で、やっぱりそのくらいの規模じゃないと、所得が上がっていかないのではないかと認識しました。現在、平成30年度で今の2.7ヘクタールから4ヘクタールぐらいまで拡大しようという中でも、まさに20ヘクタールとかというのは大規模な部分だと思います。
私も聞いていて、現場のお話などでも、飛び地の集約化とか、本当にこの農地中間管理事業に対する期待感はあるのだけれども、一方で、なかなか進まないという課題も聞いております。何でだろうなと思うんですね。
昔は、例えば農協とかが地域に入って、そこの中でマッチングを図っていくような役割を、私は重要な役割、そして農業普及員、農業改良普及センターも一緒になって、地域の様子というか実情を聞いて、まさに顔と顔のわかった人を仲人的な役割でマッチングさせていくような形をとっていて、農地中間管理事業の中にも、そういった顔の見える引き合わせのようなところとか地域をよくわかっている人が入ってくるのが、すごく大事じゃないかと思っておりますが、そこら辺に対する御所見をお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 農地のマッチングにつきましては、今、委員がおっしゃったように、顔が見える関係でのマッチングが非常に大事だと思っております。現在、農地中間管理機構であります農業公社には、全市町村を網羅します農地コーディネーターが17名配置されております。また、各市町村農業委員会に昨年から農地利用最適化推進委員を農業委員の活動をフォローするような形で数多く配置されておりますので、農地コーディネーターと農地利用最適化推進委員の現地での情報交換を密にして、進めていきたいと考えております。実際、来月から農地コーディネーターの方、農地利用最適化推進委員の方を含めて、全市町村を回りながら相談会を開催したいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、本当に現場にどんどん入っていただきながら進めていただきたいと思います。
最後に人材育成の話に移りたいと思いますが、いわてアグリフロンティアスクールについてお伺いいたします。
このスクールの開設による経営感覚、企業家マインドを持った農業経営者の育成状況についてお伺いいたしますが、現状と成果、課題をどう捉えているのか、そして、今後どう展開するお考えかお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 いわてアグリフロンティアスクールの現状と成果、それから課題についてでありますが、過去10年間、平成28年度までの修了生は351名で、そのうち、みずからの戦略計画が評価を受けて、岩手大学からアグリ管理士の資格を授与された者が222名となっております。
修了生は、習得した知識、技術を生かし、経営規模の拡大や6次産業化等の経営発展に取り組んでいるほか、各種研修会での講師や集落営農組織の役員を務めるなど、本県農業を牽引する人材として多方面で活躍しております。
今後も、本スクールの運営を通じて、本県の先進的な農業経営体等の育成に努めていくとともに、修了生の方々の戦略計画の実現に向けたフォローアップにも対応していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、そういう方々の経営計画、ビジネスプランをしっかりとフォローアップしながら、販路であり、生産技術の習得であり、そして何より、次に聞きますが、機械、施設の導入についても、私は支援が必要になってこようかと思います。いわてリーディング経営体育成支援事業による個別経営体の直接的な機械、施設整備支援の取り組み状況と、今後の方向についてお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 リーディング経営体育成支援事業についてでありますが、この事業は、リーディング経営体育成候補者が、経営計画に基づき、目標とする販売額や農業所得を実現できるよう、必要な機械、施設のリース料を補助するものでございます。
平成24年度から平成27年度までに事業を活用した26名のうち20名が経営目標を達成しており、本年度は新たに4名がこの事業を活用したところです。
今後は、機械、施設等の整備支援とあわせ、経営管理能力の向上に向け、農業経営アドバイザーなど専門家と連携した支援に取り組み、地域農業を牽引する経営体の育成を図ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 そういう担い手や今後の農業を引っ張っていく経営者の方々が県内にもいっぱいいると思いますし、そういった方々は本当に勉強されて取り組んでおられます。
県の農業普及員の方々も当然、最先端の情報等を持ちながら取り組まれていると思いますし、流通課の伊藤総括課長もおりますが、その生産から出口のほうも含めて一体的にやっておりますので、最後、部長に、今後の岩手の農業振興への意気込み、所得向上対策を含めて、御所見を聞いて終わりたいと思います。
〇紺野農林水産部長 岩手の今後の農業を発展させていく中で、委員から御質問があったようなリーディング経営体の育成支援が大事になってこようかと思います。また、こういった大規模化を目指す経営体のみならず、地域で頑張って取り組んでいただいている集落営農組織ですとか小規模な農家、こういったところにもやはりスポットを当てながら、全体として岩手の農業を発展させていく必要があると思っています。先ほども小岩農政担当技監が言ったように、1円でも多い所得向上につながるように、私ども取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでございますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はございませんか。
〇伊藤勢至委員 まず、豊かな森林づくり県民税についてお伺いいたします。
本年は戦後71年ということで、この森林政策については、終戦後、敗戦をした日本国に引き揚げてくる150万とも200万とも言われる方の働く場がないということから、国策で山に木を植える運動を展開してきたものと思っております。それが、戦後50年、60年、70年ごろから伐期を迎えたということでどんどん切り出してきたわけでありますが、何しろ50年、60年サイクルですので、切って、さらに植樹をする方が少なくなってきて、その結果、岩手の山が荒れてきたということで、この県民税を創設して植樹をしてきたと思っております。
この植樹につきましては、広葉樹、針葉樹いろいろあると思うんですが、どういう樹種を、どのように植えつけを展開してきたんでしょうか、まずお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税についてでございますが、この県民税につきましては、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てることにしてございまして、手入れの行き届かない杉ですとかアカマツなどの針葉樹林を公益的機能の高い森林へ誘導する間伐を実施してきたところです。
また、平成28年度からスタートした第3期の取り組みでは、ナラ林を健全化するための若い森林への更新でありますとか、アカマツ枯損木の伐採による広葉樹林への天然更新等を支援することとしているところです。
〇伊藤勢至委員 今回の予算特別委員会でも、あるいは一般質問等でも、特にも県北・沿岸振興議員連盟の五日市会長が力説してきた部分でありますが、下請でぜひ私もお伺いしたいと思いますが、浄法寺の漆につきましては、今や浄法寺だけの漆ではなくて、岩手の、あるいは日本の、世界の漆になってきた中にあって、今、現場で深刻なことは、漆かき職人が足りない、あるいは漆の木が足りないということであります。
そうだとしたら、この県民税をまさに活用して、恐らく15年か20年サイクルでこれは回っていけるものだと思うんですが、漆の木に転換していったほうが、県民への説明もつくし、岩手県の新しいというか、世界に誇れる文化伝統産業をさらに力をつけていくことにもなり得ると思うんであります。前回の五日市委員の同じような質問の中で、有識者の方々の意見も聞きながらという答弁があったようでありますが、その後どのような取り組みをしていらっしゃるのか、まずお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 漆の植栽、資源の確保についてでございますけれども、これまで国の森林整備事業による支援を行ってきたところであります。それから、その資源の確保が非常に重要な課題だということは認識してございまして、現在、二戸市との間で膝詰めといいますか対面して、実際に顔を突き合わせて、漆の資源確保に向けて県としてどういうことができるのかといったような打ち合わせを行っているところです。引き続き、今申し上げた国の森林整備事業も活用しながら、植栽という部分の支援をしていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 国の予算を云々という前に、県民の皆さんから均等にいただいている岩手県独自の税金があって、これを山に向けているわけですから、立派に説明はつくと思います。もちろん国からもらえれば、それは一番いいわけでありますけれども、自主的な判断として、あるいは有識者にもそういう問いかけをしていきながら、浄法寺の漆を守っていく、これはオール岩手を元気よくさせていくことだと思います。それが一つです。
それからもう一つ、関連して、実は商工労働観光部審査のときにも聞きましたが、平泉文化が400年前と言われていますけれども、同じ浄法寺には天台寺というものがありまして、これは南北朝時代と言われていますから700年前。この差を見るには、例えば中尊寺の月見坂に生えている杉は、せいぜい直径60センチぐらいでしょうか。ところが、天台寺の境内にある、これは昭和の初めあるいは大正の中間ごろに寺騒動があって、直径1メートル以上のカツラの木を1、000本ぐらい切り倒されてしまった。直径1メートルですよ、700年ですよ。伊勢神宮の参道に行くと直径1メートル20センチぐらいですよ。
ですから、そういうお寺の文化があったところには、当然、お経、そういうものを書き残す文化があったはずでありますので、実は不勉強で知らなかったんですが、岩手県の県南地域にも和紙をつくっている方々がいらっしゃる。そういうところには必ず原材料のミツマタ、コウゾがあるはずです。
したがいまして、天台寺にも、かつてはミツマタ、コウゾがいっぱい生えて紙の文化もあったんだと思いますが、その辺もあわせて、一緒に岩手県の誇り得る財産としてこの際活用していくべきだと思うんですが、有識者に働きかけをして、オール岩手でやりたいという積極的な考えを持たれるべきではないかと思いますが、どうですか。
〇佐々木林業振興課総括課長 前段で漆の話が出たところです。それから、後段の部分では、ミツマタやコウゾの話が出たところでありまして、先ほど申し上げた森林整備事業があるわけですが、ミツマタとかコウゾというものは、国の森林整備事業の補助対象とはなっておりません。ただ、森林所有者でありますとか地域住民などが主体となってミツマタやコウゾを植栽するといった場合には、これも国の事業でありますが、森林・山村多面的機能発揮対策事業というものがありまして、その対象になるということですので、こういった制度も活用できるということで、その制度の周知に努めてまいりたいと思います。
それからあと、全体のお話になりますけれども、いわての森林づくり県民税のあり方というお話がありましたが、これにつきましては、今後、外部の有識者等で構成しております事業評価委員会、それから、県民の皆様や県議会の御意見などを参考にしながら検討してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 私もこの県民税を若干負担しているわけでありますが、私の分は、ぜひ浄法寺漆に回してもらいたいと思います。
次に、水産振興に関連して1点お伺いいたしますが、海のほうについては他の委員からもいろいろあろうと思いますので、私からは内水面についてお伺いしたいと思います。
昨年6月、日本で最長の淡水魚イトウを養殖したらどうかという提案をしましたが、これはちょっと大き過ぎたかと思っていまして、今回はもうちょっと小ぶりのサクラマス、ニジマスあたりで内水面に対する付加価値を高めていくべきではないかと思うんであります。
実は、岩手県には、御案内のように一級、二級、準用河川を含めて850ほどの河川があるわけでありまして、江戸八百八町、浪華の八百八橋、京都の八百八寺に匹敵する河川大県だと私は思っています。この河川は真水でありますから、ここの淡水魚をもっと生かしていくべきだと思います。
閉伊川でありますとか、猿ケ石川でありますとか、磐井川あるいは馬淵川、ここのアユは、四国の四万十川産のアユよりもおいしいと言われていまして、太公望垂涎の的です。ただ、今、閉伊川は台風第10号で大きな被害を受けて大改修していますので、ことしは期待できないかもしれませんが、アユを初め、岩手県のどちらかというと眠っているような資源があって、海が元気がない、海は何とかしていかなければなりませんが、ただ、内水面も一緒にやっていくことが、岩手を元気づけることになると思うんですが、それについてお伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 河川を利用した内水面漁業の振興ついてであります。
岩手県では、これまで、ニジマス、アユ、ヤマメあるいはイワナなどの養殖振興に向けまして、内水面水産技術センターでこれらの種苗をつくっておりまして、養殖業者に供給しております。また、その養殖などの生産技術の指導も行ってきております。また、あわせてアユやヤマメを河川に放流いたしまして、その種苗放流によって内水面の漁業資源の造成をするということで、内水面漁業の振興にも取り組んでまいりました。
今後は、これらに加えまして、今、委員がお話になりましたように、海面においても非常に漁獲が少ない春先、そして高価に取引されるもの、そしてまた、内水面においても遊漁の非常に人気の対象となるサクラマス、このサクラマスの資源造成に取り組むということで、これも内水面水産技術センターで今回試験に取り組んでいきたいと思っております。
また、今お話のありました幻の魚イトウでございます。これは淡水魚の中で最大の大きさになるものですが、今度の当初予算案にイトウの養殖生産技術の開発ということで盛り込ませていただいたところであります。それで、内水面水産技術センターにおきまして、養殖の試験にこれから取り組む予定にしております。
今後とも、内水面の環境を十分に活用いたしまして、あらゆる手段を駆使いたしまして、漁業、そして養殖業の振興に取り組んでまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 大変いいお話を伺いましてありがとうございます。
今、岩手県の環境も随分変わってまいりまして、昔、子供たち、孫に歌って聞かせた歌を今簡単に歌えなくなりました。メダカの学校というのを歌いますと、メダカを見に行きたい、どこに行けばいいんだ。ドジョウが出てきてこんにちは、ドジョウはどこにいるのと、こうなんですよ。ウサギ追いしかの山、ウサギはおいしいんだって、こうですよ。
そういうふうに環境が変わってきた中で、一ついい例になりますのが、遠野市が十数年前からやっていますが、水産庁の補助を受けてヤマメの養殖をしていまして、これは農家の副収入に大なるものがあると聞いております。これはパールマークが非常にきれいなために、流通がよくて、京都の山科の料亭におさめている。高価な値段でですよ。そういったものの可能性があるわけでありますので、そういうものも大いに活用しながら県全体の所得アップを図っていくべきだと思います。
このことについての感想と、それから、伺いますと五日市水産担当技監とやりとりするのもきょうが最後と聞いていますが、私は21年目になりますけれども、これまで珍問答も含めましていろいろやりとりをしてきましたが、ぜひあなたには、この今の職を離れても、県の水産業界にとって大事な面で働いていただきたいと御期待しておりますので、その面も含んで、感想があればお伺いして、終わります。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 遠野市のヤマメの養殖のお話をいただきましたが、遠野市では、今から20年ほど前に、ちょうど山の奥、附馬牛のほうに種苗の供給施設をつくりまして、これをもとにしてヤマメの養殖振興をさらに拡大してきたものであります。
ヤマメの養殖そのものについては、遠野市では生産量が日本一だと申しておりまして、私もそこまでは確認いたしておりませんが、生産量、農家の田んぼを池にかえて、山から湧き出る沢水を入れて養殖をしているところ、それに私も業務としてかかわらせていただいたことがあります。
こういうふうに地域の独特なものを生かして、生産を上げて所得を向上させていくことは非常に重要なことでありますので、今後とも、そういう取り組みにも積極的にかかわっていくべきと思います。
〇伊藤勢至委員 終わりの言葉を聞く前に、一つ忘れました。今や淡水魚の天敵でありますブラックバスとかコクチバス、随分話題になりましたけれども、今は騒がなくなりましたが、これらがどんどん野方図に広がってまいりますと、岩手県の在来種を脅かすということから、これの駆除が淡水業界では大きな問題だったと思うんですが、これが現在どのようになっているのかお聞きします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 ブラックバス、コクチバスにつきましては、外来魚ということで、内水面のさまざまな生物に悪影響を及ぼすということで、内水面漁業調整委員会の委員会指示で、持ち込みあるいはリリースとかは一切禁止とさせていただいております。
そして、ため池やらいろいろな用水路なり田んぼに水を引くために水をためているところのブラックバスの駆除につきましては、その管理者の方々が年に1度、水を引いて、その中から駆除をしていただいておりますので、その取り組みは今もずっと続けていただいております。今後もそのような取り組みを続けていっていただくことでお願いしております。
あと、感想ということですが、私もここの席で皆様から御指導いただくようになりましてから7年、対応させていただきました。さまざまな御指導をいただき、また、叱咤激励もいただいたと思っておりますが、この場でいろいろ貴重な経験をさせていただきましたし、さまざまなお答えをしていく中で、自分自身も勉強になることが多々ございました。
これからどうなるのか、自分自身でもまだ決めかねているところではございますが、これを糧にして、また今後頑張ってまいりたいと思います。本当にありがとうございました。(拍手)
〇工藤勝子委員 松くい虫対策についてお伺いいたします。
私は、岩手のアカマツをぜひ守ってほしいという思いで、何回か予算特別委員会とか決算特別委員会でも質問してまいりました。いつごろから松くい虫が岩手県に入ってきたのか私も定かではありません。ただ、岩手県の統計白書によると、平成17年からのデータが出ております。
そういう中において、今までの被害木の量とか山林の面積等がわかりましたら、お示し願いたいと思います。
〇及川整備課長 過去10年間における松くい虫による被害の累計についてですが、約40万4、000立方メートル、被害面積は約1万9、000ヘクタールとなっております。
〇工藤勝子委員 アカマツが非常に被害を受けて、大きな大切な資源が失われてきたわけであります。データ的に見ますと、平成26年度も3万7、142立方メートルと減少している傾向にございます。これは、やはりいろいろな対策をとってきたからだろうと思っておりますし、天候というか気象の面もあるかと考えているところであります。
その被害木の処理状況、それから、今は山に放置されていると思っておりますが、また新たに里山で、これが民有林でもありますので、植林もかなり、高齢化とか、今、木材の価格が低迷している関係から植林をしない人もあると思うんですが、この状況についてお伺いいたします。
〇及川整備課長 本県の被害木の処理は、伐倒薫蒸処理が90%以上となっております。駆除した多くの被害木は林内に放置されております。また、被害の先端地域の山林では全量駆除を行っておりますことから、わずかな被害で推移しておりますが、被害が蔓延している地域の山林では、年々被害が拡大しております。
このため、県は、被害が蔓延した地域では、アカマツを伐採し、カラマツなどを植栽する樹種転換を促進することとし、平成23年度から平成27年度までの5年間で98ヘクタールを実施しております。平成28年度は森林所有者からの要望が高まりまして、94ヘクタールの実施を見込んでいるところであります。
〇工藤勝子委員 松くい虫被害木は現地の山に放置されている、確かにそう見えます。ビニールをかけたりして線虫が出ないような対策をしているんですけれども、心配しているのは、岩泉町などは多分松くい虫が行っていないから、松くい虫被害の山がないので、今回の台風第10号のときも流れ出すことはなかったわけでありますが、例えばあのような大雨が降ったとき、多分流れ出すのではないかという心配もあるわけであります。
そこで、やはりこれからは、そういうものを早く駆除して、活用する方向を考えていったらいいのではないかと思っております。そういう状況において、花巻地域に今度設置される木質バイオマス発電を、ぜひこの松くい虫対策の一つとして活用できないか、その見通しについてお伺いいたします。
〇及川整備課長 県は、平成29年2月から花巻市で稼働しております木質バイオマス発電施設において、今後、被害木を含めたアカマツ材の活用を促進するため、被害木をチップ加工した際の品質や伐採移動による被害拡大を防ぐための管理方法について、同施設及び関係機関と協議を重ねてきたところです。
同施設では、本年9月以降、被害木を含めたアカマツ材の本格的な活用を予定しておりますことから、今後、被害が蔓延している地域の被害木を含めたアカマツ材の活用と、それに伴う樹種転換が促進されるものと期待しております。
〇工藤勝子委員 ぜひそのように進めてほしいと思っておりますので、お願いいたします。
今のところ、保安林を中心としていろいろな防除のための監視員たちを配置して、その周辺を駆除するような形をとっております。監視員も21名の専門職の方々がいらっしゃるとお伺いいたしました。
監視員も含め、結局山に入る作業員の人材の確保、育成も非常に大事になってくると思っていますが、そういう取り組みについてお伺いいたします。
〇及川整備課長 県は、平成8年から未被害地域との境界に松くい虫被害防除監視帯を設置し、重点的に監視活動を行う監視員を配置しております。平成28年度は21名を各現地機関に配置し、年間を通じて被害の徹底監視に努めているところです。
また、平成26年度から、松くい虫防除に必要な専門的な知識と技術を有する技術者を養成するため、岩手県松くい虫防除技術講習会を実施し、これまで134名を岩手県松くい虫防除技術員として認定し、効果的、効率的な防除の実施に努めているところです。
〇工藤勝子委員 県南のほうから北上してきたわけでありまして、私は、鹿の件でもお話ししたんですが、何とか遠野でとめたいと思ったけれども、鹿は足がありますのでなかなかとまらないで北上していきました。
結局この松くい虫も、私は遠野の北上高地の中で沿岸に行かないようにとめるべきだと。だから、遠野での駆除も徹底してやっていかないと、これがどんどん沿岸に行くと、結局沿岸の景観が損なわれる。三陸沿岸の景観がアカマツによって成り立っている分もありますので、ぜひ駆除に対して、平成29年度は2億円という予算を計上していただきました。そういう形の中で今後とも徹底して駆除して、ぜひ北上しない、沿岸のほうに行かない、そういう対策をとってほしいということをお願いして、終わります。
〇工藤大輔委員 それでは、漁業の担い手確保対策等についてお伺いしたいと思います。
漁業就業者数は、平成10年と平成25年を比べて大幅に減少、実に半減している状況にあります。東日本大震災津波の影響も大きかったわけでありますが、今後の岩手県内の就業者数の推移をどのように予測し、新規就業者をふやしていく考えかお伺いします。
〇赤平漁業調整課長 漁業の担い手確保についてですが、本県の漁業就業者数は平成10年の1万2、000人から、平成25年には約6、000人と、15年間で半分に減少しています。
今後の漁業就業者数の動向ですが、平成25年の60歳以上の就業者が全体の53%を占めており、高齢化も進んでいるため、現状のまま推移いたしますと、平成30年には5、000人を下回ると見込まれます。
新規就業者をふやしていくためには、漁家子弟による後継ぎを含め、より多くの就業希望者を県内外から受け入れる必要がありますので、県では、平成28年3月に策定した岩手県漁業担い手育成ビジョンに基づき、沿岸市町村ごとに担い手対策協議会の設立を促進し、地域の実情に即した就業希望者の受け皿づくりを進めているところです。
〇工藤大輔委員 それでは、最近の新規漁業就業者の人数が大体どのような形で推移しているか、また、以前は漁家の子弟がほとんどだったと思いますが、近年は、漁家子弟以外の就業者もふえてきているとも聞いております。その構成がどのようになっているのか、また、年齢等についてもわかればお示しください。
〇赤平漁業調整課長 新規漁業就業者数の推移ですが、昨年、平成27年度の実績ですけれども、漁家子弟で28人、それから未経験者の方で31人の、合計59人が着業されております。
なお、東日本大震災津波前の10年間の平均でありますと49.5人でしたので、震災前の水準を超えているところです。
それから、年齢の構成についてですが、漁業センサスのデータになりますけれども、平成25年の段階では、全就業者数の6、289人に対して、60歳以上が3、313人と5割以上を占めているということで、かなり高齢化の状況を示しております。
〇工藤大輔委員 そこで、県の取り組みとすれば、中核的漁業経営体を育成することがビジョンの中でも示されており、年間販売額1、000万円以上の中核的漁業経営体をふやそうとしておりますが、取り組みについてお伺いしたいと思います。
また、漁業復興担い手確保支援事業についてもあわせてお伺いしますが、今年度でこの2カ年の事業が終了すると聞いており、これまでの東日本大震災津波以降のこの事業の効果をどのように捉え次の事業につなげていくのか、お伺いします。
〇赤平漁業調整課長 中核的漁業経営体についてですが、中核的な漁業者の育成には、震災復旧事業で整備された養殖施設などを最大限に活用し、収益の向上を図っていくことが必要と認識しております。
このため、県では、漁業経営体ごとに生産性を把握、評価し、経営の改善指導を行いながら、機械化、省力化による生産性の向上を図るとともに、加工業者等との連携を促進し、水産物の付加価値向上や販売力の強化を図ることで、中核的漁業経営体の育成に努めていく考えとしております。
それから、漁業復興担い手確保支援事業についてですが、この事業は、国の補助事業として、県では、主に東日本大震災津波で被災した45歳以下の漁業者が経営を再開するまでの間、新たな漁法や技術を習得するため、若青年漁業者向け研修と、新規就業希望者が熟練漁業者のもとで漁業に関する基礎知識や技術を習得するための新規就業者向け研修を実施してきました。
平成23年度に事業を導入してからこれまで、若青年漁業者向け研修は304人、それから、新規就業者向け研修は165人と合計469人に対する研修が行われてきました。
この結果、被災漁業者の経営再開までの就業機会が確保されたこと、それから、東日本大震災津波後に漁家子弟以外の新規就業者が増加傾向にあることなどから、東日本大震災津波後の漁業担い手対策として有効であったと考えております。
今後も、新規就業者向け研修を継続するため、漁業関係者と連携しながら、後継事業となる国の新規漁業就業者総合支援事業の導入を促進してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 この事業を活用されて、かなり大きな効果があったことが理解できました。
それで、この研修を行った方々の中で、漁家子弟あるいは漁業未経験者の方がいると思いますが、その定着の度合いはどうなっているのか、また、残念ながら定着せず、ほかの仕事に移った理由等があれば、わかっていればお示しください。
〇赤平漁業調整課長 漁業復興担い手確保支援事業の研修修了者の定着状況ですが、先ほど新規就業者の研修が165人あったと説明しましたけれども、そのうち修了した60人についてですが、定着希望を持っている者が55人ということで、今のところ定着希望率は90%を超えております。
定着できなかった理由としては、そもそも漁村地域になじめなかったというようなこともありますし、あと、やはり研修を通じて、漁業そのものが自分に合わなかったというようなアンケートの回答がありました。
〇工藤大輔委員 先ほど来お伺いしている漁業の新しい担い手対策ですが、平成30年には5、000人程度になるというような答弁がありました。恐らくこれは5年ごとにその数値等も出しているかと思いますが、さらに年を数えるごとに漁業者が減っていく。そういった中で、担い手育成ビジョンの中では、年度別の新規の就業者の目標数として、例えば平成28年は50人、平成29年には55人、平成30年には60人、平成31年には65人という目標を立ててはいますけれども、これでは、なかなかその減少分に追いつくことができないのではないかと思うのです。
そこで、岩手の水産業を守るためには、一体どのぐらいの人数がいなければならないのかをしっかりと見きわめた中で担い手対策を講じていかなければ、全て、減少しているのは自然の流れだ、また、やれるべき対応はとっているというだけであって、本当に必要数をしっかりと確保し、産業を盛り上げるところまではなかなか行かないのが現状になるのではないかと危惧しております。
そこで、そういったことについてどのような所感を持ち取り組むのかということと、経営体で見ますと、こちらのほうがまさに兼業の経営体が大幅に減少しています。平成10年には兼業の漁業経営体が4、584あったものの、平成25年には2、291、こちらも大幅な激減です。一方で、専業の漁業経営体は1、362から1、479と微増しているような状況で、これは、まさに先ほど答弁していただいた中核的漁業経営体の育成の効果が出ているのだと思います。
ただ、兼業漁家がこれから先も大幅に減少し、また、兼業の漁業経営体と専業の漁業経営体の逆転現象が起こることになれば、まさにこれは地域の疲弊ということと、あとは、水産業がそれぞれの地域で守れなくなっていく。特にも県北は採海藻ですから、ウニをとった後のむき身をむく作業とか、いろいろなことで共同作業をやっているわけですけれども、いずれそういったものにも大きく影響すると思います。
その兼業漁業の経営体に対して、これからさらに強く支援体制をとっていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇赤平漁業調整課長 兼業経営体の漁家の減少についてですけれども、確かに、兼業経営体につきましては、地域の漁業生産のほか、漁村コミュニティーを支える重要な担い手でありまして、その減少に歯どめをかけるために、所属する漁協などと連携しながら経営規模を拡大していく、それで収入を上げていくとか、あとは労働力不足を相互補完するための協業化などを進めていかざるを得ないかと考えております。
〇工藤大輔委員 わかりました。
そこで、先ほど新規就業者の動向が、子弟以外の方が、実に漁業者の子弟の方を超えたという初の現象が起こった中で、農業であれば農業大学校、林業であれば、この4月に開講する林業アカデミーという研修や学ぶ機関があるわけです。漁業においても、これは復興の事業で2年間の研修ができるものが、これからは1年になっていくこともあり、長期の研修制度を用いながら、次世代を担う就業希望者を確保することをビジョンの中でもうたっています。
やはり、漁船や養殖の技術研修にとどまらず、漁業の経営をも視野に入れた、また学べるような機関を水産のほうでもぜひつくりながら、そして、より新規の就業者、特にも子弟以外の方について、漁業とはどういったものか、漁業経営体とはどういった幅があるのか、また、岩手にはどういった地域があり、どこでその担い手となったほうがいいかどうかといったことを十分考えられる時間、また学べる時間を持ちながら就業に当たっていただくことが、定着率の向上につながっていくとも思います。
全国でもアカデミーのような取り組みを始めた自治体もあるわけでありますが、岩手においては、今後どのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 ただいま林業アカデミーのような組織機構あるいは研修の場を水産業の新規就業者のためにも設けるべきではないかということでございますが、確かに、全く新しい、漁業に未経験の方が沿岸に参りますと、先ほどのアンケートの話のように、沿岸になじめない、あるいは漁業になじめないという実態もあります。また、どうしても漁業そのものの技術も全く一から学ぶことになりますので、かなり難しい面があろうと思います。
そういう意味で、委員から今、御提言のありました中身は非常に大事な部分であろうと思います。これまでも新規に就業を希望する方々に対してはさまざまな形で研修を行ってきておるところですが、これらの新規就業者の方々が地域に定着していくためにどういう研修をしていけばいいのか、そういう研修の内容なども含めて、漁業団体や市町村の担い手の協議会等も含めて、今後、研修のあり方も含めて検討をさせていただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 最後にいたしたいと思います。
これまで、東日本大震災津波からの真の復興を進めるためには、やはり水産業の再生がなければならない。また、その担い手となる若い方々がふえていかなければならない。地域においては、東日本大震災津波以降、さまざまな大きな支援によって新しい取り組みを行い、そしてまた全国から注目してもらい、さらに評価してもらっている方々も非常に多くなっていると思います。そういった若手の担い手に対して、これまで五日市水産担当技監が経験を踏まえ、今後の岩手の水産業に対して期待するものがあれば御披瀝いただきたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 これから水産業を復興していくためには、やはり人が大事であろうと思います。被災した施設につきましては、ほぼ要望どおり整備されました。これを使ってさらに生産を上げていく、あるいは所得を向上していくのも人であります。ですから、既存の取り組みにとらわれず、新たな、例えば水産に限らず農業でもいい取り組みが非常にあると思いますので、そういうものを水産に取り入れるとか、そういうふうな若い人たちの取り組みが大事になってくると思います。
例えば、先月、全国の漁業者の発表大会が東京で行われまして、大船渡市綾里の漁協の40代の若手の方が発表大会に行きまして農林水産大臣賞という1番の賞をとってまいりました。それはどういう取り組みかといいますと、浜の生産の状況を全国に発信して、また全国からファンの方をお呼びして地域の漁業を知っていただく。そして、その交流の中からファンをつくっていただいて生産物を出していくということに取り組んでおります。そういう人材を我々も一緒になって育成するような形をとりたいと思います。
〇小野共委員 漁業取締船の現況についてお伺いいたします。
既に御案内のとおり、今、県に漁業取締船は2そうあります。はやちね、そして岩鷲であります。どちらも64トン、65トン級の高速船でありまして、はやちねが最高速度時速90キロメートル弱、岩鷲が時速70キロメートルを超える高速で走るすばらしいスペックの取締船でございます。運航状況の推移の資料をいただきました。過去5年間の平均で、はやちねも岩鷲もそれぞれ年間109回という運航状況でありまして、臨検の実績も、検挙、警告指導が過去5年間の平均で820回を超えており、これは私は、かなりの実績だろうと思います。
そこで、改めてお伺いしたいんですが、岩手の広い海岸線をカバーするため、果たしてこの2隻の取締船の保有隻数が適正なのかどうか。既に皆さんも御存じのとおり、東日本大震災津波におきまして漁村の奥地の人口が減少しており、そもそも漁師の数も大きく減っております。違法操業あるいは密漁に対して、監視の目が格段に下がっております。その状況の中で、違法操業あるいは密漁に対する抑止力として、取締船の果たす役割はかなり大きいだろうと思います。
そこでお伺いしたいんですが、この広い海岸線の中で2隻の取締船の隻数は適正なのかどうか、根本的にお伺いいたしたいと思います。
〇赤平漁業調整課長 必要な漁業取締船の隻数につきましては、本県では、先ほど委員がおっしゃったとおり、岩鷲とはやちねの2隻の漁業取締船で、沿岸ではアワビなどの密漁に対して、また沖合では漁船漁業の違反操業の監視、取り締まりを行っているところです。
沿岸は、北は青森県境から南は宮城県境までの南北約180キロメートル、沖合は約100キロメートルまでの広大な海域を網羅しなければならないこと、それからまた、密漁高速船の出現に対しても緊急出航して対応することから、監視、取り締まり体制における空白を避けるためには、本県では従来から2隻の高速取締船を配備してきたところであります。
〇小野共委員 済みません、もう一回。私のした質問は、その2隻で妥当なのかという質問です。少なくとも最低何隻必要なのかという質問です。もう一回答弁をお願いします。
〇赤平漁業調整課長 取締船の配置は、基本的には、それぞれの地域における半島や離島などの地理的な状況、あるいは海域で操業されている各種漁船漁業の形態、操業規模といったものから沿岸、沖合域の取り締まりの範囲が決まってその海域における取締船の規模や隻数が決まってくるのではないかと思っております。
先ほど申したとおり、岩手県は北から南まで広い海域を有しておりまして、岩手沖の漁業秩序を維持していくためにも、少なくとも漁業取締船2隻体制は必要だと考えております。
〇小野共委員 先日、一般的に漁業権と漁業が少なくとも大きな基幹産業となっている都道府県の取締船の保有隻数を資料でいただきました。取締船を2そう以上配備している都道府県の資料をいただきまして、北海道が4隻、東京は別にして、静岡3隻、三重が4隻、高知が3隻、福岡も3隻、長崎が4隻、熊本3隻、大分3隻となっております。
先ほど御答弁いただいたように、湾の大きさ、あるいは深さ、形状により、取締船を幾つ持つのが妥当なのかというのが大きく変わってくるだろうと思います。私は、本当に2そうで足りるのかどうか根本的に研究調査する必要があると思うんですけれども、もう一回答弁をお願いします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 担当部とすれば、アワビ等の密漁とかを考えますと、やはり多いほうがいいだろうと思っております。ただ、現体制では2隻でフルに活動し、2隻でこれまでやってまいりましたので、岩手県としてはやはり現体制を存続することが必要であろうと考えております。
〇小野共委員 それでは、お聞きします。岩鷲とはやちねの役割分担はどうなっていますか。
〇赤平漁業調整課長 岩鷲とはやちねの役割分担についてですけれども、先ほどおっしゃったとおり、基本的に2隻ともに同等の規模、60トン台の船ですし、能力も、高速船、時速70キロメートル、時速80キロメートルの若干の違いはあるにせよほぼ同じでありまして、そういった趣旨から特に船の使い分けはしておりません。
ただ、平成26年度に建造いたしましたはやちねに関しましては、推進機関にウオータージェット方式を採用していることもありまして、旧船よりはスピードアップが図られております。このことから、高速密漁船の追跡や短時間で遠方漁場に到達することも可能になりましたので、特にちょっと離れた県北地域に行くなどの急な対応も可能になると思っております。
〇小野共委員 わかりました。どちらも65トン級の船ということで、先ほど、ある程度遠い湾にもはやちねは行くことができるとのことでした。
それにしましても、同じようなスペックで交互に使っている状況なのであれば、今度の岩鷲の新造船の話に移っていくわけですが、そちらのほうも少なくとも同程度、あるいは以上のスペックが必要なのではないのかという結論にいくだろうと思います。
はやちねは、先ほど話がありました、平成5年の建造でありまして、平成26年の完成竣工でありますので、つくってから21年目に完成竣工しておるところでございます。はやちねの新造船のことを考えますと、現行の岩鷲は平成9年に竣工いたしまして、平成29年度-新年度で20年目、そろそろ竣工の時期だろうと思います。特に岩鷲については、東日本大震災津波の津波で釜石の水産技術センターの上の岸壁に乗り上げ、修理をして使ったという状況もございました。岩鷲は、そのときの修理の後、故障が多発しているという話も聞いております。新造船の建設の条件あるいは基準みたいなものと、そして、そろそろ岩鷲の新造船の方針、方向を明らかにしていただきたいと思います。
〇赤平漁業調整課長 新船建造の基準についてですけれども、基準は特にありませんが、平成9年度に建造した今の岩鷲について、委員がおっしゃったとおり平成29年度で20年目を迎えることからして、はやちねの代船建造をした年数を基準にいたしますと、岩鷲の代船建造についても検討する時期に来ていると考えております。
〇小野共委員 部長に改めてお伺いしたいんですが、岩鷲の新造船の予定みたいなものは、今、課長から答弁いただいたんですが、部長のほうからも話を聞かせていただきたいと思います。
〇紺野農林水産部長 確かに今、2船体制ですけれども、こういった広域をカバーするためには船の高性能化というのも必要なものと思っております。また、既に建造から二十数年が経過しておりまして、前回の更新のスパンから見ても、そろそろ更新を考えなければいけない時期だと私も考えております。したがいまして、今後、更新に向けて検討をしっかりと進めていきたいと考えております。
〇小野共委員 先ほど来申し上げておりますが、東日本大震災津波以降、かなり大きな密漁の犯罪の摘発が出ております。昨年5月に久慈でアワビが密漁されておりますし、平成26年には釜石でも200キログラム、平成25年には2回、田野畑、宮古で166キログラムと300キログラムと、これはやっぱりかなり大きな組織犯罪だという話はマスコミで報道されておったとおりだろうと思います。せっかく復興の状況の中でこういった摘発という密漁の事件が明るみに出たということは、そのほかにも、見つからない、摘発されない多くの密漁があるだろうと容易に想像されます。せっかく復興状況の中にある被災地におきまして、大きなやる気、あるいは復興のやる気をそぐものだろうと思います。
先ほど、取締船の増強、例えば3隻といったことも含めて、基本的に計画性を持って、何そう本当は必要なのか、そして、岩鷲あるいは新造船の果たす役割や新造船の基準みたいなものをきっちりもう一度考え直して、違反操業あるいは密漁の抑止に御尽力いただきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 私からは、3点お伺いしたいと思います。
まず、台風第10号の被害、特にふ化場についてお伺いしたいと思います。
台風第10号は本県沿岸に多大な被害を及ぼしました。水産関係では、基幹魚種であるサケの稚魚を生産するふ化場に甚大な被害を及ぼしたところであります。特に本県のサケ稚魚放流の中心となる閉伊川、小本川、安家川のふ化場は今年度の稼動が困難となりました。サケは、本県の漁業、水産加工業のみならず、資材産業、運送業にも及ぶ裾野の広い産業を支える魚種であり、ふ化場の復旧は最優先の課題と思います。
これらふ化場は国、県、市町村の支援によって整備が進められるところとなっていますが、被災したふ化場の復旧の見通し、また、閉伊川、小本川、安家川のふ化場は県内でも中心となる施設でありますが、今年度、稼動できないから、放流する稚魚は目標とする4億尾には到底届きそうがないと思っています。ことしの春の稚魚放流をどのように見込まれているのか、またさらに、ことし秋に迎えるサケの漁獲の見通しをあわせてお伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、ふ化場の復旧の見通しについてです。
被災したふ化場のうち、釜石市の鵜住居ふ化場など6施設につきましては、国の災害復旧事業などを活用いたしまして、既に今年度、稼動しております。また、今、委員からお話しがありましたように、被害が大きかった宮古市の松山ふ化場など3カ所におきましては、国の水産業競争力強化緊急施設整備事業を導入いたしまして、原状復旧にとどまらない稚魚生産数の増加、あるいは災害に強い施設の改修など機能強化を図りまして、ことしの秋から稚魚生産ができるように復旧に向けて整備を進めているところです。いずれ、資源造成には健康な稚魚の計画的な放流が重要でありますので、今後とも4億尾の稚魚放流に取り組んでまいりたいと考えております。
また、サケの稚魚の放流数と平成29年度の回帰の見通しです。
今年度、被災したふ化場が位置する河川、例えば閉伊川や安家川にはふ化場はなくてもサケは遡上してまいりました。これらのサケを親として採捕しまして、近隣の近くのふ化場に運んで卵をとり、稚魚生産に今、取り組んでいるところですが、東日本大震災津波後の放流数が少なかったことなどによりまして、県全体の回帰尾数が少なくなりました。そのため卵の確保が困難になり、ことしの春の放流数は目標の4億尾に満たず、8割強の3億3、000万尾ぐらいにとどまる見込みでおります。
また、来年秋の回帰率につきましては、県水産技術センターが河川に遡上した親の年齢を査定しておりまして、どれくらい帰ってくるかを予想いたしましたところ、主群となります4年魚、5年魚の回帰尾数はことしとある程度同水準、似たような水準になるものと予測しておりますので、大きな漁獲は若干望めないと考えております。
このため、県では、業界団体と連携いたしまして、とにかく来年度以降、4億尾の稚魚放流を目指して頑張ってまいります。
〇城内よしひこ委員 いずれ、切れ目のない形でサケの稚魚放流がつながれるような形にしていかないといけない。東日本大震災津波のときも、いち早く皆さんに頑張っていただいて復旧、復興をしたおかげで、ダメージを受けたふ化場も復旧されました。それでもやっぱり影響は出ているわけでありますので、これから考えると、次の4年後がまた心配になるわけであります。ことしの秋に遡上したサケの採卵をしっかりして、次につなげるような対策をとってほしいと思います。
次に移ります。
大波への認識と対策についてお伺いしたいと思います。
大波が最近、多発しております。昨年1月の爆弾低気圧や8月の台風第10号などにより、防波堤の倒壊など、漁港関係で約100億円の被害が出ています。地球温暖化の影響なのか、最近、本県を直撃する台風などが多くなっていると思われます。かなり高い波が発生しているようです。浜ではこれまでにない大波が頻繁に来るようになったと漁師の方々も言っています。防波堤が倒れないように強くするべきだという漁師の方からの声も聞いていますが、県は頻繁に発生している大波について認識はあるのでしょうか。そして、今後どのような対策をとるのかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港課長 近年、頻発しております大波への認識と対策についてですけれども、本県では、漁港施設の設計に用いる沖合の波高を9メートル程度と設定しております。しかしながら、昨年、本県漁港に大きな被害を与えました1月の爆弾低気圧、それから8月の台風第10号におきましては11メートルを超える高波が沖合で観測されております。その対策は重要な課題と私ども認識しております。このため、県では、設計に用いる波高の見直し検討に着手したところでありまして、平成29年度中には新たな波高を設定したいと考えております。
このような取り組みとあわせ、漁船の安全係留確保や漁港内の水産関係施設の防護のため、過去の被害の状況や整備の重要度等を勘案しながら、防波堤や護岸のかさ上げ工事など改良、強化を実施することとしておりまして、平成29年度は、音部漁港など10漁港において安全な漁港づくりを進める予定であります。
〇城内よしひこ委員 東日本大震災津波で傷んだ特に山田町の小谷鳥なども、毎回大波が来るたびに工事が進まないという現場の方々の嘆きの声も聞こえています。ぜひそういう改良復旧というのがあるならばそれにしっかりと取り組んでほしいし、一日も早く復旧してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇阿部漁港課長 確かに小谷鳥漁港は、1度復旧して大体終わりかけたところで再度、台風による高波で被害を受けました。こういった施設につきましては、全てそういうふうに改良するというわけではありませんけれども、現地の状況、それから地域のニーズ、施設の重要度等を十分考えながら、地元の声を十分反映した形で改良復旧について検討してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 次に移ります。
地震や津波に対する漁港施設整備の考え方についてお伺いしたいと思います。
地震や津波に対する漁港施設の整備はどのように今後考えていくのかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港課長 地震、津波に対する漁港施設の考え方ですが、東日本大震災津波により、防波堤、岸壁の倒壊など、漁港施設に甚大な被害が生じ、水産物の陸揚げ、荷さばきなどの水産業の早期再開に支障を来したことから、魚市場前の岸壁などの地震、津波対策は重要な課題と認識しております。
このため、県では、平成27年2月に策定しました岩手県水産基盤整備方針に基づきまして、平成27年度から魚市場前の岸壁、防波堤など主要施設の耐震、耐津波強化に取り組んでおり、平成28年度までに5漁港において岸壁の拡幅などの工事に着手しております。平成29年度においても、重茂漁港など14漁港で引き続き防波堤、それから岸壁の耐震、耐津波強化に取り組み、漁港の防災、減災対策を推進する予定であります。
〇城内よしひこ委員 先ほど来、各委員からお話が出ました担い手を確保する上で、こういう施設の整備というのは大変なことではありますけれども重要な課題でありますし、ポイントだと思っています。そのことによって担い手が新たに入ってくる要素が格段に私は増すと思っています。労力の軽減化、また安全の確保は必要な課題であります。何とかその辺もしっかりとこれまで以上に取り組んでいただかないと、漁業の経営体、人数も先ほどのお話にもありましたとおり1万2、000人から6、000人に減るという大変な状況でありますので、その辺、再度お伺いしたいと思います。
〇阿部漁港課長 東日本大震災津波のときからずっと漁港の復旧に携わっておりますが、1度せっかく直した漁港が高波で壊れる。そのときの漁業者の悲嘆の状況というのは本当に言葉で言いあらわせないぐらい非常につらい状況です。こういった思い、考えを胸に受けとめて、これからしっかりとした漁港整備、防波堤整備を行ってまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 本県はつくり育てる漁業を推進してきました。特にもワカメや昆布で高所得を得ている漁家もたくさんあります。そういった方々が使う施設でありますので、復旧を早目に行ってほしいし、そのことによってまた生産が戻ってくると思います。ぜひお願いしたいと思いますが、最後に、五日市水産担当技監からみんなに伝わるようにお願いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 やはり生産をして漁業をしていく上では、生産物をしっかりつくっていくことが大事であります。そのためには、養殖生産等に対して我々もいろいろな御指導をさせていただきますし、また、施設整備等につきましても、しっかりと漁業者あるいは漁協の要望を聞いてこれからも対応してまいりたいと思います。
〇工藤誠委員 この委員会が終わった後に県北・沿岸復興議員連盟の総会もあるので、早く質問を終われと我が会派の代表が言っておりましたので、1点だけで終わります。
一つは、木質バイオマス発電についてでございますけれども、県内で今、5件のバイオマス発電所が稼動していると聞いております。そのうちの1カ所が私が住んでいる町にありますけれども、去年5月から稼動いたしまして、間もなく1年を迎えようとしています。順調に進んでいるように思っておりますけれども、県内のバイオマス発電所の稼動状況、そして原料である木材の供給体制など、その辺も含めて、今どういう経営状況にあるのか、まずお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 木質バイオマス発電所の稼動状況等についてですが、県内の大型の木質バイオマス発電所は、未利用間伐材などの木質燃料のみで発電するもの、それから石炭やPKSと呼ばれるアブラヤシの種の殻を主体に一部木質燃料も混合して発電するものを合わせまして5施設が整備され、稼動している状況です。
燃料となる未利用間伐材などにつきましては、森林組合などの素材生産団体と、木質燃料を主に使う各発電所等がそれぞれ安定取引協定を締結しており、現時点においては安定的に供給されているところです。このような状況から、各発電所においては順調に発電が行われているものと認識しております。
〇工藤誠委員 順調に運営されているということでよろしいと思いますが、そのことによって山に手が入るということですよね。今まで間伐材、倒木材、そういうものが置きっ放しになったり、なかなかそういう作業が進んでいないという状況がありました。木質バイオマス発電所が稼動したことによって山に事業が入ってきて状況はよくなっていると聞いておりますけれども、そういう整備事業の利用度や森林組合の活動が活発になってきた、そういう現状をどう捉えておられるかお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 木質バイオマス発電所の稼動による山への状況ですけれども、発電所の稼動によりまして、これまで林内に放置されていた未利用間伐材や形質不良木等の新たな需要先が創出されたことから、従来からある製材や合板等の需要とあわせて、本県の森林資源がより有効に活用されつつあるものと認識しているところです。
合板工場や木質バイオマス発電所の本格稼動によりまして本県の素材生産量は今後も増加が見込まれておりますので、お話のありました事業体の活動も活発になっていく方向だと思っております。森林資源の循環利用が進み、林業の活性化につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 発電することが目的でもあるんですけれども、やっぱりしっかりと山に手を入れて、森林資源を守っていくのが一番の目的だと私は思っていますので、そういう事業はどんどん進めていただきたいと思います。
その間伐材等の原料のほか、今、非常に期待されているようですけれども、製材所からの端材、柱をとったり板をとったり、その後に残る端材の活用も非常に盛んであると聞いています。製材所は結構もうかっているのではないかという話も聞いているわけですけれども、そのような状況はどういうふうに県として把握されているのかお聞きしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 発電事業によります製材所への影響ですけれども、製材の過程で発生する端材については、これまでは自社工場のボイラー燃料や製紙用チップ等の原料として利用されてきたところです。木質バイオマス発電所が製材端材を燃料として購入することは、特に近隣に発電所があることは製材所にとって収入増となり得ることになりますので、経営の安定化に貢献しているものと考えております。
〇工藤誠委員 いずれ、間伐材や端材、とにかく原料をしっかりと確保していかなければ、風力発電などと違ってなかなか木はすぐには育たないわけですから、しっかりと原料の確保に努めていただきたいと思います。
そして、最後になりますけれども、この木質バイオマス発電については発電効率が余りよくないと言われておりまして、むしろ熱利用を考えるべきではないかという話がございます。環境生活部の審査のときも出ました。実際、今、熱を使ってマッシュルームをつくっているとか野菜栽培に取り組んでいるというお話もございました。地元にある一つの発電所は、50度ぐらいの温水が出て、そして、だんだんに熱が下がって、35度ぐらいまで下がるようです。ただ、1日50トンぐらいの温水が出るという話がありまして、何とかそれを利用できないかということで、実はウナギを養殖したらどうかという話もあったようですが、稚魚の問題もあって難しかったようであります。
今後、そういう熱利用をどういうふうに進めていけばいいか、県が持っているノウハウ、それから支援できる事業等があればそれをしっかりと地元に伝えていただきたいのでありますが、そのことの考え方をお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 木質バイオマス発電所の熱利用についてでありますが、発電所から排水される温水につきましては農業施設や淡水魚の養殖施設等への利用が期待されているところでありますが、排出される温水の温度や量にマッチした熱需要の確保、それから配管等の設備投資が必要になるということで、現時点におきまして、県内の利用事例はない状況となっております。
しかしながら、近年は他県におきまして農業用ハウスの加温等への実証的な取り組みが行われているほか、本県で稼動している発電所の中には、将来的に、園芸施設への排熱利用を検討しているところもあると聞いております。
今後、県内の発電事業者あるいは市町村から発電所の熱利用について御相談があった場合には、先進事例を御紹介するとともに、必要に応じて、県が委嘱しております木質バイオマスコーディネーターにお願いして指導や助言を行いたいと考えております。
〇工藤誠委員 これで終わりますけれども、この木質バイオマス発電所で発電し、売電することが目的の一つでもあるんですが、しっかりと山を守っていく、森林の多面的な機能を確実に担保していくことが最大の目的ではないかと思いますので、しっかりとその理念を継承していただいて、地元とも連携をとっていただきたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後5時7分 休 憩
午後5時27分再 開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇阿部盛重委員 私から、いわて林業アカデミーについてお伺いします。
入学選考が2月3日で終了したということですが、いずれにしましても、東京オリンピックを含めて国産木材の需要増加も見込まれることもありますし、即戦力となる人材育成は急務の中ということでございますけれども、入学結果の評価はいかがでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 入学結果に対する評価でありますが、現時点での合格者は、高校からの推薦による選考が10名、一般選考が2名の合わせて12名で、いずれも林業への就業を強く希望し、将来、県内の林業現場で中心となって活躍できる優秀な人材が確保できたと考えております。
〇阿部盛重委員 たしか定員が15名とお聞きしていたんですが、定員に満たない問題点は何でしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 現在、最終選考の募集を行っておりまして、締め切りが3月23日ということで、29日に選考試験を行うことにしております。現時点で若干応募の動きが来ておりますので、最終的には人数を満たすものと考えております。
〇阿部盛重委員 これは、定員に満たなかったとしても、一応開講はされるということですね。
〇佐々木森林整備課総括課長 定員を満たすとは考えておりますが、最終選考ということで募集しておりますので、最終的に人が足りない場合は、それは、定員に満たなくても開講します。
〇阿部盛重委員 わかりました。
いろいろな業務、教科があると思うんですけれども、いずれにしましても、最終的には、就職先が決まらないと勉強の意欲も湧かないと思うんですが、林業関係企業や森林組合などが行う実務研修を受けてからの就職先ということだと思うんですが、そのあたりの連携は大丈夫なんでしょうか。
〇佐々木森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの修了生が県内の林業現場で活躍できるよう、業界団体を通じて研修生の雇用を働きかけるとともに、研修期間中のインターンシップなどを通じて、林業事業体とのマッチングを支援するなど、修了生が円滑に就業できるように取り組んでまいりたいと思います。
〇阿部盛重委員 いずれ若い方々が勉強を始めるということですから、先ほどの工藤誠委員の質疑のところで、担い手でそのとおりに再就職が決まらなかったという、また、就職されても途中で挫折したということもあるということです。いずれ、若い方々はいろいろな希望を持って入るんですが、いろいろな壁が出てくるのは事実かと思うんですけれども、そのあたりの対応はどのようにされるのかお伺いします。
〇佐々木森林整備課総括課長 卒業生が卒業した後に、これから事業体のほうに受け入れていただくわけですけれども、現在、林業関係の業界は雇用条件がちょっと弱いところがありますので、その辺の強化をしていかなければいけないところと、事業体の育成といいますか、雇用条件の改善ですとか、あるいは、そもそもその経営力を高めるような支援をこれから行っていきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 入学されてから卒業の間のところもあると思うんですけれども、要するに、例えば思ったとおりに勉強がなかなか覚えられないということですとか、あとは人間関係の問題もあるかと思うんですが、入学してから卒業の間のいろいろな壁に対しての対応を、例えばジョブカフェに依頼して精神的な部分もフォローしていくのか、それとも、あくまでも学校の先生が全て対応されるのか、そこの点をちょっとお伺いします。
〇佐々木森林整備課総括課長 基本的には、職員が中心になって、研修生が途中でやめることがないように、きめ細かくいろいろな相談事に乗ったりしながら、本当に大事に育てていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 わかりました。いずれ大事な方々だと思っておりますので、ぜひ、いろいろな配慮をいただきながら御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 それでは、漁業、水産業の復興の現状についてお聞きします。
漁船、定置網、養殖施設の復旧状況について、これは東日本大震災津波前と比べてどこまで復旧しているか。それと、ワカメ、昆布、カキ、ホタテの養殖生産量、生産額も、東日本大震災津波前と比べて現状はどうなっているか示してください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 東日本大震災津波前からの復旧状況ですが、漁船につきましては1万4、278隻ありましたが、これに対して現在稼働可能な漁船は1万592隻で、74%となっております。
定置網につきましては、東日本大震災津波前351カ統に対し、現在264カ統で、75%となっております。
養殖施設につきましては2万6、514台に対して、1万7、428台が整備されておりまして、66%です。
次に、平成28年度のワカメ養殖でありますが、生産量1万4、900トンで、67%、金額は36億5、400万円で、87%。
昆布では、生産量5、200トンで、46%、金額8億4、400万円で、56%。
カキは、平成28年12月までですが、むき身生産量188トンで、46%。
また、平成29年2月までのホタテガイ養殖は3、100トンで、56%、金額で15億6、000万円で、101%となっております。
〇斉藤信委員 大体7割前後まで全体とすれば復旧してきたとのことです。
それで、深刻なのは、主要魚種が、特にサケ、サンマ、スルメイカがことしは大変な激減だったとのことですが、この現状と、その主な要因を示してください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケにつきましては、生産量で申し上げますと8、745トン、東日本大震災津波前対比で33%、金額は62億円で70%。サンマが2万1、872トンで42%、金額は40億円で116%。スルメイカは4、545トンで25%でありまして、金額は25億円で、76%となっております。
これは、東日本大震災津波前を下回っておりますが、その原因といたしましては、サケは、東日本大震災津波後の稚魚の放流数が少なかったこと、サンマ、スルメイカにつきましては、本県沿岸域に漁期に長期にわたって高水温帯が分布しておりまして、サンマやイカが近寄れず良好な漁場が形成されなかったことが大きな原因と考えております。
〇斉藤信委員 サケについては、北海道もことしは落ち込んだと聞いておりますが、北海道と岩手県の落ち込みの関連性はないのか、あと、宮城県はどうだったのか、追加して示してください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 国の研究機関の調査によりますと、北海道の太平洋岸の漁獲と本県の沿岸の漁獲の動向はリンクしていると報告されております。
また、宮城県のほうは、やはり宮城県、岩手県、北海道とかなりリンクしているような相関が出ているという報告になっております。
〇斉藤信委員 サケは県南で特に激減して驚くぐらい少ないということで、県北は意外と、前年比で超えたところもあるということで、今話された海水温の水域ですか、その影響が大変あったのではないかと思いますが、今後の見通しとしてはサケにしてもサンマにしてもどうなんでしょうか。今後の見通しはどういうふうに見通されているのか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケにつきましては、沿岸の暖水海が影響するのは、漁獲される場所に大きく影響いたしますので、今回の場合は、南のほうが温かくて北のほうに回っていったと考えます。
今後の見通しといたしましては、サケは、やはり東日本大震災津波後の放流数がまだ少ないということもありますので、水産技術センターではしばらくは減少傾向だと見ております。
また、スルメイカにつきましては、国の調査によりますと、やはり資源が少ないということがありますので、来年度も余り好転は見込めないのではないか。
サンマにつきましては、現時点では国の長期予報が出ておりませんので、その出た段階で、またお話をさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 わかりました。この主要魚種が激減して、私は、一番影響を受けているのは水産加工なんだと思うんですね。水産加工の復旧状況、事業再開率、出荷額の東日本大震災津波前との比較も示していただきたいし、特に、ことしはこれだけ主要魚種が激減して、原材料が倍近く上がっているということがどういうふうに水産加工に影響を与えているのか、どういう対策が必要なのか、県としてどう対応しているのか、このことを示してください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 復興局の平成28年8月時点での被災地事業所復興状況調査によりますと、被災事業所の86%が事業を再開または一部再開としております。また、64%の事業所が、ほぼ東日本大震災津波前の状況に復旧したという結果が出ております。
ことしの水産資源の減少によります加工業者への影響ということでございますが、やはり原料が入らなくて、加工の施設そのものをフル稼働できていないという状況があります。
県といたしましては、水産技術センターが中心となりまして、水揚げ状況の情報を各加工業者の方々に提供しておりますし、また、加工原料が多様化するといいますか、今まで使っていた原料を別なものに変えるということになりますと、さまざまな機械設備等もまた変更しなければならないということで、それらも国の事業を導入して対応して、補助するという状況をとっております。
また、遠隔地から原料を調達する状況にあっては、そのかかり増し経費を国の事業を使いまして、制度を活用して助成するという対応をとっております。
〇斉藤信委員 水産加工が東日本大震災津波で壊滅的な被害を受けながら、86%が事業再開して、64%が東日本大震災津波前に回復しているというのは、私はすごい努力だと思います。ただ、ことしのこの原材料高、原料も減っているし、原材料高の影響が恐らく8月の調査では反映されていないと思うので、そして、ちょうどグループ補助を使った方々は、5年目以降から返済が始まるんですよ。そういう意味では二重の厳しさに直面しますので、しっかりした対応をしていただきたい。
特に水産加工の場合には、資料で見ると、これは大体もう700から800億円ぐらいの製造出荷額があって、1、000億円というのはどういうデータかわかりませんが、そういうふうに報道されているものもあります。まさに沿岸被災地の基幹産業ですので、人材の確保を含めて手厚い対策を求めておきたいと思います。
最後です。サケ資源の公平配分をめぐる裁判が行われておりますけれども、この公判の審理状況と論点、そして、今後の見通しについて示していただきたい。
〇赤平漁業調整課長 サケ資源の公平配分を求める裁判の公判状況と論点についてですけれども、これまで6回ほど口頭弁論が行われてきました。裁判では、これまでのところ、県の不許可処分の理由の適法性が主な論点であると認識しております。
それから、今後の見通しですけれども、4月20日水曜日に第7回目の口頭弁論が予定されております。それから、その後の期日に原告及び被告の双方から申請のあった証人に対しまして、尋問が行われるものと想定しております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますけれども、この裁判は、小型漁船漁業の人たちが、東日本大震災津波からの復興の中でとる魚がないということから始まったもので、私は、小型漁船漁業の方々の経営をどうやって維持するかということが根本で問われていると思うので、この点について、私は最後に、裁判にかかわらなくても、この小型漁船漁業の経営の維持確保という点で、県はどう対応しようとするか、このことを聞いて終わります。
〇赤平漁業調整課長 小型漁船漁業の振興についての県の考え方ですけれども、先ほどのお話のとおり、水産資源はかなり自然環境に左右されるものでして、場合によっては広域的な漁場管理も必要になります。
そういった意味では、水揚げが不安定でありますので、県としては、国の資源管理漁業経営安定対策事業あるいは漁業系セーフティネット構築事業を導入いたしまして、経営の安定化を促進しているところです。
事業の要件となる漁協の資源管理計画の策定を支援いたしまして、漁船漁業者の収入安定対策に取り組んでいるところです。
〇小西和子委員 それでは、私から、まず、いわての森林づくり県民税事業について伺います。
いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状況で引き継いでいくために、平成18年度に創設され、今年度は3期目の初年度でした。今年度分を含めまして、残る1万ヘクタールを5年間である程度めどをつけるという計画を立てていると捉えております。
では、平成29年度のいわての森林づくり県民税の税収の見込みを伺います。
平成28年度いわて環境の森整備事業が3月10日時点見込みで770ヘクタールと大幅に目標を下回りました。これは、東日本大震災津波からの復旧や台風第10号被害からの復旧のため、事業実施主体側の人員の確保が困難であったことが要因であると捉えております。
平成29年度の計画が今年度の実施の倍の1、500ヘクタールになっておりますけれども、目標達成のためどのように取り組まれるのかお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、税収についてでございますけれども、平成29年度の税収の見込みにつきましては、個人の方から6億1、000万円、それから、法人の方からは1億5、000万円ということで、合わせて7億6、000万円の税収を見込んでいるところです。
それから、環境の森整備事業の施行地確保のお話ですけれども、本事業の実施主体の7割を森林組合が占めているということがありまして、今年度、既に県森林組合連合会を訪問して、組合系統での施行地確保を働きかけるとともに、地域説明会の開催でありますとか、新たな民間事業体の掘り起こしにも努めたところであります。
来年度につきましては、さらに個々の森林組合を訪問して、きめ細かく施行地確保の働きかけを行うほか、労務確保のために森林組合間で協力を促すといったこともやって、施行地確保に向けて取り組みを強化していきたいと考えております。
〇小西和子委員 施行地確保がまず課題なわけですね。それで、市町村の広報に森林所有者向けの広報の掲載を依頼していると伺っております。効果のほどはいかがだったのかと、あわせて平成29年度のいわての森林づくり県民税の認知度を上げるための取り組みをお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、広報の効果ですが、今年度新たに市町村に森林所有者向けの広報掲載を依頼したところです。その結果、環境の森整備事業の内容や活用に向けた問い合わせを10件ほどいただいているところです。
それから、来年度におきましては、従来の取り組み、テレビCM、新聞広告といったものに加えまして、森林公園などへのPR案内板の整備でありますとか、各種イベントにおきましては、本県の森林林業のキャラクターであるカンバツ君の着ぐるみを活用するなど、認知度向上に努めていきたいと考えております。
〇小西和子委員 カンバツ君も登場しましたので、ぜひ活用してください。
3月11日に釜石から帰ってくるときに、遠野のあたりでこういう横断幕を見ました。すごく効果があるのではないかと思います。ぜひ、こういうことを広く県民の皆さんに、いわての森林づくり県民税によって、こういうふうに手入れをした森林というのはいいものだとアピールをしていただければと思います。
事業評価委員会では、担当の方がすごく熱心だと褒めているんですね。そして、ほかの県からは、これだけきちっとやっているところはないという発言もあります。次年度もよりよい事業となるよう要望いたします。
気になることが一つあります。国が森林整備の新税を議論しております。いわての森林づくり県民税事業に与える影響を現時点でどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 国による新税の検討でございますけれども、昨年12月に公表されました平成29年度与党税制改正大綱におきましては、森林環境税(仮称)の創設に向けて、具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成30年度の税制改正において結論を得ると、期限を切った形で示されているところです。
国が検討を進めている森林環境税は、森林吸収源対策を推進するために、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるものとされているところでありまして、一方、本県のいわての森林づくり県民税につきましては、森林の公益的機能を維持増進させ、森林を良好な状態で次の世代に引き継ぐためのものですので、目的の違いはあると認識しているところです。
今後、国におきましては、地方公共団体の意見も聞きながら検討を進めると伺っておりますので、本県も含め37府県が導入している独自課税との関係も含めて、国の制度設計をしっかりと注視してまいります。
〇小西和子委員 では次に、海岸防災林の復旧状況について伺います。今まで私は防潮林と言っているので、同じものと捉えてよろしいですね。
それでは、簡潔にお伺いします。平成28年度の海岸防災林の復旧状況を伺います。それから、平成29年度の復旧計画についてお伺いいたします。苗木の確保状況についても、まとめてお伺いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 平成28年度の復旧状況についてでありますが、復旧を予定している海岸防災林19地区のうち、平成28年度末までに12地区、37ヘクタールに着手となっているところです。
平成29年度については、新たに2地区、1ヘクタールに着手する計画としており、平成28年度末までに着手している12地区と合わせて、14地区、38ヘクタールの着手となる予定であります。
残る5地区については、他所管の防潮堤工事の進捗との調整に時間を要しており、早期の着手に向け取り組んでまいります。
苗木の確保状況についてでありますが、平成32年度までに約35ヘクタールの植栽の計画があり、その必要な苗木は、クロマツ、アカマツを含めて17万5、000本で、必要本数については調達できる見込みとなっております。
このうち、クロマツについては、全国から松くい虫抵抗性種子を提供いただき、また、アカマツについては、県林業技術センターで選抜した種子を確保し、岩手県山林種苗協同組合に苗木の育苗、供給を依頼しているところです。
〇小西和子委員 順調に復旧していることをお伺いして安心いたしました。
最後ですけれども、高田松原でのイベントということで、ことしの5月29日に一般県民等による再生記念植樹会を開催予定と聞いておりますけれども、その詳細についてお伺いいたします。
〇漆原森林保全課総括課長 まず、開催日は5月27日土曜日です。
詳細につきましては、県の防災林の造成事業により生育基盤となる盛り土造成工事が進み、平成29年春から本格的な植栽に着手することとなったことから、県、陸前高田市、陸前高田市森林組合、NPO法人高田松原を守る会の4団体で実行委員会を組織し、平成29年5月27日に高田松原の再生に向けた第一歩となる記念植樹会を開催するものです。
開催に当たり、全国から一般参加者を募って、約250名の参加のもと、松くい虫抵抗性クロマツを1、250本植栽いただき、美しい高田松原の姿を取り戻していきたいというものであります。
〇小西和子委員 白砂青松の美しい風景は、先人が長い年月、心血を注いで育成したものと捉えております。それを取り戻すためにも、今後も取り組みの強化をお願いいたしまして、終わります。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇臼澤勉委員 私も簡潔に質問させていただきます。
今、小西委員から、いわて森林づくり県民税のお話がありました。私からは、どの程度の方々が認知されているのか、まずお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 平成27年度に実施いたしましたアンケート調査では、県民2、000人のうち、県民税の導入を知っていると答えた方の割合は35.3%となっていたところです。
また、本年度実施いたしましたインターネットを活用した調査におきましては、サンプル数が少ないところはあるんですけれども、認知度が37.5%になったところです。
〇臼澤勉委員 つまり3人に1人しかまだ知られていないということなんですね。住民税と合わせて自動的に負担しているということで、私は、なぜこれを聞くかといいますと、やはり県民から広く御負担をいただいておりますので、負担と便益、ここをしっかり図っていく必要があろうと思います。
先ほど伊藤委員からもお話がありましたが、私は、例えば流木対策であったり、鳥獣被害対策とか、やはりそういう安全確保とかにも利用するような形で、他の都道府県でもやっているように、もう少し対象を広げてもよろしいのではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 現行制度におきましては、水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、県民理解の醸成を図るための地域住民活動などに支援をしているところです。
このため、鳥獣被害でありますとか流木対策といったものはこの県民税の対象とはなっておりませんが、その重要性は認識しているところでして、この県民税のあり方につきましては、今後、外部有識者等で構成する事業評価委員会で、県民の皆様や県議会の御意見などを参考にしながら検討してまいります。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いします。
次に、いわて林業アカデミーについては、先ほど阿部委員からもお話がございましたが、かぶらないところでお伺いいたしますが、今回の募集要項もいただいておりまして、まさに中核を担う林業経営者を今回育成するということで、林業技術センターには、さまざまな多くの機械がございます。ああいう林業機械を使った研修とか、資格取得の研修、実践的な研修があると伺ってございますが、どの程度の人材を育成していこうとお考えなのか、何年間実施して、最終的にどのぐらいの将来の経営体を育成しようとしているのか、具体にどんな研修をして育成していくのかお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーでの実施期間や育成予定人数についてでありますけれども、有識者等で構成しているいわて林業アカデミー運営協議会、あと林業事業体等で構成するいわて林業アカデミーサポートチームというものがあります。そちらの意見を伺いながら、人材育成に係るニーズ等を踏まえながら検討していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 来年度から始めるということでございますので、ぜひそこら辺も含めて育成を図っていっていただければと思います。
そして、私は、1年間研修をしまして資格を取った後、やはり就職先といいますか、企業とのマッチング支援にしっかりと取り組んでいかなければいけないと思います。インターンシップも複数回行うとは聞いておりますけれども、そこの取り組みについてお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 研修期間中に職場訪問ですとか、いろいろな見学などもありまして、いろいろな事業体とかを知る機会も設けます。また、インターンシップで、実際に自分がこれから仕事をしてみたいと思うようなところをしっかりと研修させていきたいと思っております。その辺で、ある程度広い視野を持ちながら、自分の進みたい道をしっかりと選んでいただけるようにしていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 ぜひお願いしたいと思うんですが、なぜそういうことを聞くかというと、今、林業の抱える構造的な問題がいろいろあろうかと思います。それは、まず、木材需要の7割が輸入木材であるとか、そうやって、価格の低迷、所得の減少、そして生産、流通構造のそもそもの改革が求められている中で、いわて林業アカデミーの卒業生の方々が、山に入っていって、所得を上げて一人前になっていくといった構造的な問題にもしっかり取り組まなければいけないと思いますが、来年度は、何を重点的に取り組むお考えかお伺いいたします。
〇佐々木森林整備課総括課長 構造的な課題ということになれば本当にたくさんあるわけですけれども、特に、このいわて林業アカデミー絡みで言えば、やはり卒業していく修了生の皆さんが、本当に生涯ずっと自分の仕事としていけるような環境をつくらなければいけないと考えております。
その意味では、受け皿となる林業事業体の体質改善、あるいは本当に安心して子供を持って仕事を続けていけるような労働条件、待遇改善は、すごく重要だと認識しておりますので、その辺の待遇改善に向けた、あるいは林業事業体そのものの体質強化に向けた取り組みを重点的に進めていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 本当にさまざまな課題があると思いますけれども、ぜひ一つ一つしっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
最後に、原木シイタケの産地再生についてお伺いいたします。
先月28日に原木シイタケの出荷制限が一部解除されまして、奥州市や花巻市を含めた5市で、27名の方が新たに出荷可能となったとお伺いしておりますが、現在の出荷制限の状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 露地栽培の原木シイタケにつきましては、現在13市町で出荷制限が指示されておりまして、そのうち12市町の171名に対して、国の出荷制限が一部解除され、出荷再開が可能となったところです。
今後も、生産、出荷を希望する生産者については、シイタケが発生する段階で順次検査を実施いたしまして、数値が十分に低いことを確認した上で、国と協議を進め、早期の出荷制限解除により本県のシイタケ産業の再生を図ってまいります。
〇臼澤勉委員 この出荷制限が解除されたとしても、原木シイタケの生産資材の再整備とか市場価格の変動など、さまざまな課題があると思います。県として、こういった課題にしっかりと取り組んでいく必要があろうかと思いますけれども、そこにどのように取り組んでいくのか、御所見を聞いて、終わりにしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 生産の再開につきましては、出荷制限解除の重要な要件となります栽培管理の確実な実施や、安全なシイタケ原木の確保等が課題となりますことから、ほだ場における落葉層除去などの環境整備の実施、原木や採取されたシイタケの放射性物質の検査、原木等の生産資材の助成などに取り組んでいるところです。
また、持続的な経営のためには、シイタケ原木の安定供給、価格変動に対応した資金繰りの円滑化等が課題と考えておりまして、原木につきましては、関係団体と連携して広域的な需給調整に取り組むとともに、東京電力からの賠償金が得られるまでのつなぎ融資などを行っているところです。
生産者の皆様が希望と意欲を持って産地の再生に取り組んでいただけるよう、引き続き支援をしてまいります。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時8分 散 会

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