平成29年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 6 号)
平成29年3月13日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
労働委員会
事務局長 桐 田 教 男
参事兼審査調整課
総括課長 花 山 智 行

商工労働観光部長 菊 池   哲
副部長兼
商工企画室長 新 屋 浩 二
雇用対策・労働
室長 高 橋   徹
ものづくり自動車産業振興室長 戸 舘 弘 幸
商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭
商工企画室
管理課長 岩 渕 伸 也
経営支援課
総括課長 高 橋   毅
産業経済交流課
総括課長 押 切 拓 也
地域産業課長 高 橋 孝 政
観光課総括課長 平 井 省 三
雇用対策課長 高 橋 利 明
労働課長 工 藤 直 樹
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 高 橋 喜 勝
自動車産業振興
課長 瀬 川 浩 昭

企業局長 菅 原 伸 夫
次長兼
経営総務室長 坂 本 誠 一
技師長 中屋敷   暢
経営総務室
管理課長 及 川 立 雄
経営企画課長 藤 原 清 人
業務課総括課長 細 川 普 基
電気課長 吉 田 悟 規

財政課総括課長 小 原   勝
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第27号から議案第30号まで及び議案第32号の以上25件を一括議題といたします。
本日は、労働委員会、商工労働観光部及び企業局関係について、延べ14人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
最初に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇桐田労働委員会事務局長 労働委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の148ページをお開き願います。第5款労働費第3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、119万3、000円は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15人に対する報酬及び旅費等の事務費であります。次に、2目事務局費8、800万1、000円は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員10人の人件費及び旅費、需用費等の事務費であります。合わせますと149ページの計の欄の1億1、919万4、000円となるものであります。
以上で労働委員会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこと、また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び執行部の答弁は簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 労働委員会の活動に敬意を表して質問をさせていただきます。
労働委員会が果たしてきている役割は承知をしているつもりでありますけれども、それが広く県民の皆さんにしっかりと伝わっているかどうかということが、これから働き方改革等含めて大事になってくると思っております。
そういう部分を含めて、まずは、現在、現状と課題をどのように把握されているのか。特に、労働問題の傾向はどういう形になってきて、そして、どのような形で推移してきているのかお示し願いたいと思います。
〇花山参事兼審査調整課総括課長 労働委員会の現状と課題についてでありますが、直近の3年間と平成29年2月末における労働事件等の取り扱い状況を申し上げます。
不当労働行為の審査事件が平成25年度と平成26年度は各1件、平成27年度は2件、平成28年度は5件、労働争議のあっせん事件が、平成25年度は2件、平成26年度は5件、平成27年度と平成28年度はゼロ件となっております。個別労働関係紛争あっせん事件が、平成25年度と平成26年度は各1件、平成27年度は9件、平成28年度は4件、労働相談が、平成25年度は202件、平成26年度は191件、平成27年度は322件、平成28年度は426件となっております。
このように、近年では、労働組合の組織率の低下などから、いわゆる集団的労使紛争、労働組合と使用者との間の紛争が従前に比べて少なくなっておりますが、一定程度の取り扱い件数がございます。
一方、雇用形態の多様化などから個別的労働関係紛争、労働者個人と使用者との間の紛争がふえる傾向にありまして、特に、個別労働関係紛争あっせん事件は、平成27年度、平成28年度と従前よりもかなり多くなってきております。
また、労働委員会への労働相談件数は、労働相談フリーダイヤルを開設した平成25年度以降、大幅に増加しており、平成27年度は過去最高の322件となっておりますが、平成28年度も426件と既に平成25年度の約2倍となるなど、増加傾向が続いております。
労使紛争の当事者が労働組合から労働者個人に移ってきている状況を踏まえまして、課題としましては県民への認知度の向上を図ることであり、このためには、労働委員会制度の周知を図るとともに、県民にとってより身近で利用しやすい機関となるよう努めていくことが重要であると認識いたしております。
〇軽石義則委員 大分課題、現状も変化してきているということであります。労働委員会は県庁に置かれております。岩手県は広い県土でございますので、やっぱり遠隔地では、そういう意味では、相談に来たくてもなかなか来られないということもあると思います。現場に課題がなければ、そういうものがないことが大事だとは思うんですけれども、あっせんを含めて届かない声もあるのではないかと私は思っておるのですが、それら広い県内にどういう形で今まで対応されてきたのかお示し願いたいと思います。
〇花山参事兼審査調整課総括課長 これまでの取り組みについてでございますが、当委員会におきましては、県民により身近で利用しやすい機関となるように、平成25年度から3カ年の活性化計画を策定し、現在は、平成30年度までの第2次活性化計画において取り組みを進めているところでございます。
課題として取り組んでいる認知度の向上につきましては、まず、制度周知の取り組みとして、労働委員会の公労使委員3者構成によるきめ細やかな対応などの特徴や労働相談専用フリーダイヤルの番号を掲載した労働委員会独自のポスターやチラシを作成しまして、労働基準監督署やハローワークを初め、市町村、商工団体等に広く掲示、配架しておりますほか、本年度は、IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道での列車内中づり広告を実施するとともに、10月の個別労働紛争処理制度周知月間にあわせまして、テレビ広告によるPR等により広く制度を紹介しているところでございます。
また、県民にとって身近で利用しやすい県民サービスの向上を図る取り組みといたしまして、労使間のトラブルを気軽に相談できるよう、労働相談専用フリーダイヤルを運用するとともに、県内12カ所ということで、遠隔地にも出向きまして、土日に出前無料相談会を開催いたしております。
そのほか、労働者団体や経営者団体等に出向いて、労使紛争解決のポイントや委員会制度を紹介する出前講座を実施し、さらに、遠隔地にある事業所所在地でのあっせんにつきましては、現地あっせん、夜間あっせんも実施いたしまして、県民の利便への配慮にも努めているところでございます。
なお、出前講座につきましては、今年度から、大学で3回、県立高校で2回実施したところでありますけれども、アンケート調査の結果、聞きたい内容が十分に盛り込まれていた、あるいは就業する上で大変役に立ったといったことで好評でありましたので、今後とも、関係部局等と連携し、ニーズを把握しながら取り組んでまいります。
これに加えまして、岩手労働局、岩手弁護士会、岩手県社会保険労務士会などの労働相談解決機関との連携が重要と考えておりまして、その関係機関で構成されます岩手労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会において、それぞれの制度の運用状況について情報交換などをしながら、労働相談やあっせん制度の周知等で引き続き連携を図ってまいります。
今後とも、委員の活動をサポートしながら、公労使3者構成によるきめ細やかな対応による紛争解決機関としての労働委員会制度の周知、県民へのサービスの充実に努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 かなりいろいろな方法を工夫して取り組まれていることがわかりました。特に、就業前の学校への出前講座の効果がアンケートでも出ているということですので、さらに広げていただいて、やはり県内全域でそれを知っていただくような取り組みにつなげていただきたいと思います。
加えて、各団体でそれぞれ労働相談等、いろいろな形でやっていただいておりますので、その連携をより強固なものにしていただくことによって情報の共有-労働委員会の価値は、私はあっせん、いわゆるまたもとの場所に戻って働き続けることができることを公労使で道案内できるという非常にいい制度だと思っております。そのことがないと、白か黒かの判定だけでは、また職場に戻ることが難しいという過去の経験も多くありますので、それらしっかり今後も進めていただきたいと思います。
これまで、今、私が話をしたようなことを労働委員会も、そういう意味では、その役割自体を把握され、確認されて進んでいると思うんですけれども、局長から、労働委員会がこれまで果たしてきた役割をどう捉えて、これからさらにどうしていきたいかを聞いて、終わりたいと思います。
〇桐田労働委員会事務局長 労働委員会が果たしている役割についてでありますが、労働委員会は、中立、公正な立場で労使間の紛争の解決を図るために設けられた行政機関であります。労使間に紛争が起きた場合に、公平な第三者による仲立ちとしての紛争解決を援助する機関及び使用者が法律で禁止されている不当労働行為を行ったときに労働者を救済する機関として、労使関係の円滑化が図られるように、労使間の潤滑油としての役割を担っております。
労使間の紛争を解決に導く役割を担っている労働委員会制度の最大の特徴は、労働委員会の委員が、公益を代表する公益委員、労働者を代表する労働者委員及び使用者を代表する使用者委員が、それぞれ5人ずつで構成されておる、いわゆる3者構成であります。公労使の委員がそれぞれ専門的な識見を出し合って、公益及び労使の利益を適切に調和させようとするものであります。
この3者構成は、紛争当事者にとりましても、労使どちらにも偏りがなく中立、公正が担保されること、それぞれの立場を理解した委員が当事者に寄り添って話を聞くことにより、参加する労働者も使用者も安心して制度を利用できることなどのメリットがございます。
今後におきましても、最大の特徴でありますこの3者構成を最大限に生かして、円滑な労使関係の構築、労使紛争の円満な解決に向け、県民ニーズに対応して、当事者双方の立場を踏まえた紛争解決機関としての役割を果たすよう全力を尽くしてまいります。
これまでの委員の皆様方の中で言われてきたことでございますが、労働委員会は打って出る、県が広い中で、労働委員会は県庁にしかございませんので、先ほど委員から御紹介がありましたように、どんどん県民のそばに寄り添って、打って出るという姿勢で今後とも全力を尽くしてまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
労働委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇菊池商工労働観光部長 商工労働観光部関係の平成29年度歳出予算について御説明申し上げます。
初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、東日本大震災津波からの復興に向け、来年度をさらなる展開への連結期間のスタートとして、暮らしの再建やなりわいの再生の取り組みを着実に推進するとともに、いわて県民計画に掲げる産業創造県いわての実現に向け、限られた行財政資源の中で集中と選択を図りながら、産業の一層の振興と雇用、労働環境の整備を推進するための予算として編成させていただいたところであります。
まず、復興計画関係の取り組みでありますが、暮らしの再建については、産業振興施策と一体となった安定的な雇用の創出や労働環境の整備に取り組んでまいります。
また、なりわいの再生については、被災した中小企業の事業再生を初め、復旧後の持続的発展に向け、創業支援の強化やまちづくりと連動した新たな商店街の構築への支援に取り組んでまいります。
次に、産業創造県いわての実現についてでありますが、まず、地域経済を牽引するものづくり産業の振興を図るため、重点分野である自動車、半導体関連産業の集積促進に加え、これらに続く成長分野の振興に努めてまいります。
また、企業の誘致や県内企業の生産性、付加価値の向上を図るほか、産学官金が連携し、すぐれた産業人材の育成と県内への定着を促進します。
次に、中小企業振興基本計画に基づき、企業の経営革新に対する支援や、事業活動を担う人材の育成等の支援の充実と強化など、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。
また、県産品に対する信頼を一層高め、販路の拡大を図るため、商品の魅力向上や新たな購買層の開拓につなげる取り組みを進めるとともに、アパレルや漆等、すぐれた地域資源を生かした産業の振興を推進します。
さらに、国内外からの観光客の誘致を促進するため、市町村等の地元の力との連携、協働を進め、魅力的な観光地づくりと効果的な情報発信等に取り組むとともに、特に国際観光におきましては、東北各県と連携したプロモーション展開や受け入れ態勢の充実を図ってまいります。
また、若者や女性の県内での就業の一層の促進を図るため、オール岩手の関係機関で設立したいわてで働こう推進協議会を中心に、県内就業の促進や働き方改革の取り組みを官民挙げて推進します。
以上が予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、これら施策の推進に当たっては、それぞれの地域が持つ特性や魅力、人材などの資源が最大限に活用されるよう、関係機関などとも連携しながら取り組んでまいります。
それでは、予算議案について御説明申し上げます。
まず、議案第1号平成29年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の7ページをお開き願います。5款労働費のうち、1項労政費及び2項職業訓練費の合計34億9、375万2、000円と7款商工費の1、358億7、474万2、000円、9ページに参ります、11款災害復旧費4項商工労働観光施設災害復旧費の86億5、635万3、000円と13款諸支出金3項公営企業負担金の一部2、773万8、000円、合わせまして1、480億5、258万5、000円が商工労働観光部関係の予算の総額でございます。これを前年度の当初予算と比較いたしますと53億6、174万4、000円の減、率では3.5%の減となっております。減額となりました主な理由といたしましては、事業復興型雇用創出事業費補助の28億5、990万円余、中小企業経営安定資金貸付金の16億3、794万円余の減などによるものでございます。
なお、このほか、組織改編に伴いまして、国際関係予算を政策地域部へ3、094万4、000円、障がい者のスポーツ振興関係予算を新設の文化スポーツ部へ2、553万5、000円移管することとしております。
以下、予算の内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
それでは、予算に関する説明書の143ページをお開き願います。まず、5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、関係職員の給与費や労働情報の把握及び労働組合調査などに要する経費でございます。2目労働教育費は、労働環境の整備や労働紛争の未然防止等を図るための雇用・労働フォーラムの開催などに要する経費でございます。144ページに参りまして、3目労働福祉費でありますが、説明欄一つ目の労働者等生活安定支援資金貸付金などに要する経費でございます。4目雇用促進費でありますが、説明欄上から八つ目のいわてで働こう推進事業費は、若者や女性の県内就業の一層の促進を図るため、いわてで働こう推進協議会において、オール岩手で人材の確保や定着の取り組みを推進しようとするものであります。次のいわてしごと人材創生事業費は、企業の人材確保に対応するため、求職者への就職、職場定着の支援、首都圏の大学生等を対象としたインターンシップの支援等を実施しようとするものであります。次のいわて働き方改革等推進事業費は、長時間労働の是正などの働き方改革を推進するとともに、正規雇用の拡大等を図るための取り組みを実施しようとするものであります。次の事業復興型雇用支援事業費は、被災地の事業所が被災求職者を雇用する場合に、雇い入れに要する経費の補助や新たに一般求職者の雇い入れのために要した住宅支援経費の助成等を実施しようとするものであります。
146ページに参ります。2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、説明欄上から三つ目の認定職業訓練費は、認定職業訓練を実施する職業訓練団体に対し、運営費及び設備整備費の一部を補助しようとするものであります。2目職業訓練校費でありますが、説明欄上から一つ目と二つ目の管理運営費及び公共職業能力開発費は、産業技術短期大学校等の職員給与費及び運営費であります。説明欄下から二つ目の就職支援能力開発費は、離職者等の職業能力開発の実施による再就職の支援、母子家庭の母等に対する自立促進を実施しようとするものであります。
次に、180ページに参ります。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、説明欄一番上の管理運営費は、関係職員の給与費や事務経費など、管理運営に要する経費であります。その七つ下のものづくり人材育成定着促進モデル事業費は、関係機関と連携し、高校生等に対する地元企業への理解促進や早期離職対策等の取り組みを推進しようとするものであります。説明欄下から八つ目の中国における岩手認知度向上促進事業費は、中国における岩手の認知度向上と輸出拡大を図るため、岩手に関する情報発信等を強化しようとするものであります。次の雲南省交流・連携推進事業費は、連携協定を締結しました雲南省との幅広い交流を促進するため、南アジア博覧会への出展や相互の訪問団交流等を実施しようとするものであります。その二つ下の欧州県産品プロモーション推進事業費は、ミラノ国際博覧会等で構築いたしましたネットワークなどを活用し、県産品の販路拡大と交流人口の拡大につなげる取り組みを実施しようとするものであります。次に、181ページに参りまして、2目中小企業振興費でありますが、説明欄上から八つ目の中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、被災事業者に対し、所要資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託し、早急な事業活動の再開等を支援しようとするものであります。説明欄中ほどの商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会議所等が行う小規模事業者の経営改善普及事業等の実施に要する経費を補助しようとするものであります。その四つ下の岩手産業復興機構出資金は、被災事業者の二重債務問題の解決を図るため、債権買い取り支援を行う岩手産業復興機構に出資している岩手中小事業者支援投資事業組合に対して出資しようとするものであります。次の中小企業被災資産復旧事業費補助は、市町村が行う被災事業者の施設等の復旧に対する補助事業に要する経費を補助しようとするものであります。次の被災商店街にぎわい支援事業費は、被災地域の商業機能の回復及び持続的な発展を図るため、専門家派遣等により、商店街や共同店舗の整備、運営に係る取り組みを支援しようとするものであります。次の被災中小企業重層的支援事業費は、各商工団体等が行います被災事業者の再建支援に要する経費に対し、補助等を行おうとするものであります。その二つ下の次世代経営者育成事業費は、若者、女性等の創業機会の創出や若手経営者、後継者の経営力の強化を図ろうとするものであります。次の商工指導団体機能強化緊急支援事業費補助は、平成28年台風第10号において甚大な被害を受けた3市町の商工会議所等が行う相談対応及び経営指導に要する経費の補助を行おうとするものであります。説明欄一番下の自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の集積に向けて、県内企業の生産体制強化や取引拡大の支援等、総合的な取り組みを推進しようとするものであります。次に、182ページに参りまして、説明欄上から五つ目のものづくり革新推進事業費は、企業における高付加価値製品の開発と生産性向上の取り組みを支援するとともに、メイカー塾の開催やファブ施設の設置等により、個人が物のつくり手となることで、豊かな社会の実現を目指すメイカームーブメントを推進しようとするものであります。次の地域クラスター形成促進事業費は、県内の中核的企業と地場企業群とのサプライチェーンを構築し、地域経済に好循環をもたらす地域クラスターの形成を促進しようとするものであります。その七つ下のいわての食と工芸魅力拡大事業費は、風評被害のさらなる払拭といわてブランドの確立に向け、県産品の販路拡大、魅力向上等につなげる取り組みを実施しようとするものであります。次に、いわての漆産業新時代開拓事業費は、県産漆の生産拡大や漆文化の魅力向上を図るため、漆振興に向けた推進体制の強化や情報発信などを実施しようとするものであります。3目企業立地対策費でありますが、説明欄上から二つ目の企業立地促進資金貸付金は、県内に工場等を新設または増設する企業に対し、設備資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託し、企業立地の促進を図ろうとするものであります。次の企業立地促進奨励事業費補助は、工場等の立地を促進するため、市町村が行う補助事業に対し、その経費を補助しようとするものであります。次の県北広域産業力強化促進事業費補助は、県北地域における生産性、収益性向上に取り組む企業に対し、市町村が行う補助事業に要する経費を補助しようとするものであります。183ページに参りまして、4目中小企業経営指導費でありますが、説明欄二つ目の中小企業ベンチャー支援事業費は、中小企業やベンチャー企業の育成を図るため、公益財団法人いわて産業振興センターが行う経営相談、専門家派遣等の事業に対し、補助しようとするものであります。5目貿易振興費は、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターの事業運営経費に対する負担金であります。6目工業技術センター費は、地方独立行政法人岩手県工業技術センターに対する運営費交付金及び設備整備に要する経費の補助であります。
次に、184ページに参りまして、2項観光費1目観光総務費でありますが、説明欄一番上の管理運営費は、関係職員の給与費、家族旅行村等の管理運営に要する経費であります。説明欄中ほどのいわてインバウンド新時代戦略事業費は、外国人観光客の拡大を図るため、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催等も見据え、戦略的、効果的なプロモーションを実施するとともに、受け入れ態勢整備を支援しようとするものであります。次の三陸観光地域づくり推進事業費は、政策地域部から移管される事業でありまして、三陸DMOが主体となり、戦略的な観光地域づくりやプロモーションを展開するために必要な調査や人材育成などを実施しようとするものであります。次のいわて三陸に行こう誘客促進事業費は、三陸のさまざまな地域資源を活用した効果的な情報発信、誘客活動等のプロモーションを実施しようとするものであります。2目観光施設費は、岩洞湖家族旅行村等の県有観光施設に係る修繕等を行おうとするものであります。
次に、235ページをお開き願います。11款災害復旧費4項商工労働観光施設災害復旧費1目商工観光施設災害復旧費でありますが、中小企業等復旧・復興支援事業費、いわゆるグループ補助でございますが、被災事業者が一体となって復旧、復興を行う場合に、国と県が連携して当該事業に不可欠な施設等の復旧、整備に対し、補助しようとするものであります。
次に、242ページをお開き願います。13款諸支出金3項公営企業負担金1目公営企業負担金のうち、説明欄一番下の工業用水道事業会計負担金は、工業用水を低廉かつ安定的に供給し、企業の立地を推進するため、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設の維持に係る経費の一部を負担しようとするものであります。
次に、組織改編に伴いまして政策地域部へ移管する事業でありますが、恐れ入りますが、戻っていただきまして、95ページをお開き願います。2款総務費4項地域振興費4目国際交流推進費の説明欄下から五つ目の国際経済交流推進事業費は、中国の大連との連携協定に基づく定期友好協議及び日中経済交流会議を実施しようとするものであります。説明欄一番下の北東北3県・北海道ソウル事務所管理運営費は、韓国からの誘客及び物産の販路拡大等を促進するため、北東北三県及び北海道で共同設置しておりますソウル事務所の管理運営に要する経費であります。
次に、文化スポーツ部へ移管する事業でありますが、103ページをお開き願います。2款総務費8項文化スポーツ費3目スポーツ振興費の説明欄下から四つ目の勤労身体障がい者体育館管理運営費は、勤労障がい者の社会参加の促進及び健康増進のため設置している同体育館の指定管理委託料でございます。
以上で一般会計歳出予算の御説明を終わらせていただきます。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その1に戻りまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係のものは、事項欄4から10までの7件でございます。内訳は、損失補償に係るもの4件、保証料補給に係るもの2件、離職者等再就職訓練に係るもの1件であり、これらについて、それぞれの期間及び限度額を定め債務を負担しようとするものでございます。
次に、特別会計について御説明申し上げます。
31ページをお開き願います。議案第6号平成29年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ46億3、097万9、000円とするものであります。
次に、32ページに参ります。第1表歳入歳出予算の歳入でありますが、1款繰入金1項一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資及び貸付事務費に充てるため、一般会計から繰り入れようとするものであります。
2款繰越金1項繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
3款諸収入1項貸付金元利収入は、設備資金貸付等の貸付償還金であり、2項預金利子は、歳計現金の利子、3項雑入は、中小企業高度化資金の延滞違約金収入等であります。
4款県債1項県債は、被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付金の貸付原資として、独立行政法人中小企業基盤整備機構から借り入れしようとするものであります。
次に、33ページに参りまして、歳出でありますが、1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付に要する資金の貸し付けを行うほか、国と独立行政法人中小企業基盤整備機構及び一般会計に対する償還金等であります。
2項貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する事務経費のほか、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付等に要する事務経費に対する補助であります。
以上で商工労働観光部関係の議案の御説明を終わらせていただきます。御審議のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木朋和委員 私から、観光振興策についてお伺いしたいと思います。
まず、国は2017年度から2020年度が対象期間となります観光立国推進基本計画の改定素案を出しておりまして、年間訪日客4、000万人、また、東北の観光復興ということで、東北の外国人延べ宿泊者数を1年間で150万人増を目指すとしておりまして、その戦略として、農山漁村体験型宿泊を全国500カ所でビジネス化すると。また、文化財を活用した観光拠点を200カ所設置する。国立公園の訪日外国人を倍の1、000万人とするなどなど、いわゆる地域資源の掘り起こしを行って、既存の観光コンテンツ以外の魅力を加えながら集客につなげようという戦略を立てております。
本県の来年度予算も、それを反映しまして、商工労働観光部以外でも政策地域部、環境生活部、農林水産部、県土整備部、復興局、また教育委員会、新設の文化スポーツ部と、それぞれほとんど全ての部局に観光関連予算がつく状況となっております。
一方、過去を見ますと、地域資源の掘り起こしであるとか体験型プログラム、着地型旅行あるいは農商工連携という名前でさまざまなモデルコースの作成やPR活動を行ってきたと思いますが、継続的な観光振興につながらなかった事例も多かったのではないかと思っているところでございます。
県は、このような過去の経験をどのように総括しているのか、まず伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 これまでの観光振興施策の総括についてでございますが、まず、これまで私どもは、観光振興策の実施に当たりまして、平成21年に制定されました政策的議員提出条例である、みちのく岩手観光立県基本条例の基本理念に沿った形で方策を展開してきたものでございます。
この条例におきまして、基本理念には、地域の自然、歴史、文化、さらには地域固有の習わし、食、地場産品など、地域の特性や魅力を最大限活用し、観光客がゆとり、やすらぎと感動を覚え、再び訪れたいと思う魅力ある観光地づくりを進めること。そして、岩手の持つ素朴さを大事にして地域の特性や魅力などの情報を発信するとともに、広域的な連携の下に誘客活動を展開すること。と定められております。これに基づきまして、他部局はもとより、市町村、事業者と連携しながら、さまざまな誘客を立案し、展開してきたものでございます。
ただ、一方、近年は新幹線を初めとする高速交通網の整備推進に伴う地域間の誘客競争の激化や旅行ニーズの多様化が進んでおりまして、誘客策につきましても、この条例の基本理念を踏まえつつ、環境の変化に伴いまして、常に新たな視点で見直していく必要があると認識しております。
このような中で、県、市町村、観光、商工、農林水産関係団体、また、マスコミ、金融機関などで構成いたしますいわて観光キャンペーン推進協議会を中心に、さまざまな視点から情報や意見をくみ上げまして、既存の観光資源に新たな視点のものを加えていくという形の広域観光周遊ルートの構築に向けまして、この条例の理念を念頭に置きながら、さまざまな誘客を実施するように取り組んでいるものでございます。
〇佐々木朋和委員 高尚なお答えをいただきましたけれども、実際にどうだったのかというところをお聞きしたかった。どれだけそういった動きが観光の集客もしくは経済効果としてあったのかというところを私は疑問に思っておりまして、今回こうやって各部局に予算がついたわけですから、これをしっかり生かして、実りあるものにしていただきたいという思いで質問したわけでありました。
では、平成29年度の多部局にまたがるこの観光関連予算、事業、また施設があると思うんですけれども、これを商工労働観光部観光課としてどのような役割を果たしていかれるおつもりか、お伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 観光施策の連携についてでございますが、本県におきましては、各部局間の連携のもと、効果的な観光施策を展開することを目的に、平成20年11月に岩手県観光産業振興本部会議を設置しております。
こちらの会議におきましては、商工労働観光部観光課が事務局を担いまして、部局間の連携を図りながら効果的な観光施策の推進に努めてきたところでございます。
また、本年度中に作成する予定でございますいわて国際戦略ビジョンにおきましても、岩手の誇る日本酒や伝統工芸品、農林水産物なども観光資源として積極的に活用し、関係部局間で構成します、いわてまるごと売込み推進本部を中心に岩手を丸ごと売り込むこととしておりまして、他部局との連携の重要性も確認しているところでございます。
今後におきましても、的確な役割分担のもとで、他部局との連携を強化し、それぞれの部局が有する強みを最大限に生かして、それぞれの政策が相乗効果を高め、県全体の政策として効果を高めるように取り組んでまいる考えでございます。
〇佐々木朋和委員 さまざまな戦略をつくっていただいて、また、国際戦略ビジョンもつくってやっていくということで御答弁いただきましたけれども、グリーンツーリズムがあったり、ニューツーリズムがあったり、いろいろな地域にも事務局がある中で、どうしてもその分野で固まりがちというところがあると思います。そういった中では、商工労働観光部観光課のノウハウを生かしながら、また人脈を生かしながら、そういった取り組みが孤立しないように、やはり地域で連携をつくっていっていただかなければいけないと思っております。
そのためには、私は、広域振興局ごとに現場の職員が汗をかいて地域をつないでいくという取り組みがないと、それぞれでまた、モデルコースをやったけれども、なかなか次につながらない、もしくは勉強会を開いたけれども、いつも同じメンバーで終わってしまうといったことにもなりかねないと危惧をしているところであります。
そういった戦略は大変すばらしいと思いますけれども、それを生かすためには地域の体制づくりが重要だと思っておりまして、その部分についてはもう少し、国際戦略ビジョンについても、どうやってつくっていくのか、また、今まで外国人が来ていないような商店に無線LANをつけてくれというのを誰が言いに行くのかなと、そういったところも含めてぜひやっていただきたいと思います。
その中で、インバウンドの対策が注目されておりますけれども、既存の国内旅行が減ったのでは本末転倒になるとも思われます。インバウンドには繁忙期と閑散期の激しい観光業、サービス業の平準化を促し、常用雇用につなげる効果も期待されておりますが、本県の国内旅行対策、あと、インバウンドとの時期的、地域的、また施設などのすみ分けの対策をどのように行っていくのか伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 まず、国内対策につきましては、県を広域に周遊するルートの旅行商品造成に向けた旅行会社説明会などのプロモーション、それから、内陸と沿岸被災地をつなぐバスツアーの運行支援による二次交通の充実などによりまして、県内を広域に周遊する観光の促進に取り組んでおります。
また、これとあわせまして、震災、防災学習をプログラムに組み込んでの教育旅行、企業研修旅行にも取り組んでいるところでございます。
国内旅行対策とインバウンド対策のすみ分けについてでございますが、特にも国内観光客の入り込みが低調となります冬の期間におきまして、外国人観光客の誘客を図る必要があると認識しておりまして、このため、スキーや雪まつり、また雪景色などの冬の観光資源を海外のテレビ等の媒体を活用して情報発信するとか、海外の旅行会社をこの冬のシーズンに招請いたしまして、そのようなプロモーション活動に取り組んでいるところでございます。
今後も、国内観光客の誘致と外国人観光客の誘致の取り組みが、フルシーズン、そして県内全域での誘客の拡大、観光消費の拡大につながるよう、国内外の市場ごとのさまざまなニーズ、特性を踏まえまして、二つの世界遺産、二つの国立公園や各地の特色ある郷土食、文化を組み合わせた多彩な広域観光ルートを売り込んで、二次交通等を初めとする受け入れ態勢の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 やはり戦略も、受け入れ側の体制とかを組んでいくことと一体だと思うんですね。ぜひともその辺は、台湾については、この国際戦略を見ますと、春、秋に加えて夏、冬も、オールシーズンでということでありましたけれども、では、東北の夏祭りの時期にどれだけ受け入れられるかとか、そういった、受け入れ態勢を見ないでこの戦略をやってしまうと、ややもすると既存のそういった観光の人たちは、では、もう手いっぱいだからそっちのほうにまざるのはいいよねとなりがちでありますので、ぜひとも、そこはしっかりと現場の意見とか、あとは体制も見ながら、また、体制構築と一体となった戦略をこれから3月末に向けてつくっていっていただきたいと思っているところでございます。
また、今の答弁で、各地域、各国ごとの動向を見ながらという話をしていただきましたけれども、三陸DMOもこちらの部に移管されるという中にありまして、やはりこれからはマーケティングの手法を使った支援が重要だと私は思っております。さまざまな観光コンテンツがふえて、また、FIT、バスで来る団体客ではなくて個人の旅行客がふえる中、どうやってPRしていくかというのは、本当に全部にかければ途方もない広告宣伝費がかかるわけで、どうやって効果的にやっていくかと。
そのためには、やはりこのマーケティングの手法を使ってやっていかなければいけないというところであると思います。今、県内でも各地で日本版DMOの設立が目立ち初めておりますけれども、県もそれらの支援のために、マーケティングやIT、ビッグデータを使った支援が求められておりますが、現状と今後の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 現在、本県におきましては、公益財団法人さんりく基金を母体といたしました三陸DMOセンター、それから宮古観光文化交流協会の二つが日本版DMOとして登録されております。
また、このほか、一関市、平泉町、葛巻町においても、DMO登録を目指した動きがあると把握しております。
DMOにつきましては、客観的かつ詳細なデータ分析のもと、明確な目標とコンセプトを持った戦略を策定し、これに基づきまして地域づくりをしていくというような組織でございまして、委員御指摘のとおり、マーケティングやIT、ビッグデータの活用は重要であると認識しております。このことから、日本版DMO登録の政府の要件といたしましても、これらのデータ分析を行う専門人材の専従ということが条件となっております。
県では、市町村や観光関係団体を対象に、DMOの目的、必要性などの理解を広めるセミナーを開催いたしまして、そこにおきまして専門人材の確保策についても御紹介するなど、そのような環境整備の支援も行ってきたところでございます。
また、県におきましても、これまで国の地域経済情報システム、いわゆるリーサスでございますけれども、こちらを活用しまして、特に外国人観光客でございますが、さまざまな分析をするとともに、本年度は、本県独自に県内、さらには宮城県、函館市、東京都などを訪れる外国人観光客を対象といたしまして、外国人観光客がどのような方法で旅行情報を収集しているのか、また、その旅行ルート、それから訪問の動機などに対する調査を行っておりまして、現在これは取りまとめ中でございますが、このようなデータも生かして、今後県内で立ち上がりますDMOにつきまして、いろいろなデータの活用についての支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 やはり今、そうやってどんどん地域でDMOという新たな手法を使った、観光協会にかわるのか、また別組織なのかというところだと思いますけれども、そういったときに、県庁としてもDMOに直接アドバイスできることが重要だと思います。現場にはそういったIT、マーケティングの専門家がいるわけですけれども、やはりIT、マーケティングというのは、本当は観光だけにとらわれずに、人口減少対策でありますとか、医療、教育の分野でもこれから入っていく中にあって、私は、県庁内にもこのIT、マーケティングの専門家を-この前、臼澤委員から、民間からの人材交流という話もありましたが、そういったこともぜひ検討するべきではないかと思っております。
ふるさと創生・人口減少調査特別委員会で行った鯖江市では、オープンデータ推進のために、民間から職員が派遣されて、そこで市役所の皆さんに教えながら施策を推進しているという姿がございました。
県では、こういったマーケティングとかITの専門家を人材交流で雇い入れる、もしくは現在いるというのであればですけれども、その辺はどうなっているのか、わかれば教えていただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 県の行政機関、観光関係でございますけれども、例えば観光課とかに専門人材を配置することは現在のところ考えておりませんが、先ほど申し上げたとおり、例えば三陸DMOセンターには専門人材を派遣しておりますし、そういう形での支援を考えてございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、現場でそういった専門家がいて、それに対して支援をしたり、あとは、やはり機動的に施策を一緒に行っていくために、私は、県庁にも司令塔として専門家が必要なのではないかということを提案させていただきたいと思います。
次に、県は、国際観光推進事業費、いわてインバウンド新時代戦略事業費などで、平成28年度もさまざまな商談会等を通じてPR活動を行ってきたと思いますが、その実績をお示しいただきたいと思います。
また、そのような機会は、PRのみならず、誘客につながらない要因を解明し、改善させる機会でもあると思いますが、どのような課題があったのか、また、改善につなげたもの、平成29年度へ反映したものを示していただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 まず、国際観光関係事業の実績でございますけれども、本県を訪れる外国人観光客の周遊ルート等の動向を分析するための調査事業、北東北3県や東北6県と連携した広域的なプロモーション事業、それから、本県が単独で行いますプロモーション事業、そして、外国人観光客の受け入れ態勢を整備するための事業、この四つを柱として実施してきたところでございます。
本年度の実績につきましては、現在取り組み中のものもございますが、先月末での数値でございますけれども、トップセールスや旅行博、商談会参加など22件の海外でのセールスプロモーション、海外旅行会社57社への直接のセールス活動、海外PRイベントの6回の開催、それから、海外旅行会社の担当者等251人の本県への招請、県内宿泊施設と観光施設も含めてですが、54施設に対する受け入れ態勢整備の補助などに取り組んできたものでございます。
課題につきましては、さまざまなプロモーションにおきまして、いろいろな旅行会社から本県に対する要望、それから、受け入れ態勢、受け入れ環境について、多言語表示も含めて、やはり個人旅行客を対象にした受け入れ環境整備がもっと必要だろうというアドバイスをいただいておりまして、来年度予算にこの点も反映しているものでございます。
〇佐々木朋和委員 そこで得た情報をフィードバックしていただけるということでありました。
一方、やはりこれから東北全体で誘客をしていくことが必要であると思っておりまして、その中で、平成29年3月6日の日経新聞に、インバウンドは東北のひとり負けと、県境を越えた一体感が必要であって、各県が持つ観光関連予算のうち、一定割合を広域連携のために使う仕組みの必要性を説く社説も載っておりました。
昨夏、各県知事らが一緒に台湾を訪れて初の連携プロモーション活動を展開しましたが、今後どのように展開させていくのか伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 外国人観光客の誘客拡大を図るためには、委員御指摘のとおり、東北各県のすぐれた観光資源を組み合わせ、東北広域での周遊ルート、そして、東北という名前をまず売り込むということが重要であると認識しております。このため、これまでも、東北各県が連携いたしまして設定した広域観光周遊ルート、日本の奥の院・東北探訪ルートを売り込むため、台湾での東北各県の知事等によるトップセールスを初めとしまして、海外旅行博への出展や招請等によるプロモーションを実施しております。
これとともに、海外の人気テレビドラマのロケ誘致、食をテーマとした海外テレビ番組の制作、自然や伝統工芸をテーマとした動画の海外向け発信、これは東北一体となってでございますけれども、こういうもので海外の方々に直接、そして本県岩手を訴求するようなPRを展開しているところでございます。
今後におきましても、今年度中に策定いたしますいわて国際戦略ビジョンに基づきまして、今御紹介いたしました東北での枠組みの強化を図りまして、これに加えて、日本の玄関口でもあり、そしてまた、オリンピック、パラリンピックが開催されます東京都、さらには、北日本におきましては、ラグビーワールドカップで釜石市とともに試合が開催される予定であります北海道との連携も強化いたしまして、誘客のさらなる拡大を図っていく考えでございます。
〇名須川晋委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔にお願いします。
〇佐々木朋和委員 簡潔にさせていただきます。
今、るる御説明いただきましたけれども、例えば、先ほどの質問とも関連があるんですが、外国のエージェントとの話の中で、やはり東北は広いので、距離が長い分、交通費がネックになると。日本旅行も結構人気になってきて、ヨーロッパ旅行か日本旅行かみたいな選択肢になると、距離のある東北を周遊するというのはなかなかつらいという話も聞こえてきております。
そういった中で、ほかの県では単独で交通費補助みたいなことをやったり、市町村でも単独で交通費補助みたいな話をしたりしているんですが、こういったものを東北全体でお金を出し合ってできないか。また、この前のニュースでは、無線LANを東北全体で一つの機種でといいますか、どこで入ってもアプリも同じで、全部で一体でやるといった話も出てきておりますけれども、今、岩手で整備も進めておりますが、そういったところもできないのか。そういう具体的な話というのは、今、東北6県あるいは北海道を入れた中で出てきてはいないのでしょうか。
〇平井観光課総括課長 東北全体での取り組みでございますが、東北6県等で構成しております東北観光推進機構という組織がございます。こちらでは、交通関係事業者も構成員として入っておりまして、今までも、インバウンドにつきまして、東北へ来やすいような対策はないかということで、例えばJRグループでのフリーパス、東北の各高速バス会社が連携して統一したパスをつくっているというような取り組みをしております。さらに、委員のおっしゃったような助成措置につきましては、今後の課題ということで検討しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今までもやっていただいているということは、そのとおりでありますけれども、これから、東北にお客さんをということで、政府も観光復興元年ということでやっていくという中でありますから、ぜひとも、東北の一体感が伝わるような、またインパクトのあるものも考えていっていただきたいと思います。
最後にさせていただきたいと思いますけれども、冒頭申し上げました観光立国推進基本計画の改定素案の中で、2020年度まで、こういった形でいろいろな分野で、いろいろな省庁で観光の予算がついて施策が展開されていくのだろうと。また、県においても、その流れの中で、各部局をまたがって観光予算がついていって、それをどうやって一体的な岩手の魅力というところにつなげていくかということだと思います。
これからは、私は、マーケティングの話もありましたけれども、観光については、より精度の高いKPI(重要業績評価指標)を用いて施策を展開していくべきだと思いますが、次期県民計画の中でどういったものが検討されているのか伺いたいと思います。また、そういった意味でさまざまな目的の客層に対して、県内のあらゆるものをつなげて、さまざまな政策目的達成につなげていくためには、今、観光課に頑張っていただいておりますけれども、観光部というものの創設も次期県民計画策定の中で検討していくべきだと私は思いますけれども、最後に部長の所見をお聞きして、終わりたいと思います。
〇菊池商工労働観光部長 大きく2点で、まず、KPIのお話ですが、一般質問でもいろいろ御議論いただいたところですが、県の政策評価における指標というのは、まさに成果重視の行政を進めようということで取り組んでいる中で、指標の設定等いろいろ議論がある中でやってきております。県の施策や事業が目標に対しどれだけ達成できたのか、進捗管理をするための一つの物差しになっているんですが、その目標につきましては、やはり経年で毎年しっかり変化が把握できるような数値でなければならないのではないかとか、全国との比較が可能な数値でなければならないのではないかというようなことをいろいろ言われておりまして、そういう大きな意味の指標と、それぞれの事業の進捗状況に応じたいわゆる施策の事務の目標といいますか、そういったものと、上下、大小いろいろ考えながら調整していかなければならないと思っています。
委員がおっしゃったように、今、国でもいろいろな指標を出しております、外国人の宿泊者数とか。そういったものと、国の施策で東北観光復興対策交付金があるように、あれでエンジンを回してもらってやって生み出す成果と、我々県の行政事務としてどういった成果が出てくるかというものを上下見ながら、なおかつ、歴史的といいますか、時系列でもはかられるような指標を探していかなければならないと思っておりまして、これについては、引き続き研究していきたいと思っております。
2点目の観光部のお話でございまして、これは、さまざまな意味で私どもの仕事に叱咤激励も含めていろいろエールをいただいたものと受けとめました。ありがとうございます。
ちょっと長くなるんですけれども、県の組織は、おわかりのとおり、戦後、地方自治が進んで以来、常に肥大してくる行政需要と、それに対してどう対応するかという、地方自治の縮図がその組織の変遷にもあるんですけれども、これは釈迦に説法なんですが、いずれ、行政肥大がいたずらに起きないようにということもあって、地方自治の歴史、系譜があります。常に与えられた行財政資源の中で、その時点で最適な資源配置ができて、最高のパフォーマンスを発揮できるような組織運営を求められているのが我々事務方でございまして、そういった意味で、委員がおっしゃるように、今、多岐に広がり、しかもニーズの深みも変わってきている観光需要は、イコール地域振興需要とも同義だと思っております。そういったものをどうやって実現していくか、需要に応えてちゃんと成果を出していけるかということが問題で、観光については、単に観光事業者の振興だけではないのはおわかりのとおりでして、経営面での経営指導や、法的な適用の対応等のいろいろな指導、支援も必要になります。そういった広がりが出ますと、まず、県庁的には商工労働観光部の中で経営資源についてのいろいろな対応ができ、商工労働観光部が持っている特産品や物産、あるいはいろいろな物語を持った産品が、工業製品も含めてありますし、そういった地場産業も含めた幅広い、裾野の広いノウハウといいますか、そういったものを結集して、まずは観光施策を展開していくのが部としての務めかなと。また、それが、行財政資源の中では現時点での一つの最適解かと思っております。
また、県庁内では、御案内のとおり、部局連携で組織をつくっておりまして、各部が抱えている資源、あるいはアイデア等を使って、これも観光振興に使っていこうと思っています。広域振興局も、まさに市町村-第一義的には観光振興、地域振興は市町村ですので、市町村及び地元の団体等が新たな資源を掘り起こし、磨き上げていく。そういったものも含めて、県の組織としての広域振興局がしっかりとサポートしています。そういったものと連携しながら、いわばオール岩手で観光振興を整えていくという体制にはなっていると思いますので、現時点では最適な配置と私は心得ており、商工労働観光部が中心となって今後も連携しながら対応していくというのが今の道かなと。
ただ、一方では、今、委員がおっしゃったように、創造的な御提案で大変うれしく受けとめておりますが、そういった展開についても、今持っている、あるいはこれまで培ってきた能力、ノウハウ等をどう創造的に使っていくかという点で、観光部という視点も重要だと思いますので、引き続き研究していきたいと思います。
〇福井せいじ委員 今、観光についてあったので、一つだけ観光について関連で聞きたいと思います。
私は、観光資源をブラッシュアップするのは大事だと思いますけれども、まず、人を連れてこないことにはどうにもならないと思っています。特にインバウンドについては、なかなか東北への足がないというのが一つの大きなネックではないかと私は思っています。
そこで、たびたびお聞きしていたんですけれども、東京都と共同して設置している誘客連携体制という言葉が出てくるんですけれども、これは一体どういう体制なのか教えていただきたい。
私は何度かお話ししましたが、東北全体には、仙台空港という一つの民間の空港があります。そこにLCCをいかに引っぱってくるかというのが一つの大きなキーポイントになると思います。私どもも、例えば海外のある都市に行くときに、そこにLCCが入っているかどうかというのを一回やはり調べます。そこでLCCが入っていれば、そこに行ってから、旅行を展開していこうという形になると思うんですけれども、そういった意味では、東北にいかにLCCをもってくるかというのが一つの大きなポイントになると思います。いかに観光資源をブラッシュアップしても、人が来なければ、足がなければ何にもならないと思うんですけれども、その点についてお聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
〇平井観光課総括課長 まず、東京都との誘客連携組織でございますが、こちらは東京都と東北6県が一体となった協議会を設置いたしまして、東京オリンピック開催におきましては、当然、東京都に外国人観光客が集中するだろうということを前提にいたしまして、さらにそこから1泊、東北のほうに外国人観光客が足を延ばすような形ということで、東京都のさまざまな宣伝媒体を使いまして東北もアピールしていただくということで、今、東京都のホームページにも、各県の映像といいますか、画像といいますか、そういうものもPRしておりますし、また、本県の場合は、アメリカから個人的に発信力のあるブロガーの方を東京都と一緒に招請いたしまして、テーマは、渋谷の交差点と岩手県の平泉の世界遺産を対比させるような形のPRも行っているものでございます。
それから、LCCの誘致につきましては、全くおっしゃるとおりでございまして、外国人観光客の誘客拡大を図るためには、まず東北にLCCを誘致していくということは非常に大事なことだと思っております。この点につきましては、昨年、東北各県の知事が台湾にトップセールスに行った際にも、そういう関係の旅行会社に対するアプローチも行っておりまして、引き続き、LCCの誘致というものは東北で一体となって進めていく考えでございます。
〇福井せいじ委員 LCCというのは、一つのLCCが来ても余り意味がないと思うんです。ある意味、日本のLCCのメッカが仙台にあるんだといった体制を日本の中でつくり上げることも必要ではないかと。大きな意味で、2020年までに3倍にすると。今まで課長ともいろいろ話してきたが、なかなか大変だろうと。そういった意味では、がらっと仕組みを変える必要があるのではないか、ステージを変える必要があるのではないかと思うんです。そういった取り組みも、県としてというか、ぜひ東北全体で政府とかけ合っていただきたいんですけれども、部長、そこら辺はいかがですか。
〇菊池商工労働観光部長 委員御指摘のとおり、ありとあらゆるツールが東北に結集されてインバウンドが拡大していくというのはまさにそのとおりでございまして、LCC等の誘致についても各県と連携して頑張っていきたいと思います。
〇福井せいじ委員 ぜひ頑張ってください。応援しますので、よろしくお願いします。
それでは、通告していた質問に入りますが、ちょっと順番が違うので、御了解いただきたいと思います。
まず、中小企業の振興、小規模事業者の振興についてお聞きします。
最初に、事業承継の推進の取り組みについてお聞きしたいんですが、さまざま取り組みはしていらっしゃると思います。今、中小企業、小規模事業者数が大幅に減少しています。そしてまた、団塊世代の経営者の引退時期を迎えて、さらに事業承継問題というのは大きくなっていくと思います。
その中で、県の取り組み、あるいは国の取り組みとして事業引継ぎ支援センターというものがあります。これは、平成27年に盛岡商工会議所内に設置されております。
そこでお伺いしたいんですけれども、平成27年度は、平成27年7月から平成28年3月までの9カ月間で、相談件数が34件で、成約件数が1件。また、平成28年度は、平成28年4月から平成29年1月までの10カ月で相談件数が81件。しかし、成約件数がやはり1件であります。なかなか成約しないその理由、あるいはどういった体制で行っているのか、ここら辺をお聞きしたいというのが1点。
また、そのほかに事業引き継ぎのさまざまな取り組みについての現状をお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 まず、成約件数2件についてであります。成約が少ないのではないかということでしたけれども、事業承継については、いわゆる事業、会社を譲りたいという方と引き受けたいという方とのいわゆるマッチングがあるわけですけれども、一般的にやはり時間がかかると言われております。それは、譲り渡したいという方が、会社の経営内容をきちんと客観的に評価するということももちろん必要なんですけれども、それに加えて、例えばお客さんからの評価とか経営ノウハウ、従業員のスキルとかいろいろなところを評価して、譲り渡すとすれば会社の価値はどのぐらいが適正なのだろうかといったところを評価して、それを譲りたいという方と受けたいという方で双方納得するということが必要です。また、それぞれの業種とか地域性もありますので、1件相談が来れば、誰か適切な人がすぐ出るというものでもなくて、ある程度時間がかかるということで、成約件数自体は、今、2件なんですけれども、それ以外にも進行中の相談案件がありまして、譲りたい方、受けたい方がある程度ふえてくるというところまでいかないと、やはり多少時間がかかるのかと思っております。
ちなみに、平成23年度から全国的に始まっている取り組みですけれども、昨年末までで1万5、000社の相談に対して672件の成約ということで、成約率が四、五%というようなことで、やはりちょっと時間がかかっているというところです。
体制としましては、専属の相談員の方2人と補助する方ということで3名体制ということになっております。
県といたしましても、事業引継ぎ支援センターと連携していろいろ取り組みをしておりますし、事業承継するための事業計画づくりの策定支援ですとか、受ける方のための創業体験の場の設営とか、そういった取り組みなども行っております。
〇福井せいじ委員 成約率というのが非常に低いというのは、今、全国でもそういった状況にあるということはお聞きしましたが、私は、もっと民間の力も活用していくことも必要ではないかと思うんです。例えば地元の金融機関も、今、中小企業あるいは小規模事業者がどんどん減少していく中で、取引先が少なくなっていくというのも現状だと思います。そういった意味では地元の金融機関も非常に危機感を覚えている。そういった中で、一緒になって事業承継に取り組むことも必要ではないかと私は思うのであります。
ファンドというと、従来はハゲタカファンドみたいな、全部根こそぎ持っていってしまうようなイメージがありましたけれども、今、和製ファンド、例えば日本のファンドとかが、小さな事業者に対して、そこに入っていって事業を活性化するとか、あるいは事業承継を受けて、そこにまた、さまざまなネットワークを使って事業を活性化するといった民間の事業者もさまざまあらわれているやに伺っておりますが、そういった意味では、民間との連携も県が仲立ちしてやっていくことも一つの意義があるのではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
〇高橋経営支援課総括課長 今、委員からお話がありましたとおり、金融機関等の協力といいますか、支援というのは非常に重要と考えておりまして、国の調査でも、事業承継を考えている経営者の方が相談するのが、金融機関とか税理士というところがまず最初だというようなデータもあります。
県としましても、商工支援団体との連携もありますけれども、あわせて金融機関との連携といいますか、ネットワーク会議を実施しておりまして、事業承継についても、そういうニーズがますます高まってくると考えておりますので、そういった取り組みは強化していきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 今の例えば相談をするほうというのは事業を引き渡したいほうなんですけれども、引き受けたいという情報をいかに持ってくるかというのも一つのポイントだと思うんです。自分たちの事業を拡大したいというところもあるはずなんです。そういったところの情報をぜひ民間のほうからもとっていくというような体制もつくっていただきたいと思います。これは提案で終わらせていただきます。
その中で、今度はいかに強い中小企業、小規模事業者をつくっていくかということを伺いたいんですけれども、こういった中で、今、中央資本は積極的に地方に進出してきています。特に流通業、小売の現場が全国チェーン加盟店に転換している状況や、ある意味、全国のさまざまな資本が地方の資本を買収していくというような状況も見られていると思います。
そこで、地域の中小企業、小規模事業者が円滑に再編統合をしながら地域のなりわいを残していくことも必要だと私は思っています。そういった観点から、行政も中小企業育成について取り組んでいく必要があるのではないかと思うんですが、そのようなお取り組みがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 中小企業の再編といいますか、強い中小企業の育成ということでしたけれども、中小企業が持続的に事業展開していくためには、まず、地域資源や人材を活用して経営革新や生産性向上による経営力向上に取り組むなど、個々の経営基盤の強化が重要と考えております。
こうした中小企業が、取引拡大ですとか業務の効率化を進めるための代表的な取り組みとして事業協同組合というものがあります。こういった組織化でスケールメリットを発揮して経営基盤強化につながるということで、県としても、岩手県中小企業団体中央会などと連携して、その組織化を進めております。
最近では、異業種連携による共同研究開発など、それぞれ参加する企業の強みを出し合って新しい取り組みをするといった活動も出てきていますので、こうした取り組みは引き続き支援していきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 事業化の中で組合化というものも一つですけれども、また、さらに一歩踏み込んで再編統合といったことも促すことが、ある意味、10年後の地域の経済、地域の産業を形づくる一つだと私は思っています。さまざまな資本を残すのは必要なんですけれども、なりわいをいかに地域に残していくかという観点に立って、そういった中での中小・小規模事業者の支援というものが必要ではないかと思っています。なりわいを残すことによって雇用も守られるし、あるいはなりわいを残すことによって地域の金融機関も守られていくといった視点に立って、今後、ぜひ、こういった中小企業の再編統合についても積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
最後に、漆産業の振興について伺いたいと思います。
先ほど、部長の説明にも、平成29年度の事業としていわての漆産業新時代開拓事業費という言葉が出てまいりました。今、二戸市でも漆増産1億円といった言葉も聞かれますが、県と二戸市とはどういう形で連携していくのか、そしてまた、漆かき職人の育成についてはどのような形で行っていくのか、2点お聞きしたいと思います。
〇高橋地域産業課長 まず、二戸市との連携についてでございますけれども、漆産業の振興につきましては、これまで二戸市が中心となって進めてきたところでありますけれども、県といたしましても、漆につきましては、国宝、重要文化財の修理など、近年は国産漆の需要が非常に高まっているということがございまして、採取可能な漆林ということで、つくるサイドの話になりますけれども、計画的な漆生産を行うために、平成28年度から2カ年計画で資源林調査を二戸市と連携して進めているところでございます。県北広域振興局が中心となって、二戸市と連携しながら、こういった調査を進めているところでございます。
また、平成25年度からは、漆林資源の育成管理ということで、現地で、県が主催する研修会を、毎年、二戸市を会場に開催しているところでございます。
さらに、首都圏百貨店での展示販売会、ヨーロッパでの県産品プロモーションにおきましても、漆文化の情報発信、漆器の販路拡大等について、さまざま連携を図りながら取り組んでいるところでございます。
次に、漆かき職人の育成についてでございますけれども、漆かき職人につきましては、二戸市の資料では、浄法寺漆生産組合に所属している漆かき職人は現在20名でございます。ここ数年、職人数は横ばい傾向ということで、大体20名前後の漆かき職人のうち14人、7割近くが60歳以上という状況でございます。
このような状況を踏まえまして、二戸市では、平成28年度に地域おこし協力隊2名を受け入れ、漆かき職人として養成しているところでありまして、平成29年度におきましても、さらに3名を受け入れる予定と伺っております。
さらに、文化財保護法によります選定技術保存団体に認定されています日本うるし掻き技術保存会-事務局が二戸市になりますけれども-では、漆かき技術の習得希望者に対しまして、毎年、6カ月間の研修を実施し、漆かき職人の養成に取り組んでいるところでございます。
〇福井せいじ委員 漆かき職人の育成についてもう少しお聞きしたいんですけれども、漆かき職人がなかなか集まらない理由の一つに報酬の問題があると。稼げないということです。漆をかいているだけでは、なかなか生活が成り立たない、あるいは将来が見えないという中で、漆かき職人になろうという人がいないということを伺いました。
そういった意味では、報酬をいかに確保していくかということが一つの大きな問題点ではないかと思います。いろいろな情報で漆かき職人を育成すると二戸市でも言っていますし、また県でも言っているんですけれども、この報酬をいかに担保してあげるかということが一つの大きな問題だと思うんですけれども、この点については行政当局では何か考えていらっしゃるのでしょうか。
〇高橋地域産業課長 委員御指摘の漆かき職人の収入確保という部分でございますけれども、現地でのそういった漆かき職人の収入につきましては、漆をかける時期が6月から10月の夏場ということもございまして、例えば冬場の就労をどうやって確保していこうかということとか、現地でもさまざま課題があり、検討していかなければならないという部分の認識はこちらでも把握しております。
したがいまして、今後、先ほど申し上げた二戸市ですとか、現地のそういった方々ともいろいろ情報交換しながら、さまざま協議を進めていきながら、すぐに解決というのはなかなか難しい問題はあろうかと思いますけれども、今回の事業を進める中で、生産サイドで言いますと、例えば農林水産部ですとか、そういった技術を保存するということで、文化庁が中心となっている文化財の保護ということであれば教育委員会とか、さまざま関係する機関がございますので、そういったところともいろいろ協議を進めながら、収入確保についても検討を進めていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 私は、報酬というのは肝だと思うんです。今、いかに職人を確保しても、こういった収入が担保されない限りは、永続的に職人は育たないと私は思うんです。その意味では、報酬をいかに確保するかというと、量をふやすか、あるいは単価を上げるかのどちらかなんです。量をふやす意味では、今から植林とか、さまざまな意味で量をふやしていこうという取り組みはあるんですけれども、単価も少し考えていかなければいけない。売価をいかに高くしていくか、付加価値を上げていくかというのが一つの肝になると思うんです。
そういった意味では、国産漆の70%を岩手県は生産している。その中で漆のブランディングをしていく大きなチャンスがあると私は思うんです。例えば漆の中で格付をする。AランクからEランクまで格付をしながらその品質を上げていって単価を上げていくとか、そういったブランディングに取り組むことも、単価を上げ、報酬を上げることにつながると思うんですけれども、こういう取り組みについては、県としては何かお考えはないのでしょうか。
〇高橋地域産業課長 漆のブランディングについてでございますけれども、これまで、漆につきましては、特に浄法寺漆という形でさまざまブランディングの取り組みを進めておりまして、浄法寺漆の知名度の向上とか、付加価値化による市場競争力を強化するためということと漆かき職人の生産意欲を向上させるということで、平成20年に浄法寺漆認証制度を創設しております。
この制度では、第三者機関であります浄法寺漆認証委員会によりまして、一定の基準に合った漆を浄法寺漆として認証して、ブランドの確立に取り組んでいるところであります。
この浄法寺漆認証制度の基準は大きく三つほどございまして、1点目は漆かき職人に関する基準でございます。これは、浄法寺漆生産組合員であること、もしくは主として二戸市浄法寺町で伝統的に行われてきた漆かき技術によって採取するものというのが1点目です。
2点目の基準が、地域に関する基準ということで、どこで採取した漆かということになりますけれども、これにつきましては、岩手県全域、青森県三戸郡、八戸市、十和田市、秋田県小坂町、鹿角市、大館市の地域で採取したものを認証しているという状況がございます。
3点目ですけれども、品質に関する基準ということで、当然、かいた漆の増量を目的として意図的に異物を混入させないこと、浄法寺漆以外の漆を混入させていないことということで、これらの基準を満たしているものを浄法寺漆という格好で認証しております。
また、浄法寺漆生産組合では、品質や社会的評価等の確立した特性が産地と結びついている産品について、その名称を知的財産として国が保護する、いわゆる地理的表示保護制度での浄法寺漆の登録を検討しているところでございます。
今後においても、このような取り組みを通じましてブランド化を進めていきたいと思っておりまして、先ほど委員御指摘の漆のランクづけによる価格差につきましても、これまでの認証制度がございますので、まず、こういったところをいろいろ図りながら、さらにそういった御提案のところも検討してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 福井委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力願います。
〇福井せいじ委員 最後にします。
今、御答弁いただいたように、実は作家のほうでも漆の品質については非常にこだわっておられまして、浄法寺の何々さんがかいた漆が非常にいいと。中国産とは全く違うんだといった評価もあるそうであります。
そういった品質評価という意味では、生産者側だけでなく、作家の評価も得ながら、ぜひとも浄法寺漆の付加価値を高める取り組みにも、行政として、県庁として取り組んでいただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 それでは、やったことがないんですけれども、観光施策について初めて聞きたいと思います。
ベースになっているのは、1月30日に、私は5年ぶりぐらいに北海道・東北六県議会議員研究交流大会に出たんですけれども、各県の報告、また基調講演は東北観光推進機構長がお話しをして、大変参考になりました。本県の置かれている位置というものも大体見えてきましたので、その点を基礎にして質問させていただきます。
まず、復興庁が平成27年度から、これは本当にありがたい話で、先ほど来お話が出ていますが、インバウンド対策で交付金を東北地方限定で出されているわけです。平成27年度は1億円、平成28年度は32億2、000万円で、いろいろ聞きたいわけですが、まず第一に、年次ごとの本県へ交付された額、対象事業、その成果を示していただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 東北6県に交付されました東北観光復興対策交付金でございますけれども、制定が平成28年度からとなります。今年度の本県の交付決定額でございますけれども、県の事業分が、他部局の事業も含めまして、交付金ベースで4億9、396万円余、市町村事業分が1億7、294万円余、これを合わせますと6億6、690万円余となっております。
平成29年度の県事業分につきましては、他部局の事業も合わせまして、今般の当初予算案におきまして5億748万円余を計上しております。これに市町村事業分2億7、978万円を合わせまして7億8、726万円余の交付要望を、現在国に行っているところでございます。
この事業でございますけれども、平成28年度におきましては、本県を訪れる外国人観光客の周遊ルートなどの動態を調査する事業、東北6県とも連携いたしまして、海外旅行博への出展や海外の旅行会社の招請、海外への情報発信などのプロモーションの実施、本県におきましては、通訳サービスを行う多言語コールセンターの運営、県内の宿泊、観光施設や店舗等が行う無料公衆無線LAN、多言語表示、トイレの洋式化の整備などに対する支援を中心といたしました受け入れ態勢整備に取り組んでいるところでございます。
成果につきましては、これらの取り組みによりまして、海外旅行会社における本県への旅行商品の販売、造成の促進、受け入れ環境整備による外国人を受け入れる店舗、施設等の拡大などが図られたことによりまして、平成28年1月から12月までの速報値で、本県での外国人宿泊者数は、過去最高となります12万8、310人泊となったということも、この事業の成果の一因ともなっていると捉えているところでございます。
〇飯澤匡委員 前の質問者とのやりとりの中でもいろいろ明らかになっている。私なりに評価しているのは、いずれ、おくれている環境整備については、この交付金を使って手がたくやった、その成果も出たという話です。
今後、東北観光推進機構の動きに呼応してというようなことを本会議等の部長の答弁でも随分強調されていましたが、本県が独自に進めていく-東北といっても、我が県独自の特徴、また平泉や橋野鉄鉱山等の世界遺産の貴重な資源もある。これと東北観光推進機構側との施策の整合性について、どのように考えながらやっていくのか、これについてまず伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 東北観光推進機構との取り組みの整合性でございますが、まず、基本的な考え方といたしましては、今、外国人観光客の入り込みが少ない東北というものをまず一つ打ち出していくということと、その中でいかに本県への外国人宿泊者数を上げていくかということを念頭に置いて取り組みを進めておりまして、東北6県で共同するプロモーションのほかに、本県単独で海外のテレビ番組のロケ誘致とか海外の旅行博、海外の旅行会社の本県への招請というものも行っているところでございます。
あわせまして、受け入れ態勢につきましては、先ほど申し上げたとおり、特にも個人でいらっしゃる外国人観光客の方が必要と思われる外国語表示について整備しているところでございまして、いずれ、東北観光推進機構が設定しております広域観光周遊ルートは、本県の平泉であるとか、そういう主要コンテンツを中心に広域的なルート編成をしておりますので、その中でいかに本県の宿泊者数を確保していくかというところに主眼を置いたプロモーション等を展開しているところでございます。
〇飯澤匡委員 答弁ではそのようになると思うんです。東北観光推進機構長のお話も聞いたんですが、私も前がかりになって聞く癖があるから、どうなのかなとは思うんですが、個人的な主観が随分入っているんですけれども、いずれ、東北観光推進機構と言いながら、仙台中心ということについては免れない。強調しているのは、民営化された仙台空港を基点にして、いかに外国人観光客を呼び込むかと。軸は宮城県、仙台なんです。
そこで、今のような答弁の中では、追随をしながらという印象は拭えないわけです。せっかく復興庁からこれだけのお金を用意していただいたのであれば、有効に我が県の独自策も考えていかなければならないのと同時に、東北全体ということを考えるのであれば、後ほど、工藤勝博委員からも質問があると思うんですが、空港の利用策についても戦略的に実績を上げる必要があると思います。
ただいまの総括課長の答弁は非常にわかりやすくていいんですが、それならば岩手県はどうなんだといった印象が拭えない。どうしても、協調であるとか協議会支援、また最大公約数、最適化というようなお話の中でしか進んでいないのではないかという印象を受けます。繰り返しになりますが、やはりこれだけのお金が来るというのは、もっと有効に使わなければならないということをまず申し上げたいと思います。
次の質問に入ります。チャーター便は、県土整備部も、これから中華航空と定期航路化を目指してやると言いますが、経営人があれほどがらっと入れかわった中で、大変困難であろうと私は推察するわけです。
ところが、調べてみますと、秋田、青森のチャーター便というのは、最近、3カ年は異常に伸びています。本県の対応というのはこれからどうしていくのか。これは戦略上にかかわる問題ですが、その点についてどうお考えですか、具体的にお伺いします。
〇平井観光課総括課長 花巻空港チャーター便等での誘客についてでございますけれども、まず、委員御指摘のとおり、隣県であります秋田、青森のチャーター便の運航はここ数年で伸びております。
このような中で、当県でも二つの視点で取り組みを進めていきたいと考えております。
まず一つは、花巻空港へのチャーター便の誘致は、県土整備部と連携しながら、引き続き定期便化を目指して取り組んでいかなければならないということで、こちらに必要な予算というものも当初予算案に計上しております。
あわせまして、秋田、青森空港のチャーター便への対応でございますけれども、北東北3県で連携して誘客していこうという組織がございます。こちらの中で、どちらの空港から入ってきた場合でも、なるべく3県の中を広域に周遊していこうという取り組みをしておりまして、その中で、岩手県におきましては、例えばスキーでありますとか、そういうコンテンツがございますので、そちらのほうに誘客するような形で、3県の連携で取り組んでいるところもございます。
また、その中で、岩手県の宿泊を増加させるために、県独自のプロモーション、招請というものを行っているものでございます。
〇飯澤匡委員 この件は後の質問者に譲ります。
それで、やはり危機感を感じている他県、特に秋田、青森は、東北新幹線の大きな動脈から外れている-青森はもう通るようになりましたけれども、観光施策については、この交付金を狙って並々ならぬことを考えていると。驚いたのは、本会議でも質問がありましたけれども、秋田県はキラーコンテンツで秋田犬をばーんと打ち出してやっている。青森県については、観光のスペシャリストを観光課内に養成してといいますか、みずから育て上げて、それなりの権限を与えた中で観光施策をリードしている。これは各県のカラーがあって、それでいいと思うんですが、先ほど来も議論がありましたが、これほどまでの好機に対して、今までの調整的な観光課でいいのかどうか。そうじゃないというのなら、それで話はストップしてしまうんですけれども、いずれ、観光業者との調整だったり、支援だったりという格好では、本県の観光という部分がもう一歩前に出てこないと私は交流会で非常に印象づけられたわけですが、部長、これからどうしますか。先ほど来の答弁のとおり、行政の役割だとか、最適化だとか、このような状況の中で観光が進んでいくというところで満足していいんでしょうか、お考えをお聞きします。
〇菊池商工労働観光部長 各県の取り組みは、委員御指摘のような展開があることを我々も承知しております。
大きく2点あると思いますので、まず、岩手において観光振興をどうしていくかの基軸の問題で施策の方向性としての問題、もう一つは県としてのこれからの対応ということだと思います。
私どもの認識としては、岩手の観光はまだまだ発展途上といいますか、力をつけていく途上にあると思っています。そういった意味で、交付金の活用というのは、我々も次は二度とないかもしれないぐらいの認識で使わせていただいておりまして、特に力を入れているのは市町村への交付金です。市町村と去年から相談して、市町村に対して、受け入れ態勢整備、施設面が多いですが、施設面の近代化といいますか、リニューアルあるいは魅力づくりに使っていただくようなお金の回し方を、市町村と連携して、相談して、交付金を回しているのが一つです。
また、一方では、国体等でも評価いただきましたが、おもてなし等、相当ポテンシャルが上がってきています。評判が上がってきておりまして、こういうソフトパワーをお客を呼ぶ力に変えていくためにどうするかということで、プロモーションにお金を使っているのも事実です。このプロモーションの仕方は、メーンストリームが、岩手といいますか、東北に来る観光の大きな軸は、東京から北に上がってくる軸ですので、東京との連携もいろいろ考えながらやっているということで、ベクトル的には間違ってはいないと私どもは思っております。その施策の進度がなかなか目に見えるように出てこないというのは、地域産業との関係もあって、交付金をさらに重点的にといいますか、重層的にどんどん入れて活力を生み出していかなければならないと思っていまして、それについては、引き続き国に対しても要望しながら強化していきたいと思っています。
一方、体制的な問題で申し上げますと、市町村が重要だと私は申し上げましたが、観光コンテンツをつくっていく上では、市町村や地元の団体が資源を発掘し磨き上げて、観光コンテンツをつくってつなげていく必要があります。市町村がつくり、それを広域でみんなで支援し連携させ、商品に変えていくという取り組みが非常に重要だと思っていまして、そういった意味で、広域振興局からもいろいろ支援させているところでございますが、そういうコンテンツづくりを中心とした取り組みを今の体制で進めていくのが、今のところやれる限りのところかと思っております。
今後においても、キャンペーン協議会といったものがありまして、これは県が決めて、県がやるという姿勢ではございません。県、市町村、関係団体、事業団体、報道も含めたみんなで計画を、方向性を共有して取り組んでいる仕事ですので、その中でキラーコンテンツがあったほうがいいという議論があれば、それはまたそれで検討して進めていくことになると思いますが、今のところ、それなりの要素を我々は用意しているとは思うんですけれども、委員からいただいた御提言も含めて、そちらについては引き続き検討も進めていくことは当然やっていきますが、そういったさまざまな取り組みをオール岩手という形で組み立てていくのが我々の仕事かと思って進めているところでございます。御了解願います。
〇飯澤匡委員 視点としては正しいかと思うんですが、では、実際問題、それを受け取る市町村側の体制はどうなっているかというと、これも、DMOの戦略をやっている割には観光協会の中身が脆弱だったり、そういう状況もありますので、よく中身を精査してやっていかないといかぬと思うわけです。
昼前までに終わらせますので、まとめて聞きます。
一つ、ちょっと気にかかった知事の発言で、復興道路や物流は、観光などで年間540億円の波及効果があると。随分突拍子もない効果があると思って私は聞き及んでいるんですが、これは通告しないで失礼ですけれども、観光については、どのような根拠で出たのか、その点について、簡潔にでいいですから、お聞きします。
それから、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピックに対応したスポーツツーリズム、また、キャンプ招致の戦略については重要な観光の部分での資源であり、戦略が必要かと思うわけですが、どの部署が責任を持って担当するのか、また、市町村との連携について、先ほども市町村との連携がありましたが、これについて示していただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 まず、復興道路等による経済効果でございますけれども、観光面におきましては、この道路が通った場合にふえると思われる観光客数に消費額を加えまして想定している数字でございます。
それから、文化スポーツ部の創設に伴う関係でございますけれども、ラグビーワールドカップのキャンプ地の誘致、オリンピックのホストタウン登録申請とかスポーツツーリズムの推進につきましては、これまでは政策地域部において取り組んできたところでございますが、来年度の文化スポーツ部の設置に伴い業務が移管されまして、こちらは文化スポーツ部が担当することになります。
一方で、このような大イベントにおきましては、単にスポーツのみでお客さまが来る、または合宿で人が来るということにとどまらず、特に外国人観光客の誘客には一大チャンスでございますので、これだけでなく、本県のさまざまなコンテンツを組み合わせまして、外国人観光客をさらに誘客していく、そしてリピーターもつくっていくということが大事でございますので、当部におきましても、他部局との連携はもちろん、市町村、宿泊施設、観光施設とも連携いたしまして、必要な取り組みを実施していく考えでございます。
したがいまして、市町村につきましても、先ほども部長の答弁で申し上げましたが、市町村が、このような一大機会をどのように生かして、どのような取り組みをしていきたいのかというお考えを尊重いたしまして、それを踏まえ、先ほどもお話しいたしましたが、県、市町村で組織している協議会を中心に連携した取り組みを進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 文化スポーツ部の創設について、討論の中でも申し上げましたが、これほどの好機に対して、文化スポーツ部が、スポーツツーリズムとかキャンプ招致をやるというのに、観光というのは完全に付随していくわけです。その中で、文化スポーツ部の中にその組織がなくて、観光課とはあくまでも連携という形というのは、今の答弁を聞いていても到底納得がいかない。これは、ちょっと業務過多になると思います。だから、せめて共管するような格好の組織体系にしていかないと、これが岩手県にとって実利が上がるかどうか、地域振興につながるかどうか、本当の瀬戸際だと私はそのように今でも思っています。これからのそういう文化スポーツ部との連携策について、最後に部長の所見を聞いて、終わります。
〇菊池商工労働観光部長 委員からいろいろ御心配も含めた御提言をいただいているところでありまして、県として、行政として、文化、スポーツを所掌する分野のみならず、本県全体の課題として、県組織がどのように取り組んでいくかについては、引き続き連携を深めながら対応していきたいと思いますし、文化スポーツ部の4月の発足に当たっても、これは私の所管ではないので正確にも申し上げられませんが、いずれ、やれる限りの対応策を考えて4月に臨むと受けとめております。我々は、先ほど言ったように現時点での立ち位置はそういう認識ですが、文化、スポーツを活用して地域振興、観光振興、産業振興、さまざまなものに一体的に取り組んでいく認識は全く変わりありませんので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時0分 休 憩
午後1時2分再開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇柳村一委員 私は3項目通告していたんですけれども、午前中に観光産業の振興については委員の皆様から質疑がありましたので、1点だけお伺いしたいのですが、先ほど部長が、観光については地元の力との連携が必要だということで、市町村へ交付金を回して、市町村で観光を開発してもらって、オール岩手で組み立てていくというようなお話をされていましたが、もう一方では、冬は国内の観光客が減少するので、そこをインバウンドで補うんだよという点もおっしゃっていました。
しかし、逆に言えば、国内のお客さんが来ないのに、外国人観光客を誘客できるのかというのはすごく疑問があるんですけれども、一方では、岩手は冬の観光がすごい魅力だと思んですよ。ですので、そこら辺で、県と市町村で一体となって魅力の発信をどんどんやって、逆に国内観光客がいっぱい来るから外国人も来るんだよというような政策をすべきではないのか。ちょっと消極的ではないかと思うのですけれども、そこら辺について何か所感があったらお伺いします。
〇平井観光課総括課長 インバウンドと国内観光の誘客の考え方でございますけれども、委員から御指摘ございましたとおり、ただいま本県の入り込み、それから宿泊者数のどちらをとりましても、当然、国内観光客のほうが圧倒的に多いわけでございまして、外国人観光客については、これから伸ばしていく市場と考えております。
その中で、私どもの取り組みといたしましては、ターゲットといたします外国の市場につきましては、当然、どんな特性があるかを踏まえていきますが、委員からお話がございましたように、私どもの岩手県内で育て上げる観光資源は、やはりそれは両方共通して相乗効果が上がるような、国内にも国外にもできるような形でやっていこうということで、先ほどお話しいたしました東北観光復興対策交付金も、外国人観光客誘客のためではございますが、例えば、冬のいわて雪まつりのブラッシュアップとか、それから個人観光客に対する受け入れ態勢整備とかは、同時に国内観光客のための取り組みとしても効果があるものでございます。特に、冬場につきましては、インバウンドのほかにも、国内は雪まつりを中心としまして、また、今は国内では減少しておりますスキー客誘客の掘り起こしもあわせて取り組む考えでございます。
〇柳村一委員 ぜひお願いしたいと思います。今、冬場ですとパウダースノーということで、北海道とか信州とかのお客様が岩手に集まり出してきているということですので、そういう部分もどんどん積極的にアプローチすればいいかと思いますし、あともう一点思うのは、最近は韓国とか中国のお客さんが大勢来て観光客でにぎわっていますけれども、岩手のこのお客さんが少ないというのも魅力の一つだと思うんです。静かに観光できるという部分にも目を向けてもいいかと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、いわての漆産業新時代開拓事業についてお伺いします。
これも先ほど福井委員からお聞きしていたので、私はダブらない部分でちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど漆は6月から10月で冬場の仕事がないから報酬が少ないというような話をされていましたが、漆をかくのは6月から10月ですが、それ以外に漆職人は、例えば漆の林を守るとかといった仕事もあるのではないかと思うんですが、そういう部分で職人のかかわり合いはどのようになっていますでしょうか。
〇高橋地域産業課長 漆かき職人の仕事についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、漆かき職人の方は、漆をかくだけではなくて、おっしゃるとおり、林を手入れしたりですとか、あと、ほかにもさまざま、漆器をつくったりという方もいらっしゃいます。漆器をつくりながら、実際漆をかいたりといった方もおりますし、あと、冬場の仕事については、地元を回った際にいろいろお話しいただくのは、例えば漆をつくる前の木地をつくったり、木工のほうとか、そういったものを冬場できるのではないかというお話も頂戴しております。さまざまな状況がございますので、それらもいろいろ検討しながら進めてまいりたいと思います。
〇柳村一委員 あと、今は6月から10月ということですが、漆のとり方で、裏目がきとか、12月に伐採した枝からとる枝かきとかというものもあるようですので、漆は、1回採取したら、もう伐採してその木は終わりということのようなので、そういう昔からやっている伝統的なことも取り入れながら漆の増産も考えられるのではないかと思いますけれども、そこら辺の取り組みは行っているのでしょうか。
〇高橋地域産業課長 漆かきにつきましては、委員御指摘の裏目がきとか枝がきという部分がございまして、主に浄法寺のほうでは、殺しがきということで、6月から漆がきが始まるのですけれども、最初、初辺とか盛辺とか末辺と、時期によってそれぞれ漆の種類があるようなのですが、先般いろいろ研修会をする機会があって、ちょうどお話を聞く機会がありまして、現在は裏目がきとかといったものは余りやられていないということで、実際、秋のところでもう終わるという状況がございます。
ただ、こういった漆の造林につきましては、さまざまこれから進めていかなければならないという状況がございますので、現在、二戸市を中心にそういった、新たに土地を取得しながら漆を植える部分をふやしていくとか、県でもいろいろ、森林整備事業の中でさまざま応援しながら進めていきたいと思っていましたので、そういったところを進めていきたいと思います。
〇柳村一委員 先ほどの答弁ですと、平成25年から林の育成研修とかが行われて、平成28年度から調査は入っているよということですけれども、漆職人は1人で400本ぐらいの木を抱えて、それを雨の日以外は毎日かいてやるような仕事なそうなので、漆かき職人をふやすのはいいですが、林そのもの自体がなければ職業として成り立たないと思いますので、今後ふやしていくためには造林計画が本当に重要になってくると思います。二戸市だけでできる問題は限られると思うのですが、漆の木に合った土壌というのもあるらしいので、そこら辺の調査をされているのか。
あと、全国の漆器の産地でも漆の木を植え始めてくるとなってくると、全国の7割以上やっている浄法寺の漆が、ほかの県に広がってくると、また生産地の力が減ってくるのではないかと思いますが、そこら辺はどのようにお考えでしょうか。
〇高橋地域産業課長 まず、漆の土壌に合ったものというところ、その辺の取り組みについてでありますけれども、おっしゃるとおり、漆の木については、やはり土地が肥沃なところがいいというお話がされております。
現在、漆につきましては県でもさまざま取り組みを進める中で、文化庁の予測ですと、国宝とかに国産漆を使用する場合の年間消費量が平均で約2トン必要と言われております。二戸市の試算によりますと、その2トンを採取するためには、漆原木約24万本が必要ということであります。
現在、二戸市近隣の原木を含めますとおおむね24万本は確保している状況でございますけれども、ただ、一部採取不能の荒廃林もあるということで、県では現在、先ほど御答弁申し上げたように、二戸市と、実際に今何本の木がかけて、何年後に何本の木がかけるとかといった実態調査を進めているところでありまして、その調査を踏まえた上で、今後の造林計画をしっかりつくりながら、それらつくる分については、いろいろ連携を図りながら進めていきたいと考えております。
あと、増産については、市単独ということではなくて、当然国、県、市という格好で進めておりまして、国でいいますと、文化庁で平成18年度から、文化財建造物の修理に必要な素材のモデル供給林とか研修林を全国各地で、ふるさと文化財の森ということで指定しております。平成28年3月現在で全国に68カ所ございます。この文化財資源といいますのは、例えばヒワダというヒノキの皮とか、屋根に使うものですけれども、あとカヤとかイグサとかで、その中に漆も入っております。
こういった文化庁の指定で、二戸市の浄法寺漆は平成19年3月に、全国で第1番目に指定となっております。
それからもう一点、午前中、文化財保護法というお話をしたのですけれども、その中に、いろいろ技術を守っていくための団体として日本文化財漆協会というものがございます。こちらの協会でもさまざま漆林の造林をやっておりまして、県内では二戸市のほか、八幡平市にも漆林を造林する予定になっております。
それから、午前中申し上げたとおり、農林水産部でもさまざまな森林整備事業を使いまして、漆の植林に係る補助事業を使って、平成27年度に2ヘクタールほど造林をしております。
もう一点の全国の地域との差別化というところでありますけれども、平成27年度の漆の生産量は、農林水産省の調査によりますと全国で1、182キロございます。そのうち岩手県が821キロということで大体70%、その次に多いのが茨城県の178キロで、シェアで言うと15%ほどになります。3番目は栃木県で、120キロで10%ということで、この3県で大体95%をカバーしている状況でございます。
岩手県が断トツで国内の産地では一番多いというところでございますが、産地の茨城県でも、昨年度には漆を振興するためのコンソーシアムをつくっておりますので、県としても、来年度事業で予定しているこの事業を活用しながら、関係者一体となって、産地の取り組みについては進めてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇柳村一委員 丁寧にありがとうございました。
漆器の原料についてちょっとお伺いしたいんですけれども、ミズメとかトチノキとかケヤキというものを使って漆器をつくられているようでありますが、現在、その原木みたいなものが少なくなってきているということで、漆だけ生産しても、今度、漆器の生産について、原木が少なくなっていくとそっちの産業も大変になってくるんだと思いますが、そこら辺について、県は何か対策等は考えていらっしゃるでしょうか。
〇高橋地域産業課長 漆器の木地の部分でございますけれども、委員御指摘のとおり、なかなかそういった材料の確保が困難でございまして、現在、県内でつくられている漆器の原料も、主に山形県とか石川県山中町からいろいろ調達しているという状況がございます。
こういった状況を受けまして、主に二戸市の取り組みが中心になるんですが、伐期が到来している市有地において、漆の植栽のみならず、ケヤキとかトチノキといった樹木を植栽して原材料の確保に努めているところであります。先ほどのふるさと文化財の森といったところも活用しながら、こういった樹木を植栽しているところでございます。
〇柳村一委員 やっぱり県産の漆器は県産の木地を使ってつくっていただくのが一番いいと思いますので、そこら辺の取り組みもしっかりとお願いしたいと思います。
あと、県産の漆器の評価についてお聞きしたいのですけれども、日本漆器協同組合連合会に13県の16産地組合が加盟しているようですが、岩手県からは1組合も参加していないのですが、どうしてなのかということと、2010年から漆サミットが漆アカデミーに変わったそうなのですけれども、これには県として参加していますが、ここら辺の関係はどのようになっているんでしょうか、お伺いします。
〇高橋地域産業課長 委員からお話がありました日本漆器協同組合連合会に岩手県からは一つも入っていない状況につきましては、大変申しわけございません、こちらでは把握しておりません。
それから、漆アカデミーにつきましては、これは全国の漆の産地が会員になっておりまして、二戸市でも全国サミットを開催したところでありまして、現在、名称が変更になって漆アカデミーという形になっております。全国サミットは全国の産地の持ち回りでやっておりまして、ことしは東京で開催しております。
全国持ち回る中で、ぜひ、また岩手でもということがありますが、そういった、漆アカデミーとの関係を持ちながら、いろいろこちらでも取り組んでいるところでございます。
〇柳村一委員 どちらかというと岩手県ですと秀衡塗が有名でして、ほかの浄法寺とか八幡平、安比などは、まだまだ知名度が低いかと思うんですが、漆の産地で漆製品も産業として成り立っていけば、もっともっと知名度が上がっていくのではないかと思いますし、新たな商品開発、最近では時計ですとか筆記用具、あとトヨタ自動車のアクアに使ったり、工具に使ったりしているようですけれども、そういう新しい製品の開発について、何かお考えがあればお伺いします。
〇高橋地域産業課長 漆の新しい製品の開発ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、最近では、グッドデザインを取られている漆を使った茶筒ですとか、あと、ジャペンと言ったりするボールペンができたりしているのですが、私どもでもいろいろな商品開発の支援とかといったものをやっております。
また、伝統工芸ということで、漆器に限らず、鉄器とかたんすとかいろいろあります。今年度も、そういった職人の方の研修会をする中で、デザイン的なものですとか新たな視点でのものづくりについて、さまざま支援しているところでございますので、そういった中で新しい商品も応援していきたいと考えております。
〇柳村一委員 漆は結構高級感があるので、ヒットすればかなりな感じになると思うので、よろしくお願いします。
その中で、2020年の東京オリンピックのメダルに漆を採用したいという二戸市の運動があるようですが、県として、そのような運動に対する支援策等は考えていらっしゃるのでしょうか、お伺いします。
〇高橋地域産業課長 2020年のオリンピックに向けたメダルにつきましては、以前より二戸市からもそういう御提案を頂戴しているところであります。
このメダルにつきましては、さまざまな調整とか、いろいろ協議をしながらというところがあるようですけれども、オリンピックに向けて、日本の漆ということで、岩手が産地でございますので、こちらからも積極的にそういった方向で働きかけをしていきたいと考えております。
〇柳村一委員 復興にも絡めて強力に県が推し進めれば実現可能ではないかと思いますし、メダルを授与するたびに、浄法寺産の漆ということで、それだけでもすごい宣伝効果になってくると思いますので、力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
あと、皆さんが部長に聞いていて、私もちょっと部長にお聞きしたいのですけれども、部長の胸につけているネームプレートは、自費で買われているものでしょうか。
〇菊池商工労働観光部長 私のこれは、配られた板に、所属がかわるたびに、テプラというのですか、それを張っているものです。
〇柳村一委員 なぜお聞きしたかというと、知事などは秀衡塗のプレートとかをつけていますし、ものづくり産業振興課長などは、きちんと漆を使ったプレートを使っているようであります。漆の新時代開拓事業をつかさどる部でございますので、県の職員の皆様も胸につけて宣伝するような形で、漆をぜひとも繁栄させるようにお願いしたいと思います。
次に移ります。もりおか広域IT産業育成事業費について、この事業費の内容についてお伺いします。
〇高橋特命参事兼ものづくり産業振興課長 もりおか広域IT産業育成事業費の事業内容についてでございますけれども、この事業につきましては、盛岡広域振興局がIT連携コーディネーターを設置いたしまして、管内のIT企業と他産業の企業とか、市町村、教育機関等との連携を支援することによりまして、企業間の事業連携や、産学官によるITを活用した産業振興の取り組みを促進しますほか、専門家や実務家を交えたワークショップを開催いたしまして、先進性のあるテーマとか地域経済への波及効果の高いテーマの事業化とか、あと、人材不足や生産性向上など、地域の企業が抱えている課題をIT企業のノウハウ等により解決する、新しい事業モデルを構築していくということでございます。
また、人材確保に向けたIT企業の採用活動の強化を図るためのワークショップを開催しますとともに、IT企業と県内大学の学生や教員との交流会、あと、首都圏における県内企業と県出身者等との交流会を開催することによりまして、学生の県内就職やU・Iターンの促進を図る内容となっております。
〇柳村一委員 産学官連携して事業を行うとお伺いしましたけれども、平成28年度の県立大学のソフトウェア情報学部の入学者数のうち県内出身者が48.8%で、県外出身者が51.2%ということで、半分以上を県外からいらしている学生が占めているということです。
平成27年度のソフトウェア情報学部の卒業生の県内就職率が25.1%、4分の1ということで、ほとんどが県外に出ていかれていると。Iターン、Uターンを目指しているとかという部分で、あと企業に就職してもらうことを考えると、この事業は何かうまくいっていないのかなと思うんです。せっかく毎年80人を超える県外からいらしている方を、岩手の企業に根づいて就職してもらって、ここで活躍してもらうことができれば、人口の社会減の対策にもなります。
そういうところをもう少し強化するような取り組みを行っていただきたいと思うのと、あと、今後、IT産業の人材の不足がうたわれてきています。看護、介護だけでなくて、ITもだんだん人手不足になるんだよと。そういうときに、岩手県できちんとした学部があるのにもかかわらず、その人材が流出して、逆に不足していくようなことがないように今から対策を考えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇高橋特命参事兼ものづくり産業振興課長 県立大学のソフトウェア情報学部の学生の県内就職等の取り組みということでございますけれども、県におきましては、ソフトウェア情報学部の学生の県内IT関連企業への就職を促進するために、先ほど申しましたけれども、企業と学生、教員との交流会と企業見学会を実施しているところでございます。
また、卒業生などのU・Iターンを促進するために、ふるさと定住財団とか市町村と連携いたしまして、就職面接会やU・Iターンフェアを県内外で開催しております。また、首都圏で開催されるU・Iターンフェアには多数の県内のIT関連企業に参加いただきまして、卒業生等の還流を促している状況でございます。
さらに、U・Iターンの一層の促進を図るために、平成27年度から、ジョブカフェいわてにU・Iターンサポートデスクを設置いたしまして、U・Iターン就職の相談に対応しておりますほか、今年度から新たに、東京のふるさと回帰支援センターにキャリアカウンセラーを配置し、就職と移住、定住のワンストップ相談体制を整備いたしまして、卒業生などのU・Iターン支援体制の強化を図ってきているところでございます。
また、加えまして、平成29年度から運用開始を予定しております、いわて産業人材奨学金返還支援制度では、ソフトウエア開発分野で、県内へ就職する学生とか35歳未満のU・Iターン希望者を対象といたしまして、県内だけではなくて、首都圏においても十分周知を図ることによりまして、IT関連人材の県内就職とかU・Iターンを促進していきたいと考えております。
〇高橋孝眞副委員長 柳村一委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇柳村一委員 要は、働く場所がなければ人って来ないんですね。そのときに、就職の面談とかという後方支援じゃなくて、もっともっとITを生かした産業の開拓みたいなことも取り組んでいかなければいけないと思いますので、そこら辺を強く要望して、終わります。
〇城内よしひこ委員 公共職業能力開発費についてお伺いしたいと思います。
宮古市松山の宮古高等技術専門校が台風第10号で被災したわけですが、その復旧はどのように推移するのかお伺いしたいと思います。
〇工藤労働課長 平成28年台風第10号で被災しました宮古高等技術専門校の復旧につきましては、被災した建物、受電設備などの復旧工事や使用できなくなった実習機器等の整備につきまして、昨年9月定例会で必要な予算補正を行わせていただいて進めてきたところでございます。
これまでに、訓練の実施に必要な復旧工事は完了しておりますし、また、実習機器などの整備の購入などの手続もほぼ完了しておりまして、年度内に完了する予定でございます。県内の自動車関係企業などから多くの温かい支援もいただいて、被災前のように訓練できる環境が順調に整ってきているところでございます。
なお、直接訓練には関係しないようなものでございますが、今後の水害対策のための2階への職員室の移設ですとか受電設備の浸水対策などにつきましては、全体の計画調整、設計等に不測の日数を要しましたために、2月補正予算で繰越明許費補正をお認めいただいたところでございまして、来年度、工事を行うこととしてございます。
〇城内よしひこ委員 この間、授業ができなかった在学生の方々の単位取得はスムーズに行ったのか、お伺いしたいと思います。
〇工藤労働課長 訓練の時間等につきまして、当初の計画どおりの時間数を確保するということで進めておりまして、復旧のために休止しておりました訓練につきましては、冬休み、春休みを若干短縮して予定どおり実施しておりまして、卒業、就職に影響がないように対応しております。
〇城内よしひこ委員 今年度、平成29年度に耐震の予算が多分確保されたかと思っていましたが、耐震の計画、また、その進め方はどのようになっていますか。
〇工藤労働課長 宮古高等技術専門校の耐震の関係でございますが、今年度、耐震改修のための設計を実施したところでございまして、来年度、耐震改修工事を実施するということで、平成29年度当初予算に計上させていただいているところでございます。
〇城内よしひこ委員 先ほど来お話ししていますけれども、岩手県の自動車産業を支える貴重な人材を育成している学校、輩出している学校ですので、ぜひよろしくお願いします。
次に移ります。中小企業への再建支援と復興についてであります。
台風第10号に関連してお伺いしますが、支援策が各種あるわけですが、その利用状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 台風第10号災害に係る支援策の利用状況ですけれども、まず、被災した中小企業者等に対する補助制度ということで地域なりわい再生緊急対策交付金がありますが、各市町で約1、000事業者を補助対象と見込んで、現在、相談対応とか交付申請を受け付けしながら支援を進めているところです。
それから、運転資金等の関係で県単融資制度も中小企業災害復旧資金ということで取り扱いをしておりますけれども、この融資実績は、平成29年1月末現在で181件、13億9、000万円余りとなっております。
また、国でも補助事業を実施しておりまして、まず、小規模事業者持続化補助金の台風激甚災害対策型というものがありまして、本県から89の事業者が採択されております。同じく国の補助事業であります地域・まちなか商業活性化支援事業について、久慈市中心部の商店街組織が採択されている状況です。
〇城内よしひこ委員 被災をした数からいくとまだまだかとは思っていますが、沿岸部については、東日本大震災津波と合わせて台風第10号でダブルで被災した方々もあって、そういった方々の中で、この際にもう事業はやめようかという話をする方も中にはいらっしゃいます。そういった方々をしっかりと救ってほしいと思うところでありますし、商工会議所も結構頑張っていろいろな方々に声がけをしているようであります。
そういう事業展開をされている中で、県には、立てた予算は満額消化してほしいと思っていますが、現地、現場でお話を聞くと、まだまだそれが伝わっていない部分もあるのではないかと。そういうことはないのか確認をしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 まず、被災事業者の再開状況を市町村に随時聞き取り等を行っておりまして、3市町で、一部再開も含めて9割以上が事業を再開していると聞いております。
それから、補助事業の実施状況につきましては、この制度は遡及適用といいますか、実際の修理とかが終わってからの補助金の手続を認めております。事業者によっては、建物は直ったけれども、設備の修繕とか調整を今やっているというようなことで、全部終わってから手続をしたいというところもあって、市町村からも、そういう意味で繰り越ししてやらなければならないということも伺っております。実際の相談はかなりの件数となっているようなんですが、正式な手続は今進めながらと聞いておりますので、来年度も進めていくということだと思います。
市町村ではその都度交付決定しており、2月末時点で、3市町で138件の交付決定をしていると伺っております。それ以外に、先ほど言ったとおり、相談を受け付けしながら、支払いの手続ですとか、あるいは全体の修繕の進みぐあいを見ながら、さらに手続を進めていくと聞いております。
〇城内よしひこ委員 いろいろな方々が被災していて、業種であったり、機械によってもいろいろな種類があるようですので、その辺もしっかりと積み残しがないようにお願いしたいと思います。
そこで、台風第10号に関連するわけですが、これまで東日本大震災津波で被災した方々で、また二重に被災した方が、今、そろそろいろいろな意味で支払いが始まりかけている方々もあるわけでありますが、そういった事業者に対する支援、また、その状況は県として把握しているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 東日本大震災津波で被災、復旧に取り組む事業者のうち、いわゆるグループ補助金の補助残部分を無利子融資、高度化スキーム貸し付けに使っている方は、平成29年2月末現在で260者ございます。
その中で台風第10号で浸水したところが16者あります。この16者のうち、既に返済が始まっているところが4者ありまして、こちらは当初の計画どおりに返済しております。これから返済が始まるところの12者のうち、2者から返済の条件について相談を受けているところです。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、そういった方々にも、条件も整わなければ難しい話かもしれませんが、いろいろな手だてがあろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。
何せ地域での雇用確保も大変だし、二重、三重にということで皆さん腐心しています。そういったことを考えると、なかなか皆さんの頑張りようも、大変だろうけれども頑張ってほしいと思いますが、再度その辺、何かありましたら。
〇高橋経営支援課総括課長 お話のありました台風第10号の被災地は、震災からという復興途上での被災ということで、復旧のために非常にエネルギーが皆さん必要という部分です。県でもさまざまな支援をしておりますし、商工団体でも大分相談に入ったり、高度化スキームのほうでも被災事業者にヒアリングを行ったりということで、できるだけお話を聞きながら対応を進めておりますので、これからも市町村、関係団体といろいろ連携をとって、きめ細かく対応して復旧、復興を支援していきたいと思います。
〇工藤勝博委員 大きく2点お伺いいたします。
まず、県の関連事務所で大連経済事務所があります。この事務所は平成17年4月に宮城県と共同での開設ということで、画期的な事務所ということで評価されていますけれども、その事務所の業務の内容と、その成果、そしてまた、今まで積み上がった課題等あれば教えていただきたいと思います。12年ですから相当内容の濃い業務だったろうと思いますけれども、その辺もあわせてお願いいたします。
〇押切産業経済交流課総括課長 大連経済事務所の業務の状況ということでございますが、人口が多くて、市場としての可能性が見込まれる中国との経済交流の促進でありますとか観光客の誘客拡大を図るために、委員おっしゃいましたとおり、平成17年4月に大連市に岩手県大連経済事務所を設置したところでございます。
中国と岩手の双方に精通した中国人所長を採用していることが一つの強みでございまして、所長を含め4人の体制で、県内企業の中国ビジネス支援でありますとか県産品の販路拡大、中国からの観光誘客などの活動を行っているところでございます。
そして、これまでの活動を通じまして、大連市や雲南省との協定締結など、地方政府間の連携機会の創出、上海万博出展を契機とした南部鉄器の普及拡大、岩手県産株式会社とパートナーシップ協定を結んでいるんですが、大連市の大連良運集団を初め、上海で高級茶業店を営んでおります上海大可堂、北京の大きな商社であります中糧集団などとのビジネスパートナーシップの関係構築、そして、観光面では、広州広之旅国際旅行社との連携による観光誘客の促進など、幅広い成果が得られているところでございます。
いずれにしましても、本県の対中事業の重要な拠点としまして、さらなる経済交流の促進でありますとか観光誘客を図っていくことが大きな課題でございますので、新年度は、新たに中国における認知度向上に向けた取り組みを進めることとしているところでございます。
〇工藤勝博委員 この大連との長年の交流がありますけれども、県議会でも大連友好議員連盟というものがあって、毎年、双方向の情報提供をいただいております。商工労働観光部にも大連市からの職員がいるということもありますけれども、それらも含めて、対中ビジネスの、毎年のようにビジネス関係の説明も受けているのですが、それらの実績はどの程度上がっているんでしょうか。
〇押切産業経済交流課総括課長 ビジネスの実績ということでありますけれども、まずは、大連、上海、北京におきまして大きなビジネスパートナーとなる会社と連携をして進めているところでございまして、金額的にはなかなか難しい部分がありますが、いずれ南部鉄器につきましては、上海万博を契機として大きく金額を伸ばしております。最近、爆買い等もちょっと鎮静化したということで若干落ちておりますけれども、さらに南部鉄器を契機として、県産品、信頼ある岩手のものということで売り込んでいきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 やっぱり政治的には中国、韓国も含めて大変あつれきもあるわけですけれども、民間のこうした交流というものは、さらにまた別枠として進めなければならないと思うので、大連に事務所があるということは、岩手県にとっても大変有効な手段だと思います。そしてまた、中国の東北地方の遼寧省あるいは吉林省、黒竜江省とか、かかわりのある岩手県人もたくさんおると思うんですね。それらも含めて、何かつくっていますよ、やっていますよというだけで、その中身がなかなか見えてこないのが私の実感です。10年間こうしてお世話になっていますけれども、果たしてこのままでいいのかということがあるんです。
そういう中で、大連友好の翼というものがありました。それで双方向で行ったと。平成17年から平成20年の間、お互いの交流があったんですけれども、それがいつの間にか途絶えているということもあります。平成23年の東日本大震災津波以降はともかくとしても、これからどういう関係を築いていくのか、改めてお聞きしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 今、委員からお話のございました大連友好の翼に関しまして、特に観光面のことでお話しさせていただきますが、この双方向のチャーター便は、委員からお話しいただきましたとおり、平成17年、そして、さらに平成18年、19年と続きまして、平成20年には、花巻市の花巻市民の翼という形で双方向チャーターが運航されまして、この間、本県側からは625名、中国側からは774名の利用があったところでございます。
このチャーター便の運航につきましては、課題という点では、本県側から中国側に向かうお客様の、いわゆるアウトバウンドと申しますが、一般客の集客がなかなか難しかったところはございましたが、いずれ経済、観光の両面におきまして、中国大連市と本県との相互交流の促進につながったものでございます。
特に観光面でございますけれども、中国からのお客様は震災で落ち込みましたが、その後順調に伸びておりまして、速報値ではございますが、昨年1年間の本県への中国からの宿泊者数は1万2、110人泊ということで、これは震災前の平成22年と比べると2倍となっております。また、史上最高の人数でございます。
このようなこともございまして、特に観光面では、誘客拡大策の一つとして、チャーター便の運航につきましては非常に可能性があると捉えておりまして、いわて花巻空港へのチャーター便の誘致を所管します県土整備部とも連携して、研究をしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 観光面も含めて、やっぱり大きな窓口としての大連事務所をこれからいかに活用するかにかかわってくると思うんです。
そういう中で、今、2022年の北京の冬季オリンピックで、中国からの、先ほど来、冬の観光客というお話もありました。今すごく注目されている東北ということでありますけれども、先ほど仙台から入ってくる飛行機、インバウンドで去年あたりから大分その動きがあるんですね。それをうまく捉えているのか、または、見逃しているのか、ちょっとその辺を私も確認したいと思いますけれども、それらはどのように捉えているでしょうか。
〇平井観光課総括課長 現在の中国からの誘客でございますけれども、委員からお話がございましたとおり、北京で開催されます冬季オリンピックを控えておりまして、特にスキーの人気がございます。
先ほども御紹介いたしましたが、本県はスキーを中心に、中国の大連事務所を窓口としまして中国旅行会社等へさまざまな働きかけを行っておりまして、その結果、先ほどの繰り返しになりますが、本県への観光客入り込み数が史上最高となっている状況でございます。
〇工藤勝博委員 そういう一つの大きな予定の立つものがあるので、午前中、飯澤委員からもお話がありました東北の観光をどうするかということで見ますと、秋田県、青森県が先んじて相当な力を入れているなという感じがしています。特に、青森県は国際定期便もあります。そしてまた、チャーター便が相当な実績で入っております。平成27年度ですけれども、青森が183便、秋田が141便、花巻が36便ということで、明らかに差があるんですね。
青森のチャーター便は、ベトナム航空、エバー航空、大韓航空、タイ航空、そして、中国からの中国南方航空という、各航空会社を入れている。岩手は台湾の中華航空1社のみということ。たまにタイからも来ますけれども。やっぱりそういう戦略的な誘客に向けての取り組みがないのではないかと思います。
また、秋田では、平成28年度からチャーター便1往復150万円の着陸料といいますか、補助を出していると。それだけ力の入れぐあいが全然違うんだなと思います。
それらも含めて、今後のインバウンドの戦略として、このままでは岩手は、逆にインもアウトもよそからになりますよ。その辺はどうお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 インバウンドの戦略でございますが、こちらは全庁的な連携が必要と考えております。特に、委員からお話がございました国際定期チャーター便、それから、国際定期便は所管いたします県土整備部との連携も大事でございますし、その他、午前中もお話が出たスポーツ、オリンピック、それからラグビーワールドカップというものを含めまして、いずれ部局連携で取り組むことが非常に重要になってまいります。
これに伴いまして、いわてまるごと売込み推進本部を立ち上げまして各部局が連携して取り組む形になっておりますので、委員からお話のありました花巻空港への誘致につきましても、県土整備部としっかり連携してやっていく考えでございます。
〇工藤勝博委員 ぜひ、いい機会でもありますので、それらを力強く進めていっていただきたいと思います。
この大連事務所に関してもう一つ、人事交流ということでお伺いしたいと思います。
大連市からは毎年入っていますけれども、県からは平成24年度で終わっていますね。今後どのような形でこの大連市との人事交流を拡大していかれるのか、お伺いしたいと思います。
〇押切産業経済交流課総括課長 大連市との人事交流でございますけれども、平成19年5月に大連市と県が協定を結びまして、職員の相互派遣交流ということで行っているものでございます。平成20年度から平成24年度までの5年間は、相互交流ということで、5人行って、5人来たということで、平成24年度末をもって、こっちから行くのは終了して、震災後でもありましたものですから、復興に対応するため本県からの派遣は一旦停止したところでございます。
一方、大連市からは、協定に先立ちまして、平成17年度から職員が派遣されておりまして、これまで11人を受け入れているところでございます。
いずれ、大連市からの派遣職員につきましては、本県の対中事業について、通訳だけでなくて、情報発信でありますとか、いろいろ活躍していただいているところでございまして、本県から行った職員も、向こうで商工部門とか経済部門とかで活躍しておりまして、帰国後も、そのノウハウを使った仕事をしているということでございます。
今後の再開につきましては、復興状況等のこともございます。総合的な視点で改めて研究させていただければと思います。
〇工藤勝博委員 大連市とは県との人事交流も含めて、岩手大学とか、結構大学生も留学で入っています。それらも含めて、そういう太いパイプをいかにつくるかということが、これからの大きな成果を上げるために必要であろうと思います。
いずれ、次の質問とも関連があるんですけれども、そういうパイプを持って岩手の魅力をどう伝えるか、そしてまた、中国からの情報をどう引き込むかということになるだろうと思いますが、その辺の人事交流の中で生まれてきている成果は、どのように捉えているでしょうか。
〇押切産業経済交流課総括課長 人事交流を活用したさらなる太いパイプということでございますけれども、いずれ本県から5人が行って、大連市から11人が来ているという部分、それプラス岩手大学等に留学生がいらっしゃっているということで、去年の今ごろでしたか、ちょうど岩手大学と一緒になって、北京で同窓会的なものをやりまして、岩手ファンとして、また中国で活躍してもらうという情報発信を強化するような取り組みも行っております。そういう両方に通じた人間を十分に活用した形で施策を進めていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 わかりました。
二つ目の質問です。新規事業で中国における岩手の認知度向上促進事業6、860万円という予算ですけれども、あのくらい広い中国でどのように岩手の認知度を高めていくのか、具体的な方策があればお聞きしたいと思います。
〇押切産業経済交流課総括課長 中国における岩手の認知度向上の具体策ということでございますが、中国においては、先ほど申し上げましたが、南部鉄器の知名度が高いということがございます。ただ、岩手県が南部鉄器の産地であるかどうかとなると、ちょっとそこは怪しい部分もありますので、岩手が南部鉄器の産地であることをPRすることによって、岩手でつくっている食品でありますとか工芸品も含めて、品質の高いものづくりを行う信頼性の高い地域として本県の認知度を高めようというものでございます。
具体策としましては、先ほど申し上げましたが、大連経済事務所が構築した大連、上海、北京でのビジネスパートナーを活用しまして、3都市における県産品の販売でありますとか観光情報の発信を行う岩手フェアを開催したいと考えているところでございます。
いずれ、多くの人口を抱えるその3都市の消費者に対して、県産品を実際に食べてもらって、見てもらって、そして、観光情報を発信することによりまして、県産品の販路拡大とインバウンドの促進につなげたいと考えているところでございます。
また、フェアの開催に加えまして、中国の女性経営者グループとか上海大可堂を通じた著名人の招聘なども考えておりまして、その方々に、岩手の自然でありますとか、文化、歴史とか、温泉、食等を体験していただくことによりまして、帰ってから発信していきたいということなど、効果的な情報発信についても考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 とかく岩手県は、宣伝が下手だとか売り方が下手だとかと言われています。そういう中で、15年前ですか、北海道が台湾にプロモーションをかけて、それから一気に北海道ブームが台湾で起きたということがあります。一番手近なテレビ番組とかでトータルで4、000時間も流したという、それぐらいの気持ちでやらないと、中国で岩手はどこなのだと言われても、イベントをやりました、どこかのスーパーでやりましたといっても、これはもういっときで終わってしまうと思うので、それだけのお金を使いながら、経費を使いながら積極的にプロモーションをかけるべきだと思います。
認知度を上げるということは並大抵でないと思うんですけれども、それをいかにメディアに訴えながら、ポイント、ポイントもあると思いますが、ぜひともそこを力強くやってほしいと思います。そういう考えはないんでしょうか。
〇押切産業経済交流課総括課長 認知度という面で、一つ、中国でバイドゥという検索サイトがありまして、岩手という言葉の認知度というか検索回数を、北海道、京都とかと比べたときに10分の1以下の数字になっております。
中国14億人の皆様方全ての岩手の認知度を高めることは一朝一夕にはいかないことだと思いますけれども、いずれビジネスパートナーを通じて、ターゲット、地域、客層を絞りながら、まず、効果的な情報発信ということで、大連、上海、北京で強力に発信していきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 有効な手段で頑張ってほしいと思います。
先ほど、ちょっと聞き忘れました。観光の中のアウトバウンドですけれども、以前、県でもパスポート補助事業がありました。そういう形でアウトバウンドの支援も必要だろうと思います。特に秋田県では、修学旅行とかいろいろな研修の目的がはっきりしていて出かける方には1万円とか2万円とか、団体であれば20万円という補助事業を平成28年度からやっています。それだけの思い入れをして観光事業を進めていかないと、誘客を頑張りますと言ってもなかなか難しいと思いますけれども、その辺の予定というのは今後あるのでしょうか。
〇平井観光課総括課長 いわゆるアウトバウンドへの支援でございますけれども、台湾からのチャーター便につきましては、所管は県土整備部になりますが、現在もパスポート申請等の支援措置がございますので、引き続き、例えば中国、その他の国へのチャーター便、定期便に向けては、先ほども話しました県土整備部と連携して、双方で交流が促進するような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後の質問をいたします。
観光施設等も含めて海外資本がかなり入ってきています。私の地元の八幡平管内でも、それぞれのホテルのオーナーがかわって、中国なり台湾という形で入ってきています。そういう海外資本を、観光客の取り込みの一つの大きな切り口として、私は、来てくれるのであればいいんだという思いがありますけれども、県では、これから、そういう海外資本の受けとめ方をどう考えているのかお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 特にインバウンドといいますか、国際観光、来ていただくほうの話でございますが、現在の私どものセールスの対象というのは海外の旅行会社でございます。海外の旅行会社に商品をつくっていただいて、現地で売っていただいて、そして岩手に来ていただくのが中心でございますので、当然、その中で海外資本というものも見えてまいりますし、また、岩手側におきましても、海外の方に受けるような施設というものをこしらえていくという中にも、そういう可能性もございますので、ここは、その動向を見ながらいろいろ研究させていただきたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 確かに旅行会社もそうです。また、ホテルならホテル、スキー場ならスキー場にも資本参加するということになると、相当な誘客の弾みになると思うんです。それらを含めて、従来なかったような-幾ら国内でいろいろなコマーシャルを流しても来ないのでは、やはり海外に目を向けないと、これからの岩手の観光も含めて、東北の観光が大きく伸びないのだろうと思います。ぜひとも、そういう海外資本への対応も入れながら、通年の観光地として成り立つようにやってほしいと思います。部長、海外資本に関して、その辺をどうお考えになっているかお聞きします。
〇菊池商工労働観光部長 海外展開の上で、既にもう海外資本がいらっしゃっているのは私も了知しておりまして、実際は、半分非公式ですが、お会いしたこともございまして、どんどん客を連れてきてくれと頼んでいますけれども、そういった形で連携が必要だと思います。
一方では、地元資本の力も相乗効果的に上がっていってもらわないと、地域産業、経済として成り立っていかないものですから、みんなで岩手の観光及び関連産業が活性化し、みんながウイン・ウインでもうけていくような状況をつくれるような産業構造、産業連携の形になるように海外資本の皆さんにも御理解いただいて、地元資本と上手に連携していただいて産業活動を展開してもらうように期待しておりますし、繰り返しですけれども、何よりもお客さんを連れてきてください、富裕層をいっぱい連れてきてくださいと私もお願いしております。スキーはそうやって売り込んでいるんですけれども、これからも頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
〇菅野ひろのり委員 私からは大きく2点、御質問させていただきたいと思います。
まず1点目でございますが、いわての食と工芸魅力拡大事業費についてお尋ねします。
先ほど来漆と伝統産業についての質問がありました。資料をいただいている3、880万円という予算の中に伝統工芸産業についての事業もあるということをお聞きしましたが、これを活用してどのように工芸の魅力を拡大していくとお考えなのか、具体的な内容をお聞きしたいと思います。
〇高橋地域産業課長 いわての食と工芸魅力拡大事業の伝統工芸に係る部分の御質問でございます。
伝統工芸産業における県内クリエーターとつくり手のマッチングということで、伝統工芸については、新たにこういった事業を予定しているところでございます。この事業につきましては、地域の伝統と文化に育まれた貴重な財産ということで伝統工芸産業があるわけですが、その魅力を生かしたライフスタイルへの提案ですとか、新たな商品の開発を進めていきたいというところでございます。
県といたしましては、平成28年度に、鉄器や木工、ホームスパンなどのものづくりに携わる方々を対象に、デザイン性にすぐれた魅力あるものづくりを支援するということで、異業種のワークショップを開催したところでございまして、事業者連携による新たな視点での商品開発への具体的なアイデアやヒントがこのワークショップで生まれてまいりました。
これまでの取り組みを具体的に進め、伝統工芸産業の振興を図っていくためには、ものづくりの技術力に加えまして、商品の見せ方ですとかデザイン力という部分が求められております。平成29年度におきましては、県内のプロダクトデザイナーとか、いろいろな工芸を扱うインテリアコーディネーターといったクリエーターとつくり手が出会う場を創出いたしまして、伝統と時代のニーズが融合した新たな商品づくりに向けて、さらに支援を進めていきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 私の地元だと岩谷堂箪笥がありますけれども、住宅の環境とたんすを使う文化が変わってきていまして、ライフスタイルの変化やニーズが変わってきていると経済産業省も指摘されていますが、本当に先ほどおっしゃられたとおりだと思っています。
そこでお聞きしたいのが、先ほど、マッチングを通じて商品開発をしていくということでありましたが、県民計画の中に、新商品の企画、開発等に対する支援という県の具体的な推進方策工程表があるかと思いますが、これとの整合性といいますか、どのように違うものなのか、その点をお聞きしたいと思います。
〇高橋地域産業課長 県民計画における新商品開発の支援件数ということでございますけれども、この件数につきましては、例えば希望ファンドを活用したいろいろな商品開発ですとかほかの支援メニューがございます。私どもでやっているいわて産業振興センターとか、技術的な部分で言うと工業技術センターですとか、いろいろな機関でもこういった支援を行っている部分がございますので、そういったところとも連携を図りながら、伝統工芸についての、まさにライフスタイルに向けた提案という格好で、新たな商品づくりについては支援してまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 先ほどの御質問の御答弁の中でも、デザイナーとつくり手をマッチさせていくんだとか、支援事業がありますということだと思うんですが、そのつくり手を創造するときに、実際の伝統工芸の職人というよりも、何というのでしょうか、若手の方のクリエーター、雑貨づくりが好きな方であったりとか、非常に幅広い方々が携わっていると思いますし、もっと言うと、その方たちをしっかり支援して、そこから産業に抜け出すような事業をしていかなければいけないと思っています。来年度のマッチングを通じての商品開発を、どういったマーケットであったり、目標、件数、成功事例と具体的にあらわしていく手法というのが私にはちょっとまだイメージしづらくて、もう一歩踏み込んで、どんなものを創造しているのか、数であったり、どんなことを目標にしているのかということをお聞きしたいと思います。
〇高橋地域産業課長 ただいまのマーケットですとか件数、目標についてというところの設定の置き方でございますけれども、委員御指摘のとおり、特に伝統工芸につきましても、例えば南部鉄器でも漆器でも、若い職人の方々がつくり手として大分ふえてきております。先ほど、異業種のワークショップを開催しましたというお話をしましたけれども、例えば商品として、具体例で申しますと、漆器の場合、漆をろ過するときに、漆をこす紙があるんですけれども、その紙を小さくして紡ぐというか、ホームスパンとの連携事業なんですけれども、それでコースターをつくったりとか、そういう新たな商品づくりというものが見えてまいります。
マーケットといたしまして、そういったところを今後どうやって伸ばしていくかというところでありますけれども、私どもでは、例えば県外でありますとアンテナショップですとか、首都圏等で開催している岩手県の物産展等がございますので、そういったところで新たな商品提案をしていくとか、アクションプランの中でも目標として掲げている件数も捉えながら、さらにこういった動きを見据えながら、新たな商品づくりにつきましては、目標というよりも、これからの取り組みをどんどん支援しながら、最終的には工芸の製造品出荷額を伸ばしながら、支援していきたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 先ほど、アンテナショップというお言葉が出ましたが、仙台のパルコの上の階にアンテナショップのようなものがありまして、先ほどお話ししました岩谷堂箪笥の端材を使ったクラフトの製品等もそういったところに出して展開していると。若い方をターゲットにしていくということであれば、かた苦しい環境よりも、そうやって若い人が集まるところに対する出展といったものを戦略的に組み込んでいただきながら、継続的に取り組んでいただきたいと思っております。
次の質問に移ります。就職支援能力開発費についてお尋ねします。
まず、この事業ですが、予算が5億2、000万円ということで、今年度からの約4、000万円の減額理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
〇工藤労働課長 就職支援能力開発費の来年度予算額の減額の理由でございますけれども、就職支援能力開発費により実施いたします離職者等再就職訓練の事業につきましては、厚生労働省から県への委託事業でありまして、この委託料は今年度の当初予算は5億6、000万円でしたけれども、平成28年度の実績見込み額が約5億1、000万円弱と見込まれることを踏まえまして、平成29年度当初予算案では5億2、000万円ということで提案させていただいているものでございます。
なお、年度途中におきましても、受講者数が増加する場合には、国に対して委託料の増額を要求できる仕組みとなっておりまして、必要な予算は措置される見込みでございます。
〇菅野ひろのり委員 そうすると、受講者の数も恐らく減少しているということだと思いますが、今、ひとり親の方もそうですし、就職するのに、まずハローワークに行って職業訓練を受けようという流れだと思っています。いただいた資料の中でも、受講者数が平成23年には1、710人、平成27年には1、287人と年々減少しているわけですけれども、こういった背景はどういったところにあるとお考えでしょうか。
〇工藤労働課長 この訓練の受講者数は、おっしゃるとおり、平成23年度、平成24年度あたりは1、600人から1、700人程度だったものが、最近は減少しておりまして、千二、三百人となってございますが、その理由、要因としましては、まず、有効求人倍率が1倍を超える高い水準を継続しているなど、離職者が訓練を経ずに就職することが可能となるような雇用情勢の変化が、その主な要因と考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 そういった社会的背景がありながらも、約76%の受講者が就職を果たしていると。そして、毎年度1、000人を超える方が職業訓練を受けているという状況を見ますと、本県は非常に積極的にといいますか、ハローワークの事業がうまくいっているのではないかと私は個人的に推測しております。
先ほど少し触れさせていただきましたが、この中に母子家庭の母等の職業訓練があるかと思います。いただいた中ですと、平成27年度の定員は10名だったのが、平成28年度には75名に大幅にアップさせて事業を行っているということだったんですが、この背景はどのようになっておりますでしょうか。
〇工藤労働課長 母子家庭の母等を対象とした職業訓練のコースでございますけれども、これは離職者等の再就職訓練の一つのコースでございまして、母子家庭の母等が、就職経験がないですとか、出産や育児のために長期間の就業のブランクがある方が多いということを想定しての国の事業を踏まえたコースでございます。
そして、一般の離職者向けの訓練は原則3カ月ですけれども、それに加えて仕事上の留意事項とか接遇などを内容とします就労に向けた準備講習を最大5日間設けて実施しているものでございます。ただ、母子家庭の母等であっても、希望に応じて一般の離職者向けの訓練を受講することができるという仕組みとなっておりまして、そのような準備講習の受講を希望される方が減少してきているという背景がございまして、平成26年度から平成27年度にかけて大きく減少しております。
それで、ハローワークですとか労働局と相談して、平成28年度はコース数をふやす。考え方としましては、希望なりニーズに応じて受けやすい、受けたいコースを受けられるようにということで、コース数を今年度は15コースと設定して、その中から、受講者が希望する場合には、通常の3カ月の訓練の前に、最大5日間の準備講習を受けられますと。その方々が、結果的には母子家庭の母等の訓練コースを受けたというふうに今年度見直したということで、いずれ、ニーズ、希望に応じて受講できるように見直したというところでございます。
〇菅野ひろのり委員 私には今の御答弁でなかなか整理がつかなかったんですけれども、もう一度、重複するところもありますが、平成27年度はコースを1コース-今までも大体2とか3コースで1コースだったのが、平成28年度には15コースにふえています。総定員数も、平成27年度は1コースで合計10名だったのが、平成28年度は15コースで75名の定員数に非常に上がっていると。その背景は、先ほどニーズとおっしゃっていましたけれども、どういうニーズと捉えられているのかということなんです。といいますのが、次に、受講者数は6名で、修了したのが3名ということで、結果、数が非常に少なくなっている。ニーズというのであれば、この整合性をどう捉えればいいのだろうというのが私の素朴な疑問でございます。
少し長くなって申しわけないんですけれども、これは、どちらかというと、そういった需要があるから、担当部局としては、チャレンジする目標で非常に裾野を広げて母子家庭の方にやりやすくしてあげているのかと私は解釈したんですけれども、そこが非常に重要だと思っています。もう一度お考えをお聞かせください。
〇工藤労働課長 説明がなかなかわかりにくくて、済みません。
要は、平成26年度、平成27年度まで母子家庭の母の訓練コースを申し上げなかったので理解が難しかったと思うんですけれども、平成27年度までは独立したコースでして、母子家庭の母等のコースというのをほかのコースと別に設けておりました。それで、多くのコースを設けると、国からの予算の枠がありますので、必要があれば後でも調整できますけれども、最初から必要な数をある程度母子家庭の母-具体的には平成27年度は4コースと設定して、そのコースは母子家庭の母、父だけが受けられるコースですと。そのコースは準備講習5日間で、それから、ほかの訓練と実質的には同じなんですけれども、一般の訓練3カ月というコースを設定したところが、なかなか忙しいとかいろいろあって、準備講習5日間というのは要らないので、普通の職業訓練のほうを受けたいという方が多いようだということで、ハローワークでもなかなか紹介しにくいと。独立したコースではなくて普通の一般のコースの中で、希望者が5日間、事前に準備講習を受けるというのを母子家庭の母等の訓練としてできないかということを、相談してそうしたということで、平成27年度までは独立したコースを設けておりましたけれども、今年度は普通のコースの中で、希望すれば受けられるというコースをふやして、15コースについては希望すれば受けられるようにしたということでございます。
その結果、実際に希望された方は昨年度は10人受講したということでしたけれども、今年度はこれまで6人だけの希望であって、その6人が受講されたということでございます。いずれ、6名ではありますけれども、希望される方がいらっしゃる、ニーズがあるということで、引き続き受講の受け皿として設けさせていただきたいと考えているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 ニーズがあるということだったんですけれども、恐らく、国のメニューも含めていろいろなやり方を考えられたのだろうと思っております。まず、枠を広げられたということはすごいくいいことだと思っております。
先ほどの答弁を伺っても、初めて聞くとわかりづらい点もあるということは、逆に言うと、そういった母親の方等も難しいのかということを思ってしまいます。
最後の御質問にいたしますが、そういった窓口を広げて、今まで足りなかった職業の能力を補うということは国や県がやっていかなければいけないと思っております。繰り返しになりますが、先ほど、平成28年度は希望者が講座を受けられて、修了者が3名しかいなかったという課題を含めて、平成29年度はどのようにこの事業を進めていくべきとお考えなのかお聞きして、終わりたいと思います。
〇工藤労働課長 離職者の訓練、母子家庭の母等の訓練は見直し等を行って今の形にしているところですが、こういったいろいろな方々の就職を支援するということ、一人一人の能力を高めて、訓練を受けるとさらに就職条件もよくなるとか、就職の可能性も広がるということもあり、非常に重要なことと考えておりまして、受け皿を用意したり、あるいは希望、ニーズに応じて受けやすくするということを、引き続き、さらにハローワークや労働局とも相談していきながら、受講しやすい体制というのを工夫させていただいて、進めてまいりたいと考えております。
それから、先ほどの御意見を参考に、わかりやすい説明ということに努めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇神崎浩之委員 初めに、先ほど、工藤勝博委員の質問の中で、大連に県の職員が5人行っていたということがありました。その職員の方というのは、今現在、どういう部署で、どういうお仕事をされているのかということです。貴重な体験をなさって、しかも、岩手県としても大連を中心に中国にどんどん進出していきたいという中で、今現在、どういう部署についておられて、今後も県政の中でどう活用していくお考えなのかお聞きしたいと思います。
もう一つ、11名の方が来ていらっしゃるということでありました。先ほどは岩手ファンをつくっていただいているということだったんですが、果たしてそれだけでいいのか、岩手ファンのその後の拡大というか、本県に対する効果みたいなことがあれば、御紹介いただきたいと思います。
〇押切産業経済交流課総括課長 その5人の方が今どこにいるかということですけれども、最新の所属ということでは、今、手元に資料がないんですが、いずれ、戻ってきた後は、観光課や産業経済交流課でありますとか、若者女性協働推進室でありますとか、関係するところで力を発揮していただいて、その後、またかわっていくという形になっております。
ファンのつくり方というか、活用の仕方ということでございましたが、ただ同窓会をやって集まって終わりと言う形だけではなくて、実質的な役割をお願いするとか、例えば、今度、中国でそういう事業をするので、これこれこういうことで手伝ってくれないかとか、実動的な部分も含めて活用させていただきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 貴重な体験、環境の中でお仕事をされていた方なので、岩手としてもどんどん打って出るということで、ぜひ、真に活用をお願いしたいと思います。
観光についてお伺いいたします。
まず、みちのく岩手観光立県第2期基本計画ということで、もうそろそろ半分になるわけなんですが、その中で日本一のおもてなしとうたわれました。最初の説明の中で日本一のおもてなしということで、大風呂敷かなとも思って大変びっくりしたんですが、今、県のほうで自己評価の方法をどうなさっているのか。
あわせて、この中にもあるんですが、岩手県の観光の強み、弱み、ターゲットはどう考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 まず、おもてなし日本一の関係でございますが、これは、委員がおっしゃったとおり、計画において目指す姿として位置づけているものでございます。
こちらに関する評価でございますが、これは一つの見方ではございますけれども、大手の旅行会社が、毎年1年間の調査期間を設けまして、その中で、お客さまに地元の人のホスピタリティーを感じたかどうかという調査をしてございまして、平成27年の1年間の調査では、全国の20歳以上の男女約1万5、000人を対象に行っておりまして、その中で岩手県は、1位ではございませんが、第4位でございます。この結果からも、本県のおもてなしについては一定の評価は得られているとも考えられないわけではございませんが、いずれ、地域間競争というのはかなり激化しておりますし、旅行者の観光ニーズというものも多様化しておりますので、より一層のサービス向上が必要だと認識しております。
次に、本県の強み、弱み、ターゲットでございますが、まず、本県の強みといたしましては、二つの世界遺産、二つの国立公園があるという非常に観光資源に恵まれた県でございます。弱みといたしましては、例えばインバウンドに関して言いますと、国際定期便、国際チャーター便が東北を含めて少ない、首都圏から遠いとか、いろいろ交通事情、地形上の理由、それから県内全域が広いということも、弱みにもなりますし、強みにもなると考えてございます。
このような中で、ターゲットといたしましては、本県の売りとなるものとニーズとが一致するというところが基調でございまして、例えば海外であれば、本県の桜、紅葉、四季がはっきりしているところを好む台湾にターゲットを絞っておりますし、先ほどもお話しいたしましたが、冬のスキーということでは中国をターゲットとしているという形で、それぞれのニーズに応じたプロモーションに心がけているところでございます。
〇神崎浩之委員 日本一のおもてなしを県で声を大きくしていくのはいいんですが、実際やるのはおのおのの市町村であったり、おのおのの場面です。それにどう積極的に継続して啓発していくのか、その評価というものがないとだめだと思います。何をもって日本一のおもてなしなのか、これらについてはどうお考えでしょうか。
〇平井観光課総括課長 まず、委員おっしゃるとおり、おもてなしをするのは最前線にいらっしゃる観光関係者の方々でありますし、また、それよりも広い範囲でいきますと市町村の方々、地域の方々、そして県という形になりますが、特にも最前線にいらっしゃる方々に対して、おもてなし向上というものを県としてバックアップするために、まず、これは県の観光協会を通してですが、おもてなしに関する研修会等を開催しております。
また、これは気持ちだけといいますか、心の問題以外にも受け入れ環境がしっかりしていなければなりませんので、こちらにつきましては、先ほども御紹介いたしましたが、特にインバウンド向けでございますが、ホテル、旅館、観光施設に対する受け入れ環境の整備の支援というものも行っているものでございます。
それから、おもてなしの評価についてでございますが、先ほど、民間会社のものを申し上げましたが、最終的にはやはり本県の入り込み増につながるというのが一番大事でございます。そこら辺のところを特に注視してまいりたいと考えてございます。
〇神崎浩之委員 おもてなしについては、最後のほうで質問する障がい者の関係で、バリアフリー観光についてもつながっていくと思います。
東北観光復興対策交付金の活用状況ということで、午前中、飯澤委員も質問しておりました。5億円から50億円ということで、これは観光庁ではなくて復興庁がつけたお金ということで、それを6億円、7億円活用する予定だということで、結構な金額を活用されていると思います。
その中で、通訳コールセンター、トイレの洋式化という答弁が先ほどありました。これについてもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 受け入れ環境整備に対する支援のスキームでございますが、これは、国の東北観光復興対策交付金を活用いたしまして、県が直接、ホテル、旅館、店舗であるとか観光施設に対して助成金を交付するものでございます。
こちらの支援のメニューでございますが、無料公衆無線LANの整備、施設内等における多言語表示、ホームページの多言語化を初めといたしまして、さらに和式トイレの洋式化についても助成の対象としているところでございます。
〇神崎浩之委員 実際の内容と数を聞きたかったんですが、後からでいいです。
国は、予算も含めてなんですけれども、ソフト面の支援ということで東北観光アドバイザー会議というものを設置して1年3カ月ぐらいになります。県、市町村では、この会議についてどう活用されているのか。地域の中では、例えばDMOのつくり方がよくわからないということなど、さまざまな悩みがあるわけですが、どう活用なさっているのかお伺いいたします。
〇平井観光課総括課長 まず、東北観光アドバイザー会議の活用についてでございますけれども、この会議は復興庁が設置いたしまして、昨年の4月に提言を取りまとめたところでございます。
その提言内容は、東北の観光復興の方向性といたしまして、東北のブランドイメージの創出、受け入れ体制の強化、学びの場としての魅力づくり、仙台空港を中心としたゲートウェイ機能強化、効果的なプロモーションの実施、風評被害等震災の影響の払拭、観光先進地への新たな試み、持続可能な仕組みづくりというものが示されております。
これを受けまして、本県におきましては、冬の東北のブランドイメージづくりのプロモーション展開、宿泊施設等に対する受け入れ環境整備の支援、三陸DMOセンターと連携した震災・防災学習コンテンツの強化、東北各県と連携したプロモーション展開、インターナショナルスクールの先生方や生徒の招請による教育旅行の誘致などに取り組んでいるところでございます。
また、市町村におきましても、東北観光復興対策交付金を使いまして、県と連携しましたプロモーション展開や受け入れ体制の整備に取り組んできたところでございます。
今後におきましても、この提言の趣旨を踏まえて、交付金を活用して、県と市町村がお互いに連携しながら、プロモーション、受け入れ体制整備に取り組んでいくものでございます。
また、DMOにつきましても、前の答弁でも申し上げましたが、県内でもいろいろな動きも出ております。県が主体となって三陸DMOセンターというものを立ち上げておりますので、この中で、いただいた御提言をもとに、特にも、いろいろな分析をしながら新しい戦略をつくっていくというのが大事でございますので、そういう生かし方をしてまいりたいと思います。
それから、先ほどの御質問でございましたが、受け入れ環境整備の平成28年度の実績でございますが、合計で38件の補助がございまして、金額ベースでは3、293万6、000円で、現在までの交付決定はこのとおりとなっております。
〇神崎浩之委員 DMOはなかなかつくりづらいということが聞かれるんですけれども、ただ単に観光、商工事業者が集まるだけの会議ではなくて、そこには専従で経営責任者であったり、マーケティングのプロであったり、そういう方が中心となってということなんですが、その人材については確保できるのでしょうか。新しい分野ということで、今後、県内の各市町村で地方版が出てくると思いますが、この二つの職種の人材確保というのはなかなか大変だと思うんです。その辺について聞きたいのと、教育として、eラーニングみたいなことで、地方創生カレッジについても観光DMO関係の講座があります。MOOC(大規模公開オンライン講座)にも文化財を活用した観光拠点形成ということで、今、大学に行かなくてもeラーニングでさまざま学習できるということもあるんですが、それらについても御存じでしょうか。その活用についてもお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 DMOの人材の確保といいますか、推進の仕方でございますけれども、まず、人材の確保につきましては、市町村担当者等を対象とした研修会を開催しておりまして、その際に人材に関する専門家をお呼びいたしまして、人材の選定の仕方ということについてのアドバス等をお願いして、研修会を開いているものでございます。
また、先ほどお話がありましたさまざまな講座等につきましても、私もインターネット等で拝見しております。その中で、いろいろな知識、そういうノウハウがあるということを、まず地域の方々に知っていただくということが非常に大事でございまして、私どもでも、今回、学識経験者の方に観光アドバイザーに御就任していただきまして、来年度に、いろいろなDMOに関する研修会の際にも、そういう方にもいろいろなノウハウの生かし方というものについて講演していただくという形で考えております。
〇神崎浩之委員 やはり育成というのは結構時間がかかると思っています。そこで、DMOを組織する上では、他者の力をどのようにかりていくかということと、適切な助っ人をかりながら、そういう先行事例を参考にし、専門家から助言を受けつつ進めていくしかないのかと思いまして、その中にも多くの学習する機会があるということもぜひ御紹介していただきたいと思います。
次に、北海道新幹線なんですが、これも、私は昨年の本委員会でもやったんですが、いよいよ開業から1年になりますが、さまざまな期待がありますけれども、北海道新幹線開業の効果と課題について、そして、平成29年度のさらなる組み立てについてお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 北海道新幹線の効果等についてでございますけれども、新幹線開業以降の昨年4月から6月までのデータになりますが、北海道から本県への中学校の教育旅行客数につきましては、開業の前年よりも6.6%の増加となっているところでございます。それ以外の観光客入り込み数等につきましては、現在、データを取りまとめ中でございます。
課題につきましては、本県と北海道との移動時間の短縮というものを、教育旅行を中心にいたしまして、特にも沿岸地域へ教育旅行を誘致拡大していくこと、北海道は非常に外国人観光客に人気のある場所でございますので、そこからどうやって広域ルートで本県のほうの誘客につなげていくかというところが今後重大な課題であると認識しております。
このため、来年度予算におきましては、北海道からの教育旅行の誘致につきましては、誘致説明会、訪問活動などの取り組みについて計上しておりますし、沿岸地域ということで、震災学習と歴史文化学習を組み合わせた教育プログラムの売り込みというものも強化することで、所要の予算を計上させていただいております。
また、北海道からの外国人観光客の誘客につきましては、先ほどの東北観光復興対策交付金を活用させていただきまして、特に北海道と東北が連携して北日本というエリアでの周遊観光を促進していくようなプロモーション等についての経費を計上させていただいております。
〇神崎浩之委員 当初、北海道新幹線は、JRでは、飛行機に対して、東京からも北海道に新幹線で行けるのだということで、時間の短縮ばかりやっておりましたけれども、やはり北海道は飛行機のほうが速くて安いです。私は函館から戻ってきたんですけれども、時間も速いし、函館から盛岡の金額と、函館と東京の金額が同じなんです。したがって北海道と東北のやりとりというのが北海道新幹線の一番の効果だと思いますので、ぜひ、北海道、函館と一緒に頑張っていただきたいと思います。
それから、先ほど、修学旅行の関係も、教育旅行も出ましたけれども、震災学習、教育旅行については、ふえているのかどうかお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 先ほどの答弁の繰り返しになりますが、北海道新幹線関係で申しますと、北海道から本県への中学校の修学旅行は、開業前よりも6.6%増加しているところでございます。ほかの年間での教育旅行、全県への教育旅行につきましては、昨年の数字は、現在、取りまとめ中でございます。
〇神崎浩之委員 これに対する答弁は要らないんですけれども、震災学習というのはさまざまあります。子供たちもあるし、一般もあります。一般については、一般の方もあるし、企業もあります。南海トラフということで、結構、関西方面、静岡方面の方も気になさっておりますので、ぜひ、そういう方々も、地震、津波に関する教育旅行に役立てていただきたいと思います。我々も、議運での全国調査でも静岡に行かせていただきました。これもやはり震災教育だと思っております。
最後に、バリアフリー観光なんですけれども、バリアフリー観光は、相談センターは宮城、秋田、山形、福島にはあるんですが、岩手にはなくて、この点でのバリアフリー観光がおくれているのではないかと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 バリアフリー観光についてでございますけれども、県におきましては、バリアフリー観光を推進するために、県の観光ホームページにおいて、いわての旅でユニバーサルデザイン導入施設等の情報の提供、宿泊施設や観光施設における和式トイレの洋式化などの支援を行っております。
また、本県の観光拠点でございます平泉地区におきましては、平成26年に、県、平泉町、民間団体などで構成する平泉ユニバーサルデザイン観光推進会議を立ち上げており、平泉ユニバーサルデザイン観光情報センターを設置いたしまして、そこでの情報発信や、観光介助ボランティア養成研修の開催、モニターツアーの実施などのバリアフリー観光に取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、先ほど委員から御紹介のありました、他県ではそういうセンターという形での活動がございますので、そういうところも研究させていただきまして、また、国や市町村、関係団体とも連携いたしまして、宿泊施設とか観光施設における受け入れ体制の充実など、バリアフリー観光の推進を図っていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 次に、今のバリアフリー観光も含め、福祉と商業施設、観光施設の関係なんですが、これは保健福祉部の審査でも話をしたんですけれども、旅館、ホテルであいている時間にデイサービスをやりますと、バリアフリー化にもつながりますし、商業、観光施設の経営にも寄与すると思っております。
私は、何年か前に神戸に行ったんですけれども、そこは駐車場の待合室でデイサービスをやっていて、そこで、商店街の食堂から出前をとってお昼を食べるとか、昼間の午後の過ごし方として、昼間閉店しているスナックに行ってカラオケをやるということを取り組んでいるんです。これは15年ぐらい前で、神戸市灘区なんですけれども。
そういうことで、福祉と農業という話がよく一般質問でも出ておりましたけれども、商業、観光施設も含めて、そういう福祉と既存の旅館、ホテル、商業施設のコラボで高齢者、障がい者に優しい町になったり、各店舗の経営の向上のためにもなると思っております。1足す1が2ではなくて、1足す1が3になるような進め方も、観光、商業施設の活性化に必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇平井観光課総括課長 観光面と多方面とのコラボレーションによります相乗効果についてでございますが、委員御指摘のとおり、例えば先ほどの外国人観光客の受け入れ環境整備というものが、同時にバリアフリーにもつながるというものもございます。先ほど、委員から、相互利用によりまして収益性を高めるというお話もございました。ただ、福祉、介護施設につきましては、いろいろな法的な整理というものも必要になってまいりますので、そこら辺のところは関係部局とよく調整いたしまして、研究を重ねていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 最後に、災害学習、研修というところで、私はこの前、県立大学の先生に、一関はあるよということで-東日本大震災津波の2年前に岩手・宮城内陸地震がありました。そこで、今、厳美町では土砂ダムがあったり、祭畤大橋の落橋した遺構が残っております。こういうものも平泉観光と含めて、県の教育旅行、震災旅行に活用していただきたいと思っておりますが、部長は、その後、一関のここに行きましたでしょうか。平井総括課長もそうなんですけれども、あのときは、震災復興で一関も大変お世話になったんですが、それを、今、震災遺構として国のお金を使って一関市でも整備しておりましたけれども、その後、行ったかどうかということも含めて、今後の活用についてお伺いして、終わります。
〇菊池商工労働観光部長 どういう形で行ったかどうかと言えばいいのかわかりませんが、私は、自治大学校にも行ったことがありまして、自治大学校の同窓生を連れて、東日本大震災津波以降、一関に皆さん集まっていただいて、平泉も見ていただいて楽しんでいただくんですですが、次の日は被災地を歩いてもらうという形で、ルートの中には遺構も入れながら歩いたこともあります。それは、多分、一番最近のことですけれども、その前も、発災直後から、遺構化するときについてもお邪魔したことは何回かありまして、うまく展開できればいいなと願っていたところでございます。
〇高橋孝眞副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時53分 休 憩
午後3時13分再 開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇高田一郎委員 それでは、私はまず最初に、若者の離職率改善の課題についてお聞きいたします。
県内の新卒3年以内の離職率は、現在、高卒で41.4%、短大卒は40.2%、大卒は38.4%となっております。全体として減少傾向にはありますけれども、依然として高い水準になっています。
県として、その要因をどう分析されているのでしょうか。また、この離職率の問題は、御本人にとっても、あるいは企業にとっても大変な課題だと思います。目標をしっかりと持った取り組みが必要ではないかと考えますが、新年度、具体的にどう取り組まれるのか、この点についてまとめてお聞きいたします。
〇高橋雇用対策課長 離職率についてでありますが、離職率はここ数年低下傾向にあるものの、依然として高どまりの状況にあり、その要因としては、就労環境や労働条件などがしっかりと共有されていないことなどから生じる、若者が企業に期待するものと企業が若者に期待するものの間にずれがあることや、また、企業においても、受け入れに対するケアが十分でない点があるのではないかということなどが要因として考えられているところでございます。
離職率の目標についてでございますけれども、岩手労働局で若年者雇用動向調査を実施しているところであり、まずは、この調査結果等を踏まえ、早期離職者の実態把握が重要と考えているところでございます。
現在、岩手労働局では調査取りまとめ中でございます。この結果につきましては、いわてで働こう推進協議会で情報共有し、対応を検討することとしており、構成機関、団体等の意見等を伺いながら、目標設定の是非も含めながら検討していきたいと考えているところでございます。
次に、新年度の取り組みについてでございます。
県では、これまで若年者のビジネスマナーなど、社会人としての基礎力の向上を目指したセミナーの開催や個別支援を行っているところでございます。また、企業に対しましても、採用力や人材育成力を強化する研修の開催や、事業所に出向いての人材育成のカウンセリングなどによる支援を行っているところでございます。
平成29年度におきましては、これらの取り組みに加えまして、新たに企業の経営者層を対象とした人材育成研修を実施するなど、若者の職場定着を支援する取り組みを強化していきたいと考えております。
さらに、いわてで働こう推進協議会におきましても、現在、岩手労働局で実施している若年者雇用動向調査の調査結果等を踏まえ、早期離職の減少や職場定着の一層の促進に向けた各主体の取り組みを進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 岩手労働局が離職率の実態調査を今月中に恐らく発表するということで、その実態把握を踏まえた対策をしていくということでありますので、そういう立場で取り組んでいただきたいと思います。
私も岩手労働局の調査がまだこれからだということで、厚生労働省の実態調査をちょっと調べてみました。そうしたら、やっぱり第1に理由として言われているのは、労働時間、休日、休暇の条件がよくないということなんですね。離職をすることに対して、若者のせいにするということがよく言われていますけれども、やっぱり企業の側の働かせ方にこそ大きな問題があるということだと思うんですね。
だから、岩手県も、県民運動として働き方改革の取り組みが行われていますけれども、これは企業の側にも要請したりなどしているのでしょうが、県民運動の一つとして、企業も含めて、お互いに共有された形で取り組まれているのかどうかをお伺いしたいと思います。
同時に、私は先月、ジョブカフェとか、あるいは若者の就職支援をしている方々に会って話をお聞きしたわけですけれども、やっぱり今、若い人たちが離職するのは、仕事が自分に合わないということでやめる方も一方ではいるということですね。これは厚生労働省の実態把握にもあらわれているんですけれども、やっぱり中学校の段階から、なぜ働くのかとか、あるいは生涯の仕事として何をやるのかという職業観を身につける、本当に中学校の段階からそういう職場体験を行って職業観を身につける取り組みが非常に大事なんだというお話をされました。
キャリア教育の場合は教育委員会だと思うんですけれども、離職率がこういう大きい問題になっている中で、キャリア教育のあり方として、商工労働観光部ではどのようなお考えを持っているのか。
あわせて、やっぱり中小企業の情報発信力だと思います。県内の職場、県内就職を定着させるという課題からも大事なんですけれども、若い人たちに、地元にすばらしい企業がいっぱいあるんだという情報発信が必要だと思うんです。そういう点で、中小企業は、そういう情報発信をする力はなかなかないわけですから、こういったところにも行政が支援して、情報発信力を高めて、地元にもたくさんそういうすばらしい企業があるんだということを発信していくことも離職対策をとる上で非常に大事な課題ではないかと私は思うんですが、その点を含めて答弁いただきたいと思います。
〇高橋雇用対策課長 まず、2点目から御説明いたしますけれども、就職前の職業意識の醸成という面で、ジョブカフェいわてにおきましては、相談者に対するキャリアカウンセリングのほか、就業前段階での職業意識を醸成するために、高校生や大学生向けの出張セミナーや保護者向けの相談会などを実施するとともに、就職後の個別相談などのフォローアップなど、各種サービスの提供を通じて、若年者の就職活動や職場定着を支援しているところでございます。
情報発信につきましては、これまでも、シゴトバクラシバいわてという情報サイトを作成いたしまして事業をしておりますが、そのほかに、平成29年度の取り組みといたしまして、新たに若者や女性を主体としたいわてで働こう総合イベントを開催いたしまして、その中で働くフィールドとしての岩手の魅力、課題、未来を県民がさまざまなコンテンツを通して考える機会として、いわてで働こう推進協議会の取り組みの全県的な普及や情報発信を図っていきたいと考えております。
あと1点目の、働き方改革につきましては、いわてで働こう推進協議会の場におきましても、長時間労働の是正など働き方改革を推進することが、中小企業を初めさまざまな企業にとっても必要なことでございまして、正規雇用の拡大を初め、優良な取り組み事例の紹介あるいは助成制度の普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 若い人たちが一度つまずくと、再就職はそんなに簡単なことではないので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、先ほどジョブカフェのお話も出ました。私は、この離職率を改善していく上でジョブカフェの果たす役割は大変大きくて、その体制を強化することが必要だと思います。
先月、ジョブカフェ一関にお邪魔したときに、こんな話をされていました。かつて一関地域は岩手県内で離職率が一番高かったのだけれども、最近は一番低い地域になったという話をされたんですね。私は、取り組みいかんではこの離職率は改善できるということを確信して学んできましたけれども、県内のジョブカフェの体制を見ますと、一関が一番人員が多くて10名、少ないところで4名とか、こういう開きがあります。
私は、この体制を強化することも大事な課題だと思うんですけれども、なぜこんなに開きがあるのかも含めて、体制の強化を県はどう考えているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋雇用対策課長 ジョブカフェの体制強化についてでありますけれども、ジョブカフェいわてにつきましては、平成28年度において、働き方改革の推進やインターンシップ窓口業務が増加したことに伴いまして、人員体制の強化を図ったところでございます。
平成29年度におきましては、インターンシップ事業の本格実施に伴い、従事する職員を1名増加するよう当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
また、県内8カ所に設置してあります地域ジョブカフェにおきましては、地域のニーズに合った職業支援を実施しているところでありまして、業務量の大きな変化はないことから、現行のままで継続していきたいと考えております。
ジョブカフェいわてと地域ジョブカフェにつきましては、それぞれのサービスの対象者やニーズに対応しながら、支援に係るノウハウや情報を共有し、連携してこれらの事業に取り組むことができるように、今後もその体制の確保を図ってまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 インターンシップの取り組みがあって、恐らくジョブカフェいわてに1人ふやすのですか、そういうことだと思うんですけれども、ほかの地域はそのままの体制でいくということですが、やっぱりジョブカフェというのは、就職支援だけではなくて、現在働いている人たちも、職場の悩みとか、あるいは離職しそうな思いを持っている人たちも来て相談に乗るとか。
一関などでは、企業訪問を積極的にやって、それと、企業と連携をして、離職しそうな方がいたらジョブカフェと連携するとか、あるいは人材育成のための社員向けマナー講習会とかを積極的に旺盛にやられているんですね。私は、そういう点では、このジョブカフェの体制を強化していくべきだと思います。
また、ジョブカフェの認知度がまだまだ低いのではないかと思うんですけれども、その点についても、認知度を高める活動にも取り組んでいただきたいと思います。
次に、正規雇用の拡大と処遇改善についてお聞きしたいと思います。
今、本県の有効求人倍率は、増加はしていますけれども、正規の雇用は0.62なんですね。新規の求人数に占める正規雇用の割合は37.2%と4割を切っている状況です。ですから私は、非正規雇用の待遇改善とともに正規雇用の拡大への取り組みを本当に力強くやっていかなければならないと思いますけれども、この点についての取り組み状況などについてもお伺いしたいと思います。
〇高橋雇用対策課長 非正規雇用の待遇改善、正規雇用拡大への具体的な取り組みについてでありますけれども、岩手労働局におきましては、岩手県正社員転換・待遇改善等実現本部を設置し、キャリアアップ助成金の活用促進や業界団体等に対する要請活動等の取り組みを実施しているところでございます。
県では、当本部に参画するとともに労働局と連携して取り組んでいるところであり、非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善について県内の経済団体等に要請してきたほか、今年度、新たに正社員雇用の拡大等の処遇改善の取り組みを積極的に行っている優良企業の事例紹介等のセミナーを実施いたしまして、従業員の処遇改善の意識を高める取り組みを実施しているところでございます。
さらに、いわてで働こう推進協議会においても、来年度、特に注力する取り組みとして、非正規労働者の正社員転換、待遇改善に向けたセミナー等の展開や各種支援制度の活用促進などを進めていくこととしておるところでございます。
〇高田一郎委員 わかりました。県レベルで非正規雇用を正規雇用に拡大するのはそう簡単なことではないと思うんですね。県の取り組みの状況を見ても、やっぱり普及活動とか要請活動となって、県として抜本的に改善できる状況にないとは思うんです。ただ、最大限の取り組みが必要だと思います。
一方で、政府は、働き方改革ということで労働法制の規制緩和を行って、最初発足したときは、一部の業者で臨時的、一時的なことなんだということで非正規雇用が始まりましたけれども、それがどんどん拡大してしまって、結局4割の方々、若い人たちでは5割を超える方々が非正規労働になっていると。こういう、この国の働き方の改革こそ改善しなければならない、蛇口から改善していかなければならないと私は思うんですね。そういう点で、さらなる規制緩和をして、非正規雇用を拡大するような動きには、県としてしっかりと改善を国に求めていってほしいと思います。
それで、具体的にお聞きしますけれども、先ほど菅野ひろのり委員から、母子家庭の就業支援などについてお話がありました。今、県内のひとり親家庭の就業月収は月15万円以下が実に66%となっております。そして、9割を超える母子家庭の方々が働いている。つまり働いても働いても月収が15万円にならない、15万円以下という方がもう7割近くにもなっている。これを改善しなければならないと思います。ダブルワークせざるを得ない、子供たちと向き合えない、夜は子供が1人でいる、この環境を変えるために商工労働観光部も全力を挙げていただきたいと思います。
それで、こういう低収入の方々に対する就職支援は、県として具体的にどう取り組まれているのでしょうか。
そして、先ほど菅野委員のお話の中で職業訓練のお話がありました。受講者がふえているというお話でありましたけれども、しかし、今の岩手県内のひとり親家庭は1万8、000世帯あって、その4割ぐらいがパート、臨時で生活をしている状況ですね。そういう点では、職業訓練というものは、全体としてふえてはいるものの、まだまだ少ないのではないかと思います。こういった方々に職業訓練をやってもらって、そして正規雇用で働いてもらう、そういう連続した支援が必要だと思います。
具体的にお聞きしますけれども、こういう方々が職業訓練をしているときに、生活の保障はどういうふうになるでしょうか。社会保険に加入していた方々しか利用できないのか、多くの人たちがパートや臨時で働いておりますけれども、そういった人たちがこういう職業訓練を受けて、自立という方向で乗り越えることができるのか、その点についてもお聞きしたいと思います。
〇高橋雇用対策課長 ひとり親家庭への就業支援についてでございますけれども、県では、平成27年3月に策定いたしました岩手県ひとり親家庭等自立促進計画に基づき、相談機能の充実、子育て支援、生活環境の整備、養育費確保の促進、就業支援対策の充実など、総合的な支援施策を実施しているところでございます。
具体的には、ひとり親家庭等就業・自立支援センターの就業相談員によるひとり親家庭の就業に係る相談対応のほか、求人情報の提供、求人開拓や育児・介護休業生活安定資金の貸し付けによる経済的支援の充実など、きめ細やかな相談対応等に取り組んでいるところでございます。
また、看護師や保育士等の就職に有利となる資格取得のための給付金の支援や、就業支援講習会の実施等の就業支援策にも取り組んでいるところでございます。
加えて、生活を支える上で就労に関する支援が重要であることから、教育訓練講座受講経費等の助成や母子家庭の母等を対象とした職業訓練の実施により、今後も就業支援対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤労働課長 離職者向けの職業訓練を受講する場合の手当等でございますけれども、まず、雇用保険の受給権者には、訓練期間中、手当が支給されるところですが、そうでない雇用保険の受給者以外の場合でも、母子家庭の母等の場合には県から訓練手当が支給されます。基本手当が、居住地等に応じて日額3、530円から4、310円、これは祝日も含めてということでございますので、そういう手当が支給されることになっております。
〇高田一郎委員 いわての子どもの貧困対策推進計画の中で、母子家庭の収入月額が15万円以上の方々が30.2%おり、5カ年計画だったでしょうか、最終段階で31.5%にするという政策目標を掲げているんですね。これはちょっと低過ぎる数字だと思うんですよ。本当にダブルワークせざるを得ない、子供と向き合うことができない家庭環境を改善していくために、もっと力を入れて、もっと高い目標を掲げて取り組まなければいけないのではないかと私は思います。
もう一つ、今、職業訓練のお話をされました。これは日額4、000円前後支給されるという話ですけれども、ひとり親の母子家庭の方々は、さっきも言ったように37%がパート、臨時なんですね。4割近い方々が臨時、パート、そして、夜も働くダブルワークという状況です。この問題を改善しなければならないと思うんですね。
そういう点では、今の日額3、000円とか4、000円という話が出ましたけれども、これはちょっと実態に合わないのではないかとお聞きして感じました。県単独事業という話でありますけれども、その点についても改善が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇名須川晋委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔にお願いいたします。
〇工藤労働課長 先ほどの訓練手当の額の件でございますけれども、こちらは国と調整、協議して、この金額となっておりまして、例えば最高額で月31日ですと、月13万3、000円余ということになるわけでございますが-日額が4、310円、最高額の場合ですね-そのほか、技能取得のための受講手当、訓練受講40日分掛ける500円で2万円とか、通所手当とかについても、国と調整して支給しているところでございます。
いずれ、国にも働きかけたり調整しながら、県としてできる限りの対応をしていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 今の職業訓練については、繰り返すようですけれども、ひとり親家庭の4割がパートや臨時で働かざるを得ない、ダブルワークせざるを得ないという、この環境を変えていく必要があると思うんですね。やっぱり職業訓練に参加しても生活ができるという環境をつくっていかないと、なかなかうまく前に進まないのではないかと思います。国に対する要請とともに、県としても独自の対応をしていただきたいと思います。
次に、トヨタ自動車の雇用状況についてお伺いしたいと思います。
トヨタ自動車東日本岩手工場は、かなり生産体制を増強してフル稼働している状況にあるとお聞きしております。今、トヨタの岩手工場の雇用状況は、これまで我が党県議団も正規雇用の拡大を求めてきましたけれども、どの程度改善されているのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
〇戸舘ものづくり自動車産業振興室長 トヨタ自動車東日本岩手工場の雇用状況についてでありますけれども、平成29年2月1日時点でありますが、全従業員数が3、028名、そのうち正規社員が2、040名、全体に占める割合は67.4%、期間社員は468名、全体に占める割合は15.5%、派遣社員が520名、全体に占める割合は17.2%となっております。
〇名須川晋委員長 高田委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力願います。
〇高田一郎委員 わかりました。じゃ、最後に、まとめて質問いたします。
トヨタ自動車については、アクアのフル稼働に続いて、ビッツの生産ということで、かなり生産体制も増強されるのではないかと。新たな工場の設備とかといったことはないのかどうか。それで、自動車関連産業は非常に裾野が広い産業でありますので、このトヨタ自動車東日本岩手工場の増産に伴う関連産業への雇用の影響がどのようになっているのか、もしわかればお伺いしたいと思います。
あわせて、東芝の問題についても最後にお聞きします。
アメリカの原発事業の関係で債務超過となり経営危機に陥っていますけれども、県内企業への影響はどのように見ているんでしょうか。また、四日市工場には岩手から700人が派遣されています。これまで、北上市に新工場が建設できなければ、これらの派遣されている700人の雇用は厳しいという見方を議会でも繰り返し答弁してきましたけれども、今この状況はどうなっているのか、この点についてもお聞きいたします。
〇瀬川自動車産業振興課長 私から、トヨタの生産動向についての御質問にお答えします。
まず、昨年12月に新型SUVのC-HRという車が生産開始されまして、非常に順調な注文をいただいていると伺っています。
それに伴いまして、県内の主な部品メーカー、特に、今、東海地区から進出しております部品メーカーでは、人員の確保に非常に大変な思いをされたということでありますが、雇用のほうも正社員を中心に雇用拡大しているという状況で、今、私どもで集計途中でございますが、主要な部品メーカー7社の正社員雇用は、おおむね8割弱ぐらいと伺っております。
〇戸舘ものづくり自動車産業振興室長 東芝の経営危機、分社化という問題でありますけれども、今回の分社化は、東芝の半導体部門のうちのNAND型フラッシュメモリーなどのメモリー事業部門を分社化するということでありまして、本県には北上市に東芝の子会社でありますジャパンセミコンダクターが立地しておりますが、これは全くメモリー部門とは別部門ということで、今回の分社化に伴う影響はないものと現時点では聞いております。
それから、四日市工場に出向した700名余の方々でありますけれども、現在は東芝の従業員ということでありまして、これは、北上市への新工場の建設がされた際に戦力になる方々ということで派遣されたものと認識しております。この新工場の建設計画につきましても、現時点で変わりはないとお聞きしておりますので、私どもとしては、新工場建設に向けて引き続き働きかけていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 一言、トヨタ自動車東日本の岩手工場で来年度、新規採用はふえていると思うけれども、その状況。もう一つは、期間工から正社員化は来年度に向かってあるのかないのか、そのことを示してください。
〇瀬川自動車産業振興課長 まず、来年度の新規雇用でございますが、岩手工場に配属されますのは40名と伺っております。それで、先ほど戸舘ものづくり自動車産業振興室長の回答にありました正社員の数にプラスしますと、高い水準を維持しているものと思っています。
それから、期間工から正社員への登用でございますが、これも継続的に我々のほうでトヨタに要請を行っておりまして、まだちょっと回答はいただいておりませんが、前向きに検討していただいている状況だと伺っております。
〇千田美津子委員 3点お伺いいたします。
まず第1に、被災事業者の二重債務問題、いわゆる二重ローン問題についてですが、支援状況についてお聞きします。
東日本大震災津波では、被災企業のいわゆる二重ローン問題に対応するために、東日本大震災事業者再生支援機構が設立されましたし、また、官民ファンドの産業復興機構が各被災県に設立されました。私は、いずれも被災事業者の再生、ひいては被災地の復興のためにつくられた非常に大事な組織だと思います。
債権買い取り支援を行う岩手産業復興機構及び東日本大震災事業者再生支援機構のこの間の相談件数、それから解決件数と金額等についてお知らせいただきたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 両機構の相談件数、解決件数、金額等でありますけれども、まず、岩手産業復興機構は、相談対応する部門を岩手県産業復興相談センターと言っておりますが、平成29年2月末までの累計で、相談センターでの相談受付件数は1、151件となっております。
それから、債権買い取り支援件数ですけれども、岩手産業復興機構によるものが213件、うち債権買い取りは110件です。そして、買い取り総額としましては約167億円となっております。
それから、東日本大震災事業者再生支援機構は、相談受付件数が488件、債権買い取り等の支援件数は165件となっておりまして、二つの機構を合わせた買い取り等支援件数は378件となっております。
なお、東日本大震災事業者再生支援機構は、東日本全域で活動しておりまして、県別の買い取り金額は特に公表しておりません。
〇千田美津子委員 私は、二重ローンを抱える事業者は大変多いと思うんですけれども、相談件数に対して、債権の買い取りが決まった事業者あるいは長期返済猶予とか決まった方々は半数以下ということで、これらの現状をどのように見ればよいのかということが一つです。それから、私は、既にある債務を凍結、減免し、新規融資の実施が必要ではないかと考えるわけですが、これについてお聞きします。
〇高橋経営支援課総括課長 買い取り件数等の推移についてまず御説明しますけれども、相談、それから買い取り件数ともに平成24年度、平成25年度が非常に多くなっておりまして、特に債務の額の大きな設備関係のある水産加工ですとか製造業とかといったところの復旧に向けた動きは、この平成24年度、平成25年度が大きかったということがありまして、そこでの件数が多くなっている状況です。
平成26年度、平成27年度は件数が減ってきているんですけども、製造業関係が落ちついたということ、逆に商業関係の本設移行の動きが出てきていますので、そちらの相談に対応することがこれから必要と考えておりまして、東日本大震災事業者再生支援機構でも、そういうことで買い取り決定期間を1年間延長しておりますし、岩手県産業復興相談センターでも、商業者の仮設店舗を中心に個別に800者ほど回って、まだ実施中ですが、お話を伺って相談対応をしているところです。
〇千田美津子委員 落ちついた分、あるいは商業関係のところがこれからということで、随分会社を回ったりして親身に相談に乗っていただいているというのは本当にわかります。そういった意味でもこれからの対応もより重要になると思いますし、やっぱり被災事業者の皆さんが本当に事業再開にこぎ着けられるように、引き続き親密なといいますか親身になった対応をぜひ県も一緒になってやっていただきたいと思います。
もう一つ、金融機関に対して返済猶予が認められている事業所もあるわけですが、これの延長が必要ではないかと私は思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
〇高橋経営支援課総括課長 債権買い取りを受けた事業者の返済スケジュールのことかと思いますけれども、基本的に、債権買い取りをしたところは10年間返済が棚上げということで、その間に事業を立て直して軌道に乗せていくことになっています。
今の段階では、早いところでも買い取りをしてまだ四、五年というようなところですが、中心的なのは買い取り決定して3年ぐらいですので、今の段階で10年が長いかどうかというところは何とも申し上げがたいと考えております。
したがって、先ほども申し上げた、これから買い取りが必要だという方のための相談対応と、買い取りをして事業再開したところのフォローアップも重要ということで、あわせて、できるだけ相談センターや県でもそういうフォローアップも考えておりますので、そういった中で、これからの対応をまた引き続き進めていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に中小企業等のグループ補助についてお聞きしたいと思います。
この間のグループ補助事業の交付決定実績についてお聞きいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 グループ補助金の交付決定実績ですけれども、平成23年度の第1回公募からこれまで17回にわたり公募を実施しておりまして、延べ161グループ、1、436事業者に対して約848億円の交付決定を行っております。
〇千田美津子委員 今、御答弁ありましたように、161グループ、1、436事業者ということで、申し込みをされたグループ数あるいは企業数からいうとこれがどうなのかということもありますけれども、ぜひ、これからもこれらに応えていくことが必要だと思います。
この間のグループ補助の決定によって、中小企業の再建の現状についてはどのように分析されていますか、お聞きいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 先ほど申し上げました1、436事業者のうち、今年度末で復旧が完了というところが約1、100事業者と見込んでおります。残りのところは、引き続き、繰り越しをしながら工事実施ということですけれども、そういった形で被災事業者の復旧、復興を非常に大きく支援しているところです。
また、グループ補助金ということで、何者かが集まってグループで販路開拓ですとか商品開発に取り組んでいるようなところもありますし、商業関係では、商業者のグループをつくって、御用聞きをしようとか、イベントを一緒にやろうとか、あるいはまとまって本設移行をしようといった動きも出ておりまして、ハードの復旧の面でも非常に大きいのですけれども、事業者同士のつながりという意味でも、事業を考えるきっかけになったということで非常に大きな効果があるものと考えております。
〇千田美津子委員 先ほど城内委員からも同様のお話があったんですけれども、東日本大震災津波で被災してグループ補助金を受けた事業者が、台風第10号で2度目の被災をした事業者が結構あるわけですね。宮古市だけで見ますと253事業者がグループ補助を受けて、台風でさらに被災した事業者が138事業所ありました。
特にもこのようなダブル被害を受けた事業者については再建がどのようになっているかが非常に気になるわけですが、もし資料があればお答えいただきたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 グループ補助金を受けて、それからまた台風被害に遭った事業者は確かにいらっしゃいます。それで、復旧状況について市町村からお聞きしているんですけれども、宮古市内に関しては、一部復旧も含むのですが、ほとんどの事業者が事業再開していると聞いております。そういう状況です。
〇千田美津子委員 あともう一点ですけれども、この間、事業者の皆さんに対するアンケートでも、営業をしたいけれども、まだ未再開だ、あるいは休業の事業所が90事業者ぐらいあったと思うんですが、これらの方々にはさらに支援が必要ではないかと思うわけですが、これについてはいかがでしょうか。
〇高橋経営支援課総括課長 休業といいますか未再開の事業者の中で、復旧したいけれどもまだできていないという方には、まだ土地の造成中といったようなことがある、それから、一部、状況を見て決めかねているような方もいらっしゃると聞いております。
商業関係の事業者がほとんどになるわけですけれども、大規模なかさ上げをしておりました沿岸南部、陸前高田市とか大船渡市も大分建設可能になってきまして、グループ補助金の採択もしており、いよいよ着工されるというところがあります。
それで、平成29年度もグループ補助金への申し込みを考えている事業者もいらっしゃいまして、県あるいは商工会等で相談会なども実施しておりますので、そういった形で事業計画づくりなども支援して、本設移行したい方々の支援に取り組んでいきたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、三つ目の質問に移りたいと思います。
工業用水道事業会計負担金にかかわってお伺いしたいと思いますが、これは、工業用水を低廉かつ安定的に供給することにより、企業立地施策の推進及び雇用の維持拡大を図るということで、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設の維持に係る一部負担ということのようでありますが、この負担金の拠出の経過とこの間の金額の増減について、一つはお聞きしたいと思います。
もう一つ、企業立地に対する支援としては、私は必要なものと考えております。この趣旨から、私は、決算審査のときに企業局に対して、北上工業団地、それから岩手中部工業団地に隣接する奥州市の江刺中核工業団地にも工業用水を供給すべきだとお話ししましたが、多額の投資が必要となるために極めて厳しいという答弁がありました。ただ、関係部局において、いろいろ支援策があるのではないかということで、意見交換をするとの答弁でありました。
今、江刺中核工業団地にはILC関係で立地について具体的に検討している企業もありますので、ぜひ、布設もさることながら、企業立地に対するこの種の支援を検討すべきだと考えますが、お聞きします。
〇戸舘ものづくり自動車産業振興室長 まず、金ケ崎のろ過施設に関する負担金の拠出の経過と、この間の金額の動向ということでありますけれども、この金ケ崎ろ過施設でありますが、半導体製造企業の進出に伴いまして、工業用水の一般水をさらに浄化したろ過水の需要が生じたことから、昭和59年度に第一期、そして平成4年度に第二期として給水を開始してきております。
このうち第二期として整備いたしました金ケ崎ろ過施設の給水能力につきましては、その当時のユーザー企業からの申し込みのあった水量を前提として設定したものでありますけれども、このユーザー企業の撤退などによりまして契約水量が減少いたしまして、施設や設備の維持に支障を及ぼすおそれが生じたため、これを受けまして、低廉かつ安定的な工業用水の供給によりまして企業の生産活動を側面から支援するということで、平成27年度から、この負担金を支出することにしたものであります。
各年度の負担金の額につきましては、平成27年度が3、286万円余、平成28年度が3、312万円余、平成29年度におきましては2、773万円余を予算計上させていただいているところでございます。
それから、二つ目のこの用水に対する支援という御質問だと思いますけれども、企業活動を行う上で、用水は非常に重要なインフラの一つであると認識しております。この新たな工業用水供給施設の布設が困難な中で、工業用水が供給されていない地域の企業に安価な用水を供給するための支援ということも考えられるわけでありますけれども、県内におきましては、上水道等を利用している企業が圧倒的に多うございまして、限られた財源の中で、これらをカバーする支援制度を設けることに関しては、非常に厳しい状況にあるものと考えております。
一方で、奥州市を初めとして、このような支援制度を運用している市町もありますので、市町村の意向あるいは企業ニーズ等も踏まえて、関係部局等と意見交換をしながら、効果的な支援策について不断に研究してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 なかなか厳しいということはわからないわけではないのですけれども、奥州市では毎年、県要望に出していることもありますので、ぜひ横断的な検討の中で前向きな回答が出ることを期待して、終わります。
〇臼澤勉委員 私からは、まず初めに、被災中小企業の重層的支援の取り組みについてお伺いしたいと思います。
今年度までに25グループの約500事業者に対してグループ補助金の交付決定が行われて、300事業者の方々が復旧済みで、残りの方々が現在、本設再開に向けて建設を進められていると伺っておりますが、この再開後のフォローアップの支援の取り組み実績と成果、課題をどう捉えて、来年度どう取り組むお考えか、まず初めにお伺いいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 今お話しいただきましたとおり、25グループ、500事業者、商業者の関係ではそういった状況になっておりまして、それから、製造業関係を合わせますと、先ほど申し上げたような1、436事業者という交付決定になっておりますが、事業再開後のフォローアップということでは、被災事業者復興状況調査などで、顧客や取引先が減っているとか、業績がなかなか戻らないといったような課題があります。そういう意味では、施設、設備の復旧とともに、経営を軌道に乗せるための取り組み支援といったものが必要と認識しております。
平成28年度、県あるいは商工団体等の支援機関、それから、先ほど申し上げた債権買い取り機構とかと連携して事業を再開した事業者訪問等を行っておりまして、700者以上の事業者にそういった形で出向いて、巡回相談ですとか専門家派遣などを行っております。
来年度、平成29年度につきましても、こうした取り組みをさらに進めるということで、事業者へのフォローアップを強化して、引き続き事業者の再開支援に取り組んでいきたいと思います。
〇臼澤勉委員 まだまだ東日本大震災津波前の売り上げに回復していない、あるいは人材の不足であったり売り上げの確保対策といった部分の支援が非常に強く求められていると思います。
仮に、このグループ補助金を活用して全事業者が復興した場合、どのぐらいの経済効果が生まれてくるのか、ちょっとお伺いいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 経済効果というお話でしたけれども、本設再開した場合の経済効果としては、店舗を建設するといった工事費ですとか、あるいは従業員をさらにふやすといった雇用に伴う給与ですとか、非常に幅広い要素があるわけですけれども、県では、そこまで幅広い経済効果についての試算は、申しわけないですが実施しておりません。
直接的な効果としては、再開した店舗による販売額というものが考えられます。例えば、陸前高田市の場合ですけれども、陸前高田市のまちなか再生計画では、中心市街地に約100事業者が出店する計画になっております。この再生計画上の、例えば売り場面積当たりの計画販売額とこれら事業者の出店状況に基づいて販売額を試算しますと、102億6、000万円余りとなっております。これは陸前高田市の場合ですけれども、それぞれの各地区で、そういった形で直接的な効果としては販売額が考えられるということです。
〇臼澤勉委員 昨日、一昨日、私も沿岸被災地を大槌町から陸前高田市まで回りましたけれども、今、御案内のとおり、大槌町も区画整理が大分できて、新たな商業地の再建、事業者再建に向けて取り組まれているということでございます。
ただ、事業者が再建する予定地の3割ぐらいがまだ埋まっていないような状況もあるやに役場の担当部長からも伺ったりしておりますし、陸前高田市におきましても、今、交流施設とか大型の商業施設が大分建設されておりますけれども、一部、居酒屋の予定地もその近くに今予定されておりますが、新たなまちづくりのところに事業者が再建するにも、今、非常に慎重になられている状況と私は把握しております。
そういった中で、ぜひ新たな創業支援についても積極的に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、中小企業の創業支援について、今どのような支援を行っているのか、まずお伺いいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 沿岸被災地における創業支援でありますけれども、まず、沿岸部に限らず、県全体の部分があるのですが、県としては、創業に必要なスキルの習得等を目的として、商工団体と連携して、県内各地で創業スクールを実施しております。今年度、これまでのところ延べ222人参加しております。
それから、いわて起業家育成資金等により創業資金の手当てを行うなど、成長ステージに応じた支援策を展開しております。
また、若者や女性などが、創業体験できるようにということで、市町村と連携してチャレンジショップの設置といった事業を実施しております。平成29年度、来年度においては、沿岸部の市町村からもそういった取り組みを考えているというような話をいただいておりまして、県としても、そういった取り組みを進めるために、市町村とどういうことをやっていけばいいかということで、現在検討しております。
それから、復興局の事業になりますけれども、被災地で新規事業をしようという方に、事業計画策定等の支援、創業時の費用に対する補助を行っておりまして、平成29年度は、特に中心市街地で創業する場合の補助を拡充することとしております。
〇臼澤勉委員 本当に事業者再開、なりわいの再生なくして生活の再建もございませんので、ぜひ、商工労働観光部としてしっかり取り組んでいただければと思います。
次に、知的財産の活用促進についてお伺いいたします。
私の認識では、平成24年3月に知的財産活用促進プランを県で策定しております。あれから5年がたつわけでございますけれども、このプランは、御案内のとおり、産学官金連携して産業の高度化とか新産業の創出を図る、知的財産立県を目指すことをうたい文句に県で策定したと認識しておりますが、この5年間のこれまでの取り組みの実績と成果、課題をどう捉えて、来年度以降どう取り組むお考えか、まずお伺いいたします。
〇高橋特命参事兼ものづくり産業振興課長 県ではこの間、岩手県知的財産活用促進プランを策定いたしまして、これに基づき、まずは、体制として岩手県発明協会、岩手県工業技術センター、いわて産業振興センター、この3者による知財総合支援窓口を設置いたしまして、県内企業への周知、あと利用促進を図るとともに、いわゆる知的創造サイクル、知的財産の創出、保護、活用、これらのサイクルをきちっと循環させていくための環境や基盤整備に産学官金が一体となって取り組んできているところでございます。
主な成果といたしましては、知財総合支援窓口の相談件数が、平成24年度は1、096件でございましたけれども、平成27年度は1、428件と30%ぐらい増加しているということがございます。そういう意味では、知財総合支援窓口が普及してきたことと、また、企業の商標の出願件数が平成24年度は269件でございましたけれども、平成27年度には329件という形に増加しているということでございますので、企業の知財経営の取り組みも進展してきていると考えております。
課題といたしましては、企業におけるこういう知財関係の専門的な人材やノウハウが不足していることと、大学や公設試験研究機関においても、すぐれた研究成果の権利化とか知財の事業化に係る専門人材が不足していること、このために、知財の活用がいまだ十分とは言えないと考えているところでございます。
今後におきましては、弁理士や弁護士の専門家、あとは日本弁理士会などの関係機関とも連携を強化しながら人材やノウハウ不足に対応していきますほか、商工団体や金融機関の協力も得ながら、企業における知財意識の醸成とか知財活用の促進に取り組みまして、企業の競争力強化につなげていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私も、一般質問でものづくり産業の取り組みについてもお伺いしたんですけれども、県では、今、自動運転とかロボットなどの新技術分野へ積極的に取り組んでいく、そして、競争力のある産業振興に取り組むということをうたってます。
私は、知的財産のポイントは、御案内のとおり、今の事業を守るというディフェンスの部分と、一方では、将来の事業を育てていくという大きな二つの視点があるのだと思っております。経済産業省で持っている工業統計調査のデータを見ると、岩手県の特許とか意匠の出願件数の数値が、東北の中でも、非常にといいますか、宮城県、山形県に比べても大分低いと。ただ、単純に比較できないのはわかるんですけれども、生産品出荷額を見て、山形県と岩手県が大体同じぐらいの規模感なんですけれども、一方で、特許出願件数というのは山形県の約半分ぐらいです。2015年出願件数では、山形県の274件に対して146件、意匠についても山形県の42件に対して24件という、半分ぐらい低いと見ております。
先ほども、知的財産立県を目指すということで、新たな産業振興だとか技術開発を含めてトライしていく、工夫や改善に努力していくということで私は認識しておりますので、そこら辺の取り組みに対する意気込みといいますか、お考えを改めてお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼ものづくり産業振興課長 知財関係の出願件数については、そのとおり少ないということでございます。ただ、知財の活用なり保護というのは非常に重要だと考えております。
このように、岩手県におきまして低い要因の一つとしては、知財のマネジメント部門が首都圏等にある本社に置かれているということもあろうかと思っております。また、地場の中小企業は、アンケート調査等によるデータでございますけれども、自社には権利化できる技術がないとか、そもそも知財は関係ないと感じている企業も多いというところもございますので、企業への意識啓発が重要と考えております。
また、商標につきましては、先ほど、若干ふえてきている傾向にあると申したところでございますけれども、伝統工芸品とか農林水産物のブランドの確立とか模倣品への保護対策といったことへの意識の高まりというのが徐々に出てきているのかと捉えております。
地域産業の競争力とか成長力を高めていくためには、生み出された商品やサービス、その核となる技術とかデザインといったもののアイデアとか、地域の農林水産資源の強みを権利として適切に保護いたしまして、その活用によって事業者の利益を確保していくことが非常に重要であると考えております。そのためにも、今後も、知財総合支援窓口を中心に知財セミナーとか相談会を開催いたしまして、県内企業への普及啓発、活用促進に取り組んでいきたいと考えております。
〇名須川晋委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
〇臼澤勉委員 ぜひ、ものづくり産業岩手ということで、新たな創作、創造に対する事業者の取り組みを全面的に支援していっていただければと思います。
最後に、私からも観光振興についての中でもDMOの取り組みについて伺います。今までも佐々木委員を初め神崎委員、福井委員、工藤勝博委員からもお話がありました。
私は、DMOの取り組みはポイントが大きく二つあると思っておりますが、専門的人材の配置についてもそのとおりでございますし、マーケティングの部分でのデータ収集、分析であったり、地域経済の波及効果の分析をやっている。人の流れ、お金の流れの見える化を図っていくと認識しているんですが、今までの取り組みについて、改めて、県ではどう捉えているのか、観光課総括課長にお伺いいたします。
〇平井観光課総括課長 DMOの取り組みについてでございますが、まず、県では、昨年4月に、沿岸市町村と連携いたしまして三陸DMOセンターを開所いたしました。この三陸DMOセンターにおきまして、三陸を中心といたしました観光の動態調査を行うとともに、沿岸地域におきまして教育旅行を担う人材を育成するための三陸教育旅行プランナー養成研修会などの実施に取り組んできたところでございます。
また、三陸DMOセンター以外、県内の各地域においてもDMOの整備を促進するために、市町村や観光関係団体などを対象に、DMOの目的、必要性などの理解を広めるとともに、具体的なDMOの登録手続などに関するセミナーを開催し、DMOの設立に向けた支援を行ってきたところでございます。
このことによりまして、三陸DMOセンターにおきましては、今月中にまとめる調査、分析により、戦略的な誘客策と、その基礎固めが進むとともに、研修の受講者がみずから旅行プログラムを造成するなどの着地型観光の構築に向けた取り組みが進んでいるところでございます。
また、県内のDMOの整備につきましては、ことし1月には宮古観光文化交流協会が、本県で二つ目となります日本版DMO法人として登録されたほか、一関市、平泉町、葛巻町においてDMO登録を目指した取り組みも見えてきておりまして、成果が出てきているものと認識しております。
〇臼澤勉委員 ほかにもいろいろな取り組みに向けて動いていると聞いておりますので、そこら辺は進めていただきたいと思います。
私は、先ほどまでのいろいろな委員の議論を聞いていて、先ほどの二つのポイントの専門的人材の配置、データ分析といいますか波及効果、特にも生産とか供給構造がどうなるのか、雇用状況はどうなのか、売り上げ割合がどうなって、どこからどう動いているのかというものも、地域でのDMOの取り組みもさることながら、県全体として、そういった専門的な人材の配置、養成みたいなところ、そして、マーケティングの経済分析というものが求められると思いますので、ぜひ、そこら辺はしっかりとまた検討していただきたいと思います。
最後に、空港の活用でお伺いいたしますが、私は、観光誘客の大きなポイントは、やはりローコストキャリアをの誘致をどう図っていくかと。それは、ネクスコの車もそうですし、新幹線のJRとの取り組み、そして、エアでいけば、やはり空港です。空港が大きなポイントになってくると思います。
こういう例えがあります。大きな鳥が大きな卵を産むと。つまり、確かに個人型の旅行形態には変わってきておりますけれども、やはり大きな鳥をまず岩手に運んでくる、あるいは仙台の拠点とか、そういった部分に運んでくるといったところが大切なポイントだと私は認識しています。JRとの取り組みももう既にやっておりますから、今度はエアでございます。
それで、一つお伺いいたしますが、これまでの空港課との連携から、私は、一歩踏み込んで、さらなる強い連携が-連携といいますか、一体感が求められると思いますが、商工労働観光部として、観光政策を進める上で、空港課との組織再編といいますか、一体感を含めてどのようにお考えかお伺いいたします。
〇平井観光課総括課長 空港利用の関係でございますが、特にもインバウンド、いわゆる国際観光につきましては、花巻空港を活用してインバウンドを進めますと、誘客がダイレクトに進むという利点がございます。岩手県空港利用促進協議会という組織がございますが、こちらは平成5年に空港課が事務局となって立ち上げた組織でございます。県、関係市町村、商工団体等で構成して、花巻空港の利用促進を働きかける協議会でございますが、平成26年4月から観光課が、空港課と一緒に事務局を担いまして、それ以来、特に台湾関係のプロモーションセールスにつきましては空港課と一緒に台湾に出かけ、航空会社、旅行会社双方に一緒になってプロモーションをかけるなど、今までも、誘客の取り組み、または定期便、チャーター便の誘致の取り組みを一体となって取り組んできたところでございます。
また、国におきまして、平成29年度においては、東京オリンピックに向けて、地方空港への国際定期便の誘致につきまして支援するというスキームを検討中でございます。こういう動きもございますので、いろいろな動きを踏まえまして、今後も空港課と一体的に取り組む、または取り組みの仕方の工夫について検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、そういう検討についてさらに踏み込んで着手する時期に来ているのかと思います。いろいろなメリット、デメリットがあろうかと思います。ただ、御案内のとおり、国土交通省と観光庁は基本的に一緒の組織でございますので、ぜひ、そこら辺も含めて検討していただければと思いますが、最後に部長にお伺いして、終わります。
〇菊池商工労働観光部長 どういう論点か、最後がちょっと……。
空港行政、空港課と観光課の連携については、観光課総括課長のほうで所感は申し上げたのですが、いずれ、大きな鳥が云々というお話はもっともだと思っております。
午前中もお話ししたんですが、我々は、限られた行政資源の中でどう有効にパフォーマンスを出すかということなので、空港課の持っているマンパワーやノウハウはそれで使いたいと思いますし、観光課、商工は商工で使う。要するに、限られた人たちにいっぱい関係してもらって動いたほうがいいわけですから、部局間連携というのはそういった意味もあります。そういった形で施策はいろいろ進めていったらいいと思っています。御趣旨はよくわかりますので、一生懸命進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はございませんか。
〇伊藤勢至委員 通告をしておりませんでしたが、関連でもよかったんですけれども、先ほど来の漆に関する各委員とのやりとりを聞いて考えたことがありますので、一つお伺いいたします。
今から6500年前、8000年前の遺跡と言われる三内丸山遺跡が発見され、センセーショナルを巻き起こしました。ここから出たポシェットに漆が使ってあったということも大きな論点でありました。
一方、本県の宝であります平泉中尊寺、藤原文化でありますけれども、ここには、お寺の宝として、紺色の紙に金の字、銀の字で交互に書いた紺紙金銀字交書一切経というものが1万巻おさまっていたのでありますが、これを頼朝が8、000巻持ち去ったということでありまして、これはきょうの論点ではありませんが、そういう文化があるところには、当然、和紙の文化もあるのだと思うんです。私は不勉強でちょっと知りませんが、こういう100年も続いた、しかも1万巻ものお経をつくるような寺社仏閣の文化があるところには、必ず和紙の文化もあるのだと思うんです。
京都かいわいの美濃加茂和紙というものがあるように、岩手県にもあるのではないかと思っていますが、不勉強でちょっと知らなかったものですから、それがあるかどうかをまずお伺いしてみたいと思います。
というのは、漆と和紙のコラボレーションというのが十分に新しい産業的な部分で考えられるのではないかと思うからであります。岩手県にそういう和紙の文化とか、今も生産しているところがあるとか、あったら教えてください。
〇高橋地域産業課長 今、委員のほうからお話がございました和紙の文化でございますけれども、岩手にも和紙がございまして、こちらで把握しておるところでは2カ所ございます。一つは、委員御指摘の県南のほうで言いますと、一関市東山町に東山和紙というものがございます。こちらは、私どもの調べですと800年の歴史があるということで、東山和紙は、現在、従業員数が3名ということでありますけれども、手すきの和紙をつくっております。
もう一カ所は、花巻市東和町にございます成島和紙でございます。こちらは歴史が300年以上ということでありますけれども、同じく従業員が3名ということで、この2カ所で和紙をつくっておられると把握しております。
〇伊藤勢至委員 そこで、漆も、和紙の原材料と言われておりますミツマタ、コウゾも畑に植えるものではありません。したがいまして、10年ぐらいになりましたが、本県がいわての森林づくり県民税を県民からいただいて、年間7億円を使って植林をしている。しかし、広葉樹、針葉樹の場合は、植樹をしてから、多分、50年ぐらいのサイクルでお金になるということから考えますと、漆あるいはミツマタ、コウゾは、その半分ぐらいで県民に循環できるのではないかということがまず考えられると思います。
そして、漆をかく時期と紙をすく時期が微妙にずれているのであれば、職人同士がコラボレーションすることもあり得るのではないか。漆は8000年前から岩手県で実際に出ているわけでありますが、このごろ、照明器具に和紙が非常にいい感じで使われていまして、世界中でも愛用されてきているということで、将来、ジャパンとして-漆がジャパンですが、古代からの産業として、新たに岩手で育てていける芽を十分に持っているのではないかと思うのであります。
したがいまして、7億円のうちから2億円もらって、1億円は漆、1億円はミツマタ、コウゾ、こっちのほうがサイクルが速いと思うのですけれども、そういう議論をしてみたらおもしろいのでないでしょうか。もうすぐ午後5時ですから、5時が過ぎたらじっくりやりたいんだけれども、いきなりですので、きょうはここでその方向性を考えてもおもしろいのではないかと思った次第ですが、感想がありましたら。
〇高橋地域産業課長 ただいま非常に大きな御提案を頂戴いたしまして、漆と和紙のコラボレーションということにつきましては、いろいろ資料を見ますと、実はほかの県でも取り組まれておりまして、漆を和紙に塗ると非常に防水性もいいということと、漆器と同じで、年数がたつと非常にいい色合いが出てくるということで、例えば家の中の壁紙として使ったりとか、先ほど菅野委員のときにもお話ししたんですが、テーブルクロスですとかコースターという格好で、和紙を使っていろいろな商品をつくる取り組みも行われております。
県内にもこういった和紙の文化もございますし、先ほど委員から御指摘のとおり、漆の産地でもございます。岩手を代表する技術がございますので、ぜひ、こういったところもいろいろ念頭に置きながら、地域の宝でございますので、そういったところも何とか取り組みとしてできていければと思います。
〇小野寺好委員 貸付金について、どういう仕組みになっているのかお聞きしたいと思います。
平成29年度の県予算ですけれども、9、700億円のうち一番多いのが土木で1、638億円、その次が教育費の1、496億円、3番目が商工費の1、358億円で、随分、商工労働観光部はお仕事をしているのだなと思ってこの説明書を見るわけですけれども、そうすると、説明書の181ページに、例えば中小企業東日本大震災復興資金貸付金884億円余、中小企業経営安定資金貸付金118億円余の二つの貸付金だけで1、000億円を超えているわけです。前はこういう規模ではなかったと思うんですけれども、この二つだけで1、000億円を超えていまして、そのほかにも20億円、30億円の貸し付けがあちこちにあるわけです。
そこでお尋ねしたいのは、これが1年間の利息なしの貸し付けということになっていて、単年度予算で貸し付けと返済が載っているわけです。181ページには貸し付けのほうで、諸収入のほうの67、68ページにはその返済の額が全く同額で出ている。ちょっとこの仕組みがわからないのですけれども、1年の間に貸し付けと返済があるということは、4月1日に貸し付けして、3月31日に回収するといった仕組みなのでしょうか。ただ、4月1日に貸し付けをするには、県税収入もないし、交付税も入ってきていないから、県庁の金庫は空っぽだと思うんですけれども、どういう仕組みでこれをやっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
あと、無利子のものと有利子のものとあるんですけれども、この違いは、どういう基準で違いが出てきているのか。
それと、貸し付けは金融機関にどんと預けておいて、具体的には金融機関のほうが貸し付けするかと思うんですけれども、あえて県のほうから金融機関に預託する必要があるのだろうかと。1、000億円を超えるお金を金融機関に預託するよりも、別のほうで仕事ができるのではないかといった考えが出てくるわけですけれども、その辺の仕組みがどうなっているのかお聞きしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 3点の御質問で、県単融資の制度の仕組み、利子の関係、1、000億円を超えるお金を、県で事業を取り組む趣旨といいますか、効果ということかと思います。
まず、仕組みとしましては、委員のほうからお話があったとおり、4月1日に県が金融機関に預けまして、それに、金融機関でも自分たちで調達した資金を何がしか乗せて、それが県内の中小企業者の貸し出しの原資になるというものです。
各金融機関で新規に貸し付けしているものと、何年間かで貸しているものがありますので、そういった実績を見て、毎年、必要額を県で計算して予算化していますので、3月31日には実際に一旦返してもらうということになっております。東日本大震災津波の関係で予算額が非常に大きくなった部分はあるんですけれども、基本的には3月31日のお金をもとに、翌年度に必要な分をまた改めて預け入れるという形ですので、いきなりどこからか1、000億円を持ってくるということではありませんので、そういう形で回しているというものです。
利子に関しては、基本的には金融機関の貸出原資の調達コストをできるだけ抑えることによって事業者の利息負担を低減するということで、無利子としております。
次に、予算に関する説明書の68ページの中で、利子と記載されているものが2件ほどあるので、その違いは何かということかと思いますけれども、金融機関を通じて事業者向けに貸し付けしているものについては全て利息をいただかないということになっております。一部あるのは、産業振興センターの別のリース関係の事業と、特定の事業者に対する貸付金ということで、中小企業者向けの資金ついては、利息は県ではとっていないという形になっています。
もう一つ、事業の趣旨でありますけれども、県では、資金調達力が弱い中小企業者の資金繰りを支援するということで、先ほど例でも出ましたけれども、東日本大震災津波ですとか台風第10号の災害復旧資金、あるいは若者、女性の新規創業といった特定の施策目的を持ったものに対する融資を円滑に進めて、中小企業者の資金繰りを支援するということで実施しておりまして、実際に、例えば今年度の1月末ですけれども、県の10の制度の合計で5、904件の利用があります。したがって、こういった方々の資金繰りを支援している形で使われているものであります。
〇小野寺好委員 さっきの二つだけで1、000億円だったんですけれども、有利子のものと、そうではないものと合わせてどのぐらいの合計になっているのでしょうか。
今のお話だと、例えば今年度、平成28年3月31日に現金を耳をそろえて返してもらうのではなく、帳簿上、一応返してもらったことにしましょうねと。すぐ、翌日の4月1日にまたお貸ししますよという、現金を見ないで帳簿だけの操作で行われているという理解でいいんですか。
〇高橋経営支援課総括課長 まず、無利子、有利子の関係で言いますと、予算に関する説明書の67ページ、68ページに載っております貸付金は全て無利子ですので、有利子、無利子というのはございません。あるのは、先ほども申し上げましたけれども、地域産業活性化企業設備貸与資金貸付金と物産販路開拓資金貸付金というものですが、これは特定の目的があって産業振興センター等に貸し付けしているもので、金融機関に預託しているものではありませんので、県の制度資金としては基本的に無利子ということです。
それから、3月31日と4月1日ですけれども、実際に金融機関の口座に4月1日に預け入れをしております。3月31日に実際の額を引き上げて、また4月1日に口座に振り込むという形です。
〇小野寺好委員 恐らく東日本大震災津波の関係でこういった貸し付けが膨れ上がってきたと思うんですけれども、いずれ、こういった状況はあと何年か後にはなくなるという理解でよろしいでしょうか。
〇菊池商工労働観光部長 いわゆる県単融資制度についての御質問だと思いますが、県単融資制度は、先ほど経営支援課総括課長からも答えたとおり、中小企業の経営基盤を支える基本的な商工施策でございまして、いつの時代にあっても、中小企業が資金繰りに困ったときに確実にお金が手元に回り、信用を担保し、次の事業展開なり運転資金ができる、いわば中小企業支援策、中小企業対策の一丁目一番地の事業でございまして、たまたま復旧、復興で、特に震災対応の復旧支援のために回すお金がふえてはおりますが、いつ、どうのというお話はできませんけれども、復旧、復興が一段落したとしても、中小企業に向けて資金供給していく我々の使命といいますか、役目といいますか、これは消えないと思っております。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇菅原企業局長 企業局関係の平成29年度当初予算について御説明を申し上げます。
初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方についてでありますが、平成29年度は、第5次中期経営計画に基づき、電力システム改革等の経営環境の変化に的確に対応しながら、引き続き電力と工業用水の安定供給に努めるとともに、再生可能エネルギーを活用した新規開発を進め、県内の電力自給率の向上に取り組んでまいります。
電気事業では、電力システム改革により、発電、小売の自由化が進展しておりますが、県内への電力の安定供給を第一に、現行の電力会社への売電契約を継続するとともに、施設や設備の長寿命化や耐震化を進め、健全経営の維持に努めてまいります。
新規開発では、一戸町の高森高原風力発電所について、引き続き建設工事を進め、平成30年1月に運転を開始する予定であります。盛岡市の簗川発電所については、平成33年度の運転開始を目指し、本格的に現地工事を進めてまいります。
地域貢献では、クリーンエネルギー等の導入を支援するため、沿岸被災地を初めとする市町村等の設備導入の取り組みを引き続き助成するとともに、台風第10号により甚大な被害を受けた防犯灯などの公共施設の復旧について助成してまいります。
工業用水道事業では、送配水管の老朽化対策や耐震化に取り組むなど安定供給に努め、県内経済を牽引する企業の生産活動に寄与してまいります。また、工業用水の需要が伸び悩み、料金収入の大幅な増加を見通すことが難しい状況にあるため、より一層の業務効率化等に取り組み、経営の安定に努めてまいります。
それでは、議案について御説明を申し上げます。
議案その1の58ページをお開き願います。議案第13号平成29年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
第2条は業務の予定量ですが、(1)は、年間販売目標電力量であり、その合計を、59ページの冒頭に記載のとおり、5億2、750万4、000キロワットアワーと見込むものであり、(2)は、高森高原風力発電所及び簗川発電所を建設しようとするものであります。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は58億8、800万円余で、その主な内訳は、第1項営業収益50億5、900万円余は水力発電所の電力料収入などであり、第2項附帯事業収益4億2、400万円余は、稲庭高原風力発電所、相去太陽光発電所及び運転開始予定の高森高原風力発電所の電力料収入であります。
次に、支出の第1款電気事業費用は48億1、000万円余で、その主な内訳は、第1項営業費用43億4、700万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項附帯事業費用3億7、000万円余は、風力発電所及び太陽光発電所の運転管理費用などであります。
60ページをお開き願います。第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は38億1、200万円余で、その主な内訳は、第1項企業債30億円は高森高原風力発電所の建設資金を借り入れしようとするものであり、第2項長期貸付金償還金7億8、500万円余は、一般会計などからの長期貸付金に係る償還金であります。
支出の第1款資本的支出は70億2、300万円余で、その主な内訳は、第1項建設費46億5、000万円余は高森高原風力発電所及び簗川発電所の建設工事費などであり、第2項改良費20億2、000万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であります。
第5条は、債務負担行為であります。これは、岩洞第二発電所ガス絶縁開閉装置分解点検補修他工事など2事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
61ページに参りまして、第6条は、建設改良事業に充てる企業債の限度額を30億円とし、起債の方法などを定めようとするものであります。
第7条は、一時借入金の限度額を30億円と定めようとするものであります。
第8条は、予定支出の各項において、経費の金額を流用することができるものを定めようとするものであります。
第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
電気事業会計予算の説明は以上でございます。
次に、62ページをお開き願います。議案第14号平成29年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
第2条は、業務の予定量ですが、北上工業団地及び岩手中部工業団地内の18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、430万3、985立方メートル、1日平均給水量を3万9、189立方メートルとそれぞれ見込むものであります。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は9億7、100万円余で、その主な内訳は、第1項営業収益9億500万円余は給水収益などであります。
次に、支出の第1款工業用水道事業費用は9億4、200万円余で、その主な内訳は、第1項営業費用8億6、300万円余は、職員給与費、修繕費、業務委託費、減価償却費などであり、第2項財務費用5、200万円余は、企業債などの支払い利息であります。
63ページに参りまして、第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は2億100万円余で、その内訳は、第1項企業債は工業用水道施設の改良費に係る資金を借り入れしようとするものであります。
次に、支出の第1款資本的支出は5億9、000万円余で、その主な内訳は、第1項改良費2億200万円余は各工業用水道設備の改良及び更新に要する経費であり、第2項企業債償還金3億円余は企業債元金の償還金であり、第3項他会計からの長期借入金償還金8、500万円余は、電気事業会計からの長期借入金の償還金であります。
第5条は、建設改良事業に充てる企業債の限度額を2億100万円余とし、起債の方法などを定めようとするものであります。
第6条は、一時借入金の限度額を2億200万円と定めようとするものであります。
次に、64ページをお開き願います。第7条は、予定支出の各項において、経費の金額を流用することができるものを定めようとするものであります。
第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
第9条は、他会計からの補助金についてであります。これは、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設(第2期)の維持に係る一般会計負担金2、700万円余であります。
工業用水道事業会計予算の説明は以上でございます。
なお、これらの予算に係る実施計画、予定キャッシュ・フロー計算書などにつきましては、予算に関する説明書の453ページから521ページに記載しておりますが、これまで御説明申し上げました予算の明細等でありますので、説明を省略させていただきます。
以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇工藤誠委員 私からは、高森高原風力発電所の建設についてお伺いしたいと思います。
この土日、自宅に戻りましたら、企業局からの立派なお知らせが入っておりまして、町内の各世帯に、工事の内容、工事のスケジュール、建設工事に当たっての地域の皆様へのお願いということで、第4号ですから4回目のお知らせだと思いますけれども、大変気を使っていただいて、工事の進捗状況等をお知らせいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。
改めて工事の内容についてはお聞きいたしませんが、11基の風車を設置して、年間の供給電力量が約5、300万キロワットアワーで、私が住んでいる一戸町と二戸市の全世帯、約1万6、000世帯の1年間に使用する電力量に相当するものを発電していくということでございます。総事業費が127億円でございまして、来年1月に稼働を予定しているということです。若干台風の影響がありましておくれましたけれども、まず、何とか順調に進んでいっていると思っています。
そこで、何点かお伺いしますが、ことし、いよいよ支柱、ブレードの備えつけ工事が始まるわけですが、まず、その備えつけ工事もしっかりやっていただくのですが、その前に、久慈港から陸路を通って資材を運ぶということでございます。それで、今の時期、資材がまだ船の上にあるのかどうかわかりませんが、この予定でいけば、4月から本体輸送が始まります。陸路のルートが若干変わったということも聞いておりますので、大変御苦労されたのではないかとは思っております。また、40メートルを超えるようなブレードを運ぶということについては大変な御苦労があると思います。安全対策等も十分講じてはおられると思いますが、一歩間違えば大変な事故にもつながりかねませんので、事故防止に対する具体的な安全対策をどのように講じておられるのかということと、人家があるところも通りますので、地域の住民の皆様に対して安全の対策を周知する必要があると思いますが、この辺のことについてお伺いします。
〇吉田電気課長 風車部材の運搬についてでございますが、4月から9月にかけて、40メートルのブレードや最大重量70トンのタワーの部材などを、110回に分けて大型トレーラーで久慈港から一戸町まで夜間に輸送する計画でございます。
安全対策といたしましては、1、数百メートル先行して道路状況などを把握、伝達する先行誘導車、2、トレーラー誘導や一般車両の整理、誘導を行う先導車、3、機器を輸送するトレーラー、4として、後続車両の整理、誘導を行う後導車の4台の編成で輸送することとしております。また、交通誘導員も同行し、必要に応じ一般車両に一時停止等の協力を仰ぐことなど、万全の体制をとるつもりでございます。
また、地域の住民への周知ということでございますが、夜間に走るということもございまして、道路の沿線自治体につきましては、運搬についての詳細や安全対策についてお知らせしたいと考えております。
〇工藤誠委員 いずれ、しっかりと運んでいただいて、物がそろわないと、次の備えつけの作業ができませんので、事故がなく、安全にお願いしたいと思っています。
その工事は安全対策をとりながら順調に進んでいくと思いますが、次に高森高原風力発電所の完成によって、県が進めております再生可能エネルギーによる電力自給率は、平成27年の27.1%から平成32年には35%まで上げるという目標にどの程度貢献するのかお伺いします。高森高原風力発電所もそうですし、加えて、企業局として新たな風力発電の計画があるのかということもお聞きいたします。
そして、近くではないのですが、稲庭高原にも風力発電所が3基あります。そこはよく落雷があって故障したりしていますので、そのあたりもそろそろ機種を取りかえたり、台数をふやしてもいいのではないかと思いますが、そのあたりの対応をどうお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
〇細川業務課総括課長 まず、本県の電力自給率への貢献についてでございます。
高森高原風力発電所の発電電力量は年間約5、300万キロワットアワーで、これは一般家庭約1万6、000世帯に相当するもので、本県の再生可能エネルギーによる電力自給率については約0.5ポイント向上するものとなります。
次に、風力発電の今後の整備計画についてでございますが、県内では、民間企業による大規模な風力発電所が計画され、一部においては既に建設工事に着手しているところもございます。そうしたことから、当面は、企業局としては高森高原風力発電所の建設と運転開始後の安定的な供給に注力してまいりたいと考えております。
また、現在運転中の稲庭高原風力発電所の今後の予定についてでございますが、固定価格買取制度の買い取り期間が平成33年12月に満了いたしますので、その後は既存の風車は撤去する予定としており、その後の再開発の可能性については、地元の意向なども踏まえながら、今後検討を行うこととしております。
〇工藤誠委員 再生可能エネルギーによる電力自給率に0.5ポイント貢献したということですけれども、それはそれでいいのかと思っています。
次に、今回の風力発電所の建設について、地元との連携とか地元への貢献ということについてお伺いしたいと思っています。
御存じのとおり、高森高原というところは約800ヘクタールの広大な放牧地でございます。豊富な自然も残っております。地元にとっても観光地の一つでもございます。そこに風車が11基整備されるということで、新たな観光資源が生まれるのではないかと地元も大変期待が大きいものがございます。
近くには、御存じのとおり、観光天文台もありますが、かなり古くなっております。実は地元からも、企業局でせっかく風力発電所をつくるのであるから、ガイダンス施設みたいなものとか、そこには休憩所も含めたようなものを整備してもらったほうがいいのではないかという声も上がっておりますが、そういう要望に対して対応できるようなお考えがあるかどうかお聞きしたいと思います。
もう一つなのですが、そういう観光振興を進める一方で、環境保全対策というのは当然やっていただかなければならないわけですが、去年の予算特別委員会でも出たような気がいたしますけれども、これまでの工事に当たってどういう環境保全対策をとられてきたのか、また、今後についてもどういう対策をとっていかれようとしているのか、そのことについてお伺いします。
〇細川業務課総括課長 まず、観光振興についてでございますが、高森高原風力発電所については、多くの方々に見学いただけるように大型バスの駐車場を整備するほか、開閉所に発電所の運転状況を表示しますモニター装置を設置いたします。また、風車と高森高原の眺望がお楽しみいただけますように、2階にはテラスを整備することとしておりまして、観光資源としての活用を期待しているところでもございます。
また、隣接する観光天文台、その他周辺施設との連携については、今後、一戸町と意見交換を行うなど、地元の意向を踏まえて観光振興に協力していきたいと考えております。
次に、環境保全対策についてでございますが、まず、建設中の保全措置として、猛禽類のノスリについては、とまり木と人工の巣の設置を行いました。渡り鳥の一種であるオオジシギについては、生息場所を風車から離れたところに誘導する対策を行っているところです。
また、植物の保全措置として、希少種の移植やノシバ群落の仮移植などを行っているところであり、これらの保全対策の効果を確認するため環境モニタリングを実施しているところでございます。
そのほか、観光天文台の観測に配慮いたしまして、発電機上部に航空障害灯を設置いたしますが、その光を遮るための遮光板を設置いたします。また、6号機の近くにはアズマギクの群生地がございますので、一戸町からの要望も踏まえまして、タワーの下部を周辺と調和した緑色のグラデーションの塗装を施すこととしております。
運転開始後の環境保全対策としては、引き続き環境モニタリングを実施し、影響が確認された場合には、専門家の指導や助言を得て、追加の対策を講じることといたしております。
〇工藤誠委員 いろいろ環境保全対策もしていただいているということでございますので、新しいそういうものができても、やはり自然を大切にしていただきたいと思います。ロケーションというものも大切でございますので、ぜひ、モニタリングを続けていただきたいと思います。
次ですが、企業局のパンフレットを見せていただくと、地域活動をいろいろされております。環境保全クリーンエネルギー導入促進積立金とか、クリーンエネルギー導入支援、植樹の活動支援とかいろいろやられているようで、多分、予算も潤沢にあるのかと思っておりますけれども、この風力発電を通じてもそうですし、今後、企業局として地域貢献活動にどのように取り組んでいかれるのかということをお伺いしたいと思います。
〇細川業務課総括課長 発電所建設工事を通じた地域貢献についてでございます。
まず、建屋の建築工事については、入札の参加条件といたしまして地域要件を付しており、地元業者が受注しておりますほか、発電所や観光天文台に至る町道の改良を支援しているところでもございます。また、運転開始後は、風車及び送電線の巡視、除草、除雪等について、二戸地域を中心とした業者への委託を検討しているところでございます。
今後については、まず、発電所の所在市町村である一戸町に、国有資産等所在市町村交付金として、21年間でございますが、総額約11億円交付する予定であります。
また、地元住民等を対象とした建設中の風力発電所の見学、地元の小中学生を対象とした風力発電等の再生可能エネルギーに関する環境学習を行うことなどについて、一戸町と協議を進めているところでございます。
〇工藤誠委員 地元も、地域の皆さんと、また行政と一緒になって、今回の高森高原風力発電所の建設を機に、今、いろいろ盛り上げていこうという話し合いも始まっているということでございますので、いろいろな要望が出た際は、ぜひ対応していただきたいと思います。
最後になりますが、全く私の個人的な考え方でもあるのですが、そのネーミングについてです。高森高原風力発電所は、確かにそのとおりなわけですけれども、ネットでちょっと調べて見ると、例えば、宮城生協では風のめぐみという名前がついていますし、横浜市の環境創造局は、最終的な結論まではちょっと見つけられなかったのですが、ハマウィングとか、島根県の企業局では全部で8基整備しているのですが、その8基全体の発電所の総称をエコまろという名前にしているそうです。1号風車、2号風車、3号風車それぞれに愛称をつけているということでございます。
風力発電所という硬いイメージではなくて、もっと子供たちからも親しまれるようなネーミングを募集してつけたらいいのではないかという思いが私はしております。地元の意向もあるので、必ずやってくださいというわけではないのですが、こういう事例もあるということは、多分、企業局も承知はしていると思いますが、このことについてのコメントをいただきたいと思います。
〇吉田電気課長 ただいまの愛称の募集でございますが、島根県では、市内の小学生から公募してつけたという例がございまして、その例については承知しております。高森高原風力発電所につきましても、多くの方々に親しんでいただけるように、地元の一戸町とも相談しながら、今後検討することとしたいと考えております。
〇工藤誠委員 最後のお願いになりますが、ぜひ事故のないように、安全を第一に考えていただいて、順調に工事が進むことを祈っておりますし、高森高原風力発電所が完成したことが、地域にとって活性化に役立つことを期待しておりますので、ぜひ、順調に来年1月稼働に向けて頑張っていただきたいと思います。
〇名須川晋委員長 再開後2時間が経過いたしますが、質疑を表明している委員があと1人となっていることから、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇斉藤信委員 私も高森高原風力発電所についてお聞きしたいんですけれども、台風第10号の被害で工事に影響があったということでありました。この影響により、工事の完成の見込みはどうなのか、1月から本当に稼働できるのか。
それと、先ほどの予算を見ると、年間販売目標電力量で高森高原は1、186万7、000キロワットアワー販売すると。この見込みは大丈夫なのでしょうか。先にこのことを聞きます。
〇細川業務課総括課長 まず、工事の見込みでございますが、昨年4月から基礎工事をスタートしましたが、先ほど御紹介いただいたように、台風第10号によって久慈港から基礎の部材を運ぶ工程が若干おくれました。その結果、昨年9基の完成を目指しておりましたが、7基の完成にとどまっております。その結果として、新年度の来月4月から、まず4基の基礎工事を完成することが必要になりました。そういったことから全体の工事スケジュールを見直しております。その結果、約2カ月おくれの平成30年1月には運転開始できるものと、見込んでいるところでございます。
それから、来年度の発電電力量でございますが、これは月ごとに4月は幾ら、5月は幾らという想定をしております。それで、来年1月、2月、3月に該当する分の発電電力量を集計した結果が、先ほど御紹介いただいた数値となっております。
〇斉藤信委員 そうすると、7基は完成しているので、これは稼働するということですか。全体が5、300万キロワットアワーですね。1月稼働で1、186万キロワットアワーというのは、単純に計算すれば計算が合わないと。そのことを説明してください。
〇細川業務課総括課長 先ほど7基と申し上げましたのは風車の基礎部分でございます。昨年度は11基のうち7基が完成してございますので、来月4月、新年度は新たに4基を製作するということでございますし、それと並行して、もう既に完成している7基については、順次風車の組み立てを開始いたします。そして、最終的には、本年12月には11基の試験、調整を完了いたしまして、1月からは全11基で運転開始を目指しているところでございます。
〇斉藤信委員 それで、四半期分は見込めるという計算ですね。わかりました。
この高森高原風力発電の風車は外国製、これはドイツ製ですね。稲庭高原の場合にはオランダ製となっていますが、日本での風車のシェアはどのようになっているのでしょうか。そして、なぜ高森高原の場合にはドイツ製となったのか示してください。
〇吉田電気課長 まず、国内の風力発電所の風車のシェアでございます。1、2、3と大手3番までは外国の機械がシェアを占めております。その3者で約50%のシェアとなっております。
また、外国製を選んだ機種選定につきましては、高森高原風力発電所で採用した風車の選定でございますが、企業局では、平成25年度に風力発電機と蓄電池を組み合わせた出力変動緩和システムについて公募したところ、2者から提案がございました。外部有識者を交えた委員会を設置し、提案内容について、技術性、保守性、経済性の観点から審査した結果、採用したものでございます。2者とも風力発電機は外国製でございました。
なお、企業局が採用した風力発電システムは、ドイツの大手メーカーが製造した風力発電機を使用しており、東北地区では、青森県五所川原市、山形県遊佐町など4地点で運転していると承知しております。
〇斉藤信委員 外国製の風車が1位から3位でシェア50%を占めると。日本製の風車のシェアが低いのは、原発優先でこの分野での技術開発がおくれたと。本来技術力を持っている日本が、これから風力発電を広げようというときに国内でのシェアが外国製に負けているということは、本当にこれは問題だと思うし、やっぱり原発推進政策の影響ではないかと私は思いますが、これは局長に聞きましょうか。高度な問題だから。
〇菅原企業局長 ストレートにお答えできるかどうかあれですが、国内製が劣っているか、あるいは外国製がすぐれているかというと、必ずしもはっきりしたことは言えないと思っております。と申しますのは、例えば、オランダの風車は、大陸の偏西風といいますか、一定の風を前提にした風車というものがあるのですが、やっぱりヨーロッパで風力発電機が進んだのは、そういうことによるものではないかと思います。
一方、日本の場合は、山あり谷ありで、地形も複雑でございますし、気候も風向きが変わったりしますので、そういう意味で、要は地形とか気候に適した風車の開発が重要なポイントでありまして、そういった取り組みが近年進んできたのではないかということで、外国製のものも、そういった日本国内に合った風車をいろいろと研究し始めた成果ではないかと、私は素人ながら考えております。
〇斉藤信委員 ドイツは福島の原発事故で、もう原発はやめたんですね。そういう決断をしました。そして、やっぱり再生可能エネルギーに思い切って転換して、技術開発も進めていると。これは、私は大変重要な教訓だと思います。これは指摘だけにとどめておきます。
それで、今度の高森高原風力発電所の特徴は、蓄電池併設型なんですね。この蓄電池併設型の特徴、メリットはどういうものなのか、どういう機能を発揮するのか。私は売電単価にも影響があると思いますけれども、その点について示していただきたい。
〇吉田電気課長 蓄電池併設の目的ということでございますが、風力発電の場合、風向きや風速の変化等によって出力が大幅に変動し、電力の安定供給に影響を及ぼすということがございます。そのため電力会社から、募集要件として、急激な出力変動を緩和するための蓄電池の併設を要望されたものでございます。
具体的には、風が弱まり出力が大幅に低下した場合には、蓄電池から電気が放電されて出力の低下の幅を小さくし、逆に、風が強くなり出力が大幅に増加した場合には、蓄電池に充電して出力の上昇幅を小さくするものでございます。
蓄電池の性能は、他の発電所の実績及び高森高原の風況データ等を踏まえまして、風力発電機の全体出力の約30%に当たる7、500キロワットの能力となっており、固定価格買取制度の対象期間である20年の使用に耐え、安価で安全性のすぐれた鉛蓄電池を採用しております。
また、先ほど売電単価に影響があるかということでございましたが、売電単価につきましてはFITで決まっておりまして、蓄電池併設型、併設型でないものにつきましても同じ単価となっております。
〇斉藤信委員 単価に変わりがないというのは極めて残念でしたけれども、出力変動緩和型ということで、安定した電力を供給できる大変重要なシステムだと思います。
それで、最後ですけれども、私は決算特別委員会のときに聞いたんですが、相去太陽光発電所が売電していた日本ロジテック協同組合が結果的には破産しました。決算特別委員会のときにお聞きしたときには1、483万円の未収があって、履行保証保険金が348万円入金になって、1、143万円の債権を届け出たという答弁でありましたが、その後、これはどう決着がついたんでしょうか。
〇吉田電気課長 日本ロジテック協同組合の債権でございますが、昨年4月15日に組合が破産開始決定後、破産管財人が破産手続を進めております。9月26日に債権者集会がございまして、現時点での組合の資産と負債は未確定の状況ということで、引き続き調査を行うことが説明されたところでございます。
次回の債権者集会は、あさって3月15日に開催されることになっておりまして、これに参加しまして、資産、負債の状況等を把握し、今後、法的手続にのっとって債権の回収に努めてまいりたいと思っております。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
企業局の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時26分 散 会

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