平成29年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 3 号)
平成29年3月8日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
秘書広報室長 保   和 衛
副室長兼
首席調査監 高 橋 勝 重
総括調査監 千 葉 幸 也
調査監 小 國 大 作
秘書課総括課長 八重樫 浩 文
秘書課管理課長 佐 藤 法 之
特命参事兼
行幸啓課長 蛇 口 秀 人
広聴広報課
総括課長 上和野 里 美
報道監 藤 澤   修

政策地域部長 大 平   尚
理事兼副部長兼
地域振興室長兼
台風災害復旧復興推進室長 宮 野 孝 志
副部長兼政策推進室長兼首席
ふるさと振興監 南   敏 幸

科学ILC
推進室長 佐々木   淳
政策監兼
ふるさと振興監 小 野   博
評価課長 臼 井 智 彦
調整監 葛 尾 淳 哉
政策推進室
管理課長 佐々木 ユ カ
市町村課総括課長 石 田 知 子
調査統計課
総括課長 佐 藤 和 彦
情報政策課
総括課長 菊 池 芳 彦
県北沿岸・定住
交流課長 菅 原 健 司
交通課長 大 坊 哲 央
地域連携推進監 鈴 木 暁 之
ILC推進課長 熊 谷 郁 夫
台風災害復旧
復興推進課長 植 野 歩 未

復興局長 木 村 卓 也
技監兼副局長 高 橋   修
副局長 内 宮 明 俊
復興推進課
総括課長 熊 谷 正 則
まちづくり再生課
総括課長 田 村 荘 弥
産業再生課
総括課長 高 橋   進
生活再建課
総括課長 小笠原 隆 行

会計管理者兼
出納局長 佐 藤   博
会計指導監 清 水 雅 典
出納局管理課長 高 橋 一 志
審査課長 千 葉 達 也

人事委員会
事務局長 佐 藤   新
職員課総括課長 坊 良 英 樹

監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 小 倉   茂
監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 小 原   勝
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第27号から議案第30号まで及び議案第32号の以上25件を一括議題といたします。
本日は、秘書広報室、政策地域部、復興局、出納局、人事委員会及び監査委員関係について、延べ26人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
最初に、秘書広報室長に秘書広報室関係の説明を求めます。
〇保秘書広報室長 平成29年度の秘書広報室関係の予算につきまして御説明申し上げます。
初めに、当室における重点事項について御説明申し上げます。
秘書広報室は、知事、副知事の日常的な活動と直接かかわる秘書、調査の業務と、県民とのコミュニケーションを重視した県政推進のために重要な広聴広報を担当しております。
事業の中心となる広聴広報関係につきましては、県政懇談会などを通じて県政に関する意見、御提言を把握し、県施策への反映に努めております。また、県政番組などを通じて、県民の皆様に県の重要施策や復興の歩みを適時的確に伝えることのほか、県外に向けまして、震災の記憶を風化させず、復興への継続的な支援と岩手ファンの拡大につなげるため、復興に取り組む姿や岩手の魅力を発信しております。
それでは、当室関係の歳出予算について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その1の6ページをお開き願います。議案その1、6ページの秘書広報室所管の歳出予算は、2款総務費2項企画費、全体で17億1、160万円のうち5億1、568万円余でございます。
その内容につきましては、便宜、お手元にございます予算に関する説明書により御説明申し上げます。金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業について御説明申し上げます。
お手数ですけれども、予算に関する説明書の88ページをお願いいたします。88ページは、2款総務費2項企画費1目企画総務費でございます。説明欄に秘書広報室とございます。ここでの管理運営費は、人件費及び一般管理事務費でございます。次のページに参りまして、下段の3目広聴広報費でございます。説明欄の広聴活動費でございますが、これは、県民の県政に関する御意見、御提言等を把握するため、広報広聴活動を行うための経費でございます。次の県政広報事業費でございますが、これは、県民の皆様の安心と希望につなげるということで、県の重要な施策や取り組みを県政広報誌いわてグラフ、あるいはテレビ、ラジオ、新聞などによりわかりやすくお知らせし、県政への理解や参画、協働を促進しようとするものでございます。次のいわて情報発信強化事業費でございますけれども、県外に向けまして、復興に取り組む姿や岩手の魅力を発信し、東日本大震災津波の記憶の風化防止、復興への継続的な支援などにつなげますとともに、岩手ファンの拡大を図る取り組みでございます。その次のいわて県民参画広報事業費は、県民の皆様が多様な視点で発見、創造した岩手の魅力をみずからが発信する取り組みを支援することにより、県全体としての情報発信力を高めていこうとするものでございます。次のいわての魅力重点発信事業費は、岩手の魅力を特定の対象に絞って発信することにより、岩手ファンの一層の拡大につなげようとするものでございまして、平成29年度におきましては、これまで岩手とつながりの深い東海地方をターゲットといたしまして情報発信活動を行おうとするものでございます。
以上で秘書広報室の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋元委員 私は、いわて情報発信強化事業費についてお尋ねしたいと思います。
まず、質問の前に、秘書広報室におかれましては、今年度の国体開催に当たりまして、天皇、皇后両陛下を初め皇族の方々の御来県に際しましてのさまざまな取り組み、大変御苦労さまでございました。非常に皆様方の対応がよかったようでございますので、ぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思います。
それでは、いわて情報発信強化事業費についてですが、ただいまの説明にもありましたとおり、この事業は、東日本大震災津波の記憶の風化防止や復興への継続的な支援につなげる全国に向けた広報ということであります。今回、震災の部分について見ますと、平成29年度は1、200万円という予算措置であります。平成28年度においては8、110万円の予算措置でありますが、この資料によりますと同じような取り組みのように受け取れるわけであります。事業は大幅に違うものと想定されますけれども、この事業の内容を具体に教えていただきたいと思います。
〇上和野広聴広報課総括課長 いわて情報発信強化事業費の事業内容についてでございますが、平成28年度は、東日本大震災津波の風化防止と被災者の心の復興を図るため、復興庁の被災者支援総合交付金を活用いたしまして、全額国費により岩手復興ドラマを制作し上映する事業として、当初予算に6、841万8、000円を計上いたしました。この事業は平成28年度の単年度事業でございますことから、平成29年度につきましては当該事業相当額が減額となっているものでございます。
震災分予算として平成29年度も引き続き事業を実施いたします内容につきましては、復興情報の発信のため、復興に取り組む県民や復興に御支援をいただいている県外の方々の姿を取り上げたポスター、動画の制作や首都圏での発信などでございます。
〇高橋元委員 復興庁の単年度の交付金を活用しての動画の制作などということであります。新年度には新たに動画もつくるのですか。それとも、つくったものを活用していくという捉え方でよろしいですか。
〇上和野広聴広報課総括課長 先ほど御説明申し上げました、復興情報の発信のための復興に取り組む県民、御支援をいただいている方々の姿を取り上げた動画-3分程度のものになりますけれども、こちらにつきましては来年度も継続して制作してまいります。ただ、今年度の岩手復興ドラマ規模のものになりますと制作には事業費がかかるということで、こちらは単年度のみでございます。
〇高橋元委員 かなりの予算をかけてつくられたということですが、これは今後どのように活用していく予定になっているのか。私の地元でも上映会をやったという話も聞いておりますけれども、県内あるいは県外でどのように活用されるのかお尋ねしたいと思います。
〇上和野広聴広報課総括課長 今回制作いたしました岩手復興ドラマにつきましては、3月4日から10日までの間、県内6カ所で上映会を開催することとしております。このほか、テレビ放送を3月に予定しております。また、3月3日、東京都で開催されました復興4県フォーラムの映像アーカイブのコーナーでも放送しております。来年度につきましても、復興のイベント等の機会を捉えまして活用していきたいと考えております。
〇高橋元委員 今定例会で4、900万円減額ということでしたが、これは当初見込みよりも経費が少なく済んだという理解でよろしいでしょうか。
〇上和野広聴広報課総括課長 この岩手復興ドラマに係る予算につきましては、平成28年度当初予算では2時間程度の映画制作ということで6、841万8、000円を計上して復興庁に申請していたところでございますが、同庁との協議を経まして、7月に、映画ではなく動画として時間を短縮する、また、県外の上映会ではなくインターネットでの公開とするなど見直しを行ったことによりまして、2月補正で4、864万4、000円を減額したという状況でございます。
〇高橋元委員 東日本大震災津波災の記憶の風化についてでありますが、間もなく丸6年になるわけでありまして、年月の経過とともに、残念ながら急速に大きく風化しているように私は感じ取れるのです。なぜかというと、例えば、私のところに県議会議員という宛名で3月11日のシンポジウムの案内が届いています。同じ午後からの時間帯。それから、私の近くのある自治体でも、国際リニアコライダーの講演会、それも午後に企画されておりまして、何となく、全国的に震災の風化が危惧されていると言いつつ、いやいや県内でも風化しているのではないか。足元でもそんな感じがするわけです。
この風化防止に向けて県として今後どう取り組んでいくかが課題と思うのですが、こうした風化しているという現状をどのように捉えておられるのか。また、それを防止するために今後どう取り組んでいこうとしているのか、この点をお伺いしたいと思います。
〇上和野広聴広報課総括課長 東日本大震災津波から5年を迎えた平成28年3月11日に前後いたしまして、震災、復興に関する報道はこの時点では増加したと思っておりますが、その後は報道量が減少してきていると認識しております。
風化防止の取り組みにつきましては、震災直後の平成23年度から県外向けに復興ポスターや動画を制作し、発信を継続しているところでございます。これからもこの取り組みを継続していきますとともに、今年度制作いたしました岩手復興ドラマを節目節目で活用していくなど、復興の状況を節目節目で伝え続けることで、震災の記憶を風化させず、復興への継続的な支援につなげていきたいと考えております。
県内に向けましては、いわてグラフで復興の進捗状況を伝える特集を編成しているほか、3月11日に県内の主要新聞で知事のメッセージを含めた全面広告を行うなど、復興状況の周知に努めているところでございます。
〇高橋元委員 通年の取り組み、さまざまな媒体を使っての広報の推進ということでございますが、ただ何となく、その日になれば、新聞記事を見て、ああ、そういえばきょうは3月11日だと。県内でも追悼式典等があるのだと思うわけでありますが、例えば1月の頭のあたりだと、3月にこういう行事を組みたいし、いつがいいかな。ああ、11日は土曜日だ、ちょうどいいなというところで組まれる可能性もあると思います。来年のカレンダー上は日曜日になっていますけれども。行事をするなということではなしに、そういう行事の中でも、追悼の思いというか、5分でも10分でも時間をとってもらって黙祷の時間を設けてもらうことも大事ではないかと私は思います。
そういう意味では、例えばポスターやチラシを活用して、県内各市町村の追悼式や追悼集会、沿岸被災地ではこの時間帯にどこそこでこういう集会があるとか、あるいは追悼のためにお花を生けるところを設けているといったことも含めて、そういう情報を一つのものにまとめてチラシかポスターをつくって、1月あたりから3月11日に向けた一つのPRというか呼びかけ、そういったことも必要ではないかと思うのですけれども、その辺を今後検討していただきたいと思いますが、そういう声が県内にあるのかどうかも含めて現状をお伺いしたいと思います。
〇保秘書広報室長 今、東日本大震災津波の記憶の風化の関連でお話ございましたが、実際、世の中一般には5年の次は10年が節目みたいなイメージがございます。岩手の場合は、ことしは岩手国体、岩手大会がございましたのでかなり大きな情報発信ができたと思いますが、この後、私どもも風化が一層進むという危機感を持っております。私どもの所管している事業だけではなかなかそういったところをカバーし切れないこともございますので、各部局においてもイベントを県外で打ったり、さまざまな情報発信をそれぞれの事業の中でやっておりますけれども、必ずそういった場で岩手の復興の状況もあわせて発信する工夫をしながら、できるだけ時間の経過による風化を防いでいきたいと思っております。
今、委員から御提言のありました3月11日の追悼行事に関する周知につきましては、主に復興局がそういった情報を持っておりますので、そちらとよく相談しながら検討していきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 先ほどの高橋元委員の質疑に関連して質疑をさせていただきますが、私も風化に対する課題に強く関心を持っております。
先ほどの御説明の中で、一応確認したいのですが、今回、広聴広報課での風化に対する取り組み、情報発信というのは、例えば県内であればいわてグラフ、そして県外にはいわて情報発信強化事業で媒体を使ってまず発信すると。そして、それぞれの部局では、それぞれの課題に対しての情報発信をしていく。そして、その復興のディテールみたいなものに対しては復興局、それぞれが行っているという認識でよろしいでしょうか。
〇保秘書広報室長 今お話のあったとおりでございます。私どもの主力となるメディアといいますか媒体というのは、今申し上げました、県内向けにはいわてグラフ、そのほかにテレビ、ラジオ、新聞といったものもございます。また、県外におきましては、ポスター、動画のほかにインターネットの動画サービスを活用いたしまして、おおむね月1回のペースで生放送という形でそういった情報を伝える取り組みも実施しておりますが、部局との関係につきましてはお話のとおりでございます。
〇菅野ひろのり委員 風化に対しては復興局の審査で詳しく確認したいと思いますが、そうすると、今、広聴広報課でやっている取り組みはこの二つの事業が主だと思うんですが、広聴広報課の立場として、復興に対する県民の皆さんの反応といいますか、やはりこの事業の予算ではまだまだ足りていないと感じられているのか、さらにどういうふうに強化していったほうがいいのか、そこら辺の所感をお聞きして終わりたいと思います。
〇保秘書広報室長 詳しいデータでの分析はなかなか難しいものがございますけれども、私ども広聴広報の事業を進めている立場から申しますと、特に県外におきましては、節目である3月以外の月におきましてはほとんど報道されない。これは、ことし、広聴広報課の職員が県外事務所を回りまして、実際に報道のされ方はどうなのかを聴取して、私どももそういったことがあるということを認識しているところでございます。
また、県内におきましても、ある程度報道関係で復興の情報に接する機会はございますけれども、やはり内陸部と沿岸の被災地の皆様との間では、若干気持ちあるいは意識の上で少しずつ差が出てきているということも感じております。
いずれ、私どもの事業でも頑張りますけれども、これは全庁挙げての課題でございます。私どもも、各部局がどのようなイベントをするかについてはある程度情報を入手できる立場にもございますので、そういった機会を通じて、復興の取り組み、あるいは震災の記憶を風化させないということについては意識しながらやっていきたいと思っています。
〇ハクセル美穂子委員 私からも、いわて情報発信強化事業、いわて県民参画広報事業、それから新規のいわての魅力重点発信事業についてお伺いしたいと思っています。
いわて情報発信強化事業に関しましては、高橋元委員が御質問した内容もありますが、その中で、ポスターを制作して都営地下鉄などの中吊り広告などもやられているとお聞きしましたけれども、その中吊り広告で情報発信したことによる効果という点については見えてきている部分があるのか1点お聞きしたいと思います。
〇上和野広聴広報課総括課長 いわて情報発信強化事業につきましては、復興に関するポスターと、今、いわて☆はまらいん特使を務めていただいております村上弘明さんが岩手の魅力を伝えるポスターを制作して、都営地下鉄あるいはJR西日本での中吊り広告につきましては今後実施していく部分もございますけれども、そのような取り組みを行っております。
こちらの直接的な成果はなかなか数字ではあらわしにくいところではございますけれども、都営地下鉄につきましては、1日の利用者が平均260万人、JR西日本につきましては、1日の利用者が平均約250万人ということでございますので、中吊り広告は一定数の方の目に触れているのではないかと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 ポスターの左下に、いわてとあなたが、つながるページに行けるようにURLやQRコードもあります。いわてとあなたが、つながるページの中身を私も拝見させていただいたのですが、復興に取り組んでいる皆さんの写真や動画があるのですけれども、そこから、例えば興味を持った方が岩手に来よう、復興の現場を見に来ようと思った方が、ではどういうふうにして岩手県に来たらいいのか、それからどういったイベントがあるのかというものにつながっていないという印象を私は受けました。風化を防ぐという意味では、やはり興味ある方にぜひ岩手に来てもらったり、例えば岩手のものを買う場所はどこなのかとか、そういった実際に興味ある方にアプローチをしてもらうための情報発信も必要なのではないかと思っていますが、その点については今後何か検討されている部分はあるのでしょうか。
〇上和野広聴広報課総括課長 今、委員御指摘のとおり、いわてとあなたが、つながるページにつきましては、この事業で制作いたしましたポスターあるいは動画の掲載が主となっております。ただ、今の委員の御指摘もごもっともだと思いますので、その先、岩手のものを買いたい、岩手を訪れたいと思う方々を誘導できるようなリンクの設定等を今後検討してまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 前向きな御答弁ありがとうございます。新しいいわての魅力重点発信事業については、東海地方に向けて情報を発信する事業であるとお聞きしました。東海地方といえばフジドリームエアラインズが花巻空港に就航しておりますし、これをやったことによって岩手に来る方がふえたといった形で効果も見えてくるのではないかと思っておりますので、ぜひそういった部分についてもリンクを張って取り組んでいただきたいと思います。最後に、空港の活性化などの部分も取り組んでいくことは考えていらっしゃるのかを聞いて終わりたいと思います。
〇上和野広聴広報課総括課長 今回、新規の事業としていわての魅力重点発信事業費を計上させていただいております。こちらにつきましては、各部局が事業展開している分野、あるいは本県とのつながりの深いエリアということで対象を絞り込んで集中的に広報する必要性を考えまして、今回は東海地方をターゲットに企画したものでございます。
実施に当たりましては、関係部局と連携いたしまして、いわて花巻空港の利用促進、また、観光や食材のPRなど一体的に展開してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私もいわて情報発信強化事業でお聞きしたいけれども、減額の理由は、映画制作が動画になって、その事業がなくなったということでした。既に先行上映会も行われているようですが、岩手にゆかりのある方の脚本、監督で、俳優も岩手県出身でと、かなり岩手にこだわった動画ということですけれども、先行上映されているところの反応はどうでしょうか。そして、今後これはインターネットで公開するということですから、どういう形でどの時期に公開されるのか示していただきたい。
〇上和野広聴広報課総括課長 今回、岩手復興ドラマにつきましては、当初、2時間の映画の内容を見直しまして、約30分のドラマを2本制作させていただいたところでございます。委員御指摘のとおり、監修、監督を初め岩手にゆかりのある制作の方々をそろえ、また、出演者や原作ストーリーを公募して制作したところでございます。3月4日から10日まで県内6カ所での上映会を実施しておりますけれども、このうち、3月4日の大船渡市会場では650人、3月5日の北上市会場では545人、同じく久慈市会場では175人の御来場をいただいたところでございます。
こちらの上映会の際にはアンケートを実施させていただいております。最も早く開催いたしました大船渡市上映会のアンケートから一部御紹介申し上げます。
とても心にしみ込み、感動しました。これからも頑張って前向きに生きていこうと思いましたという方がいらっしゃいました。それからまた別な方からは、何度も目頭を熱くしました。また一歩一歩、歩んでいきたいと思いますというアンケートをいただきました。また別な方ですけれども、家、仕事を全部なくしました。夫婦で家に引きこもりがちで、朝起きるときょう1日何をしようかと考える毎日ですが、生きていることに感謝し、何か生きがいを見つけ生きていきたいと思いますというアンケートをいただいております。また、思い出して涙がとまりませんでした。でも、生きていかなければいけませんよね、頑張ってみますというお言葉もいただいております。最後に、被災した当時のことを思い出しました。少しでも前向きに過ごしていきたいと思いました。主にこういう御意見を頂戴しているところでございます。
こちらのドラマにつきましては、3月18日と3月20日に県内の民放局で1話ずつそれぞれ放送することとしております。このほか、第1話だけになりますが、BSでも3月25日に放送する予定としております。このテレビ放送が終わりました後に県の公式ホームページに動画をアップロードすることを予定しております。
〇斉藤信委員 大変いい動画をつくられたと思います。私もチラシをもらいましたけれども、ぜひこの動画が県内外で見られるように、盛岡市も3月10日の予定ですから、議会が早く終われば私も行ってみたいと思います。
次に、もう一つ、いわての魅力重点発信事業は、新規で、先ほどの説明では東海地方に向けて情報発信をするということでした。なぜ東海地方なのか、そして、どういう情報発信をしてどういう効果を目指しているのか示していただきたい。
〇上和野広聴広報課総括課長 今回、東海地方を対象地域としたわけでございますけれども、東海地方につきましては、各部局が事業展開をしているさまざまな取り組み、それから被災地とのつながりの深いエリアであることから対象としたものでございます。
また、先ほど室長から御答弁申し上げた際に一部出ておりますが、平成28年8月に、首都圏、福岡市、大阪市、名古屋市のマスコミヒアリングを当課の職員が行っておりますけれども、やはり距離が遠いと距離感を感じるという御意見があった中で、東海地方につきましては、空路の充実や復興支援での新たなつながりを感じているという御意見がございました。そのような前向きな御意見をいただいていること、また、東海地方にはこれまでもニュースでさまざま取り上げていただいていることから、こちらの地方をターゲットとして選定いたしました。
先ほども申し上げましたとおり、花巻空港の利用促進、それから観光あるいは物産のPRとあわせてこちらの取り組みは展開してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、今年度の県政懇談会の取り組みの実績と来年度の計画についてお聞きしますが、今年度は10カ所で開催されて、そのうち沿岸が5回と。私、バランスはいいのではないかと思うのですが、この県政懇談会は、大体6名から8名ぐらいの方をお呼びして、開催時間が1時間15分です。6名から10分ずつ話を聞けば終わってしまうというような時間です。せっかく第一線で頑張っている方々を呼んでやるのであれば、せめて2時間程度じっくり発言も聞くし意見交換も行う、こういう取り組みが必要ではないかと思いますが、示してください。
〇上和野広聴広報課総括課長 県政懇談会の開催につきましては、これまでも見直しをしながら開催してきたところでございますけれども、来年度に向けましては、参加者の発言に関連した活発な意見交換や、懇談テーマに限定しない自由懇談の時間を確保するということで、その部分の時間を5分延長いたしまして80分として設定することとしております。
また、平成27年度からオリエンテーションを実施しておりますけれども、こちらのほうでも事前の顔合わせ等ができておりまして円滑な進行に寄与しておりますので、今後とも進行の工夫に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 5分延長というのは改善のうちに入るのかどうか。
懇談会というのは、双方向なのです。だから、話も聞くし、やりとりもする。もう一つは、第一線で頑張っている方々です、私、実際に広報を見たけれども。横の議論も必要なのです、本当は。いろいろな第一線で頑張っている人たちの交流の場でもなければならない。
室長、来年度は5分延長というのもいいけれども、私は、せめて2時間程度とって、双方向で認識が深まる、そのことによって知事のまさにマネジメントが生かされるということも必要ではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇保秘書広報室長 斉藤委員からは、これまでも時間が短いのではないかという御指摘をいただいております。知事のスケジュールとの関係もございまして、今まで少しずつ延ばしてきてはおりますけれども、実際のところはなかなか延長というのも難しいというのがございます。
ただ、私もことしから県政懇談会の司会という役割をやらせてもらっていますけれども、今お話のありました出席いただく皆様方の横同士のつながりですとか、あるいは自由な懇談の中からまた新たな発言が出てくる、そういったことを促す時間をできるだけ確保するとか、私がいわばコーディネーター役みたいなことをやって、出席者の方々のさまざまな考えを引き出す、そういった取り組みを工夫することによって、より密度の濃い中身のある懇談会にしたいということで工夫していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 懇談会というのは、名称のとおり、聞く会ではないのです。第一線の取り組みを聞いて、お互いやりとりして交流し、認識を発展させる。双方向、これが懇談会のうまみなんですね。我々もいろいろな懇談会をやるけれども、一方通行ではだめなのです、双方向で。とりわけ県民との直接対話というのが本当に大事な場面だと思うのです。だから、それを知事が重視して、よく聞くし、交流するし、そして双方向で認識が深まる、こういうふうにぜひ、5分と言わず、思い切って拡充をすべきだと。
今年度、主なところでいいですが、どのような提言がなされ、それがどう県政に生かされているか示してください。
〇上和野広聴広報課総括課長 主な御提言でございますけれども、やはり復興に関することが多くなっておりますほか、三陸ジオパーク、世界文化遺産等を活用した観光振興、地域の特性を生かした産業振興、国際リニアコライダーの実現に関するものなどが挙げられます。
施策反映状況の具体例といたしましては、応急仮設住宅などのコミュニティーづくりでは、行政と住民の間をつなぐことが必要で、そのバックアップをしてくれる人たちのバックアップもあればよりよいまちづくりにつながるのではないかという御提言が出されました。こちらにつきましては、市町村と支援団体等を調整するコーディネーターの配置に要する経費につきまして平成29年度当初予算案に盛り込んだところでございます。
そのほか、提言に沿った取り組みが行われているものといたしましては、被災地における外部人材の確保として、応急仮設住宅や空き家を有効活用してはどうかという御提言があり、こちらについては市町村と連携をして取り組みを進めてまいります。
また、東日本大震災津波以降、NPOの活動資金が復興関係の助成金であり、今後の活動のためにはビジネスとしての仕組みづくりが課題という御意見が出されました。県におきましては、さんりくチャレンジ推進事業やいわて起業家育成資金等で支援していくという事例となっております。
〇斉藤信委員 最後です。
毎回お聞きしておりますけれども、知事と首長との懇談、これまた知事の仕事としては大変大事なことだと。議会の場ではそれぞれの県政要望への対応も議論になりましたが、私、やっぱりじっくり、第一線で頑張っている首長の方々との懇談というのは大変大事だ、時間もとっていただきたいと提起してきましたが、今年度の沿岸首長との懇談の実施状況、特徴、改善点を示していただきたい。
〇八重樫秘書課総括課長 市町村長と知事との懇談についてでございますけれども、まず、今年度の実績でございます。
秘書課として把握している分で、今年度これまでに19回、延べ27市町村長と懇談を行っておりまして、時間的なものでいえば、まとまった30分以上の懇談は12回実施しております。そのうち、沿岸の被災市町村長とは今年度15回、延べ16市町村長と懇談をしておりまして、30分以上であれば9回実施しております。それぞれ、昨年度の同時期と比べて市町村長との懇談の数はふえております。
改善ということでは、延べ回数はふえているのですが、時間的なものについては、まだまだまとまった時間を確保していかなければならないと考えております。
〇斉藤信委員 これで終わりますが、私も今度の2月定例会に向けて、県議団としても岩泉町長とはこの間3回お会いしました。大槌町長、釜石市長、陸前高田市長、ほとんど約1時間です。そのぐらい聞かないと、やっぱり首長の言いたいことは聞き取れないというのが私の実感です。県議会議員でもこういう懇談をして県議会に臨んでいるわけだから、やっぱり知事とすれば、30分以上の回数はふえたということだけれども、さらに市町村長との懇談が充実されるように。第一線の首長の仕事ぶり、その他の職員と違って首長というのは政治家ですから、ある意味、職員では言えない率直な問題提起をされるのです。だから、そういう意味では、そこに敬意を払いながら、本当にしっかり聞いて県政に生かしていただきたい。
最後に室長にお聞きしましょう。今後さらにこれを充実させてほしいと思うけれども、いかがですか。
〇保秘書広報室長 今、御提言がありましたけれども、私どもとしましても、市町村長の皆様から知事にお会いしたいというお話があれば、最優先で日程調整をするように日ごろから努めております。知事が出かける機会をどれだけ確保できるかという問題もございますが、私どもとしては、知事が県内に出かける機会があれば、できるだけ市町村長とお会いする機会を設けるように、これまでもいろいろ努力はしておりますけれども、相手先の都合が合わなかったり、いろいろなことで実現できないケースもございます。
お話のありましたことはよくわかっておりまして、知事からも市町村との連携は非常に大事ということで御答弁しておりますので、私どもとすればそういったことを踏まえて努力していきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 岩手県庁の外国人職員から成る国際アイデアの会の取り組みについてお伺いいたします。
会の構成メンバー、これは県庁内全ての外国人職員なのかどうかも含めて、活動内容はどうなっているのか、そして、その活動は県の施策にどのように反映されているのかお伺いいたします。
〇上和野広聴広報課総括課長 国際アイデアの会についてでありますが、広聴広報課の海外情報発信専門員、若者女性協働推進室の国際交流員3名、産業経済交流課の研修生、学校教育室の外国語指導助手6人の外国出身メンバーが平成27年9月に立ち上げた自発的なグループとなっております。県庁内の外国人職員は全て入っている形です。
会の活動につきましては、国際交流等に携わるお互いの業務内容や、仕事を進める上での悩みなどを話し合いながらコミュニケーションを図るためのミーティングを中心としております。こうしたコミュニケーションの中から、本県の国際化に資するアイデアを出したり活動も行っていこうとしておりまして、路線バス会社の路線図を多言語化してその活用を働きかけたほか、メンバーが県内各地に出向き撮影いたしました動画を英語版フェイスブックで発信するなど、業務に活用している部分もございます。
〇吉田敬子委員 昨日、総括質疑で外国人観光客の誘客の拡大について質疑した際、私もその質疑のためにたまたまみちのく潮風トレイルのPR動画を作成されていたのを知って、外国人職員の皆さんが自主的ではありますけれども活動されていることを知りました。せっかくこのように活動されているので、来年度、県も国際室を設けるわけですし、もっと彼らだけでなく、県として職員の取り組みをぜひバックアップしていただきたいと私は感じておりました。
さまざまな動画をつくられているようですけれども、一つはJETプログラムの30周年記念のときにつくったということですけれども、そういったものは、ほかの外国人が見るような例えばTumblrとかに対しても投稿されているのかお伺いいたします。
〇上和野広聴広報課総括課長 申しわけございませんが、その点については把握しておりません。
〇吉田敬子委員 確かに自主的な活動ではあるのですけれども、私としては、昨日の企画理事の把握されていないという御答弁はちょっと残念な気持ちでありました。
最後に室長にお伺いしたいのですが、来年度から国際戦略ビジョンを通じて、国際室も立ち上げるということで、多分各部局長の方々が一緒になって一丸になってさまざまな話し合い等に参加されたと思うのですけれども、その際には、室長からこういった外国人職員の方が活動されていることについてお話をされなかったのかどうかお伺いいたします。
やはり日本人の私たちが思うよいものと外国人の皆さんが思う日本のよいものとは違うところもありまして、私たちにとっては当たり前の埋没してしまうような地域の資源というのを外国人の目から岩手のPRを発信していただいていると思っています。たくさんつくられている動画も見て、日本人の感覚とはまた違う感覚でつくられている。せっかくそのような活動があるので、私としては、もっと国際室または国際戦略ビジョンに対して、室長としても、こういった活動、取り組みがありますとPRしていただきたかったのですが、その所見と、今後の活動に対して県としてどう取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇保秘書広報室長 昨日は大変失礼しました。言いわけ的になりますけれども、国際戦略ビジョンの策定には直接メンバーにはなっておりませんでしたので、その過程でどういった議論がされたかについては承知しておりません。
今さまざまお話をいただきまして、確かに、私たちでは気がつかない、今、現に岩手にお住まいになっている外国の方が岩手のいいところはこんなにあるということで、その目線で海外に向けてPRするのは非常にいいことだと思ってございます。
この国際アイデアの会のグループの活動につきましては、現在のところは自発的、自主的グループということで、その方々の今後どのような活動をしたいかといった意向を踏まえて、基本的には見守りながら必要な助言を行うということではございますけれども、新年度から国際室が設置されまして、こういった国際的な海外に向けたさまざまな情報発信もその業務の一つでございますので、そういうところでしっかり生かしていくように、私からも申し送りしながら見ていきたいと思っております。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで秘書広報室関係の質疑を終わります。
秘書広報室の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇大平政策地域部長 平成29年度の政策地域部関係の歳出予算等について御説明申し上げます。
なお、組織改編により、来年度、当部から文化スポーツ部に移管予定の事業につきましては当部において説明し、環境生活部及び商工労働観光部から当部に移管予定の国際関係事業につきましては、現在、所管しております部局より御説明いたしますので、あらかじめ御了承願います。
最初に、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、平成29年度は、現在、策定を進めております第3期復興実施計画に基づき、復興事業の総仕上げを視野に、復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら復興を推進するとともに、いわて県民計画第3期アクションプラン、岩手県ふるさと振興総合戦略の着実な推進に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
このような考え方のもと、特に重点的な事項を申し上げますと、初めに、復興計画関係でありますが、被災地域を運行するバス路線の維持を図るための支援や、JR山田線の経営移管を支援するため、国や沿線市町と調整を進め、まちづくりと一体となった交通ネットワークの構築に努めてまいります。
また、県内外団体による復興支援活動を促進するためのネットワーク強化や、被災市町村の復興人材の確保に向けた支援に取り組んでまいります。
次に、三陸創造プロジェクトでありますが、三陸ジオパークの世界ジオパーク認定を視野に入れた推進活動、ILCの実現に向けた取り組みのほか、海洋再生可能エネルギー研究拠点の形成等に取り組んでまいります。
次に、いわて県民計画関係でありますが、現在、策定を進めておりますいわて国際戦略ビジョンに基づき、海外市場への展開や外国人観光客の誘客拡大を推進するほか、広域振興局体制のもと、市町村や県民と連携し、各圏域の目指す将来像の実現に向けて取り組んでまいります。特に県北・沿岸圏域につきましては、県政の重要課題として、引き続きその振興に取り組んでまいります。
また、本県で初となる全国知事会議を開催し、これまでの復興支援への感謝を伝えるとともに、世界遺産を初めとする本県の魅力を全国に発信するほか、次代の産業創出につながる研究開発支援や産学官金の連携による地域資源を活用した新たな価値創造等、科学技術による岩手発のイノベーションの創出に取り組んでまいります。
また、定住・交流人口の拡大に向けた移住相談窓口の充実、県内大学と連携した共同研究等に取り組んでまいります。
公共交通、情報基盤分野においては、市町村等と協力し、持続可能な交通体系の構築と公共交通の利用促進を図っていくとともに、ICT利活用の促進や携帯電話利用可能地域の拡大等に取り組んでまいります。
次に、文化スポーツ部へ移管する事業でありますが、世界遺産である平泉の文化遺産、橋野鉄鉱山等の理念、価値の普及に取り組むほか、ラグビーワールドカップ2019釜石開催の成功に向けた推進体制の強化や、スポーツを通じた地域活性化の推進に取り組んでまいります。
それでは、歳出予算について御説明申し上げます。
お手元の議案その1の6ページをお開き願います。政策地域部関係の予算は、2款総務費のうち、1項総務管理費の一部14億9、100万円余、2項企画費の一部5億3、500万円余、4項地域振興費の56億9、200万円余、5項選挙費の5、800万円余、7項統計調査費の3億6、800万円余、総額81億4、600万円余であります。これを平成28年度予算と比較いたしますと、4億6、300万円余、約5.4%の減となっておりますが、その主なものは、選挙費のうち、参議院議員選挙費8億700万円余の皆減によるものであります。
なお、4項地域振興費のうち1億7、100万円余につきましては、国際室の新設に伴い、環境生活部及び商工労働観光部から当部へ移管される予算となっております。
また、このほか2款総務費8項文化スポーツ費の一部4億9、000万円余につきましては、文化スポーツ部の設置に伴い、当部から移管する予算となっております。
それでは、予算の内容につきまして、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、重点事項等主な事業の内容について御説明し、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきます。
予算に関する説明書の86ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費14億9、100万円余は、財務会計や税業務など庁内行政情報システムの管理に要する経費であります。
88ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費の当部所管3億1、700万円余のうち、主なものについて御説明いたします。右側の説明欄をごらんください。
まず、2行目、いわて三陸復興のかけ橋推進事業費は、県内外からの復興支援活動を促進するため、首都圏を中心とした企業等との協働による被災地支援のマッチングや、ポータルサイト等を活用したネットワーク強化等を行うものであります。一つ飛びまして、全国知事会議開催費は、平成29年7月に全国知事会議を本県で開催するとともに、東日本大震災津波からの復興の歩みや、本県の食、文化等の魅力の発信を行うものであります。次の高等教育機関連携推進費は、県と県内大学の連携により、市町村の地方創生総合戦略の推進支援、地元中小企業との共同研究や、地域での起業を目指す人材の育成を行うものであります。89ページをごらん願います。2目計画調査費の当部所管2、800万円余のうち、2行目、戦略的政策形成調査費は、次期総合計画への反映に向けて検討を進めている岩手の幸福に関する指標に係る調査や、新たな県政課題等に対応した調査検討等を行うものであります。90ページをお開き願います。4目科学技術振興費1億8、900万円余のうち、主なものでありますが、まず、上から4行目の科学技術イノベーション創出促進事業費は、産学官金の連携により、地域資源を活用した新たな価値の創造を通じ、地域企業のイノベーション創出を支援するものであります。少し飛びまして、下から3行目の三陸海洋エネルギー研究開発促進事業費は、海洋エネルギー関連産業の創出に向け、県内企業が取り組む研究開発や技術習得に対する支援を行うものであります。次の洋上ウィンドファーム事業化促進事業費は、洋野町沖合海域の洋上風力発電事業化に向け、地域の機運醸成や情報発信等を行うものであります。次のプロジェクト研究調査事業費は、ILCの実現に向け、国内外への情報発信や関連産業への参入促進支援、立地環境等に関する調査研究を行うものであります。
93ページをお開き願います。2款総務費4項地域振興費1目地域振興総務費35億4、000万円余のうち、主なものについて御説明いたします。上から4行目、地域経営推進費は、広域振興局体制のもと、各圏域の目指す将来像の実現に向けた取り組みや市町村間連携の推進に資する取り組みに対する支援等を行うものであります。一つ飛びまして、携帯電話等エリア整備事業費補助は、携帯電話の利用可能地域の拡大を図るため、市町村が行う整備事業に要する経費を補助するものであります。次の県北・沿岸振興費は、地域資源の活用による交流人口の拡大等、県北・沿岸圏域の振興に向けた戦略的な対策を講じようとするものであります。次の県北地域重点活性化事業費は、アパレル等の地域資源を活用した産業の振興と雇用機会の創出に向けた取り組みを行うものであります。次の三陸総合振興推進費は、三陸地域の交流人口の拡大、地域資源の付加価値向上等による地域振興を図るため、推進体制や、仮称ではありますが、三陸復興防災博の企画、検討等を行うものであります。次の三陸ジオパーク活用強化事業費は、ジオパークを活用した地域振興や交流人口の拡大を図るため、国内外への情報発信の強化や、来訪者の受け入れ態勢の整備を行おうとするものであります。次のいわてへの定住・交流促進事業費は、被災地の復興や過疎地の活性化を担ういわて復興応援隊の受け入れ等を行うものであります。一つ飛びまして、ふるさとづくり推進事業費は、定住、交流人口の拡大を促進するため、全県的な移住推進体制や相談窓口体制の充実、市町村等が行う移住推進の取り組みに対する支援を行うものであります。一つ飛びまして、北いわて若者・女性活躍支援事業費は、県北広域振興局が企画立案した広域振興事業でありますが、県北地域における若者の地元就職、定着促進に向けた取り組みや、若者、女性に魅力ある地域づくりを支援するものであります。94ページをお開き願います。2目市町村振興費13億8、900万円余のうち、主なものでありますが、まず一番上、市町村行財政事務調査費は、被災市町村における復興人材の確保や、派遣職員のメンタルヘルスケア対策等を行うものであります。一番下、市町村振興宝くじ交付金は、市町村への貸し付けの原資や交付資金として活用するため、公益財団法人岩手県市町村振興協会に対して、市町村振興宝くじの発売収益金を交付するものであります。次の3目交通対策費5億8、900万円余のうち、主なものは、まず、上から3行目、三陸鉄道運営支援事業費のうち、三陸鉄道運営費補助は、三陸鉄道の持続的運営に必要な設備維持経費に対し、県と市町村が連携し補助するものであります。次の三陸鉄道安全輸送設備等整備事業費補助は、三陸鉄道の安全性向上に資する設備投資経費に対し、県と市町村が連携し補助するものであります。次の並行在来線対策事業費のうち、いわて銀河鉄道経営安定化基金積立金は、県と沿線市町が連携し、車両更新に要する経費等について、いわて銀河鉄道経営安定化基金に積み立てるものであります。次のバス運行対策費は、国庫補助制度に基づき、バス事業者に対して、運行欠損額及び車両購入費を補助するものであります。一つ飛びまして、地域公共交通活性化推進事業費補助は、市町村の公共交通ネットワークの再編や、既存路線の利用促進等に要する経費を補助するものであります。95ページをごらん願います。4目国際交流推進費1億7、200万円余でありますが、一番上、管理運営費の一部を除き、国際室設置に伴い、環境生活部及び商工労働観光部から移管される事業であります。事業内容につきましては、冒頭、御説明申し上げましたとおり、現在所管しております部局より行いますので、説明を省略させていただきます。
96ページをお開き願います。2款総務費5項選挙費でありますが、1目は、選挙管理委員会費として5、500万円余、2目は、選挙啓発費として280万円余をそれぞれ計上しております。
100ページをお開き願います。2款総務費7項統計調査費1目統計調査総務費2億3、600万円余は、統計調査業務に係る人件費及び一般管理事務費であります。2目地方統計調査費550万円余は、県単独で実施する統計調査に要する経費であります。101ページに参りまして、3目委託統計調査費1億2、600万円余は、国の委託により実施する統計調査に要する経費であります。
次に、文化スポーツ部へ移管する事業について御説明いたします。103ページをお開き願います。8項文化スポーツ費2目文化振興費のうち、下から3行目、世界遺産の理念・価値普及事業費は、世界遺産である平泉の文化遺産、橋野鉄鉱山及び新規登録を目指す御所野遺跡の理念や価値等の理解を促進するため、一体的な情報基盤の整備を行おうとするものであります。次に、3目スポーツ振興費でありますが、上から3行目、スポーツ振興戦略推進費は、スポーツの振興を通じた地域の活性化のため、スポーツに親しむ機会の創出や、スポーツ合宿の誘致等による交流人口の拡大等に取り組むとともに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた機運醸成を図ろうとするものであります。104ページをお開き願います。一番下、ラグビーワールドカップ2019開催準備費は、ラグビーワールドカップ2019釜石開催の成功に向けて、共同開催の釜石市と連携し、地元推進体制の強化を図り、開催機運の醸成や必要な準備を行おうとするものであります。
続きまして、予算に関連する議案につきまして御説明申し上げます。
議案その2、15ページをお開き願います。議案第27号自治振興基金条例の一部を改正する条例でありますが、これは、激甚災害復旧事業に係る貸付金額の限度額及び貸付利率の特例を設け、自治振興基金の額を減額する等所要の改正をしようとするものであります。
続きまして、20ページ、21ページであります。議案第30号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、政策地域部関係の改正について御説明申し上げます。
右側、改正後の欄の2から4まででありますが、これは、組織改編に伴い、平成29年度環境生活部から当部に事務が移管されることにより、政策地域事務関係手数料にするものでございます。施行期日は、平成29年4月1日からとしようとするものであります。
以上で、政策地域部関係の歳出予算等についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木順一委員 それでは、本年7月開催予定の全国知事会議についてお尋ねしてまいりたいと思います。
まず、開催の意義、日程及び内容、開催県の役割、それから、開催によって期待される効果についてお伺いいたします。
〇葛尾調整監 全国知事会議の開催の意義についてでございますが、地方創生などの都道府県が直面する喫緊の課題に係る議論や、国に対する提言、要望などを通じ、地方自治の円滑な運営を図ることに意義があると考えております。
日程は、ことし7月26日水曜日から28日金曜日までの3日間になっております。
また、会議の議題は今後知事会において決定されますが、防災、減災対策、東日本大震災津波からの復興、地方創生など地方が抱える喫緊の課題について議論が交わされるものと考えております。
開催県の役割についてでありますけれども、会議自体の運営は全国知事会が担うものでありまして、開催地の都道府県には、全国知事会の設置目的の一つであります各都道府県の連携を推進することが期待されております。
そのため、本県としては、会議の開催に付随して例年開催されております各知事が一堂に会する意見交換会の開催に加え、本県独自の開催として、震災復興などの取り組みの紹介、平泉の文化遺産のPRなどの実施を検討しております。
期待される効果についてでございますけれども、地方が抱えるさまざまな課題や国の施策への対応について、全国の知事の合意形成が図られることが期待されておりますほか、本県としては、震災の教訓や復興の現状を発信することにより、復興に向けた継続支援への理解につながることを期待しております。
〇佐々木順一委員 今、設置目的ということがありましたが、地方自治法上、全国知事会議はどういう位置づけになっているのでしょうか。それから、知事会議の北海道・東北ブロック会議がありますが、これもあわせて位置づけをお伺いします。
加えて、全国知事会議として意見書を出すわけでありますが、この意見書の取り扱いについてはどういう位置づけになっているか、あわせてお伺いします。
〇葛尾調整監 まず、全国知事会は、地方自治法に規定されております全国的連合組織に位置づけられており、全国知事会の規約において、各都道府県間の連絡提携を緊密にして、地方自治の円滑な運営と進展を図ることを目的とする団体とされております。
なお、先ほど答弁した7月の全国知事会議については、会の規約に基づいて開催されるものでございます。
また、北海道東北地方知事会は、新潟県を含みます北海道、東北地域の知事により構成されておりまして、法的に位置づけられてはおりませんが、会の規約において、各道県の連絡提携を緊密にして、本地方の振興と地方自治の円滑な運営と進展を図ることを目的とする団体とされております。
続いて、全国知事会等で出します提言、要望等についてですけれども、全国知事会議での議論を経て、提言、要望等として合意が得られたものにつきましては、法的な位置づけはないものの、国に提出をしています。
毎年11月ごろに政府主催の全国都道府県知事会議がございまして、その場において、全国知事会会長が直接、総理大臣や関係閣僚に対して要望しております。その際、総理大臣などから対応方針について回答がなされるなど、要望については十分尊重されているものと考えております。
〇佐々木順一委員 意見書について、例えば全国的連合組織から意見の申し出を受けた政府は、遅滞なく回答するよう努めるものとするとか、あるいは、地方公共団体に新たな事務や負担を義務づける内容に対するものである場合は、政府は遅滞なく回答する、こういう規定はないわけですか。それを聞いたわけです。
〇葛尾調整監 地方自治法に規定されております全国的連合組織が国に提出する意見書につきましては、国が自治体に対して、新たな事務または負担を義務づける施策の立案をしようとする場合に、全国知事会などの全国的な連合組織が、内閣に対して意見を申し出ることができるとされております。
一般的には、国が法律案を国会に提出する前に、全国知事会などに意見照会がなされ、これに対して意見を提出するというもので、国は、意見に対して遅滞なく回答するものとされております。
ただ、通常の全国知事会議で議論されているのは、国に対する提言、要望といったたぐいのものでございまして、この意見書とはちょっと趣旨が異なる内容となっております。
〇佐々木順一委員 意見書については、それなりの位置づけがあるということですね。わかりました。
では、直近において、全国知事会として要望、提言をして、これまで実現されたもの、岩手県にとってメリットのあったものがもしあれば、御紹介いただければと思います。
〇葛尾調整監 直近のものですと、昨年12月に、国民健康保険制度改革における平成29年度の財政支援の拡充について、国が財政支援予定額を減額する方針を示したことに対しまして、全国知事会などが財政支援の確実な実行を要望し、国が減額分の穴埋めをする方針を示したこと、平成28年5月に成立した第6次地方分権一括法において、地方版ハローワークが創設されたこと、平成27年6月に成立した第5次地方分権一括法においては、農地転用許可について、国から都道府県等への権限移譲が実現したことなどが挙げられると思います。
〇佐々木順一委員 余りいいものではないですよね。国民健康保険の制度改革にしろ、努めて積極的に都道府県が求めたものではないわけでありますから、ある意味では、国から押しつけられて、財源が不安定だから、それを安定的にしてもらうために全国知事会で要望したと。ここは実現されたところだと思っております。
それから、ハローワークにしたって、権限が全然おりてこないので、これだって地方とすれば、もろ手を挙げて歓迎できないところもあると思いますが、それはそれなりに私の所感として申し上げたいと思います。
それで、たしか知事は、強い地方経済に支えられた強い日本経済の実現ということを知事演述で県民の皆さんに申し上げたところでありますが、この強い地方経済というのは、具体的にどういうことを想定しているのか。あるいは政府もしくは国あるいは県が、強い地方経済をつくるためにどういうことをするのか、考え方でいいわけでありますので、御答弁をお願いしたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 演述の中にもございました地方創生、ふるさと振興に当たりまして、地方を中心とする力強い経済財政政策を打っていくことが必要ということでございます。
これにつきましては、これまでもさまざま答弁させていただいておりますけれども、特に東京一極集中の問題が大きくございます。これを解決するためには、地方が人口減少対策に取り組むのはもちろんのことながら、やはり政府において、東京一極集中という大きな問題について主体的に取り組んでいただくこと。これなくしては、地方の人口減少対策を実現することは困難であるという考えから、こうした点につきまして申し上げたところでございます。これにつきましては、県の6月の要望、あるいは知事会等でも、一昨年でございますか、知事から、そういった東京一極集中、あるいはその原因が、国と全国と県の有効求人倍率の格差にあるといったことも示しながら提言しているところでございます。
〇佐々木順一委員 古くて新しい課題という一言に尽きると思いますが、その課題解決なくして強い地方経済の実現は困難だということだろうと思っております。
それでは、議案の関係について、手続について聞きますが、全国知事会議において審議される議案は、どういう手続にのっとって成案になるのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
〇葛尾調整監 全国知事会議の議案につきましては、特定の分野や課題ごとに設置されております委員会、プロジェクトチーム、本部等における議論、決定を経まして、全国知事会長が事前に承認したものを、会議前日に開催される理事会で最終決定するという流れになっております。
〇佐々木順一委員 具体的には、先ほど、まち・ひと・しごと創生関係とか、ふるさと振興、東京一極集中是正、地方重視の経済財政対策ということが一つのテーマになろうかと思いますが、それは、まず全国知事会の委員会とか理事会で検討されて成案になるものと思いますが、参考までに聞きますが、開催県が議案を提出することが可能なのかどうか、また、過去に同様の事例があったのかどうかお伺いいたします。
〇葛尾調整監 地方共通の課題につきましては、全国知事会に対して議題として検討するよう提案することは可能と考えておりますが、全国の知事会の各委員会における協議との整合性や全国知事の意向を考慮するとともに、主催者である全国知事会とも十分協議した上で手続を進める必要がありまして、これまで、開催県として議題を提出した事例はないと存じております。
〇佐々木順一委員 事例がないことはわかりましたが、それでは、可能かどうか。あくまでも可能性です。
〇葛尾調整監 可能性はあると考えております。
〇佐々木順一委員 ありがとうございました。
それでは、次に、ILCについてお尋ねいたします。
政府決定がことしもしくは来年が正念場と強調されておりますが、その理由について、県ではどのように把握されているのかお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 まず、ILCの政府決定についてでございますが、平成27年6月に発表されました国の有識者会議の中間取りまとめにおきまして、ILCの性能や得られる成果などについて、CERNの実験結果をもとに、平成29年末までに見きわめることが必要と提言されていることが大きな根拠となっております。
今月9日には、当該会議の4件目の作業部会となります体制及びマネジメントの在り方検証作業部会の会合を開く予定としていること、加えて、最近の動向として、世界の研究者においては、コストダウンに効果のある手法とされておりますステージングについて検討が始められていることや、超党派の国会議員連盟による国際協調の働きかけなど、着実に議論が進められていると認識しております。
こうした関係者の動きを踏まえまして、ILC実現に向け、平成30年ごろまでが極めて重要な時期と考えているところでございます。
〇佐々木順一委員 それでは、平成29年度、岩手県の国際リニアコライダー推進協議会もしくは東北ILC推進協議会等、ここが活動の母体になるわけでありますので、これらの組織とともにどういった活動を行っていくのか、それをお聞きしたいと思います。
〇熊谷ILC推進課長 平成29年度の活動でございますが、本県では、これまでも、政府に対しまして、関係団体等と連携して早期実現などの要望を行ってきたところでございます。
平成29年度におきましては、東北の復興や我が国の成長に寄与するプロジェクトの裏づけともなる経済波及効果の試算、本県での受け入れ環境の取り組み状況、さらには、東北ILC準備室の進める広域での計画や受け入れ準備状況など、できるだけ具体な提案も含めながら、関係団体等と要望を行い、政府の決断を促していきたいと考えております。
〇佐々木順一委員 それでは、部長に聞きます。先ほど、前段で、全国知事会議のことを聞きました。通常は、常任委員会とか理事会で議案が協議されて、それで成案になって、全国47都道府県知事の合意のもとに提案される、こういうことが通常の議案の提出の進め方だということでありましたが、一方において、単独で出すことも、これは可能であるということでありました。
初めて岩手県で全国知事会議が開かれるわけでありますので、ILCこそ、ある意味では日本全国共通のテーマであって、あるいは日本が世界に貢献する大きな事業でもあります。通常の方法で審議することも大事だと思いますが、これだけの大規模な世界的なテーマについて、やはり全国知事会議にお諮りして、そこで議論を深めて、そして、47都道府県知事の合意を得て、それで政府に提出するということは、これは当然、事務的にも考えるべきことではないかと思いますが、この件について部長の御見解をお聞きいたします。
〇大平政策地域部長 私も全国知事会にはここ2年は出ております。その中で協議する議題の検討過程では、知事に上げる前に事務的にもさまざまな検討をしております。テーマとすれば、先ほど調整監から説明いたしましたように、常任委員会とかプロジェクトチーム、特別委員会、そちらのほうのさまざまな手続がございますので、果たしてそれになじむかという問題があります。
ただ、我々も事務的に、昨年の福岡県で開催された全国知事会以降、次の知事会は岩手県と決まりましてから、何とかやりたいとは思っておりますが、ハードルは決して低くはないと思っております。ただ、例えば地域経済の好循環とか、あるいは科学技術振興とかというテーマも検討の中にございますので、何とかその中に固有名詞を入れられないかとか、それは検討していきたいと思っております。
もう一つは、47都道府県の知事が全員賛成してくれるかという課題もございます。まだいろいろ決着していない部分もありますので、ここはもう一つの大きな課題となっておると思います。
委員御指摘のように、仮にこれが盛り込まれれば、政府に対して大きな後押しになると思いますので、我々とすれば、実現するかどうかは、先ほどから申し上げているように課題は大きいのでありますが、何とか努力したいと考えております。
〇佐々木順一委員 恐らく北海道・東北ブロックでは、この件は政府に要望しておりますから、ここまでは問題ないと思いますが、九州にしても、まだ旗はおろしていない、ファイティングポーズをとったままなのかもしれませんが、そういうことも今の答弁の背景にあるのかなと推しはかったところであります。
もちろん科学技術的な、しかもアカデミックな、それから学術的な、科学的なテーマでありますので、こういうテーマについては、できるだけ、いや、できるだけというよりも、ポリティカルな決着は排除して、極力そういった学術的な面で決着をし、しかも、全国の47都道府県知事が円満に全会一致になるようなことを求めるのが、このILCに課せられた宿命ではないかと思っております。多分そういったことをそんたくして今の発言になったものと思っております。多分、排除しない、それから、適時適切に対応するということでよろしいかと思いますが、よろしいですか。-はい、ありがとうございました。
それでは、まず、7月に向けて、できるだけ事務方でも、いろいろな障害を乗り越えて、できれば全会一致でまとまるような御努力をさらに求めて、次の質問に入りたいと思っております。
世界遺産事業推進本部についてお伺いいたします。
来年度からスポーツ文化部に移管されると思いますが、平成29年度はどういう事業を展開されるのかお伺いいたします。
〇葛尾調整監 岩手県世界遺産事業推進本部の平成29年度事業についてでありますけれども、この本部は、世界遺産であります平泉の文化遺産とか橋野鉄鉱山に係る県の事業について一元的に取りまとめ、効果的な事業となるよう調整を行っているものでございます。
現在、御審議いただいております平成29年度の当初予算案におきましては、世界遺産関連事業としまして、例えば、本県の二つの世界遺産と御所野遺跡の一体的な価値普及を図るための情報発信基盤の整備とか、北海道新幹線、フェリー等の新交通体系整備を契機とした北海道、仙台圏に向けました情報発信ですとか、ラグビーワールドカップ2019釜石開催等を契機とした訪日外国人の受け入れ態勢の充実、強化などに取り組むこととしております。
〇佐々木順一委員 去年も予算特別委員会で聞きましたが、無形文化遺産について、どういう取り扱いになるのか。いつでしたか、2013年ですか、岩手県のオリジナルではないわけでありますが、和食もユネスコの無形文化遺産になったわけであります。去年は12月に、ドイツが提案して、協同組合がやはりユネスコの無形文化遺産になったわけであります。これも世界遺産になるわけでありますので、岩手オリジナルではないわけでありますが、やはりそれなりに大事にしていかなければならないと。現に存在しているわけでありますので。
この点について、どういったお考えがあるのかお伺いいたします。
〇葛尾調整監 和食、協同組合などの取り扱いについてでございますけれども、先ほど言いました岩手県世界遺産事業推進本部は、本県の世界遺産であります平泉の文化遺産及び橋野鉄鉱山の普遍的価値の情報発信を強化することを主たる目的としております。
こうしたことから、和食、協同組合などにつきましては、ユネスコの別事業であります無形文化遺産であり、かつ、海外を含む広い地域を対象としたものでございまして、本推進本部においては所掌事務としないこととしております。
〇佐々木順一委員 余り言いたくないのですが、早池峰神楽はどうなりますか。
〇葛尾調整監 早池峰神楽につきましては、ユネスコの無形文化遺産であるものの、本県固有のものと考えておりまして、世界遺産同様、岩手の多様な文化を表現し、将来の世代に引き継ぐべき非常に価値のある本県の文化遺産と認識しております。
このため、昨年度から県が主催しております第3回世界遺産サミットですとか縄文の世界遺産フォーラム等において演舞を披露するなど、全国に向け情報発信をしているところでございます。
さらに、今月下旬に開催予定の世界遺産事業推進本部会議においては、ユネスコ無形文化遺産を設置要綱に加えることについて議題とすることとしておりまして、早池峰神楽に係る取り組みにつきましても、全庁で共有するとともに、情報発信についても強化していきたいと考えております。
〇佐々木順一委員 では、最後にしますが、ややもすると、世界文化遺産事業面、活用面といいますか、そういったほうが強調されて、どうしても地域活性化にすぐ活用しやすいわけでありますので、そちらの方向に考え方が傾きつつあるような気がいたします。最も大事なのは、やはり保存とか保全とか、未来に間違いなくこの遺産を引き継いでいくというところについても、その事業の活用とあわせて、やはり強調していかなければならないと思いますが、この件については、直接地域政策部ではないわけでありますけれども、この点についても何らかの形で情報発信といいますかアナウンスしていく必要があろうかと思いますが、この点について県の考えを聞いて、終わります。
〇葛尾調整監 来年度、文化スポーツ部が新しくできるわけでございますけれども、新しくできることに伴いまして、現在、世界遺産については知事部局で担当しており、無形文化遺産については教育委員会で担当しているという、この分かれた状況が、来年度は一体的に事務を進めることが可能になってきますので、一体的な情報発信とか、それを使った地域の振興あるいは観光振興にも取り組むことが可能と考えておりまして、その方向で進めるものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 県出資等法人指導監督費及び並行在来線対策事業費にかかわって何点かお尋ねしたいと思います。
IGRいわて銀河鉄道株式会社ですけれども、これは、並行在来線沿線地域における住民の生活路線の確保を図り、地域住民の利便性の向上及び福祉の増進を図るために設立したという趣旨がございますが、この趣旨をさらに継続していくためにも質問したいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
通告しておりますが、初めに、平成29年度当初予算案において、IGRへの補助金、委託料等の県が補助するというのか、予算として取り上げているものの総額と内容を示していただきたいと思います。
〇大坊交通課長 平成29年度当初予算案におきましては、IGRへの補助金の総額につきましては1、873万6、000円でございまして、内容は、いわて銀河鉄道経営安定化対策費におけます災害復旧費の補助となります。これは、災害が発生した場合に執行する予定の予算となっております。
〇嵯峨壱朗委員 委託料はないですか。委託料というのはないのかどうか。それも通告したと思いますけれども。
〇大坊交通課長 委託料につきましては、交通対策費の中では計上してございません。
〇嵯峨壱朗委員 私が聞いたのは、今年度、そういった委託料も含めてIGRに対して県としてどれぐらい、-それも通告しているはずですよ-どうなのかと聞いているのです。交通対策費の話を聞いているわけではなくて。
〇大坊交通課長 委託料は、全庁でIGRにいかほど行っているかといった部分については、今、手元に資料はございませんが、昨年度におきましては、車内広告ということで23万円ほどが計上されているという状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 私がきのう通告した要旨を読み上げましょうか。平成29年度予算について(IGRへの補助金、委託料等の総額と内容について)示せと。そうじゃないですか。どう見てもそうじゃない。通告の要旨は、手元にないですか。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 県からIGRへの委託料については、新年度予算では計上されておりません。ただ、関連する予算といたしましては、いわて銀河鉄道経営安定化基金積立金ということで、将来におけるIGRの車両の更新のための積み立てということで1億円を計上しています。これは、IGRへの補助金、委託料ではなくて、あくまで積立金に対する支出予算ということで計上しているものでございます。
ちなみに、これにつきましては、県と沿線市町で出資割合に応じて負担しておりまして、62.5%と37.5%ですので、県では、沿線市町から3、750万円を諸収入として受けて、1億円を積み立てている予算はございます。
〇嵯峨壱朗委員 この間の水害でしたか、あのときに、被災した北上川にかかるいわて沼宮内付近の橋梁工事を進めているはずですけれども、それはIGRに託してやっているのではないですか。平成25年度から29年度までの事業期間となっているけれども、それは出ているわけではないのですか。
〇大坊交通課長 ただいまお尋ねの件につきましては、沼宮内-御堂間の第6北上川橋梁の工事だと推察いたしますが、そちらにつきましては、県土整備部で線路近接工事ということで負担金工事の中で施行しておりまして、複数年の計画になっております。来年度いかほどの負担金で施行されるかといった部分につきましては、当部としては承知しておりません。
〇嵯峨壱朗委員 私があえてきちんと委託料と聞いているわけですから、それは当部としてはと言われればそれまでですけれども、県として考えた場合、IGRに工事を委託しているのですね。県土整備部がやっているかどうかわからないけれども。私はそう捉えるのですよ。違うかな。
〇大坊交通課長 当該第6北上川橋梁の工事につきましては、協定工事でございまして、IGRに委託して、IGRが請け負って工事をしているわけではございません。IGRが協定に基づいて負担金を得て、そのままその負担金で工事を発注するものであります。これは、線路近接工事ということで、IGRは今、営業線を抱えております。そこに係る工事は、営業線の安全を保ちながら施工しなければならないということで、国土交通省の指導等もございましてそういう扱いにしております。したがいまして、請負工事ではなく、委託でもないということになります。
〇嵯峨壱朗委員 それだったらそれでもいいけれども、そういうことを最初から説明してくれればいいのではないですか。なぜ説明しないか私は理解できないけれどもね。明らかに、いわゆるそこを通してるか何だかわからないけれども、少なくともIGRを通っているわけでしょう。IGRに一切かかわっていないわけじゃないでしょう。IGRを通して行っているわけでしょう。違うの。
〇大坊交通課長 IGRに負担金が入りまして、IGRがその負担金で工事を発注をするものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 だったら、そうでしょう。だから、それを聞いているわけですよ。なぜそれを最初に答えないかと。基本的に不誠実だよね。
それで、例えばこのIGRの平成27年度決算のときの資料ですか、これを見ますと、関連当事者との取引に関する注記というところに、多分このことではないかと思って見たのですよ。岩手県が関連、親会社ということなのでしょう。ここに6億7、300万円という、決算の説明としてきちんと決算書に載っていますよね。だから、そういうことについては、きちんと説明しないと、ちょっと不誠実だと私は思って聞いているのですよ。なぜ説明しないのか教えてください。
〇大坊交通課長 本件につきましては、平成27年度の決算資料の中での事業報告書の表記であろうかと思いますが、こちらにつきましては、お話のとおりでございます。
なお、以前、平成27年度決算が発表された際に、資料提供ということでお持ちいたしまして、その中で説明した経緯はございますが、ただいまお尋ねのところで若干不足の点がありましたことは、おわび申し上げたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 わからないことは余り聞いていないと思うので、ぜひ答えてもらえればと思います。
それと、平成28年度の決算がそろそろ出ますが、12月に、これはホームページにも出ているのかな、取締役会で大体の内容を出していますね。これは現在になってどういう見通しで聞いていますか。
〇大坊交通課長 昨年12月にIGRが公表いたしました決算見通しによりますと、営業収入が44億2、800万円余、営業経費が44億1、800万円余、税引き後の当期損益は4、500万円ほどの黒字を予定しております。
〇嵯峨壱朗委員 通告に従って、現在のIGRの社員の数、内訳についてお尋ねしたいと思います。
〇大坊交通課長 IGRの人員についてでございます。
IGRによりますと、平成28年4月1日現在で、総数で281名となっておりまして、その内訳につきましては、プロパーの社員が185名、JR東日本の出向者が29名、臨時、非常勤、アルバイト等が67名となっております。
〇嵯峨壱朗委員 去年12月の決算特別委員会で田村勝則委員が質問したのに対して、平成28年4月1日現在で、社員214名、そのとおり、JR東日本からの出向が29名、なぜこうやって分けるのかよくわからないけれども、そう出ていましたが、50%以上の出資法人には義務として評価シートというものを毎年出しますね。直近のものは平成28年7月1日なのですが、それを見ると、これには常勤職員合計280名と書いてあるのですよね。どっちが正しいのですか。
〇大坊交通課長 今、委員御指摘の評価シートにつきましては、平成28年7月1日現在となっております。先ほど御説明した数につきましては、平成28年4月1日となっておりまして、そこの時点での若干の差が出ているものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、その3カ月間に65人社員がふえたという理解でいいですか。説明としてはそういうことでしょう。
〇大坊交通課長 前回、決算特別委員会でお話ししました214名につきましては、臨時、非常勤、アルバイト等を含んでいない純粋な正社員の数でございました。ただいま御説明いたしましたのは、その正社員に、臨時、非常勤、アルバイト等を加えさせていただきました。
運営評価レポートにつきましても、同じ考え方で計上しているものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 そうだとすれば、この運営評価レポートが手元にあるかどうかですけれども、常勤職員の状況と書いてあり、合計が280名と書いてあるんですね。その前年の運営評価レポートを見ると常勤職員合計215名と書いています。ですから、それ以前の3年、4年間はずっと常勤職員という形で210名前後。今回、平成28年度だけは280名と書いてあるわけですよ。単純にそんなにふえたのか疑問だと思って聞いているのです。
〇大坊交通課長 平成27年度までは正社員の数で、平成28年度からは、臨時、非常勤、アルバイトを入れているということでございまして、こちらにつきましては、会社の実態をより正確にというような意味も含めまして入れさせていただきました。
継続性といった部分で、比較のところで解説がないので若干不親切な部分はございますが、そういう次第でございます。
〇嵯峨壱朗委員 不親切ではなくて、事実が違うということでしょう。実態は280名が常勤職員ではないということでしょう。これに書いてあるのは、常勤職員の状況、合計280名と評価シートには書いてある。この評価シートというのはどれだけ重要かわかっていますか。地方自治法第243条の3の第2項に基づいて、これが出資法人のベースですね。そして、そういったことを受けて、県が県出資法人等指導監督要綱というものをつくって、それに基づいてやっているのでしょう。そして、その中で毎年、しかも54%出資している法人ですよ。50%以上出資している法人は岩手県に22法人あるのですけれども、その中で会社法の適用になっているのはいわて銀河鉄道しかないのですよ。だから聞いているのですよ。
しかも、この評価シートは、そういった前提で、そんなに説明が丁寧ではなかったどうこうではなく、これは報告自体がうそでしょう。だって、そうでしょう。そう見えないですか。常勤職員って見えないの、この評価シート。今の説明だと常勤じゃないわけでしょう。今言ったようにパートとかも含めて280名ということなのでしょう。だとしたら、この評価シート自体が間違った内容ということではないのですか。
〇大坊交通課長 確かに常勤職員ということで言えば、一般的にはフルタイムで働いている職員ですが、この評価シートの中では、非常勤職員も入っているということでございます。この評価シートで常勤職員の定義につきましていろいろな解釈がございまして、我々としては、一旦会社の実像を入れたいということで入れました。
それで、評価シートの記載につきましては、総務部でも取りまとめておりますので、そちらの解釈等も踏まえまして後ほどお答えさせていただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 そういうふうに解釈したとか説明したとかではなくて、評価シートというのは、IGRが担当部局に出していることですよ。ですから、今審査している政策地域部長宛てにまず出してくるわけです。それを部長が総務部長に出して、県としては、県出資法人運営評価レポートという形で一般に公開しているわけです。だから、これはあくまでIGRが出してきた資料で、あなた方がここに関与しているはずはないわけですよ。それがどうなのかと思って。そうではないですか。私はそう理解していますけれども。
〇大坊交通課長 この評価シートにつきましては、一義的に法人が出すという部分でありまして、IGRが記入して出してくる部分もございますが、当然やりとりの中では、記入に関してのいろいろな、ここはどうなんだろうといったような打ち合わせもございますので、そういった中でつくられてくるものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 そうだとすれば、それはおかしくないの。あくまで、だって、議論を聞いていると、まず、IGRは法人ですよ。そして、この評価シートは、あくまで法人が責任を持って、自分のところの経営内容なりさまざまな評価も含めて丁寧に出していますね。そういうものですよ。そこにもし県がかかわっていれば、逆にそれは、むしろまたおかしくなると私は思いますよ。今のはちょっと変だと思うけれども。
〇大坊交通課長 ただいま、いろいろなお話し合いをするというような話もしましたが、これはあくまでも助言といったような範囲でございまして、当然、この評価シートを書くに当たって、こうしろ、ああしろという指導のようなものは行っておりません。
〇嵯峨壱朗委員 言っていることがさっきと違うでしょう。そういった話し合いの中でこういうふうに整理して出したような話をさっきしたのですよ。実際に、それにしても、これってインターネットでホームページで誰でも見られる資料なのですよ。私が特別に見たわけではなくて。ですから、そういった意味で言うと、むしろそういうふうに関与したのであれば、もっと正確に書くべきでしょう。そうではないですか。だって、これが最大の義務ですからね。最大ではないけれども、決算書も出さなくてはならないけれども、最低限のこの出資法人の出資者に対する義務なわけですね。ですから、正確性を期すのが当たり前ではないかと私は思うのですけれどもね。逆に言うと、むしろ関与するのはおかしいでしょう。
〇大坊交通課長 こちらの記載につきまして、過去との職員の取り入れ方が違うということでございまして、そこにつきましては、過去との整合性を欠くということでおわび申し上げたいと思います。
また、関与の度合いにつきましては、繰り返しになりますが、助言といったような範囲でございまして、何か指導しているといったようなことはございません。
〇嵯峨壱朗委員 別に大坊課長に謝れと言っているわけではないのです。これを出したほうが不誠実な出し方をしているということだね。不正確なというか。いわて銀河鉄道のほうでということですね。別に大坊課長がこの280名と書けと言ったわけではないだろうから。そう思っているのですよ。
それで、時間もあれですけれども、ここにかかわって一つ気づいたこと、この評価シートを見ていて、売上高対販売管理費比率というものがあるみたいで、これが平成27年度97.8%になっているんですね。つまり、売り上げに対して経費が相当かかっている。前年は89.8%だから、評価シートによると8%ふえているのですよ。
それで、よく見ると、仮に平成25年度と平成27年度の収益と費用を比較すると、平成25年度は収益が41億円で、営業費用が37億円だった。ちょっと端数は除きますが。それで、平成27年度はどうなっているかというと、売り上げが42億8、900万円、ところが営業費用が41億9、000万円。つまり5億円以上ふえているのですよ。ということは、間違いなくさっきの人件費、それは違うと言っているからそうだけれども、販売管理費が相当ふえている。これって、経営的に言うと、もう深刻だと私は思うのですよ。
大丈夫だ、黒字だとか言っているけれども、営業外収益とかさまざまなもので出ているだろうけれども、これは、いわゆる通常の、しかも、本来であれば三つの収益がありますね。乗せているものと、路線の使用料とかその他の。その部門別の収益とかって管理していないですよね。出てこないものね。それがまずおかしいですね。通常であれば、決算に出すかどうかは別にして、通常の運賃でのこれがどうなっているか、路線はどうなのか。そして、今、一生懸命それを補おうとしてやっている第3の事業、それがどうなのかというのがわからないと、この管理費がこのまま行ったら間違いなく赤字になりますよ。その点どう思っていますか。
〇大坊交通課長 IGRの経営につきましては、委員御指摘のとおり、いろいろな指標なども見ながら適切に指導してきているところでございますが、今お話のありました販売管理費の動向であるとか、あるいはこの間、寝台特急なども廃止になるというような厳しい局面もあって、そういったところもこういった数字にあらわれているかと思っております。
そういったところを踏まえて、IGRでは、旅客、貨物をまずはコア事業といたしまして、貨物線路使用料をコア事業の収益といたしまして、寝台特急の廃止で3億円減った部分を何とか関連事業で補完的に補えればということで、今、力を尽くしているところでございます。
まずはそこの部分、しっかりとその収益性を見ながら、うまく収益の事業として成り立つように指導してまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 今の説明で、販売管理費が抑えられるとか、ふやさないということにはなっていないのですね。路線をどうこうという話も含めてね。それで、事業をやれば売り上げは伸ばせるわけですよ。問題は、売り上げを伸ばした分の経費が、今言わなかったけれども、見ていると明らかに売り上げも実は対前年より落ちているわけですね。平成26年度と平成27年度を見た場合には、平成26年度が45億円に対して、平成27年度が42億8、000万円と、事業をやっても実際に落ちているわけですね。そして、経費がかかっていると。
だから、売り上げを伸ばしてもいいけれども、経費をなるだけかけないようにするのが当たり前であって、このままやっていったら、経費をかければ、間違いなく売り上げは出ますよ。それではまずいでしょう。そういうことを言っているのです。
部長は、株主総会、役員とか取締役会、このときも多分部長も出ていますね。どこまで見ているかあれですけれども、そのとき、こういった指摘を受けてどう思ったかお聞かせ願いたいと思います。
〇大平政策地域部長 売り上げにつきましては、寝台特急の使用料が減っているという面もございますが、昨年12月に開催されました直近の取締役会におきましては、やっぱりIGRの本旨が、地方の鉄道として地域の足を守ることにあることに鑑みまして、関連事業の収支についての見通しを問いただしました。それの今後の改善の状況、赤字というお話もありましたので、その見通し、それについて好転しないようであれば、しかるべき判断も必要ではないかということを申し上げました。
今後も、さまざまな関連事業がありますけれども、それが地域のためにならないという本末転倒にならないように、これはきちんと見ていく、そういう趣旨で申し上げて、今後もそのような観点から、今月も取締役会がございますので、その点については再度申し上げたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時4分 休 憩
午後1時3分再 開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ19人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇大坊交通課長 午前中、嵯峨委員の御質問の中で、運営評価レポートにおける常勤職員の取り扱いについてでございます。
まずもっておわび申し上げます。総務部に確認いたしましたところ、常勤職員の欄には非常勤職員を含まないとのことでございまして、常勤職員と常勤の臨時職員を加えまして計225名となりますので、平成28年度の記載は誤りとなります。修正し、改めて正しい数字で公表いたします。重ねておわび申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 質疑を続行いたします。
〇福井せいじ委員 何点か確認したいことがありまして、関連して質疑をさせていただきます。
私も出資法人の評価シートをいただいておりますが、このIGRいわて銀河鉄道はさまざまな事業を行っておりまして、旅客鉄道事業が主たる事業と先ほどお伺いしました。そのほかに飲食業あるいは不動産業も行っておるわけでありますが、この営業収益あるいは営業費用、事業ごとの収支については把握しておられるのかどうかお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいま関連事業等についての部門別収支というお尋ねでございましたが、これにつきましては、IGRで、部門別、いわゆるセグメント別の収支を出しておりません。そういう状況でございまして、IGRにおきましても公表を差し控えたいという意向でございます。
〇福井せいじ委員 先ほど、部長の答弁の中に関連事業の収支を問いただしたという発言がありました。そうすると、関連事業についての収支はどのようにして問いただしてどのように答弁をいただいたのかお聞かせいただきたいと思います。
〇大平政策地域部長 関連事業、例えば串焼処などの食堂部門や不動産、観光部門がありますので、その意味で、その収支はどうなっているのかと聞いたところ、数字ではなく、赤字とか、そういう表現の回答があったものでございます。
〇福井せいじ委員 それでは私は、県の責任はどうあるべきかということをここでお聞きしたいのですけれども、このIGRには出資金の半額以上を県が出資なさっております。今は黒字でありますけれども、会社がもし経営上悪くなっていく、営業利益を出せなくなった際、県としてはどのような判断で経営の方向性を修正していったり、あるいは、先ほどアドバイスという言葉もありましたけれども、どういう形でアドバイスをしていくのか、その根拠というものはないのでしょうか。
〇大平政策地域部長 まずもって、地方鉄道というか鉄道業本体が赤字になる場合、関連事業で赤字になる場合、そして全社で赤字になる場合の三つを想定しなければいけないと思います。まず、関連事業のために会社が赤字になる場合、一時的な赤字であればある程度の経営判断はあると思いますけれども、全くその黒字好転が見込めない、それが改善しないということであれば、それはある段階では、一般論でありますけれども、関連部門をやめるなり特別損失を出すなり、そういうことはあり得ると思います。
ただ、一方で、本体が赤字であっても-三陸鉄道などはそういうものでありますけれども、関連事業が若干収支好転させている場合もありますので、それはトータルで見なければいけないと思います。仮に鉄道部門が赤字であっても、それは地域の足を支えるということでありますので、それはきちんと沿線の市町村なり、あるいはさまざまな方の御理解をいただきながらその対策が必要だと思っております。
〇福井せいじ委員 そういった判断をする際、財務諸表の性質あるいは事業別の収支の数字なき場合にどうやって判断するのか私ははかりかねるのですけれども、その点は県としてはどういった形でその判断をなさるのでしょうか。
〇大坊交通課長 昨年12月に開催されたIGR取締役会における通年の決算見通しを先ほど御説明いたしましたが、その中で、運輸雑収入を含む関連事業の収入については、計画値に対しまして3、200万円ほどの増収であり、収入については順調という報告が一つございました。
ただ、もう一方で、業務費につきましては計画値に対しまして1、600万円ほどの上振れを起こしている。その内容につきましては、関連事業による商品仕入れであるという話がございまして、一方では売り上げが順調ではあるものの、コストコントロールにおいては非常に甘い部分もあるという話もございまして、そういったところも含めまして、全体での数字の中で経営の部分をしっかりと今後持ち運ぶようにというような議論になったと記憶しております。
〇福井せいじ委員 今の話も部長の話もそうだったのですけれども、定性的な報告を受けて判断をしているということですね。私は、やっぱり経営というのは定数的なものが根拠になると思っております。そしてまた、出資のもとは何ですか。税金ではないですか、これは。そうすると、県民もステークホルダーの一人だと考えるべきではないでしょうか。そういった意味では、それをコントロールする県としての責任は非常に甘いところがあるのではないでしょうか。数字をもって経営判断をするのが大もとでありまして、それを怠っているということは、県の責任は非常に大きいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
〇大平政策地域部長 先ほど申し上げました取締役会の場面では定性的なお話がありましたが、県として関連事業の収支を数字として把握していないということではございません。それは公表できないとIGRから言われておりますので公表はしておりませんが、決して数字を見ないで定性的なお話だけで申し上げているわけではございません。
〇高橋孝眞副委員長 福井せいじ委員に申し上げます。関連質疑は、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めるものでありますので、その性格上、短時間、かつ簡潔に発言されるよう御協力をお願いします。
〇福井せいじ委員 短時間で終わらせようと思ったのですけれども、バックグラウンドが非常にあやふやだった、定性的なものだったのでちょっと長くなりました。
いずれにしろ私が求めたいのは、出資としては県に責任があるということであれば、ステークホルダーである私たち県民にとっても非常に利害関係がある問題であります。そういった意味では数字をもとにぜひとも経営判断をしていただきたいし、それを公開することが私たちにとって必要であると考えますけれども、最後にその件の公開の有無についてお聞かせいただいて終わりたいと思います。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 ただいま取締役でもある大平部長から答弁申し上げたとおり、関連事業の収支を個別に指導監督する立場にある私どもとしてきっちり把握し、今後とも引き続き適切に指導監督していくということはそのとおりでございます。
ただ、これを公表するということになりますと、従前から申し上げておりますとおり、県としては情報公開条例の考え方に基づいて対応しております。それぞれ条例あるいはそれに基づく要綱等がありまして、出資法人、第三セクターにおいて提出する書類は、例えば、要綱で決められておりますのは定款、役員名簿、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、事業報告、それからそれにかかわる附属明細書でございます。また、県が公表の対象とする出資法人に関する資料も対象法人が公表の対象とする資料と同一とするといった規定がございますので、あとはIGRの判断としてどこまでそういったものを公表していくかということでございます。
IGRにおきましても、さまざまな情報をホームページで公開し、株主総会などは全て報道機関に公表しております。取締役会なども、終了後、ブリーフィングをやっていますので、引き続き、できるだけ公表する方向で指導、助言をしてまいりたいと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、2点お伺いしたいと思います。
1点目は、ふるさといわて起業家人材育成道場プロジェクト事業についてお伺いします。
平成28年度に、この事業を実施した効果をどのように評価しているかということと、来年度は、一部新規の部分があるようですけれども、平成28年度の事業をどのように改良することを考えてこの新規の部分をやられるのか、その点についてお伺いいたします。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 この事業でございますが、平成28年度は、地域で起業等を志向する県内四つの大学の学生26名を対象といたしまして、起業マインドを醸成する実務教育を実施するいわてキボウスター開拓塾を平成28年10月に岩手大学内に設置したものでございます。
経営戦略やマーケティングなどの講義、グループワークに加えまして、商品開発、地域コミュニティーの活性化など、宿泊業、農業などの地域の事業家の方々から出された課題ごとに学生の皆さんがチームを組んで、フィールドワークを通して課題解決に取り組みながら起業家精神を培ってきたところでございます。
去る2月に最終報告会が行われまして、県産品を活用した新商品の開発、地域住民へのヒアリングをもとにした地域コミュニティー活性化のためのイベント開催など、各チームの取り組み成果が発表されまして、課題を設定した事業家の皆様からも高い評価を得たところでございます。
今後、こうした本格的な事業化等の検討を続けるチームもございます。学生の洞察力、課題解決能力、コミュニケーション能力の向上など、この事業によりまして得た財産を将来の起業へとつなげていただくことを期待しております。
それから、来年度の改良点でございますけれども、今年度につきましては、立ち上がりの年、初年度といったこともございまして、半年間に凝縮して事業が実施されたところがございます。平成29年度は、前期、後期の通年制といたしまして、前期は講義や現場視察を通して起業について体系的に学ぶカリキュラムといたします。後期につきましては、地域の事業家の皆様が取り組む事業課題を題材として設定いただきまして、学生が事業家と一緒に取り組む実践を通じ、起業に必要なスキル、マインドを醸成していくといったふうに改善をしております。
また、今年度の成果を来年度につなげるため、今年度の第1期生による来年度現役の受講生への学習補助など、かかわり方についても検討してまいります。さらに、関係機関の評価にとどまらず、県内外の企業の経営者や経済団体のトップなどから成るいわてキボウスター開拓塾アドバイザリーボードを設置いたしまして、この事業の運営等についてさらに御助言等をいただきながら随時見直しを図っていく方向でございます。
〇ハクセル美穂子委員 アドバイザリーボードなど新たな部分も出て、前期、後期の通年制でやられるということなので、本当に期待しております。
私の地元からも地域リーダーとして出られた方がいます。旅館業をされている方ですけれども、旅館業の実態を学生の方に理解していただいて、そして旅館業にぜひ人材、今、不足ですけれども、そういった部分、学生に対する理解が非常に有効だという御意見を私もいただいていましたので、ぜひこの事業を頑張っていただきたい。
8名の中の5名が農林水産業に関係される方で、地域リーダーとして講師をやられている点も非常にすばらしいと思っておりますので、ぜひこういった農林水産業の振興にも寄与するような形で今後も続けていただきたいと思います。
2点目は、国際戦略ビジョンについてですが、このビジョンの中で目指すべき姿というのが提示されていますが、これが私的には非常にわかりづらいと感じておりまして、これに対してどういったような指標を考えていらっしゃるのかという点についてお伺いしたいと思います。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 目指すべき姿についてでございますが、3点掲げております。
海外展開の促進を図るには、まずは海外市場に進出する事業者が増加することが必要であることから、第1には、海外市場に進出する県内事業者が増加し、海外ビジネスが活発に展開される状況を目指すのが1点目でございます。
それから、成長が見込まれる海外市場におきまして、輸出の拡大を図りまして本県における産業振興と雇用の確保につなげていくため、海外市場の拡大や、経済成長に伴って新興国を含めまして力強さ-ダイナミズム、富裕層や中間層の購買力が非常に高まってきておりますので、そういったものを取り入れる。そういうものを大きなチャンスに転換して、本県産業の成長によってふるさと振興を図っていくのが2点目でございます。
3点目としては、そういう経済分野での交流促進を進めていくわけでございますけれども、やはりお互いの理解や信頼を醸成していくためには多面的、互恵的な交流がぜひ必要でございますので、経済交流にとどまらず、人的交流や文化、学術の交流を促進していく、そういう3点を一応目指すべき姿ということで掲げております。
なお、具体の指標につきましては、このビジョンには掲げておりません。考え方といたしましては、県民計画の第3期アクションプランに掲げている数値目標を達成していくための今後の海外展開の施策に係る指針ないし基本方針ということで今回のビジョンは策定するということで今、進めておりますので、ビジョンそのものに指標というものは設定していないところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 指標というのは考えていないということで、その点についてはそういうものなのかとわかりました。
目指すべき姿というのは、岩手県が初めて制定するいわて国際戦略ビジョン、戦略でありますから、岩手県内の国際化というか、企業、それから観光誘致をなさる方がどういった目標を掲げてやっていくのか、5年後に目指すべき姿がないと、一人一人の感じ方によってビジョンがずれてしまうのではないかと私は感じています。特に県産品を売るための方向性、それから外国人観光客の誘客の拡大ということで基本的な考え方もいろいろと書かれていますけれども、目指すべき姿が5年後の目指すべき姿と考えたとすると、ふるさと振興だけではどういうふうに自分たちがこの中で動いていくのかというのがなかなか感じづらいと。もちろんふるさと振興は必要ですけれども、これは5年間で設定されているのですから、5年後の目指すべき姿という形でつくられたのではないのでしょうか。その点についてもう一回お伺いします。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 ビジョンの計画期間を一応5年としておりますので、そういう意味では5年後の目指すべき姿という考え方にはなると思います。
ただ、今回初めて、これまでの県議会での質問あるいは御提案を受けてこういったビジョンということで、今後、県が全庁で一体的に総合的、戦略的に取り組んでいくための指針として策定しようとしているものでございまして、輸出の拡大、海外展開等につきましては、まだまだこれからという段階だろうと思っております。
例えば、岩手県の認知度をもっと引き上げたいということで、来年度、商工労働観光部で岩手認知度向上促進事業といったことで予算化して、中国の三大都市-大連、上海、北京で岩手フェアを初めて少し中長期的な形で開催を予定しております。その際、良運グループや上海大可堂といった現地の企業とこれまでの取り組みの中でいろいろおつき合いさせていただいていますが、協力いただける現地の企業をもっとふやしていかなければなりません。
輸出に当たっては、さまざま各国の制度も違いますし償還ルールも違うので、そういったことをコーディネートできる外国の企業、県内の企業も育成しなければならないということで、そういった指標達成も大事ですけれども、まずは輸出の促進なり観光客の誘客に向けての基盤みたいなものをさまざま取り組んでいく中で整備をしていかなければならないと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 御説明いただいた内容について、そういった部分は進めていくべきだということは私も理解していますが、これはあくまでも国際戦略ビジョンですので、戦略ですから、かかわる皆さんがきちんとその目標に向かって進んでいけるような目指すべき姿でないと、ぶれてしまえばこの5年間は無駄になってしまう。
国際観光復興機構、そういったものも今、東北のインバウンドが104%で関西に比べれば少ないという部分があって国も力を入れているのでありますから、やはりぶれないビジョンをしっかりとつくっていただきたい。今まで各部局でやっている部分をここで国際室という形で一元化してきた意味というのはそこにあると思いますので、ぜひこのビジョンについてはもうちょっとわかりやすく、県民の皆さんが、こういう形で国際化、そういう戦略だというのをわかりやすい形でブラッシュアップしていただければと思いますので、そのことをお話しして終わりにしたいと思います。
〇中平均委員 私からも質問させていただきます。
通告しているのは三陸DMOの関係ですが、その前に、私もきのう、国際戦略ビジョンをやらせてもらって、今、ハクセル委員の言ったとおり、つくったからには成果は上げなければならないし、今までばらばらにあった各戦略ビジョン、戦略的なものをまとめて一つにしました、海外戦略一つにしましたではないとの思いで当然つくっておられるのでしょうから、その点は今後ともどういうふうに展開していくのか私も注視させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、昨日の総括質疑でできなかった部分の三陸DMOについてお伺いしたいと思います。
平成28年4月26日に設立し、活動を行っているところでございます。今度の3月14日にその成果の発表会を行うとお聞きしておりますけれども、その発表会の内容も踏まえて、この1年の成果をどのように捉えているか。
また、三陸総合振興準備室の成果もあわせて伺いたいと思います。来年度からここは商工労働観光部に移ることになると思うのですが、改めてお聞きしたいと思います。
〇鈴木地域連携推進監兼ふるさと振興監 三陸DMOセンターの成果についてでありますが、県では、平成27年度、政策地域部内に三陸総合振興準備室を設置しまして、三陸地域の復興のその先を見据えた総合的な地域振興の推進体制について検討を進め、その結果を踏まえ、今年度、公益財団法人さんりく基金を母体としまして三陸DMOセンターを開所したところでございます。
三陸総合振興準備室といたしましては、今年度立ち上げとなりました三陸DMOセンターを中心に、三陸地域における観光地域づくりの取り組みを一体的に展開してきたところでございます。
具体的には、三陸DMOセンターへの民間人材の配置による体制整備を初め、観光の動態や経済に関する客観データの調査分析を実施するとともに、市町村や団体との意見交換、それから三陸各地域でのセミナー開催などを通じまして、三陸地域の一体的な連携や総合的な振興に関する機運醸成を図ってきたところであります。
また、三陸地域の交流人口の拡大と今後の教育旅行を担う人材を育成するため、三陸教育旅行プランナー養成研修を5回シリーズで実施しておりまして、来週、3月14日の最終回でその成果発表をすることとなっております。この研修を通じ、北から南まで受講者がいるのですけれども、現在26名の受講者がみずから旅行プログラムを造成するとともに市町村を超えた連携が図られるようになるなど、三陸DMOセンターとしても着実に前進したものと認識しております。
〇中平均委員 まず教育旅行ということでやられたのだと思います。受講者が北から南までという中で、昨日来の三陸鉄道のこれからのという話もあります。そういった中で、久慈駅から盛駅まで一貫経営になるといったことを含めながら、教育旅行に限らず、恐らく今回教育旅行のセミナーをやって、来年度は違うテーマを求めていくのかと思います。例えば企業関係の研修旅行を入れようとか、もしくは国際戦略ビジョンにのっとったインバウンド対策をやろうとか、いろいろな連携をしながら、一つ一つの地域ではなく三陸地域全体をぐるっと包含しながらやっていこうという趣旨なのかと思うのですが、そういった面を含めて、平成29年度以降は商工労働観光部に移管してまた一体的にやると聞いておりますけれども、今年度、ただいま発表があった成果を踏まえて、これからどういうふうに三陸、県北・沿岸の振興を図っていこう、進めていこうとしているのか。例えば教育旅行の発表会をやった成果を踏まえて、4月なり5月に各自治体と連携して、その人たちが何かを組んでいるとか、今まで組んでいた教育旅行、体験旅行にこういうものが加わって、1泊2日で帰っていたのが2泊3日になっていくとか、そういう事例があるのであれば教えていただきたいと思います。
〇鈴木地域連携推進監兼ふるさと振興監 平成29年度以降の取り組み、視点でございますけれども、我々は今年度取り組んできて調査も行っておりますが、やはり最近、団体旅行から個人旅行にシフトしていることもございます。それから、三陸地域の魅力をいかに磨き上げ、それを訪れる方々に理解していただくかという視点で、今回、教育旅行も、単独で体験旅行するだけではなく、連携して、例えばツアー化するとか周遊していただくといったことも見据えながら、売れる商品としていきたいという狙いを持っております。
また、来年度以降はこれからの検討ですが、例えば三陸の食や宿泊に関する魅力の磨き上げを考えておりますので、引き続き検討していきたいと思っております。
〇中平均委員 了解いたしました。せっかくつくった組織で、また民間の方も入れて頑張っているということでございますので、ぜひうまくこれが商品化され、さまざまな旅行商品なり地域のものになっていくことを大いに期待します。
さきの台風第10号の災害以降、久慈市でも観光客の入りが少なくなってきている。統計的なデータはこれから出てくると思いますが、実感的な話ではそういうふうな話も聞いております。6年前の東日本大震災津波、そして去年の台風第10号災害ときている中で、観光のイメージをどういうふうにして変えていくかというところもあると思います。
そういった意味で今後もよろしくお願いしたいと思います。あと、三陸総合振興準備室についてお聞きしたいのですがこれは準備なのですか。いつか三陸総合振興室とならないものなのですか。そこを聞いて終わりたいと思います。
〇鈴木地域連携推進監 三陸総合振興準備室は、発足は、三陸地域の総合的な振興を図るため、その推進体制を検討するという趣旨でつくられたものでございますので、それが地域の状況に応じてどのように発展するかはこれから検討することだと思います。
〇高橋元委員 私からは、2項目お伺いしたいと思います。
まず1点目は、三陸創造プロジェクトに関してでありますが、今回、平成29年度の当初予算案ということで示されておりますけれども、合わせて五つの事業ということです。その中で、三陸ジオパーク活用強化事業費については皆増で3、100万円。これはいろいろな面で非常にいいと思っておりましたが、一番下の洋上ウィンドファーム事業化促進事業費が昨年度比4、200万円減のわずか250万円ということで、数字だけを見ますと、大幅に後退したのか、あるいは休眠状態に入るのか、そんな思いがして、この数字を見て非常にショックを受けてました。これだけ大幅に減額になった事由をお伺いしたいと思います。
〇佐々木科学ILC推進室長 平成27年度から平成28年度の2カ年にわたりまして、環境省予算の洋上風力発電の事業化の可能性に関する環境調査を実施しております。平成28年度当初予算では4、200万円ほどでございます。この調査事業が終了することによる減であります。
状況を申し上げますと、今年度でおおむね調査事業は終了し、今後は、洋上ウインドファームの実現、実用化に向けた取り組みを地域の方々と進めることになろうかと思っております。
〇高橋元委員 わかりました。その中で、以前いただいている資料を見ましたが、ウインドファームの構築ということで、平成28年度まではそういうさまざまな取り組みをし、平成29年度から事業化に向けた取り組みと。大きく前に進むであろうというふうな矢印が太くあって、非常に私も期待しておりました。
平成28年度における取り組みとしては、企業向け説明会の実施や、関連企業を訪問するなど事業者誘致に向けた取り組みをすると。それから、研究会を通じて地域の利活用策を検討。洋上の風況等、各調査等を実施する。それから、一般海域の管理制度について関係省庁と調整。地域での機運醸成を図るため、住民向けフォーラムを開催する。こういうことが平成28年度の事業の中身という形で資料には記載があったのですが、これらについては今年度どのような形で進んでおるのか、そして、その成果と課題、今後の見通しについてお尋ねしたいと思います。
〇佐々木科学ILC推進室長 事業者誘致に向けた取り組みにつきましては、年間を通じてまず風がしっかりあるかどうかという風況データの取得を行いました。それから利活用につきましては、地元の関係者で集まり、あるいは東京大学の先生等のアドバイスもいただく研究会を設けておりまして、利活用に向けた地元での検討会、それから、地元漁業者とともに先進地である長崎県まで赴きまして、漁業者と意見交換をする等々行っております。
各種調査につきましては、水産資源調査として、塔を建てる予定地のあたりにはどんな魚が生息しているか、それから鳥はどう飛んでいるか等々の調査をさせていただいております。
これらの取り組みから事業化に必要なデータがおおむね集まったところと考えておりますし、漁業者との協調についても前進したのではないかと考えております。
また、地域振興につなげたいと思っておりますので、来る3月23日に住民向けの町民フォーラムを行いたいと考えておりまして、この調査の結果、あるいは洋上風力発電の概要、動向、全国の状況といったものを地域の皆さんに伝え、理解の増進に努めたいと思っております。こうしたことから、実際に事業者向けのさまざまな資料の準備、それから地域の方々の理解の増進がおおむね進んだところと認識しております。
主な課題としては、漁業者との合意形成といいますか、やはり海を使っている方々ですので、風車を建てることに対するさまざまな疑問等々がございます。そういったところの理解の増進、あるいはその塔を活用した漁業、そういったものも含めて理解を進めながら、来年度は事業者の募集に向けた地域との話し合い、準備にさまざましっかり努めていきたいと思っております。
〇高橋元委員 ただいまの説明を受けて判断すると、事業化はある程度めどが立ちそうだということで、事業者を募集するのかと。それからもう一つは、漁業者が非常に不安になっているのは、洋上の風力発電によって魚場への影響を相当受けるのではないかと心配されているようにも聞いておりますが、長崎県での調査も含めて、漁業者の理解が本当に得られるのかどうか。具体的に先進地で心配されていたことが大丈夫で今始まっているのでしょうけれども、その辺のところも含めて理解が得られるのかどうかというこの2点をお尋ねしたいと思います。
〇佐々木科学ILC推進室長 事業化のめどにつきましては、まず風そのものは一般的に言われている程度の風はあると思っております。また、系統の連結とか、さまざま判断する部分がございますので、いずれこちらの持ち得る情報を公開しながら、事業者に事業化に向けて取り組んでいただけるよう努めたいと思っております。
長崎県の状況でございますが、海域が違って魚種も違うのですが、何か物があるとむしろ魚が集まる現象がありますという話を伺っているところでございます。私どもとすれば、そういったことも踏まえながら、地域の振興にどうつなげていくかをしっかり考えた上で、単なる電気事業ではなく、三陸創造プロジェクトにあります三陸から新たな価値を創造するということを肝に銘じて、地域振興に向けた事業化をしっかりと準備して事業者の募集に当たりたいと思っております。
〇高橋元委員 洋上ウインドファームの事業化については、地域の活性化もさることながら、再生可能エネルギーの確保等も含めて、非常に県全体としても大きな希望を持っている事業であります。今年度はシンポジウムしかできないようですが、これは平成30年度から大きく前進するためのさまざまな1年間になる準備期間という捉え方で今お伺いしましたので、ぜひそれを進めていただきたいと思います。
次に、国際戦略の推進についてでありますが、先ほども話題になりました。私からは、1点ですが、いわてまるごと売込み推進事業についてであります。
2、700万円の予算措置がされておりました。いわて国際戦略ビジョンは、この年度内、3月までに策定されるということで、具体的に大きく動くものと思っております。中身的には、この戦略の中に、最重点市場と重点市場-二重丸と丸、それから星マークの民間主体の取り組みを支援するということで、米とかリンゴとかさまざまな農産品、畜産品も含めて記載があるわけでありますけれども、国内の各農産品の市場がどんどん縮小してきている。
全国各地でも海外に向けた戦略をつくって販売を強化しているということで、ほかの自治体のいろいろな意見を聞くと、海外に行ってそこで物を売る場合、現地の国の市場、農産品をつくっているところとの競争かと考えると、いやいや一番の競争相手は日本の各自治体だと。お互いに海外に行って日本の自治体同士で競争して、そして海外で売り込みを進めている、こういう状況が今ある実態のような気がするのです。でも、市場規模は大きいから問題ないのかもしれませんけれども。
その辺を含めて考えると、海外への売り込み、全国の農林水産県あるいは市町村の取り組みをどのように捉えて分析して、この産地間競争に勝ち抜いて岩手県産品を売り込むか、ここがこの戦略の肝ではないかと私は思っておりますが、その辺はどう考えておられるのでしょうか。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 委員から今お話しのあったとおり、まさに全国各都道府県あるいは各市町村が輸出の拡大、海外展開に積極的に取り組み始めている状況だと思っております。それは東アジアばかりでなく、東南アジアの経済の成長といいますか、先ほども若干申し上げましたけれども、富裕層、中間層の購買力の向上もあり、また、国内での販売の頭打ちもあって、非常に厳しい状況になっていると認識しております。
そういう中で、本県における農林水産物の海外への売り込みに当たりましては、民間団体等と平成20年3月にいわて農林水産物輸出促進協議会を設立しまして官民一体となって取り組んできているところでございまして、平成26年の農林水産物、これに加工食品を加えた輸出額は25億9、000万円と、震災前の平成22年に比べて約35%増ということで、成果も上がっていると感じております。
したがいまして、今後とも、関係機関あるいは県で委嘱しております輸出コーディネーター等のネットワークなども活用しながら、あるいは海外の現地流通関係者との関係も拡大して、本県の農林水産物は安全・安心であるとか品質が高いとかおいしいとか、そういうものをまずは積極的にアピールしていくことで何とか厳しい産地間競争を勝ち抜いてまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 海外戦略はつくったばかりですので、これから1年たち2年たち、さまざまな取り組みの成果、課題、これらを盛り込んで、修正をかけて厚みを増していくものと理解するわけであります。
米でいえば香港、シンガポール、米国が最重点市場になっておりますし、中国、台湾、タイ、ベトナムが重点市場という位置づけになっているようでございます。それぞれ根拠があって最重点市場、重点市場という色分けをしているのではないかと思いますけれども、これは、それぞれに今おっしゃったような関係というかネットワークが大きくこれから生きてくるということなのか、販売できる要素がここは大きいから最重点にして総力を挙げていくということでの区分なのか、その辺はいかがですか。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 国際戦略ビジョンにおける重点品目、重点市場の設定でございますけれども、これらは、これまでのさまざまな取り組みの経験、知見を踏まえ、また、民間のさまざまな組織、先ほど申し上げたいわて農林水産物輸出促進協議会もございますし、あるいはいわて海外展開支援コンソーシアムなど民間と県で組織しております協議会等もございまして、そういった意見も踏まえて整理したものでございます。
ちなみに、県産品の輸出拡大につきましては、どちらかといいますと個別個別、若干国、品目で違うのですが、星マークで民間主体の取り組みを支援としておりますのは、ある程度既に民間ベースでそういった取り組みがなされていると。したがいまして、県はある程度後方支援といったことで今後とも引き続き支援していけばいいということで星マークにしておりますし、逆に二重丸のところは、東南アジアのシンガポールなどでございますけれども、まだまだこれからでございますので、県-行政がジェトロなどとも連携してむしろ積極的にかかわっていかなければならない、市場を開拓していかなければならない、そういったことなども考慮してこういった整理をしているところでございます。
〇高橋元委員 先ほども海外での展示会等というお話もあったのですが、最重点市場における展開の方法としては、国内ですとあちこちのデパートで東北フェアとか岩手フェアとか、そんな形でやっているのですが、ああいったことを積み重ねていってファンを拡大し、そしてまた現地のエージェントや取り扱ってくれるところを開拓するというのが基本となる戦略と理解してよろしいでしょうか。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 先ほども若干申し上げましたけれども、さまざまな県産品のフェアあるいは商談会といったことを積み重ねていく。岩手県を応援していただける企業をもっとふやしていくことも必要ですし、岩手の文化や歴史、自然、風土を含めて、いずれ現地での岩手への理解や信頼をさまざまな取り組みを通じて拡大していくことが必要だと思っております。
〇高橋元委員 これで最後にしますが、県内の自治体では、海外の都市と姉妹提携とか、いろいろ締結しているのがたくさんあるわけです。ああいうところとのつながりを大きく使いながらやっていったほうがより浸透していけるのではないかと思っていますけれども、その辺はどう考えているのかお尋ねして終わります。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 県でも雲南省との連携協定を初め、あるいは岩手県産株式会社でもいろいろな企業と協定を締結しているとか、市町村においてもさまざまな協定を締結してこういった交流・連携が深まってきております。そういうネットワークを活用しながらさまざまなプロモーションを展開していくことが非常に重要だと思っております。まさに今、委員御指摘のとおり、県、市町村、民間のネットワーク、言ってみればオール岩手で今後の海外展開を進めていくことが重要と思っておりますので、そういった連携に十分留意しながら取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇渡辺幸貫委員 関連してお伺いします。
さっきのウインドファームの問題は、岩手県に世話をしてもらって、特別予算委員会の委員の中でも見に行った方もいると思います。五島列島の福江島の先、戸田建設がやっているところです。なぜかというと、浮体式だから。三陸海岸は深いから、ワイヤーで吊ってそこに建てている。それで見に行っているわけですね。だから、みんなわかっていると思います。学習済みのような気がします。新しい担当者を勉強にやらせたというような話ですけれども、やっぱりもっと前向きに、もうこれはかなり研究し尽くされたものだとお答えいただけるかと思ってさっき聞いていました。それが1点。
あと、今の輸出の問題。これは、岩手を知ってもらいたいとか文化とか、いろいろなことを話している。ところが、例えば岩手県から海外に売るのはリンゴです、米もちょっとありますけれども。リンゴを売るには、暖かいところに行ったら3日もたたないうちにぼけてしまうんですね。青森県はなぜ続くかというと、発泡スチロールの箱にきちっと入れて、そして冷蔵コンテナに入れて、そしてお店まで届けるシステムがきちっとでき上がっているのです。
今のお答えのように、文化とか私たちを理解してオール岩手で民間でと言ったって、そういうものがなかったら私たちは続かないでしょう。売れないでしょう、海外展開しても。そして、香港やアメリカというのは、私も全農を見たからだけれども、それは全農の支店があるところです。農協の手足があるところなのです。農協だって、そういうものを送ってくれる産地について安心してPRができるのです。そういう産地に岩手はならなければならない。それを今のようなお答えでは私は納得できない。そういうことも十分配慮した金の使い方をしますと言うのだったら海外展開にはイエスと私も思う。お答えください。
〇佐々木科学ILC推進室長 漁業者の視察でございますが、実際に風車の話を申し上げましても実感がわかないといった声もあり、また、実際に建てているところの漁業者はどういう考え方を持っているのか直接意見交換をしてきました。実態として決していい話ばかりではございません。いろいろな意見があるので、自分はこういうところを我慢しながら応援している、あるいは、こういう課題があるというのを直接漁業者同士で意見交換させていただくという機会を設けさせていただきました。様式としても違っているのは、委員御指摘のとおりであります。漁業者の方々にできるだけ理解を深めていただくということで調査に行かせていただきました。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 輸出拡大するためには、もちろん生産地、生産者が安定的に生産していけることが非常に重要でございますので、そういった生産体制も含めて、輸出、海外展開を考えていくということで対応してまいりたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 そういう基礎がなければ私たちは輸出に取り組めないということを私は言いたいのです。全部足していくと億を超えるお金ですよ、海外展開は。だけれども、基礎がないのに海外展開のPRだけしたって、続きませんし売れませんよということを私は指摘したいのです。ですから、わかりますと。それなら米も冷蔵パックで窒素充填のものだけを売りますとか、リンゴだったら、おっしゃるように青森県に負けないような施設を産地のどこかでやっていくと。そして、そこはリンゴの木もちゃんとチェックされて海外展開できるのだというふうに指導していきますから売れるのですというお答えをくださいよ。そうでなかったら売れないのではないですか。違いますか。
〇宮野理事兼副部長兼地域振興室長兼台風災害復旧復興推進室長 先日、ベトナムにリンゴ、米を本県から初めて持ち込んで販売して大変好評であったということで、岩手のリンゴ等はこれから海外展開する上でも大いに期待が持てると思っております。
そういう中で、今、委員御指摘のとおり、それを支える生産地、生産者、そういった仕組をきちんと整備していかなければ海外への輸出というものは持続性がないわけでございますので、そういったことにも十分留意して、トータルで進めていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 社会減ゼロに向けた取り組みと、それから岩手の幸福に関する指標についての2点をお聞きします。
1点目について、まとめて三つお聞きします。
総括質疑を伺っていて、社会減ゼロという目標を定めた根拠として、たしか1995年ですか、社会減が300人台ということがあったゆえにゼロは可能だという形で目標を定めたという話を伺いましたが、そのときの社会減300人台をなし得た時代背景や要因についてどのように押さえているかをまずお聞きしたいということが一つ。
それから、これは前にも聞いたのですけれども、県は社会減ゼロという目標を掲げておりますが、市町村あるいは教育機関、そしてまた経済団体等と連携が必要だと思いますし、果たして社会減ゼロという目標を本当に関連する人たちが持っているのかどうか、それを確認したいと思います。
そしてまた、目標達成のためにはもっと施策を拡充していく必要性があるのではないかと思いますが、この3点についてお聞かせいただきたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 まず1点目、1995年-平成7年に社会減が最も少なかった本県において329人の社会減という状況。その要因でございますが、人口減少の波は、全国との経済、雇用情勢との差と関係が深いことが明らかになっております。平成7年当時の有効求人倍率を見ますと、全国が0.63に対し本県は0.86となっておりまして、本県の有効求人倍率が全国を上回っていたことによるところが大きいと考えております。
その背景といたしまして、当時の第3期岩手県総合発展計画に至るまでの県の取り組みとともに、バブル崩壊後、国の累次の経済対策による景気浮揚策がとられたこと、また、平成6年、7年には東京圏において一旦転出超過の状況となっておりまして、こうしたバブル崩壊に伴う東京圏での雇用の吸引力の低下も要因となっているものと考えております。
それから、二つ目、社会減ゼロに向けた取り組み、意識共有についてでございます。
本県の社会減の要因でございますが、18歳の進学、就職期、それから22歳前後の就職期に多くなっているという状況がございます。人口の社会減対策に当たっては、市町村、大学等の高等教育機関、経済、産業団体、地元企業等と目標を共有し、連携して取り組んでいくことが重要と考えております。
このため、平成27年度から、市町村との連携を重視いたしまして、市町村の窓口となりますふるさと振興監を広域振興局に配置いたしまして、個別の相談対応を実施しております。また、市町村訪問や県市町村連携推進会議などを通じた市町村の人口減少対策についての情報共有を行っているところです。
それから、県立大学と連携いたしまして、市町村における地方創生に係る取り組み、それから課題解決について、県立大学の専門家の皆さんも交えて取り組みを進めておりまして、その成果報告会で意見交換を行っております。
さらに、INSふるさと創生研究会と連携して、市町村の持ち回りで研究会会合を開催するなど、県、市町村相互の活発な情報交換、意見交換を行っておりまして、こうしたことを通じて社会減ゼロの目標の共有に当たっているところでございます。
三つ目の目標達成のための施策拡充の関係でございます。
先ほど、一番初めに平成7年に社会減が最も少なかった要因として、やはりバブル崩壊後の国における累次の経済対策といった話もいたしましたけれども、東京圏への転出超過数が依然として11万人超となっている状況から、まずは、東京一極集中の是正が不可欠と考えております。このため、国に対しまして、地方重視の経済財政政策の推進について、引き続き強く求めてまいります。
一方、平成28年の本県の社会減の内訳を見ますと、県人口ビジョンの分析のとおり、進学、就職期の転出が顕著でございます。若者の県内就業の促進に向けた施策の拡充を図っていく必要があると考えておりまして、平成29年度当初予算案におきましては、長時間労働の是正、正規雇用の拡大など雇用の質の向上に向けて、いわて働き方改革推進運動の展開でありますとか、奨学金返還支援制度を活用いたしました大学生等の県内への還流、定着、それから首都圏の大学生などを対象といたしましたインターンシップの本格実施などに係る事業を盛り込んでいるところでございます。
〇福井せいじ委員 まず一つですけれども、先ほど市町村との情報共有という言葉があったのですが、市町村は社会減ゼロという目標を持っているのですか、その意識を持っているのですかね。まず、それがなければ、県全体としては社会減ゼロというのはなかなかなし得ないと僕は思います。
そして、連携を実のあるものにするには、各市町村の個々課題に応じたアドバイスとか、あるいは応援メニューを用意する必要があるのではないかと思うのでありますけれども、そういった体制が県にあるのかどうかということをまた確認したいと思います。
それから、先ほどの政策監のお話の中では、やっぱり全国、東京の、首都圏の動向が鍵を握るのではないかということはありましたが、しかし、平成32年というのは、どうなっているかわからないわけでありまして、県として取り組むべき施策を掲げて、それに全力投球していくことが必要だと私は思っております。
いずれ、先ほど言った、市町村が社会減ゼロという意識を本当に持っているのか、そしてまた、市町村を個々に応援するそういったメニューを用意できる体制があるのかどうかについてお聞かせいただきたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 社会減ゼロの目標を市町村が持っているのかというお尋ねでございます。
県の人口ビジョンの見通し、展望によりますと、2040年における岩手県全体の人口がおおむね103万9、000人となっております。各市町村におきましても独自に人口ビジョンを策定しております。これにつきましても、若干推計の前提の置き方によって差異はございますけれども、同じベクトル、あるいはおおむね同じ推計となっておりまして、市町村といたしましても、社会減ゼロについては、同じ意識を共有できているものと考えております。
また、先ほど申し上げました市町村との意見交換会等におきましても、県として社会減ゼロを目指すといったことについても繰り返し御説明、そして、施策についてもお話ししておりますので、ここについては共有していると考えております。
それから、県として全力を挙げる必要につきましては、委員御指摘のとおりでございます。県では、ふるさと振興総合戦略を策定いたしまして、特に社会減につきましては、岩手で働くを大きな柱の一つと掲げまして、その中に社会減ゼロに向けた取り組みを盛り込んでおります。
私は、先ほど国の対策なくしてはとは申し上げましたけれども、当然、そこは強く国に対して訴えかけていくと同時に、県といたしまして、戦略に掲げた取り組みを推進し、先ほど申し上げましたように、まだ弱いところがあれば、その施策を追加して取り組んでいく所存でございます。
〇福井せいじ委員 私は、やっぱり人口減少問題の一つのまずとりかかりが社会減ゼロだと県として掲げておるわけですから、これを何とか平成32年までに実現してほしいと思います。そのために、まず全庁的な取り組み、全県的な取り組み、そしてまた、業種あるいは教育機関等も一体となった取り組みが必要だと思います。
そのためにも、実は私が思うのは、全庁的に、例えば平成32年社会減ゼロというポスターでもつくって、張ってみるとか、そういった意識の高揚、そしてまた、意識の共有というものも必要ではないかと思っておりますので、ぜひこれも提案したいと思いますし、私どもも平成32年の社会減ゼロ、これに向けて意識を持ってさまざまな提案をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
次に、いわての幸福に関する指標についてでありますが、中間報告を読ませていただきました。非常にわかりにくい考え方でありますけれども、概念でありますが、その中で生活満足度という言葉、それから主観的幸福感、これの相関関係についてあらわされていましたが、現実的に考えると、生活満足度というほうが、僕にとっては非常に現実味のある言葉だなと。それと、生活満足度というと、すぐにどういったものかというのがイメージしやすい。
そういった意味では、幸福感を充足させるためには、生活満足度を何とか充足させていったほうがいいのではないか。それを重視したほうが、実は最終的に幸福感は増すのではないかと考えたわけでありますが、そのような考え方を県当局は持っておられるのか、それとも、それではないよ、幸福感と生活満足度とは別なのだということがあれば、その考え方について教えていただきたいと思います。
〇臼井評価課長 生活満足度に関する考え方でございます。
まず、生活満足度につきましては、現在、県民意識調査において、第3期アクションプランの政策項目ごとの重要度、満足度とともに調査を行っておりまして、過去からの推移を把握しているところでございます。県民の実感を把握する観点からも非常に重要なものと考えております。
一方で、先ほど御指摘いただいた中間報告におきまして、平成28年県民意識調査における生活満足度の調査結果と幸福に関する調査結果を比較したところでございます。生活満足度は収入との相関が高かった一方で、どの程度幸福を感じるかを示す主観的幸福感につきましては、家族や健康等の経済的要素以外の要素との相関が高い傾向があったところでございます。
そのため、生活満足度、幸福度それぞれ意義があるものと考えておりますが、経済成長と幸福が必ずしも相関しないと言われる、いわゆる幸福のパラドックスにも示されるように、価値観が多様化している中、幸福という切り口で経済的要素以外の要素にも改めて目を向けることは、これからの県政の推進に当たって重要なことと考えているところでございます。
〇福井せいじ委員 そうすると、今までの総合計画の中にも、私は、経済的な側面とともに、例えばコミュニティーとか、あるいは家族といったキーワードが示されるように、そういったものについての取り組みも総合計画の中ではやってきたのではないかと思うのでありますね。そこで、改めてこの主観的な幸福感というものの指標を入れる必要があるのかと私は思うのでありますけれども、いかがなものなんでしょうか。
〇臼井評価課長 御指摘のとおり、現在の総合計画もしくはアクションプランにおきましても、行政全体として取り組むべき課題については多くのことが書かれているところでございまして、そこには非経済要素についても盛り込まれているものでございます。
一方で、どういったところを重視していくか、力点を置くかということについては、その総合計画の理念においてもまた異なってくるものかと思いますので、今回、次期総合計画における指標の導入に向けた検討として幸福ということをキーワードに検討しているところでございますが、そういった中で、また新たな切り口が出てくればと考えているところでございます。
〇福井せいじ委員 さまざま今研究なさっているということ、中間報告ということで、政策にどう反映するかというのはまだ途上であるということを伺いました。
そこで、もう一つだけ聞きたいのですけれども、岩手ならではの幸福の特徴として、つながりというキーワードが考えられるというお話がこの中間報告でもなされましたが、このつながりというキーワードは、どういったところから出てきたのか、ちょっとそこの背景を教えていただきたいと思います。
〇臼井評価課長 県では、これまでも、いわて県民計画、総合計画におきまして、みんなの基本目標として、人や地域とのつながりを掲げるなど、施策の推進に当たってつながりを重視してきたところでございます。また、東日本大震災津波からの復興に当たっても、県内外のつながりが、復興の大きな力となったものでございます。
先ほど申し上げた平成28年県民意識調査の結果を見ますと、幸福に関する調査を行った際には、回答者が幸福かどうか判断する際に重視した項目として、地域コミュニティーとの関係を選んだ方が、全国の調査である平成24年の内閣府調査と比較しても高い傾向がございました。
また、統計データとしても、岩手県は、10歳以上のボランティア活動の年間行動者率が全国5位であったり、地域行事への中学生の参加率が全国2位であったり、確かに地域とのつながりを重視していることを示唆するようなデータが見られたところでございます。
以上の点を踏まえて、研究会において、つながりに着目したさらなる調査を行ってはどうかという御指摘があったことから、現在実施している平成29年県民意識調査において、つながりということを視点に置いた、近所の方とのつき合いであったり地域への愛着について、新たな調査を行うこととしたところでございます。
〇福井せいじ委員 今の説明をお聞きしまして、行政側から幸福とはこういうものだということを示すのではなく、県民の中から幸せの姿を発掘していく、そういったことが姿勢として、そしてまた、今の手法としてあるということを聞いて、私も安心しました。岩手ならではの幸せの姿というものをぜひ発掘する、そしてまた探し出して、それを政策に反映するという形をつくっていただいて、これを次の総合計画にぜひ結びつけていただきたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 先ほど福井委員からの御質問に1点お答えしておりませんでした。社会減ゼロに向けた市町村への応援メニューといったことでございます。
県といたしまして、市町村の総合戦略推進支援といった形で、岩手県立大学と連携いたしまして、市町村の地方創生総合戦略の進捗状況あるいは見直し、掲載事業の事業化、それから推進に係る指導、助言等を行うといったメニューをつくっております。
これによりまして、個別に市町村に県立大学の先生がお邪魔して、そこで何が課題か、どういう方策があるかといったことについてアドバイスを行うといったようなメニューも用意しておりますし、当然、その中には国の地方創生推進交付金をどう有効に活用していくかといった形での横展開といったことも進めているところでございます。
〇千葉絢子委員 それでは、私からは、政策指標等のあり方についてお伺いしたいと思います。
まず、いわて県民計画において、目指す姿指標、具体的な推進方策指標、ふるさと振興総合戦略におけるKPIについて、設定するときには一体どなたの、どういった基準で考えられているのか、その基準からお伺いしたいと思います。
〇臼井評価課長 目指す姿指標及び具体的推進方策指標等の設定の考え方でございますけれども、まず、考え方といたしまして、政策推進室から各部局に対して、指標の設定に当たって、過去の実績値や将来推計値、分野別の計画、国の設定している基準、全国平均値やベンチマーチとなる都道府県の水準もしくは指標などを踏まえて、できる限り目指す達成水準を的確に把握できる指標を設定するよう求めているところでございます。それを受けて、部局として、目標もしくは指標の設定を行っているものでございます。
また、特に第3期アクションプランにおきましては、適切な指標設定がなされるように、例えば、これまであったような会議の開催件数のような取り組みの内容を評価する指標ではなくて、できる限り成果を評価するようなアウトカム指標を設定することであったり、目指す姿指標、具体的推進方策指標それぞれ論理的な関係がございますので、そういったことを整理することも求めたところでございます。
〇千葉絢子委員 いわて県民計画実施状況報告書を見ますと、既に第3期アクションプランにおいての最終年度の目標値を達成している項目も多々ありますね。これについては、残りの期間をどのように扱っていくのでしょうか。
〇臼井評価課長 平成30年度の目標を達成している指標の取り扱いでございますが、まず、原則的な考え方として、施策ごとのアクションプランにおいては、施策ごとの目標に対する達成度を経年で把握して、そのアクションプランの進捗管理を行うことを重視する観点から、明らかな誤り等を除きまして、原則として、アクションプランの期間内に目標値等を変更することは考えておりません。
ただ、一方で、委員御指摘のように目標値を達成している指標がございますので、それぞれ今後の社会情勢の変化で、いろいろな大きな外部要因が想定されるとか、目標値の水準を維持するためにいろいろな取り組みが必要であるとか、もしくは、目標は達成したものの、さらなる取り組みを行うといったものは個別の施策に応じて考えられるところでございますので、部局において、目標の達成度のみにあらわれないような要素もしっかり考慮しながら、来年度以降の施策の展開に向けた評価を行っていただくよう求めていきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 ただ、一方で、その目標達成しているのでおおむね順調であると政策評価レポートについても記載があるものはたくさんあるわけですね。それで、社会情勢の変化とかニーズの違いがある、もしくはニーズの違いが出てきた具体的な推進方策指標については、変更もしくは追加あるいは削除するという視点も必要なのではないかと思いますが、先ほど変更する予定はないということでございましたが、本当にそれでいいのでしょうかということをお伺いしたいと思います。
〇臼井評価課長 指標の変更についてでございます。繰り返しの答弁となる部分がございますけれども、アクションプランの期間内に随時、指標であったり目標値を変更することに関しては、なかなか第3期アクションプランという形で最初に目標をつくったものに行政として向かっていく中で、その進捗管理に重点を置きたいと考えているところと、施策に応じて、先ほど申し上げたようなさまざまな事情があるかと思いますけれども、その変更すべき指標、どれを変更して、どれを変更しないかといった基準を設定することが困難であること等の理由により、慎重に行う必要があると考えております。
一方で、評価の精度を高めていく観点では、先ほど申し上げた取り組みに加えまして、例えば県議会12月定例会に提出している政策評価レポート等で、目標の達成度とは別に、指標の全国水準を記述するとか、もしくは指標化されていないものであっても参考データを記述するといった形で、評価の実効性を高める方策についても検討しているところでございます。
〇千葉絢子委員 それでは申し上げますが、例えば、いわて子育て応援の店の延べ協賛店舗数が累計1、651件になったからといって、県によるみんなで目指す姿である家庭や子育てに希望を持ち、喜びを感じながら、安心して子供を産み育てられるようになるわけではありません。
まず、今は小さい子供のいるファミリーというのは、郊外型の大型ショッピングセンターに行くんですね。なぜかというと、授乳スペースがある、おむつがえスペースがある、そして、子供が騒いでもあやせる、そういった空間があるからです。普通のお店に行くと皆さんに迷惑をかけるのではないかと。小さいお子さんがいる家庭であれば、小さいうちの逃げ道というのは、大型ショッピングセンターなんですね。
ただ、この計画自体が定められた平成20年とか21年のあたりには、もしかしたらそのお店がオープンしていなかったかもしれません。ただ、そういうふうに家庭の事情が変わっているということ。
それから、私は、一般質問でも指摘をさせていただきましたが、女性の就労や雇用環境に関する指標の中で、離職者全体の中に占める女性、そして障がい者という全く異なった観点の指標の中で、その二つの指標を実績としてまとめて評価するシステムになっているということも、これは政策としても評価としても不十分であると指摘させていただきました。
この計画における指標に関しては、総論、各論それぞれについて、この指標で果たして本当によろしいのかという指摘が、これまでの一般質問、常任委員会、そして本日のような予算、決算特別委員会においても複数の議員から指摘、質問がされているところであります。
では、昨日の予算特別委員会総括質疑冒頭で知事より御説明のありました保育士修学資金貸付事業について、県当局の答弁内容の変更の根拠についての言をかりれば、複数の議員からの問い合わせや質問があれば検討する可能性、そして方向転換をすることも可能であると言えますよね。これについての認識は、まず、部長にお伺いしたいと思います。
〇大平政策地域部長 指標の数値につきましては、先ほどから評価課長が申し上げているように、アクションプラン全体の進行管理という視点から、頻繁に変えるものではないと思っております。
最後に評価課長が申し上げましたように、決算特別委員会での意見も踏まえまして、それで、どうしたらいいだろうねということで、評価、政策を交えて、やはり指標は変えなくても、見直しというのは随時していく必要があるということで最後の答弁となったものでございます。
目標値を見直すのではないけれども、政策評価レポートに新たな観点から、こういう数字もあるとか、全国でこうなっているとか、そういうものを変えていくことによって、このレポートというか政策評価自体が、政策の見直しとかアウトカムというお話もありましたけれども、そういうことは何とかして工夫する必要があると。
全体として、県議会から評価に対するさまざまな御意見をいただいておりまして、我々も、この指標が最適かと言われても、ただ、統計データがないとかいろいろな場面があって、最適ではないけれども、それに何とか近い数値を指標として選んでおるわけですが、なおかつ、不十分とか、達成してしまったとか-達成してしまったという表現はおかしいですけれども、目標を達成したことによって、その目標の意味がないのではないかというお話が出ることもありますので、それも十分わかっております。
ですから、その際には、新たなレポートの中に、例えば女性の部分で言いますと、男女の育児休暇の取得率とか、平均月間労働時間数とか、いわて働き方改革推進運動の参加企業数とかという現在指標でないような数値でも、そういうようなものが新たに施策の中に入れられれば、そういうものも付記できるのではないかということで先ほどの答弁となったものでございます。
〇千葉絢子委員 では、その方向転換をしたり検討する可能性についてはいかがでしょうか、再度お伺いしたいと思います。
〇大平政策地域部長 私は今、指標について申し上げたわけでありますが、政策そのもの、施策ということでお答えしてよろしいのでしょうか。
政策なり施策決定する段階において、新たな要素とかさまざまな方からの御意見とか、あるいは時代の変化というものの中で、政策の見直し、施策の見直しというものは、必要な時期にあってしかるべきだと思っています。
〇千葉絢子委員 先ほどのいわて子育て応援の店などに関しても、例えば授乳やおむつがえスペースのある店舗数とか、そういったものを数えれば、幾らでも子育てにやさしい店というか、それをカバーできると思うんですね。何も応援してくれる店ばかりの数をふやすという観点から、少しそっちのほうにシフトするということもできるのではないかと思うのです。
民間企業では、目標達成したのであれば、例えば新たな目標を立てるのが常識なんですね。営業目標を立てたら、これでいいですということではないですよ。もっと業績を上げるためにどうしたらいいか、次年度はプラス百何%とか、そういった目標を立てるものです。
PDCAサイクルというのは1回しか機能しないのでしょうか。上方に変更せずにいて本当にいいのかと。それで社会減ゼロ、子育てしやすい岩手県にする、その目標が本当に達成できるのかというところが、私は大変疑問であります。
我々議員の指摘事項は、今回の件に限らず、本当にこれでいいのかというのは、先ほど福井委員からも幸福度に関する指標はどうだとか、そういった話もありました。こういった場における議論というのは、どの程度意味を持ってくるのか、指標についての議論に今後どのように対処していただけるのか。それは、今後の県民計画、そして我々の政治活動においても大変重要な意味合いを持ってきますので、この方向性についての考え方をもう一度お聞きしたいと思います。部長、お願いいたします。
〇大平政策地域部長 繰り返しになりますけれども、政策評価の政策への反映をいかに正しい方向でやっていくかということは、逐次見直しております。その中で、ただいま委員のおっしゃったような新たな視点でやったらいいのではないかというような、店の数とかというようなものは参考にした上で、究極的に言えば、次の計画には反映させるようなものがまずは一つあると思います。
ただ、その計画を待っていられないではないかと。例えば目標を達成してしまったものも含めて言えば、先ほど申しましたように、政策評価レポートなり、その部分に、例えば目標は100件だったけれども、既に150件になっていますので、そこの欄は変えないけれども、そこの下に加える、新たに200件を目指しますと変えるとか、そういうものができないかということで、政策評価の担当課といろいろ意見交換して、先ほどのような表現になったものでございます。
〇千葉絢子委員 では、その指標がどうかというような議論は無駄ではないといったことで捉えてよろしいでしょうか。
〇大平政策地域部長 決算特別委員会からも意見書をいただいておりますように、我々とすればそこは非常に重視しておりますし、評価課は評価のための組織でありますので、それにマンパワー、これだけの人数を割いてございます。非常に重要な仕事だと思っておりますので、その中でいかにやっていくかは、日々、彼らは毎日考えております。その中でいろいろな御意見をいただくというのは非常に参考になることだと思いますので、ぜひ反映させていきたいと思います。
〇千葉絢子委員 最後にいたしますけれども、本当にこの指標でよろしいのか、少し情勢が変わっているのではないかというのは、やはり各部局において、本当にこれでいいのかねという議論が本来はあってほしいものだと私は思っています。ですので、ずっとその指標は変えませんというようなスタンスではなくて、やはり必要に応じて、その指標を変えていく、新たな視点の指標を盛り込むというようなことについては、もう少し条件を緩和していただけないかと私ども思うわけですね。でなければ、平成21年からの計画にずっと縛られることになってしまいます。
一つ指摘をさせていただきたいのは、政策項目のナンバー1、産業、雇用、国際競争力の高いものづくり産業の振興というところで、目指す姿を達成するための取り組み、これは具体的な推進方策が6指標ありまして、一つについては、実績値が出ないので評価外となっておりますけれども、この6指標は達成度100%、Aなんですね。では、結果はどうか。目指す姿指標、ものづくり関連分野、輸送用機械、半導体製造装置、電子部品、デバイスの製造品出荷額、目標に400億円届かず、達成度はDになっているのです。
具体的な方策を満足したからといって、結果がD判定なわけですよ。これは、どんなに学校の課題を克服したからといって、大学受験模試でD判定が出ているということなのですよ。受からないのです。
目標達成できなかった理由については、自動車需要台数が前年比マイナスに転じたため、これも外的要因です。こういうふうにしているのですけれども、外的要因を理由にして、目標を達成できなくても、県の取り組みとしては、具体的方策をやっているので満点ですというような逃げ道になっていないかということを指摘して、終わります。
〇軽石義則委員 スポーツ振興関係について1点、質問します。
国体、障害者スポーツ大会が成功し、多くの皆さんの御努力が本当にあって、成果も上がり、それらについてまとめた上で今後に生かしていくべきだという質疑を以前、私も交わさせていただいておりますけれども、今回のこのスポーツ振興の予算編成に当たりまして、成果、反省というのはどのように把握されているものなのか、それらについて公表されているのかどうか、その点をまずお聞きします。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 希望郷いわて国体・いわて大会の成果と反省についてでございますが、県、市町村、関係団体等で構成いたします実行委員会組織により、競技式典、輸送交通などの部門ごとに具体的な検討を行うなど諸準備を進めてきた結果といたしまして、開閉会式、それから、競技運営などに大きなトラブルもなく、両大会をおおむね円滑に運営できたものと考えております。
これにつきましては、3月23日に解散式が予定されておりますけれども、形につきましては承知しておりませんが、何らかの形で総括的なものもあると聞いているところでございます。
運営上の成果の主なものといたしましては、開閉会式における郷土芸能などの岩手らしい演技でございますとか、児童生徒の熱心な応援、企業、専門学校などを初めとして多くのボランティアの参加、それから、県民の応援、おもてなし、そして、選手、式典関係者、参加者などの円滑な輸送、宿泊先での食事の提供などがございます。いずれも、市町村、関係機関との緊密な連携、関係者の高い意識などによるものでありまして、こうしたことによりまして復興支援への感謝などを伝えることができたものとまとめているところでございます。
一方、延べ6、000台に上るバスの確保でありますとか、選手、役員などニーズの異なる延べ19万人もの配宿先の調整、4、700人という多くのボランティアの募集、育成などに相当の時間を要したこと、開催直前の台風でありますとか、開催中の強風などによる被害への対応に困難が生じたことなど、国体、障害者スポーツ大会という大規模な大会ゆえの苦労、苦心や課題もあったと認識しております。
こうした成果、課題を踏まえながら次に進んでいくといったことでございまして、今申し上げたようなところをしっかりと生かしていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 これまでもそのようにお答えをしてきていただいていると思いますし、これは、そういう運営上の成果、課題、そして、実際に大会においても多くの優秀な成績をおさめた各種目、競技等ありますけれども、それらの中にも、やっぱり成果なり課題というものが選手育成を含めてあると思うのですが、3月に策定予定であります文化・スポーツ振興戦略(仮称)というものがあるのですが、それらにはどのように生かされていくのでしょうか。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 文化・スポーツ振興総合戦略を3月中に策定する予定となっておりますけれども、その中に戦略として、まずはスポーツ関係でございますが、県民のスポーツの振興といったことでございます。それから、国体、大会のレガシーの継承と、従来の枠を越えた文化、スポーツへの取り組みというところが戦略1としてございまして、その中に、ラグビーワールドカップ2019でございますとか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会などについて盛り込んでいるところでございます。
あと、戦略が大きく三つございますけれども、三つの中の戦略3、県民が元気になるスポーツの振興といったことがございまして、その中に、まさに県民のスポーツ振興、一人一人が楽しむことができるスポーツ社会の推進といったもの、それから、先ほどお話がございました競技力向上、トップアスリートの養成、育成といったものについても盛り込んでいるところでございます。
〇軽石義則委員 成果や課題を取りまとめる際には、これまでも話をしてきましたけれども、やはりよかったことだけを取りまとめた成果であって、課題が表に出てこなければ、よりいいものになっていかないというのは、これまでも議論してきたところでございます。
スポーツに限らず、それを支えるいろいろな団体や、いろいろな県民の方々も、携わる方々もいますので、その皆さんからも広く声を聞いた上でしっかり反映させてほしいとこれまでもお願いしてきておりますので、そのことも含めて、この戦略の中には反映した形で県民に伝わるようにしていただければと思いますので、その点はぜひお願いします。
ラグビーワールドカップ2019のお話もありましたけれども、私も長年ラグビーという競技に携わってきましたし、今回、平成28年度の県議会海外行政視察にも参加させていただきまして、やはり現場に行ってみなければ、幾ら資料を見ていろいろ研究しても、現地に行ってこそわかることも多くあって、成果があったものと考えております。視察団が出した報告書をしっかりと受けとめていただいていると思いますけれども、その受けとめについてまずお聞きしますし、今後のラグビーワールドカップ2019を進める上での提言も入れておりますが、それらはどのように反映されていくものかお示し願います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 ラグビーワールドカップ2019への反映でございます。
希望郷いわて国体・いわて大会で培いました、まず運営のノウハウの関係、県民総参加のもてなし、それから、交通輸送、宿泊、ボランティア育成も含めまして、こういったものをしっかりと反映させていくことが重要と考えております。
また、復興スクラム議員連盟の皆様がイングランドにいらっしゃいまして、同規模のスタジアム、そして、大都市から少し離れたところの開催状況を視察されたとのことでありますので、釜石市ともまた少し状況が違うと考えておりますけれども、そういった地方都市での中小規模のスタジアムでの開催について、さまざま有効な点、それから課題等について報告書としてまとめていただきまして、これについてもしっかり読ませていただいたところでございます。
特に釜石市におきましては、交通輸送の点、それから宿泊の点につきまして、これから検討しなければいけない課題が多いと考えております。また、日本、釜石市の特徴といたしましても、言語の関係等がございます。ユニバーサルな形で、できるだけ来ていただいた方々へのおもてなしがしっかりできることが重要と考えております。
来年度4月中にも、このラグビーワールドカップ2019につきましては、実行委員会への移行を予定しております。その中には複数の部会を設けまして、今申し上げました交通、それから宿泊、おもてなし、ボランティアなど、個別の計画づくりを進めていくこととなりますので、その中でしっかりと御提言を踏まえて、実効性のある、そして成功裏に終わる大会となりますように準備を進めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 報告書をしっかり受けとめて参考にするということでございますので、参加した視察団員も、そういう意味ではやった意義があると思っておりますし、次につながる行政視察の皆さんも、多分そういう思いでつながっていくのではないかと思っているところでございます。
そういう意味で、ラグビーワールドカップ2019には、いろいろな面からも注目されておりますし、今お話をされていることが、今後の流れというところを気にしている県民も大変多くあると思います。スタジアム建設のほうは具体的にどのように進んでいるんでしょうか。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 スタジアムにつきましては、基本設計を終えたところでございまして、入札等が行われたといったことは釜石市から聞いております。
来年度になるかと考えておりますけれども、実施設計等を経て、今後、具体的な建設に進んでいくと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 県としてはどの程度かかわっているというか、スタジアム建設に当たって、岩手県としての力を出す部分はどの程度を考えていらっしゃるのですか。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 スタジアム建設に向けての県のかかわりといったことでございますけれども、昨年末に釜石市のスタジアムに関するベニュープランを提出いたしました。提出するまでの間、どのような形が望ましいか、あるいは財源をどういう形で対応することが適切かといったことにつきまして、共同開催でございます釜石市と県で、その内容について密接に情報共有あるいは意見交換を行って、ベニュープラン提出に至ったといったところでございます。
引き続き、財源、国への要望あるいは関係団体への要望も含めて、また、大会の成功に向けて、スタジアム整備全体としてどういう方向が望ましいものかといったことにつきまして、共同開催であります釜石市と連携を密にしてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、釜石市も復興を進めながら、その対応もしているわけでございますので、やっぱり岩手県との共同開催というお話もしていただいていますから、さらにしっかりと支えていただくようにお願いしたいと思います。
次の項目に入りますけれども、これまでの経験を生かした上で、ラグビーワールドカップ2019の次には東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されて、そこにもつないでいくというのが一つの流れだったと思っておりますが、これからそれらについての具体的な動きも始まってくると思います。どのような対応をしていくのか。そして、今後、そういう経験を生かした上で、2020年以降、冬季オリンピックなど国際大会が各種あると思いますが、そういうものをこの岩手県でも開催可能なのだというのをどんどん発信していく必要性もあると思うわけですが、その点についても含めてお答えを願いたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 東京2020オリンピック・パラリンピックへの対応でございます。
国が掲げる復興五輪の理念のもと、本県にとりまして、被災地の復興の姿を世界に発信しながら、世界中からいただいた御支援に対する感謝の思いを伝える絶好の機会となるものと考えております。
こうしたことから、県といたしまして、大会が、世界中の多くの人たちが本県を訪れ、交流を深める機会となりますよう、ホストタウンや事前合宿の誘致に取り組みますほか、より多くの県民が大会に参画することができるよう、ボランティアによる参加でありますとか文化プログラムの活用にも取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、大会会場と同様の盛り上がりが県内でも図られますように、2018年に開催されます平昌冬季オリンピック・パラリンピックにおけます東京都等との機運醸成イベントの開催を初めといたしまして、さまざまな方策によりまして県内機運の醸成に努めてまいりたいと考えております。
それからもう一点、2020年以降の冬季オリンピックなど国際大会への対応についてでございますけれども、まず、先月でございますが、東北経済連合会と外務省が連携いたしまして、2018年に開催されます平昌冬季オリンピック・パラリンピックにおけます東北地域の事前合宿受け入れ可能な施設につきまして、各国のオリンピック委員会に提案するなどのPR活動を行ったところでございますけれども、本県も、その活動に際しまして、情報提供を初め協力したところでございます。
本県には、過去にワールドカップを初め、国際スキー連盟公認大会を開催した実績がございます。そうした施設もありますことから、2022年に北京で開催されます冬季オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致に向けて、今回の取り組みを参考として、関係団体と連携を図りながら取り組んでまいりたいと思います。
また、新年度におきましては、スポーツコミッションの設立に向けました準備もスタートいたします。そうした中で、さまざまな大会あるいは合宿の誘致などにも取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 継続した取り組みによって、スポーツ振興による、当面は復興をしっかりとつないでいくということですし、次世代に希望を持った岩手県、岩手県にいてよかったというふうにつないでいくことになっていくと思っておりますので、ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。
そういう流れの中で、現在、岩手県出身のプロのスポーツ選手が多くいるわけでありますが、岩手からも世界に通用する各種目における選手が出ているということを皆さんで共有して、そして、子供たちも、そこを目標にして努力をしていくというような情勢なり体制のつくりも必要だと思いますが、本県出身のプロスポーツ選手への県としての支援とか連携のあり方についてどのようにお考えか、お示し願いたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 本県出身のプロスポーツ選手の皆様には、これまでも、さまざまなスポーツ教室の開催でありますとか東日本大震災津波からの復興に向けた被災地支援の活動などを通じまして、本県のスポーツ振興、それから地域振興、復興支援に御尽力いただいているところでございます。今後も、スポーツを通じて、幅広い分野で連携の可能性があるものと考えております。
プロスポーツ選手個人への直接支援という形については、なかなか難しい面もあるかと考えておりますけれども、まず、平成29年度当初予算案の中に、県内に本拠地を置くトップスポーツチームとの連携によりまして、スポーツ振興等の事業を行う経費を盛り込んだところでございます。
今後、これらの事業の反応でありますとか、他県での出身のプロスポーツ選手との連携といった取り組み例を踏まえながら、トップスポーツチームや本県出身のスポーツ選手とのより密接な、あるいは効果的な連携のあり方につきまして模索してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 これで最後にしますけれども、これからいろいろ検討されるということですが、他の都道府県を見ますと、プロスポーツ選手であっても、一定の成績を出せば、県民栄誉賞を出して、そして、県民全体でそれをしっかりと支えていこうというようなことをされている県もあります。
岩手県ではなかなかそういう事例は、私も過去にもいろいろ質疑を交わしましたが、表彰する基準がかなり厳しいのか、難しいのか、かたいのかわかりませんが、しっかりと、やっぱり努力している岩手県にかかわる人をみんなで褒めたたえ、そして、それを力にしていくという取り組みが一番大事だと思いますし、子供たちは、それを見て、次に自分たちも目標にしていくということにもつながっていくと思いますので、それらを今後しっかりと、他の部にかかわるところだと思いますが、部長にその部分について所感をお伺いして、終わります。
〇大平政策地域部長 具体的にどのような連携があるかは今後の検討でありますけれども、やはり我々も、プロ野球であれば、大谷、菊池雄星などの活躍を見れば、岩手でもこんな時代になったのだとさらに勇気を奮い立たせられます。また、プロボクシングでも、八重樫東のような戦いぶりを見ても、やはり心が奮い立つというか、よくチャンピオンになっているなということも思います。
そのやり方はいろいろあると思います。スポンサーの関係とか、難しい面もあろうかと思いますけれども、委員おっしゃったような、大きな活躍をした場合の表彰というものは十分検討に値すると思いますので、関係部局にもこのことは伝えてまいりたいと思います。
〇高橋孝眞副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時12分再 開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ13人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 まず、岩手の幸福に関する指標の導入について、きのうは木村委員から総括質疑、また先ほどは福井せいじ委員から質疑もあったところでありますので説明を省きますけれども、これは、要は岩手県の県民に対する施策を経年変化に合わせて幸福度という物差しではかっていくことだと認識しております。
それがことしは80点だったけれども、施策を変えたら来年は90点になった、こういう見方もいいのですけれども、一方では、今、東京一極集中から地方に人の流れをつくろうということでふるさと振興に取り組んでいる中にあっては、やはり岩手として新たなライフスタイルを提案しながら、東京は経済的には豊かかもしれないけれども幸福度でいったら80点、でも、岩手は90点だと。こういった比べ方もできた中で、岩手から新たなライフスタイルを提案していく、人の流れをつくっていくような指標でもあるべきだと私は思っております。
そういった意味で、今申し上げた、ほかの都道府県とも比較可能な指標であることも求められると思いますけれども、この指標のあり方、検討状況、平成29年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇臼井評価課長 まず、指標のあり方についてでございます。
昨年11月に岩手の幸福に関する指標研究会が取りまとめた中間報告書におきまして、幸福という新たな切り口で岩手県の強み、弱みを多面的に分析することが可能になるものと示されておりまして、政策評価への活用という観点からはこの考え方は重視すべきと考えております。
一方、委員御指摘のように、例えば犯罪の少なさ、地域とのつながりといった全国比較ができるようなデータにより岩手ならではの豊かさを把握し、対外的にアピールしていくことも重要と考えておりますので、今後、そういった観点も踏まえつつ具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。
また、検討状況につきましては、先ほど申し上げた研究会で幸福に関する領域やつながりをあらわす指標についての御提言がありまして、1月には学生を対象とするワークショップを行ったところでございます。平成29年度は、引き続き研究会で御議論をいただきまして、夏ごろをめどに最終報告が取りまとめられる予定であることから、その内容を踏まえつつ、次期総合計画における導入の検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひそういった岩手ならではの考え方というのもしっかりと打ち出した上で、ガラパゴス化しないように、全国的にも比較できるようなものにしていっていただきたいと思います。
この幸福度指数についてはほかの県でも取り組んでいるところもありまして、中には、地方、地域、隣県も含めてグループをつくって、一緒の指標で施策を評価しながら県民の幸福度を、競っているわけではないですけれども、そういった意味で情報発信をしている地域もあります。そういった意味では、人口減少というのは、その多くが東北から首都圏に出ていってしまうというのが東京一極集中の大きな原因でもあると言われておりますから、今後、例えば北海道東北地方知事会もありますし、今度は全国知事会もあるわけですけれども、そういった中で東北全体として岩手ならではの幸福度指数というものを一緒に取り組むとか、そういった動きも見せて大いにアピールしていただきたいと思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇臼井評価課長 今、委員から御指摘ございましたように、他県においては隣県との連携などを行っている例も聞いているところでございます。
まずは、今、次期総合計画における導入に向けた検討ということで、どういった指標によって岩手県における幸福を的確に把握できるかについての研究を進めているところでございますが、そういった中で、隣県のデータや、隣県で参考になるものを取り入れながら検討を進めてまいりたいと思っております。
〔「海外視察に行こう」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員 その際には、私もぜひ報告書はしっかりつくりたいと思うわけであります。
前向きとまではいかない御答弁でありましたが、今後、検討過程でぜひともこういった動きについても視野に入れながら検討をいただければと思います。
次に、岩手県ふるさと振興総合戦略の岩手で暮らすという施策の柱について伺いたいと思います。
総括質疑においても、観光、ふるさと納税、また拡大コミュニティーについてふるさと振興総合戦略の中での位置づけをお尋ねしたところ、岩手で働くという社会減のところに位置づけしていて、その中で扱っているという御答弁だったと思います。しかしながら、観光には、雇用の確保という以上に、人口減少で経済が縮小した部分を補う部分でありますとか、また、拡大コミュニティーについては、移住につながる前の段階として、地域のお祭りに外からかかわっていただく、また、ふるさと納税をしてもらうことによって資金的な援助をしてつながりをつくっていく、それ自身ふるさと振興につながる部分があると思っているわけでありますけれども、改めて、観光、ふるさと納税、また、拡大コミュニティーそれぞれの政策的な位置づけを伺いたいと思います。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 各地域の振興に向けまして、ふるさと納税という形で本県の取り組みを応援していただいている方々、また、観光などを契機に本県の魅力に触れ、岩手ファンとして交流を深めている方々など、いわゆる拡大コミュニティーのメンバーとしての外部担い手とも言える方々とのさまざまな継続的な交流は、地域活性化の上で極めて重要であると考えております。
このため、ふるさと振興総合戦略の岩手で働くの柱のもとで、観光産業の振興によりまして国内外との交流人口を拡大するとともに、本県の魅力を体感していただき、リピーターという形で再び本県を訪れていただくため、受け入れ態勢の整備などに取り組んでいくものでございます。
また、これらを土台といたしまして、岩手に関心を持っていただく、あるいは実際に来ていただく、地元、地域になれていただく、さらに住んでみる、定住してみるという移住プロセスに沿って、旅行者からリピーターへ、さらには、岩手から離れていても継続的な岩手ファンとなっていただくため、情報発信の強化や相談窓口の充実に取り組む、こういった形で総合戦略の中に位置づけております。委員の御指摘を踏まえてこのような取り組みを盛り込んでいるものでございます。
〇佐々木朋和委員 指摘を盛り込んでいただけているということでございますけれども、通告にはないのですが、そうだとすれば、私は、岩手で暮らすのまとめ方というのもどうなのかというところを、総括質疑でも指摘にとどめましたけれども、文章の中には入れさせていただきました。
五つのプロジェクトがありまして、それを総括するKPIとして、KPIは国民所得に対する県民所得水準の乖離の縮小ということになっております。しかしながら、そのプロジェクトというのは、魅力あるふるさとづくりとか文化、芸術、スポーツ振興。あとは若者、女性の活躍支援、保健、医療、福祉充実プロジェクト、ふるさとの未来を担うひとづくりプロジェクトと。行く行くはそちらにつながっていくのでしょうけれども、県民目線でいうと、これが直接的にどういう形で県民所得の上昇につながっていくのかが大変見づらいのではないかと思っているわけであります。
私も他県のものを勉強させていただいたりしているのですけれども、他県では、別に施策の推進目標を三つに区切らないで、例えば人口減少による経済的な縮小に対しては産業振興や観光振興を一つの柱に、もう一方では、人口が減る分、地域コミュニティーの強化に力を入れるということで、項を別立てして別なKPIを立てているところもあります。
そういった意味で、岩手で暮らすというまとめ方については本当にこのままでいいのか。また次に直す機会があるのかどうか私はわかりませんけれども、その点についてどのように感じていらっしゃいますでしょうか。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 ふるさと振興総合戦略につきましては、さまざまな生きにくさを生きやすさに転換して岩手への新たな人の流れをつくっていく、こういった大きな目標のもとにつくったものでございまして、そういった観点から、先ほどの三つの柱といたしまして岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすというところに落とし込んだところでございます。
その中で、岩手で暮らすといった分野と、そこの施策推進目標の下についている指標の県民所得と全国の所得水準の乖離といったものが必ずしも合わないのではないかといった御指摘だと思いますけれども、文言的には、経済的、物理的な豊かさだけではなく、多様な豊かさをつくっていくといった観点から岩手で暮らすということを組み立てております。確かに施策推進目標一つを見ると必ずしも当たらないのかもしれないと思っておりますので、その下にございますさまざまなKPIも含めて、進捗につきましてもしっかりと把握してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今そう言っていただきましたけれども、やはり今、県民生活をもっと豊かにしようというところの文化、芸術やスポーツ振興というのは大変いいと思うのです。と同時に、人口減少で苦しいところを何とか今の水準の行政サービスを維持しようとか地域コミュニティーを守ろうと。こういった苦しいところを守っていこうというところが一緒に語られているので、何か納得できないところがあるという印象でございました。
ぜひともこの点について指摘させていただきますので、今後の施策の展開に盛り込んでいただきたいと思っておりますし、冒頭に生きにくさを生きやすさに変えるというところが大きなポイントということでありますけれども、私は、県民実感からすると、県は本当に一生懸命やっていただいて、それぞれ各所で生きにくさを生きやすさに変えていただいていると思っております。
一方で、人口減少がそれ以上の波で押し寄せている中、また、地方自治体の財政難の中、生きにくさがある部分においてはその変化以上に県民に迫っているという実感を持っているところでありまして、これから地域コミュニティーの強化というところに話をつなげたいと思うのですけれども、その前に、自治体のスリム化について伺いたいと思います。
総務省、内閣府は、小規模自治体を対象に公営企業と行政サービスの効率化を促すとしておりますけれども、本県各自治体への影響をどのように分析していらっしゃるのか伺いたいと思います。
〇石田市町村課総括課長 平成27年の骨太の方針2015を踏まえまして、総務省から各自治体に対しまして、公営企業の経営健全化や民間委託などの行政サービスの効率化を含む地方行政サービス改革の推進について通知されたところでございます。
県では、公営企業に対しまして経営戦略の速やかな策定を働きかけているほか、今年度からは環境生活部と連携いたしまして広域化等の検討体制を構築するなど、将来的に安定して事業が継続できるよう支援しているところでございます。また、民間委託や指定管理者制度等の活用が図られるよう、先進事例について情報提供するなど、市町村における行政サービスの効率化を支援しているところでございます。
各自治体への影響についてでございます。
普通交付税の算定におきましては、今年度から庁舎の清掃、あるいは体育館管理の民間委託など、歳出効率化に向けた業務改革にはいわゆるトップランナー方式が導入されております。段階的ではありますが、県内市町村の算定に影響があるものと考えております。
また、民間委託や指定管理者制度の導入につきましては、県内の市町村では全国平均か平均を上回っているところでございまして、経費節減が図られていると捉えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 経費節減はいいのですけれども、それによって、県民へのサービス低下、もしくはその分の負担が自治会や地域コミュニティーに来てはいないかという心配の意味でお聞きしたところでありまして、そこで、地域コミュニティーの強化について伺いたいと思います。
人口減と自治体の財政難から地域コミュニティーの弱体化と負担増が進んでいると感じております。県の地域コミュニティー支援は、草の根コミュニティ再生支援事業の110万円余でありまして、十分と言えるのか疑問があります。県は、各地域のコミュニティーの状況をどのように把握しているのか伺いたいと思います。
また、ふるさと創成・人口減少調査特別委員会で視察に行きました福井県では、県の事業として、地域コミュニティー支援の担い手として、若者と元気高齢者等を見据えまして、児童生徒の地域活動の推進、若者チャレンジ応援プロジェクト、シニア人材活躍支援事業、高齢者元気活躍支援事業など多くの事業を行っております。また、先ほど福井委員から市町村の事業に対して県として応援しないのかという話もありましたけれども、市町村が行う事業に対して、県が自由度の高い補助金を出している事業もございました。そういった意味で、本県でも今、御紹介したような事業導入を検討すべきではないかと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇菅原県北沿岸・定住交流課長 地域コミュニティーの状況についてでございますけれども、県では、平成26年度から平成27年度にかけまして、岩手県立大学と連携し、市町村及び集落を対象とした集落の状況等に関する調査を実施しております。集落の人口や高齢化の状況、集落が直面している課題などの現状を把握したところでございます。この調査結果によりますと、集落で直面している課題といたしまして、住民の高齢化による活動の衰退、集落活動への若手後継者の不足、集落活動への参加率の低下などが挙げられております。これらの課題につきましては、同様の調査を実施いたしました平成19年度の結果と大きな変化はございませんけれども、集落の人口減少や高齢化が進んでいる傾向にございますので、地域コミュニティー活動の低下や担い手の育成といった課題がより大きくなってきているものと考えております。
地域コミュニティーの活性化に向けましては、県では、他の団体のモデルとなる活動を行っている地域づくり団体を元気なコミュニティ特選団体として選定しているほか、地域づくりフォーラムの開催等による県内外の先進事例の紹介をしておりますほか、復興支援員制度を活用したいわて復興応援隊の配置による地域コミュニティーに根差した復興支援活動の推進や、NPO、地域コミュニティー団体が行う移住、定住の取り組みへの補助を行っているところでございます。このほか、市町村への自由度の高い支援につきましては、地域経営推進費といった市町村補助もございますので、これらの活用によってある程度柔軟な対応ができると考えております。
また、福井県の担い手として、若者と元気高齢者等を見据えた事業の事例を御紹介いただきましたけれども、県の他部局におきましても、若者のアイデアによる地域づくり活動や元気な高齢者の知恵や力を生かした社会貢献活動を積極的に支援しているところでございますので、これらの事業との連携を図るとともに、他県の取り組みも参考にしながら、地域コミュニティーへの効果的、総合的な支援ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 るる説明をいただきましたけれども、今まで若者の活躍ということでいろいろな事業をやっていただいていることも承知しております。そういった中でも、今度は地域に若者が入ってきてくれるような事業や若者が地域に残ってくれるための取り組み、プラス、若者が地域の担い手になってくれるような施策もぜひとも進めていただきたいと思っております。やはり施策体系の中で地域コミュニティーの支援というのを大きくどんとふるさと振興総合戦略の中で位置づけていただくのが大きな応援になるのではないかと思っておりますので、ぜひともよろしく御検討いただきたいと思います。
そういった中で、冒頭、御説明の中で県立大学の学生に調査していただいたというところがありましたけれども、人口が減少している中で、ふるさと振興におけるITの力というのは大きいと思っておりまして、次にオープンデータの活用について伺いたいと思っております。
オープンデータというのは、行政情報をAIが読めるような形で公表するということでありますけれども、ITを活用したふるさと振興に向けてオープンデータの活用を推進すべきと思いますけれども、本県の状況、他県と比較しての進捗状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇菊池情報政策課総括課長 県では、第3期アクションプランにおきまして、復興や地域課題対応に向けた民間企業の事業活動やNPO等の取り組みの活性化などを図るため、県の保有する統計情報等の公共データを営利、非営利問わず二次利用可能な形式で公開し、広く活用を可能とするオープンデータの取り組みを推進することとしております。
本年度、その取り組みを本格化させまして、各データを所管する部署との協議、連携のもとで、火災概況などの統計データや介護保険指定事業者一覧など、現在、11件のデータをオープンデータとして公開しておりまして、今後、順次拡大していくこととしております。
都道府県の状況につきましては、昨年12月に他県が実施した全国調査の結果によりますと、オープンデータの公開を行っている都道府県が32団体、うち、本県と同様に県が保有するデータのみを公開しているところが23団体、そのほかにつきましては一部市町村や民間データもあわせて公開している状況となっております。
〇佐々木朋和委員 私の地元に一関工業高等専門学校があるのですけれども、その生徒たちもこのオープンデータを活用したアプリの開発やいろいろな研究をしていらっしゃいます。そういった中で、やはり岩手県のオープンデータの公表はおくれているのではないかというような話もお聞きしているところであります。
岩手県には県立大学にソフトウェア学科がありまして、かねてからこの特別予算委員会、県議会でも地元への就職率が低いといった議論が出ていると記憶しておりますけれども、私は、そういった学生とより深くかかわり合いながら、学生にも、どういったデータが欲しいのか、もしくは行政側からも、これからはそういったオープンデータを公表することによって、行政ではない主体がそれぞれ勝手にアプリを開発して利便性の向上、公共サービスにつなげていく時代だと思いますので、逆にこちらから政策的に困っている部分などを提案しながら、タッグを組んでやっていけばサービスの向上にもつながるし、学生の皆さんの起業にもつながるし、また、地元愛の創出といいますか、地元へ就職ということにもつながってくると思っております。この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇菊池情報政策課総括課長 オープンデータにつきましては、今、委員御紹介のとおり、例えば防災や災害対策、まちづくり、観光、少子高齢化等さまざまな地域課題につきまして、民間事業者、NPOといった主体が自由にデータを加工し、データを活用した事業展開やアプリ開発が進み、地域課題の解決、さらには経済の活性化などにつながる、意味を持つ取り組みと認識しております。
本県では、先ほど御紹介したとおり、本年度取り組みを始めてまだ11件程度の公開ですので、課題としては、オープンデータの取り組みの必要性をさらに庁内で認識を共有しまして、データの拡大はもちろん、データの形式の統一や委員から御指摘がありましたニーズの把握も重要な課題と思っておりましたので、御指摘いただいた県立大学との連携も視点に含めて検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 部長にお聞きしたいと思いますけれども、ふるさと振興総合戦略の岩手で暮らすの部分の指摘でありますとか、また地域コミュニティーの強化について議論させていただきましたけれども、全体の政策のあり方についての話ですので、ぜひ部長の所見をお伺いしたいと思います。
〇大平政策地域部長 ふるさと振興総合戦略につきましては、人口問題はあらゆる手を打たなければいけないという基本的な考え方があった上で、大きな問題意識として、若者の流出は18歳、22歳というところが大きいと。その社会減をどうやって減らすかというのがまず一つございます。あとは出生率の低下、1.4程度にとどまっているのを2.07に上げるにはどうしたらいいかという大きな問題があります。ということで、くくりとすれば、岩手で働くという社会減の問題、あとは出生率を上げていくということで、岩手で育てるというくくり。その言葉が適切であったか、それはさまざま他県のものも後から見ていろいろなくくりがあるのもわかっておりますけれども、それが適切であったかはおいておいて、そのときはこういうくくりがいいのではないかと。だけれども、ベースとなるそのほかに、岩手の魅力あるいはコミュニティーなどの暮らす基盤、そういうものも魅力あるものにしていかなければいけないということで、もう一つのくくりとして暮らしという表現をしたものであります。
暮らしの場合のKPIはなかなか適切なものがなかったので最初は定性的なものにしておりましたが、国との協議の中で、やはりきちんとしたKPIを管理しなければいけないということもあって、所得の部分で置きかえたものであります。先ほどの千葉絢子委員とのいろいろなやりとりの中でも、必ずしもそれが暮らしをあらわすものかどうかというのはあるわけでありますが、何らかのものということで、その時点でベストということで考えたものであります。
一方、これからは次の計画も検討しなければいけませんので、次の計画は、今回のふるさと振興総合戦略、人口ビジョンを踏まえた上で、では、次の10年どうやっていくかということを考えなければいけません。そのときには、やはり今までの県民計画のみならず、その過程でつくってきた今の人口ビジョン、今、検討しています幸福度、そういうさまざまなものを検討要素に加えながら、あるいは県議会での議論も踏まえながら今後検討してまいりたいと思っております。
〇名須川晋委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇佐々木朋和委員 対策はこれからだと思いますので、人口減少に歯どめをかけるのはもちろん大事ですけれども、これまでの人口減少対策、ふるさと振興をやってきた中で、なかなか人口減少に歯どめをかけるのは時間がかかる。その中で、いかにして痛みを和らげるかという施策がコミュニティーの強化などだと思いますから、そのところにぜひともスポットライトを当てて進めていただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、皆さんがほとんど関心を持っていない、また興味もないだろうということを取り上げたいと思います。
それは、生きにくさを感じる一つのことですけれども、女性の活躍を支援していこうという中で、どうもキャリア形成に結びつかないと思うことがあるのです。それは旧姓使用です。結婚や離婚によって戸籍上の氏、名字が変わりますけれども、旧姓使用を認めるか認めないかということについて市町村はどうなっているのかということです。市町村の職員は、意識を持って男女共同参画なり女性活躍推進なりを進めていかなければならない最先端にいるわけですけれども、まず市町村職員の旧姓使用についてはどのようになっているか。
平成13年には国家公務員が旧姓使用できることになって、県にも通知があって、県には市町村に通知をするようにということだったわけですけれども、現在も、私が電話で照会したりすると、半分くらいのところでは何ですか、それというような形で意味もわからないというようなところもありましたし、わかっているのですけれどもなかなかというところもありました。現在の状況を把握しておられるでしょうか。
〇石田市町村課総括課長 現在、県内33市町村のうち、旧姓を使用することができるのは11市町村となっております。
〇佐藤ケイ子委員 やっぱりそうだなと思いました。
沖縄県で調査をしたのですけれども、沖縄県でも、県と18市町村は認めているけれども、あと10市町村は認めていないということでありました。一般の企業では65%近くが認めているのです。行政のほうがおくれているのです。そういったことではなかなか意識改革にもならないのではないか。
何で進まないかというと、総務の担当者は、申し出がないとか、事例がなく考えたことがないとか、そういうことを言うわけです。逆に-女性職員のほうが多いのですけれども-女性職員のほうは、規定がないので諦めている。結婚することになったので申し出たけれども、規定がないと。申し出た時点ではもう既に遅いというか。ですから、そういう基盤をつくってあげないと諦めることがあります。
女性活躍加速のための重点方針2016というのが総務省から出ているそうですけれども、その中の一つに、旧姓使用の拡大のため、住民基本台帳法施行令の改正でマイナンバーカードに旧姓を併記することができるようになったということでございます。これも全体的に広めなさいと。国家公務員は旧姓使用の範囲を拡大していきます。地方公務員も旧姓使用がしやすくなるように各地方公共団体に働きかけなさいということで明記されているわけです。県としても、県内市町村に再度通知を出すとか、女性の管理職の登用はどうかとか、そういった調査をすべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇石田市町村課総括課長 毎年度、県では、市町村に対しまして給与制度や勤務条件に関するヒアリングをしておるところでございます。そうしたことから、旧姓使用をしていない市町村に対しましては、こういう機会を捉えまして、委員から御案内のありました国における申し合わせの内容を再度市町村に情報提供するとともに、県においても規定を設けておりますので、これらを紹介しながら周知を図ってまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 もう終わりますけれども、私もそうですけれども、私、佐藤の名字になって三十何年になるのですが、どうもしっくりこないのです。もとの名字がさほど、貴重な名字かというと、どこにでもある名字なのですが、それでもやっぱり自分らしくないという思いを結婚当時からずっと持っています。もっと資格を持っている人とか出版をしている人とか、資格を生かしている方々はキャリア形成に本当に影響すると思うのです。柔軟な生き方や多様性を認めるようなそうした基盤づくりを進めていただきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 私からは、科学技術によるイノベーション創出についてお伺いいたします。
革新的な技術の小型無人機についてですけれども、ドローンの活用方法が建設工事現場から観光、災害状況の撮影、農業部門、そして放射線量測定、はたまた宅配便まで幅広くなり、活躍の場面が一段と増してきております。これが社会的イノベーション、または販売イノベーションにもつながっていくものと思っております。
ただ、この小型無人機に関しましては、ライセンスを発行する公益財団法人日本航空教育協会は、受講年齢の16歳以上への引き下げについて、知識と技術を身につけたパイロットをふやす必要があると話されております。また、政府は、国家戦略特区法で地方創生特区を指定し、イノベーションを前面に打ち出す方針でもあります。サンドボックス制度として手続を大胆に簡素化させる改正特区法施行から1年以内に詳細を詰めるとされておりますけれども、県として、新制度を見据えどのようなイノベーションを考え、準備されていくのかお伺いいたします。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 小型無人機-ドローンの活用についてでございますが、近年、遠隔操作や自動操縦により飛行し、写真撮影などを行うことができる小型無人機について、農林水産業や物流、測量、災害監視などさまざまな分野での利活用が注目されております。県におきましても、空撮による森林情報等の収集方法等を研修するための備品購入費を平成29年度当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
このような中、県におきましては、関係省庁、メーカー、利用者等の団体をメンバーとする小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会での段階的な利活用や技術開発に向けたロードマップ、安全確保に向けた制度設計の検討を進めるとともに、先ほど委員からお話がございました今国会に提出予定の改正特区法案におきまして、ドローン等の実証実験の迅速化に向けまして、安全性に十分配慮しつつ、事前規制、手続を抜本的に見直すための具体的方策を1年以内に検討、措置する旨の方向性を示しているところでございます。
県といたしましては、小型無人機はさまざまな分野における新産業の創出や県民生活の利便性や質の向上に資する利活用が期待されるものと考えております一方で、安全確保、利用促進、技術開発などさまざまな視点からの課題解決-規制等もございまして-が必要と考えておりますので、県事業における小型無人機の活用状況、効果などを把握いたしますとともに、国の検討、実証試験の動向も注視しながら、その利活用について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 イノベーションの成功のためには、社会が欲しているという要件が条件と思います。つくらないといろいろな状況がわからないというのもありますけれども、いずれにしましても岩手初のイノベーションというものは注目されておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
あと1点、確認ですが、ドローンに関しましては県では購入されていましたでしょうか。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 まだ購入はしておりません。先ほど申し上げましたように、平成29年度当初予算案の中で、空撮による森林情報等の収集方法を研修するための備品購入費を計上したところでございまして、来年度からという形になると思います。
〇阿部盛重委員 来年購入されるということでよろしいですね。わかりました。他の自治体でもう購入されているところもあるようですので、ちょっとお聞きしました。
次に、ILCに関しましてお聞きいたします。
先ほど佐々木順一委員からもお話がありましたけれども、いろいろな対応はされているようでございます。基本的には、1兆円を超す加速器施設建設コスト、あと、年間の経費が490億円ということが大きい課題だと思うのですけれども、ステージングの手法の検討は、今現在どのような進捗状況で、県としてどのような支援対応をされているのかお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 ILCの建設コストについてでございますが、ILCの実現に向けては、1兆円を超えると言われている建設コストが課題の一つとされております。研究者間においては、昨年12月に盛岡市で開催された国際会議-リニアコライダーワークショップにおきまして、ILCの規模について、第1段階を20キロメートル程度とし、段階的に拡張していく、いわゆるステージングという手法について検討が開始されておりまして、夏ごろに中国で開催される国際将来加速器委員会の会合におきまして、建設コスト縮減を図った計画書が確認される見込みと伺っているところでございます。
県といたしましては、引き続き関係機関との連携を密にし、建設候補地周辺の地下水や雨水の浸透、排水の現況調査など建設コスト削減の取り組みを支援し、ILCの実現に向け取り組んでまいります。
〇阿部盛重委員 先ほど質疑の中でいろいろな関係団体との連携というお話がありましたけれども、文部科学省と国会議員超党派のILC国際研究所建設推進議員連盟への働きかけの内容と、その後、県に対して何か要望等があって、またそれに対しての要望事項に関して、実行動等があればお話しいただければと思います。
〇熊谷ILC推進課長 県では、文部科学省に対し、昨年6月、政府判断までのプロセスの明示、国際調整等の速やかな進捗、国内誘致の方針の早期決定を内容とする要望を行っているほか、復興に関係する場など、さまざまな機会を通じて要望を行っているところでございます。
また、昨年12月に開催されたリニアコライダーワークショップにおきましては、超党派の国会議員連盟の河村会長と知事等がILCに関し意見交換したほか、県議会の議員連盟を初め、岩手県国際リニアコライダー推進協議会など県内関係団体において、今年度、国や国会議連に対しまして計4回の要望活動が行われております。
東北では、北海道東北地方知事会、北海道・東北6県議会議長会、東北ILC推進協議会などの関係団体から国等へ計7回の要望活動を行っているところでございます。
今後におきましても、ILCに関係する多くの方々と密接に連携しまして、要望活動を強化していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 ぜひ国際研究機関になるよう、自治体及び建設、情報通信等、各業種のさらなる密な関係を保って、国際的な研究都市に、そして地方創生に結びつくようよろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 まず最初に、台風第10号災害の復旧、復興の取り組みについてお聞きいたします。
全壊、大規模半壊等の被災者の住宅確保の状況はどうなっているでしょうか。これは、応急仮設住宅、在宅、住宅再建を分けて示してください。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 台風第10号災害により自宅に住むことができない方の住宅を確保するため応急仮設住宅の整備を行っておりまして、みなし仮設を含めた応急仮設住宅への入居戸数は233戸となっております。
また、全壊及び大規模半壊の住家被害を受けた世帯に対しましては、被災者生活再建支援法に基づきまして、基礎支援金のほかに、被災者の住宅再建の意向に沿って、住宅の建設、購入や補修等に応じた加算支援金が支給されることになっております。
各被災者の住宅確保の状況についてでございますが、市町村によって集計方法や捕捉率が異なるため一概には言えないものの、在宅で生活している世帯が全体のおおむね6割弱程度、応急仮設住宅に入居している世帯がおおむね3割弱程度、そのほか、市町村営住宅や民間の賃貸住宅に入居している世帯、または親類等のお宅に住んでいる世帯等がいると推計しております。
〇斉藤信委員 改めて聞きますが、全壊、大規模半壊の数はどう把握していますか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 全壊世帯が471世帯、大規模半壊世帯が523世帯となっております。
〇斉藤信委員 先ほど、応急仮設住宅は233戸で約3割と。在宅が6割ですから、この倍です。466戸前後ということになると思います。
岩泉町は大変被害が大きかったけれども、在宅で避難生活をしているというのが今回の台風第10号災害の特徴なのです。岩泉町も6人の支援員を新たに配置して連日被災者を訪問して対策をとっているけれども、この方々の住宅再建の方向、住宅改修の方向なのか住宅建設の方向なのか災害公営住宅なのか、今の段階でそういう意向把握はどうなっていますか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 特に被害の大きい岩泉町につきましては、ただいま町で住宅意向調査を行っておりまして、その結果を受けまして、県のほうで今後、災害公営住宅の建設について必要な助言を与えていくことになっております。
〇斉藤信委員 半年が経過して、大変厳しい冬を乗り越えつつあるといいますか、大変な状況だと思います。
そこで、岩泉町の復旧、復興の課題で、我々も直接要望を受けて、高田委員も一般質問で取り上げましたが、国の補助制度がない生活橋の再建、情報通信施設の復旧には今どのように取り組まれているでしょうか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 ただいま御質問にありました生活橋、それから情報通信基盤等についてですが、今、岩泉町でその災害箇所数、それから今後の本格復旧の方法あるいはその規模等について検討しているところでございますので、県でもその方向性が決まったところに向けて相談をしながら、今後の対応について岩泉町と一緒になって考えていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 答弁がちょっと不十分ですね。例えばテレビの共聴施設は国の補助ができたわけでしょう。そして、その他のものは一般単独災害復旧事業債を活用するという方向を出して、もう岩泉町は来年度当初予算を出して状況が変わっているのだから、もっとリアルな答弁をしてください。私が言ったとおりですか、どうですか。
〇植野台風災害復旧復興推進課長 生活橋につきましては、本格復旧の方向が岩泉町のほうで決まっておりませんで、岩泉町の来年度当初予算にはまだ計上されておりません。
〇菊池情報政策課総括課長 岩泉町の情報通信基盤の被害の現状ですけれども、委員御紹介のとおり、国のほうで、新たな制度ではないのですが既存制度の要綱を改正する形で久慈市、岩泉町のテレビ共聴施設の復旧については補助の対象として認められることになりました。ただ、光ファイバー等については、これも委員御指摘のとおり一般単独災害復旧事業債ということで、国の新たな補助制度は現時点で難しい状況となっております。
岩泉町につきましては、基本的に応急復旧を進めておりまして、テレビにつきましては応急復旧できるところはもう既に終わっております。ただ、応急復旧に入れないところについては、経過措置というか、役場のほうでBSアンテナを希望する方に貸与する措置をとっておりますし、インターネット環境については一応仮復旧している状況と把握しております。
〇斉藤信委員 いずれ情報通信施設というのはまさに生活インフラで、生活に不可欠の大事な課題だと思うのです。岩泉町に行けば、今でもテレビが映らないところがある、こういうふうに言われますので、ぜひ現地の対策本部ではないが課長も配置して、岩手県は引き続き岩泉町に寄り添ってやっているので、しっかりやっていただきたい。
改めて聞きますが、災害復旧というのは3年が基本です。あれだけ大規模な事業を抱えて事業数も多い。だから、災害査定もそうですけれども、そこから実施設計、事業の発注という点で、土木職員の確保が必要だし、事務職員も、本当にこの3年間でやり切るという点では大変切実な課題だと思いますが、今の段階で来年度の要請と確保数はどうなっていますか。
〇石田市町村課総括課長 応援職員の確保についてでございます。
発災以降これまで、避難所運営、災害査定などの対応を行っておりまして、3月1日現在の派遣実績は、短期派遣延べ1、631人、中長期派遣3人で、現在3名で対応しているところでございます。
平成29年度につきましては、委員から御指摘がありましたとおり、道路、河川等の災害復旧事業が実施されるということで、岩泉町からは16人の派遣要請を受けているところでございまして、現在の確保数は土木職員が7名となっているところでございます。
〇斉藤信委員 県内市町村も東日本大震災津波でも派遣しているし県外からも派遣を受けているけれども、岩泉町の被害は東日本大震災津波の10倍規模です。本当に想像を超える被害になっていますので、今の実態を聞くと大変な厳しい状況なので、引き続き努力をしていただきたい。
次に、東日本大震災津波の復旧、復興にかかわって、特定被災地域公共交通調査事業についてお聞きします。
今年度の実績と来年度の実施計画はどうなっているか。
〇大坊交通課長 特定被災地域公共交通調査事業についてでございますが、平成28年度におきましては、7市町村、67路線に対しまして2億6、407万7、000円の交付決定となっております。平成29年度の実施計画につきましては、国におきまして、現在、市町村に対し要望照会しており、現時点では未定でございます。
〇斉藤信委員 被災地の状況というのは、陸前高田市の場合はやっと盛り土が完成しつつあると。全体として、防災集団移転とか、やむなく分散的なまちづくりになっている。
特定被災地域公共交通調査事業というのは、応急仮設住宅と病院や学校や役場をつなぐことが原則になっていて、この1年間で急速に災害公営住宅が8割ぐらいできますので、来年度末だと9割ぐらい完成すると。そうすると、この調査事業の対象がいや応なく減少してしまう。しかし一方で、被災地は新たな交通体系を求めているのです。災害公営住宅や高台団地と町の中心部、商店街を結ぶ。私は、そういう点で、決算特別委員会のときにも取り上げましたけれども、この国の調査事業を新たなまちづくりに対応できるようなものにしないと本当にまちが成り立たないのではないかと思いますが、どのように対応して、国の対応はどうなのか示してください。
〇大坊交通課長 ただいま委員御指摘のとおり、この調査事業というのは被災地の交通再建にとりまして非常に重要な役割を果たしていると私どもも認識しております。制度自体につきましては、発災直後、平成23年度から5年間という時限措置で平成27年度をもって一旦切れるという話になっておりましたが、非常に重要な制度でございますので、私ども、国にこの制度の延長を要望いたしまして、平成28年度から平成32年度まで5年間の延長となっております。
ただ、委員御指摘のとおり、中身につきましては、刻々と変わるまちづくりの状況にマッチしているかといえば、応急仮設住宅を結ぶという要件が依然としてありまして、高台や災害公営住宅といった新たな生活拠点を結ぶ仕組みになっておりません。ですから、これから応急仮設住宅もなくなっていく中で、新しい生活拠点をうまくつなぐような制度、なおかつ、平成32年度までとなっておりますが、もうしばらくの間、復興の状況も見まして、延長も視野に入れながら国には提案してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 国の復興に対する姿勢が私はこの問題では示されていると思います。被災地の実態に合わない。平成32年度までは継続、これは一歩前進。課長が言うように、平成32年度でこれが済むわけでもない。本当に新しい、前例のないまちづくりを被災地はしているのです。だから、前例のないまちづくりに対応した交通ネットワーク、それへの必要な支援策をぜひ被災3県を含めて国へ強力に求めていただきたい。
次に、JR山田線の復旧についてお聞きしますが、釜石-宮古間の復旧状況と、新駅も設置することとか、山田線では、JRがつくる駅は本当にプラットホーム・プラスアルファなのです。だから山田町では独自に駅舎にさまざまな機能を加味した駅をつくるという話をお聞きしてきましたが、そういう駅舎、新駅の設置、今後の見通しはどうなっていますか。
〇大坊交通課長 まず、釜石-宮古間の復旧状況についてでございますが、現在、津波で流失した区間につきましてはJR東北工事事務所が施工しておりまして、津波で流されていない区間-非流失区間につきましてはJR盛岡支社が工事を行っておりまして、大槌川橋梁などの難工事地区から工事を進めている状況でございます。
JR盛岡支社におきましては、復旧工事について、平成30年度内の開業を目指しおおむね計画どおりに進捗しておりまして、現在は橋脚復旧、盛り土作業、線路補修などを進め、復旧工事は順調に進んでいると認識しております。
平成29年度におきましては、復興まちづくりの進展に合わせまして軌道の工事、電気通信系の工事に着手し、平成30年度の半ばまでにこれらを完成させ、その後、半年間かけていろいろな信号試験や試運転を行い、平成31年3月ごろを目途に開業を目指す予定となっております。
新駅の設置につきましては、具体的に動きがございますのは、宮古市におきまして山田線内の磯鶏-津軽石間の八木沢地区、津軽石-豊間根間の払川地区の2カ所に新駅を設置する計画と聞いております。
来年度の宮古市の当初予算案に実施設計費を盛り込みまして、先ほど申し上げた平成31年3月に開業を迎えますが、それまでの間に新駅を整備したいという予定と聞いております。
また、陸中山田駅のお話がございました。確かに復興まちづくりを進める上で駅を中心としたまちづくりは非常に重要でありまして、陸中山田駅を再建する場所の前には商業施設あるいは災害公営住宅などができてきております。そういった中で、駅を単に駅ということだけではなく、例えば観光の機能やさまざまな機能を持たせて、駅を中心に、交流人口であったり町民の皆さんの利便性を高めるといった施策は非常に重要と思っておりまして、山田町からはそういった駅の整備についての御相談も受けているところでございます。私どもも、JRと施工面でのいろいろな協議がこれからありますので、そういったところをお手伝いできればと考えております。
〇斉藤信委員 では、山田線の盛岡-宮古間は土砂崩壊による運休がずっと続いているわけですけれども、この工事は順調に進んでいるのか。開通の見通しはどうなのか示してください。
〇大坊交通課長 JR山田線の盛岡-宮古間の状況につきましては、平成28年9月から本格的な復旧工事に着手しておりまして、具体的には、土砂が崩落した山の所有者でございます林野庁が、崩壊地域の崖の上のほうの土砂を撤去いたしまして、崩れてこないようにアンカーを打ちつけるという工事を行っております。
その工事につきましては、順調に進み、この3月までに完了する予定になっておりまして、4月からは下のほうの崖をJRが同じようにアンカー工を施工し、崩落しないようにした上で、その下にまだある車両の撤去と鉄路の復旧を行い、運行再開を図るという予定になっております。
スケジュールといたしましては、おおむね本年の秋ごろまでに工事を完了するという見通しが示されておりまして、その後に速やかな運行再開を図りたいというJRの意向が示されております。
〇斉藤信委員 次に、人口減少対策についてお聞きいたします。
岩手県ふるさと振興総合戦略では、2020年までに社会減ゼロを目指すと。私は極めて大胆で戦略的な目標だと受けとめていますが、1995年に社会減が329人だったと。私もこの根拠がよくわからなかったのだけれども、91年から93年はバブル崩壊なんですね。いわば日本の経済が落ち込んで、東京の有効求人倍率も岩手県より低いというときに、外的要因で社会減が329人になったと。ゼロにするというのですから、目標はそれ以上の目標なんですね。だから、これは大変な目標ですよ。しかし、そういう大変な目標を提起するのだったら、それを裏づける積極的で具体的な方策が示されなかったら、これは絵に描いた餅になると。残念ながら、今の段階では社会減ゼロを目指す根拠が示されていないと私は思うのです。
きょうは全体について取り上げるつもりはないのだけれども、特に岩手で働く、この点で私は12月の一般質問でも取り上げましたが、岩手県の高卒者の県内就職率が64.1%で、東北でも低い、全国でも低い。これの目標が67%程度で東北の下位グループから脱出できないような低い目標では、社会減ゼロどころではないのではないか。せめて山形県に追いつくような、10%以上引き上げるような取り組みをやるべきではないかと。先ほど北陸が議論になっていましたが、北陸は県内就職率が90%を超えているのですよ。
もう一つは、大卒者の県内就職率は今45%前後なのです。今、大学は大学間連携で、COCプラスで45%ぐらいの現状を55%にするという目標を掲げているのですよ。だったら、私は県内の高卒者の県内就職率も本当に10%以上、専修学校もさらに10%以上引き上げるという目標を立てて、そのための具体的な取り組みを進めるべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇小野政策監兼ふるさと振興監 岩手で働くに係る目標の設定、それから取り組みといったことでございます。
県内就職率につきましては、いわて県民計画第3期アクションプランの目指す姿指標といたしまして、高卒者につきましては、先ほどお話がございました平成26年度実績値63.4%を平成30年度までに66.5%とするといったことにつきましては、県内就職率を過去10年間の最高値に近づけることを目指すといったことで設定したものでございます。
また、大卒者につきましては、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業の取り組み効果を勘案いたしまして、平成26年度実績値45%を平成30年度までに53%とすると掲げたところでございます。
他県との比較、これでゼロを目指せるのかといった御指摘もございますけれども、18歳から20歳代前半についての社会減に対してしっかり手当てしていくことが重要といった人口ビジョンの分析に基づきまして総合戦略を策定したところでございまして、まずは、この目標の達成に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
この社会減の内訳を見ますと、今お話しいたしました進学、就職期の転出が顕著であるといったことから、これまでの取り組みに加えまして、いわて働き方改革推進運動の展開等を通じた長時間労働の是正、それから、正規雇用の拡大など雇用の質の向上、奨学金返還支援制度を活用した大学生等の県内への還流、定着、首都圏の大学生等を対象としたインターンシップなど、若者の県内就業の促進に向けた新たな取り組みを進めることによりまして、社会減ゼロを目指すという考えでございます。
〇斉藤信委員 全然説得力がなかった。というのは、第3期アクションプランの後に、ふるさと振興総合戦略が出ているのでしょう。もっと大胆な戦略が。だったら、第3期アクションプランでは対応できないとはっきりしているのではないですか。あなた方のふるさと振興総合戦略というのは、もっと大胆な方向性を出したのではないですか。
そして、若年層が減っているのです。若年層が減っている中で就職率を上げなかったら、県内中小企業、最も切実な方々が人材不足ですよ。中小企業は県内雇用の9割を占めているのですよ。地元の人たちの要望にも応えられない、皆さんの戦略も達成できない。新しい戦略を掲げたら、新しい戦略にふさわしい政策を具体化するのは当然ではないでしょうか。
リアルにお話ししますけれども、例えば県内の高卒者の県内就職率は高校でばらつきがあるのです。40%から80%、高いところもあるのですよ。だから、個別にしっかり取り組んでいけば10%ぐらい上げることができるのですよ。そういうことがないから、例えば就職支援員が配置されていますけれども、就職率向上が第一義的目的なのです。県内就職率を高めるということがしっかり位置づけられていないと私は思うんですね。
今、地元志向ですよ。地元志向があるのだから、地元の本当に元気な中小企業を紹介して、キャリア教育、さまざまな取り組みを強めれば、私は、十分そういう方向を切り開くことはできると思うけれども。
部長、社会減ゼロというこの目標がどんなに重大な大きなものなのか。大きなものを掲げたけれども、中身がないということではいかんのではないのかと。やっぱり社会減ゼロを実現するにふさわしいそれぞれの対策を求める必要があるのではないですか。これで最後にしますから、しっかり答えてください。
〇大平政策地域部長 県内就職率の向上のためには、さまざまな手法があると思っております。例えば、企業の魅力を高めるとか、給料を上げるとか、あるいは地元の企業を知るとかさまざまなことがありますので、当部のみならず、教育委員会、商工労働観光部、その他関係部局にも、もう一度この社会減ゼロにするという目標の周知を、機会を捉えまして、政策会議等ございますので、そういうところはさらにもう一回徹底するようにして、何とか目標に少しでも近づけるように県を挙げて取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 私は、バス交通関係について質問をいたします。実は、私の地元でも4月1日からバスの間引きが結構行われそうだということを耳にしておりますので、それに関連してお尋ねいたします。
まず一つは、地域バス交通支援事業費補助についてであります。これは、地域住民の皆さんの生活の足を確保するために、市町村が実施する公共交通ネットワークの再編や既存路線の利用促進に要する経費を補助するということで、大変いい制度ですが、これには、例えば私の地元では、コミュニティバスとかデマンドバスなどもあると思いますが、私は、住民の足を確保するという点で本当にこういう事業を拡大していくことは非常に大事だと思いますが、県内の実態と今後の見通しがどのようになっているかお聞きしたいと思います。
〇大坊交通課長 コミュニティバス、デマンドバスといった住民の方々の生活の足についてのお尋ねでございます。
実態についてというお尋ねでございますが、平成27年度におきましては、市町村営バスの有償運行、コミュニティバス等になりますが、14市町村、156系統で行われておりまして、市町村がバス事業者に委託しながら有償運行しているものが9市町村、65系統で行われております。
また、このほか、市町村におきましては、無償による患者輸送バスでありますとか福祉バス、スクールバスといった多様な足を使いまして住民の足を守っている状況でございます。
一方、今後の見通しについてでございますが、地域におきましては高齢化が非常に進んでおりまして、バス停まで移動できないようなお年寄りが非常に多くなってきております。いわゆる、ドア・ツー・ドアの需要が非常に高まっているところに加えまして、バス自体が来ない交通空白地も広がりを見せております。
対応の手段といたしましては、デマンド交通でありますとか、自家用車を使いました有償運行制度というものがありまして、こういったようなものを導入して、これらに対応していくことが課題となってございます。
県といたしましては、デマンドバス実証運行などを支援いたします、先ほど委員からお話ありました地域公共交通活性化推進事業といったものの補助を通じまして、引き続き、市町村が行う地域交通確保の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、バス運行対策費補助についてお伺いいたしますが、これは、住民生活に欠くことのできない地方バス路線を維持するため、当該路線を運行するバス事業者に対して、運行欠損額及び車両購入費等を補助するという制度でございます。
先ほども言いましたけれども、今、このバス運行について、例えば私の地元であれば、国道397号においてかなりの間引き運転となると聞いております。これは利用者の減少等があってそういうこともあるのだと思いますけれども、私は、高齢者の足確保という点で大変な課題だと思っております。
この地方バス路線の維持について、どのような状況となっていますかお聞きいたします。
〇大坊交通課長 地方バス路線の維持につきましてのお尋ねでございます。
県におきましては、国との協調補助あるいは県単独予算によりまして、広域的で幹線的なバス路線につきまして、その収支欠損を補助するという支援を行っております。
平成28年度におきましては、県内で68路線に対しまして、県の負担額として2億5、910万円を支援しております。
また、平成29年度におきましては、県内で、同じく68路線に対しまして、県の負担額として2億6、934万1、000円を当初予算案に盛り込んだところでございます。
県内のバス路線の状況につきましては、やはり利用者の減少に伴います路線ごとの収支の悪化が非常に進んでおります。
県におきましては、市町村とか交通事業者などと連携いたしまして、その路線の収支を改善する路線のあり方検討会を開催いたしまして、まずは、お金もさることながら、利用者をふやす取り組みに力を入れております。
今後とも、こういった関係者と連携いたしまして、バス路線の維持、活性化を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今、御紹介いただきましたが、路線のあり方検討会で利用者をふやす検討もなされているということで、私も非常に大事だと思います。
ただ、さっき私は、国道397号の話をしましたが、その後に、国道4号で水沢から前沢に行く路線もかなり減らされると。それから、江刺の岩谷堂から北上市に行く路線も廃止されるとか、大きな路線、幹の路線が次々と減らされる状況にあるという情報が入ってきましたので、本当にこれは大変な課題だと思っています。
特に、市町村合併によって地域は非常に過疎化が進んでいる状況のもとで、高齢者の方々の足確保が、こういうことになると本当に難しくなります。また、高齢者にとっては免許証の返納の問題なども出まして、代替交通がどうあればいいのか。ですから、利用者をふやすこともそうなのですが、両面で検討していくことが必要だと私は思うのですが、この路線のあり方検討会は、例えば市町村ごとのあり方検討会がきちんとやられているのか、この点お伺いいたします。
〇大坊交通課長 路線のあり方検討会は路線ごとに行っておりまして、ただいまお話のあった減便の路線みたいなところです。複数の市町村にまたがって、収支が悪くなってきているような路線につきましては、現に運行しているバス事業者とか、それにかかわる複数の市町村の担当の方と一緒になりまして、まず一つは、利用者をどうしたらふやせるのか、もう一つは、路線の効率化、例えば重複した路線があれば、それを一本化するとかといった路線を効率化していくというような設計部分を検討していくということでございます。
いずれ、人口減少も背景といたしまして、幹となる幹線の利用者が非常に減っているのは事実でございますので、利用増と路線の効率化といった観点の両にらみで対応してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に移りますが、この利用をふやす上で、それから、さまざまなあり方を検討する上で、公共交通活性化支援チームというものがありますが、これは、公共交通に関する個別の地域課題の解決支援を行う有識者などから成るチームということでありますが、この派遣の状況、活動内容と実績について、まずはお聞きしたいと思います。
〇大坊交通課長 公共交通活性化支援チームの派遣の実績等についてでございますが、平成28年度におきましては、12市町村に対しまして派遣、支援等を行っております。
具体的な例で申しますと、二戸市におきましては、地域内循環バス、中心市街地を定間隔で走らせているバスがございますが、これの運行の設計でありますとか、あるいは、我々混乗と言っていますが、スクールバスへ生徒だけではなくて一般の方も乗せる、こういう取り組みに関する検討の支援といったものを行っております。
また、滝沢市におきましては、現在、地域公共交通網形成計画という国の法律に基づく計画をつくっておりますが、これへの助言、あるいは軽米町におきましては、コミュニティバスの運行を見直ししたいといったものに対する助言などを行っております。
〇千田美津子委員 そうしますと、市町村がいろいろ悩んでいる部分があるわけですが、市町村からの要請があれば、このチームの派遣にも応えていただけるということなのでしょうか。
〇大坊交通課長 ただいまお話のございましたとおり、市町村への支援がまずは目的の第1でございまして、市町村におきましては、専門の交通対策の部門がないところが非常に多いです。観光と一緒に交通対策をやってみたり、総務がやってみたりということで、なかなかそういった知見とかマンパワーが足りないところが多いので、そういったところに有識者の方々を派遣して支援するというのがこの制度でございまして、市町村の御要望に応じながら支援を行っているところでございます。
〇千田美津子委員 この公共交通活性化支援チームの資料をいただきましたけれども、福島大学の先生とか、地域づくり支援センターの理事とか、本当にすばらしい方がチームに入っておられます。こういう専門家の助言を得て、市町村は本当にみんな悩んでいると思うのですが、これらを具体化、成案化していく上で、このことは非常に大事だと思いますので、これからもぜひよろしくお願いしたいと思います。
それから、市町村にとっては専門家がいないのですよね。ですから、これが頼りと言えば本当に頼りですし、スクールバスの混乗については、いろいろ議論があったり制度的な制約があるということで見送ったところもかなりあるので、そういう情報の伝達も含めて、是非これについては、なお一層、市町村への支援をお願いしたいと思いますので、その点をもう一度伺って終わります。
〇大坊交通課長 ただいま委員御指摘のとおり、繰り返しになりますが、市町村の方々も悩みが非常に深い部分でございます。専門の組織も持たずマンパワーも少ない中で、全市町村にわたる公共交通をどうしていくかということで頭を悩ませているのが実態でございます。これにつきまして、この公共交通活性化支援チームを十分に活用いただきまして、御支援ができればと思っております。
いろいろと市町村と連携しながら、今後とも公共交通の活性化に努めてまいります。
〇臼澤勉委員 私からは、まず初めに、ILCの実現についてお伺いいたします。
昨年12月に国際会議が開かれましたが、私は、いよいよことしが勝負の年だと認識しております。このILC実現の見通しを県はどう捉えているのか、まずお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 ILC実現の見通しについてでございます。
国では、平成26年5月にILCに関する有識者会議を設置しまして、平成27年6月には中間の取りまとめ、平成28年7月には人材の確保・育成方策の検証に関する報告書を取りまとめ、そして、現在は四つ目の作業部会となる体制及びマネジメントの在り方検証作業部会を設置するなど、着実に議論が進んでいるところでございます。
また、超党派の国会議員で構成される議員連盟では、平成28年2月に米国において日米先端科学技術フォーラムを初めて開催し、国会議員間の交流の場が設けられたところでございます。
本フォーラムを契機といたしまして、文部科学省と米国エネルギー省は、行政的事項について意見交換を行うため、昨年5月にディスカッショングループを設置しまして、これまで3回議論を行っているところでございます。
また、昨年12月のリニアコライダーワークショップにおきましては、国会議員連盟の河村会長が、ILCに対する日本の役割をサイエンスファーストというメッセージで呼びかけたところでございます。研究者におきましては、ILC建設に効果が高いとされるステージング、段階づけの提案がございまして、現在、世界中でその方向で検討を進めているところでございます。
このように、ILCに関係するそれぞれの立場で着実に検討が進められていることを踏まえまして、県といたしましては、引き続き、有識者会議や国会議員連盟、研究者の動向等に注視しながら、関係機関と連携した国への要望活動や地元としての受け入れ環境の整備、広域的な地域づくり等の準備を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 来年度予算でプロジェクト研究調査事業費が拡充されておりますが、立地環境などに関する調査研究をどのように進めるのか、具体的な内容と今後の取り組み方針についてお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 調査研究の具体的な内容と今後の取り組みの方針についてでございますが、県では、これまで、建設候補地としての基礎的な自然環境調査や地質、地下水等の調査を初め、国際化への対応、加速器関連産業への参入の可能性などの調査を行ってきたところでございます。
平成29年度は、ILCの設計サイドから地質調査がまだ行われていないエリアの調査の要請がございまして、東北大学などと共同して対応を進める考えでございます。
今後は、外国人の受け入れについて、直接、海外の研究者からのヒアリングや意見交換など、研究環境や生活環境の整備に向けた具体の方策の検討を行っていきたいと考えております。
〇名須川晋委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
〇臼澤勉委員 今回、大規模な開発も予定されておりますので、環境影響評価とか自主アセスメントも改めて準備を進めていく必要があろうかと思います。
それで、改めて聞きますが、自主アセスメントを行うことによります現在の準備状況、そして、実施主体及び今後の予定はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇熊谷ILC推進課長 県では、建設候補地として自然環境の保全を図るため、これまで鳥類や植生などの基礎的な自然環境調査を行っております。
アセスメントの主体は事業実施者であり、まだ何も決まっておりませんが、現段階では国際組織と考えられております。アセスメントの取り扱いについては、事業計画や実施者、施工主体が明らかとなった段階で、必要な対応を検討していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、今からある程度の準備等を進めて対応を進めていただければと思います。
次に、情報通信基盤の整備についてお伺いいたします。
私は、防災の観点、それから未来に向けた医療、福祉の地域課題解決に向けたライフラインの整備、これは、包括ケアも含めた今後必要になってくる最も重要なインフラだと認識しております。
それでお伺いいたしますが、県内の携帯電話の不感地帯が18市町村で188地区あるとお伺いしております。それが東日本大震災津波を受けて、この不感地域の解消を要望する地域が結構ふえてきているとお伺いしておりますが、現在のこの要望地域はどの程度あるのか、そして、解消に向けた課題をどう捉え、平成29年度以降どのように対応するのかお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 携帯電話不感地域解消の関係でございますが、まず、平成28年3月時点での県内の不感地域188地区のうち、その解消を要望する地域は14市町の102地域、そのうち市町村が国の補助制度を活用して公設で基地局整備を要望している地域が8市町の50地域と把握しております。
次に、課題の認識でございますが、こうした解消を要望する地域は、いずれもエリア人口が少ない地域でありまして、携帯電話の事業者にとりましては採算面の課題から、まずは、自社努力によるエリア拡充が難しい点と、さらに、国庫補助を活用して市町村が基地局を整備する場合に必要となる携帯電話通信事業者の事業への参画を得ることが難しいという点が課題と認識しております。
そうした中で、平成29年度の国庫補助制度を活用した基地局整備は、紫波町など4町5地域に対して事業者の参画が得られているところでありまして、県としては、引き続き、市町村の要望を把握した上で、災害時の移動手段としての重要性なども強く訴えながら、市町村事業への参画を要請するとともに、事業者みずからによる不感地域対策の実施もあわせて要望してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 被災地である大槌町、岩泉町、あるいは私の地元の紫波町、軽米町でも今回導入予定ということもお伺いしておりますので、ぜひ進めていただければと思います。
そして、医療、福祉の地域課題解決は、先ほども申し上げましたとおり、今後、この情報通信基盤の整備が必要不可欠になってくると思います。中山間地域の条件不利地での解消に向け、どう取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇菊池情報政策課総括課長 県内では、光ファイバー網の整備ですとか携帯電話回線の高速化によりまして、超高速のブロードバンドを利用できる地域は拡大しておりますが、御指摘のとおり、いわゆる条件不利地域においては、採算面等の課題から事業者による整備が進まない地域もございます。そうした地域においては、携帯電話の基地局と同様に、国の補助制度を活用して、市町村が光ファイバー網の整備等を進めてきたところでございます。
県としては、市町村事業への国庫補助の導入に向けた国との調整など、市町村による整備の取り組みを支援するとともに、これまで、国に対しましては、そうした条件不利地域においても事業者の設備投資が促進されるような支援制度の拡充等を要望してきたところでございます。
今後も引き続き、市町村の要望を踏まえながら、国庫補助制度の活用に向けた取り組みですとか、通信事業者による整備の促進に向けた要望活動を続けてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 最後に、一般質問でもお伺いいたしましたが、地域公共交通の再編、活性化についてお伺いいたします。
来年度予算におきましても、新規で公共交通の再編、活性化事業について計上されてございますが、いろいろ一般質問の議論もありましたけれども、今後、高齢化社会を迎えて、ドライバーの免許返納がふえていく中で、やはり今後の公共交通のネットワーク化を県としてもう積極的に考えていく必要性があるだろうと思っております。
特に市町村では、小さなエリアでやっておりますけれども、県として、ある程度広域的な検討も必要になってくると思いますが、まず、この広域的なネットワークの構築に向けどう取り組むお考えかお伺いいたします。
〇大坊交通課長 地域公共交通ネットワークについてのお尋ねでございます。
人口減少あるいは高齢化の進展を背景といたしまして、先ほども御答弁申し上げましたが、幹線バス路線におきましては、利用者の減少が依然として続いておりまして、また、地域におきましては、交通空白地も広がりを見せております。本県の公共交通の持続性への懸念が非常に大きくなってきている状況と認識しております。
このことを踏まえまして、県が中心となり、本県の公共交通の再編、活性化、持続性の確保に関しまして総合的、戦略的に検討するため、市町村、交通事業者、有識者などによります検討会議を設置することといたしまして、所要の経費を平成29年度の当初予算案に盛り込んだところでございます。
この検討会議におきましては、広域的な幹線交通と地域内交通の適切な接続等につきまして、全県的な交通骨格あるいは結節拠点などを明らかにしながら、県全体のあるべき交通ネットワークを検討する予定でございます。
また、環境にやさしく、持続的なまちづくりの視点として、最近、いわゆるコンパクトシティといったものが提唱されておりまして、国におきましても、居住でありますとか都市機能の拠点を集約しつつ、公共交通で結びます、いわゆるコンパクト・プラス・ネットワークによる生活圏づくりといったものを施策として進めようとしております。
来年度の検討会議におきましては、このようなまちづくりの視点でありますとか、委員御指摘の高齢者の移動といったようなものを確保する観点などを交えまして、全県の公共交通ネットワークの再編に向け、例えば、そのマスタープランとなります地域公共交通網形成計画の策定なども検討点の一つとしながら、議論を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、国土形成計画でも、今お話がありましたとおり、そういうネットワーク化、コンパクトシティに向けてやっていく必要があろうと思います。
最後に、今年度も矢巾町、滝沢市で地域公共交通網形成計画が策定されておりますけれども、平成29年度も予算提案されておりますが、これまでの成果を捉え、今後どう進めていくのかお伺いして、終わります。
〇大坊交通課長 ただいま委員御指摘の矢巾町、滝沢市での地域公共交通網形成計画を支援しておりますのが、地域公共交通活性化推進事業ということで、来年度当初予算にもこれを提案しているところでございます。
平成28年度におきましては5事業に対して支援しておりまして、釜石市、滝沢市、矢巾町で、ただいまお話のありました地域公共交通網形成計画の策定を支援しております。また、一関市のデマンドタクシー、二戸市の市内循環バスの実証運行といったものも支援しております。
地域公共交通網形成計画は、今、県内で導入しているのが八幡平市1市のみでございます。
今回、この事業で3市を支援しておりますが、地域の公共交通のマスタープランとなる計画でございますので、先ほど申し上げた全県的なマスタープランを私どもで今から検討してまいりますが、それとあわせた形で、地域の公共交通体系のマスタープランにつなげていければと考えております。
来年度におきましても、この地域公共交通活性化推進事業で、そういった市町村を支援してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 例えば盛岡広域圏においても、やっぱり新たなまちづくりというか、岩手医科大学の移転も伴いまして全体的な公共交通ネットワークが再編される時期かと思いますので、ぜひ、市町村の取り組みとあわせて、県のほうでそういった広域的な観点から取り組んでいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで政策地域部関係の質疑を終わります。政策地域部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後4時51分 休 憩
午後5時12分再 開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇木村復興局長 平成29年度当初予算案のうち、復興局関係の歳出予算について御説明申し上げます。
復興局における平成29年度予算の執行に当たりましては、復興の着実な推進に向け、次の五つを施策の柱として重点的に取り組んでまいります。
第1は、第3期復興実施計画の着実な推進です。
現在、策定中の第3期復興実施計画に掲げた事業が着実に推進されるよう、復興委員会等による調査審議、現地における意見交換や各種指標による進行管理を行います。
第2に、災害に強い安全なまちづくりの実現です。
復興事業の円滑かつ迅速な実施を支援し、早期の住宅再建を図るため、復興整備計画の作成による各種手続の簡素化に係る取り組みを支援するなど、市町村のまちづくりを支援してまいります。
第3に、安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現です。
被災者一人一人の復興が地域の復興につながることから、市町村、関係機関、NPO等と連携して、被災された方々の状況に応じたきめ細かな支援を行います。
第4に、なりわいの再生と地域経済の回復です。
沿岸地域の産業振興を促進するため、若者や女性を初め、被災地で起業等を行おうとする方々を支援するとともに、基幹産業であります水産加工業事業者の人材確保を市町村と共同で支援いたします。
第5に、復興に係る情報発信ときずなづくりです。
被災者や県民の皆さんはもとより、国内外の方々との連携とつながり、地域住民の幅広い参画による復興の一層の加速化を目指し、積極的な情報発信と交流の機会づくりを行うほか、今年度、整備するいわて震災津波アーカイブの活用の促進や震災津波伝承施設の整備に取り組みます。
続きまして、復興局関係の予算につきまして御説明いたします。
お手元の議案その1の6ページをお開き願います。復興局関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち、2項企画費の一部6億6、000万円余と、3款民生費のうち、7ページの5項災害救助費の一部77億2、700万円余、続いて、9ページに参りまして、12款公債費の一部で8、300万円余であります。以上を合わせますと84億7、100万円余の予算額となっており、平成28年度当初予算額と比較しますと、金額にして23億2、300万円余、率にして21.5%の減となっておりますが、これは、応急仮設住宅の供与に係る経費を初めとした災害救助費の減などによるものであります。
それでは、お手元の予算に関する説明書により、主な事業について御説明申し上げます。
予算に関する説明書の88ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費のうち、右側の説明欄の中ほどにあります復興局関係6億4、800万円余の主なものについて御説明いたします。
まず、復興局の管理運営費の次の復興情報発信事業費は、県内外との連携のもとに復興を推進するため、いわて三陸復興フォーラムの開催や復興を担う人づくり、いわて復興だよりの発行など、復興に関する重層的な情報発信を実施するものであります。次に、二つ飛びまして、震災津波関連資料収集・活用等推進事業費は、東日本大震災津波からの復旧、復興の状況を後世に残すとともに、これらの出来事から得た教訓を今後の国内外の防災活動等に生かすため、今年度、構築いたしますいわて震災津波アーカイブに震災津波関連資料を蓄積するとともに、その活用を促進するものであります。次に、一つ飛びまして、震災津波伝承施設(仮称)整備事業費は、災害の歴史から学び、記憶や経験を語り継ぎ、将来に生かすため、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内において、仮称ではありますが、震災津波伝承施設の整備を進めるものであります。次に、一つ飛びまして、地域基幹産業人材確保支援事業費補助は、被災地の基幹産業であります水産加工業の早期復興のため、水産加工事業者が新たに人材を確保するために必要な宿舎整備等に要する経費の一部を市町村と共同で補助するものであります。次に、さんりくチャレンジ推進事業費は、復興まちづくりに合わせたなりわいの再生を促進するため、若者や女性を初め、被災地で起業や新事業に挑戦する方に対し、事業計画の策定や資金調達、販路開拓など総合的な支援を行うものであります。次に、89ページでございます。2目計画調査費の説明欄の復興局関係の復興計画推進費は、第3期復興実施計画に基づく取り組みを着実に推進するため、施策や事業の進捗状況について進行管理を行うものであります。
次に、少し飛びまして、125ページをお開きいただきます。3款民生費5項災害救助費1目救助費のうち、説明欄の中ほどにあります復興局関係77億2、700万円余の主なものについて御説明いたします。
まず、復興局の管理運営費の次の救助費は、災害救助法に基づき、引き続き応急仮設住宅の維持管理やみなし仮設住宅の借り上げを行うほか、応急仮設住宅の解体撤去や応急仮設住宅用地として利用したグラウンド等の原状復旧、入居者の応急仮設住宅間の移転費用の一部負担などを行うものであります。次に、三つ飛びまして、災害援護資金貸付金利子補給補助は、災害援護資金を貸し付けた市町村が、借受者に対し、当該貸付金に係る利子に相当する額の補助をする場合に要する経費を補助するものであります。次に、総合的被災者相談支援事業費は、沿岸4カ所にあります被災者相談支援センターに相談員を配置するほか、専門家を派遣することにより、被災者からの生活再建に関する相談に総合的に対応するとともに、いわて内陸避難者支援センターにおいて、内陸に避難されている方に対し、恒久的な住宅への移行支援等を行うものであります。次に、一つ飛びまして、被災者住宅再建支援事業費補助は、持ち家による住宅再建を促進するため、住宅が全壊するなどの被害を受けた被災者に対し、住宅の建設、購入に要する経費を市町村と共同で補助するものであります。次に、被災地コミュニティ支援コーディネート事業費は、被災地のコミュニティー形成を円滑に進めるため、市町村と被災者支援を行う民間団体等の調整役となるコーディネーターを配置し、市町村を支援するものであります。次に、被災者の参画による心の復興事業費は、被災者の積極的な参画のもと、被災者の心の復興に資する活動を行う民間団体等の取り組みに対し補助するものであります。
次に、また少し飛びまして、239ページをお開きください。12款公債費1項公債費1目元金のうち8、300万円余が当局の所管でありますが、これは、災害援護資金の借入金に係る償還元金でございます。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。恐れ入りますが、また議案その1に戻っていただきまして、11ページをお開きください。第2表債務負担行為の表中、復興局関係は14ページでございます。上から五つ目の51震災津波伝承施設(仮称)整備事業であります。これは、伝承施設の整備に係る委託期間が翌年度以降にわたるため、期間及び限度額を定め、債務を負担しようとするものであります。
以上で復興局関係の説明を終わります。よろしく御審議をお願い申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木朋和委員 1点だけお伺いしたいと思います。
いわての学び希望基金について、前から私も取り上げさせていただいておりますが、お聞きしたいと思います。
平成29年1月31日の読売新聞に、被災地の困窮世帯の状況が震災後さらに悪化しているという記事が載っておりました。被災地の困窮世帯のうち大学進学不可能が65%という衝撃的な見出しでありまして、家計が赤字となった世帯は震災前の倍になっていると。中退や塾の断念もという見出しが出ておりまして、また、別の指標でも、東日本大震災被災地・子ども教育白書2015によると、震災後に貧困に陥った世帯の中高生は、60.2%が大学以上の進学を希望している。一方、その中で、年間所得が250万円未満の世帯は8.5%増の36.9%に上っている。専門家の話によると、家庭の経済状況と希望の隔たりは子供のやる気の低下につながって、早急に対応しなければいけないという記事が載っておりました。
そこで、前提として質問させていただきますけれども、県は被災地の困窮世帯の状況をどのように把握しているのか伺いたいと思います。
〇熊谷復興推進課総括課長 被災地の困窮世帯の状況についてでありますが、関係部局にも情報収集したところでありますけれども、具体的な状況の把握は難しいところはありますが、例えば、保健福祉部が平成25年に行った岩手県母子世帯等実態調査によりますと、困っていることについての回答として、内陸、沿岸ともに家計についてが最も多い状況でございます。また、子供に関する悩みの回答につきましては、内陸、沿岸ともに教育、進学という項目が最も多くなっていて、経済的な状況や教育、進学についての悩みを抱えている状況と思われます。
〇佐々木朋和委員 ざっくりとした状況しかわからないということでありました。復興局はいわての学び希望基金を使ってどういった事業をやっていくか、各部局を総括してまとめる役目があると思いますけれども、被災地の子供たちの困窮の状態がわからない状況でこういった事業を決めていることはいかがなものかと思うところであります。
もしこういった記事の状況が本当であるならばやはり早急に対応しなければいけないと思いますし、一般質問で千葉絢子委員も取り上げておりましたけれども、知事は、使途を大幅に拡大する場合には、被災地はもとより、県民や御寄附をいただける方々など、広く御意見を聞きながら検討を進める必要があるものと考えると答弁されておりました。このいわての学び希望基金は、遺児、孤児の皆さんが大学進学、社会人になるまで支えるものでありますけれども、一方で、こういった貧困の状況があって大学進学を諦めざるを得ない子供がいるのであれば、こういったところにも拡大していくべきと私は考えるわけでありますけれども、そういった場合、具体的にどういった手法というか手続をとらなければいけないのか教えていただきたいと思います。
〇熊谷復興推進課総括課長 いわての学び希望基金の目的の変更についてでございます。
この基金は、東日本大震災津波により著しい被害を受けた子供たちの修学の支援、教育の充実等を行うために設立したものでございます。遺児、孤児に限定したものではございませんが、基金設立の経緯や寄附の募集などのこれまでの経過を踏まえ、御寄附をいただいた方々の御意向に沿って対応することが必要と考えております。
また、大幅な目的の変更等を行う場合には条例改正が必要でございます。その際には、一般質問で知事からも御答弁申し上げましたとおり、被災地はもとより、県民や御寄附をいただいた方々など、広く御意見を聞きながら検討を行っていく必要があると考えております。
〇佐々木朋和委員 来年度から第3期復興実施計画が始まるわけであります。そのテーマとしては次への展開の連結期間ということでありますので、私は、この議論も、こういったことが必要だというところでとまっているのではなく、具体的に検討委員会でも設置して庁内で議論するとか、例えば、今そういった実態調査を行っていないのであれば実態調査を行うとか、私は具体的に動き出すべき時期なのではないかと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇熊谷復興推進課総括課長 被災地では、今、学校の再建が進んでおります。4月に開校するところも数多くあり、そういったことで学校の環境変化がたくさんある時期に来ております。そういったニーズも変わってくるところもありますので、支援のニーズは、まだまだ掘り起こしたり現場ニーズを探っていくと、あるものと思っております。
今、委員からお話しのありましたことも参考にしながら、関係部局の議論を深めてまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 最後にしたいと思いますけれども、今の御答弁だと、今までの事業に小幅なものが加わっていくだけのような気がしてしまうわけです。私が申し上げているのは、遺児、孤児を支えていくには28億円ぐらい必要という中で、寄附が80億円になるかというぐらい集まってきているということを千葉絢子委員も一般質問でおっしゃっておりましたけれども、そういう中にあって、50億円近い寄附をどうやって使っていくかということを大きな指針を持って議論していただきたいということでありまして、最後に、復興局長の所見を伺いたいと思います。
〇木村復興局長 いわての学び希望基金の使途の拡大については、一般質問等でも種々御議論がございました。確かに財源とすれば、今想定しているものを超えた形で基金があるということでございます。例えば先ほどの子供の貧困対策に使うにしても、先ほども実態把握が難しいということもございました。それについては、保健福祉部なり教育委員会なり、まずはそういう実態を把握することが大事だと思います。あとはそれぞれ、貧困であれば、福祉関係の既存の制度もございます。国の制度も含めてどういう財源措置が行われているのか、それがいつまでなのか、復興期間内はそういう国の制度は継続する想定だけれども期間後については未定とか、その辺のいろいろなことを勘案しながら考えていかなければならないと思っております。
先ほどの子供の貧困対策も一つの例でございますけれども、さまざまなことが考えられます。毎回、各部局に復興局から翌年度の学び希望基金の使途について、何かないか照会をしているのですが、特に制限をしているわけではないのですが、各部局からもなかなかそういう大きい議論になるようなことが出てきていないという実態もございます。それについてはこちらから、今定例会も本会議、予算特別委員会での御議論もございますので、そういうことも踏まえて幅広に紹介するということも新年度においては考えていきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 いろいろ各部局に照会していただいていると。その中で余り大きな議論がない、ニーズがないという言い方でございましたけれども、そうであれば今までの手法を変えて、復興局で音頭を取って各部局をまとめて、どうしたらいいかという大きな議論をしていただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 私からは、東日本大震災津波伝承まちづくりプロジェクト等についてお伺いしたいと思います。
2月26日に私は、陸前高田市に炊き出しに行ってまいりまして、被災者の方、応急仮設住宅に住まわれている方とお話をさせていただきました。まだ移転されていない方、震災津波伝承施設を知らないし、いつできるのだろうねという半ば諦めムードのような感じも受けまして、私は、その風化に対する対策が、県内外、被災地も含めて必要だと感じています。
そこで、午前中の秘書広報室の審査でも御質問させていただきましたが、情報発信について各部局それぞれやっているということでしたが、今、復興局の現状の取り組みをどのようにされているか、まずお聞きしたいと思います。
〇熊谷復興推進課総括課長 復興局の取り組みについてでございますが、東日本大震災津波により被災された方のふるさとへの思いや未曾有の大災害から得た経験を次世代に継承して、その教訓を防災文化として将来に生かすことは大変重要なことと思っております。
このことから、今年度、市町村、関係機関と県が東日本大震災津波関連資料を収集しまして、それをデジタルデータ化していわて震災津波アーカイブとしてインターネット上で公開するということに今、取り組んでおりまして、今月末にその公開を目指しているところでございます。
また、復興情報の発信事業としましては、今年度は4回にわたるいわて復興未来塾の開催、月2回の復興だよりの発行、それに、長野県と盛岡市で三陸復興フォーラムを開催したところでございます。多くの方に来場していただいて、アンケートでも大変好評だったと考えております。
〇菅野ひろのり委員 やはりそういったさまざまな情報を一極に集めて、ウエブサイトやさまざまな角度から情報にアクセスできる環境づくりは非常に重要と思っています。
そして、先ほどお話ししました陸前高田市で地元の方にも理解していただくという中でいうと、高齢の方も当然多いわけですから、陸前高田市でいえば震災津波伝承施設に行っていただく環境が非常に必要と思っております。先日、基本計画をいただきました。それと、パブリックコメント実施結果の中に、語り部の教育普及プログラム、アーカイブの有効活用に取り組んでいくとありましたけれども、語り部について、現状どのようにその状況、実態を把握されているのか。あとはこの教育普及プログラムを平成29年度の事業の中に見つけることができなかったのですが、それにどのように取り組まれようとしているのか、もしわかればお聞きしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 震災津波伝承施設における語り部の教育プログラムでございますけれども、震災津波伝承施設は、基本設計を進めておりまして、その基本設計が今、まとまったところでございます。その事業の中で、施設の事業として語り部の教育プログラムもやっていく。訪れた方がなるべく実態をわかって均一な語り部のお話を聞くことができるよう教育プログラムを考えております。
それから、県内の語り部の実態がどうかということですが、こちらは、いろいろいっぱいやられている方、そうでない方がいらっしゃるので、そこら辺の人数は把握しておりません。
〇菅野ひろのり委員 先ほど御答弁いただいたように、語り部への教育が非常に重要になってきていると。一つは、やはりその地域にいなくなってしまって特定の人に偏ってきているという問題があると思います。そうしますと、発災から6年という中において、今、しっかりと教育という言い方がいいのかわかりませんけれども、継承していくことに対する注力は非常に重要ではないかと思っております。復興事業もピークになって、だんだんソフト面にシフトしてきている中において、ぜひ語り部に対するケアといいますかフォロー、教育、人材の確保というところは雇用の創出にもつながると思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
その中で、今度は、震災津波伝承施設が2019年にできる予定ということで、働く方を確保した場合、いかにそこに誘客といいましょうか、つなげていくかだと思うのです。現在、そういった取り組みや考えをお持ちなのかお聞きしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 この施設は2019年に開館するということで頑張っているところでございます。この誘客につきましては、まだ具体的にどんな取り組みをやるということは言えませんけれども、例えば学校の修学旅行の誘致や企業の研修の誘致、それから、例えば陸前高田市の高台に大学の発表会とか、そういうものを誘致して集客をするように事業の中で考えていきたいと思っております。
〇菅野ひろのり委員 まさにそういった教育も含めた誘致活動は非常に重要だと思います。今、さまざまな委員の方から風化に対する御指摘があると思うのですが、復興局だけの取り組みだと、どうしてもマンパワーの不足であったり、箱物中心になってしまうおそれがあるのではないかと思っています。そうなったとき、広聴広報課であったり、あとは震災の影響でいいますと風評被害というのもあると思うのです。そういったものを一元管理してやっていくことが重要ではないかと思っております。
同じ被災県であります福島県では、風評・風化対策関連事業をチームをつくって一元管理されています。ホームページから表を拝見してきたのですが、復興の総括的な動き、観光の誘客、国内外への発信を一元管理して、部局横断的に取り組まれているのです。本県にとってもそれは必要なことではないかと思っておりますが、そこら辺の所見をお伺いしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 この施設の管理運営につきましては、まだ検討を開始したばかりでございまして、具体的には次の段階の実施設計の中で検討することにしておりまして、委員御指摘のとおり、一元管理ということで、全庁がかかわるような形で考えていきたいと思っております。
〇熊谷復興推進課総括課長 風化防止の一元的な展開ということでございます。
これまでも秘書広報室のつくったポスターや媒体をフォーラムで活用したり、3月3日に被災4県のフォーラムを東京都と一緒に開催した際には、復興ドラマをいち早く首都圏で上映したり、連携しながらやってきておりますので、今後一層、風化防止の事業について、秘書広報室のみならず、部局連携を図りながら一体的に推進していきたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 さまざまな一元管理も含めて取り組んでいっていただけるという御回答だったと思うのですが、あとはプル型、待っているだけではなく、住民の方や県内外の方を含めて、いろいろな風化に対する取り組みを自主的にやっていく必要があると思います。
阪神・淡路大震災で被災されました兵庫県は、15周年、20周年を経験された中で、市町村、地域団体、NPOの参加を自主的に促すための事業に取り組まれているようです。要は、それぞれの教訓を生かすための事業のアイデアを募集して補助をしてやっていただくということだと思っています。
そういった中で、先ほど言った一元管理、震災津波伝承施設への誘導、語り部の育成、そして自主的な参加、こういったものを、発災からもう6年たつわけですから、もう育成していかないと遅いのではないかと思っています。戸羽太陸前高田市長も、忘れられるのが一番怖いとおっしゃっておりました。ぜひそういった包括的な取り組みをお考えいただきたいと思っております。
最後に、全体の骨格を把握されています復興局長にそこら辺の御所見を伺って終わりにします。
〇木村復興局長 風化防止ということで、例えば、ただいまお話がありました兵庫県の人と防災未来センターは平成14年に設置されたものでございます。これは、阪神・淡路大震災で起きたことをわかりやすく伝える、そして震災の風化防止を図っていく、そういう面も非常に大きい目的になっていると理解しております。これについては、施設という部分で、今、建設を進めております震災津波伝承施設の展示の部分、それからソフト面の機能についても参考にしていきたいと思っております。
 それから、県の第3期復興実施計画において、東日本大震災津波伝承まちづくりプロジェクトを三陸創造プロジェクトの中に位置づけております。その中で、記録収集、経験の継承、伝承、総合的な防災力の強化、それから復興を担う次世代の人材育成という取り組みを特に第3期復興実施計画では具体的に進めていきたいと考えております。そういう中で、ただいま委員からもお話ございました大震災の記憶、教訓が確実に次世代につながる、そしてまた震災の風化防止につながるような取り組みを継続してやっていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは最初に、応急仮設住宅、災害公営住宅の被災者の実態についてお聞きします。
応急仮設住宅と災害公営住宅の被災者の状況、その中での高齢者、ひとり暮らしの実態をどう把握されているか。
応急仮設住宅や災害公営住宅での孤独死と震災関連の自殺の状況を示していただきたい。
〇小笠原生活再建課総括課長 応急仮設住宅及び災害公営住宅に入居されている被災者の状況等についてでありますが、1月31日現在、応急仮設住宅に入居されている5、045世帯のうち、65歳以上の高齢者のみの世帯が1、210世帯、24%でありまして、そのうち、ひとり暮らし世帯は743世帯で全体の14.7%となっております。
また、災害公営住宅に入居されている3、911世帯のうち、65歳以上の高齢者のみの世帯が1、701世帯、43.5%であり、そのうち、ひとり暮らし世帯は1、114世帯、全体の28.5%となっております。
次に、応急仮設住宅、災害公営住宅での孤独死と災害関連自殺の状況についてでありますが、ひとり暮らしで亡くなられた後、発見された方は、昨年末現在、応急仮設住宅で38名、災害公営住宅で10名となっております。また、東日本大震災津波に関連して自殺された方は、昨年末現在で41人となっております。
〇斉藤信委員 今の答弁を聞いて、応急仮設住宅の場合は、65歳以上が24%でひとり暮らしは14%ということで、かなりこの比率は下がっているなと。一方で、災害公営住宅は、65歳以上が43.5%、ひとり暮らしが28.5%。災害公営住宅のほうが高齢者、ひとり暮らしが大変多いと。
私は、二つ問題があると思います。一つは、今、応急仮設住宅から災害公営住宅、自力再建で大規模な移動の時期です。この1年間で災害公営住宅は入居者が大体倍にふえていますから。恐らくは向こう1年間、同じような大規模な移動の時期なのです。そうすると、応急仮設住宅に取り残される方の喪失感というか孤独感、これは大変切実な問題があるのではないか。
もう一方で、災害公営住宅に入って、高齢化がぐっと進んでいるのです。これがまた災害公営住宅に閉じこもる、孤立化、孤独化が進む、私も直接聞いてきましたけれども。こういう点で、私は今まで以上に、応急仮設住宅で取り残される方々への寄り添った見守りや支援、そしてもう一方で、災害公営住宅で今までにない見守り、コミュニティー確立への支援が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず1点目、応急仮設住宅に取り残される方々への支援、見守りでございますが、応急仮設住宅に入居されている方に対しましては、社会福祉協議会の生活支援相談員や市町村が独自に雇用しております支援員等が個別の状況に応じた頻度で訪問活動を行っているところでございます。
これらは来年度も引き続き継続するわけでございますが、県の取り組みといたしましては、残っている方々はそれぞれ問題を抱えている方が多くなっておりますので、それらの問題を解決するため、個別支援ということで、今、沿岸4地区に被災者相談支援センターを設置しております。ここは基本、待ち受け型で今までやってまいりましたが、来年度以降、例えば専門家が訪問したり、相談員も市町村と一緒に訪問して自立に向けた相談活動、支援活動を行うほか、内陸等に避難されている方々につきましては、来年度はいわて内陸避難者支援センターの相談員を増員する計画でございますので、こちらは単に恒久住宅への移行だけではなく、その先を見据えた伴走型支援ということで行っておりますので、その辺は充実させていきたいと考えております。
次に、災害公営住宅におきまして今までにない支援等が必要ではないかということでございますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたとおり、社会福祉協議会が配置する生活支援相談員のほか、市町村が雇用しております支援員等が巡回という形で見守り活動を行っておるところでございます。
これらにつきましても来年度、継続するとともに、陸前高田市におきましては災害公営住宅2カ所に市民交流プラザを設置しておりますし、また、釜石市におきましても生活応援センター-保健師などがいる市の組織でございますが、これを3カ所の災害公営住宅に設置するなど、各市町村におきましてもさまざま工夫されているところでございますので、これらの動きと連携しながら、引き続き見守り体制の構築に努めてまいります。
また、災害公営住宅におきましては、新たな環境ということでコミュニティーの確立が必要になってまいります。これまで、社会福祉協議会と連携しまして生活支援相談員による交流会の開催支援等を行ってきたところでございますが、平成29年度は、さらに市町村におけるコミュニティー形成活動を支援するため、市町村と支援団体等を調整するコーディネーターを配置する計画にしておりますし、また、被災者の心の復興を支援する民間団体の取り組みに対して補助いたしまして、これらのコミュニティー形成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 大槌町の応急仮設住宅の自治会長で、遠野まごころネットの理事長もしている臼澤さんという人がこういうふうに言っているのです。住宅再建などでどんどん人がいなくなっていく状況で自分だけ取り残されるのではないかという不安があり、確かに気持ちを伝えて理解してほしいという感情が高まっていると。5年も6年も応急仮設住宅で暮らしていたら健康な人だって病気になってしまう。圧迫感があり、プライバシーがない。四六時中応急仮設住宅にいたら本当にしんどい。
そして、こう言っているのです。ここは頑張っているのです。集会室に毎朝集まってお茶会をしている。人がいてもいなくてもお湯を沸かし暖房をつけておく。そうすると誰かが来て、次第に人が集まってくる。どんな立派な施設でも誰もいなければ人は集まってこない。
こういうふうに頑張っている応急仮設住宅、自治体がある一方で、災害公営住宅は、何度も指摘していますが、集会所と支援員の事務室を整備しているのです。ところが、残念ながら1人も配置していない。やっぱり100戸以上の大規模なところには2年なり3年なり支援員を配置して、せっかくつくった集会所にいつでも気軽に来られる。そこにはカラオケセットもある。応急仮設住宅団地の集会所並みの機能が災害公営住宅のコミュニティー、きずなを回復するには必要だと思うけれども、いかがでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 大規模な災害公営住宅における支援員の配置でございますが、先ほどの答弁と重複いたしますが、見守りという観点から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、陸前高田市や釜石市の取り組みがあるわけでございます。
一方で集会所の利用となりますと、集会所は、一般的に、そこの災害公営住宅の管理人あるいは自治会が管理しているわけでございます。そうしますと、まずそこの集会所を使うルールといったものを決めなければならない。やはりそこに住んでいる方々のコミュニティー、具体に言えば自治会みたいなものを形成して、まず自分たちの集会所をどう使っていくのかということを進めていかなければならないと考えておりますので、県といたしましては、自治会の形成活動、これは市町村、支援団体等と連携して進めていかなければならないものでございますが、そういったところに来年度はてこ入れを図るということでございます。
一方、支援員の配置につきましては、市町村が独自に雇用している支援員等をそちらに活用できないかということは、昨年度来、市町村と何度も協議あるいはヒアリング等に出向きましてお話しさせていただいているところでございますが、現在のところ常駐する形に至っていないのは事実でございます。
〇斉藤信委員 実は、阪神・淡路大震災でも災害復興公営住宅に共用スペースをつくったのです。しかし、これは使われなかった。結局、入居者任せにしたからなのです。そして、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、岩手県の災害公営住宅には集会所と支援員の事務室まで整備したのです。しかし、それが使われていない。
この問題は今、現在進行形ですから、例えば、新聞に出ていましたけれども、大船渡市盛町のみどり町団地の自治会は1年かかってできたのです。だから、集会室の管理は入居者で決めろと言ったって、自治会をつくるのに1年もかかっているときに、それは難しい話なのです。自治会をつくる、コミュニティーを確立するという点でも、今、必要な支援があるのではないか。せっかく建物はつくったけれども魂が入っていない。使われていない。教訓が生かされていない。この問題はぜひ検討していただきたい。復興局長にこのことだけ聞きましょう。
〇木村復興局長 コミュニティーを活性化させるということについては、災害公営住宅に自治会等が設立されることが望ましいわけでございます。ただ、自治会の設立については、行政が当然支援していきながらということではありますが、基本的には自主的に自立的に多少時間がかかってもつくるほうが、結果、その後の自治会活動が活発になるのではないかということで取り組みを進めているような事例もございます。
いずれ、災害公営住宅は、先ほどの数字にありましたとおり、高齢の方、ひとり暮らしの方が多いという状況でございますので、せっかくある集会室なり支援員の控室の活用を図っていかなければならないと思っております。先ほど総括課長からもお話ありましたとおり、市町村と連携しながら、また、県営災害公営住宅については県土整備部の取り組みと連携して、その活用が図られてコミュニティーが活発になるよう取り組みを進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 ぜひ検討して、教訓を生かすことを真剣に考えていただきたい。
次に、被災者の住宅確保の見通しと具体的な支援についてお聞きしますが、応急仮設住宅暮らしの被災者の住宅再建の意向調査の結果はどうなっているか。
内陸避難者相談支援センターは、まさに内陸避難者専門に、この間、私も聞いてきましたけれども、全部訪問して、相談にも乗って意向調査をやっていました。私は、大変感心しましたが、この取り組み状況。
そして、U・Iターンの方々が今、応急仮設住宅を利用しています。それぞれの自治体ごとにU・Iターンの目的外使用の状況を示していただきたい。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず初めに、応急仮設住宅にお住まいの方の住宅再建の意向調査の結果でございますが、ことし1月末現在で、応急仮設住宅にお住まいの方6、100世帯中、住まいの再建方法が決定している世帯は5、914世帯、97%となっております。
一方で、再建方法が未定の世帯は141世帯、2.3%、また、連絡等がとれないということで意向が把握できていない世帯が45世帯で0.7%となっております。
次に、いわて内陸避難者支援センターの……(斉藤信委員「自力再建か災害公営住宅移転か、その中身」と呼ぶ)
再建方法が決定している方の再建先についてでございますが、自力再建、いわゆる住宅をみずから建てる方は5、914世帯中3、534世帯、58%。災害公営住宅に入居を予定している方が1、721世帯、28.2%。その他、民間賃貸住宅とか、あるいは福祉施設に入所するといった方々が659世帯、10.8%となっております。
次に、いわて内陸避難者支援センターの取り組み状況についてでありますが、いわて内陸避難者支援センターは、被災した市町村から依頼を受けまして、県の内陸あるいは県外へ避難されている方の住まいの意向把握を行うため昨年5月に設置したものでございますが、ことし1月末までに市町村から依頼のありました668件の意向調査を全て行ったところでございます。
また、このセンターでは住宅再建に関する相談にも対応しておりまして、1月末現在で1、878件の相談を受けているところでございます。
相談の内容といたしましては、住宅資金の関係、あるいは、内陸に避難されている方でございますので、その家族や仕事あるいは健康問題で、戻るかそこで再建するかを決めかねているわけでございますが、訪問しているスタッフからは、これらの方々は問題が一つではなく、さまざまな問題が絡み合っていることが多いと聞いております。
それから、三つ目でございますが、U・I・Jターンの方のための応急仮設住宅の目的外使用についてでございます。
平成28年度の使用許可の状況を市町村ごとに申し上げますと、1月末時点で、陸前高田市が101件、大槌町が94件、釜石市が16件、山田町が11件、県全体で222件となっております。
〇斉藤信委員 U・I・Jターンも222件で、陸前高田市が101件、大槌町が94件ということで、これだけUターン、Iターンの方々が頑張っている。ただ、応急仮設住宅は解消されますので、そのときのこうした方々の住宅確保をぜひあわせて検討していただきたい。
最後の質問ですが、中心市街地の再生、まちづくりと商店街の再建ですけれども、これは本当に前例のない取り組みだと思います。中心市街地が壊滅して、土地を2メートルから10メートルかさ上げして、何もないところにまちづくりをする、商店街をつくる。普通、商店街、大型ショッピングセンターというのは、商圏があって、どのぐらいの購買力があって、そこにどう出店するかと決めるのです。これは逆なのです。私は、それだけに、このまちづくりと商店街の再生を成功させるためには、あらゆる経営支援からさまざまな公共施設まで、本当に中心市街地に人を集める取り組みが必要だと思うけれども、そういう支援策を真剣に考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋産業再生課総括課長 まちづくりと商店街の再建についてでございますが、大規模な土地のかさ上げなどを行った地域におきまして、順次、土地の引き渡しが行われ、新しいまちづくりが進められている一方、人口減少による地域経済の縮小などを懸念し、再生する中心市街地への住宅や店舗再建に慎重とならざるを得ない住民や事業者もいて、まちのにぎわいの回復を不安視する声も聞くところでございます。
新しいまちづくりは、市町村が住民や事業者等の意向に十分耳を傾け、意見を聞きながら計画づくりを行うなど、地域一体となって進めているところであり、県や国は、専門アドバイザーの派遣や計画づくりに対する助言あるいは調整をすることで、まちなか再生計画や商業特区の計画を一緒につくり上げるような支援を行ってきましたし、今後も行う予定でございますが、そのほか、グループ補助金等を活用した店舗の整備なども支援してきているところでございます。
今後も、より多くの住民や事業者が中心市街地に戻ってくるための呼び水となりますよう、専門家派遣やにぎわいづくりのノウハウを学ぶセミナーの開催によりまして、個店の魅力向上や商店街の集客を図る取り組みを支援することで新しいまちづくりを後押ししていくこととしております。
また、復興局で所管しております創業や新事業活動を総合的に支援するさんりくチャレンジ推進事業におきましても、来年度、新たに、まちなか再生計画区域等に出店する事業者に対しまして補助率について優遇措置を設けるといったことで、中心市街地の活性化に資する取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 私も、被災者の見守りとコミュニティーの確立の問題についてお聞きいたします。
私も一般質問の中で、災害公営住宅については、一定規模の災害公営住宅には人をしっかり配置して見守り体制を強化すべきだという質問を行いました。そのとき、保健福祉部長は、災害公営住宅への人の配置については、適正なところには配置を県として要請しているという答弁でありました。これは、具体的にどのような要請を市町村にしているのか、ここについて、もし復興局のほうで承知しているのであれば答弁をいただきたいと思います。
もう一つですけれども、先日、大槌町で被災者の皆さんと懇談したとき、災害公営住宅に入っている人たちの孤立感は一層深まっているのではないかと感じました。今まで鍵をかけなかった生活から重い扉のある生活へ一変してしまって、被災者の皆さんからは、本当に寂しくて不安だと。応急仮設住宅のときには支援員の皆さんが何回も来てくれて楽しかった。発災から6年もたって貯金もどんどん減って、これからは災害公営住宅も時間がたてば家賃の減免もなくなっていく。一層不安になっている状況だと思います。
県として、今、応急仮設住宅の見守りも大変大事ですけれども、災害公営住宅の見守りというのはこれから一層大事になっていく分野ではないかということを被災地で感じました。その点についてどのように思っているのか、この二つについて答弁いただきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず初めに、災害公営住宅への支援員の配置に係る市町村への要請ということでございます。
これにつきましては、復興局におきまして市町村を訪問いたしまして、各市町村と被災者支援の取り組みに関しましてさまざま意見交換を行ったり、あるいは被災市町村の方々が集まる会議におきましても話題といたしまして、見守りや支援体制が図られるように説明し、要請してきたところでございます。
それから二つ目ですが、今後、災害公営住宅において見守りは一層重要になるのではないかということでございますが、基本的な認識は委員と同様でございます。現在、社会福祉協議会の生活支援相談員と、市町村が独自に雇用しております支援員等が災害公営住宅の見守りを行っているところでございます。これらにつきましては平成29年度も継続してまいりますが、そういった行政による見守りだけではどうしてもこの先々限界が出てまいりますので、やはり新たなコミュニティーを形成して、いわゆる御近所づき合いにまさる安心感はないということもございますので、そういったコミュニティー形成に向けましても力を入れるべく、来年度は、コミュニティー形成に係る市町村の取り組みに対して県も支援するためコーディネーターを配置したり、あるいは支援団体への補助を行って心の復興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 災害公営住宅への支援員については、陸前高田市の下和野災害公営住宅に続いて、先ほど斉藤信委員の質問に対する答弁では釜石市でも3カ所に広がったということで、大変いいことだと思います。市町村にそういう人の配置を要請しているのであれば、少なくとも県の災害公営住宅にもしっかりと、県の災害公営住宅は規模が大きいですから、しっかりと対応していただきたいと思います。
被災者の皆さんの生活の実態ですけれども、きのう、復興局から応急仮設住宅入居者の意向把握の状況について資料をいただきました。ここで意向未定とか未掌握の中の主な理由というのはさまざまありまして、供与期間終了まで応急仮設住宅にいたいと。移動する気力がないとか、あるいは災害公営住宅では不安で施設の入所を希望しているとか、生活困窮あるいは体調悪化によるさまざまな思いがここに書いてあります。
私は、被災者の経済状況、実態を見るとき、もっと被災者に寄り添った細かな支援が必要ではないかと。生活保護を十分受給できる被災者もいるのではないか。あるいは、地域包括支援センターのケアマネジャーと連携しながら施設入所への支援、そういう細かな支援が必要ではないかと。ただ単に見守りをして声をかけるだけではなく、一人一人のケースに沿った対応をしていくべきだと思うのですけれども、その辺のことがしっかりと対応されているのかについてお聞きしたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 住宅再建の意向が決まっていない方は、さまざま問題はあるのですけれども大きく二つのパターンがありまして、一つは、家を建てるか、それとも災害公営住宅に行くかで迷っていらっしゃる方。それから、経済的に困窮している方は、こう申し上げてはなんですが、選択肢としては災害公営住宅を選択せざるを得ないだろうと思います。ただし、やはりそこへ行くのに、例えば年金生活だけなので家賃を払えるか不安だといった、いわゆる再建方法はある程度見えているのですけれども、そこに行くまでが不安だという方の大きく2パターンがあるかと思っております。
それで、関係機関の連携ということで申し上げますと、災害公営住宅の家賃につきましては、かなり減免措置がとられております。ただし、それでもやはり生活が厳しいということであれば、これは、そもそも憲法で定められている最低限度の生活を維持しているのかということにもなりますので、例えば、ある一定のスキルを持っている方々が生活支援相談員になっておりますので、この方々は、訪問した際に、関係機関につなげることは実際にやっているところでございます。
いずれにしましても、これからは福祉分野との連携が非常に重要になってくると認識しております。
〇高田一郎委員 わかりました。被災者に一層寄り添った支援を強化していただきたいと思います。
次に、復興事業に対する国の査定が非常に厳しくなっているのではないかということを被災地に行って感じております。県はこういう実態をどのように把握されているでしょうか。
例えば陸前高田市では、いわゆる避難路となっているシンボルロードは、25メートル幅員の道路らしいですけれども、これの区画整理を行っている部分しか認めないというような対応をされているとか、あるいは中心市街地に予定されている駐車場についても、舗装は国が認めないとか、既に国と、復興庁と協議をして合意している事業についても、査定が厳しくなっているという話を聞きました。
恐らく陸前高田市だけではないと思いますけれども、全体としてそういう状況がどうなっているのか、県はどう把握されているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 復興事業に対する国の査定についてでございます。
国との協議が難航している事業の実態につきましては、その難航している程度の問題もございまして、具体的な数として把握はしてございませんが、復興局の職員が、県や市町村事業の国との協議の場に同席しまして、状況の把握に努めているところでございます。
事業採択に当たりましては、それぞれの事業にもよりますけれども、国との協議に時間を要している箇所があることも事実でございます。県としましては、それぞれの事業や地域の実情を丁寧に説明しながら、交付金事業の採択が円滑に進むよう、市町村とともにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 復興庁との協議に時間がかかっているところもあるのだというお話をされました。いずれ、一度復興庁、国と協議、合意しているにもかかわらず、国の職員が異動するたびに、またゼロから説明をして、そこに時間を費やしてしまうと。しかも査定が厳しくなって当初計画よりも後退してしまう。被災自治体の職員は、応援職員も来て頑張っていますけれども、少ない体制の中でそういう状況になると、本当に疲れ果ててしまって、長時間労働になっているという実態もあります。ですから、そういう実態をやはりもっと把握して、被災自治体の職員とともに、そういうことがないように復興庁に対して要請して、対応を改善していただきたいと思っています。
最後に、土地区画整理事業による土地の活用状況、意向調査がどうなっているのかについてお聞きしたいと思います。
これも、先日、大槌町の町長とお会いしたときに、町方地区は、震災前4、000人の人口があった地域でありましたけれども、区画整理事業によって、計画人口が2、100人に対して900人ぐらいしか予定がないという話を聞きました。そして、釜石市に行きましても、釜石市の鵜住居のまちづくり協議会の皆さんからも同じような話を聞きました。また、山田町でも、町の担当者から同じようなお話を聞きました。
これは大変なことだと思いますけれども、この実態を県としてどのように把握されているのか、さまざまな課題もあると思いますけれども、その点についてまずお聞きしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 区画整理事業の未利用地の把握でございます。
復興局としましては新聞報道程度の情報収集でございまして、委員御指摘のとおり、大槌町とか釜石市、陸前高田市で新聞報道等がございます。それらを見ますと、意向が決まっていない方が、場所によっては3割から7割というところでございます。
その理由としましては、別の場所で再建したとか、大きいのは、市街地がまだできていない中で、自分が住宅を再建しようかどうかというのは、なかなか踏ん切りがつかないという話もございます。
そういうことで、各市町村では住民説明会等で、こんなまちができますよというイメージをわかりやすく伝えるとか、大槌町などでは、売却したい方と買いたい方、貸したい方と借りたい方のマッチングの制度も設けたり、独自の補助制度も設けたりしているところでございます。
〇高田一郎委員 防災集団移転事業と違って、区画整理事業ですから、なかなか簡単にはいかないと思うのですけれども、やっぱり人口が減少して税収が落ち込んでいる自治体にとっては、これから本当に大変だと思うんですね。
大槌町の町長からもこういう話をされました。震災前は11億円の税収だったけれども、今は9億円に落ち込んでしまって、せっかく町方地区の区画整理事業を行って、下水道事業もやったのだけれども、人口が戻ってこないので、それを維持するだけでも大変なコストがかかるのだと。だから、被災をしていない方も住宅再建ということで誘導するために100万円の助成をしているのだと。これは大槌町議会でも町の中でも賛否両論があって、いろいろな苦労をしているのだというようなお話をされました。
いずれ簡単な課題ではないのですけれども、区画整理をした地域に対する人口の誘導とか商店街の形成とか、活気あるまちをつくっていくために、かなり知恵を絞ってやっていかなければ大変なことになるという思いをしています。
こういった課題がある中で、どういった支援が求められているのか、県としての対応について見解を伺って終わりたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 委員御指摘のとおり、区画整理の制度上、なかなか中心部に人を集めるのは難しいところでございますが、魅力的なまちになるというところも必要でございますので、県としましては、まちづくりのアドバイザーを派遣するなど、地域のまちづくりを支援するとともに、市町村と共通の課題を把握しまして、実情に応じた支援をしてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 まず初めに、防災集団移転促進事業の買い取り用地の集約化についてお伺いいたします。
防災集団移転促進事業で市町村が買い取りしておりますが、そこの状況と利活用に向けた計画策定の状況について、まずお伺いいたします。
〇田村まちづくり再生課総括課長 防災集団移転促進事業に係る移転元地の買い取り状況についてでございます。
本年2月末現在でございますが、移転元地の買い取り対象面積の約366ヘクタールに対しまして、買収済みの面積は約296ヘクタール、全体の8割が買い取り済みとなっております。
次に、移転元地の利活用の計画策定状況でございます。
県が市町村に聞き取り調査したところによりますと、ことし1月末現在で、移転元地は大小合わせて74地区ございます。そのうち約53%に当たります39地区で土地利用計画が作成されております。
国道沿いや漁港の背後などは移転元地の活用計画が進んでおりますけれども、半島部の土地のニーズの少ないところでは、計画策定が余り進んでいない状況でございます。
県としましては、引き続き市町村から、丁寧な聞き取りにより課題を把握しまして、国に対して復興交付金の柔軟な運用を要望していくなど、市町村を支援してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 私は、この課題は実はすごく重要なポイントかと思っております。というのは、市町村財政にも固定資産税が入ってこないので、計画はつくったけれども、やはり集約化に向けた具体的な手法というものが、県から国へ要望も出されていると思うのですが、まず、そこら辺の対応状況、今後の見通しがどのようになっているのかお伺いいたします。
〇田村まちづくり再生課総括課長 買い取りしました用地の集約についてでございます。
県では、これまでも事業を実施している市町村と意見交換を行いながら、そこで把握しました課題について、国に対して制度要望等を行ってきたところでございまして、平成28年度からは、移転元地を利活用するために土地の交換を行った場合の課税の特例として、国税である登録免許税、県税であります不動産取得税の免税措置を講じてます。
これらの免税措置につきましては、これまで2件の活用事例がございます。さらに、今後活用が予定されている案件が6件ございまして、各市町村におきましては、活用の実績が出始めているところでございます。
今後とも、市町村の移転元地の活用計画策定とそれに伴う土地集約を図る取り組みを支援するため、柔軟な制度運用などを引き続き国に求めていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 もう少し抜本的なというか集約化に向けた具体的な手法を、当然、区画整理事業というのは市街地といいますか都市計画区域にしかできませんので、被災したところは、都市計画区域外であったり、そういった手法も使えないような状況もあります。市町村も、復興庁からは、まず計画をつくれ、それがあってから初めていろいろとそういった手法を検討するみたいなお話もあるようでございますけれども、そこら辺の地域の自治体のそういった声を国にもぜひ強く伝えていただければと思います。
最後に、応急仮設住宅の撤去についてお聞きします。
私も竹駒小学校の応急仮設住宅にずっと住んでおりましたので、あれから6年間、学校の校庭が使えないというような子供たちを横目で見ながら暮らしておりましたが、今、学校敷地内に5市町村、19校で応急仮設住宅がありますが、これの撤去の見通しがどのようになっているのか、平成30年度までに撤去が完了するのか、お伺いいたします。
〇小笠原生活再建課総括課長 学校グラウンドに建設されました応急仮設住宅の撤去見込みということでございますが、学校グラウンドに建設された応急仮設住宅は全部で35団地ございます。そのうち5団地は閉校、廃校しておりまして、ことしの2月までに11団地が解体、撤去されましたことから、委員御指摘のとおり、現在19団地残っております。
今年度は、さらに3月末までに4団地で解体を予定しておりますので、今年度末段階では15団地が残るということになります。
今後の見込みでございますが、現在、市町村では、平成30年度末までに学校グラウンドの応急仮設住宅を撤去できるよう、応急仮設住宅の集約化計画の見直しを行っているところでございます。正直申しますと、現在のところ平成30年を越える計画になっておるのですが、それを平成30年度までに解体を終わらせるということで、今、計画の見直しを行っているところでございます。それがうまくできれば、平成30年度末までに撤去できることになると思います。
〇臼澤勉委員 先ほど斉藤委員もお話しされておりましたが、私も、まさにことしは本設に向けての移行の大変重要なポイントの年であると認識しており、総括質疑の際にもお伺いいたしました。
市町村も一生懸命集約化に向けて取り組んでおりますし、子供たちの学校の利用に向けて、県もぜひお力添えをしていただきたいと思います。
最後に、応急仮設住宅の企業や個人への売却状況、そして、今後の見通しをちょっと聞いて終わりにしたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 応急仮設住宅の集約化終了後の売り払いについてでございますが、県ではこれまで、市町村に対しまして、供与を終了した応急仮設住宅を無償で譲渡することにしておりましたが、希望が今のところございません。このため、プレハブユニット構造、つまり、解体して、また組み立てることができるものであって、解体から土地の返還までおおむね6カ月以上の猶予がある場合には、一般の方に対しても入札により売却することとしたところでございます。
売却実績でございますが、ことし2月に釜石市の応急仮設住宅の公売を行いましたところ、集会所、応急仮設住宅それぞれ1棟ずつ落札したところでございます。
今後につきましては、今時点で売り払いを予定している応急仮設住宅はございませんが、先ほど申し上げました応急仮設住宅売り払いのための要件に合致するものが出てまいりましたら、順次、売り払い処分を行う予定としております。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興局関係の質疑を終わります。
復興局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇佐藤会計管理者兼出納局長 それでは、出納局関係の予算について御説明申し上げます。
まず、議案第1号平成29年度岩手県一般会計予算のうち、出納局関係でございますが、予算に関する説明書により御説明いたしますので、82ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費1目一般管理費のうち、出納局関係は、説明欄の中ほどにあります6億7、271万円余であり、出納局職員84名分の人件費であります。次に、84ページをお開き願います。5目会計管理費4億3、551万円余でありますが、これは、管理運営に要する経費及び財務会計システム改修事業費等でございます。
次に、議案第9号平成29年度岩手県証紙収入整理特別会計でございますが、同じく予算に関する説明書の371ページをお開き願います。歳入歳出予算額は38億5、776万円余であります。
まず、歳入の主なものは、373ページにありますように、県税に係る証紙収入18億768万円余、また、使用料及び手数料に係る証紙収入20億5、008万円余であります。
次に、375ページをお開き願います。歳出でありますが、これは、県税、使用料及び手数料に係る証紙収入同額を一般会計に繰り出すものであります。
以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 常任委員会で、実は、清水会計指導監にお聞きしたいと思っていましたが、常任委員会では答弁する立場にないということでありましたので、ここで1点お伺いしたいと思います。
あなたは、泣く子も黙る会計検査院から出向しておられるわけでありますけれども、発災からもう6年になりますが、東日本大震災津波あるいは昨年8月末の台風第10号の災害で、大きな被害をこうむりまして、岩手県は大きな支援を、特にも今までになかったグループ補助等のような新しい施策によって、会計のほうは非常に忙しかったと思いますし、同時に、本当に県民のためによく頑張ってもらったと思っております。
そこで、何か正面から行くと巴投げを食いそうな、あるいは後ろから行くと背負い投げを食いそうな方にお見受けしましたが、この前、立ち話をしたら、そうではなくて、相当心の深い器の大きい方であるように思いましたのでお聞きしたいと思うわけでありますが、会計検査院としての目と、そして、今は岩手県職員のチームの中の一人という目と両方の目をお持ちだと思いますが、この東日本大震災津波以降、あるいは台風第10号災害以降の県のみんなの、国へのアプローチを含めて、予算獲得等あるいは処理等について、どのようにお考えになっているや、どのようにごらんになっているか、差し支えのない範囲でお答えいただければと思います。
〇清水会計指導監 貴重な機会を御恵与いただきましてありがとうございます。
一般論としまして、会計検査との関係で申し上げますと、会計検査院は、税金の無駄遣いの指摘ですとか補助金の削減等のみを主な目的としているように思われがちではございますけれども、近年の会計検査院の報告を見てみますと、例えば国民生活の安全・安心を守ることを目的として、防災関係施設の整備率向上を求めたりとか、設備の更新等のために、国から地方自治体に対する支援の拡充を要求したりするなど、事業を一層推進するような立場をとっているものも少なくないところでございます。
そういうことを踏まえますと、やはり、例えば検査等の場でも、会計経理の適正性はもちろん確保した上で、予算の必要性ですとか事業の有効性を丁寧に説明して、地域の実情も適切に伝えながら、よき理解者となってもらうような形で努めていくというアプローチも一つあるのではないかと考えているところでございます。
そのようなアプローチを進めていく過程で、私自身もその一助となれるように、微力ではございますけれども、本県のために一生懸命頑張ろうと思っておりますので、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
〇伊藤勢至委員 あなたのお仕事は、建築に例えますと、設計図を国が出してくる。そうすると、それをあなたが指導、監督、あるいは安全監督をしていく。それで、県を初め市町村が現場をこなしていく。そういうお立場にあるかと思いますけれども、図面が出る前の段階でいろいろな情報もお入りになるのだと思います。そのことについては今お聞きしませんが、どうぞひとつ、周りのみんなには、それとなく、ほどよく、差し支えのない範囲で、岩手県のチームの一人として御指導、御鞭撻を賜ればありがたいとお願いして、終わります。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで出納局関係の質疑を終わります。
出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇佐藤人事委員会事務局長 それでは、人事委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、105ページをお開き願います。2款総務費9項人事委員会費のうち、1目委員会費の693万8、000円は、委員3人分の報酬、その他、委員会の運営に要する経費でございます。次に、2目事務局費の1億4、902万円余は、事務局職員16人分の人件費、事務費など事務局の任用関係事務、公平審査事務及び給与関係事務等の管理運営に要する経費でございます。
以上で人事委員会関係の予算の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、質問します。
きのうの総務部の審査で大変ショッキングな答弁がありました。平成28年4月から平成29年1月までで80時間を超える長時間労働が648人、これは前年比217人ふえたと。100時間を超えた職員が309人、これも前年比156人増ですよ。本当に、平成27年度も異常だと私は指摘したのだけれども、ことしはいろいろな事情があったとしても、これだけの長時間労働を放置していいのかと。この実態を人事委員会としてどう受けとめているのか。是正の措置を人事委員会としてとるべきだと私は思うけれども、いかがですか。
〇坊良職員課総括課長 県職員の超過勤務の実情、状況についてでございます。
本委員会では、毎年度、労働基準監督機関として職権を有する全ての事業場-これは168事業場ございます-で、知事部局、医療局、教育委員会等全ての任命権者でございますけれども、こういった事業場に対しまして、労働基準法及び労働安全衛生法等の遵守状況について、事業場調査を行っているところでございます。
この県本庁、いわゆる県庁舎の事業場は官公署の事業場ということで、勤務する職員については、労働基準法第36条に定める使用者と労働者の協定、これはいわゆる36協定となっておりますけれども、こういったものは対象とされないところでございます。
超過勤務時間の調査をしているわけですけれども、私ども労働基準監督機関として調べたところによりますと、最多超過勤務時間が月平均30時間を超える職員のいる事業場、そして、月60時間、月100時間超えの職員数の調査を行ってきているところでございます。
まず、この調査の結果でございますけれども、平成27年度の超過勤務の状況でございます。月平均30時間を超えた職員がいる事業場は、168事業場中47事業場となっておりまして職員数でいくと7、000人程度でございます。また、1月当たり100時間を超えた職員がいる事業場につきましては12事業場となっておりまして、職員数でいきますと192名となっているところでございます。
これらのいわゆる超過勤務のある事業場に対しましては、長時間の超過勤務が職員の健康に与える影響を考慮し、一層の縮減対策に努めるよう文書で指導するとともに、任命権者に対しましても、人事管理上の必要な措置を行うなど、過重労働の防止対策に積極的に取り組むよう要請しているところでございます。
〇斉藤信委員 全然答弁になっていない。私は平成27年度の結果なんか聞いていないのですよ。今年度、その平成27年度以上に深刻な実態になったと。これを人事委員会としてどう受けとめて、是正の措置をとるのかと、このことを聞いたのですよ。
〇坊良職員課総括課長 当人事委員会といたしましては、いわゆる労働基準監督機関としての執行機関の役割を担っているところでございまして、その法的な調査等の根拠が、やはり前年度の確定した時間を調査した上で是正等の指導をしていく役割でございます。
〇斉藤信委員 そんなことを言ったら過労死が出てしまいますよ。超過勤務の80時間超が648人、100時間以上が309人だと人事総括課課長がきのう答えたのだから。だから、私はびっくりして、きょう聞いているわけですよ。県職員のまさに適正な労働条件を確保するのが人事委員会でしょう。私がそういう具体的な、深刻な実態を指摘したのに、全然対応の姿勢がないというのはいかがなものかと。
そこで、県庁の場合には超過勤務が自己申告制なのです。本来、客観的な労働時間を、始業時間、終業時間を把握するのが原則なのです。特別の事情がある場合に自己申告制は認めると。全国6県でICカード、タイムカードなどでやっていますから、私は、厳格に労働時間を管理したらもっと深刻な事態が出ると思いますよ。そういうことも含めて適正な指導をすべきではないのかと。
1月20日に厚生労働省が新しい通達を出しました。これは、長時間労働の是正なのですよ。サービス残業の是正のための申達をした。これを踏まえて、私は、人事委員会も立ち入った対応をすべきではないかということをお聞きします。
それでもう一つ、最後に、医療局や企業局の場合は、基本的には労働基準監督署の指導に基づくと思うけれども、人事委員会と労働基準監督署にまたがる感じもあるのだけれども、これはどういうふうになりますか。それを聞いて、終わります。
〇佐藤人事委員会事務局長 長時間労働の是正と働き方改革を進めて各職場で働きやすい環境をつくっていくことは、重要なことだと私は認識しております。
本県において、長年の課題であります長時間勤務の解消ということで、特に、委員御指摘のとおり、東日本大震災津波の発災以降、業務量が増加し、依然として今年度も超過勤務が減らない状況でございますので、これは、やはり行政運営上、または職員の健康面で重要だと受けとめております。
御指摘のありましたとおり、必要に応じて、私ども調査権限を行使しながら、可能な限り長時間勤務の解消に努めてまいりたいと考えておりますし、今般のガイドラインも踏まえまして、これからの調査に当たっては、より正確かつ適正な把握を行うよう徹底を図り、そして、超過勤務の縮減に資するように努めてまいりたいと考えております。
また、医療局の関係につきましては、地方公務員法に定めます事業場の職権を職務内容に応じて人事委員会と労働基準監督署で権限を区分している状況にございまして、教育、研究とか官公署等の事業を行う非現業事業場は当委員会が、ダム建設事務所、保健所、病院等の現業的な事業場につきましては労働基準監督署が所管することとされております。したがいまして、医療局につきましては、労働基準監督署が管理監督権限を担っているという整理になっております。
なお、今般のガイドラインなども含めまして、私どもでは、労働基準法、労働安全衛生法等の規定の遵守について、医療局も含めて各任命権者に通知をしておりまして、今後におきましても、必要に応じて情報提供してまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで人事委員会関係の質疑を終わります。
人事委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇菊池監査委員事務局長 それでは、平成29年度当初予算に係ります監査委員関係の予算について御説明申し上げます。
御説明は、お手元の予算に関する説明書により申し上げますので、107ページをお開き願います。2款総務費10項監査委員費のうち、1目委員費の予算額2、562万3、000円は、監査委員4名に係る報酬、給与及び監査等に要する経費でございます。次に、2目事務局費の予算額2億3、719万2、000円は、事務局職員21名に係る人件費等事務局の管理運営に要する経費でございます。
以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで監査委員関係の質疑を終わります。
監査委員事務局の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時54分 散 会

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