平成29年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 2 号)
平成29年3月7日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 杉 村   孝

秘書広報室長 保   和 衛
秘書広報室副室長兼首席調査監 高 橋 勝 重

政策地域部長 大 平   尚
理事兼政策地域部副部長兼
地域振興室長兼
台風災害復旧復興推進室長 宮 野 孝 志
政策地域部副部長兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 南   敏 幸
政策監兼
ふるさと振興監 小 野   博
市町村課総括課長 石 田 知 子

環境生活企画室
企画課長 黒 田   農

保健福祉企画室
企画課長 小 川   修

商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭

農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光

県土整備企画室
企画課長 小 原 由 香

復興局長 木 村 卓 也
復興局副局長 内 宮 明 俊

国体・障がい者
スポーツ大会局
副局長 泉   裕 之

教育企画室
特命参事兼
企画課長 菊 池 正 勝

議会事務局長 大 友 宏 司
次長 熊 谷 正 和
参事兼総務課
総括課長 及 川   忠
政策調査課長 高 橋 雅 彦

総務部長 風 早 正 毅
理事兼副部長兼
総務室長 大 槻 英 毅
総合防災室長 石 川 義 晃
総務室管理課長 藤 澤 良 志
入札課長 稲 葉   亘
放射線影響
対策課長 松 本   淳
人事課総括課長 佐 藤 隆 浩
財政課総括課長 小 原   勝
法務学事課
総括課長 佐 藤 一 男
私学・情報
公開課長 岡 部 春 美
税務課総括課長 小 畑   真
管財課総括課長 猪久保 健 一
防災危機管理監 會 川 雅 行
防災消防課長 山 田 壮 史
総務事務
センター所長 山 崎   隆
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
この際、昨日、飯澤匡委員から議事進行があったことについて、昨日、世話人会を開催し、協議した結果について報告いたします。
保育士修学資金貸付事業について、去る2月28日の千葉絢子議員の一般質問に対する答弁と、昨日の当委員会における佐々木朋和委員の質疑に対する答弁が異なったことに関し、執行部に対して、方針の変更の内容について再度の説明を求めたいとのことであり、世話人会で協議した結果、改めて知事から説明を求めることとして、意見が一致したところであります。
この後、知事から再度説明を求めることにしたいと思いますので、御了承願います。
〇達増知事 昨日の答弁に至る経緯について御説明いたします。
平成29年2月28日の一般質問において、保育士修学資金貸付制度の実施について御質問があり、保健福祉部長から、保育士養成校卒業生の県内保育所等への就職の促進が主な目的であることから、保育所における今後の新卒者の募集及び採用人員の見通しや、保育士養成校の設置状況と定員の見通し及び卒業生の県内就職率の動向などを踏まえ検討する必要があるとの答弁をしたところであります。
この答弁の後、複数の議員から、本貸付制度の仕組みなどに関して保健福祉部に問い合わせがあり、また、予算特別委員会総括質疑において、複数の委員から貸付制度創設に係る知事の見解を求める質問通告がございました。
予算特別委員会の答弁検討におきまして、担当部を含め幹部職員とともに検討を進める中で、多くの会派や、千葉絢子議員を初め多くの議員から御意見をいただいていることや、この制度に係る隣県の動向なども踏まえて、知事の判断として速やかに検討するよう担当部に指示し、その趣旨に沿った答弁をしたところであります。
〇名須川晋委員長 これより議事に入ります。
議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第27号から議案第30号まで及び議案第32号の以上25件を一括議題といたします。
本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
これより、昨日に引き続き総括説明に対する総括質疑を行います。中平均委員。
〔中平均委員質問者席に着く〕
〇中平均委員 こんにちはから始めるのではないかとどきどきしておりましたが、おはようございますでスタートできてほっとしております。
創成いわての中平均でございます。会派を代表いたしまして総括質疑を行わせていただきます。順序どおり行きます。
最初に、きのうからきょうまでの質疑に係るさっきの知事の答弁というか、回答があったことで、私の感想としては、一歩一歩前に進んでいくということでは、いいのだろうと。ただ、答弁が誤解を招くというか、時系列的にちょっとどうなのだろうと。今までの例で言えば、本会議の答弁が次の週に切りかわることはなかったわけで、そういった点を踏まえていくと、より誤解を招かないような丁寧な説明なり答弁を今後期待していきたいので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、始めさせていただきます。
最初に、平成29年度当初予算についてお伺いいたします。今回、持ち時間の関係もございます。総括質疑は、台風第10号災害、東日本大震災津波からの復旧、復興、いわて国際戦略ビジョン、県北・沿岸振興、安全・安心な地域づくり、市町村財政について伺う予定であります。
まず初めに知事にお伺いいたします。
平成29年度当初予算案について、知事の独自色というものはどこにあるのかをお示しください。また、知事の目指す岩手の将来像とは、平成29年度、平成30年度の2年間の復興実施計画第3期に入るに当たっての今までの第1期、第2期の検証、そして第3期を三陸復興・創造期間と言えるようにするための知事のリーダーシップの4点についてお伺いいたします。
〇達増知事 冒頭の答弁に関する御指摘、まことにありがとうございました。
平成29年度当初予算についてでありますが、未来につなげる復興ふるさと振興予算ということで、やはり東日本大震災津波からの復興、そして、久慈市も大きな被害を受けた台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むということで、緊急の課題に大々的に取り組みながら、同時に未来につなげる施策も講じていくということで、文化、スポーツ施策の戦略的な展開、国際戦略ビジョンの方向性を踏まえた取り組み、若者、女性の活躍の一層の支援など、いわて県民計画の第3期アクションプラン、また、ふるさと振興総合戦略についても着実に推進するための予算として編成いたしました。
また、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功、その成果、レガシーを大切にしながら、県民一人一人が将来にわたって確かな未来を描くことができる岩手、これは、言いかえれば県民一人一人が希望を持つことができるという意味でありますけれども、そういう岩手の実現を目指してまいります。
第1期、第2期復興実施計画期間の6年間におきましては、復興基本計画の目指す姿、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を掲げながら、地元の底力とさまざまなつながりの力を結集し、緊急的な取り組みと復興基盤の構築のための取り組みを進め、それらを土台としながら復興まちづくりを進めるとともに、被災者の方々の生活の安定と住宅再建、地域産業の再生などに取り組んでまいりました。
第3期におきましても、東日本大震災津波を経験した知事として、一人一人の幸福追求権を保障すること、また、犠牲になられた方々のふるさとへの思いをしっかり引き継ぐことを基本に、三陸のよりよい復興、ビルド・バック・ベターの実現に向けて、復興事業の総仕上げを視野に、復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら、全力で復興を推進してまいります。
〇中平均委員 全般的にはそのとおりだと思うのです。例えば、今の最後のほうに出てきた復興の先を見据えた地域振興、具体的にはそれがどういうものになるのか。希望を持って生きていける地域をつくっていくということでもあります。
それと、独自色は文化スポーツ部を設置する、また、国際戦略を制定してやっていくということなのですけれども、独自色で、例えば今回の予算案の中で、この事業は今までなくて、もしくは、あったとしても、よりこういうところに力を入れて、知事が指示した事業はこれだというものが、全部そうなのだとは思うのですけれども、こういうところに今後さらに力を入れていきたいというものがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 予算の中に優先順位というものはなく、予算全体で県として目指す姿を実現していくものであります。また、独自色とおっしゃいますけれども、何か知事個人の個性を予算を通じて実現というよりは、県民の皆さんの必要に応えながら、いわば、今、誰が知事であっても、こういうことはするだろう、しなければならないだろうという発想でさまざま準備してきたわけであります。
そういう中でも、補正予算ではありますけれども、久慈市、岩泉町、宮古市という台風第10号被害を特に強く受けたところでは、今までやったことがないような県からの交付金を措置するでありますとか、そういったかつてない災害に対しては、かつてないような取り組みを行っていく。今回の復興関連予算につきましても、被災者イコール復興者の方々の心と体のケア、また、コミュニティー支援については新規の県の事業も設けたといったようなところが、あえて言えば独自色かと思います。
〇中平均委員 最初に、台風被害を受けた久慈市の出身として御礼を言うのが遅くなっておりましたが、災害対応等、本当にありがとうございました。質疑等をまた進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、その台風第10号災害からの復旧ということについてお伺いしたいと思います。
河川改修または道路ネットワーク等の整備の必要性は、過日の五日市会派代表の代表質問に対しても御答弁いただいております。河川改修に関しては、改修を行うとともにソフト対策事業の充実を図る、また、道路ネットワーク整備に関しては、被災箇所の早期復旧とともに国道281号、国道455号の道路改良や防災対策を行うということの答弁もございました。今、鋭意進めていただいているところではございます。
その中で、これはたびたび質問しているところではございますが、国道281号の平庭地区の改良を進めていく必要があると指摘しているところであり、地域の声も大きいところでございます。県としては、必要性をどのように認識しているのかをお伺いいたします。
〇千葉副知事 国道281号は、久慈-盛岡間の交流連携や観光振興に欠くことができない重要な路線であり、また、復興支援道路としても位置づけているところでありますので、非常に重要な幹線道路であると私どもは認識しております。これまでも、そのような視点に基づきまして各地区ごとのバイパス整備、道路整備等を進めてきているところでもございます。
お尋ねの平庭地区につきましては、これまでも御答弁申し上げているところでもございますが、長大なトンネルを含む大規模な事業が見込まれますことから、今後の交通量の推移や公共事業の予算の動向なども見きわめながら、総合的に判断していく必要があるものと考えております。
〇中平均委員 それこそ、なかなか答弁が進まない質問の一つになってしまっており、大変恐縮ではありますけれども、これを進めてどうしていくのだという、この後に質問で組んでいる三陸縦貫道、三陸北縦貫道路、いわゆる復興道路の完成後の時間を見ていっても、実際のところ、例えば久慈から見ると、盛岡と陸前高田が同じぐらいの時間的距離になってくるわけです。
そういった点を踏まえていくと、やはり予算がかかる、長大だということもありますけれども、どうして整備を進めていかないのか。たどっていけば、ここが復興支援道路という位置づけになっているのですけれども、国のほうの宮古-盛岡間、釜石-花巻間のような形にどうしてならなかったのかという点も聞きたいところでありますが、そこまではまた今後に回します。
これから期間がかかる、予算がかかるのは、そのとおり、私たちも重々わかっていますし、初当選のときからずっと言ってきている課題であります。そういった点を踏まえながら、今、進めていくべきということを強く県に発言していきたいと思っておりますので、これからもこの対応をお願いしていきたいですし、何より、予算の配分、国からの予算等を含めて、とってこなければならないと思いますが、そういった意味で隘路区間を解消していくのだという決意をお聞きしたいと思います。
〇千葉副知事 先ほどの答弁でも若干触れましたけれども、国道281号は、内陸と沿岸を結びまして、国の復興道路と一体となって重要な役割を果たす復興支援道路ということで県も位置づけて、できる範囲では隘路の解消等も進めているところでございます。その認識については私どもも十分持っているつもりでございますが、今お話がございました、国の予算をこれからどのような形で確保していくかというような大きな課題もございますので、それらを含めて全力で取り組んでいきたいと思います。
〇中平均委員 ぜひ、今後もよろしくお願いします。
次に、2番目の台風第10号災害の久慈川の件ですが、久慈川の河口閉塞についてお伺いします。
ここもたびたび出ている問題であります。抜本的な対策が必要と考えますが、その必要性をどのように捉えているのか。また、台風第10号被害が与えた影響をどう捉えているか、あわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 久慈川の河口閉塞についてでございますが、久慈川の河口部におきましては、波浪などの影響により川や海からの砂が堆積し、しばしば河口閉塞の状況が生じ、サケの遡上や市街地の内水の排除に支障がある場合があることは承知しております。
現在は、砂の堆積状況を監視しながら、必要な場合は重機により砂の除去を実施しているところでございますが、抜本的な対策が必要であると認識しておりまして、東日本大震災津波の対策の一環といたしまして、河口部に波浪に対する波消し施設の整備を、平成29年度から平成31年度までの期間で計画しているところでございます。
なお、今回の台風第10号におきましては、台風前の7月から8月に河口部の砂を除去しておりまして、台風後も河口の閉塞は確認されていないところであり、浸水被害に関して、河口の閉塞による直接的な影響はなかったものと考えているところでございます。
〇中平均委員 まず、平成29年度の4月からの事業化ということで、ぜひこれを進めていっていただきたい。直接的な影響はないということではありますけれども、先般の台風で、久慈川、長内川の合流点の下流が逆流の原因になったということもありますので、その点を踏まえた今後の対策をよろしくお願いいたします。
次に、災害復旧工事の発注等についてお伺いします。
台風第10号災害の復旧工事は、国体の開催日程も迫っていたことから早期の復旧が必要ということで、文字通り復旧に当たっては、昼夜を問わず工事対応をしていただいております。これは、当然、県の広域振興局の皆さんもそうですし、工事対応に当たった建設業者の皆さんもまさにそういうことでありまして、国道281号を初めあれだけの崩落したところが、主要な幹線だけでも交互通行ができるようにまでしたというのは、ふだんでは考えられないぐらいの急ピッチでやって国体を成功させた一つのエピソードと言えるのではないかと思います。
今回の災害査定は、2、563カ所、555億円余りということでございました。この発注について、地元建設企業の参入にも可能な限り配慮した発注に努めると本会議の代表質問での答弁がございましたが、配慮する具体的な内容をお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 災害復旧工事の発注についてでございますけれども、これまでも、地域企業の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から、競争性を確保した上で地元建設企業の参入を優先する発注に努めてきたところでございます。
具体的には、工事の場所や規模に応じまして、入札に参加できる企業に制限を加えておりますほか、一般的な工事につきましては施工実績を求めないこととするなど、要件の緩和を行ってきております。
また、総合評価落札方式におきましては、災害復旧工事の場合は、被災時の応急工事に尽力した企業について、その災害活動実績を地域精通度で加算評価しているところでもございます。
今回の災害復旧工事の発注におきましては、こうした制度を活用しますとともに、地域に精通した地元建設企業の特性が最大限発揮されますよう適切な工事規模等を設定するなど、参入機会の確保に配慮してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 それは、それでぜひお願いしていきます。
今回の災害全般に言えることですけれども、予算措置は3カ年度で事業完了ということでございます。災害査定の終了がことしの1月でしたから、もう初年度は終わってしまっていると。これからやっていくという中で、先日の県土整備委員会でも、予算をどういうふうにということで、通常であれば初年度80%、2年度20%という答弁を小原企画課長からいただいた記憶がありますが、そういう形でやっているところを、ことしは配分を変えて、初年度を50%にして、2年度以降また50%、最終年度は1%、2%の整理期間という形なのかと思ってお聞きしておりますけれども、これは3年というルールがあって、できるだけ早くと。災害ですから、そのとおりですけれども、ただ単に原状復旧のところもあれば、再度災害を防止するために、きちんと設計を組んでやっていかなければならない地域もある。そういう箇所の場合、3年という縛りだと大変厳しいのではないかと思うわけです。期間が決まっていると、とりあえず発注して、最後は変更契約でやはり大きな金額の変更という、またおかしな形になってくるものもありますので-おかしいわけではないのですけれども、制度上、そうならざるを得ないと。そういった面を含めて、知事、どうでしょう、こういうところを知事会の場とかいろいろな場で弾力的な運用というのをきちんと求めていって、地域の実態に合った、災害の実態に合った復旧ができるようにしていくべきだと思うのですが、その点をお伺いいたします。
〇達増知事 この災害復旧事業に関して、原則として発災年を含む3カ年度内に完了するよう財政措置がされるという現状の中、早く終わるのであれば早く終わらせたほうがいいということもありますので、復旧工事の実施に当たっては、市町村と連携して発注計画の調整を図りながら、可能な限り早期復旧に努めてまいります。
一方で、今回の台風第10号災害復旧事業については、被害が広域かつ甚大、しかも地形的な制約もありますし、被災地域によっては3カ年度内の完了が難しくなることが想定されるわけであります。
これからの工事の発注状況等を注視しながらではありますけれども、やはり復旧工事が期間内に完了しない可能性が生じた場合には、市町村とも連携しながら、事業期間等の柔軟な取り扱いを国に対して要望していきたいと考えております。
〇中平均委員 ぜひ、予算が柔軟に使えるようにしていくべきだと。ここは言わずもがなのことで、皆さんも御承知のことだと思いますが、よろしくお願いします。
次に、復興道路整備に伴う交通対策ということでございます。
この事業終了後、どのようにビジョンを考えていくか。今、工事をしております復興道路が完成後、自家用車、バス等の利便性が高まる。その一方で、バイパス効果による地域生活への影響も出てくるだろう、その対策が必要であるだろうと考えております。
また、先日の質疑でも出ておりましたが、三陸鉄道が久慈から盛まで全線つながってということもありますけれども、三陸復興道路ができると、例えば久慈から陸前高田まで、今、3時間50分かかっているところが、2時間15分で行くようになる。圧倒的に時間距離が短くなっていくという利便性が増していく中で、三陸鉄道の維持ということに関しても、これはきちんとやっていかないと大きな影響が当然出てくるのだろうと考えておりますが、この点について、県はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 復興道路の整備により交通経路が変わり、例えば町なかを経由していたバス路線が復興道路に移行することも懸念されるところではありますが、バス事業者から聴取いたしましたところ、速達性のみならず生活交通としてのバス路線機能を十分意識しながら、今後対応を進めると聞いております。今後とも、バス事業者に対しては、住民生活や地域経済にも配慮するよう求めてまいります。
三陸鉄道の持続的な運行についてでありますが、復興道路の完成により、三陸沿岸における自動車移動の速達性や定時制が向上することで、三陸鉄道と競合する部分があると考えておりますが、一方で、仙台や八戸などの新幹線駅とのアクセス時間の短縮や、三陸沿岸地域の観光施設間のアクセスが改善されることから、これを好機と捉え、三陸鉄道の速達性の向上など多様なダイヤ編成や、地域力のある新たな企画列車の造成、鉄道と三陸地域の観光地、食めぐりなどを組み合わせた多様な観光商品の造成などにより、三陸鉄道の乗車人員の拡大に結びつけていくことが重要と考えております。
このことから、県及び関係市町村で構成する三陸鉄道強化促進協議会の事業などを通じて、旅行エージェント等に向けた三陸鉄道の営業や旅行商品の提案を引き続き支援していくなど、県及び関係市町村が一体となって三陸鉄道の運営を支えてまいります。
〇中平均委員 そういう中で、今、デメリット面にどう対応していくかということをお聞きしたのですが、逆に今度はメリット面で、きのうの答弁、今までの答弁でも、物流等がよくなることによってのメリットが大きいという話もありました。これを再度聞きます。復興道路を活用して物流や観光等をどのように発展させていくのかということをお伺いします。
〇木村復興局長 復興道路の整備に伴う施策の推進ということでございます。県では、ふるさと振興総合戦略、現在策定中の第3期復興実施計画の三陸創造プロジェクトで、復興道路等の新たな交通ネットワークを活用した産業振興を図ることとしております。
具体的に、物流面では、いわゆる津波補助金等を活用し物流の拠点となる企業誘致を進めてきたところでございますが、今後は、広域的なアクセス向上による物流のハブ機能の形成につながる取り組みを推進するほか、沿岸各地の海産物を首都圏等の大消費地へ迅速に直送するシステムを構築することとしております。さらには、そうした物流機能の充実を生かして付加価値の高い商品開発、新たな販路の拡大に取り組んでいくこととしております。
また、観光面でございますが、宮古-室蘭間のフェリー定期航路開設、ラグビーワールドカップ釜石開催などを見据えまして、復興道路を三陸鉄道と並ぶ広域観光の基軸として活用して、三陸DMOセンターとも連携しながら魅力ある観光地づくりの取り組みを進め、観光商品の造成、販売を積極的に促進し、国内外での誘客拡大を図っていくこととしております。
このような取り組みを通じまして、今後におきましても、市町村、商工団体等としっかり連携しながら、三陸の未来を見据えた産業振興を図ってまいります。
〇中平均委員 まず、復興道路をどう使っていくか、これからしゃべる湾口防波堤ができてからということとも共通するのですけれども、完成した後を見据えたやり方をどうしていくかということだと思います。
実際、岩手県は、別に比較対象という意味ではないですが、内陸でも、高速道路があって、新幹線があって、人口がふえている自治体というのは北上市以外、正直ないのではないかというところもございます。ここは、今、新しい数字を持っていないのではっきり言えませんが。
全部できてから、どうしてもいわゆるストロー効果と言われる、抜かれていってしまうものもある。観光等いろいろな産業をきちんとつくっていくと言いながらも、久慈で言えば、八戸まで60分が40分になっていくという中で、どういうふうにして地域に人もお金も寄せてくるかということを考えていかなければならない。こういった面を踏まえて、地元とも協力しながら政策を打っていかなければならないだろうということだと思います。
例えば、今までだったら、八戸で仕事をしている久慈の人が、遠いから八戸にいて週末に来ていたと。近くなったから、例えば久慈から通おうかなという選択肢も当然出てくるわけです。そういう人たちに対して、こういうメリットがあるので地域に残っていただきたいとか、地域に戻ってきてもらいたいというのは人口の社会減対策にもなるのでしょう。ただ、逆に、近くなって便利だから、八戸に住んでいて、何かあったときだけ久慈に戻ってくればいいという選択肢も当然出てくるわけです。そういったところを、やはり出ていく選択肢ととらせないための方策というものをきちんと考えていかなければならないのだろうと思っております。
これは、久慈市自身が本来考えていかなければならない問題でもありますけれども、そういった点を含めて、県、市、各自治体と協力しながら進めていっていただきたいと要望しておきます。
次に、水産加工業について伺います。
沿岸地域において重要な産業である水産加工業は、東日本大震災津波後の人手不足、不漁による原料確保に苦労している現状にあります。加工原料を変更するとしても、生産ラインを変更するための投資が必要であり、販路についても新たに開拓していかなければなりません。東日本大震災津波後に事業再開した水産加工業は、原料不足、人手不足、業績不振、このような課題が山積していることから、総合的な支援が必要ではないかと考えられますが、県の所見を伺います。
また、水産加工のノウハウを生かして、水産物以外の原料を使った加工品の製造によって、今までの販路以外の開拓も支援できるのではないかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
〇木村復興局長 水産加工業への支援ということでございます。県では、これまで、水産加工業が抱えるさまざまな課題に対しまして、外部専門家を活用した商品開発力の向上支援、県内外での商談会開催などによる販路拡大の促進に取り組んできたところでございます。
また、新商品開発に対応した設備等の高度化や加工原料の確保に向けまして、国の各種補助事業の活用促進など必要な支援を行ってきたところでございます。
さらに、人材不足解消を図るため、就職面談会、企業見学会の開催、大手就職情報サイトの活用支援による地域内外からの労働力確保に加えまして、カイゼンの導入によります労働生産性向上など、きめ細やかな支援を行ってきたところでございます。
今後におきましても、産学官金のネットワークによります食産業振興の協働体制でありますフード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチ等を活用した総合的な支援を進めますとともに、国、関係市町村、各産業支援機関などと連携いたしまして、復興はもとより、持続的な水産加工業の振興に取り組んでまいります。
また、県内事業者におきましては、これまで培った技術を活用して、今後需要が見込まれる高齢者向けの商品開発、先進的設備を水産物以外の農産物に活用しようという試みも見られております。これにつきましては各種ファンドなどの活用によって支援したところでございまして、このような意欲のある事業者の取り組みに対して、今後とも必要な支援を行ってまいります。
〇中平均委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
次に、いわて国際戦略ビジョンについてお伺いします。
今年度策定ということで、今年度もあと少しですけれども、今、この国際戦略を策定しようとする狙いについて知事にお伺いいたします。
〇達増知事 まず、上海万博、ミラノ万博と2度の万博への出展を通じまして、岩手の観光資源や県産品への関心がアジアでも、またヨーロッパでも高まってきております。それぞれの万博以外にもフォローアップ的な岩手の物産、観光の紹介などをやっておりまして、非常に可能性は大きいということを感じております。
また、ILC-国際リニアコライダーの実現に向けた取り組みということが一つ非常に大きな国際戦略でもございますし、ラグビーワールドカップ2019岩手県釜石市開催というのは大変大きな国際化の機会であると考えております。
これまで培ってきたグローバルなネットワークを生かしながら、さまざまな分野にわたる国際関連施策を、この際、一体的、戦略的に推進していくことが重要と考え、国際戦略ビジョンを策定するものであります。
成長が見込まれる海外市場において、岩手のさまざまな魅力を岩手ブランドとして発信していく、そして、岩手の商品やサービスの付加価値を高めながら海外展開を促進していくことにより、こうしたことを文化、学術、民間交流、草の根交流などともあわせながら、岩手の産業振興と雇用の確保につなげてまいりたいというものであります。
〇中平均委員 まず、目的ということだと、そのとおりだと思います。
それで、いただいている資料を見ても、今の答弁でも戦略的という表現が出てきております。私も、戦略的とはどういうことだろうと考えてみました。辞書も引いてみました。結果、岩手の特色、強み、弱みを冷静に分析して、相手国のマーケティングをきちんとしていくことで売り出すものを選択し、競合他社との差異を明確にしていくことを指している言葉なのかと私自身は捉えました。
そうした中において、このビジョン案ですけれども、相手国の記載はされていますが、岩手の特色、品目ごとの他県との展開の比較等、そういった解決すべき課題が明記されていないのです。また、輸出や人的交流の目標値も明記されていない。ほかの資料を全部見ていけばあるのかどうかというのはあるのですが、ただ、今の知事の目的を聞いていても、やはりこのビジョンに基づいた実効性のある施策がなければ話だけで終わってしまうと思うのです。この施策展開を期待したいという意味で考えるのですが、その点についてお伺いいたします。
〇杉村企画理事 いわて国際戦略ビジョンの施策の展開についてでありますが、現在策定中の本ビジョンは、いわて県民計画第3期アクションプランの推進や、その先のあるべき姿の実現に向け、海外展開に係る関連施策の基本方針を定めようとするものであり、当面は、アクションプランに掲げる目標値の達成を目指しているところです。
本ビジョンでは、重点的に取り組むべき品目や市場を明確にした上で海外展開を図るとともに、例えば県産品の販路拡大では、東アジアを中心に拡大している南部鉄器の知名度を生かし、岩手ブランドの浸透を図るとともに県産品全体の販路開拓にも広く活用すること、外国人観光客の誘客拡大では、桜と紅葉の時期に入り込みが集中し、これ以外のシーズンが低調であることから、フルシーズンの誘客のためのプロモーションを強化することなど、本県の強みや弱みを踏まえて取り組むこととしております。
さらに、個別事業につきましては、それぞれの課題を的確に捉えながら実施していくとともに、これまで、国内外における対外的売り込み活動については、いわてまるごと売込み隊で一体的に推進してきたところであり、新たに設置される国際室も加えて体制を強化し、施策効果がより高まるよう取り組んでまいります。
〇中平均委員 ビジョンをつくって、新しい室も設置してということでございます。ぜひ、実際の効果をより出していただきたいと思います。
そういう意味において、きのうの高橋但馬委員の総括質疑のときに、東北、北海道と連携して岩手ブランドを構築していくという答弁がありました。入り込み客数の岩手県単独の目標数値は設定していないという答弁であったと思いますが、政府は、東北の外国人宿泊者数を3倍にしていくと言っているのですが、岩手県は、3倍まで行かないまでも、せめて2倍にするとか、そういうものがないと、具体的に何をやっていくのだという話になるのではないかと思うんです。
2016年の外国人宿泊者数は、青森県は14万人となっている。そのとき岩手県は、12万8、310人となっているわけです。その差は何なのだろうと。恐らく直行便がある関係であるとか、そういうことだと思うのです。答弁はわかるのです。では、その先に何をやっていくのですかということをやっていかなければならない。先ほどの県産のものを出すということでも、例えばリンゴを売り出しますとビジョンに書いています。では、競合している青森県とか長野県と比較して、どういうふうに売っていくのですか。売り先は、大体、東南アジアのタイであったりと、みんな同じところに出しているわけです。そういったところをやはりきちんと見ていかなければ、国際戦略ビジョンをつくってやっていくといっても、その先が続かないということになると思うのです。やはり、そこをこれからきちんとつくっていっていただきたいということです。
あとは、これから外国人観光客誘致も大きく頑張っていくという中で、予算の中には訪日外国人向け伝統文化鑑賞・体験プログラム開発事業費とか、海外との絆を活かした文化芸術形成促進事業費とあります。これらは国際戦略ビジョンの中には入ってないのです。文化スポーツ部のほうだったような記憶があるのですが、何で、一体でやると言いながら、所管はまた別になるみたいなことが起こっているのかお聞かせください。
〇杉村企画理事 国際戦略につきましては部局をまたがって実施するものでございまして、文化の関係についても、この国際戦略ビジョンの中で触れております。
具体的に申し上げますと、本県はユネスコ無形文化遺産に登録された早池峰神楽などの伝統芸能、あるいは平泉と橋野鉄鉱山の二つの世界遺産や御所野遺跡など多様な地域資源を数多く有しておりまして、海外展開に当たりましては、このような岩手の歴史や文化を発信していくことが重要だと認識しております。
実は、国際戦略ビジョンの中には、当初予算のあらましの中に、3本の柱として、海外市場への展開、外国人観光客の誘客拡大、人材ネットワークの強化と多文化共生の推進の戦略に沿った主な事業を掲載しているものでございますけれども、本ビジョンでは、この戦略のほかに、この戦略を推進する視点の一つとしまして互恵的、多面的な交流の推進を掲げておりまして、経済分野のみならず、青少年交流などの人的交流、学術交流、文化交流など多面的な交流を促進することとしているところでございまして、文化関連施策についても、基本戦略に係る施策とともに一体的に取り組んでまいります。
組織の中におきましては、先ほどの文化スポーツ部といったものも取り込んで一体的にやってまいります。
〇中平均委員 ぜひ、実態のある、そして成果のあることを期待いたします。
次に、県北・沿岸振興で、港湾利活用ということで今回の予算にもクルーズ船の誘致と書いております。そういった中で、久慈港を初め港湾の水深等について、大型船に対応した深さが確保されているかという点も問題になってきておりますけれども、その点について、どのように確認して対策を行っているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 港湾の利活用についてでございますけれども、県内各港の港湾内につきましては、東日本大震災津波直後から、必要な水深を確保するため国の直轄によりまして啓開作業が行われたところでございますが、県におきましても、平成23年度から平成25年度にかけて航路等の水深調査を実施し、港湾計画に定められている水深が確保されていることを確認しているところでございます。
これによりまして、久慈港におきましても3万トン級のぱしふぃっくびいなすなどの国内クルーズ船が入港しており、その他の港におきましても5万トン級の国内クルーズ船が入港しているなど、東日本大震災津波以前と同様の活用がなされているものと考えております。
県におきましては、今後も、各港湾所在市と連携し、各港の受け入れ能力に応じたクルーズ船の誘致に取り組むこととしておりまして、引き続き、堆積物の除去等を行うなどしながら必要な水深を確保し、港湾の利活用に努めていきたいと考えております。
〇中平均委員 次に、漁業資源についてお伺いいたします。アワビ、サケ等についてでございます。
アワビの種苗生産施設が本格稼働しておりますけれども、継続した種苗放流をすることが必要であります。国、県による放流経費の支援継続を要望する声は地域では大変大きいですけれども、国は放流経費の支援については厳しい見解を示していますが、県の今後の対応についてお伺いいたします。
また、サケについては、下安家等の施設が昨年の台風第10号災害で被災しました。県を初めとした支援によって復旧のめどは立ち、ことしの秋からの稚魚の生産再開とありますが、サケの資源造成には今後一層の支援が必要と考えます。これからどのようにしてサケ資源を確保していくのか、県の見解を伺います。
〇千葉副知事 アワビ、サケ等の資源についてでございますけれども、本県では、これまで、アワビ、ウニ等の磯根資源を対象とした栽培漁業が進められておりまして、特にアワビは価格も高く、漁業者の貴重な収入源となっておりますことから、各地で種苗放流等による積極的な資源造成が行われてきているところでございます。
アワビは、被災した種苗生産施設の本稼働が平成26年度となったため、その後放流した種苗は現時点では漁獲できる大きさまで成長しておらず、漁獲はほぼ天然物に限られておりますことから、漁獲量が震災以前の水準にいまだ回復していない状況にございます。
また、サケは、ふ化場の被災以降、稚魚放流数が少なかったこともあり、回帰主群となる4年魚、5年魚の回帰尾数が減少し、漁獲量は震災前の水準にこれも回復していない状況でございます。
加えまして、昨年の台風第10号によりましてふ化場が被災したため、ことし春の稚魚放流数は前年の8割強にとどまる見込みでございますが、現在、ことし秋の稼働に向けまして被災ふ化場の復旧整備を進めており、来年春には、稚魚放流数は目標とする4億尾に回復する見込みでございます。
このため、県におきましては、今後も、4億尾の稚魚放流に向けまして、漁業団体と連携し、定置網で漁獲したサケを親魚として活用するなど種卵の確保を図りますとともに、健康な稚魚の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
県では、アワビ種苗、サケ稚魚の生産、放流への支援が引き続き必要と考えておりまして、平成29年度当初予算案には、国の事業を活用した生産、放流経費への支援事業を盛り込んだところでございまして、平成30年度以降につきましても、引き続き、国に対して事業の継続を強く働きかけ、アワビ、サケの資源造成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 続いて、新しい魚種ということをどう考えているのかお伺いいたします。
知事演述においては、サクラマスの資源造成に取り組むと発言がございました。この点について、どのように取り組もうとしているのかをお伺いいたします。
〇達増知事 サクラマスは、水揚げの少ない春先に漁獲され、市場ではその希少性や食味への評価が高く、高級魚として高値で取引されていますことから、県では、サケに続く新しい魚種として有望と考えているところであります。漁業関係団体からも資源造成を強く要望されております。
このため、県では、今回、当初予算案に稚魚の回帰率向上と量産化に向けた技術開発の取り組みに要する経費を盛り込みました。今度とも、県内ふ化場と連携しながら稚魚放流数を拡大するなどして、サクラマスの資源造成に取り組んでまいります。
〇中平均委員 昨日来の質問でもあります、漁獲高も落ちてきているといった中で、これからどうやって水産業をきちんと立て直していくかというのは大きな課題でありますので、ぜひとも、実現というか、実態が伴っていく形で、またこれを進めていっていただきたいということでございます。
続きまして、湾口防波堤完成後の水産業ビジョンということで、これも前回も聞いておりますが、久慈港は新しい静穏域が広がってきております。これを有効活用していくことが、地域の水産業の発展、または地域振興につながっていきますが、この点についての考えをお伺いいたします。
〇千葉副知事 湾口防波堤完成後の水産業ビジョンについてでございますけれども、県北地域は、岩礁域の多い海岸線や遠浅の地形を持つ地域特性でございますことから、これまで、先ほども申し上げましたが、アワビ、ウニ等の磯根資源の増殖やヒラメ等の種苗放流など、栽培漁業を中心に漁業振興を図ってきたところでございます。
一方、養殖業にあっては、生産に適した海域が少ないことから、普代村でのワカメ、昆布などの養殖にとどまっておりましたが、近年、野田村の外洋に面した海域で高品質のホタテガイ養殖の取り組みも進められているところでございます。
県では、県北地域の養殖業の振興に向けまして、マガキのシングルシード種苗、これは種苗を1粒の状態でかごで育てるものでございますけれども、その大量生産技術を県水産技術センターが開発し、震災後、久慈湾等でその技術に基づく養殖試験を実施いたしましたところ、1年間で出荷が可能となる大きさとなるものも出てまいるなど、良好な生育結果が得られているところでございます。
今後、県におきましては、湾口防波堤の完成によって生まれます静穏域の活用に向けまして、シングルシード種苗を用いたマガキ養殖の取り組みを進めていきたいと考えております。加えまして、エゾイシカゲガイなど新たな養殖種の導入を図りますとともに、新たな販路開拓、新商品開発や水産物の高付加価値化の取り組みを支援するなど、地域水産業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 今お話があったとおり、野田村ではホタテのほうもキリンビールの支援を受けてやっていると。普代村の昆布も、盛岡に出ていって普代フェアをやったり、そういったことをやっています。県も支援して、いろいろな民間の力を使いながら地域でも頑張っている。さらに販路拡大においては、ロットが少ない中で、どうやっていくかということもありますけれども、そういった点を含めて、どうでしょう、今後の展開をもうちょっと、未来に向かって頑張っていくのだという決意を聞きたいところですが、よろしくお願いします。
〇千葉副知事 現在、さまざまな水産物、養殖に基づくものもございますけれども、さまざまな加工品、6次産業化ということでいろいろな商品が試作され、また、製品化されてきております。私もいろいろな場でそういう試食品を食べたり、説明も頂戴しているところでございます。
今、若手の経営者の方々を初めそういういろいろな工夫、努力をされているという状況があると考えておりますので、生産から流通まで、私どもも全力で支えてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 では、時間の関係で少し飛ばして、医療関係についてお伺いします。
産科医療体制ということで、久慈地区をどう捉えて把握しているかと。久慈から二戸まで搬送しているという実例がございますが、事故に遭う危険性もあり、実際あったところでもありました。
産科医師不足は重々承知しております。その中で、地域の不安をどのように受けとめて、県としてどう対策を講じていくのかをお伺いいたします。
〇千葉副知事 産科医療体制についてでありますけれども、久慈地区は、管内唯一の産科診療所が昨年3月で分娩の取り扱いを停止し、現在、分娩取扱施設は県立久慈病院のみとなっておりまして、同地区の周産期医療体制は県内でも特に厳しい状況にあると認識しております。
このような状況に対応するため、同地区におきましては、昨年度から、管内4市町村と保健所並びに県立久慈病院の関係者によります協議の場を設置し、講演会の開催や市町村広報の活用等によりまして、同地域の周産期医療の現状及び分娩リスクに応じた県立二戸病院との役割分担等について住民に周知する取り組みなどを進めております。
また、遠隔地の医療機関で妊婦健診を受診する際の交通費等の助成、いわゆるアクセス支援に、管内の4市町村が足並みをそろえて取り組んでいただいているところでもございます。
現在、久慈・二戸圏域では、県立久慈、二戸の両病院を県北地域周産期母子医療センターとして位置づけ、久慈病院では正常分娩のみに対応し、それ以外のリスクの高い分娩は二戸病院で対応する等、機能分担、連携によります一体的な診療体制で対応しているところでございます。
県立久慈病院では、管内の産科診療所が分娩の取り扱いを停止して以降、分娩件数が昨年度と比較して約3倍と大幅に増加しておりまして、今年度は助産師3名を増員し、医師の負担軽減を図りながら分娩件数の増加に対応しているところでございます。
県といたしましては、産科医師確保のため、引き続き関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘に努めますとともに、新たに、産科医療施設の開設等への支援や助産師等の活用による地域で妊産婦を支える体制をつくる取り組みについて、当初予算案に盛り込ませていただいたところでもございます。
いずれ、そのような状況でございますので、久慈地域の現状につきまして、できるだけ改善が図られるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 一刻も早い改善をということで、私たちも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、土砂災害対策ということで、台風第10号が発生しましたが、現在の災害警戒区域の指定状況、そして今後の土砂災害対策についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 土砂災害対策についてでございますけれども、県内の土砂災害危険箇所は1万4、348カ所ございまして、そのうち土砂災害警戒区域の指定については、本年2月末現在で4、819カ所、指定率は33.6%となっております。
今回の台風第10号により発生した土砂災害につきましては、人家等への被害が大きかった箇所など緊急に対策が必要な箇所につきましては、国庫補助事業等を導入して砂防堰堤を整備することとしておりますが、全ての危険箇所に対してハード事業を施すことに関しましては膨大な時間と予算を要しますことから、ハード対策とソフト対策を組み合わせた総合的な土砂災害対策を推進していく必要があるものと考えております。
県におきましては、台風第10号災害で得られました教訓などを踏まえ、新たな風水害に対応した防災体制の整備を図るため、岩手県防災会議幹事会議のもとに河川・土砂災害防災分科会を設け、防災体制の課題と対応策を検討してきたところであります。
この検討結果に基づき、要配慮者利用施設における土砂災害警戒区域の優先指定や当該施設に対する防災知識の普及啓発等に取り組んでいきますとともに、平成31年度までに土砂災害警戒区域の指定がなされていない全箇所の基礎調査と調査結果の公表を行うなど、ソフト対策も重点的に進めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 最後に、市町村財政ということで、交付金措置も久慈市、宮古市、岩泉町にしていただいております。今回の災害を受けて、3市町の財政状況の悪化が想定されておりますが、どのように分析されているかお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 久慈市、宮古市、岩泉町の財政状況についてでありますが、東日本大震災津波被災後の平成23年度から平成27年度の決算における3市町の財政指標を見ますと、実質公債費比率、将来負担比率ともに、毎年度、早期健全化基準を下回っており、各市町においては、震災後は健全な財政運営に努めてきたと分析しております。
今回の台風被害による復旧、復興事業には多額の財政需要が見込まれ、災害復旧事業や市町単独の事業実施に伴う負担も多額に上ることから、各市町においては、財源確保に向けた取り組みを進めているところであります。
3市町における財政調整基金など主要基金の残高を見ますと、台風の被災前残高が3市町合計で120億円、来年度当初予算における残高が約97億円と、23億円の減少となっておりますが、来年度以降増加する住宅再建支援や中小企業再建支援の負担に加え、災害復旧事業債の元利償還に伴う後年度負担も生じてくることから、厳しい財政運営が続くものと見込んでいるところであります。
〇中平均委員 そういった中で、県も苦しい財政ではございますが、さまざまな交付金措置をしていただいていることに感謝を申し上げます。また、これからも、この被災3自治体だけではなくて県下全般ですけれども、県と自治体が一緒になった県勢発展を目指していかれることを、私どもも頑張ってまいりますし、執行部におかれてもどうぞよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。
〇名須川晋委員長 次に、千田美津子委員。
〔千田美津子委員質問者席に着く〕
〇千田美津子委員 日本共産党の千田美津子です。
私は、会派を代表しまして、大きく分けて3項目についてお聞きしますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、子ども・子育て支援新制度と保育所の待機児童の解消についてお聞きします。
昨日も議論がありましたが、今、誰もが安心して子供を産み育てられる社会の実現は喫緊の国民的課題でありますが、子供の総数が減少しているにもかかわらず保育を必要とする子供の数は増加し、全国各地で待機児童問題が深刻となっています。
そこで、県内の待機児童の現状ですが、平成28年4月1日現在194人、10月1日現在で710人でありますが、これにはいわゆる隠れ待機児童は含まれておりませんので、これらも含めますと、昨年の4月1日では677人、10月1日で何と1、360人の待機児童が発生しております。これは大変な数だと思いますが、知事はこの待機児の実態についてどうお考えですか。また、この現状をどう改善されようとしておりますかお聞きします。
〇達増知事 待機児童の実態についてでありますが、近年、女性の就業が進んでいること、また、子ども・子育て支援新制度が施行されたことなどによって保育ニーズが高まっているということがあると思います。それに伴って待機児童が発生しているというところがあると認識しております。
待機児童の解消のため、市町村においては、平成27年度から平成31年度までの5年間の保育ニーズや地域の実情を踏まえて、子ども・子育て会議の意見も聞きながら、市町村子ども・子育て支援事業計画を策定して認可保育所等の整備や小規模保育事業所の設置などの取り組みを進めているわけでありますけれども、県においては、この市町村等が実施する施設整備等に対して財政支援等を行い、また、保育士確保の支援にも努めているところであります。
さらに効果的な事業実施に向け必要な助言等を行っておりまして、やはり県によるこうした取り組みも必要と感じております。待機児童の解消に向けて、保育の実施主体である市町村を県としても支援していかなければならない、そういう実態にあると思います。
〇千田美津子委員 ただいまは県としても必要な助言等をやっていく必要があるということですが、私は、この実態は、支援をする程度ではおさまらない状況だと思います。
先日の新聞報道によれば、ことし4月からの入所について、東京都や政令市では3万9、000人の待機児が発生すると。盛岡市では、受け入れ可能数1、264人に対して希望者は1、607人、その倍率は1.27倍とありました。私は、これは全国的な問題でありますけれども、県内の市町村にとっても大変重大な問題だと思います。ですから、本当にこれらに見合うもっと前向きの姿勢が必要だと思いますけれども、もう一度お伺いいたします。
〇達増知事 保育士修学資金貸し付けについて早急に制度設計を進めることについては、本日の委員会の冒頭でも改めて御説明申し上げたところであります。また、きのう、待機児童ゼロをいつまでにすべきかという質問に対し答弁したとおり、これはいつまでにゼロという問題ではなく、今、ゼロでないことが問題なのだ、そういう基本的考え方に基づいて対応してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 それでは、保育士不足についてお聞きしたいと思います。
先日の一般質問においても、県内保育所等のアンケート調査をされたようであり、県内の保育士不足は130施設で213人と示されました。この現状について、今、保育士の修学資金の話もありましたが、今後どのように対応されるお考えかお聞きします。
〇達増知事 保育士不足の現状については、子ども・子育て支援新制度の量的拡充と質の向上の取り組みの進展に伴って、保育士のニーズも高まっていると認識しております。
県においては、岩手県保育士・保育所支援センターによる潜在保育士の掘り起こしやマッチング支援、保育士や保育所に対する相談支援等を行っておりますが、さらに潜在保育士の再就職支援研修や新任保育士の就業継続支援研修を実施しております。
また、これらに加えて保育士等の賃金改善に係る処遇改善加算措置について周知することもやってまいりたいと思いますし、就職準備金の貸し付けによる潜在保育士の再就職支援等も実施しております。さらに、保育士修学資金貸し付けについて早急に制度設計を進めるなど、今後とも保育士の確保に向け取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 今、新制度において量的、質的な向上を図る中で、さまざま保育士確保の手だても講じられているとお話をいただきました。処遇改善についても周知をしているということでありますけれども、しかし、今、民間保育所において保育士の確保が難しい理由として、この間、県がアンケートをとられた中に、求められる賃金水準を満たせないという問題があったと思います。そのため、待機児童をなくすためには緊急避難的な措置として公立保育所がその役割を果たすべきときだと思いますが、知事の見解をお聞きします。
〇達増知事 岩手で働くというふるさと振興、あるいはいわてで働こう推進県民運動の観点からも、保育士の賃金水準というのは重要なことだと考えております。
一方、待機児童を解消するためには、それぞれの地域の実情や利用者の希望に応じて幅広い選択肢の中で対応していくことが重要でございまして、保育サービスの提供に当たっては、保育の実施主体である市町村において、受け入れ先が公立、私立にかかわらず適切なサービスが提供されるよう調整を行う必要があると考えておりまして、県としては、待機児童の解消に向けた市町村の取り組みを支援するという考えであります。
〇千田美津子委員 知事から、いろいろ市町村が調整等をやっているのでそれらを支援していくということが示されましたが、今、市町村でやっている枠が足りないということなのです。それを抜本的に進めなければならない。県が後押しするだけでは解消できない状況にあるということが私は一番大きな問題だと思うのです。それについてもう一度お聞きします。
〇達増知事 待機児童問題は全国的にも関心が高まっているところであり、やはり待ったなしの問題だと思っております。
一方で、待機児童問題の解消については、それぞれの地域の実情や利用者の希望に応じて幅広い選択肢の中で対応していくことが重要でございまして、岩手県内も市町村によっては待機児童ゼロのところもございます。こうした中で、今、待機児童がゼロではない市町村もありますけれども、そこを何もしないということではなく、市町村の努力を尊重しながら県においても支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 利用者が希望に応じた選択ができることが非常に大事ですが、それ以上お答えがないのでやめますけれども、ぜひ私は現状をしっかり見て、もっと抜本的な対応をお願いしたいと思います。
今、子ども・子育て支援新制度を口実に、公立施設の統廃合と民営化、それから大規模化、そして認定こども園化などが県内で進められようとしています。保育士の資格取得を目指す若い皆さんにとって、現状はまさに逆行しているのではないかと私は思います。待機児童がいるのに公立施設を廃止するとか統廃合による大規模化で施設数を減らす、私はこの方向は大いに問題があると考えておりますけれども、知事の見解をお聞きします。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、公立施設のいわゆる統廃合、民営化あるいは大規模化、認定こども園化に対しまして、さまざまな懸念あるいは不安の声があることについてはそのとおりと思いますが、御質問の言葉をおかりすれば、公立保育所の統廃合、民営化、大規模化、認定こども園化といったことにつきましては、その設置主体である市町村においてそれぞれの計画に沿って実施しているものと承知しております。
県におきましては、市町村に対して、公立であれ私立であれ、設置主体にかかわらず必要な保育サービスが確保されるよう、この問題に一緒に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 実は今、花巻市でも公立保育所3カ所が民営化することが決まりました。第2次、第3次としてさらに進めるという方向です。それから、私のいる奥州市でも、公立保育所を廃止するとか公立幼稚園を廃止するとか、そういう方向も出されております。こういう方向は、今、子育て中の若い皆さんの不安をあおるようなことになっておりますので、私は、子供たちを安心して安全に預けられる、親が選択できるような保育所、子供施設を充実させていくという点でぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
県内の公立保育所の利用定員は平成28年で9、400人だったのですが、新年度は9、215人と定数が減っているのです。待機児童がいながら定員が減っているということは非常に問題だと私は思いますので、この点だけお聞きします。
〇達増知事 公立保育所の設置主体については市町村ではありますけれども、子育ての課題に直面している皆さんは県民でもございまして、県としてもこの待機児童問題についてはきちんと対応していかなければならないと思っております。
まずは、質問の中で触れていただいた幾つかの市において、やはり市当局においては、市民、住民の皆さんの理解が得られるような説明責任を果たすとか、あるいは住民、市民の皆さんの声に耳を傾けるとか、そういったことをしていただきたいと思うところでございます。そういった中で、市町村として待機児童問題、いわば手に余るような状態というのはあってはならないことでありますけれども、そうなったら県がというよりも、そうならないようにするために、県としても市町村と連携しながら待機児童問題に対応してまいりたいと考えます。
〇千田美津子委員 それでは、育休退園の現状についてお聞きします。
昨年、問題になったのが、保護者が育休に入りますと上の子供が退園させられるという問題であります。この問題が起きてから育休退園をやめる市町村も出ているようですが、県内の育休退園の現状はどうなっているかお聞きします。
〇千葉副知事 育児休業取得時の保育所の継続利用の状況についてでございますけれども、平成26年9月に国から育児休業取得時の継続利用に係る運用通知が発出されておりまして、二つの要件、すなわち、次年度に小学校入学を控えるなど、子供の発達上、環境の変化に留意する必要がある場合や、2点目、保護者の健康状態や、その子供の発達上、環境の変化が好ましくないと考えられる場合など、市町村が児童福祉の観点から必要と認めるときは、保育の必要性があるものとして継続して保育所等の利用が可能とされているところでございます。このように国の制度では運用がなされておりますが、現在、当該通知を踏まえまして、継続利用の要件を定め、その可否を個別に判断しておりますのは県内15市町村となっております。他の県内18市町村におきましては、育児休業した場合には全て継続利用できるとしているところと報告を受けております。
〇千田美津子委員 この育休退園はそれぞれの市町村で判断しているということでありますけれども、やはりこのことによって3番目の子供を産みたいけれども悩んでいるとか、そういう声がかなりあって、この制度改善が非常に要望されておりますので、県内ではできるだけ保護者の希望に沿った継続ができるようにぜひ対応していただきたいと思います。
いずれ非常に大変な状況だと思います。知事を先頭に、市町村任せではなく、ぜひしっかりとした手だてをとっていただきたいと思いますので、最後にもう一度決意を聞いてこの点は終わります。
〇達増知事 保育の実施主体である市町村を県としては支援するということでありまして、それぞれの地域の実情や利用者の希望に応じ、幅広い選択肢の中で保育施設の整備について対応していく中で市町村においてそれぞれ取り組みを進めているわけでありますけれども、委員御指摘のとおり、市町村によっては待機児童ゼロのところもあればかなりの数字になっているところもあり、また、それに対する対応の中で、必ずしも住民の皆さん、特に子育て世代の方々の不安や不満の解消に至っていないところもあるといったところを、県としても、しっかりそこを見るというよりも、同じ現場で県民の皆さんの声をいただきながら、県としてやらなければならないことをしっかり対応してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 次に、国民健康保険の広域化についてお聞きします。
地域医療構想の2016年度中の策定とあわせて、国民健康保険の都道府県化は国が進める都道府県単位の医療費抑制のベースになるものであり、高過ぎる保険料、滞納、差し押さえの深刻な実態などの解決はされないまま推し進められようとしています。このような中、国のガイドラインに基づいて標準保険料率の試算が各地で進められています。北海道は11月、埼玉県は12月に発表され、標準保険料率の地域間格差が1.7倍と試算された自治体も出ております。統一保険料を目指す広島県は激変緩和措置の検討を表明する。東京都では、特別区長会がことしの4月から1人当たり年7、252円もの値上げ案をまとめているそうです。
そこで、試算が進められているところの実態はどうなっているかお聞きします。
〇千葉副知事 現在の各市町村の標準保険料率の試算の状況についてでございますけれども、この制度改革後は都道府県が財政運営の主体となりまして国民健康保険事業の健全な運営に中心的な役割を担うこととされており、市町村ごとに県が決定し徴収いたします国民健康保険事業費納付金及び国庫負担金等の公費などを財源として国民健康保険の財政運営を行うこととなっているところでございます。
国民健康保険事業費納付金の額につきましては、都道府県が医療費水準や所得水準を考慮し市町村ごとに決定いたしますとともに、納付金を納めるために必要な標準保険料率を市町村ごとに示すこととされておりまして、市町村におきましては、この標準保険料率を参考として、条例により保険料率を決定することとなっております。
標準保険料率の算定に当たりましては、昨年4月に納付金及び標準保険料率の算定方法に係るガイドラインが国から示されまして、10月には国保事業費納付金等算定標準システムが配付されたところでありまして、現在、各都道府県におきまして、同システムを活用したシミュレーションを行いながら、算定方法の詳細について市町村等との協議を進めているところでございます。
〇千田美津子委員 本当は先ほど言いました北海道とかそれらがどのくらいになっているかという状況も知りたかったのですが、もしわかれば後でお知らせいただきたいと思います。
次に、広域化に伴う岩手県の準備状況、今お話もありましたが、どの程度進められているのか。また、いつごろ各市町村に対して標準保険料率が示される予定か、それについてお聞きします。
〇千葉副知事 広域化に伴います県の準備状況についてでございますが、本県では、国民健康保険の広域化等支援方針の推進に当たりまして、市町村等との意見調整を行うため平成22年度に広域化等支援方針推進連携会議を設置しておりまして、平成27年度からこの連携会議を活用して、国民健康保険運営方針の策定や、今お話のございました国民健康保険事業費納付金、標準保険料率の算定など、制度の詳細について協議を行っているところでございます。
繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、市町村ごとの標準保険料率につきましては、現在、国が示しておりますガイドラインに基づき、国保事業費納付金等算定標準システムを活用したシミュレーションを行いながら、各市町村の保険料負担が適正なものとなるよう、医療費水準等を反映させる割合や保険料で賄うべき費用の範囲等、算定方法の詳細について市町村等との協議を進めているところでございます。
新制度の初年度となります平成30年度の納付金及び標準保険料率につきましては平成30年1月に各市町村に通知することとされておりますことから、本県におきましては、今議会に設置に関する条例を提案しております国民健康保険運営協議会におきまして、納付金及び標準保険料率の算定方法について御審議をいただくこととしております。
〇千田美津子委員 平成30年1月に保険料率を通知するとありますが、そうしますと、岩手県ではそれまで市町村に対してきちんとした保険料率の提示はしないということですか。
〇千葉副知事 いずれ正式に通知する時期としてはそのような時期を考えておりますが、当然、事前に水面下での協議とか打ち合わせとか、さまざまなそういう協議を踏まえて1月に通知することになるものと考えております。
〇千田美津子委員 平成27年度からさまざま市町村と協議をしているということですが、各市町村は、ことし2月あたりにその保険料率が提示されると思っていたら提示されなかったと。いつ県はするのだろうという話が出ておりました。
先ほどお話ししましたように、もう既に保険料率を示しながら検討を進めている県もかなりあるわけですから、なぜここまでおくれるのか、私はそれが納得できないのですけれども、もう一度お伺いいたします。
〇千葉副知事 まずもって、この標準保険料率の話につきましては極めて重大な案件だと私どもは考えております。現在の制度とどのように変わるのかということで、これについて、各市町村の実態を踏まえて、先ほど激変緩和措置の紹介もございましたが、そういうことも含めて丁寧にやっていく必要があろうと思っております。
現時点で幾つかのシミュレーションの選択肢がございますので、その中でシミュレーション案を公表している自治体があるということは先ほど委員のお尋ねにもあったところでございますが、いずれこの保険料率の算定については本当に丁寧にやっていく必要があるものと考えておりまして、これについては、市町村の意見-市町村は当然地元のいろいろな方々の御意向等もお聞きになっていると思いますが、市町村との意見交換をし、そこである意味、合意というか、そういう形で進めることが重要と考えておりますので、現在、そういう姿勢で取り組んでいるところでございます。
〇千田美津子委員 確かにこの保険料率を示されることによっていろいろな意見が出てくることはそのとおりで、重大な案件だと思います。ですから、丁寧にやっていただく、それから、市町村との意見交換を十分にやることは私も大事だと思います。
ただ、その上で、次に質問したいと思いますが、市町村によってさまざま基金があるわけですが、その基金がどうなるかが心配されているところです。これまで一般会計から法定外繰り入れを行って国民健康保険税を軽減している市町村もあるわけですが、このような施策について、今後においては私は実施できるようにすべきだと考えますが、その点お伺いいたします。
〇千葉副知事 市町村の国民健康保険財政調整基金の現状とその取り扱いについてでございますが、現在、全市町村において基金を設置しておりまして、平成27年度末の基金残高は総額で96億5、000万円余となっております。
各市町村が設置しております基金につきましては、国からは、平成30年度以降も存続し、国保財政基盤の安定化のために活用することとするという考え方が示されているところでございますが、活用方法等の詳細につきましては、現在、国において検討を行っている段階であると承知しております。
また、保険料負担を抑制するための一般会計からの法定外繰り入れにつきましては、平成27年5月の参議院厚生労働委員会におきまして、厚生労働省保険局長から、市町村で判断いただくことであり、制度によって禁止することはできないが、できるだけ国民健康保険財政の健全な確保をお願いしたいという旨の答弁がなされているものと承知しております。
〇千田美津子委員 基金についてはわかりましたし、活用方法も含めて、私は、市町村の一般会計からの繰り入れについては認めるべきだと思います。そういった点も含めて、市町村との十分な議論をしながら進めていただきたいと思います。
次ですが、当面は医療費水準に基づいた市町村それぞれの国民健康保険税額になると思いますが、今、広域化の考え方の中に統一していくという考え方もあるわけであります。医療費水準に大きな差がある岩手県の場合、それらに応じた保険料水準にこれからもすべきと考えますが、その点。
それから、さっきも言いましたが、県内市町村の国民健康保険税は本当に額に大きな差があります。その実態についてお聞きします。
〇千葉副知事 国民健康保険税の県内統一等についてでございますけれども、国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定方法に係りますガイドラインにおきましては、制度改革後の保険料率は、医療費水準に応じ市町村ごとに算定することを基本としつつ、地域の実情に応じて県内一律の保険料率とすることも方策としては示されているところでございます。
本県におきましては、1人当たり医療費が最大の大槌町と最小の普代村とでは約1.6倍の差異がございまして、直ちに保険料率の統一化を行うことは多くの地域におきまして被保険者の負担の急変を招くことが懸念されることなどを踏まえ、広域化等支援方針推進連携会議-市町村との協議の場においても議論しておりますが、多くの市町村からは否定的な意見が出ているところでございます。
県内市町村の国民健康保険税の実態につきましては、平成27年度の1人当たり調定額は平均では8万1、780円となっておりますが、1人当たり調定額が最大の奥州市9万2、186円と最小の九戸村6万4、788円では約1.4倍の差異が生じている状況でございます。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきましたように、国民健康保険税1人当たりでは大変な差があります。奥州市は平成28年度から引き下げが行われており、これは平成27年度の決算からの数字でありますが、いずれそういう開きがありますし、1世帯当たりでも、一番高いのが洋野町の16万2、699円、低いのが釜石市の10万370円で、1.5倍の開きがあるのです。ですから、やはりこれらの実態に応じた、市町村からもそういう意見があるということで、ぜひそれらのことを考慮しながらこれからも対応していただきたいと思いますし、これからの市町村との協議に当たっての考え方をもう一度お伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 市町村との協議についてでございますが、若干繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、平成22年度に設置いたしました広域化等支援方針推進連携会議等を活用いたしまして平成27年9月から市町村等との協議を行っておりますが、この連携会議の下に事務的な検討を行うためのワーキンググループを設置し、制度について相当詳細な設計が必要となりますことから、このワーキンググループで具体的な検討を進めているところでございます。
いずれ、この連携会議では、国民健康保険事業における県内の統一的な運営方針として平成29年度中に策定することとされております国民健康保険運営方針に加えまして、平成30年度以降の国民健康保険事業費納付金及びこれに伴います標準保険料率のあり方について協議を行ってきたところでございます。今、委員からお話がございましたように、市町村の間でさまざまな観点から非常に差異があるという状況が大きな課題であろうと思っております。これらの状況を踏まえながら、今後もこの連携会議を活用し、市町村と十分協議を行いながら円滑な移行ができるよう進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、最後に、建設業における社会保険未加入事業所への対応についてお聞きしたいと思います。
国土交通省は社会保険の未加入対策を強化しておりまして、ことし4月から、適切な保険に加入していない作業員は工事現場に入れないというガイドラインを出しています。これらは従業員の社会保障を進める上では必要な施策でありますけれども、問題は、本来、加入義務のない一人親方や従業員が4人以下の個人事業主にまで元請業者から過度な指導や要請が行われていることでございます。
県内でも、一人親方でも社会保険に入っていなければ4月以降現場に入れない、雇用保険に加入しなければ仕事を出せないと言われ、4人以下の個人事業主が従業員を社会保険に入れ、元請から仕事をもらったのはいいのですが、個人事業主は雇用保険に加入できないため、事業主が現場に入れない、そういう事態まで起きています。
そこでお聞きしますが、これらの現状についてどう把握されているでしょうか。また、なぜこのような誤った指導がなされたのか、その要因についてもお聞きします。
〇千葉副知事 建設現場における現状についてでございますが、いわゆる一人親方や個人事業主が工事現場に入れないという誤った指導が元請企業からなされているという委員の御指摘の件につきましては、これまで県には直接の相談はございませんけれども、一般社団法人岩手県建設業協会には一人親方の現場入場について相談があり、入場可能であることを説明した事例があったと聞いております。
このような誤った指導がなされましたのは、元請企業等が社会保険等の加入義務について正確に御理解いただいていないことに要因があるのではないかと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 県には相談はなかったということでありますが、私のところにも数件来ておりますし、今、全国各地で起きておりますので、ぜひこれを周知していただきたいと思います。
それから、最近、社会保険に加入しないと仕事が出せないので会社を設立してくれと若い方々が言われ、若年の一人親方が法人化を迫られているということも起きております。法人化にはある程度の費用とその後の事務がついてきますので、それらを考慮しますと、青年業者を支援して営業を守るという点からも本当に看過できないと思いますが、これらについてどう対応するか。それから、相談窓口の設置も私は必要と考えますが、お聞きします。
〇千葉副知事 建設業における社会保険等の未加入対策でございますが、これはあくまで加入義務のある企業に対し加入を促進するものであり、決して法人化を義務づけようとするものではないものでございますことから、個人事業主が法人化を要請されるような事例があるとすれば、これは速やかに是正されていくべきものと考えております。
国では、都道府県-私どもや業界団体に対しまして、昨年の12月5日付で社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにおける適切な保険について正確に理解するよう通知しているところであり、県といたしましても、関係団体と連携しながら、県におきましては県が締結する契約に関する条例も持っており、受注者等の法令遵守という規定もございますので、未加入対策の趣旨の正確な周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
また、建設業に関するさまざまな課題の相談窓口といたしましては、県土整備部に建設業総合支援本部を、各広域振興局土木部、土木センターには建設業総合相談センターを設置しておりまして、御相談があった場合はこのような相談窓口を活用していただくよう対応してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 終わります。
〇名須川晋委員長 次に、木村幸弘委員。
〔木村幸弘委員質問者席に着く〕
〇木村幸弘委員 まず冒頭に、私ごとになりますけれども、昨年の9月定例会あるいは12月定例会におきましては、病気療養中ということもございまして、議会の活動に対し、大変皆様には御心配と御迷惑をおかけしました。この間には皆様方から温かいお励ましもいただきながら活動するという状況になりまして、改めて皆様の御理解と御協力に対し感謝を申し上げたいと思います。
それでは、通告しております質問に入らせていただきます。
初めに、新年度予算の重点施策について伺います。
未来につなげる復興ふるさと振興予算の重点施策として、復興に伴う被災者に寄り添う施策について、これまでの取り組みに加えて具体的な施策の拡充対策は何か、この点について伺いたいと思います。
〇達増知事 具体的な施策の拡充対策でありますが、まず、住宅再建については、いまだ意向を決めかねている方々がいらっしゃいますので、平成29年度においては、沿岸4地区の被災者相談支援センターで行っている専門家相談等を、被災者の方々が相談しやすいよう見直しを行います。また、いわて内陸避難者支援センターの体制を強化して、あわせて被災者一人一人に寄り添った伴走型の支援に力を入れていくこととしております。
また、被災者の孤立防止や不安の軽減を図るため、社会福祉協議会と連携して、生活支援相談員による被災者の見守り、交流会等の開催支援などに努めてきたところでありますが、平成29年度はさらにコミュニティー形成に向けた市町村の取り組みを支援するコーディネーターを配置します。また、被災者の心の復興を支援する民間団体等の取り組みを支援するため、その活動に要する経費を補助いたします。こうした事業費を当初予算案に盛り込んだところであります。
〇木村幸弘委員 そうした取り組みにあわせながら、県民計画の七つの政策については、特に未来につなげる重点施策という考え方においてどのような点を掲げていくのか、あるいは具体的な考え方についてお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 まず、産業・雇用分野では、県内企業の生産体制強化など自動車関連産業の集積や加速器関連産業の参入支援など科学技術によるイノベーションの創出を図ってまいります。
農林水産業の分野では、地域農業の核となる経営体の育成や新品種米金色の風、銀河のしずくのブランド化に取り組んでまいります。
医療・子育て・福祉分野では、地域に必要な医師の養成、確保、障がい児療育の拠点となります療育センターと県立盛岡となん支援学校の本年10月完成に向けた一体的整備を進めます。
安全・安心分野では、若者と女性の活躍を支援するため、若者文化祭、男女共同参画に向けた講座、女性の活躍のためのセミナーを開催いたします。
そして教育・文化分野では、児童生徒の学力向上、二つの世界遺産の理念、価値の理解促進、北海道・北東北の縄文遺跡群の新規登録、スポーツツーリズムによる地域活性化に取り組んでまいります。
そして環境分野では、地球温暖化対策や電力自給率向上に向けて、風力や太陽光など再生可能エネルギーの拡大に取り組みます。
最後に、社会資本・公共交通・情報基盤分野では、県民の安全で安心な暮らしを確保するため、河川の計画的な整備による洪水、土砂対策、水位周知河川の指定拡大、橋梁耐震や道路整備など、ハード、ソフト一体となった岩手の強靭化を進めてまいります。
〇木村幸弘委員 そのようなそれぞれの特徴的な施策を具体的に実行する流れの中で、知事は、演述の最後に触れておりますけれども、岩手のあるべき姿の実現ということを掲げております。このあるべき姿の実現とは、各施策のその先を見据えたときに具体的にどのような構想となっていくものなのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 岩手のあるべき姿に対する構想ということでありますが、平成29年度当初予算は、未来につなげる復興ふるさと振興予算ということで、東日本大震災津波と台風第10号災害からの復興、そして人口減少対策に重点的に取り組むものでございますが、今後、こうした取り組みを進めていく中で、岩手のあるべき姿の実現に向けた具体的な構想については、次期総合計画の策定過程において検討したいと考えております。
なお、その際には、幸福が一つのキーワードとなるものと考えておりまして、所得などの経済的要素に加え、岩手が持つ多様なつながりの価値などにも着目して、今後、県民、市町村、NPO、企業など地域社会を構成するさまざまな主体による議論を踏まえながら、この岩手のあるべき姿を議論し、そしてビジョンのような形で定めていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今、御答弁いただいたような、次期計画に向かってのあるべき姿を具体化していきたいというお話ですけれども、そうした中で、この間、幸福度を踏まえた今後の考え方あるいは活用方針について、まずは研究会の指標の中間報告が出ているわけでありますけれども、こうした幸福追求にたびたび言及する知事の思いとして、この間の研究会における中間報告に対しての所見、さらには今後の協議の展開へどのようなことを期待するのか、そして、県政運営評価を初めとする活用方針や具体的な考え方についてお伺いします。
〇達増知事 研究会の中間報告は、岩手の幸福に関する指標について、県民意識調査の結果も踏まえつつ体系的に考え方をまとめていただいたものと考えております。
まず、幸福に関連する領域として、家族や健康など、経済的要素以外の要素を盛り込んでいる点。そして、岩手らしさとして人のつながりなどを重視している点。また、主観的指標と客観的指標で構成し、政策評価への活用が意識されている点など、こういったところが次期総合計画に向けた検討に当たって大変参考になるものと考えております。
研究会には、ことしの夏ごろをめどに取りまとめていただく予定にしております最終報告に向けて、現在、実施している県民意識調査を踏まえたさらなる分析、岩手が目指す豊かさをあらわすつながりに関する指標の検討、岩手の強みや弱みを把握するための客観的指標の例示などについて御議論をいただくことを期待しております。
また、幸福度あるいは幸福指標の活用方針については、この指標の分析結果を政策評価等に用いること、また、県民がどのような岩手を目指すかを考えるためのワークショップの材料とすることなどを考えているところでありますけれども、研究会の最終報告も踏まえてさらに検討を進めてまいります。
〇木村幸弘委員 次に、職員の確保対策等について伺います。
マンパワーの確保対策について、産業振興と労働力の確保、あるいは社会福祉を支える人材育成、また、行政機能と復興事業推進を図る人材支援と確保対策などについて、新年度は知事部局で20人増の4、470人程度を見込んでいるということであります。各種施策遂行と、あるいは部局ごとの実態と対応方針において、現場の意見等に対しては十分と考えられているのかお伺いいたします。
〇達増知事 複雑多様化する行政需要や新しい行政ニーズに対応していくためには、マンパワーの確保が必要であります。施策の優先度を見きわめて、重要な課題に財源や人的資源を配分し、効率的、効果的に取り組んで成果を上げていく視点が必要と考えております。
これまで、東日本大震災津波発災に伴って、現地において増大する復旧、復興業務に対応するため、新規採用職員を大幅に増員してまいりました。また、任期付職員や再任用職員を採用し、さらに全国の都道府県等から応援職員を受け入れてまいりました。このような多様な方策によって人材の確保に取り組んできたところでありまして、知事部局においては、東日本大震災津波発災前の体制から380人程度を増員して対応してきたところであります。
今後とも、有為な人材の確保に努め、事務事業の見直しや効率化を図り、復興、またふるさと振興、そういった県政課題に適切に、また柔軟に対応できる体制を構築してまいります。
〇木村幸弘委員 いわゆるマンパワーを確保していく状況の中で平成28年度は140人の欠員数が158人にふえるなど、当初の見込みとの乖離が現場に結局負担を強いる状況が発生しております。新年度においては、こうした状況を踏まえて対策を万全に期す必要があると考えますが、その点についてお伺いしたいと思います。
〇風早総務部長 欠員に対する対応策についてであります。
欠員の削減に向けて、これまで、新採用職員採用数の大幅な拡大、任期付職員や再任用職員の採用等に取り組んできたところであります。
来年度の欠員見込みにつきましては、任期付職員の採用意向等を確認しているところであり、確定的なことを申し上げられる段階にはございませんが、今年度の最大欠員数158人に比較し、40人程度は解消されると見込んでおります。
引き続き、可能な限り多くの欠員を解消するため職員体制の確保充実に取り組んでいくこととしており、来年度当初においては職員の特別募集を実施し、できるだけ早い時期に採用できるよう、現在、人事委員会と協議を行っているところでございます。
〇木村幸弘委員 40人程度解消する見込みもあるということですが、いずれにしても、この間の対応の中でも新年度において70人の任期付職員が採用される予定ということもあります。今年度任期付職員から選考採用によって正規職員を確保した実績と今後の対応方針についてもお伺いしたいと思います。
〇風早総務部長 任期付職員の状況についてですが、任期付職員として現に勤務する職員を正規職員、いわゆる任期の定めのない職員として採用する選考試験につきましては、本県任期付職員としての勤務年数が引き続き4年以上あり、採用する日の属する年度の初日において満年齢が59歳までの者を対象に本年度初めて実施いたしました。本年度の試験結果でございますが、一般事務7名、総合土木3名の採用を決定し、来る4月1日付で正規職員として配置することとしております。
また、今後の対応についてでありますが、来年度以降についても実施する方針でございます。
〇木村幸弘委員 今、御答弁をいただきましたけれども、一つは、任期付職員の関係でいえば10人が4月1日から今度正規職員として採用されるということですが、申込者は実は42人あったと聞いておりました。そういう意味でいうと、合格者が10人にとどまっているわけでありますが、やはり経験豊かなこうした任期付職員をぜひ正規職員にしていただきたいという現場の声は大変強いと聞いておりまして、そういう意味での採用枠の拡大、あるいは1次試験等を含めた教養考査の見直し等も現場から意見として上がっているやに聞いております。そうした点についての考え方はどうなのか改めてお伺いしたいと思います。
〇風早総務部長 この選考は任期の定めのない職員として採用するためのものでありまして、任期付職員採用試験とは実施目的が異なります。また、技術系の職種は任期付職員採用試験において教養試験を課していないことなどから、教養試験については実施する必要があると判断しております。
いずれ、任期付職員は貴重な戦力と認識しております。その経験等を今後の県政推進に生かしていただくことができるよう、選考試験を受験される任期付職員の実績等も十分に踏まえ、採用を行っていくこととしております。
今後の採用予定数等につきましては、またさらに今後、具体的に検討の上、決定していくこととなりますが、有為な人材については積極的に採用してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 木村幸弘委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
木村幸弘委員、御了承願います。
午前11時57分 休 憩
午後1時2分再 開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 時間の関係もありますので、質問を若干調整しながら進めてまいります。
次に、医療政策について伺います。
初めに、周産期医療対策について伺います。
既に一般質問等でも周産期医療対策について議論がありましたが、改めて、県内の実態を踏まえて、産科診療所開設と医師確保に向けた方針と見通しについて、新年度の事業展開とあわせて具体的に伺います。
〇千葉副知事 周産期医療対策についてでございますけれども、県内の分娩取扱医療機関は、平成22年の40カ所から平成28年は32カ所に減少しているところでございます。この減少の8カ所は、医師の高齢化や後継者不足等により分娩の取り扱いを終了した診療所でございまして、県内の分娩数の約半数を取り扱っております産科診療所を維持、確保することは極めて重要な課題であると認識しております。
このことから、県では、新たに、産科医療施設の開設等への支援について当初予算案に盛り込んだところでございます。
現時点では新規開設についての具体的な情報等は有していないところではございますが、本事業は、新たな開設に加えまして、病院に産科を増設し新たに分娩を取り扱う場合や、産科診療所が分娩取り扱いを継続する場合の改築についても対象とするものでございまして、これまでの医師招聘活動や県ホームページの広報媒体を通じて制度の活用を促し、本県の周産期医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 産科医院、産科病院、診療所と県内にある助産所などとの連携のあり方と、助産師活用への具体的な取り組み方策、課題に対する対応について伺います。
〇千葉副知事 産科病院等との連携と助産師の活用についてでございますが、現在、県内の産科病院等に勤務しています助産師は、妊産婦の健康診断と保健指導を行う助産師外来や、助産師が主体となって正常分娩や育児相談などを行う院内助産に従事しております。
また、開業助産所におきましては、母乳や育児相談等の妊産婦のケアを行っておりますほか、一部の開業助産師は、産科医療機関での分娩介助や地域における新生児訪問等の母子保健活動への支援など、産科医療機関や市町村母子保健事業と連携した活動を行っていただいております。
このような助産師の活動は、産科医師の負担軽減や妊産婦の安心感の醸成につながり、地域で安心して妊娠、出産ができる体制を確保していく上で極めて重要な役割を担っておりますことから、助産師の活用をさらに進めていく必要があるものと考えております。
このため、県では、新たに、助産師の方々に頑張っていただきまして、地域で妊産婦を支える体制づくりを進める取り組みについて当初予算案に盛り込んだところでございます。
本事業は、関係団体と連携し、潜在助産師の掘り起こしや人材育成研修を行うものでございまして、これらの助産師は、市町村の母子保健事業において、妊産婦の孤立感の解消を図るための相談支援、退院直後の母子への心身のケア、育児サポートなどの役割を担っていただくことを期待しております。
〇木村幸弘委員 ただいまの答弁の中で、いわゆる助産所と医療機関との連携という部分についても一部お答えいただいたわけですが、具体的にはどの程度、助産所における分娩等に対する協力、支援というものが確立されてきているのか、その点についておわかりでしたならばお伺いします。
〇千葉副知事 恐れ入りますが、手持ち資料がございませんので、この時間帯で追加で御報告させていただきたいと思います。
〇木村幸弘委員 わかりました。では、後ほどよろしくお願いしたいと思います。
いずれ、助産所と医療機関との連携においては、分娩等を取り扱う部分でのハードルも、以前から課題として高いと言われておりますので、そういった助産師をうまく生かしていく取り組みが重要だと思っております。
次に、がん対策について伺いたいと思います。
12月のがん対策基本法の一部改正で、治療と仕事の両立、あるいはがん対策基本計画の見直し、基本的施策の拡充等が見直しの柱になっておりますが、これらの改正に向けた具体的な考え方、本県のがん対策推進条例において先行して取り組んできた成果と改正に伴う課題についてお伺いします。
〇千葉副知事 がん対策推進条例の成果と課題等についてでございますけれども、昨年12月のがん対策基本法の一部改正により、新たに、がん患者の雇用の継続、がん患者団体等の活動に対する支援、がんに関する教育の推進などが規定されたところでございますが、平成26年3月に制定いたしました岩手県がん対策推進条例におきましては既に同趣旨の条項が盛り込まれておりまして、県におきましては、この条例に基づきまして、これまでもこれらの取り組みを推進してきたところでございます。
具体的には、岩手労働局やNPO団体等と連携いたしましたがんと仕事の両立セミナーや企業向け研修などの啓発事業の開催、あるいは県内で活動していますがん患者会、家族会相互の情報交換と交流の場として、がん患者・家族会学習会・情報交換会やがん患者・家族会連絡会の開催、あるいは対がん協会や教育委員会、がん診療連携拠点病院との連携によります教育現場におけるがん教育の実施などに重点的に取り組んできたところでございます。
こうした取り組みによりまして、保健医療従事者に加えまして、教育、労働関係機関やがん患者等の多様な関係者と連携した体制が構築されたと考えておりまして、がん対策の推進が図られてきたと認識しております。
一方、課題といたしましては、県がん対策推進計画に掲げております平成29年度までにがん年齢調整死亡率を20%減少させるという目標がございますが、この目標の達成は現時点では困難な状況にございます。改正法で強化されましたがん検診後の適正受診等、がんの早期発見を推進する取り組みをさらに推進していく必要があるものと考えております。
〇木村幸弘委員 また、具体的な今後の取り組みの中で、本県医療体制におけるがん治療の実情と先進レベルの治療対応あるいは医療情報を患者本位に基づいて提供するために、推進協議会などでの議論を踏まえると、どのように進めていくおつもりなのかお伺いします。
〇千葉副知事 がん患者への医療情報提供についてでございますが、岩手県がん対策推進計画におきまして、重点的な取り組み事項といたしまして相談支援、情報提供の充実を掲げ、各種セミナーの開催やさまざまな広報媒体を通じ、県民に対し、がんに関する情報提供や普及啓発を行ってきたところでございます。
こうした中、昨年度開催いたしました岩手県がん対策推進協議会におきまして、がん患者やその家族が病院や治療方法を選択する上でのわかりやすい情報提供のあり方について御提言をいただいたこともあり、県では、昨年度、県内のがん診療連携拠点病院で組織しております岩手県がん診療連携協議会と連携し、本県のがん患者が療養生活を送る上で有用な情報をわかりやすくまとめたいわてのがん療養サポートブックを作成し、がん相談支援センター等を通じ、がん患者や家族に対し配布したところでございます。
今後とも、岩手県がん診療連携協議会などの関係機関と連携し、患者や家族の方の視点に立ったわかりやすい情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 がん治療に当たって、今お話しいただいた取り組みに加えまして、がん診療連携拠点病院においては、手術療法、放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療など、地域の医療機関で対応できない医療を行う。そうした中で、通院、在宅療養患者への対応については身近な医療機関と連携するなど、患者の療養生活やその家族に配慮した医療を推進していくべきだと思いますけれども、その取り組みについて伺います。
〇千葉副知事 地域病院等との役割分担と連携についてでございますけれども、県におきましては、これまで、がん患者が在宅あるいは身近な医療機関で安心して医療が受けられるよう、がん患者への医療を連携して担う複数の医療機関と患者本人が、診断、治療に関する情報を共有いたします地域連携クリティカルパスの運用による医療連携を推進してきたところでございます。
この地域連携クリティカルパスの参加医療機関は、10カ所のがん診療連携拠点病院を中心に、平成24年の123施設から、現在150施設まで増加してきておりまして、がん診療連携拠点病院と地域の病院、診療所との役割分担による連携が進んできているものと考えております。
県におきましては、今後、国が示す予定でございます次期がん対策推進基本計画及び次期医療計画作成指針に基づきまして、本県のがん対策推進計画及び医療計画を策定していく中で、岩手県がん対策推進協議会等関係者の御意見も頂戴しながら、連携体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 次に、がん治療において、患者や家族の意見を反映させる機会の拡充への取り組みや、治療と仕事の両立支援及びがん検診受診率向上プロジェクトなどの企業等と連携した取り組みをさらに推進し、県民に周知していくべきだと考えますが、今後の取り組みについて伺いたいと思います。
〇千葉副知事 がん対策に関する取り組みの県民への周知についてでございますけれども、平成27年に改正されましたがん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針に基づき、昨年7月に緩和ケアに関する患者と医療者の合同検討会議を開催し、がん診療連携拠点病院等の医療従事者と患者会、家族会の会員が初めて一堂に会して意見交換を行ったところでございます。
また、平成27年度からは、岩手労働局やNPO団体と連携し、がんと仕事の両立支援セミナーを開催いたしまして、企業やがん患者、経験者等広く一般県民を対象として意識啓発に努めておりますほか、県内企業6社とがん検診受診率向上プロジェクト協定を締結いたしまして、がん検診の受診率向上に向けましたリーフレットの共同作成、共同配布による県民への普及啓発も行っているところでございます。
引き続き、患者会や家族会、企業やNPO団体等と連携いたしました取り組みを推進しますとともに、これらの取り組みについて、県の広報媒体等さまざまな機会を捉えて県民への周知に努めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 その中でも、特に今度のがん対策基本法の改正の柱にもなった治療と仕事の両立支援の部分では、岩手県がん対策推進協議会でも、盛岡公共職業安定所から勤め先における療養を開始したことの表明であるとか、あるいはそれに対する理解、労働条件等への配慮などさまざまな課題があるのだという指摘があります。
こうした部分を、職場あるいは仕事の関係の中で浸透をどう図っていくかというのは大変重要だと思っていますので、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
次に、奨学金養成医師配置による2016年度配置実績と2017年度配置見通しを踏まえまして、医師不足解消への改善効果と実態について伺いたいと思います。
また、岩手県国民健康保険団体連合会奨学金制度に伴う義務履行対象医療機関拡大への検討経過はどうなったでしょうか、お伺いします。
〇千葉副知事 奨学金養成医師の配置等についてでございますが、県では、良医を育て、質の高い地域医療の確保に寄与することを理念といたしまして、平成20年度から医師養成奨学金制度の拡充に取り組んできたところでございまして、昨年4月には、いわゆる地域枠第1期生を含む奨学金養成医師16名を県内の公的病院に配置し、ことし4月には、現時点で配置先が未定である者を除き、21名の養成医師を公的病院に配置する予定としております。
これらの養成医師の配置によりまして、平成40年度ごろには県内の公的医療機関の必要医師数298名を満たす見込みでございまして、将来的には医師不足の解消に向かう見込みでございます。ただ、当分の間、厳しい状況が続くということは変わりございませんので、それに対してはさまざまな対策を講じていきたいと考えているところでございます。
次に、岩手県国民健康保険団体連合会が運営いたします奨学金制度の義務履行対象施設の拡大についてでございますが、県内自治体から、民間病院を義務履行対象施設とするよう要請を受け、運営主体であります岩手県国民健康保険団体連合会が県内市町村と協議し、その対応を検討したところと伺っておりますが、その際、賛成した市町村が少数であったことから、義務履行対象施設の拡大を見送ったものと伺ったところでございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、奨学金養成医師に対する県民の期待、それぞれの地域の中での医師不足に悩む自治体、そして医療機関においては大変期待が大きいものがあります。さまざまな努力の中で、何とか、この厳しい現実の中で医師確保に向けた大きな役割を担っていただきたいという思いでいっぱいであります。
次に、山田線の問題と三陸鉄道移管運営についてお伺いします。
JR東日本との協議、調整状況ということで、現時点において、山田線の三陸鉄道移管に係るJR東日本との協議、調整状況はどうなっているか、また、開業までの課題及び解決策等について、スケジュールとあわせて伺います。
〇達増知事 JR東日本においては、JR山田線の平成30年度末の移管、開業に向けて、閉伊川橋梁や大槌川橋梁等の難工事箇所から順次工事に着手し、おおむね順調に復旧工事を進めていると承知しております。
移管後の山田線の運行に当たりましては、要員の確保が最重要の課題であります。新たに40人程度の要員が必要でございまして、平成27年7月、JR東日本と県、沿線4市町、三陸鉄道との間で協定を締結しておりますが、その協定に基づいて、現在、JR東日本からの人的支援について協議を進めております。あわせて、三陸鉄道における採用計画についても検討しているところであります。
また、協定に基づく開業までの主な課題は、そのほかにも、移管協力金の提供方法と時期、JR東日本から沿線市町への鉄道資産の譲渡、運行に必要な新造車両8両分の金額及び提供時期などがございます。JR東日本との間で定期的に会合を持ちながら、具体的な方法や時期等について協議を進めているところであります。
また、山田線は、東日本大震災津波以来、長期間運休している路線であります。開業前から地元住民のマイレール意識の醸成を図り、開業イベントの開催や観光面でのJR東日本との連携等についても具体化に向けて協議を進めていくこととしておりまして、このような取り組みによって、平成30年度末の開業に万全を期してまいります。
〇木村幸弘委員 山田線復旧に関するJR東日本との基本合意に基づきまして、復旧工事内容等の負担の課題に対する取り組み状況はどうなっているでしょうか、お伺いします。
〇大平政策地域部長 JR東日本と締結した協定に基づき、復旧工事はJR東日本が費用負担し、復興まちづくり事業等に伴い増加する復旧費用、いわゆるかかり増し経費については、復興交付金等を活用しながら、各沿線市町が費用負担するという基本的な考え方に沿って、おおむね順調に工事が進められているところでございます。
〇木村幸弘委員 基本合意に基づくJR東日本からの支援対策について、鉄道施設の強化に伴う被災前51カ所ありました踏切の復旧あるいはその整理等の課題への対応はどうなっているでしょうか。
〇大平政策地域部長 踏切の復旧につきましては、基本的に原形復旧となりますが、住民の通行の安全を確保するとともに、移管後の保守管理に支障が生じないよう、JR東日本や三陸鉄道など関係者の間で確認した鉄道復旧に関する基準に従い、確実な復旧、整備をJR東日本に求めているところであります。
なお、現時点では踏切の整理、統合や、復旧に支障がある箇所等は承知しておりません。
〇木村幸弘委員 鉄道事業のさまざまな維持管理の中で、安全対策上、踏切の管理というのは非常に大きな課題になっていると聞いておりますので、そういった意味で、まちづくり事業との関連であるとか、地元自治体あるいは地域住民との合意形成など十分な協議を踏まえながら、これらの検討を進めていただきたいと思っています。
次に、移管協力金について伺いますが、先ほど、知事からの御答弁において、今後の課題のところに触れましたけれども、30億円の受け入れに係る時期と方法あるいは管理主体と責任、そして、その取り崩し方法等については、改めて、どのように検討しているのか伺います。
〇達増知事 平成27年7月にJR東日本との間で締結した協定におきましては、移管協力金の提供時期及び方法については、譲渡資産について、JR東日本が負担している固定資産税の取り扱いとあわせて協議、決定することとされています。
このため、移管協力金受け入れの具体的な時期等につきましては、現在、JR東日本と県及び沿線4市町との間で、資産譲渡の時期や三陸鉄道の開業準備に係る初期投資などの資金需要も勘案しながら協議を進めているところであります。
移管協力金の管理主体等につきましては、今後、事務の効率化や管理責任の明確化の視点等も踏まえながら、県と沿線4市町が協議していくこととしておりますが、ことしの2月2日に開催したJR山田線移管に係る沿線首長会議において合意した移管協力金の使途であります初期投資、運賃激変緩和、設備更新、運営支援などの所要額を、毎年度、三陸鉄道に対して支援することとなります。
〇木村幸弘委員 そこで、沿線首長会議の中でいろいろと協議が行われているわけでありますけれども、改めて、移管協力金の具体的使途に係る沿線の首長との合意形成の過程を具体的に伺いたいと思います。
また、移管協力金の20年間という活用期間の期限設定の考え方を、三陸鉄道の経営展望とあわせてお伺いしたいと思います。
〇大平政策地域部長 移管協力金の使途に係る沿線首長との合意形成についてでありますけれども、沿線首長との複数回の意見交換や各市町との事務的な協議を経て、昨年11月に第1回JR山田線移管に係る沿線首長会議を開催し、移管協力金の使途や運賃激変緩和措置などの方向性についておおむね了解をいただいたところであります。
その後、協議状況を各市町の議会に報告し、意見を伺った上で、先ほど知事からも答弁がありましたように、本年2月に第2回の沿線首長会議を開催し、移管協力金の使途項目ごとの配分額や、運賃激変緩和措置の具体的内容等について、沿線市町と県との間で合意に至ったものであります。
移管協力金の活用期間については、移管協力金のみで山田線を運行した場合には、15年間程度活用可能という試算を示したところ、沿線市町からは、移管協力金の有効活用と沿線自治体が主体的に支えるという観点から、自治体負担を行いながら活用期間の延長を図るべきとの意見があり、最終的に6年目から自治体も負担し、20年活用するとしたところであります。
三陸鉄道の経営環境は、沿線人口の減少や少子高齢化の進行、モータリゼーションの進展など、地方鉄道共通の課題を抱えておりますが、山田線の経営移管に伴う南北一貫運行の効果を生かしながら、駅を中心としたまちづくりやさまざまな利用促進の取り組みなどを進め、三陸鉄道の持続的な運営を県及び沿線市町村がしっかりと支えてまいります。
〇木村幸弘委員 ただいま御答弁いただいた6年目からの自治体負担ということも考えながらということですが、そこで関連してくるのが、運賃激変緩和策は6年という期間が示されております。その根拠と考え方について、改めてお伺いしたいと思いますし、期間終了後の継続実施の可否判断をどのように行うのか。さらに、高齢者、通院等の割引回数券について、緩和対策として今後検討するようでありますけれども、どのような考え方を持っているのか伺います。
〇大平政策地域部長 運賃激変緩和の実施期間についてでありますが、通学定期券を主に利用する高校生について、開業時の1年生が卒業するまでの3年間を基本とした上で、沿線市町からの意見も踏まえ、2回り6年間としたものであり、期間終了後の継続実施の可否については、山田線の運営状況や移管協力金の使用状況等を踏まえ、開業5年目に県と沿線市町が協議することとしております。
また、割引回数券については、東日本大震災津波以来、長期間の運休が続き、地元住民の鉄道離れが懸念される山田線沿線における利用の底上げや被災地の交通弱者に対する支援の観点から、沿線市町の意見により、山田線沿線市町の住民を対象に、現在、三陸鉄道で販売している11回及び12回券よりも割引率の高い回数券を発行することとしたものであり、その割引率や実施期間等の詳細については、開業までの間に県及び沿線4市町で協議の上、決定する予定となっております。
〇木村幸弘委員 協力金が枯渇した場合に、県及び市町村の自治体負担のあり方など、収支の見通しとあわせてどのようにお考えかお伺いします。
〇達増知事 移管協力金の使途等について検討しましたJR山田線移管に係る沿線首長会議では、開業初年度の平成31年度に7、000万円ほどの欠損を見込み、移管協力金の活用が終了する開業20年目には1億7、000万円ほどの欠損になるという収支見通しを示したところであります。
この試算は、ダイヤの改正や利用促進等による収入の好転要素を見込まないものでありまして、今後、国の重点支援を受けるための法定計画、鉄道事業再構築実施計画を策定する中で、駅を中心としたまちづくりや利用促進の取り組みなどによる収支改善効果も勘案しながら、収支見通しをさらに精査していくこととしております。
移管協力金の活用終了後の自治体負担のあり方につきましては、県と南北リアス線沿線市町村が1対1の負担割合で三陸鉄道の運営を支えている現在のスキームを基本として、今後検討することとなります。
〇名須川晋委員長 先ほどの質疑に関し、千葉副知事から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉副知事 先ほど、開業助産所が産科医療機関等と連携した活動の具体的な状況についてお尋ねがございました。
県内に開設されております12カ所の助産所のうち、産科診療所への分娩介助等の支援を行っている助産所が3カ所、地域周産期母子医療センターであります病院への支援を行っております助産所が1カ所ございます。計4カ所でございます。
〇木村幸弘委員 最後になります。
いろいろと利用促進対策については各委員からも質問がありました。JR東日本との協力関係などを含めてどのような取り組みを考えているのか最後にお尋ねして、終わります。
〇大平政策地域部長 JR東日本からの協力、支援についてでありますが、先ほどから申し上げております平成27年7月に締結いたしました協定におきまして、JR東日本は、山田線の利用促進について、観光キャンペーン等により支援することとしております。
本県と首都圏を結ぶ新幹線や鉄道網を持ち、観光商品の造成や観光キャンペーン等の豊富なノウハウやアイデアを有するJR東日本との連携は、山田線の利用促進のみならず、三陸地域振興のために大きな力になるものと考えております。
今後、開業イベントや企画列車の相互乗り入れなどに加えまして、地域周遊企画やインバウンド対応などJR東日本と幅広い連携を図るためには、三陸鉄道を初め三陸沿岸地域の市町村や観光団体、三陸DMOセンターなどが連携して、観光人材の派遣等を含めて、JR東日本にさまざまな提案、協議していくことが重要であり、県としても、このような取り組みを進めてまいります。
〇名須川晋委員長 次に、小野寺好委員。
〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党小野寺好です。
新年度の水素社会への取り組みについて伺います。
局所的、集中的に全てのものを破壊し尽くす豪雨、これが多発している要因の一つに、人類が引き起こしている地球温暖化があると言われております。
昨年の一般質問で、温室効果ガスの主要因となっている二酸化炭素の発生を抑制するため、水素を活用した再生可能エネルギーに移行する取り組みを始めてはどうかと伺いました。
現在、燃料電池に使用されている水素の多くは液化天然ガスから抽出されたものと聞いておりますが、これでは真の意味での脱炭素社会にならず、再生可能エネルギー由来の水素でなければ意味がありません。
こうした水素社会に向けた取り組みについて、昨年いただいた答弁は、国や民間の動向を注視していきたいとのことでありましたが、その後、どのような方針に至ったのか伺います。
県内では、太陽光発電に適した場所がたくさんありますが、系統送電線の受容能力と、そこまでの接続に問題がありました。このため、北海道などでは特別に送電目的のためだけの会社を設立して系統接続する動きがありますが、本県でのその後の動向はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 2点、お尋ねを頂戴いたしました。
まず、水素社会の実現に向けた取り組みについてでございますが、国では、平成28年3月に、水素・燃料電池戦略ロードマップを改訂いたしまして、家庭用燃料電池の将来的価格目標の明確化や燃料電池自動車の普及目標の設定などを行い、水素をエネルギーとして利用する水素社会の実現に向けた取り組みを加速化することとしております。また、公的研究機関や大学、民間企業におきましても、再生可能エネルギー由来の水素利活用等の実証事業が現在実施されております。
県では、水素は長期にわたり安定的に保存できること、また、再生可能エネルギーとの親和性が高いことから、災害にも対応できる自立・分散型エネルギー供給体制の構築に向けて有効であると認識しております。また、水素の利活用を進めてまいりますことは、燃料電池関連技術の研究開発など、自動車を初めといたします本県のものづくり産業の振興にも資するものと考えております。
このため、平成29年度におきましては、水素利活用の可能性調査を国の関係機関と共同で行うことといたしておりまして、関係予算を当初予算案に盛り込んだところでございます。今後、本県の地域の特性を踏まえた利活用策の検討を具体的に進めますとともに、セミナー等を通じて、水素エネルギーに対する県民の理解増進も図っていくこととしております。
次に、送電網問題の対応についてでありますが、国では、国内でも特に風況がよく送電網が弱い北海道、青森県などの一部地域で実証事業を導入し、複数企業で構成いたします特別目的会社による送電網整備の取り組みが進められているところでございますが、送電事業許可を受けた事業もある一方、構成企業間での調整が難しいなどの課題もあり、事業凍結したものもあると聞いております。
その他の地域でございますが、送電網の増強を行う手続としましては、送電網増強に要します工事費を共同で負担する事業者を募集する手続、いわゆる募集プロセスが制度化されておりまして、岩手県にかかわるものといたしましては、東北北部エリア及び宮古・久慈エリアにおいて、送電網の増強に向けた募集プロセスの手続が進められると承知しております。
〇小野寺好委員 家庭用燃料電池は物置小屋ぐらいの大きさのエネファームが普及し始めています。また、燃料電池自動車FCVの実用化についてはトヨタとホンダが商品化しております。しかし、水素の供給元となる水素ステーションは東北では宮城県だけと聞いておりますが、岩手の動きはいかがでしょうか。
FCVが量産して提供されるにはまだ時間がかかりそうですが、燃料電池は進められております。家庭用エネファームは、本体と工事費とメンテナンス費用で140万円程度かかりますが、報道によりますと、宮城県では水素社会の実現に向けた支援を始めており、県などの各種補助金で費用の約4割の助成が受けられるとのことです。隣県はここまで取り組んでいますが、本県の意気込みを伺いたいと思います。
国の水素社会構想は、福島県を再生可能エネルギー先駆けの地と定め、既に予算、技術、人材等全ての面で最大限の力を注いでおります。この際、岩手県職員を長期間福島県に派遣し、水素社会構想のノウハウを習得していただいてはどうでしょうか、お伺いいたします。
また、電気は使う地元でつくるという考えが出てきておりますが、本県の農林水産業などにおける地産地消型エネルギーの取り組み方針を伺います。
〇千葉副知事 3点、お尋ねを頂戴いたしました。
家庭用燃料電池等の普及に向けた取り組みについてでございますが、まず、水素ステーションにつきましては、国では、商業用を基本に平成32年度に全国で160カ所、平成37年度には320カ所程度整備する目標を掲げ、現在、4大都市圏を中心に79カ所で整備済み、12カ所で計画中となっておりまして、このうち東北では宮城県が1カ所計画中と承知しているところでございます。
また、関連企業で構成いたしております燃料電池実用化推進協議会によりますと、現時点で、民間における本県での計画はないところでございます。
このほか、商業用以外の小規模な水素ステーションが現在9カ所で整備されておりまして、東北では宮城県で1カ所整備済み、福島県など3カ所で計画中と伺っております。
現時点で燃料電池自動車の普及台数は全国で400台のみとなっておりまして、水素ステーションの整備については、今後の普及状況を見きわめていく必要があるとは考えており、先ほども若干触れましたが、本県の自動車関連産業は地域の経済の牽引役として重要な役割を担っておりますことから、今後、全国的な燃料電池自動車の普及動向を見ながら、本県でも必要な対応を検討していく必要があるものと考えております。
次に、家庭用燃料電池、いわゆるエネファームについてでございますが、国では、全国で平成32年に140万台、平成42年に530万台普及する目標を掲げ、補助制度を設けて普及を図っているところでございます。
国の外郭団体等の調査によりますと、全国で310団体で補助制度を設けており、このうち、宮城県では県民税の超過課税によりますみやぎ環境税を平成23年に創設し、これを財源としてエネファームなどへの補助を行っていると承知しております。また、県内では葛巻町など3町で補助制度を設けているところでございます。
県におきましては、北海道に次ぐ全国2位の再生可能エネルギー賦存量を生かした水素利活用の取り組みを進めていきたいと考えておりまして、先ほど申し上げました平成29年度は、主に再生可能エネルギーから生成した水素利活用の可能性調査を行うこととしておりますが、御提言のありましたエネファームにつきましては、防災対策や温室効果ガス削減にも有効でありますことから、今後、普及に向けた方策などについても検討してまいりたいと考えております。
次に、水素社会の実現に向けた職員派遣についてでございますが、国では、未来の新エネルギー社会実現に向けたモデルを福島県で創出することを目指し、平成28年9月に福島新エネ社会構想を策定し、再生可能エネルギーの導入拡大や、水素社会の実現に向けたモデルの構築などに着手したと伺っております。
本県では、今年度、福島県内に設立されました国立研究開発法人産業技術総合研究所や、水素に関する技術開発に先進的に取り組んでいる企業に職員を派遣するなど、水素利活用に関する専門的な情報を入手してきたところであります。
平成29年度に予定しております本県での可能性調査におきましては、先ほど申し上げました国の研究機関を初め、民間企業や大学などで活動されている専門家による委員会を設置することといたしております。本県でも活用できる先進的取り組みやノウハウについて御助言をいただき、施策形成に生かしていきたいと考えております。
次に、地産地消型エネルギーの取り組みについてでございますけれども、県におきましては、昨年度末に見直しを行いました岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして、東日本大震災津波などの教訓を踏まえ、災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築や、地域産業の振興などにも期待されるエネルギーの地産地消を推進しているところであります。
これまで、エネルギーの地産地消の動きといたしましては、宮古市や北上市でのスマートコミュニティ事業によります公共施設への電力供給や、野田村での太陽光によります市民共同発電所の設置などの取り組みが行われているところであり、農林水産業の分野におきましては、一関市や八幡平市での農業水利施設を活用した小水力発電の導入や、久慈港での波力を活用した漁港施設等への電力の試験供給が行われているところでございます。
また、熱供給といたしましては、木質バイオマスを活用した紫波町の住宅等への温冷暖房熱の供給や、花巻市や住田町の老人福祉施設への給湯などの取り組みも進められているところでございます。
県といたしましては、農林水産業での再生可能エネルギーの利用などエネルギーの地産地消を進めることが、災害対応や地域経済の循環にも資すると考えておりまして、県内外の事例をセミナーなどを通じて市町村や事業者に情報提供するなど、地域に根差した取り組みをさらに進めていきたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、子供医療費について伺います。
少子化対策は未来への投資として重要な事業です。その中で、子育て世帯への経済的支援策の一つとして乳幼児医療費の無料化が進められてきましたが、全国的には、乳児、幼児だけではなく小学生や中学生にまで拡大する方向にあります。これに対しては、安易な受診をふやしてしまうとの批判がありますが、この批判が当たるかどうか伺います。
子供の医療費支援は本来なら国が行うべき事業でありますが、かつて公明党から厚生労働大臣を出していても、財務省の抵抗が強く、なかなか対象の拡大や現物給付化は難しく、むしろこれに対しペナルティーを科す始末です。それでも全国の地方自治体は、子供たちのためにと拡充に努めてまいりました。
さて、本県では、これまで段階的に拡充してきて、現在、通院は6歳に達した年度の3月末まで、入院は12歳に達した年度の3月末までとなっています。全国的には義務教育の間は入院だけではなく通院も助成対象にする傾向にありますが、全国的な状況と県内市町村の現状、県予算による支援措置、今後の方針を伺います。
〇達増知事 まず、医療費助成の拡大と、いわゆる過剰受診との関係につきましては、国が設置した子どもの医療制度の在り方等に関する検討会の議論の取りまとめの中で有識者の意見がありまして、一つには、保護者は子供が感染症に罹患するリスクがあることなどから安易に病院を受診せず、また、かかりつけ医の普及や保護者への啓発によって過剰受診を一定程度防げるのではないかという意見、そして、医療費無償化は、過剰受診などモラルハザードを生じ得るために基本的に好ましくないといった意見、その両方が国のペーパーの中には書かれているところでございます。
医療費助成の全国の状況につきましては、平成28年4月1日現在、対象年齢を中学校卒業までとしているところが、入院14都道府県、通院5都道府県、高校卒業までとしているのが、入院、通院とも2県となっております。
県内市町村の状況につきましては、平成28年10月1日現在でありますが、対象年齢を中学校卒業までとしているのが、入院、通院とも13市町、高校卒業までとしているのが、入院、通院とも11町村となっています。
県におきましては、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、厳しい財政状況にはございますが、市町村等と協議の上、平成27年8月から助成対象を小学校卒業の入院まで拡大し、平成28年8月から未就学児及び妊産婦を対象とした現物給付を実施したところであります。
子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、これまで、県の政府予算提言、要望において、全国一律の制度を創設するよう要望してきたところであります。
また、全国知事会からも同様の要請を行っているところでありまして、今後とも、さまざまな機会を通じて国に対する働きかけは行ってまいりたいと思っております。
〇小野寺好委員 次に、救急医療について伺います。
しばらく前になりますが、平成16年2月議会の一般質問で、私は、救急医療に関する再質問で、小児救急医療電話相談について伺いました。休日や夜間に子供が病気やけがで急に容体が変化した場合、救急車を呼ぶ前に、家庭用プッシュ式電話でシャープ記号と8000番を押せば医療の専門家のアドバイスを受けることができるというシステムです。
これに対し、県は、医師会にお願いし、小児科経験のある専門の看護師に電話を受けてもらうようにしたいという答弁で、実際に半年後に県小児救急医療電話相談事業が始まりました。その後の利用状況はいかがでしょうか。
さらに、今回お聞きするのは♯7119です。子供に限ることなく、時間帯も限定せず、24時間356日、看護師だけでなく医師も電話でアドバイスすることにより、ふえ続ける救急要請に適切に対応しようとするシステムで、東京消防庁が先駆けて始めたと報道されています。
休日や夜間に急に体調が悪くなった場合、救急短縮ダイヤル♯7119で、緊急性が高いか低いか、素人の自己判断ではなく、医師や看護師等専門家の適切なアドバイスを受けることができれば、結果として無駄と言えるような救急要請が減少し、当事者にも有益だと思いますが、本県での対応予定を伺います。
〇千葉副知事 まず、小児救急医療電話相談事業については私から御答弁を申し上げます。
県では、夜間、小児患者の保護者等からの電話相談に専門の看護師が対応し、適切な対処方法についてアドバイスを行います小児救急医療電話相談事業を、今、委員からお話がございましたように、平成16年10月から岩手県医師会に委託して実施しているところでございます。
相談件数でございますが、実施開始後の平成17年度は2、213件であったものが、その後、増加傾向にありまして、この3年間では3、500件から3、700件の範囲で推移しているところでございます。
この事業は、保護者の不安軽減に加えまして、地域の救急病院の夜間における医師の業務負担軽減にも一定の効果を果たしているものと考えておりまして、事業の推進に当たりましては、相談員が利用者からの相談に適切に対応できるよう、毎月、小児科医と相談員によります事例検討会を開催いたしておりますほか、厚生労働省が主催しております小児救急電話相談対応者研修会に参加しながら、相談員の資質の向上にも努めているところでございます。
〇風早総務部長 次に、救急相談ダイヤルについてでありますが、救急安心センター、♯7119事業については、救急搬送件数が増加している中、限りある搬送資源を緊急性の高い事案に投入するため、救急車の適正利用の一環として国が推進している事業であります。これまで、東京都、大阪府、横浜市など4都府県3市で導入されています。
救急安心センターを全国で初めて実施した東京消防庁によれば、救急出動件数の増加傾向の抑制、救急搬送に占める軽症者の割合の減少など、一定の効果が上がっているとお聞きしております。
一方で、相談に当たる医師、看護師等の確保などの課題もあることから、今後においては、実施団体の状況について引き続き情報収集を行いながら、医療関係機関や市町村、消防本部と意見交換を行ってまいります。
〇小野寺好委員 次に、胃がん対策としてのピロリ菌除去について伺います。
胃がんの原因とされるヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌ですが、厚生労働省研究班によると、国内の感染者は3、500万人以上と推計されています。
胃がん検診といえばバリウム検査しかなく、これを推進してきましたが、それでも胃がんによる死亡数は減少せず、年間5万人で推移してきたと言われます。しかし、平成12年から胃潰瘍と十二指腸潰瘍の消化性潰瘍に対するピロリ菌の除菌治療が保険適用となってから死亡数が少しずつ減少し、さらに、平成25年からはピロリ菌感染の慢性胃炎についてもピロリ菌の除菌治療が保険適用になり、死亡数減少が顕著になったと言われますが、本県の胃がん患者も同様に減少しているのでしょうか、実態の推移はいかがでしょうか。
胃がんは早期発見によってほぼ100%助かるがんであると言われ、専門家は、自覚症状がなくても機会を見てピロリ菌感染の有無を検査すべきだと言いますが、検査体制、除菌治療ができる体制はいかがかお伺いいたします。
茨城県水戸市で新年度予算に中学2年生全員分の採血によるピロリ菌検査費用を計上するとの報道がありましたが、このことに関する所感をお伺いいたします。
〇千葉副知事 胃がん対策についてでございますけれども、本県の胃がん患者の実態の推移につきましては、その患者数の実態把握がなかなか困難なところでございまして、人口動態統計によります本県の胃がん死亡者数の数値でお答え申し上げますが、平成23年の543人に対しまして、平成27年は534人とほぼ横ばいで推移しておりますが、国立がん研究センターから公表されております人口10万人当たりの75歳未満の年齢調整死亡率では、平成23年の10.0に対しまして、平成27年は7.5と減少しているところでございます。
WHOの2014報告書におきましては、胃がんの約8割はピロリ菌感染が原因であることが報告されておりまして、日本ヘリコバクター学会ガイドラインにおきまして、ピロリ菌の除菌は胃がんの治療や予防に役立つものとされているところでございます。
保険診療によりますピロリ菌の検査及び除菌治療は、胃内視鏡検査が実施できます医療機関で対応しておりまして、現在、県内におきましては、23県立病院を含めた244医療機関で対応可能となっております。
中高生を対象といたしますピロリ菌検査の実施につきましては、ただいま委員から御紹介のございました水戸市において、中学生を対象とした経費を来年度当初予算案に計上していると伺っておりますほか、全国的には主に胃がん検診の実施主体である市町村を中心に一部で実施されていると承知しております。
厚生労働省におきましては、がん検診のあり方に関する検討会におきまして、ピロリ菌検査も含め、がん検診の課題や実施方法等を現在議論しているところでございます。
県におきましては、こうした国の動向を注視いたしますとともに、来年度、岩手県がん対策推進計画の策定や第2次健康いわて21プランの見直しなどにおきましてがん予防のあり方を議論する中で、関係者の意見を伺ってまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 最後に、予防接種について伺います。
30年ほど前のことですが、我が子のMMR新三種混合ワクチン接種に関し、副反応として無菌性髄膜炎発症のおそれが皆無ではないことから、接種するかどうかは親の判断によりますと責任を預けられたことがあります。あの時期に接種しなかった子供たちが大変多かったため、過去にも何度かおたふく風邪-正式には流行性耳下腺炎と言うそうですけれども-が大流行しました。現状を伺いたいと思います。
現在、子供の予防接種については、回数が多くて面倒だとか、意図的に受けさせないとか、個人開業医によっては、今年度はMRワクチン(麻診・風疹混合ワクチン)自体の入荷がないから接種できませんなどという声を聞きますが、県内における予防接種の取り組み状況はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 県内における予防接種の取り組み状況についてでございますが、予防接種法に基づき市町村で実施しております定期予防接種は、近年、水痘やB型肝炎等、対象疾病の追加拡充に伴いまして、現在、15疾病が対象となっており、接種スケジュールの過密化など保護者等の負担が増加しており、より円滑な実施体制の構築が求められていると考えております。
これまで、県におきましては、予防接種センターを設置し、医師や市町村からの相談応需や医療従事者向けの研修を実施するなど、予防接種体制の充実に努めてきたところでございます。
また、今年度新たに、接種機会を確保し、接種率向上を図る観点から、広域的予防接種体制の充実に向けまして、県医師会や市町村等で構成いたしますワーキンググループを設置し、具体的な検討を始めたところでございます。
委員から御指摘のございました麻疹・風疹とおたふく風邪のMMR新三種混合ワクチンが、副反応の懸念により平成5年に定期接種の実施が見合わせとなった後、おたふく風邪は全国的に3年から5年の周期で患者の増嵩が見られるところでございます。
本県では、平成9年に定点医療機関当たり患者数が5人の警報値を超える流行があり、平成14年には定点当たり3人の注意報値を超える流行が見られましたが、それ以降は、周期的な患者の増減は見られるものの、大きな流行は発生していないところでございます。
また、麻疹・風疹混合ワクチン、いわゆるMRワクチンにつきましては、メーカーの自主回収や昨年夏の広域的な麻疹患者増加の影響等により、医療現場からワクチン不足について懸念の声が上がったものと承知しております。
これを受けまして、厚生労働省から各都道府県に対しまして、全国的な不足は生じないもののワクチンの偏在が懸念されるとの通知がありまして、本県でも関係機関等に対し、安定供給のために必要な対応を依頼する通知を発したところでございます。
本年1月には、接種者数が増加する年度末にワクチン不足が生じないよう、医薬品卸各社及び県医師会等関係者によります連絡調整会議を開催し、対応について協議いたしますとともに、MRワクチンの供給状況と接種状況の調査を実施したところでございます。
この調査結果からは、現時点では定期接種の見込み量は確保できる見通しでございますが、県としては、引き続き状況把握に努めますとともに、関係機関と連携し、円滑なワクチン接種の実施のため、市町村の支援に努めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 次に、吉田敬子委員。
〔吉田敬子委員質問者席に着く〕
〇吉田敬子委員 無所属の吉田敬子です。
安心して産み育てられる環境づくりについてお伺いいたします。
来年度当初予算案に産科診療所開設等支援事業費補助、地域で支える周産期保健医療支援事業費の2事業が新たに盛り込まれたことはありがたく、大変期待するものであります。
しかしながら、県内の医師不足は深刻であり、県内の分娩可能施設は32施設となっているが、施設のない市町村は33市町村中22市町村となっていて、分娩施設不足、産科医不足の現状を踏まえると、健診や分娩は域外となったとしても、せめて産前産後の心身のケアを域内で十分に受けられる環境整備は重要と考えており、これまでも訴えてまいりました。
また、花巻市では、来年度当初予算案に産前産後ケアを行う助産師等で構成する団体への委託事業を新規に盛り込んでおり、恐らくこれは県内初ではないかと思われます。ぜひ、このような先進事例をモデルとして、産前産後ケアが県内に広く浸透するよう県としてもさらに取り組んでいただきたいと思います。
そこで伺いますが、県内どこに住んでいても地域で安心して妊娠、出産、子育てができる切れ目のない環境整備にどのように取り組むのかお伺いいたします。
〇達増知事 安心して妊娠、出産、子育てができる環境の整備は今、目の前にある課題として重要でありまして、ふるさと振興総合戦略の基本目標の一つであります、社会全体で子育てを支援し、そして出生率の向上を目指す上でも重要でございます。
本県においては、出産年齢の上昇や出生時の体重が2、500グラム未満の低出生体重児の出生割合が近年増加傾向にあるなどのリスクを抱える妊産婦の割合が増加していまして、妊娠、出産、子育てに係る妊産婦等の不安や負担がふえている状況にあると認識しております。
このため、県では、地域で安心して妊娠、出産できる環境を整備するため、新たに、助産師等を活用して地域で妊産婦を支える体制をつくる取り組みについて、関係経費を当初予算案に盛り込んだところであります。
この事業では、市町村、関係機関と連携して潜在助産師の掘り起こしや人材育成研修を行うこととしておりまして、市町村が実施する妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の実施につなげ、安心して妊娠、出産、子育てができる体制づくりに努めてまいります。
〇吉田敬子委員 10月以降、花巻にできた施設では利用者が増加しておりますし、病院ではゆっくり相談できないことがここではできるという利用者の声もありますことから、県としても引き続き実態把握をお願いいたします。
ライフプランニング支援についてお伺いいたします。
ライフスタイルが多様化し、さまざまな働き方、生き方を尊重することは大切です。一方で、若いうちからさまざまな知識を得ておくことも必要と認識しています。県の不妊治療の支援拡充などの取り組みは大変ありがたく、継続していただきたいですが、昨年の決算特別委員会総括質疑でも述べたとおり、現在、約21人に1人は体外受精で生まれているとのことであり、卵子の老化などによる不妊で悩む人がふえていること、また、女性特有の病気も若年層で増加傾向にあることなど、妊娠、出産に対する知識はぜひ若いうちに知っていただきたいと感じています。
平成27年度から高校生向け保健体育資料が改訂され、妊娠、出産や不妊についての知識などが盛り込まれたことは以前も取り上げましたが、この資料は教師が授業で活用するほか、助産師等が保健講話を行うときに利用されています。また、青森県では、県教育委員会が産婦人科医を校医-学校のお医者さんに委嘱する制度があり、教育委員会と産婦人科医との連携により多くの中学校、高校で講義を行い、女性の婦人科受診のハードルを下げるなどの取り組みも行われています。
そこで伺いますが、全国的に妊娠、出産に対する教師の間違った不適切な発言が見られるような状況もあることから、助産師等専門家による啓発の取り組みをぜひ全ての高校で行っていただきたいと考えていますが、いかがですか。
〇千葉副知事 ライフプランニング支援についてでございますけれども、高等学校におけるライフプランニングの教育活動に当たりましては、国が作成いたしました副教材や、各学校が生徒の実態に合わせて採用しております副教材なども活用しながら、生徒一人一人が主体的に就職、結婚、出産などの人生設計を立て、自分の進むべき道を選択し決定する能力を育んでおります。特に妊娠、出産につきましては保健学習等において正しい知識を身につけることが重要でありますことから、委員御案内のとおり、高等学校において助産師等の専門家の力もおかりして講演会等の啓発の取り組みを行うことは、生徒の理解を高める上で極めて効果的であると考えております。
本年度におきまして、県立学校では、助産師や産婦人科医等の専門家を講師として講演会を開催いたしました学校は63校中53校、率にして84.1%となっております。その主な内容は、男女間の思いやりや妊娠、出産の正しい知識を深めるものとなっております。
今後におきましても、専門家によります講演会等が効果的に実施され、ライフプランニングに対する関心を一層高めるよう県としても努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 現在、84.1%ということで、高いとは思います。ぜひ私は全高校でやっていただきたいと思っておりますが、県には女性健康支援センターというものが設置されていまして、その相談内容の内訳を見ると思春期相談というのがここ数年一番高い状況にあります。その思春期相談の内訳、中身を私自身把握できていないのですけれども、その点も踏まえて、ぜひ中学校、高校において取り組んでいただきたいと思っております。
最後に、この件に関して知事にお伺いしたいのですが、前回の決算特別委員会で雑誌を見せて三重県知事の事例を取り上げたところ、知事からは体と命に関する必要な知識はしっかりわかった上で選択していかなければいけないという御答弁をいただきましたので、しっかりその辺はわかっていただいていると思っております。
昨年11月に知事も女性スポーツ勉強会に参加されたと思いますけれども、スポーツ選手の育成の部分での女性のホルモンバランスについての知識ということで有森裕子さんがいらっしゃってお話しされたのですが、その中でも、やはりホルモンバランスについてきちんと知識を身につけた上でスポーツ、仕事に取り組んでほしいということをおっしゃっておりましたが、知事に改めて御所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 女性とスポーツに関する講演は、私も目からうろこが落ちるようなことがいっぱいありまして、女性アスリートは、骨盤の形と足の関係から、男子以上に膝にくる負担がさまざまなトレーニングにおいてあることに配慮しなければならないとか、また、ホルモンバランス、生理の周期についてはピルによってかなりコントロールできるようになってきているので、諸外国のトップレベルの女性アスリートは、そうやってホルモンバランスと大会の日程がうまく合うような形で本番に臨んでいるというようなところ、我が国でももっとそれは参考にしていかなければならないし、例えば女子の生理のことも男女問わず、ある種常識としてみんな知識として持って、またそういうことについて話し合って、そして男性、女性それぞれが知識に基づいた適切な人生選択ができるようになっていかなければならないと改めて思います。
〇吉田敬子委員 大変詳しく御感想をいただきましてありがとうございます。ぜひライフプランニング支援についても積極的に引き続きよろしくお願いいたします。
次に、いわて国際戦略ビジョンについてお伺いいたします。
外国人観光客の誘客拡大について、今年度策定予定のいわて国際戦略ビジョンに掲げる三つの戦略の一つに外国人観光客の誘客の拡大がありますが、現在、訪日外国人を初め、人々の消費傾向がモノ消費-商品を買う、所有することから、コト消費-体験する、思い出をつくることに移り変わっています。
先日、県議会スポーツ・教育振興調査特別委員会で群馬県を視察いたしましたが、群馬県では、春から秋はラフティング、キャニオニング、冬はスノーシューによるトレッキングのほか、新たにロングトレイルの整備を行うなど、アウトドア天国群馬としてブランド化し、観光客誘客等に取り組み始めておりました。また、長野県信濃町では、森林セラピーへの関心が高い韓国に対して、癒しの森としていち早く整備し、ヘルスツーリズムにも取り組んでおります。
本県にも沿岸にみちのく潮風トレイルがあり、来年度、文化スポーツ部も新設されることから、スポーツツーリズムにもっと大胆な発想で取り組んでほしいと感じております。また、来年度当初予算案に馬事文化プロモーション推進事業費が新たに盛り込まれており、大変期待しておりますが、この中には台湾や香港等に向けた観光振興事業もあり、外国人に人気のホーストレッキングなどホースセラピーを売りとして、全国に誇る馬事文化岩手県をアピールすべきではないかとも感じております。
これらのことから、県はもっと踏み込んだより戦略的な対策が必要と考えますが、岩手のどの資源を目玉として外国人観光客の誘客拡大に取り組むのかお伺いいたします。
〇杉村企画理事 外国人観光客の誘客の拡大についてでありますが、外国人観光客の一層の誘客拡大を図るには、岩手ならではの地域資源を生かした誘客が重要と認識しております。
本県は、二つの国立公園を初め、世界に誇れる雄大な自然を有しており、これらを核としたプロモーションの展開により、春の桜や秋の紅葉の人気が定着してきたところです。これに加え、近年、海外において日本への関心が高まる中、自然や文化、スポーツなど体験型観光の人気も拡大していくものと考えており、今後は、サイクリング、スキー、トレッキング、サッパ船や遊覧船、体験型農園など地域資源を生かした体験型コンテンツの発掘や磨き上げを行い、桜や紅葉など四季折々の魅力とともに発信し、岩手ブランドとして売り込んでまいります。
また、二つの世界遺産やユネスコ無形文化遺産である早池峰神楽、特色のある郷土食などを組み合わせた周遊、滞在型の観光ルートの造成、販売の促進に取り組み、誘客の拡大を図ってまいります。
〇吉田敬子委員 岩手県庁の外国人職員から成る岩手国際アイデア会というのがあると伺ったんですが、それは何人いてどのように活用されているか、もしわかればお伺いいたします。
〇杉村企画理事 大変申しわけございませんけれども、承知しておりません。
〇吉田敬子委員 次に行きたいと思います。
地域の資源を生かした農林業の振興についてお伺いいたします。
森林の多様な利用について、先ほど外国人観光客の誘客拡大の取り組み事例として取り上げた長野県信濃町は、林野庁や県の補助事業を利用して癒しの森事業を行っており、森林・林業に対する市民の理解醸成を図っています。また、福井県では、県がふくいSatoyamaトレイルの整備を行うことで森林・林業の振興へとつなげており、これ自体は観光や政策関係部局でなく農林水産部が事業展開していることに私は注目しております。
本県でもこれまでグリーンツーリズムなどで成果を上げている事例もありますが、従来の木材生産等のほか、他県のように森林・林業の振興につながる森林の多様な利用に向けた取り組みも必要と考えますが、御所見を伺います。
〇千葉副知事 森林の多様な利用についてでございますけれども、森林は、林産物の供給や水源の涵養、県土の保全などに加えまして、安らぎや癒しを与える保健機能を有し、また、レクリエーション活動や環境学習の場として活用されております。このような機会を通じて森林・林業に対する理解を深めることは、森林・林業の振興につながる重要な取り組みであると認識しております。
このため、県におきましては、いわての森林づくり県民税を活用いたしまして、平成18年度から地域住民やNPOが実施いたします森づくり活動や森林環境学習等を支援し、延べ約5万人の県民の参加を得ておりますほか、平成20年度からは、森林学習会を開催し、延べ約5、900人の児童生徒が参加するなど、体験、参加型の取り組みも幅広く展開してきております。
市町村におきましても、久慈市や住田町などでシラカバ林、ブナ林などの森林散策や枝打ちなどの林業体験、自然とのつながりや生態系を学ぶ森林環境学習などのプログラムを盛り込みましたグリーンツーリズムに現在取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、森林・林業の重要性や役割について理解が深まるよう、市町村、地域住民、関係団体等との連携、協働によりまして、体験、参加を重視した森林の多様な利用を推進していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 次に、岩手県立大学の取り組みについてお伺いいたします。
県内のグローカル人材の育成については大変重要と考えておりますが、まさにその中核となるのは、来年度、開学から20年の節目を迎える岩手県立大学であると考えております。
そこで伺いますが、先日開催された県総合計画審議会でも委員から県立大学の課題等が指摘されたようですが、先日、新たに策定された第3期中期目標のもと、県立大学のこれまでの取り組みをどのように評価し、今後、未来を担う学生たちをどう育てていきたいのか県のビジョンをお伺いいたします。
〇達増知事 岩手県立大学は、建学の理念において、実学・実践重視の教育・研究を通じて地域社会や国際社会への貢献を掲げてまいりました。昨年1月の地方独立行政法人評価委員会による評価のとおり、私も、県立大学が、地域の中核人材の育成などの取り組みや、また、震災復興支援に大きく貢献してきたものと考えております。
県が昨年12月に策定しました来年度からの第3期中期目標におきまして、教育と地域貢献の根幹となる高い研究力を基礎に、未来を切り開く力を高める教育と未来創造に資する地域貢献に取り組むことを基本姿勢としたところであります。
現在、県は、復興とその先も見据えた地域振興、ふるさと振興に取り組んでいるところでありますが、県立大学においても、地域の未来創造に貢献するため、産学公連携のさらなる強化を図りつつ、自治体や産業界で活躍する人材の育成、国際的視野、多文化共生意識を備えた学生の育成に引き続き取り組んでいただきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 県立大学では全学部1年生の必修科目にいわて創造入門というのがあって、7月には知事が御講演されたと聞いていまして、学生に望むことはという学生からの質問に対して、知事が、私が考えつかないようなこと、今までなかったものを発想し、実行できるような人材にということでお答えになっています。20年たった中で、これまでも県立大学はたくさんの学生、優秀な人材も含めて輩出していますけれども、知事が実際に理想とする学生というのはこれまでいらっしゃるのかどうか具体的に、県政懇談会等でさまざま学生に会っていると思いますので、もしいらっしゃったらお伺いいたします。
〇達増知事 自分の学生時代のことを思い出しましても、セツルメントといって、地域の貧しい家庭環境にある子供たちを支援するボランティア活動とかをやっている友達もいて、そういう友達と親しくするぐらいまではしていたのですけれども、自分自身はそういうボランティア活動には参加しないでいて、それと比べますと、県立大学の生徒たちのボランティアの活発さ、特に東日本大震災津波発災後の被災地支援、そして復興支援の活動の活発さというのは非常にすごいなと感じております。また、その内容についてプレゼンテーションする。10分とか20分という短い時間で話して人に伝えることも自分の学生時代よりもすぐれていると思っておりまして、非常に将来、希望が持てるというふうに感じております。
〇吉田敬子委員 どなたか具体的な子が出たらよかったなというのがあったのですけれども、それは難しいとは思うんですが、ぜひ引き続き県としてもっと県立大学の学生についてのビジョンを深めていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
〇名須川晋委員長 次に、臼澤勉委員。
〔臼澤勉委員質問者席に着く〕
〇臼澤勉委員 無所属の臼澤勉でございます。
平成29年度の予算審査に当たり、お尋ねいたします。
初めに、持続可能な行財政構造の構築についてお伺いいたします。
一般質問においても、この持続可能な行財政構造の構築についてお伺いいたしました。社会保障関係費の自然増のほか、復興事業により整備した社会資本の維持管理費の増大など、今後も厳しい財政状況が見込まれます。県の経常収支比率を見ますと、平成27年度決算では97.4%と東北平均の95.6%を上回っており、財政状況は極めて硬直化しております。また、公債費は平成26年度をピークに減少に転じておりますが、依然として高い水準にあります。
県は、事業効果や効率性を検証して、選択と集中による歳出の徹底した見直し、そして県税徴収の強化や収入未済金の回収強化、未利用資産の売却など、あらゆる手法で歳入確保を図るとしておりますが、私は、新たな財政需要の増嵩に対応するのは限界があるのではないかと考えております。山積する行政課題に対応し安定的な財政運営を行うため、新たな財源の確保について調査研究すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇風早総務部長 社会保障関係費の増等による厳しい地方財政の状況を踏まえ、まずは、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系の構築、そして安定的な財政運営に不可欠な地方交付税等の一般財源総額の確保について国に求めるとともに、産業振興や雇用、労働環境の整備を進めることで税源涵養を図り、安定的な税財源の確保を図っていくことが重要であります。
また、計画的な県有未利用資産の売却やネーミングライツの導入などにより、平成29年度当初予算案においては2.5億円程度の税外収入を確保しているところであります。今後も、さまざまな手法を検討しながら、安定的な財源の確保に努めてまいります。
〇臼澤勉委員 知事もきのう、佐々木努委員あるいは岩崎委員からのいろいろな質疑の中で、今後は自立した財政運営を図っていくという中において、やはりコスト縮減とか行財政構造の改革を県は進めていくべきだと思いますし、あわせて、引き続き財源確保の調査研究を検討していっていただきたいと思います。
次に、ふるさと振興についてお伺いいたします。
東京一極集中の是正を図るため、地方への人の流れをつくる制度、あるいは子供が多いほど有利になる制度、それから、例えば企業の地方移転の促進や定住、3世代同居の促進、空き家対策、田舎暮らしのための農村住宅環境整備など、これまでにない新たな仕組みが今後求められると思っております。
他の都道府県と連携を図りながら、ふるさと振興に必要な制度改正を国に積極的に提言していくべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 ふるさと振興に必要な制度改正についてでありますが、北海道、東北地方出身者の東京圏在住の割合は他地域と比べて極めて高い状況にあり、北海道、東北地方と東京圏の人口動態は東京一極集中の問題の象徴と言えることから、北海道東北地方知事会などと連携を強化することが重要と考えます。
この問題の是正に向けましては、北海道東北地方知事会においては、国に対して、首都圏から地方へ移住する際の費用に対する所得税の税額控除などの税制優遇措置の創設、多子世帯に対する保育料軽減措置、地方への企業移転等を促す地方拠点強化税制の拡充、3世代同居や近居への支援、過疎、山村地域などの持続可能な地域づくりに対する継続的な支援策など、委員御指摘の内容の趣旨に沿った制度改正の提言を行っているところであり、今後とも、問題意識を共有しながら、国に対して必要な提言活動を行ってまいります。
〇臼澤勉委員 予算が非常に限られている中で、私は、規制改革や新たなイノベーションを起こしながら、予算がない中でも、そういった規制を取り払うことによって新たな活性化、そしてゼロ予算事業みたいなものを今後どんどん積極的に進めていく必要があると思っております。特に県は、知恵といいますか知識、そして行動集団として、一般質問でもお伺いいたしましたが、そういった意気込みでさらに事業を進めていっていただければと思っております。
次に、岩手の幸福に関する指標についてお伺いいたします。
幸福度に関しては、今年度、岩手の幸福に関する指標研究会を設置して研究されておりますが、これまでの進捗状況と、来年度どのように取り組みを行うお考えかお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 岩手の幸福に関する指標についての取り組み状況についてでありますが、検討状況につきましては、昨年11月に、岩手の幸福に関する指標研究会において、幸福に関する指標は、仕事、健康、家族などの12領域が考えられること、岩手が目指す豊かさをあらわす指標としてつながりをあらわすことのできる指標が考えられること、指標が県民の実感を踏まえたものとなるよう、ワークショップ等の方法について検討することなどを内容とする中間報告が取りまとめられたところであります。本年1月には、中間報告を踏まえ、県民の皆様から御意見を聞く手法を検討するため、学生を対象としたワークショップを実施したところであります。
来年度の取り組みといたしましては、引き続き研究会で、現在実施しております県民意識調査を踏まえたさらなる分析、岩手が目指す豊かさをあらわすつながりに関する指標の検討、岩手の強みや弱みを把握するための客観的指標の例示などについて御議論いただいた上で、夏ごろを目途に最終報告を取りまとめていただく予定であることから、その内容を踏まえつつ、さらに幸福に関する指標について検討を進めてまいります。
〇臼澤勉委員 私は、幸福度を高める一つの視点として、家族をキーワードに施策を進めてはどうかと考えております。大学進学や就職等で東京に流れた人やお金をふるさと岩手に戻す仕組みとして、家族、きずなを切り口に、さきに述べた地方への定住や3世代同居等の促進など、そういった制度を創設、誘導するような政策を展開してはどうかと考えます。
幸福度については、研究にとどまらず、その成果を政策に反映させていくことが重要でありますが、今後どのように反映していくおつもりかお伺いいたします。
〇大平政策地域部長 政策への反映についてでありますが、幸福に関する指標は、幸福をキーワードに、岩手が持つ多様な豊かさやつながりの価値などにも着目して県民みんなで新しい岩手の姿を描いていきたいと考え、次期総合計画における導入を検討しているものであります。
昨年11月に総合計画審議会に研究会の中間報告について報告した際には、委員から、幸福について、たくさんの人が議論に入り、関心を持ってもらう場をつくることが大事である。あるいは、個人が他者の役に立つ、他者に寄り添う気持ちを持つといった、社会が豊かになるつながりを生み出す取り組みを施策に反映できればよいなどの御意見をいただいたところであり、引き続き、広く県民の皆様の御意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
なお、委員御指摘の家族については、研究会の中間報告において、平成28年県民意識調査の分析結果として、家族関係と幸福感の相関が高い。これは余暇の充実に続き第2位でございましたので、相関が高い傾向があることが示されており、今後の具体的な指標の検討に当たって重要な視点と考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひそこら辺につきましても進めていただければと思います。
次に、子育て支援についてお伺いいたします。
知事は、さきの演述において、復興をなし遂げ、人口減少に立ち向かっていくためには、若者、女性の活躍が重要と述べられておりましたが、その前提にあるものは、子供たちを安心して育てられる環境の整備であります。
平成28年県の施策に関する県民意識調査によると、安心して子供を産み育てられ、子育てがしやすい環境であることについては、重要度が85.4%である一方、満足度は18.2%と、不満の38.7%を大きく下回っている状況であります。また、延長保育の実施率は全国平均を上回っているものの、女性の社会進出や核家族化等により保育ニーズは多様化しており、保育体制のさらなる充実が必要であります。
知事は、地域の子ども・子育て支援体制の充実に向け、どのような思いで取り組むお考えかお伺いいたします。
〇達増知事 岩手県におきましては、まち・ひと・しごと創生法ができる以前からいわての子どもを健やかに育む条例がございまして(後刻訂正)、県民が安心して子供を産み育てることができる環境の整備を図り、一人一人の子供を健やかに育むことができる社会の実現に寄与することを目的に、条例に従いまして基本計画いわて子どもプランを策定、そしてその中で、若者が家庭や子育てに希望を持てる環境の整備、子育て家庭の支援、子供の健全育成の支援という三つを基本方向として掲げ、県民、企業、NPO、行政など地域社会を構成するあらゆる主体の理解と参画を得て推進に当たり、子育て支援に取り組んできたところでございます。
そして、まち・ひと・しごと創生法に基づく岩手県ふるさと振興総合戦略におきましては、基本目標の一つに、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指すということを掲げ、その実現に向けましては、例えば“いきいき岩手”結婚サポートセンター-i-サポの設置、ワーク・ライフ・バランスの普及啓発、多様な保育サービスの充実、放課後児童クラブの拡充などの施策に取り組んでいるところであります。
岩手県におきましては、そのような過去からの蓄積、また、今の喫緊の課題ということでの全県的な力の結集、これが合わさって社会全体で結婚、妊娠、出産、子育てを支えて、県民が安心して子供を産み育てることができる社会の実現を目指す体制ができてきているところでありまして、県としてもこの方向に沿ってさらに力を入れてまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 そこで、児童虐待の発生予防についてお伺いいたします。
児童虐待の相談対応件数の推移を見ますと、全国では一貫して増加傾向にあり、本県においても過去10年間は増加傾向にあります。一方、本県の児童福祉司の配置状況は人口10万人当たり2.34人と、全国平均の2.38人を下回っている状況にあります。
子供たちの健やかな成長を支えるため、児童虐待の発生予防、早期発見、早期対応を行う必要があると考えますが、児童虐待防止アクションプランに基づき、県はどのように取り組むお考えかお伺いいたします。
〇千葉副知事 児童虐待の発生予防等についてでございますけれども、児童虐待を防止するためには、発生予防、早期発見、早期対応が重要でありますことから、本県ではこれまで、児童虐待防止アクションプランに基づき、児童虐待防止推進月間を中心といたしますオレンジリボン街頭キャンペーンなどの普及啓発や、医療従事者、保育所職員等を対象とした研修会を実施してきましたほか、今年度から新たに、市町村職員を対象とした児童虐待への対応手法や要保護児童対策地域協議会の運営方法等についての実務研修などを実施するなど、市町村の対応力向上にも取り組んでいるところでございます。
これに加えまして、来年度は、児童相談所の体制強化に向けまして、現在、3児童相談所に30名配置しております児童福祉司を2名増員しますとともに、児童相談所や市町村の専門職員を対象とした研修に要する経費を当初予算案に盛り込んだところでございまして、市町村や関係機関等との連携をより一層図りながら、児童虐待の早期発見、早期対応の取り組みを推進してまいります。
〇臼澤勉委員 次に、文化、スポーツの推進についてお伺いいたします。
スポーツ施設の老朽化対策についてでありますが、平成29年度から平成33年度までの5年間、公共施設等適正管理推進事業債において地方交付税措置が講じられることになりました。今後、各地方公共団体において、施設の集約化や複合化による維持管理コスト削減の取り組み、あるいはPPP手法等による公民連携事業の動きがふえると考えられます。
本県においても公共施設の老朽化対策は大きな問題でありますが、特に、スポーツ文化のレガシーを後世に伝え、競技力向上を図るためにも、老朽化が進む県営体育館、県営運動公園、県営野球場等のスポーツ施設において地方財政措置を活用した老朽化対策の検討を進めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 スポーツ施設の老朽化対策についてでございますけれども、今、委員御案内のとおり、県営体育施設の今後のあり方につきましては、本年1月に教育委員会におきまして外部有識者から成る懇談会を設置し、具体的な検討を進めているところでございまして、専門的な立場からの御意見等も踏まえつつ、本県のスポーツ振興に寄与する体育施設のあり方を総合的に検討しているところでございます。
委員御案内の公共施設等適正管理推進事業債につきましては、長期的な視点を持って長寿命化などを計画的に行うことにより財政負担を軽減、平準化いたしますとともに、公共施設等の最適な配置をすることを目的に策定される公共施設等総合管理計画に基づきました個別施設計画に位置づけられた事業が対象となるところでございます。
本県におきましても、平成28年3月に策定いたしました岩手県公共施設等総合管理計画の基本方針であります三つの柱、すなわち、コスト縮減、財政負担の平準化、施設規模、配置、機能等の適正化及び安全・安心の確保の柱に沿って、今後、個別施設計画を策定することとしておりますが、県営体育施設は老朽化した施設が多いことから、委員御提言の趣旨をも参考にしながら、財政負担の軽減や平準化に努めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いいたします。
菊池雄星選手や大谷翔平選手を初め、ボルダリングの伊藤ふたばさん、競歩の高橋英輝さんといった全国、世界レベルで活躍する選手が岩手から出てきていることは大変喜ばしいことであります。
2020年東京オリンピックから逆算しますと、再来年の選考会で選ばれるには、ことしから来年にかけてが選手育成の重要な年になります。優秀な選手を育成するには優秀な指導者が必要であります。選手の流出を防ぐためにも、指導者の招聘や育成がポイントになります。トップアスリートの育成に向け、指導者育成等にどう取り組んでいくのでしょうか。また、早い段階から優秀な指導者による選手への心技体の総合的な指導が求められますが、取り組み方針や具体的な内容についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 トップアスリートと指導者の育成についてでございますけれども、委員御案内のとおり、近年、特に岩手から全国トップレベルの選手や全国の舞台で活躍する選手を輩出してきておりますことは、本県指導者の全体的な指導力の向上によるものが極めて大きく、今後におきましても、全国の舞台やオリンピック等の世界大会で活躍する選手を輩出していくためには、優秀な指導者の育成は極めて重要であると考えております。
このような考え方のもとに、県におきましては、これまで、県内指導者を対象に、全国トップレベルの優秀指導者による指導や心理サポート、トレーニング方法などの講習会を実施してきたところでございまして、これらに加え、新たな取り組みといたしまして、本県トップ指導者の一層のレベルアップを図るため、中央研修や海外研修等への派遣に要する経費を当初予算案に盛り込んだところでございます。
また、ジュニア期からの優秀な指導者による適切な指導が重要でありますことから、具体的には、今申し上げたさまざまな取り組みの中からスポーツ医・科学などの専門的知見を兼ね備えたトップコーチを育成し、いわてスーパーキッズや各競技団体のジュニア選手の総合的な選手強化に取り組み、この岩手の地からオリンピック等で活躍するトップアスリートの輩出も目指していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 スーパーキッズ等でも大変お世話になりましたし、よき指導者が周りの指導者に対する影響をどんどん底上げしていく効果も非常に高いのではないかと思います。いろいろ体罰等の問題もありますけれども、そういったことのない、指導者が指導者を育成する、そういうような効果も高いと思いますので、ぜひ岩手のそういった指導者の育成に今後とも引き続き注力していただければと思います。
最後に、復興事業についてお伺いいたします。
平成29年度は第3期復興実施計画の初年度であり、復興事業の総仕上げとともに復興の先も見据えた地域振興に取り組む重要な時期であります。生活基盤の復旧は着実に進んでいますが、依然として1万3、283名の方が応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされており、また、商業分野では544事業者が仮設店舗で営業しております。仮設から本設への移行を早急に進める必要があると考えますが、被災者の住宅再建と商店本設再開についての進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇木村復興局長 被災者の住宅再建と商店本設の再開についてでございます。
まず、住宅再建についてでございますが、ことし1月末現在で被災者生活再建支援金の支給を受けた世帯数は2万3、076世帯でございます。そのうち、住宅を建築した場合などに支給されます加算支援金を受けられた世帯が1万1、882世帯、災害公営住宅が4、320戸完成しているということでございますので、全体の約7割が再建に着手したと試算しております。
一方で、住宅再建の意向を決めかねている世帯が同じく1月末現在で186世帯、約3%いらっしゃいますので、沿岸4地区の被災者相談支援センターにおきまして生活再建の相談を行っているほか、いわて内陸避難者支援センターにおいても住宅再建の相談支援を行っているところでございまして、応急仮設住宅にお住まいの方が一日も早く恒久住宅に移行できるよう、引き続き一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
次に、本設店舗再開についてでございます。
県では、グループ補助金などによりまして被災事業者の早期事業再開を支援したところでございます。商業者につきましては、今年度までに25のグループの約500事業者に対しグループ補助金の交付決定を行い、うち、約300事業者が復旧済み、残りの事業者につきましても、現在、建設を進めているなど、復旧に向け取り組んでいるところでございます。これまで、大規模なかさ上げ工事を行ってまいりました沿岸南部でも工事の進捗状況に合わせて共同店舗や戸建て店舗の整備が進んでおりまして、例えば、山田町の共同店舗が営業を開始いたしました。それから、大船渡市、陸前高田市では新たな商業施設がこの春に開業を予定しているということであり、商店街、それから商業機能の再生が本格化しているという状況でございます。
県といたしましては、今後、交付申請を予定しています事業者からの相談にきめ細かな対応を行うとともに、市町村、商工団体などと連携して、一日も早い本設店舗への移行が図られますよう引き続き支援してまいります。
〇名須川晋委員長 この際、知事から発言を求められておりますので、これを許します。
〇達増知事 先ほど、答弁の中で、いわての子どもを健やかに育む条例がまち・ひと・しごと創生法より早くからあったと申し上げましたが、いわての子どもを健やかに育む条例は平成27年4月1日から施行でありましたので、まち・ひと・しごと創生法のほうが先になりますので、この点、訂正させていただきます。
〇名須川晋委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
午後2時46分 休 憩
午後3時13分再 開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより各部局の審査を行います。
質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないことについて、御協力をお願いいたします。
また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び執行部の答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いします。
また、本日は、この後、議会、総務部関係について延べ13人の質問者を予定しておりますので、御協力をお願いいたします。
最初に、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇大友議会事務局長 平成29年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、80ページをごらん願います。
第1款議会費第1項議会費のうち、第1目議会費の9億5、613万円余は、議員48人分の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、80ページから81ページにかけてでありますが、第2目事務局費の3億8、714万円余は、議会事務局職員33人分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営に要する経費であります。次に、81ページでありますが、第3目議員会館費の2、173万円余は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 第1点は、都道府県議会での海外視察の状況についてお聞きします。
2016年度の全国都道府県議会での海外視察の状況はどうなっているでしょうか。また、実施されていない都府県等の理由は何なのかも含めて示していただきたい。
〇大友議会事務局長 平成28年度における海外行政視察の全国の実施状況についてですが、3月6日時点で実施が本県を含め31道県、実施せずが16都府県となっております。
次に、平成28年度に海外視察を実施していない都府県の理由ですが、制度の休止または廃止が6府県、議員からの希望なしが6都県、友好親善訪問のみ実施が2県などとなっております。
〇斉藤信委員 私は何度もここで述べてきましたけれども、東日本大震災津波から丸6年を迎えようとして、復興はまさにまだ道半ばという状況で、昨年は8月30日に台風第10号で、水害では岩手としては戦後最大の大被害を受けました。私は、こういうときに県議会が海外視察を公費で行うということは、やはり県民の理解が得られないと思います。
この間、岩手県は何年間海外行政視察を休止してきたか、その理由は何だったのかを示してください。そして、今年度、残念ながら実施されましたが、そのときの実績、参加人数、費用、1人当たりの費用、総額はどうだったでしょうか。
〇及川参事兼総務課総括課長 近年の海外行政視察の状況でございますが、直近では平成21年度に実施しておりまして、その後、平成22年度末には東日本大震災津波の発災もあり、平成23年度から平成27年度までは、震災からの復興を理由に海外行政視察を休止しておりました。
平成28年度は、昨年の5月3日から9日まで、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会開催に係る取り組み及び成果等に関する調査を実施しており、派遣議員は12名、派遣費用は旅費、現地通訳料など総額で939万9、000円余であり、1人当たりの派遣費用は78万3、000円余となっております。
〇斉藤信委員 今まで震災からの復興を理由に休止していたのが、今年度から再開されたというのは、私としては大変残念なことだったと思います。
この間、政務活動費を活用してCERN等に視察に行ってきた議員もいると思うけれども、どういう実績になっていますか。視察期間、視察費用がどうなっているか、実績を示していただきたい。
〇大友議会事務局長 政務活動費を活用しましてスイスのCERNを視察した事例でございますけれども、平成26年度に3名の議員の方が行っておられまして、視察期間が平成26年8月19日から23日まで、費用につきましては、3名の総額になりますけれども、153万3、000円となってございます。また、平成25年度に9名の議員が、平成25年5月8日から13日まで、同じくCERNに行っておりまして、総額で366万円の費用となっております。
〇斉藤信委員 来年度も議会費の中に海外行政視察費が盛り込まれていると思うけれども、どういう額がどういう形で盛り込まれていますか。
もう一つは、来年度は海外行政視察の予定があるのでしょうか。
〇大友議会事務局長 来年度の予算化の状況についてでございますけれども、昨年10月26日の議会運営委員会におきまして、平成28年度と同様に、喫緊の県政課題に資する視察調査テーマとして実施することとされたことから、平成29年度当初予算案に、1人当たり90万円、12人分として1、080万円を計上しているところであります。
次に、来年度の計画でございますけれども、平成29年度の海外行政視察について、全議員を対象に希望調査を行っておりますが、平成29年6月定例会後に実施したいという希望届が1件提出されております。
〇斉藤信委員 その行き先はどこでしょうか。
〇大友議会事務局長 具体的な計画はこれからとされておりますけれども、視察先はスイス、フランス等欧州地域と届け出が出ております。
〇斉藤信委員 先ほど、政務活動費を使ってスイスのCERNなどで調査をしてきた議員もいると。平成26年度は3名、平成25年度は9名ですよ。その方々の1人当たりの政務活動費は約40万円から50万円です。政務活動費を使って行けるわけですよ。何で県民の税金を使って、別枠で上限90万円という形で海外行政視察をしなければならないのかと。私は、今までの議員の実績から見たら、別枠の公費を使わなくても政務活動費を使って十分対応できるのではないかと思いますが、これは事務局長に聞いても仕方がないので、私が指摘ということで、あとは県民がどう評価するかですよ。
私は、東日本大震災津波からの復興がまさに道半ば、そして台風第10号という戦後最大の水害被害を受けた中で自粛するのが当然だと。全国で16都府県議会が行っていないんですから、被災県が行くなんていうことは、私は、全国の状況から見ても本当に理解が得られないことだということを厳しく指摘しておきます。
次に、政務活動費の領収書のホームページでの公開について、私は前の議会でもこの問題提起をして、今、代表者会議等で議論されているとお聞きしていますが、予算的なことをお聞きします。
電磁的な記録としてホームページで公開する費用というのは、私は、来年度予算で十分実施できるものと考えますが、いかがでしょうか。
また、全国的な実施状況は、さきの9月議会では、8県で実施もしくは実施予定と聞いていましたが、その後、変化はあるでしょうか。
〇大友議会事務局長 まず、政務活動費の領収書のホームページでの公開についてでございますけれども、政務活動費の領収書等をホームページ等で公開するためには、PDF等のデータファイルを作成する必要がございます。データファイル作成に当たりましては、議員より提出されました全ての書類についてスキャンし、大量のデータファイルを作成する作業が生じることから、職員の超過勤務手当等の費用が生じるものと見込まれております。
次に、領収書公開の全国的な状況、県内市町村の実施状況等でございます。
まず、政務活動費領収書のホームページ公開の全国の状況ですが、全国都道府県議会議長会の調査によりますと、昨年11月1日現在、大阪府など4府県が議会のホームページで公開しており、平成29年度から富山県、奈良県、大分県、平成30年度からは宮城県と鳥取県が公開する予定となっております。また、電磁的記録媒体による提供を行っているのは、群馬県、愛知県など9府県となっております。
次に、県内市町村の実施状況ですけれども、現在、一関市が領収書のホームページ公開を行っておりまして、今後、盛岡市も公開予定と聞いております。
電磁的記録媒体による提供につきましては、提供を行っている市町村は今のところないと聞いております。
〇斉藤信委員 紙ベースでは、政務活動費の領収書を含めて公開されているんです。これを公開請求しますと、本当に膨大な枚数になって、ホームページでそれが公開されれば、そこで見られますからそもそも公開請求がなくなるんですよ。
今お聞きしたら、既に4府県が公開して、5県が今後公開の予定ということです。県内でも一関市が実施して、盛岡市もそういう方向だと。以前は、岩手県が全国に先駆けて領収書の添付とか議会改革を取り組んできたんです。
私は、超過勤務がふえるかもしれないけれども、今の予算の枠内ですぐできるような議会改革を早急にすべきだと指摘しておきます。
最後ですけれども、受動喫煙防止対策について、ラグビーワールドカップ2019、東京オリンピックは基本的には全面禁煙が原則なんです。それで、厚生労働省は、不十分ながら受動喫煙防止対策の案を示していますが、これは、国際的にも、国内的にも極めて不十分だと指摘されているものです。
そこで、官公庁関係はどうなっているか。建物内禁煙というのが、厚生労働省の不十分な方針の中でも提起されている。
岩手県は、2019年にラグビーワールドカップを開催するのですよ。そして2020年は東京オリンピックが開催されることから、さまざまなキャンプなども誘致しようとしているわけでしょう。私は、不十分な厚生労働省の方針でも建物内禁煙と出ているわけですから、その点、改めてお聞きしますが、東京オリンピック、パラリンピック、ラグビーワールドカップではどういう受動喫煙防止対策がとられるか、厚生労働省の受動喫煙防止対策はどう提起されているか、このことをまず示してください。
〇大友議会事務局長 まず、受動喫煙防止対策についてでありますけれども、世界保健機関-WHOと国際オリンピック委員会-IOCは、たばこのないオリンピックを共同で推進することとしており、近年の競技大会開催地においては、例えばロンドンでは建物内禁煙、リオデジャネイロでは敷地内禁煙とするなど、公共の施設や職場について、罰則を伴う受動喫煙防止対策を行ってきております。
こうしたことを踏まえ、国においては、2020年の東京オリンピック、パラリンピックや、その前年に開催されるラグビーワールドカップに向けて、さらなる健康増進のために早急に受動喫煙防止対策の強化を図り、その実効性を高める必要があることから、今般の国会において健康増進法改正案を提案する予定としているものと承知しております。
次に、本年3月1日に厚生労働省が公表しました受動喫煙防止対策強化についての基本的な考え方の案の概要ですが、喫煙禁止場所の範囲について、主として特に健康上の配慮を要する者が利用する施設(医療施設、小中高校等)は敷地内禁煙、大学、老人福祉施設、体育館、官公庁施設、バス、タクシー等は屋内・車内禁煙(喫煙専用室設置も不可)、集会所、飲食店、事務所、鉄道等は屋内・車内禁煙としつつ喫煙専用室を設置可とされております。
また、施設の管理者に対し、建物内禁煙、喫煙室の設置等の掲示を義務づけるとともに、実効性の担保措置として、施設の管理者や喫煙者本人に対し罰則を適用することとされております。
〇斉藤信委員 これで終わりますけれども、今、答弁があったように、ロンドンオリンピックでは建物内禁煙、リオデジャネイロでは敷地内禁煙です。これはWHOとオリンピック委員会がこういう形で進めてきたことから、ラグビーワールドカップも同様だと私は思うんです。これは国際的な常識です。
2019年に岩手県がラグビーワールドカップをやって、オリンピックではさまざまなキャンプなどを誘致しようとしている。厚生労働省の案というのは最低のものなので、率先して岩手県は、これを待たずに建物内の禁煙というのは実施すべきではないのか。この議論を皆さんに呼びかけて、私の質問を終わります。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇風早総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明を申し上げます。
資料の御説明に入ります前に、平成29年度予算の編成に当たりまして、総務部の基本的な考え方を御説明申し上げたいと存じます。
総務部といたしましては、第3期の復興実施計画に基づく復興と、台風第10号災害からの復旧、復興等に最優先で取り組むための予算として、地域防災力の強化、原発放射線影響対策の推進、岩手県立大学における教育、研究の充実及び特色ある私立学校の支援を重点施策として予算を編成したところでございます。
まず、地域防災力の強化につきましては、東日本大震災津波や台風第10号災害を踏まえ、自助、共助、公助による災害対応力の向上を図るため、防災教育の推進、自主防災組織や消防団活動の充実強化、来年度が50回目の節目となる総合防災訓練などを実施しようとするものであります。
また、火山対策の強化を図るため、栗駒山における火山ハザードマップや、岩手山における具体的な避難計画の作成に向けて取り組もうとするものでございます。
原発放射線影響対策の推進に関しましては、県民の安全・安心の確保を図るため、引き続き、空間線量率や農林水産物の出荷規制等の情報を広く発信し、東京電力による損害賠償の実施に向け、市町村等と連携した取り組みを推進しようとするものでございます。
岩手県立大学における教育、研究の充実に関しましては、来年度から平成34年度まで6年間の第3期中期目標・中期計画期間に移行することから、地域に根差した高等教育機関として、教育、研究、地域貢献の充実強化を図ろうとするものでございます。
特色ある私立学校の支援に関しましては、私立学校の教育水準の維持、向上を図り、特色ある教育を推進するため、私立学校の運営費補助や授業料等の負担軽減のための支援など、各種の施策を展開することにより、私学教育の振興を図ろうとするものでございます。
このほか、歳入の確保を図るため、県税につきましては、引き続き、岩手県地方税特別滞納整理機構の取り組みや、各広域振興局における市町村との連携強化等により、個人県民税の収入未済額の縮減に取り組んでまいります。
また、ふるさと岩手応援寄付につきまして、寄附の呼びかけに加え、制度の趣旨を踏まえた節度ある返礼品の送付などにより、より一層、県の施策や事業への理解と支援の拡大を図ろうとするものでございます。
あわせて、事業効果や効率性等の検証、事務事業の見直し、行政の簡素化や効率化を推進するとともに、政策の優先度に応じた事業の重点化を進め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
以上が平成29年度予算編成に当たりましての総務部の基本的な考え方でございます。
続きまして、議案第1号平成29年度岩手県一般会計予算中、総務部関係の歳出予算について御説明を申し上げます。
なお、説明においては、金額の読み上げは省略させていただき、主な内容について御説明を申し上げます。
お手元の厚い冊子、予算に関する説明書の82ページをお開きください。平成29年度当初予算一般会計の総務部関係の予算総額は、共通経費、予備費を含み1、908億9、600万円余となっており、前年度と比較しまして41億6、600万円余の減額となっております。
第2款総務費第1項総務管理費第1目一般管理費については、本年度予算額33億1、746万円のうち、総務部関係は、説明欄の上段に記載しております24億4、615万円余と、説明欄の下段に記載しております共通経費の1億9、859万円余を合わせた26億4、474万円余となっており、職員の人件費などの管理運営費のほか、入札事務や外部監査などの管理事務に要する経費でございます。
83ページに参りまして、第2目人事管理費は、職員研修費や退職手当などであり、第3目文書費は、法規審査事務や文書の収受、発送及び保存に要する経費のほか、情報公開制度及び個人情報保護制度の推進などに要する経費であります。84ページをお開き願いまして、第4目財政管理費は、償還金や各種基金への積み立てなどでございます。85ページに参りまして、第6目財産管理費は、県庁舎や地区合同庁舎、職員公舎並びに通信施設の維持管理などに要する経費であります。86ページに参ります。第8目県外事務所費は、東京事務所の管理運営に要する経費であり、第9目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に関する経費であります。87ページに参りまして、第10目諸費は、宗教法人設立認証事務や公益法人関係事務等に要する経費及び共通経費であります。
括弧書きで記載してございます公会堂費は、文化スポーツ部への移管科目になります。
少し飛びまして、91ページをお開き願います。第3項徴税費第1目税務総務費は、税務関係職員の人件費などの管理運営費及び県税の還付に要する経費であり、第2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など、賦課徴収に要する経費であります。
92ページに参ります。説明欄に記載のふるさと岩手応援寄付募集事業費でございますが、ふるさと応援寄付に伴う返礼品の送付に要する経費でございます。
少し飛んでいただきまして、98ページをお願いいたします。第6項防災費第1目防災総務費は、防災関係職員の人件費などの管理運営費のほか、防災会議の開催や防災ヘリコプターひめかみの運航に要する経費などであり、第2目消防指導費は、危険物の規制や消防学校の運営に要する経費などであります。
飛びまして、103ページをお願いします。第8項文化スポーツ費のうち、総務部関係は、第2目文化振興費の公会堂管理運営費などであり、来年度から文化スポーツ部へ移管するものでございます。
少し飛びまして、211ページをお願いいたします。第10款教育費第1項教育総務費第4目教育指導費のうち総務部関係は、いじめ防止対策の推進に要する経費64万円余であります。
また、飛んでいただきまして、227ページになりますが、第8項大学費第1目大学費は、公立大学法人岩手県立大学の運営費交付金であります。
228ページをお願いします。第9項私立学校費第1目私立学校費は、私立高等学校等就学支援金交付金や私立学校運営費補助などの私学教育の振興及び被災した私立学校生徒への支援等を図るための経費であります。
また、少し飛んでいただきまして、239ページをお願いいたします。第12款公債費第1項公債費第1目元金1、085億8、546万円余のうち、総務部関係は1、083億6、398万円余となっており、第2目の利子とあわせて公債管理特別会計へ繰り出し、県債の償還を行うための経費であります。第3目公債諸費は、銀行等引受債の発行手数料などであります。
少し飛びまして、243ページをお願いいたします。第13款諸支出金第4項地方消費税清算金第1目地方消費税清算金は、都道府県間での地方消費税の清算を行う経費であり、続く244ページ、第5項利子割交付金第1目利子割交付金から、249ページの第10項自動車取得税交付金第1目自動車取得税交付金までにつきましては、いずれも市町村に交付する交付金であります。
250ページの第11項利子割精算金第1目利子割精算金は、都道府県間での精算を行う経費であります。
251ページ、第14款予備費は、前年度当初予算と同額の3億円を計上しようとするものであります。
以上で総務部関係の一般会計歳出予算の御説明を終わります。
続きまして、議案第8号平成29年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明を申し上げます。
364ページをお開き願います。平成29年度の公債管理特別会計の歳入歳出それぞれの予算総額は1、800億6、933万円余と、前年度と比較して157億6、030万円余の減額となるものであります。
366ページから369ページまでは、公債管理特別会計の歳入でありまして、県債管理基金からの財産運用収入や、一般会計及び県債管理基金からの繰入金並びに県債であります。
続きまして、370ページをお開き願います。公債管理特別会計の歳出でありまして、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債の発行手数料などであります。
続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明を申し上げます。
重ねて申しわけございません。また冊子が変わりまして、議案その2の3ページをお開き願います。議案第21号岩手県職員定数条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、警察官の増員を図るため、職員定数を増加しようとするものでございます。
以上で総務部関係の議案につきまして御説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋元委員 私からは1項目、公用車の事故防止による支出削減について何点かお尋ねしたいと思います。
職員による公用車の事故報告が絶え間ないという現状にありますが、もらい事故を除く加害事故、自損事故、双方に過失がある事故、これらについて平成25年度以降、現状はどのような状況になっているか、また、損害額、修理額の合算額、これらについての年度推移、そしてまた、これまでの事故防止への取り組み内容についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 公用車の事故防止に関するお尋ねでございます。
公用車の平成25年度以降の事故の発生件数でございますが、平成25年度の加害事故、自損事故、双方に過失があった事故を合わせた事故件数は計27件で、損害賠償額及び公用車の修理費の合計額は約957万円となってございます。同じく平成26年度は、事故件数が32件、損害賠償額等の合計額が約460万円、平成27年度は、事故件数が33件、損害賠償額等の合計額が約564万円、平成28年度は、本年の2月末現在の数値になりますけれども、事故件数が35件、損害賠償額等の合計額が約604万円となってございます。なお、平成28年度の事故件数35件中11件につきましては示談が成立しておらず、損害賠償額等の合計額には、この11件分は含まれてございません。
次に、これまでの事故防止の取り組みについてでございますが、毎年度、年度当初、夏季、冬季に、交通事故の防止等を初めとする職員の綱紀保持に対する通知をするとともに、県庁では庁内一斉の交通安全啓発ビデオの放映、広域振興局等では警察官等による講習会の実施等を行いまして、職員の交通事故防止の意識醸成に取り組んでいる状況でございます。
〇高橋元委員 事故防止に向けましていろいろ取り組みをされておられるようですが、なかなかその成果があらわれていないというか、事故が毎年30件から三十五、六件ぐらい発生しているということのようでございます。
平成28年度は2月末で35件ということで、過去の発生件数に比べて若干増加傾向にあるようにも今お伺いしたんですが、この事故の内容で多いものはどういうものか、それから、事故を起こされた当事者がどのように事故を捉えているのか。事故の経過とか自省等を含めた報告書も出ていると思いますが、その辺についてはどのような報告になっているのかお尋ねしたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 平成28年度に発生いたしました公用車事故の内容についてでございますが、多いものから順に申し上げますと、ガードレール等への接触事故が11件、駐車場内での接触事故が9件、追突事故が6件で、いずれも職員の不注意、安全確認の不徹底が主な要因になっております。
事故報告書への事故に至った経緯等の記載についてでございますが、事故が発生いたしますと、人事課に事故報告書を提出することになりますが、事故を起こした職員、所属長が作成した申立書を添付させておりまして、事故に至った経緯、原因、事故を起こしたことに対する反省等を記載しているほか、見取り図とか交通事故証明書、事故を起こした職員の運転記録証明書の添付を求めているところでございます。
〇高橋元委員 そういう取り組みをされているということですが、それが一過性にならないで、引き続き事故防止に向けて継続していただかなければならないと思っております。
また、事故の起きた部署だけで処理するということになってはいないのかということを懸念しているんですが、事故再発防止の取り組みについて、事故の概要、事故の原因、部局内再発防止等を、知事部局にとどまらず県庁全体にこういったものを提供して、県庁全体で同様の事故が起きないよう、防止に向けた取り組みを行うのがいいのではないかと思っておりますけれども、そういう事故に関する情報は共有されているのかどうかお尋ねします。
〇佐藤人事課総括課長 事故概要等の全庁的な情報共有についてでございます。
昨年12月に職員の綱紀保持に対する通知を発出しましたが、こちらについては、昨年度から今年度にかけまして、駐車場での接触事故-物損事故でございますが、こういった職員の不注意による交通事故が多数発生しているという状況でしたので、これについての注意喚起を図ったところですが、全ての事故概要とか事故の原因等につきまして、全庁で共有する取り組みというのは行っていないところでございます。
公用車の事故防止に向けまして、その発生原因、再発防止策を全庁で共有することは非常に重要であると認識しておりますので、公用車の事故のうち、重大な事故あるいは比較的多く発生する事故について、その特徴とか原因、再発防止策につきまして、より具体的に通知に盛り込んで周知し、情報共有をできるように工夫してまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 私も監査委員として、県内各公所を回らせていただいておりました。畜産研究所でトラクターとローダーの延焼事故が半年で2件発生していました。原因はいろいろとあると思いますけれども、同じようなトラクターを使っているところで全部その情報が共有されているかというと、そうでもないような感じもしました。やはり始業点検、車を運転する前のさまざまな運転に対する心構えなどもしっかりやっていかなければならないし、似たような事故があちこちで発生するというのもおかしな話で、情報の共有というのは非常に大事ではないかと私は思っております。
それから、示談が成立していないケースについて、これは損害賠償額が確定していないということも含めて、平成28年度は11件あるとのお話でありました。示談が未成立という事由については、多分、相手方の治療費とか事故の過失割合がまだ未確定とか、いろいろなことも考えられるわけですが、未成立の事由と今後の示談成立の見通しについてはどのようになっているかをお尋ねいたします。
〇佐藤人事課総括課長 示談未成立の内容と件数についてでございます。
示談未成立11件のうち、被害額が確定し、現在、示談交渉中のものが2件ございます。そのほか、被害額が確定できておらず交渉に至っていないもの、例えば人身事故で、治療を継続していて治療費が未確定のもの、あるいは相手方からまだ見積書の提出がないといったような形で被害額が確定しておらず、交渉に至っていないものが9件という状況になってございます。
今後の見通しについては、個々の事故の示談成立の見通しをお示しすることは困難な状況ですが、示談成立に至る期間が長期に及ぶことのないよう、示談交渉を行う各部局等に対しましては、事故の相手方との連絡を密にし、丁寧かつ真摯に交渉を行って、事故の相手方の了解が速やかに得られるよう指導するとともに、総務部といたしましても、定期的に交渉状況等を確認いたしまして、適切に公用車事故の処理が進むように取り組んでまいりたいと思ってございます。
〇高橋元委員 ぜひ早期の解決をよろしくお願いしたいと思います。
最後に、先ほどの平成28年度の2月末での件数について報告がありましたけれども、これまでの取り組みに加えて、何らかの新しい取り組みといったものも必要ではないかという思いをしておるんですが、これから先、新年度に入ってどのような取り組みを検討されているのか、現段階でのお考えをお伺いしたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 平成29年度におきます事故防止についての取り組みですが、交通事故に関しまして、重大な事故、比較的多く発生する事故は、先ほども申し上げましたが、その特徴とか原因、再発防止策について、より具体に盛り込んだ通知を作成するなど、情報共有ができるように工夫してまいりたいと思っておりますし、各所属で毎月15日にコンプライアンス確立の取り組みを徹底しておりますので、こちらでコンプライアンス、事故防止等の啓発をしていただくとか、あるいは交通安全啓発ビデオを活用した意識醸成といったものに取り組んでまいりたいと考えております。
これまでも、年度当初の通知におきまして、職員による交通事故が、県民の信頼を裏切り、県全体の信用を失墜させ、本人はもとより、相手方、家族、周囲の人々にも多大な精神的、経済的損失を及ぼし、県行政の円滑な執行に著しい支障を来すということを明記いたしまして、職員一人一人の不注意が大きな損失等につながることを喚起しているところでありまして、こうしたこともより強調しながら、職員一人一人の意識の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 ぜひそうした取り組みを強力にお願いしたいと思います。
ある民間企業では、運転については、運転の技術力を点検する意味で、同乗して運転のレベルがどういうレベルか、あるいはどういうところに注意が足りないなどの点検をして、いろいろ事故防止につなげている取り組みをしているところもあるようですし、また、運行基準をしっかりつくって、その基準に基づいた確認をしながら、朝、運転していくとか、運転の最中に、例えば交差点に行って一旦停止のところは、右よし、左よし、前方よしという形で口に出して確認して運転していくということも事故防止にも相当つながるということのようでございますので、ぜひ、そういう民間の取り組みもいいところは取り入れて、事故防止に取り組んでいただきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 広域防災拠点における物資の備蓄計画についてお尋ねいたします。
平成26年度には北上地区合同庁舎、平成27年には二戸市分庁舎、平成28年には消防学校等にアルファ米とかカロリーメイト、飲料水、消防学校には毛布、携帯トイレ等を備蓄しております。
その備蓄における管理、保管状況についてお伺いいたします。
〇石川総合防災室長 物資の備蓄における環境整備の状況でございますけれども、盛岡、花巻地区の広域支援拠点、二戸、葛巻、遠野、北上の後方支援拠点の5エリアで構成されてございます。
広域防災拠点施設は既存施設を活用しておりまして、5カ年計画で備蓄物資をそれぞれのエリアごとに整備しているところでございます。
〇工藤勝子委員 実は平成24年度に総務常任委員会において兵庫県の広域防災センターを調査いたしました。陸上競技場のバックスタンドの下を新たに設計し直しまして、そこが備蓄倉庫になっておりました。そして、一定の温度、湿度に管理をされておりまして、例えばアルファ米にしても、カロリーメイトにしても、賞味期限が長いとは思いますけれども、私が心配しているのは、これは口に入れるものですから、期限があるわけでありますので、夏は高温になるとか、湿度が高くなるとか、そういう部分において、こういう整備されたものがきちんと保管されているのかということをお聞きします。
〇石川総合防災室長 広域防災拠点はそれぞれエリアごとに設けてございますけれども、保管する品物等につきましては、悪くならないように、そういった形で場所を決めさせていただいているところでございます。
〇工藤勝子委員 悪くならないようにといっても、多分、温度管理等はなされていないのだろうと思っております。そこまで管理するということになると、結構、設備整備に多額のお金がかかってくるだろうと思っておりますけれども、やはりそれなりに夏は温度が高くなる、入梅に入れば湿度も高くなるというようなことで、どのような形で保管されているか、本当は現地を見たいと思っているところでもありますけれども、例えばこれが台風第10号のときに被災地で使われたのでしょうか。
〇石川総合防災室長 台風第10号災害における備蓄の活用状況でございます。
発災翌日の昨年8月31日でございましたけれども、岩泉町から物資の支援要請を受けまして、広域防災拠点である二戸市の分庁舎に備蓄しておりましたアルファ米や飲料水などの物資を届けました。また、その後も北上地区合同庁舎に備蓄しておりました栄養補助食品、飲料水を提供するなど、最終的にはアルファ米3、600食、栄養補助食品4、440食、飲料水4、920リットル、毛布580枚、携帯トイレ20箱を岩泉町に提供させていただいたところでございます。
今後におきましても、災害時に迅速な提供が可能となりますよう、計画的な備蓄物資の整備を行ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 物資が活用されたということで、非常によかったと思っています。
東日本大震災津波の教訓を踏まえ、物資がきちっとある拠点に整備していくことによって、万が一の場合にはすぐ活用できると思います。
では、使った部分を、今の地区に補充できる計画になっておりますか。
〇石川総合防災室長 先ほども申し上げました被災地から近い二戸市分庁舎、あるいは北上地区合同庁舎から届けました分につきましては、年度内に補充する形で取り組んでいるところでございます。
〇工藤勝子委員 よろしくお願いします。
それで、葛巻町社会体育館の備蓄倉庫は一番心配したわけですけれども、ここは、県ではなくて葛巻町がこの保管をきちっと管理するものなのかお伺いします。
〇石川総合防災室長 葛巻町社会体育館の備蓄倉庫でございますけれども、これは、平成29年度に備蓄を行う予定となってございます。葛巻地区につきましては、体育館に備蓄する上で、地元葛巻町にも御了解いただいているところでございまして、葛巻町のほうで管理いただくこととしてございます。
〇工藤勝子委員 これらを点検する作業というのはどのようにされるのか。その点検は県の職員が出向いてやるのかどうかというところも確認したいと思います。
〇石川総合防災室長 備蓄倉庫につきましては、定期的に当方の総合防災室の職員が回りまして点検しているところでございます。
〇工藤勝子委員 平成34年度に、遠野地区合同庁舎にも備蓄の計画があります。遠野市では、熊本地震が発生したときに、熊本の被災地に水とブルーシートを送っております。県の備蓄にはブルーシートとかがないわけでありますけれども、例えば以前調査した兵庫県では、ブルーシートとかテントとか仮設トイレ、紙おむつ等も整備されておりました。
遠野市は沿岸地域を網羅できる防災拠点になっておりますので、せめて毛布、ブルーシートぐらいは備蓄してほしいと思っているんですけれども、そういう考えはないでしょうか。
〇石川総合防災室長 現在のところ、5カ年計画で進めておりまして、遠野地区合同庁舎にもアルファ米、栄養補助食品、飲料水、携帯トイレ等を備蓄する予定でございますけれども、今後におきましては、実態にあわせて、どういった備蓄が必要なのか、検討させていただきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
遠野市からヘリコプターで陸前高田市、宮古市まで大体15分で搬送できるという状況の地域でありまして、改めて東北横断自動車道も完成するということでありますので、今後の災害に備えてできるだけ備蓄をしていただきたいと思っております。
東日本大震災津波のとき、各家庭でそれぞれ備蓄という心構えを持ったはずであります。例えば水だとかカップラーメンだとか、そういうものもある程度みんな備蓄して、心構えを持ったはずですけれども、多分、風化しているのではないかと思っているところでありまして、自主防災組織を活用しながら、やはり3日分の水はそれぞれの家庭で交代しながら持つというような働きかけをすべきだと思います。また、風化を感じているわけでありますので、そういう働きかけもぜひ総務部でやっていただければと思ったところでありますので、その所感がありましたらお伺いして、終わります。
〇風早総務部長 改めて、昨年の熊本地震そして台風第10号災害におきまして、本県の東日本大震災津波の経験を生かした備蓄が活用されました。遠野市が物品を送られたときにも、県もあわせて、県の備蓄倉庫にあるものを熊本にお送りしましたし、台風第10号災害のときの対応については、今、総合防災室長が御答弁申し上げたとおりでございます。我々としても実際に被災し、また応援する中で、備蓄の重要性というものに改めて思いをいたしたところでございます。
毛布につきましては、備蓄の対象人数1、500人分が備蓄倉庫に入っております。ただ、どういった物、どういった枚数が必要なのかということは、常に状況を把握しながら進めていきたいと思っております。
また、県が備蓄できるものというのは、限りがありますので、やはり住民の方お一人一人に対し、県として、地元消防、自主防災組織等とも協力して、啓発に引き続き努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 歳入の中で、県税収入についてお伺いいたします。
自主財源であります県税の収入でありますけれども、ここ数年、年々伸びております。平成29年度も30億7、000万円という前年度比プラスですけれども、その増加している内容等をお聞きしたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 県税の増収要因でございますけれども、好調な経済事情あるいは円安といった関係で、法人関係の税収が伸びてございます。また、地方消費税も伸びてございますし、所得の向上ということで個人県民税も伸びているということで、平成29年度も引き続きこういった状況で伸びるということを見込んでいるところでございます。
〇工藤勝博委員 県の予算でも、平成28年度は復興需要で4、500億円、そしてまた、平成29年度も3、000億円が計上されています。そういう復興需要が多分大きく支えているのだろうと思いますけれども、個人県民税等もふえているというのは、岩手県民の財力といいますか、収入がふえているということで理解してよろしいのでしょうか。そしてまた、県税というのは、その県の財力を示すものだろうと思います。それらも含めて、今後の県税の見込みというものをどのように捉えているのかも、あわせてお伺いしたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 個人県民税の伸びでございますけれども、基本的には給与所得に係る特別徴収部分が伸びてございまして、これは企業業績の伸び等によって当然個人の所得にもはね返ってきていると認識してございます。
今後の県税の見通しでございますけれども、復興需要が高水準で最近推移していますが、今後の動向につきましては注視していかなければならないところはございます。県税につきましては、法人や消費税のウエートがかなり多くなってきていましたので、全国的な景気の動向あるいは海外の経済情勢を注視していかなければならないと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 県の中期財政見通しの試算では、平成29年度は投資的経費が大分多いですけれども、平成30年度-次年度で見ますと逆に低くなっています。それらを含めますと、投資的財源が減っていくということは、それだけ県内の事業が減るということと理解しなければならないと思います。建設事業が減っていく中で、計画では公共事業は平準化しているとありますけれども、それらも踏まえて、震災復興あるいはまた台風の復旧事業が減っていくとなると、そういう面ではかなりの落ち込みも予想されますけれども、それらにかわる政策というのは何か考えているのか改めてお聞きしたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 持続的な県税の確保でございますけれども、県では、いわて県民計画の第3期アクションプランにおいて県税収入の確保を重点項目の一つに挙げてございます。これに基づきまして、法人事業税あるいは不動産取得税の課税捕捉、あるいは岩手県地方税特別滞納整理機構等による個人県民税の収入未済額の縮減に取り組んでいるところでございます。
このような課税、徴収両面にわたる取り組みを通じまして安定的な県税の収入確保に努めるとともに、やはり地方税の充実強化に向けましては、偏在性が小さく、税収の安定的な地方税体系を構築することが重要であろうと考えているところでございまして、引き続き全国知事会等を通じまして国等に働きかけていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 山形県では知事が無投票で再選されましたけれども、山形県の製造業、現在8、350億円の付加価値額を1兆2、500億円にするのだと。あるいはまた現在2、874億円の農業産出額を3、500億円にするのだと、知事が先頭に立ってそういう戦略的な数値目標を掲げているんです。それが県民に対してすごく強いインパクトがあり、生産意欲につながっていくのだろうと思いますけれども、それらをぜひともやりながら、岩手で税収に結びつくような政策をこれから打っていかないと尻すぼみになるのではないかと危惧されます。その辺はどういう形で政策展開をしていくのかお聞きしたいと思います。
〇風早総務部長 まず、県税という立場から申し上げますと、やはり何よりも税の体系が大事と思っております。岩手と東京や愛知圏域と比べますと、当然のことながら1人当たりの経済活動というのも多うございますので、これは知事答弁等でも申し上げているんですが、偏在性が少なく、安定的な地方税体系の構築を岩手県としては求めていくというのがまず一番最初にあろうかと思います。
そしてその上で、今、御指摘いただいたような税源涵養の取り組みということで、さまざまな企業立地の政策とか、また、来年度予算に向けては、これは商工労働観光部が中心となるものですが、既存のそれぞれの地域で活動されている企業の皆さんに一層経済活動を高めていただくような取り組みをふるさと振興の取り組みとともに実施していこうとしてございます。こういった両輪で岩手県の自主財源の確保に努めていくというのが岩手県の方針だと考えております。
〇工藤勝博委員 2点目ですけれども、入札事務改善推進費が計上されております。そこで、持続できる建設産業の振興には当然公共工事がより必要であり、これまでもさまざまな議論がありましたけれども、どのような形で入札制度を改善されていくのかお聞きしたいと思います。
〇稲葉入札課長 入札制度の改善についてでありますが、現在は、復興の推進を第一として、入札制度においてさまざまな特例措置を講じながら事業の進捗に配慮して運用しているところでございます。こうした中で、県内企業の育成、地域経済の活性化、雇用の確保の観点から、県内業者で施工可能な工事は県内業者で施工することを基本に県内業者の受注機会の確保に努めてきたところでございます。
また、県内建設業が地域インフラの維持管理や災害対応を持続的に担うためには、人材育成、建設機械更新等に向けた利益改善が必要でありますことから、平成24年3月からは、独自の取り組みとして調査基準価格を国よりも高く設定し、さらなる落札水準の向上を図るための見直しを行っているところでございます。
もとより、入札制度の改善に当たりましては、入札の原則である競争性、透明性、公正性の確保がされる制度のもとで、公共工事に対する県民の信頼を確保し、また、建設業の健全な発達を図っていくことが肝要と考えております。
今後も、入札状況の推移を注視し、復興後の情勢変化も見据えながら、建設業の抱える課題、現状等について関係者の御意見も伺い、関係部局と連携を図り的確に対応していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 逐次改善はしているということでありますけれども、今定例会でも請負契約が提案されています。落札率が去年、おととしあたりと比べて大分下がっています。85%前後です。建設業者に言わせればやっぱり90%は欲しいという状況で、何点か私からも提案しました。その中で、先ほどお話ありました調査基準価格の引き上げとか最低制限価格制度を採用したほうがいいのではないかという点については、東北各県でもそういう取り組みを始めているということでありますし、建設業者に言わせれば90%が損益分岐点だと。それらも踏まえて、これからどのような取り組みをされるか。いずれ、議会の議決が必要な5億円以下の事業もたくさん出てくると思うんです。それらを含めて入札制度の改善をさらに進めていかないと建設業が持続できる仕組みにはならないと思います。それらの点をもう一度お願いしたいと思います。
〇稲葉入札課長 調査基準価格についてのお話もございましたが、こちらについては国が一定のモデルを示しながら運用しているところでございまして、全国の動き、国の動きを注視しながら、それに適宜対応していくことが基本になります。
また、最低制限価格のお話につきましては、本県でも過去には導入していた経緯がございますが、現在、総合評価落札制度を中心に運用していくというところで切りかえております。最低制限価格と総合評価は両立できないという制約がございまして、総合評価で価格面、技術力を総合的に見て工事を確保していきたいと考えております。
また、落札率が下がってきているのは現在の傾向から見てもそのとおりでございますが、入札状況につきましては常に注視しながら対応していくことが基本と考えております。
〇工藤勝博委員 落札率とも関係がありますけれども、予定価格の事前公表というのがあるわけです。それですとダンピングの一つの大きな要素にもなるという話があります。値下げ競争ということだろうと思いますけれども、適正な価格で入札するにはやっぱりその辺も考えなければならないだろうと思います。国ではこの予定価格公表を廃止といいますか、やめろという話も出ていると伺っていますけれども、その辺の取り組みは今後どうなさっていくのでしょうか。
〇稲葉入札課長 予定価格につきましては、現在、県では全て事前公表という扱いにしております。国におきましては、制度上、事後公表の方法しかとり得ないということで事後公表としておりますが、現在、事前公表としていることにつきましては、透明性の確保を最重要視しているところがありますし、それから入札事務の効率化という面では、再入札が不要となるということで、予定価格を下回った価格で入札が行われることで事務の効率化にも寄与している。それから電子入札を行っている関係もございまして、そちらの効率化も考慮しながら制度を運用しているところでございます。
しかしながら、国では適正化指針で考えられる弊害を指摘しており、くじ引きが多くなるとか落札率が高どまりになるといったことがありますが、現在のところそういう状況にはございませんので、こちらにつきましても入札状況を見ながら対応していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後ですけれども、昨年の台風第10号では近隣の市町村から建設業者が行って応援したわけですけれども、岩泉町は沿岸広域振興局管内、葛巻町、岩手町、八幡平市は盛岡広域振興局管内ということで、広域振興局を超えて災害復旧に駆けつけたけれども、地域貢献といいますか、総合落札方式の加点には結びつかないと言われたということでありますけれども、それらも改善する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
〇稲葉入札課長 総合評価制度における地域貢献度の評価の部分でございますが、こちらは、管内で災害活動の実績がある場合、加点ということで評価しております。こちらも今年度から導入した経緯もございますので、その運用状況を見ながら、見直しが必要な場合は御意見も伺いながら検討していくことになろうかと思います。
〇工藤勝博委員 持続できる建設産業をこれから育てていくことが、災害対応や県のインフラ整備のためには大事だということを申し上げて終わります。
〇軽石義則委員 人事管理についてお伺いいたします。
これまでも一般質問、また総括質疑の中でも職員数の欠員等の部分については質疑が交わされておりますが、人事管理をする上で、まず基本となるところを決めて、そこからどのように組み立てていくかという仕組みをつくっていくのが大事だと思っております。現在の業務量をどういうふうに捉えて、その業務量に合った必要人員数というのはどういうふうに組み立てているのかという部分について、定数基準というのがあると思うんですが、それらの定数に対する考え方、現状と課題などについてお伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 定数等のお話でございます。
業務量の関係につきましては、例えば新規に発生する業務等ございますので、各部局から、どれくらいの業務量があり何人必要だという要求を受ける形にしてございます。その中で、人事課で要求の内容が妥当かどうか、あとは業務量の積算自体が過大になっていないかどうか、そういったあたりも含めまして必要な定数を措置するという調整を行っているところでございます。
〇軽石義則委員 積み上げた上でそれを精査するということのようですけれども、いわて県民計画第3期アクションプラン行政経営編を見ますと、復興は復興として当然これは別枠でいろいろな応援もいただいてやっているのは理解しますけれども、復興業務以外の業務については平成23年4月1日時点の職員定数の維持を基本とし、という考え方を示しているんですが、なぜ平成23年4月1日時点の職員定数の維持が基本なのかというところを教えてください。
〇佐藤人事課総括課長 平成23年度以前までは行政改革等で職員数を2割ぐらい減らすという目標を立ていた時期がございまして、4、000人体制で職員を回していくという大きな目標がございました。平成23年度時点で4、000人体制という格好になったという状況にございますが、ちょうどその際に東日本大震災津波に見舞われてございます。当然4、000人体制では東日本大震災津波への対応ができないということになりますが、震災への対応自体、県の計画は8年間という格好でやっていまして国は10年の計画ということにしてございますので、それに対応する人員を全て正規の職員を新たに採用して対応するという形になりますと、復興事業が終了した際、職員が過剰になる状況も考えられます。ですので、基本は4、000人をベースに、将来の人件費の負担が過大にならない状況を考慮し、全国の派遣職員の応援や任期付職員という形での対応をしております。
今後につきましては、いろいろな新しい業務等が入ってきてございますので、いずれどういう職員体制でやっていくかというのは今後、見直し等を検討していかなければならない事項だと考えてございます。
〇軽石義則委員 先ほど、業務量の中からの定数の計算の仕方といいますか出し方となると、答えは常に4、000人で、4、000人の答えを出すために係数をつくっていくといつも答えは4、000人になっていくということになるような気がするんですけれども、そういうことではないでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 4、000人という目標といいますかベースはあるのでございますが、当然その中で対応し切れない新たな業務が発生することもございます。新しい業務にどんどん人をつけていくという格好になりますと定数管理や人事管理の面で問題もございますので、絞るところは絞ることもしなければならないんですが、4、000人体制ありきということで考えている状況ではございません。
〇軽石義則委員 必要なところには必要な人、そして、不要な仕事はないと思いますけれども、やはり見直すべきところは見直していくということだと思います。そのことにおいて、いわてで働こう推進本部がありますよね。その中で公務以外の、いわゆる民間ベースの働き方を主に書いていますが、やはり労働生産性を向上することによって、そこから得られる企業収益の上昇を労働者賃金の上昇や労働環境の向上につなげることや岩手の人員確保、いわゆる優秀な質の労働力を確保することにより、更なる労働生産性の向上のための取組を支援していくことが求められているとうたっているわけです。公務の場合も同様だと思うんですけれども、そういう意味では、公務において、いわゆる県の仕事においての生産性向上というのはどういう位置づけになるのか教えてください。
〇佐藤人事課総括課長 公務の生産性向上への取り組みということでございます。
県では、県民本位の質の高い行政サービスを提供する行政品質向上運動の取り組みを推進してまいりました。東日本大震災津波前は各部局で改革改善発表会をやりまして、その中で、各部局の推薦を受けた優良な取り組み、全県展開したほうがいい取り組みを発表いたしまして、優秀な取り組みについて表彰するということでかなり大がかりにやってきた経緯がございます。ところが、東日本大震災津波が発生したこともあり、そういった大がかりな取り組みを従来どおりにはやれないということもありましたので、平成24年度から、たびたび議会でも答弁させていただいてございますが、G・Iグランプリという形でそれぞれいろいろな取り組みや改善状況を全庁で共有するというやり方をしてございます。こちらも優秀な取り組みについて職員を表彰することにしておりまして、いわばアイデアやこういった取り組みの全庁共有、横展開の関係と認識してございます。
一方で、個人のレベルアップというところでは、会計、補助金、許認可、予算、情報公開といった分野につきまして、採用後の年数に応じて求められます業務遂行能力を習得させる研修を階層別に実施してございますし、地域の課題解決に向けました県と市町村を初めといたします多様な主体との連携、協働によります地域経営の推進を図る地域連携推進研修といったものも市町村と合同で、毎年、開催地を変えながら実施しているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、公務の生産性向上、行政品質向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 忙しい中にあってもそれぞれの職場で努力されているということがわかりますけれども、それが県民の皆さんや我々にも見えるような形で示されているのでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 G・Iグランプリの取り組みはどちらかといいますと内部管理的な格好になってございますので、ホームページに公表しているかどうか記憶が定かではないですが、こういう取り組みを大々的にやっているというような形の情報発信を意識しての取り組みにはなっていない状況でございます。
〇軽石義則委員 せっかく現場の職員の皆さんが努力している姿であるとすれば、それをしっかり県民の皆さんにも見えるようにしておくべきですし、それを参考にいろいろな方面でも活用できることがあれば活用していけると思いますし、やっている皆さんもそういう意味ではやりがいにつながっていくのではないかと考えるところであります。
限られた人数でふえる業務に一生懸命取り組んでいるのは十分私も理解しております。東日本大震災津波からの復興や、台風第10号を初め各種自然災害への対応、国体や障がい者スポーツ大会などにもしっかりと取り組んできているからこそ成果が出ていると思います。そういうところで県庁舎も電気の消える日はないと言われるぐらい働いている方も多くいると思いますが、今、働き方のほうも改革をしようということで県も取り組んでおりますけれども、実際、県において働き方改革はどのぐらい取り組みをされているのでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 働き方改革への取り組みについてでございます。
県では、次世代育成支援、それから女性活躍支援推進のための特定事業主行動計画を策定いたしまして、仕事と家庭の両立のための支援制度の充実を図ってきたところでございまして、今年度からは、男女を問わず、子供の出生予定がある職員については、特に配慮してほしい事項等をまとめた育児支援計画シートを作成してもらいまして、当該シートに基づいて職員と所属長が面談を行いまして、職員の休暇の取得計画、それから勤務時間等の希望を踏まえた支援も行っているところでございます。
仕事と家庭の両立に配慮した働き方改革を推進していくためには、勤務時間、超過勤務の縮減を図っていくことが重要と考えてございます。これまでも実施してまいりましたが、業務の見直しによる超過勤務の縮減、それから育児休業等の取得促進等の取り組みに加えまして、東日本大震災津波後は、先ほども申し上げましたが、G・Iグランプリの取り組み、それから毎週水曜日を定時退庁日といたしまして、育児や家事、それから地域経済活性化につながる取り組みを行うか・えるの日運動、それから、毎月19日を育児の日といたしまして、計画的な年次休暇の取得促進などに取り組んでまいったところでございます。
今、官民挙げて働き方改革が言われているところでございまして、来年度におきましては、各部局の管理課長等をメンバーにいたしました働き方改革に係る推進組織を庁内に立ち上げまして、超過勤務の縮減、年次休暇の取得促進や職員の働き方改革に向けた具体の取り組みを検討、実施していく予定にしてございまして、引き続き職員の希望に寄り添う職場環境づくりを進め、仕事と生活の調和がとれる職場の実現に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 超過勤務の縮減と言葉では簡単ですけれども、仕事が減らなければそのことにはつながっていかないと思いますので、しっかりその業務の内容も精査した上で取り組みをしていくのが大事だと思います。
そういう意味で、必要な仕事はしっかりとしていただきたいと思いますし、働いた対価として賃金を得るのが働く側の立場でいえば当然のことだと思っていますけれども、努力をして生産性も上げて、働くこともしっかりとやっている。しかし、その努力が報われなければ働きがいを持てない。そうすると仕事に対する意欲にもつながっていかないというのが現実ではないかと思っております。労働組合を含めまして現場からいろいろな要望が出ていると思いますけれども、それらの要望の中で大きなものがあれば具体的に示していただきたいと思いますし、それらにどう対応されているのかという部分を教えていただきたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 現場の要望等ということでございます。
職員団体を通じた要望等ということになりますが、例えば休暇の状況や超過勤務の縮減などさまざまな要望を受けまして、毎年できるものから真摯に対応をさせていただいているところでございます。
〇軽石義則委員 そういう意味では、やはり努力したら報われて賃金等に反映されるべきものということもあると思います。今回も、人事委員会から条例案に対する意見として、特例的な減額措置が平成17年度から長期にわたって実施され、職員の士気などに及ぼす影響を考慮し、早期に勧告に基づく給与水準が確保されるように望むという回答も来ているわけですが、部長はこれについては今後どういうふうに対応していく所存でしょうか。
〇風早総務部長 管理職の皆様に県の財政状況等を鑑みて特例減額をお願いしている状況が長く続いてございます。本来であれば人事委員会勧告の趣旨にのっとった給与をお支払いするのが望ましい姿と認識した上ではありますが、県が抱える財政的な状況等も踏まえ、御協力をお願いしているところでございます。
その率につきましては、部長級はその前の年から平成28年度も減額率を縮減しておりまして、平成28年度-ことしは副部長級以上が管理職手当の10%、そして総括課長級の職員が5%でございますが、来年度からは継続をした上でその率をさらに縮減し、5%、3%とそれぞれ縮減率を圧縮した上で引き続き管理職手当の特例減額をお願いすることとしてございます。
原則としては、先ほど申し上げたとおり人事委員会勧告の趣旨にのっとった状況にするのが望ましいと思っておりますが、引き続き県の財政を取り巻く状況は厳しいということで御協力をお願いしている状況にございます。
〇軽石義則委員 その部長の気持ちも十分わかりますし、協力している幹部の皆さんも十分そのことは理解してやっていると思います。それであっても、財政ですから、入ってくるものがなければ出せないというのも当然だと思うんですが、やはりそこには努力したら報われるという何か実感できるものが見えないと、そこに向かって走り続けることもできなくなるのではないかと私は思うんですけれども、その点はどうなのでしょうか。
〇風早総務部長 モチベーションの維持に関しましては、本県は、法律等で義務化が進む前から-平成18年度だったと思いますが、勤務成績に基づく昇給制度の導入等についていち早く他県に先駆けて創設し、それを運用してございます。私が着任したときの印象は、職員お一人一人がきちっと目標を上司に報告し、そしてそれに向かって半期ないし1年、自分の達成度を上司に報告し、上司と意見交換する中で、また次の半期ないし1年というところでどういう取り組みをしていくかということをいち早く導入してきて、これは成果を上げてきていると思います。
こういった取り組みを引き続き運用していくことで、職員の皆様、非常に厳しい状況ではありますけれども、引き続き復興、それからふるさと振興に協力して職務に精励していただけるような環境をつくっていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ働く皆さんにそういう前に進むものが感じられるような取り組みが大事だと思っておりますので、今、部長がお話ししたものをさらに具体的に実感できるように実行していただきたいと思います。
そのことも踏まえた上で、今後、人材育成や人員確保は非常に大事な取り組みと思っておりますが、これから人材育成する上で、新しい年度に入ってポイントは何かありますか。
〇風早総務部長 震災復興に当たりまして、東日本大震災津波前は新規採用職員は60人程度でございました。今は150人を優に超える採用数でございます。要は、30代の職員が非常に少なくて、20代の職員が多い状況にございます。理想を申し上げますと、やはりどの世代も均一的な組織のほうがノウハウやさまざまな住民の皆様との関係といったものが伝承できるということだと思いますが、これはいかんせん仕方がございません。東日本大震災津波という未曾有の災害がありましたのでこういう状況になっております。
そこで一番大事なのは、やはり職員、特に新規採用、若手採用の研修と考えております。そういった意味で、これまでも男女を問わずメンター制度を導入したり、それからまた女性職員に特化したさまざまな研修も充実させております。また、やりがい、魅力をアピールするような説明会を通じて、意欲のある学生の方々により多く受験していただく。さまざまそういった取り組みを通じながら、職員の資質向上と人員確保、組織の再構築に取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 最後になりますけれども、ぜひ今、部長がお話ししたようなことが現場の皆さんと共有できるように、そして、現場の皆さんもそれに向かって、自分たちがさらに努力すれば報われるという実感が得られるような取り組みをしていただくことをお願いして終わります。
〇嵯峨壱朗委員 歳入歳出にかかわって、県債と公債費のかかわりですけれども、プライマリーバランスが7年連続黒字という言い方をしておりますけれども、これってどういうことを意味しているのか、何がいいのか説明してもらえればと思います。
〇小原財政課総括課長 プライマリーバランスについてのお尋ねでございますけれども、県債残高の増減を管理していくため、その年の起債の発行額と元金償還の差をしっかり出して、元金償還額が起債発行額を上回っていれば県債残高が減っていくわけですので、財政の健全化につながっているというふうに見せるための指標でございます。
〇嵯峨壱朗委員 平たく言うと、新しく借金する金額と返済する金額と、返済する金額のほうが多いといいということですね。それが344億円となり、ことしは黒字だったということになるんですか。
公債費を見ていると、元金1、085億円で、利子は入っていないわけです。利子というのは確実に伴ってくるわけです。となると、厳密に見ていくと、実は344億円ではなくて、例えば二百何ぼかというふうな……、もちろん計算式があるからそれには合ってないんですけれども、そういうふうに捉えたほうがより厳密だという理解でいいですか。
〇小原財政課総括課長 元金に利子を加えて算出する方法もございますけれども、本県では元金で見込んだほうがより厳密にプライマリーバランスが黒字というところを表現できると考えておりまして、元金償還額で算出してございます。利子の支払い額を加算しますとさらに償還額が大きく見えますので、黒字がなお大きく見えることになるものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 それはわかるんですけれども、公債費という項目を見ると性質別と目的別がありますが、性質別のほうが大体一般の予算のほうには出てきているわけですね。いいですね、それで。
〇小原財政課総括課長 きちんと御説明させていただきますと、目的別という場合には、ここでごらんいただくような款の単位で表示したものが目的別に当たると思います。一方で、性質別といいますのは支出の性質で区分することになります。目的別で見た場合、平成29年度予算では1、210億円余の公債費となりますけれども、これは元利償還金に事務費や手数料を加えた合計額となります。一方で性質別の公債費で見ますと1、208億円余の金額となりますけれども、これは手数料が入りませんで、元利償還金に一時借入金利子を加えた額で数字を表示することになります。
〇嵯峨壱朗委員 私も勘違いしていました。わかりました。
言いたかったのは、予算上は、利子というのは必ず、公債費の中に入っているわけですね。ということは必ず出ていくお金なわけです。ですから、プライマリーバランスを計算するとき、新規県債発行額と元金償還額のうち、元金償還額のほうにやっぱり利子も入れて見たほうがより現実的で、本当は黒字とは言いながら二百三十何億円なんだというふうに見られるのではないでしょうかということです。
〇小原財政課総括課長 プライマリーバランスについてどういう見方をするかということになりますけれども、その年の基礎的財政収支だと見れば、確かに利子を加えて計算する方法はございます。一方で、我々は、大分前から県債残高の管理のために使ってまいりましたので、そこのところは2種類の見方がございますので、出し方といいますか、表現の仕方については工夫してまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 いろいろ調べたら、プライマリーバランスとは基礎的財政収支と出てくるんですね。
平成28年度の県債償還金に算入される交付税額は702億円程度と試算していると。平成28年度はまだ終わっていないわけですから。返済に充てる償還金に算入された交付税額は702億円とこの資料に書いています。ことしはどうなんですか。つまり、返済一千幾らのうち、実は交付税として国から来ている部分がこれだけ該当しているということですよね、702億円。
〇小原財政課総括課長 平成29年度当初予算で見ますと、58.9%が公債費に占める交付税措置率と計算してございます。
〇嵯峨壱朗委員 震災もあって、相当苦労されてこういう形でプライマリーバランスの黒字を維持してきたと思うので、それについては敬意を表したいと思いますし、ぜひよりよい財政をやってもらえればと思います。
次に移りますけれども、県の出資法人とのかかわりについてですけれども、出資等法人指導監督要綱というのがございます。これに基づいて出資法人に対する県の役割を果たしていくということなんでしょうけれども、4分の1以上に相当する出資金額、もしくは法人が債務を負っている場合に2分の1以上を補償しているといった場合にはそれ相応の指導監督をしなければならないと規定されているわけであります。例えば、所管部局長の責務として、第4条は県出資法人等の運営について助言及び指導その他の指導監督に関する事務を行わせるものとすると書いています。一般論ですけれども、この要綱に基づいて、こういった4分の1以上の出資をしている法人に対して県はどのようなかかわり方ができるのか、また、どのようなことをしているのか。
〇小原財政課総括課長 先ほど委員から御案内のありました岩手県出資等法人指導監督要綱に基づきまして、県では、県の出資が資産株となっている2法人を除いた42法人を指導の対象としてございます。指導監督対象法人の42法人につきましては二つの類型に分かれまして、先ほど委員がおっしゃいました25%以上の法人などについては関与の度合いが若干強まることになります。
具体的に申し上げますと、県出資比率50%以上の法人、それから県出資比率25%以上50%未満のうちでも繰越欠損金が発生、または経営改善を要する法人に指定されている法人、それから、その法人のうち、県の運営費補助金、県運営資金として短期の貸し付けを受けている法人、それから県職員派遣を受けている法人または県職員が代表者に就任している法人については、50%未満でありましても25%以上の法人であれば関与の度合いが少し強まりまして、毎年度、出資等法人運営評価シートを作成するなどして、その法人を所管している部局に対して総務部がヒアリングを行いまして、その運営について評価するなど一定の関与を行っているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 この要綱の中で、13条、情報公開の推進という項目があるんです。その中で、所管部局長-それぞれあるんでしょうけれども-は、県出資等法人の情報の公表について、法令等で定めるところによるほか、県出資等法人に対し、県民への説明責任を果たすため、積極的な情報公開が行われるよう助言、指導するものとすると書いています。これと、いわゆる情報公開条例との絡みというのはどうなんですか。
〇岡部私学・情報公開課長 県の出資法人につきましては県の情報公開条例の直接適用はございませんが、情報公開条例第41条第2項に基づきまして、知事が所管する出資法人の情報公開に関する要綱を定めております。当該要綱の対象となる実施団体につきましては、県の情報公開制度と同様の仕組みで県民が開示の申し出を行うことができることになっており、申し出があったときは、当該実施団体が開示、非開示を判断することとなってございます。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、今の説明だと当該実施団体ということで、法人そのものが公開する、しないを判断できるということですか。
〇岡部私学・情報公開課長 委員おっしゃるとおりでございます。
〇嵯峨壱朗委員 この要綱には、県民に説明責任を果たすため、積極的な情報公開が行われるよう助言、指導するものとありますね。積極的に情報公開すると。つまり、例えば半分以上出資している法人があった場合、ここの動向を聞きたいというのは当然あると思うんです。そのときに、今説明されたように、これは私たちに不利だから出しませんというふうにできるということですか。
〇岡部私学・情報公開課長 非開示情報があれば、そこの部分については非公開となるということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 このことを聞くつもりでもあったんだけれども、非開示情報というのはどういうものなんですか。
〇岡部私学・情報公開課長 情報公開条例に基づきまして、出資法人の情報で、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれのあるものであれば開示できないものであり、それに該当するかどうかは個々に検討することになると思われます。
〇嵯峨壱朗委員 個々に検討するというのは、その項目のことですか。それともどこが検討するんですか。
〇岡部私学・情報公開課長 それぞれの出資法人において検討するということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど説明があった評価シートを受けて当該法人が所管部局長に提出して、それを総務部長が通常評価レポートとして取りまとめて県民に公表するという流れになっているようですが、これは、問題がなければそのまま来たものを表に出しているという理解でいいんですか。
〇風早総務部長 今お尋ねをいただきました運営評価レポートにつきましては、地方自治法に基づきまして、県が出資法人等について事業計画、決算内容などを記載しました経営状況説明書を議会に御報告することになっております。この御報告に関しては、まず担当部局で出資団体等からヒアリング等をした上で資料を調製しまして、そのチェックを総務部で行った上で議会に御報告という運びを通例としてございます。
また、経営指標や財政支援などを運営評価レポートで公表する際に当たっても同様の流れで公表に至っているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 評価レポートというのは結構詳細に書いています。ですから、それを参考にしながらいろいろな議論をしたらいいかと思っていましたが、この要綱を見ると、指導監督の中に相当深く法人に入り込むような部分が指摘されています。役員の給与をどうしているかとか、そういう具体的なところまで回答するようになっているわけです。ですから、その情報公開は別問題として、相当その法人の運営状況、運営、方向性も含めて関与できるというふうに書いていると思っていますが、そういう理解でいいですか。
〇小原財政課総括課長 第4条に、所管部局長の責務として、所管部局長は、県出資法人の指導監督に当たって次の事項について十分に把握すると記載してございますので、この要綱の趣旨に基づいて、設立の目的、県が掲げる施策の目標を達成するということを実現するために指導していくべきものと考えております。
〇高橋孝眞副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後5時7分 休 憩
午後5時27分再 開
〇高橋孝眞副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、延べ7人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、庁内保育施設の設置に向けた取り組み状況についてお聞きしたいと思います。
総括質疑でも今後の方向性については御答弁をいただいておりますが、10月に行ったニーズ調査の中で、病児保育等多様な保育サービスのニーズがあったかどうかについてお聞きしたいと思います。
もう一点、近隣の事業所などとの共同運営等の可能性というものも考えていらっしゃるのかというところをお聞きしたいと思います。
〇山崎総務事務センター所長 まず、病児保育についてでございますけれども、ニーズ調査の中では特に項目を設けておらず、特に記述等はなかったところですが、病児保育につきましては、子供が病気になった際にも利用できることから、職員が仕事と家庭の両立を図る上で大きなメリットがあるものと考えているところでございます。
一方、病児保育所を併設するような形になりますと、施設の要件ですとか人的な要件が出てまいるところでございます。今後、これらのことを踏まえまして、庁内保育施設を設置するとした場合の具体案を検討する中で、来年度設置予定の組織で検討してまいりたいと考えているところでございます。
それから、近隣の事業所との共同運営等の可能性ということでございますけれども、昨年10月に職員ニーズ調査を実施した際に、県庁舎内に店舗を有する法人等に対しまして、共同設置等について御意見を伺いました。その結果、方向性については前向きな回答をいただいた法人もあったところでございます。
今後におきましては、庁内保育施設を設置するとした場合の具体案を作成する中で、他の先進県等の例も参考にしながら、近隣の事業所との共同運営等についても検討してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私がいただいた職員ニーズ調査結果では、庁内保育施設が必要だと思うかという問いに対する回答の(3)のわからないといった中に、庁内に設置するならば病児保育所のほうが助かるという御意見もある調査の内容も拝見しておりました。
病児保育を併設するのは、確かに施設等の関係もありますので、本当の病児に関しては大変なのかなというのは私もわかりますけれども、体調不良児対応型というような病児保育のやり方もございますので、職員の皆さんの中にも、子供が病気になったときに電話が来てすぐに対応するというのではなくて、仕事の区切りがつくまで、看護師がいれば、その保育所の隔離された部屋の中で子供を待機させることもできますので、そういった多様な保育ニーズを補完するようなものもぜひ検討に入れていただきたいと思います。
県内の保育環境というか、保育所等が抱える課題として、保育士の確保とか、病児保育をするとなると看護師の確保などという問題に直面することもあるかと思うんですけれども、このような施設を設置することによって、そういった課題を克服するノウハウを県庁内に蓄積するといった側面もあると私は考えますので、ぜひ、そういった部分についても積極的に取り組んでいってほしいと思いますので、部長の所見をお願いいたします。
〇風早総務部長 今、所長から御答弁申し上げましたとおり、職員が仕事と家庭の両立を図る上でどういった取り組みができるかという観点が、我々が庁内保育施設設置に向けた取り組みを進めていく上での基本的な考え方の一つになろうと思います。
病児保育所についても、委員御指摘のとおり、観察室、安静室等の施設整備ですとか、看護師等の常駐要件もございますが、いずれにしましても、来年度、さらに一段上の検討組織で、具体的な案の検討の中で、この点についても含めて検討してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 副部長級の皆さんのワーキンググループで検討するということで、その中に女性が何名含まれているのだろうかという不安な面もありますが、実際には男女ともにそれぞれの御意見があると思いますので、ぜひ、そういった部分も酌みながら進めていっていただければと思います。
次に、職員研修費の中で、女性職員のさらなる活躍支援のための取り組みについて、平成28年度の状況と、平成29年度に特に取り組む内容等がございましたら、御説明をお願いします。
〇佐藤人事課総括課長 女性職員の活躍支援のための研修についてでございますけれども、女性職員向け研修は、職位等によって異なる女性職員のニーズを踏まえて実施しているところでございます。
管理監督者向けには、今年度から担当課長級以上を対象に女性管理監督者向けマネジメント力向上研修を実施いたしました。他の自治体の女性幹部職員においでいただきまして、体験談の紹介等を通じた女性管理者が備えるべき心構え、あるいは女性であることの強みを生かしたマネジメントについての理解を深める内容になってございます。
また、中堅職員向け研修は、主査から主任主査級を対象に女性職員リーダー研修を実施し、近い将来、女性リーダーとして活躍するという自覚を促し、若手女性職員のロールモデルとなるべく、自身の目指すべきリーダー像を描く内容としてございます。
さらに、若手職員向け研修は、一般級から主任級を対象に、女性職員キャリアデザイン研修を実施してございます。この世代は育児休業から職場復帰する職員も多いことから、仕事と家庭の両立を初めといたしまして、日ごろ抱える悩みについて受講者同士で共有いたしまして互いに助言を行うほか、先輩職員との意見交換などを通じまして、課題の解決につなげる内容としてございます。
女性管理監督者向けマネジメント力向上研修は平成28年度から、その他の研修は平成27年度から実施しているものですが、平成29年度につきましては、実施から3年目となる研修につきまして、これまでの取り組みに係る検証等を行いまして、平成30年度に向けた見直しをすることにしてございます。
〇ハクセル美穂子委員 ダイバーシティマネジメント研修というのはやっていらっしゃらないのでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 ダイバーシティマネジメント研修も実施しており、私も実際に研修を受講しております。
女性職員を初めとした多様性に対応するという研修になっており、アンケート結果によると、女性に対する対応の仕方や見方、考え方といったものが理解できたとか、部下の個別タイプに沿った指導方法について理解を深めることができたというような意見もありましたので、これは来年度も引き続き実施する予定にしてございます。
〇ハクセル美穂子委員 女性職員リーダー研修の受講者は、40名程度を年2回で80名程度であり、ダイバーシティマネジメント研修の受講者は年に1回、40名程度であるが、女性職員リーダー研修の対象人数は380名であり、実際の受講者が80名程度ということは、4年に1回ぐらいこの研修を受けるというような状況であって、特にもダイバーシティマネジメント研修に関しましては、対象者である総括課長級の職員というのが490名いらっしゃって、そのうちの約40名が年に1回この研修を受けるということは、10年に1回ぐらいの受講ということになり、ちょっと回数が少ないのかなということを感じております。
特に総括課長級の職員の皆さんに関しましては、新採用研修とか中堅研修を受講した頃には、こういった働き方改革という動きがない時代でもありますので、新しい動きに合わせて、こういった男女を問わず職員の多様な個性を理解しながらマネジメントする能力というのは、生産性の向上という部分にも寄与する部分でもございますので、この部分については、ぜひ回数をもうちょっとふやして、たくさんの対象者の方が研修できるような形にしていただきたいと思うんですが、その点について、もう一度お伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 女性職員リーダー研修、ダイバーシティマネジメント研修は、どちらも研修講師を外部に委託しているところでございます。
いろいろな研修があり、研修費にかける予算というものも限りがございますので、優先度等を考えながら、講師の選定、どの研修に力を入れていくかというのを検討していかなければならないと考えております。
対象者に対しまして、開催回数が少ないのではないかという御指摘をいただきましたので、どういう対応ができるか、今後の検討課題にしていきたいと思います。
ただ、これらの多様性の理解とか女性のリーダー研修の関係は、特別にこの研修を受けなければそれが身につかないということではなくて、既存の階層別研修の中でも、多様性への対応とか、そういったこまを設けながら、多くの職員にこの内容を理解してもらえるような研修の体系に組み立てていきたいと考えてございます。
〇ハクセル美穂子委員 答弁のとおりではありますけれども、いわて県民計画のアクションプランの中で、男性職員の育児休業等取得率というのがなかなか上がらないような状況になっています。平成30年度に100%にするということで、平成26年度の現状値は93.8%で、見込み値が93.6%ということで、若干下がってきている。やはり男性も育児休業を、気楽と言ってはいけないけれども、とりたいときにとれるような環境であることというのは、上司の皆さんの考え方にすごく左右される部分でもございますし、それは、民間ベースで働き方改革をやっていらっしゃる会社でも、やはりトップが改革をして、そこからどんどん波及効果が広がっていっているという事例もたくさんございます。ダイバーシティマネジメント研修というのは非常に重要な研修ではないかと思っておりますので、外部委託するということですが、違うやり方で、ぜひこういった部分についての研修を進めていただきたいと思いますが、最後に部長の御所見をお願いします。
〇風早総務部長 職員の働き方改革、また、女性を初めとするさまざまなダイバーシティーの考え方は、非常に重要な考え方でございます。さまざまな研修ももちろんですし、職場の雰囲気づくりについても、今、御指摘のとおり、お子さんが生まれるんだったらとらなくていいのというような、そんな声がけができるような雰囲気づくりも非常に重要なことかと思います。さまざまな面から、そういった取り組みを進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、まず、放射線被害対策について伺いたいと思います。
総務部では、東日本大震災津波以来、放射線影響対策課長を配置し、環境生活部あるいは農林水産部と部局をまたがる業務を総括的に総務部で取り組んでいただいていると認識しております。
そういった中で、総務部所管の放射線影響対策費も、平成28年度当初予算で2、800万円だったのが、平成29年度当初予算案では2、500万円と減少傾向となっていると思います。
東日本大震災津波から6年たちますけれども、県は今、放射線被害について、現状としてどのような課題が残っているとお考えになっているのか伺いたいと思います。
また、この3月に第3期復興実施計画-単独の復興計画の最終期間となりますけれども-が発表されますが、きのうの総括質疑でも、復興全体の3期、終わりの青写真を見せるべきだという話をさせていただきました。この放射線被害についても、復興実施計画の第3期までにどこまでめどを立てていくのかということを県民に示すべきだと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇松本放射線影響対策課長 放射線影響対策についてでありますが、県では、これまで、市町村と連携しながら、県内各地の放射線量の低減、監視体制の強化などに取り組んできたところでありまして、原発事故からおよそ6年が経過した現在におきましては、県内の放射線量は減衰傾向にございます。
また、汚染状況重点調査地域に指定されました県南3市町のうち、奥州市と平泉町については平成25年度末までに除染実施計画に基づく除染がおおむね終了しておりまして、一関市においても今年度末で終了するものと伺っております。しかしながら、放射性物質に汚染された農林業系副産物あるいは道路側溝汚泥の処理等につきましては、現時点では平成30年度末における目途を示すことは難しい状況にございます。
県としては、引き続き、放射線量等の測定や県産食材等の検査を実施するとともに、放射性物質に汚染された廃棄物の処理などに関する市町村の取り組みを支援いたしまして、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 今お話があったとおり、放射性廃棄物については、平成30年度末におけるめどが示せないというところであります。県民の皆さんが安心できるまで支援を続けていただきたいということと同時に、目標を示せないというのはどうかと思うところであります。
復興実施計画の1次案のときにも放射線の関係の記述が少ないということもありました。ぜひ、この件については、県も市町村とともに当事者意識を持って、目標を決められるように進めていただきたいと私は思います。そうすれば、もっと県が前面に出ていって市町村とともに解決に向けて頑張っていただけると思いますので、この点は期待しますので、ぜひともお願いしたいと思います。
今、農林業の再生という話もございました。また、里山の再生というものも大事なところでありまして、それを果たすためには、損害賠償が資金的な前提となりますから、これがきちんと受けられる環境を整備していかなければならないと思っております。県でもいろいろな補助金をつけていただいておりますが、返還しなければいけないものが多くて、その原資となる損害賠償請求というのはしっかり進めなければいけないと思っております。
そういった中で、県は、農林業でありますとか里山の再生といったものについての民間賠償に対して、どのようなかかわりを持っていくのか伺いたいと思います。
〇松本放射線影響対策課長 農林業の損害賠償についてでありますが、JA岩手県中央会、県森林組合連合会がそれぞれ損害賠償対策県協議会を設立いたしまして、それぞれ東京電力に対して組織的に賠償請求を実施しております。県としては、JAグループ等による組織的な損害賠償請求に対する支援や、東京電力に対して、実態に即した十分な賠償を速やかに行うよう申し入れを行ってきたところであります。
また、国に対して、民間事業者の出荷制限等による直接的な被害に加えまして、生産、販売の回復や風評被害による消費者の信頼回復への対応など、事業継続のために必要な全ての損害について、実態に即した十分な賠償を速やかに行うよう東京電力を指導するなど、必要な措置を講ずるよう要望してきたところです。
今後も、市町村や関係機関と連携しながら、こうした取り組みを継続してまいります。
〇佐々木朋和委員 今、そういったグループに所属している皆さんの賠償というところはそれぞれで進めているわけでありますけれども、現場では、東日本大震災津波から6年が過ぎて、個人で賠償の交渉を続けている皆さん方もいらっしゃいます。そういったものに対して、民間には県はなかなか立ち入らないというところがあると思うんですけれども、そこは、先ほど申し上げた当事者意識ということで、県がいつまでにこれを解決していこうという思いがあれば、それにも積極的に動いていくのではないかと私は思うわけであります。そういった意味でも、しっかりと被災者に寄り添った対応をしていただきたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次に、消防団の確保対策について伺いたいと思います。
総務省の発表によりますと、かつては全国で200万人以上いた団員は、2016年に85万6、278人にまで減少しているということで、高齢化も進んでおりまして、各地の自治体ではさまざまな確保対策が進んでおります。
本県においても、平成28年4月1日時点で2万2、162人の消防団の皆さんがいらっしゃるとお聞きしておりまして、近年、微減の傾向にあると認識しております。
来年度、県は消防団員増加または確保のためにどのような取り組みを行っていくのか、また、現在、消防庁も学生の勧誘に力を入れており、全国では、学生の団員数は2006年の1、234人から2016年は3、255人に増加したとお聞きしております。
そして、他県では、消防団員になるためには働いている企業の理解が重要だということで、企業の協力を促す取り組みとして、岐阜県とか静岡県、長野県では、従業員の一定の割合を団員が占める事業所に事業税の控除を行うなどの取り組みも行っているとお聞きしております。学生、企業への取り組みもあわせてお伺いしたいと思います。
〇山田防災消防課長 消防団員の確保対策についてでありますが、平成29年度におきましては、今年度から継続して行います男女共同参画フェスティバルでの分科会の開催に加えまして、新規事業として、仮称ですが、消防団応援の店の登録を推進し、消防団員を対象に店舗や事業所が特典、割引等のサービスを提供する制度を普及させたいと考えております。
それから、学生の加入促進策としましては、就職活動時に消防団の活動が積極的に評価されるよう、現在、三つの市で導入されております学生消防団活動認証制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
さらに、企業の協力を促す取り組みといたしまして、消防団活動に協力している事業所を顕彰する消防団協力事業所表示制度の拡大を促進するほか、県営建設工事入札参加審査におきます消防団員を雇用している事業所への加点など、企業の社会貢献活動として雇用者の消防団加入を促す取り組みが一層展開されるよう、市町村や関係団体と連携しながら取り組みを進めてまいります。
〇佐々木朋和委員 今、御説明をいただきました取り組みを行っていただいているということでありますけれども、事前に事業の資料もいただいておりました。新規事業である消防団応援の店の事業費が198万4、000円、若者、女性の消防団加入促進事業については、フェスティバルでの周知に20万6、000円ということで、先ほど他県の例も述べさせていただきましたけれども、事業費としてはちょっと寂しいところがあるのではないかと思っているところであります。
県の厳しい財政状況ではありますけれども、消防団員の確保対策というのは、ふるさと振興総合戦略の中にも重要業績評価指標-KPIとして載せているところでありまして、この数を維持していかなければ達成できないというところもあると思います。
そういった中で、私は、報酬と出動手当の見直しなども含めて、もう少し予算をとっていくような取り組みといったことが部内では話し合われていないのか、どういった検討結果に至ってこの事業規模になったのかというところをもう一回御質問させていただきたいと思います。
〇山田防災消防課長 この事業の予算規模のお話でございますが、冒頭、委員からも御紹介があったように、消防団員の確保対策というのは国を挙げての大きな課題ということで、国、都道府県、または現場といいますか、消防団員を直接抱える市町村の三者が強く連携し、また、消防協会でありますとか関係団体との連携というのは非常に重要ということでございます。
先ほど御紹介した平成29年度事業のうち、消防団応援の店につきましては、消防庁のモデル事業を活用してやるということで、現在調整を進めているものでございます。
予算規模というところでは確かに大きくないかもしれませんけれども、関係者でそれぞれ知恵、工夫を凝らしながら、何とか加入促進を図ってまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 国、県、市町村とそれぞれ連携して行っていくということでございましたけれども、本県の消防団員の数の微減というところでは、大きな斜めの下り坂のラインにはなっていないところではありますけれども、我々も、地域にいて、高齢化というのはかなり感じているところであります。そういった中で、今のうちにしっかりと予算をかけて確保策をやっていかなければ、今後厳しい状況になっていくのではないかと感じているところでありまして、そういった意味で、先ほど紹介させていただいた例では、市町村ではなくて、県も税額控除に乗り出して事業を行っているわけでありますから、しっかりと消防団の皆さんの意見も聞きながら、消防協会の意見も聞きながら、県としてもできる限りの対策をしていただきたいというところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、ふるさと岩手応援寄付についてお伺いしたいと思います。
今、報道等でもいろいろ返礼品の過大さについて議論もされているところでありますけれども、先日の総括質疑でも質問させていただきましたが、まず、県は、ふるさと岩手応援寄付をふるさと振興施策としてどのように位置づけているのか、改めてお伺いしたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 ふるさと岩手応援寄付についてでございますけれども、平成28年11月に行いました寄附項目の見直しにおきましては、それまでのいわての学び希望基金あるいは東日本大震災津波からの災害復旧等対策といった項目に加えまして、三陸沿岸振興ですとか国際リニアコライダーの実現など、より具体的な事業を項目として追加したところでございます。また、分野別におきましても、魅力あるふるさとづくりなど、県のふるさと振興総合戦略から選定したところでございます。
県といたしましては、生まれ故郷などの応援したい地域を寄附により応援するというふるさと納税制度の趣旨を踏まえまして、より一層、県の施策あるいは事業への理解とさらなる支援拡大を図りまして、いただいた寄附金につきまして、これらの施策、事業に有効に活用していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 私が申し上げたいのは、ふるさと岩手応援寄付はいろいろな議論がありますけれども、制度がある以上は、ぜひ活用してふるさと振興につなげていただきたいというところであります。
やはり二つ側面があると思いまして、まず、県外の皆さんへのつながりづくりというところでありまして、岩手を応援していただきたい方とこれを契機につながって、ぜひともいろいろな地域に来ていただいたり、実際に足を運んでいただいたり、商品を買っていただいたりということにつなげていただきたい。
もう一つは、人口減少の中の税収アップに向けて、ぜひとも取り組んでいただきたいということであります。
事前にいただいた資料でありますと、岩手県民もふるさと納税をほかの県にやって1億2、000万円ぐらい控除ということで、県民税が外にも流れているというような状況もありますので、ぜひとも、それに見合ったふるさと岩手応援寄付が来るように頑張っていただきたいというところであります。
そういったこれまでの議論の中で、ふるさと岩手応援寄付に対する返礼品を4月から設けていただけるということで、大変期待しているところでありますし、御努力に敬意を表したいと思いますけれども、県としては、返礼品にどの程度の費用をかけて行っていくのか、今の時点で答えられる範囲で、どういったものを返礼品として想定しているのか伺いたいと思います。
〇小畑税務課総括課長 ふるさと岩手応援寄付に係る返礼品についてでございますけれども、昨年11月の寄附項目の見直しを踏まえまして、さらなる支援の拡大と、寄附をいただいた方々に対する謝意をより明確にするために、寄附項目に関連した品物を返礼品としてお送りしようというものでございます。その所要の経費として778万2、000円を当初予算案に計上させていただいているところでございます。
これまで、本県におきましては、ふるさと納税制度の趣旨を踏まえまして、できるだけ多くの寄附金を寄附者の意向に沿った事業に活用しているところでございまして、今回の返礼品につきましても、県の施策、事業への理解醸成と支援に対する謝意を基本といたしまして、過度にならない範囲内で選定したものでございまして、予算額も基本的に必要最小限で積算しているところでございます。
具体的な品目というお話がございましたけれども、現在、関係部局と最終的な調整をさせていただいているところでございますけれども、返礼品の選定の具体的な品目につきましては、例えば、三陸鉄道への支援などに無料乗車券つきのファンクラブ会員証ですとかオーナー証、あるいは運転士体験といったもの、国際リニアコライダーの誘致の寄附に関しましては、ILCの候補地等をめぐるようなもの、そのほか、三陸地域のNPOですとか福祉施設等で製作された工芸品といったものを選定できないかということで取り上げて、最終的には、その調達方法ですとか送付方法などを、現在、関係部局等と調整しているところでございます。
〇阿部盛重委員 先ほど、佐々木朋和委員のほうから消防団員の確保対応の質疑がございましたけれども、私は、女性消防士の増員、担い手対策についてお伺いいたします。
消防士、警察官、自衛隊のデータから見ますと、警察官全体の女性警察官は8.5%という実績で、自衛官全体の女性自衛官は全体で5.9%、消防士全体の女性消防士は2.5%という低い実績になっております。総務省消防庁は2026年の4月までに女性消防士を5%まで上げる目標を設定しておりまして、全国の消防本部に採用増を求めております。その一環として、消防庁は、就職等を控えた学生に興味を持ってもらうために、全国の大学とか高校、専門学校等に、小冊子を作成して送っているという状況でございます。
本県の消防士の定員が2、064人で、現在1、986人、うち女性が33人、データ的には1.66%ということで、余りにも低い実績であり、県として、これまで、女性消防士増員対策はどのようにされてきたのかお伺いいたします。
〇山田防災消防課長 女性消防士の増員対策というお尋ねでございます。
今、委員のほうからも御紹介がありましたように、本県の女性消防士は平成28年4月現在で33名ということで、消防士全体に占める割合は1.7%ほどになるかと思います。これは年々増加傾向にはありますけれども、県内12消防本部の中で四つの消防本部ではまだ女性消防士がおらないという状況でございます。
先月には、県内の消防関係者に出席いただきまして、女性消防職団員の活躍推進に向けた意見交換会を開催してございます。その中では、消防は男性の職場というイメージがまだ非常に強いということ、あるいは育児休業期間等における交代要員の確保などが女性の採用拡大に向けた課題としてあるというお話がございました。
県といたしましては、先ほど佐々木朋和委員からもお話があった、消防庁が開催している女子学生を対象とした全国での説明会などを引き続き活用いたしまして、受験者増に向けた広報を行い、各消防本部には計画的な採用を働きかけまして、女性消防士の採用増につなげていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 確かにそのとおりだと思います。日本で初めて女性消防士が誕生したのが1969年ですけれども、特に1999年の男女雇用機会均等法の改正によりまして、どこの自治体でも女性消防士の数が徐々に増加傾向でもあるようでございます。確かに、消防士は、今お話しいただいたとおり、消防隊、救助隊、救急隊という強靭な体力が必要な職業でもありますけれども、女性隊員の存在価値を認められる場合も数多くあると聞きます。
例えば、現場で処置をされる側の方が女性の場合、男性隊員に聴診器を当てられるのに抵抗がある方もいらっしゃる、また、症状の原因が男性隊員には言いづらいことがあった場合、女性隊員が対応するだけで安心感が違ってくるということもお聞きします。そういう気配りができるのは女性隊員ならではの強みと思います。
そういう点も十分に考慮し、女性の採用枠を今後大幅に広げるお考えがあるのかと、そしてまた、半年間の研修のため基本的には消防学校に入校しなければなりませんけれども、女性専用の部屋が十分に確保されているのか、この2点をお伺いいたします。
〇山田防災消防課長 まず、女性消防士の採用枠のお話でしたが、消防士の場合、警察官とは異なりまして、男女の区別なく同一の試験での採用ということで、県内各消防本部での採用試験ということでございますが、女性枠ということは今はない状況でございますし、逆に、そういう競争をくぐり抜けてきたということで、現在いる女性消防士はそれぞれ意識も非常に高く、そういう活動にも他の職員の模範となるような活動をされているとお聞きしております。
消防学校の宿舎に関しましては、女性用の宿舎を用意してございます。これについては、平成12年の当初の採用のころはなかったんですけれども、現在は特に宿舎に関しては問題なく確保して対応しているということでございます。
〇阿部盛重委員 いずれにしても、大規模化する災害に的確に対応するためにも、これまで以上に自助、共助、公助が一体となり地域防災力を発揮することが必要であると思います。地域社会では女性が半分を占めておりますので、公助を担う消防において、より多くの女性が参画、活躍することで消防防災体制の公助につながりますので、よろしくお願いいたします。
次に、総務省消防庁は一つの救急隊を構成する救急隊員数を3人以上と定めておりますけれども、過疎地で必要な救急隊員を常に配置できないケースもあることから、2人の救急隊員と1人の准救急隊員による編成を認める方針で、4月に施行されるということです。県として、人員配置対応と今後の取り組みについてのお考えをお聞きいたします。
〇山田防災消防課長 過疎地での救急体制のお話でございます。今お話がありましたように、消防庁では、近年の人口減少でありますとか自治体の財政状況等の課題があるということで、平日の夜間に救急隊を配置できないような空白地域の解消、あるいは今後の発生の予防ということで、今御紹介がありました准救急隊員の制度を創設いたしまして、4月からの施行ということで伺っております。
現行では、救急隊員3名で一つの救急隊のところを、隊員2名と准救急隊員1名の3人で編成ができるという内容でございます。
本県におきましては、各消防本部の状況を伺いますと、現在、24時間の救急体制を全て実施されておりまして、現時点では、准救急隊員の制度の導入を検討する状況にはない、課題とはなっていないと聞いておりますけれども、引き続き現状把握に努めますとともに、過疎地域での救急体制の維持ということに取り組んでまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 いずれ、想定されない緊急事態ということも考えておかなければいけませんので、市町村の職員、消防団員にも講習を受けていただきながら、准救急隊員として出動していただくことが即できるような体制もつくられてはいかがかと思っておりますので、その点をよろしくお願いしたいと思います。ぜひ実行されることをお願いして、終わります。
〇斉藤信委員 最初に、来年度予算における復興事業費についてお聞きいたします。
来年度予算の9、797億円のうち、震災復興分は3、043億円余で構成比31%でありますが、今年度の繰越額を入れますと1、538億円、合わせると約4、600億円ということになります。
災害廃棄物の事業費を除いて、この間の推移を示していただきたい。
〇小原財政課総括課長 一般会計当初予算の震災対応分に繰越分も含めての数字で、前年度からの明許繰越の実繰越額の合算で、その推移を平成24年度から申し上げたいと思います。
平成24年度は5、937億円余、平成25年度は4、687億円余、平成26年度は5、311億円余、平成27年度は5、726億円余、平成28年度は5、531億円余、平成29年度につきましては、当初予算案と平成28年度2月補正後の繰越明許費の予算額のベースでございますが、4、610億円余となってございます。
〇斉藤信委員 復興事業費のこの間の推移を見ると5、500億円前後で推移して、下がったとはいえ、来年度の事業費は4、610億円で、まだまだピークの状態が続いているということになるのではないかと思いますが、今後の見通しというのはわかりますか。
〇小原財政課総括課長 今後の見通しを細かくお示しすることはなかなかできませんけれども、事業を執行していけば、徐々に減っていくものと考えてございます。
〇斉藤信委員 徐々に減っていくのは自然の成り行きで、岩手県の計画は平成30年度、そして国は平成32年度までということですから、これからかなり事業費は減っていくと思いますけれども、ただ、被害の大きい市町村を見ると、来年度予算も、陸前高田市だとか、大槌町だとか、山田町だとかは今年度よりふえているんです。だから、全県的な進行状況をよく見ていくことが必要なのではないかと思います。
次に、台風第10号豪雨災害の検証と対策についてお聞きしますが、この間、岩手県が三つの分科会を設置して、提言もまとめました。私は、これは大変よかったと思います。各分科会の資料もいただいて、目を通しましたけれども、遅きに失したという感はあるけれども、この間のそれぞれの分野での災害対策はどうだったのかという、私は、かなり重要な検証になったのではないかと。
そこで、特に総合防災室にかかわって、新規で取り組むべき課題、この点について示していただきたい。
〇石川総合防災室長 報告書でございますが、県全体で取り組まなければいけないものとして、一つには、今回、内陸地域に加えまして沿岸地域、県北地域においても、国、県、市町村による減災協議会を立ち上げまして、水位計の設置、水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定を推進すること、市町村と要配慮者利用施設間の情報伝達体制を整備するとともに、施設における非常災害対策計画の策定や地域と連携した避難訓練を実施すること、台風など事前に災害の発生が予想される場合には、早期に市町村の組織全体を挙げた体制に移行していただくこと、県としては、気象台や河川管理者などとともに風水害対策支援チーム(仮称)を設けまして、市町村長が避難勧告等の発令を判断する上で参考となる助言をしていくことを進めていきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 今の答弁で、特に市町村のレベルでは、全庁を挙げた防災体制の構築、台風等に備えた早目の体制の切りかえというのが提起されて、岩泉町の取り組みを見ると、人数の少ないところで、そもそも防災担当者が数人しかいない。私も詳しく聞いてきましたけれども、町内各地で被害が出て、その報告だけでパンクしてしまうという状況であったため、災害が予想されるときには、全庁を挙げた早い体制をつくっていく、そのための訓練も必要だと私は思っています。これを進める上でどういう支援を県は行うのか。
もう一つは、風水害対策支援チームというのが提起されました。風水害対策支援チームは、国、県、専門家で設置するとのことですが、ただ、災害が予測されるときに、例えば気象台にしても、国道の管理者にしても、それぞれの分野での対応がシビアに問われるときに、県庁にそういう人たちが集まるのか、テレビ電話会議になるのか、そういうことが本当に機能的になるのか、そこらの検討はどうされたのか示していただきたい。
〇石川総合防災室長 今回の報告書にも取りまとめましたとおり、市町村で全庁的な体制が必要だということでございます。これは、事前に市町村にも御意見を聞きましたけれども、ぜひそういう体制が必要だということで御回答いただいていますが、実際には新年度になった段階で、各市町村を回りながら、どういう形が一番いいのか、それぞれの市町村によって状況が違うと思いますので、御相談してまいりたいと考えてございます。
それから、風水害対策支援チームにつきましても、気象台とか河川管理者、あるいは県の関係課等々に集まっていただき、今、どういった体制が一番いいのかということを協議しております。メンバーとなっているトップの方はそれぞれの組織で指揮しなければいけないわけですが、災害対策本部が設置されますと、次のポストの方々が集合することになり、そういったレベルの高い知見を持った方々にお集まりいただいてやるというところまでは、ある程度合意ができているものと考えてございます。
〇斉藤信委員 風水害対策支援チームというのは画期的だと私は思うけれども、この方針を見ると、災害時だけではなくて平常時も風水害対策支援チームで研修も進めるということで、日常的とまで言わないけれども、恒常的に絶えず連絡をとり合うというか、いろいろな取り組みを進めるチームになるのかと思いますが、その点を改めてお聞きします。
もう一つ、私は、9月定例会の決算特別委員会のときにも聞いたんだけれども、自主防災組織等による地域の災害リスクの把握、いわば地域で災害対策をしていったときに、地域の災害リスクが自覚されるということが大前提なんです。例えば北上川流域でいけば洪水ですから、私が紹介した先駆的なところは、自分たちで北上川の水位を把握して、どこまで行ったら住民にどういう指示を出すかということをやっていました。
そういう点でいくと、それぞれの地域の災害リスクについて、これは市町村ももちろん直接かかわるのだけれども、どういう形で地域に、特に自主防災組織に伝えて、それに対応する避難計画なり災害対応なりを進めることが必要なのではないかと思いますけれども、その点での取り組みはどうでしょうか。
〇石川総合防災室長 一つ目の御質問でございます風水害対策支援チームにつきましては、委員御発言のとおりでございまして、先ほど申し上げました気象台、河川管理者、県の担当課、専門家の皆さんをメンバーとしていますが、災害時だけではなくて、ふだんから会う機会を設けまして意見交換をするということが大事でありそのチームでもって市町村を回りながら防災対策を進めていくことが必要ですので、しっかり進めてまいりたいと考えてございます。
二つ目の地域リスクの把握でございますが、これも防災会議幹事会議で取りまとめました報告書にも記載しておりますが、地域の災害リスクは、各地域によってさまざまでございますので、自分たちで見て回るということが大事だということでございます。特に中心になってまいりますのが自治会ですとか自主防災組織という方々が、自分たちの地域を自分たちで回って災害リスクを把握し、それを例えば地図に落としていくといった作業が必要になってきます。
先進事例としては、そういう避難、災害マップみたいなものをつくっている例などもお示ししながら、自主防災組織あるいは自治会等でそういった取り組みがなされるよう、市町村と一緒に取り組んでいきたいと考えております。
具体的には、自主防災組織につきましては、リーダー研修会等を通して自主防災組織や市町村職員の方々のレベルアップを図ってまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 災害対策では、一番決定的なのは避難対策なんです。それで、要支援者名簿というものが自治体でもつくられているんだけれども、要支援者名簿が自治体でつくられても、自主防災組織にそれが伝わっていなければ、具体的な対策がとれないんです。県内の自治体でも、個人情報保護の制約があるけれども、自主防災組織に基本的には伝えるというところがあります。しかし、そこをまだ決めていないところもあります。そうすると、これは本当に地域の現場で対応できない。その状況をどう把握しているか。そして、個人情報という壁を災害のときにどう突破していくのか、その対策はどう考えていますか。
〇石川総合防災室長 避難をする際に支援を要する方々の避難につきましては、まず、避難行動要支援者名簿の作成が必要になってまいります。避難行動要支援者名簿につきましては、昨年4月現在でございますが、27市町村で作成済み、残り6市町村についても今年度中に作成予定となってございます。
また、作成済みの27市町村のうち、19市町村が自主防災組織や民生委員などに既に名簿情報を提供してございます。残り8市町村は提供してございません。提供していない市町村に確認しましたところ、二つの市町村は今年度中に、三つの市町村は来年度に提供する予定と聞いてございます。残る3市町村につきましては、本人同意を得られていない、関係規定を整備中といったような理由で、提供時期は検討中と伺ってございます。
先ほど委員からもお話がありましたように、要支援者の避難につきましては、市町村や消防機関に加えまして地域住民の協力も必要でありますことから、県としては、これらの市町村に対して名簿を提供するよう働きかけるとともに、県、市町村が行う防災訓練などにおいて、要支援者の避難訓練にも取り組むよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 次に、入札の問題についてお聞きいたします。
この間の平均落札率はどう推移しているか。入札不調、1者入札の状況を示してください。
〇稲葉入札課長 入札の状況についてでございますが、復興事業に係るもので申し上げますと、平均落札率は、平成26年度は93%、平成27年度が90.1%、今年度は12月末時点で90%でございまして、昨年同期と同程度となっております。
また、入札不調につきましては、通常事業と復興事業の全体を含む数値でございますが、平成26年度が21%、平成27年度が9%、今年度も12月末時点で9%となっております。
1者入札につきましては、これも全体分でございますが、平成26年度が293件ございます。平成27年度が121件、今年度は12月末時点で155件となっております。
〇斉藤信委員 入札率は90%ということで私は、この間、議案に対する質疑では80%台になっていたので、基本的にはかなり競争が確保できるようになったのかなと。
ただ、今聞くと、入札不調がまだ10%近くあるし、これは復興事業だから認められているので、そういう1者入札の状況が12月末現在では155件あり、ここに復興事業の厳しさというものと、入札した後、倍々ゲームになるという危険性もここにあるのではないかと思いますが、今後、入札の問題で、改善策といいますか、方向性をどう検討していますか。
〇稲葉入札課長 入札状況につきましては、毎月、統計をとりながら追跡しております。
今後考えられるところでは、台風第10号の災害復旧工事が本格化してまいりますし、同時期に県事業、市町村事業と重なって発注されますので、引き続き入札状況を注視して、入札不調とならないようにしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 岩泉町の台風被害などでは業者不足で、もちろん土木職員の専門家の不足もあって、いわば災害復旧というのは3年以内なので、そういう点でいくと、専門家も配置するし、近隣の業者の応援というものも、入札は直接はかかわらないかもしれないけれども、考慮していただきたい。
次に、県職員の長時間労働の是正の問題についてお聞きいたします。
平成27年度は80時間以上が431人という異常な事態でありました。平成28年度、これまでに80時間、100時間を超える超過勤務の実態はどうなっているでしょうか。
〇佐藤人事課総括課長 今年度、月80時間、100時間を超える超過勤務の実態についてでございますけれども、平成28年4月から平成29年1月までの間、知事部局におきまして月80時間を超える超過勤務を行った職員は延べ648人、100時間を超える超過勤務を行った職員は延べ309人となってございます。平成27年度と比較いたしまして、80時間を超える超過勤務を行った職員は217人、月100時間を超える超過勤務を行った職員は156人、それぞれ増加しております。
〇斉藤信委員 異常な事態じゃないですか、これは。私は本当にびっくりして今の答弁を聞いたけれども、80時間というのは過労死ライン、100時間というのは何が起きてもおかしくない。9月定例会の決算特別委員会のときに、私はこのことを指摘して改善を求めたけれども、改善されるどころか悪化しており、極めて重大です。
 そこで、厚生労働省が1月20日に長時間労働是正、サービス残業根絶の新しい通達を出しました。これをどう受けとめ、県としてどういうふうに取り組もうとしているのか示してください。
〇佐藤人事課総括課長 厚生労働省の新たな通達の内容と県としての受けとめということでございますけれども、新たなガイドラインの中では、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置について、使用者みずからが現認するか、タイムカード等の客観的な記録を基礎として確認することを原則としつつ、自己申告制で労働時間を把握する場合には、自己申告を行う労働者、それから労働時間を管理する者に対して十分な説明を行うこと、それから、自己申告により把握した労働時間について必要に応じて実態調査を行うこと、使用者は労働者の労働時間の適正な申告を阻害する措置は講じないことということが定められてございます。
県におきましては、従前から自己申告をもとに労働時間の把握を行っているところでございますけれども、引き続きその適正な運用を図るため、各所属長につきましては、超過勤務の必要性を管理監督者が判断すること、事前命令、事後確認を徹底するなどの超過勤務の原則について改めて趣旨の徹底を図りながら適正な勤務時間の把握に努めてまいりたいと思ってございます。
〇斉藤信委員 先ほど答弁によれば、80時間、100時間の職員が本当に激増したと言ってもいいですね。なぜこんなにふえたのか、これをどう是正しようとしているか。
そしてもう一つは、今度の通達では労働時間の考え方というのがあって、いわば仕事をする準備も労働時間ですと。仕事が終わった後始末も労働時間ですと、かなり厳しい仕事の中身も示して、そして基本的には客観的に労働時間を把握するんです。やむを得ない場合に自己申告なんです。
全国、既に埼玉、東京、大阪、奈良、鳥取はICカードでやっています。沖縄はICカードとパソコンでチェックをしています。客観的にこういう形で管理をすべきではないのか。できない理由はないのではないかと思いますけれども、これを聞いて終わります。
〇佐藤人事課総括課長 今年度、超過勤務時間がふえた事情でございますけれども、復興業務の本格化に加えまして、台風第10号災害への対応が非常に大きかったと思っております。そのほか、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の準備業務がありまして、例年より職員の業務量が増加しているという状況でございます。
あと、タイムレコーダーの関係ですけれども、本県におきましては、タイムレコーダー等に記録された出退勤時間が、例えば食事のための外出、それから超過勤務終了後の交通機関の待ち時間であるとか、あるいは自己啓発のために残っているといったこともあって職員の退勤時間が必ずしも一致しないこともありますので、最終的には本人の自己申告をもとに確認せざるを得ないということで自己申告制としております。
自己申告制につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、労働者や労働時間を管理する者に対する十分な説明、労働時間の実態把握、それから労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で上限を設定するなどの措置を講じないことが求められますことから、適正な運用を図りつつ、各所属長にその旨、徹底して適正な勤務時間の管理に努めているところでございます。
委員から御指摘いただきましたタイムカードによる勤務時間の管理ですけれども、47都道府県中6都道府県にとどまっていることもありますし、東北各県ではまだ導入しているところもないということもあります。他県の動向等、取り組みをよく見て判断をしてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 私は、1点のみ、知事のイクボス宣言と職員のワーク・ライフ・バランスについてお伺いいたします。
昨年6月18日、知事はイクボス宣言をいたしました。内容については御存じだと思いますので言いません。職員の育児休業、介護休業などを取得しやすい環境づくりの2016年度-今年度の実績と来年度の重点項目、内容についてまずお伺いしたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 職員が育児休業、介護休暇等を取得しやすい環境づくりについてでございます。
育児休業につきましては、今年度から、男女を問わず、子供が誕生予定の職員が、育児休業等の取得時期など本人の育児に関する希望や配慮してほしいこと等を育児支援計画シートとして書面にいたしまして、子供の誕生前、誕生後の2回、所属長と面談をする制度を整備いたしまして、所属長との面談を通じまして育児休業等の積極的な取得を奨励するとともに、職員の希望を踏まえた職場環境の整備を図っております。
また、介護休暇につきましては、12月定例会で条例改正させていただきましたけれども、本年1月から介護休暇を3回まで分割して取得できることとするとともに、連続する3年の範囲内で、1日につき2時間まで勤務しないことができる介護時間制度を新設いたしまして、職員のニーズに応じて柔軟な対応を可能とする制度の整備を図ってきたところです。
平成29年度につきましては、次世代育成支援のための特定事業主行動計画等に基づきまして、新たに導入いたしました介護時間を含む制度の周知のために、ハンドブック等をつくっていますので、こちらを使った制度の周知、それから、先ほど答弁申し上げましたが、育児支援計画シートを活用した面談の実施、女性職員のキャリアデザイン支援等に着実に取り組むことによりまして、職員が育児休業等を取得しやすい環境づくりを進めてまいります。
〇小西和子委員 次に、男性職員の育児、介護、地域活動に積極的に参画する機運の醸成についてということがイクボス宣言に書かれておりますけれども、このことにつきまして、今年度の実績と来年度の目標を伺います。
〇佐藤人事課総括課長 男性職員の育児等に積極的に参画する機運の醸成ということでございます。
次世代育成支援のための特定事業主行動計画におきまして、男性職員の育児休業等の取得率、これは、男性の育児参加を促進するための育児休業、部分休業、育児短時間勤務、配偶者出産休暇、育児参加休暇のいずれかを全員が取得することを目指しているものでして、こちらの取得率を100%にする目標を設定していますが、平成27年度の実績値で申し上げますと93.6%という状況になってございます。
男性職員の育児、介護への参画につきましては、先ほども申し上げましたが、育児支援計画シートを活用した個別面談の実施等を通じまして、育児への積極的な参画を促すこと、それから、新設いたしました介護時間を含む制度の周知等を行いながら、育児や介護に参画しやすい職場環境づくりに取り組んでまいりたいと思っております。
地域活動への参加につきましては、職員が自主的、自発的に行っているものでして、参加実態を正確に把握しているものではありませんけれども、岩手県職員憲章におきまして地域社会の一員としての自覚を持って地域活動に積極的に参加することをうたっておりまして、コンプライアンス確立の日において職員憲章を取り上げることとし、職員が地域活動とのかかわりをより一層深めていくよう促してまいります。
〇小西和子委員 そういうふうにお話しされていますけれども、先ほどの長時間労働の実態を見ますと、とても地域活動まではできないと思います。
長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進の取り組みの実績と次年度の目標を伺います。
〇佐藤人事課総括課長 長時間労働の抑制、それから年次有給休暇の取得促進の取り組みでございます。
これも繰り返しの答弁になって恐縮ですが、これまでも、業務の見直し等による超過勤務の縮減、年次休暇の取得促進等に取り組んできたところでありまして、平成28年度におきましては、業務上の工夫、改善事例を全庁で共有するG・Iグランプリの開催、それから、毎週水曜日を定時退庁日といたしまして、育児や家事、地域経済活性化につながるような取り組みを行うか・えるの日運動の推進、毎月19日を子供や家族のために過ごす育児の日や、職員、家族の誕生日、結婚記念日等に合わせて休暇を促進する記念日休暇といった計画的な年次休暇の取得促進などに取り組んでまいったところです。
平成29年度につきましては、なかなか長時間労働の縮減が進まないということもありますので、各部局の管理課長等をメンバーとする働き方改革に係る推進組織を設置いたしまして、超過勤務の縮減、年次休暇の取得促進など、職員の働き方改革に向けた具体の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 職場に余裕がないということのあらわれであって、2年ほど前にも言いましたけれども、何となく女性職員は遠慮してしまっているようなところがありまして、これまでには、仕事がきつかったために上司に妊娠していることを相談したけれども応じてもらえず、結局第2子は流産した。つわりは気持ちの問題と捉えられていたことが精神的に苦痛だった。復職後に子の看護休暇を取得したが、陰で悪口を言われた。実際に今年度も、妊娠しているということですごく肩身の狭い思いをしていた、そのような環境であるわけです。子供を産むということは、人口減少問題の最大の貢献者であるわけです。その女性職員が、非常に肩身が狭かった、つらかったと言っておりました。これも職場に余裕がないからですよね。職場にもっと余裕があればこういうことにはならなかったと思います。
平成10年から平成23年にわたって人員削減が行われて、1、202人も削減したわけです。そうしたところに東日本大震災津波が襲ってきて、通常の業務だけでも精いっぱいなところに復旧、復興業務も入った。でも、正規職員はふやさなかったんですよね。先ほど人事課総括課長がおっしゃったように、何とか任期付職員とか応援職員で切り抜けようとしたということですね。でも、宮城県、福島県では正規職員をふやしました。そして、昨年の台風第10号、それに引き続いて、希望郷いわて国体、いわて大会があり、本当に職員は身を削って削って奮闘してきたわけです。新年度、今度こそ欠員がゼロになる、ゼロに近いのではないかと期待していたと思うんですけれども、先ほどだと40人くらいの解消にしかならないという答弁で、本当にがっかりしていると思います。
特別募集というお話が先ほどありましたので、特別募集の内容についてお示しください。
〇佐藤人事課総括課長 特別募集の内容についてでございます。
例年ですと、翌年度の新採用の職員から、4月1日の採用よりも前倒しで職務についていただける方、一刻も早く職場に来ていただきたいということでそういう対応をしてまいりました。これも引き続き実施してまいりますけれども、そういう対応は、大体年間でまだ10人ぐらいしか前倒し採用に応じていただけないという状況もあります。欠員がなかなか解消しないということについて、大変厳しい意見をいただいておりまして、一刻も早く欠員解消をしたいことから、職員の特別募集を来年7月1日ないし8月1日に職員採用を予定し、行政職や土木職など大体40人程度の採用でスケジュール等について人事委員会と協議を進めているところでございます。
〇高橋孝眞副委員長 この際、進行に御協力を願うため、質疑、答弁は簡潔にお願いいたします。
〇小西和子委員 何とか40人採用して、できるだけ欠員数を少なくしてもらいたいと思います。
では、最後に、職場全体で結婚、妊娠、出産、子育てを支え、職員が安心して子供を産み育てることができる環境にするため、今年度取り組んだ内容、それから来年度に向けての決意について、やはりここは、最後になるかもしれませんので部長にお答えしていただきたいと思います。その前の質疑については人事課総括課長にお願いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 安心して子供を産み育てることができる職場環境の整備についてでございます。
これも繰り返しとなりますが、次世代育成支援、それから女性活躍支援推進のための特定事業主行動計画を策定いたしまして仕事と家庭の両立のための支援制度の充実を図ってまいりました。先ほど小西委員から女性職員が妊娠をしたときの上司の状況の話がございました。決してそういうことは起こってはいけないと思っておりますので、職場全体で結婚、妊娠、出産、子育てを支えて、職員が安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めてまいりたいと思っております。
今年度実施した中身ですが、育児支援計画シートのや仕事と家庭の両立ハンドブックを活用しながら、該当する職員に所属長がきちんと面談いたしまして、休むことに気兼ねをしない環境づくりを進めてきております。
〇風早総務部長 未曾有の災害でありました東日本大震災津波からの復旧、復興、台風第10号災害からの復旧事業、そしてまたふるさと振興、さまざまな課題に対して、職員の皆様には本当に尽力いただき、しかも欠員等の状況もあり、本当に申しわけなく思っておる次第でございます。
また、安心して子供を産み育てることができる職場環境の整備でございますが、これも今、人事課総括課長が御答弁申し上げたとおり、先ほど委員から御紹介があったような話は仮にもあってはならない話でございますので、改めて我々としては、そういう機運の醸成、これはかなり進んでいるつもりではありますけれども、一層心して、男性、女性を問わず、地域において、家庭において活躍し、さらに職場でも頑張っていただく、そういうワーク・ライフ・バランスの取り組みは本当に重要でございますので、引き続き我々としてもそういうところの取り組みを進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 私は、まず最初に、歳入、特に地方交付税についてお聞きいたします。
学校用務員など16事業がトップランナー方式、すなわち少ない経費で同程度の事業を行っている自治体の経費水準で算定され、交付されるということが今年度から始まりました。新年度については、県レベルでいえば青少年教育施設や公立大学にもこれが具体化されようとしております。
そこでお聞きしますけれども、これらのトップランナー方式に伴う影響額、今年度あるいは新年度にどのような影響が出ているのか、出ようとしているのか、この点についてまずお聞きします。
〇小原財政課総括課長 地方交付税算定におけるトップランナー方式の影響でございます。
導入初年度の平成28年度の普通交付税の算定におきましては、学校用務員事務など16事業が委員御紹介のとおり対象となっております。この部分の関係だけ集計しますと、本県算定額への影響は3億5、000万円程度の減額と試算されるところでございます。
これは段階的に業務をふやしていくこととされておりまして、平成29年度からは青少年教育施設管理及び公立大学運営の2業務について新たに導入されることとなりますが、現時点ではその詳細が示されていないため、平成29年度の算定に対する影響を算出することは難しいものでございます。
〇高田一郎委員 今年度の地方交付税の影響額は3億5、000万円ということですけれども、これは事業によっては3年とか5年間かけて段階的に削減していくということです。将来的には、民間委託あるいは指定管理者、大学については独立行政法人など、業務改善を目指すという視点からどんどん削減されていくということだと思うんです。これは3年から5年ということでありますけれども、かなり県財政についても深刻な影響が出てくるのではないかと思うんですが、この点についてもお伺いしたいと思います。
あわせて、これも地方交付税措置されて対応されていますまち・ひと・しごと創生事業、全国では1兆円規模の予算になっていますけれども、これも財源がしっかりと確保されているのかということです。同時に、これもそれぞれの年度ごとに取り組みの成果や実績に基づいて予算が配分されるという考え方になっております。この点についてもどのような影響が出ているのか、もしわかれば示していただきたいと思います。
〇小原財政課総括課長 このトップランナー方式の財政への影響でございますが、今のところ国のマクロベースでお伝えするしかない状況です。これから地方交付税の算定が始まりますので、国のマクロベースでお話ししますと、確かにトップランナー方式の影響では、この部分の関係だけで見れば減額とはなりますが、全体では一般財源総額は微増で確保されておりますので、他の費目などとの計算方法の状況もあわせて見る必要があります。総額は確保されているというところで、今回の当初予算案でも地方交付税の予算を組んだところであります。
次に、まち・ひと・しごと創生事業についての算定方法の変更の影響でございますが、まち・ひと・しごと創生事業につきましては、地方公共団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細かな施策を可能にするという観点から、普通交付税算定上、人口減少等特別対策事業費、地域の元気創造事業費の各費目に計上されるものでございまして、平成29年度以降の地方交付税の算定におきましては、3年かけて人口減少等特別対策事業費は、全体では6、000億円が地方財政計画に計上されておりますが、そのうち1、000億円が取り組みの成果で算定されるほうにシフトする。それから、地域の元気創造費については、4、000億円のうちの1、000億円が地域経済活性化の指標で算定されるというふうにシフトされるものでございまして、なお、これに関しましては、成果を発揮する際の条件が厳しいと考えられる条件不利地域には配慮することとされております。
現時点では、こちらも算定方法の詳細が示されておりませんので本県への影響を直接算出することはできませんけれども、ふるさと振興の推進には長期にわたる息の長い取り組みが必要でありますので、今回の成果指標へのシフトによって直ちに算定が不利になることがないよう、国に対して地方6団体などとともに提言を行ってまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 トップランナー方式については、まだ新年度についてはどうなるか示されていないということですけれども、いずれ国の動向を見ますと、対象事業をどんどん拡大しようとする議論も行われています。地方交付税というのは、言うまでもなく自治体間の格差を是正して、自治体が標準的なサービスを提供することを可能にするものであって、自治体間で競争して、成果を上げたところに手厚くするとか、あるいは民間委託、大学でいえば独立行政法人への移行を誘導するような形で地方交付税が決められていくことは本来の地方交付税制度をゆがめるものにつながっていくと思うんです。私は、今、対象事業は16事業だけれども、これがどんどん拡大するということになると大変な地方財政への影響につながっていくと思うんですけれども、この点について、総務部長にお聞きしたいと思います。
〇風早総務部長 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、一定の行政サービスがどの地域にお住まいの住民の方々にも提供できるような財源保障的機能を有しておるものでございます。したがいまして、このトップランナー方式の導入に当たりましては、条件不利地域などの地域の実情に配慮すること、また、住民生活の安全・安心が確保されることを前提とした合理的なものにすべきであり、また、地方交付税が持つ財源保障機能が損なわれないようにすることが必要ということで、地方6団体とともに制度に関する提言を行ってまいりました。
今後においても、引き続き、地方6団体、北海道東北地方知事会等とともに我々としての提言等を行っていきたいと考えています。
〇高田一郎委員 ぜひ国に対してしっかりと要求していただきたいと思います。
次に、地域防災力の強化についてお聞きいたします。
新年度予算には地域防災力強化プロジェクト事業ということで、前年度の当初予算と対比して950万円の増、4、390万円という予算が措置されております。この事業でどのように地域防災力が強化されるのか、その点についてまず答弁いただきたいと思います。
あわせて、自主防災組織の活動の実態と課題についてもお聞きしたいと思います。
先ほど担当課から自主防災組織の実態をお聞きいたしました。県内では2、027組織、隊員数は68万6、319人、世帯数については全体の84.6%をカバーしているという数字をいただきました。しかし、地域の組織の実態を見ますと、組織はつくったけれども、実態はなかなかうまく機能していない、そういう組織が少なくないのではないか。それぞれの市町村からいろいろ補助金をもらって資機材は購入するけれども、なかなか訓練の実体がないとか、そういう資機材を地域の集会所に保管してそのままになっているとか、そういう実態を私も見てきましたけれども、県として県内の自主防災組織の活動の実態をどう把握しているのか、あるいは課題についてもどう把握しているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
〇石川総合防災室長 二つ御質問がございました。
一つは、地域防災力強化プロジェクト事業でございますが、この事業の中心となっております総合防災訓練につきまして、新年度は、熊本地震等を踏まえまして、災害対策本部を県庁から別の建物に移して関係機関と連絡調整を行ういわゆるBCP訓練を検討しておりますほか、台風第10号災害を踏まえ、洪水災害を想定した広域避難訓練あるいは避難所運営訓練などを行いたいと考えてございます。
また、地域防災力強化プロジェクト事業の中には消防団の強化についても事業として入ってございまして、地域における防災力の要である消防団員の確保、加入を促進するため、消防団を応援する消防団応援の店-仮称でございますが-登録推進事業を新たに実施しまして、この応援の店が消防団員を対象に特典、割引等のサービスを提供する制度を広めていきたいと考えてございます。
続きまして、自主防災組織の活動の実態と課題についてでございますが、自主防災組織の皆様のお話を聞かせていただきますと、委員のお話のとおり、自主防災組織への参加者がなかなかふえない、あるいは一人一人の役割が認識されていないといったお話を伺いまして、そういった意味でも、やはり自主防災活動の中心となるリーダーの育成が必要と考えてございます。
こうしたことから、県としましては、自主防災組織のリーダー研修会を開催したり、あるいは自主防災組織の連絡会議、これは自主防災組織だけではなく市町村の職員の方々も一緒にお招きして意見交換を行うといったことを開催しております。地域防災サポーターは県内に41人おいでになりますけれども、この方々を自主防災組織が開催する研修会などに派遣いたしまして、他の地域での事例等を紹介するなど、組織の活性化を図ってきたところでございます。
〇高田一郎委員 自主防災組織の課題について総合防災室長から答弁がありました。私は、防災思想や知識の普及よりも組織率を上げることに重点を置いて、せっかく組織をつくったけれどもなかなか思うような活動がされていないというのが実態だと思うんです。
先ほども議論がありましたけれども、その地域の危険地域とか、あるいは、さまざまな災害があればどういう被害が起きるのか、そういう災害リスクを地域全体で共有していく活動とともに、日常的な訓練を行っていく。そして、そのために、先ほど総合防災室長が答弁したようにリーダーを育成していくという三つが大事だと私は思います。
先ほどリーダーの育成が大事だという話をされましたけれども、この自主防災組織を活発にしていくためには、消防団の役割あるいは地域防災サポーターの活動が非常に大事になっていると私は思うんです。この活動状況がどうなっているのか、この点についてもお聞きしたいと思います。
〇山田防災消防課長 消防団あるいは地域防災サポーターの活動状況というお尋ねでございます。
消防団は、消防組織法に基づく消防機関と位置づけられておりまして、火災や災害発生時には消火活動、救助活動あるいは避難誘導、平常時には訓練のほか火災予防の活動など、地域に密着した組織として幅広い活動を行っていただいておりまして、例えば昨年8月の台風第10号災害でも大きな役割を果たしたところでございます。
それから、地域防災サポーターにつきましては、地域単位での防災に関する勉強会や自主防災組織のワークショップなどに対応するために平成25年度から始めた取り組みでございまして、今年度は3月1日までに38回の派遣をしておりまして、年々派遣回数はふえております。
〇高田一郎委員 地域防災サポーターの取り組み状況についてですが、これは平成25年に県が初めてスタートさせた中身で、非常に有効なものだと思います。防災士資格を取得している方や消防職員のOB、いわゆる防災のエキスパートの方々だと思うんです。県内に41人いるというお話をされましたけれども、41人いるにもかかわらず、今年度の活動実態は38回ということであります。1人年1回活動しているという状況だと思うんです。これをもっと効果的に、目標を持って自主防災組織を育成強化する取り組みに誘導するような対応が必要ではないかと思います。
よく見ますと、これは無報酬です。ボランティアです。そして、相手から呼ばれない限り活動しない、そういう仕組みになっていると思うんです。私は、活動の実績を見ると、この改善が必要ではないかと思うんですけれども、その点についてどのような考えを持つのかお伺いしたいと思います。
〇石川総合防災室長 地域防災サポーターにつきましては、先ほど答弁させていただきましたとおり、今年度38回、講演等を中心に行っておりまして、それにおいでになった方々の人数とすれば1、647人という数字でございます。
先ほどお話がございましたように、各市町村あるいは町内会、自主防災組織からお招きいただいたときに派遣するという形をとっておりまして、旅費程度を支給しているという形になってございます。先ほども若干申し上げましたけれども、これから先、自主防災組織をしっかり強化していかなければならないときに、やはりこの地域防災サポーターを中心に各市町村における地域防災力の強化を図ってまいりたいと考えてございます。
〇高田一郎委員 地域防災サポーターの人数も41人ということで、やっぱりもっとふやす必要があると思いますし、派遣回数も41人を下回るような状況になっていますので、もっと活動できるような、あるいは目標を持って取り組むような対応が本当に必要になっているのではないかと思いますので、ぜひそういう対応をとっていただきたいと思います。
最後に、防災拠点となる公共施設の耐震化推進状況についてお伺いしたいと思います。
昨年12月22日、消防庁から耐震化の取り組みを推進するよう通知が出されました。岩手県内の防災拠点となる公共施設の耐震化の推進状況、実態についてまず伺いたいと思います。
〇山田防災消防課長 防災拠点となります公共施設の耐震化の推進状況でございますけれども、昨年12月に消防庁が公表しました防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査結果によりますと、平成27年度末時点で、県内の地方公共団体が所有または管理する公共施設2、407棟のうち2、119棟の耐震性が確保されているということで、耐震率88.0%となっております。前年度末と比較しますと3.5ポイント上昇しております。
〇高田一郎委員 岩手県内の防災拠点となる公共施設の耐震率は88.0%という説明でありました。これは平成27年度末ですから若干数字は上がっていると思いますけれども、しかし、この中身をよく見ますと、例えば庁舎は77.1%で、本来なら災害対策本部が設置されるところです。警察関係は90.09%、消防本部、消防署等が80.9%、文字どおり災害対策の拠点となるところがこういう数字でいいのかと。
しかも、庁舎の耐震化が達成していないところは庁舎以外のところに対策本部を設置している自治体もあります。しかし、それでも耐震性を確保されていないところが2団体もあるという状況になっています。私は、これは、年次計画でしっかりと耐震化あるいは改修あるいは改築できるような対応をしていくべきだし、県としてもそういう支援を行っていくべきではないかと思います。
新年度の政府予算を見ましても、今年度末までとなっていた緊急防災減災事業も4年間延長されました。これは防災施設の耐震化や施設の改善を行うためにある制度ですけれども、4年間延長になりましたし、あるいは市町村役場の機能を強化する耐震化や庁舎の建てかえについても財政措置が新年度からこれまで以上に手厚くなるという財政支援もありますので、そういった財源も活用しながら、計画をつくって耐震率が100%になるような取り組みをやっていくべきだと思いますし、県もしっかりと支援をしていくべきだと思いますけれども、この点をお聞きして終わりたいと思います。
〇山田防災消防課長 委員から今お話がありましたように、例えば昨年の熊本地震でも市役所庁舎が被災しまして、災害対策本部の機能に支障を来したという例もございます。防災上、重要な建築物の確保につきましては、県の地域防災計画の中におきまして、岩手県耐震改修促進計画に基づいて進めることとされております。これは直接の所管はまた別の部局になりますけれども、この関係部局とも連携しながら、市町村への働きかけをし、計画的な耐震化が進むように県としても取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、端的にお聞きしたいと思います。人材育成についてお聞きします。
これまで県では、観光分野では例えばJR東日本、農林水産分野の流通部門では電通など、民間との人事交流、受け入れを行ってきておりますが、これまでの受け入れ実績に対する成果をどう捉え、どう評価しているのか、今後の方向性についてもお伺いしたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 民間企業等からの受け入れ実績、それから今後の見通しについてでございます。
東日本大震災津波の発災以降、いわてデスティネーションキャンペーンに向けた誘客の促進や宣伝、PR強化のため、JR東日本盛岡支社から社員を受け入れました。それから東日本大震災津波からの復旧、復興の着実な推進を目的に、復興計画の策定や推進のため、三菱総合研究所、大和総研、東京海上日動火災保険、それから都市計画や道路整備、応急仮設住宅の維持管理等のため、東京都都市建設公社、東京都道路整備保全公社、大和リース、それから農林水産物の販路回復、拡大や農地の復旧等のため、電通東日本、それから岩手県土地改良事業団体連合会から社員や職員を受け入れているところでございます。また、平成28年度におきましては、地方創生の取り組みの強化のため、岩手銀行からも社員を受け入れているところでございます。
こういった民間企業、団体からの社員等の受け入れによりまして民間のノウハウを業務の推進に活用できることに加えまして、県職員が民間企業等の視点、ノウハウ、考え方を学ぶ機会となり、職員の育成にも大きく資するものと認識しております。
当面は東日本大震災津波からの復興のための社員等の受け入れが中心とならざるを得ませんけれども、受け入れによる職員の育成効果も期待できることから、民間企業のノウハウ等の活用が見込まれる業務の状況等も踏まえまして、引き続き、受け入れの可能性については検討していきたいと思ってございます。
〇臼澤勉委員 全国の各自治体からの受け入れもさることながら、民間の皆様方の御支援をいただきながら、今、復興に向けての取り組みが進められているということで、県職員の資質向上、そしてネットワーク化に向けて多大なる効果があると思います。引き続き進めていっていただきたいと思います。
このたび、いわて国際戦略ビジョンが示されております。海外との結びつきなり海外展開を進めていくのですけれども、コーディネーターとの連携を図りながら戦略的に取り組む必要があろうかと思います。県でも国際感覚を有する人材を、復興が完遂した先を見据えながら、そこも両にらみで育成を進めていくべきと思います。これまでのジェトロやCLAIR(一般財団法人自治体国際化協会)、大連事務所、それから来年度、岩手県の職員がソウル事務所の所長になるという話も伺っておりますが、今後の人材育成のお考えをお伺いしたいと思います。
〇佐藤人事課総括課長 国際感覚を有した人材の育成についてでございますけれども、県ではこれまで、CLAIRに職員を派遣いたしまして長期の海外勤務を経験させているほか、大連市との人事交流、それから国際交流員の継続的な受け入れに取り組んできたところでございます。また、職員の自主企画による海外派遣研修、これは東日本大震災津波の発災以降は復興業務を最優先にするということもあり休止していましたが、今後、ILCの誘致、それから県産品の海外への販路拡大、こういった国際戦略の積極的な推進に向けて必要ということもありまして、昨年度から再開し、自主研修であることから1週間から2週間という期間になりますが、職員を派遣しております。
外国で、現地の風土、それから言語、食事、生活習慣、人間関係といったものを肌で感じながら現地で業務に従事するという経験は非常に有用だと考えておりまして、今後においても、職員の海外派遣の機会を提供するとともに、海外からの研修員を継続的に受け入れるなど、引き続き、国際化に貢献できる、また対応できる職員の育成に努めてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 ぜひ戦略的に、帰国後は職場で活用していただき、特にホットなネットワークを抱えて戻ってまいりますので、ぜひ岩手県のそういった新たな政策にも反映していくように御期待したいと思います。
最後に、部長にお伺いしたいのですが、部長は総務省からいらっしゃいまして、ほかの自治体でも部長を経験をしておられます。今回、岩手の復興の本当の真っただ中で業務を遂行されて、県職員の頑張り等もごらんになってきたと思います。県職員をどのように部長は見て評価されているのか、そして、今後期待することを最後にお伺いして終わりたいと思います。
〇風早総務部長 本日の御答弁でも申し上げましたが、職員の皆様は、東日本大震災津波発災という未曾有の災害から、それに引き続き、昨年の台風第10号災害、さらには希望郷いわて国体・いわて大会、さらにふるさと振興、さまざま業務が多い中、本当に県民のために日々献身的に職務を遂行していただいております。
岩手県が抱える課題、復興も含め、まだまだこれは途上にありますので、引き続き、さまざまな人材育成に我々としても取り組んでいきますので、職員の皆様には一層御活躍いただきたいと考えてございます。
〇高橋孝眞副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋孝眞副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
総務部の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後7時18分 散 会

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