平成29年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 1 号)
平成29年3月6日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 大 友 宏 司
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 田 内 慎 也
主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 杉 村   孝

秘書広報室長 保   和 衛
秘書広報室副室長兼首席調査監 高 橋 勝 重

総務部長 風 早 正 毅
理事兼総務部
副部長兼総務室長 大 槻 英 毅
人事課総括課長 佐 藤 隆 浩
財政課総括課長 小 原   勝
税務課総括課長 小 畑   真

政策地域部長 大 平   尚
理事兼政策地域部副部長兼
地域振興室長兼
台風災害復旧復興推進室長 宮 野 孝 志
政策地域部副部長兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 南   敏 幸
政策監兼
ふるさと振興監 小 野   博
市町村課総括課長 石 田 知 子

環境生活企画室
企画課長 黒 田   農

保健福祉企画室
企画課長 小 川   修

商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭

農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光

県土整備企画室
企画課長 小 原 由 香

復興局長 木 村 卓 也
復興局副局長 内 宮 明 俊

国体・障がい者
スポーツ大会局
副局長 泉   裕 之

教育企画室
特命参事兼
企画課長 菊 池 正 勝
〇大友議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介いただきました工藤勝子です。よろしく御協力をお願いいたします。(拍手)
それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別委員長に名須川晋君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました名須川晋君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました名須川晋君が予算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました名須川晋君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
名須川委員長、委員長席にお着き願います。
〔決算特別委員長名須川晋君委員長席に着く〕
〇名須川晋委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました名須川晋でございます。御推挙いただき大変光栄に存じておる次第でございます。
委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別副委員長に高橋孝眞君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました高橋孝眞君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋孝眞君が予算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました高橋孝眞君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
高橋孝眞副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇高橋孝眞副委員長 ただいまは副委員長に選任いただきまして、まことにありがとうございます。
委員長を補佐いたしまして委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇名須川晋委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案25件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から10日まで及び13日から16日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案25件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、16日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより議事に入ります。
議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第27号から議案第30号まで及び議案第32号の以上25件を一括議題といたします。
総務部長に総括説明を求めます。
〇風早総務部長 それでは、私から、平成29年度当初予算案の概要等につきまして総括的に御説明を申し上げます。
この平成29年度当初予算案は、第3期復興実施計画に基づく東日本大震災津波からの復興と昨年8月に発生しました台風第10号災害からの復旧、復興に最優先に取り組む予算を措置するとともに、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づく、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすなどの取り組みを展開し、ふるさと振興を推進する取り組み、ラグビーワールドカップ2019釜石開催の成功に向けた取り組みや世界文化遺産の価値や理念の発信、普及、スポーツ競技力向上など、希望郷いわて国体・大会のレガシーを生かした文化、スポーツ振興施策を戦略的に推進する取り組み、海外市場への岩手ブランドの発信や外国人観光客の誘客拡大など、国際関連施策に戦略的に取り組むほか、若者の交流促進や活動支援、職場や地域社会における女性の活躍推進など若者、女性の活躍を一層支援する取り組み、ILCを初めとした科学技術振興の取り組みを引き続き推進する予算として編成いたしました。
なお、中期財政見通しや公債費負担適正化計画を踏まえ、財政健全化にも配慮したものとしているところであります。
それでは、予算案の概要につき御説明申し上げます。
お手元の議案その1の1ページをお開き願います。議案第1号平成29年度岩手県一般会計予算であります。
第1条は、歳入歳出の総額を9、797億3、251万7、000円と定めるものでありますが、これを前年度当初予算と比較いたしますと8.1%の減となるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
次に、歳入について御説明申し上げます。便宜、分厚い資料ですが、予算に関する説明書の1ページをお開き願います。
一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入まででございまして、その総額は4、128億8、300万円余で、前年度当初予算と比べると4.8%の減となっています。これは、主に復興交付金基金やその他、特定目的基金からの繰入金の減によるものであります。
また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は5、668億4、900万円余で、前年度当初予算と比べ10.4%の減となっております。これは、主に震災からの復旧復興事業の進捗に伴う震災復興特別交付税や国庫支出金の減によるものであります。
この結果、歳入に占める自主財源の割合は42.1%、依存財源の割合は57.9%と、自主財源の割合が昨年度から1.4ポイント上昇しております。
次に、歳入の内容について御説明申し上げます。4ページをお開き願います。
第1款県税第1項県民税は419億9、100万円で、前年度比4.0%の増となっておりますが、これは、2目の法人県民税について、復興需要や円安を背景とした企業実績の伸びによる増収が見込まれることなどによるものであります。
2項事業税は281億8、400万円で、11.8%の増となっておりますが、これは、2目の法人事業税につき、法人県民税と同様、復興需要や円安を背景とした企業業績の伸びによる増収が見込まれることなどによるものであります。
次に、6ページの3項地方消費税は、県内に本店のある法人の本県への地方消費税納付額が減少するものと見込まれることから212億3、000万円、0.4%の減を見込んでおります。
4項不動産取得税は24億8、100万円で、1.1%の増を見込んでおります。
8ページ、5項県たばこ税は15億1、200万円で、3.2%の減、6項ゴルフ場利用税は2億8、900万円で、4.0%の減と見込んでおります。
10ページの7項自動車取得税は16億100万円で、2.6%の増、8項軽油引取税は176億7、000万円で、2.7%の減と見込んでおります。
次に、12ページの9項自動車税は176億6、600万円で、0.2%の増と見込んでおります。
10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、700万円を計上しております。
次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、500万円で、15.4%の増と見込んでおります。
12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案し7、900万円で、3.9%の増と見込んでおります。
以上、県税の合計額は1、327億3、500万円で、前年度当初予算に比べ40億7、000万円、3.2%の増となるものであります。
次に、16ページの2款地方消費税清算金でございますが445億7、300万円で、6.4%の減となっております。
17ページ、3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は197億9、200万円、18ページの2項地方揮発油譲与税は34億3、700万円、19ページの3項石油ガス譲与税は1億7、200万円、20ページに参りまして、4項地方道路譲与税は100万円、21ページの5項航空機燃料譲与税は3、000万円をそれぞれ計上しております。
22ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金でございまして2億9、600万円を見込んでおります。
次に、23ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容や東日本大震災津波からの復旧復興事業費等を総合的に勘案し推計を行いまして2、956億8、160万円余と、前年度当初予算に比べ118億3、008万円余、3.8%の減で計上しております。
24ページの6款交通安全対策特別交付金は4億1、052万円余を見込んでおります。
次に、25ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり3億175万円余、26ページから27ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金などを計上しており37億8、987万円余となっております。
28ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、29ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、30ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、31ページ、9目教育使用料では、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、計欄60億4、366万円余で、前年度に比べ0.3%の増となっております。
続きまして、32ページの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料、33ページのと畜検査に係る手数料、35ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計欄は、36ページに行っていただきまして21億697万円余、4.5%の減となっております。
次に、37ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、2目民生費負担金では、生活保護や災害救助など、39ページの6目教育費負担金では、小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、7目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、40ページの計欄844億748万円余で、震災復興事業の進捗などにより前年度よりも38.9%の減となっております。
次に、41ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、53ページまで進んでいただきまして870億1、677万円余、3.7%の減となっております。
次に、54ページの3項委託金でありますが、その総額は、56ページでございますが13億9、027万円余で、参議院議員選挙の終了により50.6%の減となっております。
57ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は2億1、529万円余を計上、58ページから59ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして7億1、729万円余を計上しております。
60ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など9、483万円余を見込んでおります。
次に、61ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は4億9、187万円余であります。
62ページ、2項基金繰入金は、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため641億8、881万円余を計上しております。
63ページの13款繰越金は、整理科目であります。
64ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は1億9、163万円余を計上しております。
65ページの2項預金利子は2、526万円余を計上しており、66ページ、3項公営企業貸付金元利収入は113億320万円を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金がその主なものであります。
67ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は、68ページの計欄1、308億5、362万円余となっております。
69ページ、5項受託事業収入は、次の70ページの計欄のとおり、総額で58億3、416万円余となっております。
次に、71ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収益37億5、227万円余となっております。
72ページの7項利子割精算金収入は、整理科目であります。
73ページ、8項雑入の総額は、76ページまで進んでいただきまして56億6、493万円余を見込んでおります。
次に、77ページ、15款県債でありますが、その総額は、79ページの計欄のとおり742億1、433万円余であり、前年度に比較して29億6、416万円余、4.2%の増となっております。
この結果、県債の現在高見込みでありますが、294ページをごらんいただきますと、前年度末現在高見込額が平成28年度末、右端の当該年度末現在高見込額が平成29年度末となりますが、295ページの上から5行目の計欄をごらんいただきまして、平成28年度末は1兆3、308億3、200万円余、平成29年度末では、計欄の右端になりますが1兆2、953億9、100万円余の残高になると見込んでおります。
なお、295ページの中ほどの表に県債管理基金への積立金を記載しており、これを調整した実質的な県債の現在高見込み額は、一番下の計欄にお示ししております。
以上で歳入についての御説明を終わります。
次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明を申し上げます。
款別歳出については説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。
お手元の予算に関する資料の3ページをお開き願います。平成29年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
平成29年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、4ページに参りまして、4補助費等につきましては6.8%の減となっております。これは、事業復興型雇用創出補助金や第71回国民体育大会会場地市町村交付金の減等によるものであります。7災害復旧事業費でございますが、漁港災害復旧事業費や河川等災害復旧事業費など、復旧復興事業の進捗に伴う減などにより42.4%の減で計上しております。資料は、予算に関する説明書で御説明しております。5ページに参りまして、8公債費は1.5%の減、11貸付金は、中小企業東日本大震災復興資金貸付金の減などにより1.5%の減となっております。
平成29年度岩手県一般会計予算案の概要は以上のとおりでございます。特別会計につきましては、所管部局において御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
よろしく御審議をいただきますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が54分、次に、自由民主クラブが45分、次に、いわて県民クラブが24分、次に、創成いわてが21分、次に、日本共産党が15分、次に、社民党が12分、次に、会派に所属しない委員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属臼澤勉委員の順に、それぞれ9分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、本日及び明日に予定されておりますが、明日は、総括質疑終了後、議会、総務部関係の審査も予定されておりますので、議事の進行に御協力をお願いします。
これより総括質疑に入ります。高橋但馬委員。
〔高橋但馬委員質問者席に着く〕
〇高橋但馬委員 改革岩手の高橋但馬であります。会派を代表いたしまして、前段が私、後段が佐々木朋和委員、両名で総括質疑を行いますので、よろしくお願いいたします。
まずもって、東日本大震災津波から6年、台風第10号の災害から半年が過ぎようとしています。被災された皆様方に哀悼の意を表し、心からお見舞いを申し上げます。
2月定例会における我々の建設的な議論が、被災地の復興の進捗を少しでも早められることを願うところであります。これまでの代表質問、一般質問と重複する箇所が多くありますが、総括質疑を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
初めに、平成29年度当初予算についてですが、知事は、東日本大震災津波からの復興と台風第10号災害からの復旧、復興に最優先に取り組むとともに、希望郷いわて国体・大会のレガシーを生かした文化、スポーツ振興や国際関連施策、若者、女性の活躍支援、科学技術振興の取り組みを推進するなど、ふるさと振興を推進するための予算として、未来につなげる復興ふるさと振興予算と名づけています。
本格復興完遂予算から大きく変わった気がするのですが、平成29年度当初予算に対する知事の思い、県民に対するメッセージをお伺いします。
〇達増知事 平成29年度当初予算案は、未来につながる復興ふるさと振興予算として、東日本大震災津波からの復興と台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画第3期アクションプラン、ふるさと振興総合戦略を着実に推進するための予算として編成したものであります。
復興については、第3期復興実施計画の初年度として、復興に向けた三つの原則に基づく復興事業を引き続き進めるとともに、さらなる展開への連結期間のスタートとして、復興事業の総仕上げを視野に復興の先も見据えた地域振興にも取り組んでまいります。
また、ふるさと振興については、計画期間の中間年に当たりますことから、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に沿った取り組みを強力に推進してまいります。
これら復興とふるさと振興を進め、さらに、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功を通じて得た自信や誇り、希望を生かしながら、県民一人一人が将来にわたって確かな未来を描くことができる岩手の実現を目指してまいります。
〇高橋但馬委員 それでは、まずは、東日本大震災津波復興計画の復興実施計画についてでありますが、復興基本計画の総仕上げであります第3期に平成29年度より入ることになります。昨年の予算特別委員会の総括質疑において、東日本大震災津波からの復興に向けては、緊急的、短期的、中長期的な取り組みを重層的に進めていくことが必要ということで、復興基本計画を第1期、第2期、第3期と定めたところと答弁されていました。
第2期の本格復興期間から第3期実施計画にしっかりとつなげることが重要だと考えますが、これまでの復興の評価と課題をどう捉え、どのように第3期に移行するつもりなのかお知らせください。
〇達増知事 平成28年度末には8割を超える災害公営住宅が完成する見込みでありますほか、市町村の面整備事業では、宅地の完成区画が平成28年度末で5割を超える見込みとなっております。
また、防潮堤などの海岸保全施設の整備は、平成28年度末で約4割の完成見込みとなっていますが、復興道路はかつてないスピードで整備が進んでおり、宮古-室蘭間の定期フェリー航路や釜石港の国際コンテナの定期航路の開設が予定されるなど、交通ネットワークの整備効果が発揮されています。
さらに、水産業の生産基盤はほぼ復旧しましたほか、一部再開を含め約8割の被災事業所で事業が再開され、観光入り込み客数も震災前の8割を超える水準まで回復しています。
一方で、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、復興の長期化によって、心と体のケアや将来の不安への対応などの必要性が増しています。
また、漁業、そして養殖業生産量の確保、中小企業等における事業再開後の販路回復、人材確保などが課題となっておりますほか、人口減や復興需要の縮小による地域経済への影響も懸念される状況にあります。
第3期復興実施計画では、これらの成果と課題を踏まえて、社会資本の復旧、整備や恒久的な住宅への移行とコミュニティーの再構築支援など、復興事業の総仕上げを視野に事業を進めるとともに、復興道路等の交通ネットワークを活用した産業振興や交流人口の拡大等により、新しい三陸地域の創造を目指す三陸創造プロジェクトの具体化など、復興の先を見据えた地域振興にも取り組みながら、全力で復興を推進してまいります。
〇高橋但馬委員 東日本大震災津波後に編成した当初予算の震災分としては、ピークの平成27年度に比べると1、444億円減少しています。第2期実施計画における災害公営住宅、面整備、海岸保全の整備状況を見ると、自治体ごとに復興の格差が生じており、地域によって復興の実感に違いがあると思います。
この現状を県としてどう捉えているのか、そして、まず、未来につなげる復興であるならば、一度、震災前のスタートラインに戻らなければ進めないと思うのですが、どのように考えているのかお知らせください。
〇木村復興局長 復興の実感の違いについてでございます。
平成28年度までに、沿岸の12市町村のうち、沿岸北部を中心に災害公営住宅整備事業は7市町村、面整備事業は6市町村、海岸保全施設は3町村で事業が完了する見込みとなっております。このように、市町村の被災状況の違いにより、地域によって復興事業の進捗に差が生じております。
また、平成28年岩手県の東日本大震災からの復興に関する意識調査におきましても、復興の実感は、沿岸南部に比べ沿岸北部のほうが高い傾向が見られ、この要因は、地域により復興事業の進捗に差が生じていることが背景にあると考えてございます。
現在策定を進めております第3期復興実施計画におきましては、これまでの基盤復興期間、本格復興期間において取り組んだ実績を踏まえまして、平成29年度及び平成30年度を三陸のよりよい復興の実現につなげる三陸復興創造期間とも言えるよう、復興事業の総仕上げを視野に、復興の先を見据えた地域振興にも取り組みながら、復興を推進することとしております。
〇高橋但馬委員 これまでの取り組みと、これからはやはり大きく変えていかないと、被災市町村の復興の格差を埋めていくことはできないと思います。平成29、30年でよりよい復興ということで今、御答弁をいただきましたけれども、そこを強く進めるための要因を改めてお知らせください。
〇木村復興局長 ただいま申し上げましたとおり、市町村によって復興の進捗に差が生じております。復興計画についても、市町村によってそれぞれ、もう既に終わったところもございますし、平成32年度まで続くところもございます。それぞれ市町村の復興計画もそうですし、その進捗の状況、市町村に寄り添ってというか、その実態に合わせまして、県としてしっかりとそれぞれに寄り添って、一緒になって復興を進めていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 県も、市町村の進捗状況をしっかりと把握して、しっかりと連携をとりながら進めていっていただきたいと思います。
国の平成29年度予算は、一般会計で97兆4、547億円、平成28年度当初予算より7、329億円増額となっています。また、東日本大震災復興特別会計予算として2兆6、896億円が計上されています。
政府の予算の重点化の基本的な考え方は、被災者支援として、心のケアやコミュニティー形成など、復興の進展に応じて生じる被災者に係る課題にきめ細やかに、かつ弾力的に対応する取り組みを支援すること。住宅再建、復興まちづくりとしては、住宅再建に関する事業の進展などを踏まえつつ、復興まちづくりを進めるほか、復興道路を初めとする社会インフラの整備を推進すること。産業、なりわいの再生として、観光復興の取り組みをさらに強化するとともに、新たに被災地、特にも三陸沿岸部の人材不足に対処するための施策を実施すること。また、農林水産業を含め、原子力災害被災地域の産業再生に向けた支援を推進することとされています。
東日本大震災津波後間もなく6年が経過しようとしています。政府予算について、県政運営上どのような評価をされているのでしょうか。
また、被災地の復旧、復興の加速化を推進するために1.8兆円を措置した復興庁所管予算と、復興のステージの進展に応じて生じる新たな課題に迅速かつ適切に対応できるように所要額が計上されている復興庁独自執行予算についても、あわせてお願いいたします。
〇達増知事 まず、政府予算に対する県政運営上の評価についてでありますが、現在、国会で審議されている平成29年度政府予算案について見ますと、大変厳しい見通しの中、地方財政計画において、前年度を0.4兆円上回る62.1兆円の地方一般財源総額が確保されており、地方に一定の配慮がなされたものと考えています。
震災復興については、昨年度決定された復興の基本方針に基づいて、東日本大震災津波関連予算として2.7兆円が計上、震災復興特別交付税0.5兆円も別枠で財源確保されたところであり、地方創生の実現に向けたまち・ひと・しごと創生事業費1兆円の確保や、地方創生推進交付金が前年度と同額確保された上で運用の弾力化が図られたこととあわせて、一定の評価ができるものであります。
個別分野では、子供の医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担減額調整措置の一部改善について示されたことや、緊急防災、減災事業費が、対象事業を拡大して平成32年度まで延長されたことに加え、ILC関連予算が拡充されるなど、本県を初めとする地方の強い要望を一部反映した内容となっているものであります。
次に、復興庁所管予算の評価についてでありますが、東日本大震災津波からの復興については、復興の着実な推進に向けて、復興に必要な予算の確実な措置と財源措置の充実を強く訴えてきたところでありますが、平成29年度復興庁所管予算案として1.8兆円が計上され、復興の取り組みを推進するための財源が確保されたところであり、一定の評価ができるものであります。
具体的には、安全の確保について、復興道路や湾口防波堤等の整備に対し、平成28年度を上回る2、982億円が計上されたほか、海岸保全施設等に係る災害復旧事業に2、378億円が計上されています。
また、暮らしの再建に関しては、被災者の心のケア支援事業が14億円計上され、復興庁独自執行予算として、平成28年度に新設された被災者支援総合交付金が200億円計上され、被災者の生活再建やコミュニティーの形成等のための財源が確保されています。
さらに、なりわいの再生に関しては、グループ補助金等の被災企業等への支援が継続的に実施されることになったほか、復興庁独自執行予算として、新たに被災地における人材確保対策として8.3億円が計上されたところであり、本県の要望が反映されたものと考えております。
〇高橋但馬委員 国の予算も私ども地方に一定の配慮があったということがわかりました。この国の予算を生かすも殺すも県の対応が重要となってくると思いますし、何としても被災地を第一に考えた運営をしていっていただきたいと考えます。
続いて、本県の財政運営における大きな課題である公債費負担について伺います。
公債費増加の理由について、バブル崩壊後の国の経済対策に呼応した公共事業の実施、地方財源不足に対応するための財源対策債の継続的な発行、東北新幹線の盛岡以北延伸や岩手県立大学開学、いわて県民情報交流センターなどの県単独事業による公共施設等の整備に加え、全国最多の県立病院の整備等の財源とした公営企業債に係る償還が多額に上っていることを挙げています。
平成24年度決算において、実質公債費比率が18%以上となったことから、県では平成25年度に公債費負担適正化計画を策定し、平成32年度までに実質公債費比率を18%未満に適正化することを目標としていると理解しています。
平成27年度決算における実質公債費比率の都道府県平均12.7%に対し、岩手県は北海道に次ぐワースト2位の20.5%となっておりますが、実質公債費比率の適正化に向け、今後の動向をどのように見ているのかお知らせください。
〇風早総務部長 実質公債費比率の適正化についてでありますが、本県の公債費は平成26年度にピークを迎え、平成27年度から減少を始めておりますが、実質公債費比率は過去3カ年の平均値でありますことから、平成27年度の実質公債費比率は過去最高の20.5%となったものであります。
公債費負担適正化計画の実行によりまして、県債残高は着実に減少しております。低金利の環境が継続した場合、平成30年度までには実質公債費比率が18%を下回り、計画を2年前倒しして達成できる見通しと考えております。
〇高橋但馬委員 現在高いのは、もうその計画のうちだということだと理解しました。
次に、プライマリーバランスについて伺います。
平成23年度から6年連続プライマリーバランスは黒字であり、平成29年度も344億円の黒字を見込んでいるとのことですが、平成23年度37億円から、107億円、202億円、423億円、平成27年度は少しではありますが下がって403億円と右肩上がりで来ていました。平成28年度は黒字ながらも175億円と大きく黒字幅が縮小しています。この要因をどのように分析し、次年度につなげていくつもりかお知らせください。
〇風早総務部長 プライマリーバランスにつきましては、平成28年度は、台風第10号からの復旧、復興の財源として149億円の県債発行などを行うため、プライマリーバランスの黒字幅が縮小しているものであります。
災害復旧など緊急的な事業は、財源を確保して迅速に実施すべきものでありまして、これらの事業の財源とする県債は、後年度の償還について手厚い地方交付税措置が講じられるものであります。
県が管理可能な通常の県債発行につきましては、新規の県債発行額を平成25年度と同程度に抑制するなど、公債費負担適正化計画を着実に実行してまいります。
〇高橋但馬委員 財源対策3基金の推移を見ると、ピークの平成8年度は、公共施設等整備基金593億円、県債管理基金913億円、財政調整基金59億円と合計1、564億円の基金がありました。平成22年度は301億円まで減少、東日本大震災津波の発生した平成23年度は813億円まで回復しましたが、平成28年度は見込み額で454億円、平成29年度末には平成22年度を下回る265億円となる見込みです。
先ほどもお話しさせていただきましたが、東日本大震災津波からの復興に係る地方負担を初め、台風第10号の災害からの復旧、復興、社会保障関係費の増大の裏ではかなり逼迫した財政状況があることについて、知事の認識、そして、今後の財政運営について伺います。
〇達増知事 公債費はピークを越えましたものの、その水準は依然として高く、社会保障関係費等も増加傾向にありますことから、平成29年度当初予算編成においても、収支不足への対応のため、多額の財源対策基金の取り崩しを行ったところであります。
厳しい財政状況が続く中にありましても、東日本大震災津波からの復興、台風第10号からの復旧、復興に係る事業については最優先で取り組むとともに、ふるさと振興を着実に推進する必要もございます。
引き続き、地方創生推進交付金等の有効活用を初め、県税徴収の強化や未利用資産の売却など、あらゆる手法によって歳入の確保に努めるとともに、国に対して、地方一般財源総額の確保等について要望してまいります。
また、事業効果や効率性等を踏まえて、事務事業を1件ごとに精査し、一層の選択と集中を図ることによって、限られた財源の重点的かつ効率的な活用を進め、財政運営の健全化に努めてまいります。
〇高橋但馬委員 非常に逼迫した財政状況があるのは現実でありますが、それによって被災地の復旧、復興におくれを来すというのはとても問題があることですし、そのバランスをとりながらしっかりと取り組んでいただきたいと考えます。
次に、2月定例会本会議で行われました知事演述について何点か伺います。
2月20日の岩手日報に掲載された記事によれば、トヨタ自動車東日本岩手工場に最大40人規模の保育所の開所を計画しているとのこと。これは、2016年に国が制度化した企業主導型保育事業を活用したものですが、この制度は、施設工事費と運営費に対して自治体が関与する認可施設並みの支援が受けられ、設置者である企業が、従業員の多様な働き方に合わせた柔軟なサービスが提供できるものです。
知事演述において、いわてで働こう推進協議会を核として、若者、女性の県内就業の促進や働き方改革運動を推進します。企業が主体となった事業所内保育事業に対する支援を初め、やりがいがあり、安心して働くことができる雇用、労働環境の整備に関係機関、団体と連携し取り組んでまいりますとのことでしたが、国とは別に、県として、どのような事業所内保育に対する支援を考えているのかお知らせください。
〇千葉副知事 事業所内保育に対する支援についてでありますけれども、女性の活躍推進や人材の確保を図るため、仕事と子育ての両立に資する就労環境の整備への関心が高まってきておりますことから、県内におきましても、事業所内保育所の設置の動きが出始めております。
今般、新聞報道がありましたトヨタ自動車東日本株式会社が整備いたします事業所内保育所は、同社社員のみならず、周辺企業や近隣住民の方々も利用可能な施設でありまして、地域が一体となって就労環境の向上を図る先駆的な取り組みと認識しております。
県といたしましては、このような取り組みを新たなモデルとして位置づけ支援することとし、来年度当初予算案に、県南ものづくり企業事業所内保育所整備費補助として盛り込んでいるところでございます。
この制度は、国の企業主導型保育事業を活用して、事業所内保育所を整備しようとするものづくり企業に対しまして、国の補助対象外経費となります遊具等の備品購入費や外構の整備費等の一部を、関係自治体と連携して補助しようとするものであります。
県といたしましては、多様な働き方に対応し、安心して働ける環境を整えることは、人材の確保や企業の生産性向上に寄与する有効な取り組みでありますことから、地元市町村と連携いたしまして積極的に支援してまいりますし、また、このような取り組みをさらに県内にも情報発信し、さまざま支援してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 国がフォローできない部分を県としてしっかりバックアップするというのは、非常に重要なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
昨年の6月定例会で、イクボスのトップリーダーである知事として、県が率先して県庁内保育施設を設置するべきではないかとの私の問いに、県庁内保育施設についても、職員の仕事と家庭の両立を支援する方策の一つと考えておりまして、総務部が中心となって、職員のニーズの把握を初め、設置するに当たってのさまざまな課題を検討していくこととしておりますとの答弁をいただきました。
県庁舎または盛岡地区合同庁舎に勤務する全職員を対象とした庁内保育施設の設置に関する職員ニーズ調査では、回答率36.9%、回答者1、012人中、72.1%の730人が必要だと思うと回答しています。預ける理由としては、職場に近く緊急時にすぐ駆けつけることができるからや、県が設置する施設であり安全・安心が期待できるからとのことでありました。
この結果を踏まえ、ワーキンググループで設置に当たっての論点整理を行っていくとのことでしたが、具体的な計画をお知らせください。
〇風早総務部長 庁内保育施設につきましては、職員の仕事と家庭の両立を支援する方策の一つと考えておりまして、昨年7月中旬、庁内に横断的なワーキンググループを設置し、10月に、委員からも御指摘ありました県庁舎及び盛岡地区合同庁舎に勤務する全職員を対象にニーズ調査を行い、この結果を踏まえ、設置場所など諸課題の論点整理を行ってまいりました。
ニーズ調査におきましては、約7割が庁内保育施設が必要と回答し、県庁または盛岡地区合同庁舎に設置した場合は、乳幼児がいる、または出産を予定している247世帯のうち約3割が、預けると回答しております。
その中で、県庁舎または盛岡地区合同庁舎内に施設が設置できない場合、どれくらいの距離であれば預けたいかという質問に対しては、県庁舎または盛岡地区合同庁舎から遠くなるほど割合が低くなっておりまして、できるだけ県庁舎または盛岡地区合同庁舎内、遠くても歩いて5分以内の周辺に設置することが望ましいと考えております。
今後においては、庁内保育施設を設置する場合の具体案の作成、その具体案に対する職員意向調査を実施するなど検討を進めるため、来年度早々にも、現在のワーキンググループを発展させた副部長級から成る検討組織を立ち上げ、議論をしてまいります。
〇高橋但馬委員 先ほども申し上げましたけれども、知事は、イクボスのトップリーダーという宣言もされておりますので、しっかりとその辺も前向きに、かつ迅速に計画が進むよう取り組んでいただきたいと思います。
次に、産業人材の確保、定着を図るため、地域ものづくりネットワークと連携した人材育成、首都圏の大学生等を対象としたインターンシップの実施や奨学金の返還支援など、産学官金が連携した施策を展開しますとのことですが、厚生労働省岩手労働局発表の平成28年12月末時点の県内、県外就職内定者割合の推移を見ると、平成29年3月新規専修学校卒業予定者は、県内就職内定者56.0%、県外就職内定者44.0%、新規短大卒業予定者は、県内60.9%、県外39.1%と過去8年間、多少の増減はありますが、県内就職内定者が県外就職内定者を上回っている状況です。
しかし、新規大学卒業予定者にあっては、県内43.5%、県外56.5%と、8年前から微増している傾向にはありますが、県外就職内定者が県内を上回っている状況であります。
それぞれの卒業予定者数を見ても、大学2、644人、短大465人、専修学校1、852人と圧倒的に大学卒業予定者が多い状況にありますので、大学卒業予定者の県内就職率を高める必要があると考えますが、現在までの取り組み状況をお知らせ願います。
〇千葉副知事 大卒予定者の県内就職率の向上についてでございますけれども、大学生の県内就職を促進するためには、国や企業のほか、大学等の高等教育機関や、経済、産業団体等との緊密な連携によります取り組みが重要であると考えております。
そのため、県におきましては、岩手労働局などと連携いたしまして、県内外で就職ガイダンスや合同面接会などを開催いたしましたほか、企業と連携したものづくり企業見学会なども実施し、県内企業とのマッチングを図っているところでございます。
また、岩手大学や県立大学などの高等教育機関と連携した取り組みといたしましては、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業、いわゆるCOCプラスに、市町村、経済、産業団体とともに事業協働機関として参画し、地域におけます雇用創出や学卒者の地元定着率の向上を推進するためのプロジェクトを展開しているところでございます。
加えまして、いわてで働こう推進協議会におきましては、構成団体であります経済、産業団体等と連携し、企業におけます雇用、労働環境の整備を初め、岩手の仕事・就職情報サイトによる一元的な情報発信やインターンシップ事業の展開による県内企業と大学生のマッチングの一層の充実を図ることなどによりまして、大学生等の県内就職率向上に努めているところでございます。
引き続き、大学を初めとする関係機関と連携を強化しながら、大学生の県内就職を促進してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 数字でも、このように大学生の県外就職のほうがふえているのは事実でありますので、しっかりとその辺も力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
次に、教育新聞によると、全国大学生活共同組合連合会の全国学生委員会は、このほど、組合員の大学生、大学院生を対象とした奨学金制度に関するアンケートの結果を公表しました。奨学金制度を利用していると答えた学生は56.3%で半数を超えました。このうち、返済について7割以上が不安だと回答しています。
長引く不況の影響で、奨学金を受給している学生は全体の3人に1人とも言われております。2012年の数字で言うと約132万人が奨学金のお世話になっており、もはや奨学金を借りることは珍しいことでも何でもないようです。
県では、県内ものづくり企業等の技術力、開発力の向上等を担う産業人材を確保し、地域産業の高度化、持続的な発展を推進していくために、県内企業に就職する大学生等や県外のU・Iターン希望者の奨学金返還の一部を助成することによって、大学生等の県内への還流、定着を図ろうとする趣旨で、いわて産業人材奨学金返還支援制度を創設しましたが、制度設計の考え方と今後の取り組みについてお知らせください。
〇千葉副知事 いわて産業人材奨学金返還支援制度についてでございますけれども、この制度は、中小企業団体等からの産業人材確保への支援についての要望も踏まえまして、地域産業の牽引役となります産業や戦略的に振興する産業に必要な人材確保を支援する国のスキームを活用して創設したところでございまして、行政と地元産業界が協力して基金を設置し、奨学金の返還を支援するものでございます。
具体的には、県内に居住し、かつ県内の事業所に8年以上就業することを予定しております大学、大学院及び高等専門学校の在学生に加えまして、人材の還流促進の観点から、県外に在住する35歳未満のU・Iターン希望者も支援対象とし、また、奨学金返還の助成率を原則3分の1とした上で、一定額以上の基金への出捐をした企業に就職した場合には、助成率を2分の1に設定することで、学生等にとっての魅力を高めますとともに、出捐企業には、採用活動のメリットが手厚くなるようにしております。
今後の取り組みといたしましては、4月から、支援対象となります学生等の募集を開始することとしており、各種の就職説明会や、岩手県Uターンセンターによる首都圏での情報発信等によりまして、学生への周知と制度の利用促進を図ってまいります。
また、基金造成に向けての産業界に対する要請につきましては、本制度の基金創設をお認めいただきました12月議会以降、私を初め商工労働観光部におきまして、本県の産業経済界の方々に対しまして、さまざまな機会を通じ、御理解と御協力をお願い申し上げてきているところでございます。
引き続き、商工関係団体と協力しながら、さらなる制度周知と出捐要請を行い、出捐金の確保に努めますとともに、この制度の趣旨に鑑みまして、支援対象分野の企業のみならず、本県産業経済を牽引する有力企業の皆様にも、広く御理解と御協力をお願いしたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私は、産業人材の確保のみならず、例えばですが、県立大学の学生が奨学金制度を利用して卒業し、県内就職をした卒業者に返還支援を行うことで県内就職が伸びていくはずですし、借金としての奨学金は、結婚にまで影響するという話も聞いたことがあります。少子化対策にもつながる一面があると考えますが、県としての考えをお知らせください。
〇大平政策地域部長 奨学金返還支援による人材の定着についてでありますが、県の奨学金の返還支援制度につきましては、県内に就職、定着し、かつ、県内の中核企業等を担うリーダー的人材を確保することを目的とした総務省の奨学金を活用した大学生等の地方定着促進要綱に基づき、特別交付税の活用を見込み、制度を創設したものであります。
この国のスキームを活用するに当たりましては、地方経済の牽引役となる産業や、学位、資格、卒業後の就業地域などの要件を定めることや、奨学金の返還支援に係る基金に対する地元産業界、経済界との連携などが必要となることから、県内のものづくり企業等の技術力、開発力の向上を担う産業人材の定着を図ることを狙いとしたものであります。
こうしたことから、まずは制度の定着と円滑な運用を図り、さらに、県内企業等の出捐の状況や、高度産業人材に対する需要の動向、制度の応募、利用状況などに注視しながら、政策効果を見きわめていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ぜひ、その定着を図るように取り組んでいただきたいと思います。
県外からのU・Iターンの取り組みとして、移住プロセスに沿った施策の展開を行っていると思います。例えば、東京にあるふるさと回帰支援センターにキャリアカウンセラー1名を追加し、就職相談との一元的な相談対応を実施したり、NPO、地域団体等が主体的に行う移住、定住及び交流促進のために取り組むソフト事業に対する補助、そして、今回の予算ではこの補助金を拡充し、市町村の空き家バンクを利用し、県外から移住する方が、空き家を改修する経費に対して市町村が補助を行う場合に、県がその一部を補助することを盛り込んでいるようです。
移住者への直接的な支援は市町村が大きな役割を担っており、移住、定住の促進に当たっては、市町村等との連携を一層強化していくことが必要と考えますが、今後、どのように移住、定住に取り組んでいくのか伺います。
〇大平政策地域部長 県では、岩手県ふるさと振興総合戦略の施策の一つとして、ふるさと移住・定住プロジェクトを掲げ、全県的な移住推進体制や首都圏における移住相談窓口の整備を行うとともに、市町村の施策を含めた移住情報の発信や首都圏での移住相談会の開催、移住体験ツアーの実施など、市町村や関係機関等と連携しながら、移住、定住の取り組みを進めております。
住宅や仕事など、移住者への直接的な支援や移住者の受け入れ環境の整備については、委員御指摘のとおり、市町村や地域の役割が重要であり、これらの取り組みを一層促進していくことが必要と考えております。
このことから、今年度から実施しておりますNPO、地域団体等が行う移住、定住の促進に資する取り組みへの補助に加えまして、平成29年度当初予算案には、県外からの移住者による空き家バンク登録物件の改修費への支援を行う市町村に対する補助を盛り込んだところであります。
また、いわてで暮らそう!シンポジウムやINSふるさと創生研究会と連携した意見交換会を市町村等とともに開催するなど、市町村、関係機関、企業等と移住、定住施策に関する情報交換や取り組み事例の共有に努めているところであります。
今後におきましても、市町村等との意見交換を十分に行いながら、さまざまな主体との連携を強化して、オール岩手で移住、定住の取り組みを推進してまいります。
〇高橋但馬委員 特に沿岸市町村の人口流出は大きいものがあると思いますので、その分を補填するためにも、事業にしっかり取り組んでいただきたいと考えます。
次に、観光の部分に移らせていただきます。
昨年の6月定例会で、本県を訪れる外国人を含む観光客の入り込みデータによれば、より有効な観光振興戦略が立てられること、そして、データ収集のために、観光協会やホテル、旅館を初め、広く観光に携わる方々との連携の重要性の観点から、県の取り組み状況について伺いました。
国や民間事業者の調査データのさらなる活用、市町村、宿泊施設等と連携した幅広いデータの収集に努め、国内外からの誘客拡大戦略に一層役立てていくとの答弁がありました。
国内外からの観光客の誘致を促進するため、魅力的な観光地づくりと効果的な情報発信、特に国際観光においては、東北各県と連携したプロモーションの展開や無料公衆無線LANの環境整備など、受け入れ態勢の充実に努めることは不可欠であります。
前回答弁を踏まえ、どのような調査データの活用、市町村、宿泊施設等と連携しての幅広いデータ収集をなされたのか、そして今回の予算に反映されたのか、お知らせください。
〇杉村企画理事 調査データの活用状況についてでありますが、戦略的に誘客の取り組みを進める上で、国内外からの観光客の現状、動態等に関するデータを多角的に収集、分析することが重要であると認識しております。このため、従来から国が実施している宿泊旅行統計調査や、県内市町村が調査している市場別の外国人観光客の入り込み動向などの統計データを活用しているところです。さらに、訪日外国人観光客の動態などを分析できる国の地域経済分析システムを活用するとともに、本県独自に、県内等を訪れる外国人観光客を対象に、宿泊観光施設などの協力をいただきながら、旅行情報の収集手段や旅行ルート、訪問動機などに関する調査を実施しているところです。
これらの分析により、旅行先を決める情報入手手段は、インターネットが最も多いこと、宮城県、青森県、秋田県等の周遊が多いこと、訪問動機は、自然、景勝地の見学、食事、温泉が上位であること、旅行中に不満を感じたところは、主に言語と通信環境であることなどが明らかになったところでございます。
これらを踏まえまして、本県の観光情報を発信する外国語ホームページのリニューアルに生かすとともに、平成29年度当初予算案においては、本県及び東北広域での観光周遊ルートの構築や、旅行博への出展などによるプロモーションの強化、他県との連携による国立公園や食をテーマとした観光コンテンツのブラッシュアップ、県内の宿泊、観光施設における多言語表示や無料公衆無線LANの整備等への支援の一層の強化などの取り組みを盛り込んだところです。
今後におきましても、さまざまなデータを収集、分析し、誘客拡大に生かしてまいります。
〇高橋但馬委員 観光振興を進めていく上で、そのデータの収集というのが非常に重要になると思います。収集そして分析、そして、それを制度に生かしていくということが必要だと思いますので、引き続き取り組みをよろしくお願いいたします。
次に、岩手県の旅行業法施行条例では、簡易宿所の構造基準に玄関帳場の設置を義務づけてはいませんが、民泊を健全な形で日本に定着させるためにも、県としても、条例で簡易宿所に玄関帳場を設置することを義務づけるなど、他県に先駆けた対応が急務だと考えます。
今般、外国人旅行者の増加に対応し、一般住宅を宿泊施設として活用する民泊の営業基準を定める新法案の全容が21日、判明したとの新聞報道がありました。県として、全容をどの程度把握しているのかお知らせください。
〇千葉副知事 今国会に提出予定とされております住宅宿泊事業法案、いわゆる民泊新法につきましては、全国知事会を通じて、現時点の案文を入手しているところでございます。
同法案の概要について申し上げますと、年間180日以内で宿泊料を受けて住宅を宿泊に提供する住宅宿泊事業、いわゆる民泊サービス、民泊サービスの委託を受ける住宅宿泊管理業、宿泊者との仲介を行う住宅宿泊仲介業に関する基準、届け出、登録、指導監督等について定めているものでございます。
また、都道府県は、民泊サービスに起因いたします騒音等による生活環境の悪化を防止することが必要な区域がある場合、条例で、当該区域での営業日数を制限することができることとなっておりまして、同法は、公布後、1年以内に施行することとしております。
なお、民泊新法は、旅館業法と別法制度として定められるものではございますが、委員からお話のございました簡易宿所への玄関帳場の義務づけにつきましては、民泊新法制定に伴い旅館業法等の改正が予定されておりまして、本県の旅館業法施行条例も見直しが必要となってきますことから、今後、一連の条例改正の中で、関係者等から意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 今、180日というお話が出ましたけれども、以前はたしかこれが180泊という話があって、その後に180日ということになったと考えております。180泊であると、年間の半分という利用なんですけれども、180日になると、チェックインからチェックアウトまで考えると、要するに1日で、きのうの分ときょうの分ということで、360日、民泊を利用できるという解釈もできるという話を聞いておりますので、しっかりとそういう部分も注視していただきたいと考えます。
新法案により、新規参入しやすくなると考えられます。ホテル、旅館等既存業者は、消火設備、防火設備、受水槽、貯水槽など、消防署や保健所の検査を経て、安全・安心のためにコストをかけている状況です。
昨年9月定例会において、岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合より、地域の実情に応じた運用を認める民泊制度の法制化に係る国への意見書提出を求める請願が全会一致で採択されました。既存業者と新規参入者がイコールフッティングではない状況となるものと考えますが、請願を採択されたことも踏まえ、宿泊者の安全や公衆衛生の確保について県の考えをお知らせください。
〇千葉副知事 民泊におきます宿泊者の安全や公衆衛生の確保についてでございますけれども、本県におきましては、これまで、旅館、ホテル等の営業者の方々には、法令の基準を遵守し、安全で衛生的な宿泊サービスの提供をしていただいており、観光や地域の振興に貢献していただいているものと認識しております。県といたしましては、新たに創設されます民泊サービスにおいても、それに準じました安全で衛生的な宿泊サービスが提供されることが望ましいと考えております。
新法案におきましても、宿泊者の安全と衛生の確保のために事業者が構ずるべき措置が検討されておりますが、その具体的な内容につきましては、政省令で定めることとされておりまして、現時点では、その詳細は不明でございます。引き続き、県として情報収集に努めてまいりますが、仮に、宿泊者の安全、衛生面に著しい懸念が生ずる場合には、必要に応じて国に対し申し入れ等を行っていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
岩手県にも多くの外国人観光客が訪れております。外国人宿泊者の状況は、平成26年は7万7、130人、平成27年は10万6、330人、平成28年は11万9、520人とどんどん多くなっています。しかし、いわて花巻空港の国際チャーター便利用実績を見ると、平成26年度102便、1万4、165人、平成27年度48便、6、065人、平成28年度見込みは40便、5、634人となっています。特に、岩手の外国人観光客の約6割を占める台湾チャーター便の利用実績を見ると、平成26年度は98便、1万3、635人に対し平成27年度は48便、6、065人、平成28年度見込みは36便、4、704人と激減している状況です。
平成26年春季からの混乗型定期チャーター便が高い搭乗率となっていた中で、平成27年度及び平成28年度の便数及び乗客数が減少していますが、これをどのように分析し、対応しようとしているのかお知らせください。
〇千葉副知事 いわて花巻空港の台湾便の減少理由等についてでございますけれども、まず、平成27年度につきましては、台湾桃園国際空港の滑走路工事のため、秋以降チャーター便の運航が制限されましたほか、いわて花巻空港ターミナルビルの増改築工事により、国際チャーター便の受け入れを11月から3月まで休止せざるを得なかったことがございます。
また、平成28年度につきましては、昨年6月の中華航空の大規模な乗務員ストに伴う路線計画の見直し等の影響により、秋の定期チャーター便の運航が見送られたことなどにより、便数及び乗降客数が減少したものと考えております。
いずれ、台湾便につきましては、定期便化を第一の目標としつつ、引き続き、中華航空に対しチャーター便の運航拡大を働きかけていきますとともに、近年、旅行会社が主導するチャーター便の運航も増加しておりますことから、旅行会社に対する誘致活動も積極的に強化してまいります。
〇高橋但馬委員 しっかりといわて花巻空港の利用に取り組んでいただきたいと思います。
観光庁は、東北地方の観光復興として、東北地方へのインバウンド推進を図るため、平成28年度に東北観光復興対策交付金を新たに設け、東北の地方公共団体の取り組みへのさらなる支援と、日本初となる全世界を対象としたデスティネーションキャンペーンとして東北への集中的なプロモーションに取り組んでいますが、この内容をどう捉えているのでしょうか。
〇杉村企画理事 観光庁の取り組みについてでありますが、東北へのデスティネーションキャンペーンは、東北の観光復興を強力に推進するために、国が平成28年度から実施している全世界を対象として大規模に観光宣伝を展開するものであり、平成29年度におきましては、テーマ別の魅力ある観光資源をグローバルメディアを通じて全世界に発信する東北テーマ別観光魅力発掘・発信事業、著名人を起用したプロモーションを行う知名度向上事業、東北への送客を目的として、イベントを活用した事業や共同広告を実施する送客推進事業、台湾、香港、中国などの市場別のニーズに沿った具体的なプロモーションを行う市場別プロモーション事業を展開すると聞いています。
県においては、これまでも、国際旅行博や商談会など、このプロモーション事業に参画してきたところであり、引き続き、国と一体となって取り組んでまいります。
〇高橋但馬委員 ぜひとも、東北の観光の復興対策ということで出ているものですから、しっかりと活用していっていただきたいと思います。
日本の奥の院・東北探訪ルート形成計画によれば、広域観光周遊ルートの形成の促進として、東北の各県を観光地ネットワーク化し、東北の自然、歴史文化や食などを探訪する旅を満喫できるようにし、これにより、訪日外国人の誘客を促進することとしています。これからの外国人観光客の受け入れは、県単独というものも大事ですが、東北一丸となって取り組むべきだと考えます。
仙台空港の国際線の外国人利用者数は、平成23年3万1、727人でしたが、平成27年7万7、198人と倍以上に増加しています。東北各空港で、仙台空港に続くのが青森で2万6、948人、次いで秋田2万2、746人、そしていわて花巻空港7、062人となっています。これは、ビジネスも含まれるため一概には言えませんが、仙台空港は間違いなく外国人観光客の東北の空の玄関であると考えます。
台北から仙台空港への4泊5日のツアーが数多く組まれており、岩手の温泉郷に1泊から2泊し観光するプランになっています。このような広域観光周遊ルートの形成が重要だと考えます。
今後においても、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会など、世界から日本そして岩手が注目されていると考えています。いわて国際戦略ビジョンも踏まえ、県としてどのような施策を考えているのでしょうか。
〇杉村企画理事 広域観光周遊ルートの形成に向けた施策についてでありますが、外国人観光客の誘客拡大を図るためには、東北各県のすぐれた観光資源を組み合わせた広域観光周遊ルートを売り込むことが重要であると認識しています。このため、本年度中に策定するいわて国際戦略ビジョンでは、東北各県等との連携を強化し、広域観光周遊ルート日本の奥の院・東北探訪ルートを柱に、東北ブランドとともに岩手ブランドの構築を図りながら、誘客の拡大に取り組むこととしております。
これまでも、台湾での東北各県の知事等による東北トップセールスを初め、海外旅行博への出展や招請等によるプロモーションを実施するとともに、海外の人気テレビドラマロケ誘致、食をテーマとした海外テレビ番組の制作、自然や伝統工芸をテーマとした動画の海外向け発信などにより、海外の方々に直接、東北、岩手を訴求するPRを展開してきたところです。
今後におきましても、東北の枠組みでの取り組みに加え、日本の玄関口であり、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される東京都や、釜石市とともに北日本でラグビーワールドカップ2019の試合が開催される北海道との連携を強化し、誘客のさらなる拡大を図ってまいります。
〇高橋但馬委員 国では、東北6県の外国人宿泊者数を、2020年に、2015年の3倍の150万人泊に押し上げるとうたっております。岩手県としては、このうちどれぐらいの数値を目標としているのでしょうか。また、その達成のための取り組みについてお知らせください。
〇杉村企画理事 外国人宿泊者数の目標についてでありますが、国においては、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の東北の外国人宿泊者数を、2015年の3倍とする目標を設定したことに伴い、東北観光復興対策交付金の創設を初め、東北への外国人観光客の誘客拡大への支援の強化を図ったところです。
このような国の目標設定の考え方は、東北各県の連携を強め、東北という一つのブランドの構築を図りながら誘客を拡大し、東北トータルとして3倍に押し上げようとするもので、各県ごとの目標設定は行っていません。
国が設定している目標の達成に向けては、東北各県とも連携した旅行博への出展や、メディア等の招請などのプロモーションの強化に加え、先ほど申し上げましたけれども、日本の玄関口である東京都と共同で設置した誘客連携体制や、北海道新幹線開業を契機に、北東北と北海道が共同して誘客に取り組むこととした枠組みを中心に広域周遊を促進するとともに、今年度中に策定するいわて国際戦略ビジョン基づき、岩手の誇る日本酒や伝統工芸品、農林水産物を観光資源として積極的に活用し、丸ごと岩手を売り込むことで、本県への周遊、滞在を促進し、誘客拡大を図ってまいります。
〇高橋但馬委員 ここで東北の連携が強化されることで、さらなる集客が見込まれると思いますし、特にも、県単独で完結するプランも大切だと思いますけれども、しっかりと東北一丸となって取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、JR東日本が山田線を託す三陸鉄道は、東日本大震災津波直後に無料で復興支援列車を運行し、その後もさまざまな施策を繰り出し、被災した住民を勇気づけました。あまちゃん効果も寄与して、三陸復興のシンボルになることに成功しました。三陸鉄道にとっては、南北に分断されている路線に山田線が加わることで、一本につながることが観光振興に一役買う存在となると考えます。
移管による三陸創造プロジェクトの位置づけはどのようなものになるのか伺います。
〇大平政策地域部長 三陸鉄道への移管による三陸創造プロジェクトの位置づけについてでありますが、三陸鉄道は、平成30年度末に久慈-盛間が一貫経営される予定であり、このことにより、三陸地域が国内外から大きく注目され、観光客の増加が見込まれているところであります。このことから、三陸創造プロジェクトの中の新たな交流による地域づくりプロジェクトの展開方向の一つといたしまして、復興道路や宮古-室蘭間のフェリー航路開設、三陸鉄道に山田線再開等の新しい交通ネットワークを生かした交流促進を位置づけまして、久慈-盛間の一貫経営などの環境変化を好機とし、交流人口の拡大を図ることとしているものであります。
〇高橋但馬委員 国は平成28年度を東北観光復興元年とし、関係機関、地方公共団体や民間団体と連携し、施策を総動員して観光振興に取り組むとしています。
先月2日に、被災して運休中のJR山田線宮古-釜石間の第三セクター三陸鉄道への移管に伴い、JR東日本が自治体に支払う協力金30億円の使途を協議する沿線首長会議が開かれました。施設整備費や人件費、設備更新費、災害復旧や利用促進の経費、運営支援に16億円から18億円を充てることとなりました。15年で使い切る見通しの協力金の活用期間を20年に延長するため、移管6年目に自治体負担を導入するとのこと。三陸鉄道移管山田線での県の試算は、初年度に7、000万円の経常損失が24年度で1億1、000万円、38年度には1億7、000万円になるとしました。JR東日本が抱える路線の中で、利用者の少なさはワーストスリーに入るとのことであり、地元負担をどれだけ減らすかが重要となります。
東日本大震災津波前から、被災地で住民、行政を巻き込んで地元公共交通機関の利用促進のための意見交換が何度も行われてきました。しかし、結果として、効果的な促進策がないまま今日に至っています。今のままだと、1年に1億円の赤字で、16億円から18億円の運営支援が16年から18年でなくなることは目に見えています。三陸鉄道維持の最大の鍵は、行政と住民が協働のもと、どれだけ効果的な方策を立てられるかにかかっています。
少子高齢化や自動車の増加で利用者数が減少する中で、県として利用者増や利便性向上の方策をどのように考えているのかお知らせください。
〇大平政策地域部長 三陸鉄道の利用者増についてでありますが、利用者をふやしていくためには、あらゆる施策を講じることが必要と考えておりますが、まずは三陸鉄道が提供する運行サービスや駅の利便性の向上等が重要であり、県といたしましても、関係市町村と構成する三陸鉄道強化促進協議会を通じ、貸し切り列車の借り上げ料や団体利用客の運賃割引に対する補助を行っているほか、岩泉小本駅、島越駅、恋し浜駅などへのエレベーターやスロープ設置などによるバリアフリー化への支援を行ってございます。
また、駅を中心としたまちづくりも必要と考えておりまして、岩泉小本駅や宮古駅のように、駅を中心とした公共施設、商業施設等の配置や、市役所の駅周辺への移転など、沿線市町村により、このような取り組みが進められているところであります。
県といたしましては、平成30年度末を見込む山田線の経営移管による久慈-盛間の一貫運行のメリットを十分に生かし、全線を通じて乗車できる企画列車、観光商品の造成や旅行エージェント向けの営業強化、フェリー航路の開設を捉えた北海道からの誘客、JR東日本との観光面での連携等、あらゆる手を講じながら交流人口の拡大を図ることが重要と考えております。
さらに、ラグビーワールドカップ2019の開催を好機といたしまして、観光案内看板等の多言語化などのインバウンド対応を強化するなど、外国人観光客の増加も図ってまいります。
全線開業時には、山田線に全国の注目が集まることから、大規模な開業イベント-仮称でありますが-三陸防災復興博などにより盛り上げ、内外の多くの方々に三陸鉄道を利用してもらうとともに、沿線住民と県及び関係市町村が一体となって、マイレール三鉄として、地域とともに三陸鉄道を支えてまいります。
〇高橋但馬委員 三陸鉄道の部分に関しましては、これから利用者をどうふやしていくのか、学生自体も減って、もう基本的に運営は厳しい状況にあるとは思うんですけれども、他県のローカル鉄道とかその辺もしっかり調査して、この三陸鉄道がしっかりと残れるように県として取り組んでいただきたいと思います。
2月定例会の郷右近議員の質問に対し、プロスポーツ等との連携について、バスケットボールの岩手ビックブルズ、サッカーのグルージャ盛岡、ラグビーの釜石シーウェイブスを連携の対象とし、スポーツ教室や高齢者を対象とした運動教室を実施することで県民の運動機会の創出や健康づくりにつなげるほか、県内各地からリーグ公式戦への観戦招待などを想定している旨の答弁がありました。ビジネスを振興するとともに、全国的なスポーツイベントや大会の誘致を進め、県内外からアスリートや応援団が集う、元気でにぎわいのある岩手をつくっていくためには、例えば、秋田県ではプロスポーツ各チームのユニフォームや試合会場等に県指定のキャッチフレーズ、ロゴマーク等を掲出することにより県内外において情報発信を行っており、秋田ノーザンハピネッツ、ブラウブリッツ秋田には1、100万円、秋田ノーザンブレッツに700万円を拠出しているほか、県有体育施設の使用料減免なども行っています。
このような施策を推進するに当たっては、スポーツ推進のための財源確保が重要です。このため、財政事情等を考慮しつつ、必要な予算措置の充実に努めるとともに、スポーツ振興くじtotoの助成金や国の各種事業の活用のほか、企業や個人等から寄附金を含めた民間資金の活用など、多様な財源確保が必要となってきます。
岩手の子供たちの憧れ、目標となるプロスポーツチーム、すなわち岩手ビックブルズ、グルージャ盛岡、釜石シーウェイブスをこの先支援していかなければならないと考えますが、今後の方向性をお知らせください。
〇大平政策地域部長 プロスポーツチームとの連携についてと今後の方向性についてでありますが、県民の運動機会の創出やスポーツを通じた交流人口の拡大など、スポーツを通じた地域活性化を図るに当たって、プロスポーツなどのトップスポーツチームは、高い競技能力や知識に加え、選手やファンによる県内外における人的交流の機会や、子供たちに夢や目標としての存在感を有していることから、スポーツを通じて、幅広い分野において連携の可能性があるものと考えているものであります。
こうしたことから、来年度、県内に本拠地を置く、先ほど委員からの御質問にもございましたが、岩手ビックブルズ、グルージャ盛岡、釜石シーウェイブスに対し、チームの試合と連動した県民のスポーツ振興の機運醸成、選手のスキルや魅力を生かした各種スポーツ教室の開催、県内市町村からの観戦招待などの事業委託を行うことを検討しており、その経費を平成29年度当初予算案に盛り込んだところであります。
今後におきましても、県、トップスポーツチーム双方にとってプラスとなる、より効果的な連携のあり方を検討してまいります。
〇高橋但馬委員 文化スポーツ部の新設に関して、しっかりとプロスポーツチームに対する支援というのは重要となってくると考えます。これは、私、データをとっているわけではないのですが、プロスポーツチームがある県、市町村でもいいんですけれども、そこの地域の子供たちがそのスポーツに興味を持つか。というのは、絶対、プロスポーツチームがあるところというのは、子供たちは意識していると思うんです。そうすると、中、高と、部活のほうの力の入れ方も変わってくると思いますし、そういう部分でしっかりとスポーツ振興というのは進めていく意味があると私は思いますので、今、既存としてプロスポーツチームが三つあるわけですから、県としてもしっかりとバックアップすることをお願いいたします。
昨年10月に国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が、復興に貢献したいと、世界の人たちに復興の進捗を示すことができるとして、複数の競技種目を東日本大震災津波の被災地で開くことを提案し、野球、ソフトボール競技の開催について、今調整が進められているところであります。
河北新報社が被災3県の市町村長に実施したアンケートによると、一つ目が東京五輪は被災地の復興に役立つか、二つ目が、復興五輪の理念は明確かとの問いに、一つ目は54.8%、二つ目は71.4%が、何とも言えないと回答しました。
知事は、知事演述において、県民誰もがスポーツを楽しむことができる環境づくりを進め、ラグビーワールドカップ2019や復興五輪を理念に掲げる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の機運醸成を図ってまいりますとのことでありましたが、沿岸被災地首長との認識の相違が見られることについて、どう捉えているか伺います。
〇達増知事 御指摘のアンケート結果を見ますと、東京五輪の被災地の復興に対する期待の度合いや、復興五輪の理念の認知度も市町村長によってさまざまであることがうかがえます。これは、大会組織委員会や東京都による大会の機運醸成の活動が緒についたばかりであるということに起因するものと考えます。
先月17日には、大槌町でフラッグツアーが開催されて、小池東京都知事を初め、オリンピアン、パラリンピアンの方々の参加もいただいて復興五輪をPRしました。今後、組織委員会や東京都、また、経済界の協議会等による一層の活動の活発化が期待されます。
県といたしましては、国や組織委員会、東京都等に対し、復興の状況を全世界にアピールして、世界中から訪れる方々が被災地にも足を運ぶなど、名実ともに復興五輪と言えるような大会となるように、引き続き働きかけを行いますとともに、沿岸市町村や関係団体とも連携しながら、機運を盛り上げていきたいと思います。
〇高橋但馬委員 希望郷いわて国体・希望郷いわて大会がありまして、国体・大会を通じて岩手県内は非常に盛り上がりましたし、皆さんの支援があったからこそ、天皇杯、皇后杯2位というすばらしい成績、結果を残せたことだと思います。スポーツというのは、奮い立たせる力を持っていると私は考えております。
平成29年度より新たに文化スポーツ部を設置され、スポーツを通して被災地を盛り上げていくとのお考えと思いますけれども、知事の思いを最後にお伺いして、前段の私の質疑を終わりたいと思います。
〇達増知事 希望郷いわて国体と希望郷いわて大会の経験から、私たちはスポーツの力、それに加えて、文化の力やおもてなしの力などによる盛り上がりが復興の力にもなるのだということを示すことができたと思います。
ぜひ、東京オリンピック・パラリンピックもそのような大会になるよう、この希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の経験を伝えることもあわせて、関係者に働きかけていきたいと思います。
〇高橋但馬委員 ありがとうございました。私も期待しているところであります。
以降、佐々木朋和委員と交代させていただきます。終わります。
〇名須川晋委員長 次に、佐々木朋和委員。
〔佐々木朋和委員質問者席に着く〕(拍手)
〇佐々木朋和委員 改革岩手の佐々木朋和でございます。高橋但馬委員に続き質問をさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。
まず初めに、震災復興とさらなる展開への連結についてお伺いをしたいと思います。
平成29年度当初予算の規模は、総額で、前年比8.1%減、震災分で24.0%減の東日本大震災津波後初めて1兆円を割る9、797億円余となり、これは、復興事業のハード面の整備が順調に進み、ピークを越えたことを示しており、今後の課題としては、復興需要により牽引されてきた本県の経済状況を下振れさせないよう、いかに軟着陸させるかというところであり、まさに復興後の岩手をどのように描き、ビジョンを示していくかということと、復興をどのように進め、完結させるかということが密接に関係する時期となりました。
そのような状況下で、県は、平成30年度までの第3期復興実施計画期間をさらなる展開への連結期間と位置づけ、その後は、次期県民計画と一体となった復興施策の推進を計画していますが、その意図をお示しください。
〇達増知事 まず、復興基本計画は迅速な復興の推進を図るとともに、平成31年度からのスタートが予定されている県の次期総合計画を見据えて、平成23年度から平成30年度までの8年間を全体計画としています。
第3期復興実施計画では、平成29年度そして平成30年度の2年間を、さらなる展開への連結期間としまして、三陸のよりよい復興の実現に向けて、復興事業の総仕上げを視野に、復興の先も見据えた地域振興に取り組んでいく期間としているところであります。
〇佐々木朋和委員 この復興について、県としては、国、市町村が平成32年度まで計画を継続する中で、平成30年度で区切りをつけながら、県民計画、あるべき姿に向かって県が率先して示していくということは、市町村が震災に真正面から向き合っている、そして、そこでいっぱいだという中にあって先を示すということは、私は県の一つの大きな役割だと思っております。ですので、支持をさせていただきますけれども、一方で、8年にわたる単独の復興実施計画の最終計画である第3期復興実施計画を県民に提示するに当たり、県は、被災者である復興者や被災自治体に不安を与えぬよう、より具体的な第3期復興実施計画後の姿を示す必要があると思われます。
平成30年度までに完了させるものを示し、完了しない場合も財源をしっかり確保することを約束する、平成30年度以降も事業を継続させるものは、新たに財源を示すことで被災自治体は安心をします。そして、どのような復興後のあるべき姿を示し計画内で準備をしていくのか、第3期復興実施計画後の青写真をお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 第3期復興実施計画後の青写真ということでありますけれども、まず、社会資本の復旧・復興ロードマップ、これは社会資本の復旧、復興事業の動きや復興に向けた今後の見通しを示すものでありますけれども、このロードマップに示されていますとおり、主要8分野のうち、平成30年度までに、復興まちづくり、漁港、教育、医療の4分野を初め、直轄事業を除いて、そのほとんどが完成する見通しでありますが、残る事業についても、完成時期が未定となっている一部道路事業を除いて、平成32年度までの完成を見込んでいるところであります。
また、被災者の心と体のケアや地域コミュニティーの形成支援などの被災者支援のソフト事業につきましては、これは継続的な取り組みが必要なものであり、計画期間等で区切ることなく、必要な事業は最後まで実施してまいります。
これらの取り組みに必要な財源については、平成28年度以降の財源フレームが閣議決定され、必要と見込まれる財源はおおむね確保されたところであり、この財源フレームに基づいて、国において復興に必要な予算が確実に措置されるよう引き続き国に対して要望をしながら、市町村、国とも連携して、復興がおくれることがないよう、しっかり取り組んでまいります。
復興計画期間中は、復興基本計画に掲げたいのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造という目指す姿の実現を目指し、平成31年度以降については、国が平成32年度までと位置づけている復興・創生期間と連動して、そして市町村における復興の取り組みの進捗との整合性に十分配慮しながら、復興に関する県の計画については、県民的な議論を通じて策定していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 了解しました。今も丁寧に説明をしていただきましたけれども、県には、これからも被災自治体または被災者である復興者へ丁寧に説明をしていただきたいと思いますし、また、この議会が情報発信の最大の場であると思っておりますので、我々議員もそういった情報発信に協力をしていく、また、そういうことが明確になるような質問をしていくということは務めであると思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
次に、復興後の社会資本整備についてお伺いをしたいと思います。
社会資本整備については、復興事業と、その後の事業の間に谷間の時期をつくらず、切れ目なく行われなければ、災害時に大きな力となる地元建設業者の減少につながり、安心・安全なまちづくりにとっても大きな痛手となります。そのため、早期に復興後の社会資本整備のあり方を示し、調査事業も第3期復興実施計画期間にも組み入れていくなど工夫が必要と思われますが、県は、東日本大震災津波からの復興後の社会資本整備についてどのような方針で取り組んでいくのか、方針策定の見通し、事業規模もあわせて伺います。
また、県は、復興事業減を見据え、地元業者に配慮した入札方式に改定するなど対策をとっておりますが、他被災県でもさまざまな工夫をしており、建設業の人手不足解消にも踏み込んだ施策も必要と思われます。地元建設業者の育成、維持確保についてもお伺いいたします。
〇千葉副知事 復興後の社会資本整備についてでございますけれども、県では、復興後におきましても、今後増加してまいります社会資本の維持管理や老朽化対策への対応、生産性の向上に資する交通ネットワークの構築や治水対策、土砂災害対策などを推進していくことが重要であると認識しております。このことを踏まえまして、平成30年度中の策定に向け作業を進めます次期総合計画の中で、今後の社会資本整備の方向性や整備目標等について検討しますとともに、必要な事業規模についても配慮していきたいと考えているところでございます。
なお、第3期復興実施計画の期間におきましても、事業導入に向けた調査は必要に応じて進めてまいります。
また、地元建設業は、社会資本の整備や維持管理の担い手のほか、災害等の緊急時に即応できる必要不可欠な存在として、地域に欠かせない重要な役割を担う産業であると認識しております。このため、県におきましては、復興後を見据えて昨年度策定いたしましたいわて建設業振興中期プランに基づきまして、建設企業がみずから取り組む経営改善や経営基盤強化の支援、ICT技術の活用による経営効率化の推進を図りますとともに、若者、女性が働きやすい職場環境の整備により、新たな担い手の育成、確保を支援してまいりたいと考えております。
なお、平成28年度からは、総合評価落札方式による入札におきまして、除雪や維持修繕業務の実績を評価項目化するなど、地元企業への配慮を行っているところでございます。
〇名須川晋委員長 佐々木朋和委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
佐々木朋和委員、御了承願います。
午前11時54分 休 憩
午後1時2分再 開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 それでは、午後もよろしくお願いいたします。
先ほどの復興後の社会資本整備計画については、平成31年度からの県民計画の中で示していくということでしたけれども、必要な調査事業等については前倒しでやっていくというようなお話もありまして、課題は共有させていただいたと思っております。ぜひとも、議論の中でも事業規模を含めてオープンにしながら、建設業者が準備していけるように取り組んでいただきたいと思います。
次に、岩手県ふるさと振興総合戦略についてお伺いしたいと思います。
県は、平成27年10月に岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすという三つの施策の柱を中心とした岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、ふるさと振興、人口減少対策に取り組んでいます。しかしながら、本県の人口の社会減は、平成32年度目標値0人に対し、平成27年で4、000人余の転出超過、平成28年は3、600人余の転出超過となっており、依然厳しいハードルとなっております。
また、自然減についても、合計特殊出生率で目標値平成31年度1.45以上のところ、平成27年度は1.49と目標を達成しているものの、今の社会状況の中、この数字を維持していくことも高いハードルのように思われます。
県は、目標値達成の前提として、国を挙げて取り組むべきこととして社会減対策、地方の働きにくさを解消する地方重視の経済財政施策、自然減対策、高い水準の社会保障制度、出産、子育てサービス体制をつくることを挙げ、それぞれに国に期待する施策例も挙げておりますが、安倍首相は、政府が掲げてきた2017年度末までの待機児童ゼロは、保育士不足を理由に目標の先送りともとれる発言をし、学童保育についても、スタッフ不足が理由で待機児童が2年連続過去最多の1万7、203人となりました。
また、各地域がこぞって打ち出す児童の医療費助成制度や給付型奨学金制度、ふるさと納税などは、東京一極集中から、地方に人材とお金を還流する動きにはつながらず、地方同士の消耗戦の様を呈してきたようにも思われます。
働き方改革についても、ニュースでは、大企業の有給休暇取得優遇制度やプレミアムフライデーの報道がなされていますが、本県の9割を占める中小企業でも可能なのか。働き方改革もトリクルダウンを狙うような手法は、かえって東京と地方の格差を広げることになりかねないと危惧をするところであります。
県は、ふるさと振興総合戦略の折り返し地点を迎えるに当たり、これまでの国の取り組みをどのように評価しているのか、県が挙げた期待する施策のうち、何を行い、何が行われていないのか、今後期待するところをお示しください。
また、県は、平成28年12月に総合戦略を改定していますが、働き方改革アドバイザー派遣企業数、県外大学生などのインターンシップ参加者数、インターンシップに参加した県外大学生などの県内就職者数などのKPIを加える小幅な改定にとどまっています。
県は、これまでの取り組みをどのように評価し平成29年度予算へつなげていくのか、お伺いいたします。
〇大平政策地域部長 2点のお尋ねでございます。まず、国の取り組みへの評価と期待についてでありますが、これまでの国の取り組みにつきましては、人口減少が危機的な課題であることが国民の間で共有されたことに加えまして、地方創生の推進を支えるための法に基づく地方創生推進交付金の創設、こうした財源を活用した移住、定住など自治体間での施策、アイデアの競い合いや先進事例の横展開など、地方の活性化につながったと考えております。
全国知事会の取りまとめによりますと、東京一極集中が加速しているとの複数の声や、地方創生推進交付金に対し使い勝手が悪いとの評価が多数あり、国においては、こうした地方の声を受けとめ、国家戦略として十分な予算を確保し、主体的に施策を展開することを期待しております。
次に、県の取り組みについてでありますが、今年度は、ふるさと振興総合戦略に基づく具体的な施策の展開により、いわて働き方改革推進運動の取り組みや本県への移住の動きに広がりが見られる中、本県の社会減は直近の平成28年で3、708人と、拡大が3年ぶりに縮小に転じたところであります。
一方、依然として本県の社会減が続いていることから、平成29年度当初予算案では、復興とふるさと振興に重点的に取り組むことを掲げ、岩手で働くでは、ものづくり分野における高付加価値製品の開発や生産性の向上による企業の魅力と雇用の質の向上、首都圏の大学生等を対象とするインターンシップの本格実施、岩手で育てるでは、i-サポの拠点増設による出会いから結婚までの支援強化や、地域で妊産婦を支える体制の構築、岩手で暮らすでは、若者、女性の活躍支援や産学官連携による新産業創出、起業を志向する学生向けの実務教育など、ふるさとの未来を担う人づくりを推進することなどの取り組みを進めることとしているところであります。
〇佐々木朋和委員 了解しました。
それでは、ちょっと角度を変えて、ふるさと振興施策の県民の受けとめというか実感というところをお聞きしたいと思うのですけれども、県民、地域住民には、ふるさと振興、人口減少対策がどのように受けとめられているでしょうか。県や各市町村が人口減少に歯どめをかけるため、さまざまな努力をしていることには敬意を表するところでありますが、自然減、社会減の好転にはいまだ時間がかかり、一方、人口減少の影響や地方財政の厳しさは年々増す一方で、協働や民間委託の名のもとに住民負担が増大しているようにも思われます。
さらに、総務省と内閣府は、人口減少に合わせた自治体のスリム化を平成29年度から二、三年で改革を促すとし、その対象は、病院を除くほぼ全ての事業が対象と言われております。
岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げるふるさと振興策は、将来世代へふるさとを残し、持続可能な社会を目指すという崇高な目標を掲げるものでありますが、今、県民が感じている痛みや苦しさに目を向け、県民生活へのフィードバックも示していかなければ、施策の市民権は得られず、これまでも議論にあった子育て税の協力など、新たな負担、協力に賛同は得られないと思います。
県は、ふるさと振興、人口減少対策を行っていく意味を県民にどのように説明していくのか伺います。
〇大平政策地域部長 県の人口ビジョンにおきましては、本県の人口は2040年には100万人程度となりますが、そのときの人口構造は、高齢者の割合が高く、若年者の割合が低い逆ピラミッド型になることが見込まれているところであります。
このような人口減少は、児童生徒の減少により、学校教育や地域の文化継承が困難になることや、医療、介護の需要増に対する人材の不足、生産年齢人口の減少による労働力不足や経済活動の低下、過疎と高齢化の進行による地域コミュニティー機能の低下など、地域の社会システムの維持、存続に大きな影響を及ぼすものと考えます。
このことから、あらゆる生きにくさを生きやすさに転換し、岩手への新たな人の流れを生み出し、人口減少に歯どめをかけるため、県の総力を挙げて、ふるさと振興の取り組みを推進しているところであります。
また、ふるさと振興におきましては、あらゆる人々が希望を持って生きていくことができる場にするため、人々の働き方や結婚、子育てのあり方など、さまざまな仕組みを改革していく必要があり、市町村、雇用創出を担う民間事業者、子育て支援を担うNPO、各種団体など、あらゆる主体が協働しながら推進することが重要と考えております。
このことから、今後も、県の各種広報媒体や会議、セミナー、フォーラムなど、さまざまな機会を捉えてふるさと振興に取り組む意義を積極的に普及し、県民総参加の取り組みとして戦略を着実に推進してまいります。
〇佐々木朋和委員 人口減少に歯どめをかけるというのは、やはり時間のかかる施策だと思っております。しかしながら、一方で、今はもう人口減少が進み、地方自治体は財政が苦しい中で、県民はそういった負担を抱えながら、そういった人口減少対策についても取り組んでいく、また理解を得ていかなければいけないところに難しさがあるんだろうと思っております。
そういった意味で、県にはもう少しわかりやすく、また、県民にとって、すぐに恩恵と申しますかフィードバックがあるような施策も訴えながらやっていかなければいけないと思っておりまして、次の質問につながるわけですけれども、岩手で暮らすについて質問させていただきたいと思います。
ふるさと振興の三つの柱のうち、三つ目の柱として掲げている岩手で暮らすは、その中に五つのプロジェクトを抱え、内容も多岐にわたります。また、岩手で暮らすで目指す地域の魅力の向上という概念は広く、五つのプロジェクトの推進結果として目指すKPI、国民所得に対する県民所得の乖離の縮小につながるプロセスも不明確であり、県民に施策意図が伝わっているか疑問があります。
他県の計画を見れば、人口減少に歯どめをかけることはハードルが高いことを認識した上で、人口減による経済の減退、税収減を補完する施策として観光やふるさと納税を明確に位置づけているものや、人口減少社会での地域や行政サービスを維持するための工夫や、ふるさと県民あるいは拡大コミュニティーという呼び名で、県外の人や若者と地域をつなげる仕組みづくりなど、いわゆる地域維持のための守りの施策を展開しているところもあります。
これらの施策は即効性があり、県民がふるさと振興の意義を感じるためにも有効と思いますが、県は、このような取り組みをふるさと振興策としてどのように位置づけているのか伺います。
〇大平政策地域部長 岩手で暮らすの中では、生活基盤や医療、福祉の充実、人材育成など五つのプロジェクトにより、ふるさとを支える公共サービスなどの基盤の強化も含め、地域の魅力向上に取り組んでおります。
魅力あるふるさとづくりに向けては、地域コミュニティーの活動の維持、活性化が欠かせないものであり、コミュニティー活動への地域住民の主体的な参画とともに、本県に関心を寄せ、寄附を通じて本県の取り組みを応援いただいている方々や、観光を契機に地域の魅力に触れ交流を深めている方々などとの、委員御指摘の拡大コミュニティーとも言える多面的、継続的な交流は、地域の経済社会の活性化を図っていく上で重要であると考えております。
これらにつきましては、岩手で働くの柱のもとで、観光産業の振興や移住、定住促進など三つのプロジェクトにより、交流人口や岩手ファンの拡大に向けて取り組んでおります。
具体的な県内の動きでありますが、例えば西和賀町の小繋沢地区では、町外で暮らす出身者に向け、情報誌の送付やふるさとの味を届けるふるさと宅配便など、交流活動を展開し取り組んでいるほか、一関市の京津畑地区では、山里の食文化を発信する食の文化祭を開催し、他地域から訪れた大勢の来場者との交流が広がっており、こうした先進的な取り組みについて、他地域への展開も図りながら、豊かなふるさとづくりに取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 今、私が申し上げた施策について、ふるさと振興に資するということを認めていただいたと思っております。であるならば、やはりそのディテールと申しますか制度設計についても、例えば若者についても、今、県では一生懸命、若者の活躍または輝く場をつくっていただいて、これはすばらしいことだと思っております。そういった皆さんが県政にかかわっていただけるのは、今までにないことでありまして、大いに評価をするところであります。
今度は、次の段階として、世代間を超えて若者が地域に入っていくような、担い手になるような施策をしたり、もしくは、県出身者でなくても、県外で岩手のことを発信していただけるイベントなどにも助成するとか、いろいろなやり方があると思うんですね。ぜひ、そういったディテールにこだわって、ふるさと振興に資する施策を展開していただければいいと思っております。
次に、自然減対策について伺います。
岩手で働くで示されている自然減対策については、子育て支援の充実には担い手の確保が何よりも重要でありますが、保育士の確保については、さきに述べた全国の状況を見るに、本県で育てた保育士人材が首都圏へ流出しないか不安が残ります。
本県の保育士確保対策として、県は、保育士・保育所支援センター設置事業において、マッチング件数、平成27年度102件、平成28年度は1月末で94件となっている一方、保育士資格取得支援制度の利用者は4名、保育士就職準備金貸付事業の交付決定件数は3件となっております。
県は、これまでの保育士確保策をどのように評価し、平成29年度へつなげていくのか伺います。
〇千葉副知事 保育士確保対策の評価についてでございますけれども、県におきましては、これまで、保育士の確保のため、保育士・保育所支援センターでのマッチングや相談対応、保育士等の賃金改善に係る処遇改善加算措置の周知、新任保育士を対象とする就業継続支援研修、潜在保育士に対する再就職支援研修や就職準備金の貸し付け、幼稚園教諭等の保育士資格取得支援などに取り組んできたところでございます。
これらの取り組みの結果、保育士・保育所支援センターによるマッチングや相談対応の件数が年々増加しており、また、潜在保育士の再就職支援研修を毎年度20名程度が受講するなど、潜在保育士の就職にもつながっていること、全ての対象施設で処遇改善加算措置が実施され、保育士等の処遇改善が図られてきていること、新任保育士の就業継続支援研修を毎年100名程度が受講し、新任保育士の離職防止の機能が図られていることなど、保育士の確保について一定の成果があったものと認識しております。
一方、委員御紹介のとおり、保育士資格取得支援事業は、その対象が幼稚園教諭免許を有する方、保育所等で保育業務に従事する方等に限定されること、また、潜在保育士向けの就職準備金貸付事業は、事業開始が平成28年11月と開始後間もないことなどから、その活用件数がいまだ少なく、さらに周知を図る必要があるものと考えております。
平成29年度におきましては、各種研修を継続して実施いたしますほか、保育士資格取得支援事業や就職準備金貸付事業の周知を図り、活用を促しますとともに、再就職した保育士との対話を行うなどの相談会、通称保育士カフェの開催回数をふやすなど、保育士資格の取り組みを強化したいと考えております。
〇佐々木朋和委員 さきの一般質問において、保育士修学資金貸付制度の創設について取り上げられたところでありますが、保育士を確保し、その定着を図っていくためには、本県においても、この制度の創設に前向きに取り組むことが必要と考えますが、知事の御所見を伺います。
〇達増知事 保育士修学資金貸付事業については、これまで、県議会で、また県内保育関係団体から創設の提案、要望があったところであります。
このため、現在、担当部において、県内保育関係団体や保育士養成校と意見交換を行っており、この意見交換では、学生の確保や経済的負担の軽減、将来的な保育士の確保に有効などの意見があったことを踏まえ、今後、県として具体的な制度設計について速やかに検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 前向きな御答弁をいただいてありがとうございます。岩手県の子育て支援に大きな力になると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
また、厚生労働省は、晩婚により子育てと介護の負担が同時期に来る、いわゆるダブルケア問題に対応するため、地域共生社会の導入に向け、2018年度に子育て、介護の窓口の一元化、その後、順次、生活困窮者、病気対応も追加し、2020年代初頭に全面実施をするという工程表を発表しました。先行的に実践している地域もあり、今後は、自然減対策、子育て支援において、介護サービスまで含めた切れ目ないサービスも重要になってくると思われます。
全国の平成28年度介護福祉士育成大学、専門学校への出願状況が定員の5割を切るなど、今後、全国的な介護人材不足が懸念される中、平成29年度本県の介護人材確保策をどのように展開していくのか伺います。
また、課題はありますが、介護現場の負担軽減には、介護助手や介護ロボットの導入も有用と思いますが、県内の導入状況と県の指針を伺います。
〇千葉副知事 介護士の確保策についてでありますが、県では、介護の仕事のイメージアップに向けた情報発信、県内各地に配置した介護人材キャリア支援員による求人、求職のマッチング支援、県社会福祉協議会の介護福祉士等修学資金貸付制度の運営への支援などを行っているところでございます。
しかしながら、依然として人材不足が著しいため、平成29年度におきましては、これまでの取り組みに加え、介護の仕事に従事しようとする方が介護職員初任者研修を受講した後に事業所に就職した場合、受講料を補助するなど取り組みを拡充することとし、所要の経費を当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
加えて、介護人材不足への対応は、県のみならず、事業者、関係機関、団体、市町村等それぞれの取り組みが重要でありますことから、引き続き、関係団体、市町村等の主体的な取り組みを支援していくこととしております。
また、介護の現場では、介助者の動作支援や高齢者の見守りなどのための介護ロボットや元気な高齢者の方々等が比較的軽易な作業に従事する、いわゆる介護助手の導入が始まっていると承知しております。
県内におきましても、国の平成27年度補正予算を活用し、県内92の事業所で装着型の移乗介護装置や見守りセンサーなどを導入したところであり、また、県では、来年度当初予算案に介護助手に係る普及啓発を行う経費を盛り込んでいるところでございます。
これらは、介護従事者の負担軽減や業務の効率化に資することから、県としても導入を促進していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 保育士、介護人材の確保について厳しい状況が予想される中にあっては、本県においても、結婚、出産、子育て、介護の流れを切らさない福祉相談窓口の一本化や共生型サービス事業所の整備など、サービス提供の仕方にてこ入れをし、地域共生社会の導入に積極的に取り組むべきと思いますが、地域共生社会の導入に向けた国の施策をどのように分析しているのか伺います。
〇千葉副知事 地域共生社会についてでございますが、国では、平成28年6月に閣議決定されましたニッポン一億総活躍プランにおいて、子供、高齢者、障がい者など全ての人々が、地域、暮らし、生きがいをともにつくり、高め合うことができる地域共生社会の実現を提唱しているところであり、これを踏まえ、厚生労働省では、我が事・丸ごと地域共生社会実現本部を設置し、本年2月、地域共生社会の実現に向け、複合課題に対応する包括的相談支援体制の構築や共生型サービス創設などの取り組みを盛り込んだ当面の改革工程を取りまとめたところであります。
本県におきましては、平成21年3月に策定いたしました第1期岩手県地域福祉支援計画におきまして、保健福祉に関する相談から支援までワンストップで受けられる総合相談窓口の設置や、地域におけます保健、福祉等のトータルケアシステムの構築を目指しまして、先進的事例として、包括的な相談支援体制に相当する釜石市生活応援センターにおける保健、福祉、行政窓口サービスの一体的な取り組みを紹介してきたところでございます。
また、平成26年3月に策定いたしました第2期計画におきましては、今般の共生型サービスに相当いたします矢巾町の社会福祉法人が運営するケアセンター南昌による医療、保健、福祉、保育のトータルケアサービス提供の取り組みを紹介するなど、すぐれた先進事例を県内各市町村等に情報発信し、いわば国に先駆ける形で情報発信に取り組んでまいりました。
引き続き、今年度から、国が地域共生社会の実現に向け創設しましたモデル事業でございます多機関の協働による包括的支援体制構築事業を活用し、県内2市町において、複合的な課題を抱えております対象者を包括的に受けとめる相談体制の構築に取り組んでおりますことから、来年度以降は、さらに複数の市町村が実施を検討しているところでございます。
県といたしましては、こうしたモデル事業を活用した市町村の取り組みなどにつきまして、地域福祉推進フォーラムなどを通じ、県内市町村がその情報共有を図ることなどにより、市町村や地域におけます取り組みの支援に努め、引き続き地域福祉の推進に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 続いて、社会減対策について伺いたいと思います。
社会減対策については、現状の数字を見れば、さらなる施策の推進へ踏み込んでいかなければならないと感じております。県内への高卒、学卒者の就職を進めていくためには、県内企業の9割を占める中小企業振興が重要であり、県では、中小企業振興条例を制定し、現在、平成28年度から平成30年度までの岩手県中小企業振興基本計画を推進中でありますが、その初年度をどのように評価し、平成29年度予算につなげていくのか伺います。
特にも、先日の一般質問において福井委員からも、福井大学の企業への採用力の強化を求める取り組みが紹介されていましたが、これは、県内学卒者の県内企業への就職を促すだけでなく、これをてこに、企業力の向上や働き方改革にもつながるよい切り口と思われますが、所見を伺います。
〇千葉副知事 2点お尋ねをいただきました。まず、岩手県中小企業振興基本計画についてでございますけれども、昨年3月に策定いたしました当該計画では、本県の中小企業が持続的に事業展開していくため、経営の質を高めることや、働きやすい環境を整備し必要な人材を確保、育成することなどが重要でありますことから、産業支援機関や大学等と連携いたしまして、中小企業の振興に関する施策を総合的、計画的に実施することとしているところでございます。
計画初年度でございます本年度平成28年度におきましては、まず、経営の質を高めるため、経営革新計画の策定とその実行支援、カイゼン指導等を推進いたしましたほか、国の交付金を活用いたしました設備投資への補助や、国のいわゆるものづくり補助金の活用促進など、生産性の向上を中心にソフト、ハードの両面でさまざまな支援を行ったところでございます。
また、人材の確保等につきましては、いわてで働こう推進大会の開催や、いわて産業人材奨学金返還支援制度の創設を行いましたほか、県内大学等と県、市町村、企業等が協働して地域における雇用創出や学卒者の地元定着率の向上を図りますCOCプラスの取り組みも進めてきたところでございます。
また、今年度から展開しておりますいわて働き方改革推進運動では、いわて働き方改革アワードを開催し、すぐれた取り組みを行っている企業を表彰いたしましたが、その受賞企業の取り組みにおいて、働き方改革の推進が生産性の向上につながることが示されるなど、中小企業の方々に計画の考え方が浸透してきつつあるものと考えておりまして、さまざまな具体的な対応も始まっていると考えております。
来年度におきましては、引き続き、こうした取り組みを推進いたしますとともに、新たに、県北地域において生産性向上に取り組む企業に対する支援や、これまでのカイゼン指導の蓄積を生かした沿岸部でのカイゼン実践塾の開催等の事業を予算案に盛り込んでおりまして、生産性向上と人材の確保、育成強化に取り組み、中小企業の支援を進めてまいります。
次に、企業の採用力の強化についてでございますけれども、県では、県内学卒者の県内就職の促進のため、これまで、採用情報を効果的にPRするための支援を初め、大手就職情報サイトを活用した企業への補助、企業の採用担当者向けセミナー等の開催など、企業の採用力強化に取り組んできているところでございます。
委員御指摘のとおり、福井大学では、採用活動で企業が提供する情報と学生が望む情報のミスマッチの解消、企業内での採用活動の体制強化、地元大学と連携した出会いの充実が必要という観点から、企業の採用活動を補う取り組みを展開していると承知しているところでございます。
地元企業の魅力を伝え、その採用力を高めるための支援を行うことは、人材確保による企業力の向上につながり、また、人材確保のために必要な企業の働き方改革を進める上でも、重要な取り組みと考えております。
今後、県内学卒者の県内就職を一層推進するためには、福井大学の取り組みは極めて重要な事例であると考えており、COCプラスの枠組みも活用しながら、各大学の取り組みが進むよう、県としても連携して取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 昨年1年間で廃業になった事業所が過去最高ということが出ておりました。その主な原因は人材不足ということで、各企業とも、そこに今、非常に関心が高まっていると。私は、この機会を捉えて、採用力の強化という視点から働き方改革、また社会減対策につなげていただきたいという趣旨でありますので、ぜひとも具体的な検討をお願いできればと思います。
次に、国体・大会のレガシーをふるさと振興につなげることについて伺いたいと思います。
県は、国体・大会の成功をレガシーとしてふるさと振興につなげるため、文化スポーツ部を創設し、文化スポーツ総合戦略を策定中であります。
ふるさと振興につなげるには、県民が自県に誇りを持ち、また、子供が憧れ、自分も頑張ろうと夢を持てるような本県出身者のトップアスリートの育成は重要であり、国体後も、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、より一層の選手強化に努めていただきたいと思いますが、平成28年度選手強化予算4億4、000万円余が、平成29年度2億5、000万円余になっております。
県は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、どのような計画をもって選手強化を行っていくのか伺います。
また、本県に社会人選手が残っていただくためには、就業支援、働く場の確保が大きな課題ですが、国体での経験を踏まえた今後の施策を伺います。
〇達増知事 希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成果をレガシーとして岩手の未来に継承し、ふるさと振興につなげていく上で、県民に自信や誇り、大きな夢を与えてくれるトップアスリートの育成が必要でありまして、今後においても、さらなる競技力の向上に取り組み、オリンピック、パラリンピック等の世界の舞台で活躍する選手の輩出を目指していくことが極めて重要であります。
このような考えのもとに、県においては、いわて国体・いわて大会で育った全国トップレベルの選手や各年代の日本代表候補選手等の一層の活躍支援に努めることとしておりまして、それに要する強化費を当初予算案に盛り込んだところであります。
具体的には、本県トップ選手に対する強化費等の支援や優秀指導者の育成、スポーツ医・科学サポートの充実などに取り組むとともに、日本代表候補選抜合宿などを実施している中央競技団体等との連携を図りながら、中長期的な視点に立った競技力向上に取り組み、この岩手の地から、オリンピック、パラリンピック等で活躍するトップアスリートの輩出を目指してまいります。
また、社会人選手の就業支援については、岩手国体に向けて経済界等と一緒に始めたいわてアスリート就職マッチングなど、社会人アスリートの県内就職の促進に引き続き取り組みますとともに、県体育協会や障がい者スポーツ団体等との連携を深め、障がい者も含めたアスリートの県内就職への支援に一層取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 また、ふるさと振興につなげるためには、県民が直接その効果を実感できるような取り組みも必要であり、国体を契機に構築された主体やつながり、経験を県民の健康増進やスポーツツーリズムにつなげることも重要と思われます。
その意味で、国体については、競技成績、選手強化以外の部分もしっかり総括し、さきに述べた分野でのふるさと振興につなげていくことが重要であると考えますが、所見を伺います。
〇達増知事 希望郷いわて国体、希望郷いわて大会では、多くのボランティアの方々に参加をいただきながら、おおむね円滑な運営が行われ、県民総参加のおもてなしや文化プログラム、国体・大会プラスを初めとするスポーツの枠を超えたオール岩手の取り組みが、全国の方々から高い評価をいただきました。
そうした運営面における実績や県を挙げての応援、歓迎、おもてなしの力などのソフトパワーの高まり、いわて国体・大会により県民が得た自信と誇り、そして希望を財産として、今後のスポーツ、文化、地域振興、産業、観光などの幅広い分野で生かし、復興とふるさと振興をより強力に推進してまいります。
まずは、2019年に釜石市で開催されるラグビーワールドカップの成功に向けて、こうした実績とノウハウを最大限活用してまいります。
また、県民がスポーツに親しむ機会を創出するとともに、スポーツを通じた地域活性化が図られるよう、本県が有するスポーツ資源や観光資源を生かした県内へのスポーツ合宿や大会の誘致等のための取り組みを行うスポーツコミッションの設立に向けた準備を開始します。
〇佐々木朋和委員 知事は、平成31年、平成32年を集中復興期間として、復興の総仕上げのため、五輪の盛り上がりの中で国を挙げての復興支援の機運を醸成していきたいと言われており、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会へ県がどのようにかかわっていくのか、その活動を来年度どのように展開していくのか伺います。
〇大平政策地域部長 オリンピック・パラリンピック競技大会が、復興五輪の名のもと我が国で開催されることは、被災地の復興の姿を世界中に発信しながら、全世界からいただいた御支援に対する感謝の思いを伝える機会となるものと考えております。
先月17日には大槌町においてフラッグツアーが開催され、復興五輪のPRとともに本県の復興の姿の発信につながるなど、具体的な取り組みが始まったところであり、今後、そうした取り組みの一層の活発化が期待されております。
こうしたことから、県としては、大会が、世界中の多くの人々が本県を訪れ交流を深める機会となるよう、ホストタウンや事前合宿の誘致に取り組むほか、より多くの県民が大会に参画できるよう、ボランティアによる参加や文化プログラムの活用に取り組んでいくとともに、大会会場と同様の盛り上がりが県内でも図られるよう、機運醸成を図りながら、復興五輪の実現に向け、より一層、国や組織委員会、東京都等と連携を深めてまいります。
〇佐々木朋和委員 県内各市町村が合宿地として手を挙げておりますが、福島県での野球、ソフトボール競技の開催について調整が進められているところであり、本県へ競技誘致の可能性はないのか伺いたいと思います。
また、競技以外にも、例えば、現在、金メダルに本県事業者を含むリサイクル業者が扱う携帯電話で使われている金をリサイクル使用する動きや、聖火リレーコースに沿岸被災地や松尾芭蕉の奥の細道を要望する動きもありますし、また、私は選手村に被災3県の食材を使っていただけば、必ずや金メダルを目指す選手たちが金色の風を食べていただけるものと思っておりますけれども、競技以外での本県のかかわり方についてもお示しいただきたいと思います。
〇大平政策地域部長 まず、本県への競技誘致の可能性についてでありますが、昨年12月に大会組織委員会と国際オリンピック委員会-IOCが、7人制ラグビーとハンドボールの試合の一部を東日本大震災津波の被災地で行う方向で検討に入ったとの報道があったところでありますが、これについて組織委員会では、具体的な計画はないとの見解を示しており、その後、具体的な進展はない状況にございます。
次に、競技以外での本県のかかわりについてでありますが、国が掲げる復興五輪の理念のもと、東日本大震災津波の被災地である本県としては、大会関連セレモニーやイベント等における伝統文化の発信や、関連施設における県産品の使用、本県における聖火リレーの実施など、大会にかかわるさまざまな取り組みが、復興のさらなる推進力となるよう取り組んでいくことが重要と考えております。
そうした取り組みにつきまして、昨年12月に組織委員会から食材調達基準案が示されたほか、先月には、組織委員会内に聖火リレー検討委員会が設置されるなど具体的な動きが出ているほか、経済界協議会を中心とした民間企業と連携した取り組みについての具体的な検討も始まっているところであります。
県におきましては、復興五輪のかかわり方として、委員御指摘のようなさまざまな分野、手法があると考えており、引き続き、それらについて情報収集に努めるとともに、大会が農林水産物や観光、物産、歴史、文化、芸術など、本県の地域資源の発信につながるよう、組織委員会や東京都を初めとする関係団体に働きかけてまいります。
〇佐々木朋和委員 競技については少し残念なお話もありましたけれども、岩手県、そして東北がかかわっていけるようなオリンピックを県民も期待していると思いますので、情報収集をしながら、また、スポーツ以外の部分については、どこの部署が担当になるのか、これからかもしれませんけれども、ぜひとも競技以外のところでもかかわっていけるように頑張っていただきたいと思います。
最後に、ILCについて伺いたいと思います。
ILC誘致については、建設コスト縮減計画案が8月にも発表されると報道がありました。政府のILC誘致決定のタイミングは来年度あるいは再来年度と言われており、来年、国の予算要求前にどれだけ具体的な計画、提言を示すことができるかが鍵であると思われます。
現在、東北ILC推進協議会の中心を担う準備室では6分野をテーマに議論をしていますが、その進捗状況はどのようになっているのか、また、県は誘致実現に向け、現状をどのように分析し平成29年度取り組んでいくのか伺います。
また、関係市町村、関係団体、県民を挙げて機運醸成に取り組むべきと思いますが、関係団体との情報連携の状況と、今後各者に求めることは何なのか伺いたいと思います。
〇達増知事 まず、東北ILC準備室の議論の進捗状況でありますが、広報、地域、技術、産業の4部門において、ILC解説資料の作成や東北のマスタープランとなる地域広域基本計画の骨子案の検討、加速器関連産業への参入支援などを行っています。
さらに、二つの専門部会では、地下施設の技術的な検討やまちづくりのあり方などの検討を進めており、これらについて、3月下旬には中間的な取りまとめが行われると伺っています。
さらに、本年7月を目途に取りまとめを目指すとされており、本県としても、地域広域基本計画の策定への主体的な参画など、一体となって取り組みを進めてまいります。
次に、現状分析と平成29年度の取り組みについてでありますが、国においては、有識者会議において、四つ目の部会となる体制及びマネジメントの在り方検証作業部会を本年2月に設置し、3月9日に1回目の会合が予定されるなど、着実に議論が進展していると認識しております。
また、超党派による国会議連においては、米国との国際協調の協議など積極的に活動しており、この一、二年が極めて重要な時期と考えます。
こうした状況を踏まえ、県においては、平成29年度はインフラの整備や外国人研究者等の受け入れ環境の整備などについて、引き続き検討していくとともに、東北ILC準備室との連携を密にし、ILCの受け入れ準備や要望活動を強化してまいります。
次に、関係団体との情報連携の状況、今後各者に求められることについてでありますが、県では、これまで、市町村や岩手県国際リニアコライダー推進協議会など関係機関と連携し、講演会の開催、県推進協議会ホームページへの情報一元化による掲載情報の充実、強化、英語版広報誌THE KITAKAMI TIMESの毎月発行などを行っています。
また、昨年12月に盛岡市で開催されたリニアコライダーワークショップにおいては、市町村、大学、民間企業、県推進協議会と定期的に協議を重ね、連携が強化されましたことから、引き続き機運醸成や受け入れ準備に取り組んでまいります。
関係団体においては、県民のみならず広く国民の理解、機運醸成に向けた取り組みを期待するとともに、上部団体である全国組織への働きかけ、政府や誘致のキーパーソンへの要望、提言活動を積極的に行っていただきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 御答弁ありがとうございました。ILCについても正念場を迎えると思っております。ぜひ、県には情報共有を各市町村とも積極的に行っていただきながら、また、県としても、これまで調整役として一生懸命やっていただいたということを評価させていただいておりますけれども、さらに、こちらからも、どういうことをやってほしいのだということも強烈にアピールをしながら、発信をしながら、県民みんなでこの計画が誘致できるように取り組んでいっていただきたいと思っております。
終わります。
〇名須川晋委員長 次に、岩崎友一委員。
〔岩崎友一委員質問者席に着く〕
〇岩崎友一委員 自由民主クラブの岩崎友一でございます。会派を代表いたしまして質問いたします。よろしくお願いいたします。
さきの質問と重複する質問もございますので、その辺は割愛させていただいたりして飛ばすこともあるかと思いますので、よろしくお願いします。
最初に、県政運営全般についてお伺いいたしたいと思います。
まず、政務秘書についてであります。
まず、確認をさせていただきたいのが、新聞報道によりますと、自由党代表の小沢一郎衆議院議員に対し、達増知事から木戸口氏の後継要請をし、小沢一郎衆議院議員から小原和也氏を紹介されたとされておりますが、そのような経緯でよろしいのかどうか。また、小原和也氏は、過去に自由党籍を持っていたのか、現在はどうなのかもあわせて確認をさせてください。
〇達増知事 政務秘書の任用の経緯については、私から、前任者である木戸口参議院議員に相談をしていたところ、木戸口参議院議員から、小原和也秘書が適任なのではないかという助言を受けました。私もそのとおりと考えて、小沢一郎衆議院議員に、小原秘書を採用したいという意向を伝えたものであります。その結果、小原氏は、小沢一郎衆議院議員の公設第二秘書を退職することとなったという経緯であります。
なお、小原氏は、国会議員秘書当時も現在も、自由党の党籍は持っていないと聞いております。
〇岩崎友一委員 そうなりますと、木戸口氏に達増知事が、誰かいないかという相談をしたということでよろしいですかね。
〇達増知事 前任者でありますので、どういう人がいいかということから、どういうふうに決めていけばいいかということから、そして、誰がいいかということまで相談していたということであります。
〇岩崎友一委員 でも、やはり政治的スタンスを考えますと、木戸口氏もそうでありますし、木戸口氏に相談をすれば、やはり自由党に近い方を紹介されるのではないかという懸念もあるかと思うんですが、その辺は考えられたのですか、どうなんでしょうか。
〇達増知事 私は、現在いずれの政党にも所属しておらず、いずれの政党の党則にも従う義務を負わず、自由な立場で県民本位の県政を推進するものでありまして、そのような私の活動を支える政務秘書として誰がいいかということを木戸口参議院議員に相談しながら、決定については、私自身が決定したものであります。
〇岩崎友一委員 質問の趣旨と答弁がかみ合わなかったような感じがするのですが、木戸口氏にお願いすれば、今までの政治スタンスの経緯から言っても、やはり木戸口さんに近い方といいますか小沢一郎さんに近い方を選ばれるというのが想定されると思うのですが、それも知事としては想定内で、そういった自由党関係者といいますか近い方でもよろしいという判断で相談をされたのかどうかお伺いします。
〇達増知事 私との間に信頼関係が成り立って、さっき述べたようなスタンスの私の活動をサポートしてもらえるのであれば、いかなる政党に過去属していようと、あるいはいかなる政党のもとで活動していようと、あるいはいかなる政治家の秘書をしていようと、それは、私は問わないという基本的な考え方であります。
〇岩崎友一委員 それは過去の、どこに所属したとか誰の秘書をやっていたかという問題で、ただ、政務秘書となれば、やはりそこはちょっと、どこかの政党に寄り過ぎるような行動は慎むべきと考えられているということですか。
〇達増知事 自薦、他薦などいろいろあれば、それぞれ話を伺おうかと思っていたのですけれども、例えば自民党関係の人でも、今から2人目というわけにはいかないんですが、後学のためにも、もしいい人がいれば、今からでもお話は伺いたいと思います。
〇岩崎友一委員 ありがたい話でありますが、ちょっと質問の趣旨とは、何か答弁がかみ合っていない気がしますが、次も関係しますので、次に行きます。
知事が政務秘書を置くことにつきましては、代表質問の答弁で、行政事務と政務との調整を担わせるため必要であると述べておりました。一方で、1月30日の定例記者会見では、知事は、政務秘書の不在で後援会活動が滞ったり、電話対応など職員に負担を負わせてしまったと述べておりますけれども、知事が小原和也氏に政務秘書として期待することは、自身の後援会活動を頑張ってほしいということなのでしょうか、いかがでしょうか。
〇達増知事 小原秘書に期待することは、前任者に引き続いて、知事の政治活動にかかわる秘書業務など、一般職の秘書よりも特別職の秘書に対応させることが適当な業務や、また、行政事務と政務の調整などを行ってもらって、県民の皆さんと知事を結びつける役割を果たしてもらうということであります。
〇岩崎友一委員 私もいろいろと耳に入るのでありますが、小原和也氏が政務秘書就任になった後、今から1カ月ぐらい前になりますか、2月初旬ぐらいに、小沢一郎さんの一関市での講演会か何かの際に車に同乗していたというような話もあるんですが、これは、小原和也氏は、知事の後援会活動の一環で同乗されていたのかどうか、その辺、御説明をお願いします。
〇達増知事 土曜でしたか週末でしたか、知事政務秘書になる前に秘書を務めていた小沢一郎衆議院議員が一関市に来るということで、会ってきたいという話を聞き、いいよという話をした記憶はあります。
〇岩崎友一委員 そうしますと、それは、知事の後援会活動の一環として小沢一郎さんと車に同乗していたのではなくて、個人的に会いたいということで同乗されていたということですか。
〇達増知事 今、思い出しながらお答えしていますけれども、私自身として、小沢一郎衆議院議員の来県にあわせて、達増拓也後援会としての何か活動をしたという記憶はありません。
〇岩崎友一委員 今の知事の答弁を聞いていますと、決して私は小沢一郎さんに近いわけでもないと。
先ほどの答弁ですと、政党との関係については、知事は、いずれの政党にも所属しておらず、いずれの政党の党則にも従う義務を負わず、自由な立場で県民本位の県政を推進するものであるということを述べておりましたけれども、ただ、私が今質問させていただきましたとおり、一連の採用の経緯、あるいは小原和也氏が政務秘書就任後の行動を考えますと、幾ら知事が自由な立場で県民本位の云々と言いましても、紛らわしいというか、一般的に見れば、やはり知事はそちら寄りなのかなというのが県民の一般的な見方になるかと思うんです。ですから、知事の今の答弁と県民党というのはなかなか整合性がとれないわけでありますけれども、その辺、県民の皆さんにわかりやすいように御説明を願えればと思います。
〇達増知事 私が今の任期、岩手県知事を務めさせていただくに当たっては、2年前の岩手県知事選挙におきまして、複数の政党、さまざまな団体、また無所属の県議会議員あるいは県議会議員候補、そして、さまざまな市民団体の応援をいただいて当選を果たすことができましたので、それらの複数の政党、また無所属の方々、そして、さまざまな団体や、いわゆる市民団体とも、連携できるところでは連携をしながら、また協力していただけるところでは協力していただきながらやっていきたいと思っております。
また、2年前の選挙においては、そもそも私は、特定政党の推薦を求めず、県民党的スタンスでやりたいと言ったそのすぐ後、当時、自民党は別の候補を立てるということを決められたわけですけれども、しかし、選挙前には、それをやめられたわけでありまして、そういう意味で、自民党が達増知事に対してどう連携していくのか、協力していくのかということは、いつでもそれは伺う用意がございます。私のスタンスはそういうところであります。
〇岩崎友一委員 多分質問に対して答えていただいていないと思うんですよ。全然違いまして、小原和也氏の採用の経緯だったり、小沢一郎さんが一関市に来たときに、政務秘書に就任後も一緒に行っていたりという行動をしておりますね。そうすると、どうしても、普通、小沢さん寄りの政務秘書の方を雇っていれば、やはりそういう言動を見ましても、知事もそうなんだなと思うのが一般的だと思うんです。そうすると県民党とは違うと思うのですけれども、その辺、きちんと説明をお願いします。
〇達増知事 先ほども申し上げましたように、そもそも選挙に当たっては、特定の政党からは推薦を求めないというのを県民党と評価していただけないのか、また、その結果、多くの複数の政党、また多くの団体、また無所属の方々や、いわゆる市民団体の御支援もいただいたこと、そして、自民党、あと公明党も、結局対立候補は立てなかったということ、そういった全体について県民党じゃないという評価になるのかどうか。
私は、今述べてきたように、複数の政党、多くの団体、無所属の方々、また、自民党、公明党もそうでありますけれども、広く県民全体に対して開かれた形の活動をしていきたいと思って、どの政党にも所属していないがゆえに、そういったことを自由にさせていただきたいと思っておりまして、小原和也秘書は、そういう私の活動をサポートするために秘書になってもらっているものであります。
〇岩崎友一委員 自由に、自由にと言えば自由党にとしか聞こえないのですけれども、しっかり質問に答えていただいていないので。
1点だけちょっと確認です。今の答弁ですと、知事は、やはり自民党、公明党以外にいろいろと支持をしてもらってというような話もありますが、仮に2月初旬の小沢一郎さんの一関市での講演会で云々となれば、例えば知事も野党共闘を応援というか支援というかしているわけですが、今は選挙区ではないわけでありまして、一関市には野党でも代議士がいるわけですが、その辺どのようにお考えになりますか。
〇達増知事 記者会見でも何度か答えているのですけれども、私は、解散総選挙、衆議院議員選挙というのは、すぐ行われるべきではないと思っておりまして、今、当選して岩手県選出、これは比例復活の方も含めて岩手県の国会議員の皆さんには、県政のために協力していただかなければと思っておりますし、連携しながら、さまざまな政策に取り組んでいきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 連携するんであれば、逆に、野党共闘で一緒になるかもしれない代議士がいるところに、わざわざ行く必要もあるのかどうかという話になると思うんですが、どうでしょうか。
〇達増知事 今、野党共闘、野党共闘とおっしゃっていますけれども、自民党や公明党も一緒に県政に協力していただければ、例えばILCについて、今、野党共闘でやっているわけではないと思っておりますし、復興についても野党共闘でやっているわけではないと思っております。県政の主要な部分については、私も県民党的なスタンスでやりたいと思っていて、それについては、自民党、公明党にも理解いただきながら進めていただいているのではないかと思います。公明新聞にも、最近、ILCが大事だという論説が載ったのをきちんと見ていますし。
〇岩崎友一委員 時間がないので次に行きます。ただ、知事が言ったのは当然でありまして、知事が、政治家として、どの政党が好きであるとか、どこを応援するのかは、勝手と言えば勝手なのでしょうが、我々も、自民党だから全て自民党の方針に従う云々というわけではなくて、やはりこの岩手県で議席をみんないただいている以上は、県民利益から逆算して仕事をするのは当然であると思います。
そういった意味から、知事の今いただいた答弁は、一部合っていると思うんですが、ただ、やはりたまにちょっと、これはまずいよなというものもありますので、きょうは答弁と質問がかみ合いませんでしたけれども、その辺はしっかりと考えていただければと思います。
時間がないので次に行きます。次に、公債費負担適正化計画についてお伺いいたします。
県では、平成24年度決算において、3カ年平均の実質公債費比率が18.6%となったことから、18%以上となった地方公共団体が、県債発行に際し、公債費負担適正化計画を自主的に作成することとする地方債協議制度に基づき、平成25年度から平成32年度までの期間において、平成32年度までに実質公債費比率を18%未満とすることを目指す計画を策定いたしました。
実質公債費比率が18%を超えている状況では、本来、総務大臣の同意で発行できるはずの県債が、総務大臣の許可がなければ発行できない状況であり、機動的に財政出動できない状況であり、早期に達成すべき目標であります。
県ではこの間、災害復旧事業債や臨時財政対策債を除く、県が管理可能な県債の発行を355億円以下に抑制し、着実に県債残高は減少しております。
また、高齢社会の到来で懸念される社会保障費の増加に対しても、平成26年の消費増税による地方消費税の増額分が充当されたことにより、臨時財政対策債の発行が抑制され、当初の計画より2年前倒しの平成30年には18%以下という目標を達成できる見通しが立ったところでもあります。
そこで伺います。目標達成後は、機動的に政策的、投資的支出が可能となるわけでありますけれども、知事として、どの分野に具体的に投資をしていこうと考えているのか、お伺いをします。
〇達増知事 公債費負担適正化計画についてでありますが、本県の実質公債費比率は20.5%ということで、全国第2位の高水準にあります。現在の低金利環境が継続した場合、平成30年度には17.4%と計画を達成する見込みではありますものの、都道府県平均の12.7%を依然として大きく上回り、柔軟な財政運営が難しい状況が続きますことから、引き続き県債発行を抑制し、公債費の縮減に努めていく必要がございます。
こうした厳しい財政状況を前提に復興を着実に達成し、そして、ふるさと振興を強力に推進するためのさまざまな政策の内容に応じて、公共投資の方向性を議論してまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 若干、前後することがあろうと思います。ただ、これは、方向的には実質公債費比率を下げていくというか、いかなければならないと思います。比率が下がればいろいろと、知事がこれまでやりたい政策等もなかなかできなかった部分もあると思うんですが、それができるようになるわけであります。そうなったときに、知事が力を入れていきたい分野というのは、どの分野かということでお伺いをしたいと思います。
〇達増知事 目指す姿は、公共部門がむやみに経済社会に介入しなくても、民間部門の力で経済や社会が持続可能な形で発展していくような姿なんでありますけれども、今、まず、東日本大震災津波からの復興という、公共部門が大きく動かなければ進まない分野がございますし、また、人口減少対策、まち・ひと・しごと創生関係、ふるさと振興関係についてもそうだと考えております。そして、地域医療の問題、また、貧困問題、格差の問題、そういったところをきちっと対応しながら、さまざまな主体が基本的に民間主導で自由に活動できるような社会というものを目指していければと考えています。
〇岩崎友一委員 知事の政策というか、経済とかそういう答弁を期待したんですが、目指す姿というか、すごい漠然としたものだったんですが、政策的には、今までやりたくでできなかったことが具体的に何かないのでしょうか。
〇達増知事 必要なことは基本的にやっているわけでありますけれども、しかしながら、人口減少の問題はいつも言っていることですが、目の前の生きにくさの問題であり、まず、それを解消しなければと思っているんですけれども、まだなかなか社会減、東京一極集中というものがおさまっておりませんし、また、出生率というのも、まだ回復の軌道には乗っていないところにありまして、それができていないというところにじくじたる思いがございます。
〇岩崎友一委員 確認ですが、今の県内経済を見まして、震災前とも比較しましても、今の復興需要によって私はバブルだと思っているんです。知事は今の経済状況をどのように分析しますか。
〇達増知事 人口の移動が、これは岩手のみならず、地方から東京に向かっているということは、相対的に都会のほうが景気がよく、雇用の条件もいいということでありましょうから、やはりこれは、もっと東京に人口の流れで負けないくらいの経済活動というのを岩手のほうにもつくらなければと思っております。
〇岩崎友一委員 それはそうなんですが、今の県内経済はどういった状況であると認識していますか。
〇達増知事 バブル的なところ、好景気的なところが見えるとすれば、それは有効求人倍率が1よりはるか上のほうにいって久しいということかと思いますけれども、ただ、それは、人手不足ということが大きい要因だと考えておりまして、人手不足であるがゆえに、有効求人倍率は高いけれども、地方から都会に向かう人の流れというのはまだとまっていないわけでありまして、その意味では、有効求人倍率は高いけれども、より魅力的な雇用の場の創出、そして、既に雇用の場があるとしても、さらに働きやすい環境、生きやすさにつなげていくような政策をとっていかなければならない状況と考えています。
〇岩崎友一委員 県内経済を、知事が今どのように捉えているかというのを私は聞きたいだけでありまして、きょう、かみ合わないですね。
何でこれを聞いているかというと、今回の新年度予算もそうですが、復興関係の予算も1、000億円減と、そのほとんどがハードなわけです。どんどん建設需要も減っていくということで、恐らく、これから県内経済は復興需要が終わりまして、県の自力が試されるときが来ると。それが2年後くらいだと考えますと、実質公債費比率が18%を切って、県で投資的な政策をつくれるとなれば、そこはしっかり経済に回るような政策につなげていかなければならないという話をしたくてずっと聞いていたんですが、私がバブルと言えば、アベノミクスの成功の裏づけみたいな話で、それに反抗しているようにしか聞こえないんですが、そういうわけではなくて、次につながるために、あくまで今の岩手の経済情勢を確認したわけであります。
今の話を受けて、知事、今の状況と、これからの岩手経済がどうなる見込みであって、そこに対して、知事としてこういった政策を打ちたいということを御答弁願います。
〇達増知事 1995年に岩手の人口の社会増減がマイナス329人だったと。329人しか人口が流出しなかったときがあるわけでありまして、それがあるがゆえに、ふるさと振興総合戦略においても人口社会増減ゼロを目指すということ、これは過去にそれに近いことがあったわけですから現実的なものだと考えているわけです。ですから、1995年は公共投資もかなりあったと思います。一方で、民間部門もIT関係の調子がよかったということもあって、岩手から329人しか年間差し引き出なかった年があった、そういったところを目指さなければならないと思っています。
〇岩崎友一委員 それを目指すために、政策としては具体的に何をされたいのですか。
〇達増知事 それがふるさと振興総合戦略に盛り込まれた、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本柱のもとにさまざまな事業があるわけでありまして、やはり雇用環境についてはもっと魅力的なものにしていかなければならないですし、また、子育て関係についても、もっと安心して子育てできるようなものにしていく、そして地域の魅力ということについては、スポーツ、文化振興、若者、女性活躍支援、そしてまた、国際戦略といったことを組み合わせながら、地域の魅力を高めていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 かみ合わないですね。知事が言っているのは、全体像としてはそのとおりなんでしょうけれども、具体の話になると、知事になかなかしっかりとした答弁をいただけないなと感じます。
時間もないので次に行きます。
震災復興について伺います。震災復興につきましては、復興全般、そして未来をつくる、現在を見詰める、過去に学ぶという観点から質問をさせていただきます。
第2期復興実施計画の総括についてでありますが、評価につきましては、これまでも皆さんに答弁をしておりますので質問はいたしません。第2期復興実施計画に対する事業の進捗状況、そしてまた、それが第3期復興実施計画にどのように反映されているのかをお伺いいたします。
〇達増知事 進捗状況がどう第3期復興実施計画に反映されているか、進捗状況についてでありますけれども、第2期復興実施計画の進捗見込みは、進捗率が80%以上の指標が全体で80.9%、三つの原則ごとには、安全の確保で72.7%、暮らしの再建で81.2%、なりわいの再生で84.3%となっています。
一方、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされているわけでありまして、心と体のケアや将来の不安への対応などの必要性は増しているところであります。
こうした進捗状況を踏まえ、現在策定を進めている第3期復興実施計画においては、まず市町村が行う面整備事業の推進を支援して、そして防潮堤などの海岸保全施設の整備をしっかりと進め、復興道路等の交通ネットワークを活用した産業振興や交流人口の拡大に取り組むこととしております。また、一日も早く恒久的な住宅で安心して暮らすことができるよう支援を進め、応急仮設住宅での生活の長期化に伴う心と体の健康問題への対応、相談支援など、被災者の生活をきめ細かくサポートすることとしております。
〇岩崎友一委員 認識の確認でありますけれども、第2期復興実施計画のそれぞれの事業に、私は県からいろいろ資料をいただいていますからどのくらいおくれているかというは把握しているんですが、知事の認識として、第2期復興実施計画はいろいろと細かい事業が物すごいありますけれども、おくれている事業があって、第3期復興実施計画のほうにそのおくれている分が移るという認識でよろしいですか。
〇達増知事 本格復興期間における355の県事業のうち一部におくれが生じて、進捗率80%以上の指標が全体で80.9%という結果で今年度末、すなわち、本格復興期間の末期を迎えるということになっております。引き続き、次の段階での復興計画の中で進めていくべき事業もございますけれども、一方では、さらなる展開への接続の期間という、復興計画としては次のステージに進んでいくことができる、そういう進捗状況と受けとめています。
〇岩崎友一委員 聞きたいのは、私も9月の一般質問でも取り上げましたし、何人かの委員も取り上げておりますけれども、今年度を本格復興完遂年としたわけであります。今年度はもう1カ月ないですから、予定どおり終わらない事業もあるわけでありますし、先ほども高橋但馬委員の質問でしたか、もとに戻って1からという話もありましたけれども、被災地のそういった点も踏まえまして、改めて今年度1年間が完遂年にふさわしかった年であったか、知事はどのように評価しているのか、見解を伺います。
〇達増知事 この1年間、陸前高田市において県内最大規模の防潮堤がほぼ完成するなど、津波防災施設の整備にも一定の進展があり、そして、災害公営住宅についても8割が完成見込みとなっております。そして、病院や学校の建設については、この1年間の進捗は非常に劇的なものであったと言えると思います。
新聞報道によりますと、沿岸地方の市町村長の皆さんも、大槌町のようにまだ50%というところもありますけれども、半分以上が80%以上復興は進んでいるということで、これは、本格復興期間355の県事業のうち、進捗率80%以上の指標が全体で80%という、そういう状況とも相まったものだと思います。
来年度以降、この復興の新しいステージに移っていくことができるという意味では、この本格復興期間を終えることができたと考えております。
〇岩崎友一委員 じゃ、簡単に聞きます。この1年間を本格復興完遂年と名づけましたけれども、それにふさわしかったと思っているのか、思っていないのかだけお答えをいただきたいと思います。
〇達増知事 思っております。
〇岩崎友一委員 私はこれから第3期復興実施計画の話もしますが、知事はことし、仕事始めは宮古からスタートしたと思うんですが、被災地の現状をもっともっと見ていただかないと、被災地にいれば今年度が本格復興完遂年にふさわしかったとは言えないですよ。その辺は認識を新たにしてほしいと思いますし、9月と同じ話になりますが、しっかりと被災者に寄り添っていただきたいと思います。
次に、第3期復興実施計画についてお伺いをします。
私は、東日本大震災津波発災後から被災地の復興を進めるに当たりまして、最優先で進めるべきは住まいと産業、雇用であると申し上げてきました。東日本大震災津波発災から6年が過ぎようとしている今、住まいの再建については、知事からも答弁があったとおり、着実に進んできております。そして、ことし、来年がピークになると思われます。
土地区画整理地内におきましては、引き渡した土地を使う、使わないという個人の意向もありまして、その利活用などまだまだ課題は残されておりますけれども、高台移転先においては、土地の引渡しとともに、次々と家が再建されるなど、住民の方々がどれだけこの日を待ちわびていたのかが見てとれます。住宅を再建された方々からは、やっと復興のスタートラインに立つことができたとの声も聞かれます。
雇用については、復興需要にも助けられ、多くの住民が職を得ることができました。一方、人手不足という新たな課題への対応が求められていると思います。
産業はと言えば、農林水産業については、農地の復旧も進み、新たにイチゴ栽培を手がける農家も出始めました。漁業においても、漁港や魚市場の整備、漁船の確保が進み、漁師も操業を始めることができました。新たに6次産業化を始めた漁師もあり、東京の百貨店に新しい販路を開拓するなど、そういった新しい芽も出てきているところであります。商工業におきましても、グループ補助金等の活用によりまして、多くの事業者が再建を果たしているところでもあります。
ただ、このような明るい話題もありますが、それとは裏腹に、私が感じるのは被災地に活気がないと、被災地の経済に元気がないということをすごく感じております。
今、復興工事の作業員に助けられている部分もありますけれども、今後いなくなった後を考えると、さらなる地域経済の衰退が憂慮されるところでございます。災害時は未来よりも現在を大切にすることが重要でありますから、今ある課題に全力を尽くすことももちろんでありますが、住まいの確保につきましては、ことし、来年がピークになりそうでありますから、これまで以上に、第3期復興実施計画においては産業に力を入れていただきたいと思います。
そこで知事にお伺いしますけれども、第3期復興実施計画の策定に当たって重視をした点、また、被災地の産業を元気にし地域経済を回すために、どのような施策が有効的と考え実行していこうとしているのか、お伺いをします。
〇達増知事 まず、なりわいの再生についてでありますけれども、農林水産業、商工業ともに生産基盤の面では回復してきていますが、水揚げの減少と商工業での販路の喪失や人手不足といった課題が顕在化し、観光入り込み客数も震災前の水準を下回っています。そして、今後、人口減や復興需要の縮小による地域経済への影響も懸念される状況にあります。
このため、第3期復興実施計画では、まず、漁業と流通、加工業の一体的な再生や水産資源の回復、中小企業等の事業再開後の販路回復と人材確保、新たなまちづくりと連動した商業機能の回復、魅力ある観光地づくりの推進など、地域資源を活用した産業振興を進めることとしております。特に、漁業や養殖業生産量の確保、中小企業等の本格的な再建支援と人材の確保、育成に重点的に取り組むこととしています。
また、被災地の産業を元気にし地域経済を回していくためには、長期的な視点に立って、新しい三陸地域の創造を目指し、三陸地域が持つ特性と、復興道路等新たな交通ネットワークの進展などを最大限に生かした産業振興を図っていくことが重要であります。
このため、三陸創造プロジェクトのさんりく産業振興プロジェクトとして、生産性の向上や高付加価値化の促進等による持続可能な地域産業の形成、物流企業の誘致、港湾の利用促進等による人や物の交流の活性化や、周遊ルートの構築などによる国内外との交流人口の拡大、新技術や再生可能エネルギー、多様な事業体による新事業など、地域資源を活用した新産業の創出を図っていくこととしております。
〇岩崎友一委員 全部言えばそのとおりなんでしょうが、知事に確認ですが、先ほどは県内全体の経済状況をどう感じているかという質問をしましたが、被災地の今の地域経済というのをどのように捉えていますでしょうか。
〇達増知事 有効求人倍率は高いんですけれども、生産の水準でありますとか、あるいは観光客の入り込み数、宿泊数など、まだまだ拡大していく必要がある、そういう段階にあると思います。
〇岩崎友一委員 わかりました。これから個々に質問をしますので、次に行きます。
復興基金の関係でお伺いをしたいと思います。
復興基金、たしか一般質問でもあったかと思いますけれども、303億円余の復興基金を造成したわけでありますけれども、平成29年度末の基金残高見込みが41億円余となって、平成29年度当初予算ベースで48億円余が計上されていることを踏まえれば、平成30年度には枯渇することが予想されるわけであります。この事業の中には、生活再建住宅支援事業等、支援の公平性から、基金がなくなったとしても途中で中止できない事業もあるかと思いますけれども、県として今後の基金活用をどのように考えているのか、また、万が一不足した場合の対処策とあわせてお伺いをします。
〇木村復興局長 これまで積み立ててまいりました基金約303億円につきましては、安全の確保では、再生可能エネルギー導入促進に向けた環境整備、暮らしの再建では、住宅再建費用の一部助成、それから、国民健康保険、後期高齢者医療制度における一部負担金免除に要する経費、なりわいの再生では、中小企業の事業再開、被災地における起業の支援、産業創出などこれまで41事業、約213億円余の事業に活用してまいりました。
今、委員からお話がありました平成29年度においても、25事業、約49億円を当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
今後の基金の活用につきましては、基金残高の状況、それから対応しなければならない課題の緊急度などを勘案いたしまして、毎年度の予算編成の中で、どの事業に充当していくかということについては具体的に検討していくことになります。
また、財源の関係でございます。国に対しましては、住民生活の安定などに向けた事業を継続的、安定的に実施できるよう、使途の自由度の高い交付金等、従来の枠組みを超えた財源措置の充実を要望してきたところでございまして、今後も、復興に必要な事業に係る財源の確実な措置を要望して、復興がおくれることのないように取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 国に対しては、この303億円は当初組んだときからそのままで、何年間もずっと要望してきて、もらえなくて、残り少なくなってまた要望しますでは、ちょっとこれは余りにもひどいのではないかと思うんです。ずっと要望してきてなかなかもらえなくて、要望自体は必要です。ただ、要望しても来なかった場合どうするかというのを現実的に考えなければ、余りにもちょっと活用していく中で無責任だと思うんですけれども、その辺どのように考えますか。
〇木村復興局長 要望の状況については、先ほど申し上げたとおりでございます。国のほうでも、今年度予算から、例えば被災者支援総合交付金ですとか東北観光復興対策交付金ですとか、そういう比較的自由度の高い交付金を新設していただいております。そうしますと、例えば、今まで基金を財源にしてやられた事業を交付金のほうに振りかえることができるとか、そういう対応が出てまいります。平成29年度においても、25事業やったということでございますので、したがいまして、これは毎年度毎年度予算編成の中で、その継続する事業を、新たに出てくる事業等もあるかと思いますが、その中でやらなければならないものはやらなければならないということでございますので、その中で復興がおくれることがないように取り組んでいきたいということでございます。
〇岩崎友一委員 そうなりますと、財源をほかの事業に振りかえて事業は執行すると。ですから、復興基金がなくなっても支障がないような話でありますけれども、一応確認ですけれども、皆さんが心配しているのは、住宅再建にかかわる支援金は、当初の予定どおり継続されるということでよろしいですか。
〇木村復興局長 復興局とすれば、最後まで当然やっていかなければならないと考えてございます。ただ、復興基金を充当する事業が数多くございますので、それについては、来年度以降というか再来年度以降、具体的に財政当局ともいろいろやりとりしなければならないと思いますが、復興局としては、住宅再建支援については最優先の事業ということで取り組んでいきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 そうなりますと財政当局、総務部長、いかがですか。
〇風早総務部長 これまでも、東日本大震災津波発災以降ですけれども、復興関係については、来年度の当初予算で知事から発表させていただいたものでもそうですが、当然、復興に関しては最優先で県民の皆様の復興を支えていくという姿勢でございます。
来年度以降の予算について、どうこう今の時点で私ども申し上げる立場にございませんが、今、復興局長が申し上げましたとおり、復興に関する予算、財源も含め、国から少しでも有利なものをいただいてくるというのは、これは当然のことでありまして、一つには、復興庁関係で申し上げますと、ことしできました生活再建の新しい交付金ですとか、それからこれも大規模に出てきました観光関係の交付金、こういったものが出てきておりますので、しかも、こういったものは来年度、再来年度以降もどうなるかというのは我々としてもアンテナを引き続き高く持って、少しでも有利な財源を獲得した上で予算編成に臨んでまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 そうなりますと、知事も積極的に国のほうに行かなければならないということになるのですが、その辺いかがでしょう。
〇達増知事 まさに、国がもしだめだというのであれば、県がやるとはっきり言ってしまうと、じゃ、国はもうやらないということになってしまうわけでありまして、また、そうなったときに本当に県でやれるのかというのは、今総務部長が言ったように、今の段階では申し上げられないことでありますから、来年度予算に向けても県と国の間でかなり密接にやりとりした上で、国の来年度予算の案をつくってもらったと思っておりますので、来年度以降についても、そういうやりとりを国とやっていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 私が言ったのは違うんです。知事の仕事の中で、大きな仕事の一つは国から金を持ってくることです。ですから、今、金が必要であれば、知事にも積極的に国のほうにお伺いをして、ちゃんとこの岩手の事情を伝えた上で、しっかりと岩手にお金を引っ張ってきてほしいという要望でありましたが、いかがでしょうか。
〇達増知事 これも大分前から、国と地方の関係というのも対等な関係であって、お願いベースで、国が地方に対して予算措置をしていくようなものではないのだという中で、かつては県から国への陳情、要望というものも、それは参勤交代にもなぞらえられるような大名行列も、知事、各部局長、そして議員の皆さんや大勢で役所を回って歩くようなことをしていたんですけれども、やはりそれは地方分権に反することだし、また、国と地方の関係は対等だという理念にも反することだということで、どんどん簡素化の方向にあるわけです。ただ、そういう簡素化の中で、例えば陳情、要望という言葉に提案という言葉を加えて、国の予算はあくまで国が主体的に決定するものであるけれども、そこに地方のほうから提案をさせていただくみたいな、そういう成熟した国と県との関係というのを、私が知事になってからも構築してきていると思うので、その方向性に沿って、特にこの復興ということに関しては、国と地方の関係はかなり成熟させてきていると思いますので、その実績にのっとりながらこの先も進めていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 きれいに言えばそうなるんでしょうが、でも、実際違うと思います。私は、自民党政権だからどうのこうのという話をしているんじゃないです。知事が言うとおり、選挙をすればどこの政党が与党になるかわからないですし、政権を担うかわからないんです。どこの政権が担おうとも、知事たるもの、しっかりと行って話をして、お金を引っ張ってくるという仕事の仕方は変わらないのではないかと思います。
次に行きます。資材高騰に関して、台風第10号災害の復旧、復興との絡みでありますけれども、新年度は東日本大震災津波からの震災復興と台風第10号災害からの復旧、復興を同時に進めることになって、さまざまな調整が必要になってくると思います。県では、昨年秋に復旧復興工事施工確保対策連絡調整会議をつくりまして、自治体や業界団体などと連携を図り復旧、復興事業、どちらもおくれが出ないように調整するという方針を示しているところであります。
震災復興の教訓を踏まえますと、何より資材高騰というものが懸念されるわけでありますけれども、県はどのように考えているのか。
資材高騰による入札不調対策等、事前に想定できるものは想定をして対策を打っておくべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。
〇千葉副知事 資材高騰についてでございますけれども、震災からの復旧、復興工事を進める上で、一時的に資材高騰による入札不調が多く発生いたしましたことから、設計単価の随時見直しによります予定価格の設定や資材価格の上昇に伴う請負額の増額等、その都度、顕在化した課題の対策に取り組み、現在は入札不調の発生も落ちつきを見せてきているのではないかと考えております。
台風第10号の災害の復旧、復興工事におきましては、今のところ、資材高騰は発生していないと承知しておりますけれども、引き続き入札状況を注視しながら、震災の復旧、復興工事と同様に、必要な対策は講じていく必要があるものと考えております。
これまで、復旧復興工事施工確保対策連絡調整会議において建設資材の確保等に取り組んできたところでございまして、台風第10号災害の復旧、復興工事におきましても、この会議を活用して、工事の円滑を図っていくよう努めてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 今の答弁を聞いていますと、今は大丈夫だと。ただ、先に関しては、まだ入札の状況だから、入札が不調になったら考えるというようなニュアンスで受け取るわけですけれども、やはり事前にやらなければ、入札に出しまして不調になりますとまた数カ月後に発注、どんどん復旧、復興工事がおくれるわけです。ですから、その先も見据えた対策が必要かと思うのですが、この連絡調整会議の役割というのは具体的にどういうところでしょうか。
〇千葉副知事 この会議におきましては施工確保ということでございまして、資材の高騰あるいは人手不足とか、さまざまな面についてこれまでも東日本大震災津波の復興工事に関しましていろんな協議を行ってきておりまして、また、それぞれいろんな対策も講じてきたところだと思っております。ですから、今申し上げましたのは、いずれまた入札不調の予兆とか、そういうことが出て、今回東日本大震災津波で、復興関係でそういう対策も講じてきましたので、前例とは言いませんが、そういう予兆というか、ある程度関係者の間でいろいろ議論をしていけば、これはそういうある現象が、価格動向の傾向になってくるかどうかということについては、かなりこれまでも議論しておりますので、この台風第10号関係についても十分これまでの震災の取り組み等を一つの教訓としながら、そういうことは十分事前に検討しながら進めていきたいということでございます。
〇岩崎友一委員 今のは力強い答弁でありました。ありがとうございます。よろしくお願いします。
次に、応援職員の確保についてお伺いをします。
復興は応援職員の方々なしではここまで来なかったと思います。特にまちづくりにおいて、区画整理だったり防災集団移転促進事業だったり、本当に市町村にはノウハウが全くなくて、都市部の兵庫県だったり大阪府だったり、横浜市だったり東京都だったり、職員の方々に本当に支えられてここまで来ました。復興も今まさにこれから正念場でありますけれども、引き続き応援職員の方々の御協力、後支援というのは必要だと思います。
新年度におきましては、被災市町村の応援職員の必要数702名となっているかと思いますが、確保状況はどのようになっているのか、また、職種ごとの確保状況とあわせてお伺いをいたします。
〇大平政策地域部長 応援職員の確保状況についてですが、委員から今お話のありました702名、11月1日現在でございまして、最近の3月1日現在におきましては、復興事業の進捗を踏まえた事業量の精査、見直しを行った結果、674名となってございます。これに対しまして、これまでの確保見込みは628名、充足率は93.2%となってございます。
これを職種別に見ますと、保健師12名と埋蔵文化財専門職員6名、これにつきましては全て必要数を確保できる見込みであります。一方で、一般事務職は必要数408名に対しまして382名となっており、26名の不足、土木職は188名の必要数に対し170名の確保見込みで、18名の不足、建築職は必要数31名に対して確保見込み30名で、1名が不足となってございます。
被災市町村におきましては、任期付職員の追加募集を行うなど、独自の確保を行っているところでありますが、県としても、国や県市長会、県町村会等の関係機関と連携しながら、引き続き全国の自治体に働きかけるなど、人材確保に努めてまいります。
〇岩崎友一委員 やはり気になります。年々充足率が下がってきているわけでありますけれども、第3期復興実施計画の概要版の1ページ目に、たしか共通課題というか、大きな課題で予算というのが書いてあったと思うんですが、マンパワーがこれからも必要ですけれども、これは県として、国に要望だとかそういう話をしていますけれども、具体的に今674名に対して628名、これから現実的に上積みができますか、どうですか。
〇大平政策地域部長 あくまでも3月1日現在でありますので、これからも働きかけは行ってまいりますが、これまでの進捗などを見ますと、大きな数の上積みというのはなかなか難しいのかなと考えております。
〇岩崎友一委員 その原因はどのように捉えていますか。
〇大平政策地域部長 個別にいろんな県とか市長会、東京都とかを当たりますと、理解はいただいておるんですけれども、具体的な話になりますと、全国的な状況もございます。災害が各地で頻発していると、そちらのほうの応援、あるいは自分のところでもやらなければいけないということがございます。もちろん、もう6年たつわけでありますので、その辺のいわゆる風化という言葉もございますように、現地の状況が御理解いただいていないというのもございます。したがいまして、県といたしましては、ことし初めて市町村、現場を見ていただくという機会も設けました。来年もその機会をふやしていきたいと思っております。しっかりと現場を見ていただいて、人員の確保に努めてまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 現場を見ても、充足率が93%ですから、同じことをやっても来年もどうなんだというのがありますけれども、これをどう感じますか。復興はおくらせられないと、知事も含めてずっと皆さん言っていらっしゃるんですが、人を確保できずに、思いと具体的なことに差があるような気がするんですが、これは復興に与える影響をどのように見ていますでしょうか。
〇大平政策地域部長 先ほど申しましたように、必要数、今までは土木、建築、もちろんこちらのほうも充足していないわけでありますけれども、今後はその後復興の先を見据えた地域振興、こちらのほうは一般事務なども必要になってまいりますので、これらの状況をきちんと、県としてもサポートできるところは任期付職員の確保とか行っておりますけれども、全国の即戦力となる人員といいますと、地方自治を実際にやられている方などが必要と思いますので、こちらのほうの充足に努めてまいりたいと思ってございます。
〇岩崎友一委員 まだ3月で、新年度まで1カ月弱あるわけでありますけれども、県としても、それぞれの都道府県であったり市町村に、これからまた要望に行かれるわけですか。
〇大平政策地域部長 台風第10号とあわせて、2月から、ことしになりましてからも当部におきまして回っておりますので、これから機会を持って可能な限り回りたいと思っております。
〇岩崎友一委員 前の議会で、文化スポーツ部の設置に関しまして、その趣旨に反するものではないと。ただ、震災からの復興途上において、今の段階で設置するというタイミングがおかしいのではないかという理由で我々は反対をさせていただきましたけれども、この職員のお願い、各自治体を回っていまして、その辺の話は出ませんでしたか。
〇大平政策地域部長 私はそこは承知してございません。
〇岩崎友一委員 わかりました。県も人が足りないのは私も理解します。ただ、市町村も足りない。両方足りないわけでありますが、県として、今後新たに市町村に追加で人を出す、出さないという議論はこれから進むのでしょうか。確保できない市町村の応援職員の分は、今いる人でやってくれという方針なのでしょうか、どちらなのでしょうか。
〇風早総務部長 県といたしまして、東日本大震災津波発災以来、非常に多くの人員を、もともとの県の職員もそうでございますが、それから、県として任期付職員を採用して市町村に派遣するということで、さまざまな方策で市町村を支援してまいっております。したがいまして、今政策地域部長からもお話がありましたとおり、引き続き、さらに他県の市町村の派遣要請についても県が率先をして市町村課を中心に、そしてまた、去年は知事会において知事からも文書を出してお話をいただいて、改めて6年を迎えるけれどもということで力強く支援のお願いをしております。こういった結果、昨年度のこれは市町村分ですが、充足率も今年度の91.4%に比べ、先ほど申し上げたように100%には届きませんが93.2%ということで、努力のかいも見られているところでございます。
先ほど市町村分について政策地域部長からお話を申し上げたとおり、引き続き県分も市町村分も少しでも多く、1人でも多くの方々に御理解の上来ていただくよう、これは頭を下げて全国の皆様に引き続きお願いをしていくということだと考えております。
〇岩崎友一委員 今、部長たちから答弁いただきました。知事はこの点をどのように考えていますか。そして、知事として今後どういった動きをしていくのか、お示しをいただきたいと思います。
〇達増知事 まずは来ていただいている分、派遣いただいている分、丸6年たとうとしている、今の段階でこれだけ派遣していただけるということにまず深く感謝したいと思います。しかしながら、まだ足りないということについても、しっかり伝えていかなければならないと思っておりますし、また、応援職員として働いていただくことで、岩手にとってもそして派遣元にとっても、さまざま教訓でありますとか経験でありますとか、役に立つ部分もあるというようなことを、ポスターでありますとか、動画でありますとか、インターネットでありますとか、さまざまなやり方で、応援職員の皆さんの活躍を発信していくというような、いろんなやり方を工夫しながら、必要なマンパワーの確保に努めていきたいと思います。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。さっき言いましたように、第3期復興実施計画の1ページ目だと思うんですけれども、大きな課題の予算と人、その片方でございますから、これは多分車の両輪と一緒で、片方がなくても回らないと思いますので、何とか必死でお願いをします。
復興はおくれることは問題ですが、早く進む分には問題がありませんので、よろしくお願いしたいと思います。
次に行きます。ソフト事業の充実と生活支援相談員の活動状況ということで、新年度予算を見ますと、ハード面が減るのは理解はしますけれども、ソフト事業も115億円の減額となっております。これからソフト事業の充実が求められる中で、ソフト面の事業費が減少している理由、事業と内容についてお伺いをします。
まとめていきます。生活支援相談員でありますけれども、私も被災地というか応急仮設住宅に住んでいる中で感じるのは、いろんな人と話をしてもそう聞こえてくるんですが、生活支援相談員の活動が前よりも収縮しているように受け取られるわけでありますけれども、その辺、見守りサービスの現状を県はどのように把握をしているのか、また、今後どのようなサービスが必要と考えて、具体的にどう対応していくのかお伺いします。
〇木村復興局長 まず、ソフト事業の関係でございます。
平成29年度当初予算の震災対応分におけるソフト事業が減額となった理由、事業及び内容について主なものを申し上げますと、暮らしの再建関係では、応急仮設住宅の供与の継続、維持管理等を行うための費用でございますが災害救助費で、応急仮設住宅が減ってきているということなどによりまして約15億円の減額となっております。また、被災求職者の雇い入れに係る費用に対する助成金を支給いたします事業復興型雇用創出事業費補助、これが過去の支給分を除き今年度で終了するということでございまして、それに伴いまして約28億円の減額となっております。
それから、なりわいの再生関係では、中小企業者の事業再建に必要な資金を融資いたします中小企業東日本大震災復興資金貸付金で、事業再開の進捗に伴いまして貸付金の見込み額が減少しておりまして、これで約11億円の減額、それから、東日本大震災津波発災当初に取り扱いを行いました中小企業災害復旧資金貸付金、これの返済が進んでおりまして、貸付金の残高が減少してきているということから、約2億円の減額ということになってございます。このように、復興の進捗等に伴いまして、ソフト事業においても減額が生じてございます。
次に、生活支援相談員の活動状況ということでございます。
生活支援相談員は、戸別訪問などによります見守り、安否確認、相談支援など、地域や被災者の実情に応じた支援を行っておりますが、訪問状況の推移を住居別に見ますと、平成26年度は、訪問延べ回数が約29万8、000回のうち、応急仮設住宅入居者への訪問が約8割、79%、災害公営住宅入居者への訪問が2.7%ということでありました。平成27年度は、訪問回数延べ約32万3、000回でございますが、そのうち応急仮設住宅入居者への訪問が69%、それから災害公営住宅への訪問が10%。それから、今年度12月末現在という数字でございますが、訪問延べ回数約20万4、000回のうち、応急仮設住宅入居者への訪問が57%、それから災害公営住宅への訪問が21.4%ということで、応急仮設住宅から災害公営住宅への移行が進んできているということでございまして、年々応急仮設住宅に対する訪問の割合というのは減少してございます。ただ、いまだ応急仮設住宅に残らざるを得ない方、それから災害公営住宅へ転居した方あるいは自立再建された方など、被災者の住環境はさまざまでございますので、年齢とか経済的理由などの状況によりまして、それぞれ個々の状況に応じたさまざまな課題を抱えておられます。したがいまして、一人一人に寄り添った丁寧な取り組みが必要であると考えてございます。
県といたしまして、平成29年度において、生活支援相談員186名の配置に要する経費を当初予算案に盛り込んだところでございます。引き続き、市町村、社会福祉協議会と十分に連携しながら、生活支援相談員それから市町村が配置します支援員等によりまして、応急仮設住宅に残らざるを得ない方を初めとする被災者に対する訪問による見守り、それから相談支援活動を行いますとともに、サロン活動など住民相互に支え合い、コミュニティー形成の支援などに取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 データもありますからそのとおりなんでしょうけれども、ちょっと答弁が表面的過ぎるといいますか、やっているにはやっていると思うんですけれども、前と違って訪問回数が減ったりとか、活動の幅が広がってそうなったのか、ちょっとその辺私も理由がわからないんですけれども、手薄になっている気がします。
何でしっかりやってほしいかというと、災害公営住宅に入ったり家を建てたりする人が出てきましたから、応急仮設住宅も集約化がされております。ただ、集約化されていますけれども、全部されるわけじゃなくて、残っているところで、例えば1棟6世帯が入れる、そこに1世帯だけ住んでいるようなケースもあって、特に多いのはその1世帯が高齢者だけとか、おばあちゃんひとりだけとかということで、かなり寂しい感じになっています。防犯上も問題があるし、精神的にも寂しいという表現をする方々が多いわけですけれども、その辺がしっかりフォローできていないのではないかという懸念があるわけでありますけれども、その辺はどのように県として捉えているのでしょうか。やっているにはやっていると思うんですが、私の感覚はそんな感じですが。
〇木村復興局長 今年度の生活支援相談員の方々の活動状況、12月末までの状況でございますが、見守りとか相談とかさまざまございます。具体的に、訪問による件数というのが約9割、89.5%。その中でも、応急仮設住宅につきましては92%というようなことで、9割を超える対応というのは、具体的に訪問をしていろいろお話を伺っているということでございます。
それから、それに対する対応ということでございますが、さまざまあると思います。ただ、相談員のみで対応するもの、それから、それぞれの行政機関ですとかNPOですとか、それ以外の方々といろいろ連携して対応しているということもございます。相談員のみで対応しているのが大体65%ぐらい、残り35%については相談員のみということではなくて、いろんな他機関と連携しながら対応しているということでございますので、いずれ、今後につきましても、行政だったりとかNPOだったりとか、そういう方々と連携しながら、それぞれの個別の事情に沿った、一人一人に寄り添ったような対応をしていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 言っているのはそのとおりなんです。ただ、やっぱり実態が伴っていない感じがいたします。多分、これ以上質問しても、そのペーパー以上の答弁はいただけないと思いますので、現場の状況がどうなっているのかをもう一度把握していただきまして、11日が来ればもう丸6年ですから大変です。本当に活動の幅も広がって支援員の方も大変だと思いますけれども、今、本当に大事な時期であると思いますので、現場重視でお願いしたいと思います。
〇名須川晋委員長 岩崎友一委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
岩崎友一委員、御了承願います。
午後2時57分 休 憩
午後3時17分再 開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇岩崎友一委員 では、引き続きよろしくお願いします。
次に、被災地における移住者の住宅の確保について取り上げます。
これは一般質問でもありましたけれども、やはりこの東日本大震災津波で、U・Iターンによる移住者が被災地ではふえているように思います。大槌町の例が出ましたけれども、本当に復興支援だったりボランティアで通う中で定住を決めた方だったり、漁業学校に入学、入校して移住しようと決めている方々、さまざまな経緯で定住を希望しているわけでありますけれども、いかんせん住宅問題が、今、応急仮設住宅に例えば月1万5、000円の家賃を払って住んでいる方もいますが、将来的に住宅確保の見込みがないことに対して多くの不安を抱いているところであります。
この辺、県の見解、どのように捉えているのか、また、その災害公営住宅への入居要件の緩和等も、これは国の協議も必要かもしれませんが、その可能性も含めてお答えいただきたいと思います。
〇木村復興局長 被災地における移住者の方々の住宅確保の関係でございます。
災害公営住宅の空き室につきましては、応急仮設住宅等にお住まいの被災者が現在多数残っている状況でございますので、入居要件を緩和できる状況にはないと考えてございます。
被災者の方が全て入居した後に空き室が発生したというような場合については、低所得者の方については一般公営住宅として入居が可能でございますけれども、U・Iターンの方々が、所得制限の関係等がございますので、直ちに入居できるような仕組みにはなっていないところでございます。
一方で、沿岸被災地においては、今後、復興が進展するにつれて民間賃貸住宅が空いてくることも見込まれますので、これらの活用も考えられるところでございます。
また、釜石市では、雇用促進住宅を取得しまして、新婚世帯、それからU・Iターン者などを対象にした定住促進住宅として活用している例もございます。沿岸地域の市町村においても、空き家バンクの開始など、移住、定住の促進に向けた取り組みが広がっているところでございます。
県としては、市町村に対しまして、住宅施策を含めた県内外の移住施策の情報を提供するとともに、平成29年度当初予算案には、新たに、県外からの移住者による空き家バンク登録物件の改修費への支援を行う市町村に対する補助を盛り込んだところでございます。
市町村との連携を強化しながら、移住、定住の促進に今後とも取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 じゃ、今の答弁で、U・Iターンで移住をしようと決めている方々の不安は払拭できるとお考えでしょうか。
〇木村復興局長 いずれ、その時点、その時点で活用できる制度については丁寧に御説明するということでございますし、あとは、具体的に御意見なども伺いながら、市町村と一緒に、どういう対応がとれるのかというようなことを具体的に検討していきたいと思います。そういうことで、できるだけU・Iターンの方々が、こっちに残っていただける状況になるように努めていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 やっぱり結構この話が最近よく出るんですね。それで、ちょっと私も考えたんですけれども、市町村によっては、応急仮設住宅を特定延長する場所としない場所、南のほうはまだ期間がありますけれども、特定延長すれば、意向調査も一緒にするわけでありますから、災害公営住宅も何部屋が埋まって何部屋があくという数字が具体化されると思うんです。それを早い段階で特定延長にして、意向を正確なところで把握して、あいている部分に移住者に入っていただくというようなことも必要であると思います。これは、もしかしたら復興庁との協議が必要かもしれませんが、そういった方策も考えていく必要があると思いますが、今の点も含めていかがでしょうか。
〇木村復興局長 いずれ、応急仮設住宅に入っておられるという状況の中で、災害公営住宅にあきがあるから、そこに被災者でない方が入るということについては、なかなかハードルが高いのかなと。ただ、今、委員おっしゃったとおり、特定延長という中で意向把握がどんどん具体的に進んでまいりますので、住んでいる方々が、災害公営住宅には入らないというような、具体的にもう宅地造成、自宅再建を進めているというような状況等、その状況、状況に応じて柔軟に対応できるようなことができるかどうか、これは復興庁とも協議を進めていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。結構若い方が多いんですよ。本当に被災地の人口流出は、そのとおり顕著でありますけれども、特に若い人がいなくなって高齢化率も上がっているということでありますから、市町村としても何とか定住してほしいと。ただ、やっぱり東日本大震災津波当時としてですけれども、住まいがないというのは不安ですよね。住まいと働く場所と。ですから、国とも協議をしていただいて、ぜひ、この不安払拭のために県でも御尽力を賜りたいと思います。
次、水産業の振興についてお伺いします。
先ほどの知事の答弁でも、いろいろ水産業の件も触れていただきました。ただ、やはり東日本大震災津波以降、総じて浜はよくない。特にも今年度におきましては、昨年ですか、浜は歴史的な不漁でありまして、サケを初め、サンマ、スルメイカは全くだめでございました。これは、もう本当に漁業だけでなくて、水産加工、運送、資材産業に大きな影響を及ぼしているところであります。
県として、この不漁の原因をどのように認識しているのか、また、現在の資源の状況、そして来年度以降の見通しを含めてお伺いします。
〇木村復興局長 水産業の資源の関係でございます。
県内魚市場における平成28年の水揚げ数量は9万6、000トンということで、東日本大震災津波前の54%となっております。水揚げ金額は204億円で、東日本大震災津波前の87%となっております。特に主要魚種の水揚げ数量について申し上げますと、サケが東日本大震災津波前の33%、サンマが42%、スルメイカが25%と東日本大震災津波前を大きく下回っている状況にあります。
その原因についてでありますが、サケについては、回帰の主群となります4年魚、5年魚が、東日本大震災津波後のふ化場が復旧途上にあったことで稚魚放流数が少なかったこと、それから、サンマとスルメイカについては、本県の沿岸域に長期間にわたり高水温帯が分布して、良好な漁場が形成されなかったことなどが考えられるところでございます。
東日本大震災津波後の本県近海の漁業資源動向は、国の調査によれば、サンマは横ばい、スルメイカは減少している一方で、イワシ、ブリなどは増加傾向にありまして、魚種によりばらつきがあるものの、総じて本県近海の漁業資源は安定していると考えております。
今後の見通しについてでありますが、サケは、東日本大震災津波後の稚魚放流数の減少などによりまして、東日本大震災津波前の水準に回復するのは平成31年度以降と見込まれております。それから、スルメイカは、資源量が少なく、来年度も好転は見込めないという状況にあります。サンマは、5月以降に国から長期予報が発表されるため、現時点では不明ということであります。
一方、イワシについては、東日本大震災津波後の水揚げ数量が東日本大震災津波前に比べて約24倍となっておりまして、今後も増加が見込まれるという状況になっております。
〇岩崎友一委員 実はこういった状況で、浜に本当に活気がないのも事実であります。一番自分がおそれているのが、温暖化の影響なのか、いろいろあるかと思いますけれども、10年後も-10年後、自分がここにいるかどうか別ですが-この魚がとれないからどうするんだの議論をするのは、さすがにそのころには水産業はもうかなり衰退していますでしょうから、先々を見て手を打っていく必要があるだろうと。
漁業もそうですし、加工場あたりも、一般質問で福井委員が取り上げていましたけれども、今、一つ一つの会社がやっていますが、そういった不漁に耐え得るためにも資本の増強であったり、そういった観点から合併、統合も必要ではないかということも考えていかなければならないと思いますし、そういった部分で県の政策誘導も必要ではないかと思っております。
県では、国際戦略ビジョンもつくりまして、これから海外市場への展開というのもありますが、そういうものも見込めば、水産加工場をもっと資本増強して、戦っていく体制をつくることもあわせて大事になるかと思いますので、漁業も含めて水産業の先々を見据えた政策の立案と推進をお願いしたいと思います。
次に、JR山田線についてお伺いいたします。
これ、アとイは時間がないので飛ばして、ウの急行列車から行きたいと思いますけれども、三陸鉄道と今整備が行われている三陸沿岸道路は、それぞれの強みを生かし弱みを補う政策が県として必要ではないかと思います。
この三陸鉄道ですけれども、北の久慈から南の盛まで、これは各駅停車で行くと4時間かかると。三陸沿岸道路の久慈-大船渡間が2時間ということで、移動時間を考えれば三陸鉄道のほうに大きなデメリットがあるところであります。
観光振興等々、先ほど来さまざまな答弁がありまして、期待はするものでありますが、4時間といえば、新幹線に乗れば、盛岡から多分名古屋の先に行きますね。相当な時間でありまして、それは観光客にとってずっと乗っていられるかどうか、目的地に着くまでに余りに時間がかかるのではないかと。
そこで私は、技術的な部分、財政的な部分もあるかもしれませんが、急行列車の導入をお勧めしたいのですが、いかがでしょうか。
〇大平政策地域部長 急行列車による速達性の向上は、利用者の利便性の向上を図るとともに、今回、一貫経営になりまして163キロと全国最長になりますので、第三セクター最長の鉄道、これを全線乗車体験できる新たな観光資源としての側面もあろうかと思います。
技術面では、列車のすれ違いあるいは速度設定などの調整がありますけれども、ダイヤ編成に大きな支障を与えるものではなく、三陸鉄道における運行経費等への大きな影響も想定されません。
要は、いかに需要を取り込むか、乗る方がふえれば経営上は問題ありませんが、逆に、それによって本数が、近場の方が乗れないということになると、急行列車は要らないという方もいらっしゃいますので、その辺の状況については、三陸鉄道に急行列車及び快速列車を含めまして対応の検討を求めたいと考えてございます。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。
それで、もう一個、三陸鉄道の提案なんですけれども、鉄路のメリットと言えば、一度に大量の荷物を運ぶことができるということであります。県では先ごろヤマト運輸と協定を結んで、三陸沿岸道路を活用した共同輸送の試験運行の取り組みを始めたところでもありますけれども、やはり物流業界もなかなか、二種免許を取ったドライバーをこれから確保していく、ふやしていくのは非常に厳しい状況であるかと思います。
そこで、三陸鉄道が物流機能を担うことができないものかと。これは検討の余地があると思うのですが、これについても県の見解を伺います。
〇大平政策地域部長 物流の中で貨物列車を連結するということは、技術的にも動力等の問題から実現が難しいとは考えてございます。
一方、今、委員のおっしゃったのは、恐らく、さまざまな方法があろうかと思いますけれども、客車の中に荷物を積むスペースを置くとか、そういう例は他の地方鉄道でも事例がございますので、あとはどうやって乗せるかと。
三陸鉄道の場合、駅でありますと、地下道を通ったり、さまざまな問題がある場合がございますので、荷物をどこから載せるかというか、負担をかけないで載せる方法を考えなければいけないと思います。これが技術的に可能かどうか、あるいはそれで三陸鉄道の収益が拡大するのか、あるいは相手方、物流業者がどのような意向を持っているか、これは非常におもしろい可能性があると思いますので、実施の可能性については探ってまいりたいと考えてございます。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。三陸鉄道は今、いろいろとJR東日本で工事をしていますけれども、目的は復旧ではなくて、地域の足として継続して運行していくことであります。赤字垂れ流しで、それが第三セクターだからといって行政が負担すればいいという話じゃなくて、やはり黒字化するためにどうするかを考えていかなければ今後の継続も厳しいのではないかと思います。ですから、その辺も、県としても三陸鉄道と協議をいただければと思いますし、あわせて利用促進策のためにも、各市町村のまちづくりと連動したことも必要かと思いますので、その辺も含めていろいろと検討を賜りたいと思います。
次は、ラグビーワールドカップ2019の推進体制について伺います。
この整備事業費についてでありますけれども、これがワールドカップリミテッドからの指摘で39億円になりました。これは震災復興交付金や日本スポーツ振興センターからの助成金を活用するほか、地元負担分についても震災復興特別交付税や過疎債を充当するなど、地元負担の軽減を図ると伺っています。
過疎債につきましては、後年度に7割の地方交付税措置があるものの、残り3割は釜石市の負担ということになります。仮設施設の整備費は全額地元負担となっており、釜石市は総額で今8億円程度を実質的に負担することになります。
県は、仮設施設の5億円について応分の負担をすると表明しているところでありますが、具体的な負担割合をどのように考えているのか、また、岩手県と釜石市の共同開催でありますので、仮設施設以外の残り3億円の負担に関しても、県の見解を伺いたいと思います。
〇大平政策地域部長 昨年1月に復興庁で行われました復興庁、釜石市、岩手県による3者会談の場におきまして、大型照明、映像装置、仮設スタンド等の仮設施設の整備費に対して、県として応分の負担を行う方針を表明し、当該方針について、3者で確認、合意しているところでございます。
釜石市では、来年度に仮設施設整備に係る実施設計を行うこととしており、並行して、大会運営主体であるラグビーワールドカップリミテッドとの協議、調整を行いながら、仮設施設の仕様や設置時期について検討を進めていく予定となってございます。
県としては、引き続き、市と連携、協力の上、仮設施設の設計の検討やワールドカップリミテッドとの交渉に当たるとともに、仮設施設整備費に対する県の負担割合について、市との協議、調整を行う予定となってございます。
仮設施設以外の運営経費の負担については、ことし4月に実行委員会を設立し、本格的に開催準備に取り組む費用として、県と釜石市で各2、000万円の負担金を平成29年度当初予算案にそれぞれ盛り込んでございます。
今後、開催準備の一環として実施するテストイベントや大会開催時に必要な警備や交通輸送など、組織委員会との具体的な役割分担を決定していく中で、運営経費等の負担についても検討を行ってまいります。
〇岩崎友一委員 ざっくりした方向性というか、県のスタンスとして、やはり県だったり釜石市が負担する分に関しては、基本、折半という考え方でよろしいんですか、今どういった方向性を持っているんでしょうか。
〇大平政策地域部長 検討中でありますので、今は応分の負担ということで、今後協議してまいるものでございます。
〇岩崎友一委員 釜石市も復興でかなりのお金を投じているわけであります。その一環として行われるわけでありますけれども、岩手県、釜石市の共同開催ですからね。県庁の前にもそう書いていますね。ですから、負担が偏らないように、釜石市ばかりが負担するということがないように、しっかりと調整をしながら進めていっていただきたいと思います。
次に、施設の共同運営でありますけれども、沿岸部には県営のスポーツ施設が一つもございません。ぜひ県営の競技場、復興スタジアムというような地元の声もあるわけでありますけれども、その可能性についてお伺いしたいと思います。
〇大平政策地域部長 本施設は、釜石市のラグビー場でございますが、ラグビーワールドカップ開催のためだけでなく、スポーツ活動、文化活動において、広く市民のための施設として釜石市が整備するスタジアムでありますので、県営とすることは考えてございません。市からも、その旨、理解が得られているものと考えてございます。
〇岩崎友一委員 でも、どうですか、沿岸はスポーツ施設ゼロでありますけれども、知事も最初の選挙のころ、県土の均衡ある発展というものをうたっていた気がするのですが、それも踏まえて、知事、やはり厳しいんですか、どうですか。
〇達増知事 ラグビー競技場ということについては、市町村でやっているところはほかにもありますので、釜石市においても、それはやれるんだと思います。
〇岩崎友一委員 いや、今ちょっと質問と違った。県としてどうですか。県営施設が沿岸にないわけでありますけれども。
〇達増知事 陸前高田市の野外活動センターを広田半島のほうに移して、そこは、やはり県で責任を持って行っていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 時間がないのできょうはこれ以上触れませんけれども、ぜひ、きょうはスポーツ振興の話ももろもろ出ておりますが、岩手県は広いのでいろいろ大変だと思うのですが、道路ができれば、内陸からも沿岸に来られるし、沿岸からも内陸に来やすくなるので、そういった道路開通の利活用をしっかりしながら、もう一回その辺、組み立て直すというか、沿岸にスポーツ施設ということも検討いただければと思います。
次に、砂浜再生の関係でお伺いします。
今定例会の補正予算におきまして、津波危機管理対策緊急事業費、漁港環境整備事業費としてそれぞれ2、000万円、根浜、浪板に御計上いただきましてありがとうございます。
それで、今、復興交付金使途協議書を国に提出している段階であるかと思いますが、調査事業着手の時期、平成32年度、復興交付金が切れる時期でありますが、それまでの整備スケジュールについてお伺いしたいと思います。あわせて今の課題、そして、今後想定される課題があればお示しいただきたいと思います。
〇木村復興局長 砂浜再生の件でございます。
現在、復興交付金を所管いたします復興庁と事業を進めるに当たっての協議を行っているところでございまして、協議が調い次第、2月補正予算を議決いただきましたならば、今年度中には砂浜再生に向けた可能性調査に着手したいと考えてございます。
人工的に再生された砂浜は、自然の砂浜より、波、それから潮流等の影響を受けやすいとの課題もあると言われております。今後明らかとなります調査結果を踏まえまして、学識経験者等から助言をいただきながら、海浜利用者などの意見もあわせて伺い、砂浜再生の可能性を検討してまいります。
スケジュールでございます。砂浜再生調査事業は平成29年度ということで予定してございますが、もし、調査の結果、砂浜再生工事を実施することになった場合は、平成30年度に設計等を行いまして、平成31年度から平成32年度にかけて工事を実施することになります。
〇岩崎友一委員 了解しました。本当に県として一歩大きく踏み込んでいただきましてありがとうございます。まだ問題は、しっかり砂がつくかどうかがありますけれども、しっかりつけられるような有識者の方を呼んでいただいて、よろしくお願いしたいと思います。
復興関係は時間がないので飛ばして、次、大きな項目の3番目の少子化対策に移りたいと思います。
1980年以降の日本は、結婚されている方々の出生率はほぼ横ばいではありますけれども、結婚される方々の率が低下しており、それが出生率低下の主な要因として考えられております。
総務省のデータでも、岩手県では、過去10年を見ても、平成18年、婚姻数が6、458組、平成27年は5、243組と約1、000組減少している状況でございます。まずは、結婚したいと願う方々が結婚できる率を上げていくことが重要であるかと思います。
結婚サポートセンターについてお伺いしたいわけでありますけれども、県では、結婚サポートセンターの会員成婚数50組をKPIとして、ふるさと振興総合戦略で示しております。新年度予算では、県南地域に盛岡、宮古に次ぐ3カ所目の結婚サポートセンターとして設置をするとのことでありますけれども、設置するわけでありますから、この間の1年5カ月の評価を踏まえた運営が必要であると思いますが、この間の運営についてどのように評価しているのか、会員成婚数の実績とあわせてお伺いします。
また、県北地域が唯一設置されていない状況になりますけれども、県北地域への対応をどのようにするのかお伺いします。
〇千葉副知事 2点お尋ねを頂戴いたしております。“いきいき岩手”結婚サポートセンターの評価についてでございますけれども、本年2月までに入会登録された方は1、012人で、結婚などを理由に退会した会員を差し引くと、現在の会員は970人となっておりまして、今年度の目標でございます850人を上回っているところでございます。
また、成婚数は7組でありまして、目標の数には達していないところでございますが、現在、交際中の会員も数多くおられますことから、さらに成婚数の増加が期待されているところでございます。
なお、このほか、結婚サポートセンターに登録したことを契機として、結婚への意識が高まり、婚活に積極的に取り組むようになったことなどにより、会員以外の方と結婚し、退会した会員が14人いると聞いております。
このように、結婚サポートセンターは、結婚を望む県民のための支援拠点として一定の役割を果たしてきていると認識しております。
次に、県北地域への対応でございますが、結婚サポートセンターの地域別の入会登録者数は、県央地域が502人、県南地域が234人、沿岸地域が209人、県北地域が55人で、これを20歳以上の人口1、000人当たりの登録人数で比較いたしますと、県北地域は県央及び沿岸地域の5割未満となっているところでございます。
仮に最少の人員配置でサテライトを県北地域に設置するといたしましても、現在の倍以上の会員数でなければ効率的な運営は難しいのではないかと考えております。
したがいまして、今後、市町村、団体等の協力をいただきながら、まずは会員数の増加、確保に努めますとともに、それまでの間につきましては、当面は出張サービスの実施回数をふやすこととしておりまして、久慈市で実施しております出張サービスの実施回数を毎月1回から2回に、二戸地域では、新たに出張サービスを月2回実施いたしまして、利便性の向上を図っていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 7組成婚されたということで、おめでとうございます。
会員成婚数、これはKPIが50組なんですよ。今7組と。それの達成に向けて、今後、具体的にどのような取り組みが必要と認識しているのかお伺いします。
〇千葉副知事 いずれ、なかなかこれは決め手があるところではないわけでございますが、私どもといたしましては、正直申して、予想以上に活動成果が出ているのではないかと思っております。
いずれ、その目標数の話もございますが、やはり今回7組の方が成婚なされたということで、県民あるいはこれから結婚したいと思っている方に対して、いろいろとメッセージも発していただいて、そういうものを情報発信させていただいております。そのようなことを含めていろいろな情報発信をすることで、目標数へまず頑張っていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 多分今の答弁ですと、県北地域も会員がふえたら設置しなければならないような状況もあるんですが、私は、実は成婚数50組のKPIっていいと思うんですよ。結構大変だと思うんですけれども、今は7組ですが、具体的に何をどうして50組に向かっていくかというのが一番大事だと思います。本当に人と人とのお世話というか、難しい話だと思うんですけれども、ぜひ達成に向けて具体的な取り組みをまたどんどんふやしてもらって、50組にこだわって頑張っていただきたいと思います。
次に、実はこれ、少子化対策ストーリーをつくったんですが、足りないのは時間でして、子ども・子育て支援新制度について取り上げたいと思います。
この子ども・子育て支援新制度は、平成24年8月に成立した国の法律に基づいて、平成27年度から子ども・子育て支援新制度がスタートいたしました。でも、この子ども・子育て支援新制度は、平成27年からの5年間で県内の市町村の待機児童をゼロにするという計画となっておりますが、新年度は折り返しとなる3年目を迎えるわけであります。県では、この2年間の取り組みをどのように評価しているのか、待機児童数の推移とあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 子ども・子育て支援新制度についてでございますけれども、保育の実施主体でございます市町村におきましては、新制度を踏まえ、施設整備等による保育の受け皿の拡大に努めてきたところでございまして、保育を必要とする子供に係る利用定員は、平成28年4月1日現在で3万92人となったところでございます。
新制度は平成27年4月に本格施行されたところであり、それ以前の数値と比較することは困難でございますので、恐れ入りますが、平成27年4月1日現在の人数2万9、362人と比較しますと、730人の増となっております。
これに加えまして、本年度の施設整備により335人の増を見込んでおり、県といたしましては、このような施設整備に対しても財政支援を行ってきたところでございます。
一方、待機児童数は、平成27年4月1日現在では128人に対しまして、平成28年4月1日現在では194人となっているところでございます。また、10月1日現在の話をしますと、平成27年10月1日現在では732人に対しまして、平成28年10月1日現在では710人になっているなど、待機児童解消に向けて、引き続き取り組んでいく必要があるものと考えております。
待機児童が発生する主な要因でございますが、やはり女性の就業が大きく進み、また、子ども・子育て支援新制度が施行されたことなどによりまして、保育ニーズが過去より高まってきていることが挙げられると思っております。
待機児童の解消に向けましては、市町村が子ども・子育て支援事業計画に基づく取り組みをまずは着実に進めることが重要でありますが、県といたしましても、引き続き、保育所等の整備や保育士の確保に向け必要な対応をとり、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 新年度は折り返しということで、市町村ともまたさまざまな、これまでの取り組みのいい、悪いとかいろいろとあるかと思いますけれども、やはり待機児童は今、社会問題になっておりますので、まず、その解消に向けては全力でやっていただきたいと思います。
それで、その待機児童解消に向けての保育士・保育所支援センターの増員に関してお伺いしたいんですが、このセンターは、説明を受けるには、潜在保育士対策といいますか、そのマッチングだったりが主な活動内容になっているかと思います。このマッチング実績、先ほど佐々木朋和委員も取り上げましたけれども、今年度1月末でも94件ということで、数字だけ見ればそれなりのように見えるわけでありますが、これは329の求人に対しての94、マッチング率は28.6%ということになります。
このセンターの運営につきましては、福祉人材センター職員と連携しながら行っていることは承知しておりますが、基本的には今1名の専任コーディネーターが行っているわけでありまして、やはり今の保育士の確保状況を見ますと、潜在保育士をもうちょっと活用していかなければならないような状況であることから、この職員の増員を求めたいと思いますけれども、県の見解を伺います。
〇千葉副知事 保育士・保育所支援センターの体制についてでございますが、今、委員からお話がございましたように、現在は専任スタッフが1人でありまして、福祉人材センターと連携して取り組んでいる状況にございます。いずれ国の平成29年度予算案で、一定のマッチング実績を満たした場合、コーディネーターの追加配置を可能とする方針が示されましたことから、今後の国の具体的な制度設計を注視し、センターの体制の強化について検討していきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 国は国なんですけれども、これは、やはり1人の仕事量としては物すごくやられていると思うんですよ。マッチング、マッチングと言いますけれども、これ、保育園を訪問して、潜在保育士の活用の助言だったり、悩み相談会、基本、1人でこれを全部やるわけですね。それで、県内全部をカバーするということで、本当に潜在保育士のマッチングをもっともっと高めるためには、県単独でもふやしていくぐらいの覚悟が必要かと思うのですが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 いずれ、このコーディネーターの果たしている役割は非常に大きいと考えておりますので、まずは国の制度設計の考え方を注視し、本県で導入できるかどうかを検討し、あわせて、県単でも措置しなければならないかについては、その後また検討していく必要があろうかと考えております。
〇岩崎友一委員 確認です。県としては増員の必要性は感じているところですか。
〇千葉副知事 いずれ、今年度新たに再就職した保育士と対話を行う相談会、いわゆる通称保育所カフェを開催するなど、よりきめ細やかな支援を行っていく必要がございますので、確実に業務量はふえるものと見込んでおります。
〇岩崎友一委員 そうすると、必要性は認めているということですか。
〇千葉副知事 いずれ業務量の拡大は見込んでおりますので、それを前提に検討してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。多分思っているところは一緒だと思うんですよ。やはり1人では限界があると思いますので、そのくらい保育士・保育所支援センターの役割は大きいと思います。よろしくお願いします。
その待機児童解消に向けた知事の決意をお聞きしたいんですけれども、この待機児童の解消は、母親の就職率がふえる傾向があるということで、今の岩手県というか全国的に抱える労働力不足への対応にもなると。また、低所得の親が共働きしやすい環境になりますから、子供の貧困率の低下にもつながるというようなデータもあります。
そういった意味では、あらゆる課題解決につながる重要な施策であると思いますけれども、最後に知事に、改めて待機児童解消に向けての決意と、県として、改めていつまでに待機児童ゼロを目指すのか、具体的な目標を伺います。
〇達増知事 待機児童の解消は、それぞれの地域の実情や利用者の希望に応じた幅広い選択肢の中で対応していくことが重要であります。
保育の実施主体である市町村においては、平成27年度から平成31年度までの5年間の保育ニーズや地域の実情を踏まえて、子ども・子育て会議の意見を聞きながら策定した市町村子ども・子育て支援事業計画に基づいて、待機児童解消等のための取り組みを進めているところであります。
市町村がこの計画に基づく取り組みを進めることによって、待機児童の解消が図られることとなるわけでありますけれども、現在、待機児童が発生している一部市町村においては、この取り組みに加えて、待機児童解消加速化プランに参加して施設整備等の強化を図っているところでありまして、県としては、効果的な事業実施に向けて必要な助言や財政支援等を行うなど、今後とも市町村を支援してまいります。
〇岩崎友一委員 知事は、県としてはいつまでにゼロにするというような熱い思いはないですか。
〇達増知事 いつまでにゼロというと、今ゼロじゃなくていいみたいな話になると思うんですけれども、やはり今、待機児童ゼロになっていないのはまずいと思うんです。ですから、可及的速やかに待機児童はゼロにすべきと考えています。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。
最後に、ILCの誘致活動のあり方についてお伺いしたいと思います。
このILCの誘致は県民みんなの願いであります。第3期復興実施計画案においても、三陸創造プロジェクト内の国際研究交流拠点形成プロジェクトの一つとして掲載されており、復興の象徴と、そして、私たち現役世代が将来世代に残せる大いなる夢であると思います。
県では、この関係で環境の整備、普及啓発等々の取り組みを行ってきたところは承知しておりますけれども、日本に誘致するか否か、北上山地に誘致するか否かは政府の決定事項であります。
ですから、本気で誘致をするのであれば、もう少し誘致に当たっての手段というものを考えたほうがよろしいのではないかと思いますけれども、知事の見解をお伺いします。
〇達増知事 ILCの誘致活動のあり方については、県においては、復興基本計画にILCを盛り込むこともしておりまして、東日本大震災津波発災直後から、国や政府に対する復興に関する提言、要望においても、ILCの実現を含め要望活動を行ってまいりました。復興構想会議や復興推進委員会等の場でも随時発言してきたところであります。
県内では、産学官で構成される岩手県国際リニアコライダー推進協議会や岩手県議会の全議員の皆さんに参加いただいている議員連盟、また、県市長会、市及び町村の議長会が、国等への要望を行っています。
東北では、岩手、宮城両県の知事初め、関係者が理事を務める東北ILC推進協議会や北海道東北地方知事会、北海道・東北六県議会議長会も一体となって要望を進めているところであります。
ILC実現に向けて、超党派の国会議員による建設議員連盟や本県地元選出の国会議員の方々も積極的に活動いただいているところでありまして、今後とも、ILCに関係する多くの方々と密接に連携して取り組みを進めてまいります。
〇岩崎友一委員 ちょっと私、調べてみたんです。文部科学省政務面談記録、これはホームページ等々からですね。そうしますと、さかのぼれば平成28年6月7日、平成27年6月4日、平成26年6月3日、それぞれ副大臣-全部副大臣です-に面談しているようですけれども、平成26年以降、年に1回しか行っていないようですが、これは余りに少なくないですか。知事としましていかがでしょうか。
〇達増知事 県単独での国への働きかけといいますか、そもそもそれでいいのか、関係の団体とともに動くほうがいいのではないのか、あるいは東北という単位で東北ILC推進協議会として行くほうがいいのではないか等々、そこは、さまざまな関係者と協議、調整をし、特に研究者の皆さん、東京大学、東北大学、そして鈴木厚人県立大学学長を初め、研究者の皆さんとよくよく相談をしながら、そのように進めてきたところであります。
〇岩崎友一委員 私、手段は一つと言わず、県としても、知事単独で行ってもいいと思いますし、各県知事と一緒に行ってもいいと思いますが、とにかくこれは時間がない話でありますので、ことし1年、何とかたくさん足を運んでいただければと思います。
終わります。
〇名須川晋委員長 次に、佐々木努委員。
〔佐々木努委員質問者席に着く〕
〇佐々木努委員 いわて県民クラブを代表し、質問させていただきます。
知事とこうして議論する機会はなかなかありませんので、きょうは、知事に直接、県政運営についてお伺いをしていきたいと思います。
冒頭、先ほど佐々木朋和委員の質問の中で、保育士修学資金貸付制度を実施する方向で検討するという答弁に私には聞こえましたが、それで間違いないでしょうか。
〇達増知事 保育士修学資金貸付事業につきましては、これまで、県議会や、また県内保育関係団体から創設の提案、要望があったところでありまして、現在、担当部において、県内保育関係団体や保育士養成校と意見交換を行っております。この意見交換では、学生の確保や経済的負担の軽減、将来的な保育士の確保に有効などの意見があったことを踏まえまして、今後、県として、具体的な制度設計について速やかに検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 これは、我が会派も頑張って、県に何とかやってほしいということで取り上げてきておりますし、先月28日、千葉絢子委員も一般質問で同様の質問をしました。その際の答弁は、これはまだまだ時間がかかるなという答弁でありましたが、あれからわずか5日、土日を抜くとわずか3日、この3日間、この空白の3日間に一体どのような議論が行われ、検討する方向に進んだのか、その理由を教えていただきたいと思います。
〇達増知事 答弁検討の中で、実は岩崎友一委員からも同じ質問通告をいただいていたのですけれども、こういう答弁で行こうと決めたところであります。
〇佐々木努委員 じゃ、その3日間の答弁検討の中で、じゃ、やりましょうという判断をしたということで、そのとおりでいいわけですね。それを真に受けていいわけですね。
〇達増知事 先ほど申し上げた答弁は、答弁検討を行った上で行っているものであります。
〇佐々木努委員 わかりました。これをやっていただけるという方向で知事に判断していただいたことは、これは我々にとっても非常にうれしいことですし、この事業をぜひ進めてほしいという保育関係の方々も大変喜んでいることなので、それはそれで感謝したいと思いますが、我々もいろいろなものを背負って、さまざまな質問をさせていただいたり主張をさせていただいたりしているわけでありまして、この議員だからこういう答弁とか、あるいはこの議員だからこういう答弁と、議員によって答弁を分けられることになると、その議員の立場としても非常に厳しいものがあると私は思っていて、その辺のところの説明はしていただくことが、そのぐらいの配慮は私は必要だと思います。
あわせて、検討するということですが、今度、実施の目途、何年度からこの事業をやるというその目途についてもお伺いしたいと思います。
〇達増知事 現在答弁できるところは、さっき述べたところまででございまして、まずは速やかに検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 できれば新年度適用になるように、何とかお願いしたいと思います。これは要望です。
それでは、本題に入りたいと思います。
我が県においては、東日本大震災津波からの復旧、復興、それから、台風第10号災害からの復旧、復興、人口減少問題、少子高齢化、それから医療、福祉、介護の充実、教育、スポーツ振興、課題を挙げれば切りがないわけでありますけれども、そういう中で、知事は、未来につなげる復興ふるさと予算と名づけて、総額9、797億円の新年度予算を編成されました。平成28年度当初予算に比べれば8.1%の減ではありますけれども、私は、これはかなりの大きな予算だと思っています。厳しい県財政の中で、県民のさまざまな要望に応えるための非常に大事な予算ですので、我々もしっかりと精査をして、議論をさせていただきたいと思います。
さて、知事は、先日の知事演述の中で平成29年度の施政方針を示されたわけでありますけれども、それぞれの分野における課題、そして、それを解決するための主な取り組みが示されました。しかしながら、東日本大震災津波からの復興、あるいは人口減少問題、それに対する危機感は、私には余り感じられない内容だったと思います。
改めて知事にお聞きしますが、この岩手におけるさまざまな課題解決に向けて県民が一丸となって取り組むために、知事はどのような思いを持って、決意を持って県政運営に当たられるのか、知事の思いをお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 平成29年度予算、未来につなげる復興ふるさと振興予算という格好でありますけれども、第3期復興実施計画に基づく復興と、そして、台風第10号からの復旧、復興を最優先にしながら、このいわて県民計画第3期アクションプラン、そして、ふるさと振興総合戦略にも基づいて、ふるさと振興を推進し、未来につなげる施策を展開していく予算案を提案させていただいております。
具体的には、復興関連については、第3期復興実施計画の初年度として、この復興に向けた三つの原則に基づいて、被災者イコール復興者お一人お一人の復興を見守りながらも、復興事業の総仕上げを視野に、地域の状況に応じた復興を進めてまいります。
そして、復興の先を見据え、三陸地域への誘客の促進や、また、ILCの実現を初めとする科学振興施策など長期的な視点にも立って、新しい三陸の創造を目指す三陸創造プロジェクトについても、これを進めることで復興のさらなる展開につなげていこうというものであります。
そして、台風第10号災害の復旧、復興対策も大変重要でありますので、今年度の補正予算と、そして来年度当初予算を合わせて、切れ目なく対応していこうというものであります。
そして、ふるさと振興については、ふるさとを消滅させないという決意のもと、総合戦略に基づきながら、人口減少を引き起こすこの生きにくさを生きやすさに転換し、岩手への新たな人の流れを生み出す、そのための取り組みを推進してまいります。
総合戦略の展開によって、いわて働き方改革推進運動の取り組みや本県への移住の動きに広がりが見られるところであり、岩手県の社会減は、平成28年で3、708人と拡大が3年ぶりに縮小に転じておりますけれども、依然として本県の社会減が続いておりますので、引き続き、このふるさと振興策を強力に推進してまいります。
また、これら施策の推進に当たりましては、市町村、民間事業者、NPO、各種団体など、あらゆる主体が協働して取り組むことが重要でありまして、今後も、市町村等との協働を進めながら、県民一人一人が、将来にわたって確かな未来を描くことができる岩手の実現を目指してまいります。
〇佐々木努委員 わかりました。いずれ、知事からのそのような思いというのは、もう何度も今定例会でお聞きしているのでわかりますが、私は、やはり知事として強烈なメッセージを県民に対して発するべきだと思います。だらだらと長く言えばいいということじゃなく、20年、30年後にはもう大変な状況になっているかもしれない岩手県において、自分がそれをしっかり守っていく礎をつくるのだという思いをぜひ伝えてほしいと思ったんですが、今の答弁ではちょっと、私には余り伝わってきませんでした。それはよろしいです。
次に、昨年、2016年の我が県の出生数は8、413人、これは前年より401人の減です。この出生数の減少から目を背けては、私は県政のこれからを語れないと思っています。そういう意味で、この出生数が減ったという事実、そして、出生数をふやしていかなければならないという決意、それが知事演述には全く触れられていなかったのは、私は非常に不満であります。
私は、子供が生まれないことこそが我が県にとっては一番の脅威であって、少子化対策こそ、県が何よりも優先して取り組まなければならない課題であると思っています。
少子化対策には特効薬がないことは百も承知でありますけれども、またもや減少に転じてしまったこの出生数を回復するために、県は、平成29年度どのような取り組みを行うのかお伺いいたします。
〇達増知事 平成29年度の当初予算案におきまして、若者の出会い、結婚支援の充実を図るためのi-サポの拠点増設や出張サービスの拡充、安心して妊娠、出産ができる環境を整えるための周産期母子医療センターを中心とする総合的な周産期医療体制の充実、地域の子供、子育て支援体制の充実に向けた保育士等の人材確保や放課後児童対策、子育て環境、就労環境の向上に向けた事業所内保育所の整備に対する補助などに取り組むこととしております。
そして、いわて働き方改革推進運動の展開等を通じまして、長時間労働の是正や正規雇用の拡大など雇用の質の向上を図っていくことも重要であり、これら就労や、そして出会い、結婚、妊娠、出産、子育ての支援を通じて、出生率の向上を図り、出生数の増加につなげていく考えであります。
〇佐々木努委員 いろいろ取り組んでいただくということでありますが、その中で結婚サポートの支援の話がありました。我が県の昨年の婚姻数は4、810件、この中には我が家2件と佐々木茂光家1件が含まれているわけでありまして、これは余談ですけれども、この婚姻数が実は前年よりも433件減っています。i-サポも何とか頑張ってもらっていますが、残念ながら433件、約1割減っている状況です。
i-サポを県南に、多分奥州市に設置されるんだとは思いますが、設置していただくことは非常に県には頑張ってもらいたいという思いがありますが、まだ、先ほど岩崎友一委員が言いましたが、県民の本当の意味で力になっていないと思っていますので、ぜひ、これからも、県北への設置も視野に入れながら、何とか1件でも2件でも実績が上がるように頑張ってほしいと思います。
それから、結婚支援とともに、子育て支援が人口減少対策には非常に効果的と思いますが、今のこのさまざまな支援は、若者が安心して子供を産み育てることができる内容にはなっていないと私は思っています。医療費助成の拡充、それから保育料の無償化、行く行くは給食の無償化、こういうものも私はやるべきだと思っていますし、その県独自の取り組みが必要であって、その財源となる少子化対策県民税をぜひ県に取り入れてもらいたいと思っています。
先日の一般質問で、我が会派の千葉絢子議員もこのことについては取り上げましたが、改めて知事のお考えを伺います。
〇達増知事 今、少子化対策や子供、子育て支援の取り組みを推進するための財源として、地方消費税率の引き上げに伴う増収分の一部を充てているほか、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用して、結婚や妊娠、出産、子育てに温かい社会づくりに向けた機運醸成に取り組んでいるところであります。
新たな超過課税の導入につきましては、現在、県は東日本大震災津波からの復旧、復興の途上であり、県民の十分な理解が必要でありますことから、受益と負担の関係など、慎重な検討が必要であると考えております。
〇佐々木努委員 この新たな県民税の導入については、私も一般質問で何度も取り上げてきましたし、昨年9月の定例会ではハクセル美穂子議員も取り上げています。また、議会で取り上げているだけじゃなく、我が会派の毎年の県要望にもこれは盛り込ませていただいているわけであります。しかしながら、県は、この実施に対しては非常に後ろ向きでありますし、今の知事の答弁内容も、2年前、3年前ですか、私が初めてこの要望をしてから、一字一句変わらぬ同じ内容の答弁でありまして、誠意のかけらも感じられないと私は思っています。
確かに、県民税を上げると言えば県民から反感をもしかしたら抱かれると県としても思っていらっしゃるかもしれませんけれども、反感をおそれて大事なことをやらないということは、私は後世に大きなツケを回すことになるのではないかと思うわけです。
私もこの県民税の導入については、地元でさまざまな場面で、ぜひやるべきだ、ぜひやりたいという話をするわけでありますけれども、そうすると、やっぱり反対する人がいるんですよ。そんなことよりも地元の課題をやれと批判されるわけです。ただ、このまま子供が生まれなければ岩手はどうなるんですか、この地域はどうなるんですかと粘り強く話をすると、わかってもらえるんですよ。特に高齢者の方々は、んだなと。やっぱり子供が生まれないと、子供にもっとお金をかけないと、子供がどんどん減ってもうこの地域はだめになるとみんな理解をしてくれるんですね。
我々はそういう手段、手段というか、そういう段階を踏んで、議会で私としても我が会派としても、これは必要だね、ぜひ県にやってほしいと要望しているわけですから、やっぱり県はもっと我々のこの提案に耳をかす、耳を傾ける、そういうことをしていただきたいと私は思っています。
県として、この人口減少問題を解消するために、人口問題対策本部ですか、これは2014年につくりました。そこでは多分、どうやったら人口をふやすかとか少子化に歯どめをかけるかということが検討されているんだと私は思っていますけれども、実際、我々が提案した新たな県民税で少子化対策を進めるというこの提案について、一度でも審議、審査、議論されたことがあるんでしょうか、ちょっとお伺いします。
〇大平政策地域部長 本部では、施策の全体とか、あるいは戦略のことで議論はしてございますが、この件について議題になったことはございません。議題というか内容になったことはございません。
〇佐々木努委員 それじゃ、この我々の提案はだめだということを、誰が、一体どこで判断するわけですか。
〇大平政策地域部長 政党からの要望につきましては-失礼しました。県政提言等、各部主管部署において検討の上、お答えしているところでございます。
〇佐々木努委員 そうすると、担当課で、これは無理だろうということで知事に上げて、知事は、はい、そのとおりですという、そういう流れで我々の提案は議論されている、この3年間ずっと判断されてきたということでよろしいですね。
〇大平政策地域部長 さまざまな問題がございますので、その案件によって知事まで上がっているか、ちょっと私はこの件については具体のところは承知してございませんが、一般論で申し上げると-一般論というか、この件については、知事の答弁検討の中で、それは上まで上がった上での答弁となってございます。
〇佐々木努委員 私は知事に、これは本当にまじめに検討してほしいと思っているんです。
知事はよく、少子化対策とか医療費助成とか、これは国が同一の基準でやるべきだというお話をしていますけれども、国なんてそんな簡単に動きませんよ。県がやってとか市町村がやって、それで初めて国が後追いの形でさまざまな事業が実現してきたという、これまでの経過を見ても、私は県が他県に先駆けて、国に先駆けてそういうものをやって国にわからせる、それぐらい、これは取り組む価値があるものだと思います。ぜひ、検討していただきたいと思います。
そもそも、これは知事に申しわけない言い方かもしれませんけれども、知事に人口減少に対する危機感が私は本当にあるのかなと思っています。このまま子供が減っていくと、あと25年後ですか、岩手の人口は3分の2になるという状況です。そのとき、岩手って一体どういう県になっていると思いますか。知事、何かイメージがあったらお聞かせいただければと思います。
〇達増知事 各世代の人口バランスをとって、そしてある種の定常化、つまり、物すごい勢いで減り続けるとそれは消滅に至るわけですけれども、消滅に至らずどこかで底を打つようにする。その底を打つところができるだけ高いほうが望ましい、そこが最大のポイントだと思っておりまして、岩手が消滅しないような人口の維持を図っていくということをしていきたいと思います。
〇佐々木努委員 していきたいじゃなくて、もしそうなったらどういう状況になっているかということ、そのイメージをお聞きしたい。
〇達増知事 今のいわて人口ビジョン、そしてふるさと振興総合戦略というのは、国の法律や国のビジョン、総合戦略と相まって、また、市町村の努力もあって消滅に至らないようにしていくものでありますので、消滅させないようにしていきます。
〇佐々木努委員 私は、常に最悪の状況を頭に浮かべながら今いろんなことをしゃベっているし、いろんな活動をしているわけです。それをイメージするからいろんなものを考えられてしゃべれると思っています。
知事も私も東京オリンピック生まれ、昭和39年生まれですから、ことし53歳になります。22年後は2人そろって後期高齢者、30年後は男性の平均寿命に到達するわけです。私も知事も、そのころまで元気ならいいですけれども、もしかしたら、病院であるいは介護施設でお世話になっているかもしれません、わかりませんけれども。そのときに、自分たちのお世話をしてくれる、おむつをかえてくれるのは一体誰だと思いますか、知事。自分の子供じゃないですよ。人の子供、他人が産んだ子供に、知事だけじゃなくてここにいる全部の方々が、みんな人の子供にお世話になるわけです。ですから、そういう子供を何とかふやしていかなければならないし、維持していかなければならないし、そういう子供をふやしていくために我々は子供たちに投資をしなければならない。ですから、そういう意味で、これは県民みんなで、じゃ、足りない分はお金を出しましょうと。少しずつお金を出して、県がやりたくてもできない部分をそれでカバーしましょうねという、そういう環境づくりを私は県がみずから進んでやるためにも、県民税というのは非常に有効な手段だと思っていまして、繰り返しになりますけれども、ぜひこれは積極的に検討していただきたいと思います。これはまた次回やりたいと思います。
次に、県と市町村の連携強化について伺いたいと思います。
さまざまな県の事業を行う上で、市町村との連携が必要だということは、今定例会でも多くの議員が述べていましたし、県からも、市町村としっかり連携を強化して頑張りますという答弁をたくさんいただいています。まさにそのとおりで、今、市町村の財政も非常に厳しいわけです。効率化が求められているわけで、そういう中にあって、他市町村との連携、そして県との連携というのはこれから非常に大事になってきます。そういう意味で、県として、これから市町村との連携の強化、これをどのような重要性を認識して、そしてどのように新年度は取り組んでいくのか伺います。
〇達増知事 県と市町村の連携というのは普段から重要でありますけれども、東日本大震災津波からの復興そして地方創生、ふるさと振興に取り組んでいくに当たっては、特に市町村との連携ということが非常に重要であります。県においては、これまで、県政の重要課題について毎年度、市町村長と知事等との意見交換会を開催し、直接知事の考えも伝えながら、県と市町村との間で共通理解が得られるよう努めてまいりました。
また、県市町村連携推進会議を毎年度開催し、より実務的な観点で、副市町村長と県の各部局長等との意見交換や情報共有を行っております。そして、ふるさと振興の推進に当たっては、県立大学と連携し、市町村の地方創生に係る課題解決に県としても取り組んでおりますし、また、INSふるさと創生研究会の開催によりましても、県と市町村との連携強化を図ってまいりました。
今後も、復興やその先の地域振興を進めるに当たって、方向性や戦略を共有する必要性がございますので、これまで以上に連携を強化してまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 山田町のNPO問題とかDIOジャパン関連コールセンターのような、ああいう問題が二度と起きないように、しっかりと連携を図っていただきたいと思います。
次に、市町村要望について伺います。
毎年33の市町村から県に対してさまざまな要望が出されているわけですが、平成29年度予算案に、どの程度、その要望が反映されたのか伺います。
〇保秘書広報室長 今年度、市町村から受理いたしました要望件数は、全部で658件でございます。大変恐れ入りますが、現在、予算の中でどの程度反映されたかということにつきましてそれぞれの担当部局で精査中でございまして、最終的な結果につきましては、予算成立後に公表ということで、今、作業をしているところでございます。
なお、要望を受理した時点で、その時点の状況ということでそれぞれの市町村には回答を申し上げておりますので、そのときの区分ということで今御答弁申し上げたいと思いますけれども、提言に沿ってやるというものと実現に向けて努力するということを合わせると、先ほどの658件に対しまして470件、71.4%という状況でございます。
なお、この割合が、昨年度の場合は、最終結果の確定値におきまして71.5%という状況になっております。
〇佐々木努委員 この市町村要望は非常に大事ですので、丁寧に対応していただきたいと思います。
それから、この市町村の連携と関連しますが、市町村要望は知事が直接受けるべきだということで、先日、嵯峨壱朗委員が質問しました。そのときは、広域振興局長が一番よく知っているからそれでいいじゃないかという知事の答弁でしたが、私も知事が直接受けるべきだと思います。改めて知事の所感を伺います。
〇達増知事 先ほど岩崎委員の質問に対して、県から国への要望、陳情、今は要望、提言などと言いますけれども、これの話をさせていただきましたが、市町村から県に対する要望というものも、かつては大々的に、それぞれ市町村長を初め、市町村の幹部そして議員も一緒になることもあります。大勢で県庁にいらして、そして知事に会える、会えない、会えない場合でも各部局を大勢で回って歩くなどして要望するということがかつてあったわけでありますけれども、それは県と市町村が対等な関係であるという基本的な考え方に鑑みてどうか、また、地方分権の理念からしてどうかということで、これはそれぞれの都道府県においてさまざま簡素化されたり、あるいは制度化、システム化されていったりする中で、岩手県におきましては、この広域振興局という新しい県行政の仕組みを立ち上げたこともあり、広域振興局を市町村要望の対応窓口として、現地で、県として地域事情を理解し、地元のニーズを把握している者が市町村要望に対応するという形をとっているわけであります。そして、市町村要望の特に重要な項目と思われるものについては、広域振興局長から、直接、知事が報告を受け、そこには本庁の関係部局長等も同席し、課題を把握、共有する、その中で議論も行うというふうにしておりまして、それは現在機能しておりますし、また、岩手における市町村と県の成熟した関係の発展の一つの姿と思っております。
〇佐々木努委員 知事、そんな考えでいいんでしょうか。昔はこうだったから今こうだとか、対等だから直接聞かないということじゃないと思います。私は知事の姿勢だと思います。
この市町村要望というのは、市町村ができないから県に頼んでいるのじゃなくて、県の仕事を市町村ができていないから、こういうことができていないということを私は提案しているものだと思うんです。まさに県政課題地域版です。それを知事が直接聞かない、知事が知らない-知っているかもしれませんけれども、そういう考え方は、私はちょっと間違っているんじゃないかと思います。
ここに私の地元の奥州市の要望書と金ケ崎町の要望書があります。じゃ、知事、どのぐらい報告されていますか、この二つの市町から、広域振興局長から、こういう重大なのがあると、どのぐらい報告を受けていますか。
〇達増知事 先ほど秘書広報室長から話があったように、全ての市町村からいただいている要望件数の658件について、件名は見ております。そして、その中で、重要と思われることについては、先ほど申し上げたような形で対応しておりますし、また、今御指摘のあった市町については、さらに私と副知事の間で個別に議論を重ねるなど、そういった特別の対応もしながら、県と市町村の意向が一致する部分については、県、市町村と連携しながら、ともに取り組んでいるところであります。
〇佐々木努委員 特別な対応というのは特にお聞きしませんけれども、いずれ、どこが特別とか特別じゃないとかじゃなくて、33の首長さん方は、皆、直接知事に会って要望したりあるいは話を聞いてもらいたいわけです。それでも知事が、自分は話を聞かない、要望に立ち会わないという理由は、それだけなんですか。ほかに何かあるんじゃないですか。例えば、自分には時間がないとか、あるいは市町村長と会いたくないとか、あるいは必要性を感じないとか、何かあるからじゃないですか。それがなければ、私は喜んで知事は市町村に行って、あるいは来てもらって、1時間なり1時間半、要望を聞きながら話ができると思います。それこそが私は市町村との連携だと思いますが、違いますか、知事。
〇達増知事 かつて、私も夏の時期に、市町村要望を市町村それぞれを回って聞いて歩くということをやったことがあるわけですけれども、その場での返答というのも求められるものでありまして、夏の段階では、まだ課長レベルで対応を策定しているような段階で、知事として、これはできる、これはできないみたいなことをしゃべるというのはいかがなものかと思っておりました。
知事査定というのは、年度の終わり、年が明けてから行うわけでありまして、知事査定まで、できるだけ知事としての最終決断をしないでおくほうが、また市町村からも要望の再挑戦といいますか、定例的な市町村要望とはまた別な形での県への働きかけ、知事への直接的な働きかけというのを可能に、できるようにしているわけであります。政策によりましては、県として消極的だったものが複数の政党会派から質問、要望があれば、3月に入ってからでも知事のもとで政策の変更というのが起きるようにしておくほうが、これは市町村にとってもいい話なんだと思います。
〇佐々木努委員 これ以上はやめますけれども、何もそこで結論を出せなんて誰も思っていないし、市町村も期待なんかしていないです。こういう課題があるから、ちゃんと理解してくださいというのを知事に聞いてほしいだけの話です。その程度は知事、理解しないと、私はちょっと市町村長に対して失礼だと思います。もう時間がないのでやめます。
医療について質問したかったんですが、ちょっと時間がありませんので、申しわけありません、医療についてはまた別途質問させていただきます。副知事、申しわけありません。
それでは、先ほども議論になりました知事の政務秘書について私からも質問させていただきます。
知事は先月、しばらくぶりに新しい政務秘書を置いたわけであります。この政務秘書については、地方自治法あるいは県の条例でも認められているわけでありますが、全国を見ますと、47都道府県のうち公設の政務秘書を置いているのはわずか八つしかないわけです。それでもあえて置く政務秘書に、知事はどのような期待をして、どのような業務を行わせようとしているのか、改めてお伺いいたします。
〇達増知事 前任者に引き続いて、知事の政治活動にかかわる秘書業務など、一般職の秘書よりも特別職の秘書に対応させることが適当な業務や、行政事務と政務の調整などを行ってもらい、県民の皆さんと知事を結びつける役割を期待したいと思っております。
〇佐々木努委員 それを県民の方が聞いても、何のことか全然わからないと思います。私もわかりませんし。もっと具体的に、このような仕事、このような業務をしてもらうと、具体的に例示していただけませんか。
〇達増知事 わかりやすい例で言えば、宗教団体から面会要請があったときの、その宗教団体とのやりとりでありますとか、宗教団体の行事に呼ばれたときの対応のサポートなどについては、やはり一般職の秘書にやってもらうよりも、特別職の秘書にやってもらったほうがいいと思っております。
〇佐々木努委員 済みません、宗教団体のほかに、もっとこういう仕事、こういう仕事がある、こういう仕事をしてもらうと。知事は記者会見で、自分がためていたものをみんな頼んだとしゃべっているじゃないですか。その内容。何をやってもらうことにしたのか、それをしゃべってください。
〇達増知事 タクシーのレシートの管理でありますとか、あとは政務関係の支出の管理、たまっていたというのはそこが一番大きかったんですけれども、そうですね、あとはファックスレポートという、政治家個人としての発信にまつわるサポートでありますとか、今思い出すのはそういうところであります。
〇佐々木努委員 タクシーチケットの管理とか、そういうものは例えば奥さんにやっていただくとか、あるいは知事にも政治団体とかあるわけですね、後援会があるわけですね。そういうところでやってくれるわけではないんですね。
〇達増知事 公務で公用車を出してもいいようなところで、ただ、そこはグレーゾーン的な部分なので政務としてタクシーを使うことなどがございます。それから政務の日程について、これも公務の日程との調整を一般職の秘書課職員と特別職の秘書との間で行ってもらったほうが、日程の調整が早いということもあります。前任者にもそういったことをやっていただきながら、ほぼ10年間、岩手県知事としての職を務めさせていただいてまいりましたので、今後においても、そのようにさせていただきたいと思っているところであります。
〇佐々木努委員 その程度の業務で、月何十万円という政務秘書を知事は雇うんですか。この問題は、政務秘書は、例えば今知事が言ったことのほかに、多分前任者の方は、知事の選挙を直接手伝ったり、後援会活動をやっていたり、あるいは知事の政務的な活動の運転をされていたりしたと伺っています。ですが、これは、私から言わせていただくと、あくまでも知事の私的な部分であって、それを公費を使って人を雇ってやるようなことなのかなと非常に疑問に思うわけです。
確かに、長野県で、知事が自分の政務秘書に選挙云々をやらせたと、そのことが裁判になって、結局、最終的にはそれは違法ではないという判断にはなりましたけれども、ただ、一般県民としては、まず、それは公的なお金を使うものじゃないでしょと思うのが、私はごく当たり前な考えじゃないかなと思うんです。ですから、全国で39の自治体は、公設の政務秘書を置いていないわけです。自分でお金を出して、事務所をつくってそこで秘書を置くと、さっき知事が言ったようなことをみんなやらせる、そういう秘書を置いているんだと思います。私はその辺の感覚が、どうも県民感覚とずれているんじゃないかと思うんですが、知事、そう思いませんか。いかがですか。
〇達増知事 例えば、中央省庁の官僚からすぐ知事になったような方々と比べますと、私は10年半ほど衆議院議員をやっておりましたので、かなり政治の世界あるいは岩手県内の草の根のところに人脈がございます。そういった人たちが今知事である私に連絡をとろうというときに、特別職の秘書がいない中でやっておりますと、一般職の秘書が電話を受けたり訪問を受けたりしたときに、過去の経緯がわからないまま対応しなければならない。これは結構大きいところでありまして、衆議院議員時代に、これこれこういう仕事を一緒にやっていたとか、また、地元においてはこれは後援会の役員であるとか、そういうことがわかった上で、じゃ、これは公務の後回しだとか、あるいは、これは今緊急に知事につないだほうがいい相手だとか、そしてまた、日程をおくらせてでもその前に面会させるべき相手だとか、そういうことが特別職の秘書にはやってもらえるし、また、やってもらわなければならないわけでありまして、これはもう、毎日朝から晩まで常にある仕事なわけです。
〇佐々木努委員 知事、政務秘書がいない時期がありましたけれども、その程度のことは公設の秘書がちゃんとやってくれます。私も2人の首長に仕えましたけれども、そういうことは十分に対応できます。知事が心配しなくても対応できるし、そんなに政務ってあるものじゃないです。知事はそう思っているかもしれませんけれども、それは知事がやりたいから、自分がやりたいからそう思っているのであって、ほかの首長さん方、土日もあちこちの行事に行ったり、そういう政務に携わる、そういう余裕すらないわけです。実際に政務秘書の制度もありませんし、置いていないし、それでも頑張っていらっしゃる。知事は特別かもしれませんけれども、いずれ、そういう県民の目もあるということだけは理解して、批判を受けないような政務秘書の活用をしていただきたいと思います。
済みません、最後に、副知事のことについて伺います。
上野副知事が退任以来、今、副知事1人体制ですが、もう一人、副知事を置く予定はありませんか。
〇達増知事 政務はそんなにないということについては、私は10年半衆議院議員をやってきて、その間に蓄積した政治的な厚みというのは、これは、そう簡単なものではないのだということは御理解いただきたいと思います。
そして、副知事についてでありますけれども、平成25年7月以来、知事の私と、千葉副知事との間でより緊密に連携を図りながら、幹部職員を初めとする県職員とともに、県政を取り巻くさまざまな課題に的確に対応しております。
副知事の選任につきましては、適材適所の考え方で適時適切に行っていくことを基本としてきたところであり、今後とも、副知事を初め、関係部局長など職員全体が一丸となり、県として総合力を発揮できる体制で県政課題に取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 全国で副知事1人体制の県というのは10しかありません。岩手もその一つですけれども、知事と副知事が行事が重なってしまったと、じゃ、どうしようということで、部長が出席していることも過去にあったようですけれども、それは県としてのやる気を見られることにもつながると思います。ぜひ2人体制を、私は今後検討していただきたいと思います。
〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇飯澤匡委員 冒頭、佐々木努委員からの質問がありました保育士修学資金の問題について、知事答弁は、千葉絢子委員の本会議での質問に対する答弁と、それからきょうの佐々木朋和委員の答弁の差については、答弁の検討段階でしたと。これでは、議会に対する説明が非常に私は納得できない。これは議会に対する明らかな政策方針の変更であって、その議論をしっかり明らかにしなければ、二元代表制として成立をしないということになろうかと思います。
これは、佐々木努委員の質疑の途中で議事進行をしてもよかったんですが、その後の質問に差し支えますので最後にしたわけですが、いずれ、こういう答弁の検討の中でなんて、議会の答弁でその方針を変更するということは議会の軽視にもつながりますので、この件については、改めて当局にその方針の変更の内容について説明を求めたい。これは世話人会でしっかり話し合って、それを明らかにしていただきたいと思います。
〇名須川晋委員長 後日、世話人会で協議をいたします。
お諮りいたします。予定の5時までにはまだ若干時間がございますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時49分 散 会

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