平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第18号、19号、20号に反対の討論を行います。
 議案第18号、19号は、県職員、市町村学校職員への寒冷地手当を削減し、宮古市や釜石市など9市町村については支給除外しようとするものであります。これは、人事院の勧告に追随した県人事委員会の勧告に基づくものでありますが、県職員、市町村学校職員の給与が連続して削減されている中でのさらなる改悪となるものであります。特に、9市町村を画一的に支給除外とすることは、国自身が宮古市や釜石市などの労働基準監督署や税務署などを官署指定として支給対象としていることから見ても、矛盾に満ちたものであります。
 秋田県では、国の基準では8市町村が支給除外となりますが、暖房費の負担の程度に変わりはない、一部職員に支給しないとすれば職員間に不公平感を感じさせる要因となるとして、県内全域を対象地域としています。岩手県でも、秋田県と同様の対応をすべきでありました。
 寒冷地手当の大幅な削減と9市町村を支給除外とすることは、県職員の生活を圧迫する事実上の給与削減であり、許されるものではありません。県職員は、この3年間で約249億円に及ぶ給与の削減を強いられています。この地域経済への影響額は379億円となるものであります。県職員の生活を守るという点でも、地域経済への大きな影響という点でも、寒冷地手当の削減、支給除外の改悪に反対するものであります。
 議案第20号は、県競馬組合に50億円を貸し付けようとする補正予算であります。県議会の最中に突然50億円の貸し付けの提案がなされたこと自身が異常なことでしたが、問われた最大の問題は、競馬組合の現状と再建を目指す実行計画に具体的根拠があるかどうかという問題でありました。
 競馬組合の現状は、今年度末で赤字が144億円、長期借入金が150億円余に及び、破綻すれば、債務総額が362億円となる状況であります。12月末には、このままでは23億円余が不足するという事実上の破綻状態にあることが明らかになりました。50億円の緊急融資は緊急避難的な破綻救済措置とも言うべきものであります。ここまで事態を悪化させ、放置してきた、管理者である増田知事と組合幹部の責任は重大であります。
 しかし、融資の是非は、競馬組合の再建を目指す実行計画が、根拠のある確かなものであるかどうかということであります。県議会の審議を通じて明らかになったことは、実行計画に全く具体的根拠がないばかりか、絵にかいたもち、とらぬタヌキの皮算用と言うべきものでしかないということであります。
 第1に、実行計画では、既存体制の発売額が平成18年度から270億円台で推移するとしています。その根拠は、平成17年度で景気が底打ちし、その後に競馬事業にも波及するというものであります。しかし、景気は、底打ちするどころか、12月8日に内閣府が発表した国内総生産改定値では景気の減速が指摘されました。特に、地域経済は冷え込んだままであります。全国で競馬事業の売り上げが減少している中で、岩手競馬だけが売り上げを維持し続けるという根拠は全くありません。
 第2に、増収策でありますが、イベントなどの集客効果で31億円から70億円の売り上げを伸ばす、インターネットの発売で10億円から80億円の売り上げ増など、民間委託等で50億円から120億円の売り上げを伸ばすとしています。
 日本総研に委託した報告書が、12月9日の朝、農林水産部の決算審査の当日に明らかにされましたが、その根拠というものが、イベント開催で20万人が来場し、そのうち2万人が1億円の馬券を購入するとか、県のいわてグラフに競馬情報を掲載すれば、1万7、400人が競馬場に足を運び8、700万円の馬券を買うという途方もないものであります。インターネット販売は若年者が対象となりますが、失業率が10%でパートや派遣など不安定雇用が広がっている中で、なぜ80億円もの売り上げが伸びると試算できるのか。競馬の専門家などは、映像や場外などのオフトラック化では、かえって地方競馬の衰退につながると指摘さえされているのであります。営業努力で約200億円も売り上げを伸ばすという計画には、具体的な根拠がないと言わなければなりません。これは、この間、入場者では200万人台を維持してきたにもかかわらず、売り上げが大幅に減少してきた岩手競馬の実態にも、教訓にも、目をそむけるものでしかありません。
 第3に、コスト削減計画でも、来年度で17億円も削減する、3年間で24億円の削減の計画になっていますが、具体的根拠と見通しが示されませんでした。委託企業への委託料を来年度は6億円、3年間で12億円削減するとしていますが、県の財政チームによる財政分析でも、委託企業の財務体質は弱く、借入金の償還については、減価償却費を主体とした返済財源の確保が必要とされているのであります。報償金や馬主会、調騎会、厩務員等への補助金は削減するとしていますが、これで馬資源を確保することができるのでしょうか。
 第4に、3場連携、JRAとの連携を掲げていますが、一方で、開催日数を126日に増加させる計画であります。これでは連携のメリットが出てこないのではないでしょうか。連携にはメリットもデメリットもあります。これまでの実績もあります。実行計画では、足し算、掛け算ばかりで、まさに希望的な試算としか見えないのであります。
 第5に、再建を目指す実行計画が、県議会開会の5日前に出されて、50億円の貸し付けは議会中、コンサルタントの日本総研の報告書は決算審査の当日という場当たり的で誠意のない対応は、さらに不信を広げるものでありました。挙げ句の果てに、実行計画とコンサルタントの報告書に整合性はなく、何のための調査報告書なのか、矛盾だけが明らかになったのであります。
 こうした無責任な対応をした増田知事の責任は重大であります。具体的な根拠を示せない実行計画では、再建どころか、さらに赤字をふやすことになりかねません。
 増田知事は、決算総括質疑の答弁で、財政競馬という趣旨は、ほぼおしまいに来ているのではないかと答弁しました。それは、公営競馬の存在意義を否定するものであります。財政的貢献ができないとするなら、公営ギャンブルとして競馬事業を行う意味はありません。まさに無責任な発言であります。増田知事と競馬組合が真に再建を目指すというなら、改めて再建計画を練り直して出直すべきであります。増田知事も政治生命をかけて取り組むべきことを強く指摘をして、反対の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第20号平成16年度岩手県一般会計補正予算(第5号)を採決いたします。
 本案の委員長の報告は、否決でありますので、原案について採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立少数であります。よって、議案第20号平成16年度岩手県一般会計補正予算(第5号)は否決されました。
 次に、議案第18号及び議案第19号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立多数であります。よって、議案第18号及び議案第19号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号から議案第17号まで、議案第21号、発議案第1号及び請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

〇議長(藤原良信君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第17号まで、議案第21号、発議案第1号及び請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 
日程第25 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第25、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
総務委員会
 市町村合併の協議状況について
受理番号件名
34国庫補助負担金などに関する改革についての請願

環境福祉委員会
受理番号件名
32イヌワシの保護の強化並びに繁殖率の向上について請願
42不幸な犬猫を救うための制度改善を求める請願

商工文教委員会
 県立高等学校新整備計画後期計画について
農林水産委員会
 食料・農業・農村基本計画構成案について
県土整備委員会
 県土整備部所管事業に対する三位一体改革の影響について

〇議長(藤原良信君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、先ほど各委員長から報告のとおり申し出がありましたが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
日程第26 認定第1号平成15年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第37 認定第12号平成15年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計歳入歳出決算まで

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第26、認定第1号から日程第37、認定第12号までを一括議題といたします。
 各案件に関し委員長の報告を求めます。川村決算特別委員長。
   〔決算特別委員長川村農夫君登壇〕


前へ 次へ