平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(小原宣良君) 社会民主党の小原宣良でございます。
 議案第20号について、総務、農林水産両委員長報告に賛成し、原案に反対の討論を行います。
 原案に反対する理由の第1は、県競馬組合の経営姿勢に甘さがあったのではないかという点であります。まず初めに指摘しなければならないのは、新盛岡競馬建設にかかわる経緯であります。建設費の当初予算は約236億円でありました。さまざまな理由があったようですが、結果として総事業費は約410億円となりました。当時、県議会でも、約倍になる建設費の増嵩に不安と疑問の声があったことを記憶しております。
 一方、収支見通しでありますが、平成5年に競馬組合が自治省に提出した起債申請資料によりますと、オーロパークオープン後の平成8年度から平成17年度までの馬券発売収入を毎年度710億円と設定しているのであります。この間、財政調整基金は、平成8年度約2億円、平成9年度約18億円、平成10年度約15億円、平成11年度約1億円、平成12年度以降ゼロ円であります。今、振り返ってみて、どうでしょうか。商売は強気が大事とも言いますが、余りにも無謀、無責任な計画ではなかったかと思われてなりません。結局この間の馬券売上収入は、平成8年度572億円、平成9年度596億円をピークに毎年度減収となり、平成15年度367億円、平成16年度見込み317億円と推移してきたのであります。先ほど述べましたとおり、平成8年度以降平成17年度までの馬券発売収入を毎年度710億円と設定して運営に当たってきた無責任ぶりには目を覆うものがあります。この経緯については競馬組合にも言い分があろうかとは思いますが、少なくとも議案審査の過程ではこれらに関する説明はありませんでした。
 次に指摘しなければならない点は、平成11年度に初めて経営が赤字に転落したことを受けての平成12年度における対応であります。この年、岩手県競馬運営改善委員会が設置され、みちのくレース岩手競馬改善計画が策定されております。国際日本文化センター教授の川勝平太氏を中心に、真剣な検討がなされたものであります。しかし、先ほどの馬券発売収入実績のとおり、減少の一途をたどるとともに赤字経営が続き、現在に至るのであります。残念ながら、この計画はただ単なる計画に終わったと言わなければなりません。昨年5月には岩手競馬のあり方懇談会が設置され、ことし3月に報告書がまとめられました。そして、ことし3月、県議会内に出資法人等調査特別委員会が設置され、競馬事業について集中的に検討がなされ、8月に岩手競馬の振興に関する提言がまとめられ、県競馬組合管理者と知事に提出しております。これにも残念ながら具体的コメントはなかったようであります。
 このように、経営改善に真剣に対応すべき重要な局面が幾つもあったにもかかわらず、管理者並びに構成団体たる県など、経営陣の経営認識の甘さから、有効、適切な手だてがとられてこなかったことは、返す返すも残念であり、その責任は厳しく問われなければならないものであります。
 第2は、今回示された岩手県競馬組合改革実行計画にある収支の見通しについてであります。
 平成17年度から右肩上がりに伸びていく収入見込みは、またかとの思いを強くいたします。平成17年度は今年度に比べ14億円の競馬発売収入の増、18年度は50億円の増、19年度は24億円の増、20年度は31億円の増を予定しております。
 翻って、今や県競馬を取り巻く環境の変化は著しいものがあることに思いをいたすべきであります。少子・高齢化、ライフスタイルの変容、多様な価値観、レジャーや文化・スポーツ施設の充実など、こうした多様な変化の中に県競馬が存在している事実を直視するべきであります。
 第3に、これからの県競馬のあり方についてでありますが、もとより県競馬の全面廃止を望むものではありません。私は、総務委員会の場においても、県競馬事業の整理縮小の必要性を述べてきました。先ほど述べたとおり、県競馬を取り巻く環境の変化を直視すること、すなわちバックグラウンドをどう把握するかであり、この点の不足も指摘してきました。もちろん、調教師、厩務員など、県競馬を支えている方々の存在と御労苦を無にするものであってはなりません。
 時はまさに師走であります。厳しい経営を前にして、資金繰りに奔走する県民も多くおられるこのごろです。ぜひここは、県競馬改革計画を見直し、県民の納得できる姿として再スタートできるよう、渾身の力を振り絞って経営改善に当たられるよう経営陣の奮起を求めるものであります。そして、現在の県競馬改革計画を前提とした県競馬組合への50億円の融資には、反対であります。
 以上、私は、これからの県競馬の改善、このことに、管理者たる知事を初め、経営陣の奮起を改めて求め、県競馬に対する今回の50億円の融資に反対をする討論といたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 次に、斉藤信君。
   〔26番斉藤信君登壇〕


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