平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(飯澤匡君) 政和会の飯澤匡でございます。
 議案第20号について賛成の立場で討論を行います。
 この議案は、県が岩手県競馬組合に対して50億円を競馬組合が示した新競馬法をにらんで策定した競馬組合改革案の実行に向けて融資をしようとするものであります。私たち政和会では、吉田代表を初め、複数の議員が岩手競馬の振興のために建設的な施策提言をこの議場で幾度となく行ってまいりました。しかし、岩手県競馬組合がかかる状況にまで至った事態を見るときに、まことに残念でなりません。オーロパークの過大な設備投資、他の競馬事業者からマーケットの浸食を防ぐため積極的なテレトラックの建設が結果的に裏目に出るなど、慎重な経営戦略が求められた時期に適切な経営判断を見誤り、問題を先送りしてきたことは、無論猛省せねばなりません。従来の地方財政への寄与という側面だけの判断で地方競馬の存在意義が考察され、最近になり廃止論が高まる傾向を私は以前から疑問に思っておりました。もちろんどんどん赤字を垂れ流してまで公営競馬を存続してよいということではなく、さまざまな角度から地域に根づいた競馬を考察してみる価値があるのではないか、またあるはずだとの強い思いが根底にあります。
 知事は、岩手競馬の存在意義を、2、800名の雇用の場として地域経済に貢献している観点、馬産地、馬事文化の継承・発展の観点、県民の憩いの場としての観点の3点を示されました。私は、岩手競馬を有効な地域資源としてどのように活用させていくのか、この点に重点を置き、また、今まで培ってきた岩手競馬の潜在力を検証しつつ、以下、論じてまいりたいと思います。
 危機に瀕している岩手競馬に、競馬組合は、平成17年1月1日の競馬法改正を最大限に活用した岩手県競馬組合改革案を策定いたしました。さらに、実行計画の重要性については、さきの本会議において、田村誠議員、また、私の関連質問に対し増田知事は、かたい決意を持って県の全精力を注入し、競馬組合のこの改革案を実行することが岩手競馬再生への道と力強い答弁をされました。民間企業出身者の柴田氏を中心に練られたこの改革案は、特にコスト削減策においていまだかつてメスを入れかねた部分にまで及び、甘えの構造の決別を強烈に印象づけております。改革の方針に打ち出されている官から民へ、これが最大の再生へのかぎであり、これは、新競馬法によって、競馬主催者は競馬の実施に関する事務を私人に委託することができるに規制緩和された趣旨を十分に活用することであります。この間の議論で民間委託の広がりの部分が十分に説明されたとは言えず、現制度上での枠内で議論が終始したのはまことに残念でありますが、既存施設の売却または貸与は既に交渉段階に入っていることなどの報告があり、現時点で評価に値する部分もございます。そこで経営本体が半身不安定では、売却、貸与の価値が著しく下がる可能性もあります。まずは再建計画を円滑に実行に移すこと、これが肝要と考えます。
 また、本議案に賛成する論点は、本議案が競馬組合の存続問題に大きく影響を受けることにあります。12月末には23億円の資金ショート、3月末にはピーク時で46億円の資金ショートを起こすことが判明し、すなわち一時的な金融支援がなければ経営が行き詰るのは明らかであります。ゆえに緊急な対応が求められるのであります。廃止の鉄槌を下すのは簡単ではありますが、競馬関係者の雇用の場を失うことは大きな社会不安をあおるだけでなく、周辺経済に大きな影響を与えることは必至であります。また昨日は、岩手県調騎会、厩務員会から新聞紙上に、50億円の融資要請を県民に理解を求める悲痛な叫びとも言える意見広告があったところであります。そして、何よりも貴重な地域資源を失うことが将来において悔いを残すものとなりましょう。かつて戦前に小岩井農場が有数の種牡馬を有して競走馬馬産地として名をはせたことを存分に観光資源として活用すること、既に遠野の馬の里は岩手競馬との連携があって、存在意義を高めることなど、岩手の地に競走馬が走ることがより付加価値を増すものと考えます。実行に移せるものを新しい切り口で実行に移していく、そこに貪欲なまでに可能性を追求していくことにより、県の地域振興策の柱ともなり得ると考えるものでございます。
 顧みれば、平成11年1月31日の岩手日報の一面は、水沢競馬所属の馬が中央競馬のダートの最高峰のレースを制した快挙を報ずるものでした。地方が中央を制する、そして、地方からの最高の情報発信でありました。しかしながら、まさにその時期から顕在化してきた岩手競馬の再生問題に対して、川勝平太氏を中心に練ったプランは、競馬法改正を視野に入れたものでしたが、BSE問題で結果的に3年おくれることになり、なおさら今回の再建計画の円滑な推進が必要であると総合的に判断を下し、本議案に賛成するものであります。
 最後に、岩手競馬の再建には議員各位の建設的な提言がぜひとも必要であることをお願い申し上げて賛成の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

〇議長(藤原良信君) 次に、吉田昭彦君。
   〔32番吉田昭彦君登壇〕


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