平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(伊沢昌弘君) 8人目の質問で大変恐縮でありますけれども、我が会派は3人で農林水産委員会に所属している者はいないわけでありまして、知事にお伺いできる唯一の機会と思いまして質問させていただきたいと思います。
 議案第20号について知事にお伺いいたします。本議案は、経営危機にある岩手競馬組合の経営改善計画に基づいて、競馬組合の要請を受け、岩手県が50億円の資金援助を行おうとするものであります。知事は、この間の質疑を通じて、新たな改善計画を確実に実行することにより経営改善は可能なものであるということを繰り返し述べられておりますけれども、これまでの岩手競馬組合の運営状況を見た場合、実は私も不安を感じているところでありますので、以下、お伺いしたいと思います。
 質問は1点でございます。競馬組合の経営改善に向けては、平成11年に川勝平太国際日本文化センター教授を座長として、8名のメンバーによって岩手競馬運営改善委員会が設置され、平成12年6月に報告書が管理者に提出されております。これを受けて、岩手競馬組合は、同年12月に平成13年度から15年度の3カ年にわたるみちのくレース岩手競馬改善計画を策定しております。しかし、その改善効果は見られなかったのではないかと私は思っているわけであります。その理由として、既にこの時点で民間企業の経営感覚の導入、電気通信技術を利用した戦略的経営等に触れた検討がなされていたにもかかわらず、残念ながら、改善どころかこの計画期間において約100億円の累積赤字が生じてきているわけであります。また、平成15年5月に千葉伝氏を委員長とする岩手競馬のあり方懇談会が設置され、各委員のさまざまな角度からの提言を含めた報告書が本年3月に管理者に提出されております。これらの検討経緯を管理者である知事はどのように受けとめているのでしょうか。私は、こういった経緯を改めて検証すべきものだと思い、お伺いするわけであります。
 私も本年3月に県議会内に設置された出資法人等調査特別委員会のメンバーとしていろいろな資料に接する機会がございましたから申し上げているわけであります。今回出された改革実行計画における収益増の見込みはにわかに信じがたい、これまでの質問にもありましたように、そう思うわけであります。これまでいろいろな計画を出されて努力をした部分はあるわけでありますけれども、残念ながら、競馬組合の体質そのものが悪かったのか、収益が上がらなかった。売得益が少なかったというだけで一切投げられてきたような気がするわけでありますので、改めて知事から御答弁をいただきたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 申し上げますが、今お話にございましたとおり、平成12年の報告書ですとか、確かに今まで競馬組合で経営改善の取り組みが行われてまいりました。それにつきましてもう一度振り返って検証してみますと、一つは、そうした中での経営改善の取り組みですが、新たな投資を伴う売上増収策をその中で図ってきた、テレトラックを新たにつくったりということで。今回は、そうした新たな投資ということではない売上増をねらっているわけですが、今までは大変大きな新たな投資を伴う売上増収策であったということがございます。
 それからもう一つは、抜本的な経費削減に踏み込めなかった。これは、この議会でも委託先に対して大変甘い態度をとっていたということを再三御指摘いただいておりますが、要は抜本的な経費削減までには踏み込めなかったということ。
 それから三つ目は、やはり法律の枠の中で、公営競技としての地方競馬であるという限界もございました。今回初めて民間がいろいろとその中で事業を展開できる部分が法律改正によって生じましたので、そこに大変私どもは多く期待しているわけですけれども、総じていいますと、今申し上げましたような三つの意味で十分な経営改善の取り組みではなかったと反省をするわけでございます。今回は経費削減も大胆に取り入れ、それから、改正法の精神なども最大限取り込み、何よりも民間出身の、そちらの手腕にたけた人間を実質的な――副管理者でありますが――トップに据えて、意識から含めて全部改革をしようということでございますので、この計画を確実に実行すれば組合再建が必ず実現できる、このように考えているものでございます。

〇36番(伊沢昌弘君) 繰り返しの形での御答弁なわけですが、率直に言って、この競馬組合が存続か否かという部分が、今の質疑である程度私も状況はつかめた気がいたします。ただ、この間のいろいろな検討なり、2、000万円に及ぶコンサルに対するいろいろな支出もしながらものをやってきた。知事は、まだ最終的な調査報告書のまとまりもできないという中で、今、重大なことを提起したと思っています。単に50億円ではなくて、この50億円は、10年間に及ぶ長きにわたって繰り返しながら、いわば繰上充用を行うものを県が行うという形だと思うわけであります。そうしたときに、本当の意味で県民が納得をするのかということを考えれば、私の方にもいろいろな手だての中で、安易なことはやるな、血税を投入するだけではないのか、その部分が見えないわけであります。マスコミ報道の中でいけば、県から50億円というふうな部分でしかないと思います。したがって、先ほど佐々木博議員からも今やめたらどうなんだという、これは腹を割った論議も含めてやりながら最終決断をしなければならないと私自身思っています。いろいろ資料請求も含めて前の議員さんたちがお話し申し上げました。それらをぜひ出していただいて、私たちが判断できるもの、その中で県民に向かって、知事も議会も、いわばどっちに転ぶかはこれからの審議でありますので、私も十分審議の推移を見たいと思いますので、改めて、今までのように後手にならない形でできる限りの資料を出していただくということで要求をしたいわけでありますので、部長でもよろしいですので、御答弁をよろしくお願い申し上げます。

〇知事(増田寛也君) 今後の審議に向かっての県の対応の姿勢につきましては、当然のことながら資料をオープンにして、そして実態をよく把握していただいた上で審議に臨んでいただけるように常に意を用いていきたい。資料の取り扱いについても、どうしても相手との関係で難しいものを除けば極力お出しすることで担当部にもきつく指示をしておきますし、その中でどうぞ私どもの意図するところをお酌み取りいただければと、このようにお願い申し上げるところでございます。

〇議長(藤原良信君) 次に、お諮りいたします。認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、48人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、認定第1号から認定第12号まで、以上12件については、48人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することに決定いたしました。
 お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、議長を除く全議員を指名したいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(藤原良信君) 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたとおり、議長を除く全議員を決算特別委員に選任することに決定いたしました。
 決算特別委員会は、委員長互選のため、12月6日午前10時に特別委員会室にこれを招集いたします。
 改めて招集通知を差し上げませんので、御了承願います。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第21号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第10回県議会定例会 平成16年12月3日)
総務委員会
1 議案第1号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款、第2款、第9款
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
5 議案第5号
6 議案第16号
7 議案第18号
8 議案第19号
9 議案第20号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 第5款、第14款
環境福祉委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第4款
2 議案第6号
3 議案第7号
4 議案第8号
商工文教委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款、第7款、第10款
2 議案第14号
3 議案第17号
4 議案第21号
農林水産委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款、第11款
2 議案第10号
3 議案第20号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
県土整備委員会
1 議案第1号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
2 議案第9号
3 議案第11号
4 議案第12号
5 議案第13号
6 議案第15号
日程第35 発議案第1号プレジャーボート等に係る水域の適正な利用及び事故の防止に関する条例

〇議長(藤原良信君) 次に、日程第35、発議案第1号プレジャーボート等に係る水域の適正な利用及び事故の防止に関する条例を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。佐々木一榮君。
   〔39番佐々木一榮君登壇〕

〇39番(佐々木一榮君) 民主・県民会議の佐々木一榮であります。
 私は、各会派共同提案の発議案として、本日提出いたしました発議案第1号プレジャーボート等に係る水域の適正な利用及び事故の防止に関する条例案について、御賛同をいただいた各会派を代表して御説明申し上げます。
 近年の海洋性レジャーの多様化には目をみはるものがあります。本県におきましてもプレジャーボートの増加を背景として、魚網が切られたり、係留場所をめぐる対立など、沿岸地域を中心に各種の問題が起こっており、議会でも何度か取り上げてきているところであります。しかし、これに対する行政の対応は所管する行政機関が、国、県、市町村を通じて多岐にわたっていることなどから、行政の縦割りの弊害によりなかなか総合的な対策が進まない現状であります。
 そこで、水域を利用するすべての県民の視点に立った有効な総合的プレジャーボート対策を講ずることにより、プレジャーボートと漁船等との水域での共存、水難事故の防止、さらには、本県における安全・安心な水上レジャーの振興を図るため、各会派共同提案により条例を制定しようとするものであります。
 主な条例案の内容といたしましては、一つに、水域利用の適正化対策として、プレジャーボート利用者と漁業関係者との相互連携協力、関係者による協議組織への支援、プレジャーボート利用者と漁業者との水域の利用調整の促進などを図ること。二つ目に、事故防止対策として、プレジャーボート乗船者に対する救命胴衣着用の原則義務化、危険操縦の禁止などを制度化したこと。三つ目に、損害が発生した場合の補償確保対策として、損害賠償責任保険の加入率が低く十分補償を得られない事例も聞かれることから、損害賠償等に備えた保険加入等の財産的措置を促進を図ること。四つ目には、不法係留対策として係留指導を重点的に行う適正化区域を指定して、指導、勧告の徹底を図ることなどであります。
 次に、条例の施行については、一部の規定を除き平成17年7月1日を予定しております。
 以上、よろしく御審議の上、原案に御賛同くださるようお願いいたします。
 最後に、本条例案の作成に当たっては、条例案の内容が県民生活に直接関連する政策的議員提案条例であることから、本県県議会としては初めてホームページや地域説明会を通じて県民から直接御意見を伺い、その結果を踏まえて、よりよい条例案の検討に役立てるなど、県民に開かれた県議会を目指した新しい試みを取り入れたところであります。このような新しい試みに真摯に取り組み、策定に当たり御尽力をいただきました各会派の政策担当の議員初め、議員諸君の御苦心と努力を多とするものであり、心から敬意を表し提案理由の説明とさせていただきます。(拍手)

〇議長(藤原良信君) これより質疑に入るのでありますが、通告はありませんので質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております発議案第1号プレジャーボート等に係る水域の適正な利用及び事故の防止に関する条例は、農林水産委員会に付託いたします。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時4分 散 会


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