平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(渡辺幸貫君) 私も議案第20号一般会計の50億円の補正予算、競馬についてお伺いをいたします。
 知事に2点だけお伺いをします。
 11月29日付の資料が私どもに送られてきまして、全国全競馬場で売り上げがほぼ半減して、他の競馬場でもさまざまな方策がとられたことだと思います。どんどん断念をしておりますし、そしてまた、子供のころ野良仕事でともに暮らした愛馬、懐かしい日本のどこにでもあった農耕主体の馬事文化と、不景気のさなか、馬券売り上げの方策に血道を上げている競馬と肌合いの違いを感じている多くの県民、今日、公共機関が競馬を開催することに健全な娯楽として本当に受け入れられていくのか。なぜ岩手競馬の売り上げが下がったのか。その検証を改めてお示し願いたい。そして、多様化する娯楽の中でどこに未来があるのか、県が融資することにどういう意義を見出せばいいのか、素朴な県民の感情に知事のお考えをよろしく御説明をいただきたいと思います。
 2点目、競馬組合規約の第11条に、組合の経費は組合の事業から生ずる収入、その他の収入をもって支弁し、なお不足あるときはその不足額を関係団体に分賦すると書いてありますね。そして、あの数字をこの間数日前に送られてきたものをよく見ていますと、この赤字は平成12年からお金が足りなくなった。つまり収入をもって支弁し不足あるときは、平成12年から不足していたんじゃないんですか。この規約に対してなぜ分賦をしなかったか、それをお伺いしたい。

〇知事(増田寛也君) 2点お尋ねございましたので、申し上げます。
 まず、この今回融資をするその考え方、基本のところのお尋ねかと思いますけれども、この競馬をいわばギャンブルという形でとらえる見方も確かにあると思いますけれども、岩手県がこうした競馬事業に乗り出して、長い間競馬事業を行ってきたということは、それは、法律上は財政競馬という言葉になっていますが、競馬を間違いなく健全な娯楽の一つとしてとらえて、そして県としてこれに事業に乗り出したものと理解をしております。健全な娯楽であり、その中で岩手県が古くからの馬産地として持っております馬事文化、そうしたものをさらに馬事振興という形で、この競馬事業を行うことによって振興させていくというねらいもあったのではないかと思っておりますが、この間、多くの関係者がこの競馬事業によって生計を立てているという紛れもない事実がございますので、私どもとしては、この先輩の皆さん方が大事に育ててまいりました競馬事業の存廃を考えるに当たりましては、今の与えられた条件の中で、そしてまた、これから改正競馬法によって開かれるそうした可能性を最大限に取り入れた計画を立てて、そしてこの競馬事業の存続を考えていくということが、今一番必要だという考え方のもとで、その中で今回計画を実行していく上ではどうしても県に融資をお願いしなければいけないという考え方がございまして、それを今、御理解をいただくべくお願い申し上げているところだと、このように理解をしております。
 それから、2点目の規約の何条とございましたが、こちらの方は今、部長の方から答弁させます。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) なぜ分賦しなかったのかということでありますが、単年度会計でありまして、次年度からの繰り上げ充用で赤字が出ないように処置していたということで分賦を行ってこなかったものと考えております。

〇41番(渡辺幸貫君) まず、第1点、今、知事がおっしゃるとおり健全な娯楽とすれば、今回実行計画並びに貸し付けに関する資料の送付を29日付でいただきました。その中で、セグメント別営業戦術の既獲得層、ヘビーユーザーの欄などは、2日に1度競馬に参加する人、有効施策は他の娯楽に流出しないためのサービス施策と、とにかくほかには行かないように、もっとおぼれるようにと言わんばかりの施策が書いてある。これは今おっしゃったその健全なという、娯楽を提供するということと、この今回の資金貸し付けでやっていくということとちょっと意味合いが違う気がするんですね。それが一つ。
 それと、2番目、今、繰り上げ充用でやっていたとおっしゃった。だけどこの素直な文章をそのまま読んだときに、不足をしたらすぐ私たち構成団体にかけられれば、議会であろうとも、いろんなところであろうともとっくに、ああ、これではいかぬと、何とかしなければならぬという、そういうふうになってもらうために、これは地方自治法の第284条第1項の規定による自治大臣の許可のあったその日から施行すると、その自治大臣が許可する精神に果たしてそれが合致しているのか。私たちはその時点で分賦してもらえば、きょう議論しなくてよかった。私はその思いを強くするんですが、その点についてやっぱり知事にお考えをお尋ねしたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 最初の方のヘビーユーザーとかいろいろ言っていますが、今回の再建計画ですけれども、リマインドという言葉を使って、リマインド岩手競馬と言っているわけですが、そうした今までの岩手競馬の歴史の中で、本当に岩手競馬を愛して、そして、あの競馬場で心から競馬を楽しむという方々が現実にずっとおられたということがございます。それを、ギャンブルにおぼれるということではなくて、やはり競馬の中でそうして岩手競馬を本当に愛して競走馬の改良を支えてこられた方や、それから中央の方に走っていった方や、それから興味がありながらもなかなか競馬場に来られない方とかいろいろございますので、営業戦略としてはそれぞれ相手、対象を分けてきめ細かに、これは営業でございますので立てておりますが、全体の営業の考え方は基本計画に出てございますとおり、そうした今までの岩手競馬を歴史を振り返って、愛してこられた方にもう一度岩手競馬のことを思い出していただこう、リマインドということでございますので、私は、決してそうした方々を競馬場にくぎづけするというよりも、そういった方々も含めて多くの方に競馬場に来ていただくような、そういうさまざまな手だてを盛り込んだものだと理解をしております。
 それから、分賦の関係でございます。これはやり方いろいろございますけれども、その当時のやり方として何とか営業をもう一度回復をして、そして競馬の収支をよくしていこうということで繰り上げ充用という、法律で許された考え方の中で翌年度の予算をきちっと編成していこうという考え方でとられたものでございまして、これも確かに非常に緊急避難的なものでございますが、これが積み重なれば大変経営を圧迫するわけでございますけれども、今回ちょうど競馬法の改正の時期がございますので、そうしたやり方ももうほぼ限界だということがございます。それはもうこの数年間の事情がよくわかっておりますので、大変皆様方から御心配とおしかりを受けておりますけれども、そういった競馬法の改正というチャンスをとらえて、抜本的に今までの営業方法を見直しして、今回もう一度御理解をお願いしているということでございます。

〇議長(藤原良信君) 次に、伊藤勢至君。


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