平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(嵯峨壱朗君) 議案第20号平成16年度岩手県一般会計補正予算(第5号)について質疑をいたします。
 議案第20号は、岩手県競馬組合に対して県競馬組合経営改善対策資金貸付金として50億円を融資するという増額補正案であります。
 まず初めに、本来であれば、これまでの経営責任をそれぞれの立場で明確にした上で、こうした議案が提出されるべきと考えるところでありますが、それが融資の大前提であることを指摘しておきます。知事が一般質問等の答弁の中で述べているように、地域への貢献、馬事振興、馬事文化の継承、健全な娯楽の提供、地域資源、財産としての有効性などの理由により、健全な経営を目指して存続されることを私も望むものでありますが、本議案についてその可否を判断する情報、そして時間が余りに少なく、この機会を通じて可否を判断する材料を得たいために質疑するものであります。
 出資法人等調査特別委員会を通じて、その存廃を含めて種々そのあるべき姿について調査、議論をして、本年8月、岩手競馬の振興に関する提言を管理者である増田知事に提出したところであります。その間、県当局を初め、多くの関係者の方々から多大な御協力を得て調査を積み重ねたところであります。しかしながら、先ほどの工藤勝子県議の一般質問の樋下議員の関連質問で取り上げられた報告書の存在、かなり詳細にわたる調査のようでありますが、特別委員会を通じてそのような調査があったことを含めて、一切その調査についての説明はありませんでした。報道を通じて初めてその調査の報告の存在を知ったわけであります。プロジェクトチームを5月中旬に設立し、知事は7月中旬に報告を受けた。そうした事実から見て、競馬組合に関する知事を初めとする県当局の一連の説明、そして姿勢に対してその不誠実さと信憑性への疑義を禁じ得ないと感じております。
 そこで、改めてお聞かせ願います。出資法人等調査特別委員会を初めとする議会になぜ報告しなかったのか。先ほども質問ございましたが、相手先企業との交渉に支障を来すため提出しなかった。そういう説明ではございましたが、競馬組合経営の悪化の原因解明と存続に向けて、まさに関連企業との委託のあり方が大きな問題であると大きく議論がなされたところであることは周知だと思っております。報告書の取扱方についてあえて言えば、知事、県当局の不誠実さ、県民への背信的な行為と言えるような情報提供のあり方について知事はどのように考えているのかお尋ねいたします。
 また、先ほどの樋下議員の関連質問で指摘された記事の内容、それは事実であると認識しているのか。現在だけでなく過去にさかのぼってみて確認したのかどうなのかお尋ねいたします。
 50億円についてでありますが、知事は一連の答弁を通じて、実行計画の実現により岩手競馬の再生を確信していると述べておりますが、先ほどの6月に出た報告書を前提としても、特に財務的側面から見てこの実行計画の有効性を本当に確信しているのかどうかお尋ねいたします。
 また、貸出金利0.03%の根拠は何か。そして、県は議案説明で融資財源は一般会計予算の全体資金運用で対応し、仮に予算に不足が生じた場合には県が一時的に借入補充すると述べております。県が一時借り入れする際の金利はどの程度になっているのか。
 また、知事及び担当部長はしばしば財政的支援ではないと言うが、私は金利コストの負担のみでも十分な財政的支援と考えます。なぜ財政的支援でないと言えるのか、改めてお尋ねいたします。
 また、知事は記者会見等で、金利負担の軽減のための融資だと述べておりますが、昨日の一般質問の答弁等を聞くと、実際は金融機関からの融資が実質的に困難なため、県がやむを得ず融資するのだと私は理解したのですが、事実はどちらなのでしょうか。また、管理者である知事はいつの時点で金融機関の融資が困難であるとの認識を持ったのかお尋ねいたします。
 一時的な資金繰りのショート、資産融資だと説明し、実際は大部分が赤字補てんに充てると言われておりますが、そのとおりと理解していいのか。だとすれば、既に返済不能に陥ることが想定されるのではないかと思われます。融資の可否を判断するに当たり当然返済能力の有無が問われるわけですが、返済は一時的な金融機関からの借り入れによって可能になるとの予想も立てられますが、そのこと自体も本当は不可能ではないのでしょうか。
 最後に、仮に融資を実行し、その返済が不能もしくは追加融資が必要となった場合に知事はどのような対応を考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 順次お答えいたしますが、報告書の関係の取り扱いでございますけれども、これはただいま議員からお話しのございましたような不信の念を抱かせたのは大変申しわけないと思っております。この報告書について私7月中旬ごろに概要を報告受けておりますが、始めたのは、当然県としてこの競馬組合の問題、大変深刻に受けとめて、我々としてこの問題に正確な分析をして対応するということで、さまざまな問題についてそういうチームをつくって職員に作業してもらっていますが、その中で大変重大な問題として作業してもらったものです。その後、その分析を生かして県として対応を考えてきたつもりでございますが、内容についてその内容を議会の方でいろいろ御質問等があった際にきちっと申し上げ、その報告書の内容に基づいていろいろ委員会などで対応してきているとは思っておりますけれども、いずれにしても金融機関、あるいは相手先でなかなかその時点で明確にできないことがあって報告書を今まで公表していなかったようでございますが、この点については深くおわびを申し上げながら、きょう後で皆さん方にお届けするように指示をしておきましたので、お渡しをさせていただければと思っています。
 それから、計画で事業が再建可能か確信をしているのかということでございますが、これは、私は管理者としても、それから知事の立場でも、あの計画を正確に実行することによって、競馬組合の再建が必ず成り立つと確信をしているものでございます。
 それから、金利の0.03%の根拠は何かということでございますけれども、これは県が歳計現金を運用している3カ月ごとの大口定期預金の金利がございますけれども、その金利水準が0.03%であるということを参考にいたしまして、このような金利を設定したものでございます。
 それから、財政的支援に当たらないという、その見解の認識はどういうことかということでございましたが、財政的支援ということは、これはいわば今回の事案について融資ではなくて資本投入するような、負債を肩がわりするようなものであれば財政的な支援ということになると思いますが、今回は金利をつけてお返しをいただくということですので、県財政の中での財政負担が生じないということをとらえて財政的支援ではないと申し上げているものでございます。これについては、今、議員がお話しになったように、そこのことだけでも一般の市中のものとは違うので財政的支援だという恐らく御見解なんだろうと思いますけれども、私が以前使いましたときには、あるいは担当部長が申し上げておりましたのは、県財政に負担を生じさせないという意味で使ったものでございます。
 それから、金融機関ではなくて我々の県の方に融資を受けているわけで、これはコストの問題もございます。コストがかなり、運転資金のコスト軽減ということが現実に生じますので、これで再建計画が非常にやりやすくなるということがございますが、それから一方で、金融機関からの融資を受けるのは非常に困難だということもございまして、どちらの事情もあると、諸般の事情にということで先ほど御答弁申し上げましたけれども、そういった両方の意味合いが確かにあろうかと思います。これは借り入れを9月に組合の方で金融機関から受けたわけですけれども、そのときの折衝等を通じて見ましても、金融機関の方ではもう100億円を超える融資をしておりますので非常に難しいという、そういう感触は我々も受けておりまして、金融機関からこれ以上借りることが非常に難しい。一方ではまた、コストの問題も生ずるということもございまして、今回そうしたことでお願い申し上げたものでございます。
 それから、返済の関係でございますけれども、これは返済が滞ることがないように私どもも、今度は私が貸す立場にもありますので、ですからそういった返済が滞ることがない、そのリスクのないような形にということを考えておりまして、今お願いしておりますのは来年の3月末日でお返しいただくものですけれども、これについては私どもとしても今の組合の状況から見まして、確実に返済できると見込んでいるわけでございますが、その点についてはきちきちっとその都度、その都度、相手先の状況を見ていかなければならないと考えておりますので、その点についての適切な管理ということについては十分意を用いていきたいと考えております。

〇議長(藤原良信君) 答弁漏れがありますので、その前に。新聞記事の内容が事実かと、確認をしたのかということでございますが、この点を質問されていますね。ですから、その点をちょっと。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) この報告書自体は極めて短時間の中でまとめられたもので、かつヒアリング等を通してしかできなかったという部分があります。なかなかやっぱり委託先の方からは資料等がもらえなかったというようなところで、多少調査の範囲は限られたもの、時間的にも限られていましたし、なかなかそういう資料がもらえなかったということで、非常に対象範囲が限られていたという部分はございますけれども、ここの中に盛られていること自体は、私は事実であると、ある程度客観的な資料に基づいたものになっていると考えております。

〇出納長(橋田純一君) 貸し付けの際に一般会計の方で資金が足りない場合はどうするかということと、それから金利は幾らぐらいで貸すかというお尋ねだったと思います。
 それで、これはやっぱり一般論ですけれども、歳計現金に係る収入を早期化する。これは各部局、地方振興局、収入をきっちり計画的に入れていただくということを常日ごろやっております。まず、それが一番大事なことだと思います。収入見込みの精度を高めて、計画的、効率的に資金を運用していく。どうしても足りないという場合は、今回の場合がそうですけれども、指定金である岩手銀行から県が借り入れをしていくということになります。金利はこの際0.03%になっています。これは、そういう不足の場合の基本的な仕組みをつくってあります。指定金との間で契約がございまして、定期性預金を年間100億円絶えず指定金に入れて置いていますので、これの金利が、預け入れの金利が0.03%で、借り入れの際もそれを担保にする金利も0.03%になっているんですよ。そういう約束をしていますので、それを活用しながらやっていくと。そういう基本的な仕組みの中核になっているのが、そういう仕組みが当座借り越しという形になっていまして、そのほかに信用貸し越しとか、証書借り入れというのはありますが、ほとんどがただいま御説明申し上げました当座借り越しで、年間を通してその資金の支払い準備金の充当にこの方法を当てていっているという内容でございますので、よろしくお願いします。

〇9番(嵯峨壱朗君) 二、三点質問させていただきます。
 1点は、財政的負担は伴わない、先ほどの説明で県と我々との認識の違いということなんでしょうけれども、きのうの説明で、一般質問の答弁の中で来年度の予算編成についての説明ございましたけれども、その中で、一般財源ベースでいわゆる経常的経費の削減率を本年度比15%減と設定したとしても、最大で50億円のいわゆる歳入不足が生じるという説明ございましたが、こういった状況からすると、もちろん交付税の確定の問題もあるんでしょうけれども、先ほど樋下議員の関連質問に対する答弁でも、盛岡、水沢は財政的に大変苦しい状況にあるので、管理者の筆頭である岩手県が面倒見なければならないというふうな感じの答弁に聞こえたんですけれども、果たして岩手県は、では余裕があるのかなとどうしても考えてしまうんですけれども、その辺、もう一度しっかりと答弁いただきたいと思います。
 それと、部長の答弁でしたけれども、この記事に書いていることはおおむね正しいと――正しいというか、事実であるという認識でしたけれども、これは、この調査をしてわかった時点でこのことについては競馬組合等に対して申し入れをしたというか、この改善とかそういったことをしたのかどうかという、最も重要なことかなと思っているんですけれども、計画が立ってからやるとかではなくて、わかった時点でやはりすべきだったと思うし、やったかどうかと。そして、計画にもちろん抜本的な形でこういうところにメスを入れているかどうかをお聞かせ願いたいと思います。

〇知事(増田寛也君) 私の方からまずお答えしますが、確かに県も来年度予算編成につきまして今、大変苦慮しておりまして、そのことは、それはそれとして全力を挙げます。競馬組合の方のこの再建も取り扱いを間違いますと大変県民負担が生ずるということが一方でございます。それから、2、800名を超える雇用の確保ということを最優先にしてやっておりますので、非常に難しい問題、また、御理解を本当に繰り返し、繰り返し説明しなければいけない問題ではございますが、今、我々がつくっております再建プラン、我々というか、組合の立場で言いますと、組合がつくっている再建プランが確実に実行されれば、そういったことに対して必ず再建という形でお報いすることができるということでございますので、そうした心配のないように、疑念をいただかれないように、それから一般会計にも影響を与えないような、そういう最善の策として今回ああいった短期の融資をお願いしたということでございます。
 それから、あと構成団体の盛岡と水沢の関係で、確かに県だけが融資をするのはどうか、同じように構成団体にもお願いをしてやるかどうかということは、これは大変悩みましたけれども、ただ、現実にこの競馬組合の経営をやはりリードしてまいりましたのは県でございまして、そういう御意見、両市以外の市町村の方の皆さん方からごらんいただきますと、どういうことかということもあるかもしれません。県民の皆さん方からも、また少しそのあたりは奇異に見られる部分もあるかもしれませんが、ここはトップでございます管理者としての私のぜひ判断で、今まで競馬組合の経営をリードしてまいりましたのは県でございますので、県の方にぜひお願いをしよう、こういう判断に至ったものでございます。
 新聞記事の関係については部長の方から細かく答弁させますが、ただ、いずれにしても7月に概要報告を受けまして、きちっと全部の数字というわけではございませんけれども報告を受けまして、なおさらそういった、特に委託の団体のところにも鋭くメスを入れて、それで全部をきれいにしていかないと、この問題は、一部そういうところの委託経費だけの問題ではなくて、執行体制から何から全部を切りかえていかなければならないと深く感じたところでございますので、そういう委託先との関係も含めてすべてを一新して、計画の中に全部そういう体制の問題も含めて盛り込むようにということで、当時組合の方に総括的にそういう言い方で指示をしてございます。
 細かくは農林水産部長の方からお答えいたします。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) この報告書ができまして知事に概要報告した後に、この報告書自体は組合の方に一応参考までに送付してございます。中身につきましては、当然今回のアクションプランの中では、十分改善の方向に向けて徹底した見直しを行っている中で盛り込まれていると考えております。

〇議長(藤原良信君) 次に、斉藤信君。


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