平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(野田武則君) 民主・県民会議の野田武則でございます。
 先輩、同僚議員の御高配により、2回目の一般質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。一部の議員と重複する部分もあろうかと思いますが、御容赦願います。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 さて、新聞報道によれば、先月26日、政府・与党は三位一体改革に関する2006年度までの改革の全体像を決定しました。具体的な削減方法は先送りされ、改革案は玉虫色となったようですが、これに関し全国知事会は不満な点を残しつつも受け入れを表明いたしました。増田知事は、新しい日本を作る国民会議、いわゆる21世紀臨調の知事・市町村長連合会議の座長として、常にその先頭に立って御活躍されてきた立場でありますから、今回の決定には当然不満なことと思いますが、官僚主導の縦割り中央集権国家に大きな風穴をあけたのも事実でありますので、改めて知事の御活躍に心から敬意を表したいと思います。
 さて、先月、読売新聞社が実施した全国世論調査によりますと、三位一体改革を知らない、あるいは内容がわからないというのが73%もあり、国民に十分浸透していないことが浮き彫りになりました。そして、63%の人が地方分権の進行を支持しているとのことですが、同時に市町村に財源移譲した場合の対応能力について、ないとの回答が46%と市町村行政に対する不信感も目立ちます。限られた範囲による調査と思いますので、すべてを受け入れるわけにはいきませんが、大変示唆に富む調査結果と思います。この世論調査で示されているのは、地方分権の改革は自治体行政に対する住民の信頼があって初めて成り立つものではないかということであります。我が岩手県においてはどうでしょうか。地方分権は足元からの改革が重要と思いますが、知事におかれましては、三位一体改革の推進に当たり、今後どのような姿勢で臨まれるのか、最初にその御所見をお伺いいたします。
 次に、県財政についてお伺いいたします。
 国の平成16年度予算において、地方財政対策に基づく交付税等の削減が突然に前倒しで実施され、このことにより、昨年10月の中期財政見通し時点よりもさらに200億円程度の交付税等が減額される見通しとなり、本年7月時点の推計では、平成18年度までに526億円から764億円の財源不足が生じるとの見通しが示されたところであり、まさにゆゆしき事態であると思います。
 そこで、お伺いいたしますが、この財源不足に対しましては、資産の処分や基金の取り崩しのほか、さらなる事業見直し等で対応するとのことでありますが、具体的にはどのような内容であるのかお示しを願います。
 県の政策評価システムによる40の政策の目標値の達成に対する総合評価では、ややおくれているとされているところでありますが、こうした進捗状況に加えて、地方交付税の削減等による財源不足の拡大などの財政環境を考え合わせれば、知事が掲げる40の政策の期限内での目標達成には危惧の念を抱かざるを得ないのでありますが、今後の見通しについてはどうでしょうかお考えをお伺いいたします。
 次に、少子・高齢化対策についてお伺いいたします。
 平成13年に策定したいわて子どもプランは、本年度中に見直しを行うことになっているとのことですが、見直し後の新しいプランの視点の一つに、母子家庭等の自立促進策を岩手県母子家庭等自立促進計画――これは仮称ですが――として盛り込むとしております。過去のさまざまな少子化対策が思うような効果を上げられなかったのは、シングルマザーについての対策が手落ちだったのではないかと私は思っております。平成14年の国民基礎調査によれば、日本の母子世帯の平均所得は243万5、000円で、一般世帯の平均所得602万円の約40%となっております。また、厚生労働省は過去において、母子世帯の児童扶養手当の所得制限などを行っております。離婚してシングルマザーになると、いかに苦労するかということを見せしめにしているように思えてなりません。
 このような状況下では、結婚や子供を産むということに対する女性の意識が大きく変化するとは思えません。国においては、児童扶養手当などの支援を見直し、就労支援による自立を促進する政策への転換を計画しているように見受けられますので、そうだとするならまた同じ過ちを繰り返す可能性があります。真に日本一の子育て環境を目指すのであれば、その少子化対策の切り札としてシングルマザーが子育てに不自由しない社会の実現にこそあると考えます。新たな視点での施策の実現が求められていると思いますが、いかがでしょうか。その御所見をお伺いいたします。
 また、新しいプランの策定の取組状況についてお示しを願います。
 続きまして、高齢者福祉に関して質問いたします。
 いわていきいきプラン2008による入所定員目標は、平成19年度までに介護老人福祉施設で6、201人、介護老人保健施設で5、405人、痴呆性高齢者グループホーム992人となっております。誇れる岩手40の政策では、介護老人福祉施設の増設や、入所サービスの方針の見直しなどにより、重度層の施設入所待機者を減らす方針ですが、在宅での介護が困難にもかかわらず、施設にもすぐに入れない、こうした行き場を失ってしまう高齢者の方々、特にもひとり暮らしの高齢者にとっては深刻な問題です。現状の待機者数はどのようになっているのでしょうか、また、これらの目標値は達成できるのでしょうか、今後の見通しと対策についてお示しを願います。
 次に、迫り来る宮城県沖地震、三陸沖地震への対策についてお伺いします。
 宮城県沖地震や三陸沖地震は、本県の特にも沿岸部に大きな被害をもたらすと予測されるところですが、この地域は、海岸線を縦断する国道45号と沿岸各市町村と内陸を結ぶ横断道によって支えられております。橋やトンネルが多く、これらの道路や鉄道が寸断された場合の代替ルートが少なく、被災者の生活の足の確保や救援物資、復旧資材の搬入に支障を来すことが想定されます。そこで、陸上交通が寸断された場合の緊急時には、海上輸送が重要な輸送手段として見直されるべきものと思いますが、検討されているのかどうかお伺いをいたします。
 また、災害時の負傷者の救護は、搬送先の病院での治療では当然遅いことになりますので、被災現場に早急に緊急の医療施設等を設置し、医師の応急処置の後、自衛隊の大型ヘリなどを活用しながら、それぞれの状態に応じた病院に搬送する体制が必要です。港湾、漁港を抱えている本県にとっては、海上防災の点からも、ぜひこの際、沿岸地区に防災基地を設置すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、自動車リサイクル法の施行に関しお伺いいたします。
 今回の自動車リサイクル法の実施により不法な放棄自動車の一掃にも効果があると思い、大いに期待をしているところであります。しかし、全国的には、家電リサイクル法に基づき回収された廃家電がリサイクルされず輸出に回されていたり、家庭から回収されたペットボトルの一部も中国に輸出されるなど、国内での廃棄物循環を前提にした法体系の不備が取りざたされております。このようなことから、来年1月1日より施行される、この自動車リサイクル法が、果たして期待どおり機能するのかどうか疑問に思うところであります。
 そこで、お伺いいたしますが、この法の施行により来年1月1日より、従来のまま放置されている使用済み自動車は産業廃棄物とみなされますので、保管者においては廃棄物としての厳重な管理が求められるところですが、本県における使用済み自動車の保管の現状についてお伺いをいたします。
 また、現在本県においては、矢巾町にある昨年操業を開始した株式会社青南商事と今月操業を開始する予定の釜石市の協同組合岩手オートリサイクルセンターなど数社があるとお聞きしておりますが、この法に基づく使用済み自動車の取扱業者は何社あるのでしょうか、またこのような資源リサイクルが産業として機能するためには、どのような点が課題としてあるのか、また県として、どのような取り組みをなされようとしているのかお伺いをいたします。
 次に、森林による二酸化炭素吸収量のクレジット化についてお伺いをいたします。
 地球温暖化をもたらす二酸化炭素などの温室効果ガス削減を定めた京都議定書が、ロシア政府の批准手続開始によって、早ければ来春にも発効する見通しとなりました。本県においても岩手県環境基本計画において地球温暖化防止への取り組みを行っているところでありますが、排出権取引に関しては、この9月に地方分権研究会において、岩手、岐阜、和歌山、福岡、佐賀県の5県によるインターネット上での仮想市場において模擬取引を行ったとのことです。そこで、お伺いいたしますが、この仮想取引の成果と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 また、森林による二酸化炭素吸収量をクレジット化して市場で売却することの妥当性を検証し、国に働きかけていく目的もあったと伺っておりますが、その妥当性は実証されたのでしょうか。森林による吸収量を排出権として売却する森林吸収量のクレジット化ができれば、林業の活性化、地方の雇用の拡大など、森林整備から派生するさまざまな効果が得られるとともに、大きなビジネスとしてもその可能性が広がると思います。今後、排出権取引についてはどのような取り組みを行うのでしょうかお伺いをいたします。
 次に、水産業振興についてお伺いします。
 水産業は、漁業や水産加工業及びその関連産業から成り、沿岸地域では地域に密着した最も重要な地場産業として、地域の経済や社会を支えております。その水産業の振興については、つくり育てる漁業など、沿岸漁業を活性化する必要があります。そのためには漁業の担い手の新規参入を促し、育成すること。特に養殖漁場の免許や利用については県と漁業協同組合が重要な役割を負っており、両者がその役割を分担して漁業担い手の課題に対処する必要があります。本県の漁業就業者数は平成14年で、1万440人で、5年前の平成9年の1万3、470人に比べて22%も減少しております。また、平成14年の男性の就業者数では60歳以上が4、060人で、何と46%になっております。若年齢層の減少と高齢化が一層進んでいる現状にありますが、県は漁業担い手の確保、育成の課題についてどのように認識して、どのように対応する考えなのかお伺いをいたします。
 一方、本県の水産加工業は、食品製造業の約4分の1を占め、米に匹敵する生産額を有する産業であり、漁業とともに水産業の両輪と位置づけられるものであります。本県の水産加工業は、かつては豊富な資源に支えられ、これらの1次処理による冷凍加工が主要な加工形態でありましたが、近年の前浜資源の減少により加工原料の確保が困難となっており、冷凍処理を主体とした経営は厳しい状況が続いております。加えて、長引く景気の低迷と輸入水産物等との競合により、製造出荷額は平成2年度に1、000億円以上あったものが、近年は700億円台と低迷し、このことも沿岸地域の活力低下につながっております。このため、本県の水産加工業は、高次加工などへの構造転換を進めていくことがますます重要と考えますが、県は現在、水産加工業の振興についてどのような取り組みを行い、今後どのように展開しようとしているのかお伺いいたします。
 次に、雇用問題についてお伺いします。
 総務省の労働力調査結果によると、県内の平成15年の完全失業率は5.4%、完全失業者数は約3万8、000人、また、県内の有効求人倍率も本年9月で0.61と、依然として全国平均を下回っている状況になっております。国全体では危機的状況は脱したとしても、地方、特に岩手、中でも県北・沿岸部においては、依然として厳しい状況が続いております。平成17年度の厚生労働省の概算要求を見ると、国の緊急地域雇用創出特別基金事業は廃止されることとなっており、この基金事業が終了すると地域の雇用環境がさらに悪化しかねないと考えます。
 このような中で、国では新たに地域提案型雇用創造促進事業(パッケージ事業)――これは仮称ですが――が創設されているとお聞きしております。この事業は、労働省が地域雇用の創造に取り組む市町村等をコンテスト方式により、より雇用創造効果の高いものを選抜して事業の実施を委託するとしております。ついては、事業導入に向けて、県としても積極的に市町村に働きかけていくべきではないかと考えますが、県はどのように取り組まれるのかお伺いをいたします。
 次に、県立高等学校新整備計画後期計画(案)についてお伺いをいたします。
 教育委員会では、県立高等学校新整備計画後期計画(案)を公表しましたが、このうち釜石地区は、釜石南高校の普通科5学級を3学級に、また、釜石北、釜石工業、釜石商業の3校を統合し、計7学級を5学級に減らす計画であります。この計画案では、釜石・遠野地区で、今後5年間で中学校卒業予定者が160人減少するため、釜石・遠野地区で5学級を減らすとされておりますが、釜石市内での中学校卒業予定者の減少は62人と見込まれる中で、釜石市内の高校の学級数を何と4学級も減らすということが盛り込まれているわけであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 この案は全く地域の声は反映されておらず、特にも釜石商業高校の入学希望者は毎年多く、地域においても大きな役割を担っている状況の中での学級減は驚きとともに、どのようにしてこのような案が出されたのか、市民から教育委員会に対する不信感が広がっております。このことに関しては、釜石地区のみならず、宮古、気仙地区など他の市町村でも全く同様のようですが、県内各地から反対や見直しの声が上がっているところであります。しかし、教育長は、少子化や子供たちのニーズ、地域の振興も考えながら、地域にとって本当に望ましい教育環境をつくりたい、計画案については、県民の意見を聞きながらさらに詰めた上で12月に県民に示したいとの意向でありましたので、釜石市では、市並びに市議会、学校関係者、産業界などが一体となって釜石市の3校の統合案について真剣に種々検討し、その結果、この計画案に対しては、基本的な方向性は理解するが、地域の子供たちが希望する地域の高校に入学できるような学級数、定員の確保を盛り込むよう後期計画を見直してほしいとの結論に達し、要望が行われたところであります。教育長の意向に沿い、地域では真剣に取り組み計画案についての考えをまとめ要望したところですが、高等学校は教育委員会だけのものではなく地域の学校でもありますから、こうした地域の要望、県民からのさまざまな声を無視することはできないと思います。
 そこで、お聞きしますが、こうした地域の要望、県民からのさまざまな声をどのように後期計画に反映させるのか。整備検討委員会の設置など今後この計画をどのように推進していくのか、地元の市町村との連携はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、地域再生計画についてお伺いします。
 この制度を活用して地域活性化を図るべく積極的に活動している青森県では、県が主体となって、八戸を中心とした、環境とエネルギーをテーマに新たな地域づくりに取り組んでおります。マイクログリットと呼ばれるバイオマスを活用した分散型エネルギー供給システムによるまちづくりや現在立地している企業技術を活用して、エコタウン事業の推進による地域経済の活性化策の推進などであります。また、三重県では、四日市を中心とする周辺市町村との計画、愛知県では県と県内4市町村による国際自動車産業交流都市計画など、県が主体的に活動し、県内市町村を積極的に牽引する役目を担っております。
 本県においては、平成15年4月、釜石港がリサイクルポートの指定を受け、本年6月には内閣官房地域再生本部に公募した地域再生計画が認定を受けました。さらには、本年8月、釜石エコタウンプランが経済産業省、環境省の両省から全国21番目の地域として認定を受けたところです。これらの取り組みは、市民、企業、行政が一丸となって、いかに地域の活性化を図るべきかとの危機感が、行政の継続性を生み、計画の熟度を高めてきた結果であると考えます。この間市長が3人かわっておりますが、既にこれらの計画は現実のものとして推進されてきております。
 地域再生計画の趣旨には、やる気のある地方公共団体、住民や地域の民間企業等の協力のもとに自主性と創意工夫を生かしながら、それぞれの地元の特性を踏まえた地域間競争を通じて地方経済の活性化を図ることにより、地域の再生を実現するとあります。近年の低迷する地域経済にあって、県内市町村の一つ一つは我が岩手県の基盤であり、地域の多様な発展なくして岩手県の発展はあり得ないと考えるところです。リサイクルポートの指定、エコタウンの認定、そして地域再生計画の認定と、3点セットで国から指定を受けている釜石の発展は、とりもなおさず岩手の発展に貢献するものと思います。そこで、このような地域の取り組みを助長するような支援を考えるべきと思いますがいかがでしょうか。
 次に、釜石市民病院と県立釜石病院の統合についてお伺いいたします。
 9月13日に、県医療局と釜石市は平成20年4月をめどに釜石市民病院を県立釜石病院へ統合すると発表されました。このことに関し質問いたします。
 この合意は、二つの病院を統合して県が経営主体となるものです。県立釜石病院は地域の中核病院として医療機能の強化に努める一方、釜石市民病院は診療所となり、また、保健福祉活動の拠点とするなどの新たな活用方策を検討することになっております。これらはあくまでも基本的な大枠についての合意であり、具体的には釜石地域保健医療協議会に専門部会を設置して広く意見を求めて進めていくという内容であります。昭和43年ごろから協議が進められてきた久慈市における県立久慈病院と久慈市立中央病院の統合に当たっては、自治省の指示を受け強引に行われたものと伺っておりますが、その結果は、統合前に市民に公約した医療の充実、医師の充実は解決することができなかったとお聞きしております。今回の釜石の場合は、釜石市の求めに応じて、釜石地域医療供給体制のあり方協議会が設置され、県医療局が統合に合意したものですので、久慈のケースとは違いがあるわけですが、医療を取り巻く環境が厳しい状況にある現在、合意内容の実現が果たして可能なのかどうか、大変危惧せざるを得ません。多くの市民がその点を大変心配しながら、注視しているところであります。
 そこで、医療局長にお伺いいたしますが、改めてこの統合に至る経過と内容につきましてお示しを願います。
 また、釜石地域保健医療協議会に専門部会を設けるなど取り組みがなされているところですが、医師確保など統合の実現に向けた今後の見通しはどのようになっているのでしょうかお伺いいたします。
 続いて、保健福祉部長にお伺いいたしますが、この統合によって生じるさまざまな課題を解決するには、地域の他の医療機関との連携を深め釜石地区の医療供給体制のあり方を見直す必要があると考えますが、地域医療の充実のため今後どのような取り組みをなされるのかお聞きいたします。また、この統合に関し知事の御所見もお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、警察本部長にお伺いいたします。
 今、全国的に子供がねらわれる事件が多発しております。つい先日も奈良県において、小学1年生の女子児童が何者かに殺害され、その痛ましい姿の写真を携帯電話のメールで母親に送りつけるといった猟奇的な殺人事件が起きております。県内においても、子供に対する略取・誘拐事件の件数は少ないものの、全国的な傾向と同様の傾向を示しつつあるのではないでしょうか。また、いわゆる声かけ事案も相当数あると聞いているところであり、憂慮すべき状況と思います。今後は学校の統廃合が進み、校区が広がり、下校時の安全確保がさらに困難になると予想されるところです。
 そこで、警察本部長に伺います。この近年の状況をどのようにお考えでしょうか。また、子供の安全を守るためにどのような対策をとられているのでしょうかお聞かせください。
 世界が、いつも、いつまでも平和でありますように。子供たちが、いつも、いつまでも幸福でありますように、心から念願しつつ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございます。(拍手)
   

〇議長(藤原良信君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 野田武則議員の御質問にお答え申し上げます。
 今後の三位一体改革の進め方、特に市町村との関係でございますが、この三位一体改革が我々の主張しているとおりに今後進んでまいりますと、地方自治体としては、その自由度が高まって、公共事業につきましても、例えばローカル・スタンダードのような事業が遂行できるということで、みずからの判断で、住民ニーズに即して企画、実施する自己決定の権限を手にすることができるわけでございます。一方で、このような自己決定権限の拡大に伴いまして、住民ニーズを踏まえた効率的で質の高い事業執行を行う責任も生じることになります。
 したがいまして、県や市町村では、こうした自己決定や自己責任による分権型社会の実現に向けて、絶えず住民からの評価を受ける緊張関係の中で、国に依存しない自前の政策立案能力を磨くなどその行政能力を高めていく必要がございまして、これまで以上に住民からの信頼を得られるよう一層自己努力を進めていかなければならないと考えております。
 また、こうした三位一体改革の中では、特に住民に最も身近な基礎的自治体でございます市町村の総合力の強化を進める大きな契機にならなければならないと考えておりますので、県として市町村合併の進展も踏まえながら、市町村に対しての権限や財源、さらには、人材の移譲を一層進めていきたいと考えております。
 それから、県財政の関係で財源不足の関係でございますが、この財源不足の解消に当たりましては、まず政府で定めました骨太の方針2004の遵守を引き続き国に求めまして、その中で、地域において必要な行政課題に対しては適切に財源措置を行うと明記しておりますので、安定的な財政運営に必要な一般財源の総額確保を機会あるごとに強く国に働きかけていくことが必要でございます。また、そのように行動してまいりたいと考えております。
 また、大幅な財源不足に対応するための県としての対応として、県内的には県有未利用地処分の追加や資産株の売却処分により30億円から60億円程度、そして、特定目的基金のさらなる取り崩しにより40億円から60億円程度増収を図ってより一層の歳入確保に努めたいと思っておりますし、さらには、平成17年度の当初予算につきましては、平成16年度当初予算対比で経常的経費は15%、投資的経費については5ないし15%の歳出削減を行うこととして、今、予算編成作業に取り組んでおります。こうしたことで、歳出の方についてさらに厳しく見直しをしていきたいと思います。さらに、今後2カ年の予算編成過程におきまして、他会計資金などの活用、補助負担金制度や大規模施設整備事業等の再見直し、将来を見据えた行政組織体制の構築による総人件費の抑制など、さらなる歳入確保と歳出削減に努めて財源不足額の解消を図っていく考えでございます。
 また、40の政策の関係でお尋ねがございましたが、このすべての実現に向けて、今、県庁挙げて全力で取り組んでおりますが、御案内のとおり、初年度でございます平成15年度の実績の評価につきましては、議員御指摘のとおり、全体としてややおくれている状況にあるということがございます。そこで、今後は、目標達成が比較的おくれております青森県境産廃不法投棄対策や二酸化炭素排出削減への取り組み、高齢者が安心して暮らせる地域づくりなどはもとより、若年者の雇用対策や産学官連携による地域資源を活用した新たしい産業の創出、学力向上を基本に据えた次代を担う人づくり、こうした施策に特に注力をしていく必要があると考えております。こうした考え方のもとで、予算の中の政策形成プロジェクトを中心とした取り組みを最重点で進めて、この40の政策に掲げる目標を確実に達成していきたいと考えております。
 釜石市民病院と県立釜石病院の統合についてのお尋ねでございます。
 釜石地域は、いわゆる過剰病床地域、基準病床数に対する過剰病床数の割合が高い保健医療圏となっておりまして、特に釜石市内にはほぼ同規模の病院が4カ所あるといった状況もございます。したがって、県立の病院と市民病院の統合についてはかねてから課題になっておったと認識しています。ことしの4月以降、市と両病院のあり方について協議を行ったわけですが、両病院とも経営状況は厳しく、患者数も減少傾向にある、地域は、今後も人口減少が見込まれる地域である、そして医師確保について、臨床研修医制度が始まったことなどもございまして、当面厳しい状況が想定されるという共通認識を両者で持ったところでございます。このような状況から、両病院が現状のまま存続することは困難でございまして、釜石地域における高度・救急医療や保健医療サービスなどの維持・充実を図るために、医療ニーズに見合った施設規模の適正化や医療資源の有効活用を図る必要がある、こういう認識のもとで、釜石の市民病院と県立釜石病院を統合するとの合意に至ったと理解しております。
 さらに、統合後の釜石地域の医療供給体制のあり方につきましては、現在、この地域の保健医療協議会に設置された専門部会で検討をいただいているわけでございますが、今後、この検討結果も踏まえて、県立釜石病院の機能の充実に努めてまいりますとともに、地域の医療機関との機能分担と連携を進めながら地域医療の確保を図っていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 初めに、少子・高齢化対策についてでございます。
 議員からシングルマザーのお話がありましたが、本県の離婚の動向を見てみますと、この20年間で離婚は約1.5倍に増加しておりますし、また、母子家庭の状況につきましても、世帯数で見ましてこの20年間にやはり1.2倍の増加ということでございます。また、母子家庭になったときのお母さんの年代を見ましても、20歳代、30歳代で相当の伸びを示しておりまして、若い世代で母子家庭となる世代が増加しているのが最近の特徴だろうと思います。
 そういうことでございますので、県では、母子家庭を社会を構成する家族形態の一つとして重要視しておりまして、議員からも御紹介がありましたが、現在いわて子どもプランの見直しを行っておりまして、岩手県母子家庭等自立促進計画を盛り込んで、この中で策定することとしております。その基本的方向は大きく五つの施策から成るわけですが、相談機能の充実、就業支援対策の充実と並びまして、経済的支援の充実もその中の柱に掲げておりまして、実施に当たりましては、県や市町村、関係機関等との連携を図ってまいりたいと考えております。
 ただいま御紹介いたしましたいわて子どもプランそのものの見直しにつきましては、現在、市町村の計画策定と歩調を合わせながら全庁的に取り組みを進めております。今後は、意見の取りまとめや提言内容を反映させていくことになりますが、その間にはパブリックコメントなどを通じまして県民の意見も集約しながら、今年度中には計画として示したいと考えております。
 次に、高齢化対策の部分でございます。
 いわていきいきプラン2008の中で、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、痴呆性高齢者グループホーム、これらの整備につきまして目標値を示しております。目標値に対する実績値は93%から99%ぐらいの間にありまして、おおむね達成できていると見込んでおります。ただし、特別養護老人ホームの入所希望者数については本年9月末現在で1、991人となっておりまして、ほぼ横ばいで推移しているところでございます。
 なお、グループホームにつきましては、定員増加も含めまして、この計画が適切に策定されるよう、今後とも必要な情報の提供や支援を行っていきたいと考えております。
 次に、釜石市民病院と県立釜石病院の統合についてでございますが、ただいま知事からも答弁ございましたし、また、後ほど医療局長からも経緯等について説明があろうかと思いますので、重複をできるだけなくして御説明いたしますが、基本的には釜石地域の医療提供体制の問題ということで、保健医療圏単位、すなわち釜石保健所を中心に御議論をいただいているところでございます。特に、医療局、釜石市を中心にしていただいているわけですが、釜石地域医療供給体制のあり方協議会というものが設置されまして、この中に釜石地方振興局長あるいは保健所長も参加いたしまして数回の議論を経て取りまとめられております。
 保健福祉部としましては、こうした経過を踏まえながら、引き続き釜石保健所とともに支援をしていきたいと考えておりますが、その際には、一つは医療計画との関連、二つ目は医療法上の問題、こういった問題があります。今申し上げました医療計画との関連は、先ほどの知事の答弁にもありましたように、圏域の病床数の問題等もありますので、こうした医療計画との関連等についても必要な助言を行うなど、スムーズな統合に向けて対応してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 災害時の海上輸送についてであります。
 地域防災計画では、災害が発生した場合の初動対応といたしまして、優先的に交通の確保を図るとともに、災害応急活動の中核となります防災拠点、緊急物資の輸送・集積等の中核となります輸送拠点を定めまして、緊急輸送に当たりましては、陸上輸送、海上輸送、航空輸送の連携を図ることといたしております。海上輸送につきましては、陸上輸送の途絶、あるいは陸上輸送のみでは必要な物資等の輸送が十分でない事態が発生した場合に実施することといたしておりまして、海上の緊急輸送が必要とされる場合には、東北運輸局に対する船舶のあっせんの要請、第二管区海上保安部に対しまして巡視船艇の出動または派遣の要請をし、対応していくことといたしております。
 先般の新潟県中越地震の教訓といたしまして、被災現地の活動あるいはライフラインの復旧に際しましては、輸送手段の確保が早期復旧の決め手となることが改めて確認されております。また、北海道南西沖地震津波では、航空輸送のほか、海上輸送として自衛隊、海上保安庁の船艇が物資輸送、救助作業に対応しているところでございます。県といたしましても海上輸送の重要性を認識しておりまして、宮城県沖地震津波災害を想定して、行政、民間を関係団体として構成いたします災害発生時の緊急輸送ネットワーク確保のための調査検討委員会――これは東北運輸局が主宰しておりますが――が本年10月に発足しておりまして、本県も参画しております。緊急時の広域的な海上輸送についての検討を進めているところでございます。
 次に、沿岸地区への防災基地の設置でございます。
 地域防災計画では、応急活動の中心となる防災拠点といたしまして、通信網、交通確保、人員体制を勘案いたしまして、地方振興局、県立病院、消防本部等を指定しております。また、海上輸送拠点として港湾、漁港についても指定しておりますほか、県内各地に災害用へリポートを指定しております。またさらに、現在、津波など大規模災害時を想定いたしました大型のヘリポートや自衛隊、緊急消防救助隊などが被災現地で活動する場合の宿営地など、救助活動の拠点となります場所を沿岸地区に数カ所選定することといたしておりまして、市町村と検討を進めているところでございます。
 この拠点機能につきましては、災害時の被災リスクと初動の迅速化を考えまして、集中型というよりもむしろ分散を図るという考え方で対処しているところでございまして、災害時には、内陸部あるいは沿岸部相互の広域支援の仕組みを有機的に連動させながら初動の災害対応に取り組んでいくことといたしております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) まず、自動車リサイクル法の施行についてでございます。
 放置されております使用済み自動車につきましては、ことしの3月、9月に実態調査を行いまして、県内あわせて約2万8、000台の使用済み自動車の放置あるいは保管が確認されたところでございます。この自動車の管理者に対しまして来年1月1日からの法施行の前に撤去等を行うように指導しておりまして、9月末までには約1万1、000台が撤去されまして、現在、約1万7、000台が残っていると把握しております。この中には管理者が不明なものもございますけれども、これからも引き続き調査を行いながら、撤去または適正保管がなされますように指導を強化していきたいと考えております。
 また、使用済み自動車の取扱業者でございますが、これは、登録業者と許可業者と二つございまして、使用済み自動車を自動車の所有者から引き取る引き取り業者などは登録業者でございまして、これは9月末で約1、300業者となってございます。それから、使用済み自動車の解体とか破砕を行いますのは許可業者になるわけですが、これは、年末――法施行直前には大体60社程度になるのではないかと見込んでございます。
 今後の課題についてでございますけれども、自動車リサイクル法におきましては、リサイクル料金の前払いや電子マニフェストによる管理など新たな仕組みが導入されておりまして、こういう制度が定着するためには、関係いたします自動車の所有者、引き取り業者から破砕業者まで関連する事業者それぞれの役割を的確に果たしていただくことが重要であると考えてございまして、県といたしましては、説明会の開催でありますとかホームページ、広報誌への掲載等を通じまして制度の周知に努めてきたところでございます。今後とも、資源循環の輪が保たれますように、国や関係機関と連携をいたしまして、電子マニフェスト制度を活用した監視・指導を強化し、使用済み自動車の再資源化の推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地球温暖化対策と排出権取引についてでございますけれども、本県を含む5県が参加して実施いたしました排出量模擬取引事業でございますけれども、これは、CO2の排出量の取引に加えまして、森林による二酸化炭素の吸収量もクレジット化して市場で売却することの妥当性を検証するものでございました。この事業、現在、中間報告が出ておりますけれども、この中間報告によりますと、成果といたしまして、林業者にクレジットを与えることによりまして排出権市場が拡大いたしまして、排出権価格が引き下げられました。このことから、排出企業にとっては排出削減対策に要するコストを削減できる効果があり、一方、林業者にとりましても森林管理コストの一部を回収できる効果があるなど双方にメリットがございまして、排出権市場において取引が成立する見通しが得られました。
 このように、森林による二酸化炭素吸収量をクレジット化して市場で売却することは排出権市場の活性化に一定の効果がありまして、森林の整備を促進しながら国内の総体としての地球温暖化対策に要するコストの低減が期待されることから、この制度の妥当性が実証されたと考えてございます。
 このことから、本県といたしましては、排出量模擬取引事業の成果を踏まえまして、年内に地方分権研究会を通じまして、地方の立場から温暖化防止に資する制度の設計につきまして国に対する提言を行い、現在、国において検討されております地球温暖化対策推進大綱の見直しの議論に反映させまして、森林による吸収量のクレジットを含む排出量取引制度の創設を働きかけてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 漁業担い手の確保・育成についてのお尋ねでありますが、販売金額別に担い手の有無を統計的に見た場合、やはり漁業収入が高い漁家には後継者のいる割合が高いことが見てとれます。したがいまして、漁業収入の高い漁家をどう育成していくかということが担い手確保にとって有効な方策ではないかと考えております。
 そのためには、漁業者全体の収入を底上げする必要があることから、生産を担える意欲と能力を持つ担い手に漁場を集積し、経営規模を拡大すること、つくり育てる漁業や資源管理型漁業を推進することが必要であります。このうち、とりわけ担い手に漁場を集積し、経営規模を拡大するには、漁場の管理を担っている漁協の皆さんと一緒に担い手対策に取り組むことが求められており、現在、漁場の利用や漁業慣習等について幾つかのモデルの漁協を選びながら調査をしているところであります。その中で、模範となる事例、そういったものがどのようにして出てきたのかということを調査し、担い手確保のための望ましいあり方について漁協と議論し合いながら漁業者の生産構造改革を推進してまいりたいと考えております。こうした方策にも取り組みながら漁業者全体の収入の底上げを図り、担い手確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、水産加工業の振興についてであります。
 平成14年度の水産加工品生産量に占める低次加工品の割合は約70%と非常に高いウエートを占めておりまして、本県の場合、付加価値の低い状態で水産加工品が生産されているということが言えるのではないかと考えております。また、同じ年の統計で水産加工品の出荷額を見た場合、10年前の85%に落ちておるわけであります。このうち、低次加工品が38%と大きく落ち込む中、逆に高次加工品は111%という伸びを示しております。このことから、本県水産加工業の今後の目指すべき方向は、低次加工品主体の生産構造から付加価値の高い高次加工品主体の生産構造への転換を促進していかなければならないと考えております。そのためには、前浜の高品質な加工原料の確保、そのためにはまた一方で担い手の確保が大事になってくるわけでありますが、それと、それを利用した商品開発により地域ブランドを確立していくことが必要であり、そうした観点から、既に産地魚市場における衛生管理の高度化、秋サケやワカメなどの付加価値を高める加工技術の開発、品評会や展示商談会による水産加工業者の商品開発促進とその研さんなどに取り組んでいるところであります。さらに平成14年度から水産業連携強化推進事業によりまして、意欲のある若手水産加工業者の支援に取り組んでいるところでもあります。今後におきましても、こうした取り組みを推進することにより、競争力のある水産加工業への構造転換を一層加速させていきたいと考えているところであります。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) 雇用対策に関して、国が17年度から創設予定の地域提案型雇用創造促進事業、いわゆるパッケージ事業導入に向けて県として積極的に市町村に働きかけるべきではないかとのことでありますけれども、この事業につきましては、本県が国に提案しました市町村独自の雇用創出計画に対する支援制度の創設の趣旨に沿うものでありまして、国の基金事業にかわるものとして、市町村に対して事業導入を積極的に進めているところであります。
 地域の創意工夫ある雇用創出対策を重視した、これまでにない地域に視点を置いた事業内容ととらえておりますが、事業導入に向けた動きをつくり出すためには詳細な情報提供が必要なことから、国からの情報収集に努め、逐次地方振興局を通じ市町村に情報提供を行う一方、県と市町村との意見交換会の場において、また、雇用環境の思わしくない県北・沿岸地域におきましては、個別に市長さんにお会いしましてパッケージ事業の導入を働きかけてきたところであります。
 事業自体は県を通さない国の委託事業となっておりますけれども、事業の導入に当たっては地域の関係者の連携が必要であり、雇用創造に取り組むための地域の仕組みづくりが何よりも重要となっておりますことから、こうした面で、県、地方振興局の果たす役割は大きいと考えております。今後とも、市町村、地域の主体的な取り組みを尊重しながらパッケージ事業の導入について支援してまいります。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 地域再生計画についてでございますが、釜石地域は、150年にも及ぶ鉄の歴史により培われたものづくり資源を資源循環型社会に対応した産業の創出に活用していくことを目指し、地域再生に積極的に取り組んでいるものと認識しております。
 地域再生、地域振興に当たりましては、それぞれの地域の特性や特色を踏まえ、地域の人材、技術、資源を活用しながらその特性を伸ばしていくこと、また、その効果を沿岸地域、県内外に波及させていくことが重要であります。県といたしましては、広く効果を波及させるために、東北横断自動車道釜石秋田線、三陸縦貫自動車道、港湾など交流・連携基盤や生活基盤の整備に努めるとともに、地域産業経済の振興を図るため、エコタウンプランに基づく水産加工廃棄物リサイクル事業や使用済み自動車リサイクル施設の建設などの環境産業の育成、あるいはものづくりのノウハウを生かした産学官連携による生体材料合金開発など新産業の創出を支援し、さらには、意欲ある地域づくりについては、地域活性化事業調整費あるいは市町村総合補助金等により支援してまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 釜石市民病院と県立釜石病院の統合についてでありますが、釜石地域の医療体制、特にも釜石市民病院と県立釜石病院のあり方につきましては、平成11年度以降、釜石地方振興局を仲立ちといたしまして情報交換会を開催し、これまで釜石市と情報や意見の交換を行ってきたところでございます。
 釜石市におきましては、市民病院の医師確保の見通し、あるいは経営状況の悪化等の課題を抱える中、本年3月、市議会におきまして県立釜石病院とのかかわりについて県と協議に入る意向を表明したところでございます。これを受け、4月に釜石地方振興局、県医療局、釜石市の3者による協議の場を設置し、これまで4回にわたって協議をしてまいりました。この協議の中では、現在の両病院の医師の体制、あるいは県、市の財政負担、病院施設の状況――これは耐用年数等でございますが――などにつきましていろいろ検討してまいりました結果、両病院が現状のままでこのまま存続することは困難であり、地域における救急あるいは高度医療、保健医療サービスの維持・充実を図るため、医療ニーズに見合う規模の適正化、医療資源の有効活用を図る必要があるとの認識のもと、両病院を統合し、県が経営主体となるとの合意に至ったものでございます。
 今後の見通しについてでございますが、現在、釜石保健所が主宰する釜石地域保健医療協議会に専門部会を設置しまして、統合を踏まえた医療供給体制のあり方などについて、地域の医療関係者、医師派遣元である大学関係者――これは岩手医大、東北大でございますが――、また、住民代表の方などから意見を伺っているところでございます。11月に開催した第1回の専門部会におきましては、両病院を統合するという基本的な方向性を踏まえまして、県立釜石病院の機能強化のため、現在の市民病院のみが有している診療科の確保、医師体制の充実による高度医療への対応が望まれること、また、地域の救急医療体制を充実するため、県立釜石病院の強化のほか、地域の医療機関との機能分担が必要であるということ、また、これらのためには医師の確保が重要であるといったような意見が出されたところでございます。このような意見を踏まえながら、統合に当たりましては市民病院の医師の県立病院への移行を初めとする医師の確保が重要な課題であると認識いたしておりまして、市当局及び釜石市民病院長などと協力、連携いたしまして、派遣元である大学あるいは医師本人に対する要請を行い、体制の充実に向け最大限努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校新整備計画後期計画(案)についてでありますが、8月に案を公表して以来、地域ごとの説明会を初め、各関係団体に対する説明、各地の要請に応じた出前説明会などを開催したほか、現在は中学校のPTAの役員あるいは進路指導を担当する教員などを対象とする説明会を教育事務所単位に開催して、御意見をいただいているところであります。御指摘のありました釜石・遠野地区については、お示しした計画案に一定の御理解をいただける方向で進んでいることから、ブロック内の適切な学級数については、今後、地域の中学校卒業生の数や進路動向を精査して、調整してまいりたいと考えております。いずれ、各地のさまざまな意見を勘案し、生徒一人一人のよりよい学びの環境を整えるために、今後も検討を重ね、成案の策定に向けて鋭意詰めてまいりたいと考えております。
 また、この計画の推進に当たっては、この計画案に沿って、関係する市町村など行政機関を初め、対象となる高校の校長、PTA、同窓会など、地域の方々による整備検討委員会を組織し、当該校の教育内容やそれに沿ったカリキュラム、また、校名や校歌などについて具体的な整備の方向を検討していただくこととしておりまして、県教育委員会としては、この整備検討委員会における意見を踏まえて具体化していくこととなると考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 幼児連れ去り事件についてでありますが、子供を対象とする略取・誘拐事件が全国的に多発していることは、まことに憂慮すべき状況にあると考えております。県内におきましても、この種事件が近年、数件ずつ発生しており、その内容は子供の親権に絡んだものや、わいせつ目的などによるものであります。
 また、御指摘の声かけ事案も県内で散発しており、凶悪事件への発展も懸念されますことから、県警察といたしましては、子供の安全を確保するためパトロールを強化するとともに、学校、教育委員会などの関係機関と連携した不審者に関する情報提供による子供、保護者への注意の呼びかけ、不審者侵入時の訓練の実施、防犯教室の開催などを行っているほか、地域住民の皆様などの協力を得て、子供の一時的避難場所である子ども110番の家や、警察署へ直接通報する子ども緊急通報装置を設置するなどの諸対策を推進しているところであります。今後とも関係者の皆様と連携し、この種凶悪犯罪の絶無を期すための対策などを推進してまいりたいと考えております。

〇6番(野田武則君) ただいまは知事初め、関係部局長から大変明確な御答弁をいただきましてありがとうございます。時間も経過しておりますけれども、県立釜石病院と市民病院の統合問題につきまして二、三再質問させていただきたいと思います。
 まず、医療局長にお伺いしたいと思いますけれども、診療所の問題でございますが、先ほど医療局長もおっしゃっておりましたけれども、統合によって県が経営主体になるというお話でございますけれども、その診療所がまだ宙に浮いたままでございまして、そのことが市民の皆さんの不安材料の一つだろうと思っておりますので、その取組状況といいますか、どのようにしようとなさっているのか、その点を一つお伺いしたいと思います。
 それから、保健福祉部長にお伺いしますが、先ほどのお話にもありましたとおり、釜石市は大変高齢化率も高うございまして、さらに、療養型の病床数も少のうございます。そういうわけで、市民の中には釜石市民病院の廃止に伴いまして、できれば療養型の病院といいますか、そういったものの設置の希望もあるようでございますが、その辺のその法的な縛りといいますか、可能性についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

〇医療局長(千葉弘君) 統合後の現在の市民病院の場所での診療所の開設ということだと思います。いろんな協議の場におきましても、市当局からは診療所として何とか残したいという意向が示されておりまして、私どももそういった方向でいろいろ考えていきたいということです。細部につきましては、今後お互いの協議といったようなことになろうかと思いますけれども、いずれ市が主体となって、例えば県立病院に委託するとか、あるいは直営なさるとか、いろいろ選択肢はあろうかと思いますが、いずれ市と、相手のあることでございますので、今このように決まったということ申し上げられません。今後の協議事項ととらえておりますので了承願います。

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 知事の答弁にもございましたように、釜石地域が過剰地域ということでございますから、通常でありますと療養型病床の新増設というのは、普通は難しいのでございますけれども、条件が整えば可能かもしれません。と申しますのは、設置主体は変わらないということが条件になると思います。設置主体、この場合は釜石市でございますから、釜石市が釜石市という設置主体のまま一般病床を療養型病床に転換するという条件であるならば、これは医療法上も可能ではないかと考えております。

〇6番(野田武則君) 先ほどもお話がありましたとおり、大変今、釜石市民の中ではこの統合問題について反対あるいは賛成と、いろいろさまざまな意見が取りざたされておるわけでございますけれども、私としてはこの統合に当たりましては、ぜひ前向きな形で進めていくべきではないかという立場で質問しているわけでございますが、ただ、先ほども医療局長の方からお話もありましたし、保健福祉部長の方からお話もありました。大変課題が山積しておりまして、どうもその一つ一つの課題が解決の見通しが見えないという、その姿が大変市民に不安を与えている要因ではないかと思っております。ですから、診療所の問題もぜひ早く決めていただきまして、市民の皆さんにその形を見せていただきたいと思っております。
 地域の医療を守ると、そしてまた、地域住民の命を守るという極めて重要な問題でありますので、私も常にこの統合問題について見届けていきたいと思っております。医療局長と、それから保健福祉部長、そしてまた、知事におかれましてもどうぞよろしくお願い申し上げまして、質問を終わりにしたいと思います。

〇議長(藤原良信君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 認定第1号平成15年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第34 議案第21号権利の放棄に関し議決を求めることについてまで

〇議長(藤原良信君) この際、日程第2、認定第1号から日程第34、議案第21号までを一括議題といたします。
 議案第21号について提出者の説明を求めます。時澤総務部長。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 本日提案いたしました案件について御説明いたします。
 議案第21号は、権利の放棄に関し議決を求めようとするものであります。これは、学校法人東北文化学園大学が東京地方裁判所に提出した再生計画案に同意するため、同法人に対する補助金返還請求権及びこれに係る利息の請求権の一部を放棄しようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願いいたします。

〇議長(藤原良信君) これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので発言を許します。嵯峨壱朗君。


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