平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 このたび、本定例会におきまして、先輩・同僚議員の御配慮をいただき、登壇する機会を得ましたことに感謝を申し上げ、通告に従い順次お尋ねいたしますので、知事初め関係部局長には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、岩手県総合計画について、見直しについてお尋ねいたします。
 平成11年8月に岩手県総合計画を策定して以降、ITバブルの崩壊やデフレの進行による企業活動の落ち込み、生産体制の海外シフトによる産業の空洞化など経済的な課題に加え、国、地方約700兆円という多額の債務を抱えるに至ったこと。国と地方の関係を根本的に見直し、真の地方分権を実現しようとする三位一体改革の動きが佳境を迎えていることなど、地方の行財政を取り巻く環境は大きく変化いたしております。とりわけ三位一体改革については、過日、改革の全体像が政府・与党において最終決定され、これにより来年度に向けた予算編成作業が本格化することとなりますが、平成16年度予算編成に際し、この三位一体改革とは関係なく地方交付税の大幅な削減が行われたこと、また、三位一体改革が実現した後においても、移譲される税源の偏在などにより、東京都などの大都市を除くほとんどの道県において歳入水準が低下することが懸念され、本県においても深刻な影響があるものと考えられているところであります。
 このような中、今回取りまとめられた平成11年度から平成15年度までの前期実施計画に掲げる主要な事業の実績を見ますと、投資的・非投資的事業をあわせ事業費ベースの約57%の実施水準にとどまっており、前期7年間のうち、5年間の実績としてはやや低い水準にとどまっているのではないかと思われます。引き続き厳しい財政状況が見込まれる状況下において、総合計画に掲げる基本目標である夢県土いわての実現に向け今後どのような取り組みにより目標を達成していくのか、主要な指標の動向や、それを達成していくための具体的方策を中心に知事に御所見をお伺いいたします。
 また、公共事業を取り巻く環境が依然として厳しいこと、地方経済が低迷から脱し切れず、税収の伸びも期待できないこと、さらには、三位一体改革のうち、地方交付税の全容がいまだ示されていないことなどを総合的に考えれば今後の実施計画の進捗に懸念を抱かざるを得ないところですが、このような状況を踏まえて、前期実施計画の最終年度である平成17年度を控え、後期実施計画をどのような内容で、また、どのようなスケジュールで策定されるおつもりなのか知事のお考えをお示しください。
 次に、防災対策についてお伺いします。
 今年度は、夏から秋にかけての相次ぐ台風の襲来による豪雨や強風被害、それに続く新潟県中越地震と、災害の年でありました。被災されました多くの皆様に改めてお見舞いを申し上げます。
 災害は、いつ、どこで、どのような規模で発生するのか予想できないのが現状であり、このため、常日ごろの蓄えが極めて重要であります。新潟県の被災地では、住む家を失い、相次ぐ余震のため公共施設などに避難を余儀なくされた方々は9万人にもなったと言われております。命の糧となる水や食料、テント、毛布などの物資の不足、テレビでは、配給された1枚の毛布にありがたいという感謝の言葉を述べるお年寄りの声、もっとテントやシートが欲しいと支援を要請するなど、連日切実な現地の情報が報道されておりました。冷え込みが一段と厳しくなり、雪の降る季節を迎える現地の被災者、特にお年寄りや子供たち、障害を持つ人たちにとっては身も心も震えるばかりであろうと推察され、平成7年1月に発生した阪神大震災のように、このような地震が厳冬期の本県において発生したとすれば、さらに多くの犠牲者が発生するのではないかと危惧されるところであります。
 そこで知事にお伺いいたします。このような緊急時において情報をいち早く収集し、対策をとることができる防災センターの設置、支援物資を備蓄できる災害備蓄センターの設置は考えられないでしょうか。災害により道路が寸断されることも想定し、災害備蓄センターにヘリポートを整備すれば、県内はもとより、東北地方において災害が発生した場合にも備蓄センターからいち早く被災地に支援物資を搬送することが可能となります。大災害が発生した今こそ、このような条件整備を国、県が一体となって進めるべき好機であると考えられますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 最近の新聞記事によりますと、全国約3、000の市町村のうち、高齢者や障害者などの災害弱者の所在地を的確に把握している団体は約20%にしかすぎないと言われております。1933年の三陸津波地震から70年余りも経過したことや、最近の社会情勢の変化、地域のコミュニティーの衰退等を考慮すれば、地域における防災、福祉コミュニティーの結成促進こそ重要であり、これにより災害弱者の一元的把握が可能となり、防災対策の充実が図られるのではないかと考えますが、現状における課題と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、島根県松江市に住む方が、中山間地域における帰農者の住宅確保と地元資源の活用を図るため、素人でも運搬、組み立て、分解が容易な木質ブロックの構造材から成る住宅を開発したことが現代農業という農業情報誌の中で紹介されておりますが、このようなセルフビルドの住宅は、中山間地域における林業の振興はもとより、災害時の仮設住宅としても大きな可能性を秘めているように思われます。このような住宅部材を備蓄センターにストックしておけば、万が一の災害時に被災地に搬入し、ボランティアの協力により短時間で組み立てることができ、被災者の生活安定にも大きく貢献するのではないかと考えられますが、県としてのお考えはいかがでしょうか。
 次に、農業問題について何点かお尋ねいたします。
 まず、耕作放棄地対策についてお伺いいたします。中山間地域は本県の県土の約8割を占めており、そこに約半数の県民が生活しながら生産活動を続けております。しかし、地理的な条件や厳しい条件もあり、また、農業就業人口の約5割が65歳以上という高齢化の進展に伴う集落機能の低下などにより、耕作放棄地は増加傾向にあります。最近では、中山間地域ばかりではなく、平野部においてもふえつつあると言われておりますが、その原因をどのように分析されているのかお尋ねいたします。
 農地は一度放棄すると、雑草が生え、雑木が茂り、再び農地として利用するには莫大な時間と労力、資金が必要となるものであります。自然環境や県土の保全、水資源の涵養など農地が持つ多面的機能を維持し、安らぎと潤いのあるふるさとづくりを推進するためにも、農地を良好な状態に維持・保全していくことが大切であると考えられますが、その具体的な対応策についてお伺いいたします。
 次に、担い手対策についてお伺いします。
 農業の担い手対策については、国では、食料・農業・農村基本法の見直しに当たり中間論点の整理を行ったところですが、このように幅広い農業者を対象にした政策ではなく、対象を担い手に絞った上で、集中的、重点的に実施するとしております。また現在、国で検討されている品目横断的経営安定対策においても、対象を認定農業者で一定規模以上の農家と集落営農の中で経営の実態を有する一定規模以上の農家を対象としております。中山間地域が県土のおおむねを占め、小規模兼業農家が多い本県においては、国が考えるように、支援策の対象となる担い手を過度に絞り込むことは、担い手を確保するどころか、むしろ地域農業の崩壊につながりかねないのではないかと危惧するものであります。私の地元であります遠野地区においては、かつてのピーク時の農業生産額の達成を目標に、100億円達成アクションプランに基づく取り組みが鋭意進められており、また、集落水田農業ビジョンの推進についても、地域全体での協力体制の構築が不可欠であると考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、国が考えているような担い手のみに営農を集約するのではなく、地域全体で農業を支えるための仕組みづくりを推進するための方策をどのようにお考えでしょうか。
 次に、普及事業についてお伺いします。
 共同農業普及事業は、昭和23年に制度が発足し、戦後、農業の復興と食糧難の改善、農村の近代化、人づくり、組織化、生活改善など、我が国農業・農村の発展に大きく貢献してまいりました。普及職員は常に現場主義に徹し、農家に足を運び、農業者と深くかかわりながら、ともに考え、ともに行動し、農業情勢の変化に的確に対応しながら、試験研究の成果や新しい技術を常に提供し続けてまいりました。その結果、日本のチベットとも言われた本県を今では日本の食料基地を標榜するまでに発展させ、さらには、これまで農業・農村の根幹を支える幾多の人材を育成し続けてきた業績を高く評価するものであります。
 本年5月、専門技術員、改良普及員の一元化、農業改良普及手当の上限規定の廃止、地域農業普及センターの必置規制の廃止等を内容とする農業改良普及助長法の一部改正が行われ、県においては、国の法律改正を受けて、平成18年4月の新制度のスタートを目指して改革の骨子を検討中であると聞いております。しかし問題は、行き過ぎた普及センターの統合が行われた場合、普及職員の行動範囲が余りにも広くなり、また、農業者が普及センターに出向くこともままならない状況になると懸念されることであります。米政策改革や食の安全・安心、新規参入や企業参入の対応などの取り組みが急務になっている現状にあっては、私は、普及指導機能が低下するようなことがあってはならず、特にも集落水田農業ビジョンの取り組みを実践しつつある今こそ強力な指導が必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、グリーンツーリズムについてお伺いします。
 豊かな自然や食文化、伝統工芸、人々の交流など、農山村の持つ文化、生活空間を生かし、都市と農村の交流を図ろうとするグリーンツーリズムが我が国において取り組まれるようになってから10年余りが経過し、県内各地においても多様な広がりを見せるまでになっております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 しかし最近では、このようなグリーンツーリズムにも行き詰まりが見られるのではないでしょうか。グリーンツーリズムは、農山漁村における長期滞在型の余暇活動と定義されておりますが、例えば、農家民宿を開業し、農村への来訪者をもてなすためには、旅館業法、建築基準法、食品衛生法など多くの法令に基づく営業許可が必要とされ、法的規制は無論のこと、改築に必要な資金の手当てやもてなしのノウハウの習得など、依然としてそのハードルは高いと考えられます。山があって里があって、そこに暮らしがある、そんな環境を守り、次世代に引き継ぐため、都市との交流を通してそこに住む者同士が共感し合い、そして持続的な協力を始める、交流、共感、協働は、私の地元である遠野地区のグリーンツーリズムの目標であり、これまでの活動の結果、遠野は、西の横綱大分県安心院に対し東の横綱岩手県遠野と並び称されるまでになっておりますが、一方で、一般県民のグリーンツーリズムに対する認識と理解は必ずしも深まっているとは言えないのが現状ではないでしょうか。
 そこでお伺いしますが、本県におけるグリーンツーリズム推進の中核を担う岩手県グリーン・ツーリズム推進協議会は、受け入れ態勢の整備を初め、グリーンツーリズムの普及を図っていると思いますが、協議会の活動内容と普及拡大の成果はどうかお示し願います。
 また、受け入れ側である農家が求めるものは、法的な規制の緩和、グリーンツーリズムに対する関心の高い人々への研修機会の提供、施設の改善に必要とされる資金など経済的な支援でありますが、グリーンツーリズムに関する課題と支援策を県としてどのように考えているのかお伺いいたします。
 今、一つの展開方法として、農家民宿ではなく民泊として、空き部屋や離れに滞在し、滞在中は受け入れ先の家族の一員として仕事や家事を手伝い、なおかつ、両者の間に実費以外の金銭のやりとりを伴わない農村ワーキングホリデーを取り入れることも考えられますが、県としての取り組みの方向性をお伺いします。
 次に、農村における汚水処理施設の整備についてお伺いいたします。
 本県においては、汚水処理施設の整備が全国第37位とおくれており、その促進が重点課題となっておりますが、特に農村部における整備が都市と比較して著しく立ちおくれている状況にあります。私が前段で質問いたしましたグリーンツーリズムを推進するためにも、台所、トイレ、ふろなど、農家の水周りを改善することが必要であり、農業集落排水事業や合併浄化槽などの汚水処理施設の整備促進が重要であると考えるところであります。
 また、昨今、食の安全・安心への関心が高まる中、品質のすぐれた農産物の生産に向け農業用水の水質保全への取り組みを一層充実していくことも、非常に大切な視点ではないかと考えるところであります。
 そこで、お伺いしますが、本県における農業集落排水事業と合併浄化槽の整備状況と、現下の極めて厳しい財政状況下にあって、今後どのように事業を進めていくのでしょうか。
 次に、岩手競馬と馬事文化の振興についてお伺いいたします。
 今般、岩手競馬の経営改善実行計画が策定されたところであります。遠野地区においては、馬の里など馬事振興に関連する施設の運営や事業が行われておりますが、岩手競馬の動向は、遠野地区のみならず、本県の馬事振興や馬事文化の継承に極めて重大な影響を与えるものと考えるところであります。岩手競馬あっての馬事文化の振興であり、競馬経営の健全化に最大限の努力を傾注していただくことは当然でありますが、本県において馬と人とのかかわり合いには古く深いものがあり、馬産の歴史が本県の馬事文化を築いてきたものと考えるものであります。この先人が築いてきた本県の馬事文化を継承していくために、馬と親しむ機会を創出するなど馬事振興への取り組みが極めて重要と考えますが、県としての考えをお示し願います。
 次に、少子化対策についてお伺いします。
 我が国の出生率が下降し始めたのは1970年代でありますが、出生率が減少に転じてから既に30年以上がたち、少子化対策が打ち出されてからも出生率には大きな変化が見られず、2003年の合計特殊出生率は1.29となっております。また、人口推計についても、厚生労働省の平成14年1月推計の日本の将来推計人口によれば、100年後の我が国の人口は、現在の約半分の6、400万人余りになるとされております。人口の減少は、高齢化とも相まって、社会としての機能の持続も危ぶまれるような事態を引き起こすものと考えられております。少子化対策をより現実的にとらえ、根本的な支援体制を整えていくことが、21世紀における大きな課題の一つと考えますがいかがでしょうか。
 国は、平成15年7月に、次世代育成支援対策推進法を公布し、従来の働く母親支援から、男性をも含めた働き方の見直しや地域における子育て支援の推進など、すべての子育て家庭を対象とする対策へと拡充を図ったところでありますが、いまだすべての子育て家庭に対策が行き渡っているという実感がないのが現状ではないでしょうか。こども未来財団等の調査によると、働く母親よりも、育児専業の母親の方が育児ノイローゼや育児に対する自信喪失に陥りやすいという実態が浮き彫りとなっており、急増する児童虐待もその6割が母親によるものであると言われているなど、子育て支援対策全般について、抜本的な見直しを図るべき時期に差しかかっているのではないかと思います。安心して子供を産み、育てられる環境づくりを進めるためには、県民のニーズを踏まえながら、部局横断的な施策の推進に計画的に取り組むべきであると考えますが、知事の御所見と今後の取り組みの方向性についてお伺いします。
 また、知事におかれましては、例えば、3人目の子供以降は子育ての経済的負担を軽減するため、社会保障の費用負担の一部を減免するなどの思い切った対策を国に要望されるおつもりはないのか、あわせてお聞かせいただきます。
 本年4月に、県立花巻厚生病院において産婦人科医が不在となる事態が発生し、出産を控えた母親を初め、遠野地区においても大きな動揺を与えたことは記憶に新しいところであります。地域において安心して子供を産み、育てられるためには、医療は必要最低限度の条件でありますが、県立病院における産婦人科医、小児科医の充足状況及び確保の見通しはどうかお示し願います。
 最後に、社会資本の整備についてお尋ねいたします。
 遠野市は、本県のほぼ中央に位置し、内陸部と沿岸部をつなぐ重要な地域であり、新鮮かつ安全・安心な食料の供給や民話のふるさととしての豊かな観光資源など、他に誇れる強みがあり、本県全体の生活や産業に及ぼす効果も大きいものがあると自負しているところであります。
 道づくりは、地域経済の発展を支えるとともに、緊急輸送や高次医療機関へのアクセスなど、救急活動にも必要不可欠な生活基盤であります。東北横断自動車道釜石秋田線の整備は、地域の横軸連携を強化するとともに、北東北全域における多様な交流や連携を生むものと大きな期待を寄せるものであり、1年でも早い完成を望むものであります。
 また、一般国道340号は、陸前高田市から青森県八戸市を結ぶ、北上高地を南北に走る総延長255キロメートルの長大な路線であります。地元では、昭和50年以来、今日まで30年にも及ぶ歳月をかけ継続的に改良促進の運動を展開してきております。このような非常に長い間の運動にもかかわらず、残念ながら地元の熱い思いはいまだ届いておりません。関係市町村や住民の悲願となってもおります。特に遠野市-川井間の立丸峠の5.9キロメートルは標高も高く地形や気象条件も厳しい上に、急カーブ、急勾配で幅員も狭いため、本県における交通の難所であります。特に冬期間は積雪により自動車のすれ違いもままならず、道路事情に通じた方でなければ運転が難しい状況です。
 一方、この道路は三陸海岸への広域観光ルートであり、また、宮古地方から花巻空港や東北自動車道、国道4号への最短ルートでもあります。医療、福祉、産業振興等に果たす役割は大きいものと期待されます。さらには、津波などの災害時や沿岸ルートにがけ崩れが発生した際の代替ルートの役割をも担う重要な路線であります。
 そこで、お伺いしますが、東北横断自動車道釜石秋田線及び一般国道340号立丸峠の整備推進に対する現状認識と、今後の見通しについてお示し願います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、総合計画の基本目標の達成に向けた取り組みについてでございますが、平成15年度の政策評価結果で主要な指標の進捗状況を見ますと、到達度が高いとされた指標は、前年度よりも6指標増加して、パーセンテージですと2ポイント増の29%となる一方で、到達度が低いものの割合が45%ということで、これ前年度46%でございますが、少し1ポイント減っておりますけれども、五つの社会ごとに見ますと、特に第3社会の産業経済社会の進捗状況が厳しいという結果となっております。
 前期の実施計画7年間のうち既に5年間が経過しているわけでございますが、やはりこうした総合計画の達成度に大きな影響を与えているのは、当初想定し得なかった財政状況の急激な悪化、それから社会経済情勢の大きな変化といったようなことでございまして、中間年次でございます平成17年度には、必ずしも総合計画に掲げた目標に到達できないものも出てくることが想定をされております。
 こうしたことから、今後、県民ニーズをしっかり踏まえながら、特に、まず自動車関連産業を中心としたものづくり産業の集積、それから新たな市場の開拓に向けた農林水産物の輸出促進を初め、個性を尊重し創造性をはぐくむ教育の推進、そして障害者が自立し参加できる地域づくり、こういった分野についていわゆる政策形成プロジェクトの事業費を活用して、より効果的、効率的な事業展開や実施方法の創意工夫を行って、そして目標の達成に向けて、全庁挙げて取り組む考えでございます。
 次に、後期実施計画の策定、スケジュールなどについてお尋ねがございました。
 この後期実施計画について考える際には、まず、これまでの前期の状況を考えますと、今後の本県の財政をめぐる動向などをしっかり踏まえて考えていく必要があるということを痛感いたしました。今、国の方では、議員の方からお話しございました三位一体改革が行われたわけですけれど、その全体像の中で、平成17年度、それから18年度は地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源の総額を確保することとされております。これは、あと間もなく平成18年度までの、残り17年度、18年度2カ年分のものが出てくるのだろうと思いますが、国の方ではまずそういう形で三位一体改革を平成18年度までとそれ以降と分けて考えているということがあります。それから、県の方でも今、行財政構造改革プログラムをつくりまして、自立のための行財政基盤の確立に努力をしてございますが、その中でもやはり同じような形で平成18年度までに行財政構造改革に全力で取り組むということで、その内容を明らかにして今取り組んでいるわけです。
 それから、40の政策を昨年取りまとめました。この政策の中で平成18年度までの4年間に特に重点的、優先的に取り組んでいる事項を明らかにしまして、今この平成18年度までの具体的な目標達成に向けて全庁挙げて取り組んでいるということで、今、県の行政というのは平成18年度までの40の政策を実現するために、そして、それを確実にするために行財政構造改革も同じく平成18年度まで、これは国の三位一体改革の数値も平成18年度までですので、そういうことで全体動いておりますので、平成18年度までにつきましては、県としてはこの40の政策を基本に据えて、そして国の方で明らかにされるそうした地方財政措置に裏づけられながら、県としても行財政構造改革プログラムをしっかりと実現をさせて、そしてその40の政策の達成に取り組んでいくということを考えております。
 その後につきまして、平成19年度以降につきましては、国の方の先般の地方財政の関係で中期地方財政ビジョンというのを、今回から新たに平成19年度以降の分からつくるということになりまして、数年間分、平成19年度以降の地方財政見通しというのが数年先まで、その時点以降から明らかになるという、そういうものをつくるということが決まりました。恐らく平成18年度中に、18年度の後半になってからだと思いますが、平成19年度以降の地方財政見通しというのが明らかになるわけでございますので、そうしますと平成19年以降の県財政の見通し、何年間かの見通しも今までと違って非常につけやすくなるということがございます。したがいまして、この平成19年度以降の施策につきましては、そうした国の中期地方財政ビジョンといったようなものをよく内容を見て、そして県としての財政改革というものをどういうふうにするのかということを踏まえた上で、作成に取りかかった方がいいのではないかと思っております。その平成19年以降の施策につきましては、その時点になってから新たに作成をするというスケジュールを今考えているところでございます。
 次に、防災対策についてお尋ねがございました。
 まず、防災センターの設置についてでございますけれども、この防災における県の役割は、市町村を支援して、県や防災関係機関が実施する防災対策を広域的、総合的に調整を行うこととされておりまして、緊急時には災害対策本部を設置して被害状況を迅速に把握し、応急対策を進めることになるわけでございます。
 この災害対策本部でございますが、そこで災害情報を一元的に集約して、関係機関・団体との協議調整などを円滑に行う。そして、防災通信設備全般にわたる行政機能、それから災害対応要員の確保など災害対策本部に必要とされる条件が備わっている県庁舎内にこれを置くこととしております。今、議員の方から御指摘の防災センターというお考えは、この県庁舎の方に置かれる災害対策本部機能としてこれを発揮されるものと考えておりまして、こうした県庁舎の災害対策本部機能を強化、充実をしていくということで対応していきたいと考えております。
 それから、へリポートを備えた災害備蓄センターの整備についてですけれども、これは、現在は矢巾町の消防学校用地に総合防災センターというものを設置して、あそこに県全体としての物資の備蓄を行っております。それから、へリポートについては消防学校の校庭を活用という形になっております。また、県内各地に災害用のヘリポートを今指定しているわけですが、さらに沿岸部におきまして、津波など大規模災害時を想定した大型ヘリポートの設置や、自衛隊、緊急消防援助隊などが災害現地で活動する場合の宿営地などの選定について、今市町村と検討を進めております。今後そうしたことについてさらに調整を行って、速やかに地域防災計画に位置づけたいと思っております。災害時には、こうした総合防災センターと各地区のヘリポートの機能が一体的に発揮され、そして緊急物資の輸送などが円滑に行うことができるように取り組んでいきたいと考えております。
 そして、防災福祉コミュニティーの結成についてのお尋ねがございますが、こうした防災対策を進めていく上で最も大切なことは、個人個人、一人一人が心がける自助、それから地域全体で住民同士が支える共助、さらには、行政あるいは防災関係機関など公的機関が対応する公助がそろって機能することでございます。特にも地域単位の共助としての住民の相互協力が減災、防災に大きな役割を果たすと考えております。地域では、社会経済情勢の変化で住民が高齢化したり、それから新興住宅地域で隣同士の連携不足があったり、あるいは地域のリーダーが不足したり、それから過去の災害体験が伝承されないなどの課題がございますが、緊急時、住民同士で高齢者や障害のある皆様方に対する情報の伝達や避難の補助などに適切に対応していくためには、こうした住民同士の活動が組織的に行われる環境が望ましいと思っております。県でも、こうした自主防災の組織づくりのために手引書を作成するなど支援に努めておりまして、今後とも市町村と一体となったコミュニティーの防災力向上のための取り組みを進めていく考えでございます。
 次に、農業改良普及センターの関係でございます。
 今、農業は大変なグローバル化の進展への対応、それから低コスト化のための規模拡大など農業の構造改革が急務となっていると認識をしております。一方で、消費者の食に対する関心のかつてない高まりの中で、農業者もこうした消費者の要望に的確にこたえていくことが必要でございまして、農業を取り巻く環境は大きく変化をしてきていると考えます。
 こうした状況に対応するために県では、先般、集落水田農業ビジョンの策定によりまして水田農業改革への対応、それから食の安全・安心を目指した特別栽培や、生産履歴記帳などの取り組みを今進めているわけでございますが、現場で直接農業者の技術指導などに取り組んでいる農業改良普及センターも、こうした変化に対応した普及指導を行っていくために、これまでにない改革が求められていると思います。このため、農業者の多様なニーズ、それから地域課題への迅速な対応や地域の特性や営農の形態に対応した配置のあり方を中心に、今関係者の皆さん方と意見交換しながら見直し作業を進めているところでございまして、新しい農業改良普及センターはこれまでよりも、より現場に密着をして、そして柔軟性と機動性に富み、かつ普及指導機能も一層強化された組織につくり上げたい。こういう目標を立てまして今鋭意取り組んでいるところでございます。
 最後に、少子化対策でございますけれども、少子化対策の今後の取り組みの方向性についてお尋ねがございました。本県がまず取り得るべき対策としては、何よりも県民が安心して子供を産み、育てることができる環境を整備することであり、そうした地道な努力が結果としては、出生率の上昇にもつながるのではないかと考えております。
 対策の具体的な内容を考える上でのヒントとして、例えば、総務省の少子化に関する政策強化というのもございますが、この中では一般国民の要望といたしまして、教育に伴う経済的負担の軽減と、それから仕事と子育ての両立のためのいわゆる雇用環境の整備、この二つが最上位ということになっています。このうち経済的負担の軽減ということでございますが、こちらにつきましては、全国の事例等から見る限り奨励金程度ではほとんど効果がなかったということが知られているわけでございます。このため、県では当面、男性の働き方の見直しも含めた雇用環境の整備に重点を置くべきと考えております。
 その推進体制も問題になるわけでございますが、その体制として、全庁組織である子育てにやさしい環境づくり対策推進会議というものが平成5年に設置されました。また、平成7年には、外部の有識者から成る子育てにやさしい環境づくり推進協議会というものを設置しましたので、こうした組織を活用するとともに、現在、次世代育成支援対策推進法の趣旨を踏まえて、いわて子どもプランの見直し作業を今行っているわけでございますが、その中でも仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備を最重要なテーマに位置づけております。その中で有効な対策をとってまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 災害時に対応するための住宅部材のストックでございます。
 県では、災害時の緊急初動対応といたしまして、被災者の救護、保護を行う市町村を支援するために、食料、発電機、投光機、簡易トイレなどを県立総合防災センターに備蓄しております。復旧対策としての仮設住宅につきましては、民間業者と具体的な品目、数量について取り決めを行って調達をするという方法をとっております。これは流通備蓄と申しておりますけれども、この仮設住宅につきましては、関係業界から安価で、即応性、流通性にすぐれた流通備蓄により対応するということとしております。災害の規模によりましては、仮設住宅の確保、あるいはその復興住宅の建設なども必要になってくるわけでありますが、こうした場合におきましても県産材の利用という観点は非常に重要な観点だととらえております。
 御提言のありましたセルフビルドの住宅部材の備蓄につきましては、まずコスト面で現在のプレハブとどうなのかという比較をする必要があると思います。また、現在のプレハブにつきましては、先ほど申し上げましたように流通備蓄からの調達を行っておりますので、このセルフビルドが流通備蓄から調達が可能なのかどうかということで、もし不可能であれば別途保管のための倉庫を確保する必要があるということもございます。その他実用度、利用度実績などを考慮する必要があるわけでありますが、何分開発されて間もないということもございまして、仮設住宅としての利用が十分に検証されていない状況でございますので、今後の動向等に注目をしてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 耕作放棄地対策についてのお尋ねでありますが、1995年と2000年の農林業センサスによる耕作放棄地面積で見た場合、5年間で60%余り耕作放棄地が増加しております。耕作放棄地が増加傾向にある理由は、高齢化、労働力不足、農地の受け手がないことなどが主な要因となっておりますが、中山間地域においてその割合が高くなっているという傾向が見られます。
 農地を良好な状態に維持していくための対策でありますが、中山間地域においては、中山間地域等直接支払制度を活用し、地域ぐるみの共同取組活動を通して耕作放棄地の復旧を図る取り組みが行われておりますが、耕作放棄地の解消を図る上でこの中山間地域等直接支払制度は大変有効な施策であり、現在、岩手県で見た場合、約200集落で100ヘクタールを超える放棄地の復旧がなされております。
 耕作放棄地解消対策としては、さらに集落水田農業ビジョンの実践活動を通した耕作放棄地の利活用、あるいは構造改革特区制度を活用した農外企業の農業参入、さらには、市町村の農業委員会などが中心になって取り組んでおります遊休農地を活用した市民農園の開設などが考えられるところでありますが、今後におきましてこれらの多様な取り組みを支援しながら、耕作放棄地の解消に努めていきたいと考えております。
 次に、担い手対策についてでありますが、本県農業の維持、発展を図っていくためには、国内外の産地間競争に勝ち抜く経営体質の強い担い手の育成も重要でありますが、とりわけ中山間地域におきましては、集落での話し合いをもとに、小規模農家につきましても、それぞれの営農条件や営農志向に応じて地域での役割を担いながら、地域一体となって集落営農に取り組んでもらうことが重要であると考えております。
 県といたしましては、こうした集落営農を担い手経営安定対策の対象である集落型経営体へ誘導するとともに、熟度に応じて、例えば、宮守川上流生産組合のような集落一農場の法人化を進めるなど、集落全体での営農の組織化や高度化を図ってまいりたいと考えております。このような取り組みは、さらに平場でも重要であり、多様な担い手による地域ぐるみの展開は農業の振興にとどまらず、農業・農村の持つ多面的機能の維持、増進、あるいは農村コミュニティーの形成につながると考えております。
 次に、グリーンツーリズムについてであります。
 県グリーン・ツーリズム推進協議会の活動内容と普及拡大の成果についてでありますが、県グリーン・ツーリズム推進協議会では、インストラクターなど人材の育成、地域の受け入れ体制づくり、観光と連携した情報発信あるいは県民理解の醸成を主体に活動してきているものでございます。その結果、協議会が認定する体験インストラクター数は、現在245人、30団体と設立当初に比べ10倍以上となっているほか、平成15年度のグリーンツーリズム関連施設の利用者数は293万人と、平成10年よりも約30%増加しております。
 多くの方々に本県の農山漁村を訪れていただくためには、地域のホスピタリティーの向上、つまり受け入れ側の体制、それから、都市部の潜在需要をどう掘り起こしていくかということが重要な課題と認識しております。このため、これまでのインストラクターの育成に加え、NPOなどの活力とノウハウを取り入れた取り組みの組織化や企画力の向上を図るとともに、本年6月開設したグリーン・ツーリズムサポートセンターを核として、ITをフルに活用しながら、本県の特色ある体験や農家民宿などの情報発信の機能をさらに強化してまいりたいと考えております。
 なお近年、農家に分宿して行う体験型修学旅行などに対する要望が増加していることから、少人数を対象にして体験や食事に係る実費のみを徴して行ういわゆる農林漁家へのホームステイ――民泊について現在検討を進めているところであります。さらに、農林漁家や農家民宿等に滞在しながら農林漁業の手伝いをするワーキングホリデーは、グリーンツーリズムを進める上で大変重要と考えておりまして、現在、県内で唯一実施しております遠野の事例を参考にしながら、全県に広めることができないかどうか今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、農村における汚水処理施設の整備についてであります。
 農村地域では、主に農業集落排水と合併浄化槽により汚水処理施設が整備されてきており、平成15年度末には農業集落排水による整備済み人口が8万4、000人、県人口に対して6%、合併浄化槽では12万5、000人、8.9%となっております。また、これら事業の推進に当たりましては、限られた予算を効率的に執行するため、農業集落排水と公共下水道との接続や農業集落排水と合併浄化槽との連携など、さまざまなコスト縮減対策にも取り組んでいるところであります。
 今後、県、市町村とも非常に厳しい財政状況にあるわけでありますが、今後とも、これら事業の重点的な推進に努めるとともに、農業集落排水、合併浄化槽及び公共下水道の役割分担の再点検を行うなど、一層の経済的かつ効率的な整備を図り、全県域汚水処理実施計画に掲げた平成22年度における整備目標の達成に向け取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、岩手県競馬と馬事文化の振興についてでありますが、本県は、古来より駿馬の産地として全国に名をはせ、馬に対しての愛情が南部曲り家としての生活様式を築き、また、チャグチャグ馬コを初め、流鏑馬、子供騎馬武者行列など馬にかかわる伝統行事が各地に多数受け継がれるなど、豊富な馬事文化が伝承されております。また近年、乗馬の普及やホーストレッキングによる自然との触れ合い、いやし効果を期待したホースセラピーなど、馬との触れ合いを求める新たな動きも高まってきております。こうしたかけがえのない岩手の馬事文化はまさに岩手の貴重な地域資源であり、これをきっちりと継承するとともに、馬との触れ合いを求める新たな動きに的確に対応していくことがこれからの岩手ならではの地域おこしにつながっていくものと考えております。
 今後、県といたしましては、馬事文化を支える優良馬の生産を一層推進するため、改良増殖等の取り組みに対し引き続き支援をしてまいります。また、ホーストレッキングやホースセラピーなど、馬と親しむ機会の創出に対しての新たな取り組みが見られますことから、馬と市民が触れ合う各種イベントや馬を取り入れたグリーンツーリズムなど、地域地域での馬との触れ合い機会の創出に関しまして支援をしてまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 産婦人科及び小児科医師の充足状況と確保の見通しについてでございますが、県立病院では、産婦人科は15病院で標榜しておりまして、このうち9病院が常勤医師、5病院が非常勤医師による対応、1病院、千厩病院ですが、休診中となっております。また、小児科は17病院で標榜しておりまして、このうち16病院に常勤医師、1病院は非常勤医師の対応となってございます。
 産婦人科及び小児科は専攻する医師が比較的少なく、まずもって絶対数が足りないということに加えまして、本年4月から始まりました医師の臨床研修必修化により大学医局への入局者が一時的になくなることから、常勤医師の確保はここ数年極めて厳しいものと考えてございます。このような中で、今後の医師確保に当たりましては、新たな臨床研修制度を活用し、これを医師確保につなげるため、臨床研修医を積極的に受け入れ、研修終了後引き続き県立病院におきまして専門医や認定医の資格を取得できる後期研修制度を創設しまして医師の定着につなげていきたいと思っております。
 また、医師を継続して安定的に確保するためには、やはり関係大学――医師養成大学との密接な協調が必要でございます。また、従来から実施しております奨学資金貸付制度、医師養成事業の活用、さらには全国公募、いろいろな個別情報に基づく招聘活動、これらによりまして、産婦人科及び小児科医師も含め確保に可能な限り努力してまいりたいと思っております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 社会資本整備についての御質問にお答え申し上げます。
 まず、東北横断自動車道釜石秋田線の現状認識と今後の見通しについてでありますが、東北横断自動車道釜石秋田線は、本県道路網にありまして沿岸と内陸を結ぶ極めて重要な横断軸であると認識しており、整備促進に努めているところでありまして、平成15年度から遠野-東和間が新直轄方式によって整備が進められているところであります。事業着手以降、宮守-東和間においては事業費の縮減を図るため設計の見直しを行い、工事に必要な用地の幅ぐいの設置や測量等を進めてきておりまして、今年度は、東和町内の一部の用地取得及び工事用道路の建設に着手すると聞いています。また、遠野-宮守間につきましては、構造物等を含めた調査・設計を実施していると伺っております。
 県としては、遠野-東和間の早期完成について国に強く要望していきますとともに、釜石-遠野間の整備計画区間への格上げについても働きかけてまいります。
 次に、一般国道340号立丸峠の現状認識と今後の見通しについてでありますけれども、この区間は幅員が狭く急カーブが連続しておりまして、安全で円滑な交通の確保を図るためには抜本的な改良整備が必要であると認識しております。このため、航空測量、地質調査や概略設計などを行ってきたところですが、地形が急峻であることなどから、整備を行うためには複数のトンネル等を必要とする大規模な事業になると見込んでおります。これまで視距の確保や待避所の設置など局所的な整備を行うなど交通の安全確保に努めてきたところではありますが、抜本的な改良につきましては、交通量の推移や地域開発の動向も踏まえつつ、県全体の道路整備計画の中で、予算の動向等も見きわめながら整備のあり方も含めて検討してまいりたいと考えているところであります。

〇11番(工藤勝子君) 誠意ある御答弁をありがとうございました。
 三つの点において再質問させていただきます。
 備蓄センターの設置ということでお話しいたしました。これは、私もある程度大きな構想でお話をしたつもりであります。ですから、県単独でこういう大きな備蓄センターをと言うつもりはありませんが、今後、全国を大きなブロックに分けて、例えばそういう備蓄を国に設置を働きかけるつもりがないのか、この点は知事にお伺いしたいと思います。
 また、自助とか共助ということで、県民においてもそれぞれの一般家庭においても、そういう災害に備えてのきちっとした備蓄というのは非常に今後大事になってくるだろうと思っておりますけれども、果たして岩手県民には、どの程度の割合で自分で災害の安全対策、また、そういう面についての備蓄を心得ている方がいらっしゃるのか、アンケートなどで調査したことがありますでしょうかお伺いいたします。
 また、手引書の作成というお答えがございました。いつごろ作成し、どの時点で配布になるのかということもお聞きしたいと思います。
 次に、普及センターですけれども、今のところ12%の定数の縮減と聞いております。知事が現場に密着した活動というお話をなされましたけれども、今後、さらに12%以上人員を削減していくおつもりなのか、その辺のところもお聞きしたいと思っております。
 一般質問にもありましたように、私は、机の上だけで案を練るのではなくて、もっと現場の声を聞いて、現場の人がもっと普及センターに足を運びやすい、そういう利用しやすい設置となるように望みますけれども、その点においても再度お伺いしたいと思います。
 岩手競馬についてでございますけれども、経営改善の動向は、遠野を初めといたしまして、本県の馬事文化や馬事振興にかかわる人たちが息を潜めて成り行きを見守っている状況ではないかと思っております。今まで岩手競馬から遠野・馬の里に対しても馬主さんからの預託等によってあそこの経営が成り立っているわけでございますけれども、今後、万が一岩手競馬が廃止ということになった場合、この馬事振興、馬事文化に対して県としてはきちっと支援をするのでしょうか、その辺の確認をもう一度お尋ねいたします。

〇知事(増田寛也君) 2点お尋ねがございまして、まず備蓄センターの関係ですが、この備蓄センターについては、一番住民に身近な市町村でそれぞれ備蓄をして、県としては、今、消防学校のところに備蓄がございますが、そうした市町村の備蓄を支援するような形で備蓄の施設を持つ。それをさらに超えたものについては、災害が発生したところについては他県からいろいろ応援をしていただくということで、今回も新潟のようなああいう大きなものについては、各県が備蓄しているものをそれぞれ個別にいろいろ細かく内容に応じて対応して応援する、こういう体制になっておりまして、国の方でも、ブロックでさらにまた県よりも広域で備蓄をするというよりも、その場合にあっては、後は各県からの応援で対応する、こういう考え方に立っているようでございます。そういう考え方が今現在ですので、県の方からブロックで広域の備蓄といっても恐らく国の今のそういう考え方と相入れないことになると思いますが、今回の中越の地震などによってまたいろいろ国の方でも災害対策を考えると思いますので、そうした国の方の対策の動きなどもよく見ながら、私どもとしても、備蓄のあり方、それから内容の充実については検討していきたいと思います。
 それから、普及センターの関係でございますが、職員定数については今プログラムの中で見直しを行っていますが、いずれにしても普及の仕事、内容についてのいろいろな改革は必要でございますけれども、普及員の配置につきましては、現場に密着した指導が行えるような体制で配置をするということで考えていきたいと思っております。

〇総務部長(時澤忠君) 一般家庭の備蓄でございます。アンケート実施をしておりませんので具体的に一般家庭の備蓄の実態については現在把握しておりませんけれども、我々といたしましては、やはり自助、自分でできることは自分でするということで、ある程度の個人での備蓄というのは非常に重要と考えておりまして、県では、ホームページあるいはフォーラム、研修会を通じて県民の意識向上を図っております。また、市町村でも、例えばホームページ、広報、パンフレット、防災マップなどで避難方法とともに備蓄物品等について普及啓発を図っております。
 先般の新潟県の中越地震を見ますと、これも聞いたところによりますと、やはり緊急対策の物資としましては、1日ないし2日間の食料、飲料水、毛布の確保が必要だと。その後は逐次応援としていろいろなものが集められてきているわけでございます。このような経験を踏まえますと、やはり自助といたしまして、3日間程度の食料、飲料水を確保しておくことは非常に重要なことだと再確認をしたところでありまして、一層市町村、防災関係機関と一緒になってPRに努めていきたいと考えております。
 また、自主防災組織のための手引でございますが、これはすでに作成しておりまして、配布しております。ただ本県は、自主防災組織の組織率がまだ全国に比較しましておくれているところでございますので、この点にも力を入れていかなければならないと考えております。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 馬事文化の振興についてでございますが、これからの地域振興は、やはり地域にある資源、隠れた資源をいかに活用してそれを地域振興につなげていくかということ、あるいは、そこから新しい産業をどうつくり出していくか、そういった視点が私は大変大事だろうと思っております。そういう意味で、馬事文化というのは岩手にとっての貴重な資源でございます。地域地域においてすぐれた馬事文化があるわけでございますので、それは、競馬がなくなる、なくならないとは別の問題として、そこはしっかりと心していかなければならないことだと考えておりますが、なおあえて言えば、競馬組合があった方がかえってその相乗効果が出て、より地域振興につながるだろうと考えております。


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