平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(平野ユキ子君) 民主・県民会議の平野ユキ子です。
 民主・県民会議の皆様のおかげをもちまして2度目の一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。
 それでは、通告に従って順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、昨年私が一般質問で提起させていただき、実施されました事柄につきまして2点、確認と質問をさせていただきます。
 1点目は、県立図書館の後利用についてでございます。
 昨年12月議会で私が県立図書館の後利用につきまして、公文書館の計画の見直しを求めました件です。その節は早速の素早い御決断をいただき、計画の凍結の方向を示してくださいました。改めて御英断に対し感謝申し上げます。
 また、利用方法については県都盛岡との連携を図るべきであるという提言に対しましても動きが見られるようでございます。一部新聞報道等には盛岡市へ移譲との報道もありましたが、実際はどうなのか、現在の状況をお示しください。また、今後を見据えてどのような対応をお考えかお知らせいただければと思います。
 2点目は、学力テスト実施の提言についてでございます。
 昨年、今こそゆとりの教育を見直し、岩手県は日本一を目指し、学力を向上すべきである、その検証の一手段として学力テストを実施すべきではないかと提言いたしました。これもまた早速、宮城、和歌山、福岡、岩手4県合同での統一学力テストを実施することとなり、本年10月に実施されたところでございます。報道によれば、先月11月2日、中山成彬文部科学相が小泉首相に対し、世界一の学力取得を目指すとして全国学力テストを復活させる学力向上策を提示いたしました。ゆとりの教育を転換し、子供たちに競争意識を持たせることも必要としています。これで岩手県は国に先行する政策を実施したこととなり、岩手から国へ発信したものと評価されることでしょう。これが実現し、日本が世界一になれば、ひいては岩手は世界一というわけです。今後の成り行きに期待いたします。まさに地方が国を引っ張ったことと高く評価する次第であり、学力テスト実施に踏み切った知事並びに教育委員会など関係部局の御英断と御努力に対しまして深く敬意と感謝を申し上げます。
 そこでお伺いいたしますが、まず、テストの結果が集計、公表されるのはいつごろか。そして、この結果をどのように教育の現場へ反映させていくのかお聞かせください。
 昨年提言いたしましたように、学力テストは客観的検証のために必要なのであって、テストそのものが目的ではないのです。とはいえ、学力の向上を目指す指針としてはこれを上げる必要もあるわけで、これには現場の指導も重要なものとなります。昨日、指導力不足の教員の問題も提起されたところでございます。この点をどのように対応していくのか具体的にお聞かせください。
 学力を上げるのは、それによって知恵と創造性をはぐくみ、厳しい国際・国内情勢を切り開いていくたくましい力を持った青少年を育成するのが目標であります。知恵や創造性、そして独創性は豊かな知性から生まれます。学生時代には何の意味があるのだろうと思った学問が、社会人になってあるときはたとその重要性に気がつくことはだれにでも経験があることです。資源のない日本が創意と努力によって生活を向上させてきたその力をこれからの次世代を担う青少年に身につけてほしいものです。学力向上のために学力テスト実施を全国に先駆けて取り組まれたことに再度敬意を表し、この点について知事のお考えをお聞かせください。
 次に、IT化推進についてお伺いいたします。
 初めに、IT推進の情報通信基盤整備について3点の質問と、それぞれについて提言を幾つかさせていただきます。
 まず1点目は、県で整備している情報通信ネットワークいわて情報ハイウェイについての質問です。
 いわて情報ハイウェイは、現在、県の各地方振興局、岩手医大を含めた各県立病院、岩手大学及び県立大などへはつながっておりますが、県内市町村、そして民間へはつながっていません。これをぜひ無料で開放すべきと思い、提言いたします。既に管理運営費、回線使用料等は県で負担済みですから、開放して、各市町村、そして民間が無料で使用できるようにすれば、それによって地域社会にもたらされるメリットははかり知れません。例えば、医療局では電子カルテの導入を図っておりますが、県立の病院のみの現状では本当の遠隔医療を望めません。民間レベルまで開放することで町の医院にまで医療の情報が伝わり、電子カルテの本当の利点を県民が享受できます。また、市町村へ開放すれば、各学校で本当のeラーニングが可能になります。ハードは各学校でほとんど配備されていますのに十分な活用がなされていない現状なのは通信基盤整備が進んでいないからで、地理的な不利を容易に克服できるインターネットの恩恵を児童生徒たちが享受できていないのはまことに残念です。無料のeラーニングのフル活用をすれば、教員の人件費削減という事態に対応できます。折しも義務教育費の国庫負担削減が今議会焦点になっております。地方は地方で教育を担わなければならない時代、これを自立への転機とすべきと思います。昨年の一般質問で私が訴えました、独自のレベルの高い教育を目指す、この実現が経費を抑えて可能になります。今、懸案事項の高校再編問題へも利用の方法では対応可能になるところがあるかもしれません。県の回線を使用することで、地方自治体として市町村も貴重な税金のむだ遣いをなくすことができます。また、地域内での地域プロバイダー間の接続も可能にすれば、そのメリットははかり知れません。例えば、ケーブルテレビなどは現在各社で回線使用料を払っていますが、無料開放すれば番組の相互交換も簡単にできるようになり、視聴料を下げることも可能になります。テレビの料金が下がりますと、その波及効果も出てきますし、こういったことが実現すれば、庶民にとって初めてIT化推進のよさが感じられることでしょう。企業も無料で通信できれば経費の削減につながりますし、それは価格にはね返ってきます。県民は、質は変わらず価格の安い品を手に入れることができるようになります。通信費がただというコスト削減につながるメリットから新たな企業誘致につながるでしょう。インターネットの重要性はもう改めて言うこともありません。先進県では既に民間に無料開放しています。これらの提言につきまして知事のお考えをお聞かせください。
 また、そもそもこの情報ハイウェイの構築費ですが、初期投資のほか、管理運営に毎年約3.6億円、回線使用料に約3.4億円かかっています。3月の予算委員会で私はこの点を指摘し、ランニングコストが高過ぎるのではないか、県民の血税をむだにしないよう精査していただきたいと申し上げたところ、経費節減への見直しを検討しておられるようです。関係部局の御努力を評価しつつお伺いいたします。
 見直しに当たって、ダークファイバーの借用を検討されておりますでしょうか。ダークファイバーを使えば回線速度の制限がなくなり、非常に低コストで通信できるようになりますので、ぜひ御検討いただきたく提言いたします。
 通信基盤整備の第2点目は、モバイルについての質問です。
 平成12年に掲げたモバイル立県の状況をお知らせください。岩手県は、いまだに携帯の通じない地域が他県に比べてもまだまだ広く存在しています。山間部の多い岩手は、他県に比して地理的に不利な条件下にあるからですが、人口の少ない山間部は採算がとれないため整備が進まないと思われますが、こういう部分こそ民間に任せず、行政で進めるべき部分です。採算がとれなくても、住民にとって必要であれば進めなければならないのが本来の行政のあり方と思いますが、いかがでしょうか。そのために、先ほど述べましたが、情報ハイウェイにおいてダークファイバー使用による大いなる経費節減を実行すればモバイルのインフラ整備に予算を回せます。この点につきまして関係部局の見解をお聞かせください。
 基盤整備の3点目は、ブロードバンドについてです。
 ブロードバンドについてはADSLを対象としているようですが、その進捗度は、調査結果によれば全国的にも東北の他県に比べても岩手はおくれています。しかも、御承知のとおり、現在ADSLは既におくれたインフラになってきています。今は光ファイバーの時代ですが、わかっていても厳しい財政状況のもと、経費をかけられずにいるのが実情ではないでしょうか。そこで、先ほど申し上げましたダークファイバーを借用するという方法で非常に安く済ませられますので提言いたします。関係部局のお考えをお聞かせください。
 さて次に、こうしたIT基盤整備のもたらす社会についてお伺いいたします。
 県では、現在IT化により電子申請や行政の情報提供などの利益を県民は享受できるとしています。しかし、これらは県民の生活からは遠いものに感じます。県民が電子申請を行うなど年に何回あるというのでしょう。電子申請ができるようになって泣いて喜ぶ県民がいるとは想像できません。これでは行政の中だけのIT活用であり、それでは県民の血税を使ったIT化の意味は余りないと思います。ITは、それ自体が目的ではなく、手段にすぎないものです。IT化推進の意味とは、IT化によってどんなすばらしい社会が構築され、それによって県民が何を享受できるのか、そのビジョンを示し、実現することが県民へのサービスであり、本当のIT化推進の意義です。実現できることがITのすばらしいところなのです。この点についていかがお考えか知事の見解をお聞かせください。
 さて次に、こうしたIT基盤整備によってできる社会へ向けての具体的情報処理の技術振興について幾つか提言させていただきます。
 まず、ただいま述べましたさまざまな提言について、昨今の厳しい財政事情の中、実施に当たっては、経費を抑え、しかし技術は高くということが必須条件です。そのため、岩手に実学の大学として県民のために設立された県立大を大いに利活用することを提言いたします。先ほどのダークファイバー借用は、実は管理運営を負担するというデメリットがあります。そこで、この管理運営に、実学にすぐれたノウハウがある優秀な教授陣の研究室単位で学生たちに加わってもらうのも一案です。既存の企業のバックアップを受け、管理運営の企業を立ち上げるのもよいかもしれません。また、さきに描いたさまざまな社会構想、インターネットを使っての授業等にかかわるソフト開発なども、県立大の研究室を使えば経費を抑え、質のよいものができることでしょう。例えば、現在の県のホームページのようなものはすぐにできるはずです。実学に携わらせるという県立大の建学精神を生かすことは学生たちのためにもなると思われますし、何より岩手に新しい雇用が生まれます。そして、ノウハウを地元に蓄積できますから、産業を興すことにつながってまいります。せっかく育てた人材が地元に就職先がないため他県に流れてしまうという現状を変えることができるでしょう。新しい雇用が生まれますし、不利を利点にする逆転の発想があります。また、岩手には岩手大学もありますし、こういった人的ソフトインフラには岩手は恵まれていると言えるでしょう。この提言について関係部局のお考えをお聞かせください。
 折しも、楽天やライブドアあるいはソフトバンクといったIT産業の企業がプロ野球球団の母体として名乗りを上げる時代になりました。プロ野球といえば、その時代に隆盛を誇る花形産業、例えば映画産業や鉄道、流通産業などがその母体になったものです。今、IT産業が大企業並みの力を持つ時代となりました。今、三位一体改革のため、地方の財政的困難がこれからますます生じてくると予想されます。そのような状況の中、県のIT化推進に大きな地域活性のかぎがあります。町の活性化や教育、保育、介護においてのITの活用、そして、食の安全・安心の岩手ならではの農業、林業、水産業等産物のインターネットを使っての生産地と消費地の台所直結の新しい販路形態のソフト開発、さらに、全く新しい産業を興し、活性化できるソフトの開発など、ITの活用は限りなくあります。
 そこで提言ですが、地元にノウハウを蓄積していくことで新しい産業を興し、産業を生み出す岩手をつくるため、特区を申請してはいかがでしょうか。岩手で、例えば社会システム産業特区などIT活用の特区申請をして産業の活性化を図ったらいかがかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。県のIT状況を見るに、これだけのインフラがあるのに十分な利活用ができていないのではともったいなく思っております。県の全部局で横断的に対応していただきたい事柄として以上提言いたします。
 さて次に、幼保一元化の問題についてお聞きいたします。
 もともと保育園は、戦後まだ専業主婦が一般的なとき、よほどの特殊事情で働かざるを得ないお母さんのために設置されたものでありました。そのころ、小学校就学前は近所で遊んで過ごす子供たちが多く、まさに地域で子供たちは育てられたのであり、経済的に余裕のある家庭では就学前教育機関である幼稚園に子供を通わせたものでした。ですから、保育園と幼稚園は厳然と区別されるものであり、所管は厚生省と文部省と分かれて何ら問題はありませんでした。今、状況は大きく変わり、お母さんが働くのは当たり前になっています。ましてや扶養者控除も削減される昨今、主婦は働かなければならない状況となりました。このような状況下、保育時間の延長が必須になり、働くお母さんたちの要望にこたえる形で幼稚園の延長保育、保育園での就学前教育が実施され、その結果、現在、両者は限りなく同一のものになっております。現場がニーズに応じて対応しているのに、省庁の管轄だけが時代の変化、現状に対応せず、戦後59年、縦割りのまま変わっていないことが問題なのです。また、こうした制度の違いから、学校法人の幼稚園については親の負担が大きくなっており、殊に私立幼稚園は入園児が減り、大変厳しい経営状況の中、やむなく閉園に至るところも出ております。
 こうした中、国もやっと重い腰を上げて就学前教育と保育を一体としてとらえた総合施設の設置という構想を打ち出しました。総合施設がどのような構想なのか、つい先日まではっきりとしたものが出ておりませんでしたが、そろそろ青写真が示されてもよいころと思います。出ていましたらお示しください。
 また、18年度具体化の総合施設のモデル事業として全国で30の幼保一元化の総合施設の取り組みが始まるとのことですが、恐らく既存の施設を活用してのモデル事業と思われます。県として、このモデル事業にどう取り組まれるのかお聞かせください。
 また関連して、幼小一環教育という提言もなされておりますが、県ではどう取り組んでいるのかお聞かせください。
 また、総合施設設置に向けては、行政の枠を取り払った横断的対応が望まれます。そこで県では、これに対応する横断的部局を設置したらいかがかと思いますが、御所見をお聞かせください。御存じのように、私立の幼稚園は総務部、公立は教育委員会、保育園は保健福祉部と所管が分かれており、非常にわずらわしい現状です。横断的に一つの部局を設置していただければ対応も滑らかになるかと思い、提言させていただきます。この点について知事のお考えをお聞きいたします。
 次に、新しく発生してきた若者の問題、ニートについてお伺いいたします。
 若者の雇用問題といえば、すぐにフリーターや失業者の増加が深刻視されます。しかしこの両者は、少なくとも働く意思や行動力があります。ニートは、その意思を喪失してしまった若者たちをいうのです。ニートとはNotinEducationEmploymentorTrainingの頭文字をとった言葉で、教育、雇用、職業訓練、いずれもしない若者のことを称する言葉です。1999年にイギリスの内閣府が作成したBridgingtheGapという調査報告書によってその存在が広く知られるようになったのですが、イギリスだけでなく、日本でも働きも学びもしないニートの存在が社会問題として顕在化してきています。厚生労働省でもこの問題を重要視し、対策への動きが出ております。私は、青少年問題協議会に議会派遣で委員として参加しておりますが、9月14日に開かれました会議の席上で、岩手でも早目に取り組むべきと思うので、岩手におけるニートの状況を把握していただきたいと県に要望いたしました。その後、調査の結果はいかがでしょうか。どのくらいのニートが岩手にいるか、あるいは状況としてはどのようか、概数並びに概要でも結構ですのでお知らせください。
 ニートは、その後マスコミなどでもたびたび報道されるようになり、近ごろ耳にする機会も多くなってきましたが、これは、この問題がいよいよ無視できないものとなってきているという状況と思われます。ニートの権威、玄田有史東大助教授の統計によれば、15歳から34歳までのこうした若者が1997年には8万人程度でした。それが2000年には17万人、2003年には40万人となり、一番最近の今年度発表の数字では52万人となっています。7年で何と7倍半に急増しています。若年雇用問題では既に少数派とは言えなくなってきています。ニートは、早期に対策をとることが望ましいのですが、大切なのは、ニートは単なる雇用だけの問題ではないので、対策には各部局の横の連携を図ることが肝要ということです。9月の青少年問題協議会の席上でその点も指摘し、部局間の横の連携を図った措置をお願いいたしましたところですが、過日、各部局間の連携を持った会議を早速開いてくださったとのことで、評価したく存じます。その状況と対応方向をお知らせください。
 ニートは早目に対策を講じれば予防できるとのことです。その原因は教育だとの指摘もあります。教育社会学者の苅谷剛彦氏によれば、個性化、自由化を進めてきた教育の予期せざる結果であり、ゆとりや個性の尊重の教育制度を速やかに修正することが予防につながるとしています。その点では、ゆとりの教育の見直しは歓迎すべきことと言えるでしょう。また、家庭環境が原因とする説もあります。地域社会を含めた家庭環境が変化していることが原因との指摘です。先ほど幼保一元化の項目の部分で触れましたように、今や子供たちは地域で育つ時代ではなくなってきており、それも一因なのかもしれません。厚生労働省では、ニートを深刻な社会問題として取り上げ、予防策に乗り出したところです。県でも早目の対策をおとりいただきたくお願いいたします。この問題につきまして知事の見解をお聞きいたします。
 最後に、治安についての質問をさせていただきます。
 既に一部報道等で御存じの方もおられるかとは思いますが、過日、街頭におきまして私ども民主党の政策広報中、通りかかった男性にやにわにマイクを奪い取られ、妨害行為を受けたあげくマイクを破壊されるという事件がありました。その事件の当事者であったのは私でございまして、そのとき、私自身が110番通報して、それにより駆けつけた警官が格闘の末その男を取り押さえたというのが事件のてんまつです。よく待つ身は長いと申しますが、そのとき、警官が来るまで本当に長く感じました。しかし、後ほど担当の方にお尋ねしたところ、実際は110番受理から4分で到着されたということで、担当の方のお話では驚異的な速さということでした。たった4分とはいえ、いろいろな出来事があり、被害を受けている方はとても長いように感じるものです。聞くところによりますと、事件が起きてからの初動の時間がその後の捜査上大変重要だともいいます。4分で驚異的な速さであるなら、現場へ駆けつけるまでの平均的所要時間というのはどれくらいなのでしょうか。事件の発生時間帯や場所などさまざまな要因で異なることは承知の上であえてお聞きいたします。また、初動時間を短くすることは、犯罪の被害を抑え、解決を容易にするポイントとも聞いたことがありますが、いかがでしょうか、お知らせいただければと思います。
 さて、今回の事件を通じて警察官の方々といろいろなお話もさせていただき、業務の負担の大きさを改めて認識いたしました。事件、事故、警戒活動など本来の業務のほか、日常の相談や苦情処理など余り表に出ない業務の対応にも追われるとのことです。夜間の呼び出しは頻繁で、休日も休めず、大きな事件が起きれば何日間も不眠不休で当たらなければならないなど、かなり過酷と言えるようです。一般職に比べて勤務状況は過酷であろうと推察はしておりましたが、警察業務の間口の広さと大変さを改めて認識した次第です。警察官の絶対数が足りないとも聞きましたが、岩手の実情はどうでしょうか。
 近ごろの治安状況は、安全神話が崩れるなど決してよい状況にはありません。今や警察だけの力では現下の厳しい治安情勢を乗り切るのは不可能かと思われる状況です。こうした中、民間ボランティアや町内会などから自主的な防犯活動を行う機運が近ごろ高まり、民間交番の設置や自主パトロールなど、民間の自警の動きがあると聞きます。日本ほど安全とは言えない外国では既にこのような民間の自警組織が発達しているので、私は、準警察活動として海外で行われているパトカーのように、目立つ回転ランプなどを装備した準パトカーのような装置の車を民間で使えないだろうかと考えておりました。そのやさき、ことしの6月の報道によれば、犯罪に強い地域社会再生プランというプランが警視庁において策定され、その中で民間の自主パトロールに使用する車に青色回転灯の使用を認めようとの検討がなされたとのことです。国土交通省との協議を経て運用実現の運びとの報道でした。それがどうやら今月12月から運用されると聞きましたが、その運用など詳しい内容についてお聞かせください。
 また、犯罪に強い地域社会再生プランに基づいて、岩手県警察が実施している施策についてもお聞かせください。これは、地域の力を再生するチャンスとも思われます。保育や教育も、また、さきに述べたニートの問題なども地域ぐるみで考え、取り組む時代であります。犯罪に対して地域で防いでいこうという動きは、地域の青少年を健全に育成する動きにもつながることでしょう。そういう広い視野を持っておいでなのか、その点もお聞かせください。
 さて、今や社会は行政の縦割りでは覆い切れない広範にわたる事柄が多くなってきております。世の中の変化が激しく、現状が行政の掌握機関に先行してしまっているのでしょう。こうした情勢の中、取り組みも柔軟な発想と姿勢で臨まなければなりません。先例や前例にとらわれずに、あくまでも実情に合った県民本位で対応していただきたいものと思います。本日取り上げました教育、IT、幼保一元化、ニート、治安、すべて行政の縦割りからはみ出してきております。
 先例や前例にとらわれず、実情に合った、あくまでも県民本位で対応していただきたく再度お願い申し上げます。特にこれからの将来を担う若者が生き生きと、生きがいと希望を持って、学び、暮らしていける真の夢県土の実現をお願いいたしまして私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 平野ユキ子議員の御質問にお答え申し上げます。
 4県合同での統一学力テストは、地方分権研究会の教育分野におけるプロジェクトの一つとして、今年度初めて実施をしたものでございます。この地方分権研究会ですけれども、これは全国一律一斉という画一的な発想とは明確に一線を画しまして、地方の自立を地方みずから考え、そして国に提言をしていく、あるいはできることはみずから実践していくことを目指すことを理念として活動しております。
 4県合同でのこの統一学力テストもその一環でございまして、本県の児童生徒の学力の実態を客観的に把握して、他の県と比較することによって、本県の学力向上に向けた課題を明確にいたしまして、今後の施策立案に生かすということとともに、各学校がこの調査結果を上手に活用して、今後の指導方法の改善や指導力の向上に向けた独自の取り組みを進めて、児童生徒の学力向上を図ることをねらいとして行ったものでございます。今後は、この学力についてのデータを蓄積いたしまして、そして全国スタンダードを目指すためにも、できるだけ多くの自治体の参加をお願いし、そしてそうした自治体間で互いに切磋琢磨していくことが望ましいと考えております。
 次に、IT化推進について何点かお尋ねがございますが、まず、いわて情報ハイウェイの開放についてのお尋ねでございます。
 いわて情報ハイウェイは、さまざまな国庫補助事業を利用して整備いたしましたので、補助事業の性格から言いますと、民間事業者への開放は困難となっております。それから、構築当時とは異なりまして、IT技術が大分進みましたので、現在ではさまざまな民間の常時接続可能な回線サービスができ上がっておりまして、いわて情報ハイウェイに接続する民間のメリットが今少ない状況ではございます。
 こうした状況がございますので、これの状況を踏まえて、今御提言のございましたこのハイウェイの民間開放についてでございますけれども、日々進化するIT技術、これはもう日進月歩でございまして、大変進化を遂げているわけでございますから、そうしたIT技術に対応しながら、経費の節減も含めて、より効率的ないわて情報ハイウェイのあり方を検討する中で今の御提言を考えていくという考え方でおります。
 次に、ITに関するビジョンについてのお尋ねでございます。
 この情報化という、これをいわば道具として有効に活用することによって物事を、世界を視野に入れて考え、そして地域の個性、文化を大切に生かしていく地域の独自性が各地で発揮されて、それをまた相互に結びつけて大きく育てていくことを基本理念として、平成10年にイーハトーブ情報の森構想というものを県で作成しております。これが一番基本のITに関するビジョンとなります。昨年の10月には、さらに誇れるいわて40の政策というのをまとめましたが、その中で、だれでもいつでも情報を受発信できる情報先進県というものを掲げて、またさらにその重点化を図って、その実現に向けて今鋭意取り組んでいるわけでございます。
 とりわけ、県民生活とのかかわりについて申し上げますと、各種医療情報を提供するいわて医療情報ネットワークや電子カルテシステムの導入、それから農産物でのトレーサビリティーシステムの構築、それからモバイルシステムを活用した生活関連情報や防災情報のメール配信などについて既に積極的に取り組んでおりまして、今後とも、県土が広大な本県でございますので、距離の壁や時間の壁を克服するためにも、こうしたITを積極的に使いながら、医療、福祉、教育、農林水産など幅広い分野における県民サービスの向上に取り組んでいく考えでございます。
 それから、このITを活用した地域産業の活性化ということですが、いわゆるユビキタス社会の到来、だれもがどこでも情報通信を自由にできる時代、このユビキタス社会の到来は、我が国社会のあらゆる分野でのIT化をさらに進展させるものでございまして、このことは、とりもなおさずITを活用した新たな産業の創出、ビジネスチャンスの拡大につながるものと考えています。
 県では、先ほど申し上げましたようなIT技術を活用したさまざまな取り組みを行っているわけでございますが、さらに、そのIT技術を活用した研究開発の支援、それからインターネット活用型のビジネスモデルへの支援、それからインキュベート施設の設置、ファンド組成によるソフトウエア関連ベンチャー企業への成長発展支援、こんな取り組みを積極的に行ってきております。今後も情報通信インフラの一層の整備促進というのが必要でございます。そうしたことを行いながら、産学官連携による情報セキュリティーシステムや新たな通信技術の開発、そしてIT産業人材の育成などを一層推進して、このITを活用した新たな産業の創出や本県産業の活性化を図っていく考えでございます。
 IT特区の御提案もございました。このIT特区、今4道県で認定をされていると聞いているわけでございます。今後、本県の産業の活性化を図る上で、それを阻害するような具体的な規制がある場合には、こうした特区設定による効果というものを見きわめながら、特区申請も選択肢の一つとして検討していきたいと考えております。
 次に、幼保一元化の関係で横断的部局の設置を検討したらどうかということです。この幼稚園と保育園については、これまでも関係部局間で連携を密にしてきたととらえておりますが、今、政府の方で考えております総合施設につきましては、平成17年度は、まだ国全体としてはモデル事業の段階である。それから、平成18年度からの本格実施ということでございますが、すべての幼稚園と保育園が統合されるわけではなくて、いわば第3の施設、総合施設として真に必要な地域で設置されるということ、一気に全体の数が増大するというわけでは必ずしもございませんので、県の対応としては、関係部局間の連携をさらに一層密にするということで当面は対応していきたい。将来的に施設が多くなった時点で組織一元化の必要性も出てくると思います。
 今そういった形にしている関係県でも、その辺につきましては、教育委員会に置くのか、知事部局に置くのか、業務の内容の重点の置き方によってはさまざまなパターンがあるようでございまして、一元的な組織というのもほとんど数少ないわけでございます。そうしたところでの運用状況などもよく勘案し加味しながら、将来的にその時点で組織一元化の必要性も考えていきたいと思っております。
 それから、ニートについてのお尋ねでございますが、本年の労働経済白書で若年無業者として初めて集計が行われまして、2003年の全体数が52万人ということが公表されたわけです。本県でも状況把握を試みたわけでございますが、今回の国の算出方法が公表されていないものですから、県独自で算出するには余りにもサンプル数が少ないということで、まだ本県でのニートの実数については把握ができておりません。今後、岩手労働局とも協議しながら、実態把握に努めていく考えでございます。
 このニートと呼ばれる若者たちですけれども、社会的なコミュニケーションが苦手で、働くことに向けて動き出すためのきっかけや、動き出した先の自分に対する自信を失って、働くことに希望を失っている若者である。このように一般的に定義されているわけでございますけれども、したがって、そういう意味では、働く意欲があって、実際にパートやアルバイトを繰り返しているフリーターとは区別をされております。
 このニートの問題ですけれども、働く意欲という人間の内面にかかわる問題であると同時に、多面的な背景が互いに影響し合っていると考えておりまして、その対応策ということになりますと、個々人に応じたきめ細やかな対応が必要なことはもちろんですが、雇用問題の枠を越えて教育ですとか、産業ですとか、それから民間ボランティアなどが社会問題として幅広く取り組んでいくことが不可欠であると認識をしております。したがって、このニート対策についてでございますが、次の世代を担う青少年の健全育成の推進という視点から、現在策定作業を進めております岩手県青少年プラン、これは仮称でございますが、このプランがございますので、この中で青少年の社会的自立のための課題と位置づけまして、対応策を盛り込んでいきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) IT推進について、ダークファイバーによるいわて情報ハイウェイの構築についてでございます。
 まず、いわて情報ハイウェイについてでありますが、平成13年度の本格運用以来、これまで運用・保守費のできるだけの節減に努めており、例えば平成14年9月からは、NTT東日本との契約内容見直し等によりまして、従来の回線利用料金から年間で4、400万円ほどの削減を実施してきております。しかしながら、情報ネットワーク技術の進歩を踏まえ、従来のサービスを維持しつつ、経費の抜本的な縮減を検討する必要があると考えております。これは議員のおっしゃるとおりでございます。
 御質問の、敷設されていながら稼働していない光ファイバー――これがいわゆるダークファイバーというものでございますが――によるいわて情報ハイウェイの構築につきましては、現在、NTT東日本や国土交通省で有している県内のダークファイバーは情報がすべて公開されているものではありませんが、県内全域をカバーしておりません。45号とかあるいは4号、まだ切れ切れになっております。そういうような状況でございます。そういうことでカバーしていないこと。それから、また、借り上げ経費が現行ハイウェイを上回る見込みであること、それから接続するための経費がかさむことなどの理由から、いわて情報ハイウェイの再構築には現状では利用できないと判断しております。
 次に、モバイル立県条件不利地域への整備についてでございます。
 情報通信基盤の整備を進めるに当たっては、まず、民間通信事業者による整備を促すため要望活動を行うとともに、採算性などを理由として民間通信事業者が参入しない条件不利地域については、行政や地域が連携して整備を促進する施策を講じてきたところでございます。具体的には、全市町村の中心部においてADSLなどのブロードバンドを整備するため、地域で加入者を確保し採算がとれるような活動に加え、初期投資に対する補助制度、これは高速インターネット環境整備事業などを創設し、携帯電話の不感地域の解消についても、情報・通信格差是正事業あるいは携帯電話エリア拡大事業などを創設したところでございます。今後についても、インフラ整備をさらに促進するとともに、県や市町村などから防災情報や生活情報などをメールで配信するアプリケーションの開発充実、また、県立大学と共同実施しております人材の育成を3本柱として推進してまいりたいと考えております。
 次に、ブロードバンドの状況についてでございます。
 県では、平成14年度に、高速インターネット環境整備の手法について全市町村の調査を実施し、投資を抑え短期間で普及を図るためには、地域に既にあるCATVや電話網を活用したADSL、公共ネットワーク等のインフラを活用することが有効であるとの結果が出ております。なお、総務省では、地方公共団体が整備・保有する光ファイバー網の電気通信事業者への開放に関する標準手続を策定しておりまして、県においても、既存ファイバー活用について市町村へ周知しているところでございます。県としましては、ブロードバンド環境を整備する観点から、市町村と連携しながら、ダークファイバーを含め既存の光ファイバーの有効活用について検討してまいりたいと思っております。いずれ、今後のダークファイバーにつきましては、中継線の延長なども考慮に入れながら考えていきたいと考えております。
 それから、情報ハイウェイの経費節減でモバイルの基盤整備ができるのではないかというお話でございますが、これは県の厳しい財政状況の中で情報ハイウェイの運営費等の経費削減に努めていくとともに、限られた予算の中で効率的に基盤整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、県立大学の利活用でございます。県では、これまでも地域情報化を担う人材育成におきまして、インターネットを活用したIT研修や情報ハイウェイを活用した公開講座の配信などで、県立大学のノウハウを活用し事業を進めてきたところでございます。今後とも、県立大学との協力と連携を進め、本県のIT化を推進してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 幼保一元化に関する国の総合施設構想の内容とモデル事業への取り組みについてであります。
 中央教育審議会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会による合同の検討会議が本年8月に総合施設についての中間まとめを発表しております。その中で、この総合施設は、親の就労の有無、形態等で区別することなく、就学前の子供に適切な幼児教育、保育の機会を提供し、その時期にふさわしい成長を促す機能を備えることが基本とされております。この中間まとめでは、本年11月ごろを目途に最終的なとりまとめを行う予定とされておりましたが、現在、まだ最終的な内容については示されていない状況にございます。また、国におきましては、平成18年度からの本格実施に向けまして、来年度でございますが、職員配置、施設設備のあり方、教育・保育内容等につきまして、調査研究を行うモデル事業を実施するための経費を概算要求しております。
 県といたしましては、本県のそれぞれの地域の実情に応じて、総合施設の円滑かつ適切な導入が図られますよう、今後国から示されます総合施設の具体的な構想を受けまして、また、私立幼稚園の意向も十分踏まえながら、モデル事業の受託について国に要望してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 本県におけるニートの実態でございますけれども、県といたしましては、実はまだその実態をよく把握するに至っておりません。このようなことから、先月、ニートに関する情報交換を行うとともに、共通認識のもとに問題の共有化を図るために、県庁内の関係部局による会議を開催いたしました。この会議におきましては、ニートの問題が、雇用のみならず、教育、それから保健福祉など各分野にかかわることを確認いたしまして、それぞれの分野におけるニートへの対応を引き続き検討していくこととしたものでございます。このようなことでニートの問題、まだ手探りの状態ではございますけれども、今後とも関係部局の連携、協議をより密接にいたしまして、対策の検討を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立図書館の後利用についてでございますが、現県立図書館の盛岡駅西口移転後の施設利用につきましては、当初、県の公文書館を整備することで計画されておりましたが、行財政構造改革プログラム期間中の事業凍結が決定されたところであります。一方、平成15年、昨年の11月でございますが、盛岡市の教育委員会から県の教育委員会に対しまして、盛岡市が計画を予定している――仮称でございますが――盛岡市歴史博物館の建設候補地の一つとすることについて了承してほしい旨の申し入れがあったところであります。その後、盛岡市では建物の現状調査、施設周辺調査など総合的な調査を実施し、今後の活用のための問題点や課題の整理検討を今現在進めていると聞いております。
 現在の県立図書館は、盛岡市の中心に位置しまして、周囲を川と緑に囲まれている恵まれた地にあることから、その施設利用については、広く市民、県民の期待にこたえられるものにすることが重要であると考えております。公文書館の整備が凍結されている期間中にも、盛岡市から候補地としての検討結果について、その方向性が明らかにされるのではないかと考えておりますが、県教育委員会といたしましては、この件に係る盛岡市の意向というものが示された段階で、これまでの経緯を踏まえて、関係部局や盛岡市と十分協議しながら適切な施設利用について検討してまいりたいと考えております。
 次に、4県合同での統一学力テストの公表と活用についてでありますが、4県合同での統一学力テストは、小学校5年生、中学校2年生を対象に本県と和歌山県は10月上旬に、また、宮城県と福岡県は11月、このほどでございますが、11月の末に実施ということで、実施時期が幾らかずれているということで、その公表の時期でございますが、参加県の調査結果がそろって、そして地方分権研究会において総合的に内容を分析した結果が一斉に公表されるというのは来年の3月になる予定で今進めております。本県におきましては、テスト結果をできるだけ早く各学校での事後指導に生かすという観点から、本県分の教科別正答率あるいは問題別正答率を12月下旬には、速報値の形になりますけれども公表したいと考えております。
 本県においては、これまでも本県独自の学習定着度状況調査において、教科ごとに定着度が十分でない領域などを明らかにして、正答率の低い分野については、学校に対し児童生徒一人一人に応じた指導の徹底を図ってきたところであります。一方、4県合同での統一学力テストは、これは共通の問題で実施しております。各県との比較をすることにより、各教科、領域ごとに本県のすぐれている点あるいは課題が明らかになるだろうと考えておりまして、学習定着度状況調査と同様に、テスト直後からの事後指導はもとより、参加県の調査結果の公表後は、各学校において指導体制や授業の改善を図りながら、創意工夫を凝らした取り組みを推進するよう指導してまいりたい。学力向上に向けて一層の努力をこれからも続けてまいりたいと考えております。
 次に、幼小一貫教育についてでありますが、本県におきましては、昨年度から県内4地域におきまして、幼稚園、保育所、小学校の連携によるジョイントスクール推進事業を行っております。就学前教育と小学校教育との滑らかな接続のあり方について研究を進めているところであります。この事業は、今年度――16年度も現在も研究を続けているところでございます。幼児と児童の交流活動や、それから教員と保育士の合同研修などを通して、子供たちの心の発達が促されること、教育内容や保育内容について相互理解が図られ、発達に即した適切な指導ができることなどの成果が上がってきているところであります。いずれ、この事業が終わる今年度末までにこれまでの成果というものをまとめて、これを次に県内に広く広めるよう、そして本県幼児教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) まず、現場到着までの所要時間についてお答えいたします。
 110番通報を受けてから警察官が現場に到着するまでの所要時間については、発生時間帯や場所などさまざまな要因によって異なりますが、本年10月末までの平均は7分57秒となっております。岩手県は面積が広いことから山間部等ではどうしても到着までに時間を要するという問題や、携帯電話による110番通報の増加に伴い、携帯電話の場合は通報場所の位置特定が困難という問題などがありますが、早期に到着できるほど初動捜査などの対応の上で有効であることから、今後とも110番通報を受理した際には、迅速な出動に心がけ、県民の皆様の期待にこたえてまいりたいと考えております。
 次に、警察官の絶対数についてでございますが、本年度に20人の増員が認められ、警察官1人当たりの人口負担は若干緩和されたものの、警察庁から示された全国の負担状況では、本県は685人と全国3番目で、依然として高い状況にあります。このため、11月10日、警察庁長官に対し知事から増員要望を行っていただいておりますが、今後とも本県警察官が増員されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、自主防犯パトロール車両への青色回転灯の使用についてでございますが、犯罪に強い地域社会再生プランに盛り込まれているとおり、車両の保安基準の運用が見直され、警察庁と国土交通省において継続的な自主パトロールの実施など一定の要件のもと、市町村防犯協会等の防犯団体などが自主防犯パトロールに用いる自動車に青色回転灯の装着を認めるとの申し合わせがなされ、12月1日から運用が開始されております。
 最後に、再生プランに基づく施策などについてでございます。同プランは、警察庁において自主防犯活動を活性化するための施策の全体像を示したものであります。本県においては、従来から市町村防犯隊などの防犯ボランティアによるパトロール活動が行われており、また、子供の一時的避難場所としての子ども110番の家や、地域住民の安全のための基盤となっている防犯連絡所が多数設置されるなど、自主防犯活動は着実に取り組まれているところであり、今後ともその充実を期していきたいと考えております。もとより、犯罪の防止は警察の力のみでは達成できるものではなく、地域の力を結集し犯罪に強い地域社会の実現に努力してまいりたいと考えており、また、このような努力は青少年の健全育成を含め地域社会の再生にも寄与するものと考えております。

〇7番(平野ユキ子君) 何点か再質問させていただきます。
 県立図書館の後利用につきましては盛岡でも調査中ということで、盛岡市教育長も調査させていただいておりますということでございます。いずれ、承知と思いますが、町の中心部に位置しており、県都としての歴史、文化にあふれる場所ですので、ふさわしい活用を考えていただきたいと思います。
 また、郊外型大型ショッピングセンターがまた一つオープンすることになっております状況ですので、中心部の活性化につながるような対応といいますか、応援措置をいただければと思います。今後を見守りたく存じます。これは要望にとどめて、御答弁は必要ありません。
 次に、IT化推進について再質問させていただきます。
 私は、このIT推進の問題は、県の財政の根幹にかかわる問題だととらえております。三位一体改革の名のもとに、税源移譲も十分ではなく、地方にとって財政圧迫の改悪が進められようとしております。財源のない中、地方の自立など本当に困難な状況の中、岩手の財政を再生・強化できる部分でもあります。現状として、このままみすみす将来にわたって何十億、何百億もの財政、つまり県民の血税を使わざるを得なくなるような状況でもありますので、それを見過ごすわけにはいかないと思い、ダークファイバーの使用ということをお話ししたわけです。一昨日来、一般質問の中でるる訴えのございました問題、農業ですとか水産業、教育、保育、そしてまた競馬の問題と、財政にかかわりさまざまな問題が出る中、今、ITの構築を再考していくことが税金のむだ遣いと将来にわたる岩手の経済の活性につながると思っております。競馬の問題につきましても、場外馬券やテレトラック、その他につきましてはもうITを使っておるわけですから、県の情報ネットワークを無料開放するということで、一つの企業だけではなく、いろいろな企業が非常に有益なことになります。先ほどの地域振興部長答弁によりますと、無料開放というのは今のところ民間の要望が少ないとおっしゃっておりましたが、無料であれば要望が少ないということはないと思います。調べによりますと、例えば、民間は病院ですとか学校ですとか、そういった組織、それからまとまった企業――個人は別です――は、ADSL回線では足りないのでまとまって回線を買わなければいけないんですけれども、それでは経費が高いから独自に借り上げている状況なんです。ですから、もし情報ネットワークが無料開放されれば利用しようという企業はたくさんあると思います。実際、岡山とか福岡といった先進県は無料で開放しております。今の岩手の情報ネットワークの状況は、例え話でなんでございますが、高速道路を構築したと例えると、今、自転車しか走っていないような状況です。これは非常にもったいないと思います。企業とか民間に開放すれば、トラックも通る、バスも通る、そしてマイカーも通るような、そういう活気を呈してくれば全く違ってくると思いますし、地域にとっても非常にメリットがあると思います。競馬の搬送トラックも通るというような状況になりますので、ぜひそれは御検討いただければと思います。この点、地域振興部長はどうお考えになりますでしょうか。

〇地域振興部長(山口和彦君) うちのITの推進につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、経費の節減については十分に気をつけておりますし、そういう形で効率的な基盤整備を目指して考えております。
 先ほどダークファイバーの御提言がございました。非常にすばらしいものだと思います。ただ、先ほどもお話し申し上げましたように、ダークファイバーにつきましては未開通部分がかなり多くて、その未開通部分と開通部分をつなぐための別途の回線とか、あるいは接続装置を用意したり、そういうことで非常にいろいろとかかります。それからアクセスポイントまでの回線と接続装置がいろいろと必要となったりしまして、その辺、やはり今の状況では、ダークファイバーを全部使った場合は先ほど議員おっしゃったように10分の1とか、あるいは2分の1のものになると思いますけれども、まだ県内は全体が結ばれていない状況でございます。そういう意味で、これにつきましては、先ほど知事からも答弁がありましたように、今後の情報ハイウェイのあり方については検討してまいりたいと考えております。

〇7番(平野ユキ子君) ダークファイバーを検討していただきたいと申し上げておりますのは、これもまた例え話の方がわかりやすいので例え話をお話ししますが、ダークファイバーですと自前で自宅を建てるようなものです。そして、今使っているATMとかイーサ――イーサには変えてませんが、恐らくイーサに切りかえかなと思ったものですから――の回線というのはサービスを受けているだけですから、これはアパートを借りるようなものです。自前で自宅を建てるのとアパートを借りるのとでは、面倒くさいのは自宅を建てる方です。でも、借りてしまって、あるいはでき上がってしまったとき、自宅の場合は幾らでも、つまり容量が足りないから増築しようと思ったらどんどん増築できるのが自宅です。でも、アパートの場合は、増築したり仕様を変えることはできません。ダークファイバーならできるんです。アパートでしたら、広げたり仕様を変えようと思ったらよそへ移るしかありません。そうするとまた敷金だの礼金だの引っ越し料だのかかるわけです。情報通信のネットワーク技術ですとかコンピューター技術の進展は今後も続きますし、もとに戻るということはない。どんどん進んでいきます。ですから、最新の技術が即座に導入できるような柔軟な通信インフラを構築することがIT化推進の基本であると思いますし、光ファイバーさえ用意しておけば、今、県のATMはメガビットですけれども、ギガにしなければなりません。先進県ではもうギガにしています。でも、ギガももう古いんです。テラビットの時代になってきます。どんどんそういう技術が構築されているとき、そのときにさらにまた費用が何億、何十億、何百億とかかることが予想されるとき、わかります、構築するときは大変なんです。面倒なんです。自前で自宅を建てるというのは、設計図やら配管やら考えなければいけませんし、でも、一回構築してしまえば、後はかからないんです。ですから、そういう柔軟性のある通信インフラにしていった方が私は県税をむだにしないで済むと思います。ダークファイバーを使ってくださいといった提言の理由は、今言ったように、初期の構築時は確かに面倒ですけれども、面倒だから県立大の研究室に相談したらいかがですかということをさっき提案したわけなんです。容量が幾ら上がっても、今申し上げたように、後は契約し直しということはありませんので、県で自由に使えることになります。
 そして、岩手県の大事な産業は1次産業だと思います。1次産業の振興にITというのはこれからどんどん有効に使えます。昨日も、水産物を生産地から消費地にインターネットを使って直結した販路開拓があって、何千万という販売料を上げているというお話もありました。そういうことは、考えられないくらいこれからたくさん出てきます。そういうアクセスがありますと、たくさんの人が来ますと、今度は容量を上げなければならなくなるんです。ですから今申し上げたように、いっぱいアクセスがあったときに十分に対応できるように容量を上げていくとき自由にやれるようにダークファイバーを今構築しておいた方がいいのではないかと言っています。確かに部長がおっしゃるように、分断されているところもあります。でも、国交省のダークファイバーとNTTのダークファイバーと両方を使えばそれほどでもないです。私はNTTの技術者の方にも聞きました。やればできる。やる気の問題だというお話でした。競馬の問題で50億円融資するよりは、これから将来何十年にわたって有益なのですから、ぜひこちらの方にやっていただきたいと思います。私自身も農家の方たちからのさまざまな要望がありまして、本当にインターネットはいろいろなところに使えます。ですから、ぜひそこのところを御検討いただきたくお願いいたします。
 以上の点につきまして、国庫補助事業でやっているためにさまざま無理であるという規制の問題がありました。ですから特区を申請してくださいと言っているわけです、私は。ITを活用した1次産業の活性化のために県で情報提供をするということは、いろいろな通信事業上の免許とか制約があります。それを外した特区をつくって、開放することを認めてもらう。県の方で通信回線を開放する、あるいは情報提供することを認めてもらうという特区申請をして、岩手県全体の1次産業の活性化を図るようにしていただきたいと思います。
 3点、無料開放することとダークファイバー使用、そして特区申請につきまして知事の見解をもう一度お伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) 全体の経費の節減といったことも含めて、技術の進歩が大変速い分野でございますので、もう一度いわて情報ハイウェイのあり方をよく検討する中で今のことは検討していきたいと思います。

〇議長(藤原良信君) 次に、工藤勝子さん。
   〔11番工藤勝子君登壇〕(拍手)


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