平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(照井昭二君) 自由民主クラブの照井昭二です。通告に従い質問させていただきます。
 最初に、岩手の安全性についてお伺いいたします。
 10月23日、新潟県中越地方で発生した直下型地震は、最大震度7を記録し、大きな被害をもたらしました。数多くの犠牲者、被害者が続出し、今なお、多くの皆様が避難生活を余儀なくされております。心よりお悔やみとお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を願うものであります。
 今回のような事態は、地震国の我が国ではどこでも発生する可能性があります。そうした前提で、行政、県民ともに防災力、減災力を向上させていく必要があります。
 そこで、本県の自然災害全般に対する安全性についてですが、地理、地形、気象や防災施設、建築物などのほか、消防力、県民の防災意識など、要因は複合的でありますが、おおよその評価はどのようになるのでしょうか、お伺いいたします。
 また、地域の安全にかかわる問題でありますが、県が管理する道路、橋梁が被害を受けた場合、迂回路の確保ができない行きどまりの路線があると思いますが、どれほどと見ているでしょうか、お伺いいたします。
 次に、三位一体改革についてであります。
 9月議会に引き続き、今議会でも議論が集中しておりますが、私たち県民が知りたいのは、この改革が行われると岩手がどうなるのか、よくなるのか、悪くなるのか、どのような影響が出るのかであります。
 ことしの6月、地方6団体は、政府の要請を受け国庫補助負担金改革案の取りまとめをしました。この間、増田知事は、全国知事会のリーダーとして活躍されたことは新聞等で拝見しております。そして8月19日、わずか2カ月、知事会作成の改革案は地方6団体の了承を得ております。形の上では全国の自治体、全国の地方議会の合意形成がなされております。しかし、地方6団体の改革案が提出されてからの市町村、地方議会の動向を見ると、必ずしも一致団結とは言いがたいものと思われます。
 その中心におられた知事の各6団体の温度差、短い時間での合意形成への御苦労、察するところでありますが、改革案提出後、先月の26日、政府による改革案の全体像が発表されるまでの間に、数度の国と地方の協議の場があったと伺っております。その協議の中身がこの全体像にどのように反映されているのか、お伺いします。
 この間の経緯を県民の目線で見ると、総務省と財務省の縄張り争い、霞が関の権力争いに地方6団体が翻弄されているとの感がぬぐえません。御所感をお聞かせ願います。
 きのう、きょうの議論でも、地方6団体の改革案の前提である財源の確保がどう担保されているかであります。岩手の中でも、義務教育費に見られるように、総論賛成、各論ばらばらであります。地方6団体は、一致団結して行動をといっても、各都道府県は思惑とねらうところがばらばらではないかと危惧するところであります。
 均衡ある国土の発展が死語となったかのような今、東京のような都市部と岩手のような地方とでは、足並みが本当にそろうのでしょうか。地方6団体とは別の戦略、別の枠組みが必要なのではないでしょうか。特にも、財政面、環境面を同じくする北東北3県、また税源確保に直接影響する人口の減少問題を抱える中国、九州の各県との連携を強め、共通の戦略と行動が必要と考えます。御所感をお願いいたします。
 次に、県立高等学校新整備計画後期計画(案)についてお尋ねします。
 本年8月に発表したこの後期計画案については、地域からは疑問の声や反対意見が出されております。県教委としては、その反対要因がどのあたりにあるととらえているのでしょうか。また、このような状況にあって、どのように後期計画を確定していこうとしているのか、お伺いいたします。
 そもそも高等学校の再編は何のために行うのか、十分に検討されたこととは思いますが、繰り返し県民に伝え、理解を得る必要があるのではないでしょうか。また、この再編計画には、岩手の将来像をどのようにとらえ、高校生の将来像をどのように描いて盛り込まれているのでしょうか、お知らせ願います。
 関連して、中高一貫教育についてでありますが、現在、葛巻高校と軽米高校に連携型の中高一貫校が設置されています。一方、昨年12月に岩手県中高一貫教育検討委員会は、岩手県における中高一貫教育の推進についての報告を出し、その中では、併設型中高一貫校の設置について述べております。連携型の中高一貫校の評価を含め、本県における中高一貫校の充実についてどのように考えているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、山梨県教職員組合の問題について伺います。
 新聞報道によると、山梨県教職員組合、この組合は組織率100%に近いと言われていますが、この組合では、ことしの夏の参院選に向けて組織的に資金を集めた。そして、特定の候補者を組織的に応援したとされております。真偽のほどは文部科学省指示により山梨県教委が調査を始めたとありますが、事実とすれば、看過できぬ教育界を揺るがす大事件であります。教育公務員特例法違反はもとよりですが、教育全般に与える影響ははかり知れないものがあります。特定の政党を支持する学校の先生による偏向教育が行われていなかったのか、子供たちが特定の政治思想を持つように洗脳されてはいないのか、山梨県民の不安は募るばかりと思います。一刻も早い真相解明を願い、教育への信頼回復を願うものであります。
 よもやとは思いますが、岩手にも似たようなことがないかと県民は不安であります。選挙のたびごとに教職員組合の特定政党への支援、特定候補者への応援を目にし、組合の指示とかの声を聞くのは私だけではないと思います。山梨県のようなことが岩手県にもあるとすればゆゆしき事態であります。県ではその実態をどのように把握されているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、来年2月に開催される、いわゆる岩手りんどう国体についてお尋ねいたします。
 本年8月に開催されたアテネオリンピックでは、日本人選手が大いに活躍し、数多くのメダルを獲得し、国民に夢と感動と元気を与えたことは記憶に新しいところであります。一方、先般終了した第59回国民体育大会では、本県選手の活躍を期待しておりましたが、天皇杯順位が39位と、昨年の第58回国体より順位を二つ下げた残念な結果に終わりました。
 来年2月には第60回国民体育大会冬季大会スキー競技会、いわゆる岩手りんどう国体が開催されますが、スキー競技において、これまで、スキー複合のオリンピックメダリストの三ケ田礼一選手を初め多くの名選手を輩出し、雪国岩手の面目躍如でありました。しかしながら、企業スポーツクラブの撤退など、ここ数年のスキー国体の成績が厳しい状況にあります。
 本県でのスキー国体は、平成10年のいわて銀河国体以来、7年ぶり3回目の開催と伺っておりますが、恵まれた自然環境のもと、全国から集まる選手に夢と感動を与え、また、交流の輪をさらに広げて、心に残るすばらしい大会となることを期待しております。
 そこでお伺いしますが、大会成功に向けた冬季スキー国体の準備状況がどのようになっているのか、お伺いします。
 また、この岩手りんどう国体に向けての本県選手の強化策についてどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。
 次に、総合雇用対策の推進体制について伺います。
 県は、昨年6月に総合雇用対策局を設置して、国の基金事業のほか、県単独の基金による各種雇用創出事業を実施し、新規雇用の創出に部局横断的な体制で取り組んでおられると伺っております。
 この県の総合雇用対策は平成18年度までの計画となっていますが、推進組織である総合雇用対策局については、発足当初に、短期集中的に取り組むため、平成17年3月までの期限つき組織とした経緯があると伺っています。緊急課題として位置づけて取り組んだこれまでの総合雇用対策をどう評価するのか、お伺いいたします。
 平成18年度までの計画を短期集中的に取り組むという姿勢とその取り組み成果については評価するものでありますが、本県の置かれている雇用環境は依然として厳しいことから、現在の推進体制を継続して、一層強力に雇用対策への総合的な取り組みをすべきと考えておりますが、御所感をお伺いいたします。
 次に、高齢者の雇用対策についてお尋ねいたします。
 少子・高齢化の急速な進展や社会制度改革による年金支給開始年齢の引き上げなどを踏まえ、意欲と能力のある高齢者が、少なくとも年金支給開始年齢となる65歳までは、長年培ってきた知識と経験を生かし、生き生きと活躍し続けることができる社会体制づくりが急務となっております。
 さらに、今後、いわゆる団塊の世代が60歳に達する2007年問題を控え、これらの方々が、その豊富な職業経験や知識を最大限生かすことが可能な労働市場の整備を進めていくことが求められております。
 そこで、本県における高齢者雇用の現状と今後どのように高齢者の雇用対策を進めていくのか、お伺いします。
 また、その一方で、近年、若年層の失業者が増加しており、若年層の失業率も全体の水準を大きく上回っているなど、若年者の雇用環境は憂慮すべき状況にあり、将来の我が国を支える若者が、不安定な雇用状況に置かれることによる経済の成長力の低下や社会不安の増大など、種々の社会的弊害が懸念されているところです。
 そこでお伺いしますが、若者の勤労意識の変化、多様化が進む中で、若者の失業がふえている要因の一つとして、高齢者が若者の就労の機会を狭めているということも考えられるのではないでしょうか。県のお考えをお尋ねいたします。
 次に、産業廃棄物税について伺います。
 本年1月から、岩手、青森、秋田の北東北3県が産業廃棄物税を共同導入しておりますが、産廃税の目的である産業廃棄物の減量化、リサイクルに対して効果があらわれているのでしょうか。
 また、今後の見通しとあわせ、税収については、産業廃棄物の発生抑制等に貢献する事業に充当するとしておりますが、その使途についてお伺いいたします。
 循環型地域社会の形成に関する条例において、優良な産業廃棄物処理業者の育成を掲げ、業者の格付認定を行っておりますが、当該制度に対する産廃処理業界の動向はどうなっているのでしょうか。
 また、排出事業者が優良事業者の情報を活用できるような仕組みとすることが重要であると考えますが、県としてどのように取り組むのか、お伺いいたします。
 次に、再生資源利用について伺います。
 循環型社会を形成する上で、廃棄物の発生を抑制し、再使用、再生利用を進めることが求められております。循環型地域社会の形成に関する条例の第10条には、再生資源利用認定製品として、知事は、再生資源を利用した製品で規則で定める基準に適合すると認められるものを岩手県再生資源利用認定製品として認定することができるとしております。
 そこでお尋ねしますが、これまでに認定された製品としてどのような種類のものが、どれくらいあるのでしょうか。また、品質が確保されていても市場競争力が弱い再生資源を利用した製品は、県が率先して購入し使用していく必要があると考えるものですが、県における再生資源利用認定品の利用はどのような状況にあるのか、県として、今後、認定製品の利用を促進していくためにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 県土整備部では、平成15年度に建設業を取り巻く環境の急激な変化への対応とその取り組みなどを示した建設業振興緊急アクションプログラムを策定したところであり、循環型社会の形成を目指すべく、積極的なプログラムを掲げていることに敬意を表します。
 民間においては、苦しい経営環境の中、新しい社会に向けて英知を出し、再生資源利用製品を開発しており、官民ともに目指すところは同じであります。プログラムの実施事業として、再生資源利用製品モデル工事の実施、新技術・新工法のプレゼンテーションの検討を掲げておりますが、大いに期待しております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 これまでの取り組み状況と今後の見通しはどうなっているのか、お伺いいたします。
 次に、介護予防についてお伺いいたします。
 高齢化の進展に伴い、介護を必要とする高齢者が年々増加し、これに伴い、介護給付費も増加の一途をたどっております。それだけ介護保険制度が県民の間に広く普及・浸透し、介護サービスがよく行われているということであり、大変結構なことだと思うわけであります。反面、介護給付費の増大により、このままでは財政的に極めて厳しい状況になるのではないかとの指摘があります。介護保険制度を健全に維持していくためには、単に要介護者等に対して介護サービスを提供するだけでは不十分であり、介護が必要な状態にならないような対策、あるいは介護が必要になっても状態がこれ以上悪化しないための積極的な対策が必要ではないかと考えるところであります。
 そこでお伺いいたしますが、これまで介護予防としてどのような取り組みをされてきたのでしょうか。また、介護保険制度見直しの中で、総合的な介護予防システムの確立がうたわれておりますが、今後どのような施策を講ずるお考えなのか、あわせてお示し願います。
 次に、生活習慣病対策の充実についてお伺いいたします。
 寝たきりなどにならないで健康な状態で生活できる期間として健康寿命という指標がありますが、2002年の世界保健機関の報告によれば、我が国は世界一とされています。しかしながら、現状を見ますと、介護を要する高齢者が増加し、一方で、がん、脳卒中、心臓病などの生活習慣病により命をなくす方々が、この介護を要する高齢者の増加数を超えているわけであります。このような状況を踏まえるならば、健康寿命の延伸を目指し、すべての県民が健康長寿を享受できるようその実現を図っていくためには、介護予防とともに、生活習慣病対策を充実させていくことが必要と考えるわけであります。
 生活習慣病対策については、市町村において、健康診査を中心とした保健事業により、予防対策に軸足を置いた施策が展開され、疾病の早期発見、早期治療等により県民の健康の確保に大きな成果を上げてきたところですが、今後は、予防対策の充実を含めた総合的な対策を打ち出していく必要があるのではないかと思うのでありますが、県としてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
 次に、県内における学校医などの配置についてお伺いいたします。
 近年、児童生徒の食生活の変化や運動不足などにより、生活習慣病の兆候を有する者や歯石・歯肉炎などの歯周病疾患の増加が問題視されております。これらに適切に対応するためには、児童生徒が健康な生活を送れるように、よりよい生活習慣の確立を目指して児童生徒の健康づくりに取り組むことが必要であり、学校における各種健康診断の実施と健康の保持増進に対する積極的な支援が必要であると思われます。そのためには、大規模校、小規模校などの学校規模を配慮しながら、学校医・学校歯科医を適切に配置し、児童生徒一人一人を大切にした健康の保持増進体制を確立することが重要ではないでしょうか。
 学校医の役割についてと本県における学校医の配置は、学校規模等に配慮したものになっているのか、お伺いいたします。
 次に、岩手労災病院廃止後の後医療についてお伺いいたします。
 国においては、ことしの3月30日、労災病院の再編計画を策定し、この中で、岩手労災病院は平成18年度末をもって廃止されることが決定されました。地元花巻市では、湯口地区を初め、周辺市町村、議会議員、商工や医療団体などで組織する岩手労災病院存続対策協議会などが、繰り返し国、労働者健康福祉機構に対し病院の存続を要望したところであります。しかしながら、国の決定を翻意させることが困難という認識のもとに、存続から後医療の確保という形に変えながらも、地域医療を確保する目的で、引き続き要望を継続しているところであります。この間、国、労働者健康福祉機構、県、花巻市の4者により協議を行ってきたと聞いております。
 そこでお伺いいたしますが、県は、岩手労災病院廃止後の後医療の確保についてどのように考えているか、お示し願います。
 また、このこととかかわるのでありますが、4者協議の現在の状況はどうなっているのでしょうか。この問題に関する県と花巻地区との役割分担と連携はどうなのか、お伺いいたします。
 次に、治安情勢などについてお伺いいたします。
 ここ数年の報道を見ますと、殺人や強盗などといった凶悪犯罪が増加し、また、オレオレ詐欺や架空請求などといった新手の犯罪が目立っている印象があります。近年、犯罪態様はボーダレス化し、都会だから、地方だからといった区分けはなくなってきており、都会で起きた犯罪は、すぐさま地方でも起こり得るわけでありますし、また、一昔前までとは逆に、地方だからゆえにターゲットとなり得る傾向も出てきているのではないかと感じております。これら多くの犯罪の裏には、暴力団が組織的に関与しているとか、逆に、つい最近報道されたとおり、中学生までがオレオレ詐欺に手を染めるといった衝撃的な事件もあり、多種多様化、複雑化を遂げていく犯罪態様は、素人目には推測不可能な状況となっております。
 県内の治安情勢はいかがでしょうか。近年の特徴的傾向とあわせてお示し願います。
 また、このような治安情勢下においては、県警察の頑張りもさることながら、県民一人一人が、犯罪に対する強い認識を持ち、いかに犯罪に強い地域社会の醸成を図っていけるかが大きな課題であろうと考えるところであります。そのために、関係機関・団体などとの連携をどのように進めておられるのでしょうか、県民や地域社会に対する意識啓発への取り組みも含めてお伺いいたします。
 次に、水田農業への本県の取り組みについてお伺いいたします。
 食料供給県を目指す我が岩手が、政府の米政策改革大綱を受け、本県独自の米政策改革大綱を策定し攻めの農政へと転換したことは、高く評価いたします。農業集落ビジョン作成の際にも、今までの県職員とはまるで見違えるように現場に足を運び、農民とともに汗を流し、議論した姿に、岩手の農業は頑張らなければと勇気づけられた生産者の声を耳にいたしました。
 それぞれの地域の五穀豊穣への感謝をささげる新嘗祭も、地域のみんなが集い、自然への感謝、御先祖への感謝を込め行われました。しかし、ことしこそは豊作だとの喜びもつかの間、米価暴落は御案内のとおりであります。その割には消費者米価は下がらず不思議であります。価格安定政策での不備があったのか、それとも市場経済と米政策との乖離なのか、矛盾なのでしょうか。県ではどのように考えておられるでしょうか、お伺いいたします。
 そしてまた、水田農業では担い手農業者を中心に大きな流れができたのですが、岩手の農業は、それ以上の何倍もの兼業農家によって守られております。野菜、果樹、園芸、畜産などと多種多様であります。県では、岩手の農業をどのように守ろうとしているのか、お伺いいたします。
 次に、県行造林についてお伺いいたします。
 本県は広大な森林を有しており、この森林資源を有効に活用して林業の振興を図るべきだと考えておりますが、戦後の国土復興とその後の拡大造林政策により、県有林事業は、6万ヘクタールの森林造成を目標として県下全域で県行造林事業を推進し、今後、確実に木材が産出されるものと期待しているところであります。
 そこでお聞きしますが、積極的に取り組んできた県行造林事業によるこれまでの成果はどのようなものであったのでしょうか。岩手の豊かな自然、美しい山林も、林業従事者なくして守っていくことはできません。県行造林は、土地所有者との契約によるものであり、木材価格の低迷している中で、契約期限が到来した森林を伐採して収益を確保することは容易ではないと思われますが、伐採時期や収益の補償などの問題が生じていないかどうか、実情をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 照井昭二議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革で、国と地方の協議の場における内容が全体像にどのように反映されたのかというお話でございます。
 この協議の場でございますが、全体で7回開催されたわけでございまして、毎回毎回、各大臣と、それから地方側の6団体の代表が主張をぶつけ合ったということでございます。
 内容については、政府・与党の合意のペーパーでございますので、地方団体の思いがその中に十分反映されていないというわけであります。あえてその内容について言えば、税源移譲について、個人住民税による税源移譲が明確になったという点はあると思います。それから、あと、我々にとりまして大事な地方交付税制度でございますが、これを算定する、その前提となる地方財政計画のつくり方のところで、今後は中期的な地方財政のビジョンを作成するという内容が盛り込まれていますので、こうした地方交付税の額についての予見可能性がかなり出てくるのではないかと思います。
 それから、その算定プロセスに地方関係団体の参画を図るということになっておりまして、より地方団体の意見が通りやすくなるのではないか、こういうことは期待しております。
 総額が3兆円に対して、税源移譲額が決まっておりますのは約2.4兆円といったようなことでございますし、先送りの内容なども多いわけでございまして、内容については不十分であると思いますけれども、地方団体側が常に従来から主張していたことについて、今申し上げましたようなことを中心にして、一部入っているものもあるということでございます。
 それから、この改革を通じて、総務省と財務省の縄張り争い、その中に地方が翻弄されているという感が免れないというお話でございました。そういう見方も当然あるだろうと思います。今回、内容については極めて不十分だと思っておりますが、しかし、地方団体が6団体一致協力して政府に当たったと、そして、7回協議の場が開かれたということは、このことは事実として前向きに受けとめていいのではないかと思っております。
 今まではそうした場すらなかったわけでありまして、この二、三年前のことを考えますと、この三位一体改革、あるいは国から地方へということは、唱えられた当初の事態から考えますと、ここまで地方団体の意向を主張する場ができたということをもって、霞が関の権力争いというよりも、むしろかなり地方が政府と対等にやり合うそういう足がかりができたのではないかと考えているわけでございます。特に、そうした場を通じて補助金を交付している官庁等に対して地方側が主張したと、これは補助金を交付する側は今までずっと強い力関係を持っていたわけでございますが、曲がりなりにも我々の方で補助金廃止ということを主張して、そして交渉できたということは、これは前進した面でございますし、この協議の場、せっかくできた協議の場は今後につながるものとして、その場を十二分に生かしていくことが必要と考えております。
 それから、各都道府県の中での一致した対応ということでございますが、まず、この地方団体の中でも、いわば都市部の地方団体、そしてそうでない地域の地方団体、これは地方交付税制度を含めたいわゆる税源偏在による財源調整の制度のつくり方の問題として、今後顕在化してくる問題だと受けとめております。その中で、幸いにいたしまして北海道・東北地域は、この問題に対して一致協力して当たっていくということで、常にお互いによく情報交換をしてこの問題に対応してまいりましたし、知事会の中でも今後こうした制度をつくっていく上で、各都道府県がよく連携をして対応していくということが確認をされております。
 もちろん、端的にあえて言いますと、東京都――不交付団体でございますが――との関係をどうするかということでございますが、いずれにいたしましても、知事会なり、それから地方6団体を離れた主張というのは大変弱くなりますので、そうしたそれぞれの都市、それからそれ以外の地域の地方団体の中で、特に岩手県も含めた税源に恵まれない地域の団体の意見をよく取りまとめた上で、知事会の中でできる限り主張を通していくというそういう活動が今後必要になると思います。法人事業税の分割基準の見直し、あるいは地方譲与税の譲与制限などがそうしたことに対する我々の主張でございますが、そうしたことを内部でしっかりと主張した上で、まず知事会の意見として取りまとめ、そしてそれを6団体の意見として取りまとめて、その上で政府に対してしっかりと実現を迫っていくという行動が必要だと思いますので、今後、特に東北の他の県ともよく協力を図った上で、知事会の中でしっかりとした主張をしていきたいと考えております。
 次に、雇用対策についてのお尋ねがございますが、総合雇用対策の評価についてでございます。
 平成18年度までの計画期間中に、新規雇用3万600人、うちサービス産業で1万5、000人の雇用創出を図るということで、年度別の目標を掲げて今取り組んできたわけですが、平成15年度は目標に対して117.3%と目標を達成いたしまして、本年度につきましても、9月末までの今取りまとめとなってございますが、目標値に対して順調に推移していると考えております。
 地域人材育成モデル事業を初めとする雇用創出プロジェクトの新規立ち上げのほか、国のジョブカフェモデル事業のモデル地域として選定されまして、ことし7月にジョブカフェいわてを盛岡市にオープンいたしましたが、さらには、特に雇用環境が悪化をしております沿岸・県北地域、宮古・久慈地域へのサテライトセンターの設置など、この中で取り組むべき各種プロジェクトが既に実行に移されているところでございます。こうした雇用対策につきましては、昨年6月に県の内部組織として総合雇用対策局を設置して取り組んでまいりましたが、その対策局の取り組みが短期間で集中的な取り組みが成果を順調に上げていると思っておりまして、これは部局横断的な取り組みの成果であると考えております。
 また、この雇用対策の推進体制ということでございますが、雇用対策を私の与えられております任期4年のうち前期2年間での最優先課題と位置づけて、短期間に集中的に取り組んで、確固たる成果を上げるという決意も明確にする、そして実行体制をしっかりと確立するというそういう意図で、平成17年3月までの期限で総合雇用対策局を設置したものでございます。
 本県の雇用環境、依然として厳しい状況にございまして、特に若年者の雇用対策については、地域における産業人材の育成という面からの課題も顕在化をしてきておりまして、今後、ただいま申し上げましたジョブカフェ事業など若者の就職支援を初め、職場定着支援など地域に密着した取り組みとして、県の教育委員会や地域の産業界などと幅広く連携を深めながら重点的に取り組む必要があると考えております。
 このため、現在の期限つきでのこの組織、総合雇用対策局につきましては一たんその決められた期限、平成17年3月までで一たんリセットをしようと、そして、今申し上げましたような新たな視点で、再度この部局横断的な課題解決型の組織として組み直して、その上で強力に雇用対策を推進していくという考え方であります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 本県の自然災害全般に対します安全性でございます。
 災害に対します安全性は、災害リスクと防災、減災のレベルとの相関関係にあると考えております。自然災害というものは抑え切れるものではありませんけれども、減災、防災への取り組みが安全性を高めることにつながるものと考えております。本県におきまして、沿岸部はリアス式海岸という地域的特性から、過去に多くの津波被害を受けておりまして、宮城県沖地震の発生が2033年までに99%の確率、明治三陸大津波地震レベルの地震の発生する確率も20%とかなり高いレベルにあります。そのため、津波防災としての防潮堤、水門等の整備を進めているわけでありますが、想定を超える津波が発生した場合の対応として、津波浸水予測図などの作成に取り組んでいるわけでございまして、津波の避難対策の向上に努めております。
 岩手山につきましては、現在、噴火が切迫した状況ではありませんが、その推移を見守る必要がございます。国、大学等によります高レベルの観測体制がとられておりまして、県では火山防災マップを作成するとともに、専門家によります検討会を設置いたしまして、定期的に活動の評価を行い、その内容により、適切な対策を講ずることといたしております。
 風害、水害、高潮、高波につきましては、これは台風などによる場合が多いわけでございますが、洪水・豪雨対策につきまして遊水地、防潮堤が整備されておりますが、短期集中的な災害を想定いたしまして、防災マップの作成や、雨量や川の水位などの客観的数値に基づく避難勧告の基準の具体化を進めているわけでございます。
 広い面積を持つ本県でございますが、山地、河川流域、沿岸など地勢や気象状況によりそれぞれ災害リスクが異なるわけでございます。その災害リスクを十分に踏まえながら災害に備えるということが大事でございまして、それぞれの地域が、災害リスクを明確にいたしまして、公助、共助、自助それぞれレベルアップをいたしまして、防災力向上に努めていく必要があると考えておりまして、県としても最大限努力してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) まず、県が管理する道路、橋梁等が被害を受けた場合に、迂回路の確保ができない行きどまり路線についてでありますけれども、県が管理しております国県道は263路線、総延長4、220キロメートルであり、日ごろから定期的な道路パトロールを行うなど適正な維持管理に努めておりますが、仮に通行どめとなるような被害を受けた場合に、市町村道を含めましても迂回ができずに行きどまりとなる路線は、夏油温泉江釣子線の夏油温泉地区、西山小保内線の滝ノ上温泉地区など5路線で、その延長は35キロメートルになっております。
 次に、再生資源の利用に関連いたしまして、建設業振興緊急アクションプログラムにおきます実施事業の取組状況と今後の見通しについてでありますが、新技術・新工法のプレゼンテーションについては、建設業協会に設置している経営支援センターと連携いたしまして、本年3月に環境分野等を含む8企業が参加して実施したところであり、今年度も引き続き実施することとしております。
 また、再生資源利用認定製品モデル工事は、再生資源利用認定制度で認定された土木関係資材等を、県土整備部所管の工事におきましてモデル的に導入し、製品の施工性や適性等を検証しようとするものでありまして、現在、実施に向けて検討を進めております。今後とも、こうした実施事業を通じまして、再生資源認定製品の利用拡大につなげていくとともに、新工法開発等に積極的に取り組む企業を支援してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、本県における高齢者雇用の現状についてでありますが、岩手労働局が県内民間企業を対象に行っております平成15年度の高年齢者雇用状況報告によれば、県内の労働者のうち高齢者――これは55歳以上の方でございますが――数は2万392人、雇用割合は14.3%であります。これは前年に比べますと人数で538人、率でいたしますと0.5ポイント増加をしてございます。
 一方、さきに県が実施いたしました平成16年度企業・事業所行動調査――これは20数項目にわたって事業所・企業の行動を調査するものでございますが――これによりますと、県内企業・事業所の定年後の勤務延長制度及び定年後の再雇用制度の導入率は、いずれも前回調査――これは平成14年度でございますが――を下回ってございます。したがいまして、本県においては、人口の高齢化ということに伴いまして、労働者に占める高齢者の割合というのは増加しているわけでございますが、高齢者の継続雇用の確保等に関する制度の導入というのは実は進んでいないという状況にございます。2007年問題を控える中でこういった高齢者の雇用を守るための制度の導入促進が、本県にとっては喫緊の課題になると考えてございます。
 そのため、今後の高齢者対策でございますが、高年齢者等雇用安定法の一部改正によりまして、65歳未満の定年を定めている事業主は、平成18年4月1日から平成25年度まで、段階的に定年年齢の引き上げ等の措置を講じなければならないとされてございます。県といたしましては、この制度内容の周知や制度導入に係る助成金制度等の情報提供を今後とも積極的に行いながら、高齢者雇用の促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、若者の失業者の増加と高齢者の就労との関係についてでありますが、高齢者の雇用の維持のために若年者の採用が抑制されているという指摘も確かに一部ございますが、しかしながら、若年層の失業の増加は、自己都合離職者が離職の理由を挙げているわけでございますが、それが、仕事が自分に合わない、つまらないということを挙げている方が多いということから判断いたしまして、若年層の失業の増加というものが高齢者の雇用を維持するためにそうなっているという、直接的な要因になっているとは考えていないところでございます。
 一方、高齢者の過度なリストラによりまして、高度な熟練技能が企業内から失われ、それが企業のものづくり能力の低下や事故の発生につながっているという指摘もございますことから、高齢者が長年培ってきた技術やノウハウを若い世代に伝えていくことは、企業の維持、発展に不可欠と考えておりますので、今後も若年者の就業機会の確保ととともに高齢者の雇用の促進両立に、県としても努力してまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) まず、産業廃棄物税導入によります廃棄物減量効果についてでございますけれども、現在のところ本年度の税収につきましては1億円をやや下回るものと見込んでおりまして、この産業廃棄物税の条例を制定いたしました平成14年度の推計値の3分の1程度ということで、かなりのペースで最終処分量が減少しておりまして、産業廃棄物の減量化、リサイクルの促進に対してこの税が一定の効果を上げつつあるものと考えてございます。
 今後の見通しでございますけれども、この産業廃棄物、それから税、この税と、それから各種いろいろなリサイクル法等が施行されておりまして、これらが相乗的な効果を生みまして、廃棄物の一層の減量化あるいはリサイクルが進展していくものと考えてございますけれども、どうしてもやっぱり最終処分をせざるを得ないものも残ると思いますので、ある程度処理量が下がっていきますけれども、ゼロということにはならないで、ある程度下がった段階で、この廃棄物最終処分量が一定のレベルで推移していくと予測しているところでございます。
 それから、産業廃棄物税の使途についてでございますけれども、今年度は、事業者による廃棄物の排出抑制やリサイクルなどのための技術開発、それから設備投資、それから製品製造等の取り組みに対する支援を行う産業・地域ゼロエミッション推進事業や再生資源利用製品認定事業など九つの事業に充てております。
 次に、産業廃棄物業者の格付についてでございますけれども、これまで104業者が産業廃棄物処理業者育成センターから基準適合業者の認定を受けております。産業廃棄物処理業者はこの制度に非常に高い関心を寄せておりまして、業者に対するアンケートでも、社員の遵法意識の向上などに効果があったというような回答が寄せられるなど一定の効果があらわれていると認識してございます。
 また、排出事業者も、4割程度がこの格付情報を委託業者の選定に利用しているという結果になってございまして、初年度としては所期の目的が達成されつつあると考えてございますけれども、今後、より多くの排出事業者に利用されることが重要でございますので、県といたしましても、この格付情報を提供しております育成センターの取り組みを支援しておりますほか、今後は排出事業者と産業廃棄物処理業者双方が格付の効果を実感できますように、育成センターを中心に現行制度の一層の充実に向けて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、再生資源の利用についてでございますけれども、平成15年4月から平成16年10月までこの間4回認定をいたしまして、全部で36製品20社を認定しております。内訳といたしましては、骨材やボードなどの土木、建築資材が19製品、それから畜舎用の寝わら、育苗用マット等々の農業資材が6製品、それから紙ひも、植木鉢等の古紙を利用した物品が8製品、ペレット状の木質燃料3製品という形になってございます。それから、県におきます平成15年度のこれらの認定製品の購入状況でございますが、平成15年度末におきましては、認定製品は25製品あったのですけれども、このうち6社10製品を購入しておる実績となってございます。
 それから、認定製品の利用促進でございますけれども、これにつきましては製品紹介パンフレットの作成、それから関係フォーラムの開催などによりまして、県民、事業者への周知を図りますほか、県による優先利用のさらなる拡大を図るために、今年度中を目途に県としての利用方針を策定する予定にしてございまして、今後、一層の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 初めに、介護予防についてでございます。
 県は、これまで、いわていきいきプラン2008を策定いたしまして、高齢者の介護予防から介護保険事業まで、一体的かつ計画的に施策を展開してまいったところでございます。具体的には大きく四つの分野からなっているわけですけれども、まず一つ目が身体機能の維持向上ということで、これは筋力トレーニングなどをやっております。それから、二つ目が心の問題による閉じこもりでございまして、社会参加の促進などを進めております。三つ目が食の安心の確保ということで、配食、いわゆる食事を配るというようなサービスをやっております。それから、四つ目が疾病予防でございまして、運動指導や痴呆予防などをやっているわけでございます。いずれにいたしましても、こうした多様な事業メニューを用意しまして、市町村とともに積極的な推進に努めてきたところでございます。
 次に、介護予防に係ります今後の県としての施策でございますけれども、現在、ちょうど国において介護保険制度そのものの見直しが検討されております。その中では、仮称だと聞いておりますが、生活習慣予防・介護予防検診というものが実施されるんだそうですけれども、この中で栄養状態であるとか、口の中だとかといったものの機能低下の状態を把握しまして、これに基づいて事業を実施していこうということを考えているようでございます。
 いずれにいたしましても、近いうちに国から指針等が提示されることになっておりまして、県もちょうど平成17年度中には第3期の岩手県高齢者保健福祉計画、介護保険事業支援計画をつくることになっておりまして、その中に具体的な取組内容を盛り込んでいくなどして、着実に進めていきたいと考えております。
 それから、生活習慣病対策でございます。今申し上げました介護予防というのはもちろんやっていかなければならないのですけれども、さらに、その前の前段階の予防というのが必要になります。それが、議員が御質問になりました生活習慣病対策ということになります。これまで市町村の保健事業の取り組みが行われているわけですけれども、私どもも市町村と一緒になりまして総合的な生活習慣病対策に取り組んでおります。
 県が市町村をリードしていくような形でやっておりますものは大きく三つありまして、一つは、がんや脳卒中の登録事業ということでございまして、県民の皆さんのがんや脳卒中に関するデータを取り集めまして多角的に解析していこうというものでございます。二つ目が、がん検診でございまして、この中では特に乳がん検診に重点を置いて、マンモグラフィのさらなる充実、検診をしたいと考えております。それから、これ以外の脳血管疾患、心疾患につきましては、救急医療体制の整備や、あるいは県民の皆さんに広く医療機関の情報を活用して提供していくサービスをつくりましたので、こういったもので取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、次が岩手労災病院廃止後の後医療についての御質問でございます。
 まず、岩手労災病院廃止後の後医療と申しましても、大きく二つの点から考えないといけないと思います。一つは、いわゆる読んで字のごとくですが、労災病院でございますから労災の患者さん、それから労災以外のいわゆる一般の患者さんという二つのグループが入院なり通院なりされておりますので、この二つそれぞれについて考えなければならないと思います。
 まず、労災の患者さんの対応でございますが、これは原則として国、つまり旧労働省と、それから労働者健康福祉機構が責任を持って担当されるべき分野だろうと考えておりまして、実際、法律の体系上も労働者災害補償保険法というものがありまして、この中で医療費の負担も含めまして自己完結的にといいますか、完結的に旧労働省と機構の方で対応していただくことになっております。この点は個別の患者さんの問題もありますので、病院には別途、漏れといいますか、スムーズに移行ができるようにというお願いはしているところでございます。
 そうなりますと、いよいよ問題はその労災患者以外の患者さん、いわゆる一般の患者さんということになります。こういう方の問題につきまして最も重要なのは、もう言うまでもありませんが労災病院の移譲をどう進めていくかということになろうかと思います。この点につきましては、ことしの7月以降、花巻地方振興局、それに花巻市が意見を取りまとめているところでございます。一方、その医療法を所管する県本庁の立場はどうかということになりますが、私どもの認識としましては、この岩手労災病院が属します岩手中部医療圏というところは、医療計画上は過剰病床地域ということになっております。これは言いかえますと、単に医療サービスの量的な面だけから言うならば、仮に岩手労災病院がそのまま廃止となっても、単純に言えばこの数字上の問題ですけれども、直ちに困るということはないという認識になるわけでございます。しかしながら、地元ではぜひ残してほしいというお声があるわけですから、こうしたお声を踏まえまして、議員の御質問にもありました国――つまり旧労働省ですが――それから機構、県、市、この四者でいわゆる四者協議というものの場を設定いたしまして、この場でこれまで議論してきたところでございます。
 では、その議論の結果がどうなったかというところですが、残念ながら現時点では具体的な移譲先等についての結論は出ておりません。その理由はさまざまございまして、常任委員会の場などでもお答えをさせていただいているのですが、ごくごく簡単に申し上げますと、医療機能の維持を強く希望している花巻市にどうしても決断をしていただかなければならない部分があるということでございまして、その部分についてのお答えをまだいただいていないからというのが現時点でのお答えになろうかと思います。
 そういうことですので、私どもも花巻市にお願いするだけではなくて、私どもとしても側面から支援しなければならないと考えておりまして、現在、県としての要望書というものを国ないし機構に提出すべく、もうまさに準備をしているところでございまして、できる限り早い段階でこれを取りまとめて、移譲の方向がお示しできるよう、私どもも側面から支援してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) まず、水田農業への本県の取り組みについてのお尋ねについてでございますが、米価についてでございます。
 米の価格決定の仕組みは、まず、財団法人全国米穀取引・価格形成センターが実施する入札取引によって、まず指標価格が決定されます。この指標価格は……(「聞こえません」と呼ぶ者あり)済みません。
 米の価格決定の仕組みでございますが、まず、財団法人全国米穀取引・価格形成センターが実施する入札取引によって指標価格が決定されます。
 この指標価格は、全農県本部などの生産者団体が卸売業者などとの間で行う相対取引の基準となるほか、農家手取りの基礎となるものであります。
 この価格を基準として、さらに産地から卸売業者に売り渡され、さらに卸売業者から小売業者へ、小売業者から消費者へ販売されることになりますが、そのそれぞれの段階での価格というものは、それぞれ需給実勢を反映して決定されているところであります。
 ちなみに、現在の本年産米の指標価格、卸売価格、小売価格とも、その曲線といいますか、上げ下げの関係がパラレルな関係にあって、どこかが突出したりという関係にはないと見ております。
 このように、米の販売価格は需給実勢を反映して形成されており、価格政策は機能しているものと受けとめております。
 次に、岩手の農業をどう守るかということについてでございますが、本県農業の維持・発展を図っていくためには、国内外の産地間競争に勝ち抜く経営体質の強い担い手の育成も重要でございますが、小規模農家につきましても、それぞれの営農条件や営農志向に応じて、地域での役割を担いながら、地域一体となって農業生産に取り組んでいただくことが大事であると考えております。
 いわば農業・農村の持続的な発展というものは、そうした多様な担い手によって支えられていくものと受けとめているわけであります。このため、こうした小規模農家の営農志向に応じた集落営農への参加や加工、産直への取り組みなどを促進してまいりたいと考えております。
 次に、県行造林についてでございます。
 県行造林事業のこれまでの成果についてでありますが、県行造林事業は、県有林全体で平成12年度までに約5万8、000ヘクタールを造成して、ほぼ目標達成し、本県民有林における人工林面積の15%、蓄積では10%を占めるなど、森林資源の充実に大きな役割を果たしてきました。
 この間、各地域におきましては、最近20年間を見ましても、年平均約19万人日の雇用を創出し、雇用機会の少ない山村地域の振興にも大きく寄与してきたと考えております。
 また一方、森林の持つ多面的機能が注目されてきており、県有林事業により整備された森林は、水源の涵養などの公益的な機能が、これは日本学術会議の評価手法による計算でございますけれども、毎年1、423億円と評価されるなど、環境的資源としても大きな役割を果たしていると考えております。
 県行造林事業の現状についてでございますが、最近の木材価格の低迷により、傾向として、県行造林の伐採時期が到来しても伐採を見合わせたいとする土地所有者が多くなってきております。
 このため県では、契約期限が到来する前に土地所有者の意向確認を行い、土地所有者が伐採を見合わせたいという場合は、当面の措置として5年から10年程度の契約期限を延長しております。
 また、契約を延長しない場合であっても、土地所有者の希望により、分収する方法を、すべての立木を売り払い、販売収益を土地所有者との間で配分する方法、土地所有者の持ち分を伐採せず、立木のままで返す方法、県の持ち分を立木のまま買い取ってもらう方法の中から選択できるようにしておりまして、近年では、立木で分収する事例が増加してきております。
 このように、契約期限が到来した県行造林契約は、期限を延長する変更契約を行うか、延長せずに契約を満了する場合も、その分収については、土地所有者の意向に沿った方法で実施してきており、現時点では、分収に当たっての問題は特に発生していないと受けとめております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 県立高等学校新整備計画後期計画(案)についてでありますが、本計画は、次代を担う岩手の子供たちが、今後ますます変化する社会に的確かつ柔軟に対応して、新しい時代を切り開いていくためには、広域的な視点に立って、活力ある環境の中で、豊かな人間性や社会性をはぐくみ、そして、一人一人がその個性や創造性を伸ばし、さまざまな可能性に挑戦できる充実した学びの環境の整備を進めることが重要であるとの考えを基本にいたしまして、地域のさまざまな御意見を踏まえて、本年8月に案としてお示ししたものであります。
 この案を公表後、地区ごとの説明会でありますとか、関係団体に対する説明、あるいは各地の要請におこたえして出前説明会を開催いたしましたり、計画案についてこれまで説明してきたわけでございますが、御指摘のあったとおり、さまざまな御意見がございました。その要因といいますか、地域の学校に対する愛着でありますとか、新設校設置場所への不満、あるいは専門学科のあり方に対する疑問、通学の便・不便などを要因とするさまざまな御意見をいただいたところであります。
 県教育委員会といたしましては、こうした地域の声も勘案しながら、子供たちのためによりよい学習環境を構築するということを基本に、成案策定に向けて現在鋭意詰めているところでございます。
 次に、中高一貫教育校についてでありますが、軽米地区及び葛巻地区における連携型の中高一貫教育校にありましては、中高の授業交流や学校行事、部活動などの相互の交流を通じて、中高ともに学校全体の活力や意欲が高まり、学習や部活動においても大きな成果が上がるとともに、以前にも増して、地域からの支援というものも強まってきております。
 また、併設型の中高一貫教育校につきましては、本県にとってどのようなタイプの中高一貫教育校が最もふさわしいのか等々、全県的視野に立って、これらさまざまな課題について、今後とも引き続き検討していきたいと考えております。
 次に、山梨県教職員組合についてでありますが、新聞報道によりますと、組合による組織的な選挙資金集めが問題となっていると承知しておりますが、教育委員会といたしましては、職員団体を直接指導・監督するという立場にはないわけでありますけれども、個々の教職員は、教育公務員特例法等により政治的行為が制限されておりますので、教育上の地位を利用して選挙運動を行わないことなど、法令の遵守について教職員に厳しく指導しているところでありますし、また、今後とも教職員の行為が誤解を招くことのないように、引き続き指導を徹底してまいりたいと考えております。
 次に、冬季スキー国体の準備状況についてでありますが、第60回スキー国体、いわゆる岩手りんどう国体の開催も間近となっております。この10月には、大会実施本部と記録本部を設置するなど実施体制を整え、競技が円滑に実施できるよう鋭意準備を進めているところであります。
 これまでに、田山スキー場のスキーリフトの改修や圧雪車の購入など、施設設備の整備を図るとともに、選手や大会関係者の受け入れ体制の準備にも努めてきているところであり、この結果、現時点におきましては、ほぼ順調に推移しているものと認識いたしております。
 これからは、さらに県内外に対するPRに努める、あるいは安代町初め、関係機関・団体とも、より連携を深めながら、大会成功に向けての諸準備に万全を期してまいりたいと考えております。
 それから、次に、この冬季スキー国体の本県選手の強化策についてでありますが、これまでに積雪寒冷地という本県の特性を生かした海外遠征や県外遠征を支援する雪国スポーツ育成強化事業を推進し、競技力向上に努めてきたところであります。また、ジュニア選手の育成強化のために3名の指導者を海外に派遣いたしました。世界トップレベルの指導法を習得させ、その指導者を中心に強化事業を推進してきているところであります。
 特に、今回の岩手りんどう国体に向けての強化対策として、平成15年度にはジャンプ・コンバインド、クロスカントリー、ジャイアントスラロームの選手とコーチをフィンランド、オーストリア、カナダへ派遣いたしましたほかに、県外遠征、県内合宿の実施により本県選手の強化に努めてきたところであります。本年度におきましても、オーストリアに選手、コーチを派遣するなど、早い時期から雪上での練習に取り組んでおりまして、また、有望選手が着実に力をつけてきていることから、その活躍を期待しているところであります。
 それから、学校医の役割、配置ということでございますが、学校医につきましては、学校保健法により、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、技術及び指導に従事するものと示されておりまして、具体的には、学校の保健安全計画の立案への参与、それから、健康相談、学校保健委員会での指導、助言及び健康診断などを行うこととなっております。
 この学校医の配置についてでありますが、学校保健法に基づきまして、まず、小中学校は市町村の教育委員会が、それから県立学校は県の教育委員会が、それぞれの責任において、すべての学校に学校医・学校歯科医を配置し、そして、児童生徒の健康管理に努めているということでございます。
 ただ、一時的に業務が集中する健康診断の時期、この実施については、学校規模に配慮して、健康診断時のみ医師を複数配置している市町村もあります。県立学校におきましては、先ほどお話ありました歯肉炎等の歯周病の増加に対応するために、平成16年度から、生徒数600人以上の大規模校27校に対し、検診の際に応援歯科医を配置しているところであります。
 今後におきましても、県医師会、あるいは県歯科医師会などの関係団体と連携を密にしながら、児童生徒の健康教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕

〇警察本部長(山内正和君) 県内におきます治安情勢と特徴的傾向についてですが、刑法犯認知件数は、一昨年来減少傾向にあり、本年も、10月末で前年同期より5.2%、593件減少し1万817件となっております。しかしながら、県民が不安を感じる強盗や空き巣などの侵入犯罪は増加しており、また、全国と同様に、いわゆるオレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資のための保証金名下の詐欺など、身近な知能犯罪が県内においても増加しております。
 県警察といたしましては、このような情勢の中、防犯協会などの関係団体と連携し、各家庭への防犯診断の実施、防犯教室などの開催、市町村広報誌などの各種広報媒体を通じての安全情報の提供など、県民の防犯意識の高揚を図るための各種啓発活動を強化しているほか、市町村の防犯隊や新たに結成された町内会の防犯パトロール隊などとの合同パトロールを実施するなどしております。
 今後とも、これら関係機関・団体との連携を強化し、県民の防犯意識の高揚と自主防犯活動の促進を支援し、犯罪に強い地域社会の実現を図ってまいりたいと考えております。


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