平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(千葉康一郎君) 民主・県民会議の千葉康一郎でございます。
 まずもって、今回一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員各位に深く感謝申し上げます。
 質問に先立ちまして、さきの台風22号、23号による大雨洪水並びに去る10月23日に発生した新潟県中越地震によって亡くなられました方々に、哀悼の誠をささげますとともに、被災されました多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復興をお祈りいたします。
 それでは、通告に従い順次質問いたします。
 まず最初に、三位一体改革についての質問を通告しておりましたが、きのう、私の質問とほぼ同様の質問がそれぞれ行われまして、知事から御答弁がありましたので、私の質問は一部割愛し、ただ2点のみの質問といたします。
 まず、去る11月26日、政府・与党は、三位一体改革の政府案、いわゆる全体像を決定しましたが、全国知事会など地方6団体が取りまとめた地方案とは、大きくかけ離れた結果になったところであります。この政府案に対し、地方案が認められない場合には対抗手段の行使も辞さないとまで言い切った全国知事会の会長であります梶原岐阜県知事が、評価すべき点もある、努力に敬意を表したいと述べて、政府案の受け入れを表明したとのことであります。
 そこで知事に伺いますが、この政府案を受け入れるに当たって、知事会はもちろんのこと、地方6団体の、いわゆる地方側の了承のもとに受け入れを決めたのかどうかということについて、その経過について伺いたいと思います。
 次に、この政府案を見る限りにおいては、改革のねらいは一体何だったのか、これまで努力してきたのは何だったのかというふうに改革の理念がぼけてしまったのではないかという感は否めないのであります。今後、国も地方側も改革の原点に立ち返り、ともに行財政の改革と地方分権の推進に向けて一層努力すべきではないでしょうか。
 この改革推進に当たっては、全国知事会の中でも改革推進派知事として、また三位一体改革推進会議のリーダーとして御活躍されてこられました知事は、今後どのように行動されていくおつもりなのか、御所見を承りたいと思います。
 次に、市町村合併後を見据えた県の自己改革についてお伺いいたします。
 今日、地方分権改革の時代潮流は、遅々とした歩みではありますが、着実に進展してきていると思います。こうした時代の転換期には、これまでの常識が非常識化し、非常識が常識化していくものでありますが、なるほど、戦後の高度成長を支えてきた中央集権システムも、明らかに制度疲労に陥り、もはや非常識化していることはだれの目にも明らかであり、このため、地域主権型社会とでも言うべき新しい常識をいかに構築していくかが問われております。こうした時代の転換期に当たり、改めて、これからの地方自治のあるべき姿についてさらに掘り下げた議論の必要性を痛感いたしております。
 この半世紀の間に、国が国民に対して保障する最低の生活水準はほぼ充足されてきております。これからは、地域の最低水準の実現が必要だと言われるようになってきております。要するに、自己決定・自己責任の原則に基づいて、地域主権型のシステムにしていこうとするものであります。いわば現在の地方分権改革が志向すべき理念であり、住民から見て、受益と負担の関係がより明確となる行財政運営を実現していこうとするものであります。
 一方、最近の行政学などの研究分野では、自治のあるべき姿として、従来の公権力に基づく統治システムとしての発想から脱却し、住民の主体的な参加と住民の自己決定による共同体運営のあり方を意味する協治システムへの転換の促進が重要視されるようになってきておると言ってもいいと思います。
 そもそも行政の役割とは一体何でしょうか。地方制度調査会の副会長も務めている西尾勝教授によりますと、行政サービスの適正な範囲とは何か。市場の経済活動と政府の行政活動のあるべき境界線はどこか。これは、歴史上繰り返し論じられてきた論点であるが、これから先も、時には右に、時には左に揺れる時計の振り子のように振り子運動を繰り返すであろう。行政サービスの範囲は、学問の確定し得るところではなく、あくまで政治のメカニズムを通じて決定されるべき性質のものである。それゆえに、それは国ごとに多様であって当然であり、時代とともに変遷して当然のものであるなどと指摘しておりますが、20世紀に関する限り、行政の守備範囲は、ほぼ一貫して拡大してきたことは間違いありません。
 21世紀も4年を過ぎようとしている現在では、量的にも質的にも大きな変容期を迎えていると総括することができると思いますが、今、改めて県や県行政の役割について抜本的な見直しが迫られているのだと認識しております。私は、その際、地域主権型システムや協治システムの理論に立脚した上で構想することが重要だと考えております。結論を先に言えば、地方制度における都道府県と市町村という2段階構成の中で、今後、基礎的自治体としての市町村の役割が飛躍的に増大するであろう反面、都道府県制度の現在の枠組みが維持され続けるとすれば、確実に都道府県の役割は低下していくだろうと考えざるを得ないということであります。
 そこで、まず知事にお伺いしたいのは、現在の県や県行政の役割と権能についてどう認識され、どのように実践に結びつけておられるのか。そして、今後、都道府県の制度や役割はどうあるべきと考えられるか。ぜひ知事の自治制度設計の哲学や理念を含めてお聞かせいただきたいと思います。
 また、基礎的自治体が市町村合併によって足腰が強くなっていくのと相対的に、県の果たす役割は小さくなっていくと予想されますが、県の自己改革の方向を明らかにしておくべきと私は思うのであります。知事のお考えをお伺いいたします。
 ところで、昨年11月に地方制度調査会が示した今後の地方自治制度のあり方に関する答申では、基礎的自治体のあり方、大都市のあり方、そして広域的自治体のあり方の三つに区分した上で一定の結論を示しておりますが、中でも注目すべきポイントは2点ではないかと思っております。
 その一つは、基礎的自治体である市町村優先の原則が明示され、今後の基礎的自治体は住民に最も身近な総合的な行政主体として、これまで以上に自律性の高い行政主体となることが必要であり、これにふさわしい十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対応できる専門的な職種を含む職員集団を有するものとする必要があるとして、基礎的自治体の規模、能力はさらに充実強化することが望ましいということを断言しているのであります。二つ目は、広域的自治体のあり方として、都道府県の自主的な合併のための手続を簡素化することに加えて、道州制導入についても基本的な考え方や具体的な論点が初めて整理されたことであります。
 政府は、今後、さらに第28次となる地方制度調査会のテーマとして道州制の導入に絞って本格的に検討していく方針を既に示しております。平成の市町村大合併が進展すればするほど、広域的自治体である都道府県の役割やあるいは権能も変わってくるのはむしろ当然のことであり、道州制への議論も現実味を帯び、道州制導入の機運も高まってくるものと思います。知事は既にこのような流れを予見されてか、北東北3県及び隣接の宮城県などと各領域にわたって積極的に連携・交流を進めておられるところでありますが、知事の道州制についての御見識と今後の実現性についての御見解を承りたいと思います。
 次に、農業政策について伺います。
 今、日本農業は、自由貿易主義体制の中にあって、自由化の波に耐えられる農業の再構築が課題と言われております。WTO農業交渉のこれまでの経過からしても、今後、農産物の市場開放は段階的に進むことは必然の流れであり、現在の農業政策の立ちおくれに警鐘を鳴らす識者も多く、市場開放に備え、また、日本農業の再生発展のためにも、生産基盤の整備充実やその生産を担う農業者など、人材の育成確保が喫緊の課題であると言っているのであります。今後、市場開放が進めば、国内には安価な農畜産物の輸入が拡大し、国内農業の生産や経営にはかり知れない支障が生じるものと思います。特にも日本は、主要先進国の中でも最低の自給率であります。日本の食糧安全保障や、環境、国土保全といった農業・農村の持つ多面的機能の維持にも大きな影響を及ぼすことが懸念されるのであります。
 そこで、本県の農業施策についてでありますが、私は第6回定例会において自由化に耐え得る本県農業の構築方策について一般質問いたしました。これに対して農林水産部長は、国際競争にも耐え得る体質の強い生産構造への変革と、県産の農産物に対する消費者の支持と信頼を得るための安全で安心な食の提供が喫緊の課題であるとの答弁でありました。その喫緊の課題に本年度はどう取り組んでこられたのか、また、来年度以降はどのように取り組まれていくか、これを伺いたいと思います。
 また、足腰の強い農業の構築には、やはり県農業・農村基本計画及び農業・農村整備計画に掲げる生産基盤の整備充実が重要であり、これの整備量を達成させることが緊要と考えますが、農業・農村整備計画の進捗状況、それから今後の計画達成への見通しを伺います。
 また、足腰の強い農業を実現するためには、生産基盤の整備充実とあわせて、自由化の波に耐えられる人材の育成確保や、大規模なガラス温室のような先進的な生産施設等の整備を進めることが必要であろうと考えますが、県の人材の育成確保や先進的生産施設の整備についての考え方、その方策等について伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、農畜産物の自由化、関税化の中でいかに国内農業、そして県内農業を守っていくかが、緊急かつ重要な課題であります。私は、瀕死の日本農業を再生させるためには、EUの直接所得補償制度のような政策が今強く求められていると思います。今、EUでは、条件不利地域政策補償金、環境支払い、価格引き下げに伴う補償金を内容とする直接所得補償政策を実施し、国際競争力、食品の安全性、品質の保証、農村社会の維持、生産水準の確保、環境保全、動物愛護、環境目標などを実現しております。また、アメリカでは2002年の農業法で、過剰農産物の全量買い上げと不足払いの価格補償を行い、あわせて、輸出補助金を出しており、さらに、欧米諸国では自国の農業・農村を守るために必死の政策転換を行っております。
 そこで、知事にお伺いしますが、EUのような補償制度の新設を含めた経営安定対策の強化策を国へ要望すべきだと思います。いかがお考えでありましょうかお尋ねいたします。
 次に、地震・津波対策についてお伺いいたします。
 先ほどの田村誠議員の質問と重複する点もありますが、再認識の意味で質問いたします。夜寝ておりましてもゴーという地鳴りがした後、間もなく揺れが来るわけでありますが、そのたびに、どこで、どの程度の地震が発生したのか、津波はどうなっているのだろうかと気になります。近年の大地震と言えば昭和53年6月12日に発生した宮城県沖地震、平成5年の北海道南西沖地震、平成7年の阪神・淡路大震災、そして本県内に100億円を超える大災害をもたらした昨年5月26日の三陸南地震、さらに、この2カ月後の宮城県北部地震など記憶に新しいところであります。
 そして、この40日前の10月23日夕方、5時56分から約40分間に震度6強の強い揺れが3回もあった新潟県中越地震であります。特にもこの新潟県中越地震は、平成7年の阪神・淡路大震災に次ぐ大災害となり、多くの死傷者が出たのを初め、新幹線の史上初めての脱線、5万1、000棟余りの家屋の倒壊、道路網の寸断、山崩れ、土砂崩れなど各所に発生したのであります。さらに、電気、水道、ガスといったライフラインが広範囲にわたってストップするなど、まことに想像もつかない大被害が発生いたしました。被害総額はおおむね3兆円を超えると推計されております。そしてまた、命綱とも言える防災無線も停電によって全く使用不能となり、17時間もの長い間孤立した集落もあったと言います。また、犠牲者の多くは倒壊した建物や壁の下敷きになったとのことであります。さらに、ショックや避難生活を狭い車内で過ごしてエコノミークラス症候群といった病気等で亡くなった方もいたのであります。
 私は、テレビや新聞などでその悲惨な状況を見ながら、体の不自由なお年寄りの自力で動けない様子や、余震におびえる幼い子供たち、そして、これから厳しい冬季を迎えて途方に暮れている多くの被害者の様子を見て涙がとまりませんでした。これからの生活の再建には、筆舌に尽くせない困難や苦労が待ち構えているのだろうと思うと、何ともやるせない気持ちになったのであります。このように思ったのは私だけではないと思います。
 とにかく、このたびの新潟県中越地震の被災地に対し、全国各地から多くの支援や励ましが寄せられているようであります。本県においても、先ほどの質問にお答えがあったように、知事は全国に先駆けて人的、物的などの支援を行いました。この遅滞なく実施されました支援活動に心から敬意を表したいと思います。被災された方々は、落ちつき次第、生活の再建が待ち構えているわけですが、公的支援が充実されていない実態から、新しい制度化や制度改正等が行われるやに伺っております。一日も早い公的支援のあり方を充実させるべきであると思っております。
 いずれにいたしましても、今回の新潟県中越地震は、このような大災害がいつ、どこに発生しても不思議でないことを改めて示したのではないでしょうか。よく災害は忘れたころにやってくると言われますけれども、今は、災害は忘れる前にやってくるでありまして、新潟県中越地震も阪神・淡路大震災も今や対岸の火事ではありません。関心が高い今だからこそ、被害最少化への対策や県民の防災意識の高揚等々万全を期しておく必要があると考えます。
 そこで、このたびの新潟県中越地震についての知事の所感をお聞かせ願います。
 さて、平成12年度に国の地震調査研究推進本部地震調査委員会が、2023年末までに宮城県沖を震源とする大規模地震の発生確率は88%、平成15年度に見直ししておりますが、その結果では、2033年までに99%であると公表しております。また、三陸沖にあっては、平成14年度の公表によりますと、三陸沖南部海溝寄りのプレート間地震が2032年までに70%から80%の確率であるという非常に高い発生確率の長期評価を発表しております。
 また、国の中央防災会議においても日本海溝、千島海溝周辺では大規模地震が多発し、特にも宮城県沖地震は39年から40年間の間隔で繰り返し発生しているとのことから、その切迫性を指摘しているのであります。このような大規模地震やそれに伴う津波が本県を襲った場合における対策等について伺うものでありますが、発生の確率が高いとされる宮城県沖地震や三陸沖地震によるそれぞれの被害想定とその対策、対応はどうなっているのかお伺いします。特にも、沿岸部においては宮城県沖地震や三陸沖地震による津波の発生が常に心配されているところでありますが、住民への周知と被害の最少化の対策についても伺います。
 次に、耐震診断、耐震改修について伺います。
 平成7年の阪神・淡路大震災以降、1、000平方メートル以上、かつ3階建て以上の学校や体育館、病院といった特定建物の耐震診断や耐震改修についての規定が設けられたところでありますが、県内の耐震診断や耐震改修の状況はどうなっているのでしょうか。
 次に、危機管理体制でありますが、災害が発生するたびに言われることは、初動体制と関係機関の連携の重要性であります。災害現場の指揮は、国民の生命、身体、財産を保護する警察あるいは消防にゆだねられております。さらに、市町村や都道府県の対応能力を超える災害においては、国の支援策の一環としての自衛隊の災害派遣が実現します。災害発生時には通信網の遮断から情報が混乱し、情報の共有が不十分だなどの問題が露呈します。平常時において災害発生に備えて危機意識を共有し、有事のときには速やかに連携できる体制が重要であります。この危機管理体制、関係機関との連携はどのようになっているのかお伺いします。
 いずれにいたしましても、地震・津波発生の予知については年々進歩してはいるものの、いまだ確立された段階ではないので、今後とも県民の防災意識の高揚に努めながら、自主防災組織の組織化や組織の活性化、民間による防災体制の構築を図るべきと考えますが、実態はどのようになっているのかお尋ねいたします。
 次に、教育の充実について教育長にお伺いします。
 まず、最初に指導力不足教員の人事管理についてでありますが、県内の公立小・中学校及び県立学校に指導力不足に該当する教員は何人ぐらいおられるのでしょうか。また、指導力不足と判定する判定基準をお示し願います。
 さらに、指導力不足と判定された教員の相談あるいは指導等を含めた人事管理をどのように行っているのかお伺いするものであります。
 次に、県立盲・聾・養護学校の再編整備についてでありますが、私が第6回定例会の一般質問で養護学校の東磐井分校または分室の設置についてお聞きしたのでありますが、教育長から、現在国において、障害種の枠を越えた特別支援学校、仮称でありますけれども、これの制度の検討が今進められておるので、この制度改正の動向を注視しながら本県の盲・聾・養護学校の再編整備を進めたいと、その際に東磐井地区での小学校の空き教室を活用した分教室の設置についても、この検討の中であわせて考えていきたい旨の答弁をいただきました。特別支援学校の設置を含めて県教育委員会事務局では、他県に先駆けて内部検討に着手していると聞いておりますが、この特別支援学校とはどのような内容の学校であるのか。また、特別支援学校設置を盛り込んだ県立盲・聾・養護学校再編整備計画の策定の進捗状況と今後の策定スケジュールをお知らせ願います。
 次に、中高一貫教育校設置について伺います。
 このことについては、第9回定例会において吉田昭彦議員が住田町の提案についての一般質問をされておりますが、中高一貫教育校について教育長は、総合的に検討するとの答弁をされたのでありますが、その検討の結果はいつごろ出るのでしょうか。それをお伺いしたいと思います。
 また、高校新整備計画後期計画とは別に具体案を示すとも話されております。ところで、高校新整備計画後期計画では、住田高校と高田高校との統合は平成20年となっておりますが、住田町が提案しているように、住田町内の中学校、高校の中高一貫教育校導入の検討が進み、県として導入を決定する結論が出た場合には、高校新整備計画後期計画を見直さなければならないのではないかと思うのでありますが、教育長の御見解をお伺いします。
 最後に、千厩病院の産婦人科の医師の確保について医療局長にお伺いします。保健福祉部長でもよろしいですが。
 いずれ千厩病院は、県立病院改革実施計画によりますと、地理的な事情などから地域基幹病院として、広域基幹病院等の支援を得ながら、東磐井地域を中心に総合医療を担う病院と位置づけられております。しかし、本年4月から産婦人科の常勤医師が不在となり、地域住民は近隣の病院に通院する状況が続いております。みんなから、以前より医療機能が低下したと言われております。まさしくそのとおりであります。産婦人科の医師確保の見通しについて、また、広域基幹病院等からの応援による非常勤医師を配置できないものか、その辺をお伺いしたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきますが、答弁の内容によっては再度質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 千葉康一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革の今回の政府・与党案ですけれども、地方6団体のこの受け入れの経過について御質問でございます。
 これは、私が思いますには、事前にそうした受け入れを決めていたということではなくて、その都度、6団体の会長がその時点、時点で協議をして決めていたのではないかと考えております。すなわち、11月26日に、金曜日でございますが、午後、政府・与党で協議してあの合意案ができ上がったわけでございますが、その後、第7回目の国と地方の協議の場というところで、官房長官から地方6団体代表に説明があったと聞いております。
 その協議の場に臨む前に6団体の代表の皆さんが集まって、そしてまた、協議の場で内容を説明受けた後、もう一度6団体の代表が集まって、そして協議をして、その上で記者会見に臨んでいるわけですが、その記者会見の中身を見ておりますと、重要な部分が先送りされているので評価も先送りをするということをその記者会見では言っております。
 そして、土曜日、日曜日と挟みまして29日の月曜日になりましてから、もう一度6団体の会長さんが集まって夕方協議をした上で共同声明というペーパーをまとめて、さらにその上で記者会見に臨んでいるわけでございますが、その共同声明を見ると、これは6団体として出した共同声明ですが、その内容について見ると、多くの課題が先送りされるとともに、地方の改革案の趣旨からして不十分な点が多いとその中で指摘をして、そして、その後の記者会見の中で代表して知事会長の方から、今回は、結果は御存じのとおりと、6団体で相談し、不承不承、了承したということを月曜日に、またさらに日にちを置いて言っておりますので、恐らくそうしたことでその都度、その都度対応を6団体の会長で相談をして、その上でこういう対応をしていると受けとめております。
 この内容につきましては、それぞれいろいろ評価があると思いますので、それぞれの会長は会を代表する立場で、それぞれ6団体の会長の責任において行動されたのだろうと思いますけれども、私自身は、そういう知事会長のコメントもありますし、知事会長が先頭に立って地方分権確立のために闘う知事会として引っ張ってきたそういう功績も大変大きいですし、大変一生懸命やってこられたという評価をするとともに、その案自体の評価については、そうした6団体全体の評価とは別に、それぞれの知事の責任においていろいろなコメント、それから受け取り方があり得るものと考えているところでございます。
 それから、2点目、今後、知事としてこれについてどう行動していくかということでございますが、いずれにいたしましても、地方6団体の一致した行動ということが今回ここまでこの問題を引っ張ってこられたということがありますので、6団体一致した行動が行われるように常に関係するところと情報交換をよくして、一致した行動がとれるように知事会としても行動していくことが大事だろう。それから、二つ目は、地方側の意見の提示、すなわち先送りされた課題についてどう対応していくのか、それから交付税についてはこちらからも提言するということになっておりますので、そうした地方側として意見、考え方をまとめて提示していく作業がこちら側としても必要になっていく。
 それから、3点目としては、この問題についての論戦の舞台が今後は国会の方に移っていくわけで、これに今回の合意に基づく法律改正なども行われていくわけですので、各政党の皆さん方にも地方側の考え方を十分御理解いただけるように働きかけをしていくことが必要だろうと思います。それについてはいろいろ政党の方で公表しております政権公約などの評価ということを通じての働きかけも必要だろうと思います。それから、何よりも、昨日も申し上げましたが、国民世論への訴えが大事でございますので、そうした国民世論の支持を得られるような、そういう本当に地域に出ていってのこの問題の必要性、重要性についての支持を得るための行動が必要かと思いまして、そのことに今後は努力をしていきたいと考えております。
 次に、市町村合併後を見据えた県の役割、それから広域的自治体、そして県の自己改革の方向というお話でございます。
 県の役割、機能については大きく三つあると思っておりますが、一つは、広域的機能、広域的な課題に対する対応が一つ目。それから、二つ目は、連絡調整機能で、これは国と市町村との間に立った上の連絡調整や、市町村相互間の連絡調整を県が仲立ちをするといったような機能。それから、3点目は、市町村の行政に対しての補完的機能、いわゆる市町村の支援機能でございますが、こうした県の役割は大きく三つあると思います。
 本県では、こうした三つの機能のうち、特に広域的な課題に積極的に対応するための40の政策を初めとしたさまざまな施策を展開するということと同時に、市町村の支援機能、そうしたものも充実をさせる必要があるということで、市町村総合補助金や市町村への事務移譲、人材派遣といったようなことで、特にこの二つを大きな課題として今までとらえてきて行ってまいりました。
 今後については、これから地方分権改革や市町村合併の進展によりまして、市町村の規模、能力が拡大をして、より行財政能力が高まるわけでございますので、県の機能の中では、今申し上げました三つのうちの特に広域的な機能、産業振興や雇用対策、環境保全などについての機能を今まで以上に高めていきたいと考えております。
 それから、県の自己改革の方向としては、すべて住民の多様なニーズに対応していくものを公的なところがすべてをやるという時代ではなくて、やはり県民の皆さん方の力や、それからNPO等の民間組織、そうしたところと行政が対等なパートナーシップのもとで、そうした新しい関係を築き上げていくことが大事だと考えております。特に、県民やNPOとの連携ということを今後の重要な課題ととらえながら、県全体の発展につながる原動力を県が果たすように、そういう方向で努力していきたいと考えております。
 それから、道州制についてお話しございましたが、これについては第28次地方制度調査会の中で今検討が進められ、全国知事会でも研究会を発足して、私もメンバーですが、その中でさまざまな角度から今議論を展開しているところでございます。
 いずれにしても、この問題は地方分権の考え方にのっとって進めていかなければならないわけで、しかも、今の国と地方、そして、そこの中で県と市町村が果たす役割をしっかりと将来に向けて見直すということが大前提であると思っております。そこのところの議論を十分に行わないで、いたずらに制度論に走ってはいけないと思っておりまして、この中では、地方分権の考え方、それから近接性・補完性の原理ということを十分踏まえて、市町村が住民の生活に直接かかわる事務を、そして市町村の範囲を越えた広域的な事務について、今申し上げましたような都道府県あるいは広域自治体が担っていく、こういう役割分担で、もう一度この役割分担を見直すことを前提に進めるべきだと思います。
 この議論については、いずれにいたしましても、それぞれの地域が多様な選択肢の中から、みずから主体的に選択できる仕組みが必要だと思っておりまして、広域的自治体についても、合併というやり方もありますし、広域連合などのやり方もあります。それから、まだ制度はないわけですが、今申し上げました道州制のような制度もあるわけです。その中で、本当に地方分権に根づいた制度に仕上がるということを前提に、こうした道州制も都道府県のあるべき姿の有力な選択肢の一つと考えております。いずれにしても、県民や国民の理解がもう大前提でございますので、県でもフォーラムというものを構成してございますが、その中で幅広い議論を行っていきたいと考えております。
 それから、農業政策についてでございますが、特に、経営安定対策についてお尋ねがございます。
 農業が国民に対して食料を供給するという基本的な役割を担うと同時に、そのほか、いわゆる多面的な機能を発揮しておりまして、国民の暮らしと命を支える産業という位置づけである、このように認識しているわけでございます。
 一方で、我が国は、国土が狭隘で傾斜地が多いといったようなことで、生産コストが非常に高くならざるを得ない。グローバル化が進行する中で、この国際競争の中で農業振興を図っていくためには、諸外国との大幅な生産コスト格差を是正すること、これは不可欠であるととらえております。
 これは、国の政策としてぜひこの点を考え、実現していただきたいわけでございますので、今、国際的なルールでありますWTOルールの中で、削減対象となっていない緑の政策として位置づけられるものが幾つかございます。特に、EUの直接支払いのような制度については、我が国でも経営安定対策として早急に導入すべきと考えております。
 県では、こういう考え方で、ことしの6月に国に対して、担い手に対する経営安定対策の導入というものを提案いたしました。その中で、今言ったような、EUの直接支払いのような制度を本県なりに取りまとめて、そして提案しておりますので、今後におきましても、この構造改革に取り組んでいる県内各地域の経営体が、将来にわたって希望を持って農業に取り組むことができるよう、その必要性、重要性を国に対して訴えていきたい。そのときには、ことしの6月に提案したその内容を中心に国に理解を求めていきたい。そして、ぜひ政策として具体化するように働きかけをしていきたいと考えています。
 それから、新潟県中越地震についてでございますけれども、まず、この地震をどういうふうにとらえているかということですが、通信網や道路網が大変大きな被害を受けましたので、情報伝達がうまくいかず、集落が孤立するなど、その救出や被害の全貌把握に随分時間がかかっていると考えております。2点目は、全住民が避難を余儀なくされた山古志村に見られるように、これは中山間地域の特色だと思いますが、そこまでの大変な被害になっていってしまった。3点目は、開業以来初めて新幹線が脱線した。これは本県に非常に長い区間、新幹線が通っているわけで、このことも大変重大視しなければいけないと思います。4点目は、その後の余震が頻発したために、復旧作業がなかなか進まない。そして、避難者の増大をさらに引き起こした。こういった4点が大きな特徴だと思っております。
 そうした中で、初動応急対応について、今までとらえておりますところを言いますと、阪神・淡路大震災の教訓を生かした初動応急対策として、県単位、市町村単位、企業、それから団体単位の人的・物的支援が行われました。これは大きな力になっているのではないかと思います。また、救急・救助を担う消防、警察、自衛隊の初動対応には大きな成果が見られた。非常に早くからこういう点については対応が始まったと思います。
 しかしながら、一時的に避難所の不足が見られておりますし、車中泊を余儀なくされた被災者、それから、孤立したことによって避難所にも入れずに、ビニールハウスを避難施設として使用するなど、想定外の事態が発生して、避難所の支援、それからエコノミークラス症候群、そして、避難が長引くことによるストレスなどの健康対策といったことで、避難住民の支援について、多くの新たな課題が提起されたと考えております。
 本県の支援については先ほど申し上げたんですが、新潟県の災害対策本部に情報連絡員を派遣し、それから、被災市町村への避難所支援要員や救護要員など技術系職員の派遣、それから、食糧や物資の支援ということで、市町村にもお願いして支援を行っております。
 今後の防災対策についてでありますが、今回の地震災害には、やはり今回なりの新しい問題提起と特徴がございましたので、本県では、こうした現地での支援活動を通じてさまざまな体験をしております。また、新潟県や国、関係機関等では、今後詳細に検証を行うと思います。その結果がこちらの方に寄せられますので、こうした結果を県でつくっております地域防災計画に速やかに反映させるなど、これを貴重な体験として、本県の防災力向上に生かしてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業政策について幾つかお尋ねでありますが、生産構造の変革、あるいは安全・安心な食の提供、そういった喫緊の課題についてどのように取り組んできたかということについてであります。
 県では、農業の構造改革に向けて、集落みずからが戦略と目標を持って取り組む集落水田農業ビジョンの策定を支援してきたところでありまして、県内全集落の9割において約1、560のビジョンが策定されております。本年度は、これらの集落に対する集落型経営体の育成に向けた指導に重点的に取り組んでおります。その結果、これまでに16の地域で集落型経営体が設立されております。
 今後も集落型経営体の設立指導を引き続き行うとともに、集落型経営体につきましては、法人経営や税務管理などの指導を強化し、さらに、法人化に向けた取り組みにも積極的に支援していきたいと考えております。
 次に、安全・安心な食の提供についてでありますが、牛肉のトレーサビリティーはもとより、牛肉以外につきましても、これを広げていく、そういったシステム導入に向けた支援に取り組んでまいりました。その結果、本年度はピーマン、ホウレンソウ、アワビなど8品目で新たに導入され、導入品目は延べ20品目に拡大されたところであります。
 今後におきましても、関係団体との連携のもとに、さらに多くの品目でのシステム導入に努めるとともに、実施主体につきましても、その拡大に努め、消費者から信頼される我が国トップレベルの安全・安心の食を提供する産地形成へ向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、生産基盤の進捗状況と今後の見通しについてでございます。
 農業生産基盤の整備状況についてでありますが、新いわて農業農村整備計画では、平成22年度の水田、畑の整備目標率を70%と掲げておりまして、平成15年度末における整備率は、水田が59%、畑が61%となっております。
 とりわけ水田におきましては、緊縮型予算の影響から、平成14年度以降は整備量が減少し、平成16年度においては目標の6割の整備量にとどまる見通しであり、このまま推移すれば、平成22年度末の整備率は65%となる見込みであります。
 今後は、農政の最優先課題であります水田農業改革に向けた圃場整備事業に予算を重点化するなど、事業の選択と集中をさらに徹底するとともに、いわてNNスタンダード、いわゆる岩手版のローカルスタンダードでございますが、これの積極的な適用により、一層の効率化を図り、生産基盤の整備を推進してまいります。
 最後に、人材の育成確保や先進的生産施設の整備についてのお尋ねであります。
 人材の育成確保についてでありますが、これからの農業者は、農業に関する技術だけではなく、国際化、グローバル化に対応した人材として、経営や財務管理、マーケティングの能力を備えた経営者としての資質が求められてくることから、岩手大学などと連携しながら、岩手農業者トップスクールを開設するなどして、次世代に向けた農業者の育成を図っているところであります。
 また、先進的生産施設の整備についてでありますが、大型ガラス温室による先進的な施設園芸は、本県のような積雪寒冷地では、施設の耐雪強度の確保や冬期間の暖房費が割高となるなどの課題はありますが、常に一定品質のものを安定的に生産できる、そういった意味では、すぐれた栽培法であると考えております。
 ただ、他県の導入事例を調査したところによれば、やはり1ヘクタール当たりの初期設備投資が3億から3億5、000万円、運転経費が5、000万円以上必要になるなど、自己資本を充実することに加え、既存の農業経営と違う大規模雇用の労務管理や市場動向を先読みした計画生産など、緻密な経営管理能力が必要となってくるのではないかと考えております。
 県といたしましては、このような施設園芸の取り組みが出てきたときには、生産技術、財務管理や労務管理、販路開拓などのノウハウを持つ民間企業の力をかりることも必要であり、そうした企業とのコーディネート役や計画内容に応じた補助事業、あるいは融資制度の活用を通して支援してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 初めに、津波災害についての住民への周知と被害最小化の対策でございます。
 津波から生命を守る最善の方法は、日ごろの十分な備えと地震発生後速やかに避難するということでございますので、沿岸市町村と連携いたしまして、津波避難訓練や学習の場など、あらゆる機会をとらえまして、津波に対する正しい知識の理解促進を図りまして、住民の防災意識の高揚に努めてまいりたいと考えております。
 県では現在、地震・津波シミュレーション及び被害想定調査を行っておりまして、これを11月末までに終えまして、現在、精査をしているところでございますので、年内に公表いたしまして、市町村や関係防災機関へ配布する予定でございます。
 沿岸市町村におきましては、それをもとに防災マップを策定いたしまして、住民に周知するとなっております。県としましても、実効あるものになりますように、市町村を支援してまいりたいと考えております。
 さらに、住民みずからが地域ごとの津波避難計画の作成に取り組んでいただくことといたしておりまして、このことによりまして津波被害に対します認識を深めていただく。そして、自主防災組織の育成・強化を推進いたしまして、住民みずからの避難行動に結びつくようにしていきたいと考えております。
 次に、危機管理体制、関係機関との連携でございます。
 本県の危機管理体制といたしましては、災害発生時に迅速な初動体制を確立するために、夜間及び休日におきましても、管理職員及び一般職員の2名が待機するなど24時間警戒体制をとっておりまして、危機事案に応じまして、庁内及び地方支部職員を参集させまして、速やかに市町村及び防災関係機関との連絡体制を確保できる体制を整えております。
 防災、減災には、防災関係機関、企業、団体や県民それぞれの独自の対応力に加えまして、相互の連携というものが極めて重要でございます。
 県、市町村、国の出先機関などの防災関係機関は、県地域防災計画によりまして、それぞれの責務及び業務の大綱を定めておりますけれども、災害発生時には、主要な機関に県の災害対策本部に参加していただくなど、情報共有と連携を図りまして、迅速な対応をとることといたしております。
 また、自衛隊、警察との平常時から定期的な情報交換を図っておりますほか、関係団体と災害時における応援協定を締結しておりまして、応援体制を構築しております。
 こうしたことを踏まえまして、毎年度実施しております総合防災訓練、1.17合同防災訓練におきましては、防災関係機関と実践的な情報共有、応急対応の訓練を行っているところでございます。
 自主防災組織につきましては、この防災、減災というものは、公助、共助、自助それぞれの防災対応力のレベル向上にあると考えております。そうした中で、県民の防災意識の向上というのが極めて重要であります。特にも、本県の取り組みとして弱い部分であります自主防災組織の育成、こういったことに今後力を入れていかなければならないと考えております。
 防災、減災の取り組みは、地域、家庭、個人でできることは自主的に取り組んでいただくということで、県では、講習会、研修会等の開催を通じまして地域リーダーの育成に努めるほか、自主防災組織育成マニュアルというものも作成しておりまして、地域で自主防災組織の仕組みづくりが進むように支援をしております。
 また、先ほど申し上げましたように、住民参画で地域ごとの津波避難計画を作成することとしておりますので、そうした取り組みを通じまして、さらに自主防災力が強化されるように取り組んでまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 県内の特定建築物耐震診断や耐震改修の状況についてでありますけれども、建築物の耐震改修の促進に関する法律では、昭和56年の耐震基準改正前に建築され、延べ面積が1、000平方メートル以上かつ階数が3階以上の特定建築物について、その所有者は、地震に対する安全性を評価するための耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うよう努めなければならないとされております。
 県内における特定建築物の総数は1、164棟となっておりまして、特定行政庁である県及び盛岡市において、この法律が制定された直後及び三陸南地震の発生した昨年の2度にわたりまして、特定建築物の所有者に対し、文書により耐震診断を行うよう通知したところであります。
 また、2、000平方メートル以上の規模の大きな建築物や被災後の応急活動の拠点となる学校、病院等を選定して、所有者、管理者に対しまして、現地において耐震診断の実施について直接指導しております。
 平成15年度末現在における特定建築物の耐震診断件数は321棟であり、そのうち改修が必要なものが154棟となっております。また、平成7年以降耐震改修を行ったものが48棟、建てかえしたものが15棟、除却したものが14棟となっているところであります。
 今後とも、特定建築物の耐震診断や耐震改修の促進のため、文書による通知や毎年9月、3月に行っている建築物防災週間において、現地指導するなど、耐震診断、耐震改修の普及啓発を行ってまいりたいと考えております。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕

〇医療局長(千葉弘君) 県立千厩病院の産婦人科医師の確保の見通しと診療応援についてでありますが、千厩病院は、県立病院改革基本プランにおきまして地域基幹病院として位置づけており、東磐井地域の一般総合医療を担う病院として、基本診療科である産婦人科は必要なものであると考えてございます。
 常勤の産婦人科医師が退職の意向を表明した以降、これまで関係大学に引き続き医師の派遣を要請してきておりますが、従来から産婦人科を専攻する医師が少ないことに加え、本年4月から始まりました医師の臨床研修必修化によりまして、大学医局への入局者が2年間なくなるということなどによりまして、常勤医師の確保のめどは立っていない状況にございます。
 また、診療応援での対応についてでございますが、両磐保健医療圏の広域基幹病院である磐井病院からの診療応援につきましては、磐井病院自体が、現在、産婦人科医師2名の体制でございまして、自院の診療に加え他病院への診療応援の余裕がない状況にございます。そこで、隣の医療圏でございますが、県立大船渡病院から週1日程度の診療応援を実現する方向で、現在、調整いたしているところでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 指導力不足の教員数についてでありますが、平成15年度から指導力不足等教員に関する人事管理システムの運用を本格的に開始し、これまで6名の教員を指導力不足等教員と判定したところであります。そのうち1人は職場復帰、3名はみずから退職し、残り2名は研修を継続いたしているところであります。
 次に、指導力不足の判定についてでありますが、教科指導、生徒指導、学級経営などの専門性、保護者への対応や職場での人間関係に問題を有していると思われる者について、所属校で指導・研修、いわゆる校内研修をいたしましても、なお改善されない場合には、医療や法律の専門家、教員経験者などの外部の学識経験者で構成する指導力不足等判定委員会の意見を求めた上で、指導力不足等教員と判断しているものであります。
 この指導力不足と判定された教員に対しては、専門の組織を設置している総合教育センターにおいて、指導力不足等の状況に応じたきめ細かな研修を実施するとともに、所属校及び市町村教育委員会とも連携しながら、当該教員に対する相談、指導等を行っているところであります。
 次に、県立盲・聾・養護学校の再編整備についてであります。
 特別支援教育を推進するための制度のあり方については、現在、国の中央教育審議会において検討が行われており、去る11月26日に中間報告が公表されたところであります。この報告の中で述べられている特別支援学校―これは仮称でございます―とは、児童生徒の障害の重度・重複化に対応するため、現在の盲・聾・養護学校を複数の障害に対応する学校とすることを可能とするものでありまして、あわせて、この学校の機能として、小中学校等に対する支援など、地域の特別支援教育のセンター的役割についても言及されているところであります。
 本県では、既に平成15年度、昨年度から、盲・聾・養護学校の地域における特別支援教育センター機能充実事業に着手しておりまして、今後は、こうした取り組みについて一層明確な位置づけが可能になるものと認識しております。
 次に、盲・聾・養護学校再編整備に関する検討の状況等についてでありますが、県教育委員会では、本年6月に県立盲・聾・養護学校の再編整備に関する検討委員会を設置し、関係課による協議のほか、外部機関等からの意見を伺う会を開催するなど、特別支援学校への転換を含む今後の盲・聾・養護学校のあり方について総合的な検討を行っております。
 今後のスケジュールといたしましては、平成16年度末を目途に中間報告を取りまとめるものといたしまして、平成17年度にはパブリックコメントの実施等、県民の皆さんからの意見を聞きながら、再編整備計画を平成17年度末までには策定していきたいと考えております。
 次に、中高一貫教育校の設置についてでありますが、県教育委員会といたしましては、この件にかかわって、先ごろ住田町から積極的な提言をいただいておりますが、併設型の中高一貫教育校は本県初の試みとなることから、本県にとってどのようなタイプの中高一貫教育校が最もふさわしいのか、その設置理念や目的に基づいて、導入する地域、学校の規模、既存の中学校に及ぼす影響などさまざまな課題について、全県的な視野に立って、県民の理解を得ながら、導入に向けた準備期間も十分に確保しながら、総合的に検討していくべきものと考えております。
 なお、現在鋭意詰めております新整備計画後期計画にあっては、成案を得た後、これにより必要とする施設整備も含めて着実に推進することといたしまして、今回、この計画にお示しできなかった中高一貫教育校については、整備計画策定後におきましても、引き続き検討してまいりたいと考えております。

〇17番(千葉康一郎君) 御答弁大変ありがとうございました。私から3点ほどお伺いしたいと思います。
 まず、第1点の地震・津波対策の中でございますけれども、特に、県南は宮城県に近いものですから、宮城県沖地震がかなり心配なわけでございます。
 この間、私、宮城県庁に行ってまいりまして、宮城県庁の防災対策あるいはこの地震対策、それがどうなっているのかということを調査してまいりましたが、かなりのスタッフをもって、相当な大規模な防災のマップをつくったり、組織化をしたり、そういうようなことをしておりました。そのマップの中に色分けしておりましたのが、宮城県の部分ですから、宮城県でとまっておりますが、その色分けがこのままずっと岩手県まで延びるような、いわゆる北上川沿いがずっと、相当な震度で被害が及ぶという状況のマップでありました。
 ですから、私がここでお伺いしたいのは、宮城県とのいわゆる連携、これはどの程度行っておるか。これは、常に緊密な連携のもとにやっていただきたい。いずれ、県境議員連盟でもこういう問題については、ちょうど知事もその連盟の会議には出席していただいておりますけれども、宮城県と岩手県のそういう連携を十分とっていただいて、今後のあれをしていただきたい。その連携がどうなっているのかということを、まずお伺いしたいと思います。
 次に、順序からいって医療局長になっていますので、医療局長にお伺いしますが、先ほどの御答弁で非常に明るいものが見えてきた―幾らかですね、見えてきたなという感じをいたした次第でございます。というのは、大船渡から週に1日程度、何とかこっちへ派遣するようにしたいという考え方のようですけれども、今検討中であるということでございますけれども、それがいつごろから実現するものなのかということを、見通しをお伺いしたいと思います。
 それから、教育長にお伺いいたしますが、先ほど6名の方が要するに指導力不足教員であると判定をして、その対応をしたということですが、この指導力不足の先ほどの基準、ちょっと聞き漏らしたのですが、例えば飲酒運転だとか、あるいは交通違反だとか、さまざまそういう社会的にこれは先生にあるまじきじゃないかという、そういう方々はこれに該当するのかどうか。いわゆる、よく糖尿病などですと、糖尿病といえば今度はそれに近い人が予備軍となるのですが、この指導力不足教員に……(「予備軍」と呼ぶ者あり)予備軍……、そうです、予備軍があるのかどうか。これは早い段階から手だてをすべきではないかと思うのですが、これをちょっとお伺いしたいと思います。

〇総務部長(時澤忠君) 宮城県との連携でございます。
 昨年の三陸南沖地震、そして宮城県の地震を契機といたしまして、さらに宮城県との連携を強める必要があるのではないかということで、私ども、課長レベルでございますが情報交換を密にし始めたところでございます。例えば、情報ネットワークというものも、岩手県だけではなくて宮城県と一緒にやるということの方がやはり効率的でありますし、全体像がきちんと把握できるというようなこともございまして、そういったことも打ち合わせを始めております。また、宮城県沖地震を初めといたしまして、やはり国の特別立法が必要だということで、その特別立法は既にできましたが、その働きかけも岩手県と宮城県一緒になっていろいろと活動してきたところでございます。おかげさまで、日本海溝でずっと広い範囲での特別立法ができましたので、そういったことを踏まえますと、さらなる連携が必要であると考えておりますので、その部分についても配慮しながら、一層の取り組み、これは法律もできましたので国も交えながらの取り組みができないかということで、さらに打ち合わせをしてまいりたいと考えております。

〇医療局長(千葉弘君) 千厩病院の診療応援の時期でございますが、今、調整いたしております。できるだけ早くと考えておりまして、可能であれば年明けには何とかしたいと思っております。

〇教育長(佐藤勝君) 指導力不足の関係でございますが、指導力不足、これはまさに指導力でございまして、教師としての資質の問題ということになりますと二面あって、いま一つは指導力と、もう一つは職員としてのいわば倫理観とかそういうものをなかなか維持できない方という、そういう意味でとらえているかと思いますが、今回お話し申し上げた6人の方は指導力不足ということで、今、現実にまずは校内で普段の授業の状況等を見ながら、まず本人と校長が話し合って、そして教師自身もそれを認めて研修を受けるという意欲のもとに、それを指導しながらセンターでもう一遍資質を高めるための研修を行うというものであります。したがって、予備軍といいますか、これは日々各学校でそれぞれ管理している校長が教員の指導の状況を見ながら、そこから拾い上げていくというものになります。さっきの酒気帯びであるとか、あるいは道交法違反とか、これはまた別の問題になります。

〇副議長(菊池勲君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時39分 休 憩

出席議員(48名)
1  番 亀卦川 富 夫 君
2  番 中 平   均 君
3  番 ザ・グレート・サスケ 君
4  番 木戸口 英 司 君
5  番 関 根 敏 伸 君
6  番 野 田 武 則 君
7  番 平 野 ユキ子 君
8  番 高 橋 雪 文 君
9  番 嵯 峨 壱 朗 君
10  番 平   澄 芳 君
11  番 工 藤 勝 子 君
12  番 平 沼   健 君
13  番 柳 村 典 秀 君
14  番 飯 澤   匡 君
15  番 田 村   誠 君
16  番 大 宮 惇 幸 君
17  番 千 葉 康一郎 君
18  番 新居田 弘 文 君
19  番 工 藤 大 輔 君
20  番 川 村 農 夫 君
21  番 樋 下 正 信 君
22  番 照 井 昭 二 君
23  番 柳 村 岩 見 君
24  番 阿 部 静 子 君
25  番 阿 部 富 雄 君
26  番 斉 藤   信 君
27  番 田 村 正 彦 君
28  番 佐々木 順 一 君
29  番 佐々木   博 君
30  番 及 川 幸 子 君
31  番 阿 部 敏 雄 君
32  番 吉 田 昭 彦 君
33  番 小野寺 研 一 君
34  番 千 葉   伝 君
35  番 小野寺   好 君
36  番 伊 沢 昌 弘 君
38  番 吉 田 洋 治 君
39  番 佐々木 一 榮 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 渡 辺 幸 貫 君
42  番 高 橋 賢 輔 君
43  番 藤 原 良 信 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 藤 原 泰次郎 君
46  番 菊 池   勲 君
47  番 工 藤   篤 君
48  番 小 原 宣 良 君
51  番 佐々木 俊 夫 君

欠席議員(1名)
50  番 佐 藤 正 春 君

説明のため出席した者
休憩前に同じ

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ

午後3時59分 再 開

〇副議長(菊池勲君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   

〇副議長(菊池勲君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   

〇副議長(菊池勲君) 日程第1、一般質問を継続いたします。照井昭二君。
   〔22番照井昭二君登壇〕


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