平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(飯澤匡君) 岩手県競馬組合の経営問題について関連質問をいたします。
 先ほど、同僚の田村誠議員からの質問及び知事答弁によりまして、50億円貸し付けの背景については大方の理解をいたしたつもりでございますが、50億円の貸し付けなくして経営改革プランの実行ができないということでございます。
 私は、今般の議論の根幹は、改革の方針に打ち出されている官から民へ、この部分がどのように機能していくかにかかっているかと思います。地方自治体の財政に寄与せしめる従来の地方競馬の形態は既に終えんを告げたと、このように思っております。新競馬法をいかに生かすのか、その具体的な施策の実行、特に、民間委託の部分にかかっていると言って過言ではございません。
 販売収入計画では、民間委託部門の増加を平成18年度に49億円、19年度に81億円、20年度に102億円、25年度には122億円という数字が示されておりますが、具体的な民間委託部門の事業の概要と事業別にどれぐらいの金額を見込んでおるのか、お示し願いたいと思います。この部分が岩手競馬の再生の核心部分であると考えるので、明確に御答弁を願いたいと思います。
 昨日の質疑の中で、知事は、岩手競馬の存在意義を三つ示されましたが、2、800名を超える雇用を確保し地域経済に大いに貢献していると答弁されました。本日もその答弁がございました。私は、それに加えて、岩手競馬は大いなる貴重な地域資源だと思っております。その地域資源が、経営面において、現在、残念な状況に陥っているのは大変残念でございますが、今後、新競馬法を最大限活用し活路を見出すことは、価値に値すると考えます。
 また、知事は、岩手をこう変えますマニフェストの七つの重点施策の中で、21世紀型の新しい産業先進県を目指すとの具体的施策に、魅力ある地域資源を有効に活用し、とのくだりがありますが、知事として、地域資源の活用の点から岩手競馬をどのようにとらえているのか、まずお伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) まず、今、民間委託についてお尋ねございましたが、今回つくりましたアクションプランにおける販売収入拡大策のうち、この民間委託部門の営業目標でございますが、平成25年までに、まずインターネット投票などの民間委託効果によりまして87億円、街中小規模場外発売所の設置によりまして16億円、新しい投票法、これは3連複とか3連単でございますが、こういう新しい投票法の導入によりまして9億円、それから広域連携に係る共同場外発売所の設置、この部分で10億円、全体で、今のを足し合わせますとちょうど122億円になるわけでございますけれども、このように見込んでおります。それをまた、営業目標でございますので、各年度ごとにそれぞれの数字を持って、それで今、目標を立てているわけでございます。
 とりわけこうした民間委託につきましては、既に組合の方におきまして交渉を開始しております。民間企業数社と今交渉を開始しているわけでございますが、その中で、相手側に対しまして施設を購入あるいは賃借して営業できないか、こういったスタンスで、今、相手方に持ちかけているところでございます。
 また、先ほど申し上げましたインターネット投票などの場合のインターネットですけれども、これにつきましては、そうした交渉相手が持っている販売手段を活用した販売手法について交渉しているということでございまして、今の交渉の進展ぐあいを見ながら、さらに交渉相手の拡大をしたい、このように今考えているところでございます。
 それから、地域資源の活用についての関係でございますが、この岩手競馬が、馬産地としての歴史と伝統を有しているこの岩手に深く根づいているということで、県内外の多くのファンに親しまれている、これはそのとおりですが、そして、水沢の競馬場、盛岡の競馬場、それぞれが多くのファンを抱えております。
 とりわけ、このオーロパークの盛岡の競馬場は、オーロラビジョンなどの最新の施設も持っていますし、それから、地方競馬ではただ一つの芝コースも持っている、こういうこともございまして、この新しい競馬場も大変全国に誇れる競馬場ということでございます。水沢競馬場も、古くからの伝統と歴史の中で多くのよさを持っております。こうした岩手競馬が持っております競馬開催施設というのは、これは、やはり歴史と文化に長い間はぐくまれて醸成されてきたものでございまして、今、議員が御指摘ございましたとおり、これぞまさしく地域の貴重な財産である、このように考えております。
 今回、競馬組合が作成した改革案の中では、こうした地域の財産を十分に活用する、こういう考え方でつくられておりまして、岩手競馬を、岩手県を対象とした国内ツアーの一つの観光の材料、コンテンツとして位置づけることとしておりまして、例えば、県内の他の観光地、これは、小岩井であったり、平泉であったり、遠野であったり、さまざまな著名なところがございますが、そうしたところとタイアップした競馬場のツアーを企画して、ファンの誘致ということをあの改革案の中にも今、盛り込んでいるわけでございます。
 私は、この岩手競馬というのが、本県の馬事振興とか馬事文化にかかわっていると同時に、各種イベントが競馬場を会場として開催されるなど、地域活性化への取り組みに大いに活用されて、今後、グリーンツーリズムなどとも連動した観光資源としてもさらなる活用の可能性を秘めている、まさに地域の貴重な財産、地域資源ということで、それを大いに活用して、その効果を岩手競馬の経営の方にも充てるということで、地域に密着したみんなの岩手競馬の積極的な隆盛というものを図っていきたい、このように考えております。

〇14番(飯澤匡君) 何となく具体的にイメージがわいてきたような気がします。民間委託と申しましても、主催者は、あくまでもこれは地方自治体に残るわけでございまして、構成団体の中で県が一番構成比率を高く持っているわけですから、やはりこの県の姿勢というものは、私は、これからも非常に大きく影響を受けるのではないかと思います。
 また、日本の競馬は現在、中央、地方と二元性を保ったまま推移しておりますけれども、その壁というものは、ダート交流競争だったり、またJRAの委託販売等でその垣根はどんどん低くなってきていると私は感じております。JRAとの協調をどのように展開させていくのか、また、先ほど知事が、施設面でのこれからの委託、これをどのように活用していくかというようなお話もありましたけれども、私は、オーロパーク建設に伴う借入金が、今まで主催者に大きな負担となっている部分、この部分についても、JRAも含めて、いろいろと積極的にこの新競馬法をにらんで働きかけていくということ、これをもう少し柱にすべきではないかと思います。
 以前に累積赤字で岩手競馬以上に悩んでいた北海道競馬の明るい兆しというものが最近見られます。紋別競馬場スタンドの建設にJRAの支援は必要欠くべからざる要因であったと私は認識しております。また、JRAのみならず、先ほど申し上げましたように、新競馬法による事務の委託は、既に部分的な民間参入をしている大井競馬などの例を参考にしながら、その経営協力とともに進行すれば、私は、さらに効果が上がるものと考えます。
 ややもしますと今まで経営に対して県は及び腰であったけれども、50億円の資金貸し付けを決断したということは、岩手競馬再生に並々ならぬ県の意気込みを私は感じているところでありますが、改めて、私は経営管理者としての岩手競馬再生に向けた知事のかたい決意をお伺いして、この関連質問を終わらせていただきます。

〇知事(増田寛也君) この岩手競馬でございますけれども、これにつきましては、今回の改正法の趣旨を最大限に取り入れて、そして、まだまだこの競馬を健全経営な事業体として再生させるチャンスが大いにあると考えております。主体は公共団体という公的なところでございますけれども、これだけ民間の大いなる力を活用できる余地が開かれたわけでございますので、そうした新しいその力を最大限に入れるために、まず、発想する原点から全部それを変えて、そして、これからも新しい民間の力、企業の力というもの、取り入れられるものはすべて取り入れていく。そして同時に、やはり今、一番強い経営主体がJRAでございますので、JRAとの協調ですとかといったことも当然行って、すべての県の持てる力というものをこの岩手競馬の再生に注ぎ込んでいきたいと考えております。
 今回、こういう事態に至りましたことに対して、経営責任ということが当然出てくるわけでございますので、これも十分に意識しながらも、これの再生に全力を挙げていく、こういうかたい決意でございまして、ぜひ御理解をお願い申し上げたいと考えております。

〇議長(藤原良信君) 次に、千葉康一郎君。
   〔17番千葉康一郎君登壇〕(拍手)


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