平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(田村誠君) 政和会の田村誠でございます。
 一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝申し上げながら、通告に従い順次質問を行いますので、当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 ここで、質問に先立ち、新潟県中越地震により被災されました方々に、心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 まず、最初の質問は、来年度予算編成についてお伺いいたします。
 最近の我が国の経済状況を見ると、景気の先行きが懸念され、税制改革も増税路線にかじを切るなど経済情勢の不透明感が増す中で、国、県、地方を通じて、厳しい財政運営を余儀なくされております。
 このような状況において、本県では、行財政構造改革プログラムを着実に推進し、財政運営の健全化に向けて、給与費の縮減、補助負担金の見直し、大規模事業の見直しなどが進められておりますが、来年度においても大幅な財源不足が予測され、経常経費についてさらなる縮減努力を図るとされているところであります。このような財政状況においては、総花的事業の実施は困難であり、より一層事業を厳選し、重点化を図っていく必要があると考えております。
 今年度の政策評価結果を踏まえながら、来年度予算編成に当たり事業の重点化をどのように図っていかれるものか、まず知事にお伺いいたします。
 また、予算編成に当たり、財源不足をどのようにとらえ、どう対処していかれるのか、さらには、不透明化が増す三位一体改革により、今予想している財源不足額は影響を受けるのか、受けるとすれば、その不足額をどのように埋めていくお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、岩手県競馬組合に対する50億円の資金貸し付けについてお伺いいたします。
 岩手競馬は、これまで構成団体に407億円もの利益配分を行っており、うち岩手県には約240億円が配分されております。また、約2、000名にも上る競馬従事者がおり、もしなくなった場合、岩手県経済への影響ははかり知れないものがあると思います。
 我々議員の多くが、岩手競馬の再生を願い、さまざまな角度から調査検討してまいりました。県競馬組合では、9月に民間から柴田さんを迎え入れ、改革に向け一層拍車がかかったようであり、先般発表された改革の実行計画は、これまでの競馬組合とは大きく変わっていこうという強い意思が感じ取られる内容であり、関係する団体に多くの犠牲を強いる以上、みずからも身を切る覚悟が必要であり、その意味で40名にも上るリストラは、辛いものとは思いますが、やむを得ないものであります。
 地方競馬は総じてどこも厳しい状況にありますが、しかし、私から見て、これまでの地方競馬は、興行としての営業努力が十分だったのか疑問が残ります。そこに改善の余地が大いにあるのではないかと思います。
 分野は違いますが、最近の報道を見ていると、例えば、廃止も検討されていた旭川の旭山動物園が、8年前から取り組んでいる行動展示というアイデアにより、ことし上野動物園を抜いて全国一の入園者数になることが確実になっておりますし、また、国民宿舎といえば、あちこちで廃止が相次いでいますが、茨城県にある鵜の岬という国民宿舎は、年間宿泊者数7万人、宿泊率97.7%を誇り、3カ月前の予約日には3、000本の電話が殺到するとのことであります。このように、ようはやりようであります。職員が一丸となって取り組めば、かなりのことが可能となり、その意味からも、民間からの登用を大いに期待したいと思います。
 このような中、県では、競馬組合に50億円を貸し付けしたいとの提案を行うわけですが、世の中が不景気で県財政も極めて厳しい中、このような多額の資金貸し付けを行うことは、県民感情からしてなかなか理解が得られないのではないかとの県民の意見もありますが、知事は、どのようなお考えで50億円の貸し付けを行おうとするのか、御所見をお聞かせ願います。
 次に、防災対策について、関連する事項も含めてお伺いいたします。
 6、000人以上もの犠牲者を出した阪神大震災から10年がたとうとしている中で、昨年の三陸南地震、10月23日の新潟県中越地震が起きました。今なお多くの住民が避難生活を余儀なくされ、その被害額は、新潟県の発表によると、公共土木施設や新幹線、関連自動車道などインフラへの被害が1兆2、000億円、判明分だけで1、300億円となっている農林水産被害が、最終的には4、000億円を上回ると推計し、住宅、商工業、電気、水道、ガスなどライフラインなどで計3兆円程度になると見込んでおり、闘牛で本県の山形村とゆかりが深い山古志村が全村壊滅状況になるなど、未曾有の大災害となりました。被災住民の方々にとって、一刻も早い民生の安定を切に望むものであります。
 地震直後、連日報道される被害地の映像は、日本の建物は地震に強いという通説を覆し、想定していなかった災害、大規模土石流による土砂災害、天然ダムによる洪水被害への対応など自然の猛威に対する行政の様子は、安心・安全社会の構築が果たして十分であるかということに疑問を投げかけているものと感じております。複数のプレートの上に位置し、約2、000もの活断層が縦横に走る地震列島に住む私たちにとって、日ごろから災害に対する備えの大切さを改めて見直す機会ではないかと考えております。
 そこで、まずお伺いいたしますが、新潟県中越地震の発生に伴い、全国からさまざまな支援がなされていますが、県としてどのような支援を講じてきているのか、また、今後支援をどのように続けていくお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、阪神・淡路大震災や岩手の火山活動の活発化に伴い、県では、地域防災計画を改定し地震への体制を整えてきているものと承知をしておりますが、このような未曾有の被害をもたらす大地震への備えとしてこの計画を見直す必要はないのか。特にも、ライフラインの危機管理、倒壊住宅への復興対策など、見直しをしていく必要がないのか、お伺いいたします。
 次に、私は昨年の三陸南地震被害において、大船渡港の液状化の状況を取り上げ、また、横浜市や東海地震が予測される静岡においても、液状化マップを作成し、地域防災対策を進めていることを紹介し、地域住民の不安を解消するためにも液状化マップの作成を行うべきであると提言し、県では、その作成に前向きの御答弁をいただいているところでありますが、その作成に向けた取り組み状況についてお示し願います。
 次に、新潟県中越地震により道路が寸断され、新幹線の地震への安全度に対する神話も崩れるなど、甚大な公共施設災害の状況が報道されております。私は、災害による集落の孤立化を防ぎ復興対策を早期に進めるためにも、このような公共施設の防災対策を今後重点的に進め、有事に備えていく必要があると考えております。
 県においては、現行の道路、河川、トンネル、橋梁などの公共土木施設の震災に対しての安全度をどのように把握しておられるのか、また、防災対策をどのように進めていくお考えなのか、お伺いいたします。
 さらには、昨年の三陸南地震によるがけ崩れや地割れの実態調査を実施されたものか、その調査結果により、予測される危険箇所への対策をどのように講じていくのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、港湾整備についてお伺いいたします。
 過日、港湾議員連盟の企画で中国の上海市と大連市の港湾並びに水産の現状について調査研究をしてまいりましたが、今日の中国は、まさに各般にわたり大変貌をなし遂げようとする大きなエネルギーを感じるとともに、脅威すら感じてまいりました。特にも、大連市では熱烈大歓迎を受け、岩手県との連携強化に大いなる期待を寄せており、花巻空港との定期便就航や経済交流の促進などの話題も提起され、当県でも事務所開設の計画があり、時宜を得たものと敬意を表する次第であります。中でも、地の利を生かした港湾整備については、規模の違いは別として、今後の物流の主流となるものと確信をしてまいりました。
 そこでお伺いいたしますが、県として、岩手県港湾ビジョンを策定、定期航路の誘致、物流の効率化などにより物流拠点を形成するとともに、大規模地震時における物流の確保や津波防災に対応した防災機能の強化、マルチモーダルの推進による地域環境の保全などを目指し、豊かなまちへ未来は港からとのキャッチフレーズのもとに、港湾の振興を掲げております。私も、本県は三陸の海を通じて世界に通じ、港湾振興を図りながら沿岸を活性化することにより、地域全体の振興につながるものと考えております。
 港湾の重要な役割として物流の拠点機能が挙げられますが、本県の長距離貨物輸送は、自動車利用と比べ海運利用が約3割と少なく、本県を発着地とする内貿ユニットロードは、現在、県外の港湾を利用し陸路で運搬されております。また、外貿コンテナ貨物は、そのほぼ全量が仙台塩釜港、八戸港や京浜港へ自動車で運搬されています。
 私はこのことから、多くの企業が立地している北上川流域から港湾へのアクセス機能の強化を図るため、東北横断自動車道釜石秋田線や地域高規格道路、宮古盛岡横断道路、一般国道281号、107号、397号などについて、今後さらに整備を促進するとともに、また、機能分担された港湾間の連携を図るため、三陸縦貫自動車道などの港湾間を直結する道路整備を進めることにより、強固な物流ネットワークを形成しながら港湾整備を進めていくことが、重要な課題であると考えております。
 地球環境の保全のためにも、長距離輸送における海運利用の促進が課題となっていると考えておりますが、物流拠点としての港湾に対する現状認識と、港湾並びに道路などインフラ整備計画の推進状況と今後の対応について、まずお示し願います。
 また、県は、重要港湾の一つである大船渡港湾を物流ネットワークにどう位置づけ整備を進めていくお考えなのか、また、ガントリークレーンの設置を含めた地域要望への対応と周辺関連施設の整備の推進状況はどのようになっているかについてお伺いいたします。
 次に、岩手県沿岸地域の基幹産業である水産振興についてお伺いいたします。
 総合計画における水産業振興関係の主要指標の到達度を見ると、漁民を初め、関係者の血のにじむような努力にもかかわらず、つくり育てる魚介類の生産額のうち、サケは到達度がマイナス102.9%、アワビ3.2%、ウニ86.3%、ワカメマイナス184.6%と、いずれも到達度が低い状況が続いております。
 我が国では、国民のライフスタイルの変化を背景として、家計の食料消費支出に占める調理食品や外食費の割合が拡大し、魚介類購入費の比率は低下する一方、主な購入先はスーパーに移行しており、需要者側から供給側に対して、商品の定時、定量、定規格、定価格の要請とともに、これまで以上に低価格に対する要請が強まってきております。
 外食産業や小売段階での競争が激化し、これらの需要者が、内外問わず、求める価格、品質、品ぞろえの実現を図ろうとする中で、今後とも我が国の水産業が健全な発展を図っていくためには、近年、国民的関心が急速に高まっている食品の安全・安心の確保に努めるとともに、付加価値向上や低コスト化に対する取り組みを一層強化し、消費者の期待にこたえ、国際的な競争力を高めていくことが課題となっていると考えております。
 一方、水域の環境を見ると、漁業や養殖業にとって重要な沿岸地域などの水域環境は、工業排水や生活排水等の流入、藻場・干潟の減少、埋め立てなどの影響を受けやすく、中でも藻場は、水産動物にとって産卵や稚魚の生育の場であり、その消長が沿岸漁業に大きな影響を及ぼすと考えられますが、その消滅要因が不明なものが約4割にも上っております。平成15年には、前年に引き続き大型クラゲが大量出現し、操業に悪影響を与えました。しかし、大量出現の原因の要因もまだ未解明となっております。
 水産業が、諸外国からの安価な輸入水産物の急激な増加が続き、加えて、病害虫の発生や低気圧災害により甚大な被害が生じるなど、まことに厳しく、将来の経営維持も危ぶまれる状況において、知事は、この課題をどのように克服し、生産の維持向上を図り、漁民はもとより、加工業者や関連する人々が安心して従事できる水産業の確立を図ろうとしておられるのか、まずお示しをいただきたいと思います。
 さらに、安全・安心で低価格の付加価値の高い水産物の生産と水域環境整備にどう取り組まれていくのか、お伺いいたします。
 次に、販路拡大対策についてお伺いいたします。
 私は、機会をとらえて沿岸地域の活力の源は、浜がよければ陸もよい、いわゆる、いかに生産者の所得向上につなげるかにあり、そのために漁協の体質強化やグリーンあるいはブルーツーリズム事業、地産地消など、さまざま事業に取り組んでまいりましたが、なお一層の拡大に取り組む必要があると考えております。
 さきにも申し上げましたとおり、大連市訪問の折、中国では海産物の食事は少ないと思っておりましたが、海鮮料理で歓迎を受け、全く認識を改めさせられてまいりました。もし13億人を超えると言われる中国国民が、ワカメを初め、当県海産物になじみ消費に結びつくとすれば、大変な販路拡大につながるものと存じます。これまた、当県の港湾を活用した輸出拡大にもつながるものであり、増田知事は、常に食料基地としての岩手を標榜し、これまでも各般にわたる施策を展開してまいりましたが、せっかく開設する大連経済事務所の大きな事業の一つとして積極的に取り組むべきと思いますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 また、去る11月16日、知事も参加し開催された懇談会で、県外出身者の若者がインターネットで三陸の海産物を直送販売する、三陸とれたて市場の代表者と意見交換を行う機会があり、私も参加いたしました。全く新しい発想でお客様ニーズにこたえ、年間売り上げも4、000万円に近づくなど、大いなる期待が持て、漁協や漁民の方々の期待も高まっております。これは、若者のアイデアを地方振興局が取り上げ、浜の活性化に結びつけた成果であり、高く評価するものであります。
 今後、代表者の話では、農産物を初め、地元生産者と一体となり、都市部にはない、物と心がふんだんにある三陸産のよさとおいしさを演出し、多彩な要望にこたえながら拡販に結びつけていきたいと張り切っており、大変心強いものを感じてまいりました。
 こうした新しい取り組みこそ、実際に販路拡大につながり、今日漁民が抱えている後継者不足の解消にもつながるものと思いますが、今後、このような若者たちの取り組みへの支援策と、さらなる販路拡大についての県の取り組みについて、お示し願います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 全国的に景気の回復基調にあるとされる中、本県の雇用情勢は、数字の上では改善の兆しが見られるものの、回復の速度が遅く、依然として低迷状態に置かれております。特に、若者の雇用情勢については、企業が即戦力志向を強める中で、新卒者にしわ寄せが出ており、また、就職してもすぐやめてしまう、いわゆる早期離職の増加、フリーターや就労意欲に欠けるとされるニートの存在など、社会全体の中で解決を図っていくべき課題が山積しております。このことは、地域における将来の産業人材確保の観点からも重要な問題であり、国、県、市町村のみならず、地域の経済団体やNPOなどが連携を強めて取り組むことが重要であると認識しております。
 このような観点から、若年者の就職支援対策について順次お伺いいたします。
 第1は、県では7月に国のモデル地域指定を受けてジョブカフェをオープンさせ、本格的な若年者の就職支援を開始したが、これまでの利用者の状況、そして、利用者のうち何人が就職に結びついているのか、お示し願います。
 第2として、また、このジョブカフェの機能を県内各地域に広く波及させていくことが期待されておりますが、先日は宮古市にサテライトセンターが設置され、今月には久慈市にもサテライトセンターがオープンすると聞いております。それ以外の地域における今後の見通しはどのようになっているのか。
 第3は、現在、高等学校に就職支援相談員が配置され、就職希望者の相談に乗ったり、求人情報の収集などに当たってきたとされておりますが、これまでの事業実施の成果をどのように評価しているのか、また、就職支援相談員の配置が国の緊急雇用対策基金を財源としていることから、基金の事業が終了した後の対応はどのようになっているのか。
 第4点は、来春の高校卒業予定者に係る就職内定率が先ごろ発表され、数字の上では前年同期を上回るものの、特に、地元就職希望者にとっては苦戦が続いていると報道されております。学校現場ではこれらをどのように受けとめておられるのか、また、地元就職希望者への支援は学校ごとの取り組みを中心に進められてきているが、地域経済社会全体での支援が今こそ必要と考えております。教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、自然保護対策についてお伺いいたします。
 本年、機会があって早池峰山、岩手山に登ることができ、改めて岩手の自然が豊富で、質の高さを実感するとともに、これまで長年にわたり保護、管理に当たられた関係各位に対して感謝申し上げたいと存じます。そうした関係者の努力により守り育てられた、大変すぐれた自然の保全と活用が課題であることも、再認識したところであります。
 近年、自然志向の高まりなどから、自然豊かな本県の山に県内外から多くの登山者が訪れ、中高年の登山ブームとも言われております。そのような状況の中で、足腰の決して丈夫でない人たちが登山できるよう受け入れ態勢を整えていくことも必要と考えますが、それらの対策はどのようになっているのでしょうか。
 また、貴重な動植物が多数生息している早池峰山では、オーバーユースによる自然の損傷も指摘されているところであります。官と民が連携し、その保全に取り組んでいると聞いておりますが、さらなる保護施策の推進には、保護監視体制の充実とともに、登山道や施設などの環境整備が早急に必要と思いますが、整備計画はどのようになっているかについてお伺いいたします。
 さらに、保全と多面的利用をどのように調整していくお考えなのか、お伺いいたします。
 最後に、障害児の医療と療育医療体制の拡充についてお伺いいたします。
 本県では、小児のさまざまな発達機能障害に関する保健・医療・福祉、そして教育など、総合的に施策が展開されているものの、少子・高齢化現象など急激な社会情勢の変化を背景に、多くの問題が生じてきております。
 まず第1に、障害児療育担当小児科医師の不足が深刻化していることが挙げられます。第2には、医療・保健・福祉、教育がそれぞれ実施され、連携、いわゆるシステム化が不十分であり、一体的支援の仕組みが求められていること。第3は、入所施設やデイサービス事業所など、療育資源の地域偏在が顕著であることなどであります。
 県保健福祉部の昨年3月時点での調査結果によれば、18歳未満の障害児数は2、357人、1年間の障害児出現数は330人、1歳6カ月児の健診における有所見者数は、年2、300人、20%にも達しており、安心して子供を産み、育てられる環境をつくり、発達機能障害を持つ子供に対応した支援システムの確立が急務であると考えるものであります。
 そこで、お伺いをいたしますが、昨年6月に、岩手県障害児医療福祉を推進する会が(仮称)岩手県総合療育センター設置構想を提言いたしました。これは、目的として、種々の発達障害及び慢性疾患を持つ小児の早期診断、治療と療育指導を実施するとし、そのことにより障害児と保護者の幸せな生活支援を目指し、医療と福祉体制の充実を目的としており、私は時宜にかなった提言であり、具現化を目指すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 また、県はこの10月に、岩手県障害児療育のあり方検討委員会を設置し、学識経験者、医師、関係機関、団体から構成されていると仄聞しておりますが、今後どのような検討と進め方がなされ、提言や答申が施策にどう生かされていくのか、スケジュールを含めてお伺いをいたします。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成17年度の県の予算編成に当たりましては、厳しい財政環境を踏まえまして、県税収入の確保や未利用県有地の処分などによりまして自主財源の確保に努める一方で、政策評価を一層徹底させて、各経費間の優先順位の厳しい選択を行うことによりまして、さらに創意と工夫を凝らして、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めていきたいと考えております。そのために、例えば公共事業につきましては、所管部局ごとではなくて、例えば、快適とか安全などの分野にもう一度これを、部局間を越えてくくり直して、その中で重点化を図る。今、快適、安全、農林水産基盤、高速交通、地域交通といったような大くくりの重点分野を考えていますが、こうした分野ごとにくくり直して重点化を図る。そして、その上で政策評価結果を踏まえて、特に注力すべき分野への配慮を行うといったことで、さらに事業の重点化を図っていく考えでございます。
 それから、来年度の財政収支見込みでございますが、これにつきましては、今見通しですが、一般財源ベースで歳入が5、328億円から5、389億円まで、少し幅がありますが、歳入がこのぐらい、それから歳出が5、643億円。この財源不足額、これがすなわち歳入歳出のギャップになりますが、これが254億円から315億円、少し幅がございますけれども、この程度の幅の中で財源不足額が生ずると考えております。この財源不足額の解消を図るために、補助負担金の見直しなどさらなる歳出削減策を今検討しているところでございますが、それと同時に、経常的経費などにもやはりメスを入れる必要がありますので、一定の削減率を設定して、そして削減を検討しております。
 なお、不足する額につきましては、特定目的基金の活用など財源確保対策により対応していく考えでございますが、こうしたことすべてを行いましても、最大不足額を前提に考えると、なお50億円ほどの財源不足額が見込まれておりますので、今後の予算編成を通じてこの解消を図るよう、今努力をしているところでございます。
 なお、国の三位一体の改革では、昨日も申し上げましたけれども、まだ詳細明らかになっていないのと、それから地方財政計画の見直し内容や来年度の地方交付税総額が不明でございますので、本県財政への具体的な影響額を今試算できない状況にもございます。しかし、地方交付税の削減の動きなどがございますので、そうしたことが行われないように、これからも働きかけを強めた上で、適切な予算編成に努力をする考えでございます。
 次に、岩手競馬について何点かお尋ねがございました。
 この競馬組合の経営問題についてでございますが、これにつきましては、昨年度、県におきまして有識者によります岩手競馬のあり方懇談会を設置、開催をいたしまして、ことしの3月に報告書をいただいたわけでございますが、その中で、歳入不足がこれ以上増加するのであれば、期限を定めた廃止を決断すべきである。そこのあり方懇談会の中ではこのような御意見をいただきました。
 私は、こうした報告に対しまして、岩手競馬には2、800人に上る関係者がおりまして、雇用への影響が大変大きいこと。それから、約260億円に上る負債がございまして、破綻した場合の県民への負担が大きいこと。その一方で、全国有数の競馬場でございますオーロパークがございまして、この活用を図ることによりまして発展の可能性を十分に秘めていること。特に当時、競馬法の改正が予定されておりまして、私人への委託や複数主催者の共同事業に対し国の支援が得られるなど、今までとは違ったやり方が可能となること。こうしたことを考え合わせまして、水沢、そして盛岡両市長とも協議をして、競馬組合に抜本的な経営改革を実行させて、その結果を見て判断をするとしたわけでございます。
 競馬組合がこれを受けて改革案を策定したわけでございますが、私は、そのことにつきまして改正競馬法の精神、趣旨をどこまでその中で取り込めるか。そして、もう一つは、従来にない発想で改革に取り組めるか。この二つが重要なポイントであると見ていたわけでございますが、今回の改革案はこの趣旨を十分に取り入れたものとなっていると考えております。例えば、民間委託につきましては、今民間企業数社と交渉しているほか、九州とのシステムの共同導入について大筋で合意を得ていると組合から聞いておりますし、さらに、組合と競馬振興公社を一元化してスリム化するとともに、委託先につきましてもこれ以上ないほどのコスト削減を求めるなど、既に組合として具体化に向けて動き出しているわけでございます。私は、この改革案が確実に実行されれば組合は必ず再建をされると確信しているわけでございます。
 このように実効性の高い計画ができたと評価しているわけですけれども、一方で、現実、組合の資金繰りが大変厳しい状況にあるということがございまして、組合の方におきましては、現在融資をしていただいている銀行の借り入れが既に100億円を超えている状況でございまして、諸般の事情を考慮すればこれ以上の融資を受けることは難しいと、こうした判断で今回県に50億円の貸し付けを要請してきたものでございます。当然組合が市中銀行から調達すべきだとの御意見もいただくわけでございますが、私としては、今申し上げましたように、このアクションプランを高く評価しており、その組合の厳しい資金繰り状況を踏まえますと、県が今この貸し付けを行わなければ、実行計画の実現が非常に困難となりかねないとの判断のもとで、貸付要請にこたえようとしたものでございます。もとより、貸付実行した後は、貸付側といたしまして計画の進捗状況をチェックして、適切な進行管理を行っていきたいと考えております。
 新潟県中越地震についての県の支援でございますが、まず、10月23日の夕刻に発生したこの地震が、広い範囲で、しかも最も重要な交通網の寸断や地すべり、土砂崩れなど想定をはるかに超える被害をもたらしたわけでございます。本県におきましては、地震発生直後に、救急・救助など緊急消防援助隊の支援要請への対応や、さらには、情報収集のために防災担当職員が直ちに登庁し対応したほか、発生の翌々日――25日の月曜日でございますが――この日に新潟県の方に支援ニーズの情報収集のため、新潟県の災害対策本部に情報連絡員を派遣したところでございます。
 具体的な支援としては、新潟県や国の要請に基づきまして、まず被災市町村への避難所支援要員、それから医療・救護、心のケア要員、さらには応急危険度判定、土木施設復旧、下水道復旧、農業施設復旧の技術系要員など人的派遣を行いましたほか、食料の供給支援、それから救援物資の支援を行いました。なお、現在、公共土木施設の災害復旧支援要員4人も今も現地に派遣をしているところでございます。県が現地の支援活動を通じて得ました情報は、県内の市町村にも提供いたしまして、県内の市町村におきましても自主的支援として人員の派遣、さらには物資の提供等を行ったところでございます。
 今回の県の支援は、災害時の北海道・東北8道県相互応援に関する協定に基づく対応、そして国の要請による対応、さらには自主的な対応によって行ったところでございますが、今後とも現地の要請に応じて支援をしていきたいと考えております。また、この現地での支援活動というのは、本県の防災力向上の観点からも大変重要でございますので、県の地域防災計画の見直しなどに役立てたいと考えております。
 水産業の関係につきまして何点かお尋ねいただいております。
 まず、水産業確立の基本的な考え方でございますが、本県の水産業を取り巻く環境ですけれども、秋サケの不漁と価格の低迷、漁業就業者の減少と高齢化、輸入水産物との競合など、今厳しい状況にございます。このため、秋サケの増殖体制の強化やアワビ、ウニ資源の有効活用などによるつくり育てる漁業の推進、それからヒラメ、カレイの小型魚保護などによる資源管理型漁業の振興、これは生産面での大きな柱でございます。それから、ワカメ、カキ、ホタテガイなど養殖業の生産構造改革の推進による経営規模拡大と所得の向上、これはいわば担い手対策ということになりますが、こうしたことを行いまして、生産性の向上と経営安定を図って、漁業者や水産関係者が安心して従事できる水産業の確立を目指していくこととしております。
 それから、中国における販路拡大ということでございますけれども、中国に向けて水産物を輸出することは、本県水産業の飛躍的な発展につながる可能性を秘めていると考えておりまして、本年の11月ですが、岩手県の農林水産物を調査するための貿易考察団を中国から招聘いたしました。私もこの中国からの貿易考察団の皆さん方にお会いをいたしましてプロモーションを図ったところでございますが、また、県内の各地域を御視察いただきました。県内の産地案内や地場産品の試食会を通じて産地関係者との情報交換などを行って、こちらからの中国への輸出に向けて大きな手ごたえを感じたところでございます。来られた皆さん方は、特にこちらのサケの加工品やアナゴの缶詰など水産物に強い関心を示されたわけでございますし、また、県内農林水産物の品質、特に水産では水産物市場の衛生管理についても高い評価を得たところでございます。
 今後、中国への輸出を円滑に進めるにつきましては、これは未知の分野でございますので、来年度に設置を予定しております大連事務所がございますが、この事務所の事業の大きな柱の一つとして販路拡大というのがございまして、これに積極的に取り組むこととしてございますが、そこを拠点として商慣習の調査や需要・価格情報の収集・分析を行うとともに、県産品フェアや商談会の実施などによりまして向こうの消費者ニーズの把握などに取り組み、中国における販路拡大を図っていきたいと考えております。
 それから、県のネット関係での販路拡大についての取り組みでございます。このいわゆるネット市場というのは、新鮮で旬な農林水産物を、自宅にいながらにして、産地にいるような臨場感を持って、いつでも購入できる仕組みでございまして、消費者や外食産業のニーズに合致をした新たなビジネス形態として、これも大いに発展する可能性を持っていると認識をしています。今、議員からお話しございました三陸とれたて市場でございますが、県外出身の北里大学水産学部の卒業生と、地元の漁業後継者などの若者が共同で設立したいわゆるネット市場でございまして、この立ち上げに当たりましては、公募型事業として県が実施をいたしましたIT活用型アグリビジネス支援モデル事業を使って支援したものでございまして、この農林水産分野におけるITを活用したニュービジネスの成功例として大変心強く思っているところでございます。
 今後、この成果を広く普及するとともに、こうした意欲ある若者だけではなくて、漁協や水産加工業者もネット市場を新たなビジネスチャンスととらえて、もっと積極的に参入していただきたい、このように県では考えております。県でも、先ほどのモデル事業はまだ来年に向けて継続をいたしますし、県もさらにITを活用した受発注システムなどソフトウエアの開発や消費地とのネットワーク拡大などの取り組みに対して、積極的に支援をしていく考えでございます。
 最後に、障害児の医療と療育医療体制の拡充ですが、(仮称)岩手県総合療育センター設立構想ですけれども、この構想、県内の医療関係の有志による提言でございまして、本県の障害児療育につきまして、治療、診断、相談、地域支援など多岐にわたって取りまとめられたものととらえております。構想の趣旨は、かねてから県が課題としてとらえていた内容と共通する部分があり、大変示唆に富んでいるものと考えておりまして、こうした中で、県でもことしの8月に医師や学識経験者から成る岩手県障害児療育のあり方検討委員会を設置したところでございます。この検討委員会の中で、今年度は障害児療育に係る基礎データの収集・分析を行うと同時に、肢体不自由児施設県立都南の園のあり方を中心にここで検討を行う。さらには、平成17年度は障害児療育のあり方全般について検討する予定にしております。
 いずれにいたしましても、こうした検討結果を受けて本県の障害児療育について、財政的な状況も一方で勘案しながら、民間を含め既存の施設の活用や連携を図るなど、多角的な方法で対応していくことが重要であると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、地域防災計画の見直しでございます。
 新潟県中越地震に際しまして、本県から行政、防災関係機関など相当数の人員が現地で支援活動に従事したわけでございますが、現地活動を通じまして得られた経験、情報は、今後の本県の防災対策を考える上で極めて貴重なものと考えております。参加者によります情報交換会を早速開催いたしたところでございます。問題点、課題等を抽出しまして現在整理を進めているところでございます。
 また、今回の地震災害につきましては、今後新潟県や国、関係機関等によっても詳細に検証が行われるものと考えております。こうした成果につきまして、今後市町村等に提供を行うほか、県として対応すべき事項につきましては、できるものから順次対応していくこととしておりまして、地域防災計画に反映させるなど、本県の防災力向上に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、液状化マップの取り組みでございます。
 本県の液状化地域につきましては、平成10年3月に実施をいたしました地震被害想定調査で、沿岸部の一部地域に液状化の可能性が高いと想定される場所が判明しております。現在、県におきましては、今後高い確率で発生が予想されております宮城県沖地震につきまして、地震・津波シミュレーション及び被害想定調査というのを行っております。その中で液状化危険度地域の分布図を作成することとしておりまして、この地震・津波シミュレーション及び被害想定調査は11月末までに終えておりまして、現在その精査をしているところでございます。年内に公表することとしているものでございます。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) まず、公共土木施設の防災対策についてでありますけれども、橋梁、河川堤防などの公共土木施設の震災に対する安全度についてでありますが、現在、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に見直しました道路橋示方書、河川砂防技術基準案等の耐震設計基準に基づいて設計をしております。橋梁につきましては、マグニチュード7クラスの内陸直下で発生した阪神・淡路大震災級の地震にも耐えられるよう建設をしております。また、この新しい耐震設計以前の基準によって整備されました公共土木施設につきましては、阪神・淡路大震災後に震災点検を行っておりまして、例えば対策が必要な橋梁は678橋となっておりますが、そのうち平成16年度までに396橋の耐震・橋脚補強が完了しておりまして、河川堤防におきましては、緊急性の高い閉伊川などの6河川で液状化対策を講じたところでございます。
 次に、防災対策の進め方でありますが、これまで岩手県地震防災緊急五箇年計画に基づきまして、地震発生時の緊急輸送を確保するために必要な道路について、改築やのり面崩壊対策等の災害防除及び橋梁の補強などを行っておりまして、特に横断軸を形成します国道106号や国道107号など重要な路線から優先的に整備を行っているところであります。今後も公共土木施設の定期的なパトロールを行うなど、適正な管理に努めますとともに、計画的な整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、がけ崩れや地割れの実態調査及び危険箇所の対策についてでありますが、三陸南地震によるがけ崩れの発生箇所は、調査いたしましたところ21カ所ございました。このうち復旧工事が必要な箇所は8カ所であり、うち3カ所は既に復旧工事を完了し、4カ所は現在工事を実施しているところでございます。今年度中に完成の見込みでございます。また、残りの1カ所は平成17年度に対策工事に着手する予定でございます。その他の箇所につきましては、大雨など異常気象時にはパトロールを行いまして、状況を把握しながら必要に応じて対応してまいりたいと考えております。
 また、道路の地割れにつきましては、被害実態を調査いたしました結果、81カ所で路面に亀裂が確認され、平成15年度から道路災害復旧工事として着手し、今年度中に全箇所が完了する見込みであります。
 次に、港湾整備についての御質問についてでありますが、まず物流拠点としての港湾に対する現状の認識でありますが、港湾は、本県の産業を支える交通基盤であり、その整備は物流コストの削減による県内産業の国際競争力の強化及びCO2の削減による地球環境の保全等を図る上で重要な施策であると認識しております。
 港湾並びに道路などインフラ整備の進捗状況でありますが、港湾整備につきましては、現在、国では久慈港、釜石港で湾口防波堤、宮古港では竜神崎防波堤、大船渡の永浜・山口地区では水深13メートル岸壁の整備を進めておりまして、釜石湾口防波堤につきましては、平成18年度に概成する予定でございます。また、県では、釜石港において平成18年度完成を目指しまして須賀地区で水深11メートル及び7.5メートルの岸壁の整備を進めておりますほか、大船渡港の永浜・山口地区では水深7.5メートルの岸壁等を初め、4重要港湾の整備を進めているところでございます。港湾へのアクセス道路の整備につきましては、公共事業費削減の厳しい環境下にありますけれども、現在、東北横断自動車道釜石秋田線や国道397号、283号、106号などの港湾と内陸とを結ぶ物流ネットワークの整備を重点的に進めているところでございます。
 今後の対応でありますが、今年度、岩手県港湾ビジョンアクションプランに基づきまして、物流業者や道路管理者等が共同で、実際に40フィートコンテナを搭載いたしましたトレーラー等を走行させて道路の現況調査を行い、関係者の間で課題を共有したところでございます。今後の港湾及びアクセス道路の整備につきましては、大変厳しい財政状況にはございますが、岩手県港湾ビジョンの実現に向けて、この道路現況調査の結果や取扱貨物量の動向等も踏まえ、事業の重点化やコスト縮減を図りながら、着実に進めてまいりたいと考えているところであります。
 次に、大船渡港の物流ネットワークにおける位置づけについてでありますが、岩手県港湾ビジョンにおいては、ばら貨物取扱拠点港とするほか、中部・近畿地方との内貿ユニットロードや外貿コンテナを取り扱う港湾として整備することとしております。大船渡市からは、コンテナ貨物専用のガントリークレーンの設置について要望を受けておりますが、その重量は数百トンから1、000トンで、購入費は数億円から10億円を要することから、クレーンを設置する岸壁の強度や導入による採算性等の検討を十分に行った上で、慎重に判断してまいりたいと考えてございます。
 また、周辺関連施設整備の進捗状況でありますが、現在県では永浜・山口地区で水深7.5メートルの岸壁を整備しておりまして、その進捗は今年度末で80.1%となる見込みであります。臨港道路につきましては、用地測量を終了し、今年度用地説明会を開催することとしているところでございます。また、国で整備しております水深13メートルの岸壁につきましては、今年度末までに63.4%の進捗となる見込みであります。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 水産振興についてでありますが、安全・安心な水産物を消費者に届けるため、例えば、カキのノルウイルス対策の一環として、沖合漁場における浄化技術の開発に取り組んだり、生ウニの衛生対策として、衛生管理マニュアルを作成し生産者の指導に努めております。また、低価格で付加価値の高い水産物の生産の取り組みの一環として、養殖業の構造改革を推進しており、生産者団体による三陸岩手わかめ認証制度の創設など、水産物のブランド化に取り組んでいるところであります。
 一方、漁業は、環境に調和した産業であり、将来にわたって持続していくには、良好な水域環境の維持が不可欠であります。そのため、漁村の生活雑排水等を適正に処理し、水域環境の保全を図るため、漁業集落排水整備事業など下水道施設の整備を重点的に推進しているほか、例えば、閉伊川、安家川で行っている漁業者と流域住民などによる河川清掃や稚魚の放流、宮古市、野田村などで行っております地域住民とボランティアによる植樹・育樹、このような取り組みに対しまして、森と海をつなぐ環境保全事業により支援しているところであります。
 今後とも、これらの取り組みを推進し、安全・安心な水産物の生産と水域環境の維持・保全を図ってまいります。
   〔総合雇用対策局長上村俊一君登壇〕

〇総合雇用対策局長(上村俊一君) ジョブカフェいわての利用状況についてでありますが、7月1日のオープン以来、11月までの5カ月間の利用状況は、利用者数で4、829人であります。1日当たりおおよそ30人の若者がジョブカフェを訪れ、適性・適職診断、キャリアカウンセリング、スキルアップのための各種セミナー、eラーニングなどのジョブカフェ機能を利用しております。このうち就職に結びついた人数は、10月末現在で、常用雇用ですけれども、130人となっております。
 先月オープンした宮古サテライトセンター及び今月15日オープン予定の久慈サテライトセンターを含め、今後とも利用者である若者の視点で、ジョブカフェ機能が多くの若者に利用されるよう、あるいは就職に結びつくよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、宮古、久慈以外の地域におけるサテライトセンターの設置の見通しについてでありますが、若者を取り巻く雇用環境は地域によって異なりますことから、基本的には、地域におけるニーズを踏まえて、関係機関が連携して、その地域に合った支援策を講じていくべきものと考えております。
 新たなサテライトセンターの設置につきましては、現在、県南、沿岸南部の地域から企画提案がなされております。これが、若年者の就職支援に地域が主体的に取り組み、地域の産業人材の育成につながるよう、その仕組みづくりについて、現在、ブラッシュアップのための協議を進めているところであります。
   〔環境生活部長中村世紀君登壇〕

〇環境生活部長(中村世紀君) 自然公園における登山者の受け入れ態勢についてでございますけれども、山に親しむに当たっては、登山者の方々が、それぞれの体力に応じた登り方をして、無理なく山を楽しんでいただきたいと願っておりまして、幅広い層の方々の利用に対応していただくために、登山道における木歩道やはしご、誘導ロープの設置、あるいは休憩のための避難小屋や環境保全型の山岳トイレなどを自然環境にも十分配慮しながら整備しておりますとともに、市町村あるいは地域の方々と連携いたしまして、適切な管理にも努めているところでございます。
 また、早池峰地域の保護管理と整備につきましては、高山植物の保護を初め、利用者のマナーの向上や自動車利用の適正化などの保全対策を推進しておりますとともに、登山道の補修や河原坊総合休憩所の機能充実等の整備を行っているところであります。
 今後の課題といたしましては、山頂の避難小屋の改築や登山者の適正な利用誘導等が挙げられますが、これらの整備につきましては、早池峰地域保全対策事業推進協議会におきまして、地域の方々を初め、関係者の意見を聞きながら取り組んでいくものでありまして、自然の保全を重視した整備と管理を進めますとともに、利用に当たりましては、自然を活用した滞在型のエコツアーの導入など、地域の活性化にも資する利用の促進を図っていきたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 高等学校の就職支援相談員についてでありますが、まず、就職支援相談員の成果についてであります。
 昨年度、就職支援相談員が新規に開拓した事業所は668事業所でありまして、918人の求人が得られたところであります。その求人に対して、高校生が現実に就職した数は413人となっておりまして、全就職者に占める割合は10.2%となっております。
 今年度については、57校に61人の就職支援相談員を配置し、10月末現在、既に297事業所632人の求人を開拓いたしております。82人の生徒が内定を得ている状況にあります。
 このように、就職支援相談員は、各学校の進路指導担当者やジョブサポート・エリアマネジャーなどとの連携を図りながら積極的に就職支援業務に当たっておりまして、高校生の就職のために大きな貢献をしていると認識いたしております。
 次に、緊急雇用対策基金事業終了後の対応についてでありますが、現在、厳しい経済情勢や雇用の構造的変化等が進む中で、求人の減少や求職と求人のミスマッチ等もあることから、適切な就職支援を行うことは非常に重要なことと考えております。
 そのため、来年度についても、就職支援相談員がこれまで果たしてきた役割や実績等を踏まえ、就職を希望する生徒に対して最も効果的な支援が図られるよう、そのあり方等について総合的に検討しているところであります。
 次に、高校卒業予定者の就職状況についてであります。
 岩手労働局調べによると、10月末現在における就職内定率は、全体で50%と前年同期を上回っているものの、県内に就職を希望する生徒に限れば、その内定率は42.4%ということで、半数以上の生徒がまだ就職決定に至っていない状況にあります。
 各学校においては、このような状況を非常に厳しいものととらえ、担任及び進路指導担当教員が中心となって、キャリアアップ講座を精力的に実施するなど、生徒の資質の向上に努めるとともに、就職支援相談員等と一体になって、これからがまさに正念場ととらえ、生徒の就職決定に向け最大限の努力を払っているところであります。
 次に、地域全体での就職支援についてでございますが、高校生の就職希望者の多くが地元への就職希望者であることからも、ただいま御指摘ありましたとおり、地域全体での就職支援というものがぜひ必要であると考えております。
 県教育委員会といたしましても、地方振興局やハローワークと合同で地域の事業所へ雇用要請訪問を行うとともに、県内8地域にジョブサポート・エリアマネジャーを配置しております。地域の実情に応じたさまざまな就職支援の活動を行っているわけでありますが、今後におきましても、地域の学校間はもとより、関係する機関同士のより一層の連携を深めながら、生徒の進路目標達成に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。


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