平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(伊藤勢至君) 民主・県民会議の伊藤勢至でございます。
 質問の前に、このたびの新潟中越地震によりまして甚大なる被害を受けた方々に心からお見舞いを申し上げます。積雪の時期を迎え、ますます大変とは思いますが、元気を出して乗り切ってもらいたいと願うところであります。
 さて私は、この議場は鉄火場であり、ちょうちょうはっし火花を散らして議論すべき場であると思っております。同時にそれは、フェアプレーの精神とノーサイドの精神で裏打ちされているべきとの矜持を忘れず質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、増田知事に伺います。
 本年7月に示された県の中期財政見通しによりますと、平成15年から18年の4年間で約1、750億円の歳入、歳出のギャップが生じる。このままでいくと、数字的には2005年度に財政再建団体に転落するとショッキングな発表がありました。小泉内閣が誕生した平成13年度から大幅な地方交付税の削減が行われ、ピーク時の平成12年度と比較し、15年度には436億円減額されております。このことにより県内の金回りが悪くなり、県税収入は235億円落ち込み、16年度予算編成は、当て込んでいた670億円が消えてしまいました。この結果、県から58市町村への配分も減らされ、宮古市は6億円、山田町3億円、田老町2億円、新里村、川井村各1億円の配分減となっております。
 そういう中で、三位一体の改革について全国知事会は積極的な動きを重ねてきました。全国知事会長の梶原岐阜県知事――建設省OB、片山鳥取県知事――総務省OB、浅野宮城県知事――厚生省OB、そして増田知事――建設省OBなどが先陣に立ち、あたかも官僚OBプラス地方6団体対政府・与党プラス官僚プラス族議員の関ケ原の戦いのようでした。全国知事会で梶原会長は、国の地方軽視の姿勢に対しては、断固として立ち上がり闘う地方一揆の実行を宣言すると述べ、また、補助金削減に地方案が反映されず、地方交付税の大幅削減が進められるなどの場合には、法定受託事務の返上など国への対抗手段を活用していくとの認識で一致したとありました。大変勇ましく思ったところであります。
 26日夕方、補助金削減2兆8、000億円、1兆円は移譲されず、生活保護費は来年結論との報道がありました。このことで、9月議会で我が会派の佐々木博議員が指摘した、北海道では840億円の配分減、本県でも200億円の配分減になることがどう変化したのでしょうか伺います。また、25日の新聞では、政府税調が改正答申に定率減税を18年度に廃止すると盛り込み、さらに消費税を上げることを明言しております。このことについてはどうお考えですか。
 政府・自民党のことを魔法瓶に例えた人がいました。聞いてみると、国民がどんなに熱いお湯を求めても、どんなに冷たい水を求めても、時間をかけてぬるま湯にして出す。なるほど、今回の三位一体の改革について地方がこれだけ真剣だったのに、出てきたものはぬるま湯だったと思いますが、いかがお考えでしょうか伺います。一揆をやりますか。
 次に、岩手県競馬組合の改革案について伺います。
 岩手競馬は、昭和39年の競馬組合成立以来、構成団体へ407億円の利益を配分し、テレトラック設置の地方公共団体に約22億円を交付し、地方財政へ大きく貢献してまいりました。雇用の面でも、現在約2、000人に就業の機会を提供するなど、地域経済への効果は大なるものがあります。しかしながら、売上高は平成3年度の690億円をピークにその後大幅に減少し、急速な収支の悪化により基金も取り崩し、平成11年度からは構成団体への収益配分も行われず、平成12年度は約15億円の赤字が生じ、平成15年度の累積赤字額は104億円を超える状況となりました。我々はこのことにかんがみ、議長の示唆も含めて議会の中に渡辺幸貫議員を委員長に、佐々木大和議員を副委員長とする13名による岩手県議会出資法人等調査特別委員会を設置し、3月22日以来、鋭意調査研究に取り組んでもらいました。3月30日、オーロパーク視察に始まり、佐賀県競馬組合、山形県上山市の馬主会、調教師会へ出張しての意見聴取など計7回の委員会を開催し、8月19日に岩手競馬の振興に関する提言をまとめ、同23日に知事に提出、この間の渡辺委員長を初めとする13名の委員の皆様の真剣かつ積極的な活動に敬意を表するものであります。
 一方当局では、再建を目指すために岩手県競馬組合改革案をまとめる方向で作業に入りました。民間感覚を持った人材を求め、北海道三井鉱山の再建等に実績のある柴田哲氏を招請し、9月1日、競馬組合の事務局長として迎えました。9月22日、岩手県競馬組合改革案(基本方針)が示され、早速9月議会でも議論がありましたが、農林水産部長からは11月半ばまでにアクションプランを取りまとめることで進めていきたいと、総合政策室長からは県出資法人に県民に対して財務状況を積極的に開示するよう指導してまいりますとの答弁でありました。そして23日の新聞に、競馬組合への融資提案、県が12月議会で補正、50億円規模にという記事が掲載されました。この間、若干の議員には概略の説明があったようでありますが、50億円の補正について、その内容が何であるのか一切説明はありませんでした。11月25日招集日の午後、補正予算を組む動きとしては異例の説明会が持たれたところであります。県議会から競馬議会議員2名が出ておりますが、その議員にも何の説明もなかったことが明らかとなりました。特別委員会の提言は、競馬振興を図るならこうするべきと提言し、情報開示を求めているのです。
 また、今回示された実行計画は、再建するためのキーマンとして招請した柴田氏がその再建の経験を踏まえて作成したものであると思います。官から民へというのはこのことであろうと思います。ならば、柴田氏からその構想を直接県民に語ってもらい、その上で県としての支援はこうありたい、議会も支援してもらいたいというのが筋と思いますが、いかがでしょうか、管理者である増田知事にお伺いいたします。
 次に、県境産廃問題について伺います。
 17年間の長きにわたり、東京ドーム25杯分、全体で87万6、000立方メートルの産廃が本県と青森県の県境に不法投棄されており、すったもんだの末に、国の支援を受けて一日も早い原状回復を目指しての作業を進めております。しかし、国の支援を受けてといっても、本県分の処理費は総額220億円、そのうち80億円は本県の負担でありまして、他県から持ち込まれ、不法に投棄された産廃の処理に、しかも県財政の非常に厳しき折に県民の血税80億円もかけて処理しなければならないのかと憤りを覚えるのは私だけではないと思います。
 そういう中にあって、精密機器メーカーのHOYAが本年8月末に1、600トンの産廃の自主撤去を宣言したとの報道がありました。報道記事によりますと、HOYAは1996年から4年間、汚泥と燃え殻計1、600トンの収集運搬を首都圏の業者に委託した。それを最終処分業者の三栄化学工業――青森県八戸市、既に解散――が県境に投棄した。このうち2カ月間、首都圏の業者には収集運搬許可がなかったことが判明。両県は廃棄物処理法に基づき、2カ月間に出した約200トンの産廃撤去の措置命令を出すとHOYAへ示唆した。この時点であとの1、400トンは責任を問われていなかった。ここでHOYAは、企業責任を果たしたいので、うちから出た1、600トンの産廃すべてを自費で撤去したいと申し出たとありました。私は、この記事を読んで、日本の企業にもまだ企業責任を果たしたいと自主的に申し出るような企業倫理を持つところがあることに少々安堵いたしました。こういう企業こそ、本県の広大な土地のどこでも好きなだけ貸与してでも誘致に努めるべきと思いますが、いかがですか。
 一方、同記事によりますと、両県は自主撤去を持ちかけられた例はなかったので、環境省に問い合わせて返事がオーケーだったので、ならば排出元が責任を果たそうとする決意を評価しようと自主撤去を了承したとありました。何たる自主性のなさと言わざるを得ません。
 県境に不法投棄した排出元は1万2、000件、両県で手分けして追及している努力には敬意を表しますが、命令までこぎつけたのは13社で、全体の1000分の1ということであります。私はこの際、県の専門プロジェクトを立ち上げ、社会正義と企業倫理を追求し、わかった排出者に自主撤去を求め、応じない企業名はどんどん公表し、17年間見過ごしてきた結果、投入せざるを得なかった80億円の県費の圧縮に最大限の努力をすることが県民から求められていると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、高校再編計画について伺います。
 平成16年8月3日、県立高校新整備計画(後期計画)(案)が公表され、その中で、平成19年度に宮古北高と宮古商業を統合し、統合後の利用校舎予定校として宮古北高が示されました。宮古商業がなくなることの案が示されたのであります。これに対し、地元を初め、県内外から商業高校を残すべしとの大きな反響が期せずして巻き起こりました。宮古市議会は、10月4日、統合計画の撤回と宮古商業の存続を求める意見書を可決しております。また宮古市は、翌5日、市長と教育長が県庁に来て、校舎が田老町の宮古北高になることと、商業の伝統が失われることに市民は疑問の声を上げているとして、統合を当分の間凍結することを要望しました。また、本日午前11時35分、知事室にお邪魔して、宮古商業高校を守る会が集めました宮古商業高校存続を求める署名簿3万3、580余を宮古・下閉伊出身議員団5名ともども提出してきたところであります。藤原議長にも提出いたしました。この中で特筆すべきは、田老町内からも16年3月31日現在、4、876名の住民の中の1割を超える507名の署名が集まっていることであります。県内各紙にも広範な方々からの投稿が相次いでおります。2年前まで7校あった商業高校が5年後に盛岡商業ただ1校になることの是非、商業教育を通じて地域社会が求める人材を供給することの大切さ、特にも、ビジネスが国際化している今日、本県の基幹産業の農林水産業を伸展させるためにも、生産者ばかりでなく、流通業に携わる人材の育成が急務であり、その中核を担うのが商業教育であるとする意見に私も同調いたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さて、今回示されました、校舎が田老町の宮古北高になることに私は反対であります。県教委では、場所については、校地、校舎、三陸沿岸の配置バランスを考えたとしておりますが、余りにも平面図的な考え方ではないでしょうか。現在、宮古市と田老町と新里村は、来年6月の合併を目指して鋭意協議中であります。それぞれの市町村には幾多の先人が努力してきた伝統と誇りがありますが、地方財政が立ち行かなくなることから大同団結を図り――地域の言葉でいえばかまどを一つにし――、そのことによって節約できる毎年17億5、000万円を原資に90億円の事業展開をし、――10カ年で900億円――新しい宮古市づくりを進めようとするものであります。田老町の皆様の長年願望しておいでの診療所の問題、あるいは現在、県の支援を受けて取得の方向にあるグリーンピア田老の今後の展開については、田老町の皆様の意向を最大尊重し、そこに就労の場ができたら、これまた地元最優先は言うまでもなく、10カ年で900億円の合併特例債の活用の中で十分に可能と考えます。歴史上、城下町、門前町など何かの核となるものを中心にまちづくりが進んできたことを考えるとき、宮古商業が現在地からなくなることは、生徒、職員、出入りの人たちを含めて500人が町から消えることとなります。かつて県立宮古病院が駅前から現在地に移転したことにより病院に出入りしていた1日1、000人とも言われる人の流れが消え、その後の商店街に大変大きな影響をいまだに残しております。合併後の宮古市はさらにアンテナを高く掲げ情報を集め、パートナーとなった田老町にも新里村にも平等の施策を展開しなければなりませんが、その中心力たる宮古市がこけては共倒れになってしまいます。こうなると地域振興の視点も必要になると思いますが、いかがでしょうか。
 冒頭申し上げました田老町から507名の署名をいただきましたが、その際に、子供のためにもやっぱり刺激のある宮古で学ばせたいとの声が多くあったと伺いました。また昨年、宮古高校から東京大学の文科一類、法学部に一発合格した生徒は田老一中出身の生徒でありました。県教委はもっと広い範囲で、将来も含めた展望を持つべきと思います。教育委員長と教育長からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
 次に、県営建設工事の発注に関して伺います。
 冒頭の中期財政見通しの中でも触れましたが、国からの地方交付税の削減、このことによる県税収入の落ち込みなどにより、本県の公共事業は大幅削減を余儀なくされております。このような中にあっても、最低限必要なインフラ整備として、流域下水道、ダム、トンネル、道路、橋梁などの大型工事は、見直しを進めながらも何とか進めております。この大型工事は、技術力、施工経験の有無――この点の見直しも必要と考えますが――などの理由により、大手ゼネコンとのJV方式がとられております。県内の建設投資が減少している中で、県内の建設産業界から、下請について、建設資材の発注について、県内業者の受注機会を図るため、議会から当局に働きかけてほしいとの要望を受け、全会一致で決議を採択し、当局に要請をしてまいりました。その結果、当局では、昨年8月1日以降に締結される契約から、県営建設工事を落札された皆様へとして県内業者への下請等発注要請についてという書類と請負契約書付記を添付してもらいました。当局の対応に敬意を表したいと思います。
 そこで伺いますが、この要請文と、努めなければならないとの条項――これは努力目標――を添付したことによりどのくらいの効果があったでしょうか。その効果のほどをチェックしているのでしょうか。以前と何ら変わらないということでは意味がありません。いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、本県の主要魚種であるサケについて、これまでも提言や情報を提供しながらたびたび聞いてまいりましたが、聞いても聞いても帰ってこないサケについてまたまた伺います。
 平成10年が国際海洋年であることから、岩手県の委託事業として人間と海をテーマに世界の海洋学者に来県してもらい、国際会議を開催していただきました。テーマは、海における食物連鎖、生態系、海洋汚染の3点であり、県政の目がようやく海に向いてきたことに期待を持ったところでありました。平成7年に議席をいただいた私は、沿岸の主要魚種であるサケが、平成8年の7万4、000トンをピークに、9年、5万3、000トン、10年、3万7、000トンと激減していることに注目しておりましたので、県の目が海に向いてきた今こそ、サケの不漁対策としての学問的な研究に着手すべきだと提案してまいりました。20年前のふ化放流事業は、先人には失礼ながら、採取した卵をうまくふ化させて、ある程度成長させて放流する、そのことにのみ力を注いでいて、あとは大自然任せ、何もしなくても4年たてば70センチに成長して帰ってくる。当時はそれでよかったのかもしれませんが、海を取り巻く環境が著しく変化しているときに、学問的な研究、つまり6センチメートルで放流したサケが1年目はどこの海域で何センチに成長し、2年目はどこの海で何センチに、3年目は、4年目はとの調査研究をするべきと思ったからであります。現在でもサケが4年間、どこの海域をどのように回遊し、成長して帰ってくるのか、あるいはいつ、どこの海域で激減してしまうのか、だれもわからないのであります。
 そういう中で農林水産部の水産振興課が動き出し、水産技術センターで秋サケの不漁原因の解明に関し、回帰資源調査、各ふ化場の飼育実態調査等に取り組んでくれております。また、本県からの要望を受けた水産庁からの委託により、独立行政法人さけ・ます資源管理センターがサケ資源回復緊急調査を平成13年から15年度に実施してくれました。一方、商工労働観光部でも科学技術課が動き出し、平成11年度に実施した海洋環境国際共同研究を14年度で終了し、さらに15年から17年度は、海洋環境国際共同研究プロジェクトとして、夢県土いわて戦略的研究推進事業の中で、国際的な情報交換を視野に入れながら動き出してくれました。
 そこで伺います。農林水産部と商工労働観光部は同じ目的で動いているのですから、当然情報交換や役割分担をしていると思いますが、いかがでしょうか。また、このような研究調査に取り組んでいることをどのように県民に、特に沿岸の水産漁業関係者に説明してきたのでしょうか。素人の私が言うのはまさに釈迦に説法とは思いますが、両部それぞれの研究調査は、例えば宮古の津軽石川、山田町の織笠川、釜石の片岸川などでの研究において、母なる川から海に出て行くときと帰ってきて海から川に上がるときの部分的な研究からの推測のようで、肝心の、北洋のどこの海を回遊しながら成長し、どこの時点で激減しているのかまで踏み込んでいないように思われます。学者先生に調査研究を依頼すると、どうも研究そのものを楽しまれてなかなか目的に達しないということがないこともないと思いますが、沿岸漁民が期待しているサケの回帰率向上に向けて、人知を尽くした調査研究を進めていただきたいと思います。この場合の人(ジン)は、実際に現場で仕事に携わってきた人の声、例えば海中飼育で魚体を大きくしてからの放流がよかったとか、平成8年の7万4、000トンとれたときの稚魚は、4年前に北海道の十勝から仕入れたものだったとか、北海道ではサケの稚魚を放流する時期は、イカナゴ漁を調整するとかの声であろうと思います。このような現場の声を研究者にも伝えてこそ、人と知が一体となった人知を尽くした調査研究と言えるのではないでしょうか。この際、農林水産部長、商工労働観光部長、それぞれから所感を伺いたいと思います。
 ちなみに、平成11年、12年は2万4、000トン、13年は2万7、000トン、14年は2万9、000トン、15年は3万1、000トンとやや持ち直してはいるものの、平成8年の半分にも届いておりません。
 次に、宮古・盛岡・秋田間国道整備促進期成同盟会が目的としている活動の推進について、本県と秋田県の支援がなければ到底かなわないことでありますので、忘れられないようにとの思いから、あえて質問いたします。
 この同盟会は、太平洋側の宮古市から盛岡市を経由して、日本海側の秋田市を結ぶ106号と46号を全線46号に格上げ、2けた道路は国が直轄で整備を図ってもらいたいとの戦略的考え方から、宮古市からの働きかけで設立されたものと理解しております。昭和57年10月に設立され、以来22年間、年1回の総会を中心に関係機関への要望活動を展開してまいりました。今までは、中間地点の盛岡での開催が多かったのでありますが、宮古、盛岡、秋田が持ち回りでやることで機運を高めようと提案し、本年はようやく秋田市で開催したところであります。
 106号の整備につきましては、県当局に頑張っていただいていることに感謝申し上げますが、5年前に完成した達曽部トンネル改良、53億円投資、時間短縮2分、簗川ダムに関する付替道路、270億円投資、時間短縮5分でありまして、90分構想実現は現状では先が見えません。県都盛岡に太平洋と日本海から人を集めるためにも、北東北3県の連携を進める上でも、この横断道路の時間短縮は意義あることと考えますが、盛岡と秋田のノリがいまいち消極的だと思っておりました。
 何かあるのではないか。思い浮かんだのは、戊辰戦争であります。奥羽越列藩同盟のもと、南部藩は秋田藩に攻め入り激しい戦闘を行い、結果として南部藩の殉難者122名、一関藩88名を数えますが、秋田藩は452名と、本県の倍の殉難者を出しているのであります。資料によっては、盛岡藩120名、一関藩84名に対し秋田藩320名。
 大正7年、最初の政党内閣を打ち立てた原敬は、その前年、盛岡報恩寺で、楢山佐渡以下の戊辰戦争殉難者の50年祭を行い、みずからが祭主になり、戊辰戦争に賊も官もない、政権の違いがあったのみである。このことは、既に天下に明らかであり、諸子もって瞑すべしとの祭文を読み上げたそうであります。
 秋田県等の主催による慰霊祭の開催はないようでありますが、平成10年10月7日、戊辰戦争130周年記念事業として、戊辰戦争130周年を考える会が合同慰霊祭、講演会、シンポジウムなどを開催しているようであります。
 本県にもいろいろな思いを持つ方々がおいでと思いますが、この際、本県と秋田県の県境において両県の主催による合同慰霊祭を持ち、その上で新たなパートナーシップを持ち合うべきと思いますが、いかがでしょうか。県職員時代を通じて、一貫して道路に携わってこられた副知事に伺います。
 次に、本年10月22日から25日まで本県で開催されました技能五輪2004 in 銀河系いわてについて伺います。
 この大会には、全国から1、000人を超える青年技能者が参加し、42職種に日ごろの腕を競い合い、本県は金11、銀21、銅18、敢闘賞29個の合計79のメダルを獲得し、過去最高の成績で、最優秀技能選手団賞に輝き、総合優勝を勝ち取ったものであります。
 また、この大会は、来年5月にフィンランドで開かれる世界大会の予選も兼ねており、5人の選手が切符を手にいたしました。開催県としての面目を保ったばかりか、本県の青年技能者の技能の優秀さをアピールすることができました。
 さらに、県内12会場に目標の8万人を大きく上回る12万9、000人の来場者を数えたことも特筆すべきことでありました。県内外に何かと閉塞感の漂う中にあって、久々に爽快な思いをいただくことができました。何よりもまず、奮闘努力してもらったあすの岩手を背負って立つ青年技能者の選手諸君と、それを支えた所属企業の方々、そして県当局を初め関係者の皆様に改めてエールを送り、敬意を表しますとともに、喜びを分かち合いたいと思います。
 当局では、この大会を総括し、技能五輪開催により高まった技能尊重の機運を盛り上げ、地域産業の発展を推進するため、県職業能力開発協会等の関係団体と連携・協力しながら取り組みたいとして、7点の項目を掲げています。私は、その中にさらに3点を加えるべきと思いますので、お伺いいたします。
 第1に、17年に山口県で開催の全国大会への選手派遣支援は了といたしますが、重要なのは、次の18年の香川県での技能五輪と考えます。これは、19年に静岡県で開催の技能五輪世界大会の予選を兼ねるからであります。本当に技能尊重の機運を盛り上げ、地域産業の発展を目指すのであれば、フィンランドの世界大会に出ることでよしとせず、岩手の優秀な技能をアピールするため静岡県での世界大会を目指し、さらに3年計画で取り組むことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、岩手五輪に出場した選手の所属する企業、団体から、今回の県の支援が十分であったかどうか、ぜひ聞き取り調査をして今後に生かしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、本県の優秀な技能者に、もっと活躍の場を与える施策を進め、社会的地位の向上を図っていただきたいと考えます。関係者の究極の願いはここにあります。本県の優秀なものづくり集団としての技能者は本県の宝であり、企業誘致などの決め手となり得ると思いますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革の関係でございますが、税源移譲後のいわゆる自治体間の財源調整の問題、偏在があることによって、9月議会で、本県でもそのままですと200億円ほどの配分減になる可能性があるということを申し上げました。これについての今回の全体像の中での取り扱いでございますが、まず、これについて国庫補助負担金の廃止・縮減に見合う税源移譲を実施し、その税源移譲によって解消できない財政力格差については、地方交付税などの仕組みによって調整をすると、そこの基本的な枠組みは変わっていないものと認識をしております。
 次に、今回の全体像では、先ほどの佐々木俊夫議員の総務部長答弁にございますとおり、詳細がいまだ不明の部分が多々ございます。廃止・縮減等の改革がなされる個々の国庫補助負担金の詳細がいまだ明らかとなっておらず、具体的には暮れの予算の段階で、各省の予算の中でそれが明らかになるという状況でございますので、したがって、それに伴います本県への正確な税源移譲額というのがいまのところ導き出せないと。また、あの合意文書の中に、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保することと、このような文章が明記をされておりますが、平成17年度の地方交付税総額も不明であるということがございまして、現段階では国の三位一体の改革による本県及び県内の市町村財政の具体的な影響額は算定できないと、こういう状況にございます。
 県議会の大変強力な活動、御支援もございまして、昨年ほどの交付税総額の削減がないような情報も一部で聞いてございますけれども、これは暮れまで厳しく対応していくという必要があろうかと思っておりますので、引き続きこの点について本県財政に悪影響が出ないように、暮れまで全力を挙げて取り組む考えでございます。
 次に、定率減税の廃止と消費税の引き上げについて、先般、政府税調の答申の中に盛り込まれております。これについての見解を問われておりますが、定率減税は、停滞しております経済活動の回復そして国民生活、国民経済の安定及び向上を図ることが趣旨で、平成11年度からいわゆる恒久的減税として実施をされていると理解をしております。景気の動向、経済状況等により、これは時期を見てその廃止が議論されるべきものであると認識をしております。
 一方の消費税でございますが、これは地方消費税とともに賦課徴収をされております。現在、全体5%のうちの1%相当分、すなわち4分の1が地方の貴重な自主財源でございまして、地方6団体においても、国に対して現行税制の中で地方消費税分を1%から2.5%まで高めるよう主張しているわけでございまして、この消費税、特にその内訳でございます地方消費税の増嵩については、私どもも重大な関心を持っているところでございます。
 いずれにいたしましても、これらの税制改正については、もとより国政の場で、国会の場で十分な論議がなされるものでございまして、そういう性格のものでございまして、ぜひ国民の理解が得られるような制度を構築していただきたいと期待をいたしております。
 それから、引き続きこの三位一体改革について、政府・自民党の今回の対応を魔法瓶、ぬるま湯というような引用でお話がございました。私は、この三位一体改革が、中に地方分権を進めるという要素を当然一番中心の柱に据えなければいけないんですが、一方で、国の財政再建をそのことによって果たしたいと、こういう考え方も一方でございまして、そちらに重視をした考え方が前面に出てくること、あるいは地方に任せて本当に大丈夫かというそもそも論のようなところまで戻って、地方に対する不信感が表明されたということに見られるように、三位一体改革を今この時期に何のためにやるのかという理念が、政府・与党側と十二分に共有されていなかったと、このことが大変問題であると思っております。こうした背景のもとで、公共事業についても、そして社会保障についても、そして教育の問題についても、内容が地方の考え方と大きくかけ離れた内容になっておりまして、そのことがございまして内容については厳しい見方をしたところでございます。
 今回、また議論の進め方として、地方に案の提示をまず求めたというその経緯から考えましても、やはりその案が提示された後、政府として対案を示すということが必要であったと思います。そういうことも含めて、地方分権改革を少しでも前に進めようという、真摯に努力するという姿勢が見られなかったことは大変残念でございますし、今後、先送りされた課題やあいまいな部分について、国と地方の協議の場において、引き続き検討協議を続けていく必要があると考えております。そして、何よりも地方がそうした場で強く主張していくその力というのは、国民全体に広く訴えて、国民世論の支持、後押しをいただくということが必須でございますので、そうした国民世論の幅広い支持をいただけるようにさらに世論に訴えていきたいと考えております。
 次に、競馬組合の関係でございます。競馬組合については、本年の4月以降、組合再建計画の策定に取り組んできたものでございます。9月には、競馬組合の改革案そして基本方針が組合の方から示されまして、その具現化を図るために取り組むべき内容、すなわちアクションプランについて、今般、実行計画として取りまとめられたところでございます。
 昨日、11月30日に競馬組合議会懇談会が開催されまして、この実行計画の内容と県への融資要請についての議論がその場で行われたわけでございますが、それを踏まえまして、昨日、同日付競馬組合から県に対しまして正式に支援要請があったところでございます。県では、この要請を受けまして、実行計画の妥当性、そして融資の是非について中で慎重に検討いたしましたが、実行計画については改正競馬法の精神を最大限に取り入れて、民間委託の実施など、これまでとは異なる新しい手法での売り上げ拡大を目指しておりまして、競馬組合は本計画に沿って早速改革を実施していくべきであること。
 2点目には、そのためには競馬組合の資金繰りが現在非常に逼迫をしているわけでございますが、早急に運転資金を融資する必要があると、このような結論に至ったところでございます。このような判断を県としてしたところでございます。このため、本会議において、競馬組合への運転資金の融資についての補正予算案を追加提案いたしたいと、本会議の場に追加提案をさせていただきたいと、今、このように考えております。
 県議会において、この予算案を審議していただく上で、実行計画の内容について、当然のことでありますが、十分に議員の皆様方に御理解をいただくことが重要でございます。さらに、組合からも説明の機会を設けさせほしいとの要請がございましたので、速やかに組合の常勤の副管理者でございます柴田副管理者をこの県議会の場に出席をさせて、本人から直接説明をさせる機会を設けていただくように、議会の方にお願いをする考えでございます。これは、私、組合の管理者を兼ねてございますが、この組合の管理者でございますその立場からも、ぜひお願いをいたしたいと考えております。
 県境産廃の問題でございますが、この県境産廃の問題につきましては、住民の健康被害の防止と安心感の醸成を図るために、汚染源の早期全量撤去が最も効果的な対策であると考えておりますが、そのために要する県費負担につきましては最小限に抑制することが必要でございます。
 原因者及び排出事業者の責任追及につきましては、平成14年の9月に、県庁の中に専門的に担当する組織として産業廃棄物不法投棄緊急特別対策室を設置して現在まで鋭意取り組んでございまして、この廃棄物処理法そして産廃特措法の規定に基づいて徹底的な責任追及、そして厳正なる対応を図ってきたところでございます。
 こうした県の追求の結果として、法的責任が生じていないものも含め、現場に投棄されている排出廃棄物のすべてを自主的に撤去するという事業者が出てきたわけでございまして、これは今議員の方からも御指摘ございました。こうした事業者が出てきたということは、これまでの徹底した責任追及の展開によりまして、排出事業者の側に、事業者としての責任の自覚が浸透しつつあるものと認識をしておりまして、本県の取り組みの大きな成果の一つであるととらえております。
 なお、調査対象となっている段階の事業者名の公表ということのお話もございましたが、このことにつきましては、結果として制裁行為となるわけでございますので、これについては法違反に基づき行政処分の決定を行った場合においてのみ、限定的になされるべきものであると考えております。
 今後についてでございますが、今後は、従来の法違反に基づく措置命令による対応とともに、このような自主撤去の取り組みを一つのモデルといたしました排出事業者等による自主的対応とが相まって、原状回復の早期実現とそれに要する県費負担の低減を県として強力に推進をしていく、このような考え方でございます。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 宮古・盛岡・秋田間国道整備促進期成同盟会についてでございますが、岩手・秋田の両県の連携は、これまで戊辰戦争などの困難な歴史を乗り越えまして、先人たちが両県の発展を願いながら築き上げてきたものと承知をいたしております。その中で、宮古・盛岡・秋田間国道整備促進期成同盟会は、国道46号と106号沿線の3市15町村が、両国道の整備を推進することを目的に設立されたもので、これまでも強力な運動を展開してまいっております。その結果、国道46号及び106号の大幅な改良整備が進められますとともに、地域高規格道路への指定や簗川道路、都南川目道路、宮古西道路の着工が実現し、また、秋田県側では角館バイパスの整備が図られるなど、着実にその成果が上がっていると認識をいたしております。
 この同盟会がこれまで行ってきた22年間に及ぶ活動の歴史は、本路線の整備促進だけではなく、両県のパートナーシップをより強固にすることを目的としたNPO法人秋田・岩手横軸連携交流会や北東北交流連携倶楽部など、民間主体による新たな展開を誘発し、着実に連携の輪が広がってきているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、国に対して国道106号の直轄指定区間編入を働きかけますとともに、NPOとの協働による強力なパートナーシップのもと、県内90分構想の実現に向けて、これら路線の整備促進に、より一層力を入れてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) まず、企業の誘致に関するお尋ねでありますが、企業誘致を進めるに当たりましては、雇用や将来にわたる地域経済への貢献という観点はもちろんでございますが、環境問題への取り組みや法令遵守、社会貢献活動など、企業の社会的責任への対応姿勢についても重要な要素として考慮しながら、誘致活動を行っているところであります。今後とも、こうした観点、姿勢を持って、社会的にも評価されるようなすぐれた企業の誘致に努めてまいりたいと考えております。
 なお、具体例としてお話のありました企業に対する誘致活動でございますが、この企業に対しましては、平成3年ころから定期的に接触を行っております。本年7月にも誘致折衝をしたところでございますが、その際は、当面、国内展開は考えていないということでございました。しかし、同社は、海外を初めとして積極的に投資を展開している企業でございますので、今後とも継続して折衝を続け、こうした優良な企業の誘致を進めてまいりたいと考えております。
 次に、秋サケ不漁対策に関するお尋ねについてでありますが、秋サケの不漁原因解明につきましては、サケの生活史を通した広域的な調査が必要であり、商工労働観光部と農林水産部が連携して取り組んでいるところでございます。
 当部が支援している研究の一つは、サケジセキ――耳の石と書きますが――サケ耳石のエックス線分析であります。この研究は、樹木と同じように年輪状となっているサケの器官である耳石を用いて、ふ化後から漁獲されるまで、1日ごとのサケが経験してきた水温、塩分等の環境を把握するものでございますが、この研究により、漁獲量変動と環境変動との関連を解明することが可能となるというものでございます。
 もう一つは、三陸沖に回帰してきたサケにデータロガー――これは小型記録計でございますが――を装着しての研究でございまして、沖合域から沿岸域までのサケの回遊行動を、より詳細に把握するための研究であります。これらの二つの研究は、農林水産部や国が実施している調査研究とあわせて、将来的にサケの漁獲量の減少解明につながるものと考えております。
 データロガーを利用した研究は、水産技術センターとの共同研究でございます。また、試験魚の漁獲やデータロガーの回収には、漁業者の理解と協力を得て実施しておりまして、研究成果は県民、漁業者等に還元されるものと考えております。
 これらの研究成果は、年1回、沿岸域で開催しております一般市民、漁業関係者向けのシンポジウムで報告をいたしております。サケ回帰につきましては、平成15年に大船渡市で開催したシンポジウムで報告をいたしております。今後も、研究成果は県民、漁業関係者などへ積極的に還元していきたいと考えております。
 次に、技能五輪に関するお尋ねでありますが、岩手大会の開催を通じ、人材育成に対する関係企業や職種関係団体の意欲も高まったものと感じております。平成19年に静岡県で開催される技能五輪国際大会に向けては、岩手大会の実施を通じて得られた経験を生かしながら、県内の青年技能者による技能競技大会やすぐれた指導者を招いての合同練習会等を通じて、引き続き計画的な選手の育成・強化や派遣支援を検討してまいります。
 こうした取り組みの実施に当たりましては、岩手大会に選手を派遣していただいた関係企業、学校並びに職種関係団体の皆様から、県の支援に対する評価も含め、御意見をいただきながら進めてまいります。
 また、企業誘致との関連についてでありますが、県では、我が国製造業の一翼を担い得るようなものづくりを支える基盤的な技術にすぐれた企業の集積を目指しております。現在、県として力を入れて取り組んでおります自動車産業の集積・促進に向けた取り組みにつきましても、そうした考えによるものでございます。
 基盤的な技術、技能を有する優秀な人材の確保は、本県の地場企業の振興や企業誘致にとっても大変重要な要素となっていると認識しておりますことから、県内企業の意向も十分に把握しながら、これらものづくり人材の育成について、これまで以上に力を入れて取り組んでまいります。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 高校再編計画の地域振興の視点についてであります。
 高校再編につきましては、今後さまざまな議論を経て成案がまとめられていくものと認識しておりますが、宮古市は三陸海岸のほぼ中央に位置し、宮古市周辺の町村を含めた広い範囲での都市的な機能や、盛岡市など内陸と沿岸部とを結ぶ拠点としての機能など、沿岸部における重要な中核となる都市と認識しております。
 地域振興に当たりましては、それぞれの地域の特性や特色をとらえ、それを伸ばしていくことが重要であり、また、広い県土にあっては、一定の範囲で拠点となる都市、まちづくりも極めて重要であります。このため、県としましては、これまで宮古市の中心市街地活性化のための宮古・街なか賑わい事業、あるいは宮古・下閉伊モノづくり推進事業など、活性化事業調整費や市町村総合補助金により、宮古圏域における中心都市としての機能を高めるよう努めてまいりましたが、今後とも、こうした考えのもと、宮古市の取り組みに対して支援してまいりたいと考えております。
 また、現在、この地域では、森・川・海と人が共生する安らぎのまちの実現に向けて、市町村合併協議が進んでいるところでございます。そうした新しい市の形成に積極的に支援してまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) 下請、建設資材についての県内業者、県産資材の活用要請の効果についてであります。
 これにつきましては、最も発注量の多い県土整備部の工事につきまして抽出での調査を行っております。その結果、1億円以上の土木工事及び建築一式工事におきまして、元請業者が県内業者を下請とした割合でございますが、これは平成15年8月からの要請でございますので15年度は約8カ月間の要請期間の効果になるわけでありますが、その15年度の調査と前回調査を比較いたしますと、土木工事では72%と横ばい、建築一式工事では82%から95%へと13%の増加、全体で見てみますと74%から77%へと3%ほど増加しておりまして、一定の効果があったものと考えております。
 また、県産資材の活用につきまして、同じく県土整備部の土木工事について抽出での調査を行っておりますが、平成15年度は98%でございまして、前年度の88%と比べまして10%の増となっているものでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 秋サケの不漁対策についてのお尋ねでありますが、秋サケの不漁原因解明のためには、河川、沿岸、沖合、北太平洋におけるサケの生活史を通した広域的な調査が必要でございます。このため、県の水産技術センターが沿岸域における稚魚及び回帰親魚、いわゆる成熟して沿岸に帰ってきた魚のことでございますが、回帰親魚の調査を実施し、沖合から北太平洋までの調査につきましては、国に対し実施を要望してございます。国は、この要望を受けまして、そのうち北太平洋における幼魚及び成魚の分析や餌料環境等の調査を実施してございます。
 現在、商工労働観光部と取り組んでおります耳石のエックス線分析や回帰親魚の回遊行動把握のための技術開発は秋サケの不漁原因解明に役立つものであり、一日も早い実用化に向けて今後とも連携を密にしていきたいと考えております。
 なお現在、調査対象から抜けております沖合の調査につきましては、今後とも国に対しその実施を強く要望してまいりたいと考えております。
 これまでの調査から、サケの生残率は海洋生活初期にほぼ決定されると見られること、サケの回帰率と当該放流年の3月から7月における太平洋沿岸域の表面海水温との間に関連があることが明らかとなってきております。この成果を踏まえまして、平成14年度には、漁業団体等の関係者と協議の上、河川ごとに適期、適サイズ放流が実施されるよう採卵計画を変更し、本県のサケ資源構成モデルを見直したところでございます。この結果は、平成17年以降のサケの回帰に反映されるものと期待しております。
 これまでも、サケの不漁対策に当たりましては、国内の識者の意見を聞くだけでなく、現場関係者の意見に耳を傾け、より現場に近い形で取り組んでまいりました。今後とも、現場の知恵を大事にし、それを調査研究に生かしながら不漁対策に取り組んでまいります。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕

〇教育委員会委員長(船越昭治君) 高等学校再編計画でございますけれども、私の方からは、県立高等学校新整備計画・後期計画の基本的な考え方についてお話を申し上げ、宮古地区の具体的な内容につきましては教育長の方からお答えいたしますことを御了承いただきたいと思います。
 この計画は、次の代を担う子供たちが、今後ますます変化するであろう社会に的確かつ柔軟に対応していけるよう、また、新しい時代を切り開いていくためには、より広域的な視点に立って、活力ある環境の中で豊かな人間性や社会性をはぐくみ、一人一人がその個性や創造性を伸ばしてさまざまな可能性に挑戦できるような充実した学校づくりをしたい、学びの環境をつくりたいということを考えて、地域のさまざまな御意見を踏まえて8月に案としてお示ししたところであります。
 その後、この案につきましては各地区で説明いたしますとともに、あらゆる機会を通じていろいろ御意見や御要望をいただいているところであります。これらお寄せいただいた地域の声を勘案しながら、県教育委員会としては、何よりも子供たちによりよい学習環境を構築するということを基本に、今後、成案の策定に向けて鋭意努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 宮古商業高校と宮古北高校の統合についてでありますが、この整備計画案については、宮古ブロックにおける中学生の志望動向、進路志望に関するアンケート調査結果、また、新しいタイプの学校である総合学科高校への強い期待などを勘案し、さらには、このブロック全体の学校配置や地域産業との結びつきなどを考慮し、宮古商業高校と宮古北高校を統合し、商業系列、看護・福祉系列、さらには文系・理系の普通科系列を備えた沿岸中部地区初の総合学科高校として新設・整備しようとしたものであります。
 この総合学科高校は、幅広く選択科目を開設し、生徒の個性や関心に応じて生徒が主体的に科目を選択し、実践的、体験的な学習も重視し、生徒の多様な能力、適性に対応した教育を実施することができる新しいタイプの学校であります。
 本年8月に新整備計画(後期計画)案として公表後、地域の方々に説明し、意見を伺ってまいりましたが、この統合案に対し、総合学科高校へ移行することへの不安あるいは戸惑い、それから商業教育の専門性を今後とも地域に維持してほしいとの意見や新設校設置場所についての疑問などが示され、また、その一方では普通科教育充実の要望が出されるなど、多くの意見、提言が寄せられたところであります。
 県教育委員会といたしましては、そうした地域の声も勘案し、これからの商業教育のあり方、広く宮古、下閉伊地区の中学生の動向、活力のある教育環境の確保、さらには、今後の地域の少子化など、統合が避けられない現状にあってどのような整備の方向がふさわしいのか、県議会の御意見、御提言をもいただきながら検討を重ね、成案策定に向け、詰めてまいりたいと考えております。

〇40番(伊藤勢至君) ただいまは種々答弁をいただきましてありがとうございました。再質問を知事に1点、それから生活環境部長に1点お願いしたいと思います。
 まず、知事への再質問でありますが、今回の地方6団体と中央とのけんか、けんかのやり方にちょっと問題があったのではないかと思っておりまして、と申しますのは、東北6県の知事の顔がさっぱり見えなかったと思っております。増田知事と浅野知事はちょっと見えたのでありますが、東北6県との連携という部分はどうだったのか、こういう思いを実はいたしております。我々の歴史を振り返りますと、有史以来ずっとと言ってもいいぐらい北東北、東北は中央からなおざりにされてきた歴史があると思っております。決してひがむのではありませんけれども、日清、日露戦争においても戦死者を出したのは我が北東北が一番であって、日本に貢献をしてきた。あるいはその前のアテルイも、あるいは安倍一族も藤原秀衡も、あるいはまた九戸政実も、中央から自分たちの言うことを聞かないからというだけのために、自分たちの覇権でのみ虐げられてきたという思いが根底にあると思っております。したがいまして、全国知事会としてけんかをするには、やはりまず北東北がまとまって、その上で岐阜県知事なり、あるいは鳥取県知事なりを加えた上で中央とドンパチをやらないとちょっと弱いのではないか、こんなふうに思っております。
 そういう中で、東京都が地方だとは私は全然思えないのでありまして、東京都の石原知事は、やはり一緒にやる流れがちょっと違う方ではないのかと思います。本年1月に東京都の世田谷区に視察に参りましたときに初めて聞いてみて驚いたのでありますが、世田谷区は岩手県の平泉町と同じぐらいの広さでありまして、年間予算は2、007億円であります。そして、その中に78億円の地方交付税が投入されているのであります。地方交付税であります。それを調べてみましたら、東京23区には、それぞれ地方交付税という、我々が命の綱にしているとも言えるお金が投入されておる。私は、東京が地方だとは思えない、そういう観点から調べました。地方消費税交付金あるいは地方特例交付金、地方譲与税、いろいろな形で東京には二重にも三重にもお金が入っております。財源的には、国に本当に平場で文句が言えるのは東京都だけだ、そういうふうにも思うわけです。したがいまして、それを再構築するためには、これは国会の議論かもしれませんけれども、我々北東北がまず一致協力をして、そういうところから始まるべきではないのかと思っていたところ、なかなか知事以外の顔あるいは文言、発言が見えなかったということでお聞きしたいと思います。
 東北には現在、日本の人口の8%、約1、000万人が住んでおりますけれども、国家予算は3%しか投入されていない、こういう事実があるわけであります。新幹線も盛岡までは国費でありました。しかし、その以北をやる際には、岩手県は1、000億円の負担を強いられております。三陸鉄道しかり銀河鉄道しかりであります。そういう観点を我々北東北が共有しながら改善なり光を当てろという部分を、グループといいますか、組んでいくのがけんかの仕方ではないのかと思ったものですから、知事に1点お伺いしたいと思います。
 それから、中村部長にお伺いいたします。県境産廃についてでありますけれども、先般、二戸市の金田一小学校の生徒がこの現場を視察して、勉強のために訪問をしたということを新聞で読みまして、大変すばらしいことだと思っております。その中の説明に、地元の地方振興局の方の説明だと思うのでありますが、中高生でも難しい問題に取り組む姿に感心した。児童が成人になるまで処理が続く地域課題でと、こういうことでありました。児童が成人になるまで、これから10数年処理が続いていくんだと思うのでありますが、こういった際の子供たちへの説明に、我々は、玄関から土足で床の間にまで上がられて、床の間に捨てられたごみを県のお金80億円で、あなたたちのお父さん、お母さんが出したお金で処理をしていかなければならないんだ、こういうことを子供たちに教えているんでしょうか。これは重要なことだと思いますので、この点をお伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) まず、東北の各県の知事と強く連携をして取り組め、こういう御指摘でございまして、大変重要な点を御指摘いただいたと受けとめております。
 ちょうど2週間ほど前でございますが、先月11月19日に福島で北海道・東北知事会がございまして、全員そろいました。その場で、8人の知事――これは新潟も入ってございますけれども――が強力にこの問題について一つの乱れもなく取り組むということを決議文として取りまとめまして明示いたしました。この問題については福島の知事が議長でずっと取りまとめをやっていましたけれども、今までのやり方にすべての知事が全員賛成であって、さらに強力にそういうことで取り組むようにと。福島の佐藤知事の議長としての取りまとめで、私と浅野知事が従来から知事会の三位一体改革研究会のメンバーでございますので、そういう東北全体の思いをこの2人で知事会全体に伝えて、そして2人でよくその意を体して活動してくれ、こういう取りまとめをなさいました。決議文の中にも、今までの内容について全面的に踏まえて、今後もその流れを強力に進めるように、こういうことになってございますし、知事会長をしっかりと支える、こういう文言まで入っているわけでございますが、これからもそういう思いで、北海道あるいは新潟も含めた8県、とりわけ東北の各県知事とよく連携をして、そしてその力を十二分に生かしていきたい、このように思います。
 東京都の世田谷区の例がございましたけれども、これから一番大事な財源問題の調整の仕組みをつくり上げていくときに、今のことは具体的には法人事業税の分割基準を見直したり、地方譲与税の譲与制限をその中に入れたり、こういうことで考えていかなければならないと思いますので、その際には、こうした東北の立場というものをはっきりと主張しながら制度構築に向けていきたいと考えております。

〇環境生活部長(中村世紀君) 県境産廃撤去の関係でございますけれども、多額の県費を投入してこれから撤去を行っていく。平成24年が特別措置法の期限ですけれども、そういう多額の県費を投入しているということにつきましては、ただいまお話のありました小学校の生徒が見学してくださるときのみならず、定例的に、二戸市の代表の方等々、学識経験者、県職員等々で構成いたします現場の原状回復協議会の場においても常に申し上げているつもりでございます。これからもそういうことが皆さんの心により一層刻まれますように説明を重ねてまいりたいと考えているものでございます。

〇40番(伊藤勢至君) 最後に、知事に壇上でお答えがなかった点について1点だけお伺いいたします。一揆をやりますか。

〇知事(増田寛也君) 我々武器を持っていないものですから、壇上で国民世論に広く訴える、こういうことを申し上げました。それは、とりもなおさず一揆ということは、そういう形で広く地域に出ていって、そして賛同を得るということだと思いますので、そのために先頭に立ってしっかりとやっていきたいと思います。


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