平成16年12月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇51番(佐々木俊夫君) 自由民主クラブの佐々木俊夫であります。
 この議会、トップの質問の機会を与えていただきました。感謝しながら、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、三位一体改革への基本的見解と問題点について、増田知事にお尋ねいたします。
 政府・与党は、去る26日に、2005年度、2006年度に2兆8、390億円の補助金を削減し、税源移譲は本年度分とあわせて2兆4、160億円とする三位一体改革の全体像を決定しました。ここに至るまでにはまさに紆余曲折、難産そのものであり、問題の先送りだなどの厳しい批判も浴びせられております。しかし、この改革は、70年代には地方の時代、80年代には行政改革による地方分権の主張、これを受けて、90年代には地方分権についての国会決議があり、2000年には地方分権推進一括法が成立、施行されたのであります。2002年に、政府の骨太の方針で補助金、地方交付税、税源移譲の三位一体改革が打ち出されるという、長い歴史を積み重ねてきたのであります。そして、本年8月に、政府の依頼に基づき、地方6団体が3兆2、000億円の具体的内容を提案するという、過去に例のない経過があります。
 今般の決定によって、中央集権国家日本において、国と地方が対等に協議するルールが緒についたのでありますから、私は今こそ、日本国は、遅まきながら地方分権時代へスタートを切ったと思うのであります。これからの日本の政治の変化を象徴する画期的な出来事だと思います。しかも、案の決定が混迷しているとき、小泉総理大臣のリーダーシップについての批判もありましたが、総理は、関係省庁と与党間で案がまとまらないなら、地方6団体の案をそのまま採用すればよいと発言したと聞きますが、もって銘ずべきであります。
 そして、特に今回注目されるのは、長年補助金獲得のために陳情活動の先頭に立ち、汗を流してきた全国知事会を初めとする地方6団体が逆に国の補助金返上を唱え、補助金による国の地方支配から脱却して、地方自治権確立のために闘う集団に変貌したことであり、この間、本県の増田知事がそのリーダーの一人として活躍されたのであります。
 案が発表されたとき、梶原全国知事会会長は、点をつければ60点、不満な点もあるが、評価すべき点もあるのでこれを受け入れるとし、今後、建設的な国と地方の協議につなげたいと意見表明をされたと報じられております。しかしながら、東北6県の各知事は、それぞれ批判の談話を出しておりますが、中でも、増田知事の評価は最も厳しい内容に感ぜられます。
 ある県内紙には、増田知事は、一番大事な中身が先送りされ、場当たり的な数字合わせで地方案とかけ離れている。ため息が出るとあり、また、ある新聞には、失望を禁じ得ないと語ったと報じられております。
 私は今、新聞談話の片言隻句をとらえて質問することにためらいがありますけれども、増田知事は、かつて、いわゆる21世紀臨調の座長として約9兆円の補助金削減廃止を提案され、全国知事会は、第1期分として4兆円を要求した経過を思うとき、知事が切歯扼腕される心境は察せられますが、この問題についての基本的見解と具体的問題点についてお示しいただきたいと思います。
 次に、三位一体改革と県の財政問題についてお伺いします。
 三位一体改革による税源移譲方式は、都道府県の担税能力に相当の差がありますので、収入減を心配して改革促進に逡巡した自治体もあったと聞きます。地方6団体の提案が完全に実施されますと、岩手県と県内58市町村では補助金が約460億円の減収となり、一方、国からの税源移譲は約260億円しかなく、差し引き約200億円の収入減になるとの試算もあります。幸いにして、今回の決定では、財政力格差を埋めるために所得税減税、個人住民税増税で調整して、なお、財政力の弱い自治体には手厚く交付税を配分すると決定したと聞きます。しかし、一方、財務省では、地方自治体にはむだが多いとして、2年間で地方交付税を七、八兆円削減するとの報道もあります。
 私が今回のこの問題についての質問書を提出しましてから、私ども自由民主党県議団は、一昨日、29日に上京しまして、麻生総務大臣と大臣室でお会いしてまいりました。本県など、財政窮乏県が不利とならないように陳情いたしましたところ、大臣は、今回の決定では、17年、18年は心配ない。財務省も報道されたような交付税の減額はないと断言されておられました。
 通告に従いお伺いいたしますが、いずれにしても、国からの交付金に依存している本県の財政は厳しい時代に入ったことは間違いありません。来年度の県の予算編成に当たって、総務部長はどのような見解と見通しを持っておりますか、お伺いいたします。
 次に、管理職員の業績評価と職員定数削減等についてお伺いいたします。
 県では、年3回の管理職員の業績評価を始めました。部局長については副知事と総務部長が、室長・総括課長については部局長が、振興局の部長については振興局長が、それぞれ定められた数十項目について面接し、5段階の評価を行うものであります。その結果は、県民ニーズの把握が弱い、業務のタイムスケジュールが具体的でない、品質向上の理解不十分、業務改善に継続性がないなど、厳しい評価が報道されました。今、経済界でも社員の評価制度を取り入れる傾向ですが、成功率は低いとも言われております。
 月刊誌文藝春秋11月号に、富士通が、社員に成果主義、評価制度を取り入れた結果の問題点が内部告発されております。いわく、従来の年功序列組織をそのままにしておいて、木に竹を接ぐように成果主義を導入したこと、評価する管理職の資質に問題があること、管理部門職はしょっちゅう組織を改編して、それで自分たちの成果づくりをしていること、社内にゲシュタポ的者――秘密警察というんでしょうか――が横行して、結果として2万人をリストラしながら、むしろ業績が悪化したというものであります。本県の評価制度も、もろ刃の剣になるおそれがあることを示唆しておりませんか。
 本県の評価制度を取り仕切る竹内副知事にお伺いしますが、この告発文の指摘と本県の幹部職員評価制度の意義について、御見解と決意をお示しください。
 県では、昨年決めた行財政構造改革プログラムで、4年間に10%の職員定数削減を決めておりますが、さらに2%を上乗せして12%、約600人を減らすべく改革プログラムを改正するとの情報があり、今議会に退職手当金の割り増しの条例改正案が出ておりますが、これは朝令暮改ではありませんか。人員の削減は、とかく業務停滞につながるおそれがありますが、現に過剰人員があるためなのか業務改善結果によるものか、具体的に理由をお示しください。また、定員外の臨時職員の動向についてもお示しください。
 さらに、私は、以前にも質問しておりますが、県下の地方振興局について、統廃合などを含めた地方振興局の今後のあり方について、県の方針をお示し願います。
 次に、がんばらない宣言と県政推進についてお伺いします。
 ことし5月26日に、アメリカの一流紙、ウォールストリート・ジャーナル社の東京特派員、セバスチャン・モフェットと名乗る記者が私を訪ねてまいりました。既に増田知事とお会いして取材したが、増田知事のがんばらない宣言いわてについて、平成14年11月27日の本会議とその後の予算特別委員会でも質問しているが、私の真意を聞きたいとのことでした。私は、岩手県の人々は、明治維新後賊軍と言われ、長い間僻地と言われながらも、夢と希望を持って頑張り、その心が岩手の人間性をつくってきたのであり、いまだに私はがんばらない宣言は納得していないと話しました。その後、アメリカで、この新聞の6月30日の一面準トップに、増田知事の写真入りでこのことが報道されました。この記事の表題に、岩手県は今まで成功しなかったから頑張らないと決めたとあります。私は英語に不案内ですが、to GIVE UPと書いてあります。GIVE UP。要するに、増田知事には不本意と思いますが、どんなに頑張っても岩手は明るい見通しがないので、がんばらない宣言をしたと読めるのであります。そして記事には、日本で頑張らないというのは、アメリカで自由に反対することと同じぐらいおかしいことだと。しかし、大胆な広告もあってか、好意的メールが多数寄せられているとあります。この宣言に対して、保守派の佐々木俊夫県議は、この宣言はやり過ぎである、岩手県が怠け者に見られる。その宣言のために、毎年多額の広告費を出すのは問題だと県議会で抗議したと書いてあります。この記事には、岩手の経済界の一部が異議ありと、がんばろう講演会を開いたとも書いてあります。そして最後の方に丁寧にも、増田知事自身は、朝6時から7時には起きて、7時半から夕刻6時、7時まで働いて、土曜日も日曜日も働いて、自由時間は余りなく、毎日頑張っていると書いてあります。
 三位一体改革時代を迎えまして、地方自治体はますます厳しい局面を迎えている今日、今、知事は、このがんばらない宣言を振りかざして、岩手の県政をどのように運営し県勢発展に結びつけようとされますか、県民にわかりやすく説明してください。
 また、平成12年度から15年度の4年間に、この宣言のために約1億9、500万円を全国紙中心に広告費を支出しております。これは、1年平均約5、000万円の多額の出費であります。この広告に対する全国からのはがきなどによる反応は、4年間で2万3、862通とのことですから、計算すれば1通当たり約8、200円の費用がかかったことになります。
 今、県財政が極めて厳しく、職員削減と経費節減のために各事業を見直し、零細な補助金を廃止して県民に忍従を求めているときに、この4年間で約2億円もの広告宣伝費の支出は妥当にして必要不可欠な経費でしょうか、増田知事にお伺いします。
 次に、防災対策について3点お伺いします。
 1点目は、災害発生時の通信確保についてであります。
 10月23日、午後6時ごろ、強烈な縦揺れで山は鳴り、地は叫ぶ、生き地獄だ。24日、確実な情報もなく不安で右往左往。25日、体力、気力、徐々にうせる。26日、大きな余震がまた。27日、初日からヘリが何のために飛んでいるのかうるさいだけだ。29日、香港にいる長女に初めて電話がつながり、命があったんだから心配するな。
 これは、新潟県中越地震発生後、停電と通信パニック、情報伝達不能で救援もなく、やむを得ず自動車で避難生活をしていた新潟県川口町の65歳の女性の日記の一部であります。
 このような災害時の情報不能と混乱は、本県でも既に震度6弱を記録した三陸南地震で経験したことがあります。県では、早速対策に取り組んでいるはずですが、今後に予想されている宮城県沖地震による猛烈な津波が発生しますと、本県沿岸の地形からして、孤立集落が多く発生することが予想されますので、緊急通信手段の整備が肝要であります。その対策と進行状況についてお伺いいたします。
 2点目は、津波対策防潮堤整備についてであります。
 津波発生時に避難のためのハザードマップを100%作成し公表しているのは全国で本県だけだと聞き、その努力を評価いたします。しかし、ハザードマップが完成しても、肝心の防潮堤が不完全で津波に耐えられなければ、人命、財産の保護ができません。本県の海岸線延長は約708キロメートルで、整備の必要箇所は約80キロメートルもあり、その整備率は約70%と聞きます。しかし、これには難工事の河口部門が含まれていないとのことであり、まだ相当の未整備距離があることになります。しかも、私の見るところ、強烈だった明治の大津波クラスには耐えられない箇所も完成箇所に算入されているのではないかと思われます。今後、30年以内には約99%の確率で宮城県沖地震の発生が予想されておりますが、今後の防潮堤整備計画についてお伺いします。
 3点目は、避難拠点の安全対策についてであります。
 災害発生時には、地域の学校や公民館が避難場所に指定されている例が多いのでありますが、その避難拠点が果たして十分にその役割を果たし得る実態にあるでしょうか。
 まず、建物の安全性についてですが、公立小・中学校全体の耐震化率は46.8%と聞きます。しかし、現行の耐震基準が適用されない昭和56年以前に建築された棟数1、040棟については、耐震診断率すら22%で大変に低い実態と聞きます。
 そこで、児童生徒の安全な教育環境の確保はもとより、地域住民の避難場所としての役割を果たすためにも、小・中学校の耐震化を図るべきと思いますが、その取組状況についてお伺いします。
 また、新潟県中越地震での避難場所では、当座の食料、燃料、毛布、簡易トイレなどが相当不足し悲惨な状態と聞きました。このことは、救援隊がすぐに到着できない緊急事態を想定して、公認の避難拠点には、避難者たちが二、三日は自給できる程度の緊急物資が常に備蓄されていることの重要性を教訓として残しました。本県の県及び市町村の緊急物資の備蓄配置地点とその内訳と量はどのようになっておりますか。さらに、今後の計画についてお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 まず初めに、義務教育費の移譲に伴う今後の改善策について教育委員会委員長にお尋ねいたします。
 中学校教職員給与費8、500億円の補助金削減要求問題は、平成17年度秋までに中央教育審議会の結論を得るとされ、来年度は暫定的に半額の4、250億円を削減移譲するとなりましたが、義務教育費が国から県に移譲されることによって、本県の義務教育のどの分野がどのように改善されると期待されるのでしょうか。
 また、東京大学大学院教育学研究科・教育研究創発機構の研究によれば、教職員の高齢化により、全国では、10年後に今年度に比較して8.5%程度の人件費がふえるとの試算があると聞きます。本県は、財源移譲されてもこれに耐えられるのでしょうか。
 増田知事は、マスコミとのインタビューで、義務教育費が要求どおりに移譲されれば、教員給与は県が責任を持って措置する。現に高等学校はそうなっていると発言されたとのことですが、これは当然のことであります。しかし、一方で、地方自治体の政策判断によって、教員給与費を他部門に転用するのではないかと、うがった見方をしている方もあるようでありますが、いやしくも財源の流用によって教員給与のレベルダウンはあり得ないと表明できましょうか、決意のほどをお伺いします。
 また、教職員組合の調査によれば、小・中学校教職員の66.2%がゆとりのない勤務実態を訴え、3年間で教職員をやめたいと一度でも思った教員が71.8%であり、いつも思っている人は40代、50代で約11%あると聞きます。これは、過酷にして異常な勤務実態から来ており、教育上ゆゆしい大問題であります。
 本県では、少人数指導を目指してすこやかサポート推進事業を取り入れておりますが、山形県では既に少人数学級を取り入れ、来年度から中学校にも導入する見込みと聞きます。本県も、少人数学級導入とこの異常な教員の実態改善のために緊急に施策を実施すべきと思いますが、決意のほどを御披瀝ください。
 次に、高校再編問題に関連してお伺いします。
 県は、少子化時代を迎えて、77の高校を59校に再編する高等学校後期整備計画を公表し、今、精力的に現地の意見を聴取しております。しかし、かつて県政の目標であった1町村1高校が実現し、地域の人材育成に多大な役割を発揮してきた唯一の地域の高校が廃止の運命にさらされる地域では、強い苦情と危機感を持つのは当然であります。この問題については、県議会でも議員研究会をつくり、きょうの午前中にその統一見解を、知事、教育長に申し入れました。
 職業高校再編案を見ますと、農業高校は5校から3校に、工業高校は9校から5校に、商業高校は6校から1校とあります。商業高校は、商業科併設校が6校予定されておりますけれども、今日の高度な流通経済下において商業専門高校を1校だけにすることは、商業教育軽視の批判は免れません。私は、むしろ、職業高校はより職業高校らしく純化し、専門性を高め、在学中に職業人としての目的意識と自覚を持たせる教育が必要だと思います。
 今回の高校再編計画に県下各地区で批判が多いのは、これからの本県の高等学校の教育理念を明確に示さないままに、入学予定人数のみをもとにして、総合学科高校を学校統合の隠れみのにしているのではないかと思われてなりません。
 まず、宮古商業高校についてであります。
 この問題については、やはりきょうの午前、地域の守る会の方々が3万3、500名余の署名簿を添えて、知事並びに教育長に陳情をしております。
 そこでこの問題について提案をしますが、この高校は85年余りの歴史を持ち、入学希望者も多く、現在4学級の定員が維持され、多くの人材を輩出してきましたのに、再編案によれば、現在2学級の宮古北高校と合併して5学級の総合学科高校にする計画になっております。そして、現校舎より極めて通学に不便な宮古北高校に移転させる案、このことについて、地域の方々は猛烈な反対運動を巻き起こしております。この地域は、市町村合併をして間もなく新市が発足する見込みであり、地域の教育施設のあり方は新しい市の主要な課題になるものであります。したがいまして、私は、宮古商業高校の統合改編移転問題は、新しい市が発足後に改めて地域と協議し、理解と協力のもとに決着するために、このたびの宮古商業高校の再編案は、この際、英断をもって白紙化すべきものと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、住田町の中高一貫校の実現についてでありますが、これは中山間地域と過疎の町の中等教育を守るために、町を挙げての必死の計画であります。今や、中高一貫教育の有用性が認められ、今年度中には全国で約150校になり、来年度以降、さらに約40校の新設が予定され、経済界でも独自の開校を計画していると聞きますときに、町内児童の全入を目指した住田町の心血を注いだ先進的この取り組みは高く評価されます。教育振興に格別の歴史を持つ本県として、私は、この先導的な住田町案の成果を信じて実現させるべくこの際決断すべきと思いますが、いかがでしょうか、教育長にお伺いいたします。
 最後に、川井村診療所問題についてお伺いします。
 川井村村営の国保川井中央診療所が、きょう12月1日から不幸にして保険医療機関の指定を取り消されました。現在川井村では、制度にのっとり、改善すべく真摯に取り組んでおります。この診療所は、広大な面積を持つ上に高齢化率が高い川井村では唯一の医療機関として村民の依存度の極めて高い施設でありますから、川井村民にとっては緊急事態であります。このため、村民挙げての署名活動がなされて、去る26日に2、687名、村民の約85%の署名簿が知事に提出されたと聞きます。このような川井村民の健康を守るために、法の裁きは裁きとしても、早急な保険医療機関としての再指定が緊要であります。この早期再指定と今後の村民医療支援策などについて、県は既に鋭意努力されていると承知しておりますが、今後の見通しと対策についてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問は終わります。答弁のいかんによりましては再質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 佐々木俊夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革への基本的見解と問題点についてのお尋ねでございます。
 私は、今回の三位一体改革の全体像の取りまとめにつきましては、国と地方が対等な立場で協議する場が今回初めて設けられ、それが公式なもので都合7回にわたって開催されたということがございまして、これは、今後の改革の前進に向けて意味のあるものであったと受けとめております。私は、一言で言いますと、今回のこの結末は、半歩前進、50点という点をつけたところでございますけれども、そういう受けとめ方でございます。
 一方で、その手続や今回の全体像の内容については、以下に申し上げますような問題があると考えております。まず、手続の面でございますけれども、地方6団体は、政府からの要請を受け、小異を捨て大同について改革案を取りまとめたわけでございますが、その後の国と地方のやりとりにつきましては、国側は、各省が個別に地方案を非難するということで、政府全体としての地方案に対するまとまった対案が最後まで示されなかった、ここが一番大きな問題点ととらえております。本来、国が行うべき改革案の作成を地方側に要請したわけでございますので、国としては地方案を最大限尊重して、修正が必要な事項については対案を示しながら双方で協議して決定されるべき、こういうプロセスをとるべきであったと思っておりまして、この点については大変残念だと思っております。
 この三位一体改革は、私は、本来、地方分権改革を推進するためのかぎとなる改革であると考えておりますが、今回、協議を通じて見られたものは、政府側では、財政再建に軸足を置いた考え方や、さらには、地方に任せて本当に大丈夫かといった地方への不信感がその中で表明されております。こういったことに見られるように、そもそもこの三位一体改革を何のためにやるのかという基本理念が政府側と十分に共有されていなかった、ここが大変大きな問題点でございますし、大変残念な点であったと思っております。
 今回の全体像の内容について幾つか申し上げますと、公共事業については税源移譲ではなく、国に配分権限が残る交付金化にとどまりましたし、国民健康保険の国負担分の一部が地方に転嫁している。これは我々がリストに載せていないもので、最後になってから出てきたものでございます。さらに、義務教育費国庫負担金のように結論がかなり先送りされているものもございますが、いずれにしても、地方の裁量や責任を拡大するという改革の理念が見えなくなってきて、今、どこが地方の自由あるいは裁量が拡大したのかわからない段階でございますので、我々が6団体としてまとめて出した地方案とは大きくかけ離れていると言わざるを得ないと思っております。
 この改革は今後も続くわけでございまして、国と地方の協議の場が今後も続くと考えておりますけれども、その中で三位一体改革の実現を強く求めていく必要があると思いますし、大事なそのときの力は、国民の理解だと思います。あわせて、改革に関する国民世論の喚起についても私ども6団体が協力をして一層強化していくことが必要でございまして、地方分権の確立に向けて私も全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、がんばらない宣言についてお尋ねが何点かございました。
 私が提唱しておりますがんばらない宣言の趣旨を改めて申し上げますと、経済的な利益や効率性のみを追求する考え方や、東京を中心とした画一的な物の見方といった、ともすればこれまで主流であった価値観を転換して、見過ごされてきた地域の自然や歴史、文化、産業、生活様式などを再発見し、それを上手に活用していく取り組みを進めることによって、本当に地域に誇りの持てる真の豊かさを実感できる社会を創造していこう、趣旨はこういうことで唱えたものでございます。岩手県内にはさまざまな力がある、地域力があると思っておりまして、豊かな森林資源を生かした岩手型ペレットストーブを開発するというもの、あるいはことしから始まりました――福祉の分野でございますが――結の精神に基づく御近所介護ステーションの取り組みですとか、あるいは地域の伝統的食文化をうまく活用した農家レストランの取り組み、こうした、従来はともすれば見過ごされてきた地域の潜在力を発見、発掘し、これを発揮させていこうという取り組みが県内各地域で脈々と今起こってきております。こうした動きをさらに後押しをしていきたい。そして、こうした地域の力を対外的に発信していくことがこうした取り組みをさらに強力に進めていくことにつながると考えておりまして、岩手の地域の持つ力を対外的に積極的に発信し、そしてまた後押しをしていく、そのためにこのがんばらない宣言が提唱している岩手らしい価値観を大いに世の中に伝えていきたいと考えているものでございます。
 この宣言に対しましては、今、議員の方からお話ございましたとおり、多くの広告宣伝費をその中に充てているわけでございますが、私どもの方にも多くの意見が寄せられております。その内容については、今、議員の方からお話がございましたが、これについて、岩手県としてこうした理念――かなり大胆な理念でございます――、そして、その理念だけでなくて、その理念をこういう形で発信している、そういう取り組みを岩手が行ったということに対して恐らく多くのメディアが取り上げたんだと理解しておりますが、そのことだけでも多大ないわゆるパブリシティーとしての効果があった、このように受けとめているところでございます。内容についての賛否はいろいろあるわけでございますけれども、岩手の持っております真の地域力をより後押ししていくということで、私は、今まで多くのお金をこのものに使ってまいりましたけれども、大いに成果があったもの、このように判断しているものでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部局長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔副知事竹内重徳君登壇〕

〇副知事(竹内重徳君) 成果主義に対する企業の内部告発と本県の管理職員評価制度の意義についてでございますが、本県における管理職員の業務評価につきましては、知事のマニフェストに基づいて昨年策定されました誇れるいわて40の政策の実現と行財政改革プログラムの推進を確実なものとするため、各部局の長や振興局長、総括課長などの幹部職員に当該年度の業務目標や取り組みの方針などを提示してもらい、これを職員が共有しながら目標の達成に向けて最大限の努力をしていくこと、そして、この目標達成に向けて、今年度から具体的にどのように取り組み、どのような成果を得たかを評価しようとするものでございます。個別の評価の結果を公表しておりませんが、評価の対象外としている主任級以下の職員も含めまして部局長の業務目標を全職員が十分理解し、それぞれの役割を明確に認識してもらうなど、目標管理と職員の育成支援に主眼を置いたものでございます。
 第1回目の中間評価は、今後の取り組みの向上に向けた期待もありまして若干厳しい評価となっておりますが、職員の努力する姿勢はまことに真摯なものであると考えております。
 申し上げましたように、本県で導入している成果主義評価につきましては、トップの掲げる目標の着実な達成に向けたブレイクダウンが組織階層ごとに確実に行われているかどうかを評価する、いわゆる目標管理型の考え方をとっているものでございます。したがいまして、内部告発があったとされる企業のような経営の合理化を目指した成果主義賃金制度とは大きく異なるものと考えております。御指摘の企業の場合、成果主義の導入と並行して大幅な人件費の抑制が進められた結果、成果に対する評価が高くても、これが賃金に反映されにくい状況が生じたと考えられること、幹部の策定した業務目標が公開されておらず、社員間で目標の共有が不十分な状況が発生していたと思われること、管理部門、人事部門の組織力が強大で、企業の合理化と成果主義賃金制度がうまく融合しなかったことなどが記事として掲載されております。このようなシステムは、本県の成果主義評価では採用していないものでございまして、本県の行政運営に当たりましては、今後とも官民の役割分担の見直しや外部委託の活用、優先度を重視した事務事業の厳選などを徹底し、行政サービスの維持・向上を図るため業務推進プロセスの継続的改善を進めますとともに、成果に対する評価のあり方がさらに深化したものとなるように取り組んでまいる考えでございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、来年度の予算編成についてでございます。
 先般、政府・与党で合意されました三位一体改革の全体像におきましては、廃止・縮減等の改革がなされます個々の国庫補助負担金の詳細が明らかになっておりません。また、一部の国庫補助負担金を除きまして、その改革の実施年度も不明となっております。したがって、これに伴います平成17年度の税源移譲額も不明となっております。また、地方財政計画の見直しの内容や平成17年度の地方交付税総額も不明ということで、現段階では、国の三位一体の改革によります本県財政への具体的な影響額は不明な状況でございます。
 また、来年度の地方財政対策につきましては、基本方針――骨太の方針によりますと、地方歳出の抑制という文言が随所に盛り込まれておりますし、財務省が大幅な地方交付税の削減案を提案しているということもございます。議員が御紹介されましたように、麻生大臣が言われますような交付税の減額がないということを我々は期待しておりますが、いずれにいたしましても、これは年末に行われます地方財政計画まで攻防が続くと考えておりまして、我々といたしましては、いまだ地方財政を取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 したがいまして、平成17年度の県の予算編成に当たりましては、県税収入の確保や未利用県有地の処分等によりまして自主財源の確保に努める一方、歳入に見合った規模となりますよう、引き続き歳出の抑制を図りながら、新しい予算編成システムによりまして各部局が主体的に予算を調整するなど事業間の優先順位の厳しい選択を行うなど、さらなる創意と工夫を凝らしまして限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めていくこととしておりまして、今後の国の三位一体改革の動向も踏まえながら適切な予算編成を行ってまいりたいと考えております。
 次に、職員定数の縮減であります。
 昨年度の行財政構造改革プログラムの策定に当たりましては、厳しい財政状況のもとで組織・職員体制の大幅な見直しを行うことといたしまして、事務事業の見直し、次長、課長補佐の見直しによりますフラット化の実施、小さい係の統合によりますグループ制の導入などによりまして職員定数を10%程度減らすことを目指したところでございます。
 各部局におきまして4年間の年次別の計画を策定いたしまして、知事部局におきましては、昨年度185人、500人の目標に対して37%の縮減を実現したところであります。しかしながら、昨年度の地方財政対策におきまして、プログラム策定時の想定を超えました地方交付税の削減が一方的に行われるなど、県財政を取り巻く環境は厳しさを増しておりまして、一層の取り組みが必要となったところでございます。一方、現在県におきましては、民間の経営改善手法を参考にした取り組みを開始いたしまして、組織のあり方、間接部門のあり方などにつきまして、これまでとは違った意識改革が根づきつつあります。行政内部の調整あるいは事務手続など県民へのサービスに直結しない仕事を徹底して見直しまして、全庁的に仕事の進め方の改善を進めるほか、電子県庁の推進により、決裁の迅速化、文書事務の合理化を図ることによりまして500人を上回ります職員定数の縮減の見通しが立ったことから、さらに職員定数を減らす方向で検討しているものであります。
 なお、退職手当の割り増し措置につきましては、昨年度、職員の年齢構成が大きくなっております45歳から55歳の層を対象に、多様なライフプランを支援する観点から割り増し率を拡大したところ、勧奨退職者が平成14年度に比べて32名の増加となっております。一定の効果が認められたと考えておりまして、総人件費の抑制と職員の新陳代謝を促進するため、今回割り増し措置の対象となります年齢を56歳から59歳にまで拡大しようとするものであります。
 臨時職員の任用数でございますが、これは毎年その配置所属や人数を見直しておりまして近年減少傾向にありまして、平成16年度当初におきまして643人と、前年度の731人に比べ88人減少しているところでございます。なお、今後、臨時職員や非常勤職員につきましても、業務の性質等に応じて戦力化していく必要があると考えておりまして、その任用数、任用方法等、任用のあり方について見直しをすることといたしております。
 次に、災害発生時の通信確保であります。
 昨年5月の三陸南地震を教訓といたしまして、携帯電話のふくそうによりまして地方振興局と被災現場の情報伝達が不十分であったということが挙げられるわけでございます。このため、ふくそうの少ない通信手段といたしまして、可搬型の衛星電話や災害時優先の携帯電話の配備台数をふやしているところでございます。市町村におきましても被災現場等との通信確保が課題でございますが、特に沿岸部は、同時一斉通信型無線によります一方通行型の伝達手段が主になっておりますので、被災状況の把握など双方向性の通信手段の確保が重点課題となっております。また、御指摘の孤立集落なども想定した通信確保対策が必要であると考えております。
 新潟県中越地震では携帯電話のメール機能は正常だったと言われておりますので、こうしたメールの活用でありますとか、あるいは学校など公共施設の公衆電話、駐在所の警察通信、消防団の無線など、あらゆる手段を活用した情報収集・伝達が必要と考えておりまして、特にも衛星電話は現在最も有効な通信手段として考えられますので、市町村とも連携をしながら整備に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、緊急物資の備蓄状況と今後の計画でございます。
 市町村におきましては、地震、津波、風水害などが発生した場合は、一次的な災害対処責任として必要な応急措置をとる必要がありますので、事前対策として災害を想定し、食料、飲料水、日用品、毛布、発電機等の備蓄を行っております。県では、市町村を包括する広域的な立場から、市町村の備蓄を補完するということで、ヘリポートを備えました県立総合防災センターに乾パン8、000食を初めとしまして、発電機、投光機、簡易トイレ、テント、ろ水器、炊飯装置等を備蓄しておりますが、大規模災害発生時の備蓄として、現状では市町村や県の備蓄のみでは十分と言えないと認識しております。
 新潟県中越地震の被災市町村によりますと、緊急対応の物資としては1日ないし2日間程度の食料、飲料水や毛布の確保が必要でありまして、その後、順次広域的な応援体制としての県、市町村の支援、自衛隊の支援のほか、関係業界からの調達で賄われたということが明らかになっております。こうした点を踏まえまして、まず、各家庭におきましても、被災した場合を考えまして――これは自助という部分でございますが――3日間程度の食料、飲料水等を確保しておくことも重要と考えておりますので、そうした意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。あわせまして、県内市町村の備蓄物資につきまして、広域的な調整による調達あるいは業界団体との物資調達協定に基づく調達あるいは他県との災害時応援協定によります調達、こういったものがあります。これを点検、見直すこととしておりますので、さらなる改善を図ってまいりたいと考えております。
   〔総合政策室長照井崇君登壇〕

〇総合政策室長(照井崇君) 地方振興局の再編についてでありますが、地方振興局の再編を進めるに当たりましては、地方分権改革が進展する中にあって、国と地方、県と市町村の役割分担をしっかりと踏まえた上で、住民に身近な行政サービスは住民に最も身近な基礎自治体が担うという近接性・補完性の原理を基本に、現在、地方振興局が担っている地域における行政サービスの総合センターとしての機能は今後できるだけ市町村に担っていただきながら、地方振興局は、市町村を超えた、より広域的な地域振興施策の推進戦略拠点としての機能を一層強化するとともに、市町村の補完・支援機能を担う方向で取りまとめていきたいと考えております。
 このため、今回の再編におきましては、まず、国と県と市町村の役割分担や、その望ましいあり方などについて将来をしっかり見据えながら十分議論を行い、その上でさらに本庁と地方振興局はそれぞれどうあればよいか検討し、本庁については、全県的な企画調整や評価などの業務を主として担うできるだけ小さな組織を目指すこととし、一方、地方振興局については、地域のことは地域で完結できるよう、本庁の権限、人員、予算を大幅に移譲して、名実ともに地域経営の戦略拠点としての機能が十二分に発揮されるようにしていきたいと考えております。
 今後、この地方振興局再編の基本的な考え方に基づきまして、市町村などの御意見も伺いながら再編案を取りまとめ、来年度これを公表し、県民の皆様との議論を十分に深めながら、平成18年4月をめどに再編を進めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 今後の津波対策防潮堤整備計画についてでありますが、これまで津波対策については、海岸高潮対策事業及び三陸高潮対策事業により、既往の津波高さをもとに定めました計画津波高さを目標に防潮堤や水門等の整備を進めております。そのうち海岸高潮対策事業においては、海岸線延長約708キロメートルのうち整備が必要な延長は県全体で79キロメートルございます。そのうち55キロメートルについては計画の高さまで整備が完了しておりまして、現在は、種市町の平内海岸や山田町の大浦漁港海岸等14海岸において計画津波高さまで既設堤防のかさ上げ等の工事を実施しております。
 一方、県管理河川のうち津波対策が必要な河川は39河川ありますが、これまで小本川など20河川において整備が完了し、現在、川尻川及び熊野川など7河川において整備を進めており、残りの12河川についても計画を検討しているところでございます。
 今後の津波対策防潮堤等の整備に当たりましては、現在整備中の箇所の完成に向けて着実に取り組んでいくとともに、地域によりましては防潮堤の計画高さが既往の最大津波高さより低い箇所があること、及び現在の計画高さを上回る津波が襲来する可能性があることから、市町村等と連携を図りながら、避難路の整備やハザードマップの活用などのソフト対策等を組み合わせました総合的な津波対策を進めてまいりたいと考えてございます。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕

〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 川井村の診療所問題についてでございますが、まず、厚生労働省の所管しております健康保険法の観点、それから、県の所管しております医師法、医療法の観点、いずれの観点からも幾つかの不正・不当請求が判明いたしまして、御質問にありましたように、保険医療機関の指定取り消しの処分が本日付でなされたということでございまして、県としてもまことに遺憾なことと考えております。
 こうした中で、去る11月26日に地元川井村の住民2、687名の方の請願書、それに村議会からの要望書が増田知事あてに提出されたところでございます。県といたしましても、一義的には村の問題とは考えましたものの、同日付で岩手社会保険事務局長に対しまして早期の再指定の要望を行ったところでございます。社会保険事務局を通じてお伺いしますところ、これらの請願書なり要望書を踏まえまして、厚生労働省本庁とも協議に入っていただいたと聞いているところでございます。
 いずれにいたしましても、国保川井中央診療所は村にとって唯一の医療機関でございますから、村民の生活に重大な影響を与えるだろうと憂慮しておりまして、再指定に当たりましては、まずは当事者であります村が、さきの厚生労働省、岩手社会保険事務局の監査で指摘のありました事項を真摯に受けとめて改善計画を策定することが重要と考えております。私ども県といたしましても、こうした村の取り組みに対して側面から支援していくこととしております。
   〔教育委員会委員長船越昭治君登壇〕

〇教育委員会委員長(船越昭治君) 義務教育費が地方移譲されることに伴う期待される改善効果についてでございますけれども、義務教育に係る費用負担の問題については、御承知のとおり、平成17年秋までに中央教育審議会で方針を出すという運びになっております。そういうことで、暫定措置として、御承知のとおり、4、250億円の税源移譲が暫定的に示されているわけでありますが、現在、その詳細、実態が明確でありませんので非常に展望が立てにくい状況にございますが、特に義務教育に係る国と地方の役割のあり方、これが恐らく明確に出てこないと具体の改善の効果というものが出しにくいわけでございますけれども、いずれにしても、税源移譲を含む財源措置が確実に行われるという前提の上であれば、地域に根差した教育が一層展開されるものと期待しております。今後の議論の推移を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、教職員人件費の推移をめぐる問題でございます。
 本県の教職員の年齢構成を見てまいりますと、現在、40歳前後の比率がやや高いという傾向にあります。今後の見通しとしては、教職員の平均年齢は上昇傾向にありますが、一方、少子化等に伴いまして教職員数も漸減傾向にございます。そうしたことで、今後、本県教職員の人件費が急激に増加するという状況にはならないものと考えております。本県の教育水準の維持・向上のために、今後とも、所要の財源の確保にはしっかりと努めてまいらなければならないと考えております。
 次に、財源の流用によって教員給与等のレベルダウン等の心配があるのではないかという御指摘でございますけれども、教員の給与は、法律によりまして一般の公務員の給与水準に比較して、必要な優遇措置を講じなければならないとされております。また、日々学校現場において、意欲的に教育活動に従事している職員の職責にかんがみますと、相応の給与水準は維持してまいるべきものと考えております。しかし、手当等の中には、創設からかなり長い期間が経過しているものもありますので、必要に応じて見直しをしてまいる必要もあろうかと考えます。
 その次に、少人数学級の導入等による改善でございますけれども、本県の少人数教育の取り組みを申し上げますと、少人数指導支援事業という形で現在推進をしているわけでございますけれども、具体に申しますと、すこやかサポート非常勤講師が小学校1・2年生と複式学級の支援に228名、国の少人数指導加配による正教員または非常勤講師の配置が小・中学校あわせて407名、学校いきいきプランによります非常勤職員が46名など、あわせて704名の人的支援が実施されております。これらの複数の教員を配置することによりまして、ティームティーチングや子供たちの興味・関心、あるいは習熟度等に応じた柔軟なクラス分けが行うことができております。学習指導方法の工夫・改善でありますとか、基礎学力の向上、教員の資質の向上等に大きな成果を上げております。また、このような複数指導体制が築かれることによりまして、個別の配慮が必要な児童生徒に対して協力して指導に当たることができるなど、教員の勤務実態の改善にもつながっていると承知しております。
 少人数学級の導入につきましては、今年度から少人数学級研究指定校として県内23校、2年間を実施しておりますが、その2年間の成果をもとにして検討してまいりたいと考えております。
 また、勤務実態の改善につきましては、教職員の勤務実態が適正になるよう、いろいろな課題の解決に向けて、市町村教育委員会と連携をしながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕

〇教育長(佐藤勝君) 防災対策としての避難拠点の安全対策についてでありますが、まず、小・中学校の耐震化についてであります。
 小・中学校は、地震等の災害時に児童生徒の生命を守るとともに、地域住民の避難場所ともなっていることから、市町村が最優先で取り組むべき課題であります。この耐震化を推進するには、その前提として、学校ごとに耐震診断を行い、耐震性能を確認しておく必要があると考えております。そこで、市町村には、昭和56年以前の建物を、平成15年度から3カ年計画で診断するよう指導しているところであります。
 その取組状況について申し上げますと、診断が必要な1、040棟のうち、診断済みのものは15年度当初で91棟が年度末には229棟となり、さらには本年度末には165棟が計画され、それをあわせますと実施率も38%になると見込まれております。
 このように、計画的に診断され着実に実績を上げてきてはいるわけでございますが、なお4割に満たないことや、財政事情を理由に取り組みのおくれも見受けられますことから、一層の誘導を図るため、市町村総合補助金を活用しての事例を紹介するなど、実施率を高めるよう指導しているところであります。
 また、耐震診断の結果、建物の補強工事等が必要となった場合には、今後とも、耐震の補強等への国の補助制度等を積極的に活用しながら、計画的に整備を推進するように指導してまいりたいと考えております。
 次に、宮古ブロックの高校整備計画についてでありますが、この計画案を作成するに当たりましては、広く宮古・下閉伊地域における近年の中学生の志望動向、進路志望に関するアンケート調査の結果、また、新しいタイプの高校である総合学科高校への強い期待などを勘案し、さらには、岩泉高校田野畑校や宮古高校川井校のそれぞれの本校との統合を含めて、広く宮古・下閉伊地区のバランスや地域産業との結びつきなどを配慮し、宮古商業高校と宮古北高校を統合し、商業系列、看護・福祉系列、さらには文系・理系の普通科系列を備えた沿岸中部地区初の総合学科高校として、新設、整備しようとしたものであります。こうした案について、さまざまな場において意見を伺ってまいりましたが、ただいま佐々木議員からの御指摘にもあったように、総合学科高校移行への不満、商業教育の専門性を維持すべきであるとの意見、さらには新設校設置場所への疑問など、またその一方では、普通科教育の充実についての要望など、数多くのさまざまな意見、提言が多く寄せられたところでございます。
 県教育委員会といたしましては、こうした地域の声も勘案し、これからの商業教育に求められるもの、今後の地域の少子化など統合が避けられない現状、さらには、広く宮古・下閉伊地区の中学生の動向、加えて、県議会の御意見、御提言もいただきながら、成案策定に向けて鋭意詰めてまいりたいと考えております。
 次に、住田町の中高一貫教育校についてでありますが、先般、住田町長から中高一貫教育校設置推進アクションプランを御提言いただきました。このプランにおきましては、中山間地域における人材育成のあり方や、併設型中高一貫教育校のねらいであるゆとりある体系的なカリキュラムのあり方などについても示されており、その考え方や手法について、今後、県におきまして、中高一貫教育校を検討するに当たっては、大変参考にさせていただく点が多いと感じております。
 県教育委員会といたしましても、この中高一貫教育校につきましては、まず、本県にとってどのようなタイプの中高一貫教育校が最もふさわしいのか、その理念、目的、導入地域、学校規模、既存の中学校に及ぼす影響など全県的視野に立ち、これらさまざまな課題について検討を加えていくべきものと考えております。あわせて、県民の中高一貫教育に対する関心と期待が深まる中、一層の理解と十分な周知が大切であり、その導入に向けた準備の期間の確保もまた必要と考えております。

〇51番(佐々木俊夫君) ただいまはそれぞれ御答弁、ありがとうございました。
 いろいろな点で再質問したいところでございますけれども、限られた時間でもあります。そこで、知事に3点お伺いしたいと思います。
 本当は、三位一体改革は増田知事は先頭を切ってやられた方ですので、まだ不明確な点がありますというような先ほどの答弁では、何かごまかしているのではないだろうかなと。やっぱりもっと明確に、この点はこうでこうだという、具体的な御説明があるのかなと、また、それを実は期待しましたし、それを受けた総務部長も、来年度の予算はこうこう、こういうことになるでしょうという、非常に明確な答弁があるものなりと私は思ったんですけれども、明確な点、大事な点がまだ不明でございますのでという形で、何か、逃げたんじゃないですけれども、どうもしっくりしないなと、こう思ったんですが、ただ、結論的に、知事は今回の決定は3歩前進で50点だと、こういうお話をされました。全国知事会の会長は60点だと言いましたが、50点というのはどうですか、再試験対象ですか、落第でしょうか。それとも、まあ何とか進学、進級できるんでしょうか。どうも通常はきわどいところですね、これは。その意味で、もし落第だというんであれば、そういうことをきちっとこの際申し上げないと、もう国は走り出しているわけであります。先ほど申し上げましたように、厳しい評価をされたということはわかるんですし、きのうも東京で、どこかの会合で、そういう発言をされたということも仄聞をいたしております。
 そうしたことから、今度は具体的にちょっと聞きますけれども、まず最初に、三位一体改革と職員の定数問題、先ほど総務部長からもお聞きしましたけれども、大体三位一体改革が実行されますと、今度は今まで国がやっていた仕事とか権限、あるいは金というものが地方に来ますので、国家公務員は余ってきますね。国家公務員のリストラが必要になる。そういう状況があるのに地方でも定数を減らすと、こういうことなんですけれども、地方はますます仕事がふえるのに人数を減らすということになりますと、県とか市町村の職員というのは、非常に過重な負担がかかってくるのかなと、こういうことを考えるんですけれども、今回、今まで予定の10%を12%、約100名多くやめてもらうと、こういうことなんですけれども、どうもその辺を加味した計画なのか。それとも、ただ希望者が多いからふやしていこうやという程度のことなのか、その辺の三位一体改革と県の――市町村までは別として――県の職員定数というものはどうあるべきなんだという基本的な考え方を一つお示しいただきたいと思います。
 それからもう一つ、2点目ですけれども、今回の三位一体改革の象徴を担ったのは義務教育費の国庫負担を国でやるのか地方でやるのかと、こういう問題であります。これがまだはっきりしないので教育委員長は、まだ、どうもこの結果がどうなるのかなという程度にしか受け取らなかったんですけれども、この8、500億円、これを地方によこせということについては、半分は差し当たってよこすけれども、あとの半分は来年の秋の中央教育審議会の答申の結果を見てやると、こういうことなわけであります。したがって、来年の中央教育審議会がいわばキャスチングボートを握っちゃったと、こういうことになってしまうのではないか。したがいまして、中央教育審議会の結論いかんによっては、これだけもめた義務教育費問題もスカーンともう決まっちゃう。こういうようなことになるというか、振り出しに戻ると、こういうことになるのではないか。
 そこで、中央教育審議会のあり方ということについて、知事の基本的な考えをお伺いしたいんでありますけれども、なぜお伺いするかといいますと、まず、中央教育審議会は、既にこの金を地方に渡すことはだめだという中間報告を出しているという実態が一つある。それからもう一つは、中央教育審議会の会長さんは鳥居さんという方なんだそうですけれども、この方は、先般、この問題が出たとき、子供はどこに生まれてどこで教育を受けようが、全国同じ基準で国が責任を持って教育すべきものである、こういう考え方を示している。さらに、現在のように、日本では、国が半分、地方が半分と、こういう制度になっているけれども、もともとこの教育は地方が負担する制度であったんだと。ところが昭和28年に、全国知事会から、教育水準が下がって、低下して、地域間の格差が顕著になったから、国の方で負担してほしいという要望があって現在のような制度に変わったんだと。しかも、世界の先進国の多くが、全額、国が負担する傾向にあるのに、日本はこれに逆行することになるんじゃないかということで、この地方案を否定、批判する談話等を出しておるわけであります。
 しかも、一例を挙げれば、皆さん御承知ですけれども、イギリスというのは教育先進国だと私は思っておりますが、この問題については、やっぱり義務教育費を地方に任せた時代には偏向教育が横行したと。そこで、サッチャー政権になってから段階的に国に移すようにしたと。それ以来、教育水準というものは向上してきたと。したがって、現在のブレア政権では、2006年から、全額、国が負担するような計画になっているということを私は聞いているんですが、うそでしょうか、どうかわかりませんが私はそう聞いております。
 これらの一連のことから考えますときに、日本の義務教育制度とそのあり方はこれでよいのか、その責任は原則的に国にあるのか、地方なのか、義務教育の根幹にかかわる問題を置き去りにしている。これは先ほど教育委員長も指摘された、そのとおりだと私は思います。そして、金銭の、お金の問題が先走っている。したがって、この問題はいろんな人の意見によって相当に難渋する問題ではないかと、このように思われるわけであります。いわゆる、その先頭に立った増田知事でございますけれども、どうも世界の流れにさおを差すようなことになりはしませんかということになるんでありますが、いずれ、この中央教育審議会が、どうもそういう方向に行きそうだという心配があるものですから、何か知事会の方ではこの審議会に地方代表を送り込めと、そのようなお話もあるということなんですが、そういうことになりますと、中央教育審議会というのはいわば利益代表の集まりになっちゃう。こういうことになりますと、厳正、公平な審議というものができなくなるんじゃないのか、こういうことも心配されるんでありますけれども、今後の中央教育審議会のあり方について、本県の知事としてどのような判断をお持ちでしょうか。
 それから3点目、先ほどがんばらない宣言について御答弁がございました。どうも私、しつこいようで気が引けるんでありますけれども、さっきの知事のお話によりますと、地域力を再発見するように、応援するためなんだというお話がございましたけれども、ますますもって私はわからなくなってきたんです。私は、むしろこのがんばらない宣言というのは、県民に頑張るなと、こう言っている、端的に言っているように聞こえてどうも納得できません。
 私もこうして県議会におかげさまで席を持っているわけですけれども、私が個人的にだれかに、あるいはまた何かの集会の席で、今、岩手県知事はがんばらない宣言でやっているんだと、私もそれに賛成しているんだというようなことを私が言ったら、私はその場で笑われますし、やがて落選候補になりますね、これは。皆さん大丈夫ですか。完全に私はそうだと思います。
 のんびり焦らずに、ゆっくりゆとりを持って、あくせくしないで、苦労がなく安心して生活する。横文字で言えば、スローライフというんだそうですが、これができることはやっぱり理想であります。私もそうありたいと思います。
 私は、平成14年にもこの席でこの問題を取り上げたんですが、このごろはちょっと見えなくなりましたけれども、ゆっくり走ろう岩手県、そんなに急いでどこに行くという交通標語がございました。これはすばらしい標語だと私は思うんですけれども、がんばらない宣言とは根本的にこれは違う発想であります。しかも、先ほども申し上げましたし、私、その新聞をここに持っていますけれども、ウォールストリート・ジャーナル。わざわざ岩手県まで、片田舎まで来まして、私のような者にまで取材をして、そして一面の準トップです。それが6面まで、約200行、長文で報道して、しかも表題にはGIVE UPと書いているんです。岩手県は敗北を認めたと。それは岩手県を褒めたんじゃなくて、私はむしろ、日本は資本主義国家で当然競争原理で成り立っているはずなのに、それから岩手県は脱落をして敗北宣言をしたんだというように、ひねくれでしょうけれども私にはとれるわけなんですね。そういうところは日本、東北の片隅、岩手県というところだというように、おもしろおかしく報道しているわけであります。
 今、厳しい時代であります。私どもはまだまだ躍進したいと、そういうことでお互いにこうして頑張っているわけであります。すぐれたリーダー増田知事は、大変失礼な言い方になりますけれども、この宣言は作家の椎名誠さんとの合作だと思いますが、今回のこれだけは浅慮の一失ではありませんかと思います。
 長々と申し上げてまいりましたが、さらに知事の反論があればお示しください。
 お金の話になってどうも貧乏根性のようですけれども、先ほど4年間で2億円の広告費を出されたと、こういうことに触れましたけれども、この広告先を見ますと、県内新聞には平成12年度に1回だけ出して、あとは全部全国紙、他県の地方紙であります。県民に頑張らない精神を納得させるんであれば、県内紙をもっと利用されたらいかがでしょうか。あるいは、県にはたくさんの広報媒体があるんですから、それを利用すればほとんど無料か安く利用できるんではないでしょうか。
 さらに、ことし16年度は、1月か2月になるんだそうですけれども2、880万円の広告を予定しているそうです。来年もこの広告予算を計上される予定でしょうか、お伺いします。

〇知事(増田寛也君) ただいまの三位一体改革の関係とそれからがんばらない宣言、都合3点お尋ねありましたので順次お答え申し上げます。
 まず、県職員の定数の関係で、これは国家公務員のリストラというお話がございました。確かに、今、三位一体改革が、補助金の廃止ということが一つの眼目でございますので、中央省庁をごらんいただきますとおわかりのとおり、この補助金を配ることに随分多くの職員の皆さん方が携わっている。これだけ多くの補助金を廃止するということであれば、この問題を抜きに制度設計はできないと私は思いますし、こうした補助金が多く廃止されて地方の一般財源に変わった上では、現在、その業務に携わっていた国家公務員の人たちを今後どのようにしていくのかということも真剣に考えないと、ここがまた今回の改革の実現を阻害することにもつながりますので、そういう意味で、私もこの人材ということも十分に考えなければいけない。しかも、その人たちの意識とかそうした皆さん方も尊重しながらこの改革を進めていかなければいけないということで、四位一体ということを言ったりすることもありますが、この人材の問題を真剣に考えましょうという問題提起をいたしております。国家公務員の皆さん方は優秀な人材でございますので、地方で有効に活用することもその中の選択肢の一つとしては検討に値するんだろうと思うんですが、ただ、それを考える上では、まず、そのような形で国から地方に多くの仕事が移った場合に、今の国の機構の中で、いわゆる出先機関として多くの地方支分局がございます。こうした国の組織、それから県と非常に仕事が重なる可能性のある地方支分局のあり方をどういうふうにしていくのか、そしてふさわしい体制と、さらには、そこにそれでは必要最小限、どの程度の人たちが必要なのかということを一つ一つ厳密に検討していかなければならない。ですから、まず、次にはそのようなことを国として考えていくのであれば、改革を進めていくのであれば、この国の行政組織をどうしていくのか。特に地方支分局の部分も含めてどうしていくのか真剣に検討して、その改革案を提示した上で、我々がそれをまたどのように受け入れるのか、また、いい形で改善案を出すのかと、その検討が必要だろうと思います。したがいまして、この問題は大変重要な問題でございますが、ある程度補助金の廃止が進むという見通しがつきましたら、そうした検討を次に行いましょうということを問題提起をしていくつもりでございます。
 それから二つ目、中央教育審議会の問題でございます。
 この義務教育の問題については、来年の秋までにこちらで検討が行われるということですが、私は十分な検討を、こういう教育について見識を持っている皆さん方の中で、冷静に議論する必要があるのではないか。この義務教育の問題については、知事会の中でも異論がございますし、それから、国民の中でも今回の削減案の中では一番多くの異論が聞かれる分野でもございます。これは紛れもない事実でございまして、私は削減リストの中では、これは知事会のほとんどの人間がそう思っていると思いますが、やはり一番廃止の対象となるべきは公共事業であって、これは知事会の議論の中でもおわかりのとおり、いわば9番バッターのような取り扱いでございますし、中央教育審議会の場で議論をするということであれば、そこで本当に真剣にそれぞれの立場で議論をしていくということが、次の義務教育のあり方につながっていくであろうと。中央教育審議会の中にメンバーとして、今、地方団体の関係の人間がおりませんで、東京都の教育長のみ入っているということですので、せっかくのこの機会でございますので、私は、地方団体を代表する人間にもこの場に入っていただいて、その上で公平な議論をすることが必要ではないかと考えております。
 議員の方から鳥居会長の御見解なども紹介がございました。これは、会長の御見識としてそのようなお考えを持っている、これも大変尊重しなければいけないと思いますが、恐らく中央教育審議会の場での議論ということになれば、議事を進行する上で、そうした御自分のお考えとは別に公正な議事進行に当然努められる、そういう方だろうと思いますので、ちょうど1年間の時間が与えられておりますので、そこで十分な議論をするということがいいのではないかと考えております。
 それから3点目ですけれども、がんばらない宣言について今お話がございました。この宣言の見方についてはいろいろ前回の議会でもお話がございましたし、御議論があろうかと思っています。御質問のございました、来年度これはどうするんだろうかという予算のお話でございますが、この宣言につきましては、私は、内部で前から検討してございますけれども、大きな成果を上げてきたので、ここで一つの区切りにしたい、こう思っております。一方で、御承知のように県の厳しい財政環境の中で、この宣伝広告費の分野も相当大胆に削減をしなければいけない、メスを入れなければいけないという事情もございますので、私どもの中では、このがんばらない宣言につきましての広告費も削減の対象にしよう、こういうことで今考えておりますが、最終的に詳しく中を決めるのは御承知のとおり当初予算ということになりますので、きょうの御議論も含めて、中でよく関係者で検討していきたい。今のところは削減の対象ということで考えております。

〇51番(佐々木俊夫君) いろいろありがとうございました。
 がんばらない宣言について、県の職員のどなたと会ってもにやっとするんですよ、このことについては。本当にやらなければならないと言っている方は何名かはあると思いますが、私は会ったことはありません。したがって、この辺で区切りにされるのは賢明な判断ではないだろうか、こう思います。
 それから、三位一体改革に関連して、県職員を一方では削減する。東京では当然余るんです、仕事はどんどん来ますから。知事は国の公務員の大先輩ですし、知事会の中にも相当先輩の方がおられるわけで、そういうところの職員はどんどんリストラせい、こういうことではこれも通らない。国の各省庁が反対している原因もその辺にあるのかなと私は邪推するんですけれども、いずれにしろ相当問題になるだろう。ただ、一方で、その人材、貴重な人材というお言葉がありましたけれども、貴重な人材です、まさに。だから地方へと安易にいきますと、今度は地方で今まで営々として苦労してきた公務員の立場は何なんだ、こういうことになって、それこそ地方分権じゃなくして実質的な国の統制、中央集権国家になってしまうんじゃないか、こういうことも心配されます。これは答弁は要りませんけれども、相当慎重な取り組みが必要ではないだろうか、こう思います。
 時間がもう2分しかございませんのでこれでやめますけれども、いずれにしろ、先ほど私が申し上げました高等学校の再編の問題、一例として、最も厳しく地域で反応しております宮古商業高校あるいはまた住田町の問題、この2点だけを申し上げましたけれども、やっぱり県の方でも随分悩んでおられます。教育委員長、教育長、御苦労さま。それぐらい悩んでおりますし、私ども県議会でも全員で委員会をつくりまして、その考え方はもう既にきょうも申し上げたとおりでございまして、やっぱりこれは相当慎重にやらないと、せっかく今まで教育振興運動をやってきた岩手県の歴史のある教育委員会がここで汚名をこうむるということになってはせっかくの努力に対して大変気の毒ですので、この際もう一回振り出しに戻ってどうあるべきなんだということを、地方にも立派な意見はたくさんありますのでそういう方々と、何もエゴ的に自分が卒業した学校だから残せなんていうエゴじゃないと私は思うんです。そういうことも加味しながらひとつ努力していただきたい。今後の進め方について、なお注意深く私も発言したいと思います。

〇議長(藤原良信君) 所感があれば知事。よろしいですか。
   〔51番佐々木俊夫君「あれば」と呼ぶ〕

〇知事(増田寛也君) 所感をということですが、国家公務員の関係、これを地方にというのは、優秀な人材ということを申し上げましたけれども、それをただ安易に受け入れるというのは大変乱暴な話ですから、これはそれぞれの理由があってこの問題を考えていかなければいけないということで、大変慎重にこれは考えていかなければならないと思っております。

〇議長(藤原良信君) 次に、伊藤勢至君。
   〔40番伊藤勢至君登壇〕(拍手)


前へ 次へ