平成29年2月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇2番(臼澤勉君) 無所属の臼澤勉です。
このたびは2度目の一般質問の機会をいただきました先輩議員の皆様方に感謝申し上げます。
一般質問の最終日、最後の質問者であり、これまでの質問と一部重複いたしますが、よろしくお願いいたします。
さて、アメリカ新大統領の就任以降、世界経済、国際情勢とも不確実性が増し、不透明な要素をはらんできております。国内においては、これまで経験したことのない人口減少、高齢社会といった環境変化を迎え、これからの10年は持続可能な行財政基盤を確立させなければならない大変重要な時期であります。
本県の所得水準は、復興需要等により全国平均100に対し94.7と、格差は縮小しているものの、東京一極集中の是正と構造改革、震災復興と防災、医療連携、産業振興と教育環境の一層の取り組みが重要との観点から順次質問いたしますので、前向きで具体的な答弁をよろしくお願いいたします。
まず一つ目、持続可能な財政構造の構築について伺います。
知事は、さきの演述において、事業効果が高い施策への選択と集中、そして、歳入確保を図り財政の健全化に努めると述べております。公債費が低減する一方、高齢化に伴う社会保障関係費の自然増のほか、東日本大震災津波から復旧した社会資本の維持管理など、厳しい財政状況が今後見込まれますが、持続可能な財政構造をどう構築するお考えかお伺いします。
また、財政力の脆弱な市町村にとっても、同じように将来的な財政負担が生じてきますが、市町村の行財政運営支援をどのように行っていくのか、お考えをお伺いいたします。
次に、国民健康保険についてですが、平成30年度から県が中心的な役割を担うこととされていますが、国は、保険者努力支援制度の実施に約1、700億円を確保する一方、財政安定化基金に2、000億円規模を平成32年度末までに確保すると伺っています。本来、保険料で賄うのが原則ですが、一方で、医療の増嵩に耐え得る財政基盤の確立が課題です。
国民健康保険に係る財政運営の責任主体が県に移行しますが、将来にわたる県財政の影響をどう見込み、安定的な運営をどのように図ろうとしているのかお伺いいたします。
また、本県の場合、県立病院等事業会計に一般会計から毎年約200億円規模で繰り入れしています。今後、県立病院を含め、地域医療の提供水準と、標準的な保険料等の住民負担のあり方を総合的に検討することが可能な体制になり、県の役割が飛躍的に増大しますが、どのような組織体制で対応するのか、あわせてお伺いいたします。
次に、今後の組織運営について伺います。
地方公共団体定員管理調査結果によると、県の総職員数は、平成28年2万3、929人、対前年比22人の減であり、平成4年をピークに減少しているものの、下げどまり傾向にあります。部門別で見ますと、教育部門等で減少しているものの、一般行政部門で4、312人、対前年比39人の増、警察部門、公営企業会計部門で微増しております。特に一般行政部門においては、ピーク時の平成7年5、326人に対し1、014人減、約2割減少しております。
今後、防災や地方創生、社会保障など体制の強化が求められますが、どのような組織運営をしていくのかお伺いいたします。
また、東日本大震災津波以降、臨時、非常勤職員をふやしながら多様化する行政ニーズに対応してきています。臨時、非常勤職員及び任期付職員の任用等については、制度の趣旨に沿わない任用が行われるケースや、処遇上の課題も全国で指摘されていると伺っています。
勤務の内容に応じた任用や勤務条件を確保できるよう取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
次に、知事のリーダー論について伺います。
先日、ある社長からリーダー論について伺いました。最も重要な能力は創造的な判断力であり、本当のことが言える伸びやかな社風、実力、能力を評価できる社風、人を育てる適正配置、さらに、何よりも行動力こそが真の人を育てると言われ、共感を覚えました。
私の好きな言葉に、国の治むるの道は寛猛中を得るに在りがあります。国を治めるコツは寛と猛、緩やかな面と厳しい面のバランスをとるという意味であります。
そこでお伺いいたします。知事は、さまざまな重要県政課題が山積する中、限られた職員の能力を引き出すために、どのようなリーダー論で県政を運営されるお考えかお伺いいたします。
二つ目、震災復興と防災、医療についてお伺いいたします。
初めに、総合広域防災体制と医療連携についてですが、台風第10号災害のとき、県立消防学校は、岩泉町内の入院患者を内陸部の病院に搬送するためのヘリや救急車、支援部隊等のベースキャンプ機能のほか、災害医療活動の支援機能、救援物資の中継、分配機能を発揮しました。
一方、ベースキャンプとなった場所は車庫のような場所で、冬場等の厳しい気候条件での環境面や情報伝達手段のインフラ面など、ハード、ソフト両面において改善を要すると感じました。
岩手県広域防災拠点は、広域支援拠点12施設、後方支援拠点22施設が現在整備されていますが、岩手県広域防災拠点配置計画では、中長期的課題として、集中配置型の広域防災拠点整備の方向性の検討が挙げられております。
東日本大震災津波や台風第10号災害の経験から、災害に迅速に対応するため情報伝達手段を有し、地域医療機関との連携が図られる総合的な防災拠点施設整備が必要と思いますが、県の御所見と、今後どのように検討を進めるのかお伺いいたします。
次に、ドクターヘリヘリポートの整備状況について伺います。
平成31年9月の開院に向け、いよいよことしから岩手医科大学の病院建設工事が進められますが、岩手医科大学のヘリポートに県の防災ヘリは着陸困難であると伺いました。有事の際は、隣接地の消防学校に着陸し搬送するのでしょうが、一刻を争う状況下では、致命的な初療のおくれとなることが懸念されます。一分一秒でも早い治療開始が救命率の向上と後遺障がいの軽減に大きな影響を与えることを考慮すれば、防災ヘリも着陸可能となるようにするべきと考えます。
医療と防災の連携確保の観点から、高度医療機関にドクターヘリと防災ヘリが着陸できるヘリポートの整備について御所見をお伺いいたします。
あわせて、ドクターヘリが飛べない夜間や気象状況下においては、陸上輸送が想定されますが、ドクターカーの必要性についても御所見をお伺いいたします。
次に、医大移転に伴う道路整備と二次交通整備についてお伺いいたします。
医大の新附属病院は、治療、手術、入院を中心とする1、000床の特定機能病院として整備されると伺っております。また、将来的には、岩手県の三次医療ゾーンとして、保健、医療、福祉分野の集約が見込まれることから、迅速かつ円滑にアクセスできる道路が必要となりますが、現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
また、年間約2万人の往来が見込まれることから、利用者の利便性向上と安全で快適な環境構築のため、二次交通の整備等が求められます。盛岡や県北広域圏から電車通院される方のために、JRとIGRの円滑な直通乗り入れについて、どのような対応を検討されているのか伺います。
あわせて、バスを含めた二次交通の整備に向け、交通事業者を含めた関係機関との協議状況についてお伺いいたします。
次に、医師、看護師確保対策について伺います。
明治時代、岩手医科大学の創始者である三田俊次郎氏は、県民医療の困窮状態を憂い、私財を投じて私立岩手病院を設立、同時に、医学講習所、産婆看護婦養成所を併設、医療人の育成に努められました。
岩手医科大学の学則の目的に、誠の人間を育成すると書かれております。同大学では、地域で必要な真の人材を地域で育てるため、地域医療を志す本県出身者を選考する枠を設けています。
医師養成奨学金による医師養成の今後の見通しと、養成医師の県内定着に向けた取り組みについて伺います。
あわせて、県内看護職員養成施設卒業生の県内就職率向上に向け、どう取り組まれるのかお伺いいたします。
三つ目、東日本大震災津波復興実施計画について伺います。
まず、第1期、第2期復興実施計画の総括と第3期計画への決意について伺います。
土地区画整理事業などの面整備と県が整備する災害公営住宅については、復興基本計画期間である平成30年度末までに全て完成する見込みと伺っております。東日本大震災津波から6年が経過する中、被災者の生活再建にとっては、一日も早い住まいの再建が最も重要であります。
知事は、第1期、第2期の復興実施計画期間6年間をどう総括し、次期の復興実施計画に対し、どんな決意で復興事業を進めようとしているのでしょうか。
あわせて、岩手県総合計画に引き継ぐ方向で検討されているようですが、国の計画期間と市町村の復興計画との整合性を図りながら検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
復興実施計画の目指す姿のキーワードとして、コミュニティーの回復、再生が挙げられます。人と人のきずなや地域コミュニティーを維持することを重点に意識し、住宅再建の意向確認を初め、移転先の住宅団地の造成等、新たなまちづくりにこれまで取り組んでこられました。
先日、県民協働型評価推進事業に係る成果報告会が開催され、災害公営住宅のコミュニティー形成に関する課題と情報提供相談窓口の開設についての政策提言がありました。
県として、これらの提言をも踏まえ、災害公営住宅の効果的なコミュニティー形成の推進に向け、具体的にどう取り組むお考えかお伺いします。
次に、なりわいの再生と担い手確保対策についてお伺いいたします。
平成28年8月に、県が沿岸12市町村、2、028事業所を対象に実施したアンケート調査によると、仮設店舗、事務所で事業再開した事業者のうち、約2割の方が本設での再開を予定していないとの結果でありました。後継者の不在や資金不足などが理由であります。本設を希望しない事業者もいると思いますが、本設再開や事業継続のための対策を早急に充実強化しなければ、地域経済への打撃ははかり知れません。
また、売り上げ状況が震災直前の水準以上まで回復している割合が低いのは、水産、食品加工業と卸小売、サービス業であります。水産加工業や運輸業などにおける従業員不足が特に深刻であり、事業意欲の維持と産業の担い手育成といったソフト面での支援が急務であります。
本設店舗への移行支援や担い手確保のための支援策を強化し、市街地復興の呼び水として商業機能の集積、回復に向け、さらに一歩踏み込んだ対応が必要と思われますが、御所見をお伺いいたします。
四つ目、いじめ、自殺対策についてお伺いいたします。
私が県議会議員に立候補した際、矢巾町内で中学生がいじめを一因とする自殺がありました。震災復興で命のとうとさと悔しさ、無念さを経験した本県において、二度ととうとい命と輝かしい人の営みが失われることのない社会環境を整備すること、それが政治家の使命であると私は捉えております。昨年末に公表された矢巾町中学生重大事態に係る調査報告書には、調査委員会が認定した事実と、それぞれの立場の方への提言がまとめられております。
そこでお伺いいたします。いじめ問題対策委員会が1月16日に開催されたようでありますが、これまでの開催状況と取り組みの評価についてお伺いします。
あわせて、この調査報告書の提言内容を県教委としてどのように受けとめ、どう実効性のある行動につなげようとしているのかお伺いいたします。
次に、いじめによる不登校等について伺います。
平成27年度問題行動等調査によると、県内のいじめの状況は、特にも重大事態の発生件数が17件、うち、いじめにより不登校となっている重大事態が15件もあり、ここ数年間と比較して大幅に増加しています。
いじめによる不登校が増加している背景等をどのように把握し、改善に向けどう取り組まれているのかお伺いします。
また、いじめられた児童生徒の相談の状況では、誰にも相談していない児童生徒が約1割弱、316人となっています。このような児童生徒への対応状況と対策はどうなっているのかお伺いいたします。
また、平成27年度のいじめの解消率は全体で98.6%と高い割合ですが、解消の基準が学校の判断に委ねられているとの指摘もあります。一定の解消が図られたが継続支援中の案件も467件あると伺っています。
被害生徒に寄り添った対応や解消の基準について検討する必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
また、平成26年4月に作成した基本方針では、いじめ未然防止の観点が重要とされております。重大事案が発生してからの対応よりも、いじめ問題対策委員会をフルに活用し、未然防止の具体的な対策を議論する場に活用すべきです。
〔副議長退席、議長着席〕
具体的には、心理や福祉の専門家、弁護士、医師など外部専門家と連携を図り、例えば弁護士によるいじめ予防授業や医師による命の授業などの取り組みをパッケージにし、各学校での実効的な対策を展開すべきと考えます。
一方、スクールカウンセラーの配置も必要ですが、専門家任せになってしまうおそれもあります。矢巾町の調査報告書に、全県的に実効性のある研修体制の構築についての提言がありましたが、学校現場における児童生徒のSOSの受け手は教職員や養護教諭等が基本であり、先生方へ負担感を持たせないよう配慮しながらも、教職員や養護教諭等への研修や相談指導の体制の充実も重要と考えます。
具体的ないじめ防止対策に向け、今後どうしていくお考えかお伺いいたします。
次に、自殺対策について伺います。
知事は、ふるさと振興総合戦略で、さまざまな生きにくさを生きやすさに転換するふるさと振興を進めるとうたっています。自殺は、多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであり、その要因をしっかりと分析できないと有効な対策を実施することができません。秋田県では、地域介入による自殺対策研究が3年半行われ、介入した地域において自殺死亡率が47%減少しました。そして、性別や世代、地域の特性によって予防効果は異なることが示されております。
県は、本県の現状を科学的にどう分析し、どのように評価しているのかお伺いいたします。
また、国では、ことしの夏に自殺総合対策大綱を改定すると聞いております。自殺はさまざまな要因が複雑に絡み合って起きており、失業や多重債務などの要因を踏まえ、若者の自殺対策や過重労働対策、妊産婦対策等総合的な対策が必要です。特に、支援の強化を図るべきは、最も深刻な自殺のハイリスクグループとされる自殺未遂者であります。
県では、自殺総合対策本部を設置していますが、分析結果を踏まえ、県が有する経営資源を投入し、総合的、効果的な対策をどんな体制でどう取り組むのか、県のお考えをお伺いいたします。
また、復興の目指す姿のキーワードに、被災者一人一人に寄り添う人間本位の復興が挙げられております。沿岸被災地での震災関連自殺は毎年県内で発生しており、平成28年は6名と、前年に比べ倍増しています。
私たちは、個別に寄り添う必要があります。生きる希望を政治は示し、行政が寄り添うべきです。この現状をどう認識し、どう対策を講じるお考えかお伺いいたします。
五つ目、岩手県ふるさと振興総合戦略について伺います。
私は、少子高齢社会の課題解決と東京一極集中を是正し、新たな流れをつくる仕組みとして、シェアリングエコノミーの取り組みが大変有効であると考えています。
情報通信白書によれば、世界的市場が現在の1.5兆円から2025年までに33兆円に拡大。国内は、2014年の233億円から2018年に462億円、約2倍に市場規模は拡大すると予測しています。
昨年、閣議決定された日本再興戦略2016において、シェアリングエコノミーの推進を打ち上げ、現在、国では、遊休資産等の活用とイノベーション創出に向けた検討を進め、ことしの秋をめどに必要な措置を取りまとめると伺っております。
シェアリングエコノミーの取り組みは、個人が保有する資源の効率的な活用により、観光や定住交流の分野において新たな潜在需要を喚起する可能性を秘めており、本県でも、早急に勉強会等を開催し検討を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
次に、国では、2020年までに訪日外国人の国立公園利用者数を1、000万人とするという目標を掲げ、本県の十和田八幡平エリアが国立公園満喫プロジェクトの先駆的モデル地域に選定されました。私は、ナショナルパークとしてのブランド化と連動しながら、この八幡平エリアをシェアリングエコノミー特区として指定してはどうかと思っております。例えば、空き家や別荘、農家民泊を初め、ライドシェアや駐車スペースのシェア、あるいは通訳士や育児代行等のマッチングなど多様な分野で新たなサービスを提供し、誘客促進と情報発信を強化する。従来の規制を見直し、生産性向上を図りながら、長期滞在と消費拡大を同時に実現させることで、外国人観光客のみならず、東京に流れている人とお金とサービスを岩手に戻し、八幡平エリアをシェアリングリゾートタウンに創造する、観光産業の革新的な取り組みを推進してはどうでしょうか。
国内外からの誘客を促進し、東京一極集中の是正を図る仕組みづくりを進めるため、十和田八幡平の観光資源のブラッシュアップと受け入れ態勢整備の課題をどう検証し、誘客拡大を今後どのように進めていこうとしているのかお伺いいたします。
六つ目は、産業振興についてお伺いいたします。
初めに、ものづくり産業についてです。
2月に日米首脳会談が行われましたが、新大統領の保護主義により、日米の経済関係がかつての自動車産業を初めとする貿易摩擦にならないか、懸念している議員の一人であります。日本で生産された車の37.5%をアメリカに輸出している一方、米国において、日本の自動車産業が約150万人もの雇用を創出するなど、かなり成熟した相互依存の関係にあります。引き続き自由で公正な貿易体制により、世界経済の成長が図られていくものと期待しています。
これまで、県は、自動車、半導体などを中核産業と位置づけ、地場産業の技術力や競争力の向上に取り組みながら、国際競争力の高いものづくり産業を推進してきたと承知しています。
今後、岩手県として、より競争力の高いものづくり産業とするためにどのような展望をお持ちか、御所見をお伺いいたします。
次に、いわて国際戦略ビジョンについて伺います。
農林水産物を含む県産品の販路拡大や、観光客の誘客を積極的に推進するため、本県独自の国際戦略策定についてこれまで何度か質問してきました。今回、いわて国際戦略ビジョンが示されたことを私は高く評価しますが、農林水産物や県産品の販路拡大、外国人観光客の誘客拡大に戦略的に取り組むことにより、どのようなビジョンを描こうとしているのか、国際戦略の狙いと今後の展開を含めお伺いいたします。
また、海外展開においては、コーディネーター等の人的ネットワークの活用が重要であります。特に、中国からの誘客は、大連事務所の位置づけを明確にし、数次ビザを積極的に活用し、宮城県等と連携し重点的にプロモーションを展開する必要があります。また、台湾とタイに観光コーディネーターを配置し、着実に誘客が促進されているほか、北東北三県・北海道ソウル事務所の所長に、岩手県の職員が駐在する予定と伺っております。特に、韓国については、観光客の入り込み客数がピーク時の3分の1にまで落ち込んでおり、戦略の見直しが必要であります。
アジア戦略における拠点の構築とビジネスパートナーとの連携強化をどのように図りながら国際戦略を展開するお考えかお伺いいたします。
次に、農業振興について、まず米政策について伺います。
今から20年前の平成9年に、東和町の農政審議会が自主的参加方式を表明し、日本で初の減反政策に対する提言として話題となりました。かつての食糧管理制度は廃止され、現行の食糧法のもとでは、生産者のつくる自由、売る自由は認められています。国では、需給と価格の安定を目的として毎年生産数量目標を示してきたところでありますが、平成26年産では需給が緩和したため大幅な米価下落を招き、本県では129億円の影響があったとされております。平成30年産以降、行政による米の生産数量目標の配分に頼らない方式となります。米需要の減少を背景に飼料用米等への転換が進められ、需給が引き締まっているとされていますが、米価は必ずしも安定しているとは言えません。
改めて申すまでもなく、米は本県農業の基幹作目であり、地域経済を支える重要な部門であります。これまでの米政策における取り組みを県はどう総括し、本県の稲作の基本方向をどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
先日、平成28年産米の食味ランキングが発表され、銀河のしずくを初め県南地区ひとめぼれは22回目、県中地区ひとめぼれは初の特Aとなりました。全国最高水準の品質と食味の実現に向け、品種改良、栽培指導のこれまでの努力を高く評価します。
平成28年産米の玄米60キロ当たりの相対取引価格の平均を見ると、岩手のひとめぼれが1万3、809円であり、新潟のコシヒカリ一般は1万6、502円。何より驚くのは、北海道のきららとななつぼしが1万4、000円台、ゆめぴりかが1万6、000円台と、全ての銘柄で取引価格が本県のひとめぼれを上回っています。食味の評価と販売価格は必ずしも一致しませんが、銀河のしずく、金色の風に大いに期待します。ブランド米を生産しない地域の生産者の不安を解消するためにも、最終的に米生産者の所得向上につながることが重要であります。
これまでの県産米の販売戦略の総括、評価と販売戦略をどのように立て、市場の評価と米生産者の所得確保を図っていくのかお伺いいたします。
医食同源と言われるように、農林水産業は、健康寿命を延ばし医療費縮減に貢献できる産業であります。具体的には、脳卒中や高血圧、中性脂肪、血糖値の改善など、機能性食品の研究開発を産学官が連携し、健康寿命を延ばす取り組みを推進すべきと考えます。
現在、生物工学研究センターでは、生物機能を活用した健康維持、増進技術の開発に取り組まれていますが、これまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
最後に、七つ目、鳥獣被害防止対策について伺います。
ツキノワグマやニホンジカなどによる農産物や人身被害などが恒常的に発生しています。地元の猟友会の会長が、山が里に押してきていると。広葉樹林帯が少なくなったことにより、熊のえさ場の減少と耕作放棄地の増加により、山と里の境がわかりにくくなったことから、里側の防御体制と抑止力を高めなければならないとのことでした。
生息状況や被害状況を踏まえ、地域住民との協力のもと、市町村や関係機関との連携を図りながら、侵入防止柵の設置や有害捕獲を進めることが急務です。実効性のある被害防止対策を、報酬等に対する財政措置を含め、どのように取り組むお考えかお伺いいたします。
また、狩猟者の減少、高齢化が進む中、狩猟免許取得に対する支援強化など、人材の確保、育成にどう取り組むのかお伺いいたします。
間もなく春の選抜高校野球が開幕します。本県から盛岡大学附属高校と不来方高校、2校が出場するのは初めてです。特に、21世紀枠で出場する不来方高校は、選手が10人しかいない少数部員の中、困難な環境を克服し、他の模範となる学校経営が高く評価されました。彼らの快進撃は、人口減少社会における地方創生の取り組み、震災復興、台風第10号災害からの復旧等、県政推進の大いなる力になります。
以上、一般質問を終わります。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 臼澤勉議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、持続可能な財政構造の構築についてでありますが、本県財政は、歳入面において、県税を初めとする自主財源の占める割合が低く、国庫支出金や地方交付税など依存財源の割合が高い状況にあります。そのために、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系の構築を国に求めるとともに、産業振興や雇用、労働環境の整備を進めることで税源涵養を図り、安定的な税財源の確保を図っていくことが重要であります。
一方、歳出面では、社会保障関係費の増や公共施設等の老朽化に伴う大規模修繕、さらに更新に多額の経費が必要となると見込まれます。
こうした状況において、中長期的な観点から必要な施策を実施するため、岩手県公共施設等総合管理計画に基づき、予防保全型維持管理の実施や施設の長寿命化を進めることで財政負担の平準化を図るほか、公債費負担適正化計画の着実な推進による義務的経費の縮減等を進め、柔軟な財政運営を確保してまいります。
また、毎年度の予算編成過程において、事業効果が高い施策への選択と集中を一層進め、歳出の徹底した見直しを続けることにより、持続可能な財政構造の構築に努めてまいります。
次に、知事のリーダー論についてですが、県職員が、岩手の未来を担い、県政課題に果敢に対応していくためには、県民本位の視点でみずから考え、行動できる職員であることが必要であり、平成20年度に策定した岩手県職員憲章には、県職員としてあるべき職員の姿として、創意工夫を凝らし、柔軟な発想で新たな課題に果敢に挑戦することを信条の一つとして掲げております。
こうした職員を育成するために、能力向上や育成の観点を重視した研修の実施や人事配置を初め、若者活躍に係る施策を庁内の若手職員が主体的に企画立案する取り組み、業務上の工夫、改善事例を全庁で共有し、優良事例を表彰するG・Iグランプリや、優秀な成果を上げた職員に対する表彰の実施などによって、職員の意欲の向上を図っております。また、育児休業や介護休暇を取得しやすい職場環境づくりなど、ワーク・ライフ・バランスにも配慮しながら組織力の向上に努めております。
今後とも、職員の勤務意欲の向上に意を用い、職員の能力を最大限に引き出しながら、東日本大震災津波や台風第10号災害からの復旧、復興、ふるさと振興の推進など、さまざまな県政課題に職員と一丸となって力強く取り組んでまいります。
次に、第1期、第2期復興実施計画の総括と第3期復興実施計画への決意等についてでありますが、これまで、復興基本計画に掲げた、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指す姿として、地元の底力とさまざまなつながりの力を結集して、県民一丸となって復興に取り組んでまいりました。
平成28年度末には8割を超える災害公営住宅が完成する見込みであるほか、市町村の面整備事業では、宅地の完成区画が平成28年度末で5割を超える見込みとなっています。
また、防潮堤などの海岸保全施設の整備は平成28年度末で約4割の完成見込みとなっていますが、復興道路はかつてないスピードで整備が進んでおり、宮古─室蘭間の定期フェリー航路や釜石港の国際コンテナの定期航路の開設が予定されるなど、交通ネットワークの整備効果が発揮されています。
さらに、水産業の生産基盤はほぼ復旧したほか、一部再開を含め約8割の被災事業所で事業が再開され、観光入り込み客数も震災前の8割を超える水準まで回復しています。
一方、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、復興の長期化により、心と体のケアや将来の不安への対応などの必要性が増しています。
来年度からの第3期復興実施計画期間においても、被災者イコール復興者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行いながら、三陸のよりよい復興の実現に向けて、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでまいります。
平成31年度以降の復興の推進に当たりましては、国が平成32年度までと位置づける復興・創生期間と連動し、市町村における復興の取り組みの進捗との整合性に十分に配慮する必要があり、復興に関する県の計画については、県民的な議論を通じて策定してまいりたいと思います。
次に、東日本大震災津波に関連する自殺についてでありますが、被災地において自殺予防など専門的な心のケアを行っている岩手県こころのケアセンターへの相談内容を見ますと、身体症状や睡眠の問題等の訴えが多く、その主要な要因は、健康問題や居住環境の変化等によるストレスと考えられており、自殺対策を含む心のケアに中長期的に取り組む必要があります。
このため、県では、こころのケアセンターにおいて、医師による相談や専門職員による戸別訪問のほか、保健所と連携して、悩みを抱えた被災者を支援するゲートキーパーの養成等市町村が行う心の健康づくりに専門的立場から協力しているところであります。
現在策定作業を進めている第3期復興実施計画におきましても、安心して暮らせる生活環境の実現に向けて、見守りや相談支援、心のケアなどに取り組むこととしており、引き続き、国や市町村、社会福祉協議会等の関係団体とも連携し、被災者一人一人に寄り添いながら、きめ細かな支援を行ってまいります。
次に、国際戦略についてでありますが、これまでの2度の万国博覧会への出展などを通じて、本県の県産品や観光資源への関心が高まってきている今、海外との互恵的、多面的な交流を進めながら、さらなる海外展開を図る基本方針として国際戦略ビジョンを策定しようとするものです。
現在策定中のビジョンの基本戦略、海外市場への展開では、重点品目と重点市場を設定し、農林水産物等の岩手ブランド化の推進と、継続的、安定的な販路の確保、拡大を、基本戦略の外国人観光客の誘客の拡大では、台湾を最重点市場、中国や香港などを重点市場、東南アジアなどを開拓市場に設定し、各市場のニーズに合わせたプロモーションの展開などを図っていくこととしています。
これらの取り組みにより、成長が見込まれる海外市場において、本県の商品やサービスの付加価値を高めながら人や外貨の流入を促進し、本県における産業振興と雇用の確保につなげてまいります。
次に、米政策の取り組みの総括と稲作の基本方向についてでありますが、本県は、国の示す米政策の方向に即し、農業者の深い理解と協力によって、40年以上の長きにわたって需給調整を進める一方、高品質、良食味米の生産に努めるなど、需要に応じた計画的生産に大きく貢献してまいりました。
この米政策が平成30年産から見直されることとなっており、これに的確に対応するため、市町村、農業関係団体等と連携して、今後、5カ年の水田農業の推進方針や毎年の生産計画を作成し、これに沿った作付を進める方向としています。
こうした対応を着実に推進することによって、米政策の見直し後においても、消費者、実需者に支持されるブランド米や業務用米などの戦略的な生産を進め、国の助成制度を活用しながら、飼料用米等への転換、地域の特性を生かした高収益作物の生産拡大を促進するなど、農業者の所得向上に力強く取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 市町村の行財政運営に対する支援についてでありますが、県内市町村の平成27年度決算に基づく財政指標では、全ての市町村が実質公債費比率において早期健全化基準を下回っているなど、おおむね健全な行財政運営を続けているところでありますが、社会保障関係費の増や公共施設の老朽化に伴う維持補修費等の増など、将来の負担増が懸念されるところであります。
公共施設等総合管理計画については、県内市町村では、国の要請を受けて13市町村が既に策定し、19市町村が今年度内に策定の予定となっており、今後、個別施設ごとの具体の対応方針を定める個別施設計画の策定を進めることとしているものであります。
県といたしましては、いわて行財政コンサルティング等の機会を通じて、財源の確保や有利な起債の活用などについて助言するとともに中期財政見通しの策定をサポートするなど、将来の負担を見据えた適正な行財政運営が図られるよう支援してまいります。
また、市町村と連携しながら、国に対しても、地方一般財源総額の確保など必要な財源が確実に措置されるよう、引き続き要望してまいります。
次に、医大移転に伴う二次交通の整備についてでありますが、JRとIGRの円滑な直通乗り入れについては、矢巾町議会での議論や昨年の県議会2月定例会での御指摘なども踏まえ、県においても、IGRに具体的な検討を依頼したところであります。
現在、IGRとJR、矢巾町との間で、IGRの直通乗り入れについて検討を行っておりますが、JRとの間のダイヤ調整や使用料等の精算、IGRにおける車両運用などについて、さらに検討が必要と聞いているところであります。
また、バスを含めた二次交通の整備については、現在、矢幅駅と医大矢巾キャンパスの間を経由する路線バスが、平日37便、土日8便運行されておりますが、医大の移転も視野に、矢巾町においては、地域公共交通会議を開催し、交通体系の見直しの検討が進められているところであります。
なお、この会議には、県やバス事業者を初め医大関係者やJR東日本、タクシー事業者、地元利用者などの関係者が参加し協議を行っており、矢巾町では、JR東北本線や路線バス、町の地域内循環バスなどに関し、利用しやすく効率性の高い交通連携と再編を進めるための地域公共交通網形成計画を策定しているところです。
県においては、この計画策定に要する経費に対し助成しており、医大移転に伴う利用者の利便性の確保に向け、引き続き必要な支援をしてまいります。
次に、シェアリングエコノミーについてでありますが、情報通信技術の発展に伴い、インターネットのマッチングシステムを介し、家や駐車場等の場所、カーシェア等の乗り物、レンタルサービス等の物、家事や育児等のサービスなど、使われていない資産や技能等を個人間で分け合い利用するという、新たな経済活動であるシェアリングエコノミーが国際的に注目されております。
国においては、平成28年7月にシェアリングエコノミー検討会議を立ち上げ、同年11月には中間報告書を発表し、シェアリングエコノミー推進に向けた検討を進めているところと承知しております。
シェアリングエコノミーは、使われていない資産や技能等の有効活用を促進することでニュービジネスを創出する可能性があり、また、カーシェアや遊休不動産の活用など、観光や定住、交流の分野にも活用が期待されております。
しかしながら、諸外国に比べ、国内においてはシェアリングエコノミーの認知度や利用意向、利用率が低く、いまだ黎明期にあるサービスモデルと考えられ、法規制、利用者の安全性、信頼性の確保など、シェアリングエコノミーの推進に向けたさまざまな課題があると承知しております。
シェアリングエコノミーはさまざまな可能性を有していると考えられることから、国の動きも注視しながら、今後、その活用と可能性について研究を進めてまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、国民健康保険の財政運営主体の県への移行に伴う県財政への影響等についてでありますが、平成30年度からの国保制度改革後は県において国民健康保険に係る特別会計を設置することになりますが、その財源は、これまでと同様、市町村が被保険者から徴収する保険料及び定率国庫負担等の公費などであり、県の一般会計における新たな財政負担が生ずることは想定されておりません。また、今般の制度改正においては、毎年約3、400億円の財政支援の拡充により財政基盤の強化が図られることになっています。
その一方で、今後も医療費の増嵩が見込まれますことから、県としては、国庫負担率の引き上げ等さまざまな財政支援策を講じ財政基盤の安定化を図るよう、全国知事会を通じて国に働きかけているところです。
地域医療の提供水準と住民負担のあり方の検討については、来年度、医療計画及び医療費適正化計画を一体的に策定するとともに、国保事業に係る県内の統一的な運営方針として国民健康保険運営方針を策定することとしており、関係部署が十分に連携しながら進めてまいります。
次に、ドクターヘリヘリポートの整備状況等についてでありますが、岩手医科大学附属病院のヘリポートは、矢巾町の新病院移転敷地内にドクターヘリの基地として整備されており、構造上は防災ヘリの離着陸が可能ですが、ドクターヘリのフライトドクター等のスタッフが速やかに現場出動するための態勢を常時確保する必要があり、防災ヘリの離着陸は基本的には想定していないところです。有事の際は、隣接する県消防学校等の活用を含めて、災害規模や状況に応じて対応していくものと考えております。
また、岩手医科大学附属病院以外の災害拠点病院においては、現在整備中の2カ所を含め、全ての病院で防災ヘリの離着陸が可能となっています。
いわゆるドクターカーについては、出動できる範囲が限られているほか、医師が出動している間の救急受け入れ態勢を整備する必要があり、医療機関の人員体制の確保など、導入に当たっての課題が多いと考えています。
本県では、高規格救急車を用いた気管挿管等の医療行為を行える救命救急士による搬送が定着しており、全国的にも、本県と同様に、消防機関による対応が多いと認識しております。
県では、引き続き、消防、医療、行政等の関係機関との協議や防災訓練などの機会を通じて、災害時における医療と防災の連携強化に努めてまいります。
次に、医師、看護師確保対策についてでありますが、奨学金養成医師については、三つの奨学金制度により、これまでに393名に貸し付けを行い、これらの養成医師の配置により、平成40年ごろには、県内の公的医療機関の必要医師数298人を満たす見込みであり、将来的には医師不足の解消に向かっていく見通しであります。
また、養成医師が義務履行の修了後も引き続き県内に定着するよう、円滑な義務履行やその後の県内定着に向けたキャリアアップへの助言や、地域医療への意識の醸成を図ることを目的としたセミナーの開催などを行っているところです。
看護師確保については、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、修学資金の貸付枠の拡充、看護学生の病院体験セミナーや県内就職相談会の開催などに取り組んできたところであり、平成28年度の看護職員養成施設卒業生の県内就業率は62.8%と、統計を開始した平成10年度以降最も高くなっています。こうした取り組みに加え、テレビCMなどによる広報活動も継続的に行っており、引き続き看護職員の県内定着に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、自殺の現状分析についてでありますが、平成17年度から5年間、厚生労働省科学研究費補助金により、岩手県を含む7地域を対象に行われた自殺対策にかかわる介入効果を科学的に検証する研究によると、普及啓発等の1次予防、相談指導やうつスクリーニング等の2次予防、自死遺族支援の3次予防などを複合的に行った本県の介入地域では、介入を行わない地域と比較して自殺企図の減少効果が明確になるなど、強い予防効果が得られることが示されたところです。
この研究成果を踏まえ、本県においては、ゲートキーパーの養成、住民への普及啓発、保健師等専門人材に対する研修などを行う、いわゆる久慈モデルという包括的な自殺対策プログラムの全県への普及を図ってきたところであり、本県の自殺死亡率は、平成15年をピークに、長期的には減少傾向にあります。
次に、自殺に対する総合的な対策についてでありますが、先ほど申し上げた研究の成果を踏まえ、岩手県自殺対策アクションプランにおいては、50歳代のいわゆる働き盛り世代男性及び70歳代以上の高齢女性といった自殺のハイリスク者に応じた自殺対策に重点的に取り組むこととしております。
この取り組みはさまざまな分野にまたがることから、知事を本部長とし、各部局長を構成員とする岩手県自殺総合対策本部において課題や取り組み状況を共有し、関連施策の総合的、効果的な推進を図っております。
具体的には、関連部局や広域振興局が連携して、事業所訪問によるメンタルヘルス対策の要請、介護予防事業と連携した高齢者支援、児童生徒を対象とした相談窓口一覧の周知、多重債務者対策連絡会議における課題共有等に取り組んでいるところです。
自殺は、さまざまな要因が複雑に絡み合い、原因を一つに特定できないと言われており、今後も関係部局が連携して、自殺対策を総合的、効果的に推進してまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、今後の組織運営についてでありますが、東日本大震災津波発災以降増大する復旧、復興業務に対応するため、任期付職員や再任用職員を含めた職員の採用をふやすとともに、全国の都道府県などからの応援職員の受け入れなど、多様な方策により人員確保に努め、知事部局においては、発災以前の体制から380人程度増員して対応してきたところであります。
また、昨年9月には、台風第10号災害の復旧、復興事業全体の進捗管理を担う台風災害復旧復興推進室を設置したところです。
また、地方創生については、平成27年度に、人口減少に係る具体的な対応策を全庁的に実施していくため、首席ふるさと振興監やふるさと振興監を配置したところであり、社会保障の観点では、改正児童福祉法に対応し児童相談体制を強化するため、児童相談所の児童福祉司などを計画的に増員しているところであります。
今後とも、多様な方策により人員確保に取り組むとともに、より一層事業の効率化や重点化に配慮しながら、さまざまな県政課題に柔軟かつ適切に対応できる体制を構築してまいります。
次に、臨時、非常勤職員等の任用についてでありますが、地方公共団体において、増大する行政需要に対応し臨時、非常勤職員が増加する中にあり、国は、有識者等による臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会を設置し、検討が行われてきました。
昨年12月、この研究会での検討結果が報告書として公表され、特別職非常勤職員の範囲を限定するとともに、一般職非常勤職員の採用方法等を明確化し、労働者性の高い非常勤職員は一般職非常勤職員として任用することなどが提言されました。
これを受け、国では、地方公務員法等の改正に向けた検討を進めていると承知しておりまして、県としても、法改正の内容や他の都道府県の動向などを十分に踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、総合広域防災体制と医療連携についてでありますが、台風第10号災害では、発災翌日の8月31日に、広域防災拠点の一つである県消防学校に広域搬送拠点臨時医療施設、いわゆるSCUを設置し、岩手医科大学などのDMATと連携して、被災地の社会福祉施設入所者や透析患者の受け入れを行い、内陸部の病院へ移送するなど、災害時における医療活動の拠点として効果を発揮しました。
広域防災拠点のあり方については、平成24年度に岩手県広域防災拠点整備構想を策定した際、議員御指摘の集中配置型について、人、物、情報の機能を1カ所の配置するメリットが指摘された一方で、施設自体が被災した場合に、一度に全ての機能が失われる可能性や、広大な敷地と多額の整備費用が必要となることなどが指摘されたことから、早期に必要な防災体制を確立する必要性や必要最小限のコストでの実現性に鑑み、分散連携型の拠点整備を選択したところであります。
県としては、県内5地域に配置した広域防災拠点の機能の充実を図っていくこととしており、災害応急対策に必要な機能を集約した新たな防災拠点施設の整備については中長期的な課題として位置づけ、引き続き、財政支援措置の創設等について国に要望を行うとともに、各県の状況を調査し、関係機関の御意見もお聞きしながら検討を進めてまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、医大移転に伴う道路整備についてでありますが、医大附属病院前の道路については、矢巾町が開院に向けて4車線で整備を行っているところです。また、広域からの新病院へのアクセスルートとなる東北縦貫自動車道の矢巾スマートインターチェンジについて、平成29年度内の完成を目指し、ネクスコ東日本、県、矢巾町が共同で整備を進めているところです。
北上川東側からのアクセスルートについては、県道大ヶ生徳田線の徳田橋のかけかえ整備事業に着手しており、現在、用地補償や関係機関との協議を進めながら、早期の橋梁下部工工事の発注を目指しております。今後とも、矢巾町などとの連携を図りながら、事業箇所の早期完成を目指し、整備を推進してまいります。
次に、災害公営住宅のコミュニティー形成についてでありますが、2月13日に開催された成果報告会では、災害公営住宅の集会所の使い方や、自治会形成のために入居者が気軽に相談できる窓口の設置といった提言をいただいたところです。
県は今年度から県営災害公営住宅を対象にコミュニティ形成支援事業を開始し、入居者を対象とした交流会や相談会の開催、コミュニティ形成支援員の派遣により、災害公営住宅の入居者間のコミュニティー形成が円滑に進むよう助言を行っております。
平成29年度もこの事業を継続しながら、提言のありました入居者からの相談に応ずるとともに、入居者みずからがさまざまな課題をみずから解決していけるよう、自治会形成に向けた機運の醸成を図ってまいります。
──────────────────
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
──────────────────
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、なりわいの再生等についてでありますが、県では、本設店舗への移行を希望する事業者に対して、グループ補助金や県単補助金、無利子融資制度などにより商店街や共同店舗等の整備を支援するとともに、専門家派遣などにより経営力向上に向けた取り組みを支援してきているところでございます。
このような取り組みによりまして、山田町の共同店舗が営業を開始し、大船渡市や陸前高田市において新たな商業施設がこの春に開業を予定しているほか、大槌町でも商店街を形成する店舗の建設が始まるなど、商業施設の再生が着実に進んできております。
さらに、県では、被災地で新規創業しようとする人に対して、事業計画策定等の支援や創業時の費用に対する補助を行ってきておりますが、来年度は、特に、中心市街地で創業する場合の補助を拡充することとしております。
また、市町村においても、店舗、設備や開業費用等に対する補助、創業相談窓口の設置など、地域の実情に応じた支援を強化してきているところでありまして、今後も、まちづくりの主体である市町村や商工指導団体などと連携し、商業施設の集積と、にぎわいの回復に向けた取り組みを支援してまいります。
次に、観光産業における可能性についてでありますが、十和田八幡平国立公園は、雄大な自然、個性豊かな温泉、美しい雪の回廊などを有する極めてすぐれた観光資源でありますことから、計画的、効果的に受け入れ態勢整備やプロモーションを展開していくことが重要と認識しております。
このため、本県及び青森、秋田の北東北3県が連携して国に働きかけを行い、今年度、国立公園をブランド化する国の国立公園満喫プロジェクトのモデル地区の選定を受けました。これに基づき、国、北東北3県、地元市町等で構成する協議会におきまして、現状分析や課題、これに対する取り組み方針を示した十和田八幡平国立公園ステップアッププログラムを策定したところであります。
このプログラムにおいては、受け入れ態勢について、主要な利用拠点の施設の老朽化や誘導標識、外国語表記の不足などが課題として挙げられているところであります。
また、北東北3県で、主に外国人観光客のニーズ調査を進めてきているところでございますが、リピーターを確保するため季節ごとの魅力のアピールが必要との指摘がなされているところでもあります。
今後においても、これらの課題解決に向けて、ステップアッププログラムに基づき国や地元市町と連携し受け入れ態勢整備を進めるとともに、北東北3県が連携してコンテンツのブラッシュアップや効果的なプロモーションを展開していく考えであります。
次に、ものづくり産業についてでありますが、県では、自動車関連産業や半導体関連産業など、本県経済を牽引するものづくり産業や、今後の成長が見込まれる医療機器関連産業など、幅広い分野にわたりものづくり産業の集積と高度化に向けて取り組んできているところでございます。
こうした中で、特に自動車関連産業においては、大手部品メーカーなどの立地に対応し、地元企業の参入や取引拡大が促進されてきているほか、近年では、高付加価値生産に不可欠な、いわゆる基盤技術系企業や研究開発系企業の立地等により、生産技術や研究開発力の蓄積につながり始めるなど、足腰の強い地域産業の形成へと進んできていると認識しております。
今後におきましても、自動運転やロボットなど新技術分野への積極的な取り組みを支援し、ILC等も視野に新たな産業分野への展開が図られ、社会経済環境の変化に的確に対応できる、競争力あるものづくり産業の振興に取り組んでまいります。
次に、海外事務所等についてでありますが、アジア戦略においては、各市場におけるニーズを的確に捉え、現地の企業等と密接な連携を構築しながら売り込みを展開することが重要と認識しております。このため、これまで、中国には大連経済事務所、韓国には北海道・北東北3県合同のソウル事務所を設置し、また、台湾及びタイには観光コーディネーターを配置し、現地情報の収集や分析を行うとともに、ビジネスネットワークづくり、現地メディアへの情報発信や現地商談会の開催などによるプロモーションを展開してきたところでございます。
この結果、中国においては、平成22年の上海万博を契機とした上海大可堂との連携や、広州広之旅国際旅行社との送客に係る相互協定の締結など、いわゆるビジネスパートナーとの連携により、県産品の輸出拡大や観光客の入り込み増が図られてきているところであり、台湾やタイからの観光客も大きく増加してきているところでございます。
今後においては、今年度中に策定されるいわて国際戦略ビジョンに基づき、東日本大震災津波による落ち込みからの回復がおくれている韓国からの誘客や、中国や東南アジア市場の一層の開拓を図るため、海外事務所やコーディネーターを中心に、ビジネスパートナーの掘り起こしや連携の取り組みを一層強化するとともに、東北各県や北海道、さらには大使館やジェトロ、JNTO(日本政府観光局)などの現地の政府関係機関等とも連携しながら、誘客及び県産品の販路拡大に努めていく考えであります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、米の販売戦略についてでありますが、県では、平成27年2月に策定したいわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、県オリジナル新品種の早期ブランド化と、新品種を核とした県産米の評価向上や販売力強化に向けた取り組みを展開してきたところです。
これらへの取り組みの結果、銀河のしずくは、米のヒット甲子園2016での大賞受賞や参考品種として2年連続の特A評価を獲得し、金色の風は、先般特A相当との評価をいただき、また、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターを初め、全国的に評価が急上昇しているほか、主力品種のひとめぼれを初め、あきたこまち、いわてっこ、どんぴしゃりでは、平成28年産米の事前契約数量が大幅に増加するなど、期待を上回る大きな成果を上げております。
今後は、消費者と実需者との結びつきをさらに深め、大消費地でトップセールスなど国内外での販売促進活動を広く展開することにより、消費者や実需者の評価を一層高め、高価格での取引を実現するなど、引き続き米生産者の所得向上に力強く取り組んでまいります。
次に、機能性食品の研究開発についてでありますが、農林水産物の持つ有効成分を活用した健康維持、増進技術の開発は、県産農林水産物の付加価値を高める重要な取り組みであり、県では、平成22年に策定したバイオテクノロジー研究推進に係る基本方針に基づき、生物工学研究センターにおいて、イサダに含まれる抗肥満物質の特定、抽出、ナマコが持つ抗カビ性に着目した口腔カンジタの抑制、アワに含まれる抗酸化物質の特定などの研究に取り組んでおります。中でも、イサダに関してはその研究が高く評価され、生物工学研究センターの研究員が国の若手農林水産研究者表彰を受賞し、また、食品関連企業や水産加工業者等と連携し、サプリメントなどの商品化に向けたプロジェクトが進行しており、今後のさらなる展開が期待されております。
今後におきましては、本年6月を目途に、県内の大学や産業関係団体等で構成するいわて農林水産物機能性活用研究会を立ち上げることとしており、産学官の連携をさらに強化しながら、研究成果を活用した県産農林水産物の高付加価値化に積極的に取り組んでまいります。
次に、鳥獣被害防止対策についてでありますが、野生鳥獣による農作物被害を防止するためには、ニホンジカやイノシシなどの個体数を適正に管理するとともに、野生鳥獣から集落や農地を守り、寄せつけない対策が必要であります。このため、県では、市町村で策定している鳥獣被害防止計画に基づき、猟銃、箱わなによる有害捕獲や、鳥獣被害対策研究会の開催等を支援しているほか、近年は、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の普及に取り組んでいるところであります。
また、有害鳥獣の緊急捕獲などを担う鳥獣被害対策実施隊の設置を働きかけ、現在29市町村で設置されており、本年中には全市町村で設置される見込みであります。
こうした取り組みによって、野生鳥獣による農作物被害額は平成25年度以降減少しており、今後におきましても必要な予算を確保し、市町村や関係機関等と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 狩猟者の確保と育成についてでありますが、県では、狩猟への興味や関心を高めるため、広く県民を対象といたしました狩猟の担い手研修会や新人狩猟者の技能向上のための研修会を県内各地でそれぞれ年2回開催するとともに、狩猟免許試験の予備講習会を年3回開催し、約300人が受講するなど、新規狩猟者の確保と新人狩猟者の育成に取り組んでいるところであります。
また、有害鳥獣捕獲に従事する狩猟者につきましては、平成27年度の税制改正により、狩猟税の減免措置を講じているところであります。その結果、新規狩猟免許取得者数は、平成23年度の78人から平成25年度は219人、平成28年度は284人と着実に増加しているところであり、40歳未満の狩猟免許所持者の割合もふえてきている状況にあります。
平成29年度におきましても、捕獲の担い手の確保や育成のための所要の経費を当初予算案に盛り込み、積極的に取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) いじめ問題対策委員会の開催状況等についてでありますが、本委員会は、県いじめ問題対策委員会条例により、学識経験者や弁護士など10名の委員で構成する県教育委員会の附属機関として設置したものでありますが、これまで昨年1月に初開催し、本年1月に2回目の委員会を開催したところであります。
本委員会は、県立学校において、いじめの重大事態が発生した際に調査を行うこと、県のいじめ防止等のための基本的な方針について、調査、審議することを所掌しており、これまでの2回の委員会においては、調査を行う体制整備と、県内におけるいじめの現状及び重大事態等について、情報の共有や意見交換を行ったところであります。
各委員からは、本県の基本方針などに対する専門的な知見から、具体的な対応や、今後の関係機関との連携のあり方等について御意見等をいただいているところであります。
今後におきましては、定例の委員会の開催を年2回に拡大し、情報共有や意見等をいただきながら、本県のいじめ防止対策の充実に生かしてまいります。
次に、矢巾町の調査報告書の提言内容を踏まえた対応についてでありますが、いじめを一因とした子供の自殺という痛ましい事案が本県で発生したことについては、今なお痛恨のきわみであり、自他の命や人権を尊重する教育を推進し、このような事態が二度と起きないようにするため、31回に及ぶ第三者委員会での調査の結果、矢巾町が公表したそれぞれの提言などを本県の教育に生かしていかなければならないと考えております。
このような考えのもとに、県教育委員会におきましては、本報告書の内容を全県で共有するため、矢巾町の御理解をいただいて調査報告書を県内全ての学校に提供するとともに、県立学校長会議や市町村教育長会議での情報共有も図ったところでございます。
今後におきましては、矢巾町の調査報告書の提言とあわせ、学校いじめ防止基本方針の取り組み状況の調査結果等を踏まえ、いじめの未然防止に向けた具体的な取り組みの強化やいじめ認知、早期対応の強化、保護者等への適切な情報提供に努めるとともに、管理職及び教員を対象とした研修内容の充実を図ること等を通じ、自他の命を尊重する教育を推進してまいります。
次に、いじめによる不登校等についてでありますが、いじめによる不登校は、子供たちが学校生活を送る中での個別具体的な人間関係やトラブルなどで起きており、全体的な背景を集約することは難しい面もありますが、その要因といたしましては、各学校等においていじめ認知への理解が浸透してきた結果、不登校といじめの関連がより明確に確認されるようになってきたことも大きな要因であると捉えております。
また、いじめの相談のあり方につきましては、各学校においては、いじめ防止基本方針に基づくアンケートや、県教育委員会におきましては24時間子供SOSダイヤルなど、各種の相談窓口を子供たちや保護者に知ってもらうなど、その周知に努めてきたところであり、本県のいじめの認知件数は大幅に増加しております。
学校におけるいじめの認知は進んでいるものの、議員御案内のように、いじめられたことを誰にも相談していない児童生徒もいると承知いたしております。
教職員が日常的に注意深く観察することはもちろんですが、児童生徒、保護者等からの情報がなければその認知がなされないという可能性もありますので、児童生徒や保護者が相談しやすい環境づくりに一層努めるとともに、公立学校児童生徒全員に毎年実施しております心とからだの健康観察の結果の十分な活用による教育相談の充実などを通じて、児童生徒のいじめによる不登校の防止やいじめの情報の把握の強化に取り組んでまいります。
次に、いじめ解消の基準についてでありますが、いじめ解消の判断基準につきましては、本年1月に開催された本県のいじめ問題対策委員会においても、議員の御指摘と同様に、複数の委員から、いじめ解消率が必ずしも実態を反映していないのではないか、学校判断ではなく明確な基準が必要ではないか等の御意見が出されております。
文部科学省のいじめ防止対策協議会におきましても、いじめが実質的に解消に至っていないにもかかわらず、謝罪をもって解消とし、見守りを終了するケースがあることなどが指摘されております。
いじめの定義につきましては、法によりその定義を示しておりますが、いじめ解消の判断基準についても、国のいじめの防止等のための基本的な方針の改定により、国が基準を示す方向で、現在検討が進められていると承知いたしております。
県教育委員会といたしましては、国の動向をも見きわめながら、被害児童生徒の実情に沿った対応が図られるよう、具体的なあり方を検討していきたいというように考えております。
次に、外部専門家と学校連携によるいじめ防止体制についてでありますが、いじめ問題に適切に向かい合うためには、学校の対応だけではその解決が困難なケースもあり、児童相談所や警察など、関係機関との連携が求められる場合もございます。このような観点から、県教育委員会におきましては、教育事務所に配置しております在学青少年指導員による学校と関係機関との連携に対する支援や県いじめ問題対策連絡協議会における協議を通じながら、いじめの未然防止、教育相談体制の充実及び具体的な問題の解決等に取り組んできているところであります。
本年度におきましては、総合教育センターにおける教員研修において、外部の専門家を講師に迎え、いじめの未然防止や積極的な認知、学校の組織的対応の強化の重要性についての理解を深める取り組みなども行ってきております。
今後におきましても、専門家や関係機関等との連携を強めながら、いじめ問題への取り組みの一層の充実を図るよう努めてまいります。
〇2番(臼澤勉君) 御答弁、大変ありがとうございました。何点かちょっと再質問させていただきます。
まず、財政構造の構築についてお伺いいたします。
私が国民健康保険の問題を取り上げたのは、今回県のほうに、国保の運営、財政運営の責任というものを任されてきたということと、そして医療サービスの提供責任、この両輪をしっかりと県のほうで担いながら今後実施していく、医療サービスの質を保っていく必要があろうということで聞いております。
本日も、日本経済新聞に、国保の医療費の膨らみが急浮上ということで、赤字についての記事も載っておりますけれども、基本的に、今、市町村国保の保険財政の状況は、4割以上の市町村で単年度収支の差し引き額が赤字であるということも聞いておりますが、こういった構造的な問題をしっかり解決していかないと、今は国でもある程度対応されているんですけれども、将来的な話、恐らく、今後高齢者がふえていって医療費の水準も高くなる、あるいは低所得者が多いための財政が安定しないという構造的な問題をしっかりと県でも把握しながら、国への働きかけとか、そういった部分をしっかりやっていかなければならないと思っておりますけれども、そこら辺の県の御認識を再度御確認したいと思います。
それから2点目、知事のリーダー論について御答弁いただきました。私も知事の部下でございましたので、そういった意味では、いろいろと県の中の雰囲気もよくわかります。今回いろいろと復興の絡みだとか人口減少問題、子育て支援、さまざまな問題がある中で、先ほども職員数がある時期から2割減ってきているというお話をしました。
野球に例えれば、9人の選手がいて、監督がいて10人。これが今8人で、監督も選手を兼ねてさまざまな課題にプレーしているというか対応している。しかも、平成の、私が採用されたころのスピード感と、今IT技術も進んでおりまして、大分仕事のスピードも速くなっているのかなという印象を持っております。職員の方々が一生懸命やっているのも十分わかっておりますので、そこら辺について、監督である知事が選手の個々の能力あるいは守備範囲をバックアップしたり補うようなところを、やはり熱い心を、今後さまざまな革新的な取り組みとか、東京一極集中の是正と一言で言っても、そう簡単にはいかないさまざまな問題がございますので、職員の自発的な取り組みとか、先ほどの検証にあるようなマインドに持っていくためにも、さらなる知事のトップリーダーの思いを共有していかなければ、いいチームはできないのではないかと思っております。
虎穴に入らずんば虎子を得ずという言葉のとおり、勇気と決断を持ちつつ、ある程度の危険を覚悟しながら新たなチャレンジをしていくと。
行政はミスが許されないという面もございますけれども、職員の方々にも、失敗を恐れず、エラーを恐れるなと、一歩前に、そして積極的に行くぞというような姿勢をぜひ、さらにお示ししていただきながら、知的な行動集団に組織を持っていってほしいと思い、そこら辺の知事の思いを改めてお伺いしたいと思います。
それから、先ほど岩手医科大学の道路ネットワークのお話を県土整備部長のほうからいただきました。
一昨日、岩手医科大学の移転事業住民説明会が開催され、私も議会の終了後に、すぐ駆けつけてお話を聞いてまいりました。
小川学長が結構踏み込んだ道路ネットワークの線を示し、要は、盛岡の西バイパスと言えばいいですか、延伸して矢巾の方に向かっていく線。先ほどもお話がありました岩手医科大学の前を4車線化して、町が今整備しますといったところをビッと線を引きながら、盛岡市中央卸売市場と、あと盛岡南公園競技場のところの線を通りながらも岩手医科大学に向かっていく線。自由に書くのはいいんですけれども、国土交通省は前向きだというコメントまでパワーポイントで示されているんです。
私は先ほどの質問で、もう少し全体の道路ネットワーク、県が管理する道路だけの話ではなくて、今回、内丸のこの高度医療を持ってくる拠点ですね、それと三次医療拠点ゾーンを結ぶこの大きな幹線道路は、それは国のほうで整備するんでしょうけれども、それに付随する県道とか準幹線道、あるいは市町村道の線を、今後盛岡のまちの中心軸が、広域拠点が少し軸足が動いているこのまちの中で、流通団地の位置づけや、そしてスマートインターチェンジだとか、野球場ももしかしたら動いてくるのではないかみたいな、そういった新聞報道も出ておりますけれども、そういった総合的な観点から、県としてどういうふうに見ているのかということをちょっと私はお聞きしたくて御質問したところでございます。再度、そこら辺のお考えをお話しいただきたいと思います。
あと、へリポートにつきましても、着陸してから病院にストレッチャーで、1分でパーンともう入れるというような事業構想で今病院の建設も進められているというようなことで、広域的な大災害とかが起きたときにも、県の消防学校に例えばおりるとかということではなくて、命の道路を陸でつくっておりますけれども、まさにドクターヘリとかああいったのは私が県土整備企画室にいたときに提案した部分もございます。当時の廣田政策推進課総括課長に提案した部分もあるんですが、要は、公共事業が、道路整備の予算が減っていく中で、空の命の道路を整備したほうがコストもかからない、そして効率的に整備ができるだろうということで、今から12年ぐらい前だと思いますけれども、提案してきたようなところもございます。そこは質問ではありませんけれども、そこら辺の整備状況については、いろいろと岩手医科大学のほうとも協議していただくように御要望します。
最後に、自殺に対する総合的な対策についてお伺いします。
先月、東京の自殺総合対策推進センター長とお話をさせていただきました。そのときに、本県の自殺死亡率が全国的にも非常に高い水準にあるということで、不名誉なといいますか、そういう数字ということで私ちょっとお話をしましたところ、所長から注意というか、いやいや、そうじゃないと。この率が高いというのは、逆に、総合対策をきちっとやればこの率は下がるんだと。ですから、総合的に各部局、例えば商工労働観光部で、先ほどの雇用の問題だとか、債務の問題だとか、そういった部分の解消とか、全庁挙げて取り組むことによって下がると。しかも、科学的な分析、岩手県の死亡率と言っても、地域によって違っているわけです。高いところもあれば低いところもある。あるいは世代によって、年齢層、性別によっても違うというようなところを丁寧に見ていただきながら、広域振興局との連携もやっているでしょうけれども、さらに具体的に取り組むと数値は解消されると思うんです。
知事は、生きにくさを生きやすさにという、それがまさに今回のふるさと総合戦略の私は肝だと思っております。そこに我々議会、そして行政もしっかりと取り組んでいくということが、今後の未来のいーわの岩手県ができるんじゃないかと私は思っておりますので、そこら辺の御所見をお伺いして終わります。
〇知事(達増拓也君) 私も、県の職員には、岩手の未来を担う人材として、常に県民本位の視点に立ちながら、チャレンジ精神を持って課題解決に果敢に取り組んでいってもらいたいと考えています。
職員は、一人一人それぞれでありまして、すごい元気のいい職員もいますし、また、静かだけれども着実に仕事をこなす職員もいますし、そういう一人一人の勤務意欲の向上、また、それぞれ生活とか家庭とかもありますので、仕事と生活の調和に配慮しながら、さまざまな県政課題に私も職員と一丸となって力強く取り組んでいきたいと思います。
そして、自殺に対する総合的な対策についてでありますが、岩手県の自殺死亡者は長期的には減少傾向にはありますが、平成27年においては、297人の方が自殺で亡くなっているということを重く受けとめております。
本県では、平成27年3月にアクションプランを策定して、行政そして保健、医療、教育、労働など49の関係機関、団体で構成する岩手県自殺対策推進協議会を中心に、あらゆる分野、総力を結集して自殺対策に取り組んでいるところでありまして、県の組織の中でも、この岩手県自殺総合対策本部のもとで、全庁挙げて総合的に自殺対策に取り組んでまいりたいと思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 国民健康保険の構造的問題の解決に向けた取り組みについてでありますが、現在、国民健康保険は、市町村が保険者として個別に運営を行っておりますが、被保険者の年齢が高く医療費水準が高いこと、低所得者が多いこと、財政基盤が脆弱な小規模保険者が多いことなどにより、財政運営に構造的な問題を抱えている状況にあります。
今般の国保制度改革は、毎年約3、400億円の財政支援の拡充により、財政基盤を強化した上で、都道府県が財政運営の責任主体となって国保運営に中心的な役割を担うことにより、財政運営上のリスクが都道府県全体で分散され、急激な保険料の上昇が抑えられるなど、財政運営の安定化に一定の効果があるものと考えているところです。しかしながら、国民医療費が毎年約1兆円増加している中で、特に医療費水準が高い傾向にある高齢者の割合が大きい国保においては、国の財政責任のもと、将来にわたる制度の安定的運営を図ることが必要と考えております。
県といたしましては、国庫負担率の引き上げ等さまざまな財政支援策を講じ、今後の医療費の増嵩に耐え得る財政基盤を確立するよう、全国知事会を通じて引き続き国に働きかけてまいります。
〇県土整備部長(及川隆君) 盛岡西バイパスの延伸についてでありますけれども、盛岡都市圏の交通の円滑化に資すると見込まれることから、今後、地元市町や関係団体等の考えを十分に踏まえて、国や市町との調整を進めていきたいと考えているところでございます。
地元市町や関係団体等が一体となって対応していくことが大事であると認識しておりますので、県としても、国や市町との調整を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成29年度岩手県一般会計予算から日程第97 議案第96号指定障害児通所支援の事業等の設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例まで
〇議長(田村誠君) この際、日程第2、議案第1号から日程第97、議案第96号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ