平成29年2月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(小野寺好君) 公明党小野寺好でございます。
通告しておりました事項について順にお伺いいたします。
東日本大震災津波が発生してから間もなく満6年が経過し、復旧、復興は7年目に入ろうとしています。改めて、亡くなられました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、大事な人を失った皆様、いまだ不自由な生活を強いられている皆様に、そして、昨年の台風第10号で被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
国は、発災からの5年間を集中復興期間、その後、復興・創生期間5年、計10年間で、福島県以外の復興をなし遂げようとしています。前政権で成立した東日本大震災復興基本法等では、経済再生の名のもとに、当初、被災地以外でも復興事業を行うことが想定されて、使途が復興とは関連の薄い事業であったりして、全く被災していない県における復興財源の流用との批判が噴出し、非常に残念な思いをいたしました。
その後、国が、復興・創生期間は、被災地以外との均衡を図る上で、地域振興、将来の災害への備えといった全国に共通する課題をあわせ持つ事業に対しては5%の地方負担が伴うと発表したことに、被災県としては驚きを禁じ得ませんでした。各事業費の1%ないし3%程度になるとのことでしたが、被災地においては将来への備えなどという甘いものではなく、全てが復旧、復興事業であると主張すべきであると思いますが、被災地への負担がどの程度生じているか伺います。
一方、本県は8年での復興計画を立てて事業を推進してきたところであり、来月からは復興実施計画第3期目に入ります。道路や海岸保全施設、区画整理等の面的整備、災害公営住宅建設等々の事業が進められてきましたが、最大の課題は、被災地の復興の主体者である住民の減少ではないかと危惧しております。
このようなことから、被災地を含め全県的な人口減少対策について伺います。
国全体の少子高齢化現象が問題となり、対策の必要性が云々されて久しくなりますが、いまだ即効性のある対策はなく、事態はさらに深刻化しています。
県では、ふるさと振興総合戦略を策定し、転出超過の解消、出生率の向上、所得水準を全国平均に近づけることなどを目指して2年経過いたしますが、この計画のこれまでの成果はいかがでしょうか。
昨今の労働力不足は深刻で、本県でも、野菜苗の定植作業、水産加工業、建設業など、今、産業を継続させていくために外国人の力を借りています。報道によりますと、県内の在留資格を持つ外国人労働者は、外国人技能実習生を含め昨年は3、418人で、その多くは中国やベトナムから来ているとのことですが、今後の動向はいかがでしょうか。
被災地及び全県的な人口減少について、近年の減少度合い、教育や医療、介護、各種産業にどのような影響が出ているか、改善の見通しはいかがかお伺いいたします。
減少の極端な例ですが、来週行われる県立高校の一般入試では、応募者が40人以下の高校が10校、この中には受験予定者が18人という高校もあり、各種産業以上に厳しい局面にあると考えます。高校教育の機会均等、水準の維持という観点で非常に厳しい局面にある教育をどのように維持していくか、どうすることが生徒のためにいいことなのか伺います。
昨年10月、県は、内陸に災害公営住宅を291戸整備するとの計画を出しましたが、ここに入居する皆さんは当面は沿岸に戻ることはないということであり、沿岸の復興を考えるなら、沿岸及び内陸にいる被災者双方にとって非常に悩ましいものでありますが、建設場所、戸数、入居要件等について伺います。
次に、人口減少対策に関係したコンパクトシティーについて伺います。
先ごろ総務省から、昨年の住民基本台帳に基づく人口移動報告が出されました。首都圏は相変わらず転入超過で、東北、北海道を初め地方は転出超過になっています。本県の人口減はやや鈍化したものの、年3、870人の転出超過でした。これを象徴するかのごとく、かつての人口増加時代に造成されたいわゆるニュータウンは、育った子供世代が戻ってくることが少なく、高齢者の比率が高くなり、教育や商業の街区を形成することが難しくなっています。これは全国的な傾向でもあることから、国は、社会インフラを賢く使うとともに、住民生活が快適で効率的になるようにとコンパクトシティーを推進するようになりました。
住宅や商業施設、医療、福祉施設等、都市機能を集約することにより効率的な街区の形成を推奨しております。少子化、財政難から、道路や箱物施設等社会インフラの整備、維持管理の合理化、高齢者が車なしで生活できる地域の形成、教育や医療、介護サービスも集約化し、同時に工業団地や流通拠点との交通アクセスを充実させるという考えです。
国土交通省によりますと、コンパクトシティーの立地適正化計画の作成について具体的な取り組みを行っている都市は、平成28年12月31日現在309団体、岩手県では盛岡市、花巻市、北上市で、このうち花巻市はこの計画を公表し、居住誘導区域を花巻地域と石鳥谷地域に定めるなど具体化しています。国は、これに予算や金融面での支援措置を行っており、今後、一関市、奥州市、北上市などもこれに続くのではないかと推測いたしますが、こうした動向をどのように考えるか伺います。
県北、沿岸から内陸部への人口移動は東日本大震災津波の発生前からありましたが、発災による人口減少の流れの中で、さらにこれが加速しております。内陸部のように便利な地域はさらに便利になり、過疎地域はさらに過疎化が進むのではないかと懸念いたします。
国土交通省においては、今後の都市の課題解決策として期待しているようでありますが、コンパクトシティー形成への支援と過疎地域への支援をどのように調整していくか伺います。
次に、自転車の活用について伺います。
自転車は電気もガソリンも必要としない移動手段で、その上、健康増進にも有効で、便利なものでありながら価格が安い。さらに運転免許も要らないことから、子供や高齢者も含め、幅広い世代に利用されています。その反面、利用者の不注意、マナーの悪さから、最悪は死亡事故、高額賠償事件を引き起こす事態も発生していることは周知のとおりであります。
このような背景において、昨年12月9日、議員立法により自転車活用推進法が初めて成立いたしました。身近な交通手段である自転車の活用が、交通、環境、健康増進等において重要であるから活用しようというのが立法趣旨であります。環境に深刻な影響を及ぼす二酸化炭素等を排出せず、騒音、振動もないことから、自動車への依存度を低減する有効な代替策であることを改めて認識しようとするものです。
良質な自転車の供給、交通安全教育、自転車専用道の整備、自転車による観光客誘致、地域活性化など14項目の基本方針を定めるとともに、自転車の活用推進に関し国と地方公共団体の責務が規定され、また、県、市町村には活用推進計画の策定を求めています。しかし、自転車活用が決していいことずくめではありませんので、現状における諸課題について伺います。
まず、近年、県内で自転車が第一当事者となった人身事故の実態はいかがでしょうか。ある報道では、全国の交通事故のうち自転車が関係するものは18%と報道されていますが、自転車通学の中高生が多い本県ではいかがでしょうか。また、全国的には携帯電話やスマートフォンを見たり音楽を聞きながらの自転車運転による事故、自転車でありながら歩行者をはねて死亡させた事故も発生しております。特に重大事故は7歳から19歳に多く発生しているとの報道がありますが、本県の若年者のながら運転の実態はいかがでしょうか。
中高生が自転車で加害事故を起こした場合、医療費等の損害賠償責任が発生することになり、本人と家族にとって大きな負担となります。他県においては、自転車運転賠償責任保険を推奨する向きもありますが、自転車通学の中高生の保険についてはどのように対応しているのか伺います。
また、ブレーキのない自転車や、自転車の悪質違反者は厳重に取り締まることになっていますが、本県でのこれまでの例を伺います。
次に、産科医療について伺います。
平均寿命が延びたと言われる背景には乳児死亡率の低下が大きく作用していると聞いております。しかしながら、本県における出産をめぐる環境は、整うというよりも年々厳しさを増しているように見受けられますので、以下の内容について、現状と対策、今後の展望をお伺いいたします。
私が、平成20年3月の一般質問で、県内における妊婦健診の実施状況と、未受診出産いわゆる飛び込み出産について伺いましたところ、不十分な予算措置と理解不足という現状にあるものの、31市町村が公費負担で5回以上実施しているとの答弁でしたが、現在はどのように改善されたかお尋ねいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
また、出産の場の確保ですが、県内では、当時、22市町村に産院がなく深刻で、産科の医師数、助産所の数等についても大変な状況にあるとの答弁でした。その後、県立胆沢病院で産科がなくなった一方で、矢巾町に新たに個人開業医の産院が開設されるなど変化がありますが、現在の本県の出産の環境はいかがでしょうか。
次に、総合周産期母子医療センターについて伺います。
産科にも高度医療を駆使していただける心強い施設ですが、総合周産期母子医療センターは広い県土に唯一盛岡にあるということで、連携の適否が重要と思われます。県内の病院や診療所との連携にはどのような配慮がなされているか、また、近年のICT技術がどのように活用されているか、出産施設の少ない本県においては、診療所や病院のネットを通しての超音波画像等診療情報共有による医師の診断支援、加えて救急車やドクターヘリでの搬送等も含め、同センターの稼働実態を伺います。
また、岩手医科大学附属病院が移転した場合、総合周産期母子医療センターは盛岡の内丸から完全撤退するということになるのでしょうか、あるいは一部機能が残るのでしょうか伺います。
県議会の医療・福祉・介護対策調査特別委員会では、先ごろ、岡山県の倉敷中央病院の総合周産期母子医療センターの新生児特定集中治療室─NICUの取り組みを調査してまいりました。熱意あるスタッフ、充実した医療機器等万全な態勢に感嘆いたしました。
この倉敷中央病院では、最近の女性の過度なダイエット以外に、複雑な家庭環境や奇形症候群などの増加で出生数全体が減少しても、1、000グラム未満の超低出生体重児等ハイリスク新生児がふえているとのことでした。本県でも出生数が減少を続けている状況にありますが、その中で、超低出生体重児、極低出生体重児、周産期死亡率の推移はいかがでしょうか。また、何が原因でしょうか伺います。
高度医療の発達で救われる命がふえた反面、退院後もケアの必要な乳幼児がふえているといいます。倉敷中央病院では、医師以外に、医療社会福祉士や臨床心理士、リハビリスタッフ等が、出生前カウンセリングからNICU入院中のサポート、退院後の在宅での支援まで手厚く対応しているとのことでした。
本県においては、退院後も医療的ケアが必要な幼児が、例えば健康な子供と同様に保育所などに通うことができるよう、在宅生活において、その心身の状況に応じた支援が受けられることが必要であると思いますが、現状ではどのような支援が行われているか伺います。
次に、産前産後ケアと児童虐待防止について伺います。
かねてより核家族化により妊婦は孤独に陥るケースが多くなったと言われております。出産後も育児への不安や重圧で精神的に不安定になり、いわゆる鬱状態になる場合がかなりあると聞きます。これが原因で新生児への虐待や殺傷事件が起きたと報道される場合もあり、このようなことから産前産後のケアが重要になってきていますが、行政としてはどのような支援を行っているか伺います。あわせて、新生児聴覚検査体制、検査の公費負担の実態もお伺いいたします。
また、政府は、妊産婦自殺対策に本格的に乗り出すとのことですが、本県ではこれまでにそのような事案があったかどうか、どのような対策がとられていたかについても伺います。
母親が乳幼児に危害を加えたり、育児の意識に欠ける父親が泣く子を虐待する事件が後を絶ちません。厚生労働省によりますと、全国の児童相談所が対応した平成27年度の児童虐待の件数は前年度より1万4、000件余り増加し、実に10万3、286件で、過去最悪でありました。専門知識を持ち、すぐれた能力の職員確保が難しいと言われているため、児童相談所を新たに開設する自治体向けの支援マニュアルを国が用意するとのことです。また、児童福祉法の改正で弁護士の配置が義務づけられることにもなりましたが、対応できるのかどうか伺います。
県としても、これまでに要保護児童対策地域協議会を設置し、実務マニュアルを作成し、重層的な対応をしておりますが、近年の児童虐待相談対応件数と、児童相談所の設置件数や職員体制についてお伺いいたします。
さらに、国としては、県の中核的な小児救急病院等に児童虐待専門コーディネーターを配置し、地域の医療機関に対する研修、助言等を行い、地域の児童虐待対応体制の底上げを図るとしていますが、これらの医療機関とのネットワークの構築についてどのようにお考えかお伺いいたします。
今国会に児童福祉法のさらなる改正案が出される見通しであるとの報道がありました。強制的に親から子を引き離す措置の必要があるケースがふえているからでしょうか、裁判所の関与を強化する内容であります。親の愛情を受けて育つべき次代を担う子供が、司法や行政の関与を受けて育つという現状を知事はどのように認識なさっているか、また、岩手の子育てはかくあるべしとのお考えがあれば、これをお示しいただきたいと思います。
次に、社会インフラの長寿命化と防災、減災対策について伺います。
平成24年12月の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故は、死者数9名という高速道路史上最悪の痛ましい事故となり、老朽化した社会インフラへの対応が急務であることを国民に告げることとなりました。この事故の後、平成25年11月、国はインフラ老朽化対策の推進に関する省庁連絡会議においてインフラ長寿命化基本計画を策定いたしました。戦後、短期間で集中的に整備された社会インフラが、経年劣化や疲労により一斉に高齢化、老朽化したことから、全国で800兆円に及ぶと言われるインフラストックへの対応と巨大地震等の自然災害への備えを、国だけではなく地方公共団体や民間団体にも指示することとなりました。
本県でも、これを受けて1年前に岩手県公共施設等総合管理計画を策定し、計画的な更新や長寿命化への取り組みを推進することとしています。
今回質問いたしますのは、この中の道路等のインフラ施設に限っての対応についてであります。
昨年11月のJR博多駅前通りの道路陥没事故は、社会インフラの点検整備、長寿命化の必要性を全国民に訴える衝撃的事故でした。あれほどの大事故でありながら死傷者が出なかったこととともに、不眠不休で復旧作業に当たった関係者、土木技術の高さにも称賛の声が高く上がりました。
規模は違いますが、県内でも、昨年3月14日、滝沢市野沢の県道16号岩姫橋に、直径50センチメートルほどの穴があいているのが見つかり、四十四田ダムにかかる橋の貫通している穴であり、危険であることから、直ちに通行どめにして補修したという事案がありました。
定例県議会のたびに、県道に生じた穴ぼこが原因で発生した損害に対する賠償事件の報告がありますが、道路施設ではない路面下の空洞については、どのような調査がなされているか伺います。
また、公共インフラの代表格とも言うべき道路の地中には、複雑な要素を持つ上下水道管、ガス管、電線、通信ケーブル等が埋設されていて、路面の陥没以外にも、去年、東京では、老朽化した地下の電線から自然発火し、大規模停電が起きたりもしています。これらの管は素材が違うため、耐用年数、交換時期が異なると思われますが、道路管理者の老朽化把握、責任はどのようになっているのでしょうか。
例えば、上水道の水道管法定耐用年数は40年と言われますが、水道管内部の老朽度検査や漏水検査結果は道路管理者に報告されるのでしょうか。あるいは、事故の発生で初めて知るものでしょうか。
国土交通省によりますと、下水道管の劣化による道路陥没事故は、年間3、300件から4、000件発生しているとのことから、平成27年の下水道法改正により、点検、修繕義務が強化されたようですが、上下水道事業を行っている市町村では、財源と担当職員が不足していて実効性が危ぶまれています。県は、県管理道路だけではなく、こうした市町村の実態をどう見ているか伺います。
平成25年6月の道路法改正により、橋梁、トンネル、シェルター・シェッドなどの主要な道路施設については、5年に一度の点検が義務化されているところですが、県における点検状況と長寿命化の取り組みについて伺います。
国民の財産である社会資本ストックを有効に活用していくためにも、メンテナンス技術という新たな産業の育成、活性化が必要であると言われるようになり、産学官が一体となって、去年の11月にインフラメンテナンス国民会議を立ち上げました。新たな道路建設等が少なくなっていく中で、新たな需要を生み出すという点でも注目されています。
建設業界では、復興事業が終了した後、またしても公共事業が激減するのではないかと心配する向きもありますが、新たなインフラ整備よりもインフラメンテナンスが重要になると思われますので、業界の皆さんに理解をしていただく必要があるのではないかと思われます。
本県のインフラメンテナンスに関する行政と建設業界の取り組み状況、今後の方針を伺います。
次に、社会インフラ整備のかかわりで、防災、減災対策のうち、電線類の地中化について伺います。
阪神・淡路大震災直後、公明党の一員として私も支援物資を持って神戸市に行きました。地上のビル等堅固な建物が激しく破壊されておりましたが、三宮の地下街がほとんど壊れていないことに驚き、地上よりも地下のほうがはるかに安全であることを実感いたしました。
また、電力と通信の電線を張っている電柱の倒壊ですが、国土交通省の調べによりますと、阪神・淡路大震災では約8、100本、東日本大震災津波では約5万6、000本の電柱が倒壊などの被害を受けたとされています。これにより、交通の妨げとなるとともに、電柱にかかる電線などのケーブル線、架空線も断線被害などの影響を受けました。しかし、阪神・淡路大震災において、地中化された通信ケーブル線の被害率は0.03%と、2.4%であった架空線の80分の1にとどまり、地中化が災害に強いことが実証されました。東日本大震災津波でも、津波エリアでの地中化された通信ケーブルの被害率が架空線に比べて25分の1で済んだと報告されています。景観保全というよりも、効果的な減災対策であることが証明されております。
このようなことから、昨年12月、無電柱化推進法が成立し、県や市町村は無電中化推進計画を策定することになりましたが、本県のこれまでの電線類地中化の実績と、防災、減災対策として、今後、電線類地中化にどのように取り組んでいくか伺います。
最後に、高校生への社会保障教育について伺います。
若者への新聞社等による各種アンケート調査結果を目にすることがありますが、その中に、将来の年金受給に対する不安を見ることがあります。二十歳前後で目先の悩み、将来への夢よりも、老後の年金が気になるというのは意外な気がいたします。
年金未納者がふえると年金制度が破綻するとか、年金保険料を納めた分ももらえないので払い損であるなどの誤った報道が原因で誤解を招いていると言われます。これは、年金保険料を納付した者が受給できる制度で、納付者の分が未納者に支払われるものではないこと、全体の給付額の半分が公金で賄われていること等を説明してあげれば容易に理解できることであります。未納原因は、所得が低いこと以外に、このような誤解があることによると思われます。これは次世代を担うべき高校生や大学生が、社会保障がどのような役割を果たしているかということをよく理解していないことが大きな要因ではないかと言われます。
多くの国民は、学校を卒業し、社会人になって初めて年金や社会保険、労働関係の法律などの重要性を知ることになりますが、家庭では教えることが難しい実学、社会人となる前に知っておかなければならないことの教育が必要と思われます。例えば、日本年金機構の職員、あるいは社会保険労務士といった専門家の出前講座ともいうべき社会保障教育に取り組むべきことを提言いたしますが、教育長の所見を伺います。
以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興事業における被災地負担についてでありますが、県及び市町村における平成28年度以降5年間の新たな地方負担額は約90億円と見込まれておりまして、平成28年度は、県分で約25億円、市町村分で約1億3、000万円を見込んでいます。
県及び市町村に新たに見込まれる地方負担は小さな額ではありませんが、このために、復旧、復興事業の進捗に影響が出ることはあってはならないものであります。国に対しては、被災地の実情を丁寧に説明しながら、引き続き予算の確実な措置を求めるとともに、県において新たに生じる負担分については、県債の発行を含むあらゆる財源対策を講じて、決して復興をおくらせることのないよう取り組んでまいります。
次に、ふるさと振興総合戦略の成果についてでありますが、県では、岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げた岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に基づいて、あらゆる生きにくさを生きやすさに転換し、岩手への新たな人の流れを生み出すための取り組みを推進しているところであります。
岩手で働くについては、社会減ゼロを目指すを施策推進目標に掲げ、やりがいがあり、安定して働くことができる雇用、労働環境の整備の促進や、首都圏の移住相談窓口の拡充など、U・Iターン対策の強化を図ったところであります。これにより、いわて働き方改革推進運動の取り組みや、本県への移住の動きの広がりが見られるとともに、平成28年の社会減は3、708人と、拡大が3年ぶりに縮小に転じたところであります。
また、直近の国民所得に対する県民所得水準については、目標値93.4以上に対し、平成26年は94.7と上昇したところであります。
岩手で育てるについては、出生率の向上を目指すを施策推進目標に掲げ、県民の各ライフステージに応じてi-サポの運営を通じた結婚支援や、子育てしながら働きやすい労働環境の整備に取り組んだところであります。これにより、i-サポの会員数や子育てにやさしい企業の認証数の増加が見られるとともに、直近の平成27年の出生率は1.49と、前年から0.05ポイント上昇したところであります。
県といたしましては、平成29年度当初予算案を未来につなげる復興ふるさと振興予算としたところであり、引き続き、ふるさと振興を強力に推進してまいります。
次に、子育てに関する考え方についてでありますが、昨年6月改正された児童福祉法において、国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう保護者を支援しなければならないとの規定が掲げられたところであります。このように、家庭養育を原則としつつも、児童虐待が疑われ、家庭での保護者による養育が適当でないと判断されるケースなど、必要な場合には、司法や行政がサポートを行っているものと認識しております。
本県におきましては、いわての子どもを健やかに育む条例の前文に掲げられていますように、子供の権利を尊重しながら、子供を健やかに育むことの重要性について認識し、社会全体で子育てを支えていくことにより、誰もが子供を健やかに育みやすいと実感できる岩手の実現を目指してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 県内における外国人労働者の動向についてでありますが、国の外国人雇用状況の届出状況によりますと、本県における外国人労働者は、平成26年10月末現在で2、697人、平成27年が2、822人、平成28年が3、418人と、全国と同様、増加傾向となっております。
国においては、増加している要因について、国が進めている高度外国人材や留学生の受け入れが進んできていることに加え、雇用情勢の改善が着実に進んでいることが考えられるとしているところであります。
本県においては、外国人労働者の約6割が技能実習による在留資格で就業している状況にありまして、昨年11月に公布された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律において、技能実習の期間が最長5年間になるなど制度が拡充されたことから、今後、さらに外国人労働者が増加していくものと考えております。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 人口減少に伴う影響と今後の見通しについてでありますが、県全体の人口減少は、直近の平成27年国勢調査と前回の平成22年を比較すると、マイナス5万553人で3.8%の減となっております。また、県の毎月の人口推計によると、平成27年から平成28年にかけての人口減少は、マイナス1万1、511人で0.9%の減となっております。
被災地の平成27年と平成22年の国勢調査人口の比較では、マイナス2万2、621人で8.3%の減、平成27年から平成28年にかけての毎月人口推計では、マイナス3、553人で1、4%の減と、県全体と比べ減少の度合いは大きくなっております。
また、人口減少の影響については、児童生徒の減少により、学校教育や地域の文化継承が困難になることや、医療、介護の需要度に対する人材の不足、生産年齢人口の減少による労働力不足など、さまざまな分野に及ぶと考えられます。
例えば、最近の県内の一般職業紹介状況を見ると、被災地を含む全県で有効求人倍率が1倍を超えており、医師、看護師、医療技術者等の医療関係では求人1、324名に対し求職が497人、倍率では2.66倍、介護関係では有効求人倍率が2.27倍、建設、土木等では3.17倍などの状況も見られますが、これは、全国的な人手不足の影響も強く考えられるところであります。
本県の人口は、今後、一定期間の減少は避けられない見通しでありますが、県としては、これに歯どめをかけるため、ふるさと振興総合戦略に基づくさまざまな施策を展開してまいります。
次に、人口減少とコンパクトシティーについてでありますが、県全体として人口減少傾向にある中、都市部、農山漁村部を問わず、それぞれの地域の特性や地域資源を生かした活力のある持続可能な地域社会を築いていくことが重要と認識しております。
また、国土交通省が推進しているコンパクトシティーは、主に都市部における人口減少社会に対応した機能的なまちづくりの有効な手法の一つであり、花巻市において先導的な取り組みが進められているほか、宮古市など被災地においてもコンパクトシティーへの関心が高まってきているところであります。
人口減少が著しい農山漁村部などの過疎地域の振興については、県及び市町村において過疎地域自立促進計画を策定し、産業の振興や生活環境の整備、高齢者等の保健、福祉の向上など総合的な対策を展開しているほか、県としても、地域づくりを担う人材の育成や、駅やコミュニティーセンターなどの拠点機能を核とする持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向けて、地域公共交通網形成計画の策定への支援など、さまざまな取り組みを行っているところであります。
各地域の振興に当たっては、地域に最も身近な市町村との連携が重要であることから、今後においても、人口減少に立ち向かうため、ふるさと振興に市町村との連携を強化し、全力で取り組むことによって、県内各地の特色を生かした魅力ある地域づくりを進めてまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、内陸部に整備する災害公営住宅についてでありますが、昨年実施した意向調査に基づき、県は、盛岡市に162戸、北上市に32戸、奥州市に12戸、一関市に46戸の整備を行い、花巻市と遠野市については、それぞれの市がみずから事業主体として25戸と14戸の整備を進めることとしており、これらの建設場所については一部公表もしております。
なお、最終的な整備戸数については、各建設場所の確定後に仮入居募集を行い、実際に申し込みがあった戸数をもとに決定することとしています。
また、入居要件ですが、沿岸部に建設される災害公営住宅と異なり、現在内陸部のみなし仮設住宅等に入居している方で、これまで沿岸部に戻る意向を示していないこと、一般の公営住宅に入居が可能な所得水準であることなどの制限を設けています。
次に、コンパクトシティーへの取り組みについてでありますが、県では、人口減少社会においても、機能的で持続可能なまちづくりを進めるため、立地適正化計画の作成は有効と考えているところであります。このため、現在、盛岡市や北上市などの12市町とともに、都市機能を集約した持続可能なまちづくりに関する勉強会を開催して、これまでに延べ5回の意見交換を行っているところであり、今後とも、国等の助言も受けながら、立地適正化計画の作成を進める市町村のまちづくりを支援してまいります。
次に、路面下の空洞調査についてでありますが、これまで、路面下の空洞に起因して生じた陥没による損害賠償事件は発生していないところです。
占用物件の埋設状況については、占用者が道路管理上及び交通上支障が生じないように維持管理のための調査を行うことが基本であることから、道路管理者としては現時点では調査を行っておりませんが、今後、他の先進事例を参考としながら、具体的な調査方法や対象箇所などを検討してまいりたいと考えています。
次に、道路地下の埋設管の把握等についてでありますが、道路の地下に水道管等の埋設を行う場合、道路占用許可を受けなければならないこととされており、道路管理者は、許可した埋設物について台帳に整理し、埋設時期や場所等を把握しています。
占用許可を受けた埋設物の管理責任は、許可を受けた者が負うことが原則でありますが、道路利用者及び第三者への重大事故を未然に防止する観点から、道路管理者としても、占用物件の安全確認の徹底に係る国の通知を踏まえ、埋設物の占用許可更新時に直近の定期点検の実施状況を確認しているところです。
県としては、JR博多駅前通りの道路陥没事故等も踏まえ、今後、占用者から埋設物に係る更新計画や老朽化対策計画等について提供を求め、道路占用者との情報共有を図りながら、引き続き道路の安全対策に努めてまいります。
次に、市町村における点検整備等の取り組み状況についてでありますが、平成27年度末時点の県内市町村の下水管渠の総延長は約5、600キロメートルとなっておりますが、そのうち、耐用年数とされている50年を経過した管渠の割合はまだ1%にも満たないこともあり、これまで道路陥没などの重大な事故は確認されておりません。しかしながら、施設の老朽化は確実に進行していくことから、点検、修繕の必要性は増していくものと考えているところです。
市町村では、布設から一定の期間を経過した管渠について、目視調査やテレビカメラ調査により順次点検、調査を行っているほか、平成27年の下水道法の改正により、腐食するおそれの大きい箇所については5年に1回の点検が義務づけられ、定期的に点検等が実施されていくことから、必要な管理がなされていくものと認識しています。
なお、市町村に対して、岩手県下水道公社が一部市町村の処理場の管理運営を直接担っているほか、維持管理に関する研修会を開催するなどして、技術者の育成を支援しているところです。
次に、道路施設の点検状況及び長寿命化に向けた取り組みについてでありますが、まず、橋梁については、平成23年度に策定した岩手県橋梁長寿命化修繕計画が5年を経過することから、今年度、計画の更新を進めているところです。また、シェルター及びシェッドについては、平成27年度に維持管理計画を策定しています。
平成27年度末における点検状況は、橋梁2、671橋に対し933橋、点検実施率は約35%、シェルター及びシェッドは38基全ての点検が完了しています。
また、トンネルについては、今年度新たに維持管理計画の策定に取り組んでおり、平成27年度末時点において、154カ所に対し46カ所、約30%の点検が完了しています。
これらの道路施設については、引き続き計画的に点検を実施するとともに、事後保全型から施設の損傷が深刻化する前に必要な対策を講じる予防保全型へ移行することにより、施設の延命化や維持管理に係るコスト縮減などに取り組んでまいります。
次に、インフラメンテナンスへの取り組みについてでありますが、73の行政機関と企業や団体など、126の機関の参加により設立されたインフラメンテナンス国民会議は、産学官民が一体となって課題解決や技術開発に取り組むプラットホームとして、今後、有益な仕組みになってくると認識しており、本県も参加をしています。
本県においては、市町村や業界団体などに対し、岩手県道路メンテナンス会議等の場でインフラの維持管理の重要性などについて周知しているところです。
引き続き、さまざまな機会を通じて、ICTも活用したメンテナンス技術の向上を図りながら、インフラの適切な維持管理に努めていきます。
次に、電線類の地中化についてでありますが、これまでの実績は、国の第1期電線類地中化計画がスタートした昭和61年度から電線類の地中化を進め、平成27年度末までに、県管理道路では、一般国道106号盛岡市中ノ橋通りや平泉町の毛越寺通りなど、約27キロを整備してきたところであり、現在2地区において事業を進めております。
無電柱化の推進については、コストや電気通信事業者等との調整などの課題はありますが、災害の防止や安全で円滑な交通の確保、良好な景観の形成等の観点から、無電柱化への取り組みは重要であると考えています。
県としては、今後一層の無電柱化の推進に向けて、国において策定される無電柱化推進計画を踏まえ、県の計画策定について関係機関と協議しながら検討してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、妊婦健診の現状についてでありますが、妊婦健康診査は、妊婦や胎児の健康の保持に重要な役割を果たしていることから、県では、岩手県産婦人科医会と連携し、健診項目や健診料を市町村に提示することなどにより、県内どの市町村においても、出産までに望ましいとされている14回の健診が実施されるよう働きかけてきました。この結果、平成21年度以降は、全ての市町村において、公費負担による14回の健診が実施されております。
次に、産科医療の現状についてでありますが、県内の分娩取扱医療機関は、平成22年の40カ所から平成28年は32カ所に減少しています。この減少の8カ所は、医師の高齢化や後継者不足等により分娩の取り扱いを終了した診療所であり、県内の分娩数の約半数を取り扱っている産科診療所を確保していくことは重要な課題であると認識しております。
県では、新たに産科医療施設の開設等への支援や助産師等を活用して地域で妊産婦を支える体制をつくる取り組みについて当初予算に盛り込んだところであり、地域で安心して出産できる環境づくりを進めていく考えです。
次に、総合周産期母子医療センターと病院等との連携についてでありますが、県では、これまで、県内四つの周産期医療圏を設定し、医療機関の機能分担と連係のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてまいりました。
ICTを活用した医療連携については、平成21年度から、周産期母子医療センターと産科診療所、市町村が、インターネット回線を通じて、妊婦健診情報や診療情報を共有する周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶを運用しているほか、平成27年度において、周産期母子医療センター等12施設に超音波画像伝送システムを導入し、総合周産期母子医療センターの専門医が、他施設の妊婦や胎児の超音波画像を確認しながら遠隔で診断支援を行うことができる体制の整備等を行ってきました。また、総合周産期母子医療センターに、緊急時におけるリスクに応じた受け入れ先の調整を行う周産期救急搬送コーディネーターを配置し、周産期母子医療センターと診療所の連携による救急搬送体制を確保しているところです。
超音波画像等による遠隔診断の支援実績は、システムの稼働を開始した昨年の4月以降本年1月までに80件、周産期救急搬送コーディネーターの調整による総合周産期母子医療センターへの妊産婦の救急搬送件数は平成27年度96件、ドクターヘリによる妊婦の搬送件数は、平成24年度のヘリ導入以降1件となっています。
次に、総合周産期母子医療センターの移転についてでありますが、本県では、従来から、リスクの高い妊婦に対する医療や高度な新生児医療を提供する総合周産期母子医療センターについては、国の指針に基づき全県で1カ所、岩手医科大学附属病院を指定しているところです。岩手医科大学附属病院の移転後においては、矢巾町の新附属病院が総合周産期母子医療センターの機能を担うものと承知しています。
次に、未熟児の出生状況等についてでありますが、人口動態統計では、出生時の体重が1、500グラム未満の極低出生体重児は、平成27年までの直近5年間で70人前後、出生数に占める割合は0.8%前後で推移しています。このうち、出生時の体重が1、000グラム未満の超低出生体重児は30人前後、0.3%前後で推移しております。
なお、出生時の体重が2、500グラム未満の低出生体重児の割合は近年増加傾向にあり、増加した主な要因は、出産年齢の上昇によるものと言われています。
一方、出産1、000当たりの周産期死亡率は、年により増減がありますが、平成27年までの直近5年間では3.4から6.0の間で推移しております。
次に、医療的ケアが必要な小児の在宅生活への支援についてでありますが、医療的ケア児とは、昨年6月に公布された改正児童福祉法において、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児と規定されています。こうしたいわゆる医療的ケア児に対して、医療サービスとして、人工呼吸器の管理や家族への介護指導、相談等を行う訪問看護、障がい福祉サービスとして、介護する家族の休息等に対応するための短期入所や、日常生活における基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練等を行う児童発達支援などが行われております。また、幾つかの保育所では、たん吸引等が必要な医療的ケア児を受け入れていると伺っています。
この障がい福祉サービスについては、県の障がい福祉計画において必要なサービス見込み量が定められており、県では、サービスの確保に向け、地域の自立支援協議会において関係者間でニーズや課題の共有を図りながら、サービスの主体となる市町村を支援しております。
また、来年度の当初予算案において、新たに、医療的ケア児を含む在宅の超重症児・者等の短期入所の受け入れ拡大に係る事業を盛り込んだところです。
次に、産前産後ケアの状況等についてでありますが、県においては、先ほど答弁申し上げたいーはとーぶにより、産科医療機関と市町村との間での妊婦健診や産後うつスクリーニングなどの情報の共有化を図り、リスクの高い妊産婦に対して市町村保健師が訪問指導を行うなどの体制を整備したところです。
また、市町村保健師や医療従事者を対象に、妊産婦のメンタルヘルスケアを中心とした母子保健従事者研修会や産後うつ事例検討会を開催し、妊産婦の支援を行う人材の資質の向上に努めてまいりました。
これに加えて、産前産後ケアを強化するため、国が、妊娠期から子育て期にわたるまでの支援を担う市町村子育て世代包括支援センターの全国大会を目指すとしていることから、このセンターの設置促進に向け、研修会の開催や情報提供を行っております。
新生児聴覚検査については、昨年12月末現在で、分娩を取り扱っている32医療機関のうち30施設が検査を実施していますが、現在、公費負担を実施している市町村はないところです。
国では、聴覚障がいの早期発見と早期療育を図るため、全ての新生児に公費負担による検査が実施されるよう市町村への地方交付税措置を行っており、また、県が設置している新生児聴覚検査体制等に係る検討委員会においても市町村による公費負担が望ましいとの意見がありますことから、県では、検査の必要性に関する啓発や未受診者への勧奨とあわせて、公費負担による検査の実施について、引き続き市町村に働きかけてまいります。
次に、妊産婦の自殺予防対策の取り組みについてでありますが、国が設置した新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会においては、妊産婦への支援について、自殺対策という観点から、今後、母子保健との連携を図っていくべきではないかとの論点が示されていると承知しております。
個々の自殺原因については、プライバシーの観点から公表されておらず、また、妊産婦に関する自殺統計がないため、本県の具体的な事案は承知しておりませんが、産後うつによる体調や生活環境の変化によるメンタルヘルスの不調が妊産婦の自殺リスクを高める要因となり得ることから、本県では、岩手型母子健康手帳に産後うつの予防や相談先を掲載して周知しているほか、産後うつスクリーニングの結果に基づく市町村保健師による訪問指導などにより、妊産婦の心身の健康支援を行っております。
次に、児童虐待の発生状況と児童相談所の対応についてでありますが、本県の児童相談所及び市町村における児童虐待相談対応件数は、平成25年度は845件、平成26年度は844件、平成27年度は1、058件となっています。
本県では三つの児童相談所を設置しており、県北広域振興局への駐在を含めて4カ所に、今年度は児童福祉司30名を配置しております。各児童相談所には、児童虐待に専門的、機動的に対応できる虐待対応専門チームを整備するなどして、年々増加し、また複雑、困難化する児童虐待相談に対応しているところです。
弁護士の配置については、非常勤の配置も確保されており、本県におきましては、来年度、非常勤での配置を予定しております。
次に、児童虐待における医療機関との連携についてでありますが、県では、増加する児童虐待相談に対応するため、昨年3月に改定した児童虐待防止アクションプランに基づき、関係機関と連携して取り組みを推進しているところであり、医療機関は、その診療を通じて児童虐待を発見しやすい立場にあることから、医師や医療関係者等を対象とした児童虐待対応研修を実施し、医療機関における児童虐待の早期発見の取り組みを促進しているところです。
議員から御紹介のあった、中核的な小児救急病院を中心に地域医療全体で児童虐待防止体制を整備する児童虐待防止医療ネットワーク事業につきましては、現在、6県3政令市で取り組まれておりますが、本県での実施に当たっては、拠点となる医療機関の確保、選定や地域の医療機関との連携体制の構築等の課題があることから、まずは、先進事例の取り組み状況を確認しながら、関係機関と意見交換を行ってまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 人口減少に伴う高校教育の維持についてでありますが、県教育委員会におきましては、本県高校への入学生徒数の減少が見込まれる中で、県、市町村におけるふるさと振興に向けた動向等をも踏まえ、昨年3月に、望ましい学校規模の確保による教育の質の保証と、本県の地理的諸条件を踏まえた教育の機会の保障を大きな柱とした新たな県立高等学校再編計画を策定したところであります。
小規模な高等学校においては、学習面では、普通教科における科目選択の幅が狭くなる等の制約がある中で、教員の加配措置等を講じ、習熟度別の指導や生徒の進路希望に対応した指導に取り組んできているところであります。
今後におきましては、新たな高等学校再編計画の着実な推進に取り組み、あわせて教員の相互派遣やICTの活用等にも取り組みながら、学校教育の質の保証等に努めてまいります。
次に、自転車事故の賠償等への対応についてでありますが、各学校においては、自転車で通学している児童生徒に対して交通安全教室を実施するなど事故の未然防止に努めてきているところであり、本県においては、自転車走行中の加害事故は毎年度数件発生しているものの、相手方の死亡につながるような重大事故は発生しておりませんが、他県においては、児童生徒が死亡事故の加害者となり、多額の賠償金を支払うこととなった事例もあると承知いたしております。
賠償責任保険につきましては、高校においては全国高等学校PTA連合会の賠償責任補償制度を活用しており、保護者がPTA会員である全ての生徒が補償の対象となっております。中学校ではこのような制度はありませんが、民間の賠償責任保険への加入を推奨するなどの取り組みを行っている学校もあります。
県教育委員会といたしましては、今後におきましても、交通安全教育の充実を図るとともに、万が一の事故に備え、市町村教育委員会や県立学校に対し、賠償責任保険制度の十分な周知と活用を働きかけてまいります。
次に、高校生への社会保障教育についてでありますが、社会保障教育については、公民科の科目である現代社会、政治、経済において、社会保障制度の意義及び役割や、医療、介護、年金などの社会保険、生活保護等の公的扶助のほか、社会福祉、公衆衛生等の理解促進に取り組んできております。
社会保障は、社会生活における不測の事態や老後への備えのほか、社会の安定を図るために必要なセーフティーネットとして極めて重要なものであり、少子高齢化、人口減少社会を迎えるこれからの時代において、学校における社会保障に関する教育は、その重要性を一層増していくものと考えております。
県教育委員会といたしましては、年金制度への理解を推進していくため、平成24年度から日本年金機構と連携し、出前授業として年金セミナーを実施し、実施校も平成24年度の2校から、昨年度は30校と大幅に増加いたしました。
議員御案内のとおり、社会保障制度の維持には制度を支える国民一人一人の理解が不可欠であり、生徒が社会保障制度の意義や役割を十分理解しておくことは極めて重要なことと存じますので、今後とも、関係機関との連携を図りながら、社会保障に関する教育の充実に努めてまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 自転車による人身事故等の発生状況についてでありますが、平成28年中の岩手県における自転車が関係する交通事故は、件数が266件、傷者数が263人、死者数8人となっております。この266件は、全交通事故件数に占める割合で言いますと11.2%でありまして、過去5年間の平均割合も約11%であります。この266件の事故のうち、自転車が事故の主たる原因者、すなわち第一当事者となった交通事故は16件、うち中学生、高校生が第一当事者となったものは2件であります。
次に、スマートフォンを見たり音楽を聞きながらの自転車運転についてでありますが、そのような運転を認めた場合は、道路交通法に規定する運転者の遵守事項違反として口頭や書面による指導警告を行っております。昨年中は、携帯電話等使用によるものが70件、ヘッドホン等使用によるものが107件、これらに対して自転車指導警告書を交付しております。
次に、自転車の違法運転者への指導等についてでありますが、自転車の違法行為につきましては、先ほどお話しいたしましたとおり、口頭や書面による指導警告を行っておりますが、酒酔い運転あるいは制動装置整備不良等の危険性の高い違反につきましては検挙措置を講じております。昨年中は、制動装置整備不良運転が1件、信号無視2件など合計12件を検挙しております。
県警察といたしましては、関係機関、団体と連携しながら、交通ルールの周知の徹底、自転車利用者に対する街頭指導の強化などを通じ、正しい乗り方やマナーの向上に努めてまいりたいと思っております。
〇38番(小野寺好君) 丁寧な御答弁をありがとうございました。
コンパクトシティーの関係でお尋ねしたいのですけれども、県都盛岡の場合、盛岡西バイパスは盛岡南インターチェンジの近くでとまっているんですけれども、これについては、新しい岩手医科大学附属病院の関係でもっと南進したほうがいいのではないかという市民の声が随分ありますが、その見通し等はいかがでしょうか。
あと、盛岡インターチェンジ付近へのJR田沢湖線の新しい駅を期待する声もありますが、県として、これをどう見ているかお聞きしたいと思います。
自転車歩行者専用道路の整備状況についてですけれども、盛岡、遠野、花巻、北上─きのうも川村議員のほうからも質問がありましたけれども、自転車の専用道路が整備されるに至った経過がもしわかっていれば、簡単にお知らせいただければと。
その上で、特に盛岡の場合、この道路を通学のために高校生が使っているんですけれども、ちょっと古くなりますが、私は、平成9年9月の一般質問で、照明を設置したらどうでしょうかといった提言をしたことがあるんですが、なかなか厳しい答弁でした。単に自転車専用道路があるだけではなくて、通学のために実際使われている。特にも部活動とかで遅くなる子供たちのために照明設備などはどうなのかと。
あわせて、この道路について、なかなか整備状況がよくない。そういう状況にありますが、これをもっときちんと整備して地域おこしに使えるのではないかと思いますので、整備していく考えがおありかどうかお聞きしたいと思います。
最後ですけれども、県立高校の関係で、前に一般質問で、小規模県立高校についてはICT等を活用しての遠隔授業といったことを聞いたことがあるんですけれども、先だって発表の応募状況とかを見ると、とても遠隔授業では何ともならないような、具体的に言いますと、例えば大迫高校の場合、今回、1学年18人、去年は20人といった状況で高校教育が成り立つのかと。そういったことで、子供のためには、残してこのままの状態のほうがいいのか、あるいは別な方法を考えなければならないのか、その点をお聞きして、終わりたいと思います。
〇県土整備部長(及川隆君) まず、道路網の整備ということで盛岡西バイパスの矢巾方面への延伸についてでございますけれども、盛岡都市圏の交通の円滑化に資すると認識しておりまして、今後、地元市町や関係団体等の考えを十分に踏まえて、国や市町との調整を進めていく考えであります。
次に、自転車歩行者専用道路の整備状況についてでございますけれども、現在整備されている3路線は、昭和48年度に国が大規模自転車道整備事業を創設したことを契機に、市街地と観光スポットやレクリエーション施設を結ぶルートとして順次整備をしてきたところですが、県としましては、今後の計画については現在持っていないところでございます。
管理の状況についてでございますけれども、車道の管理レベルには及ばないものの、パトロールや利用者からの情報をもとに、除草や路面の補修などの維持管理に努めているところでございます。
自転車歩行者専用道路の活用についてですが、自転車の利用は、地域おこしを初め観光振興や健康増進にも有用であることから、地元市町や関係団体に対して積極的な利用を働きかけてまいりたいと考えております。
また、通学路にも使われているということで、照明の設置が必要ではないかというお話がございました。これにつきましては、現地を確認しながら、必要性等を検討してまいります。
〇政策地域部長(大平尚君) JR田沢湖線の新駅設置についてでありますが、盛岡市では、地元住民等からの要望を踏まえ、来年度、JR田沢湖線盛岡駅─大釜駅間の前潟地区への新駅設置の可能性調査を実施する予定と承知しております。
この地区は、住宅や商業施設などの集積が進んでおり、また、近隣には高校も立地するなど一定の拠点性を有する地域であり、新駅の整備がなされた場合、盛岡市中心市街地との間で拠点を結ぶ円滑なネットワークが形成され、利便性の向上が図られるものと考えております。
都市圏における各種機能の集約拠点を公共交通で効率的につなぐことは、環境にやさしく持続的なまちづくりに資するものと考えており、県としては、まず、盛岡市の調査結果と、それを踏まえた検討を見守ってまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) ICTを活用した遠隔授業についてでありますが、小規模校における教育の質の維持、向上を図る上で有効な方策の一つと考えておりまして、昨年度から国の事業を活用し、調査研究に取り組んできております。
具体的には、山間地の小規模校である西和賀高校、岩泉高校と総合教育センターを遠隔授業システムで結び、課外授業や模擬授業、事後の授業検討会などを行っており、来年度におきましても導入に向けた課題の検証を行っていくことといたしております。
次に、小規模な県立高校のあり方についてでございますけれども、教育の質を維持し、学びの機会を保障するという考えも踏まえながら、新たな高等学校再編計画を策定したところでありますが、この計画におきましては、社会に羽ばたこうとする段階の生徒が集団生活を通じて社会性を育むことが極めて大事であるという観点などから、直近の入学者数が2年連続して20人以下となった場合においては、原則として翌年度から募集を停止するという基準を設定したところでございます。
高校の存廃は、それぞれの地域にとって極めて関心の高い課題であると承知いたしておりますので、今後におきましても、地域との十分な話し合いのもとに取り組んでまいります。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時25分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
13  番 高 田 一 郎 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時48分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。臼澤勉君。
〔2番臼澤勉君登壇〕(拍手)

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