平成29年2月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
県民の命と暮らしを守る切実な課題について質問をいたします。
まず第1に、東日本大震災津波の復興の課題であります。
東日本大震災津波から、間もなく6年目を迎えようとしております。今、応急仮設住宅等では、1万3、283人が不自由な生活を余儀なくされています。被災者の皆さんからは、まさかこんなに仮設暮らしが長くなるとは、もう疲れ果てた、早く自分の家を持ちたい、こういう切実な声も出ています。既に震災関連の自殺は42人、仮設住宅などでの孤独死は48人、この1年間でも10人を超えています。孤独死を出さない、被災者の命と暮らしを守ることは、引き続き緊急で最大の課題であります。
まず、被災者の見守りとコミュニティーの確立など、新たな犠牲者を出さない取り組みの強化について伺います。
応急仮設住宅では、自立再建の見通しが立たず、また、家賃や共益費などの負担を心配して入居をためらう被災者、そして、再建方法を決めかねている被災者の皆さんが208世帯にもなっています。被災者からは、将来の生活に対する不安の声が広がっています。被災者の健康状況、暮らしの実態をどう把握されているでしょうか。
医療費や介護保険利用料の免除措置は12月末まで延長となり、被災者の皆さんからは大変歓迎されています。被災者にとって命綱となっておりますが、知事はどう評価されているのでしょうか。
被災者の皆さんは、応急仮設住宅から災害公営住宅への大規模な移動の時期となっています。最大の課題は、被災者のきずな、コミュニティーが断ち切れることであります。応急仮設住宅に取り残される孤立感は一層深刻となっており、被災者一人一人に寄り添った取り組みが必要となっています。
先日、私は、陸前高田市の下和野災害公営住宅を訪問いたしました。1階に市民交流プラザを設置して、市内の復興状況の動画を見ながら支援員を囲み楽しい会話が行われていました。隣には、保健師などが相談する部屋も確保されておりました。一定の規模の災害公営住宅には、こうした取り組みを広げるべきであります。生活支援相談員の配置状況と今後の計画はどうなるのでしょうか。
沿岸被災地の住宅建設の坪単価は59万3、000円と年々増加して、震災前と対比しても11万円も増加をしています。大手ハウスメーカーの場合は、坪70万円以上となっており、30坪の住宅建設では約600万円もの負担増となってしまいます。被災者からは、土地を確保したけれども、息子の収入が少なく、借り入れの見通しが全く立たないという声も寄せられました。持ち家再建の最大の問題は、資金問題と土地の確保であります。大きな被害を受けた被災地ほど住宅再建も一層困難になっており、住宅再建へのさらなる支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。
被災者生活再建支援金は平成30年4月10日まで、被災者住宅再建事業費補助金は平成30年度までとなっております。釜石市の鵜住居地区復興まちづくり協議会役員から、529区画中30%は自立再建を希望するが時期は未定というお話を伺いました。期限内の再建は困難であり、この支援制度の延長を行うよう国に働きかけるべきですが、いかがでしょうか。
災害公営住宅に入居した被災者は、将来に不安を持っている方が少なくありません。月5万4、000円の年金生活者からは、間もなく家賃が上がり、減免制度がなくなれば2万2、000円となる、不安でしようがないと訴えられ、また、共働き世帯からは、割り増し賃金となれば家賃が10万円となるけれども、とても住宅再建はできないという声もありました。社会に貢献し、そして、つらい震災からの復興を乗り越えてきた高齢者、被災者にこれ以上の不安を持たせてはなりません。生活に困窮する被災者には、引き続きの減免延長を行うべきであります。そして、減免制度は県と市町村では異なりますが、県営住宅の減免制度は大変効果的であります。市町村営の住宅でも対応できるような支援を行うべきですが、いかがでしょうか。
そして、入居時の保証人については、やむを得ない事情がある場合は免除できると国は通知をしています。しかし、現場では、保証人や所得証明書の添付を求められ、入居をためらう被災者も出ております。国の通知を徹底すべきでありますけれども、いかがでしょうか。
昨年8月に行われた復興局の調査によれば、被災事業者全体における事業再開の状況は、再開済み、一部再開済みと回答した割合が79.3%でありますが、業績については、震災前と同等または上回っているとの回答が48.6%となり、水産加工業は、顧客、取引先の販路を失うなどで、業績が回復していないという課題を抱えています。
さらに、今年度は、漁獲量が大幅に減少し、魚価の高騰など業績の悪化が一層懸念されます。グループ補助金を活用した設備投資などに伴う借入金の返済時期が重なるだけに、支援の強化が必要であります。人材の確保そして販路の拡大、新商品開発など、事業者の課題にどのように応えていくのか、県としての支援策を伺います。
シイタケ産地では、今回の原発事故で産地を揺るがす深刻な被害となりました。一関地方では、震災前の生産者は392戸でありましたが、出荷制限が解除された生産農家はわずか16戸となっております。多くの生産者が再開を断念する中で、出荷制限解除を目指して再生産に取り組む生産者も出ております。しかし、ここに来て、今、東京電力は損害賠償を3年で打ち切る方針を示しています。
原木ほだ木価格は震災前の2倍以上となっております。賠償金が支払われるまでのつなぎ融資もありますが、損害賠償の打ち切りによって生産断念もしなければならない深刻な事態となっています。3年での打ち切りではなく、3年目以降については実態を踏まえた賠償を求めていくべきですが、県の対応を伺います。
生産者は、原木の安定的な確保とともに、他県からの供給ではなく地元調達を願っています。原木の安定的な確保に向けて、県はどう対応していくのでしょうか。
東日本大震災津波復興基金は、国の支援が行き届かない事業として活用されてきました。303億円の基金のこの間の活用状況、そして、平成29年度末の基金残高についても伺います。
次に、台風第10号からの復興の課題について質問をいたします。
台風第10号の被害総額は1、440億5、505万円、死者、行方不明者は現在23人となり、特に岩泉町では、東日本大震災の10倍の被害になるなど、台風被害としては戦後最大の被害となりました。被災した住宅は、全壊471世帯、大規模半壊は523世帯、半壊1、877世帯となりました。住宅再建は、生活再建にとって最も大事な課題であります。住宅再建の意向はどう把握されているのでしょうか。
災害公営住宅の建設に当たっては、コミュニティーを大事にし木造戸建てにするなど、東日本大震災の教訓を踏まえたものにすべきであります。
年末に応急仮設住宅に入居されましたけれども、岩泉町では、半壊以上の住家被害を受けた被災者のうち、254世帯の方々が自宅で寒さをしのぎながら避難生活を送っています。住宅の補修やそして改修、見守りなど、行き届いた支援が行われているのでしょうか。
商工業の被害は1、936件、242億9、999万円となっています。地域なりわい再生緊急交付金の県独自の支援も行われていますが、現在の申請状況、そして再建状況はどうなっているのでしょうか。
農林水産業の被害は335億5、545万円となりました。岩泉町では、復興ロードマップを策定しておりますが、災害対応の職員と業者が不足して大変厳しい現状にあることを町当局から伺ってきました。農地の復旧状況がどうなっているのか、また、春の作付に間に合うのでしょうか。
岩泉町では、生活橋73橋が被害を受け、町独自の支援で仮復旧をしたものの、本復旧が課題となっております。また、簡易水道整備対象地域外の町民が利用している自家水道の共同施設も破壊され、風呂に水をためるのにも半日もかかってしまうなど、日常生活に支障を来しています。生活橋の本設復旧や自家水道への支援を行うべきですが、どう検討されてきたのでしょうか。
情報通信網の整備も国の対象外となっていましたけれども、県の支援はどうなっているのでしょうか。
〔議長退席、副議長着席〕
台風第10号は、数日前から大雨被害が懸念されていましたが、21名の犠牲者が出るなど甚大な被害となりました。今後の災害に備えるためにも、教訓を生かすべきでありますが、どう検証されているのでしょうか。
次に、雇用の安定と働き方の改革について質問をいたします。
人材の確保の課題は、岩手の経済を支え、そして県内中小企業にとっても切実な課題であります。新規高卒者の県内就職率は64.1%となり、これは、全国で29位にとどまっています。昨年3月末時点での1位の愛知県は96%、2位石川県は93.9%、さらに静岡県は92.9%となり、東北では宮城県が80.9%、山形県は78.9%になっています。
県内への就職率については、これまで高い目標を持って取り組むよう求めてきましたけれども、明快な答弁がありませんでした。人口が減少する中で低い就職率であり、目標を持ち、本腰を入れた取り組みが必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
県内の新卒3年の離職率は、高校生で41.4%、大卒で38.4%と全国平均より低く、全国5番目の長時間労働となっています。まず、この要因をどう分析されているのでしょうか。
県内の就職率の向上と新卒者の離職率を改善するには、やはり労働条件の改善、長時間労働の改善が必要であります。岩手県では、超過勤務とならない休日勤務が多く、出勤日数が多いことが指摘をされてきました。こうした課題に県としてどう取り組まれているのでしょうか。
政府の働き方改革実現会議で、残業時間の上限を年720時間にする案が示されました。残業の上限を週15時間、月45時間、年360時間と定めた大臣告示の2倍もの残業を許容するものです。繁忙期には、月80時間から100時間まで認める案も示されたとの報道もあり、これは過労死ラインを超えるものであり、改革に値しないものです。一方では長時間労働の規制を言いながら、一定の労働者を労働時間管理の対象から外して、残業代ゼロ制度の導入を行おうとしております。8時間働いたら普通に生活できる雇用環境をつくるべきですが、知事の見解を伺います。
次に、介護保険制度について質問いたします。
要支援者の訪問介護、通所介護を介護保険の予防給付から外して市町村が実施する総合事業へと、この4月から移行されます。軽度者だから保険から外し、その受け皿は地域の住民主体でやれという方向は、介護保険制度の趣旨に反するものです。一関では、介護事業者による通所、訪問サービスの単価は、可能な限りの加算措置を行って現行水準を維持するものとされ、将来は住民主体でサービスを提供するという説明が行われております。訪問及び通所サービスのうち、現行相当以外の多様なサービスはどうなるのでしょうか。受け皿はどう確保され、どれだけの事業者が取り組まれるのでしょうか。訪問介護、通所介護は、重度化を予防する重要な事業であり、現行サービスを絶対後退させない事業とすべきでありますが、県の対応を伺います。
介護士の人材確保は深刻な課題であります。5年ほど前から求人を出しても確保できない、50床の特別養護老人ホームに40床しか入所できず、建設費の返済も大変、こういう深刻な声が介護現場から寄せられました。介護士不足がもたらす影響をどう把握されているのでしょうか。
介護士の処遇改善加算の活用がありますが、介護現場はチームワークで行われており、介護士だけではなく、全体の処遇改善が必要であります。しかも、人員配置も実態に合わせた配置が必要で、国の基準より多い人員配置が行われています。人員配置と処遇改善など、全体の労働環境の改善が必要となっています。介護保険制度は深刻な事態に直面しているだけに、国に対して職員の配置基準の見直しや職員全体の処遇改善を求めていくべきですが、県の対応を伺います。
次に、県立千厩病院の医療体制と両磐医療圏の課題について質問をいたします。
県立千厩病院は、15年間で医師が16人から7人に激減をいたしました。こうした中にあっても、救急患者は15年前よりも増加して年間912件も対応し、地域の患者の皆さんに応えるために総合診療科を新設、そして年間1万件を超える透析患者にも対応されております。しかし、医師の減少により、常勤医師1人当たりの患者数と医師の残業時間は、20ある県立病院の中でもトップとなっているにもかかわらず、医業収入は減少をし続けております。医師を支える看護師などの皆さんは、休暇を取得しづらい職場環境になっています。
こうした過酷な勤務実態を医療局長はどう把握されているのでしょうか。少ない体制の中で、地域医療に貢献しているだけに、減らし過ぎた医師を増員すべきと考えますが、いかがでしょうか。
地域の患者ニーズに応えるために、地域の病院では、地域包括ケア病床や総合診療科の取り組みが必要になっています。基幹病院から離れた地域では、特にその役割が大きいのではないでしょうか。県立病院における地域包括ケア病床の現状、今後の取り組みはどうなっているのかについても伺います。
県立千厩病院では、地域包括ケア病床を立ち上げるために、回復リハビリ病床を45床から35床に減らさざるを得ませんでした。患者が減少しているわけではないために、まさに苦渋の決断でもありました。在宅復帰率を向上させ、在宅サービスの向上など、リハビリの人的確保は必須の課題であります。人材確保に努め職員の増員を図るべきでありますが、医療局の対応について伺います。
また、県立磐井病院の産婦人科の医師数及び分娩数はどうなっているのかについても伺います。
次に、岩手の地域経済を支える農業の振興策について質問をいたします。
政府与党が昨年11月に打ち出した農林水産業・地域の活力創造プランでは、効率的で経営感覚にすぐれた農業、農協の事業が有効に働いていないとして、農協改革などが示されました。今日の農村の危機を、農家や農協の事業運営に責任があるという視点での改革であります。こうした総括と転換では、自給率の向上や農業の再生が図られるのかと疑問を持つものであります。
知事は、地方重視の経済財政政策の推進を国に訴えていくと述べておりますが、そもそも農村が衰退する要因をどう捉えているのでしょうか。そして、国に対して、その再生をどう訴えていくのかについて伺います。
米国のTPPからの離脱表明を受けて、日米首脳会談の共同声明では市場障壁の削減を強調し、日米間での2国間の枠組みに関して議論を行うことなどを決めました。TPP以上に譲歩を重ね、日本の農業など、あらゆる分野に影響をもたらすものと考えます。自由貿易か保護主義かではなくて、各国の経済主権を尊重して、公正で平等な貿易ルールを確立することが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
米の生産費については60キログラム当たり1万5、390円となっており、再生産すらできない低米価が続いています。生産コスト引き下げには限界があり、農家の暮らしと再生産を保障する価格、保障政策が必要となっています。
今、通常国会に提出されようとしている収入保険制度は、過去5年間の平均収入を基準に補償限度額を90%として補償するのであります。これが本当に米価の下支えとなり得るものでしょうか。直接支払交付金を復活するよう、国に働きかけることをすべきでありますけれども、いかがでしょうか。
生産調整に参加する直接支払交付金が廃止され、減反政策も廃止されようとしております。農家の収入が確実に減少するのではないかと考えますが、その影響についても伺います。
農地を集中させ、家族農業を撤退させ、効率的な農業を行うという政策は、農村政策としては間違っていると私は思います。家族農業とその共同活動を基本として、専業や兼業、規模の拡大の有無にかかわらず、選別しないことが大事であります。多様な経営体を支援して、若者、後継者対策に特別の対策をとることが必要であります。県としての支援対象のあり方をどう考えているのか伺います。
昨年度の新規就農者は208人、認定農業者は7、357戸、法人化した経営体は817となっていますが、この10年間の推移と経営状況がどうなっているのでしょうか。農業普及員の役割はますます大きくなっていると思いますが、こうした経営体への支援が十分行き届いているのでしょうか伺います。
次に、子供の貧困対策について質問いたします。
私は今月、スクールソーシャルワーカーあるいは学校の先生など、教育現場の関係者と懇談する機会がありました。県南のある学校では、毎日朝食をとる子供が72.6%と聞いて大変驚きました。母子家庭で子供と向き合う時間がなく、ひとりで夜を過ごす子供も少なくありません。子供の食生活、ひとり親家庭の実態をどう把握されているでしょうか。
貧困にあえぐ子供を孤立させず、地域の実情に応じた対策を講じていくには、子供の貧困の実態把握が欠かせません。沖縄県を初め、全国では7県がこの実態調査に取り組んでいますけれども、岩手県も取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
岩手県内の母子家庭の月額就労収入は、15万円未満が66%となっております。児童扶養手当を受けながらもダブルワークをせざるを得ず、ひとりぼっちで夜を過ごす子供も少なくありません。学校の先生から、体調が悪いと言って学校に連絡した子供の自宅を訪問したが、母親は仕事に出かけ、古いアパートで朝食はラーメンだったという話をされました。スクールソーシャルーワーカーからは、しょうゆ御飯が朝食の子もあり、給食が唯一の栄養源だという訴えもありました。
居住環境や食生活も緊急に改善が必要です。必要な地域には子ども食堂を実施し、家賃補助など経済的な支援を強めるべきですが、いかがでしょうか。
ダブルワークをやらなくても子育てができる環境が必要ですが、県としての対応、支援策についても伺います。
次に、教育環境の課題について質問いたします。
新年度から、35人学級を中学校3年生まで拡大する方針を県教育委員会が示しました。35人学級の実施で、不登校や問題行動を減らせた、学級集団がまとまりやすくなったと学校現場からも歓迎されており、教育的効果は明らかであります。小学校5年生、6年生がまだ実施されていません。一日も早い実現を求めるものでありますが、どう検討されてきたのでしょうか。
県立高校の時間外勤務が月80時間を超える教職員は、平成28年度第1四半期で13.9%、職員数では526人にもなっております。勤務時間を学校現場で管理するとともに、長時間労働の是正を求めてきましたが、実態は、改善どころか、過労死ラインを超える教員が、人数、率とも、年々増加している実態にあります。その原因と今後の対応についても伺います。
中学校や高校の部活動の過熱化が成長期の子供を苦しめ、教職員の多忙化を招いています。文部科学省は1月6日、部活動に休養日を設ける通知を出し、練習日や休養日を調査した上で、部活動におけるガイドラインを作成する方針を示しています。しかし、1997年の文部科学省の指針がありながら、なぜこの間実行されてこなかったのでしょうか。この総括がなければ、また同じことが繰り返されるだけではないでしょうか。1月に示された通知内容及び通知を受けた県教育委員会の対応方針についても示してください。
部活動のあり方については、県のスポーツ医・科学の力も借りて科学性そして合理性を明らかにし、関係者への徹底を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、南スーダンの自衛隊派遣問題及び共謀罪について質問をいたします。
南スーダンPKOの活動状況を記録した日報の不都合な情報隠しが大問題になっています。開示されて明らかになったのは、陸上自衛隊宿営地のすぐ近くで激しい戦闘が行われたことが記述されており、明らかにPKO参加5原則に反する中身でもあります。しかも国会では、稲田防衛大臣は、日報の戦闘という表現は法的な意味の戦闘行為ではなく、憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではない、こういう驚くべき居直り発言を行っています。戦闘隠しを続け、PKO参加5原則にも反する活動となっており、南スーダンからの自衛隊の撤退を求めるべきでありますけれども、いかがでしょうか。
最後に、安倍政権が国会に提出しようとしているテロ等準備罪、いわゆる共謀罪についてお聞きいたします。
共謀罪とは、実際に犯罪行為がなくても共謀、すなわち相談、計画しただけで処罰するものであります。犯罪行為が実行されただけで処罰するとした刑法の大原則を転換するだけに、思想信条の自由及び良心の自由を保障した憲法第19条に背く違憲立法にほかなりません。
現行法でもテロを未然に防ぐことは可能であり、テロ対策の名で国民の主張や内心まで取り締まろうとすることは、物言えぬ監視社会をつくるものではないでしょうか。現代版治安維持法と言うべきものでありますが、知事の見解を求め、私の質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災者の健康状況や暮らしの実態、一部負担金免除措置の評価についてでありますが、被災者の健康状況について、岩手医科大学が沿岸4市町を対象に平成27年度に実施した調査によりますと、健康状態がよくないと答えた被災者の割合は、男性で13.2%、女性で14.6%となっています。
暮らしの実態について、生活支援相談員に寄せられた相談内容を見ますと、日常生活に関する相談が全体の約3割と最も多く、次いで、健康、保健医療に関する相談が約2割を占めています。
国民健康保険等の一部負担金免除措置につきましては、いまだ多くの被災者の方々が、応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされている現状を踏まえまして、平成29年12月までの1年間、これまでと同様の財政支援を継続することとしたところでありまして、こうした方々の医療や介護サービス等を受ける機会の確保に寄与しているものと考えております。
次に、政府の働き方改革実現会議の提案についてでありますが、現在、国において、労働法制の見直しについて検討が進められていますが、県では、国に対して、長時間労働の是正のための制度の整備などを求めてきたところであり、一億総活躍社会や地方創生の実現が図られるような適切な時間外労働の上限規制となるよう期待しております。
県といたしましても、労働者の適正な労働条件の確保や長時間労働の是正などの働き方改革の推進に取り組んでおりまして、引き続き、いわてで働こう推進協議会の構成団体と連携するなどしながら、オール岩手で、生き生きと安心して働くことができる魅力ある労働環境づくりを進め、ふるさと振興総合戦略に掲げます、岩手で働くの実現に向け取り組んでまいります。
次に、農村の衰退の要因についてでありますが、本県では、いわて県民計画に基づいて、地域農業の核となる経営体の育成や生産性、市場性の高い産地づくり、高付加価値化などを柱として、農業者の収益アップと農業、農村の活性化に向けた取り組みを進めています。
こうした取り組みを通じて、平成27年の1戸当たりの経営耕地面積は、10年前に比べて約1.4倍に拡大するなど、経営体の生産基盤が着実に整ってきていることや、地域の実情を踏まえた小規模、兼業農家も参画した集落営農が展開されることなどにより、平成27年の本県の農業産出額は、5年前と比べると207億円、約9%の増となっています。
今後におきましても、農業経営の発展を目指す農家や、地域づくりに取り組む小規模、兼業農家がともに豊かさを実感できる農業、農村の実現に向けて、必要に応じて国への政策の提言を行い、地域に根差した農業施策に積極的に取り組んでまいります。
次に、日米二国間交渉などへの対応についてでありますが、新しい貿易ルールの確立に当たっては、現在の国際貿易秩序の範囲内で、お互いの国内事情にも配慮しながら、個別課題ごとに、相互に知恵と力を合わせて解決策を探っていくことが重要であると考えております。
先月の日米首脳会談において設置が合意された日米経済対話は、日米両国が、自由で公正な貿易ルールに基づいて、両国間における経済関係を強化し、双方の経済的利益となる個別分野での協力を積極的に推進する目的で設けられるものとされています。
一方、日米経済対話において、日米二国間の貿易のあり方に関し、TPP交渉で日本が重要品目と位置づけた米や牛肉、豚肉などの農産物に対するTPP合意を上回る市場開放や、自動車分野でのさらなる譲歩などを求められる可能性が懸念されています。
県といたしましては、国に対し、国民生活や経済活動への影響など、国益を損なうことのないよう求めてまいります。
次に、南スーダンからの自衛隊撤退についてでありますが、南スーダンのPKO活動に派遣している陸上自衛隊については、昨年11月に駆けつけ警護等の新たな任務が付与され、現在も現地での活動を継続しているところでありますが、安全保障関連法の合憲性の問題や現地の情勢に鑑み、南スーダンからの自衛隊の撤退を求める声があることは承知しているところであります。
PKO活動については、当事者間の停戦合意があること等のPKO参加5原則が満たされない状況となった場合はもちろんのこと、政府が昨年11月に公表した新任務付与に関する基本的な考え方によれば、PKO参加5原則が満たされている場合であっても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、自衛隊の部隊を撤収するとしており、活動実施が困難と判断した場合には、ちゅうちょなく撤収されるものと理解しております。
政府においては、南スーダンから撤退を求める国民の声に対して十分な説明責任を果たすことと、必要であれば撤退を決断するということが求められていると考えます。
次に、共謀罪についてでありますが、報道等によれば、政府は、国際組織犯罪防止条約の締結に向けて、組織的犯罪集団が関与する重大犯罪について処罰しようとするテロ等組織犯罪準備罪について、国会に提案する予定と聞いています。
テロ等組織犯罪準備罪の詳細については公表されておりませんが、一般人も対象になるのではないか、内心の処罰につながるのではないか、対象となる犯罪が広範に過ぎるのではないかなどの意見もあり、今後、検討の過程において、国民にわかりやすい形で十分な議論が尽くされるべきであると考えております。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長木村卓也君登壇〕
〇復興局長(木村卓也君) まず、住宅再建への支援についてでありますが、持ち家による住宅再建は、復興に弾みをつけるものでありますことから、県では、これまで、国に対し繰り返し被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところでありますが、国は慎重な姿勢を示していることから、市町村と共同で、最大100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を実施し、住宅再建を支援しているところでございます。
国では、資材高騰等の物価上昇等に対し、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費やグループ補助金の額については引き上げており、被災者の住宅の再建支援についても同様に扱うべきと考えられることから、国に対して、被災者生活再建支援制度の支援額の増額について、引き続き強く要望してまいります。
また、被災者生活再建支援金の加算支援金の申請期間は、現在のところ平成30年4月10日までとなっておりますが、申請期間につきましては、国の通知により1年を超えない範囲で繰り返し再延長できるとされておりますことから、住宅再建の前提となるまちづくりの進捗状況等を踏まえ、事務を行っている公益財団法人都道府県会館とも協議しながら、被災者の方々が安心して自力再建できるよう対応していきたいと考えております。
次に、東日本大震災津波復興基金についてでありますが、これまで基金の運用益等も含め約728億円を積み立て、うち約425億円を市町村に交付し、残り約303億円を県として活用しているところでございます。
具体的には、安全の確保では、再生可能エネルギー導入促進に向けた環境整備、暮らしの再建では、住宅再建費用の一部助成や国民健康保険、後期高齢者医療制度における一部負担金免除に要する経費、なりわいの再生では、中小企業の事業再開や被災地における起業の支援、産業創出など、41事業、計213億円余の事業に活用してまいりました。
平成29年度は25事業に約49億円を当初予算案に盛り込んでおり、平成29年度末の基金残高は約41億円と見込んでおります。
今後におきましても、被災地域の状況やニーズを的確に把握し、効果的な活用を図ってまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、災害公営住宅での交流施設等についてでありますが、県が整備している災害公営住宅には、入居者間の交流を促進するために通常の公営住宅より面積が広い集会所を設置するとともに、入居者の支援に携わる方が活動できるような事務スペース等も設置しております。
県及び市町村の社会福祉協議会で配置している生活支援相談員は、平成29年1月末現在で172名となっており、平成29年度は186名の配置に要する経費を当初予算案に盛り込んでいるところです。
次に、災害公営住宅の家賃減免の延長についてでありますが、現在、国が行っている東日本大震災特別家賃低減事業による特別低減措置は、高齢者世帯など収入が少ない世帯に対し、収入に応じて5%から70%程度家賃を減免する制度であり、その期間は10年間となっています。
一方で、県及び一部の市町村では、収入が少ない世帯が、申請手続を行うことにより、ほぼ同様の家賃の減免を期限を設けず受けることができる独自の制度を従前から有しています。
しかしながら、独自の減免制度を有していない市町村も複数あるため、仮にこのまま国の特別低減措置が終了した場合、県や各市町村間で家賃に差が生じてしまうことから、県としては、市町村と連携しながら、国が行っている現行の家賃の特別低減措置の延長を要望したいと考えています。
次に、災害公営住宅の入居要件の改善についてでありますが、県営の災害公営住宅では、従来から震災により家族や親族が亡くなった場合など、やむを得ず保証人を確保できない場合には、保証人を求めない運用としておりましたが、昨年9月の国からの通知を受け、入居募集案内にその旨を明記したところです。
また、市町村に対しては、保証人の免除について配慮を求めるとともに、県と同様に保証人が見つからない場合の対応を募集案内へ記載するよう通知しており、引き続き周知徹底を図っていきます。
次に、住宅再建の意向把握等についてでありますが、岩泉町では、昨年12月からことしの1月にかけて、台風災害により自宅が全壊等となった方々を対象に、これからの住宅再建について意向調査を行い、現在、この意向調査結果を踏まえ、災害公営住宅の整備について具体の検討を開始していると承知しています。
県では、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、岩泉町が進めている災害公営住宅の整備計画の策定に係る手続などについて、必要な助言を行っているところです。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、被災事業者の支援の強化についてでありますが、水産加工業については、グループ補助金等により85.9%の事業者が再開し、業績につきましても、震災前と同程度以上と回答している事業所が前回39.6%に比べ10.5ポイント増加の50.1%となるなど、着実に復旧していると把握しております。
しかしながら、原材料価格の高騰や調達困難、雇用、労働力確保などは依然として主な課題の上位となっておりまして、引き続き、これら多様な課題に対するきめ細かな支援が必要であると認識しております。
県では、これまで、商品力の向上や商談会の開催などによる販路拡大の促進、設備等の高度化やカイゼンの導入による労働生産性の向上、人材確保の支援などに取り組んできたところでございます。
さらには、加工原料の確保に向け、原料調達等に対する国の補助事業の活用促進などの支援も行っております。
今後におきましても、こうした取り組みを充実させるとともに、企業間連携等の促進、経営相談、会計指導等の経営改善の取り組みなど、地元市町村、商工指導団体と連携し、総合的に水産加工業の復興を支援してまいります。
次に、商工業の再建状況についてでありますが、地域なりわい再生緊急対策交付金について、各市町では約1、000事業者を助成対象と見込み、交付申請を受け付けながら、支援を進めているところでございます。
被災事業者の再建状況については、随時、各市町から状況を確認しておりますが、それによりますと、施設や設備の工事等、復旧作業を行いながらの事業所もあるものの、一部再開を含め、多くの事業所が事業を再開している状況にあると把握しております。
次に、県内就職についてでありますが、高校生に対して、各広域振興局等に就業支援員を配置し、高校との連携を強化して県内就職の支援を行っているほか、キャリア教育支援セミナーの開催や就職支援情報の提供、就職後のフォローアップセミナーなどを展開しているところでございます。
また、県内各地域において、企業や教育機関で構成されているものづくりネットワークの活動支援の一環として、小中学生の段階からの対応を強化し、児童生徒とその家族を含む企業見学会を拡充するなど、地元企業の利用促進に取り組んでいくことで、県内就職への意識を高めていきたいと考えております。
次に、県内の離職率についてでありますが、県内の離職率は減少傾向にあるものの、依然として高い水準にあります。その要因としては、就労環境や労働条件などがしっかりと共有されていないことなどから生じる、若者が企業に期待するものと企業が若者に期待するものの間にずれがあることなどが考えられております。
次に、長時間労働についてでありますが、本県の1人当たり年間総実労働時間は、全国平均に比べ、所定外の時間はほぼ同じであるのに対し、所定内の時間が大きく上回っている状況にあり、その要因としましては、全国平均より年次有給休暇取得率が低いこと、非正規労働者割合が低いことなどが考えられ、また、長時間労働につながる職場の意識、労働慣行や生産性の低い働き方も一因であると推測されています。
そのため、県では、セミナーの開催などによる普及啓発に取り組むとともに、今年度から、いわて働き方改革推進運動を展開しているところでありまして、多くの企業において、働き方改革を通じた長時間労働の是正や休暇の取得促進などが図られ、魅力ある労働環境となるよう取り組んでいくこととしております。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、東京電力による今後の損害賠償についてでありますが、昨年12月、平成29年1月以降の損害賠償について、県から東京電力に説明を求めたところ、東京電力からは、原木の価格高騰によるかかり増し経費などの追加的費用については、これまでと同様に、生産者が負担した実費のうち必要かつ合理的な範囲を支払う。また、シイタケ販売ができなくなった場合などの年間逸失利益については、平成28年分の賠償額の3倍相当額を支払うが、賠償金支払い後に、原発事故との相当因果関係のある損害が、今回提案の賠償額を超過した場合には適切に支払うとの回答があったところです。
県では、東京電力に対し、今後とも、生産者に不利益が生じないようしっかりとした対応を求めていくとともに、関係団体と連携し、生産者が安心してシイタケ生産に取り組めるよう全力で支援してまいります。
次に、原木の安定的な確保についてでありますが、県では、これまで、放射性物質の影響を受け原木の地元調達が難しい県南の11市町において、地元調達に向けて、原木林の放射性物質濃度の推移を確認するためのモニタリング調査を実施するとともに、放射性物質の影響を受けた広葉樹林を伐採し再生させる実証等に取り組んでいるところです。
また、関係団体等で構成するしいたけ原木供給連絡会議を設置し、素材生産業者や広葉樹資源を有する市町村へ原木供給の働きかけを行い、安全な原木調達に努めてきたほか、今年度は、新たに検査の効率化と生産者の負担軽減のため、シイタケ原木用非破壊検査機を導入し、原木の放射性物質検査を開始したところであり、引き続き、関係団体等と連携しながら、安全な原木の安定供給に向けて取り組んでいくとともに、国に原木確保への支援の継続を求めてまいります。
次に、農地の復旧状況についてでありますが、岩泉町では、台風第10号で被災した農地約171ヘクタールのうち約99ヘクタールは、国の補助事業で復旧する予定であり、現時点で約83ヘクタールの工事に着手し、残る16ヘクタールについても、3月中旬までに発注することとしております。
また、国の補助事業の対象とならない小規模な被災農地72ヘクタールについても、市町村事業や県の小規模農地等災害復旧事業を活用するなど、順次、復旧を進めることとしております。
被災した農地の復旧に当たっては、河川改修計画等と調整を要するものが多くあり、その作付時期については、今後、農家や関係機関などと協議の上、決定することとしており、そのほかの農地については、今春に作付できるよう取り組んでまいります。
次に、米政策の見直しによる農家収入への影響についてでありますが、生産数量目標に従って生産した農業者に対して交付される米の直接支払交付金や、国による米の生産数量目標の配分が廃止される平成30年産以降において、十分な対応が行われなければ、米の生産量が需要量を超え、全国的に米価が下落し、農業経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
このため、県では、市町村、農業関係団体等と連携して、今後5カ年の水田農業の推進方針や毎年の生産計画を作成し、これに沿った作付を進める方向としており、こうした対応を着実に行い、需要に応じた生産を進めるとともに、飼料用米等への転換、地域の特性を生かした高収益作物の生産拡大を促進するなど、農業者の所得向上に取り組んでまいります。
また、国に対して、水田活用の直接支払交付金の助成水準の維持や制度の恒久化などについて、引き続き必要な対応を求めてまいります。
次に、多様な経営体への支援についてでありますが、本県の農業が持続的に発展していくためには、地域農業の核となる担い手を中心として、新規就農者や小規模、兼業農家など多くの経営体が生産活動に携わりながら、ともに豊かさを実感できる農業、農村をつくり上げていくことが重要であります。
このため、県では、農業改良普及センターを中心に、担い手の経営管理能力の向上に向けた研修を実施するとともに、新規就農者の経営ビジョンの策定や小規模、兼業農家も参画した産地づくりなどを支援しております。
こうした取り組みにより、毎年200名を超える新規就農者を受け入れるとともに、法人化した経営体はこの10年間で3割増加するなど、地域の担い手は着実に育成されてきており、今後とも、市町村、関係団体等と緊密に連携しながら、多様な経営体の育成に向け取り組んでまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、台風第10号災害に係る生活支援についてでありますが、この災害により多くの住家被害が生じたところであり、被災された方々が、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すことが重要と考えています。
被災者の住家被害への支援として、先月末時点で、住宅の応急修理については1、216件の申し込みに対し803件の修理が完了し、全壊、大規模半壊994世帯を対象とした被災者生活再建支援金については、基礎支援金902件、加算支援金263件の申請を受け付けており、被災者それぞれの状況に応じた支援を実施しているところです。
また、被災者の見守り支援としては、市町村保健師等が全ての被災者を対象とした各戸訪問等を行ってきたところでありますが、これに加え、特に被害が甚大だった岩泉町では、2月1日から生活支援相談員6名を配置したところです。
県といたしましては、今後も、市町村や関係機関と連携して、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行うよう努めてまいります。
次に、介護保険制度における総合事業についてでありますが、訪問及び通所サービスのうち、現行相当以外の多様なサービスを提供する市町村は、平成29年度には、訪問型で10市町、通所型で16市町と見込まれています。
多様なサービスの受け皿については、既存の介護事業者に加え、市町村に配置される生活支援コーディネーターが中心となって、地域の実情に合わせ確保していくものであり、具体的な数は把握しておりませんが、関係の市町からは、NPOや社会福祉協議会などさまざまな団体を予定していると伺っております。
現行相当のサービスについては全ての市町村が提供を予定していますが、こうした全国一律のサービスと高齢者のニーズに対応した多様なサービスを組み合わせて、効果的かつ効率的にサービスを提供するという総合事業の趣旨を踏まえ、県としては、引き続き多様なサービスの創出を担う人材の育成などにより、市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、介護人材の確保についてでありますが、介護の職場の労働環境を図る上で、また、新たな施設の整備など介護サービス提供体制の充実を図る上でも、人材不足が大きな阻害要因になっていると承知しています。このため、県では、県の財政支援のもと、岩手県社会福祉協議会が実施している介護福祉士等修学資金の貸付制度の中に、今年度から、離職した介護人材を対象とする再就職準備金を創設するなど、人材確保策の拡充を図っているところです。
また、国に対し、介護の仕事に従事する方々の処遇改善を図るため、適切な水準の介護報酬の設定や介護職員処遇改善加算の対象職種の拡大を要望するとともに、介護保険制度の運用上の課題把握と、必要に応じた見直しを継続的に行うよう要望しております。
今後とも、事業者団体との意見交換会等を通じて実態把握に努め、必要に応じて国への働きかけをさらに行ってまいります。
次に、子供の貧困実態調査についてでありますが、本県の子供の食生活については、3歳児健診の際や、学校での保護者や生徒へのアンケートにより、朝食の欠食率などを調査しています。また、ひとり親家庭の実態については、5年に一度、岩手県母子世帯等実態調査を行い、親の就業状況や就労収入の状況に加えて、親の帰宅時間や子供に関する悩み、困っていることなどの把握に努めています。
子供の貧困の実態について、本県では、生活保護世帯の子供や就学援助を受けている子供の割合など、公的支援の対象となっている子供の統計資料等により把握しているところです。
沖縄県など、他県で子供の貧困実態調査に取り組んでいるところもあることは承知しておりますが、都道府県レベルでの調査については、他県との比較が容易にできるよう、主要な調査項目等を統一して実施することが望ましいと考えており、他県の調査項目や調査結果について情報収集の上、その比較などを行っているところです。
次に、子ども食堂の実施、家賃補助などの支援についてでありますが、県では、県内各地で子供の貧困対策の出前講座を実施し、子ども食堂などを行う民間団体と一緒に、その取り組み内容と実施方法の紹介等を行っており、こうした取り組みを通じて、地域に子ども食堂を開設する動きが徐々に広がってきているところです。
また、家賃補助については、母子家庭を含む生活困窮世帯を対象とした住居確保給付金の支給により、安定した住居の確保と就労自立に向けた支援を図っています。
母子家庭の就労形態は、臨時、パートが多く、就労収入が少ない傾向にあり、経済的に厳しい状況にありますことから、今年度、第2子以降加算額を増額した児童扶養手当の支給や母子福祉資金の貸し付け等により、今後とも、母子家庭の経済的支援に取り組んでまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 岩泉町の財源問題についてでありますが、いわゆる生活橋や自家水道等については個人や組合の財産であり、国の補助制度がないことから、現在、岩泉町において、財源措置も含め、復旧の方法等を総合的に検討していると承知しております。
また、情報通信基盤の復旧についても既存の災害復旧補助制度がないことから、復旧に対する財政措置を行うよう国に対し繰り返し要望してきたところでありますが、この結果、テレビ共聴施設については、先般、既存補助制度の要綱改正により、復旧事業が国庫補助事業として認められたところであります。
県におきましては、自治振興基金に激甚災害特別枠を設け、長期、無利子による貸し付けを可能とする条例改正案や、岩泉町を含む3市町の早期の復旧、復興を支援するための県単独による自由度の高い交付金に係る補正予算案を今定例会に提案しているところであり、今後とも、早期の復旧、復興に向けて必要な支援を行ってまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 台風第10号の教訓についてでありますが、県では、昨年10月に、岩手県防災会議幹事会議に地域防災体制分科会、社会福祉施設等防災文化会及び河川・土砂災害防災分科会の三つの分科会を設け、台風第10号災害で得られた教訓と今後の対応策について検討してきたところでありまして、今月の中旬、同幹事会議において、新たな風水害に対応した防災体制の整備に係る報告書を取りまとめました。
この報告書では、内陸地域に加え、沿岸及び県北地域において、国、県、市町村による減災協議会を設け、水位計の設置、水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定を推進すること、市町村と要配慮者利用施設間の情報伝達体制を整備するとともに、施設における非常災害対策計画の策定や地域と連携した避難訓練を実施すること、台風など事前に災害の発生が予想される場合、早期に市町村の組織全体を挙げた体制に移行すること、また、気象台や河川管理者、県の防災関係課などによる風水害対策支援チーム(仮称)を設け、市町村長が避難勧告等の発令を判断する上で、参考となる助言をしていくことなどを進めることとしております。
県といたしましては、この報告書を踏まえ、地域防災計画に必要な修正を行うとともに、国、市町村、関係機関と一体となり、新たな風水害に対応した取り組みを推進し、地域防災力の強化を図ってまいります。
〔医療局長八重樫幸治君登壇〕
〇医療局長(八重樫幸治君) まず、県立千厩病院の医師の確保についてでありますが、千厩病院では、内科、外科等の基本となる診療科について常勤医7名を配置していますが、入院患者数の増加に伴い、医師1人当たりの業務量が増加しており、限られた病院スタッフの中で、地域医療を支えるべく努力しているものと認識しています。
こうした中、地域で必要な医療提供体制を確保するため、眼科や小児科など常勤医不在の診療科については、圏域内あるいは圏域を越えて県立病院間の診療応援の強化を図ってきたところであり、今年度は、千厩病院に対して1月末累計で324件の診療応援を行ったほか、中央病院から総合診療科の常勤医師を派遣するなど、診療体制の確保に努めているところであります。
なお、来年度につきましては、常勤医が1名増員され8名体制になる見通しであり、引き続きさらなる診療体制の充実に努めてまいります。
次に、県立病院の医療機能と人材確保についてでありますが、地域包括ケア病床は、入院治療後、病状が安定した患者に対して在宅や介護施設で安心して生活できるようにするため、退院支援やリハビリテーションを中心に在宅復帰を支援する病床であり、回復期の機能を担う上で非常に有力であると考えております。
県立病院においては、大船渡病院が平成26年12月から、東和病院が昨年5月から、千厩病院が昨年10月からそれぞれ病床の運用を開始しているところであり、今後においても、地域医療ニーズを踏まえながら、地域包括ケア病床の導入を進めていきます。
リハビリスタッフの確保については、経営計画において、医療の質の向上などに向けた職員配置計画を定め、体制強化に必要な職員配置を進めているところであり、平成26年度から平成28年度までに計画を上回る増員を図っています。
今後とも、県立病院ごとの機能に応じて施設基準取得に必要な人員を配置するなど、人材の確保に努めてまいります。
また、県立磐井病院産婦人科の常勤医師数は、本年2月1日現在で3名、分娩件数は平成28年4月から12月までの累計で494件となっています。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 35人学級の拡充についてでありますが、先ほどの千葉絢子議員の御質問にもお答え申し上げましたが、少人数学級については、トラブルの発生の未然防止につながる等、生徒指導上の効果や学習指導の面においても評価が高く、これまで対象学年を拡大してまいりましたが、来年度においては、学習指導、生徒指導に加え、進路指導等の重要性が増す中学3年生に拡充することとしたものであります。
一方、少人数学級は、教員定数の明確な将来的な見通しのもとで推進する必要があるということ、小学校においては、本県の単独事業として始めたすこやかサポート事業等によるチームティーチング等、複数の教師による少人数指導を実施している学校が多く、その効果を評価する声も多いこと等から、少人数学級の拡充については、中学校における拡大を優先したところであります。
いずれ、35人学級の全学年での実施のためには、国における抜本的な定数改善による将来的な安定財源の確保が不可欠でありますので、今後とも、その実現を強く要望していくとともに、教員配置の全体的な工夫等をしていく中で、対応が可能かどうかを含め、市町村教育委員会などとの協議等をも行いながら研究してみたいと考えております。
次に、教員の長時間労働についてでありますが、県立学校において、月80時間を超える時間外勤務を行った教員の割合は、調査を開始した平成24年度以降、8%から10%前後の水準で推移しておりますが、教員の長時間勤務については、休日や放課後における部活動の指導や、各種調査、会議などの事務的業務の増加などに加えて、複雑、多様化する教育課題への対応等、教員に求められる役割が質、量ともに拡大していることなどが大きな要因となっております。
県教育委員会におきましては、このような状況を踏まえ、これまで、学校現場における事務の簡素化、時間外勤務記録簿の活用の推進のほか、学校徴収金を担当する非常勤職員の配置などを行ってきたところであります。これに加え、昨年度からは、市町村教育委員会や職員団体等で構成する協議の場における検討を経て、具体的な負担軽減策について順次実施してきているところであり、今年度においては、部活動指導業務の見直しを重点に検討し、部活動休養日の設定の徹底を図ることとしたところであります。
今後におきましても、事務作業の見直しや研究指定校のあり方等の具体的な方策について順次検討を進め、教員の勤務負担の一層の軽減に努めてまいります。
次に、運動部活動のあり方についてでありますが、これまで適切な休養日の設定が徹底されなかった要因といたしましては、休養日の基準を設けてはいたものの、いわば努力目標としての基準であったため、その取り組みに対する学校の理解や生徒等への意識の浸透に温度差があったことなどによるものと考えております。
部活動において、適切な休養を伴わない等、行き過ぎた活動が行われる場合には、生徒、教職員ともにさまざまな無理や弊害を生む可能性が高くなりますので、県教育委員会においては、部活動の休養日等について、中学校では、平日週1日及び第2日曜日、第4日曜日を休養日とすること、高校では、週1日以上の休養日を設けることと明確な基準を示し、あわせて、生徒、保護者等への周知について、2月17日に市町村教育委員会、県立学校及び関係機関に通知したところであります。
この内容については、今月開催した県立学校長会議、市町村教育長会議においても徹底した取り組みを県教育委員会から要請したところであり、今後とも、その浸透に努めてまいります。
また、スポーツ医・科学を取り入れた運動部活動の推進については、議員御案内のとおり、生徒の健康の増進を初め、担当教員の指導力の向上や負担軽減に向け重要だと考えておりますので、今後、指導者研修会等の実施により、効率的、効果的な指導の一層の充実を図ってまいります。
〇13番(高田一郎君) それでは、一通り答弁をいただきましたので再質問をいたします。
まず、東日本大震災津波、台風第10号災害についてまとめて質問したいと思います。
東日本大震災津波復興基金については先ほど答弁にありましたように、平成29年度末残高が41億円に対して、新年度で充当する予定がそれを上回る49億円ですから、実態としてあと1年程度の基金残高になっております。この基金というのは、被災者の方々に本当に寄り添って医療費や介護保険利用料の免除措置とか、あるいは住宅再建に対する独自の支援策とか、中小企業者の再建とかさまざまな制度に活用してきました。これは平成30年度以降も必要な事業でありますから、この財源確保が本当に大事になってくると思うのですけれども、この財源確保に今後どのように対応されようとしているのか、この点について伺います。
それから、災害公営住宅について、私は陸前高田市の下和野災害公営住宅の市民交流プラザの問題を例にして、一定の災害公営住宅にはこうした取り組みを広げるべきではないか、人の配置をすべきではないかという質問をしたのですけれども、答弁がありませんでした。
きのうの質疑を聞いてみても、コミュニティー形成支援事業とか、あるいは民間団体に対する補助金を行ってコミュニティー支援を行うという答弁はありましたけれども、しかし、よくこの中身を見ると、一定程度の災害公営住宅に人を配置するというところまで踏み込んだ中身になっていないのです。なぜこういうところに対応できなかったのか、私たちは繰り返し人の配置を求めてきましたけれども、そういう対応にならないのはなぜなのかということについてもお伺いいたします。
3点目は、先日、大槌町の町長とお会いしたときに、こんな話をされました。
大槌町では、応急仮設住宅に入居しているいわゆるUターン、Iターンの方々が150人いるということを伺いました。しかし、応急仮設住宅というのは、あと4年も5年も続くわけではありませんので、その後、住まいがどうなるかというのが課題だという話をされました。今、民間住宅が1LDKで7万円から9万円するという話をされて、この若い人たちの住宅確保対策が本当に大事だということをお話しされました。これは大槌町だけでは恐らくないと思うのです。こういう仮設住宅で、いわゆる目的外使用という形でIターン、Uターンとかで住まわれている方々の実態はどうなっているのかということも、数字があれば示していただきたいと思います。
私は釜石にお邪魔したときに、釜石では、雇用促進住宅を購入して市の定住促進住宅に位置づけて取り組んでいるというお話を聞きました。それで、新婚家庭とか、あるいはUターン、Iターン者にこの住宅を提供する。月3万5、000円だけれども、新婚やUターン、Iターンの方々は、3年間、1万円を補助する。2万5、000円で入居できるということですので、この80戸の定住促進住宅は今満杯だというのです。
知事もこの間、人口減少対策が非常に重要で、復興の先を見据えた地域振興が大変重要となっているという話をされました。私はこういう若者の住宅政策というのは非常に大事だと思うのですが、この点について県としての考え方をお伺いしたいと思います。
台風第10号問題については、被災者の皆さんの医療費などの免除措置が、それぞれの自治体独自に支援が行われております。しかし、実態は、宮古市は8月末までですけれども、久慈市、岩泉町は3月末までとなっております。来月1カ月で終わりという状況です。住まいの再建というのはまさにこれからですから、私はこの支援措置期間というのは非常に短か過ぎるのではないか、これをさらに延長する必要があるのじゃないかということを感じておりますけれども、県としてどのようなお考えなのか伺います。
それから、被災地の災害復旧のための人材確保の対策です。これも岩泉町でお話を伺いましたけれども、3年間の災害復興ロードマップをつくっているのですけれども、冒頭申し上げましたように、人材が非常に不足しており、業者も不足しているということで、応援職員の要請をしてもなかなか確保できない。恐らく県も頑張っていると思いますし、町も頑張っているのですけれども、20人の予定に対して4人しか確保できないと話をされました。繰り越しや事故繰越はできますけれども、しかし、再建というのは一定程度短期間でやらなければ、どんどん人口が減少していくということを東日本大震災津波でも経験しております。私はこういう状況のときに、期限付職員を採用して対応に当たることが必要じゃないかということを感じておりますが、そういう考えはないのかどうか、この点についても伺います。
災害問題の最後の質問ですけれども、岩泉町の災害廃棄物の処理量は7万5、000トン、36億7、000万円と聞いてきました。東日本大震災津波では、全額国費でありますけれども、岩泉町の負担が1億5、800万円になるというお話を聞きました。さらに、査定前の処理費用は認めないと、証拠が出せないから認められないというお話を聞きました。そして、大規模半壊のごみもなかなか難しいというお話を聞きまして、さらに数億円の負担がかかるのではないかという話をされました。
岩泉町は、公共土木災害でも39億円の町の負担がある、それにさらに、東日本大震災で10倍の被害を受けたこの自治体に、4.3%という率ではわずかな負担でありますけれども、町全体の対応からすれば大変な負担増だと思います。私はこういう点での支援、国に対する支援要請もぜひ必要だと思いますけれども、この点についての県の対応について伺いたいと思います。
〇復興局長(木村卓也君) まず、基金の財源確保の関係でございます。今、議員おっしゃられたとおり、この基金は、県の単独事業を中心に非常に有効に活用していただいております。毎年度、基金の使途については予算編成過程の中で検討していくわけでございますが、額としては少なくなっていくという中で、県としても、基金に限らず、国の財源措置が大事だということでございまして、予算要望の中でも復興財源に係る確実な予算措置、特にも、自由度の高い交付金を要望してございます。その結果、平成28年度につきましては、被災者支援災害特別交付金ですとか復興に係る観光関係の交付金ですとか、そういう交付金が予算措置をされたところでございます。
今後におきましても、そういう自由度の高い交付金を含め、復興に係る予算の財源措置につきまして国に引き続き要望していきたいと考えてございます。
それから、応急仮設住宅にU・Iターンで住んでいる方の実態ということでございますが、恐縮ですが、今ちょっと手元に資料がございませんので、どのぐらいの方々がいらっしゃるかというのは、今は御答弁申しかねます。
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、災害公営住宅の見守りの件でありますが、生活支援相談員につきましては、県の補助を受け、県社会福祉協議会及びそれぞれの市町村社会福祉協議会において、地域の実情を踏まえて適正な配置に努めているところでありまして、災害公営住宅に入居した被災者も対象に広く見守りや相談支援を行っております。
その配置場所、配置先につきましては、この生活支援相談員のほか、市町村が配置している支援員等も含めて適正なところに配置するよう、県として要請しているところであります。
それから、台風第10号に係る医療費等の一部減免の期間の延長についてでありますが、これは、それぞれの該当市町村において、それぞれの実情において対応をとっているところであり、延長についても市町村が判断することと承知しております。
なお、その減免等を行った際、一定の要件を満たした場合は、県は国民健康保険に係る県の特別調整交付金等で支援を行っております。
〇政策地域部長(大平尚君) 岩泉町に対する人的支援の状況でありますが、今年度は、短期支援を中心に2月1日まで1、631名の派遣を行ってございます。
平成29年度の必要数につきましては、岩泉町から18名必要という話をいただいてございます。これは、長期派遣という意味でございます。長期派遣で18名の派遣要請をいただいております。内訳は、一般事務が3人、土木が13人、その他2人ということとなっております。これにつきましては、岩泉町では職員の追加募集、独自の取り組みを行っております。
県といたしましては、12月に開催した被災市町村人材確保連絡会議において、まずは県内市町村に派遣要請を行ってございます。その後1月中旬から2月上旬にかけて、東北各県及び関東近郊の都県の都庁、県庁、市長会、町村会、市役所等を訪問して被害の状況を説明し、応援職員の派遣要請を行ってございます。
県が期限付臨時職員を採用するということは、これについては県は、派遣の調整を行ってございますので、県が採用するということについては現時点では考えてございません。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 台風第10号災害における岩泉町の災害査定の関係でございます。
県では、岩泉町を初めといたしました災害廃棄物の処理事業に対する支援につきまして、国に対し、現行制度において対象外とされている経費についても、東日本大震災津波と同様の補助対象とするよう、要望をしているところでございます。
今般、岩泉町につきましては、災害廃棄物処理事業の事業費を最大限見込んでおりまして、査定時におきましては58億円ということで査定を受けているものでございます。
査定申請時の廃棄物量は12万トンと推計されております。これは、発災時におきまして、いわゆる浸水が1階の天井まで来たということが一応全壊扱いということで、407棟あるということを根拠に算定されたものでございます。その後、査定時におきましては、実際この407棟のうち、御自分で修理されてお住まいになっている方が既におられて、実際に全壊として廃棄物となるものは、このうち201棟分であるということとなり、そういった解体不要の家屋等が判明したため、廃棄物量が全体で約7万5、000トンというように減少し、査定額が約37億円という見込みとなったものでございます。
この結果、補助対象となります災害廃棄物処理に係る岩泉町の負担は激甚災害の指定を受けておりますことから、査定結果の約37億円に対して、国庫等の措置を除きます4.3%、約1.6億円となる見込みとなってございます。
県といたしましては、先ほど申し上げたように、国に対して継続的な要望をするとともに、あわせて、効率的な災害廃棄物の処理を進めることによって処理経費が少しでも節減されるよう、できる限り市町村の負担が減るように必要な助言してまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(及川隆君) 定住促進のための住宅政策等の取り組みについてでございますけれども、まずは各市町村において、どういう取り組みがなされているか等の実態把握を行った上で、県としてどのような対応がとれるのかというのを検討していきたい。また、県では、空き家対策の有効活用にも取り組んでおりますことから、そういうことも含めて検討したいと思っています。
〇復興局長(木村卓也君) 先ほど応急仮設住宅のIターン、Uターンの活用の関係について御答弁をできなかったことから、御答弁を申し上げます。
応急仮設住宅の目的外使用につきましては、国と協議して、平成26年4月1日から認めているところでございます。ことしの1月31日現在で、市町村に目的外使用許可ということで許可した件数が、全体で303件となっております。そのうち、地元に戻りたいが実家が被災して住む家がない、いわゆるUターンと、被災地で就職して定住を希望するけれども住む家がない、いわゆるIターンが、それぞれUターンの分につきましては48件、Iターンの分については174件、合計で222件ということになってございます。
〇13番(高田一郎君) 台風及び震災関係については、財源の確保と人材の確保が非常に大事な課題でありますので、引き続き努力して対応していただきたいと思います。
Uターン、Iターン問題については、先ほど復興局長から具体的な数が出されました。釜石市の経験に学んで、せっかくUターン、Iターンの方や、被災地を応援したいという思いで来た方々が、もとのところに帰らないような具体的な支援をお願いしたい。釜石の取り組みは非常に積極的なことだと思いますので、そういう努力、対応をお願いしたいと思います。
岩泉町の災害廃棄物については約37億円で、そのうち岩泉町の負担は4.3%、1億6、000万円と私も承知していました。しかし、現地で聞くと、それ以上に補助金の対象にならない、査定前に処理したものは証拠がないとだめだと、そういう対象外が億単位であるというのです。こういう実態を踏まえて、県にもぜひ支援していただきたいと思います。これは、要望として申し上げたいと思います。
次に、子供の貧困問題について質問したいと思います。
私は、実態調査を行うべきだという話をしました。この政府の貧困率の調査というのは、3年ごとに行う国民生活基礎調査に基づいてやるのです。全国調査で5万世帯のサンプルで、3年に一度やる調査です。
山形大学の戸室建作准教授の調査では、都道府県で格差があり、5.5%から37.5%の貧困率があるということなのです。だから、子供の貧困の実態に迫っていくには、それぞれの都道府県での具体的調査、貧困率の調査、そして子供や親の現状、貧困の背景に何があるのか、それを可視化して取り組むことが大事だということが指摘をされています。
それで、先ほどの保健福祉部長の答弁では、さまざまなことに取り組んでいるという話をされまして、では、実態調査というのはやらないのかなと私自身が受けとめましたけれども、その点についてそういう理解でよろしいのでしょうか。
もう一つは、具体的な支援の問題についてですけれども、岩手県内の母子家庭の月収は66%が15万円以下だということは、冒頭、私自身が申し上げました。そして、実にこの方々の92%が就労しているというのです。ですから、まじめに働いていても貧困状態だということなのです。それでダブルワークせざるを得ない、子供に接する時間がない。この解決こそが、私は非常に大事になっていると思います。
今、母子家庭の37%が非正規になっております。ですから、具体的な就労支援を行って、子供と接する時間を確保するとか、あるいは児童手当とか貸付資金があるというお話を保健福祉部長はされましたけれども、それでもこういう貧困状態が続いているわけです。ですから、私は、家賃補助というのは非常に大事な支援策だと思うのです。
今、民間アパートに住んでいるひとり親家庭というのは30%、3人に1人という現状にあります。ですから、この支援というのは待ったなしの課題ではないのかと私は思いますけれども、この点について改めてお聞きいたします。
それから、医療局長にお聞きしたいと思います。
磐井病院の分娩数の実態を聞いて私も大変びっくりしました。きのう医療局から資料をいただきましたけれども、去年の4月から12月まで分娩数は494件です。これは中央病院よりも多いのですよ。中央病院は産婦人科医師が6人、磐井病院が3人なのです。こういう状況がある。非常に過酷な状況が続いて、このままではもたないんじゃないかと私は懸念するのですけれども、先ほど千厩病院には医師をふやすという話をされましたけれども、この現状について医療局ではどう把握されているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 子供の貧困実態調査についてでありますが、他県で既に実施された調査の項目等を確認いたしましたところ、調査項目、調査手法はそれぞれさまざまでございました。実態調査によって他県との比較を行うためには、先ほども答弁申し上げましたが、主要な調査項目等が統一していなければ比較できませんので、今の段階では、どういった形で進めるかということについては、県独自での設定というのは難しいかと思っております。
全国知事会におきましては、国が都道府県別の子供の貧困率を統一的な基準で調査し、その結果等を自治体に提供するよう要請しているところでありまして、この要請を受けた国の動向等も注視してまいりたいと考えております。
次に、母子世帯に対する経済的支援、特に就業支援等でありますが、県では、これまで、教育訓練講座の受講費用の助成とか、自立支援プログラムを策定してハローワークと連携しての就労支援の実施などに取り組んできたところであり、今後とも、こういった取り組みを進めてまいります。
家賃補助につきましては、これも先ほど答弁申し上げましたが、生活困窮者自立支援制度の中の住居確保給付金という制度がございまして、それの活用等を行っているところであります。
〇医療局長(八重樫幸治君) 磐井病院の産婦人科の分娩件数でございますが、先ほど答弁したとおり、平成28年、1カ月当たりの分娩件数の平均が54.9件でありますので、平成27年度に比べて1.8件増加をしています。
産婦人科医が不足しているのはどこの病院もそのとおりでございますが、医療局としましては、四つの周産期医療圏がございますけれども、医師不足であることはそのとおりですので、現状でできるのは、ICTを活用した画像診断であるとか、そうした連携によって、磐井病院の医師の負担の軽減を図りながら、周産期医療にしっかり取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇13番(高田一郎君) 磐井病院の産婦人科の医師については、県内の県立病院の分娩数の実態からしても、とにかく分娩数は一番になっているのですね。これは、かなり全体の状況から見ても、ちょっと医師が少ないんじゃないかという思いで質問したものでありますから、ぜひそういう実態を踏まえて対応していただきたいと思います。
最後に、子供の貧困問題について一言だけ申し上げたいと思います。
子供の貧困対策の推進体制についてですけれども、子供の貧困対策というのは、就労とか教育とか、経済的支援とか子育てとかさまざまあると思うのです。岩手の推進体制を見ますと、庁内関係部局との連携、協力となっています。子供の貧困対策課など、貧困対策に特化した専門的な担当課、あるいは岩手で働こう推進会議みたいな組織をつくって、総合的に共通認識のもとで対策をとっていくべきできないかと私は思うのですが、岩手における子供の貧困対策の推進体制について、今後の進め方、対応についてお伺いして終わりたいと思います。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 昨年の3月に子供の貧困対策計画を策定いたしましたが、その策定に当たりましては、当部はもとより、商工、教育等関係する部局での組織をつくり会議を開き、そこで計画の策定に取り組んできたところであります。
今後の体制につきましては、ただいま議員から御提案のあったことも含めて、いろいろと検討していくことかと思っております。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時23分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
40  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時43分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(工藤大輔君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(工藤大輔君) 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
〔26番小西和子君登壇〕(拍手)

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