平成29年2月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
通告に従い、順次質問をいたします。
初めに、安倍政権の政策と県政について伺います。
安倍政権は、話し合うことが罪になる共謀罪新設法を今通常国会で成立させようとしています。共謀罪法案は2003年に国会に提出されましたが、同法が、法律に違反する行為を実行しなくとも、話し合いで合意するだけで市民を処罰し、思想、言論を取り締まる法であることが明らかになり、世論の反対で3度の廃案に追い込まれました。
政府は、今回の法案は、適用対象を団体ではなく組織的犯罪集団としました。共謀だけではなく、共謀プラス準備行為と適用要件を厳しくしたとしていますが、これは詭弁です。前に修正案として示された内容を、あたかも新たな法案かのように説明する政府の説明は、絶対に許すことはできません。
今回のテロ等組織犯罪準備罪は、3度廃案になった共謀罪を、東京オリンピックの成功のためにテロ対策と言えば世論は反対できないだろうと考え出されたものですが、ここに同法の狙いが明らかにされています。要するに、共謀罪は、一昨年成立した安全保障関連法と一体となり、戦争をできる国づくりに向けて、国内の市民運動、労働運動など戦争に反対する全ての運動を、思想、言論段階から取り締まろうというものです。
戦前の治安維持法の復活にもつながりかねない政権の動きに、憲法で保障する基本的人権、自由で民主的な県民生活を守る観点から、県として、政府に対し、法案の国会提出に強く反対すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
昨年11月、安倍政権は、南スーダンPKOに第11次部隊を派遣し、駆けつけ警護と宿営地の共同防衛の新任務を付与しました。しかし、今通常国会で明らかにされたとおり、現地の治安情勢に係る自衛官からの報告は、首都ジュバを初めとして国内が戦闘状態にあるという極めて衝撃的なものでした。昨年7月の政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘では、一般市民を初め270人以上が死亡したとも言われており、現地の治安情勢は極めて不安定、かつ危険であることが記されています。
しかし、こうした重要な現地からの報告がもたらされていたにもかかわらず、稲田防衛大臣は、野党からの質問に対し、戦闘ではないとの答弁を繰り返し、何が何でもPKO派遣を継続させようとしています。
まさに現地が戦争状態にあることが明らかとなり、国際平和協力法に定めるPKO派遣5原則にある、紛争当事者の間で停戦合意が成立していることに合致しない状況にあることは明白です。
このような状態で派遣された第11次隊は、青森県青森市に本拠地を置く陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊であり、この部隊には、本県の出身者50人余りが所属しているとも言われています。政府がこのままであれば、本県出身者を初め多くの自衛官の生命が危険にさらされます。
現地の情勢は一刻の猶予もありません。本県出身者を初めとする現地に派遣された自衛官の生命、人権を守るためにも、南スーダンPKOからの即時撤退を県として政府に対し強く求めるべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
次に、東日本大震災津波からの復旧、復興について伺います。
多くの命を奪い、ふるさとが失われた東日本大震災津波から6年が経過しようとしています。一部では生活の再建に向けた環境が整いつつありますが、今なお応急仮設住宅等に1万3、200人を超える方々が入居しております。県職員を初め関係の方々は身を粉にして復興に奮闘しておりますが、マンパワーの不足、財源問題など今も多くの課題を抱えています。中でもマンパワーなくして復興は進みません。
来年度の組織、職員体制の概要では、来年度当初における知事部局職員数は、今年度に比べおおむね20人増の4、470人程度となる見込みで、被災市町村派遣を含む70人程度の任期付職員を採用するほか、全国知事会を通じ144人の応援要請を行っているところでありますが、昨年11月時点における欠員数は158人に上ります。今年度末退職予定者を考慮した場合、来年度は欠員が解消できるのでしょうか。
東日本大震災津波からの復興完遂や台風第10号災害の復旧、復興が本格化する中、大規模欠員が解消されなければ、職員の過重労働が恒常化するとともに、職員のモチベーションが大きく低下することが危惧されます。
そこで伺いますが、職員体制の欠員解消の具体的な見通しをお示しください。
知事は演述で、岩手の未来を担う人材を育むため、学校施設の復旧、整備、いわての復興教育や心のサポートなどを進め、安全で安心な教育環境の整備、充実を図ります。今後も被災児童の心のケアや相談に対応するため、いわてこどもケアセンターにおけるサポートや、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置を継続しますと述べていますが、いわてこどもケアセンターにおけるサポートの状況について伺います。
また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの具体的な配置と要請に見合う訪問回数になるのか伺います。
社会福祉士等の資格を有する人材が不足していることや、ネットワークのさらなる充実が課題でしたが、対策はとられたのでしょうか、あわせて伺います。
岩手の未来を担う人材を育むため、学校施設の復旧、整備、いわての復興教育や心のサポートなどを進め、安全で安心な教育環境の整備、充実を図りますと述べていますが、体育館に移動するのに狭い渡り板を渡る。屋根はあるが、吹きさらしで雨の日には濡れることもある学校。天井が低く、書類を保管する書庫が入らない学校。復旧した校舎が子供や教職員にとって大変使い勝手が悪いといったケースもあります。
ぜひ、実態を把握し、安全で子供たちが安心して学べる環境になるよう助言をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
震災から6年がたとうとしていますが、依然として子供たちに寄り添うマンパワーも必要と考えます。来年度の復興加配の見通しについてもあわせて伺います。
東京電力福島第一原発事故による空間線量率は減少傾向にあるものの、いまだに放射性物質の影響が広く県民のなりわいに及んでいます。原木シイタケ、キノコなどの一部出荷自粛など、食品に対する県民の不安はいまだ払拭されていません。
福島県は、2月20日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした甲状腺検査で、昨年10月から12月に新たに1人ががんの疑いとされ、計185人になったと発表しました。手術を受けてがんが確定したのは計145人です。福島県外では、がんが進行してから見つかることが多いことから、9割にリンパ節転移があったことが報告されています。県外に重症の子供が多いことが危惧されます。
そこで伺いますが、岩手の未来を担う子供たちのために、放射線内部被曝健康影響調査を要望がある限り継続する予定とのことですが、受検者数をこれ以上減らさないためにも、精度を維持しながら、子供たちに負担をかけない検査方法を検討すべきとの声がありますが、いかがでしょうか。
あわせて、甲状腺検査で福島県外に重症の子供が多いことが報告されていることから、岩手県でも、希望者には甲状腺検査を実施することを検討してはいかがでしょうか。
次に、豊かな教育の実現について伺います。
ある学校の講師の先生が亡くなりました。胃がんでした。後には4月に正規採用になることを誰よりも喜んでいた配偶者と小学校5年生と6年生の子供が残されました。同じ職場の教職員によると、管理職を初め、同僚が受診を再三勧めたにもかかわらず、仕事熱心な彼は、病院に行こうとしなかったということです。現在の学校職場は、1人が欠けてもスムーズに仕事が回らない状況があると聞いています。
2014年6月、OECDは、中学校教員の勤務環境などの国際調査の結果を公表しました。日本の教員の1週間当たりの勤務時間は週53.9時間、参加国の平均は38.3時間で、参加国の中で最長です。多忙の原因は、部活動や事務作業でした。これは参加国の中で突出しています。
文部科学省はこの調査を受けて、2015年7月、学校現場における業務改善のためのガイドラインを公表し、校長のリーダーシップによる職場環境等を提案しましたが、現場の多忙化、過重労働は一向に改善していません。
盛岡市の小中学校の超過勤務の状況は、月100時間以上が68人、80時間以上が94人と前年度を上回ります。2016年度の岩手県の教職員の現職死亡は、県立学校が6人、小学校、中学校が12人、計18人です。病気による休職者数は86人、うち55人、64%が精神疾患によります。
労働法制改悪の一つに高度プロフェッショナル制度導入があります。公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法のもとでの勤務が勤務時間管理の意識を希薄化させ、長時間労働を常態化させ、自発的な勤務の名のもとに、無定量な超過勤務実態を拡大させてきました。その結果、精神疾患に悩む教職員が増加している現実を見れば、この高度プロフェッショナル制度が導入されれば、労働者のワーク・ライフ・バランスが崩れ、健康破壊が進むことは明らかです。
また、過労死等の防止のための対策に関する大綱では、過労死等が多く発生している職種の一つとして教職員が挙げられており、その過労死防止対策のおくれが指摘されています。
まず、人事委員会委員長にお聞きします。昨年10月に人事委員会が行った職員の給与等に関する報告及び勧告において、教職員の長時間勤務について言及されていますが、教職員の多忙化の現状について、人事委員会としてどのように捉えているのでしょうか。
次に、教育長に伺います。多忙化解消の解決策の具体化と労働安全衛生体制の確立の取り組みについてお示しください。
また、学校現場には臨時、非常勤教職員が、県立学校では約800人、小中学校では約1、100人います。中には担任をして正規教職員と同じような働き方をしている教職員もいます。しかし、賃金や待遇には格段の差があります。
働き方改革で、同一価値労働同一賃金がうたわれています。総務省は、臨時、非常勤職員の処遇改善、雇用安定について提言していますが、今後の方向性についてお示しください。
次に、子供の貧困対策について伺います。
2014年1月、子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されました。岩手県でも2016年3月に、いわての子どもの貧困対策推進計画が策定されました。ひとり親家庭などが対象の児童扶養手当を受給している世帯の子供の人数が18歳未満の人口に占める割合は、2013年で9.16%、全国より約1ポイント高くなっています。
子供の食生活や栄養摂取の関係についての研究によると、貧困基準以下の子供は、そうでない子供に比べて朝食を毎日食べない子供が多く、特に休日は約3割が食べていません。家庭で野菜を食べる頻度が少な目で、肉や魚の加工品、インスタント麺を食べる頻度が高いという結果でした。
県内には、盛岡市、滝沢市、一関市等に子ども食堂が設置されています。子ども食堂は、家庭では余り口にすることがないさまざまな食材をみんなで楽しく食べるという役割も担っています。中には食事の提供のみならず、学習支援、遊び、相談と、安心できる居場所も提供しています。さまざまな事情を抱える子供を地域住民とともに支える輪が、県内各地に広がることを願ってやみません。
そこで伺います。子ども食堂の運営を支える国の補助事業等の周知が課題ですが、対策をお示しください。学習場所も4市5町に拡大しています。次年度の見通しについて伺います。
〔副議長退席、議長着席〕
児童福祉司配置標準の見直しがありました。千葉県では、5年間で児童福祉司等を200人程度増員し、東京都では、来年度、児童相談所の職員を38人増員するなど、他の自治体では大幅に増員するとの報道が見られますが、本県における増員の予定はどうなっているのでしょうか伺います。
9月定例会での質問に、配置基準数は満たしている旨、答弁をいただいていますが、兼務発令、震災対応のために他県から派遣されている職員を含めており、さらに、出産を伴う休職者が多くいることから、実数とは乖離があるという現場の声があります。
県内の3児童相談所の児童虐待相談対応件数は、2009年度293件、2012年度376件、2013年度363件、2014年度390件だったものが、2015年度589件と6年間で倍増しています。複雑なケースが多い中、迅速かつ丁寧な相談活動は困難です。学校、医療機関、市町村などからも児童相談所が忙し過ぎるとの声があります。
単に児童福祉司の数をふやしても、研修の機会や指導体制がなければ、業務の過酷さからつぶれてしまうとの声があります。県としての人材確保や人材育成の視点をお示しください。
児童相談所に医師または保健師、スーパーバイザーの配置が義務づけられました。これまでも保健師は配置されていましたが、児童福祉司と兼務でした。専任化が求められますがいかがでしょうか。
2015年度の3児童相談所における相談受け付け件数589件のうち、福祉総合相談センターが372件です。そのうち盛岡市の相談対応件数が197件、半数に当たります。前回の質問の際、盛岡市の意向を確認しながら、情報提供、意見交換をしていく必要があるとの答弁でした。
他県では、中核市の児童相談所設置を見据えて職員の交流を始めたところもありますが、その後の盛岡市との意見交換等について伺います。
次に、男女が互いに尊重し合い、ともに参画する社会について伺います。
昨年10月26日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は144カ国中111位で、前年から10位後退しました。
安倍政権の最重要課題の一つ、女性が輝く社会のかけ声とは裏腹に、一向に改善されない男女の格差が明らかになりました。人口の半分を占める女性の活躍は不可欠な要素であり、早急に取り組んでいくべき問題にもかかわらず、G7ではもちろん最下位、有力新興国とされるBRICsのブラジル、ロシア、インド、中国よりも下位になっています。
本県においては、県民意識調査で男女の地位の平等感について、約7割が社会全体として男性が優遇されていると回答しています。
そこで知事に伺いますが、岩手県における男女共同参画の現状をどのように捉えているでしょうか。男女共同参画社会実現への次年度に向けた決意もあわせて伺います。
近年、配偶者からの暴力が大きな社会問題となっており、人権の擁護と男女平等の実現にとって大きな妨げとなっています。2015年度の県内配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数は2、378件と、2014年度に比べ874件ふえています。
いわて配偶者暴力防止対策推進計画には、被害者が、安心して身近なところで相談でき、また、同伴する子どもを含め、安全に保護されるよう、相談・保護体制の充実を図りますとあります。
岩手県内には公的機関として女性の一時保護所が1カ所あります。この施設は、売春防止法によって女性の保護更生を図る目的で設置されています。DV防止法が制定され、また、ストーカー等規制法も制定された現在、DV被害者も一時保護されています。
しかし、一時保護される際に、子供の年齢や性別によって母親と隔離されることがあること、女性の精神状態が不安定な場合、他の入所者とのコミュニケーションがとりにくいことがあるなど、安心できる施設とは言えません。また、入所に当たっては手続や時間がかかる場合もあります。沿岸地域の女性にとって、公共交通機関が便利でないこともあり、DV被害者にとって、時間がかかり過ぎて危険度が増します。
そこで伺いますが、安全と安心を提供するため、沿岸地区にも一時保護所の設置を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
法律では、民間団体との連携がうたわれています。今年度、沿岸地区に1カ所民間シェルターが立ち上がりました。駆け込んでくる被害当事者にとって、暖かい布団、子供と足を伸ばして寝ることができる場所が提供されることは、安堵感につながります。
利用希望者14人のうち、実際の入居者7人、子供の同伴人数18人のうち、実際に入居に至った者は12人、計19人が300日間利用しています。しばらくそこで暮らすことで今後について考えることができること。体力の回復と精神状態の安定、子供たちと関係性のつくり直しができること。就労に向けての一歩を踏み出すことができること。自立に向けた準備、居住地ができ、転居できることといった利点があります。
しかし、シェルター運営に係る経費は、全て法人の自己資金で賄っています。既に被災地で動き出した民間シェルターの果たしている役割は非常に重く重要です。この事業は、住民の命を守るものであり、しかも緊急性と秘匿性が強く求められるため、県との連携が重要となります。
そこで伺いますが、このことから、地元の自治体との連携、協働のもと、県からの事業支援がなされることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
国の防災基本計画の内容は、男女共同参画の視点を取り入れた記述になっています。また、国の防災基本計画の内容から、意思決定の場に必ず女性が参画すべきであり、県や市町村の地域防災計画にも、女性の意見が反映されるようにすべきと考えます。
市町村防災会議における女性委員数は、2016年4月1日現在、1、090人中77人で、その割合は7.1%です。女性委員数ゼロの市町村が6あります。
男女共同参画の視点を生かした地域防災計画の修正が行われるためには、大幅な女性委員の登用が必要であると考えますが、市町村の現状についての知事の御所見と今後の取り組みについて伺います。
最後に、公共交通政策について伺います。
交通運輸産業は、1990年以降、規制緩和により新規事業者が急速に参入しました。その結果、過当競争となり、交通運輸従事者の賃金は、ピーク時に比べ減少傾向が続いています。連合岩手2016年度賃金実態調査集計によれば、全産業に従事する労働者の平均年齢と比較すると、交通運輸産業は45.2歳と一番高くなっています。賃金では平均賃金の約80%で、産業間の賃金格差が問題となっています。
東日本大震災津波発災以降、復旧、復興工事による物資輸送や建設業への転職から、特に運転士不足が問題となっております。このまま推移すれば、交通運輸産業を担う人材確保が困難となり、2013年に成立した交通政策基本法の基本方針、1、豊かな国民生活に資する使いやすい交通の実現、2、成長と繁栄の基盤となる国際・地域間の旅客交通・物流ネットワークの構築、3、持続可能で安心・安全な交通に向けた基盤づくりの施策が推進できないおそれがあります。
各基本方針は目標を掲げており、特に、1、交通を担う人材を確保し、育てる、2、交通関連事業の基盤を強化し、安定的な運行と安全確保に万全を期する、3、大規模災害や老朽化への備えを万全なものとするとしており、公共交通発展のための施策が求められています。
特に、2000年以降の規制緩和により、新規事業者がバス産業に参入し、事業者数は1989年と比較すると3.4倍、6、648事業者ふえています。しかし、地方のバス事業者は、高度成長時代から続くモータリゼーション社会と人口減少による利用者減少により経営状況が悪化し、地方乗り合いバス事業者の9割が赤字となっております。
また、数年前よりバス運転士が不足していることから、各事業者では、運転士養成制度の導入や求人情報誌への定期的な掲載、募集説明会を複数回実施するなど、運転士確保に向けた取り組みを実施しています。しかし、要員不足の解消には至っていません。
そこで伺いますが、運転士の確保の現状はどのようになっているでしょうか。また、以前にどのような支援が可能か検討していきたいとの答弁をいただいておりましたが、県としての運転士確保支援策をお示し願います。
人口減少社会を迎える中、地域交通輸送機関の確保のため、また、技能職、技術職確保のため、Iターン、Uターンで移住する方に対し、県としての住まい、結婚、子育て、仕事などの支援制度と連携した取り組みが必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
岩手県内の大型二種免許保有者数は3年前より381人、3.2%減っています。年齢別保有者数では、59歳以下では469人、8.8%減っています。一方で、60歳以上は88人、1.3%ふえています。59歳以下が41.6%、60歳以上が58.4%と、次代を担うバス運転士の確保が課題となっています。
近年、高齢ドライバーによる交通事故が多発し、社会問題となっております。自動車免許の自主返納により、バス、タクシーなどの交通機関を利用した場合、運賃の割引や支援券の発行等を行っている自治体もあり、注目を集めています。生活路線を維持しなければ支援することもできません。
少子高齢化による人口減少時代を迎え、地域移動の確保と、通院、通学、買い物等、免許を持たない交通弱者を支援するために、既存のバス路線とデマンド、地域コミュニティーを連動させた地域公共交通網形成計画の策定が急務と考えますが、自治体の策定の現状と今後の取り組みについて伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、テロ等組織犯罪準備罪についてでありますが、報道等によりますと、政府は、国際組織犯罪防止条約の締結に向けて、組織的犯罪集団が関与する重大犯罪について処罰しようとするテロ等組織犯罪準備罪について国会に提案する予定と聞いています。
これまで、共謀罪については、過去3回国会に提案され、いずれも廃案となってきたところであります。
テロ等組織犯罪準備罪の詳細については公表されていませんが、一般人も対象になるのではないか、内心の処罰につながるのではないか、対象となる犯罪が広範に過ぎるのではないかなどの意見もあり、今後、検討の過程において、国民にわかりやすい形で十分な議論が尽くされるべきと考えております。
次に、南スーダンPKOへの自衛隊派遣についてでありますが、南スーダンでの自衛隊のPKO活動については、安全保障関連法の合憲性の問題や、現地の情勢に鑑み、現地からの自衛隊の撤退を求める声があることは承知しているところでございます。
PKO活動については、当事者間の停戦合意があること等のPKO参加5原則が満たされない状況となった場合はもちろん、政府によれば、PKO参加5原則が満たされている場合であっても、安全を確保しつつ、有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には自衛隊の部隊を撤収するとしており、活動実施が困難と判断した場合には、ちゅうちょなく撤収されるものと理解しております。
自衛隊によるPKO活動には、岩手駐屯地からも自衛官が現地に派遣されており、県民感情に応えるためにも、政府においては、南スーダンから撤退を求める国民の声に対して十分な説明責任を果たすことと、そして、必要であれば撤退を決断するということが求められていると考えます。
次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、男女共同参画社会の実現のためには、男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その能力を発揮できる機会を確保することが重要であります。また、男性は仕事、女性は家庭といった性別による固定的な役割分担意識にとらわれず、家庭生活と他の活動の両立ができるよう、男女共同参画の視点に立ったさらなる意識改革と、働き方を初めとする社会におけるさまざまな慣行の見直しが必要と認識しておりまして、先般、東京で開催されましたジャパン・ダイバーシティ・ネットワーク主催のシンポジウムに参加して、私から岩手県の取り組みを紹介し、日本の各界を代表するパネラーの方々と意見交換をしてきたところであります。
平成29年度には、新たに中小企業の取り組みを促進するための女性活躍企業認定制度の創設やイクボスの拡大を図る取り組みについて、所要の経費を当初予算案に盛り込んだところであります。
また、今後、いわて女性の活躍促進連携会議へ部会を設置する予定であり、農林水産業や建設業などの個別の分野においても、女性が働きやすい環境の整備を図るなど、男女共同参画の推進や働き方改革に官民一体となって取り組んでまいります。
今後とも、女性、男性、誰もが生きやすい社会につながるように、また、女性の活躍を促進することにより、復興やふるさと振興をリードする人材を育み、将来にわたって創造性と多様性が発揮され、活力ある社会が実現するよう、男女共同参画の一層の推進を図ってまいります。
次に、市町村防災会議への女性委員の参画についてでありますが、市町村がさまざまな被災者に配慮した防災対策を進めるためにも、男女共同参画など、多様な視点を取り入れた防災体制を確立していくことが必要であります。
昨年度改定したいわて男女共同参画プランでは、新たに、東日本大震災津波からの復興と防災における男女共同参画の推進の項目を追加して、平成32年度までに、女性委員が参加する市町村防災会議の割合を100%にすることを主要な指標として位置づけ、会議等において女性委員の登用について働きかけを行っています。
市町村防災会議への女性委員の登用の状況は、平成28年4月1日現在で77人であり、前年同期比で19人増加するとともに、女性委員が参画する市町村数も23市町村から27市町村にふえるなど、着実に登用が進んでいるところであります。
今後におきましても、さまざまな機会を活用して女性委員の登用について働きかけるとともに、市町村地域防災計画に多様な視点が反映されるよう、取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 職員体制についてでありますが、これまで、東日本大震災津波からの本格復興を着実に進めていくため、新採用職員採用数の大幅な拡大、任期付職員や再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れなどさまざまな対策を推進し、マンパワーの確保を図ってきたところであり、今後におきましても、人員確保のためこれらの取り組みを継続し、職員体制の充実に努めてまいります。
来年度の欠員数でありますが、現在、応援職員の応諾状況や任期付職員の採用意向などを確認しているところであり、具体の数字をお示しできる段階にはございませんが、今のところ、今年度の最大欠員数158人に比較し、一定数の解消は進むものと見込んでおります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、いわてこどもケアセンターについてでありますが、今年度は、沿岸3地区への巡回診療も含めて、本年1月末現在で、開設日数311日、延べ5、145件の診療を行ってきたほか、教員や保育士等の支援者を対象とした研修会を4回、沿岸地域における保健、医療、福祉、教育機関等の多職種症例検討会を4回開催し、支援者の専門性の向上や関係機関の連携強化に取り組んでいるところです。
次に、放射線内部被曝健康影響調査についてでありますが、県では、平成23年度から比較的空間線量が高い県南部を中心として、放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康を重視する観点から、子供を対象とする尿検査による放射線内部被曝健康調査を実施しています。
これまで5回実施した結果については、有識者会議から、放射線による健康影響は極めて小さいと考えられるとの評価が得られているところです。
この調査の方法は、連続採尿による2リットルの蓄尿としていますが、これは、わずかでも放射性物質が検出される可能性があればきちんと調査してほしいという県民からの強い要望を踏まえ、検出限界を1ベクレル未満に設定したより精度の高い手法を採用したことによるものであり、仮に通常の検査と同様にスポット採尿とした場合は、科学的かつ精度の面からも正確な分析は難しいと考えています。
この調査は、対象とするお子さんに一定の負担をおかけするものではありますが、リスクコミュニケーションの観点から、県がこうした高精度の検査に基づいた評価結果をお示しすることによって、対象者のみならず、県民の不安解消にもつながるものと考えております。
次に、甲状腺検査の実施についてでありますが、福島第一原発事故に係る放射線による住民の健康影響について、WHOは平成25年2月に、福島県以外の地域の甲状腺がんリスク増加は無視できる水準とし、また、国連科学委員会は平成26年4月に、甲状腺がんが大幅に増加することは予測されないなどの報告を公表しています。
福島県では、平成23年度から県民健康管理調査を実施し、これまで、事故当時18歳未満であった約30万人を対象に調査しており、平成28年3月の福島県県民健康調査検討委員会の中間取りまとめにおいては、これまでに発見された甲状腺がんについては、被曝線量がチェルノブイリ事故と比べて小さいこと、被曝からがん発見までの期間がおおむね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、総合的に判断して、放射線の影響は考えにくいという評価がなされております。
本県としては、原発事故に伴う健康影響に係る甲状腺検査については、医学的、科学的な知見に基づいた専門機関の見解を十分に尊重することが必要であると考えており、今後とも、国内外の科学的な知見及び福島県の調査を引き続き注視してまいります。
次に、子ども食堂と学習場所の支援についてでありますが、子ども食堂など子供の貧困対策への支援といたしましては、市町村等を対象とした国庫補助事業である子供の生活・学習支援事業や、地域子供の未来応援交付金のほか、国主導により創設された子供の未来応援基金があります。
県では、これまで、こうした補助事業等について、市町村や民間団体に周知してきたところであり、今年度は、子供の未来応援基金の助成を受けて、本県の2団体が、生活困窮世帯の小・中・高生を対象とする食事提供等の事業を開始したところと聞いております。
今後も引き続き支援制度の周知を行うほか、県内各地で実施している子供の貧困対策の出前講座を活用して取り組みの拡大を促してまいります。
また、学習支援につきましては、県では、現在事業を実施している盛岡広域振興局管内の町村における開催場所をふやすほか、他の町村部へ対象地域を拡大するなど、学習支援に係る取り組みの拡充について当初予算案に盛り込んだところであり、これにより、平成29年度は4市8町での実施を見込んでおります。
次に、児童福祉司の増員についてでありますが、本県の児童相談所においては児童福祉司を順次増員してきており、今年度は、他府県からの派遣職員を含め、3児童相談所で30名の体制としたところです。
改正児童福祉法においては、児童相談所の体制強化に向けて、平成31年度までに段階的に児童福祉司を増員することとされたことから、県では、平成29年度は福祉総合相談センターの定数を2名増員することとしたほか、今後、児童福祉司を担える専門職員を計画的に採用し、必要な体制整備に努めていきます。
なお、来年度の他府県からの派遣職員については、現在、派遣元の自治体と調整中です。
次に、児童福祉司の人材確保等についてでありますが、県では、年々増加、複雑、困難化する児童虐待に的確に対応するため、ただいま申し上げたとおり、人材確保に努めていくとともに、虐待対応研修等の受講に加え、定期的に精神科医等からの助言を受けながら、職員の知識、能力の向上を図っているほか、警察と合同での実技訓練を実施するなどして、現場における対応力の強化にも取り組んでいるところです。
これに加え、改正児童福祉法では、児童福祉司やスパーバイザーを対象とした専門研修が新たに義務化されたことから、県におきましては、専門研修に係る所要経費を平成29年度当初予算案に盛り込んだところであり、これらの研修等を通じて人材育成に努めてまいります。
次に、保健師の専任化についてでありますが、昨年6月の児童福祉法の改正により、各児童相談所に医師または保健師を配置することとされましたが、児童相談所運営指針において、医師については嘱託も可とされており、本県では、従前から各児童相談所に小児科等の嘱託医を任用していることから、この配置基準を満たしております。
保健師につきましては、児童福祉司を兼任することにより、児童の健康や心身の発達に関する専門的な知識、技術を生かしながらケースワークを行うことができるという側面もあり、その専任化については、今後の児童相談所の体制整備の中で検討したいと考えています。
次に、中核市との連携についてでありますが、国では、増加する児童虐待相談に対応するため、中核市等における児童相談所の設置促進を支援すべく、平成29年度の予算案に、必要な経費の補助を盛り込んでいるところです。
県では、こうした情報を盛岡市に提供し、取り組み状況を確認したところでありますが、盛岡市においては、引き続き情報収集等を行っている段階であると聞いており、県といたしましては、今後も盛岡市の意向を確認しながら、必要に応じて情報提供、意見交換をしていきたいと考えております。
次に、女性の一時保護所の設置についてでありますが、法令では、婦人相談所に一時保護所を設けることとされており、沿岸地区への新たな一時保護所の設置は困難と考えています。
一方、沿岸地区のDV被害者の緊急的な一時保護が必要な場合には、これまでも警察や福祉事務所等が福祉総合相談センターまで移送しているほか、直ちに移送が困難な方については、緊急避難のために適切な宿泊場所を確保、提供しており、DV被害者の安全に配慮した対応を行っているところです。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) DV被害者の支援を行う民間団体との連携についてでありますが、沿岸地区におきましては、DV被害者の支援を行っている民間団体につきましては、当該団体が有するノウハウを生かしながら、被災地においてDV被害者への居場所の提供や自立支援などに取り組んでいただいていると認識しております。
また、県では、DV被害者に対し、緊急時に安全が確保できる一時保護所での保護や、宿泊場所の提供、一時保護所の退所後の当面の生活資金の補助や、就職、就業情報の提供など、DV被害者の安全の確保と自立に向けた支援を行っているところであります。
県といたしましては、今後とも、DV被害者の自立が適切に図られるよう、民間の関係団体や市町村とも連携を図りながら、それぞれの役割に応じて、さまざまな情報の提供や研修会開催による相談対応スキルの向上など、技術的な支援に努めてまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 運転士確保への事業者への支援策についてでありますが、県内のバス事業者においては運転士の高齢化が進み、定年退職者もふえてきている中、有効求人倍率の上昇などを背景に運転士の採用が困難な状況が続いており、運転士の確保が大きな課題となっております。
県内の乗り合いバス運転士は、平成22年度に852人でありましたが、直近の平成27年度では817人と減少しており、事業者においては、各営業所ごとに、年間を通じて50回程度の募集説明会を開催する例もあるなど、運転士の確保に努めているところであります。
県においては、運転士確保のため、必要となる運転免許取得や働きやすい労働環境整備に対する支援を行っており、具体的には、岩手県バス協会を通じてバス事業者を支援する運輸事業振興費補助により、事業者が新規採用者等に対して交付する大型二種免許の取得費助成への支援や、車両後方モニター装置の導入などによる運転環境整備への支援等を実施しております。
また、平成28年度においては、県単独予算により、運転士休憩所の改修や、女性の就労を促進するための女性用休憩室の整備などを支援しております。
次に、技能職、技術職確保のための移住者への支援についてでありますが、県においては、バス事業者が行うU・Iターン等による運転士確保の取り組みについて、平成28年度から、先ほど申し上げた運輸事業振興費補助において、採用募集広報や採用説明会の開催経費等を新たに対象メニューとして加えるなど、取り組みの促進を図っているところであります。
また、全体的な移住施策としては、首都圏における相談窓口の機能強化や岩手県U・Iターンフェアの開催、岩手県U・Iターンシステムへの求人情報等の登録の促進を図るとともに、市町村、関係機関等における住まいや子育てなどの支援策の情報を提供し、移住の促進に取り組んでいるところであります。
バス事業者においても、首都圏におけるU・Iターンフェアに参加し、運転士の確保に努めているところであります。
移住による人材の確保に向けては、大型二種免許などの資格や、技術を有するU・Iターン希望者を県内企業の求人に適切にマッチングさせていくことが重要であることから、引き続き、バス事業者等が行う県内外からの人材確保の取り組みへの支援を行うとともに、さまざまな移住施策との連携を強化しながら、重層的に公共交通を支える人材の確保に取り組んでまいります。
次に、地域公共交通網形成計画についてでありますが、現在、県内市町村において、地域公共交通網形成計画を作成している団体は八幡平市1団体であり、策定中の団体は9団体、策定予定の団体は2団体となっております。
人口減少、少子高齢化が進む中、地域の持続的な公共交通を確保していくためには市町村の取り組みが不可欠であることと考えており、地域の望ましい公共交通体系のマスタープランとして役割を果たす地域公共交通網形成計画の策定は、公共交通ネットワークの再構築に当たって重要な取り組みと考えております。
このことから、県としては、地域公共交通活性化推進事業費補助や有識者による公共交通活性化支援チームの派遣などを通じ、市町村の行う計画策定の取り組みを引き続き支援してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) スクールカウンセラーの配置等についてでありますが、東日本大震災津波の発災以降、従来からの学校の年間計画により、学校を訪問するスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置に加え、沿岸被災地域については、市町村教育委員会からの要請に応じて相談業務等に対応する巡回型カウンセラーを沿岸の教育事務所に常駐させ、児童生徒及び教職員の心のサポート等に当たってきているところであります。
本年度におきましては、スクールカウンセラーを67名、巡回型カウンセラーを13名、スクールソーシャルワーカーを16名配置しているところであり、昨年度の相談実績は、スクールカウンセラーが延べ4万3、000件程度、スクールソーシャルワーカーが延べ1、200件程度となっており、学校及び市町村教育委員会の訪問要請にきめ細かに対応してきているところであります。
県教育委員会におきましては、それぞれの専門職が担う役割の重要性に鑑み、来年度におきましては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを増員する関係経費を当初予算案に盛り込み、教育相談体制の充実強化を図ることといたしております。
次に、スクールカウンセラー等の課題についてでありますが、全国的にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの有資格者が不足している状況にあって、本県におきましても同様の事情にありますが、県社会福祉士会等の職能団体との連携のもと、有資格者の確保に努め、スクールカウンセラー等の全体に占める有資格者の割合を高めてきております。
また、児童生徒や保護者に対する支援のため、スクールカウンセラー等とのネットワークを一層充実させるため、各種の会議や研修の開催を通じ、職能団体との連携にも努めてきているところでありますが、今後におきましても、有資格者の確保やネットワークのさらなる充実に努めてまいります。
次に、学校施設の復旧、整備に係る実態把握についてでありますが、東日本大震災津波で被災し改築を予定した学校は、県立学校が1校、市町村立学校が13校の計14校でありますが、現在までに復旧した学校は、県立高田高校、山田町立船越小学校など9校あり、本年度末までに、さらに大船渡市立赤崎小学校など4校の完成が見込まれております。
小中学校施設の復旧に当たっては、市町村教育委員会において、建築基準法など安全に関する諸法令のほか、震災による被災の経験や建設敷地の状況を踏まえるとともに、地域の皆様や学校の意見も取り入れながら整備が行われていると伺っております。
学校施設は、議員御案内のとおり、児童生徒が1日の大半を過ごす学習、生活の場でありますので、児童生徒の安全性を確保し、安心して学べる環境を整えることは極めて重要でありますので、市町村からの相談があった場合など必要に応じ、利用上の工夫や改修等に対する技術的な助言を行ってまいります。
次に、教員の復興加配についてでありますが、復興加配による教職員の配置により、沿岸部を中心とした被災地の学校では、教職員が児童生徒と向き合う時間を確保し、個々の児童生徒の学力保障や心のサポートに努めているところであり、学習環境や生活の安定など、復興加配は、学びの場の復興に大きな役割を果たしてきております。
復興途上の期間におきましては、心のサポートを初めとして、子供たちと学校への中長期的な支援が不可欠と認識しており、さまざまな機会を通じ、国に加配措置の継続を働きかけてきているところでありますが、来年度の加配についても市町村教育委員会等に状況をお聞きし、集約した加配必要数を国に要望した結果、先般要望どおり、小中学校等に180人、高等学校に33人、特別支援学校に6人の、計219人の加配の内示を得たところであります。この復興加配を学力保障や心のケア等、学校生活の安定に有効に活用していくとともに、各学校の実態の把握に努めながら、今後とも、中長期的な加配配置の確保について、継続して国に対し強く要望してまいります。
次に、教員の多忙化解消の取り組み等についてでありますが、学校現場における事務の簡素化等の従来の取り組みに加え、平成27年1月からは、市町村教育委員会や職員団体等で構成する協議の場における検討を経て、具体的な負担軽減策について順次実施してきており、本年度におきましては、教員多忙化の大きな要因である部活動指導業務の見直しを中心に検討し、部活動休養日の設定の徹底を図ることとしたところであり、県教育委員会から市町村教育委員会及び県立学校に、本年2月17日付でその徹底を通知したところであります。
今後におきましても、引き続き、協議の場において、教員の多忙化解消に向けた具体的な方策を順次検討し、教員の勤務負担の一層の軽減に努めてまいります。
労働安全衛生体制の確立の取り組みにつきましては、平成27年10月から、モデル校を設け、労働安全衛生体制の推進に向けた集中的な取り組みを行っているところでありますが、その取り組みや成果等を他の県立学校や市町村立学校へ周知しながら、労働安全衛生体制の確立に向けた取り組みを推進してきているところであります。
また、各学校における衛生委員会等の設置や衛生推進者等の選任、長時間勤務者に対する医師の面接指導体制の労働安全衛生体制の整備等は進んできておりますが、未整備の市町村に対しては、引き続き、速やかな整備に向け要請してまいります。
次に、臨時、非常勤教職員の処遇改善等についてでありますが、学校現場に配置されている臨時、非常勤の教職員につきましては、本務教員の役割を補完するなど、学校運営において重要な役割を果たしているところでありますが、その処遇につきましては、他県の同種職員や本県正規教職員の勤務条件との均衡等も勘案しながら決定してきているところであり、本年度におきましては、他県との均衡等を考慮し、臨時教員の給与決定基準の引き上げを行う等、逐次、その改善に努めてきているところであります。
国におきましては、地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会が、臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件の確保について昨年12月に提言を行ったところでありますが、国では、この提言を受け、必要な法改正等に向けた検討を進めていると承知しており、今後、提言の趣旨や法改正の内容、他県における対応の方向性等を十分に見きわめながら、知事部局とも連携しつつ、具体的な対応のあり方を検討してまいります。
〔人事委員会委員長熊谷隆司君登壇〕
〇人事委員会委員長(熊谷隆司君) 教育職員の多忙化の現状についてでありますが、教育現場を取り巻く環境の複雑化、多様化によりまして学校に求められる役割が増大する中で、教育職員の長時間勤務の改善は全国的な課題となっており、文部科学省において、平成27年7月に、学校における業務改善の基本的な考え方や方向性などを示したガイドラインを公表したところです。
本県においても、本委員会が毎年度実施している事業場調査の結果によれば、昨年度の時間外勤務が月100時間を超えた教育職員がいる県立学校は半数を超えておりまして、長時間勤務の実態が認められております。
また、人事委員による現場調査において学校を訪問した際、部活動や課外個別指導などにより時間外勤務が多い実情について伺い、改めて長時間勤務の改善が課題であると認識いたしました。
こうした状況を踏まえ、本年度の職員の給与等に関する報告及び勧告において、教育職員の長時間勤務の解消の必要性について言及したものであります。
本委員会としては、教育委員会において、今後、教育職員の勤務負担軽減に向けて業務改善や勤務時間管理の徹底を進め、より実効性のある取り組みを実施していくことが重要と考えております。
〇26番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
では、まず、職員体制の見通しについてお伺いいたします。
私も定数について計算をしてみました。退職者における定年退職者と普通退職者の数はちょっとわからなかったのですけれども、まず、昨年度と同じ状況であれば30人から40人定数を上回る予定となるかと思いますが、昨年度もそのような算出で11月時点で158人の欠員があったわけです。昨年度と同じ取り組みでは定数を確保できないと考えます。
定数確保達成のため、今回強化した取り組みについてお伺いいたします。もう一つ、現在の確保した職員数もお伺いしようと思ったのですが、まだはっきり言えませんという御答弁でしたので、今回強化した取り組みにかかっていると思いますので、そこをお示しください。
それから、多忙化解消の取り組みと労働安全衛生体制の確立ということですけれども、先ほど人事委員会委員長から御答弁がありましたが、その勧告を受けまして、文部科学省も通知しております大胆な改革をしなければ、現職死亡がこのまま続くのではないかと私は考えます。
県教育委員会の部活動休養日の通知には、保護者宛ての文書例が添付されております。各市町村の教育委員会や学校で、保護者、地域の理解、協力を得て取り組みを進めていくことが重要と考えますけれども、中には、部活動は生徒の多様な体験の充実、バランスのとれた成長、健康管理の面でさまざまな弊害を生みますと記載がありますが、文書を発出しただけでは何にもならないと思います。浸透させるための取り組みはどうあればいいかということをお伺いしたいと思います。
それから、脳疾患で亡くなった教職員がおりました。過重な仕事が原因となったわけです。2016年11月30日、地方公務員災害補償基金岩手県支部は、2012年11月4日に脳内出血で亡くなった中学校教員に対し、公務上の災害と認定いたしました。このようなことが二度と起こらないように早急に労働安全衛生体制を確立するべきと考えます。
ところが、労働者の意見を聞くための機会の設置状況というのは、県立学校は全て設置済みでありますが、市町村立小中学校で、設置済みは17市町村、設置予定が10市町村、検討中が6市町村です。ぜひ、次年度中に小中学校も全市町村で設置すべきと考えますが、どのように取り組むかお伺いいたします。
〇総務部長(風早正毅君) 職員確保のため強化している取り組みについてでございます。
東日本大震災津波からの復旧、復興を支えていただく職員の確保のため、まず、新規採用職員の確保に当たりましては、人事委員会の御協力もいただきながら、県内外の大学を訪問し、県職員の業務内容、やりがい、魅力をアピールする説明会の開催等、積極的に取り組みました。
また、任期付職員の確保に当たりましては、これは東京都、復興庁の御協力もいただき、岩手県が幹事となりまして、昨年は宮城県、福島県と共同で、東京都内におきまして説明会を開催しました。当時の復興庁の岡本事務次官にも御講演をいただくなど、マスコミを通じてPRも行ったところであります。
また、各都道府県から170人近い応援の方々に来ていただいております。こういう派遣元の自治体に対しまして、総務部、それから各部局が何度にもわたり、現在の岩手県の復興の現状、それから、引き続き人員不足が続いている状況、派遣いただいた170人近い方々お一人お一人が、どれだけ活躍されているかということを丁寧に御説明するような形で、各自治体を回らせていただいております。
また、昨年夏の全国知事会では、知事から、改めて各知事の皆様に、こういった状況や引き続きの要請をお願いするなど、さまざまなチャンネル、手段を通じて御協力を引き続きお願いするなど、体制強化したところでございます。
引き続き、今後におきましても、人材確保の取り組みを推進し、必要な人員体制の構築に取り組んでまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) 部活動休養日の周知をどうするかということでございますが、御案内のとおり、通知を出させていただきました。この趣旨につきましては、先般開催いたしました教育長会議、それから県立学校長会議等でも、その考え方についてはしっかりと話をしたところでございまして、指示と要請を行ったところでございます。
部活動は、御案内のとおり、教員と生徒だけではなく、保護者、地域、それから外部指導者の皆様など、多くの皆様の御協力により支えられておりまして、関係者の皆様方にも、この休養日の重要性について丁寧に説明して、理解を求めていくことが大事であると思っております。
このような考えから、先般発出いたしました市町村教育委員会、それから県立学校宛ての通知におきましても、その旨を明示したところでございまして、具体的には、保護者に対する文書での周知やPTA総会、地区懇談会等における説明などによりまして、丁寧な説明を行うことについて強く要請しているところでございます。
そしてまた、PTA関係団体、運動関係団体、文化関係団体等に対しても、あわせて理解、協力を要請しているところでございます。
今後とも、市町村教育委員会とともに、その定着に向けて不断に取り組んでいきたいと考えております。
それから、教職員の健康管理についてでございます。
教育を推進するに当たって、教職員が肉体的にも精神的にも健康を維持していくことは、極めて重要な視点だと思っております。先ほども申し上げましたけれども、市町村教育委員会に対しまして、衛生委員会等の労働安全衛生体制をしっかり構築することについては、引き続き強く要請してまいりますし、それから、日々の健康管理、これは各職場での健康状態の見守りということももちろんですけれども、健康診断、それから人間ドック等の厚生福利事業等についても、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。そういうことを通じながら、教職員の健康管理について、できる限りの努力をしていきたいと考えております。
〇26番(小西和子君) 職員体制の確立に向けて鋭意努力していらっしゃるというお話でございました。私は先般、文化スポーツ部の設置について反対しました。なぜ反対したかといいますと、このままの欠員数が続いた中で新しい部ができたのでは、過重労働がさらに増すと思ったからです。ですから、158人のこの欠員数をかなり解消する、ゼロに近い、そのような体制になるように努力していただきたいと思います。
ちまたでは、県職員の仕事はブラックだと言われているそうです。ですから、なかなか県職員の応募にも来ないといったような話が聞こえておりますので、何とか、県のさまざまな事業を推進するための頭脳集団の皆さんですから、その頭脳集団の皆さんがフルに活動できるような、そのような働き方に変えていっていただくようにお願いします。もし所感があったらお伺いします。
教育長は、健康状態をきちんとチェックしていくというような話をしますが、業務量が縮減しなければ何にもならないのです。次から次と本当に追いかけるように業務があります。その業務量をどのように削減していくのかお伺いして終わりたいと思います。
〇総務部長(風早正毅君) 議員御指摘のとおりでございまして、我々としても、引き続き人員の確保に対して、さまざまな手段を強化してまいりたいと思っております。
やはり未曾有の大災害であった東日本大震災津波からの復旧、復興、そしてまた、昨年の台風災害への対応など、さまざまな課題があるところではございますが、引き続き努力を続けてまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) 教職員の多忙化に向けた具体的な取り組みということですけれども、これまでの答弁でもお話をさせていただいておりますとおり、これは、教育委員会だけではなくて、職員団体、PTA関係団体、市町村教育委員会等の関係者で構成する協議の場において具体的な検討をした上で、順次実施してきております。
これは、一方的にこれをやれということだけではなかなか響かないということがございますので、関係者の理解を得ながら、そしてまた、教職員の心に届くような取り組みを着実に推進していきたいと考えております。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時1分 散 会

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