平成29年2月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(千葉絢子君) いわて県民クラブの千葉絢子です。
初当選以来、2度目の登壇の機会をいただき、皆様に感謝申し上げます。
それでは、通告に従い質問いたします。
まず、岩手における働き方改革について伺います。
現在、日本が直面している喫緊の課題としては、少子高齢化、人口減少が挙げられます。こうした中、国は、日本社会を持続的に発展させていくためには、働き方を改め、女性の活躍を推進していくことが極めて重要な政策課題であると位置づけています。
現在、国で行われている議論は、有給は100%消化して、定時で必ず退社をするという画一性にシフトしているだけだという指摘もあります。生産性の向上など業務のあり方そのものを変えなければ、定時退社しても、持ち帰り残業、休日のサービス残業など、見せかけの働き方改革に終わりかねないという危惧があります。
本県の年間平均労働時間は平成26年が1、892時間で、全国で2番目に長く、平成27年は1、888時間、全国でまだ5番目に長い状況です。その原因について県はどう認識し、生産性の向上などの改善にどう取り組んでいこうとしているのでしょうか。
また、官民挙げて働き方改革を推進しようと、県では、いわて働き方改革アワードを創設し、今年度は県内企業82社の応募があり、総合部門のほか、女性活躍推進や職場環境改善に個別に取り組んでいる企業も表彰を受けました。このアワードを単に表彰だけに終わらせず、企業の先進的、具体的な取り組み事例を、経営者のみならず一般の労働者にも知ってもらう機会を持ち、県民全体で意識改革に努めていく必要があると考えます。
アワードをきっかけとして民間企業に働き方改革の意識をどのように広めていくのか、県の方針をお聞かせください。
次に、若者、女性活躍推進への取り組みについて伺います。
子育てにやさしい企業の推進について伺います。
県では、常時雇用する労働者の数が300人以下の企業などのうち、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、積極的に育児と仕事の両立支援に取り組んでいる企業などを、いわて子育てにやさしい企業等に認証する制度を平成19年に設けました。しかし、設置以来ほぼ10年を経たにもかかわらず、ことし1月末現在で認証されている企業の数はわずか15社にとどまっています。これは優遇措置が極めて限定的であり、意識を高めようとする動機づけには足りないことも一因と考えられます。
多くの労働者が働く中小企業の経営者はもちろん、労働者の意識も高めていく必要があるのは、この制度が創設されたころからの共通認識であると捉えていますが、15社という現実に対し、どのようにこの制度を評価しているのでしょうか。
女性への就労支援について伺います。
去年6月、若者や女性の県内就職を促進する、いわてで働こう推進協議会が発足しましたが、経済団体や行政、有識者など二十数人の委員のうち、女性は一人も含まれておりませんでした。
県の政策評価レポートでも、女性・離職者等への就業支援の具体的な推進方策指標は、離職者等を対象とした職業訓練における女性の受講者数と障がい者委託訓練受講者数となっています。これは二つの異なった目的の指標でありながら女性の就業支援の項目としていて、達成度がともにBであるから、女性に対する就業支援は順調であると判断しています。女性という観点での政策として、また評価としても不十分であるとの印象を受けます。
現在の協議会の検討内容は、若者の就業や職業能力開発の観点が中心であり、女性の就労形態や待遇改善など、女性が岩手で働く上での動機にかかわるこれらの問題を取り上げる機運に欠けていると感じざるを得ません。
いわてで働こう推進協議会において、女性の課題をどう認識し、具体的な支援策についてどのように取り組んでいくのかお聞かせください。
次に、若者の県内就職について伺います。
県では、ふるさと振興総合戦略や人口ビジョンにおいて、若年者の進学や就職期における県外流出を問題として認識し、若者の定着のため県内就職率を上げる目標を掲げ、平成32年時点で県外への転出超過を解消する社会減ゼロを目標にしています。
しかし、県内学卒者の県内就職率は、平成27年で45%程度と目標を下回っています。こうした要素も影響してか、昨年の転出超過は3、870人となりました。県では、県内就職者が目標を下回ったことについて、首都圏など県外の企業の採用活動が旺盛であったことを理由に掲げていますが、社会減ゼロを達成するためには、県内企業の採用活動自体を活発にしなければなりません。
若者の県内就職、そして定着を促進していくために、現時点で何が課題であるか、平成32年に迫っている社会減ゼロ達成のために、若者の県内就職促進と県内企業の採用活動の活発化に今後どう取り組んでいくかお聞きいたします。
次に、教育について伺います。
少人数学級の拡充についてですが、国の法令に基づく35人以下学級の実施は小学校1年生までにとどまる中、本県では、国の加配定数を活用して、小学校は4年生まで、来年度は中学校全学年へ導入することになり、大変すばらしいと思います。
しかし、いじめや不登校などの諸問題に対処するため、現場の教職員の負担は年々増加し、学力向上の取り組みにも支障が出ている状況です。また、思春期に差しかかる年代へのきめ細かい教育や対応も求められています。昨年の一般質問でも御提案いたしましたが、本県の義務教育課程全てで少人数学級編制を行うべきと強く願っております。
山形県では、生活と学習の一体化したきめ細かな指導を通して、わかる授業と、いじめや不登校がない楽しい学校をつくることを目的に、小中学校の全校全学年で33人以下の少人数学級を編制しています。その結果、90日以上の欠席と出席ゼロ日の不登校児童生徒の出現率も全国最少レベルというデータがあります。
また、秋田県でも、県単独の8億円余りの予算により、今年度、義務教育課程全てにおいて33人程度の学級編制、また20人程度の少人数編制を目標に人的配置を行っています。秋田式の指導方法が学力向上の点でも効果を上げていることは、全国学力テストで皆様御承知のとおりです。
一方、岩手では、去年の私の一般質問に対し教育長は、小学校5、6年生への拡充や全義務教育課程での30人以下学級の実現には700人程度の新たな教員の増員が必要と見込まれ、その安定的な実施には、国における教職員定数の見直しが不可欠である。また、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上に向けた基礎的な財源は、国の責任において措置されるべきと答弁されました。
しかし、秋田県のように、年間8億円もの予算を計上し、独自に取り組んでいるところもあるということは、国の財政によらずとも不可能ではないということの証明ではないでしょうか。
子供たちを知、徳、体のバランスよく育てるためには、岩手でも小学校5、6年生へも少人数学級の拡充、さらには、義務教育課程全てで1学級30人以下の少人数学級を展開すべきと考えます。なぜ岩手でそれができないのか、教育長の考えをお聞かせください。
学力の向上について伺います。
本県の中学校の部活動において、教員、指導者、生徒、保護者の負担や役割が大きくなってきていること、特に運動部系では、過密スケジュールにより生徒が疲れ、授業についていけない状況があることは、去年の決算特別委員会の折にも指摘させていただきました。
教育委員会の答弁では、学校と保護者の間で情報の共有がなされていて、改善については各学校で取り組んでいるということでしたが、保護者の間からは、その改善は必ずしも十分ではないという声が上がっています。
休日の遠征や練習試合に保護者が駆り出される場面も多く、特に働いている保護者の場合、付き添いのために仕事に影響が出たり、精神的な負担を感じるといったことが起きているようです。土日も部活指導に明け暮れる先生方からも、学力向上のための取り組みに専念できないという声が寄せられています。
本県の中学生の学力向上の取り組みに対する効果がなかなか上がらないのには、こうした部活動の実態が少なからず影響していると感じていますが、県では、こうした中学生の部活動と学業の両立のバランスについてどのように把握しているか、また、把握していない場合は実態調査も含めた対応が必要と考えますが、教育長の認識と方針をお聞かせください。
若者の主権者教育について伺います。
去年6月、選挙権年齢の引き下げによって、岩手では2万3、842人が新たに有権者となりました。国は、おととし9月に高校生向け副教材をつくり全高校生に配布したほか、岩手では昨年度、県選挙管理委員会や明るい選挙推進協議会と連携した啓発事業を、高等学校などで31回実施しました。
昨年の参議院議員選挙では18歳が47.97%、19歳は37.74%が投票しました。これは初年度の数字としては効果があらわれていると言っていいかもしれません。若者が、とりあえず選挙に行かなくてはいけないという意識を持ち、政治について学校の授業や友達と語る機会ができたということは、これまでにないことです。今年度は42回程度実施する予定とのことで、次の選挙の投票行動を引き続き注視する必要があると感じます。
私たちは、税金によって日々の生活を補い、働くようになってからは税金を払って社会を支え、税金の再分配を受け日々生活をしております。この地域の構成員の一員である以上、自分たちでこの社会をつくっていく責務を負っているということを知らなければいけません。これは教育が果たすべき役割です。政治的無関心を積極的に関心に変えていく、これは、私たち大人が子供たちを導いていくべきことではないでしょうか。
去年、岩手県議会では初めて大学生と議員による意見交換会を実施いたしました。若者の政治参加についてをテーマにした意見交換会では、さきの参議院議員選挙で新聞やインターネットの情報だけで投票する人を決めてしまったことを後悔しているという話をしている学生が多くいました。また、教育の場における政治的中立も大事だが、複数の政治家の声を生で聞く機会もあればいい。文字の情報だけでは足りないという意見もありました。
そこで私は、複数の県議会議員が出前授業などを行い、政策についての考え方を生徒たちと意見交換する機会を通じて、政治をより身近に感じられる主権者教育もあってよいのではないかと考えておりますが、制度面と普及啓発の観点から、選挙管理委員会委員長はどのようにお考えか、お伺いいたします。
次に、不登校対策について伺います。
文部科学省の調査では、県内の国公私立学校における平成27年度の不登校児童生徒数は、前年度に比べて小・中・高全ての校種で127人ふえ1、525人と過去5年間で最も多くなっています。教育委員会では、毎年9月に心と体の健康観察を実施し、カウンセラーなどを配置、今年度は増員して、早期発見、早期指導で不登校の未然防止に力を入れているところです。
一方で、一旦不登校になり、学校との信頼関係を失いかけている子供たちにとっては、学校に行くこと、また、戻ることを前提とした取り組み自体に息苦しさを感じ、不登校児童生徒本人と保護者は、子供の居場所を求めて転々としているのが実態です。
神奈川県の不登校の取り組みについて、今月、スポーツ・教育振興調査特別委員会で視察に行ってまいりました。神奈川県教育局では、不登校を従来の問題行動とは捉えず、不登校児童生徒の居場所づくりを進めるフリースクールなどの存在をいち早く認知し、学校や教育関係機関などとが相互理解と連携強化を図って、子供たちの自立や、その結果として学校生活の再開を進めるとともに、新たな不登校対策の展開を図るため、神奈川県学校・フリースクール等連携協議会を設置しています。
神奈川県のホームページには、県内のフリースクールのリンクを張り、積極的な情報提供、また関係者との情報交換の場をつくっています。このうち視察いたしました横浜市の楠の木学園は、発達障がいという言葉がなかった24年前に設立され、現在は中学生から高校生の年代に当たる30人前後の子供たちが、東京や静岡などからも通い、一般教養や社会性を培う実習授業などを通して自立することを目指し、希望者は、提携している高校で卒業資格まで取得できるということでした。
不登校に悩む子供たちは県内でも1、500人を超えていることを考えれば、学習や社会への適応に向けた指導は必要です。国でも昨年度実態調査を実施し、学校外での教育機会についての研究を始めています。
岩手県においては、NPO法人などが運営するいわゆるフリースクールのような場所が数カ所ありますが、県教育委員会では、国の検討を待ち、いまだ連携がとられていない状況です。岩手県でもフリースクールの存在に目を向け、不登校に悩む子供と保護者に支援の手を差し伸べるために、ネットワークの構築や情報の一元化に取り組み始める時期に来ていると思います。
ふえ続ける不登校児童生徒の現状をどう捉え、今後の教育機会の提供についてどのように考えているか伺います。
次に、いわての学び希望基金について伺います。
県は、東日本大震災津波により著しい被害を受けた幼児、児童、生徒、学生に対する修学や教育の充実などの事業経費の財源として、平成23年6月にいわての学び希望基金を創設しました。以来、ことし1月までに全国から寄せられた善意の総額は87億円余りに上り、活用額は、平成27年度までで15億2、780万円となっています。
発災当時18歳未満だった孤児や遺児は合わせて583人おり、この基金からの給付によって修学や進学も可能になっているほか、津波で保護者を亡くした全ての子供たちが社会人になるまでに必要な給付事業経費は賄うことができるため、被災児童生徒全体の支援にも活用されていると伺っています。
ただ、給付金の額については、高校卒業時の一時金や高等教育機関に在学中の支援などをもっと手厚くすべきとの声も聞かれますし、震災から間もなく6年、風化が懸念される中、今後、岩手の復興への希望を託せる人材である子供たち、特に内陸の子供たちが岩手の復興に関心を持ち、自分のこととしてかかわっていく心を風化させないための復興教育へ使途を拡大することも可能ではないかと私は考えております。
お隣の宮城県では、また違った観点から東日本大震災みやぎこども育英基金を今年度から全県を対象に、里親などの増加の取り組みや里親支援体制の強化、子供のケアハウス運営事業、震災孤児を含めた不登校児童生徒への訪問活動などにも活用しています。
岩手県も拡大のあり方を検討すべき時期に来ていると考えますが、いわての学び希望基金の今後の活用範囲拡大の必要性と可能性について、知事のお考えをお聞かせください。
次に、少子化対策、子育て支援について伺います。
国を挙げて少子化対策、待機児童問題解消のため、待機児童解消加速化プランが実行されていますが、この待機児童解消以前に、現場で働く保育士確保の困難さは、近年ますます厳しい状況にあります。保育士の新規採用の募集を出しても応募がなく、採用してもすぐ退職してしまい、定員に余裕があっても子供を入所させることができず、待機児童がさらに加速していく原因にもなっているのが現状です。
こうした事態を受け、去年11月に岩手県保育協議会、日本保育協会岩手県支部、岩手県私立保育園連盟の3団体から、保育士確保の取り組みと財源確保についての要望書が県に提出されています。決算特別委員会においても、私と同じいわて県民クラブに所属する環境福祉委員長の佐々木努議員からも保育士確保の取り組みについて、指摘がありました。
女性が仕事を通じて社会で活躍できるようにするには、安心して産み育てられる環境を雇用、保育の双方から整えていくことが必要です。とりわけ公益性の高い保育事業において、子供たちによりよい環境をつくることは急務であり、財源の確保とともに保育士確保の取り組みをする必要があります。
首都圏では新たな保育施設が続々と誕生し、県内の養成校へも求人活動が積極的に行われ、保育士の県外流出が進むのではないかと危惧されています。厚生労働省によると、去年11月の保育士の求人倍率は全国平均で2.34倍、東京では5.68倍、岩手においても2.01倍と、去年の同期に比べると0.22ポイント高くなっています。
こうした中、盛岡市は保育士確保のため、多くは非常勤として採用されている3年目までの保育士の奨学金返済に対する補助を来年度予算に盛り込むなど、県より一歩進んだ取り組みを実施しています。
県では、保育士不足の現状と原因をどのように認識し、取り組んでいるのでしょうか。
また、保育士・保育所支援センターは、潜在保育士のマッチング支援を主としていますが、センターのこれまで果たしてきた役割と実績について、どのように評価しているでしょうか。
さらに、県では、潜在保育士に対する就職準備金の貸し付けなどには着手していますが、一方で、若い保育士の県内定着を図り、安定的な保育サービスを提供できる環境を整備するため、他県同様、一定の義務履行期間を設けた保育士修学資金貸付事業の実施に向けた検討を始めるべきと感じていますが、保健福祉部長の見解を伺います。
子ども・子育て支援の財源確保について伺います。
少子化による人口減少は本県にとって最大の脅威であり、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、このまま何の手だても打たないと、岩手県の人口は2040年に93.8万人、100年後には24.7万人、現在の盛岡市の全人口程度しかこの岩手に住んでいないという事態に陥ってしまいます。
県では、ふるさと振興総合戦略を策定し、岩手で育てるを掲げていますが、財政状況が厳しい本県にとって、最重要課題である少子化対策に投入できる予算は決して多いとは言えず、財源不足が大きな課題となっています。
盛岡市では今年度、1億円の子ども未来基金を創設し、市民などが主体的に行う子ども・子育て支援活動への支援のほか、県立大学との共同研究による、ひとり親世帯を対象にした子供の生活実態調査を実施し、全国的にも問題となっている貧困対策に関する施策の検討に入りました。
少子化や子供の貧困は喫緊の課題でありながら、岩手県の取り組みはまだまだ後手に回っている感が強く、財源がないのであれば新たに確保すべきではないでしょうか。
例に挙げたいのは、いわての森林づくり県民税です。この税金は、全ての県民が森林からさまざまな恩恵を受けていて、森林は公共的な財産であるという観点から、平成18年度に導入されました。県民税に上乗せして徴収しており、年間の税収は過去5年間の平均で7億4、000万円となっています。
岩手の未来を担う子供たちは県民全体の財産であり、子供たちを育成することは私たちの責務であり、その財源は、森林同様、県民全体で負担する価値が十分にあると考えています。
県民に対する少子化対策の重要性の啓発と子育て支援などの財源として少子化対策県民税など新たな税の導入を進めてはいかがかと思いますが、知事は、少子化対策の緊急性、また、少子化対策の財源確保についてどのように考えているかお聞かせください。
次に、農業振興について伺います。
来年から米の生産調整の見直しが行われることになり、全国的に売れる米づくり競争が熾烈になることが予想される中、岩手生まれの新たなブランド米を全国の消費者に支持される米にしていくためには、首都圏など大消費地における広告戦略、そして販売戦略が重要です。
県内産の米は一等米の比率が高いことから、業務用米としても市場の評価は非常に高く、販売先との出荷量を複数年で契約している経営体もあります。また、限られた面積で県やJAが進めているブランド米の作付面積の割り当てに応えるために悩んでいる経営体も見られます。
確実に売れる業務用米と高収入が期待できるブランド米の生産をどのように両立していくのか、栽培地域、販売先、販売価格について3年から5年後の見通しは立っているのか、今後の米政策の考え方をお聞かせください。
また、銀河のしずく作付農家に対しては、栽培マニュアルを守ること、種子の再譲渡、自家採種を行わないこと、収穫物は自家消費分を除き全量出荷することとした三つの遵守事項があります。米農家は、従来から自家の水田でとれた自慢の米を親戚や近所の知り合いに食べてもらうことで米づくりの意欲につなげてまいりましたが、銀河のしずくについては、自家消費分が少なく、農家の米づくりに対する意欲の低下につながるとの声も聞かれます。
また、今年度は農業法人協会の会員である3法人のみが生産販売実証を実施し、独自ルートで販売していることについて、公平を求める声も出ているようです。
なぜ農業法人を対象としてそのような生産販売実証を実施しているのか、その理由を教えてください。また、県内の農家や経営体が同じく夢と意欲を持って銀河のしずく、そして金色の風を栽培し、一丸となって農業県岩手の生き残りをかけていくためにどうすべきか、県としての考え方をお聞かせください。
最後に、昨年開催された希望郷いわて国体において、岩手県勢は、天皇杯、皇后杯ともに2位、そして、希望郷いわて大会においても、総メダル数で東京に次ぐ2位と大健闘で幕を閉じました。国体の成果を多くの県民で共有し、今後は指導体制の確立と選手の育成、強化につなげ、本県のスポーツ振興を進めていくことが期待されています。
中でもスポーツクライミングは年々人気が高まっていて、2020年の東京オリンピックの追加種目となりました。本県でも愛好者が多く、伊藤ふたば選手は、全国的にも知名度が高まりつつあります。
盛岡広域8市町では、2020年の東京オリンピックを目指す選手の育成に向け、来月、スポーツコミッションを設立し、ふるさと納税制度の活用も視野に選手の育成に着手いたします。
また、成人の有望選手の県内定着に向けて雇用をいかに確保するかということは、各競技団体からも指摘されている課題であり、県では、いわてアスリート就職マッチングなどの取り組みをしています。しかし、現状では、選手の勤務先は役所や県庁など公務員が多く、民間でも選手の雇用を受け入れられるよう取り組みを推進していく必要性があります。
一方で、県によると、今後の国体での県勢の目標は、ことしが10位台、そして来年は20位台と徐々に下がっていることがわかりました。これでは、せっかく今回の国体で盛り上がった成果を今後も受け継いでいくという意欲に欠けるのではないでしょうか。
ことし以降の目標設定の根拠とあわせ、今後、岩手国体の成果をどのように選手の育成に生かし、本県のスポーツ振興につなげていくのか、知事にお伺いいたします。
以上で質問は終わります。答弁によっては再質問いたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉絢子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、女性への就労支援についてでありますが、いわてで働こう推進協議会においては、進学、就職期における若者の県外への転出、特に就職期の女性の転出が多いことや、長時間労働を前提とした男性中心型の労働慣行によって、出産、子育て期に離職する女性が多く、女性のキャリア形成を阻む要因となっていることから、仕事と生活が両立する環境の整備が課題であるとの認識を共有しているところであります。
そうしたことから、協議会では、特に注力する取り組みとして、仕事と生活の両立や女性の活躍促進につながる働き方改革、処遇改善の推進を掲げているところであり、いわて働き方改革推進運動の一層の浸透、拡大を図るとともに、いわて働き方改革アワード受賞企業の女性活躍促進の優良事例の普及に取り組みますほか、経営者層向けセミナーの開催や各種女性制度の活用促進により、女性に多い非正規労働者の正社員転換や処遇改善を進めることとしております。
また、協議会の構成団体においても、例えば、女性向けのキャリア相談会や企業とのマッチングイベントの開催、起業する女性への支援などの取り組みが加速しており、引き続き主体的な取り組みを促進してまいります。
さらに、来年度は、いわて女性の活躍促進連携会議に、女性経営者等を委員とする女性の就業促進部会を設置して、女性の活躍、就労促進に関する提言等をいただき、いわてで働こう推進協議会と共有し、女性の就業促進に向けた取り組みを一層強化してまいります。
次に、若者の県内就職促進についてでありますが、若者の県内就職、定着を促進していくためには、県内企業についてよく知ってもらうとともに、県内企業の人材確保に向けた取り組みをしっかり支援していく必要があります。
まず、大学生等若者に向けては、従来からの首都圏等における就職ガイダンスや面接会の開催に加えて、若者が直接的に企業と触れ合う機会となるふるさと若者ミーティングやインターンシップ事業の一層の充実を図るとともに、企業紹介の強化など、若者の県内就職の拡大につながる取り組みを進めてまいります。
また、企業に対しては、いわてで働こう推進協議会の各構成団体とも連携しながら、働き方改革の着実な推進によって、魅力ある職場づくりと企業の採用情報等の発進力強化を引き続き支援してまいります。
さらに、これまで各地域で行ってきている就職面接会等に加え、各地域の企業等で組織するものづくりネットワークの活動支援の一つとして、小・中・高生とその家族、大学生等の企業見学会を拡充するなど、企業と若者とのマッチング機会の充実を図るとともに、奨学金返還支援制度の活用も促しながら、若者の県内への環流、定着を一層促進してまいります。
次に、いわての学び希望基金についてでありますが、これまで国内外から多くの御寄附をいただき、東日本大震災津波によって被災し親御さんを亡くされた児童生徒等に対し奨学金等を給付してきたほか、高校生に対する教科書購入費等の給付や児童生徒の部活動への支援などを行ってまいりました。
基金の活用については、平成25年度に奨学金の給付額を増額したほか、支援対象の事業を追加してきておりまして、平成29年度においても、新たに、将来を担う人材を育成するための事業を当初予算案に盛り込むなど、学びの環境の充実を図ってきているところであります。
被災地の子供たちには、今後も、社会人になるまでの息の長い支援が必要でありますので、学びを支え、学びの充実を図るという基金の趣旨や、御寄附をいただいた方々の御意向に沿いながら、また、子供たちを取り巻く環境の変化や被災地のニーズに対応し、子供たちの健やかな成長のために必要な事業を行ってまいります。
次に、子ども・子育て支援の財源確保についてでありますが、少子化対策は、将来に関する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であり、重点的に取り組む必要があります。
県では、岩手県ふるさと振興総合戦略において、基本目標の一つとして、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指すことを掲げたところであり、その実現に向けて、結婚支援や仕事と子育ての両立支援の普及啓発、多様な保育サービスの充実などに取り組んでいるところです。
これらの取り組みを推進するための財源として、地方消費税率の引き上げに伴う増収分の一部を充てていますほか、国の地域少子化対策重点推進交付金を活用して、結婚や妊娠、出産、子育てに温かい社会づくりに向けた機運醸成に取り組んでおります。
新たな超過課税の導入につきましては、現在、県は東日本大震災津波からの復旧、復興の途上であり、県民の十分な理解が必要でありますことから、受益と負担の関係など慎重な検討が必要であると考えております。
次に、国体の成果と今後のスポーツ振興に向けた取り組みについてでありますが、いわて県民計画第3期アクションプランにおける天皇杯順位の目標は、希望郷いわて国体に向けた取り組み前の30位台後半から40位台前半の順位であった本県の実情や、先催県の国体後の順位の推移等を勘案して設定したものであります。
希望郷いわて国体における県勢のすばらしい活躍は県民に大きな喜びと感動をもたらしたことを踏まえ、国体を通じて得た成果や教訓などのレガシーを十分に継承して、平成31年以降は、安定的に天皇杯20位台を維持していくとともに、東北トップレベルの競技力を安定的に確保していくことを目指していきたいと思います。
今月17日に終了したながの銀嶺国体においては、県勢は天皇杯順位第4位、皇后杯順位第3位と、昨年の希望郷いわて国体冬季大会と同等のすばらしい結果を残したところであり、希望郷いわて国体の勢いが続いています。
今後におきましては、中長期的な視点に立った選手育成や指導者の養成、スポーツ医・科学サポートの推進、さらに、県内企業等への成年選手の就職支援と定着なども進めながら、国体における目標達成や、岩手の地から全国の舞台やオリンピックなどの国際大会で活躍するトップアスリートの輩出を目指すなど、本県スポーツの振興に取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、本県の長時間労働の原因についてでありますが、本県の1人当たり年間総実労働時間は、全国平均に比べ、所定外の時間はほぼ同じであるのに対しまして、所定内の時間が大きく上回っている状況にあります。
その原因といたしましては、全国平均より年次有給休暇取得率が低いこと、非正規労働者割合が低いことなどの要因が考えられ、また、長時間労働につながる職場の意識、労働慣行や、生産性の低い働き方も一因であると推測されているところでございます。そのため、県では、仕事と生活の調和の実現に向けた経営者の意識改革や働き方の見直しに関するセミナーの開催、国の助成制度の活用促進などを行ってきたところでありまして、さらに、今年度からはいわて働き方改革推進運動を展開するなど、多くの企業が、働き方改革を通じて生産性向上を図るよう取り組んでいるところでございます。
また、生産性の向上に向けては、経営革新の取り組みへの支援を初め、設備高度化やカイゼンの導入、新商品開発などを引き続き支援していくこととしておりまして、こうした取り組みを通じ、働き方改革と生産性の向上を推進していくこととしております。
次に、働き方改革アワードによる意識改革についてでありますが、県では、いわて働き方改革アワードの受賞企業のすぐれた取り組みについて、企業向けに作成した事例集やセミナー、県民等に向けてのホームページ、テレビ番組で広く紹介しているところでございます。
来年度におきましては、こうした取り組みに加え、専門家による個別企業への指導、支援を強化し、働き方改革のモデル事業の創出を行うとともに、働き方改革に取り組む必要性とあわせ、具体的な取り組み方について紹介する冊子も作成し企業等に周知することとしておりまして、県内企業の働き方改革に対する理解を広め、取り組みの拡大を図っていくこととしております。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、いわて子育てにやさしい企業等認証についてでありますが、これまで、広域振興局を中心にした企業、団体訪問や、公益財団法人いきいき岩手支援財団が主催する企業経営者を対象としたワーク・ライフ・バランス推進セミナーでの周知などにより、本制度の普及啓発を図ってきたところです。
認証を受けた企業では、育児・介護休業法の規定を上回る育児休業制度の創設や、子供の看護休暇を有給とし時間単位の取得を可能とするなど、仕事と子育ての両立を支援する取り組みの拡大につながっていると認識しております。
本年1月末現在の認証件数は、複数回認証を受けた企業もあり、延べ33件となっています。さらに、今月新たに2社を認証し、現在申請を検討している企業も数社ありますが、議員御指摘のとおり、認証件数は増加していない状況にありますことから、改めて県内企業に対して制度の趣旨を理解していただくため、働き方改革にも取り組んでいるいわてで働こう推進協議会にもこの制度を紹介するなど、制度の普及に取り組むとともに、あわせて、優遇措置を見直すなどして、今後とも、認証企業の拡大に向け取り組んでまいります。
次に、保育士不足の現状と取り組みについてでありますが、子ども・子育て支援新制度の量的拡充と質の向上の取り組みの進展に伴い、保育士のニーズが高まっているものと認識しており、昨年7月に、県内の全ての保育所を対象に実施した調査によりますと、保育を必要とする子供の受け入れ数を拡大するためには、現在の保育士数に加え、さらに必要となる保育士の数は130施設で213人との結果でした。
また、この調査において、保育士の確保が困難である主な理由は、保育所と求職者との間での勤務時間、休暇制度等のミスマッチや求められる賃金水準を満たせないなどであり、労働環境や給与待遇など複合的な要因により、保育士の確保が困難となっているものと考えております。
県におきましては、岩手県保育士・保育所支援センターによる潜在保育士の掘り起こしやマッチング支援、保育士や保育所に対する相談支援等を行っているほか、潜在保育士の再就職支援研修や新任保育士の就業継続支援研修を実施しているところです。
また、これらに加えて、保育士等の賃金改善に係る処遇改善加算措置について周知するとともに、就職準備金の貸し付けによる潜在保育士の再就職支援等を実施しているところであり、今後とも、保育士の確保に向け取り組みを進めてまいります。
次に、保育士・保育所支援センターについてでありますが、平成25年10月に設置して以来、先ほど申し上げたマッチング支援のほか、潜在保育士の円滑な就職に向けた保育所の現場見学会の実施に加え、今年度は、新たに、再就職した保育士との対話を行うなどの相談会、通称、保育士カフェを開催するなど、利用者や保育所のニーズを踏まえたきめ細やかな支援を行っているところです。
これまでのマッチング実績は、平成26年度は60件、平成27年度が102件、本年度は1月末時点で94件と年々増加しており、保育士の確保について一定の成果があったと認識しています。
次に、保育士修学資金貸付制度についてでありますが、国では、保育士確保のため、平成25年度に、都道府県等が行う保育士修学資金貸付制度に対する補助事業を実施し、平成27年度には、その改善及び潜在保育士就職準備金貸付制度に対する補助事業を実施したところです。
本県では、県内保育所の新卒者採用については、近年、保育所からの募集人員を上回る採用実績となっていること、県内の保育士養成校の入学定員に対する充足率は平成28年度入学生で99.4%であり、安定的な養成が可能と見込まれること、その卒業生の約7割が県内の保育所等に就職していることなどを勘案し、保育士修学資金貸付制度は実施していない一方で、保育所からの募集人員を下回る採用実績となっている職務経験者の確保を図るため、潜在保育士就職準備金貸付制度を実施しているところです。
保育士修学資金につきましては、保育士養成校卒業生の県内保育所等への就職の促進が主な目的であることから、保育所における今後の新卒者の募集及び採用人員の見通し、保育士養成校の設置状況と定員の見通し及び卒業生の県内就職率の動向などを踏まえ、検討する必要があると考えています。
また、この修学資金は、県内保育施設で一定期間就業することで返還免除となることから、県内就職者の確保に一定程度資すると見込まれますが、継続的に保育士を確保していくためには、その期間満了後も働き続けられる環境を整備することが重要であると認識しています。
こうした中、議員御紹介のとおり、先般、保育団体から保育士確保の取り組み等に係る要望があり、これを受け、ただいま申し上げた現状等について、現在、保育団体や保育士養成校と意見交換を行っているところであります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、今後の米政策についてでありますが、県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、生産者や地域が主体となった売れる米づくりに加え、需要拡大に向けた取り組みを展開しているところです。
県オリジナル新品種につきましては、平成28年2月に策定したいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づき、全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、効果的なプロモーションを展開した結果、銀河のしずくは、米のヒット甲子園2016での大賞授賞や参考品種として2年連続の特A評価を獲得し、金色の風は、先般、特A相当との評価をいただき、また、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターを初め、全国的に評価が急上昇しているところです。
業務用米につきましては、直播栽培や疎植栽培の導入等による生産コストの低減に加えて、消費者や実需者との交流を通じた結びつきの強化など、安定的な販売先の確保に取り組んだ結果、複数年契約の契約率が全国一となるほか、事前契約も大幅に拡大しているところです。
また、来年度には、平成30年の米政策の転換など、県産米を取り巻く状況の変化を見据えながら、生産販売戦略の拡充、見直しを行うこととしており、今後におきましても、それぞれの地域で、生産者が安心して米づくりに取り組めるよう、業務用米とブランド米を両輪とする消費者、実需者に支持される魅力あふれる米づくりを強力に推進してまいります。
次に、農家等の意欲の向上についてでありますが、全国の米産地から食味レベルの高い新品種が続々とデビューする中、金色の風と銀河のしずくについては全国トップクラスの評価をかち取り、ブランドを確立することが重要であります。このため、いわてオリジナル品種ブランド化戦略では、作付農家や栽培圃場の選定基準、栽培マニュアルや品質目標を厳守する取り組みに加え、今後の作付の拡大を見据えると、消費者や実需者のさまざまなニーズに柔軟に対応できるよう多様な販売形態を整備することが重要であり、このため、農業法人によるネット販売などの販売実証を実施しているものであります。
この実証により、農業法人が行う独自の販売ルートを通じた顧客へのアプローチなど、多様な取り組みの成果を地域段階に設置する栽培研究会の活動等を通じて、地域の作付農家を初め関係者で共有することとしております。
今後は、全ての作付農家が、全国トップクラスの品質と食味を実現できる栽培や品質管理の徹底を図るとともに、新品種の需要の拡大や高価格での取引の実現に向けて、生産、流通、消費にかかわる機関、団体等が一丸となって取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 少人数学級の拡充についてでありますが、本県の小中義務教育学校における少人数教育につきましては、少人数学級と少人数指導、県単措置も取り入れているサポート推進事業の三つの柱で展開し、児童生徒の実態に応じた指導形態、指導方法を取り入れながら教育を推進してきているところであります。
このうち、少人数学級については、高い教育上の効果が認められているところであり、安定した学校生活や学力の向上等を図るため、教員定数の確保に努めながら対象学年を拡大してまいりましたが、来年度は、学習指導、生徒指導に加え、進路指導等の重要性が増す中学3年生に拡充することとしたことは御案内のとおりであります。
一方で、教員定数の明確な将来的な見通しのもとで推進する必要があること、小学校においては、本県の単独事業として始めたすこやかサポート事業等によるチームティーチング等、複数の教師による少人数指導を実施している学校が多く、その効果を評価する声も多いこと等から、少人数学級の拡充については、中学校における拡大を優先したところであります。
いずれ、35人学級の全学年での実施や一層の少人数学級の推進のためには、国における抜本的な定数改善に基づく将来にわたる安定的な財源の確保が不可欠でありますので、今後とも、国に対し、義務教育の機会均等と教育水準の向上を図るためその実現を強く要望していくとともに、教員配置の全体的な工夫等をしていく中で、対応が可能かどうかを含め、市町村教育委員会などとの協議等も行いながら研究してみたいと考えております。
次に、学力の向上についてでありますが、スポーツ庁が実施している全国調査によりますと、本県の運動部の活動時間は、全国平均に比して多いという状況にはありませんが、部活動時間に続けてスポーツ少年団活動等を行っている事例もありますので、より踏み込んだ本県の実態を把握するため、現在、通常の運動部活動後に行う活動の実態を調査しております。
部活動は、生徒の義務ではなく、生徒の主体的な判断で行う教育活動の一環として、スポーツや文化芸術の能力を一層育む意義のある課外活動でありますが、適切な休養を伴わない行き過ぎた部活動は、生徒の心身の健全な発達や自立的な家庭学習等への妨げにもつながることから、今月中旬に、休養日の設定や適切な活動時間とすること等について全ての県立学校と各市町村教育委員会に通知し、その徹底とあわせて、外部指導者や保護者の理解を得ること等について要請したところであります。
知、徳、体の調和のとれた人間形成のためには、子供たちの学業と部活動とのバランスをとることは極めて大切でありますので、各種の調査結果等をもとにしながら、生徒、保護者等の実情を踏まえた部活動の展開や環境の改善が図られるよう、市町村教育委員会とともに不断に取り組んでまいります。
次に、不登校対策についてでありますが、不登校の問題は、本人、保護者、家族にとって大変つらいことであり、不登校の解消に向け、学校関係者を初め多くの力を結集して児童生徒を支え、できる限り、不登校となっている児童生徒が学校に復帰し、充実した学校生活を送れるような環境をつくっていくことが重要であると考えております。
県教育委員会におきましては、教職員とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等が連携し、また、ケースに応じて福祉関係機関等の力もお借りしながら、不登校にある児童生徒一人一人に寄り添った対応ができる体制づくりなどを進めてきております。
市町村教育委員会におきましては、どうしても登校が困難な児童生徒を対象に校外に適応指導教室などを設置し、学校との連携のもとに、学校復帰に向けた活動の場もつくっております。
このような不登校対策を講じた上でも、なお、さまざまな要因により不登校の状態が解消できない児童生徒にとっては、議員御案内のとおりのフリースクールも居場所としての選択肢として重要な役割を担っていただいていると存じますので、議員御提言の趣旨なども参考に、関係者間での協議を進め、学校とフリースクールとの情報の共有など連携の強化に努めてまいります。
〔選挙管理委員会委員長八木橋伸之君登壇〕
〇選挙管理委員会委員長(八木橋伸之君) 若者の主権者教育についてでありますが、制度面においては、選挙運動期間中に、県議会議員を招いた意見交換会等を開催する場合、その意見交換会等が公職選挙法に抵触するおそれがありますが、それ以外の期間であれば、一部の制限を除き、選挙運動とならない政治活動を行うことは、原則として自由であると考えております。
普及啓発の観点では、選挙権年齢の引き下げを受け、現実の政治に携わっている県議会議員が、出前授業などにより生徒と意見交換を行うことは、生徒が政治や選挙を身近に感じ、関心を高める有効な機会の一つと考えております。
具体的には、県議会議員による出前授業などの実施に当たりましては、学校の政治的中立性を確保するため、複数の会派が参加することを含め、生徒がさまざまな意見に触れることができるよう、そのような工夫を行っていくことが望ましいと考えております。
〇3番(千葉絢子君) ありがとうございます。前向きな答弁もいただけて大変励みになりました。
では、何点か再質問をさせていただきたいと思います。まず、いわての学び希望基金についてお伺いいたします。
先ほど御紹介いたしました宮城県の東日本大震災みやぎこども育英基金でございますが、今年度から既に基金を利用できる取り組みの一部を全県の子供たちに拡充しておりまして、来年度は、要保護児童の家庭的養護の推進ですとか、震災による原因を含む虐待などによって親子分離した家族の再統合への取り組みのため、親子が宿泊しながら、そのきずなを結び直す滞在型の施設整備など、円滑な里親委託及び子供の家庭復帰につなげていこうとしております。
岩手でも、現在の給付額をベースにしますと、震災遺児、孤児に必要な額を確保できているということでしたら、現時点である40億円程度の余裕をどう活用するかという議論があってもいいのではないかと考えております。その議論のたたき台として、一つは給付額を上げる、二つ目は対象事業をふやすということを御提案申し上げたいと思っているのです。
寄附者の皆さんは、決してデッドストックを期待しているのではなくて、いただいた善意を被災地岩手の全体の子供たちに有効に生かすことも、寄附者の皆さんの気持ちに報いることではないかと考えますが、この点、知事に再度お伺いしたいと思います。
まとめて聞きます。次に、少子化対策県民税についてですが、秋田県では、当時の寺田知事の肝いりで、子育て支援に使える新税の導入について2005年から検討しておりまして、全国的にも注目されていましたが、当時実施した県民アンケートの結果を受けて、2008年に導入を断念した経緯があります。その秋田県は来月、とうとう人口が100万人を割り込むことが予想されています。一方、ここ2年ほどの間に、長野県では、県の総合計画を実行する上で、諮問機関からの提言もあった子育て支援税の導入に向けた検討に入っています。
子供の貧困も問題になっているように、共働きであっても生活していくのがやっとの世帯もあり、ましてや未婚の母を含む住民税非課税世帯の子供たちの中には、進学自体を諦めざるを得ない子供もいます。そういった子供たちに使える財源を確保し、進学や修学の機会を与えられれば、子供たちは貧困の連鎖から抜け出し、身を立てていくこともできるのではないかと考えます。
将来の岩手の復興の力をひとしく担っている岩手全体の子供たちの育成のために、お金をみんなで少しずつ出し合うという議論を起こしてもいいのではないでしょうか。森林も大事ですけれども、岩手の子供たちもこれから復興を担っていく大切な人材と考えれば、その子供たちこそ大事ではないかと私は思うわけです。これも知事にお答えを伺いたいと思います。
そして、保育士確保の取り組みについても伺います。
ただいま保健福祉部長から、県内の保育士養成校の卒業生のうち7割は県内に就職しているというデータをお示しいただきましたが、この7割の県内就職のうち、保育施設以外の一般企業に就職しているケースも多いという実態があるようです。本来目指していた保育士の処遇では、学生時代に受けた奨学金の返済の負担が大きく、より待遇のいい他業種への就職を選択している背景があるという指摘もございます。
奨学金の返済を軽減する補助については、先ほどお話ししたように、盛岡市が来年度予算に盛り込んでおりますが、花巻市においても実施されているなど、卒業生を本来の保育士として確保する取り組みを独自に進めている県内の自治体もございます。
保育士を計画的に確保し、待機児童の解消、それから子供を育てながら働く世帯の支援を進めていくことがやはり大切と思いますが、どのように取り組むことが有効か、再度、保健福祉部長に答弁を求めたいと思います。
それから、女性の就労、労働環境の整備について伺います。
先ほど商工労働観光部長に、県では、女性の活躍を応援するため、女性の経営者へのセミナーなども開催していると答弁いただきました。ただ、起業できる基盤を持っている女性は現状でほんの一握りでありまして、女性への支援を標榜するには、先ほど申し上げた女性、離職者等への講習会に参加している中で、女性が何人参加したかという指標、それから、障がい者を含めた委託事業の参加人数、これは昨年度の数字を見たら37人でした。この二つの政策指標をもって女性への支援というものを標榜するには、やはり現在の指標では不十分であると指摘せざるを得ません。
今年度実施した県内の企業・事業所行動調査によれば、県内企業の12.4%で育児休業制度が規定されていない、そもそも育児休業制度がないという結果が出ています。
いわて県民計画の中で、雇用・労働環境の整備と政策項目でうたい、目指す姿を実現するための取り組みの主な項目に女性・離職者への就業支援というものを掲げるのであれば、女性と障がい者という異なった指標を組み合わせたものにおいて、年度目標値を達成したから順調であると評価するのでは、実際のところ女性の支援に対する取り組みが進まないのではないかと私は考えますけれども、いかがでしょうか。
女性の就労や労働環境の整備に対する評価基準は、現状の指標で十分だと本当にお考えかどうかもあわせて伺います。
また、来年度の予算では、この指標の構成事業となっている就職支援能力開発費が4、000万円ほど減額になっているようですが、その理由についてもお示しいただきたいと思います。これは商工労働観光部長に再度お尋ねいたします。
そして、教育現場における主権者教育について、先ほど選挙管理委員会委員長から、政治を身近に感じるための教育について御答弁をいただきました。公職選挙法上、問題ない期間もありますので、取り組みも可能であるということでしたけれども、教育現場での実施について、教育長にお伺いしたいと思います。
私は、例えば公民を学び始める中学生ぐらいから、もっと身近に政治や政治家とかかわる機会を持つのが、本当の意味での主権者教育と考えておりますが、特に、将来公務員や政治家など、行政や立法にかかわっていく職業につく学生の確率の高い進学校においても、このような主権者教育を実施し、手法についても県教育委員会が積極的にかかわるべきと考えますが、教育長の考えをお尋ねいたします。
実際、去年、そしてことしに県立高校で主権者教育を実施しているところには、進学校がほとんど含まれていない。福岡高校、花巻北高校などはありますが、盛岡地域では開かれておりませんし、県南のほうでも開かれていないようです。やはり進学校においてこそ、こういった主権者教育に積極的に取り組んでいくべきではないかと私は思っております。
そして、最後に競技人口の増加について再度お尋ねしたいと思います。
国体の成果と今後のスポーツ振興に向けた取り組みについては、先ほど知事から答弁いただいたところですが、競技人口をふやしていくという観点から、これも教育長に伺います。
先ほどお話ししたスポーツクライミングについてですが、去年、県では岩手国体のために盛岡市に仮設のクライミング施設を整備いたしましたが、国体後に撤去されています。県内にもふえてきていた愛好者からは、既存施設の利用条件の緩和と常設など設備の充実を望む声が上がっていたことは、去年の予算特別委員会でも取り上げさせていただきました。
これまでの利用者の間からは、利用者、そして競技者がふえたため、施設の老朽化が早くなり、メンテナンスにお金がかかるのではないか。そして、国体開催をきっかけに、ライセンス取得者のみが利用できる上級者の競技力向上のための施設になってしまったことが非常に残念だ。それらが原因で、子供たちを含めた一般の愛好者が今まで身近に楽しめていた環境から、今では利用しにくい施設へ変貌してしまったとの残念がる声が上がっているのですね。ライセンス取得講習会も、行われているのは不定期で、しかも施設へ、いついつやりますよという張り紙による告知など、利用者に対して不親切だという声も聞かれています。
盛岡市は、カナダのホストタウンの認定を受けたことで、県ではスピード競技の施設の新設など充実を図り、選手の競技力を高めつつ合宿誘致など交流人口の拡大を目指す方針だと伺っていますが、トップアスリート伊藤ふたばさんの存在ですとか、東京オリンピックをきっかけに、せっかく岩手がスポットを浴びることのできるこの競技ですから、選手層の裾野を広げるため、そして県民がスポーツを楽しめる環境づくりのため、競技選手の育成とスポーツを楽しむ一般の県民との利用のバランスをどのように考えているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いわての学び希望基金の活用の拡大についてでありますが、給付額については、平成25年度に給付額を増額するとともに、これまでも対象事業をふやして活用しているところでありますが、被災地の現状や子供たちを取り巻く環境に応じて、基金の趣旨に沿って必要な事業を行っていくものであります。
使途を大幅に拡大する場合には、被災地はもとより、県民や御寄附をいただいた方々など、広く御意見を聞きながら検討を進める必要があるものと考えております。
少子化対策県民税についてでありますが、少子化対策や子育て支援については、将来に関する問題であると同時に、今、目の前にある重要な課題であり、重点的に取り組む必要があります。
国においても、消費税率の引き上げに伴う増収分の一部を子ども・子育て支援の充実に充てているほか、新たな交付金を創設して都道府県の取り組みを推進しているところであります。
新たな超過課税の導入につきましては、これは納税者に対して通常以上の負担を求めるものでもありまして、受益と負担の関係など、慎重な検討が必要であると考えております。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 保育士確保の取り組みについてでありますが、御紹介のあった市町村の事例は、それぞれの市町村が、保育サービスの実施主体として、地域の実情やニーズ等に応じて独自の施策を講じているものと承知しております。
保育士確保に向けては、保育現場等のニーズを踏まえた必要な施策に取り組んでいくことが重要と考えており、県では、これまで、先ほど答弁いたしました保育士・保育所支援センターによるマッチングなどに取り組んできたところであります。
引き続き、保育団体や保育士養成校等の意見を伺いながら、効果的な事業展開に努めていく必要があると考えており、そういった取り組みを進めていきたいと思います。
なお、県内の保育施設の卒業生の県内就職率約7割と申し上げましたのは、保育資格を取得し、保育所等─等は、養護施設とか乳児院とかの福祉施設で、保育士の資格を生かせる職場であります─に就職した方を分母とし、このうち県内に就職した方を分子として、約7割と答弁申し上げた数字でございます。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、女性の就労、労働環境の整備についてでありますが、女性の就労を推進するため、第3期アクションプランにおいては、雇用・労働環境の整備の促進や子育てにやさしい職場環境づくりに関する指標、女性の活躍支援に関する指標を掲げているほか、女性の就業支援の観点から、女性が75%を占める離職者の職業訓練に関する指標を掲げ、取り組んでいるところでございます。
女性・離職者等への就業支援の推進方策については、女性の訓練受講者数と障がい者の訓練受講者数というこれまで継続して取り組んできている事業の実績を二つの指標とし、判断しているものでございます。
そうした取り組みもありまして、出産、子育て期に働く女性の割合は上昇傾向にございます。また、女性の登用に取り組んでいる企業の割合も4割を超えるなど、女性の就労、労働環境の整備は着実に進んできていると捉えております。
また、育児休業を制度化している企業割合も87.2%と上昇傾向にありますが、なお、女性の就労、労働環境の整備が必要な状況であると考えておりまして、引き続き、その推進に取り組んでまいります。
次に、就職支援能力開発費予算の減額の理由についてでございますが、就職支援能力開発費により実施する離職者等再就職訓練事業は、厚生労働省から県への委託事業となっておりまして、その委託料は、平成28年度当初予算は5億6、000万円でありましたが、今年度の最終予算見込みが約5億1、000万円弱と見込まれることから、これを踏まえた国の配分によりまして、来年度に当たります平成29年度当初予算案では5億2、000万円を計上したところでございます。
なお、年度途中において受講者数が増加する場合におきましては、国に対し、当然のことながら、委託料の増額を要求できる仕組みとなっておりまして、必要な事業、それに対する必要な予算はしっかりと対応されるものとなっております。
〇教育長(高橋嘉行君) 教育現場における主権者教育についてでありますが、本県の小・中・高等学校においては、それぞれの発達段階に応じ、学習指導要領に基づき、社会科、公民科の教科活動等において、日本国憲法の基本的な考え方や議会の仕組み、政治参加の重要性、選挙の意義などについて学び、児童生徒が将来の有権者となる素養を育んできております。
政治的教養を育む教育を行う際、議員御提言の実際に政治にかかわっている政治家の皆様の御協力もいただきながら主権者教育に取り組んでいくことは、生徒が現実の政治に具体的なイメージを育む貴重な機会になるものと存じます。
一方、具体的な実施に当たっては、教育基本法に基づく教員の政治的中立性を確保していくことが重要でありますので、選挙管理委員会や議会事務局からの専門的な見地からの意見などもいただきながら、政治家の皆様による出前授業など、生徒が現実の政治や民主政治の基盤である選挙に対して関心を高められるような機会のあり方について検討を深め、主権者教育の充実につなげていきたいと考えております。
次に、スポーツクライミングについてでありますが、県営運動公園内にある平成18年度に整備したボルダリング施設については、国体開催に合わせて改修工事を行ったものでありますが、その際、専門家の御意見もいただき、利用者の安全を最優先に、利用者の対象を小学校5年生以上にするとともに、全ての利用者に認定講習会を受けていただくこととしたものであり、この講習会の開催等については、県営運動公園内のポスター掲示のほか、ホームページ等での周知を行ってきております。
特に昨年、一昨年においては、希望郷いわて国体に向けて、選手強化のための練習を優先させたこと等により、一般の皆様の利用を制限せざるを得なかったこともあり、議員御案内のような利用しにくいといった声が出たものと承知いたしております。
スポーツクライミング競技は、東京オリンピックの追加種目に決定したこと等により、今後ますます競技人口がふえ、人気が高まる有望な競技だと考えておりますので、競技者と一般利用者がバランスよく利用していただくために、各種大会や強化合宿を企画している競技団体と調整を行いながら、多くの県民の皆様に利用いただけるよう工夫してまいります。
また、低学年の子供たちや初心者等への普及のあり方などについても、どのような対応が可能か、指定管理者とともに検討を進めてまいります。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時20分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
40  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時39分 再 開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。高田一郎君。
〔13番高田一郎君登壇〕(拍手)

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