平成29年2月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(高橋孝眞君) 自由民主クラブの高橋孝眞です。
通告に従い、順次質問をさせていただきます。
まず、県の対外戦略について伺います。
本県において安定的、持続的な経済基盤を構築し、本格復興や地方創生、人口減少に対応するために、商工業や農林水産業、観光業などさまざまな分野において対外的に岩手を売り込み、外貨を獲得し、雇用を確保することを目的に、部局横断的な取り組みの戦略的、総合的な推進を図る組織として、いわてまるごと売込み推進本部が設立されております。
知事も、さまざまなイベントに参加され、プレゼンテーション及び情報交換会、企業訪問などトップセールスをされております。
具体的には、実働部隊であるいわてまるごと売込み隊が、県産品販路拡大、観光振興、企業立地推進、6次産業化推進、県産米ブランド化、定住、交流促進の六つについて、部局横断的な取り組みを進めているようですが、これらのうち、特に外貨の獲得や雇用の確保という面で大きな効果が期待される企業誘致による雇用の増加、海外からの観光客誘客数、ミラノやベトナム等海外での県産品販売拡大の成果について、知事はどのように捉えているのか伺います。
いわてまるごと売込み隊は、施策効果を高めていくため、さまざまな施策を有機的に連携させ、部局横断的な取り組みを総合的に展開しているとのことですが、その具体的な内容について伺います。
また、これまでの取り組みを進化させ、いわてまるごと売込み隊の力をさらに発揮していく必要があると思いますが、今後の具体的な取り組みについても伺います。
いわてまるごと売込み隊の企業立地推進や6次産業化推進でありますが、まずは足元をしっかりと固めること、つまり、地場産業を育成することが本県として大事であると考えます。
岩手県中小企業振興計画によると、平成24年現在、県内企業3万8、779社のうち、実に99.8%を占める3万8、711社が中小企業であり、県内の地場産業を支えるこれら企業への相談機能の充実を図るべきです。幸い、経済産業省では、中小企業の経営相談窓口として、平成26年度から全国都道府県によろず支援拠点の整備を進めており、本県では、いわて産業振興センターがその機能を果たしております。この支援拠点は各都道府県1カ所とされておりますが、他県では、本拠地に加え1カ所のサテライトを構えているところが多数あり、東北で本拠地が1カ所にとどまっているのは本県だけとなっています。県土が広大な本県において、経営相談窓口が盛岡市の1カ所では、その機能が十分発揮されないと考えます。
サテライト設置には、専門的なスキルを有するスタッフを相当数配置する必要があるため人材育成を進めるとともに、スタッフとなる人材をある程度見定めながら、特にも、相談件数が多く、ものづくり産業が集積している県南地区における経営相談機能の強化に取り組んでいくとの認識でありましたが、新年度にどのような取り組みを行い実現させていこうと考えているのか伺います。
先日、産業振興・雇用対策調査特別委員会で、山梨県の株式会社ミラプロで視察研修を行いました。ハイテク産業の研究開発に不可欠な真空環境をつくり出す技術メーカーとして世界中から高い評価を得ている会社であります。本県も誘致を推進している国際プロジェクト、ILCの加速器に必ず必要な極めて重要な装置であり、ニュートリノが初めて発見されたカミオカンデの加速器にも採用されたとのことであります。株式会社ミラプロは、奥州市にも既に営業所を立ち上げており、貸し工場があれば、岩手に工場進出を考えたいとの思いもあるようです。
県では、年度初めに、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課を統合し、ものづくり自動車産業振興室を設置したところですが、この組織改編による組織の名称変更で、本県の企業誘致推進の意気込みが多くの企業に伝わったのでしょうか。株式会社ミラプロのように、本県への進出を前向きに考えている企業に対し、本県の意気込みをしっかりと届けることが必要だと思います。
自動車にしか関心がないのではないかとの議論の中での組織改編であったと思いましたが、企業誘致への影響はなかったのでしょうか。また、組織改編により、どのような効果を得ることができたのか伺います。
次に、県民所得の向上について伺います。
県民所得に対する認識についてでありますが、県は、岩手県ふるさと振興総合戦略の中で、岩手に住みたい、働きたい、帰りたいという人々の願いに応えられる豊かな岩手をつくり上げることを、ふるさと振興を進める柱の一つに掲げています。その施策推進の進捗度を図る指標として設定している県民所得は、平成26年度で前年度から0.7%の増となっています。全国的に必ずしも増加している状況にない中で、本県はプラスの伸びとなっており、東北6県では、ほかに宮城県、福島県と被災3県が伸びを示していることから、復興需要も背景にあると考えますが、県はこの結果をどのように分析しているのか伺います。
復興の先を見据えた所得向上についてでありますが、県の平成29年度当初予算案は、震災後に編成した当初予算として初めて1兆円を割り、震災対応予算については約1、000億円の減となっています。前年度予算からの繰り越しが2、000億円を超えている状況にあることから、今後数年間は大型の公的支出が続くものと見込まれますが、県民所得を安定的に向上させていくためには、復興の先を見据え、民間主導の産業を掘り起こしていくことが重要と考えます。
県は、今後、産業振興をどのように進め、発展させていこうとしているのか伺います。その際、県全域で同じ進め方をするのではなく、県南地域のものづくり産業や県北地域の食産業やアパレル産業など、各圏域の基盤を生かしながら、さらに地域資源を磨き上げていくことが必要と考えますが、圏域ごとの産業振興方策についてお示し願います。
近年の雇用環境は、本県を初め、全国の有効求人倍率が恒常的に1倍を超え、慢性的な人手不足が深刻な問題となっています。本県のような地方と首都圏で人の奪い合いが既に始まっている中、県内企業の魅力を高めることが重要であり、そのための手段の一つとして、県内企業の労働環境の改善、働き方の改善は重要な視点です。政府においては、労働時間の制限なども議論されていますが、効率的な働き方の実践は労働生産性の向上につながり、ひいては所得向上へとつながっていくものと考えます。
そこで伺いますが、県では、今後、働き方改革をどのように進めていこうとしているのか伺います。
次に、農業振興について伺います。
まず、農業生産工程管理、いわゆるGAPについてでありますが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会での選手や関係者への提供食材として、大会組織委員会は農産物の調達基準の概要を示しております。
それによりますと、食材の安全の確保、周辺環境や生態系と調和のとれた農業生産活動の確保、作業者の労働安全確保の要件を満たしたもの、いわゆるグローバルGAP、JGAPを取得した国産品を優先的に選ぶよう求めております。本県においても、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における農産物の調達基準への対応を見据えたGAPの普及を進めるべきであると考えますが、県の取り組みについて伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
次に、米市場の需要に応える対策について伺います。
県産米のオリジナル品種銀河のしずくがついに市場デビューを果たしました。日本穀物検定協会から食味ランキングで特Aの評価を受けております。また、銀河のしずくに続く金色の風についても、食卓をターゲットとしたお米として、五つ星お米マイスターのいる米穀専門店からも高い評価を得ており、今年秋の金色の風の本格デビューが非常に楽しみであります。
一方で、農林水産省の試算によると、中食や外食などに向くお米、業務用米が130万トン不足、家庭用米は供給が需要を130万トン上回っているとされております。このように、市場では、家庭用米と業務用米の需要と供給のミスマッチが起こっており、県では、このミスマッチ解消に向け、関係団体とどのように連携して取り組んでいくのか伺います。
次に、集落営農組織の法人化について伺います。
平成19年度に導入されました品目横断的経営安定対策への加入を機に、本県においても多くの集落営農組織が設立され、平成28年度末において、423組織のうち157組織が法人化したと聞いております。いまだ半分にも至っておりません。
集落営農組織は、当初は、5年以内に法人化することをめどに設立されてきたところであります。はや10年になろうとしています。当初設立時のリーダーも年齢を重ねてきておりますし、後継者不足も考えられるところであります。
伺いますと、法人化に向けた課題として、役員など人材の確保や従業員に給与を支払うことのできるような収益性の確保などが挙げられ、法人化のめどが立っていない組織からは、法人化に対する構成員の不安や抵抗感の払拭などが挙げられたとのことですが、これら課題克服に向けた取り組みについて伺います。
次に、収入保険制度について伺います。
平成31年度から導入される予定の収入保険制度でありますが、農業者ごとの収入減少を補填するものであり、制度を適正に運営するためには、個々の農業者の収入を正確に把握する必要があるとして、経過措置があるものの、青色申告を5年間継続し、経営管理を適切に行っている農業者個人、法人を対象としております。農業者のこの制度に対応できる複式会計を利用した青色申告の実態はどうなっているか、県として課題をどう捉えるか、あわせて今後の対応について伺います。
また、現行のナラシ対策や青果物価格安定制度、農業災害補償制度との重複加入はできないことになっております。特に青果物価格安定制度については県単事業も絡むことから、生産者にとって、何を選択すべきか、どちらの制度に加入すべきかで混乱することが予想されます。県として、将来予測のシミュレーションを数パターン行い、農家に示していく必要があると考えますが、県の考えを伺います。
この収入保険制度に集落営農組織が加入しようとした場合、法人化していることが必要です。いまだ法人化できていない集落営農組織に対して法人化支援計画を作成すると聞いておりましたが、どの程度進んでいるのでしょうか。今後も法人化できないとすれば、平成31年から収入保険制度に加入できないことになりますが、影響が出ないのか伺います。
次に、主要農産物種子法の廃止に伴う影響について伺います。
農業競争力強化プログラムでは、種子については、国家戦略、知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発、供給体制を構築することとされ、こうした体制に向け、都道府県中心のシステムで民間の品種開発意欲を阻害している主要農産物種子法、いわゆる種子法を廃止することが盛り込まれております。
この法律は、昭和27年に、主要農産物である稲、大麦、裸麦、小麦及び大豆の優良な種子の生産及び普及を促進するため、都道府県が種子生産圃場での異品種の混入や、生産された種子の発芽の良否等について審査し、生産現場に安定供給することを目的として制定されたものであります。
種子法の廃止に伴って、種子生産における県の関与が弱まることにより、種子の供給や品質等が不安定となり、生産者、消費者等への影響が懸念されるところでありますが、県は、種子法廃止の影響をどう捉え、どう対応しようとしているのか伺います。
次に、いわて牛の評価向上について伺います。
知事には、いわて牛の販路拡大のため、毎年、いわて牛の集いに参加していただいております。今年も1月に、いわて牛枝肉共励会が東京都中央卸売市場で開催されました。60頭の上場で、上物率は昨年が100%でありましたが、ことしは95%で、平均単価2、650円での販売でありました。
一部の買参人や市場関係者から、中央卸売市場上場頭数が平成18年の9、701頭から昨年の5、879頭と、全国ナンバーワンから全国6番目へと急激に減少しており、いわて牛の評価の低下と価格に少なからず影響が出てきているとの厳しい指摘もありました。知事は、畜産県岩手を標榜しておりますが、この現実をどう捉え、どのように取り組んでいく考えか伺います。
本年9月に宮城県で開催される全国和牛能力共進会についてでありますが、本大会は、全国の優秀な和牛を5年に一度、一堂に集めて、改良の成果やその優秀性を競う全国大会で、通称、全共、別名、和牛のオリンピックとも呼ばれています。雄牛、雌牛の体型のよさなど、改良成果を月齢別に審査する種牛の部と、枝肉の状態で脂肪の入りぐあいなどの肉質を審査する肉牛の部に、全国39道府県から517頭、本県からも27頭の出品が予定されております。この大会で優秀な成績をおさめることで和牛ブランドの市場価値が全国的に高まるため、参加道府県にとってはまさに威信をかけた大会となります。
そこで、この共進会に向け、県としてどのように取り組み、どのような成果を上げ、今後の農家の収益向上につなげていこうとしているのか伺います。
次に、安全・安心な地域づくりについて伺います。
まず、福祉コミュニティーについてですが、さきの決算特別委員会でも取り上げた県民満足度調査において、安定した就職環境に次いでニーズ度が高い項目に、高齢者や障がい者に安心な地域づくりが挙げられています。
アクションプランでは、医療・子育て・福祉分野において、福祉コミュニティーの確立を政策項目に掲げ、県民誰もが、身近な地域社会で、住民相互の支え合いや見守りなどにより、安心して生活できる福祉コミュニティーが進められていることを目指す姿として描いています。福祉コミュニティーの充実のためには、市町村など公的機関と、地域住民など民間がともに役割を果たすことが必要と考えますが、県として、地域組織とどのように連携し、住民生活の安全・安心を目指していく考えなのか伺います。
安全な地域づくりの形成に大きな役割を果たしている機能の一つに、民生委員の存在があると考えます。民生委員は、常に住民の立場に立って身近な相談に乗ったり必要な援助を行うなど、安全な地域づくりにとって欠かせない存在であり、地域包括ケアや地域福祉の分野において重要な役割を担っています。しかしながら、全国民生委員児童委員連合会の資料によると、民生委員や児童委員の活動は、見守り活動や住民からの相談、地域福祉活動への参加、行政や社会福祉協議会との連絡調整など多岐にわたり、1人当たりの年間活動日数は全国平均で130.7日と、多くの時間を業務に割かれています。中には、年長の男性民生委員が、子育て支援の一環として若いお母さんの相談に乗るという、難しい事案もふえてきていると伺っています。県は、民生委員の活動実態をどのように把握し、支援を行っているのか伺います。
また、最近はなり手の確保が難しく、定員の充足率が100%に満たないということも聞いています。本県における民生委員の充足率と今後のなり手確保に向けどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
災害公営住宅のコミュニティーについてでありますが、県営災害公営住宅は、現在のところ17団地建設されております。これら団地の自治会の設立状況ですが、近隣の自治会に加入の団地及び団地単独で自治会が設置されているのは10団地、いまだ設置されていない団地が7団地あると伺っております。災害公営住宅が建設されて入居すると、住民みずからが自治組織を形成し、徐々に自立していかなければなりません。県や市町村も当然それを望んでいるわけでありますが、このような自治組織が形成されていない災害公営住宅にお住まいの方々が早期に自治組織を形成できるよう支援していかなければならないと思いますが、県の考えを伺います。
次に、障がい者福祉について伺います。
岩手県障がい者プラン第4期障がい福祉計画の計画期間は、平成27年からの3年間であります。障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格を尊重し合いながら共生する社会を実現し、障がい者が必要とする障がい福祉サービスを受け、自立と社会参加の実現を図っていくことを基本理念に置いています。
県内には16の特別支援学校がありますが、そこで学ぶ高等部卒業生の進路は、大きく、一般の会社で仕事につく人、福祉的就労である障がい者就労継続支援事業所で働く人、生活介護を必要とする人に分かれると思いますが、生活介護事業所は十分なのでしょうか、現状と将来の見通しについて伺います。
福祉的就労として、就労継続支援A型、B型事業所を利用されている障がい者の方々についてでありますが、事業所利用後に家族が迎えに来るまでの時間をどう過ごさせるかが問題となっていると聞いています。障がいを持つ子供の親の共働き世帯への支援として、小学生の学童保育と同様の日中一時支援事業がありますが、現在の制度による施設利用状況はどうなっているのか伺います。
また、生活支援員や家族からは施設が不足しているとの声も聞きますが、県では、日中一時支援事業をどう捉えているのか、この制度をどのように障がいを持つ家族に周知しているのか伺います。
県内の就労継続支援B型事業所の平均月額工賃でありますが、事業所の支援員の皆さんには、施設内での仕事、施設外での仕事を得るために大変な努力をされてきているところでありますが、近年の月額平均工賃は、平成25年度1万8、114円、平成26年度1万8、610円、平成27年度1万8、713円と年々上昇しておりますが、県の目標である月額2万円に届かないところであります。
県内には、農家の規模拡大による労働力確保を目的に、就労支援事業所の作業請負の一つとして、農業と福祉の連携である農福連携の取り組みを積極的に進めているところがあります。県では、就労継続支援型B型事業所の平均月額工賃を上げる可能性のある農副連携のような新しい取り組みに対し、どのような支援を行っていく考えなのか伺います。
最後に、水門・陸閘自動閉鎖システム工事について伺います。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波において、水門等の操作に従事した方々が多数犠牲になったことを踏まえ、衛星通信回線を使い、地震発生から水門・陸閘の閉鎖が速やかに自動で行われるためのシステム工事であります。
県は、平成27年9月定例会での議決後に東芝と契約し、システムの開発と設置の工事が行われているわけですが、その東芝は、2年前の粉飾決算発覚から現在経営再建中であります。さらに、最近の報道では、米国での原子力事業で7、125億円の損失が発生し、2017年3月期の純損益は3年連続の赤字を見込み、債務超過が1、500億円となる見通しが発表されました。経営が再び苦境に立たされ、東京証券取引所1部上場から2部へと降格する可能性が高まっており、大企業として異例の事態であります。
そこで伺いますが、東芝は、過去にも技術力不足などから大型システム開発を受注後に中止したなどの経緯もありましたが、今回の工事におけるシステムの開発や工事の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
東芝は、債務超過を回避するため、利益部門である半導体事業を分離して株式を売却しようとしております。今後、さらにシステムを請け負っている開発工事部門の分社化ないし外部売却も否定できないと思うのですが、このような事態が起こった場合の契約はどうなるのでしょうか。現行契約内容で新たな会社が引き継ぐことが可能なのでしょうか。プロポーザルでの発注であり、東芝という会社の信用の上で成り立ってきた契約とも考えますが、どのように考えているのかお伺いいたします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋孝眞議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、部局横断的な取り組みの成果についてでありますが、いわてまるごと売込み推進本部等を設置し、対外的な売り込み活動を部局横断的に推進することによって、企業誘致の促進、海外からの誘客拡大や海外への県産品の販路拡大等につながっているところであります。
まず、企業誘致については、平成27年度以降現在までで29社が新規に立地し、雇用計画数は866人となっています。内訳を見ますと、自動車関連が7社、521人、運送や倉庫等の物流関連が4社、90人、IT関連が6社、60人など、幅広い分野で雇用の確保が図られています。
次に、海外からの誘客については、豊かな自然や歴史文化、特色ある伝統工芸品や食文化など、本県が多彩な魅力を丸ごと発信しながら市場ニーズに応じたプロモーションを展開することにより、外国人観光客の入り込み状況を宿泊者数で見ますと、平成28年11月末現在で約11万9、000人泊と、既に過去最高を記録した前年度実績を上回っております。
市場別に見ますと、台湾は最も多く、半数以上を占め増加を続けていることに加えて、中国は震災前の平成22年度と比べ2倍以上となり、初めて1万人泊の大台を超えていることや、タイの伸びが著しく、震災前の約7倍となっていることなど、市場の掘り起こしや新規開拓が図られているところであります。
県産品の販路拡大については、南部鉄器の認知度が高まっている東アジアや、経済成長が著しく日本食レストランも増加している東南アジア、北米地域等を中心に取り組んできたところ、平成27年の県産品の輸出額は31億9、000万円と、震災前の平成22年と比較し31%増加したところであります。
今年度も、海外での岩手フェアの開催など販路開拓に取り組んでいるところでありますが、本年1月のベトナムでのトップセールスでは、米とリンゴの本県初となるベトナムへの輸出が実現するとともに、商談会の実施により既に成約した案件があるほか、継続中の商談も多数あると聞いておりまして、成長著しいベトナム市場の販路開拓につながるものと期待しているところです。
次に、働き方改革についてでありますが、復興とふるさと振興を進めていく上で、活力ある地域経済を維持し発展させていくためには企業の生産性を高めていく必要があり、それを担う労働者が生き生きと働くことができる魅力ある雇用環境となるよう、長時間労働の是正などの働き方改革の推進が不可欠であり、人材確保を図っていく上でも必要な取り組みであると認識しております。
そのため、県では、今年度から、多数の企業の参加を得て、いわて働き方改革推進運動を展開しているところであり、そのすぐれた取り組みを表彰するいわて働き方改革アワードの受賞企業の取り組みにおいても、働き方改革の推進が生産性向上につながっていることが示されています。
今後、運動の一層の拡大を図るとともに、来年度においては、専門家による個別企業への指導、支援の強化を図り、新たな取り組みとして働き方改革のモデル事例の創出を行うこととしており、こうした取り組みを通じて県内企業の働き方改革を一層促進してまいります。
次に、いわて牛の評価向上についてでありますが、本県の肉用牛は、大規模経営体の廃業等により東京食肉市場への出荷頭数は減少したものの、取引価格は出荷主要産地の中でもトップクラスを維持しています。また、本県の肉用牛は、全国肉用牛枝肉共励会において最多11回の日本一を受賞するなど高い評価を得ており、これまで積み上げてきた評価を強みとして出荷頭数をさらにふやし、生産者の一層の所得向上を図ることが重要であります。
県内の生産者にも生産拡大に取り組もうとする意欲が見られ、県では、これまで、牛舎の整備や繁殖素牛、肥育素牛の導入、乳牛等への和牛受精卵移植による肥育素牛の生産拡大などの支援を行ってきたところであります。
このような取り組みによって肥育牛の飼養頭数はここ数年増加しており、今後とも、本県肉用牛の生産、出荷の拡大と生産者の所得向上に向け、生産者を初め関係機関、団体と一丸となって取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事杉村孝君登壇〕
〇企画理事(杉村孝君) いわてまるごと売込み隊の取り組みについてでありますが、平成27年度にいわてまるごと売込み隊を設置し、県産品の販路拡大や観光客の増加等に向け、施策の情報共有を図りながら、国内外において対外的売り込み活動を部局横断的に推進してきたところでございます。
まず、対外的売り込み活動における統一イメージとして、県外向け広報コピー「黄金の國、いわて。」を選定し、各種プロモーションで積極的に活用しており、一例といたしまして、いわて花巻空港に就航しているフジドリームエアラインズのゴールド色の機体のネーミングライツを取得し、「黄金の國、いわて。」号と命名の上、共同でキャンペーンを展開したところです。
今後も、引き続き、「黄金の國、いわて。」のコンセプトのもと、例えば、豊かな自然や世界遺産などの歴史、文化、特色ある伝統工芸品や食材、食文化と観光情報の一体的な情報発信による岩手ファン拡大の取り組み、海外では、東アジアを中心に拡大している南部鉄器の認知度を活用した県産品全体の販路拡大や観光誘客の取り組みなどを推進することとしており、特にも海外展開に当たっては、新たに国際室が設置されますことから、売込み隊の連携を一段と強化し、各施策の効果をさらに高め、岩手のさまざまな魅力をまるごと売り込んでまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、中小企業への支援についてでありますが、本県のよろず支援拠点は、平成26年6月の開設以来、相談件数が東北6県で最も多い1万2、000件余りとなるなど、着実に成果を上げてきているところであります。
サテライトにつきましては、東北6県のうち、遠隔地での相談対応のため常設している県は、現在、青森、山形、福島となっております。このほかに移動相談会を充実させる形でサテライトと位置づけている県もあります。
本県のよろず支援拠点では、遠隔地の事業者に対応するため、各地に出向き移動相談会を実施しておるところでございまして、平成28年度はこれまで延べ90回、360件を超える相談に対応しております。ものづくり産業が集積する県南地域においても、昨年10月以降、この相談会を月3回だったものを7回にふやし、相談機能の強化を図っているところでございます。
中小企業のニーズに応える相談、指導機能を発揮するためには、よろず支援拠点では、当面、人材の確保、充実を図ることとしており、国と協議しながら体制の整備を進めており、昨年末には専門スタッフを1名増員し、9名体制としたところでございまして、現在、来年度に向け、さらなる増員等について調整を進めているところでございます。
次に、企業立地推進についてでありますが、競争力の高い産業集積を実現するため、自動車を初めとする本県ものづくり産業のさらなる振興と、企業誘致や誘致企業のフォローアップ、誘致企業と地場企業との連携などに各担当セクションが一体的に取り組んでいるところでございます。
このような取り組みにより、例えば金ケ崎町のデンソー岩手による車載用センサーの一貫生産に伴う大規模増設につなげたほか、緊密な情報共有が幅広い有望企業の掘り起こしにも結びついてきております。
一方、自動車関連産業における基盤技術系企業と地場との協業の拡大や、半導体関連産業、医療機器関連産業などにおける地域企業との取引拡大といった新たな企業ニーズの高まりを踏まえ、これまで以上に、そのマッチングに向けた一体的、迅速な対応が求められてきているところでございまして、県といたしましては、競争力の高い産業集積の実現に向け、企業の動向を的確に把握しながら、これら諸課題に組織一丸となって取り組んでまいります。
次に、圏域ごとの産業振興方策についてでありますが、復興とふるさと振興を進める上で、活力ある地域経済を維持、発展させていくため、地域におけるさまざまな資源や技術、人材等を生かした産業振興を進めていくことが必要であります。
こうしたことを踏まえ、いわて県民計画第3期アクションプランなどに基づき、県央広域振興圏では、学術研究機能の集積を生かした連携、交流によるIT・ものづくり産業の振興、県南広域振興圏では、自動車や半導体関連産業等への新規参入や取引拡大等による一層の産業集積の促進と高度化、沿岸広域振興圏では、漁業と流通、加工業の再生を初め復興まちづくりと一体となったなりわい再生と、復興の先を見据えた三陸創造プロジェクトによる新たな産業の展開、県北広域振興圏では、食、アパレル、漆などすぐれた地域資源を生かした産業振興など、圏域ごとに特色ある取り組みを展開してきているところでございます。
今後も、市町村を初め関係団体、企業等と連携を強化しながら、これら計画に基づく取り組みを進め、各圏域の産業振興を図っていくこととしております。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 県民所得向上の分析についてでありますが、平成26年度県民所得は3兆4、882億円となり、前年度に比べて228億円、率にして0.7%の増加となったところであります。
その内訳を見ると、企業所得が東日本大震災津波以降初めて前年度に比べ63億円、0.5%の減少となる一方、雇用者報酬が雇用者数の増などにより前年度より255億円、1.2%の増加となったところであります。
復興需要が県内経済に与える影響を分析するため県内総生産を見ますと、平成26年度の県内総生産は4兆6、470億円と、震災前の平成22年度と比べ5、935億円、率にして14.6%の増加となっております。
産業別では、建設業が4、310億円、138.1%の増加、運輸業が364億円、20.2%の増加となっており、特に沿岸広域圏における建設業が大きな伸びを示していることから、議員御指摘のとおり、災害復旧事業などの復興需要が県内経済に大きく寄与しているものと考えております。
これ以外の産業については、製造業、サービス業、卸売・小売業の総生産がそれぞれ平成22年度より増加しており、復興需要以外の産業においても回復基調を示しております。
このことから、復興需要に加え、県内経済の回復基調と、それを背景とした雇用環境の改善が県民所得の増加に寄与しているものと考えます。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、農業生産工程管理の取り組みについてでありますが、GAPは食品の安全や品質の向上等を図る管理手法であり、消費者や実需者の信頼をかち取り、県産農産物の評価を高めるために有効な取り組みであります。
このため、県では、平成20年に県版GAPを策定するとともに、普及啓発セミナーの開催やJGAP指導員の育成などにより、県版GAPの普及、定着を図ってきたところであり、その結果、取り組み産地数は全体の64%と、全国平均の約3倍となっております。
このような中、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から、大会の農産物の調達基準案として、JGAPまたはグローバルGAPの認証を受けたもののほか、国のガイドラインに準拠した都道府県GAPに適合するものであって、第三者による確認を受けたものと示されたところでありますが、県版GAPは、国のガイドラインに準拠しているものの、第三者が確認する体制はまだ整っていない状況でございます。
このため、現在、第三者の確認体制の整備に向けた検討を進めているところであり、今後、関係機関、団体と連携しながら、県産農産物を確実に供給できるよう取り組みを加速してまいります。
次に、米市場の需要に応える対策についてでありますが、国民1人当たりの主食用米の消費量は昭和37年をピークに減少を続けており、今後も高齢化や人口減少により米市場の縮小が見込まれる中、業務用米の割合は今後も高まっていくものと考えられます。
このため、県では、関係団体と連携し、平成27年2月に策定したいわての美味しいお米生産・販売戦略に基づき、業務用米については、地域の特性を生かした品種の適正配置や多収技術の普及による収穫量の増大、直播栽培の導入等による生産コストの低減に加え、実需者との結びつきの強化等による安定的な販売先の確保などに取り組んでいるところであります。
今後におきましては、外食や中食などの実需者が求める銘柄等に応じた複数年契約や事前契約など安定的な取引の拡大に向けて、関係団体等との連携をより一層強化しながら取り組みを進めてまいります。
次に、集落営農組織の法人化についてでありますが、これまで、県では、法人化を目指す組織に対し、税務等の経営ノウハウ習得のための講座の開催や、高収益作物の導入を含めた経営計画の作成を支援してきております。こうした取り組みによって法人化した組織数は、平成24年からの5年間で57組織から157組織へと約3倍に増加しているところであります。
一方、平成27年度に実施したアンケート調査では、法人化のめどが立っていない組織からは、法人運営の人材不足に対する不安や農地を預けることへの抵抗感の払拭などが課題に挙げられているところであります。
このため、県では、市町村等と連携し、組織リーダーを育成するための講座や県内外の先進事例研修を開催するとともに、組織リーダーや構成員との個別相談の実施などに取り組んできたところであり、今後におきましても、集落営農組織に寄り添いながらきめ細かな支援を行い、法人化を促進してまいります。
次に、青色申告の実態と今後の対応についてでありますが、全国で青色申告を行っている農業者数は、国税庁事務年報によれば平成26年で約43万人であり、2015年農林業センサスの農家数215万5、000戸に対する比率は約2割となっております。
収入保険制度への加入は、収入を正確に把握するための青色申告を行っている農業者に限定されますが、農業者は現行の農業共済制度等と選択して加入できることとされております。
このため、県としては、関係機関と連携して、制度の周知や青色申告に関する普及、指導を推進するとともに、収入保険制度や農業共済制度等のセーフティーネットへの加入を促進することとしております。
次に、他制度との比較シミュレーションについてでありますが、収入保険制度は、今後、関係法案が提出される予定と伺っておりますが、現時点において、制度の具体的な内容や他制度との比較は、一部を除き明らかにされていないところであります。このため、県としては、今後設立される収入保険の実施主体と連携し、農業者がそれぞれの経営形態に応じて適切に選択できるよう、国等から示される制度に関する情報をきめ細かに提供してまいります。
次に、集落営農組織への影響についてでありますが、県では、法人化を目指す266組織のうち258組織について、組織ごとの課題や支援内容を明らかにした法人化支援計画を、市町村や関係団体と連携し、作成しております。また、法人になっていない集落営農組織はナラシ対策に加入することができ、国が示したケースでは、米価下落時など収入が減少した場合においても、収入保険制度と遜色のない補填を受けることができるとされております。
県といたしましては、経営安定のため収入保険制度を選択することもできるよう、引き続き、法人化支援計画に基づき集落営農組織の法人化の支援を進めていくとともに、先ほど申し上げたように、国等の情報をきめ細かに提供してまいります。
次に、主要農作物種子法の廃止に伴う影響についてでありますが、これまで、県では、主要農作物種子法に基づき、農業研究センターにおいて、原原種、原種の生産や奨励品種の決定試験、また、農業改良普及センターにおいて、種子生産圃場の指定や、生産圃場、生産物の審査、種子生産に係る指導等の業務を行ってきたところであります。
今般、国は、種子法の廃止法案を国会に提出したところであり、種子法が廃止されれば、県が実施してきた業務の法的根拠が喪失し、適切な審査を受けない種子が流通したり、必要な量の種子が供給されなくなるのではないかとの声が寄せられておりますが、現時点では詳細について明らかにされていないところであります。
県といたしましては、水田農業の振興上、米や麦、大豆の優良種子の安定供給は重要でありますことから、先般、国に対し、引き続き優良な種子を安定的に供給できる体制が維持されるよう申し入れたところであります。今後とも、農業者に不利益が生じることのないよう国の動向を注視するとともに、必要に応じ、国に対し働きかけを行ってまいります。
次に、全国和牛能力共進会に向けた取り組みについてでありますが、全国和牛能力共進会は、本県が全国に誇る優良な和牛産地であることをアピールする絶好の機会と捉えております。
このため、種牛の部では、約700頭の優良雌牛から計画的に交配、生産した候補牛の育成管理を支援し、発育等の良好な牛の選抜を重ねるとともに、生産者の技術向上に向けて飼養管理や調教の研修会などを実施しております。
また、肉牛の部では、出品条件である生後24カ月齢出荷に対応するため、延べ20戸の生産者を対象とした肥育試験を実施するとともに、候補牛の早期導入や、関係機関と連携した超音波診断装置による候補牛の肉質管理を定期的に行っているところであります。
このような取り組みにより、本県の出品牛が共進会で上位入賞を果たし、県有種雄牛の能力や県産牛肉の品質の高さが全国から注目され、高値での取引が実現するなど、肉用牛生産者の所得向上につなげてまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、福祉コミュニティーの充実に向けた取り組みについてでありますが、県では、岩手県地域福祉支援計画を策定し、県民の誰もが、住みなれた地域社会で、お互いの個性や尊厳を認め合い、ともに生活するという考え方、いわゆるソーシャルインクルージョンに基づく地域社会の実現を目指しているところであり、岩手県社会福祉協議会やNPO等と連携し、県民への意識啓発、地域福祉活動コーディネーターの育成などに取り組み、地域福祉推進の中核である市町村の体制づくりの支援や人材の育成などを進めています。
また、市町村では、市町村地域福祉計画の策定などにより、関係団体と連携し、介護保険法などのフォーマルな福祉サービス提供体制の構築等を進めるとともに、住民相互の見守りや支え合いなどのインフォーマルな生活支援の仕組みづくりなどを進めています。
今後におきましても、市町村、社会福祉協議会、民生委員、児童委員、社会福祉事業者及び地域住民と一体となって協力し、地域で安心して生活できる福祉コミュニティーの確立、充実に向け取り組んでまいります。
次に、民生委員の確保についてでありますが、地域住民が抱える課題は、少子高齢化の進展や地域のつながりの希薄化などを背景に複雑化、多様化しており、民生委員活動に伴う負担は増していると認識しております。
県では、岩手県民生委員児童委員協議会と連携し、研修会の開催や、委員同士が日ごろの活動について意見交換し合う機会を設けるなど、資質向上や業務的負担、精神的負担の軽減に努めているほか、平成29年度当初予算案に民生委員活動費の増額を盛り込んだところです。
民生委員の充足状況は、昨年12月1日の一斉改選時には充足率96.2%であったものが、現時点では97.2%となっており、各市町村において、自治会等の協力を得て、候補者に就任を働きかけるなどさまざまな取り組みを行っている状況にあります。
引き続き、県と市町村が連携し、民生委員制度や役割について住民の理解を深めるための啓発活動等を行い、委員が活動しやすい環境整備や潜在候補者の掘り起こしを図るとともに、研修の充実など委員の活動支援に取り組み、なり手の確保に努めてまいります。
次に、障がい者の生活介護についてでありますが、平成26年度に策定した第4期障がい福祉計画において、指定障害福祉サービス等の平成29年度までの見込み量及びその見込み量確保のための方策を定めておりますが、昨年度の生活介護サービスの1月当たり実利用者数は、計画見込み量3、360人に対し利用実績が3、276人となっており、必要なサービスはおおむね提供されていると認識しております。
県では、この計画の最終年度である平成29年度のサービス見込み量の確保に向け、引き続き、地域の自立支援協議会等の場でサービスの主体となる市町村への情報提供や助言を行っていくほか、事業者による施設整備への補助を行っていく考えです。
また、現在、平成30年度から平成32年度の3カ年を計画期間とする第5期障がい福祉計画の策定に向け、厚生労働省において基本指針の見直しが検討されており、国の動きを注視しつつ、市町村と連携しながら、将来のサービス需要に対応できるよう計画策定を進めてまいります。
次に、日中一時支援事業についてでありますが、この事業は、障がい者等の家族の就労支援や一時的な休息を目的としており、障がい者等の社会参加や日常生活を支援する地域生活支援事業の中で、市町村の判断により実施する任意事業に位置づけられています。
本県では、昨年度、30市町村で実施され、広く取り組まれている事業であると認識しており、例えば北上市では、平成28年11月の利用者数は41人で、うち日中活動サービスの前後で日中一時支援を利用している方は10人と伺っています。
その周知については、市町村において、日中一時支援を含めた福祉サービスの一覧を冊子にして行政窓口や相談支援事業所で配布するなどにより、障がい者本人や家族への情報提供に取り組んでいると聞いておりますが、県といたしましても、各市町村に対し、任意事業の利用促進に向けた周知について、会議等の場で助言してまいります。
次に、障がい者の就労支援についてでありますが、平成27年度に農業に取り組んだ就労継続支援B型事業所は、県内142事業所のうち約3割に当たる47事業所になっています。農福連携は障がいの特性に応じた工賃向上の一方策として考えられますことから、ことし1月に開催した工賃引き上げ支援セミナーにおいて、東北農政局からの講演や県内事業所からの事例発表を行い、農福連携について理解を深めたところです。
今回のセミナーにおいて、施設周辺の農地を有効活用し就労の場としたい、多くの農福連携の具体例を聞いてみたいといった意見がありましたことから、来年度は、他県の事業者や障がい者が働いている農業現場の方などを講師とした講座を開催するなど、農業関係機関、団体等の協力を得ながら、農福連携の推進に向け取り組んでまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、災害公営住宅のコミュニティーについてでありますが、災害公営住宅の入居後に孤立やひきこもりをなくし、入居してよかったと実感して暮らしていただくとともに、入居後のさまざまな課題に対し、入居者みずからが話し合いを行い解決してもらうためには、入居者間のコミュニティーの構築が重要であると考えています。
このため、県営住宅団地にあっては、今年度から新たに、コミュニティー形成支援員の派遣や入居者交流会の開催により、自治会設立に向けた環境づくりに努めているところです。今後も、災害公営住宅における入居者間のコミュニティー構築のため、自治会の早期設立の支援に向けて取り組んでまいります。
次に、水門・陸閘自動閉鎖システム工事の進捗状況についてでありますが、現在は、自動閉鎖システムの根幹となるプログラムや一部の機器が完成したところであり、順次、県庁や合同庁舎等への機器設置や水門・陸閘の子局への接続工事を行っており、計画どおりの進捗が図られているところです。
平成29年7月以降、宮古市神林地区海岸、大船渡市合足農地海岸等において一部運用開始を予定しており、水門、防潮堤工事の進捗と合わせ順次運用を図りながら、平成31年度の完成を目指してまいります。
次に、水門・陸閘自動閉鎖システム工事の契約内容についてでありますが、一般的に契約工事が譲渡されるような場合には、契約約款の権利・義務の譲渡等の条項に基づき、県において、譲り受け人が当該工事を施工する能力を有するかどうか判断し、契約を継続するか否かを決定することとなります。
当該工事は、設計、施工に係る技術提案を総合的に評価し、最もすぐれた者を受注者として決定したものであり、県としては、受注者には契約どおり完成させてほしいと考えています。
〇24番(高橋孝眞君) 再質問はしない予定でありましたけれども、1点だけお伺いいたします。
最後の質問の関係でありますけれども、東芝が請け負っております水門・陸閘自動閉鎖システム工事でありますが、先ほどの質問に若干答えがないのではないかと思います。
まずは、契約の内容につきまして、受注者は、この契約により生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させてはならないというふうになっております。この部分について、先ほど回答がなかったのでお願いをしたいと思いますけれども、この工事そのものにつきましては、おくらせるわけにはいかないのだと私自身は思っております。先ほど言いましたように、会社を分割する、今請け負っている部分を分社化するとか、他に譲渡するという可能性もあるのではないかというふうに私は思うわけでありまして、そうなった場合の対応を今から県として考えておく必要があるのだと、そして、速やかに工期に間に合うように今回の工事はやっていただかなければいけないのだというふうに思うわけでありす。以前に、電気事業の関係では日本ロジテックの問題でもありましたけれども、他県でも同じような契約行為をしているのだから自分のところもいいというような感覚でおられると、また電気事業会計のような損失金が発生するのではないかと思うわけであります。契約行為というものを今のうちからきっちりと精査をして、万が一の譲渡があった場合どうするか、議会対応しなければいけないのであれば、そういうことも含めて考えておく必要があるのではないかと思ったわけでありまして、その点について再度お伺いをします。
〇県土整備部長(及川隆君) 先ほど、権利、義務の譲渡という条項についてお話をしましたけれども、基本的には、第三者に譲渡し、又は承継させてはならないとありますが、ただし書きがございまして、あらかじめ発注者の承諾を得た場合は、この限りではないということで、承諾した場合には承継できるということでございます。
また、この件に関するわけではございませんけれども、発注者と受注者の関係において、意見交換なり工程調整等さまざまな打ち合わせをする中で、当該工事の履行の見通しについて受注者に確認しておりまして、完成に向けて予定どおり進めるとの回答をいただいているところです。県としては、先ほども申し上げましたけれども、受注者には契約どおり完成させてほしいと考えておりまして、工程についてもおくれないように進めてまいる所存でございます。
〇24番(高橋孝眞君) 私は、そうなってほしいとか、そうなるべきだということを言っているわけではありません。分離されるのだとか、そういうことを言っているわけではなくて、仮にそうなった場合に、契約上、問題がないように今から考えておく必要があるのですということを言っているわけです。
今回の工事そのものはプロポーザルでありますし、また、議会の議決が必要な工事でもあります。ただし書きについても、あらかじめ発注者の承認を得た場合はという部分は、議会へ再度提案をするのかどうかも含めて、私は今のうちから考えておく必要があるのだと、整理しておく必要があるのだということをお話ししていることに対し、どう考えるかという部分であります。
〇県土整備部長(及川隆君) 分社化等々の話は仮定の話で、我々はまだそういうことを検討する段階には至っていないと思っているところでございまして、そういうような状況で事前の手続等をやる必要はないと考えております。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時10分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時33分 再 開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。郷右近浩君。
〔30番郷右近浩君登壇〕(拍手)

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