平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
ただいま上程されております議案第3号岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例に反対する立場で会派を代表して討論いたします。
この条例案の内容は、1、文化スポーツ部を設置し、分掌事務について定めること、2、国体・障がい者スポーツ大会局を廃止することとなっております。あらかじめ申し上げておきますが、私たちいわて県民クラブは、岩手県議会基本条例に定められた第9条の第2項、議会は、知事等と異なる立場及び権能を生かし、活動しなければならない、第10条、知事等の事務の執行が、適正かつ公平に、及び県民の意向を的確に把握しつつ能率的に行われているかどうかを監視するとともに、これが所期の効果及び成果をあげたかどうかを評価し、知事等に対し必要な是正措置又は対応を促すものとする、この条例の趣旨を十分に酌んで、以下、反対する理由を申し上げるものであります。
そもそも私たちは、本県が持っている文化、スポーツの多様な資源については高く評価するものであり、2巡目岩手国体と障がい者スポーツ大会の成功を機に、その力を地域振興に寄与させようとすることには全く異存がございません。特に2019年ラグビーワールドカップ釜石開催の成功には、県の総力を挙げて対応することを切望するものであります。
しかし、このたびの文化スポーツ部の新たな部の設置については、ただいま述べた意見と目的が完全合致するとは言えません。なかんずく新組織の設置には、施策の具体性や人員規模が適正であるのか十分に吟味する必要があると考えます。何より、現時点における本県が克服しなければならない使命―ミッションを決して忘れてはなりません。最重要課題である東日本大震災からの復興をなし遂げるために県の総合力をいかに効率的に人的にも投資していくか、この点は、組織体系の構築と維持をする上で県が注力すべき最大のポイントであるはずです。
反対とする理由の第1は、文化、スポーツに関係する事務の知事部局の一元化に向けて、バックボーンとなっている現在策定中の岩手県文化・スポーツ振興戦略の骨子案を見れば、平成33年度までのおおむね5年間に県として戦略的に取り組む施策の指針とするものの、実際は戦略的な具体性を欠いている点にあります。理念のみが先行し、県が果たすべき段階的な成果を検証するには適格性を欠いていると言わざるを得ません。
特にも、文化、スポーツには、附帯する県政課題として観光部門戦略が組み込まれていない点は、部としての格が維持されるのか疑問に感じます。被災地の実情を鑑みれば、スポーツや文化の力をもってして、観光を手がかりにしながら産業振興を図るべきです。百歩譲って、医師確保対策室に例があるように、商工労働観光部の観光課との共管にまでは最低組織として踏み込むべきと考えます。
例を挙げれば、近年、外航船クルーズは急速なビジネスとして発展しており、ラグビーワールドカップにもクルーズは有効に作用されることが予想され、被災地の地域経済にも寄与するものと考えます。被災地の皆さんも、スポーツと実利が連携している形を見ることで復興にさらに前向きになるはずです。
当局は、観光施策との連携については部局横断的な取り組みで補うと総務常任委員会で答弁されておりますが、これまで達増県政9年の間、部局横断的な取り組みは共通認識を得るだけにとどまっており、にわかにその実効性を信用できません。組織に組み込まれて初めて議会も検証結果を得ることが可能になる点を指摘させていただきます。
また、世界文化遺産の価値の発信については言うまでもなく観光施策を抜きにしては語れず、新部局の設置には観光施策あって初めて部としての格と政策の実効性が期待できるものと考えます。
理由の第2は、部の設置時期と規模であります。
部の規模は50人から70人規模になるということであります。言うなれば、国体局を廃止して、人員規模は新部に移行する形となります。震災復興のため、ただでさえ限られた人員で支えてきた県庁各部署は、国体が終了すれば人員回復を見込む期待感は潜在的にあったはずです。所掌事務においては現在施策展開している部局を統合するだけで、新たな人的補強はほとんどないとの答弁でありましたが、それでは当局は、現場で働いている職員のモチベーションまで考えが及んでいたのでありましょうか。なおかつ新部設置はさきに指摘したようなソフト戦略を基本にした組織体系であり、果たしてこの時期にこの趣旨とこの規模という疑問は職員も十分に感じているのではないでしょうか。時期と規模が適切であったか、人心を掌握した熟慮されたものであったか、現場職員の皆さんに今からでも直接聞いてみたらいかがでしょうか。答えは現場にあるのではありませんか。
今回の議案は、教育委員会で所掌された文化、スポーツが知事部局との連携が可能になったのは地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正によるものであり、他県でも先行的に組織改編されている例があります。本県も負けじと積極的に取り組もうとする姿勢は評価するものの、本県の実情に照らした施策展開が期待できなければ、新組織をつくった意味が県民利益には反映しないと考えます。
よって、文化、スポーツに関する事務の知事部局への一元化には、ただいまの点を指摘して新部設置戦略の再考を促すものであります。
議会の議決権の行使は議会に与えられた最高の権能であり、それを行使するには責任ある対応をするのが議員としての務めであります。総務常任委員会の質疑応答でも私は納得できないことから、本議案には反対の意思表示をする次第であります。我々が指摘した点を当局が明らかにせず、これから議員の指摘を十分に酌んで施策に反映させていただきます程度では、県民に対して議員の責任が果たせないと私は考えるものであります。
以上の理由を述べて反対討論といたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 次に、千田美津子さん。
〔1番千田美津子君登壇〕

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