平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(名須川晋君) 改革岩手の名須川晋でございます。
議案第3号岩手県部局等設置条例の一部を改正する条例について、賛成の立場から討論をいたします。
議案第3号は、文化スポーツ部を設置し、国体・障がい者スポーツ大会局を廃止しようとするものであります。
この10月に開催された希望郷いわて国体、いわて大会において、本県は天皇杯、皇后杯順位とも2位と大健闘、すばらしい成績を得て、大会は大成功裏のうちに閉会いたしました。
選手の皆さんはもちろん、県民一人一人がそれぞれの立場から尽力し、東日本大震災津波被害から立ち上がり、未来に向けて力強く前に進もうとする岩手の熱い思いと底力を、全国に広く示すことができたものと思います。
かつて、高村光太郎が岩手の人という歌の中で、地を住きて走らず、企てて草卒ならず、ついにその成すべきを成すと例えた岩手の県民性が存分に発揮された機会ではなかったでしょうか。
このたびの条例改正は、この大会を通じて醸成された県民の文化、スポーツに対する関心の高まりや参画意識を次世代に引き継いでいくためのものであり、また、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催や2020年東京オリンピック、パラリンピックの開催、平泉の文化遺産の拡張登録、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録の取り組みなど、今まさに岩手の文化やスポーツが新たな発展のステージに進もうとしている段階に文化スポーツ部を設置することは、希望郷いわて国体、いわて大会最大のレガシーとなり得るものと大変期待をするのであります。
私は、これまで、一般質問や委員会等で再三にわたり県のスポーツ行政に係る組織再編、特に障がい者スポーツ振興の観点から、スポーツ所管部局の一元化が必要であるとの立場で発言をしてまいりました。
数字を挙げて一例を申し述べるなら、今年度の岩手国体の選手強化事業費予算は4億1、400万円でございました。一方で、障がい者スポーツ大会の選手育成強化事業費はたったの600万円、教育委員会事務局スポーツ健康課と保健福祉部障がい保健福祉課でそれぞれの強化支援を進めてこられましたが、現状を鑑みますと、特に障がい者スポーツ冷遇の感は否めず、育成のノウハウも持ち合わせない状況で、まさに組織縦割りの弊害を生み出してきたと私は指摘させていただくのであります。健康づくりや生きがいとしてのスポーツ、生涯スポーツが教育委員会の所管であるのも相当に違和感を感じざるを得ません。
御案内のとおり、国会では2011年に超党派による議員立法でスポーツ振興法を50年ぶりに全面改正し、スポーツ基本法制定、厚生労働省から障がい者スポーツ部門を移管した上でスポーツ庁を設置し、まさに国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進しているところであります。
地方に目を転じますと、平成20年に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、地域の実情に応じて地方公共団体の長が文化やスポーツに関する事務を一元的に所掌できるとされたところであり、今議会では、文化、スポーツ行政を知事部局の同一部局に一元化する自治体がふえているとの答弁がございました。本県においても、その方向性についてはおおむね御理解は得られているものと思っております。
今回設置しようとする文化スポーツ部は、一元化により今までなかった業務に新たに人員を割くというものではなく、各部局、各所属で既にそれぞれ所管している文化、スポーツに関する業務を集約するとともに、国体、大会で得た岩手のスポーツの力、そして開会式、閉会式や文化プログラム事業などで花を開かせた岩手の文化の力をより強化し、ふるさと振興や地域振興のツールとして活用していく推進母体となる組織であります。
いわて県民計画第3期アクションプランやふるさと振興総合戦略を推進していく上でも、文化、スポーツ事務を知事部局に一元化することは、組織の能力を効率よく最大限引き出すことにもなり、当施策をより一層総合的に推進できるものと見込まれます。
また、県内の文化団体やスポーツ団体から見れば、文化とスポーツの先端組織が県庁内部にできることは、その発展の大きな後押しになるものであり、特に今回、市町村等との連携を強化するために広域振興局の体制強化も検討されていることから、今後、文化スポーツ部を中心に、市町村や関係団体を初めとした多様な主体と連携を図りながら、オール岩手の体制を構築していくことが期待できるものと思います。
加えて、障がい者芸術の活動支援や、障がい者を含めたトップアスリートの育成、スポーツツーリズムの振興など、文化、スポーツに関する施策の充実を図りながら、県民の健康づくり支援や観光振興施策に取り組めるなど、各部局と連携して幅広くそれぞれの分野の施策をこれまで以上に推進していくとの考えのもとに設置しようとするものであり、県政の大きな問題の一つであった縦割りの弊害解消の観点からも大きな効果が予測できます。
以上のことから、本議案は、岩手が進むべき方向として一定の評価ができるものであります。
最近は岩手からオリンピアンや全国に名立たるプロ野球選手を輩出し、先ごろのサッカークラブワールドカップでも、世界ナンバーワンチームを相手に本県出身の選手が目を見張る活躍をいたしました。岩手からは優秀なスポーツ選手は輩出できないという一昔前までのコンプレックスはもはや完全に払拭されたのではないでしょうか。そして、このたびの組織改編、スポーツ行政の一元化によってスポーツ振興はより加速し、障がい者アスリートの方々も含め、一層スポーツに打ち込める素地が整う、まさに岩手のノーマライゼーション新時代の到来をも期待できると私は考えるのであります。
東日本大震災津波から5年9カ月が経過し、今なお応急仮設住宅等への入居を余儀なくされている被災者の方々がおり、一刻も早い住宅再建、安全の確保、なりわいの再生が待たれます。本県や被災市町村においては、これまで全国から多くの応援職員の方々に復興業務に御尽力いただいており、本県復興の大きな力、支えとなっていることに厚く感謝するところであります。
そこにまた、文化やスポーツが持つ多面的な価値を社会的、経済的な力に発展させ、未来に向かって県民一人一人の個性と創造性が輝く地域づくりを進めていくことは、復興完遂を果たす大きな一つの要素として、その大命題に十分かなうものと確信いたすのでありま
す。
文化、スポーツを核としたふるさと振興に資する諸施策を効果的に展開し、次世代を担う子供たちの夢や希望を実現できる環境づくりに鋭意取り組んでいかれますことを強く要望して、議案第3号に対する賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 次に、飯澤匡君。
〔39番飯澤匡君登壇〕

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