平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
県民が直面している切実な課題について、達増知事に質問いたします。
第1に、台風第10号災害からの復旧、復興の課題について質問します。
3カ月半が経過しました。11月22日現在、被害総額1、447億円、住家被害の世帯数は、全壊512世帯、大規模半壊579世帯、半壊1、934世帯、床上浸水121世帯となっています。被災者の生活再建の土台は住宅の再建です。応急仮設住宅の希望者、みなし仮設住宅の入居者、在宅被災者の状況と住宅再建、在宅の改修、修理での再建の意向の状況はどう把握されているでしょうか。
小本川、安家川の河川改修の計画が示されました。改良的河川改修による河道拡幅によって、それぞれ約50戸が用地補償、移転の対象となる計画であります。移転用地を確保して集落が維持されるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
台風第10号被災者の医療費、介護保険利用料等の免除措置について、宮古市、岩泉町とともに、久慈市でも実施されるでしょうか。対象者、実施期間を含めて示していただきたい。
商工業者の被害が11月22日現在、1、885件、237億円余と極めて大きなものとなっています。地域なりわい再生緊急対策交付金の事業メニュー、対象件数、説明会、申請の受け付け、補助金の交付などはどうなっているでしょうか。
情報通信基盤の復旧がおくれています。テレビの共同受信施設の復旧を含めて、災害復旧事業の制度がないことが問題です。東日本大震災津波のときには、全面的に国の負担で復旧しました。国に強く要望していると思いますが、どうなっているでしょうか。国の対応がない場合は、どう復旧するかも含めて示していただきたい。
災害査定から災害復旧事業と、技師などの人材の確保が切実です。被災自治体の要請と派遣の状況、今後の対策と見通しはどうなっているでしょうか。
以上、壇上からの質問といたします。あとは、一問一答で質問させていただきます。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災者の住宅の確保と今後の住宅再建等についてでありますが、生活の再建を進める上で、住まいの再建が最も重要であると認識しており、これまで、県では、市町村と連携して、被災者一人一人の意向を丁寧に伺いながら、希望される住宅の確保等に努めてまいりました。
全壊等により住宅を確保できない方については、これまで暮らしていた地域に住み続けられるよう、応急仮設住宅10団地の整備を進め、年内には全ての団地が完成する見込みであり、希望者が10月下旬から順次入居を始めています。
いわゆるみなし仮設住宅については、被災者個々の希望に応じて民間賃貸住宅を借り上げ、9月上旬から順次入居しています。また、半壊以上の住家被害を受けたものの、自宅を修理して住み続ける意向の在宅の被災者については、災害救助法に基づき、市町村において応急修理を実施しているところです。
〔副議長退席、議長着席〕
全壊及び大規模半壊の住家被害を受けた世帯に対しては、被災者生活再建支援法に基づき、基礎支援金のほか、被災者の住宅再建等の意向に沿って、住宅の建設、購入や補修等に応じた加算支援金が支給されることとなっていますが、これまで加算支援金の申請をした世帯は2割弱にとどまっており、今後、被災者の住宅再建等の意向が明らかになってくるものと見込まれます。
県としては、市町村等と連携し、引き続き、被災者に寄り添った細やかな支援を行い、被災者の方が望む生活再建が実現されるよう努めてまいります。
次に、河川改修における集落の維持についてでありますが、移転の対象となる方を初め、沿川の地域住民の方々に対し、12月8日から22日まで、延べ5日間にわたり、町内で河川改修計画の説明会を開催しているところであり、これまでのところ、事業におおむね理解を示していただいていると受けとめています。
町においても、河川の拡幅は必要であり、これに伴う家屋移転はやむを得ないと認識しており、現在、移転に関する意向調査の実施に向けて準備を進めていると承知しています。
県としては、沿川で生活されている地域住民の方々の御意見を踏まえ、集落の維持が図られるよう、町と密接に連携を図りながら事業を円滑に進めてまいります。
次に、医療費、介護保険利用料の減免についてですが、国民健康保険の医療費一部負担金の減免については、宮古市、岩泉町、久慈市ともに実施しており、また、介護保険サービス利用料の減免については、宮古市及び岩泉町で実施しているが、久慈広域連合では実施していないと聞いています。
減免基準、実施期間などについては、保険者である各市町村等の判断により異なっており、久慈市における国民健康保険の医療費一部負担金減免については、現時点では、所有する住宅または家財の価格の10分の3以上の損害を受けた被保険者のうち、世帯の収入が生活保護基準以下等の要件に該当する場合に一部負担金を全額免除することとしており、免除期間は平成28年12月31日までとしていると把握していますが、現在、久慈市において、減免措置に対する国、県の財政支援、他の被災市町村の減免実施状況、国民健康保険運営に係る財政状況等を勘案しながら、対象者の要件拡大などについて検討を進めていると聞いています。
地域なりわい再生緊急対策交付金についてでありますが、本交付金は、台風第10号により甚大な被害を受けた宮古市、久慈市及び岩泉町に所在する中小企業者等が、早期に事業活動等を再開できるよう創設した制度であり、事業メニューとしては、被災企業の復旧経費を対象とした被災企業等復旧支援事業、商店街や小規模被災事業者の復旧経費を対象とした被災商店街等再生緊急対策事業、観光施設の復旧経費を対象とした観光施設復旧緊急対策事業、観光PRイベント等の実施経費を対象とした誘客・販売緊急対策事業、そして、大規模被災企業の復旧経費を対象とした大規模被災企業再建支援事業の五つを設けています。
次に、対象件数についてですが、特に上限は定めておらず、現時点で各市町から聞いたところでは、約1、000事業者の見込みとなっています。
説明会については、各市町が先月から精力的に実施しています。
申請の受け付けについては、きのうから久慈市が開始したほか、他の市町においても、今月中旬以降開始予定と聞いています。
被災事業者への補助金の交付時期については、それぞれの事業内容等により異なってくると考えられますが、各市町において、できるだけ早く交付手続を行えるよう進めているところであり、被災事業者の方々には、この制度を活用しながら、早期の復旧、復興に向けて取り組んでいただきたいと考えています。
次に、情報通信基盤の復旧についてでありますが、情報通信基盤については、災害復旧に係る補助制度がなく、東日本大震災津波の場合には、被災市町村に対して特別措置法により措置されたものであります。
県としては、情報通信基盤は、公共土木施設等と同様に地域住民にとって重要な社会インフラと捉え、国に対して、災害復旧の補助制度の創設を関係省庁に要望するとともに、大臣視察や衆議院の災害特別委員会の現地調査などの機会を捉えて要望を行ってまいりました。
現時点で補助制度の創設については見通しが立っていませんが、県としては、引き続き、被災市町などと連携して、国に対する要望活動を展開してまいります。
現在、市町村において、通信事業者の協力を得ながら、可能なところから応急復旧を進めているところでありますが、補助制度が創設されない場合の復旧については、財源としては、一般単独災害復旧事業債など市町村負担の軽減が図られる起債の活用が想定され、整備手法については、光ファイバー網を活用したテレビ視聴の方法なども含め検討されており、県としても、必要な助言や国への働きかけなど、市町村を支援してまいります。
次に、被災市町村の人材確保についてでありますが、発災直後、岩泉町からは、避難所運営や支援物資対応、被災住宅調査等の応援要請があり、内陸市町村等から12月1日現在で、延べ1、220人の職員派遣が行われました。現在、道路や河川等の災害査定に対応する土木職員の短期派遣が行われているところでありますが、これについてはおおむね必要数が確保されています。
今年度の中長期派遣については、岩泉町からは土木職員9人を含む12人の派遣要請があり、現在、県内市町村から3人が派遣されています。また、久慈市からは、土木職及び建築職7人の派遣要請に対して現在5人が派遣されており、引き続きの職員派遣に向けて、県市長会及び県町村会と調整を行っているところであります。
平成29年度については、岩泉町18人、久慈市5人、宮古市9人、合計で、土木職26人を含む32人の派遣要請があります。
このようなことから、県では、被災市町村人財確保連絡会議を開催し、県内市町村に対して、東日本大震災津波とあわせ、台風第10号で被災した市町への職員派遣についても要請を行いましたほか、今後、国や関係機関と連携して県外の自治体に働きかけるなど、人材確保に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 答弁が長かったのでね。
第2に、東日本大震災津波からの復興の課題について質問いたします。
大震災津波から5年9カ月が経過しました。11月末現在、応急仮設住宅入居者は5、589戸、1万1、691人、ピーク時の36.8%、山田町は5割を超え、大槌町、釜石市はほぼ5割が応急仮設住宅暮らしを強いられています。みなし仮設住宅を含めると6、997戸、1万5、385人、ピーク時の34.8%となっています。6、997戸の仮設住宅暮らしの被災者の住宅確保の意向は、どう把握されているでしょうか。仮設住宅暮らしの被災者の健康、生活苦の状況をどう把握されているでしょうか。その対策を含めて示していただきたい。
〇知事(達増拓也君) 四半期ごとに県が取りまとめている応急仮設住宅入居者の再建意向に係る調査結果では、平成28年9月末現在で応急仮設住宅に入居されている7、151世帯中、意向が決定した世帯は6、063世帯、約85%であり、そのうち3、378世帯が自宅再建、2、127世帯が災害公営住宅での再建等となっています。
また、応急仮設住宅で暮らしている被災者の方の健康状況については、平成27年度に岩手医科大学が行った調査によると、応急仮設住宅入居者で健康状態がよくないと答えた方が2割弱いらっしゃるほか、生活状況についても、応急仮設住宅を戸別訪問している生活支援相談員に寄せられた相談では、日常生活に関する相談が最も多く、全体の約3割を占めており、中には生活資金に関する相談もあると聞いております。
住まいの意向を決めかねている方に対しては、市町村と連携し、住宅再建相談会や沿岸4地区に設置している被災者支援相談センター等において、生活設計の専門家であるファイナンシャルプランナーによる相談を行っております。
また、健康支援や生活支援については、保健師や栄養士による健康相談や栄養指導、口腔ケア活動等を行っているほか、生活支援相談員が戸別訪問を通じて、適切な関係機関につなぐ等の支援を行っているところであり、今後も、被災者一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
〇37番(斉藤信君) 災害公営住宅は、11月末現在で4、283戸整備されました。3、463戸、6、500人が入居しています。県営災害公営住宅の場合、9月末現在ですが、1、202戸の管理戸数のうち、65歳以上が634人、単身世帯は259戸、21.5%となっています。
高齢者の閉じこもり、孤立化がどこでも聞かれます。孤独死を絶対に出さないとの立場で、高齢者の見守りを抜本的に強化すべきと考えますが、実態と対策はどうなっているでしょうか。
また、少なくとも整備戸数が100戸を超える災害公営住宅には、陸前高田市で成果を上げている市民交流プラザを設置するなど、集会所に支援員を配置すべきと考えますが、どう取り組まれているでしょうか。
特に301戸の県内最大規模の県営栃ヶ沢災害公営住宅の集会所には、ぜひとも市民交流プラザの設置、支援員の配置が必要と思いますが、どう検討されているでしょうか。
〇県土整備部長(及川隆君) 災害公営住宅の高齢者の見守りについてでありますが、災害公営住宅を含む県営の公営住宅では、75歳以上の単身高齢者及び80歳以上のみの世帯に対して指定管理者が3名の専門職員を配置し、訪問等による確認を実施しております。
また、団地内での入居者相互の見守りが重要となることを踏まえ、今年度から入居者の顔合わせ会などを実施するコミュニティ形成支援事業を開始したところです。
次に、災害公営住宅の集会所への支援員の配置についてでありますが、県が整備している災害公営住宅の集会所については、入居者の支援に携われる方が、そこで活動できるような事務スペース等を配置しています。現時点では、支援員の配置がなされていませんが、引き続き市町村に活動を呼びかけていきます。
陸前高田市の栃ヶ沢団地については、県内最大の災害公営住宅であることから、完成前から被災者の見守りとコミュニティー形成を目的に、県と市と関係団体で定期的に話し合いを重ねてきたところです。今月には、事務スペースに机や本棚等の備品の配置が完了したことから、今後、この話し合いの場において、支援員の配置等について協議をしてまいります。
〇37番(斉藤信君) 本当に災害公営住宅は閉じこもり、孤立化が進行していますから、事態が発生してから慌てるのではなくて、被災者支援総合交付金というのがあるわけだから、今こそしっかり活用して、絶対、孤独死を出さないという対策を進めていただきたい。
中心市街地の再建整備についてお聞きをします。
陸前高田市では、約10メートルのかさ上げをした中心市街地に、商店街や図書館等を併設した商業施設、公共駐車場やまちなか広場、一本松記念館、市民文化会館―仮称ですけれども、こうしたものを整備して新たなユニバーサルデザインのまちづくりをしようとしています。しかし、一本松記念館など復興庁の査定が厳しく、計画どおり進んでいないのが現状です。県は、全面的に支援する必要があると考えますが、現状と課題をどう把握しているでしょうか。
〇復興局長(木村卓也君) 陸前高田市における復興交付金の活用についてでございます。現在、陸前高田市では、かさ上げ地において、土地区画整理事業それから津波復興拠点整備事業及びその効果促進事業、さらには公共施設の災害復旧事業など、複数の制度を活用して一本松記念館等のさまざまな施設を計画し、または整備を進めていると伺っております。
これらの事業に係ります復興庁との協議におきましては、各施設の整備や規模の考え方、それから、それぞれの制度目的との関係等について説明を求められており、その対応や事業間の調整に時間を要しているところでございます。
県といたしましても、復興庁とのヒアリングに同席するなどにより市町村を支援しておりまして、今後も復興庁に地域の事情を丁寧に説明しながら、復興交付金事業の採択が円滑に進むよう、市町村とともにしっかりと取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 高田松原津波復興祈念公園の整備について、全体の構想と整備の計画はどうなっているでしょうか。被災遺構の保存などを含めて、国内はもとより、世界にも発信できるものとするために、県は陸前高田市と一体で取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(及川隆君) 高田松原津波復興祈念公園の整備についてでありますけれども、公園の全体構想については、東日本大震災津波による犠牲者への追悼と鎮魂、震災の教訓の伝承などを目的に、国による国営追悼・祈念施設や市による運動施設整備を含め、約130ヘクタールの公園整備を計画しているところです。
公園の整備計画については、市民ワークショップや有識者委員会等の意見を参考としながら、国及び陸前高田市と共同で、本年9月に公園全体の基本設計を策定、公表したところであり、国営追悼・祈念施設の事業進捗に合わせ、県の公園整備についても進めてまいりたいと考えています。
今後も、事業を進める上で陸前高田市との連携は重要と考えており、整備のみならず、管理に関する具体的な役割分担なども含め、緊密に連携して取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 陸前高田市では、まちづくりで予算化されたのも、その後、これが本当に必要かという厳しい査定を受けて進まない。おくれているところにこんな厳しいことをやったら、計画されているまちづくりが進まないのですよ。津波復興祈念公園は、まさに岩手に一つですからね、本当に日本全国、世界に訴えるようなものを県も一緒になって進めていただきたい。
第3に、雇用対策と労働委員会労働者委員の選任問題について質問いたします。
人材の確保は、岩手の経済を支える県内中小企業にとって切実で重要な課題となっています。しかし、新規高卒者の県内就職率は、平成28年3月時点で64.1%にとどまっています。これは全国で39位という低さです。
全国の状況は、愛知県が96%で第1位、石川県が93.9%で第2位、静岡県が92.9%、富山県が92.3%と続き、東北では、宮城県が80.9%で第20位、山形県が78.9%で第25位となっています。
そもそも、岩手県の目標は、平成30年度までに県内就職率66.5%を目指すという低い目標になっていることが大問題です。なぜ低い目標になっているのか。なぜ低い目標も達成できないのか。石川県や富山県、山形県と岩手県の取り組みはどこが違うのか示していただきたい。
私は、せめて宮城県、山形県並みに県内就職率80%を目指し、抜本的に取り組みを強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 新規高卒者の県内就職率の目標設定については、第3期アクションプランにおける目標値は、平成26年度の現状値63.4%を過去10年間の最高値である67.6%に、段階的に近づけることを目指して設定したものであります。
平成27年度の実績は64.1%となり、全国的な人手不足によって目標には届かなかったものの、県内就職率は前年より0.7ポイント増加したところであります。
石川県や富山県、山形県等の取り組みについては、歴史的に古くから一定の企業集積があり、また、地理的な特性もあって、もともと地元志向が強い地域と言われているところに加えて、近年の人口減少社会への対応として、地元企業の理解促進に力を入れて取り組んできていると把握しているところでありますが、本県におきましても、これまで就業支援員による高校との連携を強化し、県内就職の支援を行っていますほか、企業見学会やインターンシップなどの取り組みを展開した結果、地元就職への意識は高まってきていると認識しております。
今後、いわてで働こう推進協議会の各構成団体とも連携しながら、企業における雇用、労働環境の整備を初め、キャリア教育、インターンシップ事業の展開による県内企業と高校生のマッチングの一層の充実を図ることなどにより、新規高卒者の県内就職率がさらに高まっていくよう取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 明確な答弁がありませんでした。東北は平均でも71%なのですよ。大体、岩手県の目標は平均にも届いていない。掲げた目標も達成できない。いいですか。平成19年に岩手県は64.8%で、2、500人が県内に就職しました。平成28年3月は64.1%、1、938人です。いわば、平成19年よりも県内就職率が低く、生徒は減少していますから就職者数はもっと激減しているわけですよ。私は、石川県、富山県、山形県の産業構造を調べましたけれども、大きな違いはありませんよ。取り組みの違いですよ。私は、せめて山形県、宮城県と肩を並べるぐらいの目標は掲げて、そのためにあらゆる対策をとることが必要だと思いますが、改めて知事に伺います。
〇知事(達増拓也君) 人口減少対策、まち・ひと・しごと創生、ふるさと振興の観点からも、人口の社会減を減らしていくということは重要でありますので、このいわてで働こう推進協議会をベースにしながら、あらゆる手を尽くして、この新規高卒者の県内就職率の向上ということに努めてまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) ぜひ目標もしっかり定めて、高い目標に向かって意気高くやることが必要ですよ。ふるさと創生、生きませんよ、これ。
次に、知事はイクボス宣言をしています。長時間労働の解消について、岩手県が率先して解決に取り組むべきだと思いますが、県庁においても過労死ラインと言われる月80時間を超える超過勤務の件数は、昨年度延べ431人に及んでいました。大臣告示で言われている年間360時間を超える職員はどうなっているでしょうか。実態はイクボス宣言に逆行しているのではないかと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 県では、仕事と家庭の両立に配慮した働き方改革を推進していくため、次世代育成支援及び女性活躍推進のための特定事業主行動計画をもとに、業務の見直し等による超過勤務の縮減、育児休業等の取得促進、男女を問わず、子供の出生予定がある職員に対する休暇取得計画、勤務時間等の希望を踏まえた支援などに取り組んでまいりました。
年間360時間を超えて超過勤務を行っている職員については、平成27年度は483人であり、平成26年度の449人と比較して34人増加しておりますが、これは、復興事業の進捗に伴う業務量の増加、また、冬季国体の開催を含めた希望郷いわて国体、希望郷いわて大会準備業務の増加などが影響しているものと考えられます。
今後においても、引き続き超過勤務の縮減に努めるとともに、育児休業や介護休暇などを取得しやすい環境づくりにも努め、職員の仕事と家庭の両立を応援できるような働き方改革に取り組んでまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 483人が年間360時間を超えているとのことですが、私は年代を調べてみました。30代174人、40代179人、20代73人。いわば、子育て世代が一番残業をしているのですよ。これは、私はイクボス宣言に逆行すると思いますよ。せめて過労死ラインの80時間というのは解消する、30代、40代の子育て世代をきちんとフォローするということが、知事、必要じゃないですか。
〇総務部長(風早正毅君) 超過勤務の縮減に向けてでございます。これまで、超過勤務実施に係る事前命令と事後確認の徹底による総実勤務時間の縮減に努めるほか、恒常的な長時間の超過勤務や特定職員への業務量の偏りが生じないよう、業務の平準化に努めているところであります。
また、御指摘の子育て世代のところですが、次世代育成支援及び女性活躍推進のための特定事業主行動計画をもとに、さまざま家庭の両立のための支援制度の充実を図ってきたところでございますので、引き続き、これらの取り組みを進めながら、職員の働き方の改革にも積極的に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) ぜひ、知事、せっかくイクボス宣言したのですから、それが実になるように真剣に取り組んでいただきたい。
医療局長にも質問します。医療局長もイクボス宣言をしています。しかし、看護師の年次休暇の取得は、平均で7.8日にとどまっています。中央病院の場合は、平均5.6日、磐井病院は平均5.8日、平均ですよ、これ。だから、年間、2日、3日しかとれない看護師がたくさんいるのが実態です。さらに、9日夜勤まで行われています。イクボスと言うなら、せめて年次休暇が自由にとれるようにすることが必要ではないでしょうか。具体的な改善策を含めて答えていただきたい。
〇医療局長(八重樫幸治君) 県立病院の休暇取得の環境改善についてでありますが、医療局においても、働き方の見直しやワーク・ライフ・バランスの推進を図るために、私を初め各課長が仕事と家庭の両立支援に率先して取り組むことを表明したところであります。
平成27年における看護師の年次休暇の取得日数は7.8日であり、取得日数はここ数年間、同程度で推移しています。このため平成26年度に看護職員確保対策検討委員会を設置し、育児や介護等と勤務を両立していけるよう勤務環境の改善に取り組んできました。
今後においても、各病院に休暇の取得推進の通知を引き続き行うほか、産前産後休暇や育児休業等の取得者に係る代替職員を正規職員で配置することなどを通じて、年次休暇が取得しやすい職場環境づくりに努めてまいります。
〇37番(斉藤信君) 見通しが見えなかった。余りにも仕事が厳しくて休みがとれないから、昨年度の普通退職は91人で、そのうち20代、30代が64人ですよ。県南の基幹病院では、誕生日なら年次を認めると。誕生日しか認めないなんていうことを言っている、こういう病院があるのですよ。年次が自由にとれるような病院を目指しますか。
〇医療局長(八重樫幸治君) 平成27年度において、産育休取得者が225名おりましたが、その代替職員246名を措置しました。勤務環境改善に向けて、特別休暇の拡大を含めさまざまな取り組みを行っていますが、年次休暇の取得についても、より取得しやすい職場環境づくりを図り、看護師の負担軽減の充実を図ってまいります。
〇37番(斉藤信君) ぜひ、イクボス宣言に恥じない、看護師もふやして年次がとれるような、やめずに働けるような職場にしてください。
次に、労働委員会の労働者委員の選任について質問します。
今回も労働者委員は5人全員が連合(日本労働組合総連合会)推薦の候補者から選任されました。極めて不公正な事態が続いています。連合やいわて労連(岩手県労働組合連合会)が結成される以前の労働者委員の系統別選任の状況はどうだったか。現在の連合、いわて労連、その他の構成員と比率はどうなっているか。全国の労働者委員の選任で、連合以外で選任されている都道府県はどうなっているか示していただきたい。
北海道では、3度にわたる地方裁判所の違法判決を踏まえて、知事が北海道労働組合総連合の委員を先日選任しました。岩手県も労働組合の構成比率を踏まえて是正すべきではないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 労働委員会委員の選任については、本県では、労働組合法に定める任命手続に則して、労働組合から推薦のあった方の中から5名の労働者委員を任命しており、日本労働組合総連合会と全国労働組合総連合が結成される前の第32期の任命においては、当時の日本労働組合総評議会系及び全日本労働総同盟系の組合から推薦のあった候補者が選任されています。
岩手県の労働組合員の構成員及びその比率は、直近の調査結果では、約8万人の組合員のうち、連合岩手系が約6割、いわて労連系が約2割、その他は約2割となっています。
また、平成28年12月1日現在、11都道府県において連合系以外の労働者委員が選任されています。
〇37番(斉藤信君) 知事、答えなかったね。知事は、大震災のときには憲法第13条を掲げたじゃないですか。私は、憲法の精神に基づいてやるべきだと思いますよ。
札幌地方裁判所がどういう判決を下したか。知事の任命行為は恣意的裁量権の濫用に当たると、3回、こういう違法判決を下して、ことし、労連系からも選任されたのですよ。
1949年の旧労働省通達は、労働組合の組合員数に比例して選ぶとなっています。だから、連合の前のときには労働組合の比率は5対1だったけれども、総評議会系からも、同盟系からも選ばれたのですよ。今、3対1ですよ。労連系を排除したら非民主的じゃないですか。憲法、民主主義の立場で、達増知事、今、はっきりと是正の時期じゃないですか。
〇知事(達増拓也君) 系統別の組合員数に関する昭和24年の労働省の通牒は、労働委員会の委員の任命が機関委任事務であった当時のものであり、平成15年の福岡地方裁判所の判決で機関委任事務制度の廃止とともに失効したものとされており、そのように認識しております。
本県の労働者委員については、労働組合から推薦のあった方の中から適任と考える方を総合的に判断し任命したものでありまして、今後も、その都度、そのように選任してまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 知事、私は、札幌地裁の判決も示しました。歴史的経過も示しました。それでも是正する気はないのですか。そこだけ聞きますよ。是正する、そういう検討をする、やるべきじゃないですか。
〇知事(達増拓也君) 札幌地裁の判決では、北海道において系統別の割合を判断要素として設定したにもかかわらず、その検討が不十分であることが裁量権の範囲逸脱または濫用との判断が示されたと認識しております。
本県においては、推薦のあった方の労働組合における経験年数や役職経験等により、総合的に適任と認められる方を任命しているものでありまして、そのように任命してまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 札幌地裁は、そういう知事の任命行為は恣意的裁量権の濫用に当たると3度にわたって違法判決を下したのですよ。憲法を掲げてやっている知事が、そんなことではだめですよ。私は、厳しく、本当に、今、見直しの時期で、真剣に検討するように強く求めておきたい。
時間がないので次に進みます。
第4に、介護保険事業、国民健康保険、後期高齢者医療など高齢者の負担増の実態と対応について質問します。
介護保険事業は、保険料が引き上げられる一方で、受けられる介護サービスは削減され、さらに利用料の負担増で、保険あって介護なしの深刻な状況です。
補足給付の削減で、昨年度は1、307人が負担増となり、今年度の改悪で3、345人がさらに負担増となりました。ショートステイの回数を減らすなどの事態が起きていますが、負担増の実態、介護サービス抑制の実態をどういうふうに把握しているでしょうか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 補足給付の制度改正に係る実態についてでありますが、平成27年8月の制度改正で、一定額以上の預貯金や、世帯分離している配偶者の所得が新たに勘案されたところであり、この影響を含めて、平成27年8月末の補足給付の受給者は前年同月に比べ1、307人減少しております。また、平成28年8月の制度改正で非課税年金が新たに所得として勘案されたところであり、今年度の利用者負担が第2段階から第3段階に上がった被保険者数は3、345人となっています。
制度改正前後の平成26年度と平成27年度を比較いたしますと、議員からお話のあった短期入所生活介護、いわゆるショートステイについて、県内での利用者数や利用日数及び1人当たりの利用日数はいずれも増加しており、補足給付の制度改正に伴いサービス利用を控えているというような状況は統計上確認できませんが、制度改正の影響については引き続き注視してまいります。
〇37番(斉藤信君) 私が指摘した数を何回も言わなくていいのですよ。簡潔に、質問されたことに答えてください。
介護施設にとって人材の確保は深刻な問題です。ハローワークに求人を出しても1人の応募もないというのが共通した実態です。
介護事業者は、紹介会社や派遣会社に依頼し、年間報酬の20%、介護福祉士なら約50万円支払って、かろうじて確保しているというのが実態です。
県の介護人材確保の取り組みと実績はどうなっているでしょうか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 介護人材確保の取り組みと実績についてでありますが、県では、新規参入の促進のため、介護人材キャリア支援員による求人、求職のマッチング支援を行っており、昨年度は232名が、今年度も10月までに89名が新たに県内の事業所に採用されたところです。
また、県の財政支援のもと、岩手県社会福祉協議会が実施している介護福祉士等修学資金の貸付制度の中に、離職した介護人材を対象とする再就職準備金を創設し、先月から募集を開始しています。
処遇改善については、事業所に処遇改善加算の活用を働きかけた結果、本年10月時点の処遇改善加算の届け出率は88.8%と、前年同期より2.8ポイント上昇したところです。
また、一層の処遇改善に向けて、適切な水準の介護報酬を設定するよう国に対して継続的に要望しております。
〇37番(斉藤信君) 県内の介護福祉士養成校の入学者は、平成24年度は199人、定員に対して79%でした。平成28年度は98人と、定員に対して33.6%と激減しています。介護人材の確保にとっても、介護福祉士養成校にとっても危機的な状況となっているのではないでしょうか。その原因をどう把握して、どう打開しようとしているのか。
介護のための離職者は全国で8万8、300人、岩手県の場合は1、030人と推定されています。必要な介護が受けられないことが最大の要因ではないでしょうか。
県警本部長に質問します。介護にかかわる心中事件、殺人、自殺、傷害事件と疑われる事件は、この5年間でどうなっているでしょうか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 介護福祉士養成校についてでありますが、養成校への入学者は全国的に定員割れが続いており、その原因としては、少子化が進行する中、大学進学者の割合がふえる一方、専修学校全体の進学者は、割合、人数とも減少傾向にあること、他の業種と比較して介護従事者の賃金が低いなど処遇面の課題について注目される一方で、介護の仕事のやりがいや魅力については十分理解されていないことなどが挙げられています。
このため、県では、介護従事者の処遇改善を強く国に要望するとともに、修学資金の貸し付けにより養成校の学生の就学を支援しているところです。
また、これに加えて、介護の仕事のやりがいや魅力を広く発信するため、テレビ番組の制作、放映や、フリーペーパーの作成、配布、中学生や高校生等を対象とした出前講座の実施などにより、引き続き介護福祉士を目指す学生の拡大を図ってまいります。
また、介護離職についてでありますが、議員から御紹介のあった離職者数については、国の平成26年雇用動向調査に基づく推計値であり、介護のほか看護を理由とする離職者も含まれております。
介護のために離職した方々にはさまざまな事情があったものと考えられ、一概に申し上げられませんが、その家族が必要な介護を必ずしも十分に受けられないという事情の方もおられたものと推測しております。
〇警察本部長(堀誠司君) 平成23年から平成27年までの5年間の本県における介護、看病疲れが主たる犯行の原因、動機となった殺人事件の発生はゼロであります。傷害事件は平成27年に1件発生しております。
次に、介護、看病疲れが原因、動機と考えられる自殺は、平成23年が4人、平成24年が3人、平成25年が6人、平成26年が6人、平成27年が4人となっております。
〇37番(斉藤信君) 最近も住田町の事件が心中事件と報道されていますし、一戸の放火殺人も介護にかかわって起きたと報道されています。
今、県警本部長から答弁があったように、介護、看病疲れが原因の自殺は5年間で23件ですよ。やはり必要な介護が受けられていない。こういう必要な介護が受けられていない方に対して、行政や社会福祉協議会がきちんと訪問して実態を聞く、必要な援助をするという体制が、アウトリーチが必要だと私は思うけれども、そういうことは検討されているでしょうか。花巻市はやっていますね。どうですか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 地域の実態に合った介護保険サービスを提供することについては、それぞれの保険者において検討し、実施しているものと承知しております。
〇37番(斉藤信君) 県の姿勢が全然ないじゃないですか。市町村で検討しているって、そういう無責任なことだから、こういう深刻な事件が起こるのですよ。何で県議会で聞いていると思っているのですか。県の施策はないということですか。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 県といたしましては、いわていきいきプラン2017に基づいて、市町村の各保険者が行う取り組みについて支援しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 中身のない答弁をしないでください。何をしているか、もっと中身のある答弁をしてください。
次に、TPPと岩手の農業、食料問題についてお聞きします。
12月9日、TPP承認案と関連法案の採決が、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で強行されました。アメリカの次期大統領がTPPからの離脱を表明し、TPPが発効する見込みのない中で、情報公開もなく、世論調査でも徹底審議を求める声が圧倒的多数を占める中での採決強行は、二重、三重に許されない暴挙であります。
TPPは多国籍企業の利益を最大化するためのルールづくりです。TPPの承認は無意味であるにとどまらず極めて危険で有害です。TPPで譲歩した線が日本の国際公約だと世界に宣言することになってしまいます。日米2国間協議となれば、さらなる譲歩が求められることになります。日本は、TPPのような道ではなく、食料主権、経済主権を確立した新しい貿易、投資のルールを確立する道に進むべきと考えます。
県議会は、TPPの批准に反対する意見書を採択しましたが、知事の認識を伺います。
〇知事(達増拓也君) TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業を初め、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響があるものと考えられています。
県では、これまで、国に対してTPP協定の内容や国民生活などに及ぼす影響について十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くすように求めてきたところでありまして、平成28年9月県議会定例会で採択されたTPP協定を批准しないことを求める意見書の提出理由と同じ認識であったものであります。
そのような中、国会において、説明や議論が不十分なままに、TPP協定の承認案と関連法案が成立に至ったことは残念に思います。
〇37番(斉藤信君) TPPが岩手の農業に与える影響は極めて深刻だと私は思います。現在の米価でさえ、生産費を賄えるのは県内で5ヘクタール以上の農家、経営体ではわずか3%です。耕作面積では23%にすぎません。さらに、毎年8万トン、米の消費は減少しています。こうした中で、安い外国産の米7万8、400トンが輸入されるならば、米価がさらに下落し、生産量が減少することは明らかではないでしょうか。
県は、この間、約21億円の生産減少となると独自に試算しました。ところが、SBS(売買同時契約)米の輸入価格は60キログラム当たりで約20%、3、600円も安く販売されていたことが明らかになりました。だとするなら、さらに大きな影響となるのではないでしょうか。輸入米価格が20%安かったとすれば、どういう影響となるか示していただきたい。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、外国米の輸入と米の生産量の減少についてでありますが、米の生産量や価格につきましては、輸入米の影響以外にも、国内の需給動向はもとより、さまざまな要因により変動するものでございまして、予測は困難と考えております。
次に、米の影響試算についてでありますが、SBS米に係る調整金につきましては、農林水産省は、国産米の価格に影響を与えている事実は確認できなかったとの調査結果を公表するとともに、これを禁止するとの方針を示し、国会においてさまざまな議論があったところでありますが、現時点において今後の動向は不透明でありますことから、県といたしましては、その影響を推しはかることは困難と考えているところでございます。
〇37番(斉藤信君) せっかく県は21億円の生産減少という試算を出したじゃないですか。あなた方がやらないから私が試算しました。県の手法で、県の主食用米の約6割が業務用に回ると仮定してみますと、ひとめぼれで44億円、あきたこまちで9億円、合わせて53億円の生産減少です。これは生産額の1割ですよ。これは違ってないでしょう。部長、どうですか。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、SBS米に係る調整金につきましては、さまざまな議論がございまして、試算の前提条件によって変わり得るものでありますことから、お示しいただいた試算額につきましては言及することはできないと考えております。
〇37番(斉藤信君) 私は、これは担当者に、大体一致したと確認しました。これは大変なことですよ。輸入米価格が20%下がったら、53億円の生産減少なのです。生産額の1割ですよ。こういうものをびくびくしないで明らかにして、政府のやり方を批判すべきですよ。
もう一つ、財務省の財政制度等審議会が、11月、こういう方向を出しました。飼料米などの補助金政策の見直しと。こんなことをやったら転作もできなくなる。飼料米をやり始めて、途端にはしごを外すような、こんな政府のやり方でいいのか。いかがですか。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 飼料米につきましては、私どもは国策としてしっかりと対応すると受けとめて進めてきた政策でございますので、引き続き、飼料米の対策については継続していただきますように、今後とも国に要望してまいります。
〇37番(斉藤信君) 1991年以降の輸入自由化で日本の農業は、岩手の農業は本当に落ち込んだと私は思います。例えば、岩手の農業の生産額の1番を占める畜産農家は、平成3年―1991年―2万4、500戸でした。平成28年は4、850戸、20%に激減しているのですよ。自民党の農政で、本当に日本、岩手の農家がここまで追い詰められてきた。さらに、TPPで全面的な関税の撤廃なんかやったら、岩手の農業は生きていけませんよ。こういう悪政をごまかすために農業改革を農協改革にすりかえてやっているのが今の自民党じゃないでしょうか。
知事、今の農業改革がすっかりすりかえられていますが、世界の協同組合から、日本の農協、総合農協というのは世界の協同組合のモデルだと言われているのですよ。このごまかしは私は極めて重大だと思うけれども、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 農協改革は、その当事者である農協自体が主体性を持って進めていかなければならないわけであり、今、農協も自己改革に取り組んでいるということです。農協においても、地方創生、まち・ひと・しごと創生というような流れの中で、地方で持続可能な、人が稼いで生きていける場を実現していくというためにも、やはり開かれた議論をしてもらって、地方に住む人たちも一緒に考えて、何か分断されて各個撃破されていくことがないよう頑張りどころだと思うので、県としてもそこをしっかり見ていきたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 平成30年度から生産調整がなくなる。これは農家に不安を与えております。この生産調整が廃止になるということについて、県はどういう対策を進めているのか、これから進めようとしているのか示していただきたい。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 平成30年産以降の米政策への対応につきましては、現在、関係機関、団体や県で構成する岩手県農業再生協議会が中心となって、市町村や農協、集荷業者等の意見を聞きながら、需要に応じた生産を円滑に行える体制のあり方などの検討を進めているところでございまして、年内に中間取りまとめを行うこととして、現在取り進めているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 農業、第1次産業は地域経済の柱ですよ。ふるさと創生の柱ですよ。自民党の悪政から岩手の農業を守る、そういう取り組みをしっかり強めていただきたい。
次に、南スーダンPKOに、新たな戦争法、安全保障法制に基づいた駆けつけ警護等の任務を付与し、自衛隊の東北の部隊が派兵されていることについて質問します。
350人の部隊が派兵されていますが、岩手駐屯地からも約30人が派兵されると報道されています。県として確認しているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 岩手駐屯地からの派遣の状況については、私も新聞報道以上のことは承知しておりません。
〇37番(斉藤信君) 知事は、派遣の壮行会まで出たのだから、しっかり把握してくださいよ。岩手の自衛隊員、東北の自衛隊員の命にかかわる問題ですよ。私は、しっかり把握すべきだと思います。
それで、南スーダンでは、7月に首都ジュバで大統領派と副大統領派による大規模な戦闘が起こり、民間人数百人が死亡する戦闘がありました。最近の国連の報告書でも、7月のジュバでの戦闘を境に、こうした行為、襲撃は、その激しさ及び規模においてエスカレートしているとされています。国連のUNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)を攻撃しているのは南スーダン政府軍です。もし、駆けつけ警護の任務で自衛隊が行動すれば、南スーダン政府軍と戦闘することになりかねません。これは、憲法9条が明確に禁止している武力の行使に当たります。PKO参加5原則の紛争当事者間の停戦合意は既に崩壊しているのではないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) PKO参加5原則では、紛争当事者間に停戦合意があること等がPKO派遣の前提となっておりますし、また、これが満たされない状況が生じた場合には部隊は撤退することができることとされているわけでもありますので、政府においては、活動地域の情勢を踏まえて、PKO参加5原則が満たされているかについては、きちんと見きわめていくべきと考えております。
〇37番(斉藤信君) 知事は国際派なのだから、私の質問にもう少し正面から答えてくださいよ。
東日本大震災津波やことしの台風第10号災害のときも真っ先に被災地に駆けつけ、人命救助に取り組んだ東北の部隊、岩手駐屯地の自衛隊員も含まれる、憲法違反、PKO参加5原則にも反する自衛隊の派兵に反対し、撤退を求めるべきと考えますが、知事、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 11月15日の政府による新任務付与に関する基本的な考え方によれば、PKO参加5原則が満たされている場合であったとしても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には自衛隊の部隊を撤収するとしており、活動実施が困難と判断した場合にはちゅうちょなく撤収されるものと理解しておりますし、そうしなければならないと考えております。
今後、政府において、現地の情勢をしっかり把握し、的確に判断していただきたいと考えております。
〇37番(斉藤信君) 国連やNGOで活動した伊勢崎賢治さんがこう言っています。今、PKOの最も重要な任務は、紛争現場で武器を使ってでも住民を保護すると。国連PKOは変わったのです。武力を行使して、停戦合意がなくても交戦する、こういうPKOになった。だから、伊勢崎さんはこう言っているのですね。交戦するPKOの登場で、日本の5原則が意味をなさなくなった。交戦するようになったPKOの現場に、交戦できない自衛隊を送る。憲法とPKOの矛盾を取り繕うことはもはやできないと。
国際派の知事、どうですか。国連PKOが変質したと、そういうふうにわかっているでしょう。そして、国連は、南スーダンは内戦状態だと何度も指摘していますね。これは確認できますか。
〇知事(達増拓也君) PKOというものは、もともと停戦がなったところに、念のため、それまで紛争していた当事者同士が引き離され、その間に国連PKOが入ることによって、決して紛争が再び起きないように、平和が崩れないようにというものでありますから、やはりPKOというのは、基本的にそういう運用がなされるべきものと考えます。
また、我が国の自衛隊は、道路の建設でありますとか、PKO関係の施設の工事という任務で派遣されたわけでありますから、その活動実施が困難と判断した場合には、やはりちゅうちょなく撤収されるべきものと考えております。
〇37番(斉藤信君) 実は国連PKOは、1999年で方針が変わったのです。停戦合意がなくても、住民保護のために武力行使する、交戦できると。だから今のPKO5原則とは相入れないというのが常識的な考え方ですよ。それを無視しているのが今の安倍政権です。
それで、今、文字どおり、殺し殺される戦争に自衛隊員が派兵をされようとしておりますけれども、殺し殺される戦争に若者を送らない、再び戦場に教え子を送らないと、この侵略戦争の教訓を踏まえて、自衛隊の勧誘、推薦は慎むべきと考えますが、知事、教育長はどう考えているでしょうか。
全国の高校の4割で、自衛隊勧誘の説明会が開かれています。県内はどうなっているでしょうか。自衛隊の体験入隊に参加した中高生は、過去4年間で毎年5、000人超となっています。これは防衛省の発表です。県内の状況はどうなっているか。知事は、こうした自衛隊の勧誘はやめるべきではないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 自衛官の募集事務は、自衛隊法第29条の規定によって自衛隊地方協力本部が行うこととなっておりますが、同法第97条第1項及び自衛隊法施行令で定めるところによって、県はその一部、具体的には2等陸士、海士、空士及び陸海空自衛官候補生の募集期間、試験期日及び試験場等の告示、広報宣伝等を行っているものであります。これらの事務は、法定受託事務として行うこととされているものでありまして、その趣旨に従って事務処理を進めるものと考えております。
〇教育長(高橋嘉行君) 東日本大震災を初め、豪雨災害など本県で頻発した自然災害におきまして、自衛隊の皆さんが行った被災地での献身的かつ迅速な救助、捜索活動や物資輸送、道路啓開などのライフラインの復旧等に対し、多くの県民の皆様が、心強く、また、感謝の思いを抱いたと思いますけれども、こうした活動を目の当たりにした本県の子供たちの中にも、自衛隊の活動に感謝の思いとあわせ、将来の仕事先として、自衛隊への関心を高めた児童生徒がいると承知いたしております。
本県の学校教育における人生観や職業観などの育成に当たっては、児童生徒の発達段階に応じて、学校の教育活動全体を通じてキャリア教育に取り組み、生徒一人一人が主体性を持って将来の職業を選択できるような指導に努めてきております。
具体的な進路指導に当たりましては、こうした点を踏まえるとともに、職業選択の自由を尊重しながら、特定の分野に偏った誘導等をすることなく、生徒自身の興味関心、意欲を尊重するとともに、保護者の意向等も受けとめながら、丁寧に対応しているところでございます。(37番斉藤信君「答弁漏れだ」と呼ぶ)
学校での説明会の関係ですけれども、キャリア教育、就職の選択をする上で、生徒たちはさまざまな希望を持っております。自衛隊だけではなくて、いろんな産業界、それから公務員、いろいろありますけれども、その実情を……(37番斉藤信君「やっているかどうか聞いているのよ」と呼ぶ)その実情を説明させるということで説明会をやっていますけれども、その調査は現時点でやっておりません。ただいまお話がありましたその実情を把握するようなことを検討してみたいと思っております。
〇37番(斉藤信君) 聞かないことを答えないでください。東日本大震災津波で献身的に活動した自衛隊を見て、平成24年度は170人入隊しました。しかし、戦争法が強行されたことを含めて、平成27年は106人に激減しています。自衛隊は変質しているのですよ。私はこの実態をよく見てやるべきだと思います。そして、防衛省が全国の高校の4割で説明会をやっているというのだから、ちゃんと調べて明らかにしてください。質問通告もしているのだから。
次に、いじめ、体罰、教師による暴言、暴力による不登校事件など重大な事態について質問いたします。
10月27日に公表となった平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に対する調査についてでは、いじめの認知件数が3、274件で、前年比1、500件の増となっています。いじめの認知件数が増加したことは、今までは把握されていないいじめが把握されてきたという積極的な側面があると思います。しかし、いじめ防止対策推進法第28条第1項に規定する重大事態の発生件数が17件となったことは重大です。小・中・高校ごとに重大事態の件数と内容、対応について示していただきたい。
〇教育長(高橋嘉行君) 県内公立学校の重大事態の発生件数は、小学校で2件、中学校で9件、高等学校で6件の計17件となっております。
その具体的な内容につきましては、いじめにより児童生徒が生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあるいじめ防止対策推進法第28条第1項第1号に該当する事案は、中学校で2件であり、いじめにより相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされた疑いがある第2号事案は、小学校で2件、中学校で7件、高等学校で5件、第1号と第2号の両方に該当する事案が、高等学校で1件となっております。
その具体的な対応につきましては、本県で発生した痛ましい事案の教訓等を踏まえ、県立学校、市町村立学校それぞれの事案ともに、各学校が策定している学校いじめ防止基本方針等に基づき、それぞれの教育委員会の指導のもとに、各学校が調査と課題の解決に学校組織を挙げて取り組んできており、また、被害児童生徒に対しては、スクールカウンセラーの派遣なども行いながら、心のケアにも努めてきているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 県立高校に関する重大事態の学校調査報告書を見ました。いじめに関して生徒全体の調査が行われず、当事者の調査にとどまっていますが、いじめ対策のポイントは、いじめられている生徒の命と安全を最優先に、いじめの実態について速やかに徹底して調査することです。なぜ、生徒全体の調査が行われていないのか。生徒全体の調査が行われなければ、生徒自身の問題として解決することにはならないのではないか。
重大事態のいじめについて、知事が招集する岩手県いじめ問題対策連絡協議会も、教育委員会の附属機関としての第三者委員会である岩手県いじめ問題対策委員会も開かれていないのはなぜでしょうか。
〇知事(達増拓也君) まず、岩手県いじめ問題対策連絡協議会についてでありますが、これは、いじめ防止対策推進法と岩手県いじめ問題対策連絡協議会条例に基づいて、いじめ問題個々の事案を調査する場ではなく、いじめ防止等に関係する機関、団体の連携を図るため設置しているものでありますが、いじめ問題は教育委員会のかかわりが極めて深いことから、その具体的な事務の執行については、地方自治法に基づき教育委員会事務局に補助執行をさせております。
教育委員会においては、昨年度は、問題行動等調査が公表された後の12月に、この調査結果等を踏まえ知事名で会議の開催を招集したところであり、本年においては、協議会会長等と協議して1月に開催する予定としています。
〇教育長(高橋嘉行君) まず、重大事態に係る生徒全体への調査がなぜ行われなかったかということですけれども、重大事態の調査は、当該事案に係る事実関係を網羅的に明確にすることを目的として実施するものであり、当該事態への対処とあわせ、同種の事態の再発防止を図るために、議員御指摘のとおり重要であるというように思っております。
このような事案が発生した場合の学校の対応としては、いじめを受けた児童生徒及び保護者の意向を尊重しながら、被害児童生徒の学校復帰が阻害されないよう、十分に配慮して調査を行うことが重要であり、学校におきましては、いじめ防止対策推進法や文部科学省のいじめの防止等のための基本的な方針を踏まえた適切な対応が求められております。
平成27年度に発生した重大事態の学校調査に当たり、それぞれの学校において、いじめを受けた生徒及び保護者の意向を踏まえ対応したものでございますし、教職員及び学級や部活動などで当該生徒とかかわりの深い生徒を対象とした調査により事実関係が把握でき、当該生徒及び保護者の理解が得られたということが、生徒全体の調査が行われなかった理由でございます。
それから、いじめ問題対策委員会についてでございます。岩手県いじめ問題対策委員会は、いじめ防止対策推進法、それから岩手県いじめ問題対策委員会条例に基づいた、いじめ重大事態等を調査する教育委員会の附属機関でありますが、その具体的な運用につきましては、いじめの防止等のための基本的な方針等に基づき行うこととしており、平成27年度におきましては、各学校のいじめ防止基本方針に基づく学校主体での調査を行い、その調査結果については、生徒及び保護者から御理解をいただいたことから、この委員会を開催しなかったところであります。
今後におきましては、学校調査の結果に被害生徒及び保護者から理解を得られない場合等にあっては、必要に応じ、当該委員会での調査に機動的に取り組んでまいります。
〇37番(斉藤信君) 県立高校の重大事態6件のうち、自殺未遂は1件、転校を余儀なくされたのが2件もあるのですよ。そして、私は調査報告書を見たけれども、ほとんど初動が失敗。これはみんな反省しています。調査は全部当事者だけ。何の教訓も出てこない。いじめというのはね、徹底した調査をしないとだめなのですよ。
ジェントルハートプロジェクトといういじめ被害者の会がありますけれども、いじめというのが発生したら、いわばその時点では深刻になっているということを受けとめて、3日以内に徹底した調査をすべきだと提案していますね。
私は、これだけ重大事態が起きたのに、当事者間の学校の不十分な調査にとどまっている、これは問題ですよ。せっかくつくった第三者委員会が1年も開かれていない。何のためにつくったのですか。これは厳しく指摘だけしておきます。
次に、教師の暴言、暴力による不登校事件について、沿岸南部の県立高校において、教師の暴言によって生徒が不登校に陥った事件が発生しました。生徒関係者からの県教委への通報によって明らかになりましたが、学校の初動の対応が不十分なものでありました。学級生徒全員の調査結果を踏まえて、教師の暴言による不登校事件として今対応されています。教師の暴言によって不登校になるという、これは極めて重大な事例でありました。
全ての県議会議員に訴えがあった県央部の県立高校における教師の暴言、暴力による不登校事件は、残念ながらまだ未解決です。なぜなら、顧問の教師が暴力、体罰を否定し、学校がまともな調査もせず、教師の否定発言をうのみにしたために、学校として対応してこなかったからであります。不登校に陥った本人と父母は、真相の究明を求めてやむを得ず民事訴訟に訴えるしかありませんでした。教師の暴力、暴言によって不登校に陥ったと、生徒本人が勇気を奮って学校に訴えたにもかかわらず、関係者、生徒のまともな調査を行わなかったことは、私は重大な過失ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 当該事案につきましては、県立高校の卒業生とその保護者が、平成21年に部活動の顧問による暴言、暴行等によりPTSDに罹患し、精神的苦痛を被ったとして、昨年9月に、当該教員と県に対し、精神的損害に対する賠償等を求めて民事訴訟を提起している事案でありますが、事実関係の確認の結果、当該卒業生に訴状のような暴力行為等は確認されなかったこと、また、平成24年に原告側が行った傷害事件に係る告訴につきましても検察庁が不起訴処分としたこと等を踏まえ、県として応訴したものでございます。
当該高校におきましては、平成21年当時、保護者からの要請を受け、部活動の顧問及び当時の担任教員に対し聴取を行い、部活動の顧問からは、県外への遠征試合に無断で欠席したことについて体育教官室で口頭での強い個別指導を行ったが、暴力は振るっていないこと、当該卒業生の担任であり、日常的に隣接した場で活動していたクラブの顧問であった教員からは、ふだんの部活動や練習試合における当該教員の体罰行為を目撃したことがない等の聴取結果を得ていたところであります。
裁判が進んできた本年6月に、県教委が元同級生部員に対して行った聴取におきまして、部員の頭や顔を平手でたたく等の行為が確認されておりますが、それは、当該卒業生に対して行われたものではないことから、県としては、裁判においてその旨を主張しているところでありますし、他の生徒へ行った行為の強度も、傷害を負わせたり強い痛みを感じさせるものではなく、練習試合等において、特に指導に熱が入った場面で行われたものであって、その頻度についても日常的なものではなかったことが、結果として確認されているところでございます。
〇37番(斉藤信君) 県教委と知事が、事実関係の確認を行った結果、訴状にあるような暴力行為はいずれも確認されなかったとして応訴し、原告の請求の棄却を求めていますが、教師は、公判の前は一貫して体罰を否定していました。公判が始まったら、生徒の証言で体罰を認めました。これは、顧問の教師が虚偽を証言したということになりませんか。
〇教育長(高橋嘉行君) 当該部活動の顧問が、裁判が開始された後、口頭弁論等において、頭や顔を片方の平手でたたく等の行為があったことを認めたことは事実でございます。しかしながら、それらの行為は、当該生徒に対して行われたものではなく、また、それらの行為の強度についても、傷害を負わせたり、強い痛みを感じさせるものではなく、練習試合等において、特に指導に熱が入った場面で行われたものであって、その頻度についても、先ほども申し上げましたけれども、日常的なものではなかったことを、元同級生部員からの聴取において確認しているところでありまして、今般の裁判に関しましては、その暴力行為があったということに対しては、当該生徒にはやっていないということでございます。
〇37番(斉藤信君) 肝心なことを答えていないのですね。公判前は体罰を一切否定していたのですよ。ところが体罰はあったのですよ。そして、夜遅く、体育教官室に、クラブ活動が終わってから3時間近くも監禁して、暴言を繰り返した。学校教育法上、これは体罰なのですよ。平手打ちも体罰なのですよ。本人に対して暴力行為がなかったと言っていますが、実は不起訴処分、これがなされたときに、検察から父母に説明がありました。暴力実行行為について、本件では、他のバレーボール部員と同機会において、月1回程度、個別に顔面を殴打されていたことが数回、平成20年11月、体育教官室においてどなりつけられる、机をたたかれたり、壁に向かって鍵を投げつけられるという事実が認定可能だと。本人も暴力があったと認めていますよ。
教師がこの体罰を否定して、そのために学校は調査もしなかった。そのために訴えざるを得なかったものですよ、この事件は。その土台が崩れたら、私は、県教委が真摯になって、教育の立場で、この問題はきっちり調査する、そのことが必要なのではないですか。
〇教育長(高橋嘉行君) 体育教官室での具体的な内容につきましては、監禁状態など原告側の主張とは大きく異なっているところでありまして、裁判におきまして、その旨を主張しているところでございますし、先ほどの殴ったということについても、当該生徒には行っていないということでございます。
それ以外のことにつきましては、現在係争中でございますので、発言を控えさせていただきます。
〇37番(斉藤信君) 私は、裁判をやる土台が崩れたのだと思います。体罰は一貫して否定していたのが、体罰をしていた。本人への体罰も検察は認めていますよ。深刻ですよ、これは。ところが、否定した顧問教師の証言を前提にして学校は調査しなかった。調査を拒否したのですよ。本当にこれは一人の高校生の青春を、進路を踏みにじることになったのではないかと私は思いますよ。父母が今真剣な調査を求めているのなら、それに応えて私は調査をすべきだと強く求めておきたいと思います。
次に、核のごみ、高レベル放射性廃棄物の処分問題について質問をいたします。
現在の原子力発電所が使用済み核燃料、放射性廃棄物の処分の見通しもなく、推進されてきたこと自身が無責任で重大な問題です。少なくとも、これ以上、放射性廃棄物を出すべきではないし、原発の再稼動はやめるべきと考えますが、知事の認識をお聞きします。
そして、知事は今度の議会でも、岩手県を最終処分地とはしないと言明をしています。私はILCのことも含めて、将来にわたって、岩手県は、核のごみの最終処分地にしないという宣言や条例の制定が必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、エネルギーに対する国民の問題意識の変化を踏まえたエネルギー政策が求められていると考えています。
原発再稼働及び高レベル放射性廃棄物の処分についても、国の責任において国民的議論を行いながら検討すべきものと考えますが、日本学術会議も指摘しているとおり、高レベル放射性廃棄物の処分については、まずは原子力政策に関する大局的方針について国民的合意を得ることが必要であり、そして、高レベル放射性廃棄物の処分のあり方についても、地層処分の問題点に係る検討も含めて、国の責任において検討していくべきであります。
県としては、当面は、いわゆる科学的有望地の提示や特定放射性廃棄物最終処分法に基づく調査の動向を注視していく必要があると考えておりますけれども、今後も最終処分場を受け入れる考えがないという姿勢で臨みたいと考えております。
受け入れ拒否の姿勢を改めて明確にすることについては、どのような時期に、どのような方法で行うことが最も効果的か、引き続き検討してまいりたいと思います。
〇37番(斉藤信君) 今、答弁にあった日本学術会議の指摘は回答と提言なのですけれども、これは政府の原子力委員会から諮問されて行われた科学者の総意だと私は思います。たくさんの提言があるけれども、その中で一番の中心は、暫定保管と総量規制です。いわば何万年もの間保管するという、そういう技術が今あるのか。だとすれば、そういう方向を含めて、50年から100年という単位でこの暫定保管をして議論すべきだと。しかし、そういう時期に、高レベル放射性廃棄物をふやし続けていいのかと、これがもう一つの問題です。核のごみの処分の方法も示されないのに、一方では、原発再稼動をしてふやし続けるということは、私は重大な矛盾じゃないかと思いますが、これは指摘だけにとどめて、最後の質問に行きます。
公安委員長に質問します。2014年7月24日の週刊文春で、岩手医科大学教授の若林剛氏の覚醒剤疑惑が報道されました。覚醒剤の注射を打たれていたという女性が証言した重大な内容です。岩手医科大学は、発売直後の7月16日、事実関係を確認するための調査委員会の設置を決めました。当時は素早い対応として評価されましたが、県警の捜査も岩手医大の調査も、その後、何も明らかにされませんでした。若林教授は、昨年3月、岩手医大を退職しましたが、その理由も示されませんでした。そうした中で、昨年4月、捜査の責任者である刑事部長が岩手医大に病院長顧問として天下り、再就職しました。結局は、事件をもみ消し、その代償として天下ったのではないかと疑われます。
公安委員長は、覚醒剤疑惑事件について県警から報告を受けたでしょうか。また、捜査の指示を行っていないのでしょうか。覚醒剤事件にかかわる大学に捜査の責任者である刑事部長が再就職することに、疑問を感じていないのでしょうか。
〇公安委員会委員長(雫石禮子君) 元岩手医科大学教授の覚醒剤疑惑につきましては、県警察から捜査状況に関する報告は受けておりませんが、この疑惑が週刊誌に掲載されたことや、昨年からの県議会における斉藤議員からの御質問とこれに対する答弁の内容については、報告を受けております。
捜査の指示についてでございますが、公安委員会は県警察を管理し、法律の規定に基づき、その権限に属された事務をつかさどることとされております。
公安委員会が行う管理は、個々の事務執行を含まず、大綱方針を定めて、これによる事前事後の監督を行うものと承知しております。
再就職についてでございますが、公安委員会といたしましては、退職者の再就職については、民間企業等が、どのような人材を必要とし、どのような採用を行うかは、あくまで当該企業等の独自の裁量と努力によるところであり、再就職は雇用主と退職職員本人との雇用契約に基づいているものと承知しております。
〇37番(斉藤信君) 余りにもお粗末ですね、公安委員長。いいですか。覚醒剤疑惑というのは重大事件ですよ。その報告を受けていないというのは捜査していないということでしょう。その捜査の責任者が、当該の大学に天下るなんていうことは社会的に許されませんよ、こんなことは。現実に若林教授が昨年の3月に退職しているのですよ。責任をとってやめているのですよ。もみ消しですよ、これは。そういうふうに感じませんか。警察を管理していて、これだけ目に見えるような癒着の事件を公安委員会が指示しないと、そういうことでいいのですか、公安委員長。
〇公安委員会委員長(雫石禮子君) 個別の事案について監察の指示をするかどうかにつきましては、答弁を差し控えさせていただきます。
一般論として申し上げますと、県警察の事務または県警察の職員の非違に関する監察について、必要があると認めるときは警察法に基づいて監察の指示を行うものであります。
〇37番(斉藤信君) 覚醒剤事件という重大な事件が発生をした。打たれた女性が証言したのですから。尿検査、血液検査をしたら一発でわかる事件ですよ、これは。やっていないということです。そして、もみ消したところに捜査の責任者が再就職すると。これが癒着でなくて何なのか。私は公安委員会の存在意義が問われていると思いますよ。そのことを指摘して終わります。(拍手)
〇議長(田村誠君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2議案第1号平成28年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第35議案第34号船越漁港海岸防潮堤災害復旧工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) この際、日程第2、議案第1号から日程第35、議案第34号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

前へ 次へ