平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(佐藤ケイ子君) 改革岩手の佐藤ケイ子でございます。2度目の一般質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
いよいよ、2016年も年の瀬を迎えました。この1年、私が心に残ったのは、国体で大きな感動をいただいたこと、大震災からの復興はおくれつつも、工事の着実な前進を感じたこと、台風第10号の甚大な被害が衝撃的だったことでした。また、どの場面でも、県と市町村挙げての日夜の取り組みを目にし、敬意を表したいと思いました。
このたび、台風被害の義援金が2億1、500万円以上寄せられ、12月20日に被災市町村に配分されるとの資料をいただきました。年越しを迎えて、せめてもの救いになればと思うとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。それでは、通告に従い順次質問いたしますので、前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。
最初に、若者の県内定着の促進についてお伺いいたします。
このたび、県では、県内ものづくり企業等の技術力、開発力の向上等を担う産業人材を確保し、地域産業の高度化、持続的な発展を推進するため、大学生等を対象に、奨学金返還の一部を助成するいわて産業人材奨学金返還支援制度を創設し、大学生等の県内への環流、定着を図ることとしています。このことは、若者の県内定着の促進に向けて大きな前進と高く評価するものであり、また、大いに期待するものであります。
そこでお伺いいたしますが、この支援制度の創設により、今後、県にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。また、どのような地域産業振興の方向性を描いて取り組みを進めていくのか、御所見をお伺いいたします。
次に、給付型奨学金制度との調整について伺います。
国では、所得が低い世帯の大学生に返済の必要がない奨学金を提供する給付型奨学金制度を平成30年度から導入することとして検討されています。給付型奨学金が定着、拡大することは歓迎されるものですけれども、地元定着誘導型の本県の支援制度の効果が薄れてくるのではないかと悩ましくもあります。
今後の支援制度のあり方、地元定着の促進対策について御所見を伺います。
第2点目は、子育て支援について伺います。
ことしの新語・流行語大賞のトップテンとなった保育園落ちた日本死ねは、インターネットを初めマスコミにも取り上げられるなど、全国的に話題となり、国会においても、待機児童問題に関し活発な議論が交わされたところです。
ことし9月に、厚生労働省が発表した平成28年4月1日現在の全国の待機児童数は2万3、553人、前年比386人増となっておりますが、利用できる認可保育所があるのに、特定の保育所を希望している方などのいわゆる隠れ待機児童も多く存在し、実態と違うのではないかと言われております。厚生労働省では、待機児童の定義を見直すこととし、有識者や市区町村職員による検討会を立ち上げ、年度内に結論を出し、平成29年度から新しい定義を適用するとの報道があります。
国は、待機児童解消加速化プランにより受け皿をふやしたとしておりますが、隠れ待機児童も加算されれば、国が目指す待機児童ゼロの実現は遠のくことになります。今後、さらなる待機児童対策が求められ、各自治体の子ども・子育て支援事業計画の変更の必要性が出てくることになります。
本県における待機児童は、本年4月1日現在、11市町村194人で、隠れ待機児童は483人となっています。昨年10月1日現在の待機児童は、18市町村732人であることを勘案すると、本年10月1日においても、隠れ待機児童を含め、多くの待機児童が発生していると見込まれるところです。
そこでお伺いいたしますが、年度途中の待機児童が増加する要因をどのように認識し対応しようとしているのか、お伺いいたします。
また、保育施設の定員は、認定こども園や小規模保育などで増加したと聞いておりますが、どの程度増加したのか、あわせてお伺いいたします。
次に、保育士の処遇改善について伺います。
保育士の処遇改善に向けて、国では、保育士の賃金を2%、約6、000円引き上げ、経験を積んだベテラン保育士に対しては、4万円を上乗せすることが検討されています。また、保育士の賃金を改善する計画を実行した民間保育事業者に50万円の補助金を交付することも検討されていますが、依然として官民格差は埋まらず、私立保育所では、平均勤続年数11年で処遇改善等加算が頭打ちとなります。ベテラン保育士のキャリアアップも必要ですが、賃金の引き上げは一時金の対応が多く、補助金の継続性が不透明であることから、定期昇給制度につながっていないのが現状です。
保育ニーズは高く、新しい保育施設が次々に建設され、保育士の採用競争が激化している現状もあり、大都市では、常勤保育士給与に1万円の上乗せ支給や住宅の借り上げ、家賃補助の実施、就職時に10万円を、さらに1年間の勤務を経た際に10万円を支給するなど、処遇改善に取り組んでいる自治体があり、保育士の地方からの流出が加速していると言われています。本県でも、潜在保育士の掘り起こしを行っておりますが、賃金と希望が合わない、責任の重さ、事故への不安、健康、体力の不安など、保育士の仕事そのものへの不安も出ているところであります。
こうした状況の中、本県においても独自の保育士の処遇改善や就業資金の貸し付けができないのか、お伺いいたします。
また、潜在保育士の研修会などを県内各地で開催するよう取り組みを進めるべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、放課後児童健全育成事業の運営について伺います。
放課後児童健全育成事業いわゆる放課後児童クラブは、平成27年度から地域子ども・子育て支援事業に位置づけられています。しかし、新制度に対する自治体の取り組みの違いもあり、地域で格差が出ています。
県内には、本年5月現在、32市町村、323クラブがあり、1万3、338人が利用していますが、利用申し込みをしたにもかかわらず、利用できない児童は58人となっています。放課後児童クラブは、子供たちの放課後活動や生活の場として活用されていますが、環境整備が課題となっています。
利用料月額は運営形態によって差があり、5、500円から1万円を超えるところもあり、市町村によってその基準が異なります。県は、運営費の負担とともに、指導員の研修に取り組んでおりますが、特に専門資格の放課後児童支援員が創設されたことから、希望する全ての指導員の資格取得に向けた取り組みが必要です。児童支援員、指導員とも待遇が十分でないところがあり、職員募集をしても集まらない地域もあるなど、対応が求められております。
放課後児童クラブは、市町村条例に定める設備、運営基準への適合、減免を含めた利用料の決定、職員の処遇改善や運営資金の確保など、多くの課題があります。また、利用申し込みをしたにもかかわらず利用できない児童や、新たなクラブの設置などの問題もあり、地域の子育てニーズを把握しながら計画的に進めていく必要があります。
そこでお伺いいたしますが、県内における利用申し込みをしたにもかかわらず利用できない児童の状況、運営に係る市町村格差など、放課後児童クラブが抱える課題と、その取り組み方針についてお示し願います。
次に、児童虐待防止対策について伺います。
本年5月、児童福祉法等が改正されました。今回の改正では、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について、発生予防から自立支援まで、一連の対策のさらなる強化等を図るため児童福祉法の理念を明確化するとともに、子育て世代包括支援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制強化、里親委託の推進等の措置が講じられました。
現在、県内には三つの児童相談所が設置されておりますが、今回の改正により、弁護士やスーパーバイザーの配置など、児童相談所の体制強化が求められております。今後、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
市町村は、児童の身近な場所における福祉に関する支援を適切に行うとともに、子育て世代包括支援センターの設置や、特に在宅ケースを中心とする支援体制を一層充実するため、実情の把握、情報提供、相談、指導、関係機関との連絡調整等を一体的に提供する拠点の整備などが求められております。
市町村の体制づくりには、国や県の支援が必要であると考えますが、御所見を伺います。
次に、母子・父子・寡婦福祉資金について伺います。
母子・父子・寡婦福祉資金は、母子家庭、父子家庭及び寡婦の生活の安定と子供の福祉向上を図るため、無利子または低利子で修学資金、生活資金など、各種資金を貸し付けるものです。
〔議長退席、副議長着席〕
これまで、返済時の負担軽減のため、平成21年以降、貸付利率の引き下げや連帯保証人を立てる要件の見直し、貸付期間の延長、父子福祉資金の創設、延滞金利の利率の引き下げが行われました。また、本年4月からは、貸付利率が1.5%から1%に引き下げられるなど、貸付条件等の見直しが図られてきたところです。この見直しの中で、連帯保証人の確保が困難な母子家庭等の実情を考慮し、連帯保証人のない場合も貸し付けが認められることになりましたが、本県は依然として保証人を必要としております。生活が不安定な母子家庭等や自立に向けた活動を行うための資金需要に柔軟に応えることができるとは言いがたい状況となっており、改善すべきと考えますが、御所見を伺います。
第3点目は、介護保険制度について伺います。
高齢者の増加に伴い、介護サービス拠点等の整備と合わせて、介護人材の確保、育成が重要な課題とされています。賃金が他の産業と比べて低い水準にとどまっている上、職場のマイナスイメージがクローズアップされている面もあり、必要な職員の確保が困難な状況にあります。
介護職員の賃金や人員配置の改善などにより、やりがいのある職場づくりに取り組む必要がありますが、これまでの取り組みの成果と課題についてお伺いいたします。
平成27年度から介護報酬改定に伴い処遇改善加算が行われておりますが、キャリアパス要件や職場環境等要件などもあり、効果的に運用されているのか疑問がありますが、処遇改善加算による改善状況についてお示し願います。
国では、平成29年度から介護職員の昇進の仕組みを構築し、賃金を平均で月1万円引き上げるとしており、財政安定化基金の不足が見込まれる場合には、特例として国から積み増しも行うこととしています。
本県における財政安定化基金の状況と過不足の見通しについてお示し願います。
次に、介護事業所への指導監督について伺います。
県内では、平成27年度において、廃止、休止の届け出があった介護事業所は124カ所で、そのうち、実質的に廃止、休止された介護事業所は86カ所となっています。休廃止の理由の多くが、経営難や介護人材の不足などを挙げています。こうした休廃止の介護事業所が多く出ている中で、介護サービス事業所による介護報酬の不正請求という事案も発生し、介護報酬の返還や事業所指定取り消し処分なども起きています。
そこでお伺いしますが、県では、事業所に対する指導監督をどのように実施しているのでしょうか。事業所が休廃止に至る前に、その状況を把握できるような体制にあるのか、指導監督の実施状況についてお伺いいたします。
4点目は、農業振興について伺います。
国は、昭和45年から実施してきた米の生産調整を見直し、平成30年産から生産者等の自主的な取り組みに移行されるところです。平成30年産以降、国は生産数量目標ではなく、全国や産地ごとの需給動向などの情報を提供するにとどめ、生産者や農業団体は、そうした情報をもとに、適切な生産量や転作などの計画を自主的に決めていくこととなります。国の関与が薄れることで米が過剰生産となり、米価が下落するのではないかと懸念されるところです。生産数量目標の廃止後は、売れそうな米の量や、ほかにどんな作物に取り組むべきか地域ビジョンを策定し、農家と調整しながら生産計画を立てるなど、農家の不安解消に向けた取り組みが必要と考えます。
そこでお伺いいたします。12月8日、岩手県産米の最高級品種として開発を進めてきたオリジナル水稲新品種岩手118号の名称が金色の風と発表されました。この品種の開発には、世界レベルの研究成果を持つ岩手生物工学研究センターと、銀河のしずくなどの育種技術を蓄積している岩手県農業研究センターとが遺伝子レベルでの育種に取り組み、ふわりとした食感と豊かな甘み、そして変わらない粘りという特徴を持つ、まさに岩手県産米の最高級品種にふさわしいお米を誕生させたとのことでした。
この金色の風の名称に込められた知事の思いと、販売にかける意気込みについてお伺いいたします。
次に、農の雇用事業について伺います。
農の雇用事業は、農業法人等が就業希望者を新たに雇用して、生産技術や経営ノウハウ等を習得させる研修を実施する場合や、先進的な農業法人や異業種の法人に役職員を派遣して行う際に、1人当たり年額120万円を限度とし費用の一部を助成する国の事業です。
この事業の平成27年度における東北6県の実績では、431の農業経営体が導入し、649名が研修生として雇用されておりますが、応募者は減少傾向にあり、特に新規経営体からの応募が少ない状況にあるとしています。
本県における実施状況とこの事業の活用に向けた取り組みについて、どのように対応しているのか伺います。
次に、女性農業者の活躍支援について伺います。
農業労働者の高齢化が進む中で、担い手の育成、確保が課題となっています。2015年農林業センサスによると、本県では、農業就業人口の51.5%が女性で、東北では最も多く、女性が農業の担い手として重要な役割を担っている一方、平成26年度における新規就農者に占める女性の割合は18.3%と、東北で最も低くなっています。また、東北における女性起業数は年々減少傾向にありますが、県別では岩手県が最も多く、全国でも2位となっています。
近年の農業は、農作物をつくるだけでなく、消費者ニーズに合わせた安全・安心な食の提供の意識、6次産業化、農村の活性化、都市との交流、にぎわいのある地域づくりなど、幅広い視野や見聞を持ち運営していく必要があります。生産者と消費者の両方の感覚を持ち合わせている女性の力が大いに期待されるところであります。
そこでお伺いいたしますが、今後とも、女性農業者が能力を発揮し、いきいきと活躍していくことが必要と考えますが、県における取り組みについてお伺いします。
次に、遊休農地の課税強化について伺います。
現在、全国では、富山県の面積に匹敵する農地が放棄地となっております。税金の安さから耕作しない農地を待ち続ける農家もあり、国は、平成29年度から遊休農地の固定資産税を1.8倍に引き上げて、新たな担い手の参入や集約を目指すとしています。
課税は、市町村の農業委員会が農地中間管理機構との協議を勧告した農地が対象となりますが、農林水産省が調査した結果、平成27年に勧告実績があるのは、愛知県、岩手県、滋賀県、福岡県、長崎県の5県にとどまっているとのことです。課税の対象となる遊休農地は、農業委員会が所有者に対して実施する利用意向調査により、農地中間管理機構へ貸すことの協議を所有者へ勧告されたものが対象となりますが、高齢化による担い手不足、相続による非農家の増加、守り続けてきた土地への執着などから遊休農地となったものもあります。
こうした背景や諸事情は考慮されず、懲罰的な課税強化となることについて御所見を伺います。
また、諸事情を抱える遊休農地に対応する市町村や市町村農業委員会に対する指導、連携などの取り組み状況についてお伺いいたします。
5点目は、野生鳥獣被害対策について伺います。
平成28年10月末までの県内におけるツキノワグマ出没件数は、過去4年平均の1.5倍の2、971件に上り、平成15年度以降最多となっております。その原因は、昨年のブナの豊作により個体数が増加したものと見られますが、専門家は、里山の荒廃など人為的な要因による行動範囲の拡大が背景にあると指摘しています。さらに、県南地方を中心に、イノシシやニホンジカによる農作物被害も出ており、生活を脅かす状況にあります。
こうした対策に向け、県内には、鳥獣被害対策実施隊を設置する市町村が29市町村ありますが、その活動の状況と対策の実効性はどうなのか伺います。
また、過疎、高齢化の進行で山沿いの田畑や里山が手入れされないことなどから、熊が容易に人里に近づけるようになったと危惧するところですが、里山等の整備の取り組みについて御所見を伺います。
次に、狩猟者の確保について伺います。
野生鳥獣からの被害を防止していくためには、高齢化が進んでいる捕獲の担い手の確保や狩猟者の育成などが必要と考えますが、その取り組み状況についてお伺いします。
次に、野生鳥獣への放射性物質の影響について伺います。
捕獲した熊、鹿などを日本では山の幸として食べてきたところです。最近、これをジビエと呼び、積極的に料理に活用し、消費を拡大しようとする取り組みが進んでおります。有害鳥獣を捕獲し焼却するのではなく、地域資源として食材を利用しようとするものですが、県内で捕獲した鳥獣肉を活用しようとすると、放射性物質の影響も気になるところであります。
県内で捕獲された野生鳥獣の放射性物質の調査は行っているのでしょうか。また、放射性物質の影響はどうなっているのか、お伺いいたします。
第6点目は、空き家対策について伺います。
今年度創設された国の空き家対策総合支援事業は、空き家等対策計画に基づき実施する空き家の活用や除去などを地域のまちづくりの柱として実施する市町村に対して、国が重点的、効率的な支援を行うため、社会資本整備総合交付金とは別枠で措置されたものです。市町村と民間業者が実施主体とされており、補助率は市町村が事業主体となる場合は2分の1、民間業者となる場合は国と市町村がそれぞれ3分の1となるものですが、国費下限額が1、000万円と設定され、市町村の負担は厳しい状況にあります。
県は、支援制度を検討すべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、住宅インスペクション制度について伺います。
中古住宅市場の活性化に寄与し、空き家等の売買、賃貸の流動化を促進するためには、国のガイドラインに沿った統一的な住宅インスペクション制度―認証制度を構築することが必要となっております。県内で統一的に広く活用できる認証制度の導入や実施体制の整備を図るべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、総合的な空き家対策の推進について伺います。
県では、遊休不動産や優良ストックを活用し、公民連携による地域活性化やまちづくりを行うため、民間事業者や行政職員等の能力開発と体制整備に関する事業を実施していますが、市町村においては、空き家の利活用や除去、建てかえの促進等を実施しています。県全体において、空き家情報を共有し、移住や利活用が進むようストック対策をすべきと考えますが、御所見を伺います。
第7点目は、中小企業振興について伺います。
各商工団体は、小規模事業者の経営の改善、発達を支援するため、地域において中心的役割を担っています。市町村合併に伴って、地域内に複数あった商工団体は合併し、10年を経過しようとしています。
これまで、県では、商工会議所等が小規模事業者の経営の改善、発達を支援する事業に対し、商工業小規模事業経営支援事業費補助金を交付してきたところですが、経済情勢の変化などによる小規模事業者の減少に伴って補助額も減るなど、商工会議所等では厳しい状況となっています。
この補助金は、以前は国の補助金であったものを地域の中小企業振興のため、県が引き続き県の補助事業として実施してきたものではありますが、商工会議所等の果たす役割を考え、中長期的な支援のあり方を検討していく必要があると考えますが、御所見を伺います。
最後に、性犯罪等被害者へのワンストップ支援センターについて伺います。
県内における性犯罪の認知件数は、平成27年で46件あり、前年から11件減少しているものの、依然として後を絶たない状況にあり、被害者は心身に大きな傷を負っていることは極めて遺憾であります。
性犯罪、性暴力被害者に、被害直後からの総合的な支援を行うワンストップ支援センターは、各県に少なくても1カ所設置することとされており、昨年11月現在、全国で25カ所のセンターが設置され、半数以上の都道府県において支援体制ができております。残念ながら、北東北3県にはまだ設置されていないところですが、平成32年までには、各県に設置が求められているところです。
本県では、性犯罪等被害者への対応は、いわて被害者支援センターや配偶者暴力相談支援センター、医療機関等が行っておりますが、その取り組み状況についてお伺いいたします。
性犯罪等被害者がふえている現状から、早急にワンストップ支援センターを設置することが必要であると考えますが、具体的な設置目標についてお示し願います。
以上でございます。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐藤ケイ子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、いわて産業人材奨学金返還支援制度についてでありますが、本制度は、地方経済の牽引役として成長が期待されるものづくり産業において、高度技術人材の確保を支援し、技術力、研究開発力の強化や生産性、付加価値の向上を図ることにより、本県産業の競争力強化につなげていくため、中小企業団体等からの要望も踏まえて創設するものであります。
また、本制度の活用によりまして、大学生等の地元定着及び県内への還流も促進していきたいと考えております。
今後におきましても、本県地域産業が持続的に発展していくためには、県内企業が、いわゆるオンリーワン技術や独創的な製品、サービスの開発など経営革新や高度化に取り組んでいく必要があり、そのためには高度産業人材の確保等に向けた取り組みが重要であると認識しておりまして、こうした考えのもと、地域産業の振興に取り組んでまいりたいと思います。
次に、新しいブランド米、金色の風についてでありますが、名称の金色は、黄金文化や黄金の國など、魅力あふれる歴史や文化、実直で勤勉な県民性など、岩手の豊かさや信頼を象徴し、また、たわわに実った黄金色の稲穂を連想させる言葉であります。また、風には、ふわりとした食感と豊かな甘み、そして変わらない粘りを兼ね備えた全国に誇る最高級品種として、日本の食卓に新たな風を吹き込むという熱い思いを込めております。
このように、岩手とお米のあふれんばかりの魅力を凝縮した金色の風は、おいしさを極限まで追求した全国に誇るプレミアム米としてふさわしい名称と考えております。
今後は、関係機関、団体が一丸となって、マスメディア等を活用した話題性に富んだプロモーションや、大消費地でのトップセールスなどを積極的に展開し、米卸売業者や小売店、消費者の認知度を高め、高い評価をかち取ってまいりたいと思います。
次に、総合的な空き家対策の推進についてでありますが、これまで、県では、首都圏を中心として開催される移住イベントや移住、交流に関するホームページなどにおいて、市町村が運営する空き家バンクの情報を積極的に発信してまいりました。空き家情報は、地方への移住を検討している方々にとって大きな検討材料となるものの、市町村からは、空き家バンクの運営に当たり、優良な物件情報がなかなか集まらないことが課題であると聞いているところであります。
このため、県では、今年度、遊休不動産や優良ストックを活用し、公民連携による地域活性化やまちづくりを推進するため、岩手県空家等対策連絡会議を立ち上げたところであり、優良事例の共有やまちづくりに取り組む人材の育成を図ることとしているところであります。こうした活動を通じて関係機関との連携を構築し、優良な空き家物件の掘り起こしや利活用を図るとともに、市町村が運営する空き家バンクの利用促進を支援していきたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、国が検討している給付型奨学金制度との調整についてでありますが、本県の支援制度は先ほどの知事答弁の趣旨により創設しようとするものであり、一方、国が現在検討している給付型奨学金制度は、現時点ではその詳細が明らかにされてはいませんが、進学を希望する子供たちの教育機会を広く確保しようとするものであると理解しておりまして、制度を利用する側にある大学生等が、それぞれの制度の趣旨や支援内容を見て、これらを有効に活用していただくことが望ましいと考えております。
県といたしましては、国の動きについても注視しつつ、本制度が有効に活用されるよう努めていくとともに、インターンシップ支援事業による県内企業と大学生等のマッチングや、U・Iターン促進の強化など関連施策との連携も図りながら、高度技術人材の確保と定着に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。
次に、中小企業振興についてでありますが、これまで、商工会議所等においては、小規模事業者の経営改善を初め創業や事業承継等の支援、まちづくりや観光振興などさまざまな役割を果たしてきております。さらに、最近では、東日本大震災津波や台風第10号災害からの速やかな復旧、復興への取り組みや、経営革新に取り組む中小企業者に継続的な支援、指導を行ういわゆる伴走型支援の実施など、商工会議所等は地域においてますます重要な役割を担ってきているものと認識しております。
県では、商工会議所等の運営について、商工業小規模事業経営支援事業費補助金による支援を基本としながら、被災事業者への経営相談、指導等を行う人員の拡充や、創業者、若手経営者の経営力向上に向けた事業等に対する助成とともに、伴走型支援を行う商工会議所等に対する国の補助事業等の導入に向けた連携を行うなど、社会経済状況に応じた支援を行ってきているところでございます。
県としては、本格復興の取り組みや中小企業振興基本計画の推進により中小企業の持続的な事業展開を図っていくこととしておりまして、商工会議所等とより緊密な連携が必要と考えておりますことから、今後も、その活動が有効に機能するよう適時適切な支援について検討してまいりたいと考えております。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、県内における保育所等の待機児童についてでありますが、年度途中の待機児童の増加要因について詳細な分析は困難ですが、市町村からは、新規就業希望者が増加すること、産後休暇や育児休業期間の終了に伴う利用希望がふえることなどが、その主な要因と考えられるとお聞きしています。その対応として、市町村では、定員超過入所の柔軟な実施や緊急的な一時預かり事業等の活用などに取り組んでいるところです。また、国では、新たにゼロ歳児期の育児休業終了後の入園予約制の導入の支援を検討しております。
県では、保育士・保育所支援センターによる潜在保育士の掘り起こしやマッチング等を行っているところであり、引き続き受け入れの拡大に向けて支援してまいります。
保育所等の利用定員につきましては、平成27年4月1日現在で2万9、362人、本年4月1日現在は3万92人であり、730人の増となっています。また、現在、9施設の整備を行っており、来年度は290人の増を見込んでいるところです。
次に、保育士の処遇改善についてでありますが、県内全ての私立保育所等において、昨年度国が創設した処遇改善等加算を活用して保育士の給与等の改善に取り組んでいる状況にあり、県としては、まずは、現在国が検討中の加算制度の拡充と必要な財源の確保について、引き続き国に対して要望してまいります。
また、今年度から新たに潜在保育士が就職する際に必要となる経費を貸し付ける潜在保育士就職準備金貸付事業に取り組んでおり、この事業の活用により、多くの潜在保育士の就職につなげていきたいと考えております。
潜在保育士を対象とした研修会等につきましては、保育所への就職に当たり必要となる知識や技能を習得する機会を提供するために従前から開催している潜在保育士再就職支援研修に加え、今年度から新たに再就職した保育士との対話を行うなどの相談会、通称保育士カフェを開催しており、今後とも地域や潜在保育士のニーズ等を踏まえた効果的な実施に努めてまいります。
次に、放課後児童健全育成事業の運営についてでありますが、放課後児童クラブは運営主体や開設場所など多様な形態で実施されており、同一市町村内においてもクラブによって利用料に差があることは承知しております。登録児童数は年々増加しており、本年5月1日現在で、利用申し込みをしたにも関わらず利用できなかった児童数は58人で、平成27年度の97人から39人減少したところでありますが、今後さらに増加が見込まれるニーズに応じて受け入れ枠を拡大する必要があります。
また、各市町村の条例に定める児童1人当たりの面積やクラブの適正規模に係る基準に適合させるため、大規模クラブの解消などの課題もあると考えております。
このため、県では、市町村に対し、放課後児童クラブの量的拡充や児童の処遇向上が図られるよう施設整備への財政支援を行っており、今年度は、7市町村10クラブに対して補助を行うこととしています。
次に、児童虐待防止対策についてでありますが、本県の児童相談所においては、相談件数の増加や相談内容の複雑化、多様化に対応するため、児童虐待に専門的、機動的に対応できる虐待対応専門チームを整備したほか、児童福祉司を順次増員してきたところであり、平成28年度は2名増員し、30名の体制としたところで
す。
今般の改正児童福祉法に児童相談所の体制強化が盛り込まれたことから、県においても、その趣旨にのっとり、必要な体制整備を計画的に進めていく考えです。
また、県では、平成28年1月に策定した市町村要保護児童対策地域協議会運営実務マニュアルを活用した新たな市町村職員研修を実施するなど、市町村における対応力の向上に向けた支援を行っております。
国の平成29年度の概算要求においては、市町村の体制整備に対する補助として、新たに支援拠点を運営する費用やスーパーバイザーを設置する費用についての補助が盛り込まれたところであり、県といたしましても、引き続き、適切な助言や情報提供を行うなど、市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、母子父子寡婦福祉資金についてでありますが、国では、平成21年6月に政令を改正し、修学資金、修業資金、就職支度資金及び就学支度資金については無利子、その他の資金については、連帯保証人を立てる場合には無利子とし、連帯保証人を立てない場合には有利子としたところです。
本県におきましては、その趣旨を踏まえつつ、一方で、当時、収入未済額が増加していた状況や、そのことを指摘する包括外部監査での意見なども考慮し、県の運用としては、保証人を立てることを原則としつつ、保証人を立てることが困難な場合には、その理由を確認した上で、保証人を立てずに貸し付けを行うこともできるとしたところであり、これ以降、保証人を立てられないとの理由のみで貸し付けを不承認とした事例はないものと承知しております。
今後とも、申請者の経済的な自立に向けた資金需要に対応できるよう、この取り扱いについて、担当者会議や事務指導監査等の場において周知してまいります。
次に、介護人材の確保についてでありますが、介護人材を確保し定着させていくためには、幅広い年齢層からの新規参入の促進とともに、現在勤務している職員の賃金や労働条件等の処遇改善が必要であります。
このため、県では、新規参入の促進については、県内各地に配置した介護人材キャリア支援員による求人、求職のマッチング支援を行っており、昨年度は232名が、今年度も10月までに89名が新たに県内の事業所に採用されたところです。これに加えて、県の財政支援のもと、岩手県社会福祉協議会が実施している介護福祉士等修学資金の貸付制度の中に、今年度から離職した介護人材を対象とする再就職準備金を創設し、去る11月30日から募集を開始しています。
また、介護職員の処遇改善については、昨年4月の介護報酬改定において処遇改善加算が拡充されたところであり、県では、労働環境整備・改善セミナーを開催し、加算の活用を働きかけてきたところです。
こうした取り組みなどにより、本年10月時点の処遇改善加算の届け出率は88.8%と、昨年同期よりも2.8ポイント上昇し、県内での加算取得が進んでいます。
しかしながら、本年10月の県内の有効求人倍率は、全産業の1.30倍に対し介護職では2.26倍と高く、依然として人材不足が顕著な状況にありますことから、県といたしましては、今後とも関係団体等と連携しながら介護人材の確保に取り組むとともに、介護従事者の一層の処遇改善に向けて、適切な水準の介護報酬を設定するよう国に対して継続的に要望してまいります。
また、介護保険財政安定化基金については、平成28年3月末現在の残高が約11億9、000万円であり、県内各保険者が設置している介護給付費準備基金の残額が約48億円あることも勘案いたしますと、国が平成29年度の実施を検討している処遇改善にも十分対応可能であり、県の基金に不足は生じないものと見込んでいるところです。
次に、介護事業所への指導監督についてでありますが、県及び市町村では、介護保険給付の適正化とよりよいケアの実現のため、事業所に対する指導監督を行っております。
県では、県が指導監督権限を有する事業所に対し、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム及び軽費老人ホームについては2年に1回、有料老人ホームについては4年に1回、老人保健施設や居宅サービスなどその他の事業所についてはおおむね6年に1回、事業所を訪問して実地指導等を行っているほか、毎年度、事業者を集めて集団指導を実施しており、平成27年度は694件の実地指導等と7回の集団指導を行ったところです。さらに、県等に寄せられた通報、苦情などや実地指導により確認された事実などから、不正や指定基準違反等が認められる場合、またはその疑いがある場合には監査を実施しており、平成27年度は3件の監査を行ったところです。
事業所の所在地を所管する広域振興局においては、こうした指導及び監査を計画的に実施しているほか、日ごろより事業所から寄せられる相談への対応等を通じて、随時、事業所の状況把握や指導、助言を行っています。
また、認知症グループホーム等の地域密着型サービス事業所への指導監督権限は市町村が有しておりますことから、県としては、市町村の担当職員を対象とする研修会の開催等を通じて、市町村が行う指導監督業務を支援しております。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、農の雇用事業についてでありますが、本県における研修生の雇用は、本事業が創設された平成20年度から平成27年度までの8年間で延べ342人であり、平成25年度は68人、平成26年度は62人、平成27年度は68人と、近年は安定して推移しているところであります。
雇用の拡大に向けては本事業の活用が有効であることから、これまで、農業法人や就農希望者に対して各種広報媒体等を通じて広く事業の周知を図るとともに、岩手県農業会議と連携し、労務管理のノウハウ等を習得するための研修会などを開催しているところであります。
また、県が実施いたしました平成27年度の調査では、雇用就農者の過去5年間の定着率は65%となっており、今後は、定着率の向上と雇用就農の拡大に向け、関係機関、団体と連携しながら、雇用就農者間の交流、連携を進めるとともに、雇用の受け皿となる農業法人の経営力の向上、規模拡大や経営の多角化等を支援してまいります。
次に、女性農業者の活躍支援についてでありますが、農業、農村の活性化に向けては女性が主体的な役割を担うことが重要でありますことから、女性が働きやすく、アイデアを生かし、能力を発揮できる環境づくりを進めていくことが必要であります。
このため、県では、家族間の役割分担を明確にする家族経営協定の推進や、ネットワークの構築に向けた牛飼い女子会や女子交流セミナーの開催に加え、6次産業化に向けた起業ノウハウの習得支援などに取り組んでいるところであります。
今年度は、こうした取り組みに加え、新たに農村ビジネスの創出に向けた若手女性農業者の夢の実現のためのプランづくりや、食の匠による外国人観光客への食文化の発信などに取り組んでおり、今後におきましても、女性農業者が豊かな感性や新たな発想を生かして生き生きと活躍できるよう、きめ細やかに支援してまいります。
次に、遊休農地の課税強化についてでありますが、この制度は、再生利用が可能であるものの、農地の所有者が農地として利用する意思のない遊休農地を、農地中間管理機構を介して担い手へ集積、集約するため、農地の保有に係る課税の強化等の措置を講ずるものであります。
この制度の適用に当たっては、市町村農業委員会が遊休農地の利用状況調査やその所有者に対する利用意向調査を行い、所有者から、農地を利用する、あるいは貸し出す意向等が示された場合は課税強化の対象とされないなど、農地の条件や所有者の意向などを確認した上で、慎重に判断することとされているものであります。
県では、これまで、市町村農業委員会に対し、制度の内容や手続について周知を図ってきたところでありますが、今後とも、適切かつ慎重に制度が運用されるよう助言等を行ってまいります。
次に、鳥獣被害対策実施隊の活動状況と実効性についてでありますが、鳥獣被害対策実施隊は、市町村が定めた被害防止計画に基づいた被害防止対策を実施するため平成21年度から設置されており、ニホンジカ、ハクビシン等を対象とした有害捕獲やツキノワグマの追い払い、被害調査等の活動を行っております。
これらの活動の結果、平成27年度の有害捕獲の実績は、ニホンジカが約5、000頭となったほか、野生鳥獣による農産物被害額が前年度に比べ約6、000万円減少しているなど、実施隊の活動成果があらわれてきていると考えているところであります。
今後におきましても、引き続き実施隊の活動を支援するとともに未設置の4市町へ設置を働きかけ、実施隊の活動の充実強化に努めてまいります。
次に、里山等の整備についてでありますが、里山周辺におきましては、除間伐や雑草の刈り払いなどの手入れにより見通しのよい緩衝帯が設けられることで、クマなどが農地や集落に出没しにくい環境をつくることになると認識しております。
このため、県では、緩衝帯としての役割も期待される健全な森林が育成されるよう、所有者等が行う森林整備に対する助成を行うとともに、県内の果樹園では、ツキノワグマを対象とした電気柵の設置、管理とあわせ圃場周辺の刈り払い等による出没の抑制に取り組んでいるところであります。
今後におきましても、引き続き、各種助成制度を有効に活用し、下刈りや除間伐、人里周辺の刈り払い、電気柵の設置など、関係機関と連携しながら被害低減に向けた現地の取り組みを支援してまいります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、捕獲の担い手の確保と狩猟者の育成についてでありますが、県では、狩猟への興味や関心を高めるため、広く県民を対象といたしました狩猟の担い手研修会や新人狩猟者の技能向上のための研修会を県内各地でそれぞれ年2回開催するとともに、狩猟免許試験の予備講習会を年3回開催し、約300人が受講するなど、新規狩猟者の確保と新人狩猟者の育成に取り組んでいるところであります。
また、有害鳥獣捕獲に従事する狩猟者については、平成27年度税制改正により狩猟税の減免措置を講じているところでございます。その結果、新規の狩猟免許取得者数は、平成23年度は78人であったものが、平成25年度には219人、本年度は284人と着実に増加してきているところであり、40歳未満の免許所持者の割合もふえてきている状況にございます。今後とも、狩猟の担い手の確保や育成に積極的に取り組んでまいります。
次に、野生鳥獣の放射性物質の調査についてでありますが、県では、県産食材等の安全確保方針に基づき野生鳥獣肉の検査を実施しており、平成27年度はクマ、シカ、ヤマドリの検体検査を実施し、そのうち、クマ2検体、シカ2検体、ヤマドリ1検体から国の基準値を超過する放射性物質が検出されたところであります。また、これらの検査につきましては、結果が判明するごとに県のホームページに掲載し、広く県民に公表しているところであります。
次に、放射性物質の影響についてでありますが、現在、クマ、シカ、ヤマドリにつきましては県内全域を対象に出荷制限が指示されておりまして、特にシカにつきましては、狩猟者の狩猟意欲が減退することに伴い、個体数の増加が懸念されているところでございます。
このため、県といたしましては、捕獲に積極的に取り組むとともに、出荷制限解除に向けました要件緩和について国に対して要望しているところでございます。
次に、性犯罪等被害者へのワンストップ支援センターについてでありますが、本県における関係機関の取り組みにつきましては、いわて被害者支援センターが平成26年から性暴力等被害相談専用電話はまなすサポートラインを開設し、年間15件程度の相談に対応するとともに、病院や検察庁、裁判所への付き添いなども行っているところでございます。このほか、県内12カ所の配偶者暴力相談支援センターにおきまして、DV被害者の相談や一時保護、自立のための支援をするなど、関係機関がそれぞれ支援を行っているところでございます。
また、現在、早期のワンストップ支援センターの設置に向けまして、先進事例の調査や産婦人科医に対するアンケート調査を実施するとともに関係機関、団体との意見交換を行っており、今月3日には犯罪被害者支援のための研修会を開催し、医療関係者を初め多くの参加を得て性犯罪被害の実情や支援の課題などを学び、機運の醸成を図ったところでございます。
今後、本県の実情に合わせて被害者が求めるサービスをより効果的に提供できるよう、関係機関との具体的な連携方法や相談体制などについて検討を進めてまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、空き家対策総合支援事業の実施に伴う支援についてでありますが、この事業を市町村が実施するためには、空き家対策特別措置法に基づく空き家等対策計画を策定し、同法に基づく協議会を設置するなど、地域の民間事業者等との連携体制が構築されていることが条件となっております。
9月末時点で補助要件に該当するのは盛岡市、花巻市、北上市の3市となっておりますが、当該事業を含む空き家対策に関する事業の実施に係る具体の検討はこれからと聞いております。
県の支援制度につきましては、個別の案件や他の市町村の空き家に対する取り組みの状況なども踏まえ、その必要性を検討してまいります。
次に、住宅インスペクション制度についてでありますが、県は、これまで、中古住宅の流通を活性化させることを目的に、一般社団法人岩手県建築士会が開催するインスペクター養成講座を後援するなど、専門家の育成を支援してきたところです。インスペクション制度が徐々に普及する中、本年6月には、買い主に対してインスペクション結果の概要を重要事項として説明することを義務づけるなど、宅地建物取引業法が改正されました。今回の法改正においてインスペクションが法律上位置づけられたことから、今後は統一的な運用が進むものと見込まれます。
このことから、県では、今後予定される同法の施行規則の制定を踏まえ、まずは制度の周知、普及に力を入れてまいりたいと考えております。
〇8番(佐藤ケイ子君) 御答弁ありがとうございました。何点か再質問させていただきたいと思います。
質問ではないのですけれども、最初に、知事から新しいお米、金色の風ということで答弁がございまして、農業者にとっても意欲が湧くような新しい風が起きてくるのではないかと、本当に期待したいと思っております。また、山形県では、つや姫が出たときは吉村美栄子知事みずからがつや姫のお米を持ってトップセールスしておりまして、今度は達増知事も、そういうふうにみずからセールスされている姿をこのごろ見ておりますので、御期待を申し上げたいと思っております。
それでは、再質問いたしますけれども、まず、奨学金のことです。
産業人材奨学金返還支援制度については、県の産業人材を確保するという意味ではやはり期待できるもので、意義は大きいと思っております。ただ、8年とか、50人限定とか、そういった意味では結構枠が厳しいと思っています。
産業人材を確保する意味では有効でしょうけれども、私がお尋ねしたいのは、広く県内の卒業者、高校生も含めて、大学生なども戻ってこられるように幅を広げるためにはどうするかということなのです。例えば秋田県などでは、対象者数を1、000人とか、高卒以上、3年間、金額は岩手県よりもずっと低いのですけれども、そうした意味での募集人員の拡大ということで、若者の定着促進を図る取り組みをするということでございます。
そうした意味でも、本県においても、農林業や自営業とか、アルバイトなども含めて、新卒者を広く対象とするような柔軟な制度をつくれないのかと思っております。対象範囲の拡大、募集人員の拡大など、今後に向けて対応が必要と思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
それから、保育の関係ですけれども、待機児童問題です。この制度の改善に向けて、これは、県、市町村だけではなく、国に制度改善を求めていくことが非常に重要になっておりますので、お願いしたいと思うわけですけれども、待機児童を少なく見積もると、これからの保育計画がかなり限定的になってくるわけです。
今、隠れ待機児童問題と言っていますが、隠れ待機児童は、育児休業中なので保育所には入れてないとか、求職中でも入れないので諦めたとか、希望する保育園が遠いので入れないとか、無認可保育所に入っているので、とりあえず我慢しているというような隠れ待機児童は加算されていないので、本当はすごく大きなニーズがあるわけです。これをしっかりとはかっていかなければならない、過少に見積もらないほうがいいと思っております。
この間、県議会図書室から借りてきたのですけれども、子育て支援が日本を救うという本に触れまして、保育サービスの拡大というものは波及効果が大きくて、労働生産性を向上させるとか、税収増をもたらすとか、福祉や教育、そうしたことも充実させられると各種統計を分析しておりました。
この待機児童問題については、県と市町村とともに取り組んでいかなければなりませんので、保育に係る保育単価といいますか、公定価格、施設整備費の補助金もすごく基準枠が狭くて、実際は4分の3補助なのですけれども、持ち出しは2分の1以上あるというのが実態となっておりますので、国に対しても、この補助基準の枠の拡大なども求めていってほしいと思います。見解を伺いたいと思います。
次は児童虐待の防止に関してなのですが、県の児童相談所も大変な状況ですが、少し人員も確保していただきながら進められております。これからは、市町村がどういうふうに連携していくかということが本当に大事なのですけれども、現在も、市町村によっては、その対応が違う。児童虐待は児童相談所、県の仕事ですということで、余り積極的になっていないところとか、児童相談所と一緒になって、一時保護の後も一生懸命フォローしている市町村とか、その市町村によって全然対応が違うということなのです。
なぜ、市町村がそういうふうに対応できるか、できないかというのは財政的な問題も非常に大きくて、家庭児童相談員が配置されておりますけれども、これは単費で行っております。地方交付税算入対象ではありますけれども、その基準単価が非常に低いという状況です。市町村への財政措置についてもしっかりと対応していただかないと、なかなか児童相談所では難しいので、国に対しても財政措置の拡充をしっかり要望していただきたいと思っております。どうでしょうか。
母子家庭に対する貸付制度のことなのですが、収入未済額も多い、滞納が多いということもあって、保証人を立てることを原則必要としているということなのですけれども、保証人の有無と滞納額というのが本当に直結しているのかどうかなのです。広域振興局で取り扱っているわけなのですけれども、そこで扱っているのが、非常勤の相談員が実際の事務を行っていますが、償還に係るフォローがやれているのかどうか、それはちょっと疑問だと思っています。組織の体制自体が不十分なのではないかと私は思っているのです。償還が始まるときにきちんと償還の計画を立てたり、償還できない場合は、延納計画を立てたり、分納計画を立てたり、そういうフォローの体制が必要なわけですけれども、なかなかできないままにいる。滞納が重なってしまって、それから今度は民間の整理機関に委託しているという状況では、滞納額の解消には至らないと思うのです。それと、保証人をつけるという話は、また別な話ではないかと思っておりまして、ぜひ柔軟な対応をしてほしいと思いますし、組織体制の強化が必要と思いますので、御見解を伺います。
もう一点ですけれども、性犯罪被害者へのワンストップ支援センターについてでございます。
この間も大変すばらしい研修会をされたようで、新聞にも載っておりまして、性犯罪でも、表に出ているものと実際の件数は10倍か20倍かとも言われているのです。みずから被害を公表するということはなかなかできない、思い出すだけでもパニックを起こす、人間不信になっていく、怖くて男の人のそばには寄れないとか、肩身の狭い思いをして暮らしているとか、本当に理解してもらうのに大変だというような状況です。先ほど、早期にワンストップ支援センターの立ち上げについてということで答弁がありましたので、期待したいわけです。
私は、去年の9月議会でもこのことを取り上げました。前回の議会で小西議員も取り上げております。何としても前進をしていただきたいと大変期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。見解をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) いわて産業人材奨学金返還支援制度の対象範囲等についての御質問でございますが、他県等においても、それぞれの目的に応じて制度設計をされているものと受けとめておりますが、本県では、この制度を活用して就職された高度技術人材が、相当程度長い期間にわたって就職先企業に定着してもらいまして、その企業の研究開発力や生産力などの向上が図られること、そして収益や事業規模、雇用規模などの拡大が図られるよう貢献してもらう。それがひいては本県の地域産業、地域経済全体の発展につながっていくということを期待している制度でございます。
今、この制度でモデル的に考えている支給の方法なのですが、支援額は最大で返還所要額の2分の1としております。モデルとしては、1年目から、就職した人の就業、居住の実績を確認した上で、県が本人にかわって返還するという形を基本としておりますので、日本学生支援機構への標準的な返還期間が約15年と言われております。その15年という期間を踏まえ、支援しようとする2分の1の返還額を1年ごとに支援するということで、これは相当長い期間に当たるのではないかと思いますが、8年以上はその企業で活躍してもらう、あるいは終身活躍してもらえればもっといいと思うのですけれども、そういう活躍を期待しているということで、そのような条件にさせていただいているというものです。
また、募集人数についてですが、今、予算案で出させていただいているものは、いわゆる取り崩し型の基金でございます。そうしますと、これを使い切るに当たって、どんな規模感が出てくるかということで、当面はということでこの基金を始めることにしておりますが、始めるに当たっては、例えば3年間で使い切るとすれば、150人から200人ぐらいが対象になるだろうと。それを、先ほど申し上げましたように、8年にわたって返還していくお金を取り崩して続けるわけですけれども、ある程度モデルをつくらなければならないものですから、3年間で使い切るとした場合の1年当たりの目安、積算上の数字でして、募集定員とか締め切るとかという発想は全くございません。どんどん企業と人材がマッチングされて、ものづくり企業もその人材に期待し、人材もその企業に期待して入るということで、いいカップリングになって、その企業が本当に伸びていくということになればいいと考えていまして、まずは産業界と県から1億円ずつの出損によりまして2億円規模の基金を造成し、来年度から募集を開始しようとしているものです。
募集人数の拡大や期間の延長などについては、人材需要の動向ももちろん踏まえますし、応募の状況、さらには産業界からの出損の状況なども見ながら、並行して検討していきたいと考えています。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 3点御質問をいただきました。
1点目の保育施設に係る公定価格の引き上げ及び施設整備に係る補助単価の引き上げについてでありますが、県では、これまでも国に対して、子供、子育て支援の量的拡充と質の向上を図るため、十分な財源を確保するよう繰り返し要望しているところであり、これにつきましては、非常に重要なことでありますので、引き続き国に対して要望を行い、働きかけてまいります。
2点目の市町村における児童虐待防止対策に係る支援の充実についてであります。福祉事務所を設置している市では家庭相談員を配置しておりまして、議員御指摘のとおり、この費用については地方交付税において算定されております。標準団体、人口10万人の市については、算定上、交付税措置は年額報酬として264万円という単価になっておりますが、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、現在、国においては、来年度の概算要求においてスーパーバイザーの配置に要する費用の補助等を盛り込んでいるところであります。国の資料によりますと、スーパーバイザーの配置について、市町村の補助基準額103万3、000円、これに対して国が2分の1補助を行うというような制度でございます。こういった制度も、制度化された際には活用しながら、その支援の充実に努めていきたいと思います。
3点目の母子父子寡婦福祉資金についてでありますが、資金の貸し付けに当たりましては、広域振興局の保健福祉環境部長や関係課長等で構成する貸付審査会を設置して、そこにおきまして、貸し付けの必要性や貸付金額の適否はもとより、償還計画の妥当性についても審査を行った上で、総合的に判断して決定しているところです。
また、償還が計画どおりに進まず滞っている方への対応についても、この貸付審査会において、直近の償還指導状況などを踏まえて今後の対応方針を検討した上で、非常勤職員のみならず、必要に応じて正規の職員も相談や指導等に当たるなど組織的な対応を行っているところでありまして、今後とも、適切な対応がなされるよう担当者会議や事務指導監査等の場において徹底してまいります。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 性犯罪被害者へのワンストップ支援センターの早期設置についてでございますけれども、今月3日の犯罪被害者支援のための研修会に私も出席させていただきました。実際の性犯罪被害者の方でありますとか、あるいは医療現場で助産師として従事されている方の現場でのお話をお聞きしたわけでございますけれども、被害者でなければわかり得ない大きな負担を心身に抱えておられるというようなお話がございましたし、医療現場におきましても、産科、婦人科医療だけではなくて、精神科であったり、場合によっては被害者が小児の場合もありまして、小児科でありますとか、そういった広範なケアが必要であるというようなお話がございました。そういった意味では、支援センターの必要性については認識を新たにしたところでございます。
こういったことから、今後におきましては、広大な県土を抱える本県でございますので、被害者の方々が、相談機関あるいは医療機関を訪れた際に、ワンストップ支援センターとの間でどのように実際の情報を共有していくべきかとか、また、それを総合的な支援にどうやってつなげていくかといった実務的な問題は幾つかございますけれども、こういった課題を一つずつクリアしながら、早期のセンター設置に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
〇副議長(工藤大輔君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時7分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(3名)
25  番 木 村 幸 弘 君
38  番 小野寺   好 君
44  番 工 藤 勝 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時28分 再開
〇副議長(工藤大輔君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(工藤大輔君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(工藤大輔君) 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
〔37番斉藤信君登壇〕(拍手)

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