平成28年12月定例会 第7回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(樋下正信君) 自由民主クラブの樋下正信でございます。
一般質問の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げながら質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、内陸避難者への支援についてお伺いいたします。
東日本大震災津波により沿岸被災地から内陸部に避難した被災者に向け、県が災害公営住宅を整備することとされております。盛岡市が162戸、一関市が46戸など6市において合計291戸が、平成30年度の完成を目指して整備されるとのことであります。県では、内陸へ避難した2、326世帯への意向調査を本年1月から行い、その結果、入居を希望された方のうち291世帯が、入居条件に合致したとされております。
私は、沿岸被災地に住まわれていた方々が、復興の姿を目の当たりにすることができるよう、沿岸部に戻ることを希望される方に対し、できる限りの支援を行うことが重要であると考えております。しかし、さまざまな事情があって、現在、内陸部に居住し、今後も内陸部での定住を希望される方もあり、このような方々に対しては、内陸に災害公営住宅を建設するなどにより、居住環境を整備することが必要であるとも考えます。
そこでお伺いします。今後も内陸部での入居希望者が見込まれるのであれば、新たに災害公営住宅を建設するだけではなく、例えば、既存の県営住宅も活用してはいかがかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。
また、沿岸部に戻ることを希望する内陸避難者に対しては、沿岸における災害公営住宅の建設が重要であると考えます。現在の整備状況と入居希望者の入居状況、今後の見込みについてお伺いいたします。
次に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
46年ぶりに本県で開催された希望郷いわて国体、いわて大会が、成功裏に終了いたしました。今後、その成果を将来に引き継ぎ、スポーツ振興策を充実させていくため、県の体制を強化していくことが大変重要と考えます。
このような中、県では、平成29年度の組織改編において、知事部局に新たに文化スポーツ部を専担組織として設置する条例案を今定例会に提案されました。そして、今後の文化、スポーツ振興に関する指針として、岩手県文化・スポーツ振興戦略を策定することとしております。
そこで、まず、今般、県がどのような目的で文化・スポーツ振興戦略を策定しようとしているのかお伺いいたします。
また、文化、スポーツの振興は、市町村や関係団体との連携によるオール岩手の推進体制が必要と考えますが、どのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
今後、文化・スポーツ振興戦略を進めるに当たり、文化スポーツ部にどのような役割を期待し、どのような施策を重点的に進めようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
次に、競技力の向上等についてお伺いいたします。
岩手国体での岩手県選手団の成績は、天皇杯、皇后杯ともに第2位となり、また、希望郷いわて大会では、メダル数が139個と、過去16回の大会中、最多であったとのことであります。
私は、希望郷いわて大会の水泳競技を観戦しましたが、両手、両足のない水泳選手が参加しているのを見まして、大会関係者に、このような障がいを持っていて気の毒だと感想を述べたことがありました。しかし、その関係者からは、選手たちは、自分が障がいを持っているとは考えておらず、これが当たり前だという気概を持って競技に臨んでいるとの説明を受けました。私は、選手たちが、すばらしい精神力を持って競技に取り組んでいることに、改めて感服し、大きな感動を覚えました。
多くの県民が、改めてスポーツの重要性を認識し、また、選手の活躍には、尊敬と感銘の念を強く感じながら閉幕した両大会でありました。本県選手の活躍は、県民を大いに励まし、勇気づけるものであります。
私は岩手県水泳連盟の会長として、長年、競技の普及、発展に取り組んできております。また、過日、岩手県障がい者スポーツ協会の設立に向けた協議が始まるとの報道がありました。選手を計画的に育成することは、子供たちの競技力の向上にとどまらず、県民全体の健康で豊かな生活を実現することにつながります。このため、私は、県を挙げてのスポーツ振興が非常に重要なことだと感じております。
来年度の愛媛県での国体、障害者スポーツ大会、さらには4年後の東京オリンピック・パラリンピックに向け、今大会で活躍した選手や育成中の選手のさらなる活躍を願うところです。そのためには、選手の育成強化費の充実や施設の整備、充実が重要と考えます。
そこで、まず、今回の岩手国体の結果を踏まえた選手強化の方針についてお伺いいたします。また、障がい者スポーツに係る選手強化方針についても、あわせてお伺いいたします。
次に、県営体育施設の整備方針についてお伺いします。
希望郷いわて国体、いわて大会に加え、ことしはプロ野球選手の活躍が目立ちました。特に、西武の菊池雄星選手や日本ハムの大谷翔平選手、東北楽天の銀次選手です。他の本県出身のプロスポーツ選手の活躍も目立った年となりました。また、東京オリンピックへの出場を目指している県内の若いアスリートの活躍などもあり、県民のスポーツへの関心も高まっております。
このような中にあって、盛岡市にある県営運動公園は、老朽化が進んでおり、今般の国体の開会式会場も北上市の総合運動公園で行われました。今後さらに県営運動公園の老朽化が進めば、大きな大会を開催することが困難となることが予想されます。
私は、県営体育施設については、本県のスポーツ振興に支障を来さないように改築整備を行っていくべきと考えます。現下の厳しい行財政運営を考えると、改築は難しい状況にあると思いますが、どのような方針で整備を行っていくのかお伺いいたします。
また、県営野球場と盛岡市営野球場が、いずれも老朽化し、盛岡市は盛南地区での整備について、実際の球場をモデルとして、プロ野球の招致が可能となるような施設を検討していると聞いております。
昨年度の一般質問において、私は、同じ地区に二つの野球場は必ずしも必要でなく、県と市が連携して整備、運営していくことも一つの方策であると提言いたしました。
この野球場の例に限らず、スポーツ施設の整備に向けた大きな方針を市町村と共有し、設置や維持に必要な経費を最小限にとどめることにより、施設を有効に活用し、あるいは特色あるスポーツ施設を整備してはいかがかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
次に、平成31年に釜石市で開催されるラグビーワールドカップ2019についてお伺いします。
先日、ラグビーワールドカップを観光の目玉とした、3、000人が乗船できる総トン数10万トンを超える大型クルーズ船を、宮古港へ誘致する取り組みを県が進めているとの報道がありました。また、ラグビーワールドカップを契機に、例えば、ニュージーランドやイギリスなどのチームの母国からの観光客がふえれば、経済効果も見込める上、復興の後押しにもなるものと考えます。
そこでお伺いします。このように、ワールドカップの開催は、訪日客誘致の起爆剤としての効果はもとより、釜石市を初めとした三陸地域を中心とした地域振興にもつながるものと考えますが、この機会を活用した地域振興策についてお伺いします。
また、施設の整備に当たりましては、観覧席のシートの形状の変更やスタジアムの屋根の拡大などの整備費が増加しているものと聞いておりますが、その財源はどのように確保するのかお伺いいたします。
現在、釜石市が整備を進めているスタジアムについて、大会後には相応の維持管理費が発生するものと考えます。大会後の釜石市のスタジアム運営の見通しと大会のレガシーとしての具体の活用策など、県としての支援方針についてお伺いいたします。
次に、岩手医科大学の跡地活用についてお伺いします。
平成31年には、岩手医科大学附属病院の矢巾町移転が予定されております。このことに伴い、岩手医大では、跡地活用検討会議を設置して、県、盛岡市、盛岡商工会議所を交えて協議を進めており、来年2月には、基本コンセプトをまとめる予定との報道がありました。
また、この検討のために、昨年11月からは、地元町内会や経済界などの外部有識者でつくる跡地活用検討懇話会も開催されております。
県都盛岡の中心部にこのような広大な土地が生まれる本当に貴重な機会であり、医療機能はもとより、盛岡のまちづくりや中心市街地の活性化への活用がなされることを強く望むものであります。
私は、この岩手医大の跡地には、横浜みなとみらい21の中核を担う横浜ランドマークタワーや、大阪のあべのハルカスのような、マンションやオフィスフロア、ホテルなどの機能を有する高層ビルを整備してはいかがかと考えております。
さらに、にぎわい創出機能、住民の交流機能、子育て支援や遊び場の機能などに加え、この際、県庁の敷地もあわせて活用し、行政機能を組み込むことも考えられるところです。
〔副議長退席、議長着席〕
また、石割桜を訪れる観光客を乗せた観光バスを駐車する場所が近くになく、観光客をおろした後、市内を周回しながら待機するケースもあると聞いております。
現在、公園となっている中央病院跡地や隣接する旧衛生研究所の敷地は、駐車場として活用すれば、県の収入ともなり、また、県民会館利用者の利便の向上も図られるものと考えます。
岩手医大の跡地活用に当たっては、このような内丸地区の再開発の契機となるような整備が必要ではないかと考えるものでございます。
そこで、岩手医科大学の跡地活用検討懇話会からの意見は、どのような内容となっているのかお伺いいたします。また、県として、跡地活用検討会議において、どのような提案をし、基本コンセプトに反映しようとしているのかお伺いいたします。
次に、低所得高齢者の住まいの確保への支援について伺います。
自治体や社会福祉法人が運営を行っている特別養護老人ホームや軽費老人ホームは、要介護認定や所得の程度により、比較的低廉な料金で利用できる施設であります。ただ、現実には、それでも料金が負担であったり、希望者に対して受け入れ施設が不足していることなどから、なかなか入所できない高齢者も少なくない状況と聞いております。
介護保険は、保険者である市町村等が担う施策ではありますが、県としても、県全域の高齢化への対策として、今、県内に住んでいる高齢者の皆さんが、将来も安心して暮らせる岩手をつくることは、重要なことであると考えます。
県内では、国の低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業を活用し、雫石町が地域の空き家を活用した高齢者の住まいの確保に取り組んでいると伺っております。
このような事業の積極活用に向け、市町村に対し、どのような働きかけを行ってきたのか、また、実施市町村は拡大したのかお伺いいたします。
県においても、高齢者の増加に対し、市町村がきちんと対応できるよう、低料金で入所できる施設の増設への支援や、年金額が入居料金に満たないなどのケースでは、高齢者にも一定の負担をいただいた上で、県が入居料金との差額を市町村に補助するなどの支援の仕組みが必要と考えますが、御所見をお伺いします。
次に、農業振興について伺います。
先日、県議会議員で構成する米穀園芸生産流通議員研究会の現地研修会で、大阪府にある米の6次産業化に取り組み、成果を上げている企業を視察してまいりました。
私は、生産者においても、無農薬、有機栽培など独自の方法による生産を行ったり、積極的に産直施設に出荷するなどの工夫を行い、農業の6次産業化に取り組むことは重要なことと考えます。また、このことは、一層の経営向上につながり、政府が進めている地方創生にも合致するものと考えております。
さて、本年10月、日本穀物検定協会から、食味ランキングで特A評価を受けた県産米のオリジナル新品種銀河のしずくが市場デビューを果たし、その評価は上々と聞いております。また、今般、名称が決まった岩手118号、金色の風についても、県の最高級の米として来年秋のデビューを予定しており、期待が高まっています。
このような中、国が行う米の生産調整の見直しは、国の一律の基準による調整から、地方が独自性を持ち、全農や農協などが、みずから調整機能を発揮して農家の経営力を高め、地方が自立していくことが求められているものと受けとめております。その一方で、米の消費量は今後とも減少が見込まれており、平成30年以降の自主的な生産調整への移行に、農家は不安を持っているのではないでしょうか。
こうした状況の中で、私は、本県がこれまでに推進してきた米、園芸、畜産のバランスのとれた農業振興が重要であり、とりわけ安定した需要のある園芸の振興が、ますます重要であると考えます。
そこで、本県の園芸生産の実態はどうなっているのか、今後、園芸振興にどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
また、水稲作付面積の減少が予想される中、水田の有効活用も視野に入れなければなりません。これまでの麦、大豆、飼料作物のほかに、園芸品目の導入拡大を図るべきと考えますが、水田を活用した園芸の振興にどのように取り組まれるのか、あわせてお伺いいたします。
最後に、公共施設等総合管理計画について伺います。
昭和50年代を中心に集中的に整備された公共施設等の大規模修繕や更新に要する経費が、今後、多額に上ることが見込まれています。
県においては、先般、今後10年間の公共施設や道路などの計画的な更新や長寿命化、施設配置の適正化により、財政負担の軽減と平準化を図るため、平成28年3月に公共施設等総合管理計画が策定されております。
公共施設などの長期的な点検、更新や安全確保、耐震化等の実施方針を定め、適切な管理を行うことは、県民の安全・安心を守ることに直接つながるものであります。
また、さきの東日本大震災津波や台風第10号のような大規模な災害に対する防災や減災の観点からも重要なことであり、公共施設等に幅広く取り入れていくことには、大きな意義があるものと考えます。
この計画におきましては、施設類型ごとに、基本的な方針と平成32年度までの個別施設計画の策定に向けたアクションプランが示されているところでありますが、平成28年度における取り組み状況についてお伺いいたします。
また、今後、この計画の進捗状況をどのように管理し、老朽化の進展に伴って増大する経費の平準化や、施設規模、配置等の適正化などにどのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。
以上で質問を終わります。御清聴大変ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、文化・スポーツ振興戦略を策定する目的についてでありますが、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を通じて醸成された県民の文化、スポーツに対する関心の高まりや参画意識を次の世代に引き継ぐとともに、文化やスポーツ、経済、観光など、さまざまな分野で生かしていくことが重要であり、今後、県民とともに取り組んでいく本県の文化、スポーツ振興の方策を示すために、文化・スポーツ振興戦略の策定を進めているところであります。
文化、スポーツの振興に当たりましては、議員御指摘のとおり、県、市町村、関係団体、企業などが協力連携し、さらには県民運動的な盛り上がりを図りながら推進していくことが重要であります。
このため、部の設置に合わせて、庁内に各部局長等を構成員とする(仮称)文化・スポーツ事業推進本部を設置するなど、文化スポーツ部を中心に部局横断的な取り組みを戦略的に進めるとともに、市町村等との連携を強化するため、広域振興局の体制強化も検討しているところであります。
今後、文化スポーツ部を中心に、市町村や関係団体を初めとした多様な主体と連携を図りながら、オール岩手の体制を構築してまいります。
次に、文化・スポーツ振興戦略を推進する上で文化スポーツ部に期待する役割についてでありますが、現在、策定を進めている文化・スポーツ振興戦略に基づく施策を推進していくことはもとより、文化やスポーツを核とした部局横断的な取り組みを戦略的に進めていく役割を期待しています。
具体的には、ラグビーワールドカップ2019や東京オリンピック・パラリンピックを通じた岩手の魅力や復興の姿の国内外への発信、プロスポーツとの連携やスポーツツーリズムによる地域活性化、障がい者芸術に対する県民の理解増進と活動支援、平泉の文化遺産、橋野鉄鉱山、世界遺産登録を目指す御所野遺跡が有する価値や理念の県内外への発信などに取り組むことにより、文化やスポーツが持つ多面的価値を社会的、経済的な力に発展させて、県民一人一人の個性と創造性が輝く地域づくりを進めてまいります。
次に、ラグビーワールドカップ2019を活用した地域振興についてでありますが、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催は、東日本大震災津波の被災地として、世界中からいただいた支援への感謝の思いと、復興の姿を世界に向けて発信するための絶好の機会と捉えており、これを交流人口の拡大と地域経済の活性化につなげることが重要と考えています。
2015年のイングランド大会では、釜石市と同規模のスタジアムで開催されたグロスター市において、ワールドカップの開催によって住民の誇りが醸成されるとともに、開催地への滞在や地域を周遊する来訪者が増加しましたほか、再び観光目的で来訪したいと思われるようなまちづくりが進められるなど、地域振興に寄与したと伺っております。
このようなことを踏まえて、開催準備を通じた人材育成などの受け入れ態勢の整備を進めますとともに、比較的長期で滞在、周遊する傾向にある来訪者に対応した三陸地域を中心とした宿泊、観光、飲食などのサービス提供や周遊プログラムの造成などを進め、さらに、ワールドカップを契機とした国内外における知名度の向上なども生かしながら、持続的な地域振興に取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、県営住宅の活用についてでありますが、内陸部での災害公営住宅は、既存の県営住宅に希望者数に見合うだけの空き戸数がないことから、希望者全員が同じ条件で入居いただけるように新築を基本に考えています。
今後、建設場所が確定した時点で行う仮入居募集において、入居要件に合致する希望者が新たにあらわれた場合は建設戸数を調整することとしていますが、工事着手後に希望者があらわれた場合は、既存の県営住宅をあっせんすることを予定しています。
次に、沿岸の災害公営住宅の状況についてでありますが、10月末現在で完成した災害公営住宅は、県、市町村合わせて5、694戸の建設計画に対し4、237戸であり、入居戸数は約9割の3、787戸となっています。
沿岸部で建設している災害公営住宅の整備戸数につきましては、市町村が実施する内陸避難者を含む最新の意向調査に基づき県と市町村が協議の上決定したものであり、現時点では450戸が空き室となっていますが、仮設住宅の統廃合に伴い、今後入居が進むものと考えています。
現在、沿岸市町村及び県の内陸避難者支援センターでは、これまで住宅再建の意向を明らかにしてこなかった方々に対し戸別訪問等により最終意向確認を進めているところであり、災害公営住宅の必要な戸数を確保してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、障がい者スポーツに係る選手強化方針についてでありますが、希望郷いわて大会に向けて、障がい者団体、特別支援学校、体育協会等で構成する希望郷いわて大会選手育成強化推進委員会で策定した基本方針において、選手育成強化のコンセプトとして、全体的な基礎体力及び運動能力の向上、競技力向上と競技普及のための基盤づくり、障がい者スポーツから日常的に楽しめる生涯スポーツへ、各地域での活動拠点づくりの四つを掲げたところです。これに基づいて、関係機関や団体が一丸となり、選手の掘り起こし、強化練習、遠征の強化など選手育成強化に取り組んだ結果、希望郷いわて大会においては、メダル獲得数が過去最高の139個となるなど、大きな成果を上げることができました。
今後は、これまでの基本方針をベースに、選手や指導者、競技団体等関係者から、今回の大会に向けた選手育成強化事業における課題やその対応策について意見を伺い、さらなる選手強化が図られるよう、選手育成強化推進委員会等の場で検討を行っていく考えです。
次に、低所得高齢者の住まいの確保に取り組む市町村に対する支援についてでありますが、議員から御紹介のあった国の低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業につきましては、県としても、毎年度、国からの通知を受けて各市町村へ周知し、事業の活用を働きかけてきたほか、いわていきいきプラン2017の冊子のコラムに事業概要を掲載し、関係団体等にもお知らせしてきました。このモデル事業の活用実績は全国で15市町村となっており、県内では、平成26年度から取り組んでいる雫石町以外の市町村からは、実施要望がなかったところです。
国においては、来年度以降は当該モデル事業の新規の募集は行わないと聞いており、今後、低所得高齢者等の住まいの確保に向けた新たな取り組みを始めたいとする市町村からの相談があった場合には、先行事例や活用可能な制度等に係る情報提供など、丁寧に対応してまいります。
次に、低所得高齢者の施設入所に向けた支援についてでありますが、特別養護老人ホームなどの介護保険施設については、利用者の自己負担額が上限額を超えた場合、超えた分が払い戻しされる高額介護サービス費制度や、低所得者を対象に食費、居住費を助成する補足給付制度があります。また、軽費老人ホームについては、所得に応じて自己負担額が決まることから、低所得の方でも入所しやすい仕組みになっています。
県では、これまでも、こうした各種施設の整備に対して補助を行うとともに、特別養護老人ホーム等において、低所得者に係る利用者負担額を軽減している社会福祉法人131法人に対し、その費用の一部を市町村を通じて補助しており、低所得者を含む高齢者の施設入所や住まいの確保を支援してきたところです。
県といたしましては、引き続きこうした支援を行いながら、低所得者を含む高齢者が住みなれた地域で安心して生活し続けることができるよう、関係機関と連携して取り組んでまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) ラグビーワールドカップ2019の釜石開催に係る施設整備の地域負担についてでありますが、11月に行われた釜石市議会議員全員協議会において、大会運営組織から求められているスタジアム設備の拡充に全て対応するよう設計を見直した場合、当初の概算整備費約32億円から、最大7億円から8億円程度の増額が見込まれると市が説明したものであります。
現在、釜石市では、可能な限り整備費を抑制するため、市のスタジアム建設検討委員会の意見も聞きながら、整備計画の精査を行っているところです。
また、大会運営組織との交渉においては、被災地としての特殊性も訴え、当初求められた屋根の拡大の緩和が認められたところであり、座席の仕様の簡素化など、整備費のさらなる抑制に向けて引き続き交渉を行っているところです。
スタジアム整備の財源には、国の復興交付金や社会資本整備総合交付金、日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成を活用することとしているほか、県としても仮設部分について応分の負担を行う予定です。
今後も市と連携し、スタジアムの円滑な整備に向けて取り組んでまいります。
次に、開催後の施設の運営管理等についてでありますが、現在、釜石市において、同程度の規模の類似施設を参考にしながら、大会後の効率的な維持管理や運営のあり方を検討しているところと承知しております。
大会のレガシーとしてのスタジアムの活用策については、ジャパンラグビートップリーグなどの試合開催や各種大会誘致、プロスポーツ、大学、高校等の合宿誘致、コンサート等の各種イベント開催などのほか、スポーツ施設としての日常的な県民、市民の利用等、さまざまな方向性が考えられますが、県としても、沿岸地域の振興や広域的な文化、スポーツの振興の観点から、釜石市などと連携し検討を進めていく考えです。
次に、岩手医科大学の跡地活用検討懇話会からの意見についてでありますが、本年2月に、岩手医科大学、盛岡市、盛岡商工会議所及び県の4者による岩手医科大学跡地活用検討会議を設置し、検討を進めているところです。
この検討に当たっては、関係者のみならず、跡地の活用について、より多くの方々からの意見を反映させることを目的として、平成27年11月に、学識経験者や地元企業、地元町内会、商店街、市医師会等の関係者による跡地活用検討懇話会が設置されたものです。
先般開催された懇話会においては、基本コンセプトに関する意見として、跡地活用において求められる機能や施設例についての意見を取りまとめ、商業や住居が一体となった複合型施設など、都市機能のさらなる向上と住環境の整備、公共交通機関の拠点やコンベンションホールなど、にぎわいと交流拠点としての機能整備、図書館や、さまざまな世代が集まり学習や交流ができる空間など、国際化への対応と未来を担う人材の育成、公園や遊び場の整備など安全・安心、子育て支援の充実、イベントや観光情報、発信の拠点機能など、彩りあるまちづくりや観光機能の充実の5項目を柱とする報告書案が協議され、今後開催される跡地活用検討会議に提案される予定となっております。
次に、跡地活用検討会議における県の提案についてでありますが、盛岡市は、本県の県都として、また、北東北の交流拠点としても発展してきたところであり、都市の活力と魅力を一層高めていくことが県政の発展のためにも重要と認識しております。また、若者や女性の活発な活動や交流の促進を図ることが都市の活力向上につながるものと考えております。
このような認識のもと、今後の検討会議における基本コンセプトの検討に当たっては、懇話会からの提案や盛岡市の今後の将来的なまちづくりも踏まえつつ、県全体への波及効果や北東北の交流拠点などといった視点からも、連携して協議していきたいと考えております。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、園芸生産の実態と園芸振興についてでありますが、本県の園芸農家は高齢化等により年々減少しており、平成27年は、5年前の9割に当たる約6、000戸となっております。また、野菜では、販売額100万円未満の小規模農家が約4割を占め、単収も低いことから、規模拡大や生産性向上の取り組みが重要であります。このため、県では、ハウスの団地的な整備や自動かん水装置の導入、リンドウやリンゴの優良品種への新植、改植に対する支援、経営管理能力の向上に向けた研修会の開催などに取り組んできたところであり、近年、若い経営者を中心に規模拡大の動きが進み、販売額1、000万円以上の農家は平成27年には374戸と、5年前に比べ約1割増加しております。
今後は、こうした動きをさらに加速させるため、高規格ハウスの整備や高性能収穫機械等の導入支援に加え、ICTを活用した管理作業の改善や、いわてアグリフロンティアスクール等による経営感覚にすぐれた農業者の育成などを進め、園芸産地力の一層の強化を図ってまいります。
次に、水田を活用した園芸振興についてでありますが、米の需給緩和に伴い、水稲の作付面積が減少する中において、収益性の高い園芸品目の導入、拡大を進め、農家所得の確保、向上を図っていくことが重要であります。このため、県では、リンドウやネギ、アスパラガスなど、地域ごとにその特性を生かした転作作目を定め、園芸作物の生産拡大を図ってきております。特に、近年、需要が拡大しているタマネギやキャベツなどの加工、業務用野菜への転換を積極的に支援しており、その結果、花巻地方において、機械化体系によるタマネギの作付面積が前年度と比べ倍増するなど、一定の成果があらわれてきております。
水田における園芸の生産拡大に向けては、単収向上と省力的な作業体系の確立が必要でありますことから、暗渠排水の整備、病害虫防除等の単収向上技術の普及や高性能収穫機械の導入支援等に、引き続き積極的に取り組んでまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、公共施設に関係しまして平成28年度の取り組み状況についてでございますが、平成28年5月に、各施設所管部局の企画課長等を構成員とします岩手県公共施設等総合管理計画推進会議を設置するとともに、県立大学総合政策学部の齋藤俊明教授をアドバイザーに委嘱し、公共施設等の総合的かつ計画的なマネジメントに係る全庁的な取り組み体制を整備いたしました。また、本年6月には、各部局の担当者を構成員とするワーキンググループを設置し、各部局が平成32年度までに、個別施設計画の策定を進めるために必要となります指針、さらには、マニュアルの整備などに取り組みを進めておるところでございます。
次に、計画の進捗管理についてでありますが、今年度、全庁的な取り組み体制として設置しました岩手県公共施設等総合管理計画推進会議を定期的に開催し、各部局の取り組み状況を確認するとともに、必要に応じ、アドバイザーからの御助言もいただきながら、平成32年度までの個別施設計画の策定を目標とした進捗管理を行ってまいります。
今後、個々の施設の現況と優先順位の考え方を整理し策定します個別施設計画に基づき、計画的な維持管理と長寿命化を推進し、コストの縮減、財政負担の平準化を図るとともに、人口動態など社会経済情勢の変化に対応した施設規模、配置等の適正化などについても取り組むこととしております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 選手強化の方針についてでありますが、先般の希望郷いわて国体におきましては、東日本大震災津波の発災により、十分な強化期間などが確保できなかったという状況を経た中で、本県選手団が、天皇杯、皇后杯順位ともに第2位に輝いたことは、岩手県体育協会や各競技団体などの関係者が一丸となって強化事業に取り組んできた結果であり、さらには、本県選手団が県民の皆様の応援を受け、チーム岩手として大きな力を発揮できた成果であると捉えております。
また、これまでの強化事業を通じ、各競技団体において選手強化に向けたノウハウの蓄積や指導者の育成が図られたことに加え、チーム岩手として力を結集して取り組んだ経験なども大きな成果であると捉えており、県といたしましては、今国体で得たこれらのレガシーを十分に継承しつつ、今後の選手強化に取り組んでいく考えであります。
今後におきましては、中長期的な視点に立った選手育成や指導者の養成、スポーツ医・科学サポートなどを推進しながら、来年以降の国体においても、より高い成績を視野に入れた選手強化に取り組むとともに、この岩手の地から、全国の舞台やオリンピック等の国際大会で活躍するトップアスリートの輩出を目指してまいります。
次に、県営体育施設の整備方針についてでありますが、県営体育施設のほとんどは昭和45年の国体開催時に建設したものが多く、全体的な老朽化の状況を踏まえ、県においては、これまで、安全対策の実施や定期点検を行いつつ、財政面等も考慮しながら、計画的な維持、修繕を努めてきたところであります。
また、今国体においては、既存施設を有効に活用することを前提に、競技会場となる施設は、競技規則や安全面を考慮し必要な改修を行うとともに、山岳競技のリード施設などについては既存の競技場に新たな整備を行ったところであります。
なお、県営運動公園を初めとする県営体育施設の今後のあり方につきましては、本年度内に外部有識者による検討の場を立ち上げ、具体的な議論を進めていくこととしておりますが、国体レガシーを継承していく視点や本県の財政状況などをも十分に踏まえながら、本県のスポーツ振興に寄与する施設のあり方を総合的に検討してまいりたいと考えております。
次に、スポーツ施設の整備に係る市町村との連携についてでありますが、本県のスポーツ施設の整備に当たっては、これまでも、平成11年度の岩手インターハイや希望郷いわて国体に向けて、県と市町村が連携してその整備を進めてきたところでありますが、県、市町村における経営資源の制約が強まってきている中で、県全体としてのスポーツ環境の充実を図っていくためには、これまで以上に、県と市町村との一層の連携や協働を進めていくことが極めて重要と考えております。
野球場の整備については、盛岡市からの県との協働による整備の申し入れを受け、議員御案内のとおり、現在、両者での協議を進めているところであります。
いずれにいたしましても、県営体育施設の全体的なあり方については、県と市町村の連携の視点や役割分担、必要なコスト等を十分に考慮し、また、外部有識者の御意見や議員御提言の趣旨などを踏まえながら、総合的に検討してまいります。

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